熔接

2015年01月03日

Beam の熔接


welding beam 鋼製の柱に梁となるアングルを取り付けているところだ。クラブの会員であるDr.Yが手伝ってくれている。筆者は上に立っている目盛りを、遠くから”オートレヴェル”という望遠鏡で高さを見ている。誤差は 1 mm の数分の1である。

welding beam 2 梁の水平は水準器を用いて見、 クランプは仮締めの状態で、楔(クサビ)を使って微妙な高さ調節をしている。ゴムハンマで叩いて微妙なずれを修正する。
 この作業は、最初は手間取ったが、熟練してくると早くできるようになった。楔の傾きが分かっているので、水平移動距離で高さの上下がおおよそ分かる。楔は硬いアピトンという木から作ったのでへたらない。

 熔接すると冷えるとき多少縮むので、完全な水平は出しにくい。どうしても多少垂れるようになるので、斜めのブレイスを入れる必要がある。

 コンクリート床は、案の上かなりの凹凸があり、10mmもへこんでいるところでは、アングルの熔接代(しろ)が少なく、別材のアングルを補強で足した。 位置決めが終われば本締めして、熔接する。旧式の熔接機であってきれいな仕上がりではないが、見えるところではないのでよしとする。

 熔接火花が散って床のカーペットが台無しになるといけないので、養生を確実にした。ケイ酸カルシウム板というのは安くて良い。畳大の5mm板が500円台である。それを敷き、合板の切れ端を並べて隙間をなくし、火花除けの養生シートを掛ける。このシートは大きなものではなく、上や横方向に飛ばないようにするのが目的である。ガラス繊維にポリ塩化ビニルを掛けたもので、効果がある。火花が付いても焦げない。熔接箇所に10 cmほどの隙間をあけてかぶせ、隙間から熔接棒を突っ込む。

 この作業はDr.Yのおかげで短時間で終了した。助けて戴かなかったら、とても1日では終わらなかったろう。

 

2015年01月07日

続 鉄骨組立完了

arc welder 熔接はある程度の練習をすれば、留めることぐらいは出来る。見えないところなので、下手でも構わない。単相200 V、30 Aの入力が確保されていれば訳ない。溶接棒はバッタ屋で買えば安い。写真には皮製の前掛け、長手袋などが写っている。ノーメックス(耐熱繊維)製のズボンも持っているが、今回は使用しなかった。  
 今回の熔接には小型の可搬式の熔接機(約30 kg)を持っていき、台車に載せて移動した。電源ケーブル長は10 mあるので、かなり広い範囲で使用できる。この台車は剛氏の手製である。
 出力7 KWの大きい熔接機も持っているが、130 kgくらいもあるので、持って行けなかった。

 ケーブルは古くて被覆が劣化していたので、二つをつないでアース用とし、電圧の掛かる方は新品(22 mmsq)を購入した。長さは10 mだから、電源と合わせて半径20 mの範囲で仕事が出来る。電線をつないだり、端子を付けたりする仕事は意外に手間取った。新しい部品を使えばよかったのだが、機器が古いので古い端子を外して温存したからだ。
 熔接棒のホルダは新品を用意した。熔接後のフラックス取りは専用のハンマを購入した。以前の楔型ハンマより、はるかに使い易くて驚いた。

曲がりの修正 熔接する場所を長く加熱しすぎると、伸びて縮む。水平の部分が少し垂れてしまったので、ブレイスを入れる前に、つっかい棒を入れているところである。すでに床に取り付けてあるので、外して叩くわけにもいかなかった。
 鉄骨は硬く、手ではとても曲がらない。未組の鉄柱を無理に押し込んだところ水平が出たので、そのままブレイスを熔接した。Dr.Yのアイデアである。

 黄色のシートは火花受けである。こんなに薄くてしなやかでも、火花を確実に受け止める。熔接する部分に10 cmほどの隙間を空けて巻き付けると、カーペットが焦げない。もちろん下には、念のために耐火板を敷き詰める。アース側の線は被覆が剥けて芯線が露出しているが、問題ない。


2015年01月09日

自動熔接面

face shield 熔接時には多量の紫外線が出る。皮膚を露出していると、短時間でもやけどを負う。続けると皮膚ガンになるであろう。完全な防護が必要である。
 熔接面は、最初から自動のものを使っている。20年以上前に新製品として出たばかりのものを、アメリカで買った。確か300ドル以上もした。それまでは手で持つタイプで、素人には取り扱いが難しかった。
 当時の謳い文句は覚えている。「1/50000秒の超高速遮光」である。アークが出る前はよく見えているが、火花が出た瞬間に液晶が黒くなって、光を遮るのである。もちろんアークが無くなると、すぐ透視できる。その時間を調節できるので、好みによっては、すぐ見えるように短くできる。この面を付けると両手が使えるので、押しつけて付けることが出来るのは便利であった。

 当時は高かったが、現在は3000円台でも売っているようだ。その性能については、分からない。中国製とのことである。

face shield 2 面を頭に取り付ける部分はポリプロピレンの薄い膜で蝶番のようになっている。メガネケースやハーモニカケースの蓋が薄い膜で蝶番の代用をしているのを御存知だろう。さすがに20年以上経つと劣化してきて、割れてしまった。前を向くと面がお辞儀をしてしまい、下しか見えない。
 仕方がないので蝶番に0.6 mmのブラス板を当ててネジで留めた。スペイスが必要なので、長いネジで隙間を作った。いずれ、頭に巻く部分は他のヘルメットなどから使える部品を外して、取り替える必要があるだろう。プラスティックの寿命は短い。

 ポリプロピレンは、優秀な樹脂で長く保つはずであった。日の当たる場所に置いてあったわけでもなく、窓のない倉庫に置いてあったのだ。それでも劣化する。プラスティック製の鉄道模型はどうなるのだろうと、心配した。

2015年01月11日

熔接のプロフェッショナル

 友人のU君は、いわゆる熔接屋であって、その道40年以上のプロフェッショナルである。腕は一流で、圧力容器でも船でも何でもできる。
 筆者はごく適当な熔接作業はするが、精度の要る仕事は彼に頼む。直角の部品とか、互換性が必要なものは素人が手を出せる範囲にはない。
 
 今回のレイアウト建設では、角パイプ製の支柱などは、全て彼に作ってもらった。仕事が忙しいのに、無理を言って急いで作らせたりして、申し訳ないことであった。

supportsupport 2 複々線の勾配の支持は、角柱とこの支持台で持たせる。水平で、ある角度振った形態である。レーザで水平を見て角度を決め、フライスで切り出したものを熔接してもらった。
 組み立ての時、人間一人が乗ってもよいようにする必要があるので、鉄筋で支えを入れた。また、ネジを締めるための孔もあけた。これを丈夫な棚に取り付ける。
 段差があって作りにくいが、スペーサを作ってお願いしておいた。出来上がりは御覧の通りで、まさにばっちりとはめ込まれた。これを自分で作ったら、いったい何回作り直しをすることになるのだろうと思う。

 1.5%の勾配を作っているが、ループ線(helix)であるから、平面を組み合わせても正しい均一な勾配はできない。シムを作って骨と合板の間に押し込まねばならない。また数学の専門家に計算してもらう必要が出てきた。
 合板が薄いと、骨の平面が出てしまうので、24 mmの合板を使って剛性を高め、シムで疑似点接触にする必要がある。点と点の間は合板の撓みで近似する。
 シム(shim)とは高さ調整などをする薄い板のことである。厚いとdistance pieceと云う。大昔は楔(くさび)の意味もあったはずだが、現在では二面が平行なものを指す。


 勾配の起点、終点では、縦曲線が3次曲線に近くなるように、これまた計算中である。厳密な計算ではなく、近似値を用いる。厚い合板を少し撓ませてシムで固定すると、かなりいい数字が出る。

2015年01月25日

勾配区間の建設

 平面部分の骨組みはかなり前に完成しているのだが、勾配区間は計算が面倒で、遅れ気味であった。平面の板をつなぎ合わせても、滑らかな螺旋にはならない。当初は支柱間隔を広くしていたのだが、補正量が大きく、とても無理だと分かった。仕方なく、1450mm間隔に支柱を立てることにした。こうすれば、調整用シムの厚さが薄くなる。

 設計では垂直荷重だけ受け持たせることにして、水平方向の力は曲線の両端で受けていた。ところが角が多くなったので、各支柱に水平方向の動きに耐える構造を持たせねばならなくなった。足を十文字にすれば良いのだが、足が平面になるようにするのは素人の熔接では無理だ。

stanchion カブースの煙突などには、このような倒れ止めがついている場合がある。一本の支えを付けるだけで、かなりの力に耐える。4 mm厚のフラットバーを床に留め、四角柱の垂直を見ながら、熔接すれば良い。これは工作が簡単である。この程度の厚さで、押し引きどちらにも十分耐える。
 


fireproof blanket カーペットを敷いた後での熔接であるから、完全な養生が必要である。クラブの会員の足立健一氏が耐火性の布で養生シートを作ってくださったので助かる。氏はF1レースなどの耐火服を作る専門家である。熔鉱炉の横で仕事をする人たちの耐火服など、特殊な服を作っている。
 このような柱の根元を巻いて、さっと置けるように、切れ目を入れて下さった。三層構造で、中には耐火フェルトが挟んであり、熱が伝わりにくい。焼けたアイロンを置いたままにしても火事にならないそうである。オレンジ色の布は、最近の消防士の服装で見かけた方もあるだろう。燃えない布である。

welding stanchion 床を完全に保護した後で、周りに飛ぶといけないから、合板で囲いをつくる。そして、先日紹介した火花除けシートをかぶせる。熔接部分から10 cm程度離しておくことを忘れてはいけない。これで手前の隙間から熔接棒を差し込んで出来上がりである。面白いことに、熔接時に出る煙(フューム)は大半がシートにくっつくように感じる。作業終了後、シートを洗うと、白っぽい粉が落ちる。


2015年02月04日

熔接

被覆棒熔接 熔接のことを書いたら、なぜ熔接が出来るのかという質問を戴いた。大変難しい質問で、筆者には確実な答を出す自信がない。
 観察できたことだけを書こう。
 

 熔接はジュール熱ではない。アークの高温プラズマを利用している。筆者がやっているのはいわゆる被覆棒熔接で、アーク溶接とはやや異なる。
 アーク熔接は砂状の被覆材をかぶせて電極を機械などで平行移動させる。船、鉄道車輛などの大物を作るときに使う。

 さて、熔接棒は二重構造で、内部には鋼の芯金があり、外はセラミックスの粉末を塗って焼き固めてあるようだ。
 熔接を始めるにはアークを発生させねばならない。よくやるのは相手の金属を熔接棒で軽くこするのである。するとぱちぱちと小さい火花が出て先端が熱くなる。そこで、先で突いてやると同時に軽く引くと、連続したアークが出る。
 芯金は融けて飛び散り、廻りの被覆材が昇華する。このセラミックスの蒸気がアークを作り、プラズマ状態になっている中を電流が通る。被覆材は融けてガラス状になり、それはスラグになる。プラズマの温度は4000℃以上あるから、鉄はたちまち融ける。一部は昇華するだろう。

used points of coated welding rods 熔接棒の中心は、周りよりへこんでいる。アークが生成しているときに押しつけてもショートしないのは、この被覆が守ってくれているからだ。被覆は短時間では融けず、芯金が飛んでいく速度くらいで融けるようになっている。絶妙な調合だ。
 だから、途中で冷えた熔接棒を使って再度スタートさせる時は周りの一部を削りとる必要がある。それはこすると云う操作だ。


 防護ガラス越しに見ていると、融けた鋼がスラグの下に入り込むのが分かる。鋼は重いからだ。母材を融かして固まると、母体の金属が相手と連続したことになる。熔接は下向きが容易だ。垂直だとやや難しい。上向き熔接はさらに難しい。これは金属同士のぬれを利用している。
 電流が大きすぎると飛び散る量が多いので、電流を減らすと良い。持っていった熔接機は電流が3段階しかないので、その辺りが難しい。家で使っているのは、無段調整出来るので、相手に合わせて調整できる。

 スラグが赤熱しているときは、熔接棒をそれに接触させるだけで、再度アークが発生し始める。融けたスラグ内ではイオンが動きやすく、電気が通じるからだ。スラグは白熱し、プラズマが発生する。
 20年ほど前のセンター試験で、「高温のガラスは電気が通り易い。」と云う文章の正誤を問う問題があったが、まさにこのことを言っている。

 融けた金属は小さな水たまりのようになり、それを連続して作ることが出来れば、完璧な熔接が完了する。
 あとは生成したガラス状のスラグをハンマで叩いて割れば熔接は完了である。余分な部分を削り取って完成である。
 
   アメリカに来ている。O Scale West で講演を頼まれたのだ。しばらく休載する。   



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