2016年01月12日

2016年01月12日

効率

 レイアウトで走行中の列車を見て、その電流の少なさに驚いた友人がいる。「常識では考えられない値だ。」と言う。筆者はそれが当たり前の状態を30年も続けてきたので当然だと思っていたが、彼はとても驚いていた。
「いったいどれくらいの効率なのだろう。」
「普通の市販の機関車は 5%から10%くらいのものらしいよ。」
「それじゃこれは?」
「3、40%くらいじゃないだろうか。」
「すごいね。測ってみたいな。」

 模型蒸気機関車の効率はどれくらいなのだろう。dynamometer carをまだ作っていないので、複数の次元を測定せねばならない。線路が目の高さだから、ついて歩いて調べる。

114_4407 バネ秤で引張力を測定しつつ、速度を計測するという面倒なことをせねばならない。しかし、走行が非常に安定しているので、引張力と速度は別々に測定しても変わりがない。
 AC9単機での平坦線での最大引張力は 8.5 Nであった。1.56%上り勾配上ではやや減って、7.8 N ほどであった。
 その坂で103輌引張る時の引張力は 5.5 N ほどである。写真は止まっている時のもので、走っているときはもう少し大きい。速度を掛ければ、テンダ後端での出力が計算できる。実物は、drawbar pullという言葉のように、テンダなしでの値を調べる。テンダは死重だ。 

 供給電力を求めて、それで出力を割ると効率が出る。AC9は18%、Q2は25%ほどであった。もちろん、このデータには機関車そのものを持ち上げるのに必要な電力が入っているので、平坦線で測り直さねばならない。おそらく、AC9で24%ほど、Q2では32%ほどになるのだろう。意外と低い。

 重負荷下での測定であるから、摩擦が多い可能性がある。特にロッド廻りの摩擦が無視できない。潤滑が大切である。これらの機関車にはクランクピンにボールベアリングが入っていない。最近はやりのベルハンマという潤滑剤を、K氏から紹介されて使っているが、かなり優秀である。普通のエンジンオイルによる潤滑時より、電流値は1割下がる。しかし、摩擦はまだまだある。軽負荷時の測定であれば、この部分の摩擦が小さいので、良い値が出やすい。
 筆者のUP4-8-4にはロッドにもボールベアリングが入っているので、重負荷でも効率が常に50%を切らない。モータも優秀である。出力11.5 Wのモータの3割以下の出力で走るので、モータ自身の効率も良いということもある。

追記
 機関車が平坦線にあるときの測定をすれば簡単であった。
 恥ずかしいことに、ヘッドライト、客車の室内燈の消費電流を含めるのを忘れたことが判明した。
AC9では27%、Q2は42%と算出された。どちらもロッドにはボールベアリングが入っていない。

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