2008年09月
2008年09月29日
続 Carbon Rod Soldering
AC9様のご下問により、コメント欄でお答えしたが、もう少し補足したい。この加熱法は接触抵抗によるものであることを申し上げておきたい。ワークそのものの内部で起きるジュール熱ではない。すなわち、ピンセット型の場合、接触面が完全に密着するように磨いてしまうと発熱しにくい。トングが発熱するとその熱がワークに伝わり難くてうまくいかない。トング(挟む部分)は太いニクロム線で、抵抗が多少大きいようだが発熱量は少ない。尖端の狭い面積ではさむとうまくいく。
炭素(グラファイト)のプローブ(尖端)はワークと少ししか接触しないので、自然にその部分が赤熱する。これもよく密着するようにすると、うまくいかない。
あらかじめ、ハンダを塗っておくと一瞬で付く。部分的にしか加熱しないので全体が熱くなって、他の部品がぽろぽろ取れるということはない。何かのつなぎ目にハンダをたっぷり流すというのは、この方法では困難である。
銅が巻いてある炭素棒は使いやすい。先端の少しの部分しか露出していないので、電位差が集中し、発熱がその部分だけに起こる。先端はオレンジ色に光る。このとき一酸化炭素が多少発生するので、換気には気を付ける必要がある。鼻の良い方は、独特の臭いを感じることもあるだろう。化学の教科書には一酸化炭素は無臭と書いてあるが、明らかに臭う。
炭素プローブは、マンガン電池などから取り出してよく洗い、電解液を全て流し出してから焼けばすぐ手に入る。二次巻き線は十分太いものを用いれば焼けることはない。出力を計算して、連続定格の1.5倍くらいで設定しても問題ない。この機械は間歇使用が前提であるからだ。発熱焼損は電流の二乗と時間との積で決まる。ショートに近い大電流が流れても、時間が短いので大丈夫である。
2008年09月27日
Carbon Rod Soldering
炭素棒の先端が通電時に熱くなるのを利用したハンダ付け方式である。日本ではあまり見ない。 一般論で言えば、アメリカではコテによるハンダ付けは電気配線くらいしか行われない。我々のようにハンダゴテを使って機関車を作るというのは、「名人芸」の領域に入るのだろう。
だから筆者がハンダゴテを持っていって、それを使って大きなものをつけて見せると、拍手が起こるときがある。と同時に、「そんなものカーボン・ロッドでつければいいのさ」という冷ややかな眼で見つめる人も居る。カーボン・ロッド・ハンダ付けは、大電流を流せて焼けないトランスがあればすぐできる。磁気回路を工夫して二次巻線に過大な電流が流れないようにしたものもある。
筆者の作ったものの二次線は断面が5.5平方mmくらいある。ピンセット風のものではさむか、大きな接地板の上で炭素棒で押すかのどちらかで加熱する。使用するときしか通電しないので節電が可能であることは間違いがない。
今回紹介するものは手製の炭素棒保持装置である。3/16インチ ( 4.8 mm)径の銅で巻いたロッドをブラスのはさみで保持している。この形はどうでもよく、ただ電気が通ればよい。ロッドが折れやすいので工夫が必要である。ロッドをブラスパイプの中に入れてしまえば良いと思う。筆者のはハンダゴテのようにロッドを先端につけている。あまり使いやすくない。
2008年09月25日
wax を注入する
ワックスはwax potから注入する。温度はワックスの融点より少し高めに保たれている。圧力は、大気圧プラス0.1気圧程度にしておく。ゴム型を押し当てると弁が開き、瞬時にゴムの中の空洞にワックスが満たされる。このとき、ゴム型の保持の仕方にノウハウがある。大切なことは押しつぶさないようにすることだ。できたロウ型がつぶれた形になる。できる限り均一に軽く保持する。しかし、面積が大きなものは大きな力で押さえ付けないと、口が開いてしまう。そこは経験が物を言う。
また、全体の形がゆがむのを防ぐために、ゴム型自体をきちんとした箱状の押し型に入れるという手がある。この方法をとるには、全てのゴム型が同じ寸法であることが必要だ。すなわち、「Vulcanizeする枠には基準寸法がある」ということである。
ワックスを注入するとき、ちっともワックスが入らないようなゴム型が、たまにある。そんな時ワックス注入圧を上げてみるのだが、ちっともうまく入らない。
こんなときにはワックス圧を思い切って下げてみる。ゴム型を軽く保持して、ゆっくりとワックスを入れるとうまくいくものだ。
ワックスがゴム型内に侵入するとき、空気の逃げ場所はどうなるのか、心配する方がいるだろう。ゴムの型にはパウダが振ってある。するとそのパウダの分だけ隙間があって、空気は逃げる。しかしワックスはその隙間には入れない。
この写真の手前のスプレイ缶は型からワックスが外れやすいようにするための、シリコーン・スプレイである。この効果は絶大だ。
2008年09月23日
ゴム型を作るもうひとつの方法
別れ面にはパウダを十分に塗っておく。合印がいるので特殊な形をしたピンを半分まで埋める。このピンは4本程度だが、位置を不均等にすることが肝要だ。もし正方形に置いてしまうとゴム型の上下を4通りにおくことができ、勘違いを生じやすい。
4つを台形の頂点の位置に置くのが良い。
このsplit mold法は平坦な部品の型どりに適する。 例えばDDA40Xのサンドボックスなどは最も適するものである。複雑な形のものは、やはり切り開く方法がよい。二つがくっついたまま加硫されるが、合わせ目から剥がしとることができる。パウダが足らないとくっついてしまうから、注意が必要だ。
これらのパーツはDD35とDDA40Xの外装部品である。これらのように単純明快な形のものはスプリット・モールドが適する。しかし凹んだ部分にはあらかじめゴムを入れておく必要がある。はさんで加熱し、剥がすだけだから、ゴム型つくりはとても簡単である。2008年09月21日
ゴムを切り開く
加硫して固まったゴムを放冷する。原型がどこにあるのか考えながら、ゴムを切り開く。そのとき、切り口がジグザグになるように切り込むのがコツである。そうしないと、上下のゴム型が横にずれてもわからない。全ての面がジグザグなら必ず上下の面があうはずだ。
この道具はDennisの手製である。単純明快な道具である。ただ、片方を引っ張っているだけである。ひざにはさんで引っ張りながら切り込みを入れる。ゴムはよく伸びるから多少のアンダ・カットもするりと外すことができる。
このようにして切り外したゴムは、空気の逃げ道を作るために針で突いて、その穴にパウダを入れる。細かい部品ほどその穴の数が多くなる。
ゴムが縮んだとき、その穴が事実上ふさがるので、ワックスが流れ出す心配はない。僅かな量の空気が、ワックスの進入時に逃げる必要があるのだ。
2008年09月19日
ゴム型をとる
これはゴム型をとるために原型を埋めているところである。アルミ製の枠に型を埋めるのだが、まず底の部分にゴムを敷く。その上に型を載せてその型が流れていかないようにアルミの枠の穴に原型から出ている棒を差し込む。この棒が湯口になる。湯口の位置、本数は長年の経験で決める。
原型の上にもゴムを敷き詰める。そのとき、あらかじめ全ての隙間にゴムが入っていることが必要だ。例えば、へこんだ部分にはゴムを小さく切って埋めておく。このドアのように片方がカーヴして持ち上がっているようなときは、その持ち上がっている所の下にも十分詰め込んでおかねばならない。それを怠ると、ゴムがあらぬ方向に流れて型が移動し失敗する。
ゴムは空洞の105%くらいの量を置く。そしてアルミ板で挟んでこのVulcanizerで温める。バルカナイザとは、加硫する機械という意味である。ネジで締め付けて、生ゴムの隙間をなくす。生ゴムに硫黄を数%練りこんだものを加熱すると20分くらいで固まり、弾力性のあるゴムになる。加硫前は硬目のはんぺんみたいな物であるが、加硫後はゴムそのものになる。引っ張ると8倍くらい伸びるようになるのだ。
余分のゴムは、はみ出して固まるので切り捨てる。
2008年09月17日
リヴェット打ち
これはリヴェット打ち機である。この機械の写真は見たことがあるが、現物に触ったのはこれがはじめてである。「世界で一番Fancyなリヴェット打ちだ。」と言う。何がファンシィ(贅沢)かというと、その送り機構である。右手で触っている部分がそれで、無段階で制御できる。
これは、ワンウェイ・クラッチを内蔵してレバーの送り量をいくらでも細かく設定できるようになっている。
どうしてそれが必要になったかというと、F9Aのボディシェルの、シャシとの締結用に角穴が開いているところを塞ぎたかったからだ。その部分はちょうどリヴェットのある帯のところに角穴があり、リヴェットが欠落している。ブラスで鋳造してから塞ぐつもりであったが、Dennisが「先に埋めるべきだ」と主張した。
「リベットのピッチにあわせてプラ板を加工するのは難しいから、あとでブラスでやる。」と言ったが、「この機械を使え。」と言って持ってきたのがこれである。
現物を測定しながらピッチを変え、完全に合うものを量産して貼りつけた。おかげでどこに穴があったのかわからない。隙間はワックスを塗って埋めてある。



真ん中の写真のブラスのラックがピニオン歯車により移動する。送りレバーのストロークはネジで調節するというわけだ。送りテーブル全体が移動する。それにワーク(工作物)をテープで留めて加工する。
2008年09月15日
続々 Atlas F9A
大きさがよく分からないというご指摘があったので写真を撮り直した。筆者の手との対比でお分かりになると思う。
このような場合、割れを防ぐには開口部を作ることである。窓があればその部分で内外の型がつながり、圧力で押し広げられるのを防ぐだろう。今回の場合、ボイラの排気管のあたりの天蓋は切り取って、あとで別部品を付ければよかった。妻の角窓の周りはすばらしく良い。幸いにも今回の失敗は削れば直る方向なので、修正できる。
大きなものを作ると熔湯の量が大きい。湯口から流れ込む量が多いと、湯口の先の鋳型が湯で削られる。この写真右端のドアのざらついているところがそれである。削りやすいところの裏に湯口をつけることが大切である。
一番上の写真のナンバ・ボードの後ろも同様に裏に湯口があってざらついている。
2008年09月13日
続 Atlas F9A
再度、F9Aのノーズの中をご覧に入れる。湯口がどのようについているかがよく分かる。湯口はアクリルの棒で太いのを3本入れた。これは十分な深さがあり、押し湯が深いので、湯流れは完璧だ。何の心配もない。溢れない程度に湯を入れられれば成功疑いなしだ。内部のスペイスには先回も述べたように大きな部品をあとで取りやすいように適当につける。この部品は、3ユニット・タービン機関車のカプラの取り付け座である。といっても見当も付かない方が多いと思われるので、実物の写真を添える。
この写真はユタ州オグデンに保存中の#26の下にもぐりこんで撮ったものである。この機関車は床板が高く、カプラが相対的にかなり低いところについている。そのカプラ取り付け座である。緩衝装置は簡単だ。僅かに厚いスプリングらしきものが見える。これをくさびの斜面で押し開くような形になるのではないかと思う。
この部品を手作りするのは面倒だと思っていた矢先にBill Melisの型が見つかったので、少々加工してロウ型を作ったというわけである。同じ形のものを作るのは好きではないので助かった。
2008年09月11日
Atlas F9A
このAtlasのF9Aは筆者の車籍簿中、かなり前にある。10番目以内である。1972年のWalthersカタログに載っているのを見て注文したのだ。価格は22.50ドルであったと記憶する。その後いくつか買って加工した。ノーズを切ってBユニットにしたのもある。
動力機構があまり賢明なつくりではないのでいつしか休車になり、廃車になったものもある。上廻りのディテールはそこそこに良いので、加工すれば使えると思ってとっておいたのが今回の車体だ。
栗生氏のブログには広告が掲載されているので、それもご覧戴きたい。
動力機構は、長持ちするかも知れないが、負荷がかかると台車の一方が浮き気味になるという恐ろしい設計であった。支点の位置が高いので、根本的に駄目である。
そこで、ギヤボックスに貫通孔を開けて、ブラスのボルスタを突っ込み、支点を動輪軸とほとんど同じ高さに改造した。しかし、ブラスの台車に換える方が後々のためにもなるという判断で、下廻りは全部捨てた。台車のディテ−ルは良かったが、分厚い車輪を避けるようになっていて、興覚めした。
今回の鋳造で上下全てがブラスになる。随分、時間と金を掛けたお遊びになった。ひどい写真でお詫びしたいが、大きさを示すだけの写真である。タイルの1辺が305mmであるので、大体の大きさがお分かり戴けると思う。
2008年09月09日
続々 Lostwax Casting
この写真をご覧戴ければ、何を鋳造したかお分かりになるだろう。かなり大きなものを鋳造できるかどうかが知りたかった。この F9 はAtlasが1970年頃発売したもので、それを一体鋳造するつもりで持っていった。見た途端、「ちょっと長すぎる。ほら1/2インチはみ出す。」というわけで二つに切り離すことになった。どこで切るかは自由だが、その切り口はハンダ付けで完全修復できる部分に限られる。サイドのラジエータ・グリルは避けるべきで、結局ノーズの部分をドアの前で切り落とした。糸鋸でざくざくと切った。糸鋸の厚み分はハンダで埋めることになる。
車体の内側の体積がもったいないので、適当な大きさの部品をつけておく。ここで内部にたくさんの部品を付けると、あとで外し難いので、外しやすい大物をつけるのがミソである。
熔湯が流れて行く経路は十分に吟味せねばならない。しかし、深さが十分あるので圧力は十分である。問題は長い方の浅い部分である。注ぎ口からの深さが足らないので、湯が回らない可能性がある。
このようなプラスティックを埋没するときは事前にサンドブラストを掛けて、表面の塗装、ディカールを全て削り落とす必要がある。塗料は顔料が燃え残るのである。Santa Fe塗装の赤い塗料を削り落とすのは意外に手間取る仕事であった。
2008年09月07日
続 Lostwax Casting
ロウ型を作ってツリーにし、それを焼いて鋳造すれば、Lost Wax である。プラスティックで作った型を焼いたらどうなるだろうか。
これは難しい問題が生じる。ロウの場合はすぐ融けるので液化して融け出したり、埋没材の中にしみ込んだりする。何の問題も起こらない。
プラスティックは融ける温度が高い。200度くらいにしないと融けない。しかしその前にプラスティックは膨張する。そうすると何が起こるだろうか。
埋没材が割れる可能性がある。埋没材はセッコウに添加剤が加えられている。より強度を出し、融けた金属と反応しにくいような工夫がしてあるのだ。
ガラス繊維を入れて割れ難くしたものもある。
プラスティックを埋没したときには、焼成温度の上昇速度を小さくする必要がある。普通は8時間で焼くところを,12時間くらい掛けて昇温する。その間にプラスティックが燃えるはずだ。臭いがよくない。炉の中に燃え残りがとぐろを巻いている。酸素を補給するとよいかもしれない。筆者は通風をよくして、排気口には予熱した触媒を置いて、排気を浄化していた。
これは難しい問題が生じる。ロウの場合はすぐ融けるので液化して融け出したり、埋没材の中にしみ込んだりする。何の問題も起こらない。
プラスティックは融ける温度が高い。200度くらいにしないと融けない。しかしその前にプラスティックは膨張する。そうすると何が起こるだろうか。
埋没材が割れる可能性がある。埋没材はセッコウに添加剤が加えられている。より強度を出し、融けた金属と反応しにくいような工夫がしてあるのだ。
ガラス繊維を入れて割れ難くしたものもある。
プラスティックを埋没したときには、焼成温度の上昇速度を小さくする必要がある。普通は8時間で焼くところを,12時間くらい掛けて昇温する。その間にプラスティックが燃えるはずだ。臭いがよくない。炉の中に燃え残りがとぐろを巻いている。酸素を補給するとよいかもしれない。筆者は通風をよくして、排気口には予熱した触媒を置いて、排気を浄化していた。
2008年09月05日
Lostwax Casting
久しぶりにロストワックスの話題に戻る。Dennisはロストワックス・パーツを作っている。空軍を退役してからは本業になった。今回のTexas行きの目的はそこにあった。「一緒に鋳造しようじゃないか」という誘いがあったからである。
ロストワックスを作っている場面を見るのは初めてではない。それぞれに個性があリ、ノウハウがある。普通、それを秘密にしているのだが、Dennisはすべてオープンにしている。というのは仕事が来すぎて要望に応え切れないというのが本音である。だから、二言目には、「ここに引っ越してきて、二人で大きな工場を作ろうぜ。」と言う。こちらにもいくつかのノウハウがあるのでそれをお互いに見せ合った。このワックス・パターンはDD35の台車である。これについては後述するが、Bill Melisの型がここにあったのだ。それを加工した。
この写真はワックスを整列させたワックス・ツリィである。これをinvestment(埋没材)の中に埋め込んで加熱する。するとワックスは全て蒸発し空洞ができる。そこに融けた金属を流し込めば出来上がりである。この写真の右端の大きなものは何であろうか。
2008年09月03日
2008年09月01日
Dennis のレイアウト
Dennisは西部の大きな機関車が好きである。UP,SP,ATSF などが好みである。レイアウトはそれらの車輌が走るべく、西部の雰囲気を再現している。ティンバ・トレッスルによって谷をまたぐメイン・ラインは一ひねりしてある。
制御はLenzのDCCであるがやや古い。最近はあまり見ない2桁の番号指定のタイプである。すなわち99台までしか番号を割り振ることができない。機関車の番号はたいてい4桁なので、下2桁を書き込むのだが、同じ番号があると困ってしまう。たいしたことではないのだが、4桁表示の機種はありがたいと思った。
Dennisは一度使い始めたものは壊れるまで使うというポリシィがあるように見えた。筆者は次々とアップ・グレイドするのがポリシィである。しかし、例の押して動くウォームには大変興味があリ、提供すると言ったときの彼の喜び様は文章では形容しがたい。
最近はDCCでないレイアウトを見ることがほとんど無くなった。また、サウンドの付いていないDCCを見ることもなくなった。走らせるのが目的なのだから、配線が容易で、運転が楽しくなるDCCを採用するのが必然となった訳である。


