2021年02月
2021年02月27日
DROの取付け法

DROは本体と移動部(XYテイブルなど)を結んで、移動距離を測るものだ。たいていは移動部に棹をネジ留め、本体にはカーソルをバネで固定する。どんなに細かく調節して水平に取り付けたつもりでも、動けば多少のズレや撓みが生じる。バネは多少の動きを吸収する。バネは堅く、無駄には撓まない。材料は厚めのリン青銅の板である。
ズレや撓みを吸収しても、読みに影響するのは避けたい。写真の場合、もし水平面に取り付けてあれば、Y軸方向の動きは吸収できない。垂直面に付けてあればZ軸方向の動きは吸収できず、それが原因でX軸の長さの読みに影響を与えるかもしれない。

作例ではDROの棹を支えるものは、ブラスの角棒を切り出し、銀ハンダで付けてフライス加工してある。作るのが簡単で、丈夫である。飛び出した構造で強度が必要であるが、ハンダ付けでも壊れることはない。銀ハンダの効用について、再認識されるべき時期に来ていると思う。ロウ付けでも良いのだが、筆者はこちらを好む。
2021年02月25日
フライホィールの支持


孔がたくさんあるので、ドリルで拡げてブラス棒を差し込み、銀ハンダを流す。それをフライスで削って再利用した。分厚くてなかなか豪勢である。
軸の通る部分にはボールベアリングを嵌めるので、切り取ってブロックを嵌め込んである。もちろんあとでフライス加工して、平面を出した。
アングルの隙間にぴたりと嵌まるように削った。ラジアルベアリングとスラストベアリングを用いて支える。
フライホィールの径は現在の 52 mmではテンダの天井板に0.7 mmほど障ることが判明したので、少し小さくして50 mmにせざるを得ない。
作り掛けの状態では部品を無くす惧れがあったので、毎日1時間ずつ作業して、形にした。
2021年02月23日
続 テンダと台車を結合する


かなり面倒な方法ではあったが、台車はテンダ床板との滑らかな回転を確保しつつ、堅固に結び付けることができた。普通のテンダではないので、強度、耐久性に留意した構成となった。
2021年02月21日
テンダと台車を結合する


軸を太くしたのは、いつも大きな力が掛かるので、細いピンでは穴がガタガタになってしまうからである。
台車キングピンが、車軸よりかなり高い位置に来ている。何も工夫しないと、牽引力が掛かった時に軸重移動が起き易い。すべてウォーム軸でつながっているから、引張力の総和は変化しないのだが、軸重移動を少しでも減らすために前後に長い面で接触させている。軸重移動は脱線の原因の一つだ。
軸バネはよく効いている。重い車輛はバネが作動する様子が良くわかる。底衝きがあると衝撃でボールベアリングが傷む。これは当然のことなのだが、ボールベアリングが壊れるということを信じない人が居る。こんな重いものが、ある程度の速度で走っていれば、フログや、高さの微妙に異なるレイルの継ぎ目でゴンと当たれば、たちまち異音を発するようになる。
作動範囲で浮いていることが大事だ。
2021年02月19日
gear tower




今回の車輪は、以前の40インチではなく36インチだから回転数が高く、増速せずに動力を採取している。径が大きなスプロケットだけを用いるので、効率は高くなる。
<お知らせ>
ボールベアリングを嵌めるための座グリドリル(外径 5 mm用)が十数本ある。リンクの記事の後日追加製作分である。もう再生産しない。
ご希望の方は連絡されたい。コメントの本文に連絡先(メイルアドレスも)を書いて戴かないと、こちらでは読めないので、その点留意されたい。
2021年02月17日
キングピンの無い機構
この機関車も、テンダのキングピン位置にドライヴシャフトが通るのでキングピンが置けない。すなわち、台車の回転は何らかの疑似回転運動をさせる方法(仮想心皿方式)を採ることを考えた。今回は単純に回転するだけなので、面倒な計算はいらない。リンクを付けて前後の位置だけ保持し、左右への振れ止めがあればよい。リンクを快削ブラス板から切り出した。
こんなことを考える人はまずいないだろうと思っていたが、友人から坂本 衛氏が凸型電気機関車に採用していたという情報があった。条件が限られれば、誰しも行きつくところは同じである。これは「鉄道模型工作手帳」という本にあったそうだ。コピィを送って来た。筆者が作りかけたものと全く同じ配置であったのには驚いた。これを見て、やる気が失せ、別方法を探ることにした。誰もやってなければ作ってみたが、すでにあるなら冒険するまでのことはない。
実を言うと、作り始めて分かったが、この方法では台車はかなり不安定だ。台車は一つ 350gもある。持ち方によっては、リンクが曲がって壊れる可能性があった。それを外れて来ないようにうまく支えるのは意外と難しいし、さらにリンクの邪魔をしないように作らねばならず、かなりの工夫が必要だ。
熟慮の結果、より堅固な方式を採用することにした。
あとは時間があるときに作れば、70時間でできるという計算だ。今その時間がない。信号機の工事に時間を掛け過ぎてしまった。まだやることはかなりある。

実を言うと、作り始めて分かったが、この方法では台車はかなり不安定だ。台車は一つ 350gもある。持ち方によっては、リンクが曲がって壊れる可能性があった。それを外れて来ないようにうまく支えるのは意外と難しいし、さらにリンクの邪魔をしないように作らねばならず、かなりの工夫が必要だ。
熟慮の結果、より堅固な方式を採用することにした。
あとは時間があるときに作れば、70時間でできるという計算だ。今その時間がない。信号機の工事に時間を掛け過ぎてしまった。まだやることはかなりある。
2021年02月15日
動力ピックアップ
レイアウトの工事で忙しく、車輛工作はしばらくしていなかった。例のATSFのHeavy Pacific は、テンダの慣性増大化工事がそのままになっていて、少々気がかりだ。
6輪台車は完成しているが、まだ心皿については迷っている。ギヤボックスがあるので、心皿は通常の構造では付ける場所が無い。駆動軸の台 (tower)を作るが、キングピンを付けられない。ギヤボックスはバネで浮動するので隙間を 1 mm程度空けねばならない。全く新しい方法でキングピンを無しにするか、テンダボディの中にめり込ませて固定するしかない。他と干渉しなければ、後者を採りたい。
写真は 後者の様子で、ギヤボックスの浮動分をクリアするように彫り込んである。
チェインは1コマが単位なので、許される軸距離は連続ではない。多少のたるみを見越して、とびとびの値しか与えられないのだ。その中でベストの高さを拾い出すわけだから、意外と面倒である。メーカのカタログにも算出データがあるが、信用してよいのか迷う。伸びをどの程度考えているか、だ。
支持方式も先回とは少し異なる。せっかく太いアングルを通したので、それに直接付けてしまう。ネジ留めだけで、ボ−ルベアリングの予圧を掛けられるように設計せねばならない。その上でスラストベアリングで受ける。こうすれば軽衝突時にも生き残る。剛性を高くしてネジで締めるのが最良だが、それではあまりにも重くなる。2.5 kg以下にしたい。
必要なことはフライホィールの径を許される限り大きくすることに尽きる。軽くても径が大きく、速く回転するものを作れば、用が足りる。

写真は 後者の様子で、ギヤボックスの浮動分をクリアするように彫り込んである。
チェインは1コマが単位なので、許される軸距離は連続ではない。多少のたるみを見越して、とびとびの値しか与えられないのだ。その中でベストの高さを拾い出すわけだから、意外と面倒である。メーカのカタログにも算出データがあるが、信用してよいのか迷う。伸びをどの程度考えているか、だ。
支持方式も先回とは少し異なる。せっかく太いアングルを通したので、それに直接付けてしまう。ネジ留めだけで、ボ−ルベアリングの予圧を掛けられるように設計せねばならない。その上でスラストベアリングで受ける。こうすれば軽衝突時にも生き残る。剛性を高くしてネジで締めるのが最良だが、それではあまりにも重くなる。2.5 kg以下にしたい。
必要なことはフライホィールの径を許される限り大きくすることに尽きる。軽くても径が大きく、速く回転するものを作れば、用が足りる。
2021年02月13日
続 漏電
この種の漏電箇所は、這いつくばって探しても、そう簡単には見つからない。最近の大きな技術的な進歩が無ければ、発見は難しかったと思う。
Tom Harveyは、
「俺は線路の every inch(どの1インチ)をも知り尽くしている。」
と豪語していた。レイアウト中を這い廻って作業した時、筆者はその言葉を思い出していた。
以前、絶縁車輪を作った時、ショートして困ったことがある。小さな金属クズが絶縁紙に刺さっていて、通電しているのだろう。祖父江氏に聞くと、
「なーに、簡単だよぉ。自動車のバッテリィを持ってきて、ちょっとつなぐと、いいんだよぉ。パシッと音がして、問題個所は燃えてなくなっちまうんだぁ。」
と言った。乱暴ではあるが、それで解決することが多かった。これは鉛蓄電池の内部抵抗が小さいことを利用している。
その後アメリカで、レイアウトのショート箇所を特定するのに、似た方法を使うのを見た。可能性のある部分に、人をたくさん配置してレイアウトの上下の面を見張らせた上で、バッテリー(確か24 Vだと思う)をつなぐのだ。どこかから煙が上がるから、用意した水を掛けて消す。アメリカの大きなレイアウトの饋電線はAWG12(約3.5 mmsq)以上だから数十アンペア以上流していることになる。
今回もそれがやりたかったが、一人ではそんな危ないことはできない。そのまま火事になるかもしれないからだ。もう少し賢い方法を採らねばならない。
肺炎禍で非接触体温計が手に入りやすい。これを使った。大きなトランスを用いて15 Vを掛けると、10 Aほど流れるから、温かくなるだろう。通電しながら怪しい部分の温度を測定した。すぐに温かい部分が特定された。電源を切り、修復作業に取り掛かった。この方法なら、煙が出る前だから、安全である。
ダブルスリップの絶縁されたフログのギャップ部分に青い錆のかけらがあった。ハンダを外して分解清掃し、再度組み立てた。ギャップにはエポキシ樹脂を詰め込んだから、大丈夫だろう。場所の特定までには長い時間が掛かったが、修復はあっという間だった。
この方法は、むすこたかなし氏から赤外放射計を使うというヒントを得たことから、思い付いた。感謝する。
今回の件で、レイアウト全体に掃除が行き届き、とてもきれいになったのは思わぬ余禄である。
Tom Harveyは、
「俺は線路の every inch(どの1インチ)をも知り尽くしている。」
と豪語していた。レイアウト中を這い廻って作業した時、筆者はその言葉を思い出していた。
以前、絶縁車輪を作った時、ショートして困ったことがある。小さな金属クズが絶縁紙に刺さっていて、通電しているのだろう。祖父江氏に聞くと、
「なーに、簡単だよぉ。自動車のバッテリィを持ってきて、ちょっとつなぐと、いいんだよぉ。パシッと音がして、問題個所は燃えてなくなっちまうんだぁ。」
と言った。乱暴ではあるが、それで解決することが多かった。これは鉛蓄電池の内部抵抗が小さいことを利用している。
その後アメリカで、レイアウトのショート箇所を特定するのに、似た方法を使うのを見た。可能性のある部分に、人をたくさん配置してレイアウトの上下の面を見張らせた上で、バッテリー(確か24 Vだと思う)をつなぐのだ。どこかから煙が上がるから、用意した水を掛けて消す。アメリカの大きなレイアウトの饋電線はAWG12(約3.5 mmsq)以上だから数十アンペア以上流していることになる。
今回もそれがやりたかったが、一人ではそんな危ないことはできない。そのまま火事になるかもしれないからだ。もう少し賢い方法を採らねばならない。
肺炎禍で非接触体温計が手に入りやすい。これを使った。大きなトランスを用いて15 Vを掛けると、10 Aほど流れるから、温かくなるだろう。通電しながら怪しい部分の温度を測定した。すぐに温かい部分が特定された。電源を切り、修復作業に取り掛かった。この方法なら、煙が出る前だから、安全である。
ダブルスリップの絶縁されたフログのギャップ部分に青い錆のかけらがあった。ハンダを外して分解清掃し、再度組み立てた。ギャップにはエポキシ樹脂を詰め込んだから、大丈夫だろう。場所の特定までには長い時間が掛かったが、修復はあっという間だった。
この方法は、むすこたかなし氏から赤外放射計を使うというヒントを得たことから、思い付いた。感謝する。
今回の件で、レイアウト全体に掃除が行き届き、とてもきれいになったのは思わぬ余禄である。
2021年02月11日
漏電
信号機が完成したので、DCC本線で4-8-4の牽く旅客列車を走らせて悦に入っていた。ところが、ある日突然ショートしていると表示され、2週間の運休を余儀なくされた。
列車全体を退避させ、ディジタル抵抗計を接続してみると、両レイル間にはわずか 1.5 Ω 〜 2 Ω程度の抵抗しかない。12 Vを掛ければ数アンペア以上流れることになる。1.3 Aで制限しているので、当然ショートと認識される。
突然のことで原因がわからず、二日ほど考えた。敏感なディジタル抵抗計で全線にわたって抵抗を調べた。もちろんセクションごとのフィーダをすべて外してからである。そうすると、10 mほどのセクションの抵抗が少なく、他は十分な抵抗がある。3年ほど前にネズミが侵入して小便をした辺りである。ということはその尿の成分の塩が残っている可能性がある。
高性能な抵抗計は、 3 Vを掛けて、被検知部分に発生する電圧を調べる。その抵抗の読みは、接続した瞬間は小さいが急速に大きくなって一定値になった。金属を接続したときとは明らかに違う。抵抗値が時間が経つと大きくなるのだ。オシロスコープにつなぐとおもしろそうだったが、筆者の真空管式のオシロスコープはかなり前に捨ててしまったのだ。
1.5 V電源のテスタをつなぐと、抵抗はゆっくり大きくなり、抵抗値は前者より大きい。電圧によって伝導率が違うのである。これが何を意味するかは、興味深い。電気化学の教材に適する。
これは金属導体内の電子の移動による通電ではないということだ。イオンが動いていると結論せざるを得ない。電気分解が始まれば電流は一定になる。電気分解電圧に達していなければ、そこで通電は見かけ上、停まるはずだ。ところがDCCは12 Vの交流である。イオンはあっちに行ったり、こっちに戻ったりしているはずだから、電流は通じる。しかし、ガスが発生したり、金属が腐食したりすることはないだろう。
ともかく、漏電は塩(”えん”と発音)によるものだということが分かった。何の塩かはよくわからないが、ニッケルや銅の塩化物は潮解性である。これは乾くことが無いことを意味する。空気中の水分を集めて湿っているのだ。
線路に掃除機を掛け、ごみやほこりを完全に清掃し、ネズミの小便によると思しき汚れの発見に努めた。事件の後、掃除をしたので殆ど痕跡は消えていたが、3か所それらしきところが見つかった。水を掛けてブラシでこすり、紙タオルで吸い取った。これを数回繰り返すと、残存する塩を十分に少なくできる。
ネズミ侵入事件が起こった時、穴があることを知り、それはモルタルで埋め、建物の内外にネズミを捕獲する装置を多数置いたところ駆除に成功し、それ以降は問題ないものと思っていたが、年を経てこのような事件が起こったのは意外であった。
列車全体を退避させ、ディジタル抵抗計を接続してみると、両レイル間にはわずか 1.5 Ω 〜 2 Ω程度の抵抗しかない。12 Vを掛ければ数アンペア以上流れることになる。1.3 Aで制限しているので、当然ショートと認識される。
突然のことで原因がわからず、二日ほど考えた。敏感なディジタル抵抗計で全線にわたって抵抗を調べた。もちろんセクションごとのフィーダをすべて外してからである。そうすると、10 mほどのセクションの抵抗が少なく、他は十分な抵抗がある。3年ほど前にネズミが侵入して小便をした辺りである。ということはその尿の成分の塩が残っている可能性がある。
高性能な抵抗計は、 3 Vを掛けて、被検知部分に発生する電圧を調べる。その抵抗の読みは、接続した瞬間は小さいが急速に大きくなって一定値になった。金属を接続したときとは明らかに違う。抵抗値が時間が経つと大きくなるのだ。オシロスコープにつなぐとおもしろそうだったが、筆者の真空管式のオシロスコープはかなり前に捨ててしまったのだ。
1.5 V電源のテスタをつなぐと、抵抗はゆっくり大きくなり、抵抗値は前者より大きい。電圧によって伝導率が違うのである。これが何を意味するかは、興味深い。電気化学の教材に適する。
これは金属導体内の電子の移動による通電ではないということだ。イオンが動いていると結論せざるを得ない。電気分解が始まれば電流は一定になる。電気分解電圧に達していなければ、そこで通電は見かけ上、停まるはずだ。ところがDCCは12 Vの交流である。イオンはあっちに行ったり、こっちに戻ったりしているはずだから、電流は通じる。しかし、ガスが発生したり、金属が腐食したりすることはないだろう。
ともかく、漏電は塩(”えん”と発音)によるものだということが分かった。何の塩かはよくわからないが、ニッケルや銅の塩化物は潮解性である。これは乾くことが無いことを意味する。空気中の水分を集めて湿っているのだ。
線路に掃除機を掛け、ごみやほこりを完全に清掃し、ネズミの小便によると思しき汚れの発見に努めた。事件の後、掃除をしたので殆ど痕跡は消えていたが、3か所それらしきところが見つかった。水を掛けてブラシでこすり、紙タオルで吸い取った。これを数回繰り返すと、残存する塩を十分に少なくできる。
ネズミ侵入事件が起こった時、穴があることを知り、それはモルタルで埋め、建物の内外にネズミを捕獲する装置を多数置いたところ駆除に成功し、それ以降は問題ないものと思っていたが、年を経てこのような事件が起こったのは意外であった。
2021年02月09日
続 信号機の工事

曲線上での連結器高さを再度測定し、そこにビームが通るようにLEDを付けた投光部位置を上げた。受光部も少し上げると完璧であった。設置位置は直線部のみを考えていたので、考えが及ばなかったことを反省した。
電源から最遠部分の電圧は、上下線の信号機が開通しても 4.88 Vあって、作動は完璧であった。電源部の電圧は、無負荷で5.03V、全負荷を掛けた状態で4.96 Vであるから、0.08 Vの電圧降下である。
電源は、長時間通電時もほのかに温まる程度であるから問題ない。
閉塞信号回路はできたので、次はポイントマシンと連動する方向信号機の配線をする。おそらく、これもひと月ほどかかる見込みだ。
照明を暗くして、信号機が付いているさまを見ると、幻想的である。駅や機関区の照明をつけるとさらに良くなるだろう。
2021年02月07日
信号機の工事

全区間を4つに分けた複線だが、遠方信号機も必要になって9台設置した。


これらの写真には、信号機の裏に漏れる光も写ってしまっている。いずれ遮光塗料を塗れば見えなくなるはずだ。
2021年02月05日
丸金床

友人の鉄工所に行って頼んだら、二つ返事で引き受けてくれたが、H鋼の良いのが無かった。似たものを作ってくれれば良いのだと頼むと、それなら簡単、と作ってくれたのがこれらである。見本は筆者の下手な熔接品で、プロに見せるのは恥ずかしかったが、持って行かざるを得ない。右が見本、左が製品である。
高さ、幅などはどうでもよかったのだが、 全く同じ寸法に作ってくれた。さすがは熔接のプロで、素晴らしい作りである。細い方がΦ12,太い方がΦ30である。HO用にはもう少し細いものも必要かもしれない。
これらは丸屋根を作るときにとても便利である。ブラスの板を置いて、ゴムハンマで丹念に叩く。鋼製ハンマは使ってはならない。端から曲げて、曲げ過ぎたら太いほうで戻す。これを繰り返すとどんな形状にも曲げられる。筆者の客車の屋根はすべてこれで曲げたものである。誰も自分で曲げたものだとは思わない。大きなプレスで曲げたと思われているようだ。
追加生産できるので、欲しい方はコメント欄を通じて連絡されたい。最近はコメント欄にあるメイルアドレスに書き込んでも、それがこちらには表れないので、本文に連絡先を書かれたい。
2021年02月03日
完全直流デコーダ
ゆうえん氏は先回の記事で納得戴けたのだろうか。次いで、完全直流デコーダによる駆動についての質問があるが、これは高効率低摩擦の機関車、列車を動かしたことのない人には、なかなかお分かり戴けないと思う。
筆者のOスケールの機関車は、どれも3 kg以上あり、すべての回転部分にはボールベアリングが入れてある。ギヤボックスを外せば、どれも0.5%以下の坂を下り降りる。モータと連結しても1.5%弱で下り降りる。単3電池一つでゆっくり起動し、毎秒数ミリの速度で動く。このような機関車であるから、電池をたくさん用意して1.5,3.0,4.5 Vと電圧を上げるだけでも、滑らかな運転ができるほどである。伝達効率は50%を下回らない。
一方大半のHO以下の模型では、モータの出力の大半は動力伝達装置内や、車軸の摩擦で消費され、最終伝達効率は10%もいかない。 NMRAのレポートによると、あるHOのシェイの実測値は0.25%であった。こうなると負荷の大小は問題ではなく、どうすれば一定速度で走らせれるか、が最大の目標になる。昔はギヤ比を大きくする以外の方法はなく、モータは高速で回り続けて凄まじい音を出していた。
Back emfのフィードバックができるようになると、かなりギヤ比を小さくしても、見劣りしない走りをさせることができるようになった。これが現実の世界であろう。
もし、HOでも”全くひっかかりのない滑らかな運転ができるようなボールベアリング装着の高性能機関車”ができれば完全直流デコーダが使えるだろうが、牽かれる車輛すべてが、低抵抗車輪と摩擦の少ない軸受で統一されている必要がある。その実現は、かなりハードルが高い。しかも、小さなものは大きなもののようには動かないのは、何度もここで採り上げた通りである。
ゆうえん氏は、考え方には優劣が付けられないというのが持論のようだが、それは同じスケールでの比較の場合である。大きさが異なるものは同じ考えでやってはいけない場合もある。アメリカで、韓国製の機構のあやしい模型にBack emfを効かせて無理やり一定速で走らせてモータを焼いたという実例をよく聞く。優劣は明白だ。
HOに向いたやり方があるだろうが、それがほかのサイズの模型にも通用するわけではない。BEMFは動きが今一つの模型を、見かけ上調子よく動かす機能であるが、かなり無理をしている部分がある。
ちなみにこの永末氏のデコーダは、氏が筆者の地下室のレイアウトでの走行を見て、実現したいと感じられたのがきっかけで作られた。残念ながら、筆者と土屋氏以外には売れなくて、大半を筆者が購入した。音声用デコーダと別にしてあるので、全く相互干渉がなく、きわめて静粛な運転ができる。蒸気機関車には最適である。この製品の概要に、
DC駆動については、BEMF駆動とは対極の位置にあり、高品位のコアレスモーターと駆動伝達装置により効果を発揮いたします
とある。これはメリット・デメリットの話ではなく、用途目的が異なると言っているから、比較はできない。
要するに無理やり一定速で走らせるのが目的ではなく、負荷が掛かれば遅くなり、スロットルを開けば出力が増大する。開き過ぎればスリップする。スロットルを戻せば電圧は出力はゼロとなって電気的に切り離されるから、勝手に惰行する。本物のような運転を楽しみたい人はこの方式を採用するが、その性能を持たない動力車には使えない。
筆者のOスケールの機関車は、どれも3 kg以上あり、すべての回転部分にはボールベアリングが入れてある。ギヤボックスを外せば、どれも0.5%以下の坂を下り降りる。モータと連結しても1.5%弱で下り降りる。単3電池一つでゆっくり起動し、毎秒数ミリの速度で動く。このような機関車であるから、電池をたくさん用意して1.5,3.0,4.5 Vと電圧を上げるだけでも、滑らかな運転ができるほどである。伝達効率は50%を下回らない。
一方大半のHO以下の模型では、モータの出力の大半は動力伝達装置内や、車軸の摩擦で消費され、最終伝達効率は10%もいかない。 NMRAのレポートによると、あるHOのシェイの実測値は0.25%であった。こうなると負荷の大小は問題ではなく、どうすれば一定速度で走らせれるか、が最大の目標になる。昔はギヤ比を大きくする以外の方法はなく、モータは高速で回り続けて凄まじい音を出していた。
Back emfのフィードバックができるようになると、かなりギヤ比を小さくしても、見劣りしない走りをさせることができるようになった。これが現実の世界であろう。
もし、HOでも”全くひっかかりのない滑らかな運転ができるようなボールベアリング装着の高性能機関車”ができれば完全直流デコーダが使えるだろうが、牽かれる車輛すべてが、低抵抗車輪と摩擦の少ない軸受で統一されている必要がある。その実現は、かなりハードルが高い。しかも、小さなものは大きなもののようには動かないのは、何度もここで採り上げた通りである。
ゆうえん氏は、考え方には優劣が付けられないというのが持論のようだが、それは同じスケールでの比較の場合である。大きさが異なるものは同じ考えでやってはいけない場合もある。アメリカで、韓国製の機構のあやしい模型にBack emfを効かせて無理やり一定速で走らせてモータを焼いたという実例をよく聞く。優劣は明白だ。
HOに向いたやり方があるだろうが、それがほかのサイズの模型にも通用するわけではない。BEMFは動きが今一つの模型を、見かけ上調子よく動かす機能であるが、かなり無理をしている部分がある。
ちなみにこの永末氏のデコーダは、氏が筆者の地下室のレイアウトでの走行を見て、実現したいと感じられたのがきっかけで作られた。残念ながら、筆者と土屋氏以外には売れなくて、大半を筆者が購入した。音声用デコーダと別にしてあるので、全く相互干渉がなく、きわめて静粛な運転ができる。蒸気機関車には最適である。この製品の概要に、
DC駆動については、BEMF駆動とは対極の位置にあり、高品位のコアレスモーターと駆動伝達装置により効果を発揮いたします
とある。これはメリット・デメリットの話ではなく、用途目的が異なると言っているから、比較はできない。
要するに無理やり一定速で走らせるのが目的ではなく、負荷が掛かれば遅くなり、スロットルを開けば出力が増大する。開き過ぎればスリップする。スロットルを戻せば電圧は出力はゼロとなって電気的に切り離されるから、勝手に惰行する。本物のような運転を楽しみたい人はこの方式を採用するが、その性能を持たない動力車には使えない。
2021年02月01日
空転させる設定
ゆうえん氏から質問があったので、少しく詳しく説明したい。
スロットルのspeed tableは、NCEの場合126ステップある。それぞれのステップに固有の出力電圧を割り当てることができる。殆どの場合は、最高速を抑えるとか、動きの悪い機関車の出発時の電圧を上げるくらいしか用途が無いだろう。筆者の場合、(0,0)を通る完全な直線で使っている。伝達効率の高い動力装置と、全軸ボールベアリング装荷のおかげで、何もしない方が自然な動きをするからだ。
例えば、第10番目のステップだけで、最高速の40%ぐらいの電圧を与えるとする。起動して直ぐには列車の抵抗があって動き出していない。短時間高電圧が掛かればスリップするだろう。ステップ10以降はごく普通の出力曲線で加速するだろう。
減速時にご心配のスリップが予期せぬ時に起これば、気分が悪くなる。しかし、NCEにはスロットルの上の方にMomentumというボタンがある。これを押すと、見かけ上の慣性を与える動き(徐々に加速する、あるいは減速する)の程度が10段階で指定できる。その設定変更は、運転中でも可能なのだ。
起動時のスリップを希望するときはこのモメンタムを、0 にセットする。そうすればステップ10だけで高電圧が供給され、派手にスリップするだろう。列車は重く、その慣性は大きいから、実感的なスリップの再現が可能だ。そして順調に加速していくだろう。このモメンタムの値を適宜増減すると、スリップ発生具合も変化するはずだ。
巡航時にモメンタムを最大値 9 にセットする。そうすると、ステップ10を通過しても、ほとんど変化を感じないだろう。
もし、派手に逆回転をさせてみたければ、逆転をかけ、モメンタム0でステップ10を選べばよい。あるいはステップ2あたりにもそのような電圧が与えられていると良いかもしれない。
筆者採用のデコーダは永末氏の完全直流デコーダで、スロットルOFF時には、モータの逆起電力は完全に遮断されるので、列車は自らの慣性でかなり進んでしまう。そこで、逆転してそこそこの電圧が掛かれば、逆転空回りを披露することができるはずだ。
スロットルのspeed tableは、NCEの場合126ステップある。それぞれのステップに固有の出力電圧を割り当てることができる。殆どの場合は、最高速を抑えるとか、動きの悪い機関車の出発時の電圧を上げるくらいしか用途が無いだろう。筆者の場合、(0,0)を通る完全な直線で使っている。伝達効率の高い動力装置と、全軸ボールベアリング装荷のおかげで、何もしない方が自然な動きをするからだ。
例えば、第10番目のステップだけで、最高速の40%ぐらいの電圧を与えるとする。起動して直ぐには列車の抵抗があって動き出していない。短時間高電圧が掛かればスリップするだろう。ステップ10以降はごく普通の出力曲線で加速するだろう。

起動時のスリップを希望するときはこのモメンタムを、0 にセットする。そうすればステップ10だけで高電圧が供給され、派手にスリップするだろう。列車は重く、その慣性は大きいから、実感的なスリップの再現が可能だ。そして順調に加速していくだろう。このモメンタムの値を適宜増減すると、スリップ発生具合も変化するはずだ。
巡航時にモメンタムを最大値 9 にセットする。そうすると、ステップ10を通過しても、ほとんど変化を感じないだろう。
もし、派手に逆回転をさせてみたければ、逆転をかけ、モメンタム0でステップ10を選べばよい。あるいはステップ2あたりにもそのような電圧が与えられていると良いかもしれない。
筆者採用のデコーダは永末氏の完全直流デコーダで、スロットルOFF時には、モータの逆起電力は完全に遮断されるので、列車は自らの慣性でかなり進んでしまう。そこで、逆転してそこそこの電圧が掛かれば、逆転空回りを披露することができるはずだ。