2008年10月

2008年10月31日

ロストワックス鋳造の秘訣7

F9A splicedF9A Soldered 切り離してあった二つの鋳物を接続し、鋳縮みを測定した。驚くべきことに長さは0.7%弱しか縮んでいない。幅は0.9%強であった。縮み率は不等というわけでもなく、ほぼ均一に縮んでいる。

 ロストワックス鋳造では、ゴム型を採るときの縮み、ロウの縮み、鋳型の縮み、鋳縮みの正確な検証が必要だ。今回のようにプラスティックの製品を埋没するときには最後の二つだけである。鋳型は焼成されるときに多少は熱膨張するはずで、それが鋳縮みをある程度キャンセルしてくれている。熱い鋳型に湯を注ぐからだ。

 ゴム型にロウを入れると、ゴムの中だから簡単に縮む。金型の中ではロウが縮みにくいことがわかっている。しかも金型は多少熱膨張するから好都合だ。

comparison この写真は3種のFを並べたものである。一番上のAll-NationのF-3は妻の屋根が張り出しているので大きさがわかりにくい。
 黒いのはAtlasのF-9である。もちろんプラスティック製である。それと比べて鋳物が縮んでいるようには見えない。

 Wikipediaの粘度問題は英語版の間違いから来ている。要するに、機械翻訳に掛けて手直ししただけで載せているということだ。正しい知識の持ち主がそこに関与していない。

2008年10月29日

ロストワックス鋳造の秘訣6

erosion 今回、大量の熔湯を流し込んだF9Aの側面に、無視できない傷が生じた。それは湯口から分かれた支流が型に当たる部分である。
 この図で言うと、下から2本目の分岐が当たる部分に傷が発生した。熔湯が長い時間、当たり続けると、埋没剤が剥離するのだ。この部分は鋳物がざらざらしている。細かく飛び出しているのだ。

 ふくらんだのだから、削ればよいのであり、あと始末は可能ではある。しかし、細かい凹凸が彫刻してある部分であると、修復できない。すなわち、このような部分は出来る限り平らな部分に接続する必要がある。

 下の支流にはそれほど大きな傷は付かなかった。すぐに湯の中に浸ってしまうので、流速が小さくなるからであろう。先回も書いたが、湯の流れる速度は驚くほど早い。ハンダを溶かして流したことがある人なら、すぐにわかると思う。粘り気を全く感じさせない。

 ウィキペディアというものは、誰でも参加できるのがよいところではあるが、誰も校閲者がいないというところが問題だ。
 それと投稿マニアが居て、怪しい知識をどんどん書き込むのには参る。直しておいても3日後には元に戻っている。
 困ったことに、記事を書き込む回数によって何らかのランキングが上昇するらしい。それが記事の粗製濫造につながる。いずれ何らかの方策を考えねばならないだろう。

2008年10月27日

ロストワックス鋳造の秘訣5

pressure plate 湯を注いで数秒で末端は固まり始めるだろう。湯口は多量の熔湯が通過しているので温まっていて、その部分が固まるまで多少の時間がある。

 各部品のゲート部分が細いと熱が逃げやすいのでその部分が早く固まる。ゲートは太い方がよい。しかも断面が丸い方がよい。表面積が小さいほど良いのだ。

 ゲート部が融けているうちに、湯口から相当の圧力を掛けると、熔湯の収縮を補う様に湯が流れて固まる。空気でも水蒸気でもよい。

 筆者は圧迫蓋(あっぱくがい)という道具を使う。小さなお椀の底に棒をつけたものである。お椀の中にはロックウール(最近評判の悪い石綿とは少し違うが、似たような耐火材)を詰めて水で濡らしておく。熔湯を流し込んだらその上から水を含んだ圧迫蓋を押し付ける。鋳型が熱いので多量の水蒸気が発生する。蒸気の逃げ場所がないので湯を押し下げる。

 これはジャガイモでも代用できる。ただしよい匂いがするのと、あとでそのジャガイモを食べなければならないので、面倒である。
 アメリカではかぼちゃを使うのだそうだ。この季節は例のハロウィーンのかぼちゃがいくらでもある。大きいから適当に切って使う。においはそれほどでもない。
 最近日本にも売っているズッキーニという野菜でもよい。これはにおいがほとんどない。

2008年10月25日

ロストワックス鋳造の秘訣4

 湯が回らないのは、湯の粘度のせいであると思っている人は多い。Wikipediaを見るとそう書いてあるが、とんでもない間違いである。どなたか直しておいて下さるとありがたい。
 「Wikipedia は娯楽」とどなたかがおっしゃったが、的を得ていると思う。正しいことを知るために見るのではなく、何か面白いことがないかというつもりでしか、見てはいけないのだろう。それはWebからの情報全てに当てはまるのかもしれない。
 
 融けた金属は粘度が小さい。水の何分の一位しかない。その代わり表面張力が極端に大きい。銅で言えば、粘性は1/2.5で表面張力は18倍である。 要するによく流れるが、はじかれやすく、型の中で丸まろうとするから、うんと圧力を掛けないと、型に密着しない。

 この図は、それを強調して描いた。型との隙間にある空気が吸い出されれば型に密着する。型は固体のように見えるが、極めて小さい孔がある。多孔質で、微妙に空気が通る。真空度は2mmHg程度にはなる。

 湯口部分は多少へこむ。これは湯が型に吸い付けられたからではない。ただ、金属が固まると体積が減るということである。
 ゲート(各鋳造物が湯道につながっている部分を指す言葉)が固まるとき、ゲート部分が先に固まると、悲惨な結果をもたらす。ゲートがヒケるのである。プラモデルの部品の中には時々あるから気が付かれる方もおありだろう。ゲートのヒケをなくすのが、プロの腕である。Dennisは湯口から圧搾空気を入れていた。筆者は圧迫蓋を用いる。

 
 Wikipediaの間違いは直っている。どなたかが直してくださったのだ。ありがたいことである。07.07.'15

2008年10月23日

ロストワックス鋳造の秘訣3

C30-7 Snowplowを鋳造するのを手伝った。その原型はハンドレイルも一体となっていた。本物はハンドレイルが熔接されているのだから、あとでハンダ付けすればよいのに、一体鋳造となっている。原型を作った人は湯流れのことなど、何も考えていない。このような形のものは、湯が回らないのだ。

 湯口から遠いところに、一番細い部分が来る。このような時は埋没材の一番深いところにこのスノウプラウを置く。底から吸い出しているので湯が回るはずなのだが、まずうまくいかない。細い部分からの吸出し速度が小さいからだ。Dennisはそのことで頭を悩ましていた。

snow plow castings 筆者の方法はこれだ。細いハンドレイルの中央部分に、あとで切り取りやすい物(赤い部分)を付けておく。ただそれだけである。この部分が吸出し速度を飛躍的に向上させる。すると湯が回る。この飛び出した部分はあとでプチンと切り取ればよい。その痕跡は全く残らない。

 残念ながら、写真を撮らなかったので現物はお見せできない。手持ちの鋳物に描き加えたものでご理解戴きたい。Dennisはとても驚いた。
「これで歩留まりが100%になる。」と喜んだ。



2008年10月21日

ロストワックス鋳造の秘訣2

 鋳縮み率を測定すると面白いことがわかる。物によって鋳縮み率は違うのだ。

 細長い丸棒状のものは鋳縮みが大きく3〜4%である。ところがその両端に四角い大きな物が付いていると1%も縮まない。要するに固まる瞬間に鋳型の中で滑って行く形のものは簡単に縮むということである。

 鋳型に引っ掛かって縮めないようにすると、太さの方が縮むことになる。引っ掛かりの部分は、あとで切り捨てればよい。このあたりのことは実験を繰り返して、形との相関を精密に調査する必要があると考えている。

 最近ご紹介戴いた雑誌の記事の方法では、そのあたりのことをまったく考えていないのではないかと推察する。ごく適当に作っているのではないだろうか。それではギヤボックスのようなものは出来ないし、蒸気機関車のフレームもできない。

 鋳造ほど難しいものはないとしみじみ思う。機械工作やハンダ付け、塗装などの模型工作の単元とはまったく異質の薀蓄がにじみ出る分野である。

 設備は乗用車1台分くらいの投資でまかなえるが、ノウハウの取得には10年かかるだろう。Dennisは「それでも難しい」と言う。奥様の献身的な支えの下、年に数百本のフラスコを鋳造する。好きだからこそ出来るが、単なる金儲けでは出来ない。

 今回は筆者のノウハウも公開して交換授業をした。お互いに得るところが大きかった。


2008年10月19日

ロストワックス鋳造の秘訣

washing a tree これもツリィを洗っているところである。細いものが多いと曲がってしまうので、水圧を下げて当てる。この湯口はかなりへこんでいる。凝固時の収縮はかなり大きい。



F9A Nose これは例のF9Aのノーズがフラスコから抜き出されたところである。埋没材はこのような形で付いてくる。窓の部分で外型にあたる部分と内型にあたる部分がつながっている。この部分が多ければ型は安定し、失敗することがない。プラスティック製品を焼くときにはそこに注意が必要である。

Opening furnace 次から次へと鋳造を行う。この日だけで18本のフラスコに湯を注いだ。このフラスコは長い。F9Aのボディ・シェルが入っている。



Vacuum casting machines 鋳造機は2台並んでいる。2台は当然必要である。鋳造というのは不確定要素が多く、不測の事態が起こりうる。故障したり破損したりすると、鋳造を中止せねばならない。中止すると熱いフラスコは冷やされ、クラックが入る。すなわち、それまでの労力が全て水泡に帰す。

2008年10月17日

続 埋没材をはずす

spraying water 裏庭で高圧洗浄機で埋没材を外しているところである。煉瓦の隙間にはさんでスプレィする。あっと言う間にきれいに外せる。ただし跳ね返りがすごいので、そのつもりで防護しておく必要がある。着衣はボロを着ていないと、あとが大変だ。靴もその程度のものを用意する。



water jet cleaning これは銀製の十字架である。頼まれてたくさん作ったのだ。銀のインゴットを切り刻んで熔かした。銀を使うときは坩堝も銀専用の物を使わないと歩留まりが悪い。



silver casting これが出来上がり。銀製品は切り取るときに、追加工がなるべく少なくなるようにする。削ると損失が大きいので切り取るだけにする。尖っているところは押しつぶすように加工する。





2008年10月15日

埋没材をはずす

dumping in water  まだ熱いフラスコを水の中に漬ける。バリバリ、メリメリ、ガラガラという凄まじい音と共にある程度はここで外れる。
 バケツの中でフラスコを放すと、バケツの底の部分が熱で融けてしまうので、しばらくはこの態勢で保持する必要がある。

 落ち着いたら引き出して高圧の水を吹きかける。エンジン付きの高圧洗浄機で洗うと99%の埋没材は落とせる。残りは超音波洗浄機を用いるときれいになる。

 埋没材を落とす瞬間はいつでもどきどきする。湯流れはどうだろうと心配である。幸い。今回の鋳造ではさしたる失敗はなかった。例のF9Aボディ・シェルのステップだけが失敗であった。しかしそれもすぐ直る部分であったから、今回の鋳造は成功だ。

 高圧洗浄機の噴射が強すぎると小さいものは曲がってしまう。そういう場合は早めに噴射を打ち切って別の方法に切り替える。

 今回は埋没材を新しいものにしたので、仕上がりに心配な点があったが、問題になる点はなかった。

 仕上がった部品を空圧で作動するニッパで切り取り、寸法を測定する。鋳縮み率を測定するためだ。大体、予定していた率であった。台車などは鋳縮みが異なると面倒なことになる。ディーテイル部品であっても鋳縮み率が一定であるということは大切なことである。ゴム型での縮小率を一定にしなければならないから、加硫温度のコントロールも大切であるし、ロウ温度も厳しく管理せねばならない。

 先の韓国の場合、そこのところを少しでも考えているのだろうか。人ごとながら心配である。

  

2008年10月13日

鋳造完了

setting burnt flask よく焼けたフラスコを正立させ、真空鋳造機のChamberに載せる。そのとき耐熱ガスケットを敷くことを忘れないようにする。
 フラスコは焼成の時は必ず倒立させておく。ロウが流れやすくするのと、ゴミが入るのを防ぐためである。

 真空チェンバの真空度が良いことを確認する。ここで真空にならないということは鋳型に欠陥があって空気が漏れていることである。もし漏れていればそれを塞ぐことが必要だ。Dennisはエポキシ樹脂を使うと言う。二液性エポキシを、クラックになすり付けると、熱で瞬時に硬化し、鋳造に耐えるという。筆者は過去に何度も失敗し、フラスコひとつ分を廃棄してきた。このような簡便な方法で解決するのならすばらしいことだ。
 鋳造機の奥には、非常用のエポキシ接着剤と攪拌棒が置いてあった。

casting finished これは熔湯が入った直後の写真である。まだ赤い。ヒケが少なく湯口の凹みがない。
 フラスコには茶色のペンで番号が書いてある。普通のペンではインクが燃えてしまう。このペンはセラミック・インクというもので、決して燃えない顔料で出来ている。

 内部のロウの質量がメモに書き出してあるので、その番号で熔湯の量を決める。大事なメモである。そのメモに従って、アルミニウムを入れる量が決まる。



2008年10月11日

熔融炉  

melting pot 鋳造で最も大切なのは、寸法精度である。要するに鋳縮み率が一定でなければならない。材料を一定にし、熔湯の温度管理を精密にし、さらに鋳型温度を一定にするのがその秘訣だ。

 ガストーチでは温度管理は出来ない。貴金属のように組成、純度が同じものを使うときは色で温度がわかるようになる。そのときは全体を暗くし、外光を入れないようにする必要がある。これも熟練が必要である。

 卑金属を含むブラスはトーチでの加熱は避けるべきである。この写真で坩堝の中心を通っている太い棒は、坩堝の底を開けるロッドである。そのむこうに細い棒が見えるが、これがプロパンガスを送り込むセラミックパイプである。炎は赤くめらめらと燃える。これが酸素を不足させ、しかも均一に加熱している。筆者のようにグラファイト坩堝を使わなくても良いから安上がりだ。ブラスが熔けたら、アルミニウムの切れ端を投げ込みかきまわす。

 坩堝の底には温度計が付いていて、ディジタルで読める。所定の温度で鋳造する。
この茶色のノブをぐいと引き上げるだけのことである。もちろんその直前に、鋳型を据えつけ、真空ラインを開く。真空計を見て確認する。

 湯が流れ込んだら鋳型を引き出し、上から圧搾空気で圧迫する。固まると同時に湯口がヒケていくので、押し込むわけだ。この時期には先端はもう固まっている。湯口に近い部分のヒケを解消する方法である。

2008年10月09日

還元剤投入

 RAIL TRUCK様のご指摘を受け、早速本屋に走った。確かに載っていた。少々荒っぽい記事で、書いている人が100%理解しているとは思えないところもある。また、業者の方も理屈を理解しているのかどうかが不明である。

 判ったのは、遠心鋳造をしていることと、融解には酸素アセチレンのトーチを使用していることだ。すなわち、規模は大きくない。鋳造できる最大寸法がせいぜい5インチ(127mm)程度である。また、一回の熔湯量はせいぜい200g程度であろう。

 問題はトーチの使用である。歯科で用いるような貴金属なら全く問題ないが、酸化され易い亜鉛を含むブラスでは、亜鉛の酸化および蒸発に対して全く無防備であろう。
 以前韓国で見たのは、高周波炉であった。希ガス雰囲気で行うと良いのではないかと意見を述べたことがある。その実現は簡単なことであるからだ。
 スクラップを材料にしているのもやや問題があると思う。材料は常に一定の組成でないと、鋳縮み率が一定でなくなる。当然色も変化する。

 マグネシウムのチップを入れていたが、その形がよく分からない。機械加工の削りクズなのか、涙滴状のものなのかもよく分からない。純度は高いのであろうか。また入れる比率を一定にしているのであろうか。トーチであぶれば、酸化されるであろうから表面積の大きな板材などでは還元剤の量を増やさねばならない。しかし、亜鉛が飛んでしまえば意味がなくなる。
 筆者の熔解炉は、グラファイト坩堝で、電熱線で外から加熱するタイプである。かなり還元的雰囲気である。

 また、ユニバーサル・ジョイントの写真が小さくて探すのに苦労したが、ご指摘の通り位相が間違っている。こういうことで発注者の力量が露呈してしまうのだろう。 

2008年10月07日

真空鋳造

vacuum Casting その点、真空鋳造は大きさにあまり制限がない。 鋳型を通して空気を吸い込むのだ。鋳型を構成する粒子にそれほど大きな隙間があるようには見えないが、多少の空気が通る。すると熔湯の液面には大気圧が掛かっているので、型の隅々まで熔湯が吸いつけられる。
 真空計で見ていると、ほとんど真空状態を保っているから、空気の通過量はかなり少ないと思われる。

埋没材を注ぐとき、フラスコにはテープを巻きつけて孔を塞ぐ。 時々漏れ出すが、すぐに手当てをすればよい。このテープは焼成のとき燃えてしまう。
 フラスコは穴あきステンレス製であるが、何度も焼いているとかなりがたがたになる。熔接が外れたりするので時々修理が必要である。

 鋳造機の既製品はあまり深さがないので、Dennisは改造して深くしている。それでも10インチ(254mm)しかない。るつぼの容量の問題もあるので、余り大きくしても仕方がない。

 溶解炉はDennisの工夫がある。 加熱の仕方は、電熱線を巻いたもの、高周波加熱、ガス加熱がある。デニスはプロパンガスで加熱している。空気をやや不足させたガスを直接内部に入れている。要するに還元的雰囲気での加熱をしているわけだ。これは良い工夫だ。ブラスが融けてから、少量のアルミニウムを入れる。これはさらなる還元剤で、亜鉛を還元している。マグネシウムでもよいだろう。


2008年10月05日

焼成と鋳造

 脱泡が済んだフラスコは静置し、固まるのを待つ。硬化したら、電気炉に入れる。最初の数時間は100℃程度に保ち、水分を飛ばす。この間にロウが溶け、下の皿にたまるので捨てる。大規模な工場では回収して精製し、再利用するが、小規模な工場なので全て捨ててしまう。

 回収することが前提のときは、全てのロウ型を同一のロウで作らねばならない。プラスティックが混じることなど論外だ。ロウが抜けたあとは、空気穴を開いて昇温する。このとき、ロウは燃える。完全には燃えないので、すすが出る。また多少臭う。テキサスでは、臭いのことなど問題にならない。うらやましい限りだ。筆者が鋳造を休んでいる理由はそこにある。日本の住宅地では、少しでも変なにおいがすれば、サリン製造かと疑われてしまうだろう。いずれ田舎に鋳造工場を移すか、テキサスに引越さねばならないだろう。

 今回はプラスティックが入っているので昇温速度は普段の半分にしている。完全に焼けたら、その空間に金属を熔かして入れるわけだ。

vacuum casting machine そのとき、重力だけで入れると細かいところには熔湯が廻らない。遠心鋳造か真空鋳造を採用する。小さいものは遠心鋳造でよいが、大物はそうはいかない。
 
 質量が200gくらいまでは遠心鋳造で十分である。それ以上では加速度が足らない。アームの長さ、スプリング・モータの出力等いろいろな問題がある。最初の一瞬で勝負がつくので、重いものは無理である。



2008年10月03日

続 埋没の手順

sucking dust これは埋没材の混和用のミキサである。食品用のものを転用している。最初は埃が立つので、このように吸い出してしまう。手早くかき混ぜられるのは良いが、多量の泡が含まれてしまう。
  



vacuum chamber それを抜くには真空の中に置く。真空引きは二段階に行う。まず、ミキサで混ぜたものをバケットに入れて置く。すると混和物の体積が3倍くらいになる。泡がはじけると体積は小さくなる。この写真のむこうの方に見えるのが、そのバケットである。




pouring investment 次にワックス・ツリィを立てたフラスコに紙テープを巻いて漏れを防ぎ、それに埋没材を注ぐ。このときフラスコの上部には必要以上の高さまで紙テープを巻く。それは次の工程で役に立つ。




debubblring in vacuum chamber 埋没材の入ったフラスコを、またvacuum chamber(真空室)の中に入れる。前回よりも長く真空に保つ。すると泡がどんどん出て盛り上がる。先ほどのテープは、このとき溢れ出させないためである。ここまでの工程を水を注いでから5分以内に終わる必要がある。


2008年10月01日

埋没の手順

wax tree example これはDD35の台車枠のワックス型である。それをこのように丸く放射状に組み立てる。あとで切り取りやすいようにせねばならない。
 また、放射状にするのは湯流れを均一にするためでもある。フラスコの中に隙間を一定にして立つようにする。フラスコに触っているようだと、その部分のInvestment(埋没材)が薄くなり、クラックが入る可能性が生じる。

debubbler この液体は脱泡液である。要するに、ワックス型、プラスティック型の表面に付着した空気の泡を取れやすくする液で、界面活性剤を溶かしたアルコールである。組みあがったワックス型を数秒浸して揺する。「ぬれ」がよくなり、泡が取れるようになる。そこに埋没材を水で溶いて流し込むわけである。

investment container これは,investmentのコンテナである。これひとつに45kg入っている。プラスティック埋没用の特殊なものである。これを取り寄せるのに手間どった。これを水で溶くのだが、水の量は厳しく管理せねばならない。また時間も正確に計らなければならない。 

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