博物館

2022年09月10日

続々々 TMS 968号

 友人から、痛烈なメイルが来た。

 既製品を並べるか、ディテールパーツをこれでもか、と貼ったのしか興味のない昨今の模型誌がよく上位に入れたものだと驚きました。 

 これは筆者も同感である。他にも友人が、「入賞はさせないだろうね。TMSは写真映りがよくないものは使わないからさ。」と言っていたので、まさかの入賞であったというのはウソではない。

 古くからの付き合いのある友人を当博物館に案内すると、その路盤の高さには驚く。「向こうが見えないじゃないか」と言うが、逆に質問する。
「僕たちが実物を見る時は、視点の高さはどれくらいだろうね。踏切で見たり、跨線橋で見る以外にあるだろうか。ビルの屋上から見て楽しいかい?」
「そう言われてみれば、今まで気が付かなかったが、視点を下げる、逆に言うと路盤を持ち上げるということは大きな意味があるな。日本のレイアウトは低過ぎるね。」
と納得する。

 本文記事にも書いたが、いずれ日本のレイアウトは路盤が高くなる。HOでも実例がある。Nではもっと高くすべきだろう。ウォークアラウンドなら、1500 mmでも良いのではないか。

 1980年代にアメリカでは急速にレイアウト路盤が高くなった。MRの記事に、”毎年1インチずつ上昇している”と書いてあったことを記憶している。上昇は2000年近辺で止まったようだ。それはウォークアラウンドの普及(DCC, wireless)と同期している。

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2022年08月29日

続々 TMS 968号

 TMSのこの号を、記事に登場するご遺族、お世話になった方々にお送りしている。たくさんの方々からご連絡を戴く。

 伊藤 剛氏のご子息からは、
「早速仏壇に報告しました。父はさぞかし喜んでいるに違いありません。鉄道模型の奥はとても深いことを改めて感じました。」
「亡くなる前年に『鉄道模型功労賞』を戴きました。あれは晩年を締めくくる素晴らしい思い出になったことは確かです。顧みますと、父ほど模型人として幸せな人生はありません。」
とメイルを戴いた。

  吉岡精一氏の奥様からは、
「ありがとうございました。素晴らしい博物館になりましたね。私は高齢で見に行くことが出来ませんが、息子夫婦が伺わせて戴きます。貴方がいらして、主人と一生懸命工夫を凝らしてやっていたことが、このような形で保存されるということはありがたいことです。」
との電話を受けた。奥様は93歳とのことで、そのお元気な様子を伺い、感激した。

 内野氏の奥様からも連絡を戴いた。
「素晴らしい博物館ですね。わざわざショウケースも用意してくださったのですね。夫の模型も家でホコリを被っているより、ずっと価値があります。おめでとうございました。」
 
 その他様々な方から、激励の電話を受け、当方も決意を新たにした。

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2022年08月25日

続 TMS 968号

 記事中の伊藤 剛氏の言葉に対する評価が多い。

 この種のご意見をたくさん受け取っている。
「『鉄道模型は走りそうもないが、模型鉄道は今にも走りそうだ。』というくだりは、今回発表の他作品と比べるために用意されたものだね。他のは走りそうもないじゃないか。」

 他の模型のことはよくわからないが、走行の動画を見たいものである。
 模型は走らねばならない。しかも実物のように重負荷でじわりと牽き出し、低速で坂を登らねばならない。東京の会場では、無負荷での低速競争があったそうだが、「何をやっているんだろうね」と思われた方が多かったようだ。筆者だけではなかったことがわかり、それは嬉しい。 
 機関車を無負荷で走らせて、速度が速いとか遅いと言うのは小学生レヴェルであろう。これは筆者だけの意見ではない。理屈の分かっている方は、皆そう思っている。

 そのコンテストの現場を見た人からの話では、動輪の心が出ていない機関車も出場したらしい。そんな状態では動輪が一周する間に重心が上下するわけだから、同じ速度で走るわけがない。
 重負荷を掛けての低速度コンテストに出場が許されれば、当鉄道の機関車はどれを持っていっても優勝する自信がある。そこには伝達効率という重要な要因があるのだが、それに気付いている人は少ないように思える。音のする動力伝達装置を使っているようでは、無理な話だ。

 筆者のHO用ギヤをお求めの方は、重負荷での低速走行の動画を撮って、どんどん発表されると良い。そうすれば、今やっているような無意味なコンテストはなくなるだろう。 

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2022年05月07日

図書の整理

organizing magazines Tetsudomokeishumi久しぶりにクラブ員に来て戴いて、雑誌の整理をお願いした。TMSは創刊号からすべて揃っている。全部で3セット近くある。第2セットは書庫の中ではあるが、ある程度の整理はできた。第3セットはダンボールの箱の中にある。程度の一番良いものを開架している。バインダに綴じ込んだものを優先して並べた。一時期、合本になったものを並べていたが、それは評判が良くないので書庫に移した。

 60号より前のものは開くと壊れそうで、開架しない。いずれディジタル化して、ディスプレイの上で見ることになりそうだ。原本があるので、博物館内で見るだけなら、著作権法には触れないはずだ。

 鉄ピクは、1割程度の欠品がある。ファンはほとんどある。とれいん誌は、ほぼ揃っている。RM modelsもかなり揃った。Rail誌は90%ある。

 海外の雑誌は Model Railroader, Model Railroad Craftsman, Trainsがかなり揃っている。 Main Line Modelerは全てある。
 その他貴重な資料が揃っているから、早くリストを作って公表せねばならない。ユビキタスのシールを貼って、管理するつもりだ。1枚数円で手に入る、と聞いた。  

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2022年04月07日

続 佐藤昌武氏の主張 

 沢山のコメント、メイルを戴いている。私信としてあるので、公表できないが、全て佐藤氏の掲げた方針には賛同している。

 エポック・メイキングの定義が難しい。動力伝達機構の進歩はその段階を追って、展示すれば良い。他には何が適当かは、なかなか難しいことである。
 ただ細かく作ってあって、美しい模型はいくらでもある。その中でも特別に光り輝くような作品でなければならない。

 著名人の秀作が揃い始めた。ご遺族から連絡を受けたり、友人からの紹介で、受取りに行く。当博物館の様子を写したDVDを用意してあるので、それを事前にお送りしておくと、喜んで寄贈してくださる。そして陳列した状態を写真に撮り、お送りする。

 ブラス製以外の作品はお断りしている。経年変化でダメになる可能性が高いからだ。その点では稲葉氏の客車群は、極めて特殊な例外である。セメダインCしか使っていない。全面に塗布し、圧着してある。極めて堅固に着き、剥がれが認められない。天井、妻板、側板の組立も完璧だ。隙間を発見した場合には、低粘度のエポキシ樹脂を流し込む予定だ。

 走りの点では、不満足なものもある。いずれ動力装置だけは、取り替えたい。そのための部品は用意してある。もちろん故人が、「動力伝達装置を取り替えたい。」と仰っていたのを確認したものだけである。 素晴らしい作品を分解して手を入れるのは、畏れ多い。  

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2022年03月22日

佐藤昌武氏の主張

 佐藤昌武氏の名は、ある程度古くからの趣味歴がある方なら、ご存知の人が多いはずだ。TMSの初期から執筆されている達人であり、O、HO、TTゲージで、秀作を発表されている。山崎喜陽氏とは親しかった。
 しばらく前に亡くなったが、その前にTMSに2回に亘って発表された記事で、鉄道模型の今後の展望を書かれていた。その中に博物館の必要性を強調されている。
 氏は日銀にお勤めで、パリに駐在されていたこともあり、ヨーロッパ方面での見聞を、様々な形で語られた方である。筆者とは、意見が一致したことは多くはないが、この博物館の意義に関しては、完全に一致している。

 鉄道模型は、まだ市民権が確立されていないと述べている。
1.それを確立するには、公開運転会、コンクールが、雑誌ではなくマスコミによって広報されるべきであること。
2. 模型入門記事が、模型専門誌以外にも掲載されるべきこと。
3. 学校に鉄道模型クラブが設けられること。
4. 制作品、中古品がオークションで格付けされるようになること。
5. 名作、エポック・メイキングな作品を永久保存する施設が設けられること。

1. に関しては、かなりその種のイヴェントがある。最近のコロナ禍で減ってはいるが、昔に比べたらかなり増えた。
2. は少ないと思う。
3. 最近は学校内のクラブは少ない。
4. 日本のオークションは、あまり感心しないが、タマ数の多いe-bayなどは、かなり進化している。アメリカには、鉄道模型のオークションサイトがいくつかある。
5. まさにこれを実現しようとしている。これは20年ほど前から、植松宏嘉氏、川島教昭氏らを交えて意見交換していたが、まさか自分でやることになるとは思わなかった。本当は、ある方を中心に据えたものを構想していた。

 伊藤 剛氏を始めとする、何人かの達人の遺作をお預かりした。ここに来れば、ある程度の Oスケールの発達の歴史が見られる。専用のガラスケースを用意して、陳列した。地震への備えもある。
 現在、最終的な仕上げ段階に入った。盗難防止には気を付けるように、各方面から忠告戴いている。


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2022年01月13日

続 Youtubeへの投稿 

 博物館には1年に300日ほど出かけて作業している。この半年、毎日このUP835を起動する。Pullmanの急行列車を牽いて、DCCの出力70%で走らせる。そのまま数時間放置する。電流は、登りで0.55 Amps、平坦線で0.25 Amps、下りでは客車の照明だけだから、0.12 Ampsくらいだ。

 毎日、8 km位走るだろう。半年で1000 km以上走ったことになる。今までの分を合わせると2000 kmほど走ったわけだ。ロッドに注油するだけで、特に何もメンテナンスはしていない。撮影直前にヘッドライトが切れた。白熱灯であったが、点灯しなくなった。そろそろ全検でLEDに更新の時期なのだ。このレイアウトはカーヴが左右にほぼ均等にあるので、フランジの片減りは心配しなくて良い。

 硬い鋼製の動輪タイヤ、ステンレス製Low-D車輪、日本製ボールベアリングのおかげで、全くへたる気配がない。おそらく筆者の死後も、何の変わりもなく走り続けるはずだ。主連棒の掛かるロッドにもボールベアリングが付けられている。先台車の復元もボールベアリングによるから、復元力は顕著である。
 客車はLow-Dと3D print台車である。よく持っている。

 登り坂になると、途端に遅くなり、均衡速度20マイル/時(約35 km/h)でゆっくり登るが、白い勾配標を過ぎると平坦線であるから、俄然速くなる。下りは、とんでもない速度になる。フルスロットルで下ると130 マイル/時(約210 km/h)出るから、いささか怖い。

 脱線したことはないから問題ないだろうが、Tom Harveyの言う通り、旅客列車は安全第一であるから、制限速度を守っている。
  彼が乗務している列車の動画を撮ったので、公開している。白い帽子、白いシャツと赤いバンダナが彼の趣味であった。すすを出さない運転をすれば、問題ないそうだ。

注 ここでのキロ数は模型でのキロ数で、実物であれば10万キロに相当する。

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2021年12月04日

続 伊藤 剛氏の瀬戸電を見る

instruction 箱の中には、説明がたくさん書いてある。イラストを入れてあるので、わかりやすい。問題は蓋の中央にあるウレタンスポンジだ。いずれだめになるから、別の材料で作らねばならない。

 TMSの記事は、きれいな状態の写真が載せてある。その後、かなり走らせたあとがあり、そこら中塗装が剥げている。今なら、優秀なプライマがあるから、こんな剥げかたはしないだろう。

 剛氏宅に伺うと、いくつかの車輌を重ねて抱え、剛氏は現れた。そんな持ち方では傷がつくが、へっちゃらである。感心したのは、その持ち方でも壊れないことである。ハンダ付けが完全だから剥がれないのだ。
「落とさない限り、壊れませんよ。」と一向に気にしないようだった。「また塗り直せばよいのですから。」 

 body distortion 車体は急停車で歪み、平行四辺形になるが、この写真ではその様子はわからない。また、車体は枕木方向の軸を中心に前後にピッチングする。すなわち、急停止すると前に傾き、さらに車体が歪むのだ。

 これを披露されたときは、クラブ員一同爆笑した。バネは意外と固いが、車体がかなり重く、具合良くピッチングする。多少の摩擦もあり、よく減衰して実感的である。今考えているinspection carの設計に、とても参考になる。  

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2021年12月02日

伊藤 剛氏の瀬戸電を見る

Setoden by Go Ito 剛氏の瀬戸電の記事を書いてから、現物を収容している容器の蓋を開けた。
 例によって、電車の出し方、その他の細かい注意がわかりやすく書いてある。剛氏はご自分の作った模型が最低100年以上は鑑賞に耐え、機能することを願っていた。

 したがって、原則として非晶性プラスティックは使っていない。ブラス、ステンレス、洋白、銅、ハンダ、木材、POM樹脂製の歯車、ガラス、エポキシ樹脂しか使わなかったのだ。

 40年ほど前のNMRCの会報に模型の寿命の話が載っている。その記事を出される前に、筆者に打診があった。どのような材料が永持ちするか、いわゆるプラスティック(非晶性のものを指す)はどうして駄目なのか、を説明して差し上げた。

 プラスティック製品がだめになっていくのは当然ではあるが、明確な説明を聞いたのはそれが初めてだったそうで、納得されたようであった。

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2021年11月12日

続々 博物館の入場者

 その業界の友人たちは様々なことを提案してくれる。防犯カメラの設置に対しても、単なる録画では効果が薄いそうだ。インターネットを通じて世界中に放映せよという。そうすれば指名手配犯は来ないと言う。

 また、事前登録、身分証明書の提示は不可欠であるそうだ。「それが嫌な人は、来て戴く必要はない」と言い切れとまで言う。さらに、入場料を徴収するのは身元確認に必要なことで、事前の振込みに限ることだそうだ。振込みがあれば、身元は確実である。さらに、入り口での荷物置き場、コート掛けを設置する準備をしている。

 筆者は、この種のことには頭が回らないボンクラであるが、セキュリティ関係の仕事をしている友人にとっては、朝飯前の事のようだ。

 これらの提言を受け、様々な点で見直しをしている。線路の周りの防護の透明バリアも高さを上げることにした。
 先日の会合でこの話題が出たが、すでに盗まれているという話をすると、とても悲しそうな顔をされた方が何人もあった。誠実な方なのだろう。しかし現実はそうでもないことは、明白になってきた。 

 日本では、「嘘をついてはいけない」と言われて育つ。だから、悪いことをする人は、顔にそれが出て、眼の動き等が不自然になるのだそうだ。最近のAI技術は、それを捉えて分析するようになっているという。導入したいが、なかなか難しそうだ。またこれは、一部の外国人には通用しにくいそうだ。 

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2021年11月10日

続 博物館の入場者

 最近親しい友人たちに会うと、必ず言われることがある。博物館を開館するにあたっては、性善説を採ってはいけないと言うのだ。

 窃盗目的の者が、ある確率で来ると主張する。これは、それに詳しい業界の人達の話である。その種の犯罪者予備軍は、目の動き、素振りでもわかるという。筆者にはそんなことはとても無理だが、
「絶対に入場者から目を離してはいけない。トイレにも行くな、入場者は一回3人までとせよ。」
と言う。

 すぐには対応出来ないことをリクエストして、奥に引っ込んだ瞬間に盗むのだそうだ。また、奥(backshop)には他人を入れないことなど、細かく御指導戴いた。

 クラブの会合でも、窃盗事件は発生するそうだ。その手口も教えて戴いた。みなさんもご注意戴くと良い。目的の車輌の周りに自分の車輌を置くのだそうだ。撤収時に目的のものも一緒にかばんに入れたそうで、その現場を押さえた人から聞いた。不思議なことにその犯人は、まだクラブに在籍しているそうだ。間違いだと言い張ったのだろう。しかし事前に目をつけられていて、現場を押さえられたようだから、言い逃れはむずかしい筈であった。その後、彼には皆が注意を払っている。

 盗癖のある人は居る。実は当博物館でも、すでに被害が発生している。この写真の奥の機関車の上廻りが忽然と消えた。容疑者は居るのだが、今の所、直接の証拠がない。
 以前、別件でいたずらをされて迷惑をしたことがあった。わざと見えにくいところに隠してあった。今回もそれだと思ったが、何年も見つからない。もし見かけたらご連絡をお願いしたい。薄謝進呈する。犯人は知っている人だから、始末に負えない。

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2021年10月13日

ピアノ博物館

 四日市の山奥に湯の山温泉駅がある。電車の終点からさらに 500 mほど先に、その博物館があった。元はホテルか保養所だったのだろう。その建物を活用して、調律師の皆さんが中心になって運営しているようだ。NPO法人格を取得している。
 収蔵しているピアノはかなり古いものが多く、日本でお目にかかるとは思わなかった種類のものが沢山ある。いわゆるグランドピアノの前の時代の箱型ピアノは珍しい。しかも木製フレイムのものがあるのには驚いた。

 アメリカで沢山のピアノを見、触ってきた。木製フレイムでは狂ってしまう。湿度の影響をかなり受けるから日本では使いづらいと思っていた。鋳鉄製フレイムが可能になって、初めて安定した音程を得ることができるようになったのだ。筆者はアメリカ製のピアノも持っていたが、日本での保守はなかなか大変で、欲しい方に譲り、現在はヤマハになってしまった。音程が保たれるのはありがたい。これは日本製ならではである。 

triple stage この博物館の収蔵品で、筆者が一番興味があったのは、この3段に弦が張ってあるアップライトピアノであった。現代のピアノはすべて2段である。最初は1段であった。弦の張力が偏るので、交差させて2段にすると具合がよく、コンパクトになる。これは3段で更にコンパクトにしたのだろうが、スペイスの利用法ではまだ改良の余地があるように思われた。

backshopsquare piano この博物館のbackshopには、かなりの古いピアノが修復途上にあった。KB氏のことを持ち出すと、「あのあと、模型の汽車の博物館に行くって、かなり急いで行かれましたよ。」という返事が返ってきた。
「その博物館を作っている張本人です。」と名乗ると、とても驚き、是非見たいとのことであった。

 KB氏を案内して来られたビデオ作家のK氏は、
「工房でピアノの部品を作っているのを見たが、あれはdda40x君がジグを作ってあげれば、かなり省力化できるよ。」
と言う。木工、金工では、お手伝いできることがあるかもしれない。

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2021年10月09日

書庫を作る

 博物館に寄贈された書籍がかなりの量になってきた。
 親しい趣味人から書籍を寄付したいとの申し出が、時々ある。友人たちと出向いて受け取って来るが、それを車から降ろすのも一苦労だ。入口付近に腰の高さまで積み上げたままになっているものもある。
 珍しい本もあるので、全てを縦覧できるようにしたい。開架するのは無理なものもあるので、それは書庫に整理して並べたい。

 重複しているものがあれば、状態の良いものを開架し、残りは順に保管せねばならない。そのための書庫を作る必要があった。博物館の入っている建物の一部に適当なスペイスがあり、それを活用した。

 助っ人が来てくれたので、束(つか)が腐って少しぶかぶかする床を外し、頑丈な構造の床下地を作った。3トンほど置いても良いようになった。特に本棚の下は根太を増設し、束も直接根太を支えるようにした。飛び跳ねても全く凹まない。

 貴重な本もあるので、盗難には注意している。壁は石膏ボードではない。複合材を用い、斧でも破れない。扉は厚い防犯仕様のものを用い、内開きだから、蝶番を切り落とすことも出来ない。錠はアメリカ製の堅固なものである。熱処理した鋼材でできていて、恐ろしく頑丈である。

 中から鍵を掛けて作業しているときに人事不省になった時は、どうやって開ければよいかを、家族には伝えておかねばならない。

 防カビの燻蒸もできるようになる。
 
 書庫ができれば、積んである本が一掃され、歩きやすくなるはずだ。今、除湿専用エアコンを選定中である。 

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2021年10月03日

カビ退治

Trains (1) またまたカビのことである。椙山氏の蔵書をかなりお預かりしている。書庫に入っていたのを運び出して並べたが、背表紙にうっすらと白い模様が付き始めた。観察していると、徐々に白さが増してくる。カビが増殖し始めたのだ。


 このポリ塩化ビニール製の背表紙はとてもカビやすい。合本も具合が良くない。

Trains (2) 天気の良い日に外に運び出し、次亜塩素酸塩(要するにキッチンハイター)の3倍希釈液を作り、雑巾で丁寧に拭いた。1つ処理するごとに雑巾はゆすいで順次処理し、最終的には新しい殺菌液で再度拭いた。この胞子を壊滅させるには、次亜塩素酸塩に勝るものは無い。安くて具合が良い。臭いもなくなる。

 完全に乾いてから、防カビ剤を吹き付けた。最近のものより、古いものの方が効き目が強いらしい。当然人体にも悪影響がありそうなので、風向きを考えて吹き付けた。古いスプレイを使い切ってしまった。 

 これでしばらくは安心である。エアコンを掛けてかなり湿度を下げてあるが、カビの増殖を抑えるのは難しいようだ。

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2021年09月29日

博物館の入場者

 博物館は、開館を目指して細部の工事を急いでいる。運営委員になってくださる方々とは、随時会って意見を交換している。
 合葉氏の「見せると分かる」という意見はその通りであるが、どうやって見せるかということを話し合った。

 博物館での走行を見せるだけなら、動画をたくさん配信すれば、かなりの部分は解決する。最近はリモートでの仕事が多くなっているので、そのような手段はいくらでもある。こちらは経済的に困っているわけでもないので、入場料収入がなくても、なんら問題ない。

 この博物館には貴重な資料がたくさんある。研究者もいるので、そのような方とは直接の対話を大切にしたい。

 関係者と協議すると、入場者は紹介者がいる場合に限るとか、事前登録した人だけにすべきだという案が出て来た。来た人は自由に見られるというのは、思わぬ事故のもとであると言う。多人数で来られると何があるか分からないので、入場人数を制限するとか、考えねばならないことは沢山ある。

 筆者は門戸は広く開けておきたいと考えている。特に若年層に対する啓蒙活動はやりたい。これは、伊藤 剛氏、合葉博治氏の大切にされていた精神である。

 しかし、理解できないこともある。しばらく前のことだ。「余分な車輪があれば譲ってほしい」という連絡がコメントを通じてあった。若い人のようなので、助けてあげたいと思った。ジャンク箱を探して、希望のものをある程度揃え、発送先の氏名、住所、電話番号を知らせるように返信したら、
「知らない人にそのようなことを教えることは危険ですから、出来ません。」
という返信があった。

 これからは、この種のおかしな人が増えてくるのだろうか。そういう人が押しかけてくるのであれば、無制限な公開は避けざるを得ない。地元の警察と今後の話をした。 

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2021年09月01日

クハ サハ

 国鉄の電車のクとサという記号の解釈は、諸説あるようだ。クはくっついているとか、サは差し込まれて走るからだとか、もっともらしい解説がある。それではモは何を元に作られた言葉なのだろう。
 もっともらしいからモなのか?そんなことを言う人は居まい。しかし、クとサの説明から考えるとそれでも良いではないかということになってしまう。すなわち、上記の説明は怪しい。出典を書いてあるが、それも実に怪しい。

 伊藤 剛氏は、20年ほど前、
「その種の説明をする人がいるから、ますます誤解が大きくなるのですよ。」
と、以下のような説明をしてくれた。

「最初に言わなければならないのは、これらはすべて英語から来ているということです。モーター・カーの、これは簡単ですね。はコントロール・カーのクです。なになに?コですって。発音はクォントロールだったのですよ。最近はコントロールですが、昔はクァ、クィ、ク、クェ、クォと発音する人はたくさんいました。汽罐車の漢字のルビ(ふりがな)にも、きくわんしゃ”と書いてあったくらいなんですからね。
 日本語のカ行の外国語表記には ”Q” の文字を使って、qua, qui, qu,  que, quo としたほうが良いと言った人も居たのです。最近の本に書いてあるような、『くっついて走る』は、当然間違いです。

 は難しいでしょうね。これはsubordinate carです。意味は追随する人、家来のことです。英語の辞書には、a person under the authority or control of another within an organization とあります。ほら、コントロールと対になっているでしょう。
 この言葉は、昔の教育勅語の英訳にありましたよ。”汝臣民は、父母に孝行を尽くし・・・” の英語訳の最初には、”Thou subordinate shall ‥‥”とありました。お前達付随車は、・・・という意味ではないですけど、まあそういう意味です。」

 英語に堪能な方だったので、様々な例を引き合いにして説明戴いた。ともかく、この分野の言葉は英語から来ていることは、間違いない。それを日本語の怪しい言葉で満足しているのは、明らかにおかしい。インターネットによって、その怪しい解釈を撒き散らすのは、やめるべきだ。


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2021年08月28日

Floodlight Tower

 railtruck氏が正解である。

Floodloght Towers 高さ100 ft 約30 m の照明塔である。最大20個のランプが付く。この設計も northerns484氏にお願いした。0.8 mm厚のステンレス板の予定だったが、製造時に間違えてt 0.5 と t 1.0 の板を使ってしまった。やぐらは少し厚く、舞台部分はやや薄い。嵌合は少し調整が必要になったが、なんとか組めた。

 立ててみるとなかなか立派である。これ以上高いと天井からの圧迫感があるから、程々の高さである。奥の方にも、もう一本写っている(赤矢印)。実物の図面を参考にして作ったものである。

 LEDの色をどうするか悩むところだ。戦前はすべて白熱灯であった。後に水銀燈が用いられたが、色再現性が悪く、赤旗が赤く見えにくいという問題があったそうだ。それで2種を混ぜて使っていたということらしい。LEDの白は赤がよく見える。

floodlight tower  奥のもう一本を見てみよう。中にハシゴがある。実物の図面を見ると、30 mを一本のハシゴで登るようになっている。これはさすがに怖い。協議の結果、途中にlanding 踊り場を設けて、2段にした。 


 まだ他の場所にも立てる予定であるが、位置を決めるのは意外と難しい。  

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2021年07月15日

走行試験

 先日の記事を読んだHOの友人から、メイルを戴いた。

 ブログの合葉氏の記事は興味深く拝見しました。
 読んでいて思ったのは 日本のモデラーは日常的に走らせないから走行性能に関心が無い、というより判らないのではないかという事です。私の周りには、組線路でも良いから常設に近いエンドレスを持っている人はいません。出来た模型をせいぜい1、2メートル往復させるだけで、試運転完了です。

 やはり環境は大切だと思います。
 私は現在の家を建てる時に、多少お金をかけて、物置の名目で屋根裏部屋を作りました。もちろんレイアウトが欲しいと思ったわけですが、車輛作りの方が面白いので、組線路を敷いただけで30年経ってしまいました。でもすぐに試運転出来るのはありがたいと感じています。
 現在、左右どちらのカーブ上でも不具合が判るように、600Rを90度クロスを入れて8の字に敷いています。


 
確かに往復だけの試運転では、意味がない。この方のように8の字の形に敷くのは良い考えだが、筆者はそれにもう一つのファクタを入れたい。
 それは勾配である。3%程度の勾配があると、機関車の実力がよく分かる。もちろん負荷を掛けての試運転である。単機では意味がない。高校1年の物理の教科書を参考にすると、効率も計算できるだろう。

 読者の方から、合葉氏の指導を受けた方の記事を教えて戴いた。乗越しカルダンで、棒型モータではない。反トルク受けの様子が見たかったが、この写真でははっきりしない。
 合葉氏はスパーギヤによる平行伝動は好みではなかったことは先述の記事にもある。  


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2021年07月01日

「二人の模型人」を読んで

 先に発表した伊藤 剛氏の「二人の模型人」について、コメントやメイルで多くの方から、様々な感想をお寄せ戴いた。

 筆者としては、外観重視主義者と、筆者のような走行性能第一主義者との対比を考えていたのだが、殆どの意見が、16.5 mmと12 mmの対比に絡む内容であったのは、意外であった。筆者にとってはその問題はすでに過去のことで、意味がない。
 ゲージ(線路幅)よりもスケール(縮尺)が早く決まったなどという荒唐無稽な話を、根拠なしで流布する人たちとは対話できない。サイエンティフィックではないからだ。語学力の欠如の問題ではなさそうだ。

 それはさておき、ある友人から興味深い手紙を戴いた。部分的に公開の許可を貰ったので、紹介しよう。


 今回の「二人の模型人」を、興味深く拝読しております。一部の人々はHO/ 1:80をガニマタなどと誹謗し、12ミリ 1:87の需要を喚起しようとされているようですが、反発を買うばかりで、ますます12ミリ 1:87の未来を閉ざしていると聞いております。そもそも人様の財産にケチを付けること自体、品性や徳性といったものが疑われるわけですが、人体の欠陥になぞらえてあげつらうというのも、昨今はやかましくなった「コンプラ」的に、いかがなものかと思います。

 日本各地で問題になっている限界集落・その原因のひとつは、移入者に対する住人の偏狭な攻撃性だと聞いておりますが、どこの鉄道模型運転会の写真を見ても、OやHOの場合、参加者の方々の年齢構成から、限界集落ならぬ限界道楽という、つたない造語が脳裏をよぎります。

 今回「二人の模型人」を拝読し、70年以上も前に伊藤 剛氏が偏狭な価値観の押し付け合いに警鐘を鳴らされていたことを知りましたが、この言葉を我々が真摯に受け止めていたならば、現今の限界道楽的な状況はなかったかもしれませんね。


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2021年06月15日

二人の模型人

 古いTRAIN誌(1948年2月号)に伊藤剛氏が興味深い一文を載せている。この号には軌楽会の栗山 弘氏や椙山氏も記事を書いている。



 二人の模型人が居ます。二人とも私の友人です。二人とも私は尊敬しています。その名前を挙げることに私は意義を認めないから、假に一人をA君とし、一人をB君としませう。
(この書き出しをどこかで見たことがあるって?ーーそうです。これは昨年末新聞の文化評論にあった「二人の書家」のそのままですが、私は全く同じに感じてゐるのです。)
 A君はいわゆるマスプロ屋です。彼に30時間を與えればボギー貨車10輛から成る急行貨物列車をまたたく間に作り上げます。木の角材、セメダイン、ラッカー、ダイカストの台車と連結器、サンドぺーパーは彼が必要とするもの全部です。
 A君の車には細かな器具類はほとんどついていません。しかし奇妙に実物のそのままの感じが出ます。A君はいつも新しい形式を求めて、イヤあそこにある窓が小さい。すみにドアがあった方が好いとっています。A君は常に自からの夢を 最大速度でレールの上に乗せてみたいらしいです。彼は造形美術家の一人と云えませう。展覧会あたりにると、ボール箱に三杯ほども車をつめ込んでレイアウト上に一杯になる程出品します。しかも今も尚6輛編成の急行旅客列車の図面を一晩で書き上げて「君ィどんな色が好いだらう。一週間ばかり色の事を考えてゐるので、頭が痛くなった。」とやってきます。
 彼は”Oゲージ”で1/45ですが、アメリカの16m/mレイアウトを見てやって見たいなあと嘆息しています。
 B君は物凄い腕を持っています。その精密な工作はちょっと類を見ないほどで、ED16の1/40台車に全部スケール通りのブレーキシューをつけたと云ふことから推して知るべしです。B君の客車はフランス人形と云ふあだ名がついてゐますが、窓のカーテンの具合、テーブルクロース展望車の本棚の上に飾られた油絵の額まで、本当に1/40でよくこれまで出来るものだと思はれる程のデリケートな手法で作られています。
 一輛に數ヶ月或いは數年の年月を費やしても決して惜しいとは思いません。気に入らぬ部品はすべて気に入るまで作り直し、非常に高級な材料を選んで製作にかゝります。もちろん現代の日本のダイカスト既成部品は気に入る筈もありません。彼の作品には一種の香りがあります。それは出来上がった品物の美しさより、その工作方法の深く新しい考察によるものでありませう。
”O"ゲージ1/40では充分に工作の腕が振えないのか最近では96m/mか64m/mでライブスチームロコをやって見たいな等と云ってゐます。
 A君とB君もお互いの作品を感心して見てゐます。もっといいことには二人とも自分のサイドのほうが好いとは一言も云わないことです。
「模型はその人の趣味だから」と二人は口を揃えて云っています。しかも二人とも、”Oゲージ”のレールに関する諸規定だけはきちんと守ってゐます。
 二人の模型人があります。二人とも私の友人です。
 二人とも、私は尊敬しています。  この部分不鮮明】

 なるべく原文のまま再現するように努力したが、判読不能部分もあることはご了承戴きたい。 

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2021年06月07日

続々 昭和20年代初頭の同人誌

 他にもいくつかある。

Kyuden これは京都の奥野利夫氏が主宰していた京都鉄道趣味同好会による発行の「急電」である。副題は”EXPRESS"とある。
 関西圏(富山、和歌山あたりまで)の電車関係の情報がぎっしりである。乗務員室ドアの開く方向とか、パンタグラフの形の差、車内の照明器具の形を詳細な絵で示してある。謄写版であるから、図を描くのは大変であったはずだ。富山地鉄の新線開通を知らせる記事もある。

Extra 臨急電というのも発行されている。当時はカメラは貴重品であったから、スケッチが多い。その分細かいことまで気がついて、まとめてある印象を受けた。編集者は、「電車の記事が圧倒的に多いが、蒸気機関車、客車、貨車何でも結構ですから、ご紹介ください。」と書いている。


Tokai これはインクが薄く、ほとんど見えなくなってしまっているが、東海鉄道同好会が発行していた”TRAIN"である。岡崎の大嶽十四男氏が編集していたとある。伊藤 剛氏、椙山氏も投稿している。



 まだあるが、主要なものはこれぐらいである。細かく読んでいくと、投稿者には著名人がたくさんいたことがわかる。その中でも、竹島紀元(鉄道ジャーナル創刊者)という名前を見て驚いた。九州からの投稿である。その他、多彩な人々がこれらの同人誌に登場している。竹島氏は初期のTMSにも投稿している。

 発行部数がどれくらいだったのかはよくわからないが、欲している人には行き渡るくらいの数であったろう。

 その他、いわゆる「三号雑誌」と呼ばれた、発行して三号で倒産消滅したものも来ている。これはいずれ紹介しよう。


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2020年12月31日

長浦軌道の動画 公開さる

 修復成った長浦軌道はクラブで公開され、その時の動画が公開された。

 運転者側から見た様子
 伝導部構造

 

NMRC Jan.1966 この機関車の動力装置を作った時の、実験に基づくギヤ比の決定手順の記事が見つかった。クラブの会報である。発行は昭和41年だ。
 モータ軸と同軸に出力軸があるのは珍しい。のちにSG氏が増速フライホィールを付けた例とは、裏返しにすれば似ている。歯車は時計部品屋で買ったというところが面白い。現在はそういう店はまずないだろう。 時計の歯車はインボリュート曲線を使っていないので、音は大きい。

NMRC Jan.1966(2) モータの回転数を測定する手順が面白い。実際に無負荷でエンドレスを走らせて、1周2.81 mのラップタイムを調べている。実験を基に考察しているのだ。簡単に出来ても、こういう基礎実験をする人は稀である。実験もしないで分かったようなことを言う人は多い。剛氏の姿勢に学ばねばならない。測定ということは、すべての基本である。当時はセレン整流器の時代である。電圧降下は大きい。

 最近はマグネットモータしかないので、分捲特性と言っても誰もピンと来ないだろう。ギヤ比が適切なので、走りは素晴らしい。低速でトロッコをぐいぐいと押す。ゴムタイヤを使っているところも、考慮に入れているはずだ。


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2020年12月27日

続 自動操縦自動車 

TMS #6 この車は小菅製作所というおもちゃメーカの”ダンディ”という製品らしい。だいたい1/42サイズくらいだとある。1947年型キャデラックである、と01175氏からお知らせ戴いた。

 ブリキ板をプレスしたものだったそうだが、モータの界磁が近いので、磁気回路が外に出来てしまい、モータの力が出なかったそうだ。界磁に近いところを切り取って捨て、その部分をブラス板から叩き出してハンダ付けしたそうである。その継ぎ目が全く分からないので、磁石を近づけて境界を判定した。この工作は素晴らしい。

 70年以上経ってもその価値が減じない模型というものには、なかなかお目に掛かれない。どんなに細かく出来ていても、塗装が美しくても、工学的な裏打ちがあり、模型人の心を揺さぶる模型というものは稀である。

 博物館が開業すると、伊藤剛氏の作品を間近で見るチャンスがある。手に取ってという訳には行かないが、目の前で動きをご覧に入れることができるだろう。

 肺炎禍のせいで、何もかもが遅れているが、なんとか来年には開館できるめどが付いた。維持費は安いので、開業が遅れたからといって赤字がかさむわけでもない。筆者も、開業していないほうが工作に時間が取れてありがたいと言えば嘘ではない。
 信号機の完成実用化のめどが立ち、後は転車台を取り付けて、防護ガラスを付けるだけとなった。 

(TMSの旧い号は傷んでいるものが多いが、この椙山氏からお預かりしたものは全く傷んでいない。左上にサインが見える。椙山氏のご子息の意向で、蔵書をかなりお預かりした。)


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2020年12月25日

自動操縦自動車

 伊藤剛氏の作品で、鉄道車輛でないものは、これら以外にもいくつかある。

TMS6 これはTMSの6号の記事である。自動操縦とは何だろう?と思う人は多かろう。今でいうスロット・レーシングカーである。ただし、極めて高級なものである。ステアリングは本物のように動く。アッカーマン機構のステアリングで誘導する模型は、当時なかった。これは実用新案を取得している。図はすべて剛氏作成のものである。
 記事を読んで少々驚いたことがある。その中に松田恒久氏の名前が出て来る。TMS 3号に自動クラッチの記事を書いた人だ。今まで何回もこの模型を触っていたが、自動クラッチ付きであることを失念していた。ウォーム駆動だから動かないはずの車輪が軽く廻るのにそれに気づかなかったのだ。また、ディファレンシャル・ギヤも搭載されているし、3点支持で極めて滑らかに作動する。伊藤剛氏は車庫で手押しで動かせなければいけないと思ったらしい。

Dandymechanism この自動クラッチは、1978年に祖父江氏によって改良されたものが出来、筆者の模型にも4輌搭載されている。1983年に筆者の運転の車に井上豊氏を乗せて祖父江氏宅に行き、それを見て記事を書いたのだ。本当は祖父江氏の名前を出したかったのだが、
「松田さんのを改良しただけだよぉ、俺のアイデアではねぇからさー。」と辞退されたので、井上氏が作ったように紹介されている。祖父江氏は松田氏を知っているような口ぶりだった。井上氏の作例は小さいので、作動の確実性はやや劣った。祖父江氏のは2倍の大きさで、円周の外側に摺動子があって確実に作動するが、Oスケールの長大貨物列車を起動する時のショックに耐えるようにするには数度の改良が必要だった。最終的には、爪をS45Cで作り熱処理をしたが、滑らかな運転が出来る3条ウォームには、到底、敵わなかった。惰力が利くのは面白いが、快適な運転はできない。
 下り坂で、重い荷物を積んだブレーキ無しの自転車に乗るようなものである。逆転すると瞬時に噛み合って急ブレーキが掛かるが、列車は脱線する。またその瞬間に、爪が噛む相手がヘタる。松田氏のように電車に付けて手押しを楽しむのは良い利用法とは思うが、機関車には向かない物である。
 という訳で7輌ほどの試作で、双方向クラッチは廃案となった。摩擦の少ない車輛からなる列車を牽いて、勾配での運転をしない人には分からないのだろうが、実用性は無いと言うべきだろう。

 この件は以前にも書いたが、この双方向クラッチは珍しいものではない。陸軍の手廻し発電機にも、これが搭載されていたと、亡父が言っていた。よくある工夫で、特許にもなっていないようである。これを高く評価するのは間違いだそうだ。

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2020年12月23日

side dump car

side dump car パワーショべルの近くにあったサイド・ダンプ・カーである。1輌しかないが、実によく出来ていて驚く。幅は広く、O scale の建築限界一杯である。工事用の車輛だから、そういう点では制約がなかったのであろう。

side dump carside dump car パワーショべルで掬って、この貨車に積むのだろう。台車が一つしかなかったので、仮台車を付けて撮影した。数字から判断するに昭和27年製である。DLというのはDream Land Centralという鉄道名から来ている。面白いことに、このあたりのTMSには模型鉄道の会社名が毎号2ページほど載っている。その中に剛氏の鉄道も掲載されているわけだ。高校生が沢山登録しているのは、ほほえましい。

side dump car このサイド・ダンプには床下に巨大な空圧シリンダがある。油圧ではないから、かなり大きな面積で押さないと持ち上げられなかったのだろう。実際には、どのように空気を入れたのかは興味深い。急に最大圧を掛ければ、荷台は折れるかもしれない。また土砂は飛び跳ねるだろうし、貨車の下半分は反作用でめり込み、その反動で脱線するかもしれない。何らかのガバナーでゆっくりと入れる筈だ。

 この貨車は左右どちらにも傾けることが出来るが、細いエナメル線で、動かないように縛ってあった。おそらく正立させた状態でないと、荷台を起こしたときに、ばらばらになってしまうのだろう。

 友人が来たので、パワーショベルとこの貨車を見せたところ、驚嘆していた。板金加工で肉厚の鋳鋼製を模しているところや、巧妙なリミット・スウィッチの工夫、薄型ソレノイドによる底蓋開放装置には恐れ入ったようだ。
 彼もDCC化には賛成である。多重制御化は剛氏の意思であり、事情が許せばやっていたことなので、いわゆる復元ではなく、発展的な再構成となるであろう。これについては、異論はないと信ずる。

 これらの模型に関する資料を探さねばならない。NMRC名古屋模型鉄道クラブの会報を丹念に見ている。きっと剛氏が細かく書いているはずだ。あるいは日本車輛の資料の中にあるかもしれない。 

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2020年12月21日

続 伊藤 剛氏の Power Shovel

 TMS の何号に載っていたかを探すのは大変な手間であった。ようやく見つけたところ、railtruck氏からコメントでお知らせ戴いていて、悄然とした。1959年の伊勢湾台風のころである。

 この時期のTMSはとても面白い。様々な工夫の発表が多く、現在のように「綺麗に作ってある」ということを強調する記事は少ない。自作記事が多く、しかもそれらの中で高校生の作が目立つ。この時期の高校生は既に80歳近い。ご存命であれば、いかがされているのだろうか。


 当博物館に現存する作品は、発表当時とはかなり異なる。セレンはシリコン・ダイオードに更新され、下廻りのモータは鉄道模型用のモータに取り換えられている。その他、内容は発表された写真とは大いに異なる。

 当初は1/30で設計されたようだが、Oスケールでも通用する(大型の機械を1/45にしたと考える)と書いている。1/48でも似たようなものだ。このショベルは、自分よりも高いところを削るのが目的だとある。崖を崩すようなシーンだ。海外の露天掘りは、そのような方法を採る場合が多い。
 昔アラバマ州で見た鉄鉱石の採取はまさにそれで、土砂の層10 m 程を取り除き、その下の5 mの鉱石の層 を掘ってトラックに積んでいた。剥がした土砂は、鉱石を取り除いたところに積み上げる。見渡す限りの荒野を剥がし取るのである。
  TMSの記事には”ジッパー”とあるが英語は”dipper"のはずだ。ひしゃくのことで、掬い取るものである。こんなことを伊藤剛氏が間違う訳はなく、元原稿には”ヂッパー”とあったのではないかと推察する。 


 動作部分の行程はリミッタを付けてあるので自然に止まり、極性反転すると戻って来る。ロープのたるみ止めの装置は床下にある。様々な工夫があり、とても書ききれない。

 この制御回路には、いかにも剛氏らしい工夫が沢山ある。電線の数を減らすことを考えていたのだ。剛氏はこれを貨車に積んで、動かしたかったようだ。最終的には2本の線で動かしたかったとある。多重制御については、大変興味をお持ちで、筆者のアイデアをよく聞いて下さった。DCCの前の段階の時期のことである。
 筆者がDCCをお見せすると、「これが使えるならクレーンを自由に動かせますねー。」とおっしゃったので、何の事だろうと、思ったことを記憶している。
 2本の線による多重制御の可能性をずっと考えていらしたのだ。

 現在の技術なら、ギヤード・モータを用いて、コンパクトにまとめることができる。工作は難しいことではないが、実物の作動原理が理解できていないと、設計は難しそうだ。

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2020年12月19日

伊藤 剛氏の Power Shovel

 所属クラブで伊藤剛氏の鉱山鉄道の復元のお披露目があったが、その席上パワー・ショべルの話題が出た。それは当博物館に来ていたので、探し出して写真を撮った。一部をお見せする。ボディは見つからなかった。

loading shovel Power Shovelはコマツの商品名だそうだ。本来は loading shovel と呼ぶらしい。掘って貨車やダンプトラックに積み込むのが仕事である。最近は油圧式の機械が増えて来たので、ワイヤ・ロープ式のものはわざわざ rope shovel と言うらしい。巨大な、ひと掬い数十トンのタイプは、すべてロープ式である。ショベルの底が開く様になっている。油圧式は、ロープ式に比べると寿命が短いそうだ。ロープ式は何十年も使える。  

crawler 剛氏の話によると、職場で顧客に説明する時、
「模型があったほうがいいね、ということになったので、作っちゃった」そうだが、とてもそんな程度の模型ではない。6モータで非常に複雑な動きをする。ショベル部分は伸縮する。本物は、ここの裏がラックになっていて、ピニオンの回転で伸縮する物が多い。これはロープで出し入れする。 

chasis これは剛氏のその他の模型に比べると、かなり保存が良くない。履帯も、片方が行くえ不明だ。履帯は蝶番をたくさんつないで構成されている。履帯内側の脱線防止爪が細かく出来ていて驚く。駆動輪、転輪は鉄道模型車輪を貼り合わせて出来ている。ロータリィ接点もある。現在ならDCCで2本の線でコントロールできるし、無線操縦も簡単だ。
 床板は劣化して割れている。作り直すなら、床板を分厚い金属板から作る必要がある。クラブ員の中で、これを作り直す、という意思を持つ方が出て来ないかと楽しみにしている。

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2020年12月03日

伊藤 剛氏の長浦軌道の修復成る

Nagaura kidorotary tippler box N氏の尽力で剛氏のロータリィ・ダンパの修復が完成した。原則として、オリジナルに戻すという方針であるので、55年前の状態を見ることが出来る。
 車輪は現在のものを用い、ピヴォット軸受にはモリブデン・グリースを少量入れてある。滑走性能は良く、”飛び出さないかと思わず手を出した” という状況が再現された。 

 今回手直しをしたところは、スピードが出過ぎるのでリターダを付けたことだけだそうだ。長いリボン状のバネによって車輪の内側を擦り、減速する。

 機関車のタイヤはゴム製であったので劣化していた。それを現代の材料で再生した。集電はレイルを直接擦るスプーン状ブラシが4個付いている。集電は完璧で、いかなる場所でも起動不良になることがない。5輌のトロッコを軽々と押して登る。

 ロータリィ・ダンパの回転する枠は缶詰の蓋部分を切り取ったもののようだ。鉄の色が出ているところが実感的である。丸みはもともと完全であるし、作りやすい。元はビールの缶ではないかと思われる。当時はビールは薄鉄板の缶で売っていた。三角の孔を開ける道具も酒屋でくれた。2箇所に孔を開けて中身を出したのだ。直接口に付けて飲むと、妙な味がすると不評であった。

 おそらく、剛氏はその缶詰を手に取った瞬間に閃いて、全体の構想が出来たのではないだろうか。図面無しで、あっという間に作られたような気がする。

 全体を1800 mmに収めたかったようで、最終端は少し曲げて長さを短くしている。

 組立式なので、滑りの良い机の上では徐々に位置関係がずれてきて、脱線してしまう。大きな板の上に固定するのが良いだろう。クラブでのお披露目のあと、当博物館で永久保存の予定である。もちろん動態で公開する。その場所も確保した。

 クラブで動画を撮影したので、編集後、公開される予定だ。

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2020年09月24日

修理・修復・復元・改修

 最近戴いたコメントについて考えた。

 伊藤 剛氏の長浦軌道は新しいメカニズム・電気方式で改修されるだろうという予測を書いたところ、そういうのは修復ではないのではないか、というご意見であった。

 これについては以前、亡くなられた吉岡利隆氏とは、ある程度の合意ができていた。氏は4人が働く線路工夫のカラクリを大変高く評価して、是非とも修復を任せてほしいと名乗りを上げられた。伊藤 剛氏が存命中のことで、その内容については、剛氏自身がそれしかないと認めたものであった。

 剛氏の作られたメカニズムとリレー、フォト・トランジスタ、タイマを組合せたものは、再現性が悪く、剛氏自身の調整後でも、3時間ほどしかまともには動かなかった。あちこち調整しながら見せてくれたが、やはり不具合が多かった。
 吉岡氏がお得意の、”シーケンスで動かし、メカ部分は半分程度は作り直す”ということで、”確実に20年間は間違いなく作動するものを作ろう”ということになった。その打ち合わせの最中に、吉岡氏が急死された。剛氏は電話を掛けてきて、「吉岡さん死んでしまいましたねぇ。もうこれで動かす方法が無くなってしまいましたよ。」とつぶやいた。

 剛氏のメカニズムの真髄であるイコライザを使用したツルハシ持ち上げ機構とその振り下ろしタイミング装置はオリジナルを使用し、全体を制御するのは、マイコン化することになっていた。形状記憶合金で出来たレイルを通電で元に戻すというアイデアも、研究課題に入れることにしていた。


 それから7年、剛氏の長浦軌道が見つかり、復元作業が始まった。
 当事者のNG氏からは、「あくまでも剛氏のオリジナルを後世に伝えるべきであると考えます。剛氏の作品を勝手に改造するのは”冒涜”と考えています。」と連絡があった。この点においては、コメントを戴いた方の懸念は払拭されたことになるが、調子よく動かそうと思うと、困難な点がいくつか出て来ると思う。


 話は変わって、筆者のコレクションは自作を除き、様々な人の作品である。大半はカツミ製(祖父江製)であったり、アメリカ人の作ったものである。そのすべての下廻りは新製に近い程度まで作り替えられている。祖父江氏自身が改造したものもあるが、筆者自身が作ったものもある。筆者は機能を第一に考えるからである。まともに走りもしないものを鉄道模型と言うことはできない。実物と同程度の走りを見せるように作り替えることに対しては、コレクション蒐集の何倍かの金を掛けている。これはスクラッチ・ビルディングの材料として完成品を利用しただけであるという解釈もできる。自前のメカニズムを搭載するための機材を購入していると考えるのである。そうなると見かけは似ているが、中身は完全な別物である。
 こういう楽しみ方をする人は少ない。コレクタの人たちは、買ったままで、箱の中の詰め物まで元のままに保存するそうだ。筆者のようなやり方は「とんでもない話だ」と攻撃を受けているくらいである。

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2020年09月14日

続 伊藤 剛氏の長浦軌道

nagaura kido3 機関車は4輪ともゴムタイヤである。そうしないと勾配を押し上げることができない。集電はレイルを直接擦るシュウによる。ロータリィ・ダンパの丸い枠は、鉄の色で実感的である。その材料は空き缶の縁である可能性が高い。真円度と色の両方を取ったのであろう。
 既に52年前の作品であり、駆動、電気方式等はかなり旧式である。NG氏は意欲満々であるから、最新式の制御方式、駆動方式になると思う。ひょっとすると、DCCになるかもしれない。

 貨車はピヴォット軸受で、摩擦がかなり少ない。斜面を転がり落ちて行く時の速度はかなり大きく、先端のところで飛び出すのではないかと思ったのは、納得できる。

 これは1/45の16.5 mmゲージである。このサイズでは斜面での慣性は大したことがなく、加速度も大きいので、動きはおもちゃ的である。小さい模型では何らかの方策で慣性増大を図る必要があるが、これについては難しそうだ。積み荷を降ろすわけだから、トロッコの中は空になっていないとまずいのだ。車軸を太くしてみても角速度が小さいので効果は薄い。

 これを2倍の大きさで作って、Oゲージの線路にすると、かなり実感的な動きになるだろうと思う。45 mmゲージの線路で762 mmの線路なら1/17のサイズとなる。610 mmなら1/13.6、508 mmなら1/11.3だ。大きくなれば、動きはかなりリアルになる。
 線路と車輪はいくらでもあるので、暇になったらやってみたいものだ。

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2020年09月12日

伊藤 剛氏の長浦軌道

nagaura kido1 この模型のことがクラブで話題になってから久しい。会員のNG氏が高校生だった1968年、クラブの例会で剛氏が持って来て披露したそうだ。その後、いろいろな場で語り合われたのだが、現物がなかなか出てこなかった。しばらく前筆者が剛氏宅を訪ねて見せてもらったのが、ほとんど唯一のチャンスであった。

 トロッコが解放され、重力に従って坂を下り降りる時、nagaura kido2あまりにも速く、飛び出すのではないかと、手を出して受けようとした、という話を聞いた。この写真は、切り離されたトロッコが滑って行き、逆戻りしてスプリングポイントで 下に降りていく部分である。


 この公開運転はおそらく一度限りで、それを見たことがある人は大半が他界してしまった。NG氏は、その存命する唯一の目撃者かも知れない。 この長浦軌道が走るところを見たいという希望を受け、お預かりしている箱を順次開けて確認してきたが、3年ほど探しても見つからなかった。NG氏はその修復を任せてくれと申し出ていたので、見つからない旨伝えると、落胆していた。
 先月、それを思わぬところで発見した。ガラス棚の陳列品の下に、台として置いてあった箱を開けると出て来たのだ。もっと大きな箱だと思い込んでいたが、意外に小さな箱で見落としていた。

 レイルはブラス製であった。木橋は合成樹脂のニスを厚く塗ってあり、ガタはない。ポイントは電動とスプリング式の二つである。


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2020年08月03日

続々 特急”はと”編成を預かる

  他にC62も持って来ねばならないし、優等客車もあと何輌かある。Oゲージのままで走行性能を極限まで上げて、博物館のレイアウトを疾走させるのも面白い。そうなれば客車ヤードに入れておいて、リクエストがあれば走らせるという形になるだろう。Oゲージの旧製品は下廻りと動力機構を全て入れ替える必要があり、その工事を待たねば、線路には載せられない。バネが無いものは集電が悪く、スパークでレイルに傷がつく。当博物館のレイルがきれいなのは、それが無いからである。客車であっても電球では電流が大きく、台車が固定軸だとスパークが出て、すぐに車輪が傷だらけになる。と同時にレイルも傷むわけだ。
 現在博物館のレイアウトを走っているUP4-8-4と10輌編成の急行列車は、LED照明で登り坂でも0.7 Aで走る。この程度の効率を実現するのは可能である。

 下廻りはすべて新製する予定だ。台枠はレーザで切り抜き、動輪は鉄タイヤの新品にする。
 筆者は国鉄型の知識が少ないので勉強中であって、いろいろな方からご指導を戴いている。

 最近、いろいろな方から寄贈の相談がある。應迎寺の話は現実のものとなりそうな気配である。どなたもおっしゃることは同じである。
「家に置いておくと、自分が死んだときに捨てられてしまう。頼むよ。」

 今のところ、ワンフロアが完全に空いているので、そこに順に置いて、内容物を示す紙を貼っている。スペイスはかなりあるから、当分は全く問題ない。ガラス棚もいくつか新しいものが入ったので、代表作は展示している。


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2020年06月06日

【臨時ニュース】 椙山 満氏のレイアウト

Blue Star Pacific RR 椙山 満氏が亡くなった後、レイアウトは4つに解体されて某博物館に収蔵され、公開されていた。大きさは 6 m弱 ×4 m弱である。
 その後10年経ち、その博物館の方針変更により展示を終了することになった。壊してしまうのは、あまりにももったいなく、さりとて筆者には収容するスペースはあるが、保守する自信はない。
 筆者の博物館の建物の3階は完全に空いているとはいえども、O、OJのテスト用の線路を敷いて欲しいという要望がある。実のところHOは触ったことが無いに等しく、お任せいただいてもむずかしい。 

 管理を任されているK氏は、「大切に使って戴けるなら、ご希望の方にお譲りするのが一番良い」とおっしゃるので、ご希望の方は手を挙げて戴きたい。無償でお譲りする。
 解体、搬出には立ち会う。搬出には4人程度の人員が必要で、1日で終われるようにしてほしい。設置場所はその博物館建物の1Fにあり、楽に搬出できる。現場には4トントラックは入れる。
 下見希望の方には応じるので、コメント欄を通じて連絡されたい。 

 このレイアウトの紹介記事はTMSの92年9月号(のちにレイアウト・アートに再録)にあるので参照されたい。 

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2020年01月02日

伊藤 剛氏の折畳み貨車

剛氏の折畳み貨車  (1) 昨年折り畳み貨車を友人のF氏に見せた所、「僕にレストアさせてほしい。」と申し出て下さったので、早速お願いした。
 年末に届いたので、封を開けてびっくりした。素晴らしく綺麗だ。最近の画像複製技術の進歩で、本当に木で出来ているのかと思うような仕上がりである。
 ドアヒンジは各扉2箇所の時代があったのだ。小型ドアは2枚、大型ドアは3枚であった。

 2016年に、剛氏のところからお引き取りしたものを順次開被して、確認していた。そこで出て来た時には、修復は難しいと思っていた。塗装を全部剥がしてハンダ付けをやり直し、側面を新製すると、もうそれではレストアではなくなってしまう。

剛氏の折畳み貨車  (3)剛氏の折畳み貨車(2) F氏は塗装を温存しながら、綺麗に洗い、完璧なレストアをしてくれた。裏表で異なるサイドを持つ。ありがたいことである。この貨車はあと4輌ある。いずれ修復して戴けるもしれない。今後様々な点で、お世話になることが多くなるだろう。

 問題は台車である。オリジナルのダイキャスト台車枠は劣化が進み、使えないものがある。さりとて、それを現行品にして、しかもLow-Dにしてしまうのは気が引ける。台車を複製するという手もあるが、それは気が進まない。

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2019年11月14日

再度 Four's a Crowd

619_1417Mixt TMS501模型鐵道 No.16 例の映画の話だ。伊藤剛氏から来た図書の整理をしている。”模型鐵道”は大半揃っているが、その中の16号に、”Four's a Crowd” を紹介する酒井喜房氏の解説があった。この映画については、以前ここで you tubeによるダイジェスト版を採り上げた。
 戦前の検閲の厳しい折に、裕福で自由なアメリカの生活を賛美するような映画が封切られたことには、驚きを禁じ得ない。部分的にカットされた状態での公開だったのかもしれない。 当時の字幕スーパーが見てみたいものだ。

 再度検索すると、驚いたことに全編を見られるウェブサイトが見つかった。しかも再生速度を遅くできるので、あの早口が聞き取り易い。

 この映画については400号あたりのミキストだったかで山崎氏が何か書いていたように記憶する。まだ探し出せていないが、手放しの褒めようであった。当時はこれを戦前に見た人が生き残っていた時代であるし、またそのような人が限られていたから、紹介記事を書けることが自慢であったのだろう。

 Four's Crowdの意味であるが、これは英語のことわざ(成句)にこんなのがあることから来ている。これは16世紀から使われている言い廻しだという。”Four’s” は ”Four is” の短縮形である。

 Two is a company. Three is a crowd.

 (恋仲の)二人はうまく行く。しかしそこに三人目が居ると、 意見が分かれてうまく行かない、という意味だ。似たような意味で、fifth wheel というのがある。車輪は四つで良いのに五つ目を付けると、とんでもないことになるわけだ。そういう意味では、大型トレーラのトラクタ後部に付いている回転部分を fifth wheel と言うが、それはこの言葉を知っている人が、わざと付けたのだろう。 


 そこでこの題名だが、四人だったら・・・という、茶化した題名である。
 日本での公開時に付けられた題は ”結婚スクラム” だったらしい。これまたわからない題名だ。本来なら “四人でしっちゃかめっちゃか” くらいが良いだろう。


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2019年11月02日

display layout

 このブログでは過去に何回かディスプレイ・レイアウト話題を出している。

 景色が付いているレイアウトのことをscenery layout 、走行を見せるレイアウトをdisplay layout と呼ぶ。わが国には前者をレイアウトと呼ぶことだけが紹介されてきた。後者の好例がペンシルヴェイニア州の友人宅にある。色は薄い白に近いグレイであった。

 そのレイアウトは 30 mx15 mほどあり、高架でのベント・ドッグボーンと平坦線の同様の線路があり、渡り線で行き来できた。一周10分弱掛かった。景色がないのは物足りないようにも思えたが、長い列車の走行を見ると満足できる。渡り線の操作で、上下を自由に走らせられるのも面白かった。
 
 シーナリィがないとは言え、築堤部分はそれなりの形をしている。トンネルもあるが、ストラクチュアがない。彼のレイアウトはよく整備されていて、いろいろな人が列車を持ち込んできて楽しむ。勾配があるので、動力機構を改良したものでないとモータが焼ける。

 線路にはバラストが敷いてある。これはゴム製の粒子で、ただ撒いてあるだけである。所定の幅に敷けるように簡単なジグで撒き、刷毛で整えてある。地震がなく、完全な空調が効いているから、砂ぼこり、綿ぼこりもない。気に入らないところは、掃除機で吸って撒き直す。このバラストの視覚的効果は大きい。 

 貨車の車輪はLow-Dになったので、さらに長大な列車を牽けるようになった。土屋氏と訪ねたことがある。土屋氏はとても気に入ったようだ。そこでレイアウト高さの考察もした。
 彼らは背が高いので、テイブルの面は、52インチ(約1320 mm)もあった。高架部の最高地点は、64インチ(約1620mm)であった。15‰の長い勾配を登って行く様子は、実に素晴らしかった。もちろんDCCでサウンド付きである。
 観客はストラクチュアのないことなど忘れている。 

 勾配、サウンド、長編成が、ここでの大切なポイントである。
 
 博物館の崖の完成した様子をお見せする。岩山に沿って線路を敷き、一部を崩してヤードを作ったという感じがするだろうか。
rock wall (2)rock wall (1)rock wall





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2019年10月27日

崖を塗る

trimmed rock wall 崖をグレイの油性塗料で塗る。毛の長い刷毛に塗料を含ませ、溝の中に入れる。多少の塗り残しはそのままにして、次の部分を塗る。細い刷毛に替えて、もう一度塗り直す。塗り残しを探して刷毛を奥まで入れる。時間が掛かった。這った姿勢であるから、かなり大変だ。

  ”ドリルと発破で修整した部分”は、縦にも刷毛を動かす必要がある。ドリルで掘ったように見えねばならない。
 塗料がかなり飛び散る。周りは、半径1.5 mほど古新聞で完全に覆ったので、飛散は完全に防げた。グレイに塗ると、全体が落ち着いて見える。

rock 次の区間は水平な地層で、仕事は単純である。あっという間に完成だ。この左の部分は擁壁になる。脆い岩山を崩し、擁壁で抑えて線路を通した想定になっている。そのように見えるようにしたつもりである。

retaining wall 擁壁はT氏に頼んで枠を厚紙からレーザで切り出して貰い、プラスティック板をレンガ風にエンボス(押出加工)したものを裏から貼った。曲線に馴染ませる必要がある。円錐台側面に貼る部分と直線部分、そしてその緩和部分があるから、かなり面倒である。この写真は仮置きの状態を写したものである。整列させてから写真を撮るべきであった。 
 色は、全体を今までと同じグレイにする。これは土屋氏からの指定事項だ。車輛以外には色があってはいけないということなのだ。


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2019年10月25日

続 崖を作る

 ただ天井材を積んだだけでは、隙間がたくさんある。そこに天井材のかけらを自然に見えるように詰め、ワイヤブラシでこすってなめらかにつなぐ。パテも少し詰めた。助っ人が来てくれたので、お手伝い戴いた。遠くから見て、修正箇所を教えて貰ったので、ほとんどの穴が塞がった。

Rock (1) 新聞紙、マスキングテープ、マスキングフィルムを使って、周りを養生し、ペンキが飛んでも問題ないようにする。そうして、天井に塗った白い水性塗料を塗る。毛の長いブラシを左右に刷毛を動かし、たっぷりと浸み込ませる。
 要するに、この塗料はプライマとして使っている。そうでないと、油性塗料がいくらでも浸み込んで仕舞う。また、水性塗料を浸み込ませるときに、刷毛の動きで、天井材のちくちくした断面が多少丸くなるので、風化したように見えて具合が良い。

 次の日の油性塗料を塗るための準備をした。他にもある塗らねばならないものを全て並べ、段取りを良くしておく。油性塗料は、缶の蓋を開けている時間をできる限り短くするべきである。酸素が入って反応すると、少々粘くなると同時に、固まりにくくなるからである。これは、部分的に重合し、硬化するのに必要な腕の数が減るからであろう。


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2019年10月23日

崖を作る

 崖を完成させることにした。天井材を割って貼り重ねた状態で、1年ほど放置してあった。残りの部分を完成させ、塗装する。岩は重なっているが、ある程度の傾斜を持っている。全体を通じて、その傾斜の辻妻が合わなければならない。

 要するに、大きな岩山があって、その岩を避けて線路が敷かれたことになっていなければならない。必要があってどうしても崩さなければならなかった部分は、それなりの形に修整する必要がある。そうすれば、全体を見た時に歴史的な変化が分かる。

 以前写真をお見せしたものは「背斜」の部分で、その続きが必要であった。傾斜は少しずつ緩やかになり、水平に近くなる。こうすれば、全体を見た時、自然な感じがするはずだ。

trimmed rock wall この部分はドリルで深く掘って、小規模な発破をかけ、崖の傾斜を垂直に近くしたものを模している。岩が堅ければ良いのだが、脆い場合は擁壁を作らねばならない。これは下塗りの状態である。 
 土木の専門家に聞くと、擁壁は垂直でも何ら問題ないのだが、少し角度を付けたほうが安定感があるとのことであった。80° 程度にした。

 擁壁のデザインはあちこち見たが、昔 New York州 Albany付近で見たものが気に入っていたので、それらしきものを作った。


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2019年06月16日

見学者

 先日、親戚の土木工学の専門家から、元同僚2人を連れて見に来たいという連絡を受けた。彼らは、定年まで海外でインフラ工事の監督をしていた人たちだ。
 3人とも鉄道模型にはあまり縁がないが、路盤の設計方針を確認したいという、非常に珍しい申し出であった。筆者にとっては、まさに卒業に当っての口頭試問であって、合格点をとれないと恥ずかしい。

 彼らの興味の対象は、縦曲線、緩和曲線、カントの緩和、曲線上の複線間隔などであった。曲線上で均一な勾配を作る方法も興味があった。

 現場を見せて、質問に答えた。ある程度は説明の図を用意していたので、それを見せれば、なるほどと納得してくれた。
 緩和曲線については直ぐ合格したが、縦曲線は引っ掛かった。筆者は二つの勾配が接するところの縦曲線は3次曲線になると信じていた。作図するとそうなるのでそれで良いと思っていたが、現実には円曲線を嵌め込むだけだそうだ。
 人間は縦方向の加速度変化に鈍感なのかと考えた。現実にはバネも入っているし、加速度の変化率は大きくないだろう。コメントに拠れば、大半径の円弧を入れれば問題ないらしい。

 彼らが1970年に就職した当時は、いつも7桁対数表を持って仕事をしていたが、いつの間にかコンピュータで処理するようになって、もう手計算は出来ないと言っていた。

 カントのある曲線の勾配部分の計算の話は、楽しそうに聞いてくれた。彼らは現場で物を作っているので、工場で作ったものをはめ込む作業とは異なる。だから面白がった。直線で構成された骨に路盤を張って均一な勾配にするのは、なかなか難しいという評価であった。シムを挟む計算法には驚いたようだ。

 レーザで水平を確保し、アラインメントを出す方法は、そりゃそうだろうという感じであった。この辺は本物の仕事をしている人の感覚だ。路盤の強度は、筆者が載った時に変位量3 mm以内という基準で作ったことを話すと、剛性が高いねとのことだった。

 結論としては「高得点で合格」だそうだ。こういう異業種の人と話すと面白い。博物館を開くと、時々こういう人が来てくれるのだろう。断片的につまみ食いした知識ではなく、中身まで詰まった議論は本当に面白いと感じた。

 最後に123輌を1輌の蒸気機関車で牽き出して、勾配を登って下った。まさかそんなことが出来るとは思わなかったらしく、彼らは非常に驚いた。坂の途中で電流を遮断すると、貨物列車がズルズルと滑り落ちていくのを面白がった。
 直ちに列車を引っ張り上げるのに必要な力を測定し、速度を掛けて、機関車に要求される出力を計算した。電流値を調べると効率が分かる。こういうことをあっという間に処理するのは凄い。
 機関車本体を手で押してほとんど抵抗なく動くのには、全員が非常に驚いた。押してやると、発電して前照灯がともるところを見せると仰天した。
 歯車について説明すると、現物を見せてくれという。組み掛けのギヤボックスを見せたら、これがウォームギヤとは信じがたいとのことであった。貨車のほとんどが金属製であることも意外だったようだ。

 摩擦の少ない被牽引車、効率の良い駆動装置、高トルクモータの組合せがこのような運転を可能にする。彼らはかなり満足して帰った。 

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2019年06月12日

筆者を取り巻く環境

 多くの友人、知人から、忠告、諫言を戴いている。
 どうしてこんな論争を始めるのか、いい加減にしないとブログの読者が減るぞとか、博物館の来訪者が減るぞ、というようなものが多い。

 このブログにはアフィリエイト広告は付けていない。読者が減っても全く構わないのだ。むしろ、こういう論争で読まなくなる方は、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという客観性のない方だろうから、構わない。他所にない記事なら、読み続ける。評価が下がるぞ、とも言われたが、このブログはそういう評価とは無縁のところにあるはずだ。むしろアクセス数は以前より3倍ほどに増えているのが、興味深い。

 博物館についても、様々なご心配を戴いている。ただでさえ、手の故障で遅れていて、金利がかさむだろうなどと言われているが、建物、底地は現金で購入したから、僅かな固定資産税と電気代を払えば、運営できる。最近のLED化と高性能エアコンで、維持費は極端に安い。エアコンは除湿目的で24時間稼働だが、建物の断熱性が高いので助かる。当博物館は営利目的でないので、たとえ入場者ゼロでも問題ない。
 仕事はやめても、所得税を少し払うくらいの収入はあるので、もし赤字になれば納税額が減るだけのことだ。もともと国内の見学者は、あまりあてにしていない。アメリカからの見学希望者は多い。彼らを連れて、国内ツアを企画せねばならない。

 さて、筆者の方針として、「旗幟(きし)を鮮明にする」というのがある。ほとんどの日本人が不得意とするところだろう。筆者にとってはどうでも良いHO関連のゲージ論に顔を突っ込んだのは、黙っていられないところがあったからだ。
 この趣味を健全なものにしたい。不当な宣伝活動によって、物を知らない若年者層が洗脳されるのを防ぎたいという気持ちの表れだ。そうしないと、ただでさえ先細りなのに、ますます衰退してしまう。
 よくぞ言ってくれた、という激励をたくさん戴いている。筆者は知らなかったが、例の文はかねてより腹に据えかねた、という人が多かったらしい。

 2月にこのブログで規格に関する記事が始まってから、アクセスが極端に増えた。皆さんの興味が高まったのだ。
 規格制定についてのチャンスかも知れない。これについて、あるブログで重要な提言があった。お読みになると良い。

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2019年01月02日

謹賀新年

 また正月になってしまった。今年こそは開業するぞと張り切っても、何年もかかっている。先日来た友人は、
「ゼロから始めたにしては早いね。普通、レイアウト建設はもっと時間が掛るものだ。」
と言う。確かに最初のうちはとても進行速度が大きかった。だんだんと速度が低下している。やらねばならないことを一部先送りしてきたが、もうそういうわけにはいかない。

 あと、せねばならないことは、
 /号機
◆‥昭崑罎離灰鵐肇蹇璽
 レイアウト周囲に取り付ける有機ガラスのシールド
である。これらが完成すれば開業できる。

  については、現在鋭意工事中である。光検知システムのセンサの保護をする必要がある。ブラスのパイプを斜めに切って、赤外ビームの送受装置ホルダを作った。軽微な脱線で衝突しても何とか持つ程度の強度にしている。あまり頑丈にすると、二次被害が大きくなるからだ。
  はディジタルのコントロールの完成待ちである。もうすぐできるだろう。
  はかなり大変な作業である。アクリル板を取り付ける土台はようやく完成した。取り付け作業は3人がかりである。水平部分から勾配に差し掛かるところは微妙な調整が要り、その下準備だけでも大変だ。計算はしてあるが、大きなもので、さらに柔らかいものだから、どうやって保持して切り落とすかを考えねばならない。


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2018年12月05日

続々 ユニヴァーサル・ジョイントの問題

 もう一つ気になるのは「軸の曲がりの角度」で2軸が一直線なら不等速伝達は起こらない。(当たり前だが、それなら自在継手は要らない)。速度の変動率は軸の曲がり角度でも変化する。もしかするとオーバー修正などしないか?(図3)モータ軸より台車側の角度が大きいですね。そこで”ゴー式”珍案。モータも床板に載せず、反対側の台車に載せたらどうでしょうね。これなら両方の継手がほぼ同一角度に曲がりますよ(図4)。何、「床下器具がなぎ払われる?」私なら当たるほうの床下ユニットを、曲線外側にスライドさせて押し出してしまうんですけどねぇ。
universal joint 2
 

 そういえば、トラック(台車ではなく貨物自動車)の推進軸はスプラインで伸縮しているので、事故で外れたのを、よく知らぬ人が位相を考えずにはめ戻したところ、猛烈な振動で、二次事故を起こしてしまったなんて、戦時中よく聞きましたよ。
 ともかく、「中間軸のフォークエンドは、『同じ位相』でなければならない」というのを覚えていただいただけでも、性能が上がると思います。お試し下さい。

                              (2009.1.23)
 コメントを戴いている。二つのジョイントは完全に等角にならなくても、不等速は十分に打ち消されて、調子が良くなる。曲線の入り口に緩和曲線が使われている時は効果が顕著である。
 伊藤 剛氏のアイデアは筆者も使おうと思ったが、軸箱の上にモータが直接載ってしまうと、バネ下質量が大きくなる。さりとてモータを浮かせると、その部分が等速でなくなるので、諦めたことがある。
 天賞堂の模型には使われていたというのは、指摘されて思い出した。確かにそうである。1960年ころ”子供の科学”、”模型とラジオ”で見た覚えがある。当時としては、高級な伝導装置として紹介されていた。バネはない。お知らせ戴いたように、位相は見事に間違っている。大人になってから見て、こりゃ駄目だと思ったのは、そこだ。平ギヤが無潤滑でむき出しというのもアウトである。平ギヤはウォームの後に使うべきものであろうが、この場合は応用不可だ。


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2018年12月03日

続 ユニヴァーサル・ジョイントの問題

 この模型大学の記事は発表前に筆者のところにも送られてきた。
「dda40x君も登場するからね。」
ということであった。一部を紹介する。

UV joint by GO Ito
 Aのモーター軸からBの中間軸を廻し、さらにこの軸で動力を伝えるとしましょう(図1)。A軸は当然等速で廻ります。ところがB軸はこれを受け取って「不等速」で廻る。いわゆるビリビリ振動のようなことになります。それがさらに次の自在継手で同じ事をされて、C軸はビリビリがさらに増幅された形で廻りますから、大変に大きな音まですることになります。困りますね。どうしましょう。 
 簡単なことです。自在継手の付いた中間軸では、中間軸の両側にあるヨーク(二股)は、必ず同じ位相に揃えること(図2)。そうすれば、2つ目の継手は「不等速」運動を受け取って、不等速が発生した時の逆順で回転を伝達するから、C軸はモーターと同じ等速運動に戻るのです。中間軸は不等速のままですが、質量が小さいので振動してもほとんど気にならないでしょう。
 
 NMRC(名古屋模型鉄道クラブ)例会でD君
(dda40x) が、友人が「私の電車はカーブに入ると凄い音がするのだが・・・」というのを聞いて、「中間軸の位相を変えてごらん」とアドバイスしたところ、「まったく静かになった」と喜ばれたそうです。それ以来、私も大いに気にしています。
(引用続く) 

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2018年11月23日

線路を敷き替える

new track 線路の一部に古いものが使ってあった。それらは40年前に買ったもので、ブラスにニッケルめっきが掛けてある。滑面ではないので、走行音がひどい。ゴロゴロという感じであった。

 故ハーマンのところからもらった洋白のフレクシブル線路が潤沢にあったので、思い切って敷き替えることにした。外した線路はガラスケースの中の陳列用となる。

 フィーダ線を外し、枕木の下にナイフを挿して外す。長年の間には固着しているものもあったが、軽く振動を与えると取れた。新しい線路は曲線ゲージを嵌めて固定し、ゲージを抜き取る。完全に一定の曲率で敷けた。今までは先輪が左右に動くのが見えたが、全く動かなくなった。

 とても静かで気分が良い。レイルは ”weathered" と表記したものである。表面が化学処理をしてあって、黒褐色の被膜で覆われている。敷いたのちに軽く油目ヤスリを滑らせると上面が白く光る。掃除機をかけてから、列車を走らせると滑らかになる。あとでぼろ切れで磨いた。

 このレイルはハンダ付けをしようと思うと、そこだけヤスリで金属面を出す必要がある。面倒なようだが、大して変わりはない。普通のレイルであっても、磨いてからハンダ付けをするわけだから一緒である。

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2018年11月21日

路盤に縁を付ける

clamping edge 博物館の工事は少しずつ進行している。木工をしているが、接着剤が固まるのに丸一日掛かるので、進み方が遅くてやりきれない。

 線路が一応完成したので、観客が手を出せないように、透明で丈夫な囲いを付ける。プラスティックの業者と大体の話はつけてあるので、注文すれば所定の幅に切って届けてくれる。長さが 2 mもあるので、乗用車で運ぶのはやや難しい。

clamping edge2 そのプラスティック板を取り付けるには、甲板の合板の断面に穴をあけて付けるわけにはいかない。甲板の下に 30 mm角ほどの木材を付け、それにネジ留めするのが筋だ。角材を曲げるのは難しい。それならばと、15 mm合板を曲げてみたが、かなり大変だ。合板の構造を調べると 7-ply すなわち 7層でできている。上の1枚を切っただけでは難しいが2層まで切れ目を入れるとかなり楽に曲がる。半径 3,000 mmだから、何とかなることが分かった。

clamping 真下から見た様子である。手持ちのクランプ数十個を総動員して接着している。15 mm板を裏表貼り重ねて、30mmにする。外の板は榀(シナ)合板である。切れ目を互いに内側にして、接着した。クランプしておいて、接着剤が固まる前に、ある程度の数の木ネジを締めた。ズレ留めには必要である。おそらく接着剤の方がはるかによく効いて、ネジの意味はあまりないだろう。

 この作業を一人でやると、なかなか大変である。最適な手順を得るまでに、かなりの本数の作業を経験した。もう後 10 mくらいでできあがりだ。慣れた頃には終わりである。

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2018年07月14日

技術者T氏の来訪

 先日、技術者のT氏が見学に来て下さった。以前、等角逆捻り機構のまとめをして下さった工学エキスパートのT氏とは異なる別のT氏である。こちらのT氏は、貨物船のクレーン、冷凍機などの専門家であり、歴戦練磨の技術者で、いくつかのbreakthruを実現された方である。かねてより見学を希望されていた。プラグマティズムに満ちた方で、名うてのクラフツマンである。様々な点で尋常ではない方だ。筆者も来訪を心待ちにしていた。どのような視点でご覧になるかが、知りたかったのだ。

 転車台駆動モータを押し付ける機構のピニオンの歯数が17枚であることに気が付かれた。模型用の歯車は14枚とか12枚、ひどいものは8枚などがあるが、皆インチキな歯型で、音がするし、効率が悪く、寿命が短い。これは静かで良いそうだ。
 T氏は粘性継手に感銘を受けられたようで、実現したいことがあるとのこと。

 車輪のフランジの形、踏面の滑らかさ、ピヴォットの潤滑を一つずつ確かめ、列車全体を手で押し、確認された。機関車単独で押したときの感触も確かめられ、旅客機の動輪が大きいことによって、軽く押せることを確認された。小動輪の関節型機関車は、モ−タを2台積んでいるので、押したときやや重く感じる。小動輪は回転数が多いので、効率もやや低くなることを見抜かれた。

  レイアウトの下にも潜って、構造を調べ、鋼板製角パイプの強度について具体的に教えて戴いた。下にはふんだんに照明があるのは良いそうだ。また、潜って入る部分に、簡単な線路と台車があってそれに乗って辷り込むのは、真似したいとのことであった。

 路盤に敷くPVCの道床の消音効果には驚かれた。車輪の踏面が滑らかなのと相まって、音が殆どしないのには興味津々であった。また、転車台の作動状況には興味深そうだった。 

2018年06月22日

O Scale West での講演 7

 最後に博物館の目標の「摩擦の少ない世界」(Free from Friction) について話した。Oゲージ以上の大きさでなければ実現できない事であることを強調した。
「故土屋氏から引受けた祖父江ドライヴの機関車群数十輌と、私の数十輌を維持し、Low-D車輪をつけた長編成を走らせることは、模型鉄道の真髄 (essense) を受け継ぐものである。私はあと20年くらいは無事に生きられるであろうが、その後は不明である。しかし、公に博物館としての登録ができれば、遺産相続からは切り離され、切り売りの危険からは逃れられる。この博物館には祖父江ドライヴの機関車約1000輌のうち、1割以上が揃っている。これは世界的に見ても貴重なものである。客車は100輌、貨車は400輌ほどあり、すべてLow-D化されている。これまた、世界的に見て稀なことである。

 また、「博物館を開いていれば、有能な人を探し出して後継者にすることができる。」
と言ったところで、
「有能な人 (man of ability) とは何か?」という質問があった。

「まず第一に工学的素養があること。サイエンティストであること。歴史、地理に興味があること、ある程度語学ができること。経済的に余裕がある人。切り売りされてはいけないからね。」と答えた。
「そうだ、語学は必要だ。ここにきて話をしてもらわねばならないからな。」と言う人に続いて、ある人が、
「あなたはbilingualだ。便利だね。」と言った。

 それを聞いて、少々気分転換がしたかったので冗談を言った。
「ここでクイズです。二か国語を喋る人をバイリンガルと言います。それでは3か国語以上を喋る人は何というのでしょうか。」
 正解は polyglot (たくさんの舌という意味)だが、誰も知らず、trilingual という誤った言葉を使った者が多かった。それを修正したのち、
「 それでは1か国語しか喋れない人はなんと言うのでしょうか?」
この質問に対して、皆は、
「idiot(ばか)」とか様々な言葉を出した。筆者が、
「とても近いですね、惜しいな。正解は American です。」
と言ったら、皆椅子から転げ落ちそうになって笑った。
 毒のある冗談だが、実際にそうなのである。アメリカは大国なので、相手の方が合わせてくれる事に慣れている。だから、外国語を勉強しようとする人が非常に少ない。 英語圏でも、イギリス人もオーストラリア人もアメリカ英語に合わせていく傾向がある。

 ビジネスマンで本当に有能な人は、相手の国の言葉を理解しようとし、会話を勉強する。通訳を付けている人で、能力のある人は見たことがない。そういう意味でも、1960年代から1980年代にかけて日本に来た鉄道模型インポータで、能力のある人は居なかったと筆者は思っている。


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2018年06月20日

O Scale West での講演 6

 現在建設中の博物館の概要を紹介した。

 最小半径が 110インチ(2800 mm)で、一周が約 300 ft(約 90 m)のbent dog bone であって、高低差は 11インチ(約230mm)勾配は1.56%でUPのシャーマンヒルと同じ勾配であると言うと、
「wow!」という声が上がった。
「Big Boyに100輌牽かせたかったのだな?」
「その通り!現実には勾配の長さが足らないので、半分しか斜面に載らない。残念だ。」と言うと、
「動画から判断するに、行けるだろう。」
という声が上がった。引張力と抵抗から計算するとぎりぎりである。
 この博物館の奥行があと数メートル長ければ、そういうことも可能であったが、
展示物としてはこの程度が適当であろう。

 レイアウトに勾配を付けない人は多いが、均一な長い勾配があると、機関車の実力がよく分かる効率の良くない機関車は煙を吹くであろう。ギヤ、軸受の寿命も短くなりうるので、設計時に十分配慮せざるを得ない。保油機構の必要性もわかるはずだ。

 アメリカにはかなりの数の、勾配線を持つレイアウトがあるが、どれもディーゼル電気機関車の多重連で運転している。単機の蒸気機関車が牽く場面では、貨車の輌数は少ない。筆者の動画を見て、皆非常に驚いたと言ってくれた。特に、このビデオで勾配を登るとき、
「スリップによって位相が時々ずれるのが素晴らしい。こんな場面は見たことが無い。」と称讃された。前後のエンジンを独立させるのは、効果があったことが証明された。

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2018年06月14日

O Scale West での講演 3 

ladder with 3-way switchalignment by laser レイアウトのベンチワークの紹介をした。鉄骨を採用して、レーザで高さを揃えているのには、驚いたようだが、木質のベンチワークよりはるかに耐久性があると、納得した。すべての線路は曲率ゲージで正確な曲線を描いていることも紹介した。曲線通行中に先輪の向きが微動だにしないことを話すと、驚いた。ポイントが正確に一直線上にあるのも称賛を得た事の一つである。

 後半が勾配に掛かっている状態で、50輌の貨車を止めている手歯止めを外すと、徐々に加速して、然るべきのちに停止するのを動画で見せると、ため息が漏れた。

turntable drive with momentum 転車台の話を15分ほどした。世の中の大半の自動割出の転車台の動きが toy-like(おもちゃっぽい)であることを話した。剛性の大きな太いシャフトを使わないと、ぷるぷると震える回転橋になってしまうこと、本物は行き過ぎたのを戻したりする、と話した。即ち、回転モータ、インデックス・モータ、アラインメント・モータが独立していなければならないことを力説した。

centering device 次に話したのは駆動モータとインデックスの関係である。Vの字の溝のある金属板を使ってアラインメントを確保する動画を見せると、どよめいた。ずれて止まったのちに、すっと動いて揃うところは面白いらしい。粘性による結合方式も人気があった。押し付けられた状態でモータが回転しているのが面白いのだ。回転して所定の位置に停める様子を短い動画で示すと、”Oh, wonderful!" と声が上がった。 
 明らかに慣性が大きなものを動かしているという感じがするからである。おもちゃの動きではないのだ。

moving bridge 回転橋を3時間で作った話は受けた。質問は何箇所ヤケドしたか?であった。単純なものは速く作れるということには同意してもらった。急がないと自分の寿命が尽きてしまうと言うと、「そりゃそうだ。」ということになった。
 簡単なジグを用意して、正確に素早く作り、すべての隙間をハンダで埋めて錆びにくくするということを強調した。

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