復元装置

2010年11月16日

先台車の構成

Lead truckLead truck2 先台車を手作りするのは面倒なので、いくつかの型に絞って大量に作ることにした。手持ちの機関車の図面を当たって軸距離を調べると、それほど種類は多くないことが分かった。

 底板部分は共通寸法にすると、部品数が減り、管理が楽になる。今まではこのH型部分を、糸鋸を折りながら切っていた。このような仕事はレーザ加工に限る。

 少しだけ出ているバリを削ると、パチンとはまるようになる。丸穴は8mm径でリーマを通せば出来上がりである。角穴部分は軸箱を削り出してあるので、パイプで接続して出来上がりである。
 最初に少し考えるだけで、工作の時間が大いに節約できる。趣味であっても時間を節約することは大切なことである。

 今、これらの組み立て用のジグを作っている。はめ込んでガスバーナで炙れば良いようにアルミ製の押さえを用意している。バネも使って押さえこむ。
 
 ボールベアリングを安く買うことが出来るようになったので、仲間内で分けている。この先台車にもそのボールベアリングが装荷される。1つに付き6個必要である。

2009年12月07日

SP5000

SP5000 lead truck SP5000 (4-10-2)のように三気筒機関車の復元装置は作るのが難しい。中央シリンダがあるので、その下の部分のスぺイスが小さいからだ。 
 ボールベアリングは外形4mmの物を使わないととてもできない。また、底板を出来る限り低くしてスぺイスを稼ぐ。
 久しぶりにSP5000をひっくり返して先台車を見て驚いた。我ながら、よくこんな狭いところに押し込んだと感心した。若い頃に作ったもので、手間暇かけて、何度も作り直した跡がある。

SP5000 trailing truck 従台車はブースタが付いているのでローラが掛かる場所がなく、内側に小さな斜面を作って、バネを強くしている。

 この機関車も全く脱線しない。どんな線路でも入っていくので、救助用の機関車には適する。低速モータを使っているので、牽き出し能力がとても大きい。半径3m1.5%の勾配で、60両のブラス貨車を牽き出した記録がある。

 このSP5000は、1963年に祖父江欣平氏が製造したものだ。何度も祖父江氏の元に戻って改造を受けている。

 70年代にアメリカでこの機関車を入手してから、井上豊氏の御指導を受け、中央気筒を動くように作り替えた。それを祖父江氏に見せたところ、どうもお気に召さなかったようだ。
「俺が作り直してやるから、任せろ。」というわけで改造してもらった。第1軸に偏心部をハンダ付けし、ロッドの逃げを作るために動軸をヤスリで削っただけでは気に入らなかったのだ。

 一回目は偏心した部品を鑞付けして削り出したものであった。それも素晴らしい造形であったが、そのあと電話を掛けてきて、「もう一度やり直しさせてくれ。あれでは満足できない。」とおっしゃった。

 再度預けて、出来てきたのは鍛造で曲がった軸を作り、それに支えをハンダ付けして旋盤にかけて研削し、圧入後に支えをはずしたものであった。実物のように滑らかで驚くべき仕上がりであった。実物を作った経験もある仕上げ工としての面目躍如である。
 クランクも本物通りの形になっている。中央ロッド、クロスヘッドは手作りだ。
 
 この経験はのちに特製品のSP5000を作られた時に生かされた。

2009年12月05日

pre-loaded

pre-loaded ボールベアリングには等級があって、われわれはその最下級に近いものを使っているのだろうと思われる。
 高いものは航空宇宙産業に使われる。何が違うのかはよくわからぬが、とにかく選り出してあるのだそうだ。テストして設計値に近いものを選ぶとそうなるらしい。値段は2桁以上違うという。

 さて、ボールベアリングは、最初からある程度の遊びがある。遊びがなければ回らない。ということは、ラジアル荷重(円周方向の荷重)だけでは多少のガタの中で回っているわけである。ガタは15ミクロン位である。

 模型の蒸気機関車の動輪軸は、ガタがあっても、ロッドのガタも多少はあるので問題ない範囲にある。

 さて、本題のプリ・ロードの話だが、スラスト(軸方向の力)を掛けると図のように溝の中で玉がずれて、ガタが無くなる。この状態で使えば、遊びのない状態が保てる。 ベアリング屋は、プリ・ロード(あらかじめ荷重を掛けた状態を作ること)された状態で使うことを推奨している。今回の先輪のガタをなくすワッシャは、まさにこの状態を作り出している。

 ミニチュアベアリングはアウタ・レースが薄いので、プリ・ロードが大きいと塑性変形する可能性があり、その限界は決められている。

 さらに言えば、シャフト、ハウジングには15から17ミクロンの隙間を空けることを要求している。無理に押し込むとたちまち変形する。隙間には油を満たすことが必要である。油膜で受けているわけである。

2009年12月03日

従台車復元装置の製作

trailing truck centering device 従台車の復元装置の工作は簡単だ。従台車後部にV字型の斜面を取り付け、ボールベアリングを用いたコロで押さえつけるだけである。
 なるべくバネの長さを大きくし、復元力が変位の大きさに影響を受けにくいようにする。バネを長くするには片持ちにせざるを得ない。片持ちはハンダがはがれやすいということになっているが、わずかの工夫で克服できる。

centering device 4 このような片持ちの軸で支えている。軸端を軽くつぶしておけば、ボールベアリングが外れる心配はない。
 片持ち軸のハンダ付けには少々のテクニックがある。軸に合わせて相手を削り、接触面積を十分大きくする。軸には軽く傷を付け隙間を保ち、クランプではさんでハンダ付けする。ハンダ付けは、薄い合金層の生成によりなされるものであるから、均一な隙間があるとうまくいく。また加熱時間は長くする。スズの拡散時間を与えるためである。この方法で付けるととても堅くつく。

 このようにして復元力を効かせた機関車は、渡り線などのSカーヴでも安定した走行が可能である。さほど難しい工作でもないので、採用されるとよいと思う。

 井上豊氏のHOの大型機には、すべてローラー式の復元装置が付いていた。ボールベアリングではないので、運転前には必ず油を注していらしたのは興味深かった。
 本職の機関士であった井上氏は、点検用の工具セットと小さい油注しを携行して、いつも走行前の注油というプロセスを省くことはなかった。その点には感心した。
 
 翻って、筆者の場合は少々ずぼらで、メンテナンスを省けるものは省きたいのだ。シール付きボールベアリングは数十年間は注油が不要である。レイアウト上に置いたら、まず持ち上げることもないので、このようなメンテナンス・フリィの部品を使いたい。

 脱線しない機関車というのはありがたい。貨車などの脱線は長い棒などで押したり引いたりして移動排除できるが、機関車が脱線すると重くて動かしにくい。下手に押したりすると、ポイントが壊れる。また、自力で貨車の脱線箇所から脱出できるし、脱線した貨車を取り除く手助けもしてくれるのでその点でも助かる。

 先従輪に復元を効かせると、牽引力が減るとおっしゃる方があるが、それは牽かれる車輌の性能に大いに問題があるとしか言えない。この機関車でも平坦線で80両牽ける。
 実物でも先輪軸重は動輪軸重の7割位である。

2009年12月01日

続 復元装置の製作

centering device 4 仮組みをした結果、補強レイルを逆向きに取り付けて高さを下げることが出来る事が分かった。

 校型の板は押し下げたH字の切り込みにハンダ付けする。薄い板だが二枚張り合わせるので丈夫である。この板の表面はローラが通るのでよく磨いておく。

centering device 3 問題はセンタ・ピンの角棒である。角パイプを切って、現在のセンタピン(丸棒)に当ててみると、丸棒が太い。
 それをヤスリで少しずつ削って角棒にし、その上に角パイプをかぶせる。ハンダ付けする必要はなく、差し込むだけである。幸い、削り過ぎはなく、絶妙の固さでかぶさった。

 それに順次部品をはめて、抜け止めを付ければ完成だ。早速ポイントの上を通して、抜け止めがレイルに当たらないか、確認する。
 ギリギリであったので1mm削り取ってネジを締めた。

centering device completed トータルで5時間の工作であった。糸鋸は3本折った。久しぶりの製作で時間がかかったが、レーザカットで部品を作っておけば1台1時間でもできるかもしれない。角棒からの切り出しも、並べてやれば速くなるだろう。
 この頃は、早くできる方法を採用したいという気持ちが強くなっている。趣味であっても時間は貴重だ。

2009年11月29日

復元装置の製作

centering device parts フライスでブラスの角棒から所定の形に切りだす。下側は斜面でこする可能性があるから角を取っておく。スプリング・シートは、ボールベアリングの軸より十分に低くなるようにする。そうすると底部が薄くなり曲がってしまうので、上の方にレイルを切ったものを付ける。洋銀レイルは加工硬化しているので細くても十分硬い。
 

 台車の底板は、薄い板より切り出し、角穴をあける。H字型に切り込んで押し下げ、その中にV型の板を付ける。この上をボールベアリングのアウタ・レースが転がる。このあたりの部品は全く見えなくなるのでそれほど丁寧な工作はしない。寸法があっていれば、良しとする。見えないところを綺麗に作るのは、筆者の主義に反する。このあたりはご意見のある方もあるだろう。

 角穴は角パイプがするすると横に動けば合格だ。どうせ見えないところだから、糸鋸で切り出したままで、ヤスリも掛けていない。ここで鋳物部品の底部を切り取り、大きな開口部を作る。この時補強を入れていないとつぶれてしまうので、先に第一軸のところに天井板を付ける。これは3点支持の中点になる。

 ボールベアリングの軸はハンダ付けするわけにはいかないので、祖父江方式で留めた。穴をリーマで滑らかにし、ギリギリの太さの軸をニッパで傷を付けて押し込む。その上をヤスリ掛けすると、どこが穴なのかが分からなくなる。半永久的に抜けることがない。もちろん向う側から押し出せば出てくるだろう。 

2009年11月27日

復元装置の効能

FEF2 w/free-rolling drive 筆者の蒸気機関車には、先台車のみならず、従台車にもボールベアリングを使ったコロ式復元装置が付けてある。

 その復元力は強大で、機関車は先輪と従輪だけで向きが保たれ、動輪には左右に多少の遊びを与えてある。動輪は回転力を牽引力に変えているだけである。

 4-8-4を平滑な机の上に置き、先台車と従台車の下に2mm位の厚さの板を敷く。機関車を左右に押してやると、次の瞬間するりと元に戻る。それが面白くて、故魚田真一郎氏に見せたところ、彼は大変気に入り、筆者のシステムを採用した。
 電話が掛かってきて、「全く脱線しなくなった。これを全機関車に採用したいから数通りの図面を作る。祖父江氏に注文して作ろう。数がまとまれば、そんなに高いものではない。」と言う。残念ながら、その直後、地震で彼の人生は絶たれた。

 確かに彼の地震でつぶれたレイアウトには、脱線しやすい配置のポイントが並んでいて、ほとんどの蒸気機関車は脱線しやすかった。そこに筆者の機関車を持ち込んだ時の彼の興奮は、今でも思い出す。

 かなりの高速で突っ込ませるのだが、するりとかわして側線に入る。前進でも後退でも同じように走る。
 この機関車は、製造以来一度も脱線転覆したことがないから、塗装は全くはがれていない。走行距離はざっと計算して300kmくらいであろうか。その間無事故である。 

2009年11月23日

続 先台車の復元装置

先台車ぺデスタル加工 先頭の1軸はひねられなければならないので、ぺデスタルを作る。鋳物の大きさより大きなぺデスタルであるから、大きめの板を貼ってフライスで切り込んだ。左右がつながった軸箱(キャノンボックス)は隙間がないようクランプではさんでハンダ付けする。そのあとで外してひねった時こじることがないよう、丸く面取りする。
 すべてができてから、周りを仕上げ、中心部を切り抜いて斜面を付ける。最初に余分なところを切ってしまうと、鋳物を万力ではさむことが出来なくなる。
 この写真では分からないが、第2軸にはすでにボールベアリングが入っている。
 
centering device2 荷重を掛ける側の工作は、回転せずに左右にスライドする梁に、ボールベアリングのコロを付けるだけのことだ。摩擦が少ないので大きな復元力が期待できる。
 一つだけ気を付けねばならないのは、バネ座の高さだ。ボールべアリングの軸より低くないと、傾いてしまい、角穴のところでこじてしまう形になる。
 この図では分からないが、キングピンは角棒であって、角穴を通る。すなわち、この上部復元装置は回転しない。先台車が首を振った時に、最前部の先輪の偏倚量が多いので、より強い復元力が発生する。この時、この上部復元装置は、微妙に後ろに傾くだろう。

 バネはいくつかの種類のバネ定数のものが用意してあるので、順次取り換えて実験し、ベストのものを付ける。

 このようにして組んだ先台車はカーヴに差し掛かると機関車の頭をわずかに持ち上げ、その反力で機関車の鼻先を転向する。この動作は見ていて楽しい。直線でまっすぐ走り、曲線から直線に戻った瞬間の振る舞いにメリハリがあって良い。当然のことであるが、脱線しなくなる。

 以前作った4-8-4は主動輪のバネを柔かくしストロークをやや大きくしているので全体がバネで浮いている。ポイントなどの欠線部を通過する時も、極めて静かで気分がよい。従台車もかなりの復元を効かせているので、直線上を走行する時は、完全にまっすぐ走る。

2009年11月21日

先台車の復元装置

centering device 先台車の役割は大切である。先台車に復元が付いていない機関車をときどき見る。直線線路上でも機関車が横を向いている場合がある。ましてや、ポイントで曲線に入るときの振る舞いがおかしい。動輪がトングレイルに掛かるまで向きが変わらない。

 復元装置はいくつか試作したが、以前UPの4-8-4に付けたものが最高の性能を示したので、それを再度作る。
 実はチャレンジャその他の先台車を多数作らねばならないので、レーザカットすることにして、その試作見本を手作りで作ってみた。
 ボールベアリングのアウタ・レースをローラーとして荷重を掛けると、非常に大きな復元力が発生する。バネ式では中心付近の復元力が弱く、役に立たない。

UP7001 pilot truckUP 7001 pilot truck 2UP 7001 pilot truck bearing 






 これはUP7001の4-8-2についていた先台車である。まずフライスで鋳物表面を落とし、ハンダ付けの準備をする。ぺデスタルを切り込むので補強が必要だからだ。
 軸箱をパイプでつないでキャノン・ボックスという構造にする。左右の中心に荷重を掛ける必要があるからである。力が掛かるので硬質ハンダを使っておく。

 内径5mm外径8mmのボールベアリングを納めて、スペーサをはさみ、車輪の左右のガタを完全にゼロにする。復元力を効かせるのだから当然のことだ。

 床面を下げて、左右動による輪重移動を最小にする。それにH型の切り込みを入れて、押し下げて曲げ、斜面を張り付ける。これで台車側の作業は終わりだ。

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