物理

2022年09月20日

inertial separator hatch  

filling silver solderinertial separator on DDA40X Bill Melisが作ってくれたロストワックス鋳物に、この薄い箱形部材がある。ディーゼル電機機関車の屋根に付ける部品である。先回の写真の右端に見える。

 この下には空気清浄装置がある。普通のフィルタではない。高速の空気の通路を曲げると、重い粒子は慣性でまっすぐ進もうとするから、外へ飛び出すところを捕捉する。いわゆるinertial filterである。最近の真空掃除機は、この原理をさらに進化させた装置を付けているものが増えてきた。
 機関車では、駆動モータの冷却用に大量の空気を吸い込むので、普通のフィルタではすぐ詰まってしまう。砂漠地帯ではこれは深刻な問題であり、処理をしないと駆動モータの中に砂塵が溜まって焼損する。
 エンジンの吸気は更に細かい塵を除くために、いわゆる濾過装置を2段目に用いている。これは自動車用と同等の構造である。

 この種の機関車では、その捕捉した塵を含む空気を屋根上の孔から吹き出させている。この部品はその装置を覆う屋根で、少し膨らませている。

 その部品の斜面の傾斜は、45度以下のものが多い。緩いものは40度弱である。Billの部品ではそれが60度もある。少し削って緩やかにしたいが、肉が薄いので削ると分解してしまう。

inertial separator hatch 中に何か、貼れば良いのだ。角線の角を削いで、銀ハンダで付ける。たっぷりハンダを流してから削ると、ハンダの色が見えるほどになる。貼らなかったら悲惨なことになっただろう。

 削った蓋を付けるのは、63%ハンダである。ガスバーナで予熱してから部品を載せて、例の押えを効かせる。150 Wのコテで、わずかの63%ハンダを融かして当てると、さっと沁み込んで終了である。銀ハンダは融けない。
 4x30の ブラス平角棒を削って作ったものは、DD35A用に使う。これは少し幅が狭い。ガスバーナーで焙って付ける。こういうときも、屋根の板には孔をたくさんあけて、ハンダが完全に廻ったことを裏側から確かめる。 


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2022年05月25日

続 吊掛け駆動

 吊掛けの目的は、モータの重さの半減にある。すなわち、車軸の横にモータが来ることになっていて、半分を台枠に持たせている

 35年ほど昔、吊掛け式と称する模型電気機関車を、見せられた。それには、各モータが動軸の上にあった。すなわち、モータの全重量が車軸に掛かる。これでは吊掛け駆動ではない。軸距離が小さく、モータが入らないから、そうしたのだ。本物は歯車が無い機関車として有名であった。界磁が、線路に近いところにあって、犬釘、継目板などを吸着してしまい、事故を起こしがちであった。伊藤 剛氏の解説によると、保線の線路工夫が置いたままにしたスパナを巻き込んでしまったそうだ。
 12軸の動輪軸に12個のモータが付いていた。当時は模型用として、そんなに小さなモータが手に入らなかったので、上に積んで、スパーギヤ駆動にしたのだ。これはまずい。

 しばらく前の話題のGG1も同時に見たが、一つの軸の真上に2つのモータが直接載っていた(もちろんカルダンドライヴではない)。
 どちらも吊掛け式と謳っていたが、全くのおもちゃ的構造であって、吊掛け式の概念からは、遠く外れている。モータの質量が全て車軸の上に載っているというのは、情けない間違いだ。どちらも、本物の知識を十分に持っていると自慢する方の模型だったので、言うべき言葉がなかった。小さな模型だから壊れないが、大きな本物であれば、たちまち軸が折れてしまうだろう。

 要するに、見かけだけを表す模型でも良いのだが、本物の構造を良く知った上で、「模型的簡略法をやってみました」と言うのは、良いだろう。しかし「本物の通り」のわけがない。 

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2022年02月06日

続 「蒸機を作ろう」

more Building Steam Engines 今野氏の主宰するKKCの新刊書が発行された。筆者も微力ながらお手伝いしている。

 この新刊の目玉は、最初にある「縮尺の物理学」である。このブログの読者にとっては、何度も聞いた話であろう。
 筆者が書いた文章ではわかりにくいらしい。様々な質問が来て、丁寧に答えたつもりでも意を尽くし切れなかったようだ。書籍にして残そうと思うと 、それには専門家のわかりやすい説明を必要としていた。そこで、力のある執筆者にお願いして、書いて戴いた。ぜひとも読んで戴きたい。

 飛行機の模型を作っている人は、実物を縮尺したものはうまく飛ばないということを、感覚的に知っている。それは気体分子まで縮尺された空間を飛ばすことが出来ないからだ。翼に当たる分子は、相対的に巨大である。
 模型も同じであって、原子まで縮小されることは無いので、小さな部品を作ると、それは異常な堅さとなる。たわみというものがほとんど無いわけである。だから、模型の機関車は、鷲掴みすることが可能だ。本物なら、たちどころにペチャンコである。

 今回の本の記事では、急曲線を走っても脱線しない理由、カントが無意味な理由なども、計算値を出して示している。式の展開が上手で、何の関数になるかということをズバリと見える形で示している。

 これを読んで理解すれば、本物通り!と自慢することが本当に価値のあることかどうか、が分かる人が増えるだろう。
 真によく走り、脱線せず、実感的な動きを再現するには何が必要なのかを考えるチャンスになると信ずる。ろくに走りもしない機関車を評価することも、減っていくであろう。

 また、正しいユニヴァーサル・ジョイントの使い方とか、低抵抗車輪の効果についても客観的な記事がある。これらはメーカ側に対する助言であるとも言える。

 コロナ禍で人の動きが制限されていた中、ウェブ会議で編集した本である。筆者のコンピュータでは互換性に問題があって、細かい文字配列が再現できていないことがわかり、ほとんどのレイアウト(割り振り)を今野氏にして戴いたのは、申し訳ないことであった。また、今回の裏方の大黒柱は、northerns484氏である。様々なことに助力戴いた。また、筆者の原稿の拙い絵も、全て描き替えて戴いている。


 今回の書籍の編集中、動画を見られるようにQRコードを付けるように提案があった。これは優れたアイデアで、すぐ見られる。新たに撮り直した動画もあり、ぜひご覧戴きたい。

 価格は2500円(送料は370円)である。申込みは、
   konno#m1.bstream.jp  (#を@に変換)
に連絡されたい。まとめての取寄せは、筆者も代行する。

 この2500円という価格は、いささか安過ぎる。つまらぬ雑誌が1000円もする時代なのである。もう少し高くても良かったと個人的には思う。旧刊の方もまだ多少売れ残りがあるそうなので、一緒に購入されると良いだろう。その場合でも送料は変わらないはずだ。     

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2021年12月28日

続 走らないものも鉄道模型か?

 先頃、表題の記事を発表したところ、異常に多くのアクセスが有り、少々驚いた。ほとんど誰も興味を示さないだろう、と思いながら書いた記事であったのだ。
 コメントは少なかったが、会った友人たちが「ズバリだね。もっと書くべきだよ。」と言う。

 今野氏のブログにも、引用されたようだ。今野氏は、走りにはうるさい方である。筆者は、「おそらく世界で一番、走りにうるさい人(ある友人談)」だそうで、「走らないものを載せるな」という点では、共通する認識を持っていると感じている。 
 最近の模型誌で、走りについて書いてあるのを見たことがない。しばらく前、意味が取りにくい牽引力の表があったが、編集部には物理を理解する人がいないように感じた。分かる人がいれば、もう少しまともな記事になったと思う。

TMS Jan 2122 今野氏の記事には、今月号のTMSの記事について書いてあった。筆者は田舎に住んでいるので、TMSなどの雑誌には接触するチャンスが限られている。先日所用で出掛けた折に、大きな書店に寄って求めた。機械室ドアの開くディーゼル機関車の記事があった。なるほど、このことかと読んだが、得るところは少ない。
 逆に、これを真似する人が増えるのではないかと思った。やってみると分かるが、実用性は無いし、事故が起こる。要するに壊れやすいのだ。
 ディスプレイ用に開きっ放しのものは作ったことがあるが、異なる範疇に属する話題だ。また、車輪の裏が塗っていないのは感心しない。また、除雪装置の先端はレイルに触らないように出来ているのだろうか。

 筆者は、あちこちの蓋が開くのは好きではない。完成品で開くものは、すべて固定する。塗装が剥げやすいのと、その蓋などを亡失しやすいのだ。祖父江氏が、超絶技巧の製品を出したときにも、そのことを危惧した。祖父江氏は、一度はやめると言明したが、後に絶妙な構造のバネと鎖で、蓋を拘束したものを作った。やはり蓋が開いて、内部の構造が見えると嬉しいのだろう。実は、その内部は二人でDenverの博物館で攀じ登って撮った写真が元になっているから、筆者にも多少の責任はある。Big Boyの砂撒き装置など、あまり資料はないのだから。しかし、砂箱の蓋を開けると砂が見えないというのは、奇妙なもので、あまり感動しない。
 祖父江氏は、蝶番で開くものを閉じたときに完全に面が合うように、しかも扉の作動限界が実物と同じになるように作った。ハンドルを廻せば、ちゃんとロックされる。そこは、流石であるとしか言いようがない。今回のHOの作品とは、ちょいと違う。 

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2021年11月28日

本物はどのように動くか

 本物は重い。この4-8-4は、テンダを含めて400トン強もある。機関車が起動するということは、その質量を持つ物体が動き始めるということだ。徐々にしか動かない。この模型では、その動きを見ることができる。普通の模型は、電圧を掛けると、すっと動き始める。しかし、UP850はじわっと動く。その瞬間、電流は0.5 Aほどである。筆者の普通の機関車は0.1 A以下で動くのであるが、5倍も電流を喰っている。
 そのエネルギィは、フライホイールに注入されて蓄積されているのだ。巡航速度になると、電流は0.1 A以下である。制動時には電流は逆方向に流れる。発電しているのだ。その電流をダイオードで阻止してあれば、かなり惰行する。

 この様子を展示会で再現するように求められた。動かすと拍手喝采である。SS氏は、
「止まるときには、ブレーキシュウのきしり音が聞こえるようだ。」
と言った。なかなか止まらないのだ。

 その後で、T氏が、
「機関車だけで発進するのと、テンダをつないだ状態の発進とを比較してはどうか。」
と提案した。なるほどと思い、切離した。当鉄道の機関車群は、40年前から機関車だけで走るようになっている。
 機関車だけだとすいすいと走り、動きは滑らかだが、模型の動きである。動輪も滑らない。テンダを連結すると、途端に本物の動きになる。スロットルを開けるとじわりと動き、その開け具合が大きいと、動輪が半回転スリップして動いていく。
 これは数人が見ていただけだったが、皆歓声を上げて喜んだ。分かる人には分かるのである。雑誌社の人が分からないのは悲しい。
「分かるわけないよ」と言った人が何人かいるが、分かってもらわねばならない。 

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2021年11月24日

気が付く人

 先日の会合でのことである。何か面白いものは無いかと見て回っているうちに、筆者の展示にいらした方があった。機関車が、ゆっくりと前後進していた。
「あっ」と声を上げ、「ありえない!」と叫んだ。膝をついて見ている。
「一体これは何なのですか。実物の動きですよ。実物の起動停止の再現ができるのですね。DCCのなにかの機能の工夫ですか? いやそんなことではこれは出来ない!」 
と興奮していた。素晴らしい感性の持ち主である。本物をじっくり見たことがあり、普通の模型の動きとの違いに気が付いている方なのだ。模型の世界しか見ない人が多い中で、この方の考察は素晴らしかった。

 筆者は、ヒントを与えずにゆっくり動かすだけで、彼の考察の進展を見ていた。2分ほど掛かって、
「テンダ内に増速したフライホィールが入っているに違いない。」と正解を出した。素晴らしい方である。
「しかし、この静粛性はどうやって確保しているのだろう。」と考え込んでいた。問題点はそこなのである。よくぞ気が付かれたと思う。

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2021年11月22日

続 実物のような動き

 モータ軸にフライホィールを付けるというのは、モータの性能が悪く、均一な回転が出来ないとか、駆動系の出来が悪くて微妙なひっかかりがあるときの弥縫策(びほうさく)である、と剛氏はおっしゃった。根本的な解決ではないということである。また、モータに付いているものは、走行中は良いが、起動停止が不自然であるともおっしゃった。

 機関車の他の部分で慣性モーメントを稼がねばならないから、テンダ内に増速したフライホイールを付けたらどうか、と筆者は、提案した。剛氏は、大きく眼を見開いて、
「それだよ ! それしか無いね !!」
と興奮した。
「作って見せてよ。dda40xさんならできるでしょう!」
とおっしゃるので、頷かざるを得なかった。しかし、ギヤをたくさん使って、どのように効率を下げずに静かに駆動するかは、結構大きな問題であった。遊星ギヤを使う増速なども考えていたが、結局はウォームギヤの逆駆動とチェインによる方法に落ち着いたのは、ご覧の通り。より高性能なウォームギヤ・セットが出来たので、使ってみたのだ。静粛であることは類を見ない。正確な歯型を持つということは大切である。見かけだけの歯車も、世の中には存在している。

 その後、剛氏とは時々この話題で盛り上がった。ディーゼル電気機関車巨大な増速フライホィールを付けたのを持って行った。
「やっぱりこれですよね !  早くテンダに付けて見せて下さいよ。」と催促された。それから30年も掛かり、剛氏にお見せできなかったのは、残念であった。 

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2021年11月20日

実物のような動き

 先日のKKCの展示会でUP850の走行を披露した。主催者のリクエストが有ったので、長い展示スペイスを戴き、往復運転をして見せた。その展示会の出席者は、かなりレヴェルの高い人ばかりで、走行を見て、その違いに気が付く人が多かったのは喜ばしいことだった。

 10分ほどのスピーチの場も与えられたので、歴史的な背景の説明が出来た。その中で、35年ほど前の伊藤剛氏との会話を紹介したが、かなり驚かれたようだ。

setoden1setoden2 剛氏はOJゲージの瀬戸電を作られた。その動きは尋常ではない。木造の電車が、ガタガタギシギシと動く様子を再現していた。側板・妻板にはガタがあり、急停車すると平行四辺形になる。自作モータは軸が垂直に付き、そのアーマチュアが大きなフライホイールになっていた。直捲モータだから、軽いブラシしか抵抗がないので廻り続ける。すなわち、モータ自身に大きな慣性モーメントを持たせている。そのモータの磁路については製作時に打診があり、たまたま筆者の案と剛氏の案が一致した。
 剛氏は、
「どうしてあなたはこんな考え方をしたのか。」と問うた。
「父に聞いた話を思い出しただけです。」と答えると、かなり驚かれたようだった。

 もちろん、大きな慣性モーメントのおかげで、起動もゆっくりだ。巡航速度から電源をOFFにすると、「山口さんちのツトムくん」を歌い終わるまで廻っていた。(図はTMS 400, 401号より)

 運転状況を拝見していると、剛氏はこう言われた。
「もうお分かりとは思うけど、これは邪道です。動力系の慣性モーメントが最小になるように設計するのが常識です。それなのにモータ自身の慣性モーメントを最大にしているのは、おかしなものなのですよ。専門家の皆さんからは叱られそうですね。最近の模型では、機関車の中にフライホィールを付けて滑らかに走るようにしているものが多いのですが、正確に言えば、あれは間違いなのですよ。駆動系以外の慣性を大きくする工夫が必要なのです。誰もそんなことを考えようともしないのですけどね。今回は単車ですから、勘弁してよね。」
  
 電車はゆっくりと惰行して、素晴らしい走りだった。車体はゆらゆらとピッチングし、急停車すると車体がゆがんで、拍手喝采であった。 

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2021年06月29日

車軸の太さ

 M10000の改造依頼があったSE氏に完成した部品を送ったら、その日のうちに組付けして、youtubeにupされていた。あまりにも素早くて、驚いた。

 当方としての心配箇所は、付随車の台車の摩擦だった。送られてきた台車の車軸の回転は悪く、機関車の牽引力では牽けないだろうという感触があった。油を替えてみようと思い付いて、洗浄スプレーで溶剤を吹き付けた。もちろん回転させながら、念入りに洗った。乾燥後、Wako'sのエンジンオイルを注し、しばらく回転させて馴染ませた。再度洗って注油した。かなり軽くなったような気がする。200 gの錘を載せて斜面で調べると1.56%でも滑り降りる。 
 油は低粘度であるが、ミシン油より粘い。車のエンジンオイルを替えた時に缶の中に少し残ったのを取っておいたものだ。これでなくてはならぬと言うものではないが、適当な粘度で具合が良い。

 軸の太さ(半径比、テコ比)については、友人たちからいろいろな話題が出た。分かっている人にとっては当然のことだが、初めての人もいるだろうから、少し話をしたい。

 小学生のころ、インディアンが馬で引き摺って荷物を移動させる様子をテレビで見た。簡単なソリの片方を持ち上げて馬で牽かせるのだ。一緒に見ていた父は、「車輪にするとどうして楽に牽けるか、分かるか?」と聞いた。

 もちろんこの問題では、ソリには油を注す条件であり、それと比較するわけだ。これは小学生には難しい質問であった。答は、「車軸が細いから」であった。
 説明は、車軸の直径を車輪の直径の半分にするとどうなるか、から始まった。摩擦部分の速度が半分になるから、熱になるエネルギィが半分になる。それなら1/10にしたらどうなるというわけで、「車軸は折れない限り細くしたほうが有利だ」という結論を導いた。
 それ以来、車軸は硬い材料を用い、できる限り細くしている。潤滑は最重要項目である。


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2021年04月28日

14輌編成

express train Hato ようやく台車取替が終了したので、郵便車、荷物車も含めた14輌をつないだ状態での、要求される引張力を測定した。井上豊氏からは、たまにそういう編成もあったと聞いた。外国人の団体があると、荷物車が追加されるそうで、重くて大変だったそうだ。
 走行抵抗について正確に測定した。とても小さい。先回の測定時には、台車のブレーキがタイヤに当たっていたものが多かった。
 3Dプリントでは、ブレーキがぎりぎりのところに出力されるので、当たっていても分からない。今回はブレーキを確実に離して、より滑らかに動くようにして測定した。

 14輌編成に対して要求される引張力は、平坦な直線路では 0.2 N(約20 g重)という、信じられないほどの小さな値となった。単純な計算で分かるように、直線では0.3%の勾配で滑り降りるということだ。

 1.56%勾配、3000 mmRでは、必要な引張力は 1.9 N(185 g重)であった。この勾配では、曲線で抵抗があるにもかかわらず、手を離すと列車全体が勝手に滑り降りていき、猛烈な速度になる。

 機関車に要求される引張力は、185 × 1.2 = 222 g重で、摩擦係数を0.2とすると、機関車の動輪上重量は 1100 g重ほどあれば良い。先輪を含めて機関車の質量は1.6 kgで十分である。1.56%勾配をスケールスピード70 km/hで登るとすると、機関車自身の質量を押し上げる仕事率を含めても、1 Wほどの出力があればよい。
 全伝達効率が3割としても、3 Wの出力で足りることになる。実際にはもっと良いので、2 Wでもよいだろう。ということは、勾配を登るときの電流値は0.2 A強である 。

 実際には全車に照明を付けるので、0.6 Aほど喰うことになるだろう。 

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2021年04月26日

軽い機関車でたくさん牽く

 先の記事で、軽い機関車になるということを書いたが、それについてのコメント、私信をたくさん戴いた。表題の概念は、機関車の持つべき特性のうち最大のものであり、実物の世界では、ありとあらゆる方法で、それを実現すべく取り組んできた。 しかし模型の世界では外見ばかりで、実効性のある設計法にはほとんどお目にかからない。


 今回の列車に必要な牽引力は、列車の現物があるから、勾配、曲線上での数値がすぐ測定できる。過去の経験では、引張力はその数字の2割増しであれば、確実な運転ができる。
 摩擦係数から、機関車の動輪上重量は直ちに算出されるから、先従輪の軸重を足せば、機関車の質量はすぐ求まる。この辺りは中学校の理科の題材であろう。

 問題は、機関車の伝導方式である。OJ、Oゲージでは各軸モータ、吊掛け式がもてはやされる。実感的なのだそうだ。ところがどの作品を見せて戴いても、用いているモータのトルクは小さく、しかもギヤ比が小さいものが大半である。スリップしない。ギヤが見えているものがほとんどだ。油は飛ぶし、綿ぼこりを巻き込む。

 スリップしない機関車はモータが焼ける設計時にそこを押さえていないと、重負荷を掛けられない。やはり勾配線で長大列車を牽かせたことが無いから、気が付いていないのではないか。
 
 さらに大事なことを言えば、動軸が連動していない。模型であるから、伝導方式は実物の通りにする必要はない。全動軸を連動させれば、静止摩擦係数による摩擦力の限界まで引張れる。すなわち軽い機関車でたくさん牽けるのだ。そこを考えた模型には、なかなかお目に掛からない。

 動輪が個別にスリップする様子を見たい人が居る、とは思えない。そもそもスリップしないのだ。以前は連動すると押しても動かなかったが、3条ウォームがあるから、いとも簡単に押せば動く。 

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2021年04月16日

EF58の牽く特急列車

 1.56%の勾配、半径2900 mmの線路上での牽引に必要な引張力を測定した。小さなモータを使っても十分である。設計は簡単だ。

Hato pullled by EF58 旧車体のEF58が来ているので、その下廻りを新製すればよい。簡単な工作である。昔のOゲージであるが、新しい生命を吹き込まれて、素晴らしい走りを披露できるはずだ。昭和28年(1953年)当時の編成である。詳しい情報を集めている。

 このカツミ製の電気機関車はとても重い。6 kg弱もある。当時は客車の軸受がでたらめなので、機関車には最大限に補重し、最強力のスーパー20モータを2台搭載している。起動電流は、5 Aをはるかに上廻るようだ。手元の3 A 電源では動かせない。中身を全部捨てて、新たなメカニズムを搭載する。
 現代の機関車は、0.1 Aで軽く起動する。軽く作れるので、勾配線上で自身を持ち上げるのに必要なエネルギィも小さくなる。勾配のあるレイアウトは少ないので、本当の実力がわかりにくい。ただ重い機関車では意味がないことはすぐには見えないから、そのまま満足してしまう例が多いと感じる。
 
 この機関車の改良工事に関する唯一の問題は、Φ27のスポーク動輪を調達することである。良好な形状のフランジを持つ車輪が必要だ。

 スポークを持つ先輪は、一体のLow-Dでは作れない。ステンレスタイヤを作って嵌めなければならない。8枚挽くのは、かなり面倒だ。できないことはないが、難しい作業だ。しかしこれも、タイヤの頒布希望者があれば可能になるかもしれない。

  当博物館においては、唯一の国鉄型車輌となる。いずれ、C62もやって来る予定であるので、その下廻りの改造部品を用意している。鋼タイヤの動輪と差し替える。蒸機の場合は、動輪上重量を大きくせねばならない。機関車は2.5 kg以上になるだろうから、テンダを含めると3.2 kgほどになるはずだ。その先従輪、テンダ車輪はLow-Dになる。これは、プレート車輪だから簡単だ。


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2021年03月09日

続 double slip mechanism

double slip mechanism4 テコの長さを 2:1 に内分する点を回転軸としてみよう。そうすると腕の長さが違うので、力は 1:2 となり目的を達する。
 一方がある程度動いて、目的地点まで到達すると支点となり、他方が別の目的地点に向かって動く。
 下の図の左端が目的地に到着すると右端が上に行き、同時に回転軸も上に、その 2/3 移動する。トルクを与えている軸が動くことになるのだ。これは問題だ。

 軸にはモータが付いている。モータはある程度動くと同時に、反トルクを受け持つ何らかの機構を持たねばならない。しかもテコの作動面とモータの位置は、上下にある程度離れているから、反トルク承けの構造は捻りに耐える工夫が必要である。そうなると、かなり難しい構造を覚悟せねばならない。

 トルクアームをどうすべきか、あるいは小さなギヤボックスを付けて、トルクチューブにするか、それともつまらぬことを考えずにテコを延長するか、しばらく悩んでいた。
 皆さんならどうされるだろう。 

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2021年03月07日

double slip mechanism

 いくつかお答を戴いている。フレッド折澤様が正解で、その他の方は部分的に良くても、うまくいかないこともあるので不正解とした。

double slip mechanism この図を見て戴きたい。上の図は単純な天秤棒で、2倍の荷重が掛かっている方に近いところを押せば、すべてが均等に押される。
 中の図はテコを右に延長したものである。テコの右端を下に押すと、左端が動作を終えて引っ掛かり、支点となる。すると中心の部分が作用点になる。2点を2倍の力で押すから、すべての点が均等の力で押されることになる。
 下の図では、中の2点が支点となった状態である。左の作用点は力点と同じ力となり、中点は2倍となるが、2点に分配されて均等になるというわけだ。

 これらの動作中、長孔は何ら力が掛かっていないので、不要である。実はその部分は、単にスライドするだけの滑り子を作ってある。

 テコを延長するのが最も簡単な解決法だが、偶力が働いているのだから、トルクと置き換えできる。    


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2021年01月12日

scientific であるということ (6)

 次元という概念は難しいと思われがちで、敬遠する人は多いが、そんなことはない。日常生活では、時間という次元を含む概念は多く存在する。

 速度は時間当たりの距離変化で、加速度は時間当たりの速度変化である。月給という概念も、ひと月という時間当たりの給金と考えれば、そう難しい話でもない。しかし、昇給があると加速度を感じるかどうかは、微妙である。

 しばらく前の天秤…の件も、剛体の組み合わせでの変位を考えているときに、弾性梁を入れると言い始めたわけだ。弾性があると時間当たりの変位は遅れが生じ、その変位の遅れは、のちに放出されたエネルギィで面倒な動きになる。それを何らかのダンピングを利かせた機構で緩和せねばならない。そういうことを総合的に考えるのは人間の頭ではとても無理だから、とりあえず弾性体を分離し、時間の次元を外して、剛体だけでコマ送りのいくつかの場面での釣り合いを考えるのである。それを最初から弾性梁を導入しようというのであるから、これまたファンタジィに取り込まれているのである。

 議論を始める前に、この話はどの次元での話か、を決めない人とは議論ができないというのはこういうことである。相手が知らない概念を出して、こけ脅しする人も居るが、それは古い手である。実際には、自分自身も理解していない場合もあるようだ。 


 牽引力を測定すると機関車の出力がわかると信じていた人が居た。1950年のModel Railroaderの記事に、それがあった。
 情けないことに時間の次元が抜けていて、全く意味不明の記事であったが、情けないことに、TMSにはその受け売りがそのまま書いてあった。高校一年の物理の教科書レベルの理解ができていない。当時の伊藤 剛氏のクラブ会報での対応は実に見事であったが、TMSには訂正記事は載らなかったように思う。訂正は必要なことだが、尻ぬぐいをしない人たちが雑誌を作っている。

 これは遠い昔の話だと思っていたが、最近もウェブ上にその種の記事があるそうで、進歩が無いことに驚いている。

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2021年01月04日

scientific であるということ (2)

 開発から25年を経て、Low-D の追試が行われている。高梨氏とは何回かお話したが、意図的に内容については話さなかった。予断を与えるといけないからだ。高梨氏もサイエンティストなのでその点はわきまえていて、答を聞くということは一切無かった。そういう意味でも、極めて客観的な実験である。

 結論としては、筆者のLow-Dと全くと言ってよいほど、同じになった。これは何を物語るのだろう。

 今まで、筆者の実験結果を否定する論調の記事がいくつかあった。自称技術者なのに、実験をしていない。摩擦係数すら測定していない。そこにあるのは、否定せねばならないという感情だけである。どうやら実物業界の方は、実物理論が模型に適用されると信じているらしい。線路の曲率も、質量も、材質も異なるものにも、同じ理論が完全に適用されると思っているのだ。Low-Dの車輪断面では乗り心地が悪い、とまで書いた人が居て、失笑した。

 O scaleの世界では、もうそのようなことを言う時代はとっくに過ぎ去って、無風ないし僅かの追い風状態である。むしろ、他の車輪を手に入れることが難しく、かつそれが高価であるから、この車輪が欲しいのだそうだ。安くて性能が良いので、注文が多い。国内では、すでにデファクト・スタンダードになっている。

 HOの人たちは、「HOでは実現が難しい」と思い込んでいた人が多かった。実験してみれば良いのに誰も手を付けない。観察は難しいことではないが、やる人が居なかった。この国の教育では、観察から始まる考察によって、正しい推論を得る訓練が少ないのではないか。答の出し方しか興味のない人が多い。しかも、それは必ず答が用意されている問題を解くことである。

 高梨氏が、
「やってみたい。」
とおっしゃったので、
「どうぞご自由になさってください。私の記事は、ある程度参考にはなるかもしれませんが、HOではまた別の解があるかもしれませんね。」
 と答えた。先入観を植え付けるといけないので、それ以上、何も言わないことにしたのだ。 

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2021年01月02日

scientific であるということ (1)

 先日のコメントでサイエンティフィックという言葉を出したら、反応した方が何人かいらした。どなたも肯定的で、もっと詳しく書いたらどうかということであった。(太字を強く発音する)

 筆者は、サイエンティストのはしくれである。客観性のあるもののみを追求してきた。世の中にはいろいろな人が居て、主観的なことをゴリ押しして恥じない人が居る。また歴史を無視して捏造したり、自称専門家でも、サイエンスを無視する人が居る。


 例えばこういう例を考える。ある人がAを見て、それに対する評価がXであったとする。その人がAをもう一度見せられた時に、Yという評価をするならば、そういう人とはお付き合いしかねる。その2回のチャンスに大きな時間的距離があった場合は、持っている知識の理解度が変化しているからそういうことはありうるが、1週間で評価が変わるのは理解しがたい。その変化の説明を求めると、たいての場合、支離滅裂だ。
 何回でも同じ評価をする人が、サイエンティストだ。しかも他のサイエンティストに聞いてみても、同じ答えが返って来る。同じでなければならないのだ。
 実験をしても、その結果はいつも同一でなければならない。再現性の無い実験では意味がない。


 筆者は低抵抗車輪の開発に数年掛けている。その間、様々な仮説を立てて実験し、どの方法が最も良い結果を生むかを調べた。各国の車輪、規格を調べて表を作り、現物を入手して全く同じ軸受で試験した。車輪は快削材で出来ているので、フランジ形状の変更は簡単だ。摩擦係数もいろいろな組み合わせで調べた。レイルとの当たり具合を望遠鏡で覗き、フランジが当らないフランジ角を、曲線半径ごとに確認した。

 旋盤屋をなだめすかして仕事をさせ、300軸作ったのが最初のロットである。それを使って走行試験をして、吉岡精一氏、魚田真一郎氏らに配り、使用感を聞いた。結果は「極めて優秀」であった。その後、何度か再生産され現在までに4万軸程出ていった。利潤は無い。工場は3箇所目である。工場は相次いで倒産して蓄積されたノウハウが失われたが、工作機械の進歩で、より素晴らしい仕上がりのものが得られるようになった。同じ図面を持って行くと同じものが出来るのは、サイエンティフィックである。昔はそうでもなかった。”腕”が必要な仕事であったのだ。


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2020年12月17日

またまた天秤棒…

 できれば触れるのを避けたかったのだが、コメントでぐさりと刺されてしまったので触れない訳にはいかなくなった。その通りである。コメント主は鋭い方だ。

 例の天秤棒ナントカはイコライザではないのである。この台車は弾性のある材料でできているので、かなり自由に捻られる。ただしボルスタが撓んだりしないように設計してある。

 奇しくも、筆者の愛車の前輪スタビライザ・リンクが傷んで、異音がし始めたところである。交換せねばならない。試しに右前輪だけを、整備用の斜面を登らせ、最大限持ち上げてバネを底衝きさせてみると、スタビライザは限界まで捻られた。その時、タイヤに掛かる力は右前と左後が極大値に達し、残りの2輪の輪重はかなり減る。これを「イコライズされている」と言う訳にはいかないのは、当然だ。スタビライザが無いと、左前のタイヤにはほとんど力が、掛からなくなるはずだが、それを多少緩和しているに過ぎない。

 この試作台車の一輪の下に何かを挟んで、センタピンに錘を載せると、同じようなことになる。ボルスタのセンタピンは僅かに傾く。もっとも、線路の不整は極めて小さい量なので、輪重変化は少なく、ほとんど同一であろう。その範囲ではイコライザと言っても良いのかもしれないが、それは単なる言葉遊びである。

 この件については解決済みであるが、いまだにくすぶっている人も居るようだ。要は定義域の問題で、身勝手な定義を振り回しているということだろう。


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2020年12月13日

続々 Sofue Joint

 1本ピンのSofue Jointはトルクを伝えているのではない。変位を伝えているのだ。この説明をどのように書けば一番わかりやすいか、といろいろ考えた。

 早い話が、クランクを手で廻していることと同じなのである。フライス盤のZ軸高さを決めるネジのクランクは、本体が重くないと廻せない。小型のフライスでは押さえつけないと、本体が踊ってしまうだろう。
 いつも有用なコメントを送って戴くTavata氏も、「氷かきのクランクと同じ」という解釈を送って来られた。確かにこれも、本体を押さえ込んで足を踏ん張って廻さなければならない。

 頑丈な構造体の中に、ある半径のクランクがあって、他方の腕でそれが廻されているわけだ。沢山の腕で廻すと考えると、多気筒の星形エンジンも似ているだろう。
 丈夫な構造体を作る余裕があれば、製作は容易で、動作は確実である。微妙な芯ずれが許されるのは、製作者にとってはありがたいことだ。

 今回製作中の機関車に組み込むかは思案中である。

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2020年09月08日

続々 模型を作ると…

 模型と実物の違いは何度も扱ってきたが、果たしてどの程度の読者がそれについて理解しているか、また興味を示すかは不明である。しかし、レイアウト上を列車を牽いて走らせている人は、すぐに理解し、改善策があればすぐ実行に移すだろう。
 故人となられたが、閑林憲一氏はその素晴らしい実例であった。すべての車輌を sprung で equalized とし、自宅レイアウトでポイントをくねくねと渡らせてご満悦であった。走行性能を上げることは、外観をいじくり回すことよりはるかに大切である、ということをクラブ員にいつも語っていらした方であった。

 さて、読者の方から長文のメイルを戴いた。少し短くして掲載する許可を得たので転載する。理論と現実のギャップについて書かれている。 

 16番以下のモデルを中心に遊んでいる人には、丁寧に説明されても大スケールや実物での素材強度や挙動を想像するのは難しいのではと思います。

 TMSは、ほぼ16番模型趣味工作専門誌としてやってきて、一般実用機械工学的な知識情報からのアプローチは、編集部としても読者の要求からもあまり顧みられなかったということがあるのかもしれません。

 私の場合もイコライザやバネには興味を持っていろいろと試してみたりもしましたが、絶対的に質量が小さなHOスケール(16.5mm、9mm gauge)Nスケールでは、実用上殆ど意味が無いということを感じて、私のスクラッチの動力は、欧州型模型製品のように縦軸方向に少しガタのある固定軸方式に決めています。もちろん集電のためにできる限りウェイトは積みますが、挙動に影響を与えるような質量では全くありません。影響が出るようなスピードで走らせることもありませんから。

 16番の世界で精巧なイコライザーを組み込んだ作品を作られている方々はたくさんおられますが、それは特殊な世界のように感じます。
 最近は、小さなスケールでもフライホイールを採用する製品が増えてきたことで、質量、慣性に関心を持つ人は増えてきているのではと思いますが、それでも車輌自体の走行性や挙動と結びつける人はまだまだ少ないでしょうし、実際のところそれを理解する必要性も実用性もないのだから、それでいいのではとも思っています。すこしさみしい気がしないでもないですが、ここで指摘してもあまり良いことがあるような気がしません。
  

 これには返事を差し上げたが、その要旨は、下記の通りである。
 誰も興味がなさそうに見えても、この種の主張は必要である。模型誌が書かない以上、誰かが理解し実際に作ってみてその効果を確かめることができるように、最大限の改善の実例は発表しておくべきである。軽便列車ではその違いはあまり感じられないだろうが、本線上を機関車に牽かれて走る長大列車では、その差は極めて大きいのである。



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2020年09月06日

続 模型を作ると…

 学生の頃、生物の講義で筆者の質問に対して講師が展開した話が、実に面白かったことを覚えている。
 それは生物が巨大化できる限界の話である。豪州のジャングルだったか、しかとは覚えがないが、とても太いミミズが居るらしい。長さが3 mくらいで胴回りは10 cmくらいだそうだ。
 動きは遅く、危険なものではないとのことだったが、それより太いものは存在しないということだった。その根拠は、心臓を持たず酸素を体の隅々まで運ぶことができないから、体表面から吸収した酸素が内部まで届く限界が2 cm以下らしい。これが蛇なら心臓を持つので、動作は機敏である。
 ついでに恐竜はどこまで大きくなれるものかという質問に対しては、骨の材質が現在の爬虫類と同じなら、既に限界を超えていたという。恐竜の骨を見ると骨折しているものが多いそうだ。自重を支えきれないのだ。大きなものは壊れやすいという実例を見たことになる。そのことをアメリカにある恐竜の博物館で聞いてみた。ほとんどの個体で大腿骨にひびが入っているのが見つかるらしい。
 ゴジラほど大きなものはありえないのは自明だ。

 
 T氏が送ってくれたURLを開くと、2乗3乗則について興味深い話があった。是非お読み戴きたい。大きなものは壊れやすく、小さなものは頑丈だ。しかし、小さなものは慣性が小さく、慣性のある動きはどうしても作れない。電子的な疑似制御ではない機械的な方法で慣性を増やした動きを再現するには、高速回転のフライホィールしかないのだ。このあたりのことはこのブログで何度も紹介しているのだが、理解戴けない人が少なからずいる。

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2020年09月04日

模型を作ると…

 模型と実物は違う。筆者は高校生の時に兄からその話を聞いた。兄は航空分野に居た。飛行機の設計時に用いる風洞実験の話を聞くと、Reynolds Numberというものを導入するのだ、と説明してくれた。模型にぶつかる空気の粒子も、実物にぶつかる空気の粒子と同じだからだ。気体分子は縮小できないことを忘れてはならない。また、ヤング率が一定だから縮小模型は相対的に堅くなるということも、その時知った。

「お前の作っている模型はオモチャだ。本物はもっと柔らかい。レイルも、枕木も、砂利も柔らかい。車体なんて、手で持ったら潰れるようでなければ、本物のような動きはしない。」とも言った。

 模型は実物の1次近似寸法を縮尺通りに作れば、動きも含めて、すべてを実物通りに縮小近似できる)だと主張するようなおめでたい人も居るから、模型界は進歩しない。模型は手で持つからある程度の堅さが必要であるが、下廻りは最大限の柔軟性を持たせねばならない。ところが、「イコライザさえあれば、バネは不要である」という、とんでもない迷信が、大手を振ってのさばっている。これについてはTMSなどで「そうではない」という記事を見たことがない。

 小さなHO以下の軽い模型は壊れにくいだろうが、少し重い模型は、バネ無しでは、すぐにヘタってくるのが分かる。またポイントのフログがてきめんに傷む。HOでさえも、バネが利いている車輛の走行音の軽さには、驚くはずだ。何らかの緩衝機能がないと、壊れていくのである。
 ゴムでも良いのだ。何かの緩衝材が入っていると音は極端に小さくなり、車輛は長持ちする。これは井上豊氏が研究していた。その続きをやれと言われていたが、重ね板バネの効果を確かめ、ゴム板による台車センタピン支持で消音効果があることを立証した程度である。

 模型のカーヴでの挙動について、「遠心力」という言葉を用いている記事はすべて誤りと言ってよい。高校1年の物理の教科書を開いて計算すれば、愕然とする人は多いはずだ。考慮する必要がないことは明白である。即ち、カントは気分の問題である。傾いていると気持ちが良い、という程度のことである。また、自然振り子電車は、実現できるわけがないことは自明だ。

 いつも的確な指摘を下さる工学エキスパートのT氏から、興味深い記事を送って戴いたので紹介したい。

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2020年02月13日

続 慣性

 動画はご覧戴けただろうか。午前中、公開までの審査時間が掛かって、見ることができないという苦情を戴いたが、昼過ぎには見えるようになっていた。この頃は投稿された動画の内容を審査するのだそうだ。人間と機械で見るそうだが、大変な話だ。 

 今回の慣性増大装置付きテンダを作っている時、何人かの友人に見せた。すぐに真価を読み取って、期待してくれた人は多かった。しかし、完成したものを見せると、その動きには驚嘆した。こんなに慣性が大きいとは思わなかったと言う。慣性モーメントの計算は事前にある程度してあったので、筆者としては大体予想通りであった。途中で、回転体を軽くせねば事故が起こることが分かった。それで変更したことに関しては、やや心配した。小さなスプロケットを使う羽目になったので、効率が低下するからだ。結果としては十分な効果があった。

 また、メイルで概要を伝えただけなのに、「ケガに気を付けてください」と書いてきた人はSG氏だ。慣性の大きなものを扱っていらっしゃるから、よく分かるのだろう。確かに高速で廻っているフライホィールに、何かが巻きこまれると、大変なことになる。そう簡単には止まらないからだ。過去のSG氏の作品には小さいながらよく動くナロゥの機関車がある。モータの回転数の数倍の速さで小さなフライホィールが廻っている。

 今、ここに170 kgの錘があるとする、と言っても実感が湧かないだろう。それならこれはどうだろう。小型の梵鐘程度の物体がぶら下がっている。小型といっても170 kgもある。それをつっ突いて振幅 2 cmほどで揺らす。堅い壁の近くにぶら下がっていて、揺れて壁に触りそうな状況を考える。その隙間に指を突っ込むと・・・
 そんな馬鹿なことをする人は居ないが、やれば指は潰れる可能性がある。重いものは危ないのである。それと同等の慣性を持つ模型車輛が走るのだ。

 今回のテンダは、車輪が滑るから安全である。もしラック式の模型であれば、極めて危険だ。車輪が滑らないから、連結時に指を挟むと大けがである。
 設計時に様々な計算をした。チェインが先に切れるか、車輪が滑るかを知りたかったのである。重いとチェインが切れることは予測できた。もちろん、4軸から動力採取している方だ。
 
 Low-Dはステンレス製なので、摩擦はやや少ない。動画でテンダだけを押し付けて動かす場面があるが、摩擦を大きくするためである。押さえ付けておいて速く動かして加速すると、チェインが変な音を立て始めるのを感じる。また、強く押し付けて無理に加速すると、たちまち切れるだろう。

 慣性を軽く見ると、事故の元であるのは間違いない。


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2020年02月11日

慣性

 昔は駅ごとに貨物取扱があって、何輌かの貨車が止まっていた。日通の倉庫もあり、貨物用に起重機(古い言い回しだ)もあった。貨車移動機もあって、入替をしていた。押された貨車は切り離され、200 mほど先まで滑って行った。途中で係員が飛び乗って、足でブレーキを踏んだ。
 子供のころ、それがやりたくて同じような線路を敷き、軸受に油を注して押したが、全く走っていかない。父に聞くと、「はずみ車を入れれば何とかなるが、お前にはまだ無理だ。」と言われた。

 おもちゃの自動車を押した。いわゆるフリクション・ドライヴである。床に押し付けて前進させると、ぴゅーと走っていく。なるほどとは思ったが、これを全ての貨車に付けることができるとは思えなかった。

 要するに、模型の慣性はとても小さい。1/48なら、慣性による滑走距離も1/48になるということは、以前示した通りである。小さな体積に詰め込んだものにエネルギィを蓄え、見かけ上の慣性を表現するのは、このはずみ車以外ない。DCC運転では、ある程度の慣性表現ができるが、それは電気的に作られた見かけの慣性である。物理的な慣性の方がはるかに実感的である。
 幸い、高効率のウォームギヤの逆駆動により無音で増速でき、チェインでさらに増速できたので、比較的軽く、また、小さくまとめることができた。

 テンダはオリジナルで1.3 kgある。砂鋳物の台車であってかなり重い。それに丈夫な支持台とはずみ車が付いているので2.4 kgほどである。補強には材料を100 gほど使った。重くないと摩擦力が稼げないが、重過ぎると摩擦力が増え、チェインに負担が掛かる。

 テンダの先台車は、2軸から動力を採取している。一方、5軸台車の方は4軸から動力を採取しているので、後者のトルクは2倍である。後部のチェインには前部の2倍の張力が掛かる。ここにはスペイスがあるので、いずれスプロケットを増設して、2本掛けにする。そうしないと、加減速の時のチェインの音を小さくできない。

 こんなに小さなフライホィールなのに、回転速度が大きいので、蓄えられるエネルギィは大きい。機関車の起動時、テンダ無しなら1.3 V、75 mAで動き出すのに、4 V 0.80 A必要だ。非常に重い列車を引っ張っているかのようだ。もちろん動き出したら、ほとんど電流は喰わない。
 このフライホィールは570 gほどしかないが、170 kgほどの錘と同等の慣性を持つ。大人の男性2人強の静止質量が、摩擦の無い台車に載っていると思えば良い。出発時、ある速度に到達するまでの間、かなりの時間、力を入れて引張り続けなければならない。高校で物理を習った時、F = ma を実感させる実験を見たことがあるかもしれない。重い物を早く加速するには、大きな力が必要である。細い紐で引張ると、切れてしまう。
  
 この模型で、その紐に相当するのはチェインである。初めの作例よりフライホィールを小さくしたのは、全体を軽くして摩擦力を減らし、トルクを制限する必要があったからである。元のままではチェインは、いずれ切れると予測された。それほど、この慣性は大きいのだ。

 慣性モーメントの計算は久しくやったことがなく、 かなり手間取った。
S氏やT氏の助けもあり、慣性の値を確定させることができた。当初の筆者の計算値は、10%ほど小さめであったが、加速時のチェインの張力は、見当が付いたので質量を小さくした。作品が戻ってきたら、チェインの補強をするつもりだ。ここを歯車にすれば良かったのに、との能天気なご意見も戴いたが、それでは事故時に修復不能なダメージを受ける。工作機械にベルト伝導が用いられているのと同じである。チェインは、電気器具で言えば、フューズの役割も持っていることになる。 

 走行状況を Youtube にUPした。とりあえず英語版だけである。 

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2020年01月20日

慣性モーメント

Flywheel (2) このテンダは全軸コイルバネ懸架である。錘を載せていくと、3 kgでバネが完全に沈み込む。即ち、2.4 kgほどに仕上げないとバネの意味がない。そのあたりではバネがよく利いている感じがする。摩擦係数から、取り出せる最大トルクが分かり、フライホィールの慣性モーメントから、テンダ車輪がスリップしない最大の加速度が計算できる。物理が得意な人なら、自力で計算できるだろう。ギヤ比は3: 23 で、チェインでの増速は 15:20 であるから、増速率は 10.2 倍である。チェインの場合は歯数に公約数があっても、ほとんどの場合問題にならない。

 ウォームによる増速は無音である。当初はチェインが枠に当たる音がしていたが、それは完全に修整できた。ごくわずかのチェインの音がするが、気になるほどでもない。大きな円筒が高速で廻るのはなかなか壮観である。それは発電タービン音のヒューンという音に似ているが、テンダの車体を被せると殆ど聞こえない。聞こえるのは車輪の転動音である。

first generationsecond generation 当初は左の写真のような大きなフライホィールを廻していたが、やや重過ぎることが分かり、小さくしたと同時に、回転数を上げた。回転数を上げれば、その2乗で効くので、最終段の 4/3倍は 1.78倍の効果を生み出した。即ち、フライホィールの長さを56%にしても、慣性モーメントは元の値と同じである。重いフライホィールは衝撃に対して弱いから、少しでも軽くするべきである。留めネジ(ホロゥ・セットスクリュウ)の短いのが見つからず、とりあえず撮った写真である。現在は短いものを用いている。

 事前にある程度の計算は必要であるが、結論は摩擦係数の比より明白である。動輪は鉄タイヤで、テンダはステンレスタイヤであるから、摩擦係数は異なる。機関車動輪上重量が2.0 kg以下であると、動輪がテンダ車輪より先にスリップする。機関車の質量は、その数字を満たす範囲にある。


 機関車の質量は3.0 kg程度が良いことが分かった。大まかに機関車の質量を積算すると、おおよそ2.8 kg見当なので、200 gほどの補重で足りる。35年前作った時は、牽引力の限界を計算して1.2 kgほど足したが、今回はかなり軽くなる。重心位置の補正錘程度でよいことが分かった。先従輪には十分な軸重を与えて、復元を利かせている。
 前回は機関車の動輪のスリップ限界をモータの焼けない電流値から算出したが、今回はテンダのスリップ限界がすべてを決める。動輪は余力を持ってスリップしてもらうことになっている。重客車列車を牽かせるが、十分な引張力があることは確かめられている。但し、運転は習熟した者しかできないはずだ。駅で所定の位置に止めるのは、難しい。

 筆者が何をしたいかは、読者諸賢には既にお分かりだろう。

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2019年09月05日

再度 慣性について

 むすこたかなし氏の記事を読まれた感想を、たくさんの方から戴いた。

 Tavata氏が、慣性力は見かけの慣性力はスケールに応じて小さくなるという証明をされている。その通りなのだ。

 模型を作られる方の中で、模型は本物とは違うと考えた上で作られる方は少ない。特に実物から入った方には、縮小したものを作るとそれが実物のように動く、と勘違いしている人が多いように思う。非常に細かいところまで作って悦に入っているのだが、走りが良いものには、あまりお目に掛からない。あちこちの運転会に行って、走りを見ているが、ギィギィゴロゴロと走る車輛が多い。

 小さい模型は惰力を再現させることが難しい。管 晴彦氏のナロゥゲージの小型機関車が走るところを、ご覧になった方もいらっしゃるだろう。素晴らしい慣性を見せてくれる。HOスケールでここまでの慣性を持たせるために、管氏はモータ軸と同軸のフライホィールを増速している。径が小さいので、高回転にする以外、慣性モーメントの効果を大きくする方法はないのだ。

 縮小模型の慣性は小さい。高校1年程度の簡単な物理計算であるから、模型を作る人は一応やっておくべきだろう。
 摩擦を減らし、質量を大きくし、回転数を上げる。この三つを同時に組合せれば、見かけ上の慣性が増大し、素晴らしい走りを再現できるであろう。筆者が考案した、慣性が本物のように有るテンダの試作機は8割がた出来ているが、博物館が開業するまでは完成できない。

 どんなに精密につくられた模型も、よく走る模型には敵わないということは、椙山 満氏のレイアウト上で体感している。HOの世界では、井上 豊氏の作られた模型の走りが群を抜いて良かった。高校生の時にそれを見せて戴き、その時に受けたインパクトが、現在にまでつながっている。

 2月からの罵詈雑言を含めて多量のコメントを受け取っているが、その中に、
「走行性能ばかりを言うのはおかしい。よく走らなくても良いではないか。」
と書いて来た方があった。
 こういう方が 12 mmゲージ陣営の中にどの程度いらっしゃるのかは知らないが、非常にまずいことだと思う。

 管氏のリンクを更新した。完成時の動画はこちらにある。 (9/6/2019)

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2019年01月04日

蒸気機関車の音の再生

618_0131 正月に音楽家の友人に招かれて、演奏を聞いた。彼は仕事をやめた後、専用の建物でジャズの教室、演奏会を開いている。設備は相当なものである。各種のオーディオ装置を完備し、レコードは1万枚弱を持っている。彼はもともと電気工学出身で、オーディオは専門家であった。
 レコード再生には非接触のレーザ光によるプレイヤを用い、 特殊な真空管アンプを通して聴く。スピーカはイギリス製の何とかという珍しいブランドだ。巨大な超低音再生スピーカもある。それを入れたり切ったりして、効果を確かめながら聞いた。

 筆者は、アンプはFETがベストという結論を持っているので、真空管アンプ至上主義者からは睨まれている。それは物理学的な考察の結果であり、情緒的なものではない。少なくともFETは安い。安くていい音がすれば良いではないかということだ。
 それはともかく、今回は彼のオーディオ装置を通して聞かせて貰うことになった。真空管アンプ特有の音がし、それはそれで楽しめた。

618_0129 筆者を招待したので、友人は蒸気機関車の音を収録したレコードを特別に用意して、待っていた。全員の前でそれを再生した。素晴らしい臨場感で、感動した。
 Santa Feの最終蒸気運転のレコードで、4-8-4がロスアンジェルスからパサディナを抜け、カホン峠を行く様子が収められている。B面にはデイライトとキャブ・フォワードの音も入っている。後者はスリップして、音がずれていく様子が分かる。
 我が家でいつも聞いているCD再生音とは、根本的に違うと感じた。ここからは彼の講釈である。

 CDは20,000 Hz以上の周波数をカットしている。しかしレコードはそうではない。極端な低周波も高周波も一応、物理的に可能な範囲を収録している。その部分はHi-Fiではないかもしれないが、ゼロではない。
 音響効果が考えてある部屋でそれを再生すると、様々なものに当り、共振させ、耳に入る。共振は倍音、半音その他いろいろな成分を持っている。それが総合されて耳に入るので、臨場感が生まれる。この音をヘッドフォンで聴くと、面白くない。反響、共鳴がほとんど期待できないからだ。


 臨場感は本物と同じという意味ではない。本物ではないが、聞いた人に「そうかもしれないという感じ」を与えるような響きを生じることらしい。彼の意見に完全に同意はできないが、かなり説得力のある説明であった。ちなみに筆者は聴力試験の結果、12,000Hz以上はほとんど聞こえていないらしいが、違いは感じた。

 帰宅後、手持ちの蒸気機関車の録音を全部聞いた。頭の中は排気音と汽笛で満たされた。DCCの再生音とは違う。もちろんPFM方式とも根本的に違う。
 
 余韻に浸っているうちに、様々なことが頭の中を巡り、しばらく前のMRに載っていたオーディオ方式を試してみたくなってきた。それは、車載DCC以外に、固定されたDCCからの音声のうち、重低音部分を重低音専用スピーカを経て、レイアウト全体にばらまくというアイデアだ。低音は指向性がないので、一箇所あれば有効だ。
 ディーゼル・エンジンの腹の皮がぶるぶると共振するような重低音を味わうことができる筈だが、隣の家のガラス戸が震えるかもしれない。面白そうだ。

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2018年10月12日

ブレーキ

 鉄道のブレーキは自動車に比べれば効きにくい。摩擦係数を考えれば自明だが、それが分からない人が居た。

 川端氏の体験談だ。関西線八田駅近くで、単機回送のC57を運転していたところ、踏切にトラックが入り込んでエンストしたらしい。すぐに急ブレーキを掛けたが間に合わず、トラックをはねた。そのトラックはばらばらになり、運転手は即死した。

 処理は終わったと思ったが、検察庁から二度も呼び出しが来た。そのトラックを見つけてからブレーキを掛けるまでの時間を問われたそうだ。すぐに掛けたと言っても信用しない。
「列車を牽いているならまだしも、単機回送なのだから直ちにブレーキを掛ければ、急停止できるはずだ。ぶつかっても仕方がないと、漫然とした運転をしていたに違いない。」
とその検事は嫌疑をかけ、主張を曲げない。
「どんなに急ブレーキを掛けても、止まれないものは止まれない。」
と言っても聞かない。話は平行線をたどり、実際に運転して現場検証をすることになった。

「はいそうですか、どうぞ。」
とやってみたところ、絶対に停止出来ないことが分かり、そのまま”嫌疑なし”で不問となったそうである。

 その検事は当時の県知事の甥であることをひけらかしたそうで、「腹の立つ奴だったなぁ」という感想であった。
 機関車が急ブレーキでつんのめるように止まることを想像すると、漫画のような珍妙な光景が思い浮かぶ。どうしてこんなことが分からないのか、筆者には理解できない。 

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2017年12月29日

続 困った3条ウォームギヤ

 問題の3条ウォームをお借りした。組み立てて試験をしてみよう。

triple-thread worm gear setcorrect triple-thread worm 径が大きく8mmほどある。この進み角は9度ほどだ。大昔の2条ウォームがこれ(右)である。直径は、6 mmほどである。この進み角は11度強である。
 3条なのに、2条より緩い角度なのである。困ったものだ。

 この2条ウォームギヤは逆駆動できる。両端にスラスト・ベアリングを付けたらかなり楽に動いたが、効率はそれほど高くないことが分かったので、採用しなかった。 

 左のウォームにはネジ穴がある。非常に理解しにくい設計だ。こういうものを押しネジで締めると偏心するから、ろくでもないことになる。ロレットを切って圧入するか、ロックタイトを使うべきである。

 このウォーム・ギヤのセットはさる高名な模型人が諸元を決めて、発注されたようだ。その書簡の一部も発見された。作って売った模型屋の言い訳の手紙のコピィもある。どうしてこういうことになるのだろう。

 3条ウォームにするということだけしか考えていない。3条にすると2条の時と何が違うのかを考えていないのだ。モヂュールが同じで、同じピッチ円なら、進み角が大きくなる。こんなに径が大きければ意味がないことは明白だが、おかしいとは気づいていない。設計者に「動かないじゃないか。」と文句を言う人がいたらしいが、設計がおかしいじゃないかと言った人はいないのだそうだ。

 そのグループ内にこのギヤが頒布されたようで、皆「動かない!」で不満が溜まった。結局、「3条ウォームはインチキである。」ということになったそうだ。
 よく動くものがあり、その写真もあるのだから、比べて検証すれば良いのだが、それもしない。相手を非難するだけでは、何の進歩もない。しかし一部の人達はカツミ製の輸出用ギヤボックス(祖父江氏設計)を手に入れ、よく動くと重用している。そのギヤは筆者設計で、進み角は17度である。

 このあたりのことを見聞きすると、この国の模型人の、物理に関する理解度が知れてしまう。機関車が走るのも、止まっているのもすべて物理の法則による。工作の上手、下手とは異なる次元の、極めて大切なものが抜け落ちている。それは物理という言葉で表す必要もないほど、単純明快なことなのだ。小学校の理科の範囲である。今までの方式でうまく行かなかった原因がどこにあるのか、を考える姿勢が問題なのだ。
 


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2017年11月23日

等角逆捻り機構のあり方

 先回で、T氏による解説が終わった。
 客観的であって、自説を売り込もうとか、俺は専門家だぞ、というところが全くない素晴らしい考察であったので、掲載させて戴いた。これで、この範疇のことは一応の決着が付いたように思う。小難しい学術用語は極力排除して戴いてあるので、誰にでも読めると思った。
 本来、こういう原稿はTMSに載せるべきであったが、もうすでにそういうこともできなくなりそうだ。

 過去に何回も論じたことだが、イコライザとバネは切り離して考えるべきである。議論の前に、ルールを決めなければいけない。自分の都合の良い方向に話を持って行くために、異なる次元のものを持ち込もうとする人がいるからだ。

 弾性梁というものを持ち出したい人もいるが、それは「バネ」と「イコライザ」を同時に用いている。
 世の中のどんなものも、完全な剛体ではない。しかし剛体と考えて理屈を考えようと言っている。その部材は多少撓むのなら、そのファクタを、別に「バネ」として考えるべきだ。しかし、模型のように小さなものは、事実上剛体として考えて良いのである。ヤング率が一定だから、モーメントが小さい時は曲がらないと考えて、何ら問題ではない。
 「バネ」は曲がるような形に作られている。コイルバネをよく見て戴きたい。細かく見ればよく分かるように、原理はトーション・バーなのだが、それを極端に長くしてあって、微小区間での捩じりは目に見えない。しかし全体では、その総和としての伸びが観察できるほどになっている。

 さて、天秤棒…は作ってみるまでもなかったが、簡単な実証モデルを作ってみた。作動状況は極めて良くなかった。「使い分け提案」にもあったように、車体の慣性モーメントの小さな、軽いモデルには使えるのかもしれないが、Oスケールでは全く駄目である。車体がプルプルと小刻みに振動し、おもちゃ以下の状態である。
 バネで台車を留めた車輌は、この天秤棒…と力学的に等価であるが、調整すれば良い走りを示すし、揺れ加減も具合が良い。ダンピング(振動を減衰させること)のおかげである。
 普段ダンピングを考えない人は多いが、それは摩擦の多い模型が大半だということの裏返しなのである。摩擦を減らすと、ダンピングが必要であることが分かる。
 理屈をこねるばかりでなく、実証モデルを作ってみられたい。しかし、それをしない人が多過ぎるのである。実験は大切だ。 

 コメントを寄せて戴きたい。

2017年11月19日

第5章 輪軸の弾性支持に関する考察

(8回連載の7回目)
 輪軸の弾性支持(要するにバネを利かせること)は、小型模型では【質量 バネ定数】の比率が本質的に実物と同値にできない上に、輪軸の変位が実物よりもはるかに大きいため、非常に難しい課題です。

 見掛けの動きだけを実物的に見せるのであれば、変位を最小限に抑える非弾性支持の等角逆捻りで良いと思いますが、ジョイント音や弾性的な動きに魅力を感じる様でしたら評価が全く異なると思います。ちょうど中間的ないわゆる「天秤棒イコライザ」、ロール・トーション・バー等角逆捻りは、ロールだけを弾性支持にしたものですので、ワークス
K氏の言うように「軸座バネ式の自由度を減じたもの」でしょう。こちらはイコライザ同様に変位を最小化可能であり、バネ長が長いため比較的大きなロール角度の変位に対応できるというメリットがあると思います。

 また、
HO程度の小型模型で輪軸を弾性支持にする場合、実物のバネを模した物をあきらめて、実物よりも細くて長いものでなければ、輪軸可動の効果を得ることは困難でしょう。その意味でも「天秤棒」のような長いバネは小型模型用には使いやすい構成です。例えば長いバネ2本をちょうどレイルと平行に床板下に這わせて、それで前後の輪軸を支持し、その2本のバネの中点で車体と結合するなどの応用もあると思います。



2017年11月11日

第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察

(8回連載の3回目)

 ロールに関する概念を整理したところで、
TMS 876号で小林氏が発表された「天秤棒イコライザ」について考察します。既にdda40xコン氏ゆうえん氏ワークスKらが十分考察されているので、今回は、名称と力学的性質を比較するという側面からのみ考察します。つまり、「天秤棒」と「イコライザ」の2つの言葉からアプローチします。


「天秤棒」は一般的に両端に作用する同一方向の
2つの荷重を受け、中央支持点でバランスをとるものと考えられます。TMS 876号の最初の写真1で指先に機構を載せている写真はまさに天秤棒です。しかしながら、車輌に組み込まれた時、この機構は天秤棒として作用しているとは言い難いと思います。理由としては、ボディーの支持点が輪軸直上のボルスタの2箇所とロール留めのネジ留め箇所の1点であるためです。少し譲歩して、ボディーを中央のネジ留め箇所の1点でボディーの荷重を支持していると仮定しますと、確かに天秤棒を上下逆転させた形です。ところが今度はボルスタと床板が接触してはいけないことになり、TMS記事での解説に矛盾します。したがって、力学的な意味では「天秤棒」という名称は少々無理があると思います。

次に、「イコライザ」という名称についてです。そのためにイコライザの一般的な定義を確認しておきましょう。イコライザとは「イコールにするもの」、すなわち平衡装置のことです。さて、このイコールとは何をイコールにするのでしょうか?一般的には軸重を平準化するものと推測されます。もちろん、常に軸重を平準化できるわけではないですが、基本的には目標とする軸重に近づけるリンク機構を示すものだと思います。その観点から、天秤棒イコライザを考えましょう。そのために「天秤棒イコライザ」の機構原理を整理して、イコライザとしての条件を満たしているかを確認していきます。
                      (この章続く)



2017年11月07日

等角逆捻り機構の考察 

 等角逆捻り機構に対する考察を、T氏に寄稿して戴いた。8回に亘って連載する。

           目次
第1章 等角逆捻り機構の考察 (2回に分けて連載)
第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察 (2回に分けて連載)
第3章「90度捻り天秤棒イコライザ」(ワークスK氏考案)についての考察
第4章 ロール軸の高さに関する考察 
第5章 輪軸の弾性支持に関する考察
第6章 各種等角逆捻り機構の使い分け提案 



 dda40x氏へのコメントを機に、等角逆捻り機構に関する私見の発表の機会を与えて戴きました。僭越ながら、6テーマで記述します。なお、dda40x氏、コン氏、ワークスK氏、ゆうえんこうじ氏らの記事を拝見した上での考察ですので、重複等はお許しください。

第1章 等角逆捻り機構の考察 (基礎事項)

最初に等角逆捻り機構の考察に向けての基礎事項をまとめます。ほとんどの方には釈迦に説法でしょうから、図を見て「当たり前だ」と思われる方は、ここを読む必要はありません。

図1最初に、車体の回転および捩じれの座標軸を確認しておきます。図1の様に車体の前後方向(レールと平行)の回転軸をロール軸、左右方向(枕木と平行)をピッチ軸、鉛直方向(床板に垂直)をヨー軸と言います。等角逆捻り機構はロール軸に関する捩じりの議論であることは言うまでもないでしょう。

図2次に、実車と模型のロール運動に関する概念の違いを示します。図2は車輌が捩じれた線路上にある際に、実車と模型(等角逆捻り機構搭載)がどのような振る舞いをするかを模式的に描いています。下段左側の実車ではボディーのロール剛性が低い(柔かい)のでボディー全体が捩じれています。例えるなら、学校の物理実験室にあるウェーブマシンのすだれの個々の棒の上に、スライスしたフランスパンのような輪切りのボディー要素が載っているというイメージです。もちろん、実車は厳密には足回りにバネ装置他、線路の誤差をある程度緩和する装置を搭載してはいるのですが、それでも最終的にはボディーが捩じれを吸収するような設計になっているように思います。
 
 なお、余談ながら私のお気に入りのディズニーの実写映画
"The Great Locomotive Chase"(南北戦争で南軍列車を北軍がハイジャックした史実を元にした映画)の脱線シーンでは、築堤上で脱線した木造ボックスカーが捩じれながら崖下へ駆け下りていくのですが、最後は地面の捩じれに耐えられなくなって、屋根がカパッと外れて車体全体が崩れます。実車はそれほどロール方向の剛性が弱く、柔かいのです。

一方で、小型模型ではボディーのロール剛性が高い(堅い)ので、ボディーに捻じれを吸収させる機能は全く期待できません。それにも関わらず、小型模型には、実物よりも非常に大きな誤差(実物換算で数以上)がある線路の上を「脱線なく」、しかも「集電を伴って」、「実感的に」(カタカタせずスムースに)走らせることが求められます。この要求を満たすには、車体とは独立して足廻りを線路の誤差に追従させ、その足廻りと車体の変位差を吸収する積極的な機構(イコライザなど)が必要となるのです。
                       (この章続く)



2017年10月28日

続 物理的考察

 先日博物館に、元国鉄で当時の新型特急の保守に当たっておられた高齢の方の来訪を受けた。現場をお見せすると、列車の規模にかなり驚かれたようだ。アメリカの鉄道には接することが無かったそうなので、それは当然だろう。

 最初の質問は、「フランジの摩耗にはどのように対処しているか。」であった。実物はフランジで曲がっているのだ。それは当然だが、この博物館の模型は違う。

「模型の線路の曲率は大きいので、フランジが当たると抵抗が大きくて走れませんし、仰るように磨り減ります。ここではフランジの手前のフィレット部分を大きくして当たらないようにしています。」と答えた。非常に不思議そうであった。
 実物関係者はだいたい同じ質問をする。実物と模型は違うのである。遠心力は無視できる。計算をするとすぐ分かるが、フランジに押し付けられることはない。同じだと思う人もいるようだが、実験しなくてもわかることだ。フランジが触るのは、ポイントで尖端レイルによって曲がる瞬間だけである。それも10番以上では、ほとんど触らない。

 カント (superelevation) も然りである。これについては以前にも書いた。カントは単に見栄えを良くするだけである。
 このように実物と模型は違うのであるが、自説を曲げない人はいる。走るところを見れば一目瞭然なのであるが、見たくないのだ。模型は実物と同じというファンタジィから抜けられないらしい。

 ところでRM Models の最新号に、筆者の作品が載っているそうだ。関西合運の記事の右上の方にあるとのことだが、田舎に住んでいるので本屋がなく、まだ見ていない。


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2017年10月26日

物理的考察

 自動車競走に勝つ工夫を集めた動画がある、という連絡を受けた。なかなか面白い。グラファイト粉末、要するに鉛筆の芯の粉(Greasemという名でKadeeが売っている)を軸受に塗ると良いそうだ。液体による潤滑とどちらがよいかは、実験しなければ分からない。軸を曲げるという話も実験しないと分からないだろう。軸を磨くのは当然だ。
 筆者は、軸重の大きい後輪がガイドレールに触れると損だと思い、少し拡げて触らないようにしたことを思い出した。せいぜい1.5 mm程度(片側で0.75 mm)だ。
 重心を後ろに持って行くのは、効き目が格段に大きいらしい。これは実感できる。

 ついでにいくつかの動画を見たが、最近はかなり進化しているようだ。どれもこれも素晴らしい走りだ。30年前とは全く違う。アルミ合金引抜きのコース、ディジタルでの時間測定、着順判定は常識になってきた。


 人の乗れるsoapbox car derbyのレースは、ますます盛んになっている。これについては有名なインチキ事件があった。噂として広まっていたが、最近はそれがウェブ上ですぐに検索できるところが凄い。

 模型は木製の押えを、ゴムの張力などで瞬時に外すことによって発車する。乗用のものは大きいので、鋼パイプ等で作った押えを急に前方に倒すことによって発車する。 
 ある切れ者は、車の再前端に電磁石を付け、発車時に搭乗者のヘルメットを後ろに押し付けることによってスウィッチを入れるようにした。押え金具はバネによってバチンと倒れるので、それに吸い付けられた車は一瞬前に出る。こうしてレースでは軒並み優勝したのだが、誰も気が付かなかった。
 役員の中に疑いを持つものが出てきて、X線写真を撮ることになった。インチキはバレて、過去の栄誉はすべてはく奪され、なお且つ裁判で相当額の罰金を払うことになったそうだ。その理由は子供の非行を助けたというものだ。数回の優勝で止めておけば、永久にバレなかっただろう。

 このレースには物理学者がかなり貢献しているそうだ。これ以上できないというところまで来ているという。


2017年10月22日

続 pine wood soap-box car

pine wood car dervy そこにあったどの車も低重心にしていた。それが正しいと信じているのだろう。筆者はコースの出発部分に目を付けた。かなりの角度で持ち上がっている。ある程度進むと平坦になってゴールだ。

 重心が車体中央にあると出発時に稼げる位置エネルギィが少ない。車体後部に重心を持って行けば、持ち上げられる量が大きくなるから、蓄積されるエネルギィが大きくなるはずだ。あまり後ろに持って行くと前輪が浮いてしまって脱輪するから、錘を移動して、重心をホィール・ベースの 4/5 に持って行った。もちろん4つの車輪のうち、最もよく廻るもの2つを後ろに付けることにする。

 次に支給された車輪とクギを使わねばならないから、クギをよく研磨した。そのクギが通りそうなちょうど良い太さのパイプがあったので、タイヤの中心に差し込んだ。友人宅で旋盤を借りて作業したから、心は出ている。釘を挿して、歯磨き粉を入れて空回しした。少し黒い汁が出たところで研磨完了で、よく洗っておいた。
 車輪に自由度があればいろいろな工夫ができそうだが、それは許されていない。重い車輪にすると軸の摩擦が減るが、慣性モーメントが大きくなる。いろいろなことを考えねばならないだろう。

 次の土曜日の朝、子供たちにこれまでのことを話し、組んでミシン油を注した。
廊下で滑らせると素晴らしい走りであった。摩擦を減らすことは大切である。

 午後にボーイスカウトの集会に行って、エントリィした。車体は子供の描いたとおりのややクラシックなフォーミュラ・カァの形で、銀色に塗った。”No.1”と書いたものを貼っておいた。

 新人は順位の低いところから始まる。当初の試合では順当に勝ち進んだ。そのあたりではまともに走らない車ばかりだったので、こちらの性能には誰も気が付かなかったようだ。順当に勝ち進んでベスト8になると、皆よくできた車ばかりだ。

 最終の決勝では、1馬身以上の差をつけて優勝した。2位になった子供が悔しがって、再レースをすることになったが、やはり同じように差をつけて勝った。地区別の大会だったので、ご近所の人たちは大喜びで勝利を祝ってくれた。
 しかし、なぜ速いのかを質問する人はいなかったのが、不思議だった。翌日、大学で親しい物理の教授にその話をすると、非常に面白がって、筆者の戦術を褒めてくれた。
 翌週彼は、「コースの形をどのような形にすると、いちばん短時間でゴールに到着するようになるか」という問題を作って、学生にやらせていたようだ。


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2017年10月20日

pine wood soap-box car

 Pinewood Derby Trackコースを見せてもらった。こんな形である。出発地点はかなりの角度で持ち上がっていて、押えを外すと数台が同時に発車する。写真はグーグルからお借りしている。
 動力はない。位置エネルギィを運動エネルギィに変えて、後は摩擦で速度が減衰していく。ただそれだけである。単純極まりないが、走りを見ていて閃いた。

 速い車は摩擦が少ないのは当然だが、コースの形を考慮している人はいない。車体の質量は最大値が決まっている。車輪・車軸は支給されたものを使う。車体幅、長さ、高さには制限があるが、色、装飾には何ら制限はない。

 息子たちにレースへの出場の話をすると、盛り上がった。速いのを作ってくれと言うのだ。それでは絵を描けと言うと、大きな羽根を付けたロケットエンジン推進のものを描いた。制限にひっかかるので、それは却下した。それでは、と描いたのはよくあるタイプのものであった。でも後ろに小さい羽根を付けてくれと頼まれた。形を良くすると速くなると信じているのだろう。先をとがらせるという注文も受けた。

 筆者の頭の中にはあるアイデアが固まっていた。物理的に勝つ方法だ。 

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