proto48

2009年04月29日

続々 Track Gauge

 私信をすべて紹介するわけにはいかないが、興味深いご意見を紹介したい。
 実物の鉄道に携わっていた方からのお手紙である。

> プロト48やプロト87の存在意義は、このフランジウェーの狭さにあるというのが私の考えですから、御説はレールの魅力を引き出す、一つの方策であることは間違いありません。
> 一方私は、どうしても実物の事情が直ぐに念頭を過ぎりますから、やはり異線進入とか、フログ・ゲージの摩耗を考えてしまう……というあたりが正直なところです。


 当然、実物でこんなことをしたら大変なことが起きるのは目に見えている。しかしこれは模型である。模型のフランジは、実物の数倍の大きさであり、異線侵入は起こりにくい。これは先のこの図を見て戴ければすぐわかるように、フランジが厚いので、レイル・ヘッドの不整は、フランジの勾配の中で吸収されてしまう。即ち、異線進入は起こらない。

 proto48との比較でフランジ・ウェイが狭くて実感的ということもあるが、それ以上に、保線上の利点がある。欠線部の落ち込みがほとんどなくなるので、フログが傷まない。

 このような裏ワザ的な方法が採れるのは、輪軸の精度が素晴らしく良いからである。古いMax Gray時代や、韓国製の輪軸はすべて廃棄した。動輪はすべて28.5mmのバックゲージを持つので、全車両が同じ規格でそろった。

 

2009年05月13日

続 Oスケール

 当時は完全なスケールモデルはまれであり、現在と比べるとかなり粗雑な模型を楽しんでいた。すると2mm程度の軌間の違いなどどうでもよいという意見が強くなり、"アメリカ国粋主義"の29.9 mmゲージは、急速にその地位を失ったのだ。そして、シカゴの博物館の巨大レイアウトも、32 mmゲージに敷き替えられた。

 その後しばらくは、「Oゲージ = 32 mmゲージ、1/48」ということに、誰も疑いをはさまなかった。1980年代後半、細密模型を作る人たちは、この2mmの違いが許せなかった。たとえば蒸気機関車でのロッドの納まりが不完全であること、フランジが高いと動輪間隔が実物通りには作れない、ということがあった。

 彼らはProto48というグループを作り、「実物の鉄道を完全に1/48で作る」ということを標榜して活動を開始した。現在のところ、極めて少数派ではあるが、存続している。

 クロンカイトのQゲージとプロト48とは何が違うのであろうか。軌間は同じでスケールも同じである。

 それは車輪の規格である。Qゲージはそれまでの模型の常識であった厚い車輪、高いフランジを踏襲していた。したがって、実物通りの狭いゲージであっても、ロッドの納まりは良くなかった。当然のことながら、プロト48なら完璧に納まる。

 しかし問題は実物通りの線路を敷ける環境があるかどうかだ。アメリカと言えども半径10mの線路は敷けない。せいぜい半径3mである。すると、工場の引き込み線程度の半径であり、小型機しか走らせられない。
 いくつかのレイアウトを訪ねたが、蒸気機関車ならせいぜいコンソリデーション2-8-0、ディーゼル機関車はB-Bタイプしか走っていなかった。それが限界であった。
  

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2009年05月15日

続々 Oスケール

 大型機のproto48は見たことがない。現実に走らせるところがないからであろう。
以前、e-bayのオークションでDRGWのL131(2-8-8-2)用の動輪及び先従輪セットをproto48に作り替えたものが出品された。そこそこの高値で落札されたので、どうなるかとひとごとながら心配していた。
 約1年後、その買い手がまた同じものを売りに出していた。「わずかしか走らせていない。」と書いてあった。

 せっかく動輪セットを落札して、手持ちの機関車を作り直したものの、走らないことがわかったのだろう。外して売り、それをまた誰かが落札した。そのうち同じことが繰り返されるだろうと予測する。

 模型は実物とは違う環境を走るように作られている。「何でも完全に縮小すれば素晴らしいことだ。」と考えるのは間違いであろう。以前にも書いたが、フランジに挽目が見える車輪とか、塗料のついた車輪に無頓着ではうまく行くはずがない。

 それと、ヤング率が変わらないということに気が付いていない人が多い。ヤング率とは、外力に対してどの程度の弾性変形をするかという値であり、それは素材に固有の値である。縮小すると硬いものは、相対的に、より硬くなる。レイルは硬く、バネも硬い。フレームも硬く、ねじれない。線路の不整に対する追随性を上げようと思うと、かなりの工夫が必要だが、それを考慮した模型を見たことがない。

 模型は小さい。小さい模型を走らせるためには知恵が要る。これは吉岡精一氏がよく言われることであるが、最近の模型雑誌を見ても、その知恵を感じることがほとんどなくなった。外見重視である。その外見までも間違っていれば、一体何をかいわんや、である。

 栗生氏のブログの曲がった橋の写真を見れば、理屈がいかに大切かがわかる。その理屈がよく理解された上で作られた模型は美しい。

2009年05月17日

最適化

 Oゲージ(31.75mm)は世界中で採用されているゲージである。縮尺は3種あるが、どれもそれなりに発展している。
 Qゲージ(29.90mm)はアメリカにしかなかった。一時は淘汰されたが、Proto48として再起しようとしている。前途は多難だ。新しい規格で、線路、輪軸とも作り出すのは困難が伴う。

 約100年の時間をかけて最適化された結果、Oゲージがある。実物に比べて急な曲線を走行可能にし、適度なスケール感があるからだ。筆者の好む長大編成を走らせることができるのもOゲージだからこそである。Proto48では直線上でしかできないであろう。

 日本の16番は、登場以来60年以上経つが、そもそもの条件として、「日本は貧しい国であった」というのがある。輸出品の線路・車輪を利用しようというのがそのきっかけであると、山崎喜陽氏は繰り返し書いていた。
 趣味の世界は遊びであるから、貧しいということを条件に入れるのは正しいことだったのだろうか。夢を形にすべきではなかったか。誤解を恐れずに言えば、正しい遊び方は、贅沢をすることであろう。経済的に余裕のある人が考えた方法を採用すべきであったかもしれない。

 もうかなり前に亡くなったが、進駐軍の将校であったS少佐は、
「日本人は変なことを始めた。やめておけと言ったのに1/80,16.5mmを始めた。当然1/48、22mm(Sゲージ)を始めるべきであった。」と筆者に話しかけたのだ。
「それよりも小さいゲージをやりたければ、1/64,16.5mmという手もあった。日本国鉄はナロゥゲージだということが、彼らには判らないのだ。」と筆者にぶつぶつと文句を言った。
 「1/87ならTTゲージ(12mm)を使わねばならないが、そこまで小さくなるとモータが手に入らないからな。」とかなり細かく考えていてくれたようだ。
 このS少佐とは、70年代にシカゴのNMRAのショウで知り合った。体格の良い陸軍軍人であった。

 古いTMS(一桁号あたり)には、多分この人のことであろうと思われる記述がある。

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2010年10月17日

Chooch を訪ねて

tunnel portal Chooch Enterprises という会社がシアトルにある。チューチとは汽車の発する音、シュッポッポを英語で言う時のチューチューを短くしたものである。

 Mike O'Connel氏はワシントン州タコマの出身である。マイクとはここ10年くらい、あちこちでよく会うので招待を受けていた。シアトルへはやや行きにくくチャンスがなかったが、思い切ってテキサスの後で行ってみた。直行便でも4時間ほど掛かる。乗り心地の良くない飛行機で、一番後ろでエンジンの真横という最悪の場所であった。当然、窓の外の視界はゼロであった。安い切符を買うと往々にしてこうなるという例である。

 住所をGPSに打ち込んで車を走らせると、山の中の素晴らしい景色の場所に出た。GPSはここだと言っている。しかしそれは山の中の空き地である。よく見ると車が入れそうなところがあり、その路地を進んでいくと広い庭に出た。うらやましい環境だ。
 住宅の向かいに2階建ての大きな建物があり、1階は工房と倉庫、2階はレイアウトという作りであった。

 階下は何を写してもいいけれど、レイアウトは駄目だという。まだ発表する段階ではないからである。
 まず工房の見学をお願いした。マイクは若いときにウォルト・ディズニィ・プロダクションで働いていた。そういう意味では彼は模型作りのプロである。

 マイクのことを他の人たちが「何を見せても満足しないタイプの人間だ。変わり者だからな。」と言っていた理由はそこにある。映画のセットを作るように時代考証を完璧にして、誰にも文句を言わせないような作りの模型を作って来たのである。

 彼は10年ほど前からPROTO48に転向した。全てを1/48にした世界を作るわけである。筆者はどの程度のものか、お手並み拝見というつもりで行ったのだが、そこには驚くべき光景が広がっていた。

 広さは約100坪強である。高低差は2mくらいか。PROTO48の車輌をこれほど沢山所有しているということも驚きだが、作業の進んでいる部分を見せてもらうと、声も出ない。
 極端に精密に出来ている街並みが広がっている。

 Lorell Joinerのレイアウトは確かに凄かったが、それは彼のしたたかな計算に依るものであった。
「ある程度精密なものを複雑に組み合わせた景観を作れば、観客はその密度の効果によって、細密度に対しては注意力が減退する。」という効果をもたらすということに気が付き、実行したのである。これは事実で、実際にそれを見た人は全て、その計略に見事に引掛かる。心理学の応用であり、それを見抜いた彼は天才である。

 Mikeはそうではない。本当に全て1/48の世界を作ってしまうのだ。

2010年10月21日

続々 Chooch を訪ねて

rubber patternsRubber patterns on the shelves これらの棚は、過去に取ったゴム型の保存用である。ものすごい量である。
シリコーン・ゴムを使っているので、かなり長期間持つようだ。


rubber pattern for road bed これは砂利を撒いた路盤である。枕木にはタイ・プレートが付けてあるから、レイルに接着剤を塗って、置けば出来上がる。砂利は角の立った砕石である。
 全体をカーヴさせて鋳造すると曲線になる。いろいろな半径の曲線が用意されていた。

switch roadbed これはレイルを取付けた路盤である。さすがにPROTO48だけあって、フログのフランジウェイは実感的である。ここまで細かく作ったのに配線が露出しているのは興ざめだ。フィーダはレイルの下に穴を開けて差し込むべきである。まだ仮配線らしく、完成時にはすっきりすると言っていた。


casting oven 注型用のオヴンである。真空に引いて樹脂を入れ、陽圧を掛ける。単なる真空注型では樹脂が廻らないという。

2013年04月12日

続 Clinic in Chicago

 やはり同じ質問が出た。パンタグラフの位置が真ん中にあるが、それをどこかに移動させることは可能かというものである。車端にパンタグラフを置き、捻られる軸を中空軸と中心の棒にすれば、どこにでも置ける。
連結器に当たらなければ、車長の中のどこにでもおけるので、荷物室や車掌室に押し込むこともできる。またこの作例のような大きさも必要ない。この半分くらいの大きさに作ることも可能である。小さく作ると誤差(リンクのガタ)が相対的に大きくなるので不利であるが、HOサイズでも十分に作れると思う。

 現在もう一つの作例を製作中であるので、近日中にお見せできる。これは車内の大きな体積を占有するので、有蓋車やカヴァードホッパくらいしか使えないだろう。

3点支持と4点支持 リンク機構は軽く作れるし、カウンタ・バランスがあれば作動に力が要らないので、具合が良い。このサスペンションが2点支持であるということは、なかなか思いつけないことのようだ。この絵は評判が良い。Controlled(制御された)2点支持という言葉が、彼らの胸に突き刺さったようだ。

 

 他のクリニックではProto48の講演もあった。要するに宣伝である。こんな線路と輪軸のセットを売っているから、こちらのサイドに来ないかと手招きをしているという感じのクリニックである。
 友人Harmonと見に行った。話を聞き終わった時、主催者が「何か質問、感想があればどうぞ。」と言った。すると誰かが、"Future of model railroading!”と叫んだ。何人かがそれに呼応して拍手した。
 会場を出て、Harmon が、「君はどう思う?」と質問してきた。「難しいと思う。レイアウトの半径が最低3mないとね。」と言うと彼は深くうなづいた。
 「彼らは貨車を一所懸命に細かく作っている。それでおしまいの人が多い。」彼の意見は否定的であった。

 そこで、筆者はこう言った。
「人間は3種に分けられる。雨が降らないかなあと空を見ている人。雨の降りそうなところに引っ越す人。そして雨を降らせることが出来る人(Rain Maker)。」
 彼らは空を見ている人である。

2013年04月14日

Proto48

 本物を縮小するとどうなるかについていくつか書いていたのだが、鹿ケ谷氏からのコメントでほとんど言い尽くされてしまった。それに書かれていないことだけを書こう。
 本物を小さくすると何が異なるかと言うよりも何が変化しないかを考えなければならない。それはヤング率である。物質の弾性変形に関する性質であって、これは物質に固有のものである。すなわち小さくするとモーメントが小さくなるが、ヤング率は変化しないので、模型は堅くなる。要するにバネは極端に堅くなるということである。車体が堅いので、捻られない。何らかの工夫をしないと、曲線の入り口の緩和曲線あたりで脱線する。
 
 レイルも枕木も砂利も堅くなる。するとカチンカチンのコンクリートの要塞の上に敷いたレイル上を走るのと同じである。その上を走る車輌の板バネは必要以上に堅く、よほどヤング率の小さい材料を選ぶか、薄くしなければならないであろう。このあたりでスケールから外れてくることが分かる。摩擦も速度によって変化するだろうし、以前に述べた慣性の現れ方も当然異なる。小半径である模型線路上を走らせようと思えば、フランジ塗油器が必要な条件であろう。

 そういうことを全て無視してひたすらスケール化するのは無意味だ。車輪を得意そうにみせてくれるのだが、挽き目が見えている。大切なフランジやフィレットに挽き目が見えるということは、スケールでも何でもない。その部分は研磨してなければならない。台車を触らせてもらうと、車軸が台車の軸箱中で左右に2mm弱動く。これでは駄目だ。台車の中で車輪が平行四辺形になって走り、フランジが当たりやすくなる。そのような最も大切な部分を疎かにしている人たちが、どうしてよく走るスケールモデルを作れよう。この集団の指導者層が素人であることが露呈している。

 停まっている情景模型であればそれでよいが、走らせるということは意外に難しいことなのだ。プロトとかスケールという言葉に酔っているのだろう 。車輪は相変わらずある男が作っている。2万軸売れたと威張っているが、たったの2万軸である。筆者のLow-D車輪の方がはるかに多い。2万も作ればCNC旋盤で作るべきものだろうが、総型バイトで作っているものだから、ざらざらの挽き目が出てしまうのである。

 この集団には機関車を設計して板から作れる人が居ないのである。誰かが作ったキットを組み、誰かの供給する車輪を付けてスケールモデルだと信じているだけなのである。
 やはりRainmaker が必要なのだ。巨万の富を持つ天才的な誰かが、正しい設計のものを継続的に供給できなければ、今の状態からは抜けられまい。大型機関車を作った人は居るか、と聞くと、チャレンジャを作った人が居るという。走るのを見たか、と聞いても誰も返事がなかった。

 筆者がRainmakerという言葉を出したら、Harmonは、「うまい表現だね。」と言った。この言葉は20年近く前にマット・デイモンの出世作となった映画の題名でもある。

Model Railroader May 2013Check 話は飛ぶが、ようやく筆者の低抵抗車輪の記事がModel Railroader 5月号に載った。原稿料の小切手を貰ってから随分待たされた。友人たちは10カ月待ちが普通だと言っていたが、それをはるかに上回った。先に原稿料を受け取ったので、他の雑誌からの誘いも断らざるを得なかった。

2013年05月02日

Monticello 鉄道博物館

 とても寒い日で気温は零下3度くらいだった。しかし風が強く、体感温度は零下10度位に感じた。その日は博物館は休みであるが、保守作業をしている人がいるそうだから、個人的に見せてもらうように頼んだということであった。

 行ってみるとよくぞこれだけ集めたというくらい、色々な機関車、貨車、客車がある。ほとんどが個人で持っていて、ここに寄贈されたり、保管を委託しているものだそうだ。
 
2-8-02-8-0 32-8-0 2 oil applicator このコンソリデイションはかなり重そうである。廃車をここまで修復し、夏には列車を牽いて走るのだ。 
 テンダーは完全に新製したそうだ。道理で顔が写るくらいつるつるであった。

 この第一動輪をご覧戴きたい。フランジに塗油器が付けてある。これが無いと脱線するのだそうだ。Proto48の連中に見せて差し上げたい。

 車庫の中は風が無いので助かる。しかし、気温は0度くらいである。歩き回らないと凍えてしまう。

FA  このAlco FAの修理が大分進んでいて、中を見て良いと言うので梯子を登った。
 中は真っ暗であったが何枚か写真を撮れた。
  
  エンジンの不調は燃料噴射ポンプを取り換えると直るらしい。他の部品取り用機関車から外して付け替える。モーターが焼けたのはどうしようもないようだ。

2013年09月15日

続 Jim を訪ねて

 Jim Harper 氏はネヴァダ州リノで模型店を開いていた。2度ほど行ったことがある。模型職人としての腕は一流で、貨車を細かく作ったり、ストラクチュアのキットを売っていた。模型屋は繁盛し、それを売ってここに引っ越してきたのだ。

 彼はproto48の提唱者の一人でもある。前にも書いたように、筆者はproto48には懐疑的である。過去にproto48の滑らかな走行を見たことがない。貨車数輌を牽いてごろごろと走るだけである。
 過去に素晴らしいレイアウトを見せてもらったことがあるが、どれも走行性能は芳しくない。せっかくやるのだから、ぴかぴかつるつるの車輪を使って、実物のような大編成を滑らかに牽く場面が見たいものである。

Jim Harper's home
 さて、彼の家はここである。新興住宅地の一角で、看板もないから、ここに名だたるproto48の大家が居るとは分からない。僅かに車庫のあたりの屋根が不連続なので、何かあるかもしれないと気付く程度だ。家を建て始める前に、車庫の小さい方のドアの右で切れていたのを延長させたそうである。そこがレイアウトになっている。
 大工は機械的に延長したらしい。屋根が不連続である。こういう構造の屋根は雨漏りしそうで心配ではあるが、この辺は雨が降らない。

 電話をして、指定時間ちょうどにドアベルを押した。朝の9時であった。まだ食事中で、「朝は食べたか?良かったら食べてくれ。」ということであった。ジュースだけをご相伴して、色々な話を聞いた。

 ジムは日本に4年ほど居たらしい。沖縄と立川に居たのだそうだ。空軍の士官である。「日本の模型屋は良く行ったよ。テンショウダとかカツーミに行ったな。テツドモケイシャというのもあった。カスタムオーダも引き受けていたけど、いつも仕事が遅れて、帰国に間に合わないのがいっぱいあった。」
「誰か日本の模型人を覚えていらっしゃいませんか?」と聞くと、
「顔は覚えているが名前まではね。でも立川基地によく来た男が居た。彼の名前はヒローシである。とても有能な男だった。」
 その人は多分水野宏氏であろう。
 
 ジムの奥さんの前夫は三沢基地で殉職した空軍軍人であった。墜落するジェット機を人家の無い方向に向けているうちに、脱出が遅れたのである。当時は緊急脱出装置があまり優秀でなかった。

2013年09月17日

続々 Jim を訪ねて 

Jim Harper tunnelJim Harper 2-8-0Jim Harper depot

 レイアウトを見せて貰った。正直なところこれほど美しいレイアウトは稀だ。背景、地形、ストラクチュアどれをとっても一級である。貨車も素晴らしい出来で文句の付けようがない。

Jim Harper bridgeJim Harper tavernJim Harper turntable

 このあたりは半径1800 mm程度である。実物で86 mである。曲線の内側なのでそれほど違和感を感じないが、接線方向から見るとかなり急である。
 草は、マニラ麻のロ−プの繊維でできている。ほぐして捩り、接着剤で固めて植えるのだ。それに細かいスポンジを付けてある。
 ジーンズの布をほぐして捩ると亀の子たわしを伸ばしたような形になるので、それを固めて散髪し、葉っぱの材料を振り掛けて木にしている。

 Tavern(居酒屋)には明りが燈り、内部からは音が聞こえている。天井の処理は最近のアメリカではやっている手法による。

 現在50%の仕上がりで、残る部分の製作に勤しんでいる。

2013年09月19日

続々々 Jimを訪ねて 

Jim's layout
 24 mmレンズしか持っていなかったので、あまり広い範囲は写っていないが、様子はお分かりだろう。日本でいくつかのレイアウトを見たが、今まで見た範囲では、天井部分の処理はどなたもされていない。今後はこのような手法が取り入れられるのであろうか。

 このような手法が有効なのはウォーク・アラウンドの場合だけではないはずだ。いずれにせよ、エンドレスを俯瞰するタイプのレイアウトは、すでにアメリカの新作レイアウトでは全く見られなくなった。
 レイアウトのベース高さは54インチ(約137cm)である。日本でも120cmの作例が見られるようになってきた。今後は、高いレイアウトが徐々に浸透していくであろう。
Jim Harper ducking underJim Harper road bed

 高さがあるとその下をくぐることが簡単になる。アメリカ人はかがむことが不得意なので、低い椅子に車輪を付けたものに座ってごろごろと移動する。この路盤は初めて見た。薄い合板で縦方向の力を受け、発泡ポリスチレンでその曲がった合板がバックリング(座屈)を起こすことを防いでいる。軽量化とある程度の剛性確保という、相反する要求をうまく満たす、力学的に巧妙な構造である。

Jim's workshopJim Harper DCC

 線路は廻り込んで工作室に入り込んでいる。この工夫は筆者も取り入れている。試運転に便利である。
 DCCの機材は仮に置いてある程度だ。いずれ、収納場所が決まるであろう。

2013年09月23日

続々々々々 Jim を訪ねて

Jim Harper resistance solderingJim Harper overhead sliding door
 Resistance Soldering のトランスである。99%の仕事はこれで行う。コテは電気配線用の40Wのものだけである。日本でも、もう少し普及するとブラス工作への躊躇が減少するはずだ。筆者が原価で頒布したが、実際には組み立てていない人が複数あることが判明した。せっかくかなりの労力を掛けて製作頒布したので、有効利用してもらいたいものだ。

 これは車庫のドアである。上のレイルに沿って引き上げられる。コイルバネでドアの重さをバランスさせているので、小さな出力のモータで巻き上げることが出来る。この家は既存の設計の住宅の一部を変更したので、隣の 2‐car garageとは壁で隔絶されている。小さい扉は3台目用なのだが、レイアウト・ルーム専用にしている。大きな材料を楽に運び入れることが出来るので具合が良い。
 我が家にも付けたが、ドアを熱絶縁性の高いものにしているので、空調時に熱が漏れにくい。気密パッキンを付けているので隙間風が入ることもない。閉めた時は、事実上の壁となる。 

Jim Harper backdrop

 バックドロップ(背景の下地)は石膏ボードで、目止めしたのち、単一色で塗る。薄い建物を貼り付けた後、空の部分には多少のウェザリングが施される。建物は1インチ(25 mm)しかないが、紙よりははるかに実感的である。
Jim Harper license plate
 ネヴァダ州のナンバープレートである。こんなのを申請するのは居ないから、すぐに認められたそうである。




2013年09月25日

続々々々々々 Jim を訪ねて

Jim Harper figure 5
 走らせて見せてくれた機関車は、2-8-0コンソリデイションである。動輪が小さく、固定軸距離が短いので、ぎりぎりで走る。これがこのレイアウト上の限界であろう。
 走行可能な最小半径の計算は、本物と同様に計算して、スラックを付けるべきだろうが、そういう話は一切出てこないところが不思議だ。以前にも述べたように、貨車の台車を手で持つと、平行四辺形になるものもある。技術的に検討している形跡はなさそうだ。今話題のJR北海道の線路幅は、蒸気機関車が走っていた時の固定軸距離が大きかった時代のものだ。

Jim Harper coupler
 連結器のピンを抜くのに、面白い方法を採用している。ブラス製のピンの上端に鉄の針金の小片を挿してある。磁石でそれを引き付けると、肘(knuckle)が開く。磁石を遠ざければピンは落ちる。
 簡単そうだが、意外と難しい。ピンはそう簡単には落ちてくれない。かなり気を付けて仕上げないと思うようには行かない。塗装すると果たして動くのかは分からない。

Jim Harper layout
 未完成部分である。先日御下問のあった、ひも状のLEDが付いているのがよく分かる。夜の風情を出すときに用いる。



2013年09月27日

続々々々々々々 Jim を訪ねて

 ジムのレイアウトは美しい。しかし、車輌は良く走るわけではない。驚いたことに、貨車を手で押しても 30 cm も走らない。油が差してあるかどうかも分からない。

 摩擦について聞いて見ると、「良く走らない方が良い。」という。留置線に置いてある貨車が動いてはいけないからだと言う。要するに、貨車は全てブレーキが掛かっている状態である、と言っても間違いではないということだ。連結するとき、相手が止まっていないと連結できないから、「お前の車輪のような滑らかに動くものでは具合が悪い。」と言われたことは過去に何度もある。特にカブースは動きが良くない方が良いらしい。そう言えば、KadeeのNゲージのカブースは軸受にコイルバネが入っていて、軽くブレーキを掛けている。そうしないとDUがうまくできない、という話は知っている。DUとはDelayed Uncoupling である。

 実物では、側線は本線よりも低く作ってあるから、流れ出すことは無い。このレイアウトもそうすればよいのだが、それは無かった。

 ジムはビジネスマンである。何を企画すれば売れるかということには非常に敏感だ。proto48は、客の様々の不満を集めて、それを新しい方向に導くビジネスである。それはなかなかたいしたもので、そこそこに客も付いている。
 しかし、アメリカの鉄道ファンは、大型機により長大編成を牽くことが好きな人が多い。proto48で小型機ばかりの鉄道を楽しむには良いだろう。前にも書いたが、工学的な素養がある人が何人か参入して、ベイシックな部分を検討すれば、発展の余地はいくらでもある。しかし、今のままでは心もとない。

 



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