イコライジング

2013年01月17日

続々々 IMP の Boxcar を改造する

40-ft Boxcar Mechanism 床上のリンクは片方は曲がらないが、もう片方は2支点になっている。捩り棒が円弧を描いて動くので、反対側から見ると、長さが変化するのを許容せねばならないからだ。このせいで微妙に左右での振れ具合が異なることになるが、実用上は問題ない範囲にある。いわゆるバーサインを吸収させているのである。


 どうしてこんな貨車が必要なのかというと、実は昔アメリカで見た引き込み線がぐにゃぐにゃで、そこを3両ほどの貨車を牽いた入れ替え機関車が走る場面が目に焼き付いているからである。良く似た場面の動画がある。

 レイアウトの片隅に、そのような凄まじい劣悪な条件の線路を敷いてやろうと思っている。そこでの走行に耐える車輌が何台か欲しいのである。もちろん89‐ftの車輌はそんなところは通らない。
 機関車はすでに選定済みで、いずれ工作する。すでに極めてflexibleな台車を用意してある。ぐわぐわと車体を揺らしながら走るのを見ると楽しそうだ。 友人たちは悪趣味だと言うが、普段の線路上ではごく普通に走るのだから問題ない。





 無事であれば今頃フロリダ方面に行っている。しばらく休載させて戴く。

 アラバマ州でGM&O鉄道の名残を見ることができればと思っている。そのあとはカリフォルニアでO Scale Westがあり、そこでこの講演をすることになっている。


2013年01月15日

続々 IMP の Boxcar を改造する

 これは伊藤 剛氏の発案の交差フカひれ型イコライザの進化形である。brass‐solder様他何人かの方から正解を戴いている。
113_6890 3年ほど前にこのフカひれ型が発表されたので、すぐに作ってみた。それは89ftの3-Level Auto Carrierであった。このように長い車輌では不整線路上でのひねりが解消できないと脱線しやすい。筆者の経験ではカントの遷移部分で問題が起こる。台車ボルスタをネジで留めるとき、柔らかいスプリングを介して軽く締めると良い。しかし、走行中はふらふらしてあまり安定性は良くない。このフカひれ型はそのような場合も全く問題なく通過した。肝心の模型が行くえ不明で写真を出せないのが残念だ。あんな大きな車輌がどこかに隠れているとは思えない。間違ってどこかにしまい込んだのだ。

113_6883113_6886 さて、今回はブレーキリギングを見て、それが完全に取りつけられても、機能は保たれるようにしようと考えたのだ。リンク機構は床上に置き、途中の捩り棒を細くして、フレイムの中にコンシールドされるようにした。捩り棒は中空で、多少の軽量化に貢献している。
 というのは、栗生氏がかねがねおっしゃっていることではあるが、台車を右ネジに捩ったときと、左ネジ方向に捩った時では、イコライザ自体の重さがあって「仕事」をしてしまう。要するに右ネジ方向では少し重いのである。
 さらに厳密に言うと、台車を留めている心皿の中心が捩り棒の支点から少しだけ離れているので、そこでも仕事をしてしまう。いずれこの部分の仕事量をゼロにする工夫をするが、捩り棒の重さはバネか、カウンタ・ウェイトを付けなければ解決しない。また、支点位置を少し斜めに移動すべきであるが、軸が長いのでほとんど誤差は無視できる範囲にある。この件については、ある工夫と関連している。いずれ発表できる日が来るだろう。(下線部分は2015年2月加筆)

 「リンク部分が厚い」と MM氏から御指摘を戴いているが、今回のコツはまさにそこなのである。このアイデアは井上豊氏から教えて戴いたことである。
「dda40x君、リンク機構を作るときは厚い板を使うんだ。 模型は本物とは違って、少しでも摩擦があるとうまく動かない。なるべく隙間を開けてカパカパにするんだ。その時リンクが薄いと倒れてこじるからうまくいかない。リンクが厚ければ転ばないから摩擦は少なくできる。目に見えないところのリンクは、出来る限り厚く作るんだよ。」
 この教えは本当にその通りである。今まで何度救われたか分からない。段ネジは旋盤で作ったが、不完全ネジ部がどうしても出来てしまう。雌ネジは少しさらって不完全ネジ部が干渉しないようにする。厚さ3mmのリンクに段ネジが3.3 mmであるから、かなり余裕があって良く動く。

 捩り棒にリンクをハンダ付けするのは、床板の長穴からである。台車を付けてから床板に水準器を載せ、水平が出ているのを確認して、炭素棒でハンダ付けする。もちろんあらかじめハンダめっきしておいた上での話である。

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2012年07月16日

続々々々々 Kleinschmidt氏のコレクション

COM_4397-2 最後に見せてもらったこの小さい機関車をご覧戴きたい。「日本製だよ。」と棚から出してくれた。デザインが奇妙だが許せる範囲にある。しかしその下回りが悲惨である。


B electricCOM_4398-2COM_4400-2「こんなんじゃ、ひっくり返るよ。」と言うのである。イコライザが付いているのが、片方だけだと信じたいが、両方についている。確かにこれではつんのめる。模型はバネが突っ張っているらしく転ばなかったが、本物なら大変なことになろう。

COM_4403-2COM_4408-2COM_4407-2COM_4406-2




COM_4404-2
COM_4409-2 居間の暖炉の前にはライヴスティームが置いてあった。5インチゲージ(正確には4‐3/4インチゲージ)の4-4-0だ。すばらしい工芸品で、ライヴとは思えない仕上がりである。

 作った男を知っているとのことだ。行き先が無くなりそうで買い取ったそうだ。この模型は鋼ではなくブラスで出来ている。

COM_4410-2 辞去しようと思ったら、「一緒に食事をしたい。時間はあるだろう?」とお誘いを受けた。残念ながら夜の予約があったので失礼した。
 奥様にも強く誘われたので、残念であった。

2010年12月28日

続々々 慣性を増大させる装置

 この5軸イコライザの基本概念は長年温めてきたものである。主釣り合い梁を二つに折れるようにして衝撃力を緩和するのであるが、撓むと軸距離が縮む。それでは、支点を最初からやや高めにしておくとどうなるか。
 実は、今回のレーザ・カットの不具合で、いくつかのイコライザ部品を手作りした。そのときに一つの部品をやや長めにして支点を上げたのである。

versine伊藤剛氏 近影 図をご覧戴くと分かるが、折れたイコライザはまっすぐになると伸びる。その差は僅かではあるが軸を平行に出来なくなる。この伸びを"versine"と呼ぶ。この言葉は伊藤剛氏から教わった。日本の設計現場では「バーサイン」と言うのだそうだ。
 ほんの僅かな差であるが軸距離を伸ばすことが出来る。この不具合を良い方向に持っていけないかと考えた。(右の写真は伊藤剛氏近影)

Challenger's 5-axle truck equalizedSelf Stearing 5-axle Truck この重いテンダが曲線で遠心力のため外に傾くだろう。何しろ 大きな質量のあるフライホイールがかなり高いところに取り付けてあるので、外に傾くことはありうる。すると外側の軸距離が少し伸びる。もうあとは書かなくてもお分かりと思うが2軸と3軸が操舵する。5軸の固定台車ではなくなるのである。この方法を採用することによって、摩擦が減り、センティピ-ド・テンダの走行性能は大幅に改善されるであろう。バネを分散させて、全てのイコライザ・バーをこの方法で伸びるようにすると、面白い動きを示すであろう。

 軸の上下によるバーサインは無視できる範囲にあるが、車体からの荷重変化は無視できないので、有効に働くものと思われる。イコライザが折れるのに対抗するバネは、当初の設計値よりやや強くして釣合い点を上げてある。この引きバネは、もう30年も前からこのアイデアを温めつつ保管してきたものである。アメリカで飛行機の整備をしていた友人から貰った物で、何の部品かは分からないが、へたらないバネである。

 ボールベアリングはイコライザの孔の中に接着剤Super Xで埋め込んである。左右の片方の車輪が持ち上がると、ボールベアリングは微妙にこじられる形になる。これを複列にしてキャノンボックスにすると構造はあまりにも複雑になるから今回は割愛した。
 いくつかのメーカのボールベアリングを購入して一番ガタの大きい物を使った。某国製のラジコン用と称するものである。安価で驚いた。異常を感じたら差し替えるようにする。取り外しの容易な場所だから問題はなかろう。

2010年12月24日

続 慣性を増大させる装置

5-axle Equalizing 軸重は700 g重を超えるだろう。固定軸ではすぐ壊れるだろうことは自明だ。個別のスプリングでは、重い車体が勝手な動きをするのを止められない。この解決法はやはり3点支持のイコライジングしかない。もちろんバネ懸架でないと壊れる。

 動力採取用のギヤボックスは2軸ずつを結ぶのは合理的であるが3軸目は難しい。線路の不整によって車軸が上下しても推進軸は曲がらないからだ。5軸のうち離れた2軸ずつを互いにユニヴァーサル・ジョイントでつないで、中間の1軸からの動力採取は、諦めてしまえばよい。軸重を減らしておけば、損失は少ない。この設計では他軸の半分にしてある。
 
Equalizing Mechanism 前部の2軸台車は、揺れ枕で懸架して復元力を稼ぐと同時に、三点支持の支点として機能する。落ち着いた走りを期待できる。

 実物のChallengerのテンダはなぜこのような三点支持の設計手法を取ったのかという解説は読んだことが無い。
 実物の超大型テンダ、例えばSanta Feの4-8-4などのテンダは箱型テンダである。それに4軸の台車が付けられているが問題が無いわけではない。不整線路面でねじられると、車体の剛性が大きく脱線の可能性が指摘された。この構造では三点支持にできないからである。実物は車体が柔かいというのが前提になっている。電車などは、脱線すると車体がねじれているのが目で見て分かる。
 旧型電気機関車の車体など剛性がほとんどないペラペラの箱である。だから前後の台車はそれぞれ三点支持になっていて、その台車の上に四点支持で車体が載っていても、全く問題なくねじれに対応する。ところが模型は肉厚の材料で作られた車体を持ち、剛性が大きい。すなわちねじれないから、実物どおりに設計すると、線路のねじれには対応できない。この辺りのことは無理解な人が多く、「本物通りだからすばらしい」と思う人が大半だ。

 さて、Challengerのテンダは超大型で剛性が高い構造を採ったので、どうしても懸架装置に工夫が必要であった。一番簡単なのは、蒸気機関車の懸架装置をコピィすることで、この前部台車で一点、後部台車で二点の方式に落ち着いた。
 本線上はともかく、機関区、側線などの保線のしてないぐにゃぐにゃの線路を踏破する能力の大きいのは、さすがである。さらに、小さなターンテイブルで廻すことが出来るのも、この懸架方式の隠れた大きな利点であった。

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2010年12月22日

慣性を増大させる装置

equalizing plan この図面をご覧になれば、軸重配分がお分かり頂けるはずだ。均等配分ではない。例によって、作図はnortherns484氏にお手伝い戴いた。
 この5軸のうち1軸は脱線しない程度の軸重しか掛かっていない。残りの2軸ずつには均等荷重が掛かる。それらにはギヤボックスが付く。ギヤボックスは動力伝達用ではない。慣性増大装置へ運動エネルギを出し入れするためのものである。

uneven weight distribution これは古いLobaughのChallenger 4-6-6-4のテンダ台車である。軸配置は4-10-0とでも言うべきである。古いLobaughのキットを3台同時に組んでいるが、1台だけオリジナルのテンダがあった。そのテンダには砲金鋳物製の台車が付いていた。その台車は非可動で、速く走らせるとポイントで飛び上がる。またジャーナル(車軸の末端部分)も折れる。(現実に1本折れていた!)この側面の鋳物を可動にしようと思うとかなりの加工をせねばならず、なかなか良く出来ている鋳物を壊すのは少々忍びなかった。外観を保存して、なおかつイコライジングしたいので、内側台車にするしかなかった。この鋳物は製造後60年も経つのに、塗装されたものを見るとなかなか味がある。造形として優れているのだ。

 この重いテンダの中に高速で回転するはずみ車を付け、車輪からの回転力を伝える。はずみ車は直径50 mm弱の砲金の連続鋳造の肉厚円筒である。長さ 180 mm で 1.8 kgある。これを車軸の回転数の数倍で廻すと、かなり大きな慣性を持たせることが出来るだろう。

 以前にも述べたが、機関区で単機の機関車がスリップしながら走り出したり、止まる時に動輪を逆回転させているのを見た。本当はやってはいけなかったらしいが、よく見た。模型ではそのような芸当はできない。列車を牽き出す時はそれは可能であるが、単機では出来るわけがない。
 しかしこの方式を採用することにより、この模型のテンダがその質量の数十倍の慣性を持てば、実物のような慣性のある動きを再現するはずである。筆者は高校生の時からこれを考えていた。
 先日、ライヴスティームの平岡幸三氏にお会いするチャンスがあったので、この話を持ち出したところ、「それは面白い、是非やってください。」と背中を押して戴いた。

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2010年12月20日

続々 慣性を考える

Duplicating some equalizersDuplicating an equalizing lever   丸い穴にはボールベアリングが嵌まる。その外周の丸みは、中心の穴にはまる軸を固定しておいて、刃物を高速回転させて工作物を廻して削る。簡単である。
 これを見て「危ない」と仰った方があったが、決して危なくはない。
 ただし、回転方向を間違えると喰い込んで致命的な失敗になるから、刃が喰い込まない方向に回転させ、さらに回転限界を決めておく。絶対に逆回転してはいけない。この写真の状態では、工作物は上から見て時計回りに廻す。小さなVise Pliers(固定できるプライヤ)で軽くはさみ、くるりと回転すると出来上がりである。

 このブラスは快削材ではないので、喰込みにくいラフィングエンドミルという刃物を使用している。さらにその刃先を殺して使う。要するに刃先角を大きくするのだ。これは近所の工場で教えてもらった。ダイヤモンド砥石で、そっとひとなでするだけで安全に使える。
 削った部品を外して、油目ヤスリで滑らかにして出来上がりである。
 最近は板材を含めて、材料を全て快削材で揃えている。レーザ・カットの工場はそんなことに無頓着で、普通のブラスを注文してしまったのである。使い切るまでは、しばらく我慢せねばならない。

Equalizer layout これを作っているのだ。このようなイコライザは全く見えないところで機能するので、寸法と穴の仕上げだけを丁寧にしてある。外見はどうでも良いのだ。


 さて構成をご覧戴きたい。図面でないので少々分かりにくいかもしれない。もっとも大きなイコライザにはピンが差してあり、それが折れるようになっている。黒い線は引きバネで引っ張る部分である。赤の矢印は荷重が掛かる点である。

 さて、軸重の配分はどうなっているだろうか。また、機種および目的は何であろうか。
 唐突な質問であるがメカニズムの設計についての久しぶりのクイズである。コメント欄を通じてお答え戴きたい。

 2.6 mm厚を中心にして、外側は 1 mmの板二枚で挟んでいる。仮組みすると、くねくねとよく曲がるが左右にはぶれない。

2010年11月24日

Depressed Center Flat car by MTH

MTH 昔から大物車というものに興味を持っている。特に真ん中が下がっているものが好きである。表題の正確な意味は、「中央部が凹んだ平らな貨車」で矛盾のある言葉である。この写真はアメリカの友人宅で撮ったものである。

MTH Depressed Center FlatcarSpan Bolster 軸重が大きいので36インチの車輪(特に高軸重の貨車では40インチの車輪)を8軸付け、スパン・ボルスタで受けている。レーザ・カットすれば簡単に出来そうな形をしている。
 このようなスパンの大きな車輌こそ、線路の不整に対して等角逆捻り機構の効果が表れるだろう。これは川島氏のお宅で見せて戴いたものである。MTHはこの種の特殊貨車も何種類か出している。積み荷は変圧器のようだ。台車がひとつ無いが、修理中なのであろう。
depressed center  flat car イナ@ペン氏御撮影Hexagonal platform 左の写真はイナ@ペン氏御撮影のものである。積み荷の形がこの模型とよく似ている。
 前後の台車の上のプラットフォームは、実物は矩形ではない。曲線上で本体に当たるのを避けるためにわずかに逃げて、五角形(厳密には六角形)になっている。その代り隙間は小さくできる。右の写真はイリノイ鉄道博物館で撮ったものである。荷台の鋼板の厚さには恐れ入る。

 ブレーキ装置は普通の貨車より複雑で、ブレーキハンドルも2つあるものが多い。  

2010年06月05日

続 "Super X" cement

Flexible Pop-Off ValveFlexible Pop-Off Valve2 この接着剤の優れたところは、その弾力性にある。硬くならないので、ショックでパラリといくことがない。
 先回にお見せしたフレームは捩じることが出来る。ハンダ付けではそうはいかないし、また瞬間接着剤では分解してしまうだろう。
 この捩じり剛性の少ないフレームは、簡単に捩じれる。すなわち、線路への追随性の増大に貢献する。すなわち等角逆捻り機構が要らないことになる。
  
 連結器の取り付けには、極めて適する。大きな衝撃が掛かるので、エポキシではいつか剥がれてしまう。以前エポキシで付けたところが剥がれたので、これで貼り付けた。

 それともう一つの利用法として、飛び出している部品を付けることである。たとえばタンク車のドームには、安全弁がL字型に飛び出している。これを硬い接着剤で付けたり、ハンダ付けすると、何かにひっかかったときに折れやすい。あるいは接着が剥がれる。穴をやや大きめに作り、スーパーXを多めに付けて固着させる。もちろん固まるまで何らかの保持装置で押さえる必要はある。

Flexible cement, Super X 固まった後でも実によく曲がって、しかも復元性が良い。完全に元に戻る。これで付ければ、持った時あちこちがふにゃふにゃして奇妙な感じがするが、壊れたり塗料が剥げたりしない。この床下機器も飛び出しているので貼り付けただけでは剥がれやすいが、これを使えばこの通り曲がって剥がれない。丸い団子状のものはキットに付いていた台座で、接着層は薄い。

 合成ゴム系のものは30年くらいで少しずつ劣化するが、これはシリコーン系なのでもっと長持ちするはずだ。40年前のシリコーン・シーラントは、雨ざらしでも全く変わらぬ弾力性を示している。 

2010年03月06日

イコライザの設計 その15

 D62 equalizing 国鉄の近代型蒸気機関車の従台車は外台枠で、主台枠は内台枠である。イコライザは斜めに入り、従台車旋回時に移動する量の少ないところに力点を持って来てある。
 それは第4動輪の後ろのクロス・イコライザからぶら下がっている。このクロス・イコライザは苦肉の策であろう。支点が中央にはないので、左右は多少の干渉はあるが独立である。お分かりにならない方は、左右に開いた図を作ると決して傾かないことが理解できるだろう。 

モビール 「イコライジングはモビールのようなもの」とコメントでAC9様はおっしゃっている。その通りなのである。ここにアトランティックのイコライジング・モビールを示す。この絵の発案者は吉岡精一氏である。筆者はそれを翻案しただけである。
 黒い棒は本来はつながっているのだが、前群、後群を分けた概念上の構造体である。また、オウヴァハングはカウキャッチャの先端、キャブの後端を指している。すなわち、線路の不整によって上下している最先端を意味しているのだ。


 この話はいつまで続くのかと心配されている方も多いだろうが、ひとまずここで区切りとしたい。
 今、筆者はいくつかの用事をからめてシカゴ方面に来ている。もっとも大きな目的はシカゴで開かれるOゲージのコンベンションで講演することである。Low-D車輪について話せというリクエストが来ているし、MRも興味を示している。
 今年の春の O scale West は開催時期がずれて、 6月にNational Convention としてカリフォルニアで開かれる予定である。6月は筆者の都合がつかないことが判明したので、その代りに久しぶりに友達に誘われているシカゴ大会に参加することにした。

 しばらく休載する。また、コメントを戴いても、掲載がかなり遅れる見込みであることも御承知願いたい。 

2010年03月04日

イコライザの設計 その14

傾く台車枠 複式イコライザの台車枠は自由に転んでしまうと書いたが、それについてよく分からぬというお便りを複数戴いている。模型を作ってみれば一目瞭然なのだが、それを図示するとこのようになる。
 車輪の数がいくつあっても自由に傾くが、どんな場合でも軸重は一定になる。BB型電気機関車の台車はこのような構造であるが、転ばないようにいくつかの工夫がある。そうしないとブレーキもかけられない。たとえば、前後の台車が水平面の中だけで回転するように結んでいるものがあるようだ。
 台車ごとに二点支持であるから、全体では4点になるが、車体の剛性が少ないのとバネが効いていることによって、線路への追随性 compliance は保たれる。 

 コンプライアンスというのは脱線を防ぐ最も大切なことであり、イコライジングすることにより格段の性能向上が見込める。車輪の跳躍があっても重力加速度以上の加速度を与えて圧着させるので、フランジが外れにくくなるのだ。模型においては集電が良くなる。

 クロス・イコライザがあると左右の群が一点で支えられると書いたのだが、これも良く判らないというご意見を戴いている。先回のアトランティックの後動輪と従輪はこのクロス・イコライザで結ばれているわけで、前部が 1/2 持ち上がって、多少後ろに傾くわけだ。軸重は正しく保たれるのだが、やや複雑で分かりにくい。それでは最大限に単純化してみよう。
四輪三点支持 クロス・イコライザの最も簡単な例を示すとこのようになる。手前の青いイコライザに注目して、その左右につながっている二輪を展開すると右下のような状態になる。
 これは上記の「傾く台車枠」と同じであって、一点で支えられていることになる。すなわち、自由にひねることができる。

 先回のアトランティックの先台車廻りの構造は、多少ややこしいが、ほぐして考えるとこの図のように考えることができるはずだ。先台車と第一軸と片方が持ち上がって車軸が傾いても、実質的に1点で支えられているから機関車フレイムはねじられず、ただ段差の半分だけ前方支持点が持ち上がるというわけである。

 クロス・イコライザの意味が分かって、等価図が描ければ、イコライジングの設計は容易である。

2010年03月02日

イコライザの設計 その13

Cross Equalizer 先台車あるいはそれを含めた前群は一点支持である。動輪を含めた場合はどのようにして一つの支点を構成しているのであろうか。




Cross Equalizer 2 先台車付近の線路が捩じれて、左右のレイルに高さの差ができたとする。第一動輪まで持ち上がっていると仮定した時の様子を考える。車軸で縦割りにして左右に開くと、このような図になる。初めてご覧になると少々戸惑う図だが、前の方から見て左右に開いた様子を考えて戴きたい。

先台車を支えるテコも切り開いている。第一動軸の前半に掛かるクロス・イコライザ cross equalizer は左右またいでいるのでそれを引き伸ばす。機関車のフレイムはまだ左右には傾いていない。微妙に後ろには傾いているだろうが、それはここでは考えないことにする。片足持ち上げているが、フレイムは後群で支えられているから傾かない。フレイムは左右の高低差の半分持ち上がっている。

 左右のイコライザ系の中でどこかでつながって、その中点に支点があると、このように左右の群が一点で支えられると考えることができる。時間のある方は、先台車から第一動輪まで左右独立したイコライザでつなぎ、第一動輪の後ろで左右を結んでそこに支点を設けた場合を作図されるとよいだろう。同じ結果になることを確認することができる。

2010年02月28日

イコライザの設計 その12

Atlantic 解答 これが解答である。AC9様はじめ多数の方が正解である。
 蒸気機関車の支点は目に見えない場合が多いので、このような図を描いて確認しておく必要がある。前後のオウヴァ・ハングの様子はあらかじめ知ることができるので、カウキャッチャのクリアランスも決めることができる。低いカウキャッチャは実感味を増大させる。
 後部オウヴァ・ハングが長いとキャブが上下し、あまり見掛けの良いものでもない。乗務員がキャブの天井に頭をぶつけるだろう。実物は線路が撓むのでよいが、模型の場合は大変具合が悪い。したがって、多軸機関車の場合は最後部動輪と従台車だけのイコライズが、走行時の安定性の点だけからは良いと、筆者は考えている。この時のバネは、なるべく柔く、ストロークの大きいものを用いるべきである。ストロークが大きければ大きな力を掛けることができる。また、多少の変位があっても、力が変化しにくい。

 さて、牽引力増大装置であるが、実に簡単な装置である。手元に図面がないのでうろ覚えであるが、こんな形をしている。
Traction Increaser 従台車の例を出そう。イコライザの穴がやや長く作ってある。動輪に近いところにもう一つの穴があり、そこに差してあるピンが空気圧あるいは蒸気圧で下に向かって押し付けられる。
 おそらく機関車は1インチ程度は持ち上がるのであろう。軸重が3割程度増大するので牽引力は増す。その時後部オウヴァ・ハングは長くなるのでキャブは激しく上下するだろうし、ピッチングも激しくなる。低速時だけ作動させる。巡航時に作動させると危険である。

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2010年02月26日

イコライザの設計 その11

 それでは、アトランティック(4-4-2)のイコライジングを考えてみよう。方針として、先輪には動輪の1/2の軸重、従輪には2/3の軸重ということにする。
Equalizing Atlantic type 先台車と第一動軸を第一群とし、第二動軸と従輪とを第二群としよう。テコ比を求めて戴きたい。

 そして機関車の重心をどこに持って行くべきかを決める。下の図中、q : r を求む。
 勿論、この時、動輪の質量、ギヤボックスの質量などは全て無視しているので、実際にはそれを加味すべきであるが、ここでは省略した。


 モータ出力と動力伝達機構の効率が測定してあれば最大引張力が計算できるので、モータが焼けないような質量を決定できる。機関車が完成した後、重心が既定の位置に来るよう、天秤で吊って、所定の質量の重りを載せれば完成した機関車ができるはずだ。

「完成した機関車」というのはあまりお目に掛からない、起動時にスリップできないような機関車はモータが焼ける。モータの選定、ギヤ比の選定、動輪上重量のいずれか、あるいは全部が間違っている。

 アトランティックは動輪上重量が比較的少ないので、出発時のtraction (引張力)が不足する。いくつかのアトランティックはイコライザの支点を移動させる装置を持っていた。
 これをtraction increaser 引張力増大装置という。

2010年02月24日

イコライザの設計 その10

weight distribution diagram AC9様から興味深いグラフを戴いた。予定を変更してこのグラフの見かたについて考えたい。
 左側のグラフがAC9様の御教示のものである。この中の X は、イコライザ・スパンのアンカピン・スパン両端の距離に対する比であり、実物では 0.5 から 0.7 くらいである。
 
 ここで簡略化のために、言葉の定義をする。重ね板バネともう一つの重ね板バネの間に短いイコライザ・テコを置いたものを、"複式”と呼ぶことにしよう。大きなイコライザだけを設けたもの、すなわち井上氏方式を"単式"と呼ぶことにする。

 複式の重ね板バネをどんどん短くしていくと、このグラフでは下の方に行く。ここまでは筆者も考えたのだが、その長さをゼロにするところまでは考えなかった。素晴らしい証明で、複式の力学的重心と単式の力学的重心が一致することが見事に分かる。
 
 軸距離を一定にしてバネの長さを変化させるとどうなるかを表すと、右のグラフのようになる。このグラフは筆者の追加である。X は0.5とした。イコライザ・ピンの位置とボルスタ・ピン(キング・ピン)の位置がずれていくのが分かる。ボルスタ・ピン位置は上の図の中では目には見えない

truck bolster height 複式のときはセンタ・ピン位置が目に見えないことがお分かり戴けるはずだ。台車枠は浮動しているので、センタピン位置が外れると転ぶ。位置が合っていても、加減速で転ぶだろう。したがって、実物の台車では荷重が掛かる位置が車輪中心を結ぶ線より下に来るような工夫がしてあるはずだ。このあたりは専門家の栗生氏に解説をお願いしたいところだ。

[追記]
三重交通北勢線モニ220型 台車 弓型イコライザつき台車の図を心皿位置の例として出したところ、栗生氏から例として良くないという御指摘があったので、単式ではあるが心皿を低くしている例の図を挙げる。
 弓型イコライザの場合はコイルバネを複数入れているので、それだけでフンバリが効き、倒れない。もしこのコイルバネが一つだったらどうなるかと考えるとそれはモニ220の台車と等価である。

 複式の例は調査中であるが、F級電機のように先台車がないと倒れてしまうのは自明である。

2010年02月22日

イコライザの設計 その9

8-Wheel bucheye Truck equalizing 解答 8輪バックアイ台車の均等配分の図である。濃い青の桁に掛かる力が 2f になればよいので、1:1 が正解である。この比を守っていれば、端の部分(腕のように見える部分)の長さは自由である。すなわち濃い青の部分の長さも自由である。

 Buckeye社の方針は、軸のちょうど中間にバネを持ってくることである。先の6輪の場合も同じであるが、この方法を採ると大きなバネを効率よく収容することができる。したがって、実際の設計では青い桁の末端のピンは第2軸の真上にくる。
 この台車の自由度は極めて大きく、設計方針の賢明さには感銘を受けた。この模型の台車は、酒井喜房氏設計、祖父江欣平氏製作(1954年頃)である。

weight distribution 解答 さて、不均等な分配の例である。f と 2f の軸重を合わせると 3f になる。中間にはさんだイコライザの長さを 2:1 にするとうまくいく。

 この時、台車枠に結ばれている部分を剛性のあるテコにすると、そのどこに荷重を掛けると台車枠が転ばないかを調べる。中学校の理科の問題であるので、作図すればすぐにわかる。これが合力の中心であるが、台車をどんなに眺めてもその位置は見ることができない。この図で赤丸がその点である。

 その計算値は、何のことはない、下の概念図の赤いテコの 2:1 の点である。この赤いテコと上の複合型イコライザは全く等価であることが分かる。


2010年02月20日

イコライザの設計 その8

8-Wheel Buckeye Truck equalizing それでは最後に、均等化の事例の中で、やや面倒な例を一つ出そう。Buckeye社の鋳鋼製8輪テンダ台車である。この第四問の台車の4軸は、均等な軸重を持つようにしたい。どうしたらよいだろう。
 この図はNot to Scaleである。そのつもりで考えて戴きたい。

weight distribution いままでいくつか均等化事例を議論してきたので、次は不等化の例を扱うことにする。初期の電車にMaximum Traction 台車があった。片方に大きな軸重を掛けて、他方は転ばない程度にしか軸重が掛からない。

 第五問は軸重比を1:2にしたい時のイコライザ比を求める例である。さらにこの図と等価な図を描き、台車のセンタピンの位置を出して戴きたい。

 公表を望まない解答、ご意見などはコメントを通じてお送りくださるとありがたい。「公表拒否」と指示して戴けば、その旨尊重させて戴く。


2010年02月18日

イコライザの設計 その7

解答 一、二、四 先回の解答である。全ての軸重を等しくしたいのだから、イコライザが2つ掛かっている部分の力を半分にするだけのことである。これらの4つのイコライザは、力学的には全く等価である。右上の図は機関車などで見るが、これも左上の図と同じ効果が得られる。ただ、イコライザ・テコが短くなり、強度の点で優れた結果をもたらした。
 左下の図では、2つのイコライザはやや離れて掛かっているので、その掛った点までの距離を表している。バネの位置は偏り、あまり良い位置とは言えない。

 右下はBuckeyeの貨車、テンダ用の台車である。長く伸びた鋳鋼のイコライザが中央軸を乗り越して反対側に行っている。するとテコ比2:1でもバネの位置を軸の中点に来させることが出来る。これは機構学上、特筆すべき工夫である。

 

2010年02月16日

イコライザの設計 その6

 演習問題のリクエストを複数戴いているので、いくつか用意した。テコ比を求める問題である。

第一問 きわめて初歩的なイコライザである。産業機械の中に使われている。
第一問



第二問 プルマン3軸台車の場合である。
第二問




第三問  Buckeye社の3軸台車のテコ比の問題である。テコが向う側に行っている珍しい構成である。
第四問





 今回はこれらの3問である。正解は次回。

2010年02月14日

イコライザの設計 その5

Mikado suspension proposal こんなイコライザはどうだろう。これはヨーロッパのアイデアらしいが、途中の何軸かをイコライザ群から外すという手である。これらは動軸であるので、バネで軸重を十分に掛ける必要はある。この構造は実物にもある。走行安定性だけを考えるなら、パシフィックやミカドなどに使える手である。手持ちの機関車につけてみるつもりである。この図中、オゥヴァハングの起点がイコライザ支点とずれているのは力学的な等価点を考えれば当然である。
E Tank Suspension 国鉄のEタンクの 4110 はこれを採用しているらしい。もし、Eタンクが2軸と3軸のイコライズであれば、非常に不安定になることは明らかだ。
 この方法では前後のオゥヴァハングが小さくできる。途中の二軸の動輪のバネを弱いバネで長くすると圧着力を稼げる。支点が遠く離れるので、走行安定性は素晴らしい。中間軸のバネはストロークを長くせねばならない。このあたりのことは高校の物理の教科書をよく読む必要があるかもしれない。この方法ならば、折れ勾配にはとても強くなる。

 我が国の鉄道模型を見ていると、どうも「実物の写実主義」を前提としているように感じる。本物とは全く異なる折れ勾配、段差、急曲線、緩和曲線なし、緩衝性の無い線路、広いゲージ、太いタイヤ、高いフランジという条件で走らせているのにもかかわらず、である。
 本物通りというのはほとんど意味を持たない。上に述べたような条件下で良く走る模型というのは何かを考えなければならない。筆者が先台車の復元装置の必要性にこだわるのは、そういうことである。

 固定軸距離の大きな機関車、たとえば4-12-2などはこの方法が最も有効であろう。通常のイコライザでは折れ勾配に対応できない。いずれ改装することになる。三気筒で復元装置を含めたイコライザの設計は難しいが、やる価値がありそうだ。

2010年02月12日

イコライザの設計 その4

UP 4-6-2 trailing truck, pushed upUP 4-6-2 trailing truck, down この二つの写真を比較するとイコライザが動いているのが分かる。吉岡氏はこれを「ライブリィ・ダミー」と称された。面白い名前である。日本で、他にこのアイデアを実現された人はいらっしゃるのだろうか。吉岡氏に聞いてみても、「あれは一つのアイデアで・・・」と言葉を濁された。筆者の作例は吉岡氏の案を少々進化させている。 

 筆者の改造品を送ってやると、アジンの社長らは非常に感激して、「素晴らしいアイデアだ。」と言っていた。その後アメリカにはその手の従台車のついたものは輸入されなかったので、おそらくヨーロッパ向けに使ったのであろうと思う。当時は、このアジンにいくつかのアイデアを筆者が提供している。
 従台車の車輪が上下するとイコライザが動く様子は面白い。この引っ張りバネは従台車の復元装置の役割もしている。従台車の軸バネはダミィである。

 ちなみに、この製品は主台枠が角棒で出来ていてオモチャのような出来であった。イコライザは動輪の陰でブッツリ切断され、従台車はリヤカーを引っ張っているような、みじめな状態であった。主台枠を平角板から切り出して、出来の悪い下回りの大半を切り落してそこに取り付けた。灰箱は板からを作った。横から見ると実物を髣髴とさせる出来になった。このあたりの造形はアジンに衝撃を与えた。
 しかし、アメリカのインポータはそんなことには無関心で、採用されることがなかった。インポータの力量不足を痛感することであった。彼らは上回りの造形にしか興味がない人たちであった。彼らはディーゼル電気機関車は沢山輸入したが、その台車の設計は派手に間違っている。指摘しても直さなかった。

追記 AJINは、のちにこの4-6-2を再生産している。川島氏のお宅で撮影した写真をお見せしたい。(Apr.25,2010)

AJIN's new UP 4-6-2AJIN's new UP 4-6-2  trailing truck 主台枠はコピィしたが、イコライザは理屈が分からないから無視したらしい。

2010年02月10日

イコライザの設計 その3

4-6-2 trailing truck suspension パシフィックの従台車はイコライザが露出しているのもある。日本型はほとんど露出している。このような場合、完全に浮動しているだけでは面白くない。見掛け上のイコライザが作動しているかのようにしたい。蒸気機関車の走行を楽しむ大きな楽しみの一つがイコライザの動作を眺めることである。日本型HOゲージの場合は従台車と後部台枠が一体のダイカストになっているものが大半で、イコライザは動かない。

UP 4-6-2 これはイギリスの本でヒントを得られたそうだが、上図のようなバネ作動の方法もある。これは吉岡精一氏のレポートにあった。そのレポートを受け取って、早速作ってみたのがこれである。
 イコライザは薄く作れる。これはバネがあるからである。このような形を作るときは、やや厚めの板をたたいて薄くして使う。加工硬化を起こさせるためである。微妙に曲がっていてもまっすぐの材料から曲げて作り、たたいてから両面をヤスり落とす。薄くても堅いイコライザ・レヴァが出来る。実物は鍛造だから意外と薄い。普通のブラスでは厚く作らないと曲がってしまう。穴が開いていて応力が集中するからである。バネなしイコライザであると、壊れやすいのはこの部分だ。
 この機関車は韓国のアジンの製品である。サンプルを送って寄こしたので、いじくり廻して改造例を送ってやった。当初の製品はイコライザが第三動輪のタイヤの陰でぷっつりと切れていた。実物の構造を知らない人が作るとそういうものである。

 ヴァルブ・ギヤはお粗末な作りで、全て作り直した。下回りは100%作り直したわけで、実に立派な機関車になった。この写真で、サウンド装置の接触子が見える。
 色が塗ってないので、早々に完成させたい。

2010年02月08日

イコライザの設計 その2

typical 4-6-2 suspention 典型的なパシフィック型のイコライザ配置である。従台車のフレイム内を通過するイコライザ・テコで従輪に荷重を掛けている。この図では、イコライザのほぼ中点より前に支点があるので、従輪に掛かる軸重は動輪の7、8割くらいである。このあたりのことは、中学校の滑車の図を思い出せば容易に理解戴けよう。
 筆者の機関車の軸重配分は先輪:動輪、従輪で0.5:1:0.7を目指している。  

 さて下の図は、上の実体図と力学的に等価な図である。従輪がかなり後ろにあるが、後群の支点はそれほど後ろには行かない。それは軸重配分を考えれば当然のことである。
 すると困ったことに後方オゥヴァハングがかなり長くなる。
 この構造の機関車を作って走らせると、キャブの屋根がかなり激しく上下することが分かる。従台車の可動範囲は知れていて、容易にイコライザの作動範囲外に行ってしまう。

 保線のよいレイアウトばかりではない。展示用の組み立て式線路で走らせると、機関車が「ゴン」という音とともに脱線する。スプリングの作動限界外だからどうしょうもない。全体のバネを極端に柔かくしておいても、やはり当たる。模型の線路の状態は本物とは異なるからだ。本物は線路自体が沈むが模型の線路は硬い。バネが効かないと壊れる。

 4-6-2, 4-6-4, 4-8-2, 4-8-4 の模型の設計では、従台車は最初からイコライズしない方が良いようだ。これは吉岡精一氏の研究にも記されている。

2010年02月06日

イコライザの設計 その1

 蒸気機関車のイコライジングの方法は多種ある。そのほとんどが三点支持方式である。バネが深く作動する、あるいは主台枠がよく捩じれるような剛性の低い設計であれば、四点支持でもよい。

 さて、再び4-6-0タイプの蒸気機関車のイコライジングを考えてみよう。大抵は、先台車一点と動輪三軸を二点とする三点支持である。場合によっては先台車と動輪一軸を一点とし、残る動軸二軸を二点とすることもできる。
 その優劣を比較してみよう。

 動軸上の重量を増やすのは重心の移動で自由にできる。問題は「座り」である。

イコライザ方式の比較 もし先台車を一点にすると、構成される三角形は長くなり、線路の不整に対しての機関車の傾斜角が小さくなる。要するにギッコンバッタンする角度が小さいのである。
 アメリカ型の場合は、カウ・キャッチャを低く保ちたいので、前方の一点はなるべく前にあった方がよい。前方オゥヴァハングが大きいと、線路の不整に対しある程度の隙間を保つことは難しくなる。すなわちショートが発生するだろう。
 模型においては先台車を一点にするのは、それなりに意味のあることなのである。

 さて従台車はどうなるかということになるが、これが意外と難しい。4-6-2(パシフィック・タイプ)の従台車は動輪からかなり離れているが、これを後群とするとイコライザの可動範囲からはみ出して底突きすることがある。

2010年02月04日

equalized と sprung その10

 ゴムの材質は何でもよいというわけにはいかない。油に耐えるゴムを探さねばない。自動車の部品でガソリンパイプと称するものはニトリルゴムで、素晴らしい耐油性があるが入手しにくい。
 パッキンとして汎用品の「Oリング」は大抵はクロロプレンゴムで、これもかなりの耐油性がある。適当な太さのものをホームセンタで購入し、切り刻めばよい。ゴムを切るのは、使っていないカミソリがよい。いわゆるゴム系接着剤はクロロプレンゴムなので、同種のゴムは接着しやすいことも具合のよいことである。

 緩衝性について述べてきたが、その必要性について、いまだに懐疑的な方は多い。何度も申し上げるが、比較をしなければその優劣について論じることが出来ない。
 筆者の実験では、緩衝装置の無い模型は、走らせるとやかましく、またすぐ壊れる。
 バネは必要であって、なくても良いものではない。

 本物とは異なり、バネ下質量の問題が無視できるので、イコライザの上でも下でもどこかに緩衝装置があれば、実にうまく作動し、静粛である。

 いままで模型雑誌を見てきて、この件に言及した記事は一つもなかったのは残念だ。
 どの記事も、外見の精密さの見地からしか述べられていない。お飾りの模型ではないので、走行性能を上げようと思えば、それなりの工夫が要る。
 
 祖父江欣平氏の製作した模型は、全て重ね板バネを使用している。
「イコライザを付ければバネが要らねえって奴が居るのかい。冗談じゃねえよ。バネがなかったら壊れるってことを知らねえんだな。音の問題だけじゃあ、ねえんだよ。」

2010年02月02日

equalized と sprung その9

 井上豊氏は、「実物のイコライザはバネが折れないようにしている」と仰った。
 筆者は「模型のバネはイコライザが壊れないようにしている」と言いたい。

 イコライザを丈夫な材料で作ればよいが、実際はブラスである。ブラスの点接触の部分はつぶれ易い。衝撃力が掛かると瞬時につぶれる。バネさえあれば、衝撃力が大幅に緩和されるので、全く問題ない。
 同時に、イコライザを薄く細く作れる。静止状態で折れない程度の太さのイコライザで十分である。HOならばかなり細くできる。

 いままで見た"井上式”イコライザの作例は、必要以上に太いイコライザである。しかし、接触部は尖らせてあるのですぐにへたる。しばらく走らせていると、機関車の高さが微妙に低くなるのである。

 動輪に関しては述べたが、先台車についても工夫が要る。先台車の内部のスペースは限られていて、緩衝装置を入れる余地が少ない。

ゴムの変形 このようなときはゴムを使うのがよいだろう。ゴムは内部損失が大きい。簡単に言うと、伸縮によって内部に熱が発生し、振動は自然に減衰する。ゴムの板をはさむと面積が大きくて圧力が小さいので、変位量が少なくなり、事実上機能しない。ゴムは、十分に変形することが必要である。三角形の突起を作り、その尖端で荷重を受けるようにすればよい。
 これは昔井上豊氏に言われたことである。今田隆吉氏はゴムの専門家であった。

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2010年01月31日

equalized と sprung その8

 昨日の"井上式”イコライザの装備車両は時々見る。走らせているのを見ると、レイルの継ぎ目でゴツンゴツンと音がする。ボイラに鉛を注ぎ込んだ車輌であれば、走らせていると徐々に壊れてくることは明白だ。軸箱の直上の尖った部分が、徐々につぶれていく。

 それから逃れるには、一番長いイコライザをバネで曲がるようにすればよい。一か所でもバネで曲がれば、イコライズされるのだから、機構上一番都合のよい場所を探す。その場所が曲がれば、インパクトが小さくなるので、"井上式"イコライザは薄く、小さくできる。
 いろいろな場合が考えられるので、HO以下の場合は工夫されるとよいだろう。

曲がるイコライザ たとえばこのような工夫はどうだろう。フレームの中の空いた部分にバネ装置を付ければよい。引きバネでも、押しバネでもよいから付ければよいのだ。
 この図では、先台車の緩衝装置は省略してある。

イコライザ・ダンパ この方法は極めて模型的な工夫であるが、うまく作動する。実物に比べてバネ下質量が無視できるのでこれで良いのだ。ただし、重ね板バネに比べると、ダンピング効果がないから、それは別の工夫が要る。軸箱とぺデスタルの間にやや粘いグリスを塗るだけでも十分過ぎる効果がある。
 メカニズムに頼りたいのなら、何かの摺動片を付けて、摩擦させればよい。

一か所でも可動し、その部分がダンピングされていれば、それは一系統全てに影響が及ぶから、問題は解決する。

2010年01月29日

equalized と sprung その7

equalizer イコライザを付けたという話はよく聞くが、イコライザを設計したという話はまず聞かない。

 左の図の上は4-6-0タイプのイコライザである。先台車は一点で、動輪軸は二点で受けて三点支持となる。先回のF級電気機関車と同じ形で分かり易いと思う。
 いま、最後軸が少し持ち上がったとする。するとイコライザはこのような変位を示す。ここで大切なのは、変位を生じた隣の板バネが最も大きな動きを示すことである。
 模型の場合は変動が大きい可能性があるので、板バネのシーソウ運動の余裕を確認する必要があることがお分かりであろう。もちろんこの時、機関車の主台枠は、わずかに後ろが持ち上がる。
 厳密に言うと、釣り合いがとれた時には持ち上がっている。本物が走っているときには、機関車には慣性があるので瞬時に持ち上がることが出来ない。数個の板バネが曲がってそれをしのぎ、しかるべき時間ののちに板バネが復元して釣り合いのとれた状態になる。線路が下に沈むというのも大きなポイントだ。
 しかしながら模型の場合は、線路は硬く、そう簡単には沈まない。すなわち、車体の方でそのインパクトを緩和する(簡単に言えば、変位が長い時間かかって行われるようにすること)が必要である。

 右の図は "井上式" 簡易イコライザである。「≡」の記号があるのは、同等であるという意味である。もちろんバネがないことは承知いただきたい。つまり、左の図の重ね板バネが曲がらない材質で出来ていれば、右の図と全く同じである。
 しかしながら、これを本物のサイズにすると、右のイコライザは太くて重い。とても扱いにくい。重ね板バネと交互に置けば、バネ下質量が小さくなり、さらに具合がよい。

2010年01月27日

equalized と sprung その6

F級台車のイコライジング F級電気機関車の先台車のセンタ・ピンにバネを入れたという話を最近聞いた。「落ち着かない走りをしたから、やはりバネ付きイコライザは駄目だ。」と言うのだ。

 それはおかしな話だ。先台車にはバネは入れなかったという。3つの動軸には重ね板バネ型を摸した動かないものを付け、実物同様のイコライザを入れているそうだ。それでは駄目だろう。この方法では全体でバネは一か所であるから、荷重変化により、台枠全体の姿勢が大きく変わる。すなわち板バネは大きく向きが変わる。また、線路の不整で跳び上がることがある。
 全ての重ね板バネをほとんどたわまない様に硬く作り、先台車センタ・ピンはバネなしにすべきである。この図の先台車には、コイルバネ風のものが描いてあるが、本当は重ね板バネのような内部損失の大きなものが適する。
 バネ付きイコライザを正しくセットするのは難しいだろうと思う。姿勢が少しでも変わると、板バネが傾く。その向きを全て水平にしようと思うとかなりの調整時間が必要だろう。この点については栗生弘太郎氏からメイルを戴いている。氏は本物の電車の水平調整を取るのが難しいことから推測されている。

 40年ほど前、実物のF級電気と並走しているときに、その動作を眺めたが、バネはほとんどたわまない。しかし目に見えない位はたわんでいるはずだ。その程度のたわみなのである。

 HO模型を作っている人から、「仰ることは全て正論なのですが、HOの大きさではバネ付きにするのはとても難しいと思います。」というご意見を戴いている。
 ゴム片を付けるか、井上方式の簡易イコライザの主イコライザにバネを付ける以外ない。実はゴム方式はK氏が近々発表されると思うし、バネ付き簡易イコライザは筆者がチャレンジャのテンダに付けるべく製作中であるのでお待ちいただきたい。

2010年01月25日

equalized と sprung その5

 先日、伊藤剛氏にこの話をした。

「バネは、あった方がよいに決まっています。付けてはいけない、というのは間違いです。そんなことを仰っる人があるのですか。バネがなければ、そのうち壊れてしまいますよ。」
と、当然のように仰った。

 以前、井上豊氏の話を書いた。これは栗生弘太郎氏のブログにも引用されている。

 井上氏は、戦前戦後の蒸気機関車による特急運転の経験者で、構造には当然詳しい。「どんなものにもバネは必要だ。バネがなかったら壊れてしまうよ。プラットホームの上の手荷物運搬の車も、ゴムタイヤがなければ壊れてしまう。昔はバネなし鉄タイヤだったから、車軸などが折れないように太くしてあって重かった。ゴムタイヤが使われるようになってから、軽く設計できるようになったのだ。」
「バネなしイコライザなんてのは、ありゃ絵に描いた餅でね…。」と仰った。
だから、TMSに連載された記事については、自らはあまり評価していなかったのだ。
「まあ、HOで軽いし、速度も遅いからね。勘弁してもらおうか。」という程度のことであった。「あの記事は、こうすると出来ますというだけで、これでなくてはいかんという意味じゃあないんだがね。」と勘違いをすることを恐れていたように感じた。

 そういうわけで、筆者のイコライズ計画に対しては「重ね板バネを使うこと」と念を押されたのだ。

2010年01月23日

equalized と sprung その4

 実物の機関車の重ね板バネは硬い。そう簡単には作動するのが分からない。しかし工場で分解整備している写真を見ると、バネは反り返っている。荷重が掛かった状態ではまっ直ぐに見えるが、元はかなり湾曲しているのである。

 もしこれが柔かければ、機関車はまっすぐ走らないだろう。線路の不整に対して、バネはほとんど作動しない。イコライザが先に動いて、その変位を他のバネに伝える。沢山のバネは、力を均等割りして受け持つので、ますます変位は少なくなり、見掛け上、なにも作動していないように見える。これが勘違いのもとである。

 インパクトはバネで吸収される。イコライザでは吸収できない。もちろんコイルバネでは、吸収されたエネルギはすぐ放出されて、機関車は飛び跳ねる。重ね板バネでは、板の隙間の摩擦でそれは消費されて、緩衝される。

 模型でも重ね板バネは有効である。うんと硬いバネで良いから作るべきなのである。イコライザを一枚の板で作る方式であれば、その先端に何らかの工夫をすべきである。そこには内部損失の大きいゴムなどを付けるべきである。

 このところ、筆者のところに、「ほらイコライズしたんだよ。」と見せに来てくれる人が多い。手で押して段差を乗り越えるところを見せてくれるのだが、コツンコツンという音がする。さっと一周運転しておしまいになるが、会場が騒がしく、音は聞こえにくい。静寂な場所で走らせると、愕然とするはずだ。そのような経験がないのだろうと推察する。
 静かな列車を牽いて運転すると、その機関車の真の実力が分かる。そのようなチャンスがないと、この表題の論議は不毛なものとなる。

2010年01月21日

equalized と sprung その3

「正しくイコライズされた模型にはバネを入れてはいけない。」と何度も言われてきた。「それは迷信だ。」と声を大きくしなければならない。

 最近、いろいろな人からイコライズについての基本的な質問を戴いている。静力学的な設計手法については、中学校の理科の範囲にあり、図を描けば終わりである。
 問題はそれがある程度の速度で走行中にどのような力を受けるかである。高校で習う物理に、力積という概念がある。英語で言う方が分かりやすい。Impact(衝撃力)である。

 インパクトは時間が短いと大きくなる。絨毯を敷いた部屋を歩いても静かであるが、板張りの床を歩くとコツコツとやかましい。力がかかる時間を長くするとインパクトは小さくなる。絨毯はその役割を果たしている。長い時間かかって体重が床に伝わると、静かである。バネはまさにその役割を果たしている。

 絨毯を敷いてない部屋で転ぶと痛い。ズボンも破れるかもしれない。歩き廻ると膝にも良くない。バネなしイコライズはまさにそのような状態である。

 ヤング率という概念も高校の物理で習う。力を掛けた時の弾性変形の話である。物質のヤング率は一定不変であるが、模型は小さい。長さが小さいということはモーメントが小さいということである。すなわち、模型は硬い(堅い) 。硬いからたわみにくい。

 本物の電車は相対的に柔らかいので、脱線すると車体が目で見てわかるほどねじれる。乗用車でも、峠の急カーヴを廻るとき、車体が歪むのが分かる。窓を数ミリ開け、指をその部分に当てて旋回すると、隙間が変化するのが分かる。

2010年01月19日

equalized と sprung その2

バネ無しイコライズド台車とバネ付きイコライズド台車 この2週間で車検落ちの貨車の整備が終わった。車輪以外に台車センタ・ピンのあたりの不具合も車検項目に入れている。
 台車にスプリングがない時には二つのセンタ・ピンにワッシャをはさみ、適当なスプリングを入れてネジを締める。スプリングが入った台車のときは、三点支持になるように台車ボルスタのサイドベアリングを有効にする。これらの作業の目的は、線路の不整により車体が左右に振られる時、車輪が浮くことを防ぐためである。

 イコライズだけの台車ではセンタ・ピンで車体が多少傾くようにする。そうしないとねじれた線路に追随できない。これは擬似二点支持である。人によって四点支持と呼ぶようである。
 sprung(ばねが効いている)であれば、多少の傾きはバネの中で吸収される。三点支持でもうまく作動する

 こう書くと、「三点支持なら、どんな不整な線路でも追随するはずだ。」と思われる方は多いが、重く、重心の高い車輛では、線路のひねりに対して車体の振り遅れが必ず発生する。すると三点支持だけでは車輌の進行方向によって、ひねりへの追随能力に差が生じる。
 バネがよく効いていると、車体の振り遅れは、バネで吸収され脱線しなくなる。また、推進運転でも安定する。

 筆者のレイアウトには、カント付きのSカーヴがある。緩和曲線もついていて、カントもかなり合理的につけてある。そこを、長大編成の中間にはさまれてかなりの高速で無事通過できなければ、車検を通過できない。

 イコライズは静的なつり合いだけでは機能しない。必ず動的なつり合いも考慮する必要があることをこの線路上の運転は教えてくれる。イコライジングには、バネも必要なのである。

2010年01月17日

equalized と sprung その1

 オークションで落としたデルリン製コイルバネ付きのAthearnの台車を、重いブラス製車両に付けると、とても静かである。一方、同じデルリン製ではあるが、イコライズだけのWeaverの台車が、重いブラス製車両に付いているとやかましい。
 レイルの継ぎ目、ポイントのフログでコンコンという音がする。バネがついていれば、ショックを吸収するので、タタンタタンと小気味よく響く。

 今回の事件が解決したので、重いブラス貨車に仮に付けてあったウィ―ヴァの台車を、アサンのバネ付き台車に取り替えた。
 スケールスピードで時速60マイルの貨物列車が、実に静かに走るようになった。新しい車輪の真円度が高いので転動音が小さくなったこともあるが、レイル・ジョイントを踏む音が格段に小さくなったことが大きい。

 カブースの台車はLobaughのブロンズ製である。イコライズするだけの青銅鋳物である。見掛けはとても良いのでそのまま使っているが、ポイントを通る音が凄まじい。カツンカツンと脳天に響く音がする。イコライズだけでは駄目なのである。フログがその瞬間に確実に壊れていく。

 同じカブースでsprung(バネの効いた)台車を付けたものがある。それを走らせると気持ちの良い音がする。

 イコライザにバネを付けてはいけないとおっしゃる方たちに、その音を聞かせて差し上げたい。Oゲージともなると慣性が大きく、バネなしイコライザはすぐにへたってしまうし、レイルにも良くない。フログは速やかにつぶれてしまう。
 貨車でさえもこの調子であるから、重い機関車でバネが付いていないとどうなるかは、想像に難くない。

2009年10月14日

Oscar & Piker

Piker & Oscar OscarPiker





Oscar & Piker 「この2台は空想上の産物であって、現存しない。」とわざわざ但し書きが付いていた。
 3軸のイコライザ付き台車一つに載っているので、本物なら、前か後ろにカタンと倒れてしまうだろう。これも等角逆捻り機構のお世話になるべきなのだろうが、走らせるものではないので、可動ではない台車に載せる。見るからにおかしな風情だ。
 pikeの意味については先日書いた。TMSには訂正が載る気配はない。

 Pikerは日常会話にはまず出てこない言葉で、ギャンブル用語である。「ケチな野郎」という意味であって、短いからそういうのかもしれないし、pikeに置いてあるから、そう言うのかもしれない。誰に聞いても確たる答は返ってこない。

 Oscarというのも不思議な言葉だ。アルファベットの"o"を表す言葉で、電話で綴りを言わなければならない時に、使ったことがある。"b”はBravo、"r”はRobertなどというものである。"O"の次は"P"だからということなのだろうか。
 
 これも35年以上放置状態である。先日倉庫で見つけたが、それほどひどく傷んでいるわけでも無い。メッキはしっかりついていて、はがれる様子はなく、洗って塗装すれば十分に使える。木部はサーフェサが塗ってあったので、やすりを掛ければそのまま塗れる。どんな色にすべきか悩むところだ。以前見たのは、ネイヴィ・ブルゥのPikerとクリムゾン(カーマイン)のOscarである。ピカピカに塗ってあって魅力的であった。

2009年02月16日

続々々 イコライジング

 井上豊氏はHOの機関車に次々と簡易イコライザを搭載してTMSに発表された。サブタイトルは「スムーズな運転のために」であった。

 椙山満氏のレイアウト上で、これらの機関車の試運転を行ったのに立ち会った。椙山氏のレイアウトの線路は比較的軟らかい。枕木の下に緩衝材が入っているからである。静かに走った。
 ところが、八王子のご自宅で木製道床の天賞堂製の線路で不整を作って走らせると、コツンコツンと音がする。

 「やはりバネが要りますね。」と言うと「「そりゃそうだ。ヤマ氏がこれでやってくれって、しつこく言うからそう作っただけで、本当はバネを入れるべきなんだよ。」
 「コイルバネはいかんよ。エネルギを吸収しないからだ。重ね板バネでなきゃならん。あまり気が進まなかったが、こんな簡易イコライズでも、集電が良くなるんだね。これは気がつかなかったね。儲けものだ。」
 「ゴムでもいいんだよ。僅かに変形するだけでいいんだから。」とゴムを使った緩衝装置のスケッチを書かれた。ゴムを三角に切って頂点で支える工夫であった。
 「うまい工夫ですね。」と言うと「なに、これは今田氏のアイデアだよ。彼はゴム屋だからね。」
 そのアイデアを筆者に渡して、「お前やれ。」と言われたのだが、まだ手をつけていない。もう30年も経ってしまった。ゴムはエネルギを吸収するから緩衝性がある。

 
10年ほど前、イコライズされた高級な既製品の機関車を持って、筆者のレイアウトに試運転にいらした方があった。線路上に置いて通電すると最初のカーヴで第一動輪が脱線した。
 「おかしいですね。」と手を触れるとボイラ部が妙に軽いではないか。
 「バランスが取れてませんよ。」と言うと、「重いからウェイトを抜いてきました。」と仰るではないか。

 これでは何の意味もない。イコライザを装備する以上、設計どおりの軸重配分を実現するために、重心位置の設定は最重要である。機関車を釣り上げてバランスを見ながら補重する。イコライザをつけると高級と思っている人は多いが、その機能を理解している人は決して多くはないと感じる。

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2009年02月14日

続々 イコライジング

 「揺れるのはけしからん。」と仰る人もいる。「イコライズした模型に可動するバネが入っているのはもっとけしからん。」と叱られたこともある。
「イコライズするとどうしてバネが要らないのですか?」と聞くと「バネのたわみで、調整したイコライザが所定の位置からずれる。第一、変動が分散するからバネは不要である。そんなことは当たり前だ。」というお答えであった。また、「バネがあると、レイルの継ぎ目でコツンコツンという刻み音が聞こえなくなる。」とも仰った。

 これはどうやら宗教問題の様相を示す。話して分かるという問題ではなさそうだ。 筆者はバネは不可欠であると思う。その一方、上記のようにバネ無しイコライズが当然だという方もいらっしゃるのだ。
 大きな軸重を掛けて高速で走らせると、バネがなければイコライザは徐々にへたるであろう。しかもやかましい。

 最近のTMS誌上で紹介された祖父江欣平氏のBig Boyは極めて静かだ。フログの欠線部を乗り越えて行くときも、滑らかである。ドスドスという響きを感じるだけだ。実物どおりの重ね板バネを用い、緩衝性がある。あの記事には、そのことも全く触れていない。どうしてメカニズムに触れないのだろう。外見の話ばかりだ。

 以前OJゲージのEF58の紹介記事では、「ロンビック・イコライザ」に触れていた。4つの支点が同一平面上にあるのだろうか。あの構成では、車内の長いイコライザ・テコがたわむので、バネがなくても程々に柔らかいサスペンションになるであろう。しかし、揺れは減衰しにくい。ダンパがないからだ。
「鉄道模型はこれで完成の域に達した。」とまで書いてあったが、「スケールスピードを実現できないようでは完成の域に達したとは言えない」と考えるのは筆者だけだろうか。
 起動時にスリップが起こらないような設計ではモータが焼ける。そういうことは設計時には考えなくてもよいのだろうか。模型といえども機械である。
 およそ設計と言うものは条件設定が大切である。条件を無視した設計は意味がないはずだ。

2009年02月12日

続 イコライジング

 旧型電気機関車、要するにイコライザのついた機関車と並行して走る国電によく乗った。筆者の目はイコライザの動きに釘付けだ。
 イコライザは細かく動き、バネのたわみはほとんど見えない。ブレーキを掛けて止まるとき以外、バネはたわむように見えなかった。

 井上氏が指摘されたのはその点である。大きな変動が高速で与えられるとき、バネが折れる可能性がある。イコライザがあれば他の軸に分散するから、被害を免れる。
 「木曽川鉄橋の橋台(Abutment)は硬いんだ。」と仰った。「築堤は軟らかい。でもな、あの橋台を通り過ぎるとき、ガツンと来るんだ。俺は尻を持ち上げるのさ。罐焚きが立ってるときは膝を曲げる。脳天まで来るからな。客車はバネが深いし、軽いからあまり感じないが、機関車は重いんだ。バネは硬いからな。ドカンと来るんだよ。C59よりC62のほうが乗り心地が良い。1軸多いからな。イコライザのテコの軸受けには十分給油しておかねばならん。ここの油が切れると、バネが折れるからな。」

 ここまでの話を読まれて、読者の皆さんはどのようにお感じになっただろう。模型のイコライザと本物のイコライザは目的が違うのである。実物は衝撃力を緩和するために柔らかいスプリングを使うわけにはいかない。飛び跳ねてしまうからだ。固いスプリングで自由度を大きくするのはイコライザの仕事である。

 模型の線路は実物よりはるかに硬い。不整の度合いも大きい場合が多いだろう。バネ無しでイコライズすればよく追随する。それはゆっくり走るときだけである。高速なら飛び跳ねるだろうし、やかましい。
 逆に線路の保線がよく、さらにバネが十分に柔らかくて、しかも長ければイコライズする意味があまりなくなる。

 筆者のUPのFEFはまさにこの典型である。先輪、従輪にもかなりの軸重を与え、完全な復元装置をつけ、動輪軸箱のストロークは大きい。バネは1.5倍位長いものを用い、ペデスタルにはグリスを入れて緩衝力を持たせた。この機関車をスケールスピード100マイル/時で適正負荷状態で走らせて、正面から望遠レンズでビデオ撮影すると、なかなか面白い。実物のようにある周期でグワングワンとローリングしながら走る。バネなしイコライズした機関車は、妙におとなしい走りであるが、カタカタ音が大きい。これも好みの問題だ。

2009年02月10日

イコライジング

 イコライジングについてのコメントを戴いている。筆者の鉄道ではイコライズされていない機関車の方がやや多い。
 イコライズすなわち高級というステレオタイプな見方が定着している様で残念だ。

 故井上豊氏とは随分と懇意にして戴いた。氏は特急の機関士で、「つばめ」時代のC62を運転されていた方だ。アメリカの機関車には造詣が深く、多くのことを教えて戴いた。
 筆者がイコライズ化に夢中になっていた時期があった。それをご覧になって、「イコライズは何のためにあるか知っているか?」と問われた。
 「線路の不整に対応するためです。軸重を等しくする効果があります。」と答えた。
「そんなもの関係ない。線路は柔らかい。機関車は重いからむこうが勝手に沈む。」「軸重なんて等しくしたって、機関車の動輪が回れば静止軸重の何倍かの力がかるのだから関係ないさ。動輪のバランスが何パーセントとってあるか知ってるか?」という話になった。

 要するに、イコライザの目的は普通我々が考えているものではないということであった。「イコライザは、スプリングが折れないようにしているだけだ。」と仰ったのである。これには驚いた。

 井上豊氏は名古屋機関区きっての飛ばし屋であったそうだ。C62の速度記録が129km/h という話を持ち出すと、「140は出る。いつも出してた。」と鼻で笑った。「C11の方が速い。145は出る。」という話になった。「バックのほうが速いんだな。気持ちいいぞ。名鉄の電車をあっという間に抜いてやるんだ。」という凄い話も出てきた

dda40x at 02:10コメント(5) この記事をクリップ!

2008年06月26日

続 ダブルスリップの製作 

Equalizing Double Slip linkage スプリングを入れたりする方法もあるが、一番簡便な方法は矢印の穴を長穴にすることである。そうすれば、レバー全体をイコライザにすることが出来る。片方が限界に当たってからも、他方はある程度動くことが出来るからである。

 先回の図では、二組のトング・レイルはちゃんとイコライズしてあるのに、可動フログとのイコライズがないので、うまく作動しないと思われる。

 先日、伊藤剛氏とお会いした際、この話題を持ち出すと、イコライズのいろいろな方法を示されたが、筆者の「長穴にする方法」が模型としてはベストであるという結論になった。

Lou's Double Slip 筆者のダブルスリップは、フライスによる削製で作られているが、ロストワックスによる製品(半製品)もある。これはLouの製品を組んだものである。2組のトングレイルはイコライズされていないが、手際よく組み立てられている。これはスパイクで枕木に留めてある。いずれにせよ、仮留めであろう。この写真はLouのレイアウトで撮影した。









Movable-Point Obtuse Frog これは、そのフログである。この手のフログはObtuseという言葉を使って呼ばれる。鈍角である。普通のフログは鋭角であるがそれを直角以上に開いて作図するとこうなる。そのとき、大きな欠線部が出来るのでそれを塞ぐには可動にする以外ない。この可動部の写真をご覧になると、大きな補強部があることが分かる。これをつけると、大きな番手のダブルスリップでは動く部分がせまいので、難しい。

 

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