ヤング率

2013年04月14日

Proto48

 本物を縮小するとどうなるかについていくつか書いていたのだが、鹿ケ谷氏からのコメントでほとんど言い尽くされてしまった。それに書かれていないことだけを書こう。
 本物を小さくすると何が異なるかと言うよりも何が変化しないかを考えなければならない。それはヤング率である。物質の弾性変形に関する性質であって、これは物質に固有のものである。すなわち小さくするとモーメントが小さくなるが、ヤング率は変化しないので、模型は堅くなる。要するにバネは極端に堅くなるということである。車体が堅いので、捻られない。何らかの工夫をしないと、曲線の入り口の緩和曲線あたりで脱線する。
 
 レイルも枕木も砂利も堅くなる。するとカチンカチンのコンクリートの要塞の上に敷いたレイル上を走るのと同じである。その上を走る車輌の板バネは必要以上に堅く、よほどヤング率の小さい材料を選ぶか、薄くしなければならないであろう。このあたりでスケールから外れてくることが分かる。摩擦も速度によって変化するだろうし、以前に述べた慣性の現れ方も当然異なる。小半径である模型線路上を走らせようと思えば、フランジ塗油器が必要な条件であろう。

 そういうことを全て無視してひたすらスケール化するのは無意味だ。車輪を得意そうにみせてくれるのだが、挽き目が見えている。大切なフランジやフィレットに挽き目が見えるということは、スケールでも何でもない。その部分は研磨してなければならない。台車を触らせてもらうと、車軸が台車の軸箱中で左右に2mm弱動く。これでは駄目だ。台車の中で車輪が平行四辺形になって走り、フランジが当たりやすくなる。そのような最も大切な部分を疎かにしている人たちが、どうしてよく走るスケールモデルを作れよう。この集団の指導者層が素人であることが露呈している。

 停まっている情景模型であればそれでよいが、走らせるということは意外に難しいことなのだ。プロトとかスケールという言葉に酔っているのだろう 。車輪は相変わらずある男が作っている。2万軸売れたと威張っているが、たったの2万軸である。筆者のLow-D車輪の方がはるかに多い。2万も作ればCNC旋盤で作るべきものだろうが、総型バイトで作っているものだから、ざらざらの挽き目が出てしまうのである。

 この集団には機関車を設計して板から作れる人が居ないのである。誰かが作ったキットを組み、誰かの供給する車輪を付けてスケールモデルだと信じているだけなのである。
 やはりRainmaker が必要なのだ。巨万の富を持つ天才的な誰かが、正しい設計のものを継続的に供給できなければ、今の状態からは抜けられまい。大型機関車を作った人は居るか、と聞くと、チャレンジャを作った人が居るという。走るのを見たか、と聞いても誰も返事がなかった。

 筆者がRainmakerという言葉を出したら、Harmonは、「うまい表現だね。」と言った。この言葉は20年近く前にマット・デイモンの出世作となった映画の題名でもある。

Model Railroader May 2013Check 話は飛ぶが、ようやく筆者の低抵抗車輪の記事がModel Railroader 5月号に載った。原稿料の小切手を貰ってから随分待たされた。友人たちは10カ月待ちが普通だと言っていたが、それをはるかに上回った。先に原稿料を受け取ったので、他の雑誌からの誘いも断らざるを得なかった。

2014年02月16日

衝突

 もう30年以上前のことである。確か戦艦だったと思うが、模型を公園の池で走らせていた。Uターンさせて戻ってきたのだが、うっかり間違えてコンクリートの壁に正面衝突させてしまった。ゴンという鈍い音がしたが、船ははね返ってさしたる損傷はなかった。
 それを見ていた老人二人が、声を立てて笑った。
「やっぱりオモチャだな、はね返りおった。」 
それを聞いて、筆者は何が面白いのか分からなかった。

「はね返ってはいけないのですか。」
「そりゃだめだ。お前は船がぶつかるところを見たことがあるか。」
「いえ、ありませんが。」
「俺たちは海軍に居た。何回も船がぶつかるところを見たぞ。」
「えっ、それはすごいですね。どうなるんですか?」
「駆逐艦が岸壁にぶつかった。」
「岸壁が壊れましたか?」
「バカなことを言っちゃいかん。」
「船が壊れる。こうやってな、船がぶつかると……」
と身振り手振りで説明してくれた。

岸壁に当たったところがめり込むのだ。甲板はかなり原型をとどめたまま、ずぶずぶとめり込んでいくのだそうだ。なかなか止まらないものなのだと言う。
「船は柔らかいぞ。お前もなー、そういう柔らかい船を作って走らせてみよ。それでもって、岸壁にぶつかってぐちゃぐちゃに潰れたら、本物と同じだ!」
老人二人は、また大きな声で笑った。

 東横線元住吉で、電車の衝突事故があった。前頭部はぐちゃぐちゃだ。また、その他の車輌も床は盛り上がり、天井は落ち、長さが縮んでいる。
 やはり本物は柔らかい。その写真を見て、老人たちの会話を、ふと思い出した。


2022年12月02日

続々 測定をするということ

 前回のグラフは、いくつか机を並べただけの凸凹のある線路上で採られたものだ。曲線の半径も不明だし、その材質も明らかでない。レイル面が研いであると信じたいが、そうではなかったという情報もある。機関車のタイヤはよく洗ってあるのだろうか。こうなると何をしているのか、本人もわからないだろう。多分、言いたいことは、「張力計を入手したので、テレメータ化しました。」だろう。すなわち、これは測定ではない。牽引力を調べたいなら、平面上で連結器と車止めを張力計で結べばそれで解決だ。効率なら、標準貨車を牽いて斜面を走らせる必要がある。曲線抵抗は別の話題である。

 筆者は小型機の伝達効率を調べる時、サンプルとなる標準列車を用意した。20輌の質量、台車、車輪、潤滑剤は全く同一である。質量はすべて355 gにした。それらを斜面を滑走させて平坦線を転がし、その到達距離がほぼ同じであることも確かめてある。

 均一な斜面で引き上げるときの張力を測定するのだ。目盛りは動かず、一定値を示した。速度も一定値である。このような状況でないと、何の意味もない。効率という概念がわからないまま、「調べた」という記事もどこかで見たような気がする。 

 均一な斜面を作るのは大変であるが、正しい測定値を望むなら、やらざるを得ない。先日OJゲージの方から相談を受けた。アルミアングルで補強して線路を作ったのだが、少し撓むという。見るとまずい設計だ。

反らせない工夫 この図の 水平部分は、ほとんど剛性の増大に寄与していない。どうせなら、平角板を路盤側面に貼るほうが良い。ここで合板を厚くしても、ほとんど意味はない。 
 さらに、ここでアルミ材を使うのは賢明でないことにも気づかねばならない。鋼板は安くて堅いから、それを用いるべきである。アルミはヤング率が鋼の 1/4 ほどしかない。薄い鋼板を横からエポキシ接着剤で直接貼ってしまえば良い。鋼板なら薄くても十分だ。縦の長さの3乗で効く

dda40x at 12:02コメント(0) この記事をクリップ!
Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ