2020年10月

2020年10月30日

続々 ガスタービン機関車の運転 

 警報に対処する部分を読んで、タービン独特の部分を抜き書きする。

 タービンのOverspeed(異常高速回転)により、ベルが鳴る。ただちにシャットダウン・スウィッチを押せ。これは重油を燃焼している時も、軽油の時も起こりうる。
 Bユニットに行って、過回転検出機をリセットする。運転室に戻り始動ボタンを押す(一回では始動しないことがあるから数回繰り返せ)。過回転がよく起きるときは、セレクタ・ハンドルをM1にせよ。


 動輪の空転についてはかなりの紙幅を割いている。
 まず、空転が起こり始めたらブザが鳴るから、砂を撒くと同時にスロットルを戻す。空転が15秒以上起こるときには、励磁機に異常を来たしている可能性がある。一度スロットルを戻して空転検出ランプを注視せよ。
 空転を繰返す時は、制御盤を開けて、元スウィッチを切り、EMERG
(緊急モード)に切り替える。パネルのランプが点いたままならば、故障であるから申告せよ。EMERG では空転検出は行われないから、気を付けること。  

2020年10月28日

続 ガスタービン機関車の運転

GTEL Engineer's Panel Engineer’s Panel 運転台のメータ類、スウィッチ類を見て行こう。意外にすっきりしている。

 ガスタービン起動スウィッチは下段中央の黒いボタンである。これを押せば起動する。シーケンスは全自動である。切るときはこれをもう一度押すだけである。
 左下の2つのメータは負荷と進段の目安のメータである。

 右上のVibration Reset というのはガスタービン機関車独特の装置である。ガスタービンの羽根が異常を来し、振動が大きくなったのを検知して知らせるランプが三つのランプの一番上にある。これが点くと、直ちにある動作をするようにマニュアルに書いてある。点灯時にはベルも鳴るとある。

 これは、タービンが異常な振動により自動的に停止したことを示すものである。B-unitに行って、再始動の手順を踏む。
 もしこの警報装置が再度作動するなら、15分間のクールダウン・クランキング
(羽根を均一に冷やす電動低速回転)をする。これは機関区で行う徐冷と同じ手順である。そして再度冷間から起動を試みる。もし、3、4度の再起動によってもガスタービンが廻り出さない時は、故障である。機関区に連絡せよ。 

 これを読むと、「警報装置の異常ということも疑ってみよ」ということであると納得した。 

2020年10月26日

ガスタービン機関車の運転

 電気車の専門家にこのマニュアルを見せて、感想を聞いた。一言で言うと、「大したものだ」であった。1950年ごろにこのような機関車を全自動で起動し、加速も自動進段させ、なおかつ空転検知をしているのは凄いとしか言いようがない、とのことだ。

GTEL Master Control ダイナミック・ブレーキ(発電ブレーキ)はセレクタで切り替えて掛ける。このセレクタのポジションは、M1, M2, OFFとブレーキになっている。
 M1 はガスタービンがアイドリングしていて、補助エンジンが廻っている時に、選べる。
 M2 を選ぶと、ガスタービンが最高速で廻り、補助エンジンが843 rpmで廻る。
 その状態でスロットルを動かすわけである。ノッチは20段あると書いてあるが、Tomは14段しか使わなかったと言う。しかも途中の細かいノッチはほとんど意味がないそうだ。機械に任せておけば自動で進むからである。

 下にあるのは前後進の逆転ハンドルである。セレクタ・ハンドル、逆転ハンドルはスロットルがアイドリングの状態しか動かせないようになっている。これらは機械的にインタ・ロッキングされている。走行中に逆転すると大事故が起こるからである。

2020年10月24日

ガスタービンの記事

 GTELの記事を連載したが、この種の記事は初めてということで、「興味深い」という連絡を多数戴いた。

 アメリカでも本は数冊出ているが、その内容に問題があったり、さらにその本からの引用によって、問題点がますます大きくなっている。人里離れたところを走っていた鉄道なので、関係者以外はその本質を知ることが少ないからである。

 筆者は偶然にも機関士Tom Harveyと長い付き合いがあったので、様々な情報を直接得ることができた。機関車の運転マニュアルを読んだ人は稀であろうから、そういう意味でも得難い情報を得たわけだ。
 この機関車は、発電所を積んでいる電気機関車である。マニュアルには意外なことが書いてあった。
 Traction motors are permanently connected in parallel. すなわち、主電動機には、発電機の出力が並列につないであるとある。界磁電流は牽引力に応じて自動で変化するとある。励磁機を調節して、その回転数で許される最大電流で廻すわけだ。しかし、ブラシの消耗は大きく、メンテナンスは大変であったろうと思う。このような情報は、あまり公表されていない。

 また、タービンの羽根の損傷が意外に多く、据置型、航空機搭載型には無い故障が続発した。鉄道車輛は衝撃が多いのである。

 先日読んだ本(Kalmbach 社発行のDiesel Spotter's Guide) には驚いた。第三世代の機関車の一部にはテンダにモータが付いていたとある。これは明らかな間違いである。

 世の中にはいろいろな人が居る。
 そうなると良いなと思うと、頭の中でそうに違いないと、話が出来上がってしまうタイプの人がある。全く客観性の無い妄想の世界に入ってしまう人だ。困ったことに、そういう人はそれを大きな声で語るので、それを信じてしまう人が増えてしまう。この種の人は、この趣味界には多いような気がしている。もちろん日本にもたくさん居るだろう。 


2020年10月22日

searchlight signal

searchlight signal (3)searchlight signal (2) 転車台から本線までの線路に、DCとDCCのどちらが印加されているかを示す信号機が必要だ。もっと大きなものを考えていたが、これを採用することに決めた。

 これはサーチライト型と呼ばれるタイプの信号機だ。中に小さな色付きフィルタが3枚入っていて、それが動き、単一光源からの光を3色にして出す。要するに同じレンズから異なる光が出るわけだ。これは古い協同ライト社製のものだ。ジャンク箱から探し出した。電球を外して捨て、スタンドも取り外した。

searchlight signal (1) 箱を作らねばならなかった。角を少し丸くしたいので、1 mm の板を4枚組合せてハンダ付けし、上は0.6 mm板だ。これは後述するがあとでハンダ付けが容易になる工夫だ。天板を貼る前に上下をフライスで削って直角を出しておく。ベースの板は今野氏に作って戴いた 5 mm厚の板で、熱容量が大きい。 
 箱を付ける場所を磨いてフラックスを塗り、ガスバーナで加熱する。ハンダを融かしておいて箱を載せると熱を奪われて固まり、ハンダ付けは完了である。箱の熱容量が大きいから、上までは融けない。比較的厚い板を使ったので、全体は重くなる。重いからこそ、この方法が有効になる。すべての接合部が完全にハンダ付けしてあるから、極めて丈夫である。

 上面にパイプ径ぴったりの孔を開けてある。パイプを差し込み、適当な位置でハシゴをハンダ付けする。ベースが熱いので僅かの熱でハンダ付けが可能である。支柱のパイプを差し込み、垂直を見ながら出し入れし、ピンセット型で resistance solderingを行うと完成だ。この天板部分が厚いと、この方法ではハンダ付けしにくい。薄い板だから、ピンセットの先でつまんだだけで赤熱して、ハンダ付けは完了だ。この方法でやると、ジグを作らなくても確実に直角が出せる。もちろんここのハンダは共晶を用いないと難しい。
 根元の箱の中には継電器が入っているので点検扉が必要なのだが、それは向こう側であって、作っても見えないから省略した。 

 DCCの時は緑、DCの時は黄色、ポイントが開いていなくて、本線には進入できない時は赤になるようにする。もちろん一つの信号機から出る光は単一である。本物の動作とは異なるが、仕方ない。3色LEDがあるそうだが、そこまでは凝らないことにした。

 使い途のなかった信号機に役目が与えられた。

2020年10月20日

Switch Signal Light

dwarfs 博物館レイアウトの第1ヤードは観客の目の前であるから、信号機を付けておかなければならない。背の低い”dwarf”と呼ばれるタイプを作った。これは小人という意味である。    

 初めは協同ライト社製の部品を使って作るつもりであったが、昔のものであるから電球が大きかった時代のもので、最近のLEDには大き過ぎる。中にパイプを入れようとも思ったが、うまくできそうもないので、全く異なるものを作った。

dwarf signal 例の怪しいトラスのSignal Bridgeの信号機をインヴェストメント鋳物にしてあった。孔をリーマでさらって、LEDがぴったり納まることを確認した。台は今野氏に作って戴いたものだ。パイプを差し込んでハンダ付けし、できあがりである。黒く塗った。目立たないものであるからこの程度で良い。

 ポイントマシンに付けたマイクロスウィッチで作動させる。この部分は枝線以外はDCCにもDCにもなる予定であるので直線側が green でなければDCCにならないようにする。すなわち転車台と本線を直結する時だけDCC専用となる。 
 DC・DCC共用本線使用時は入力電流を示す特別な信号が必要である。

(1)(2) これは日本の某私鉄の廃品である。上のレンズの色は紺青だ。


  N氏より、綴りの間違いを指摘して戴いた。感謝する。

2020年10月18日

続 最短の鉄道

 椅子は、バッタ屋で極端に安価で手に入れたものだが、有名なデザイナの製品らしい。足を切って台車に熔接したのだが、それを見て「ああもったいない。本物なのに。」と友人が漏らした。

 角度を考えて取り付けてあったのだが、評判が良くない。座ると嵌まり込んで、立ち上がりにくいと言う。この椅子は、腰が嵌まり込むように設計されていたのだ。そこで、少しバネを利かせて持ち上がるようにしてみた。それは単なるバネでは意味がない。行きと戻りで速度が異なるべきだ。

moving chair (3) 友人の鉄工所に図面を持って行って相談すると、「それは面白い」とすぐに作ってくれた。自動車のリア・ハッチを支えるガス・スプリングを付けると、体重を掛ければ静かに沈み、立ち上がるときはかなり早く追随するので、立ち上がりやすい。沈む速度よりも復帰する速度の方がはるかに大きいので、少し体を持ち上げて体勢を立て直すときには沈まない。だから楽に立ち上がれる。もちろん頭上にあるハンドル(グラブアイアン)を掴んで体を持ち上げるのだ。何回かやってみると、なかなか具合が良い。
 椅子の前の鉄骨には足を載せる。足で床を蹴って移動するのは難しい。上にあるつかみ棒を握って移動するのだ。ボールベアリングのお陰で、極めて小さい力で動かせる。


moving chair (2) 設計に際しては、絶対に指を挟まない構造にした。挟みそうな部分に手が届かないようにすれば良いのである。
 ガス・スプリングに掛かる力は、想定体重の1/2にするべきだ。当初、テコにより約2倍の距離にあることを失念してしまった。手元の 420 N(約43 kg重)のものを嵌めたが、相撲取りほどの体重を掛けないと縮まなかった。そこで240 Nのものを購入して取り換えたところ、実に調子よく作動する。
 屋外で塗装する時に写真を撮った。

「世界で一番短い鉄道だ」と言うと、納得する。電動にしてくれという要望もあるが、さすがにそれは難しい。

2020年10月16日

最短の鉄道

moving chair (4)moving chair (1) 博物館のレイアウトの周回線路をくぐって内側に入る時、頭とか背中を打つ人が出て来た。筆者は慣れているから問題ないが、初めての人はかなり困るようだ。床から1080 mmだからそれほど低くはないが、歩いて通るのにはやや問題がある。
 当初はくぐって行く距離が短かったので、低いところに掴み棒があれば、それを支えにして簡単に入れた。ところが、留置線を増設したので、くぐって行く距離が長くなり、下を3歩、歩くことになった。屈んで3歩というのは、意外に大変な距離だ。背中を打つ人が続出したが、路盤の骨組みが堅固なので、当たると痛い。そのショックで留置線の車輛が脱線する可能性はないが、それだけ痛いということだ。

 30x30のアングルを伏せた線路を作り、その逆V型に合うボールベアリングの車輪を付けた椅子を作ってみた。熔接で簡単に作れるのだが、座って貰うと評判が今一つである。

 Vレイルに合うボールべアリングの台車のようなものは、レールコマという商品である。昔本棚があまりにも多くなり、スペイスの節約のために可動式としたときのものである。まだいくつかある。本来は製材所で、原木を載せた送材車が直線上を往復するようにする車輪である。片方はアングルをレイルとして鋸との距離を保つが、他方は平板を張ってある。


2020年10月14日

消火器

 消火器の使い方にかなりの紙幅を割いている。消火器を持っていける程度の火事の場合は通常の手順通りだが、タービン搭載車輌の火事の場合の手順は全く異なる。

 火が出ている部屋の床下にある栓を開け、消火器につないだホースを差し込んで固定し、消火剤を注入する。中は消化泡で充満するのだろう。パワーユニットは、防火上の理由でいくつかの部屋に分かれているのだ。出火するところは後半部分に限られているから、そのあたりの栓の数は多い。

3-unit turbine manual  (2) 消火器は、コントロール・ユニットに1台とパワーユニットの電気室に1台ある。タービンのある後半部分にはホースを取り付ける栓がL1〜L5まである。もし足らないようなら、もう一つの消火器を使え、とまで書いてある。
 火事になったことは、幸いにしてない。 タービンの信頼性はなかなかのものである。燃料が引火しにくい重油であることが大きなファクタだろう。

 第三世代の機関車は踏切事故で脱線している。かなりひどく衝撃を受けているが、火事は起こさなかった。この時は対向列車のガスタービン機関車も突っ込んできて、かなりひどいことになったが無事だった。

Fuel 第一、第二世代の機関車の重油のタンクは、床下にぶら下がっているだけではない。床上にある。運転室部分を除くほとんどの部分の床下には2 ft(60 cm)ほどの高さまでタンクがある。タービンエンジンは小さいので、その上に載っているだけである。(先回400マイルしか走れないと書いたところ、あんな小さなタンクで走れるのかという問い合わせがあった。重油タンクは目に見えない部分にもあって7200ガロン 27 kLもある。すなわち、重油1Lあたり23 m走る計算になる。)

 運転室の床下は軽油タンクになっていて、最後尾には水タンクがある。車内に巨大なタンクがあるので、消費すると軽くなってスリップしやすくなる。テンダを付けてからはそういう心配が減った。しかしその部分に軽油を入れているので、軽くなっていくことは間違いない。

 コントロールユニットの消火器の横には、便器がある。当時の運転台付きの機関車には、そこに便器があった。のちにDDA40Xの時代になると、キャブの前に移された。筆者はFP45のトイレを使わせてもらったことがある。大小便は電熱で焼却されて灰になった。
 運転室には、飲料水の瓶もある。逆さにして据え付けてある。5ガロン19 Lの瓶だ。

2020年10月12日

モ−タ・ブロワ

 電気機関車であるから、主電動機には冷却風を送っている。機関車のエンジンから、変速機を経てブロワを廻す。即ちエンジンの回転数が大きい時は、ブロワは早く廻る。このブロワの出力は大きく、線路の砂利さえも飛ぶほどである。したがって、その隙間にある砂などは完全に吹き飛ばされている。
 機関車が走ってくるところを前から写した動画では、機関車の側面から砂煙が上がっていることが多い。それはこのブロワによって作られているものである。

3-unit turbine manual  (3)3-unit turbine manual  (4) 第三世代のタービン機関車のコントロール・ユニットのブロワ㊴はディーゼルエンジンで駆動され、パワーユニットのブロワ㊳はタービン出力の先の発電機の内、左側の先で駆動されている。(ということは、タービンが止まるとブロワも止まるということである。補助エンジンだけで動くときは後ろには給電されないのかもしれない。この点については、マニュアルには記載がないが、そう考えざるを得ない)。

 天井にある冷却ファンもディーゼルエンジンによる駆動である。ダイナミックブレーキのファンは別系統の電動であるはずだが、その記述がない。これが壊れた時の対処は書いてあるが、重い列車を牽いて長い下り坂を下りるのは難しいだろう。

3-unit turbine manual  (1) コンプレッサはディーゼルエンジンの前後に2つある。マニュアルには故障時にそれを切り離す時の手順が写真入りで細かく書いてある。軸にかぶせてあるスリーヴをずらすと、切り離されるのだ。コンプレッサは二つあり、片方が生きていれば問題はない、とある。それほど故障率が高かったのだろうか。


2020年10月10日

ガスタービンを始動する

4500hp gasturbine ガスタービンはどんな燃料でも、火が付けば燃やせる。重油はそう簡単には火が付かないので、燃焼室が十分に熱くなってから供給する。点火時は火の点き易いディーゼル・オイル(軽油)を用いる。

 発電機に補助エンジンで発生した電力を投入し、モータとして回転させる。それに接続されているタービンが高速回転すると、吸入した空気は前半のタービンで数分の一に圧縮されるのでかなり熱くなる。そこにスタータ・オイル(軽油の事)を噴霧すると同時に、電気火花を与えると点火する。うまく行けば数秒で規定の回転数まで上がる。燃焼室が赤熱するまでその状態を保つ。そこで燃料を切り替えれば燃焼は持続し、稼働状態になる。このプロセスはすべて全自動で行われる
 その切り替え時に火が消えることがあるので、そこだけは見ている必要がある。失敗の原因は重油の予熱が不足している時である。それと燃焼室の温度が足らない時だ。燃焼室は6個あるが、どの部屋にもギヤポンプで同じ量の燃料が供給されるようになっている。またすべての燃焼室は横につながれている。そうしないとタービンの羽根に均一に力が掛からないので、壊れることがあるからだ。点火に成功すれば、最大出力まで上げ、燃焼室を十分に熱くする。温度を確認してスロットルを絞るが、燃料はすさまじい勢いで注入される。

 この種のエンジンはアイドリングでもフルスロットルの半分の燃料を喰う。また、音が大きいので、目的地に着いたら、さっさとエンジンを切る。しかし、ディーゼルエンジンは止めずに、タービンの出力軸を低速で廻して置く。こうしておかないと、軸受やタービンの羽根が傷む。どの羽根も、均一に冷えるようにするのだ。ディーゼルエンジンはいつも廻してある。

2020年10月08日

続 第三世代のGTEL

 2輌目の機関車は、power unit と呼ばれた。この車輌は鉄橋のような頑丈な鉄骨を組んだ台枠の上にガスタービンと発電機を載せたもので、車体の板は外からクランプで締め付けてあるだけである。要するに外板を外せば裸になり、タービン全体を点検し易くなる。排気孔周辺は高温になるので、周りにほとんど何も置いてない。
 発電機は2台が並列に置いてあり、車体幅ぎりぎりである。アクセスは外の扉を開いて行う。

 始動に失敗すると、未燃焼の燃料の霧が外に飛び出し、それに引火すると大きな火の玉となる(2:21から)。これをbird burner という人も居た。見ればそうかもしれないと思う。こういうことはよくあるので、テンダ上面には重油の雨が降り、黒く汚れている場合が多い。それは側面にも流れている。

 音が大きいのには参った、とTomは語った。聴力が低下するから、労働災害だと言っていた。ロス・アンジェルスまでの運用も試したが、現地での騒音がひどく断念したそうだ。やはりワイオミングのような田舎で使うのが良い。 

 第三世代は、個別にいろいろな改良工事が施された。乗務すると、すべて個性があった。その中でもNo.30は特別に出力を大きくした実験機であった。通常型は8500 HPであったが、これは優に10000 HPを超え、それを消費するモータの数が不足した。テンダ台車にモータを付けることも考えられたが、それまでに廃車になってしまった。燃料の消費量はすさまじかったからだ。


2020年10月06日

第三世代のGTEL

 より高出力の機関車は、動軸数が多くなければならなかった。低速での引張力を稼ぐには12軸が必要ということになったらしい。そうなると単一車体ではとても無理で、2車体連結にすることになった。30輌が作られ、3-unit turbineと呼ばれた。当時世界最大の出力を誇る機関車であって、これの採用によりBig Boyの置き換えが進んだ。

cooling & heating 1 1輌目はcontrol unit と呼ばれ、補助エンジンのディーゼルエンジン(850HP)を載せていた。これを始動すると、その冷却水で各種のヒータが温まる。運転室の暖房も賄っていた。運転室には電気ヒータもあったが、それは非常用であって、通常時の使用は禁止されていた。その電源は補助エンジンのバッテリィから取っていたので、無駄に使うと、補助エンジンのクランキング(始動)ができなくなるとマニュアルにある。

cooling & heating 2 2車体を跨ぐ、屋根上の太い曲がった断熱ホースは、この冷却水の往還である。これを省略したモデルをよく見るが、画龍点睛を欠いていると感じる。

 ディーゼルエンジンの発電機は主発電機をモータとして回転させ、タービンの起動に用いる。構内の運転にはディーゼルエンジンの出力を用いる。(スロットルのノッチは4までとする。その時出力を示すメータは作動しないとある。) 

2020年10月04日

第二世代のGTEL 

 第一世代のGTELは箱型の車体で、機関車内の狭い通路を通らねばならなかったが、そこは死ぬほど暑く大変だった。どうせなら外を歩いて、点検ドアを開けて中を見る方が良いことになったので、その次の世代の15輌はVeranda Turbineと呼ばれた。この時代のタービン、発電機はまだ小さく、車体の横幅には余裕があったからだ。

 これも廃車になったUP9000のテンダを再利用したテンダを付けたが、そのつくりはかなり変更されている。上廻りを大半切り捨てて、新製した円筒状タンクを付けた。熱絶縁も改良され、それほど表面が熱くはならなくなった。テンダの妻の片面は球面であるが、もう片方は平面に近いものもあった。再生改装品だから、そのようなちぐはぐなところがあったのは仕方ない。加熱された重油は熱絶縁された可撓パイプを通して機関車に送られた。

 吸気孔は側面にあったが、吸気抵抗低減のために、より大面積の稼げる屋根上に移された。排気は、斜め後ろに吹き出すように、大きな四角の排気ダクトから放出された。

 これも4500HPしかなかったので、出力は不足することがあり、補機が必要になった。何台かが重連可能仕様に変更された。もちろん相手はディーゼル電気機関車である。先に述べた理由で、タービン同士は重連するべきではない。蒸気機関車とも重連したが、UP当局はそういう運用を避けた。乗務員が沢山要るからである。総括制御で、複数の機関車を同時に動かしたかったのだ。
 出力不足は如何ともしがたく、もっと大出力で引張力のある機関車の出現が待たれた。

 筆者はこの機関車を1輌持っている。下廻りはスクラッチから作っているが、これは未完成である。部品は出来ているので間もなく公表できるだろう。

2020年10月02日

第一世代のGTEL

 GEの試作デモ機は東部の鉄道での試用を経てUPにやってきた。両運転台で、あまり良い形とは思えない。UPのような長距離を走る鉄道では、片運転台であっても何ら不都合はない。また、転向に要する場所はいくらでもある田舎である。
 UPは低燃費(低質油をタダ同然で買うことができた)に興味を示した。当時は沿線の炭鉱がストライキ中で、Big Boyをはじめとする高性能蒸気機関車群の燃費がかさむ時代であった。4-8-4、4-6-6-4は重油焚に改造したが、Big Boyだけは石炭を焚かないとボイラが歪む可能性があった。
 
 蒸気機関車と同等の引張力を持つ機関車を、次世代の機関車として確保しておきたかったUPは飛びついた。1年ほど試運転をし、片運転台の増備機を10輌発注した。これが第一世代機である。
 
 当初は、燃料タンクは車体の下にあったが、容量が少なく400マイルしか走れなかった。長距離用にテンダを付けることになった。廃車になった 9000(4-12-2)のテンダの炭庫を外してタンクを増大させたのだ。蒸気を吹き込んで加熱する。凝縮してできた水はどうなるのか聞くと、「放っておけば出て行く」と言った。
 吹き込む量は多い。その理由は単純である。タンクの熱絶縁が完全でないからである。だからテンダはかなり熱い。雨が降ると湯気が上がっているのが見えたそうだ。後に製造された分については、きちんと熱絶縁されているという。

 テンダの容量は非常に大きいので、一つのテンダを挟んで2輌の機関車を背中合わせにつなぐということもやってみた。しかしこれは大いに問題があったそうだ。
 ガスタービンは多量の空気を消費するので、トンネルの中では酸欠が起こり、後続の車輛に大きな影響を与えた。酸欠よりも、排気温度が高いのが問題だったかもしれない。家畜車の動物は具合が悪くなるし、この実験では2輌目の機関車の火が消えたことがあるそうで、それは取りやめとなった。高温の空気では、酸素が足らないからだ。単独でも、もっと大出力のガスタービンが必要であった。タービンの出力は低標高、低温度で増大する。UPの本線のように標高2000 m以上で、なおかつトンネル中のような高温では具合が悪くなるのは当然だ。

 一度火が消えると再着火するには、かなりの手間がかかる。テンダを越えて後ろの機関車まで歩いて行かねばならない。しかも未燃焼の重油が屋根から吹き出してそのあたり一面がべとべとであった。

 この第一世代のGTEL の模型は2輌持っている。一台はLPG専焼だ。塗装するばかりになっている。

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