2009年07月

2009年07月30日

「DCCで楽しむ鉄道模型」

DCCで楽しむ鉄道模型 7月24日に発売された本である。DCCの解説書としてはバランスの取れた本であり、お勧めしたい。

 さすがはオーム社である。本の作り方が上手である。他社から出た本とは根本的に異なる。以前の本を読むと、出版社編集部の知識がないのがわかってしまう。
 特定の会社の製品をこれしかないという感じで扱っている。著者がその会社の代理店になろうとしているかのように読めてしまうのだ。そんな本を知らずに買えば、洗脳されてしまうだろう。
 世界は広く、よいものは他にもある。

 出版社には責任がある。メディアとして社会に貢献するつもりなら、広く意見を求めなければならない。
 日本でDCCについての「技術書」を出そうと思えば、NGDCCを無視することはできない。永末氏以外に確実な知識のある人などどこにもいないのだ。
 今回、オーム社は永末氏に取材を申し込んでいる。当然と言えば当然なのだが、それを意図的に排除した本は参考書としての価値は低くなるだろう。

 三矢英輔氏の素晴らしいレイアウトの紹介記事も興味深い。

 今回この書を入手できたのはごく一般的な書店である。鉄道図書のところに平積みになっていた。売れるであろうと思う。
 ようやく、DCCの普及の兆しが見えてきた。

2009年07月28日

Brake Fluid

 ブレーキフルードとは何ぞや、という質問を戴いている。これについては一度書いたことがあるのだが、さらに詳しくということである。

 正確にはメチルポリグリコールエーテルという。人によってはポリを省く人もいる。グリコールという2価のアルコールの分子は、HO-C-C-OHという形をしている。これを縮合してつなぎ、頭をメチル基にすると、
C-O-(C-C-O−)n-C-C-OHという長い鎖になる。nは3くらいだろう。 
 末端のOH基は当然親水性を示すが、途中の屈曲した酸素原子の集合が大きな親水性を持つ。沸点は300℃近く、融点も−80℃くらいだ。
 液体である温度領域がこれほど広い物質は少ない。

 溶剤としても広く用いられるのでいろいろなものを溶かす。化粧品のメイクを落とす液体にも入っているはずだ。ということはそれを塗装落としに使うこともできる。

 自動車用品というものは安い。安くなければ使わないからだ。500 g入りの一番低いグレードのものしか使わないが、700円位で市販されている。高級な物を買いたがる人は多いが、年に一回取り換えるのなら低級品で十分である。
 高級品は、長期間放置した時、空気中から徐々に吸水して沸点が低くなるのを防ぐ薬品が入っているだけのことである。

 塗装はがしにはリモネンも使えるが、価格の点でブレーキフルードにはとてもかなわない。

追記
 ブレーキフルードは、短時間なら手につけても炎症を起こしたりすることはない。水に極めて溶けやすいので、洗えば落ちる。飲むとまずいので、子供の手の届かないところに保存する。メイク落としにも使えるのだから安全なものである。ウェブ上にはこのブログに対する悪意さえ感じられるような表現があるが、知識のない人が書いていることは明白なので無視されたい。


2009年07月26日

続 Paint Stripping

Brake Fluid Stripping 4 ひっくり返すだけでほとんどの塗料は外れてしまう。ハンダの上はどういうわけかややはがれにくいが、歯ブラシでこすれば簡単に取れる。





Brake Fluid Stripping 1 内側も一発である。ラッカの場合はバインダ(顔料をくっつけている接着剤のようなもの)が溶けて、ピグメント(顔料)が残るが、エナメルの場合はそのまま外れるので作業が楽である。しかし、上澄み液を集めるとずいぶん目減りする。塗料のカスに多量のブレーキ液が含まれるからである。
 ザル状の物で濾してしばらく待つと、かなり回収できた。カスは古新聞で丸めて燃えるごみに捨てれば良い。

 この貨車はうっかり色を間違えたのだ。黒塗装用のディカールを用意したのに、グレイに塗ってしまった。沢山の貨車を同時に塗ると、この手のミスが起こりやすい。(人にもよるが)
 もっとも、グレイの貨車もあるのだが、それに貼るディカールはすでに使ってしまっていた。

2009年07月24日

Paint Stripping

627dea02.jpg この写真をかなり前にお見せしている。これはラッカ系の塗料を塗ったものをはがしたところである。





Brake Fluid Stripping 2 2台の自家用車のブレーキフルードを毎年取り替えるので、500 ml位の廃液が出る。これを捨てずにとっておいて、このような用途に使う。今回は1.5 Lくらいあったので、この容器に深さ8cmくらい入る。そこにかねてより懸案のホッパを放り込んだ。
 今回の塗装はエナメル系の塗料である。いろいろな人から質問を戴いているので、写真を見せる方が早いと、ここで紹介する次第だ。 

Brake Fluid Stripping 3 エナメルは皮がむけるような感じで剥がれる。触るだけでつるりとむける。細かいところは歯ブラシとつまようじでつっ突く。一晩漬けると塗膜の厚さが1 mm位に膨れ上がる。

追記
 他のウェブサイトにこの記事がリンクされている。そこにはブレーキフルードが危険なものであると書いてあるが、それは勘違いである。飲むと具合が悪いだろうが、好んで飲む人はいまい。誤飲を防げばよい。
 どんなものも間違って大量に飲んだり食ったりすると命にかかわる。たとえば食塩でも体重50kgあたり350gほど食べると50%の人が死ぬ。砂糖は700 gだ。アイスクリームは2 kgという数字がある。アイスクリーム早食い競争で何人か死んだときに算出された値だ。
 これらの数字は毒性とは言い難い。おそらく、浸透圧とか、低体温で死ぬのだろう。ブレーキフルードで死ぬとしたら、その前者の浸透圧であろう。血液中の水が吸い取られることからくる。少量含まれているホウ酸エステルから生じるホウ酸では死ぬことはないだろう。
 どんなものでも極端に多量に摂取すると死ぬのは当たり前であり、「危険である」と書くのは自由だが真に受けないようにお願いしたい。
 また、ブレーキフルードの主成分のアルコールエーテルは、化粧品のメイク落しにも多量に含まれている。顔に塗るとまずいわけでもないことがお分かりであろう。
 ウェブ上でのこの種の情報は、理屈が分かっていない人が大げさに書く場合が多いのである。「ブレーキフルードを付けると、手がひりひりします。」という表現を見たが、明らかな作り話である。

2009年07月22日

逃げ角

Rake Angle 先端部のガイドには逃げ角Zが付いていない。これも祖父江氏の意向である。

 もし、ここに逃げ角があると切れ過ぎる。すなわち元の穴からずれても、ずんずんと切れてしまい、あらぬところに座グリ穴ができてしまうことになる。

 氏の手作りの刃物には、その部分に刃さえついていなかった。材料が塑性変形するのを期待したのだ。さすがに摩擦が大きく、熱が出て、周りのハンダ付けがとれるほどであった。軸箱の穴を広げる時、軸箱蓋が取れてしまう。あとでハンダ付けすればよいのだが、面倒であった。

 ほんの少し、歯科用のダイヤモンド・カッタで刃を付けると、ぐんと調子が良くなった。今回の製作でそのあたりの指示をしたら、製作者は理解しがたい様であった。

 刃物を製作する人は、切れ味しか興味がない。切れ味を落とすことには理解を示さない。このドリルはブラス用に特化しているので、逃げ角がなくてもうまくいく。これが鋼相手であるなら、たちまち駄目になるだろう。

 5 mm → 8 mmのドリルの根元は細くした。小さいボール盤しか持っていない人が多いからだ。これは評判が良かった。

2009年07月20日

すくい角

Rake Angle 刃物が被切削物(ワーク)に当てる時、「すくい角」(Rake Angle)を何度にするかはワークの材質によって異なる。今回の座グリドリルは0°である。これは祖父江氏の指定による。

 相手がブラスのときはすくい角を0°付近に持っていくと良い。すくい角を大きくすると食い込んで刃物を折ることがある。筆者のドリルビットはすべてブラス用にすくい角を小さく加工してある。これは友人の機械加工屋さんの助言による。ダイヤモンドの工具で刃先をほんの少し垂直に削ってある。ブラスはよく切れるが、それで鋼板に穴をあけるのは非常に難しい。

 相手がアルミのときは、「すくい角」をマイナス(要するにこの図では左に倒す)にするとよいらしい。こうすると切り粉が刃物の先にこびりついて切れ味を悪くする(構成刃先という)ことからのがれられる。

 「逃げ角」(Clearance Angle または Relief Angle)は3°である。これがないと切れ味が悪い。

 発注先の工場は、不思議そうな顔をしていたが、できた製品を使ってみて、使いやすく良く切れるドリルだと感心していた。
 材料は刃物を作る鋼材で、焼きが入ると極端に硬くなる。カミソリを思い浮かべて戴けばよい。ハイスよりも硬い。ブラスを削るときは、油は必要ない。
 ただし、焼きが戻らない範囲でしか使えないことは承知していなければならない。つまり、軟鋼板を削るときには切削油を流しながらでないと、一瞬で鈍って(なまって)しまう。 

2009年07月18日

続 ボールベアリングを取り付ける工具

 counterbore bits  (3 sizes) これらが、今回の製品群である。届いたばかりで切削油が付いている。多少の汚れはご容赦願いたい。

 3 mmを5 mmへ、3 mmを6 mmへ、そして5 mmを8 mmへ広げる座グリドリルである。座グリドリルを英語で何と言うかは難しい。Seat Cutter とかSpot Face Cutter と言う言葉もあるが、どうやら       Counterbore Bit というらしい。

 小さいボールベアリングは、滑り嵌めによって取り付ける。17ミクロンの隙間を作り、そこに注油して押し込むが、決して無理をしてはいけない。アウタ・レースが変形する。油膜でぬるぬるとはまるのが正解である。

 このドリルも、所定の寸法+17ミクロンに作られている。先端部のテーパなどの細かい寸法は祖父江欣平氏に監修を戴いた。
 8 mmのドリルはシャンクを6.5 mmとし、小さいボール盤でもつかめるようにした。



2009年07月16日

ボールベアリングを取り付ける工具

face cutting bits 筆者の機関車にはすべてボールベアリングが装荷されている。既製品の機関車の軸は3 mmか5 mmで、それを加工してボールベアリングが入る穴を開けねばならない。
 既に空いている穴を広げるのは難しい。心がずれる恐れがある。祖父江欣平氏は、自作の座グリドリルでそれを行う。筆者も一本戴いたのがある。これがないとフライスで座標を決めて削らねばならずとても面倒だ。

 その座グリドリルを特注せよということになり、またもnortherns484氏に図面のお手伝いを戴いて、発注した。

 ブラス用なのでハイス製ではない。SK3という工具鋼製であり焼きが入っているからとても硬い。SK3はタガネなどを作る高炭素鋼である。鉄板でもよく切れるが、十分な油がないと、焼けてなまってしまう。

installing ball bearings with face cutter 先端のテーパが大切である。心を出しながら、ボールベアリングのインナ・レースに当たらない様に削る。もちろんシャフトも接触しない。この辺りの工夫がないと、ボールベアリングの意味が半減する。

 ボールベアリングが入っていると謳っている製品でも、この気配りがある物はほとんどない。

2009年07月14日

さらに沢山のリヴェットを正確に打つ

 さらにたくさんのリヴェットを打つ方法について考えたい。たとえばテンダの側面は大きい。大型機であると250mmもある。これを正しく打つのはかなりの修練と覚悟が要る。しかも左右で対称だから間違えると大変である。

 友人の鉄工所経営者は「そんなの簡単だ」と言う。「CNCフライス」を使えば良い」と簡単に言ってのけた。

 メス型は鋼板にリヴェットの大きさの穴を座標を指定して貫通穴を開ける。材料をその上に固定して、その穴にポンチを落せば良いと言うのだ。機械に深さを指定すれば正確にその上を押す。全く狂いはない。主軸の回転数を0に指定すれば、回転せずにそのまま押すことができる。
 対称に打たねばならない時は、その鋼板を裏返せば良いことで、ポンチの座標は、ボタン一つで裏返る。

 確かにその通りで、間違いなくできるだろう。ドリル刃かタップの折れたのを正確に研いで鋭いポンチを作ればよい。あるいは特注してもよいだろう。高いものではない。

 たくさん作るのでなければ、この"CNCリヴェット"はそれほど高いものでもないそうだ。これも景気の悪い今がチャンスのようだ。

 この方法であれば、外周も同時に切ることができ、外周との誤差も全くなくなるであろう。
 

2009年07月12日

沢山のリヴェットを打つ

 祖父江製作所で、リヴェットを打つ所を見せて戴いたことがある。20個以上を同時に打つのはたくさんのオス型をメス型に一気に押しつけるわけである。

 ダイ(メス型)は軟鋼で所定の位置に穴を開けてある。それとぴったり同じ位置にポンチ(オス型)の針が配列されねばならない。

 ポンチはSPレコードの針を使っていたそうだ。SPレコードを知っているのはもう50歳以上の人だけだろう。長さ20ミリくらい、直径1.2mmの針である。昔はいくらでもあったのだが、いつしか見かけなくなった。少し使うと駄目になるので次から次へと替えたものだ。先はかなり硬く焼きが入っているので都合が良い。

 オス型に針を差し込んで高さの調節をする。これが狂うと何の意味もない。定盤の上で念入りに調節して裏からハンダを流す。ガスバーナを使って完全に流し、裏を研削盤で研ぐ。

 表から見ると生け花に使う剣山のようである。しかし、飛び出しているのは1mm程度だ。このような状態を英語でGangという。ギャングとは集団という意味で、建築分野で木造トラスを組む時に使う金具にGang‐Nailというものがある。
 ちなみにアメリカ人に剣山を見せたとき、"Gang-Nail"と言ったのを聞いたことがある。
 
 この二つの型を足踏みプレスに付け、一列ずつ打っていく。千鳥になっているものは同時に2列を打つ。縦横の座標がきっちり合うのは達人だからとしか言いようがない。

 このようにして作られたリヴェットは、素晴らしい実感を持つ。虫眼鏡で覗くと、頭はちゃんと丸くなっている。
 

2009年07月10日

曲線上のリヴェット打ち

rivetting machine 1rivetting machine 2 直線上にリヴェットを打つのは難しいことはない。前にも述べたように罫書き線を深く掘り、その上をなぞれば簡単である。

 筆者の持っている道具は、別の方法で直線を打つ。前後に自由に動くガイドがあり、その角に沿わせて左右に移動すれば良い。このガイドは鋼でできていて、剛性が高い。組み合わせて鑞付けしてあり、強度は信用できる。

 これはなかなか良い工夫で、エッジからの距離を自由に決められる。細い帯状の板に連続して打つ時も、まっすぐ打てる。
 

rivetting machine 3 このガイドの反対側には先を薄く削った長い棒が付いている。これは曲線上のリベットを打つ時に使う。曲線と言っても、自由曲線ではなく、円盤などの縁に沿ったリヴェットを打つ時の工夫である。
 使い方は図をご覧になればすぐおわかり戴けると思うが、実に簡単である。手前に、ダイと同じ高さの台を置いて作業すると板が安定して具合が良い。その補助台は付属していた。

 ポンチを打つ強さを一定にしなければならないので、ハンマーを持ち上げて打つようにしている。振上げの上限は調節できるようになっている。


2009年07月08日

rivetting by a sawing machine

Rod's Rivetting Machine 以前、この写真をお見せしたことがある。手前の孔雀の羽根は邪魔であるのはご容赦願いたい。
 Rod Miller氏の自作品である。手廻しミシンの針の部分にポンチを置き、送り装置を利用して大きな鉄板を動かす。この鉄板には長穴が開けてあり、リベットを打つと、波状の軌跡を描きながら移動する。

 ミシンであるから送り量は自在に変化する。しかも「送り金」と称する部分が持ち上がって動くので、ダイの上を飛び越していく。良く考えられた方法である。

 あまり送り量が少ないと、ダイの角で潰れてしまうから、ある程度の送り量しか採用できないようになっている。
 ダイは固定されている。ワークがポンチを打つたびに持ち上がって向こうに移動する。

 送り金はこの台の鉄板を摩擦で送るので、台の裏が少々すりへる。毎日使うものではないので、寿命は十分あると判断しているのだろう。

 ポンチは当然ミシン針を短くしたものであった。先端が鋭角であったのは、祖父江氏の見解と一致する。ダイの中の傾斜とポンチの先端の傾斜が一致すると、打った時に板が薄くなる。その分だけ板にひずみが蓄積して、結果として板がうねる。昨日の図のように細い針で打つのが良い。

 筆者も高校生の頃、ミシンを使えば何とかなりそうだと思って思っていたので、この機械を見た瞬間に「やられた」と思った。そのうちミシンを手に入れて加工してみようと思っている。

2009年07月06日

rivetting die

rivetting die リヴェットの間隔は規格で決まっているので、だいたい3種程度である。

 このダイは既製品を削ったもので砥石で擦ってある。これで3種類のスペースができる。汚い写真で申し訳ない。

 ポンチは何種類か作ってみたが、針が一番良い。何と言う針かは知らないが布団針よりも太い針を見つけたので、丸棒に穴を開けて押し込みハンダ付けした。こういうときは穴の奥にハンダが回らないので、棒の側面にも穴を開け、空気が逃げるようにする。

 押し出しリヴェットの都合の良いところは、失敗しても多少なら修復できることだ。表から軽く叩いてつぶし、やすりで削る。このとき、板(ワーク)は弓なりに反らすか、曲ったやすり(riffler's file)を使う。リフラというのはさざ波という意味である。波型の模様を作るときに使う。

 昔の日本製のブラスモデルの裏を覗くと、たまにこの方法で修復したものに出会う。表面は、最終的に細かいサンドペーパで磨いてごまかしてある。

 よほど気をつけて眺めなければ分らず、十分に目的は達している。ブラスが模型を作る材料として優れているのは、このようなことが可能であることも含まれる。

 実は筆者の製作した模型にも失敗を修復したものが多い。ひどいものは1列全部を打ちかえたものもある。人に見せる時、ばれないかと思ってひやひやしているのだが、今のところ誰も気がついた方はいない。


2009年07月04日

リヴェット間隔

Rivetting Pitch リヴェットを打つ時、間隔を揃えるのは大きな意味を持つ。達人の工作は素晴らしい実感を生み出す。一言で言えば、それは直線性と間隔の正確さである。

 直線性を持たせるのは、昔から深い卦書き線の中をポンチを滑らせることでなされていた。これについては個人による差異はそれほどないだろう。

 等間隔に打つのはダイの先端を研いで、その角にひっかける方法が採用されている。間隔を変えたいときは、ダイを90度ひねって別の寸法に研いだ部分を使う。
 無段階に変化させるのは事実上無理な話である。実物のリヴェット間隔も決まっているのだから、3段階くらいで十分である。

rivet forming machine1rivet forming machine3rivet forming machine2 












 以前お見せしたこの機械は、無段階である。既存の模型の部分的な補修などには、そのピッチに合わせねばならないから便利である。

 打撃の強さの均等性も大きなファクタである。

 
 

2009年07月02日

押し出しリヴェット

 押し出し方式のリヴェット打ち器には2方式ある。凹んだ雌型に針状のポンチを打つ方法と、飛び出した針に工作物(ワーク)を載せて、凹んだダイを打つ方法である。

 日本では前者しか見たことがない。アメリカではどちらも使われている。炭水車の側面のように細かくリヴェットが並んでいるときには、ダイを細くしてその肩に成型したリヴェットをひっかけて次に送るという方法が用いられる。

 下から押し出す方式は板のそりが少ないという。しかし、筆者は下から押し出す方式はあまり使わない。

 テキサスの男が作ったのを持っている。70年代のMRに広告が載っているものである。アルミ合金製の比較的大きな装置である。この道具には、上からのと下からのと2方式のポンチとダイが数サイズついていた。

 ワークに卦書き線を入れて、針をその溝の中で滑らせながら打つ。打つ力を一定にしなければならないので、ハンマを持ち上げて落とす高さを一定にする。簡単な道具であるが、手順を守らないとよい結果は出せない。

 針状のポンチの形が大切で、円錐形というよりも針状に尖っていた方がうまくいく。祖父江欣平氏の押し出しリヴェットはレコード針で作られていた。雌型は鋼板に穴を開けただけである。焼き入れはしていない。レコード針は、昔はいくらでも手に入ったが、現在入手は難しい。特注で作ってもらっているようだが高いという。

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