2010年12月16日
2010年12月16日
慣性を考える
栗生氏の撮影された動画をご覧になっていろいろな方から御意見を戴いている。
一番多かったのは、「あの貨車はとても重いのでしょう?」というものである。重い貨車はよく転がるのだろうか。重ければ摩擦力が増えるから、重さで慣性の増した分は完全に相殺される。すなわち、重くても軽くしても、意味がないのだ。
今、実物と同じ材料で貨車を作り、軸受の摩擦係数も同じであるとしよう。スケールスピードで転がすと、実物と同じ距離(スケールで同じ距離)を転がるだろうか。
これは高校2年生程度の物理の知識があると簡単に導き出せる。結論を言うとサイズが1/48なら実物の1/48の距離しか転がらない。1/87なら1/87しか転がらないのだ。
一定速度で動いている物体があるとしよう。運動エネルギが摩擦によって消耗することにより停止する。走る速度が1/48になると、運動エネルギはその2乗で効くので1/48×1/48になる。このことを模型に当て嵌めてみる。もちろん空気の抵抗は無視するものとする。
今、貨車が実物と同じ密度の物質で作られ、同じ動摩擦係数を持つとする。スケールスピードで転がすと、運動エネルギが小さくなり、サイズが1/48なら 1/48 × 1/48の距離しか転がらない。しかし、観測者も1/48に縮んでいることを忘れてはならない。結局、その48倍の距離を走るように見える。
すなわち、
1/48 × 1/48 × 48 = 1/48
の距離になる。
この式を見れば、逆立ちしたって実物のように転がすのは無理であることが分かる。そうなると、あとは摩擦係数を実物の1/48にすれば実物の様に転がるはずであるが、これは不可能である。
お一人だけ、「あの貨車には、はずみ車が付けてあるのでしょう。」とお聞きになった方があった。なかなか鋭い感覚の持ち主である。しかし、残念ながら何も付いていない単なる貨車である。軸受はピヴォットで、モリブデングリスが少し付けてある。
昔よく遊んだはずみ車の付いた自動車のおもちゃは、実物並みの慣性を持たせるための賢い工夫である。内部に高速で回転する慣性モーメントの大きな物体があり、それに運動エネルギを溜めこんでいるのだ。
一番多かったのは、「あの貨車はとても重いのでしょう?」というものである。重い貨車はよく転がるのだろうか。重ければ摩擦力が増えるから、重さで慣性の増した分は完全に相殺される。すなわち、重くても軽くしても、意味がないのだ。
今、実物と同じ材料で貨車を作り、軸受の摩擦係数も同じであるとしよう。スケールスピードで転がすと、実物と同じ距離(スケールで同じ距離)を転がるだろうか。
これは高校2年生程度の物理の知識があると簡単に導き出せる。結論を言うとサイズが1/48なら実物の1/48の距離しか転がらない。1/87なら1/87しか転がらないのだ。
一定速度で動いている物体があるとしよう。運動エネルギが摩擦によって消耗することにより停止する。走る速度が1/48になると、運動エネルギはその2乗で効くので1/48×1/48になる。このことを模型に当て嵌めてみる。もちろん空気の抵抗は無視するものとする。
今、貨車が実物と同じ密度の物質で作られ、同じ動摩擦係数を持つとする。スケールスピードで転がすと、運動エネルギが小さくなり、サイズが1/48なら 1/48 × 1/48の距離しか転がらない。しかし、観測者も1/48に縮んでいることを忘れてはならない。結局、その48倍の距離を走るように見える。
すなわち、
1/48 × 1/48 × 48 = 1/48
の距離になる。
この式を見れば、逆立ちしたって実物のように転がすのは無理であることが分かる。そうなると、あとは摩擦係数を実物の1/48にすれば実物の様に転がるはずであるが、これは不可能である。
お一人だけ、「あの貨車には、はずみ車が付けてあるのでしょう。」とお聞きになった方があった。なかなか鋭い感覚の持ち主である。しかし、残念ながら何も付いていない単なる貨車である。軸受はピヴォットで、モリブデングリスが少し付けてある。
昔よく遊んだはずみ車の付いた自動車のおもちゃは、実物並みの慣性を持たせるための賢い工夫である。内部に高速で回転する慣性モーメントの大きな物体があり、それに運動エネルギを溜めこんでいるのだ。