イコライジング

2017年05月10日

6-wheel trucks

6-wheel truck UPの流線形特急列車の荷物車、郵便車は重いので3軸台車が使われている。その製品を、アマチュアが作って売っていた。20年ほど前に見たのは、イコライズはするものの、構造をわかっていない人が作っていたので全く良くなく、一つ入手したがさらに欲しいとは思わなかった。

 これはテキサスのDennisが作ったもので、なかなか良い形をしている。構造を理解している人が簡略化しているからだ。既製品の2軸台車を切り継ぎ、新製した部品と組合せている。ハンダが多そうに見えるが、実はこれくらいがちょうど良く、鋳物のすその部分が表面張力でうまく表現できる。大きなコテで、多めのハンダを付けた。
 ここに部品の継ぎ目が見えると気分が悪い。そういう模型をよく見る。
 バネはぴったりのものがないので、間に合わせである。いずれ、旋盤で線を巻いて作る。適当な長さに切って、ベルトサンダで端面を落とせばできあがりだ。

 ブラスの線でも、巻けば加工硬化してちょうど良い硬さになり、へたらない。

 韓国製はわざわざ揺れ枕を作って、それがうまく作動しない。模型では揺れ枕はそれほど効果がない。人間が乗っていないので、効果があってもなくても一緒である。すなわち無くて構わない。

 当鉄道には3軸台車付きの車輌が3輌ある。どれもこれも重く、2kg近くあるから、ボールベアリングを付けている。レイルの継ぎ目の音が良い。


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2016年12月27日

コメントへの反応

 先回の記事に対し初心者氏から戴いたコメントには反応が多く、直接の投稿、メイルを沢山戴いている。
一言で言えば、この方は文字通りの初心者で、ものを作った経験が乏しく、観察も未熟と推察する。

 戴いたコメントの中で、工学のエキスパートであるT氏からの文章がすべてを言い表しているように思うので、紹介しよう。コメントとしては量が多いので、許可を得て本文に掲載する。下線は筆者が追加した。

初心者氏のおっしゃる「たわまないべニア路盤」が実物よりずっと強固であることはその通りだと思います。
また、車両も脱線や衝突をすれば簡単に壊れる実車に比べて模型は非常に丈夫です。
そういった意味では、模型は実物以上に「しっかり」「堅く」できていますので、実物が採用している
構造部品を壊さないための」イコライザーは小型模型には必要ないでしょう。
一方で、今回話題の模型独特の等角逆捻り機構は、むしろ模型の路盤や車両の「丈夫さ」「堅さ」を和らげて、模型に実物に近い振る舞いを模型に与える機構だと理解しています。
実物は「フニャフニャ」で重いので多少の線路誤差にも車体自体の変形で追従しますし、線路も台車が通過のたびに目で見えるほど沈みます。 

模型の場合は、実物より「ガチガチ」に堅い上に軽いので、線路の段差やねじれが線路の誤差のまま、モロに車体が躍ってしまいます。
つまりピョンピョン、カタカタと動いてしまい、いかにも「模型チック」に見えてしまいます。
しかも、線路の誤差はコン氏がおっしゃるように、実物換算で数センチ近くに相当するため、模型はより一層ピョンピョン、カタカタ跳ねます。(しかも、車体が堅いので、段差に載っていない側の(反対側の)車輪を引っ張り上げてしまい、車輪が浮くこともしばしばです)
ここで、等角逆捻り機構を搭載しますと、線路誤差に対して車体は機構によって、前後の台車で「無理やり」半分づつ分けて追従させるように振舞います。
これによる車両の振舞いは、実物の様な「フニャフニャ」までには達しないものの、段差通過時は、一つ目の台車が通過するときに、まず
車体が段差の半分傾き、次の台車が通過するとまた半分傾くため擬似的に車体がフニャフニャな「様に」見せることができるのだと思います。 
ちょうど、アニメーションの駒数を増やすイメージではないでしょうか?
また、この追従構造はコンさんのおっしゃる通り集電面で有利です。普通の三点支持と比べて等角逆捻りは変位と支持質量が半分づつなので一層追従性も良いはずです。
 
大きな段差を一輪車で越えるより、半分ずつの2段を自転車で越える方がサドルの動きは小さいですよね。 
集電が良くなれば模型はスムースに走るので一層実物らしい走りに近づきます。 
従って、これらの機構は模型に「実物に似せた」振舞いを「見かけ上」与えるものではないでしょうか?


 全くその通りである。走る模型は実物を縮小したものではないのである。実物のみの体験、観察からはよく走る模型は生まれない。だからこそ、Low-D車輪をはじめとする、いくつかの工夫があるのだ。



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2016年12月25日

等角逆捻り機構の英語訳

 the O scale Resourceの1.2月号が出た。拙稿も掲載されている。編集者と会った時に、ぜひこれを載せたいと乞われたので、原稿を送った。
 問題はその英訳である。same angle opposite twist mechanism で、SAOTでどうかという話もあったが、northerns484氏が、symmetricalという言葉を薦めて下さった。symmetrical twisting か symmetrical tilting のどちらがよいか編集者に聞いてみた。多少の時間が掛かったが、結局後者に決まった。今後これで行こうと思う。

等角逆ひねりe3 今回の投稿で最も大切な部分はこの図である。等角逆捻り機構の意味が分かるようにした。鉛筆でスケッチして northerns484氏に送り、3次元の作図をして戴いた。視点を上下して、最も効果的な角度で表した。

 ロンビックもフカヒレも結局はこの動作(あるいは疑似動作)をさせているわけで、それさえ理解できれば、細かい理屈はどうでもよくなる。

 動画が要るというので、慌てて撮った。時間がなく、一回きりの撮影である。台本も作らず、実にいい加減な動画撮影であったのは反省している。いずれ撮り直したい。
 グネグネ線路を走ってくる様子は、大変気に入ったようで、素晴らしいと言っていた。

 あといくつかのネタで編集サイドからの要望があり、いずれ発表される。 

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2016年12月21日

類似の機関車

 伊藤 剛氏保管の図面コピィを探すと、類似機種が見つかった。

DEKI400 名鉄 デキ400 これはイコライザ・ピンが1本である。二つの台車はリンクで結ばれ、バネで押されている。車体には引張力が掛からない。モータは75 kWが4つで400馬力というわけだ。牽引時は台車はどちらも同じ方向に傾こうとするが、リンクで十分持つのだろう。このモータは電車用で、車体内に電動送風機はない。すなわち、走らないとモータは冷えないから、重い列車は引き出せない。
 デキ400の図面を見てみよう。横ずれを防ぐリンクがあるが、押し引きは押金と引張りリンクだ。バネで突っ張っている。他には何もない。
 台車の力学的中心を結ぶ線分の近くにリンクと押金がある。 

DEKI 600 この写真を見ると、台車は後ろに少し傾いている。これは許容範囲であろう。この程度の出力ならイコライザ・ピンが1本でもなんとか行ける、ということなのだろう。写真は土橋和雄氏撮影。


ED14 ED14は900馬力ほどもあるので、台車が転ぶのを防ぐ積極的な策を講じたのだろう。ピンが二本であると転びにくい理屈は、極端な例を出せばこういうことだろう。平面に細い棒を立てると転びやすい。その棒の下に小さくてよいから板を釘で打てば、多少は安定して立つ。台車のピン孔はやや縦長になっている筈だ。 こうなるとイコライザ(equalizer)という意味は薄れる。「掛かる力を分散させている装置」というわけで、バネ折れを防ぐことには貢献している。
 このような方策を施した機関車は、国内にいくつかあると、そのDFには書いてある。

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2016年12月17日

イコライザ付きの台車

 二つの板バネ間にイコライザが付いた二軸台車は、不安定である。台車枠が前後に転んでしまう。
 このことはずいぶん前にこのブログで理屈を説明した。 模型でこれを作ると連結器が垂れてしまったり、上を向いたりする。また、集電ブラシは可動範囲外になり、ショートする。

 高校生の時に作ったイコライザ付き自由形BB電機は、台車間に転び止めのオスメス嵌め合いを付けたりしたが、今一つ具合が悪かった。調子が悪かったので、片方で3点支持に作り替えたが、すでに譲ってしまい手元にはない。

 その後、時は経ち忘れていたが、こちらのブログに採り上げられた。ED14は、模型とするには好適な大きさであるから、皆さん御興味がおありなのだ。たくさんのコメントが投稿され、栗生氏がそのすべてをバッサリ切り捨てた形にはなっている。「〜大いなる謎(1),(2)」とあるので、いずれ(3)が発表され、正解が公表されるのだと思っていたが、まだその気配はないようだ。

 先日土橋和雄氏とお会いした時、その話が出た。氏が仰るには、
「誰も現物を見ていないのではないか。ED14の台車イコライザのピンは1本ではない。」
とのこと。
 その証拠に、と雑誌を示された。写真を目を凝らして見ると、何となくそんな感じだ。たくさんの写真を見るうちにその指摘が正しいことが分かった。近接した二本のピンがある。その抜け留めのピン(コッタ)も二本ある。4点支持だ。傾こうとすると抵抗する。
台車のセンタピンの心皿を広くして転び止めとするのは、いろいろな点で得策ではない。
 この機関車を設計した人達には敬意を表したい。

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2016年08月23日

Atlantic

Greenfield Village (32) このアトランティック 4-4-2は出発時の牽引力を一時的に増すための装置を持っている。文字通り、traction increaser と呼ぶ。従台車のイコライザ中心穴が上下に長い。長穴の上は親指が入るくらいの隙間がある。

Greenfield Village (4) 下から覗くと、蒸気シリンダが2本下向きに取り付けられている。テコでイコライザの動輪に近いところのピンを押し下げるようになっている。そうすると第二動輪の軸重が3割くらい増す。機関車は後ろが持ち上がり、妙な姿勢になるが、短時間のことである。加速する間はこの姿勢を保つ。機関士の乗り心地は良くないだろう。これは以前図示したので、覚えていらっしゃる方もあるだろう。筆者は、理屈は承知していたが、現物を見るのは初めてだった。図面はp.202にある。

 機関庫内にいたcurator(日本語では学芸員)に、この装置のことを聞いてみた。多分知らないだろうと思っていたのだが、実に正確にその機能を説明してくれた。その瞬間に機関車の姿勢が変わることまで知っていた。さすがはヘンリィ・フォード博物館である。

 博物館はキュレイタで持っている。能力のないキュレイタしかいない博物館は、「仏作って魂入れず」である。日本の博物館には、不合格点しか付けられないものがかなりある。

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2016年02月05日

続 条件設定

 起こりうることを想定して設計するのは当然だが、起こりえないことを考えて、これではだめだというのは、いわゆる杞憂である。

 以前、等角逆捻り機構で角棒の外を角パイプで滑らせる機構を試作し、非常にうまくいったと考えている。ところが、「スライダー(滑り子)はダメだ。あれでは磨り減る。」とあるウェブサイトに書いてあるのを見て、噴き出してしまった。

 確かに、重負荷で一日中動く機械とか、埃の多い環境で作動させれば磨り減るだろうし、その更新には費用が掛かるだろう。この等角逆捻り機構は一月に数回動かして説明するだけだ。しかも荷重はほとんど掛かっていない。今回建設中のレイアウトの片隅に、例のぐにゃぐにゃ線路を1 m ほど敷いてみようと思っている。その程度の話だ。そんなに磨り減るわけがない。おそらく孫の代まで確実に作動するだろう。

 教科書に書いてあることを額面通り受け取る人がいる。しかし物事には軽重がある。考える必要もないほど小さなこともあるし、必ず考えて対処せねばならない重大なこともある。その区別を付けられることが、設計の巧拙を生み出す。

 それよりも摺動面と言えば、客車の台車のセンタベアラ、サイドベアラのほうが磨り減るだろう。プルマンは重いので切実な問題だ。そのことに言及した例を見たことがない。筆者はモリブデングリスを塗ってある。一部の極端に重いテンダにはスラストベアリングが入れてある。また、件の等角逆捻り機構にはグラファイト粉を潤滑材として擦り付けてある。
  
 当鉄道では起こりうる軽衝突、脱線に対して様々な手法で備えがしてある。 そう簡単には破損しないはずだ。当然それらは想定の範囲内であるからだ。

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2015年10月28日

可動橋の懸架装置

turntable equalizing 可動橋の両端は4輪台車で受ける。もちろんそれらは円周の接線方向の車輪を持つ。すべての車輪が異なる方向を向いているので、作るのは大変だ。作図して角度を割り出し、フライス盤で削り出す必要がある。斜めに保持する万力を使えば簡単にできる。車輪の嵌まる台車は、大きなブロックから積み重ねた形を削り出して、それを四等分するのが楽かもしれない。

 地下に集電装置を持って行けば、ボールベアリングをそのまま車輪として使える。ボールベアリングに通電するとろくなことはないのだ。荷重は4 kgw ほどかかる瞬間がある。レイルのギャップが少なければ衝撃荷重も少ないだろう。ここに普通の摩擦式の軸受を使うと、抵抗が大きく、動きが渋い。即ち慣性のある動きはなくなる。

 可動橋は楽に捻られるように作る。そうしないと4点支持だから浮いてしまう。中心の回転軸も荷重を受け、中心位置を保持する。

 最近立て続けに、いろいろな分野の専門家がレイアウト見学に来てくれて、多くの助言を下さる。ありがたいことである。彼らは模型人ではないのだが、面白がっていろいろなことを聞く。
 平坦線に置いてある貨車をそっと押して、遠くまで転がるのが意外らしい。工夫を話すと、感心している。それと、博物館の運営に関する情報も助かる。

「よく脱線するのか?」と聞かれた。
「いや一日中走らせていても、脱線はないよ。」と言うと、
「それが大事だ。ゆっくりと実物のように走ったら、きっと感動するよ。」

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2015年03月13日

Clinic

 今年のクリニックは2コマ用意するからと言われていたのだが、講演希望者が多かったらしく、「1コマでやってくれ。」ということになった。二つの内容を1時間でやるのだから、中途半端ではある。
 どういうわけか、前評判が高く、何人かがテーブルに来て、「今日の話は一昨年と同じか、進歩があるか。」と聞く。
「もちろん進歩はあるよ。」と言うと、来てくれた。
 人数は10人ほどであったが、皆熱心だ。
 Low-D車輪は、会場ではサンプルとして何個か売れただけであったが、そのあとで電話があって、100個単位で売れて行った。後で連絡を貰うと、「友達に自慢している。」とか、「Oゲージの未来を切り開いてくれた。」という賛辞が寄せられた。
 例の80両以上牽く動画と、押してやると一巡り半する動画を皆喜んで見ている。潜在的には、皆長い列車を牽きたい気持ちがあるのだ。それと、たまたま今は円安で、買いやすいことも大きい。

等角逆捻り機構試験線路 そのあとで、等角逆捻り機構 のサンプルは、パンタグラフ式だけ持って行った。これは理論的に、全く突っ込まれる心配がないからだ。ロンビックは2軸車だと面白いのだが、アメリカには二軸車はほとんどない。


SATR Mechanism and Alf Modine 今回はぐにゃぐにゃの線路を作って持っていた。これが大人気で、テーブルの上に置いておくと、友達を連れてきてゴロゴロと転がす。シカゴでは見せたが、カリフォルニアには初めて持っていったのだ。
 皆、引込み線のぐにゃぐにゃ線路を見た記憶があるので、レイアウトの片隅でやりたいのだ。

 これを作ってくれという申し出もあったが、同じ貨車を用意するのが面倒で、断った。この貨車は、Athearnのブラス製外皮だけを使って作った。製品では、木製箱組みにブラスを貼るのだが、これは骨をブラスで作って、それに貼りつけた。正直なところ、スクラッチビルトに近い。ブラス製既製品は床を外しても妙な所に骨があって、ヤジロべエが入りにくい。骨を切ると、それを補強せねばならず、めんどうだ。



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2015年03月11日

またまたイコライザかバネか

 複数のウェブサイトで、例の天秤棒の論争がまだ続いている。関係がないコメントもあって、余計に混乱している。

 友人からいくつかメイルを貰っているが、どれもみな辟易していると伝えてきている。ゆうえん氏のところに筆者の思うところを書いておいた。要するに、すでに言葉遊びの領域に入ってしまっていると、筆者は感じている。全てを理解している人には、これがイコライザを含んでいることはわかる。しかしそれを表題に入れてはいけないというのが筆者の投稿の趣旨である。

 筆者は職業柄、定義というものを解説することが多い。定義は、ある概念の中の特定の集合(英語ではset(s) と云う)を指すように作られる。
setこの図を見て戴きたい。「エタノール」という答を正解とするときに、「アルコール」では集合が大きすぎる。「有機化合物」では、何をか言わんや、である。ところが今回の論争は、「有機化合物で良い」と言うのと同等である。

 筆者がテレビを見なくなって10年以上経つが、昔よく見た番組に「世界不思議発見」というのがあった。今もやっているのかどうかは知らない。それに板東英二とかいう元野球選手が出ていた。彼の答は非常に大きな集合で答えている場合が多く、いつもスーパーヒトシ君は没収されていた。彼は「当たってますやんか。」と、憤懣やるかた無しであったが、判定は覆らなかった。対する黒柳徹子の答は常に小さい集合で、完璧な答であった。
 このエピソードで、集合という概念はお分かり戴けたであろう。

KTM O gauge TR47 truck 昔、カツミが売っていたOゲージ用のTR47台車があり、文鎮というあだ名があった。それはブラス鋳物をブリキ板でつないだものだ。このブリキ板で作られた枕梁は捻り易く、線路の不整に追随する能力があり、脱線しにくかった。現物がないので写真を撮れないと思っていた矢先に、ヤフー・オークションでちょうど売りに出ていたので、写真を拝借した。これは判定が難しい。しかしこの台車を二つ付けたボギィ車全体は、イコライズされているとは言わないのが賢明だ。



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2015年03月05日

イコライザとバネ

 今回の天秤棒バネによる方法はイコライザではない。何が違うのかと云うと、イコライザは動作によって仕事をしないはずなのである。仕事をしてエネルギィが蓄えられると、それを放出する方向に動こうとする。場合によってはそれを復元力とも言う。それを積極的に利用することもあるが、イコライジングによる懸架装置とは無縁のものである。

 ここで言う仕事とは、物理学で言う仕事である。要するに線路上の凸部を乗り越えたとき、その変位によって、エネルギィが蓄えられてしまうとイコライザではない。
 仕事の例として、ゼンマイ時計を巻くと云う操作を考えて戴きたい。巻かれたゼンマイは、いずれほどけて時計の針を廻す仕事をする。エネルギィが蓄えられている。 
 今回の天秤棒バネは、線路上の突起によって一輪が持ち上げられると、重心が1/4持ち上げられ、位置エネルギィが増大する以外に、バネがねじられてエネルギィが蓄えられる。いずれそのエネルギィは放出されることになる。

 次に鳩時計の錘を引っ張り上げる操作を考える。重りに位置エネルギーが蓄えられ、針を廻す仕事をする。今野氏の作例では、バネはないが、イコライザ自身が厚板製なので、重くて垂れ下ろうとする方向に行きやすい。その逆方向に捻るのは、重力場の中ではやや重さを感じる。ボルスタ付近の支点もややずれているようで、捻る方向によって、車体が微妙に上下する。作図をすると、支点位置はどこに来るべきか、すぐ分かる。
 すなわち、台車の捻りで、エネルギィが蓄えられたり、放出されたりする。こういうのは、本当はイコライザとは言い難い。バネ等で、引っ張り上げて、重力の影響をキャンセルすべきであろう。brass_solder氏はその重力による影響を打ち消すバネをG-キャンセラと名付けられた。この作例には全ての要素が盛り込まれている。

 
 分かってやっていたことのなのだが、筆者の作例で「仕事をしてしまう」事を看破されてしまった。多分誰も気が付かないだろうと思っていたのだが、目敏い人がいらっしゃった。
 この作例を作るときに、バネを極端に弱くしても”脱線”しないようにした。中央に来ると最も安定化するようにしたので、それから外れる方向に行くと、多少の仕事をすることになる。バネが弱いので、ほとんど無視しうる程度ではある。

 今回TMSに載った記事と同等のアイデアが発表された記事は、すでにいくつかある。
 筆者がいくつか見た中ではこの案が一番賢明である。作り易く、単純明快である。2月26日の記事にある。小池令之氏はアイデアが豊富で手が早い。工作は伊藤剛氏の作風を感じる。  

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2014年08月06日

吉岡精一氏の死去

吉岡精一氏近影 筆者撮影 吉岡精一氏が一昨日お亡くなりになったと、御家族から連絡を受けた。大正15年1月1日生まれであるから、88歳であった。写真は本年5月筆者撮影。

 吉岡氏とお知り合いになれたのは1983年であるから、もう30年以上も指導戴いたことになる。本当はもっと早く、お会いできたのであるが、TMSが接触を意図的に妨害したので3年遅れとなった。それが分かったときにはお互いに憤慨した。
 何度か泊めて戴いたことがあり、拙宅にも何回か逗留された。

 吉岡精一氏は、イコライザの研究者として名を知られている。古今東西の機関車のイコライザを徹底的に調べて、その理論を読み解き、数学的な検討を加えて冊子にされた。内野日出男氏と共著の形になっているが、実際は吉岡氏が大半を書かれた。

 氏は文章を書くのが大変お上手で、筆者の保管している書簡はB5の便箋で高さ1m近くにもなる。どの手紙にも精緻な図と数式がぎっしりで、毎回、手紙を戴くたびに、白紙に式を写して検算をするのだが、間違っていたことは一回もない。

 筆者のイコライジングの記事は吉岡氏の書かれたものを翻案して、数式を使わず直感的理解できるように表したものである。クロス・イコライジングの説明は、「良く書けている」とお褒めに与った。

 ウォーム歯車の効率についても、精緻な計算をされ、結果として筆者の採用した仕様が最高値を示すことを証明された。その時のお言葉には驚いた。
「偶然か、それとも計算の結果か?」
「一応計算しましたが、コンピュータを使ったわけではないので、極大値かどうかは分かりませんが、かなり良いところにあるという自信はありました。」
「運がいい奴だ。」

 吉岡氏は栃木県大田原市に在住で、食品会社を経営されていた。父君の開拓された畑にトウガラシを栽培し、その精製にかけては日本一の技術を持っていた。現在でも日本の香辛料の大半が氏の会社の製品である。カレーなどの加工食品にも広く用いられている。

 正直なところ、初めてお会いした時、大学の物理の先生だと思っていた。
「いや、これは趣味でね、社長室で暇な時、数式を弄っていると時間が経つのを忘れるよ。」
 とても趣味の範囲とは言えないレベルの考察を加えて、クラブ員の知的レベル向上に貢献された。 

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2013年09月05日

続々々 「等角逆捻り機構の工夫」

片持ち台車 筆者には縁がないが、2軸車ならば片持ちロンビックの製作が最も楽であろう。支持点3点の高さが多少違っても、不具合は全く生じない。
 もちろん片方の軸に、押す引く両方の力が掛かって、その軸に対する依存度が増す。それを心配される方もいらっしゃるが、走らせてみて不具合を感じるほどでもない。

3 samples 23 samples 2台車の場合、作動が一番確実で、作るときに難しい手加減が不要なのは、第二の作例のパンタグラフ式である。見掛け上難しそうに感じるが、実際は一番楽に作れる。主要部分のスライド式の滑り込みの角棒と、リンク、関接ピンさえあれば、1台1時間くらいでできるはずだ。
 どこかの模型店が簡易キットを売り出せば、きっと売れるであろう。残念ながら、筆者はHOの知識が無く、標準となる寸法を知らない。どなたかHOの達人が、汎用性のある寸法を割り出されると良い。前にも述べたが、このメカニズムは車体の中心にある必要はない。車端に置けば、車室内部の造作を完璧に作ることが可能だ

 第三の作例は簡単そうに見えるが、バネの固さと長さが意外と難しい。最適値を見つけ出すのに苦労されるはずだ。しかし、一度その最適値を得れば、工作は楽かもしれない。

 2台車の車輌ではさほどの利点は感じないかもしれないが、2軸車では等角逆捻り機構の利点は大きい。集電が飛躍的に良くなるのである。
 
 筆者の鉄道では、これで貨車3両が完成したので、レイアウトの片隅のぐにゃぐにゃ線路を走らせてみたい。その前にそれに対応する機関車も作らねばならない。

 クリニックの最後に正しい鉄道模型という言葉を出した。聴衆の中には「えっ」という顔をされた方もいらっしゃったが、これは大切なことである。模型を見る人の中には、たとえ趣味者でなくても、その道の専門家が居るかもしれない。
その方が、「なんだ、これは…」と感じてしまうような模型ではいけない。
「さすがだね。」という言葉が出るような模型を目指したい。これは、この趣味の社会的な地位を向上させる大きなポイントである。
 このような工夫をすることに冷ややかな態度を示す人もいるが、それはこの模型趣味の価値を下げることになるのだ。「貴方の趣味はその程度のものですか?」と言われて、嬉しい人はいないはずだ。

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2013年09月03日

続々 「等角逆捻り機構の工夫」

図1 この写真で、大体の見当が付くと思う。曲がったバネはリン青銅の薄板で、前後同時に曲げて、弾力を揃えてある。硬いウレタンゴムのブロック上で尖ったセンタ・ポンチで押して、凹みを付けた。
 台車は自由に傾斜できるブロックに取り付けられ、それから上方に伸びた腕を付けた。ピヴォットはブラスの棒で、旋盤で削った。

horizontal swing motion 水平振子が振れると、バーサインによって、図のようにアームの実質的な長さが短くなる。もし、凹みを付けたバネを外から押し付ける形にすると、アームが振れた時の方が、アームが中心にある時より安定になってしまう。すなわち動作が不安定になる。だからバネは、中心に向かう力を生み出すように配置しなければならない。
 この図の方式では、赤で示す状態になると復帰できなくなる可能性もある。だから、外から抱きかかえるようなバネを作り、それに尖ったピヴォットが嵌る凹みを付けたのだ。台車のボルスタの振れを伝える部分は、センタ・ピンの前後で支えるから、バネによる推力が与えられても軸重に変化は無い。この台車の振れを伝える腕が左右に振れると、多少のバーサインが生じて高さが変化するが、変位の角度が小さいので、それはバネの撓みで吸収されるはずだ。
 その点についてはN氏から質問があった。「まあ、問題ないでしょう。」と答えたが、それで間違いではないと思う。

図2 曲がった板バネは左右方向にはかなりの剛性を持つが、前後、上下には剛性が弱くなければならない。板厚、曲げ半径を工夫して、一応満足できる形にした。
 たまに運搬中の衝撃でピヴォットから「脱線」するので、自動復帰できるように左右を曲げ、V溝にした。単純な形だが、意外と手間取った。

 この貨車はLobaughの薄板製で、車体は0.25 mmしかない。1/100インチである。衝突すると床板が原型を留めないほど変形するので、1 mm 板を貼り重ねて補強した。
 根本的解決のためには、他の2輌と同様、床板全体を厚板で新規作成すべきであった。いずれ作り直す予定だ。

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2013年09月01日

続 「等角逆捻り機構の工夫」

 「いわゆるロンビック・イコライザとして紹介されている事例を詳細にチェックすると、4つの支点が完全に同一の平面には存在していない場合が多くあり、根本原理の理解が望まれる。」と述べたところ、何人かの方ががっくりと肩を落とされた。申し訳ないが、それは事実なのである。
 ロンビック・イコライザは、製作が難しい。アメリカで講演した時も、「そんな難しいものが出来るか!」と言った人が居る。工作の達人ほど難しいことが分かるのだ。だから、片方を略した「片持ちロンビック」の人気が高かった。こちらの方の特許を取るべきだと言ったのもその人だ。あとで考えると、全くその通りであると思った。

 筆者の作例を順に披露した。

 第一の例は交差フカひれ型の改良案であった。これは部品の重さをキャンセル出来ていないから、動きの均等性にやや欠けるところがある。

 第二の例はパンタグラフ式である。これの動きは皆さんに触って戴いたが、どなたも滑らかな動きに驚かれた。
これはHO用に基本部品のキットを作れば採用が増えるものと思うが、いかがだろう。エッチングで簡単にできるはずだ。

 第三の例は、3月末には作ってあったのだが、誰にも見せてなかった。水平振子であって、伊藤 剛氏の発案に近いが、多少の工夫を施してある。
 これについては、この記事とコメントおよびこのコメントをご覧戴くと、大体の見当が付くだろう。実はこの時点で、逆バネ機構はすでに完成していたのであるが、動作が不完全で、3回ほど作り直している。完璧な動作が確認できたのは5月である。
 バーサインの吸収はなかなか難しい。

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2013年08月30日

「等角逆捻り機構の工夫」

JAM 2013 トークショウに引き続いて、今野氏の旋盤を用いた動輪の作成の実演があった。小型旋盤を現場まで送って、それをセッティングするので、大変なご苦労だ。位置決めピンが一本飛んでしまったそうで、QCTPがクウィック・チェンジでなくなってしまうという障碍が起き、それを乗り越えての講演で、さぞかし大変であったろう。筆者だったら、止めてしまいそうな状況だった。紹介記事があるので、それを参照されたい。
 今野さん、本当にお疲れ様。

 そのあと、筆者の等角逆捻り機構の講演だ。何人かの方から、「タイトルの意味が分かりにくい。」とお叱りを受けていた。現にグーグルでこの言葉を検索されて、当ブログに来訪された方が数十人いらっしゃる。それらの方は、「予習」を済まされてのご参加であるから、さほどの困難は無かったものと推察する。問題は、「何だろう」と思っていらした方たちだ。きっとよく分からないままではなかったか、と冷や汗が出た。
 このようなメカニズム主体の分野は、ご自分でブラス板を切って穴空け、ヤスリがけ、ハンダ付けをしたことがない人には分かりにくいかもしれない。

 出席者は少なくて5人、多くても30人と踏んでいたのであるが、100人弱ほどいらして、後の方の方は見えなかったのではないかと、申し訳ない気持ちで一杯である。

 今回は、
1 三点支持の性能が、前後進で異なること。
2 ロンビック・イコライザが、非常に特殊な場合にのみ成り立つ「特殊解」であること。
3 ロンビック・イコライザの効果を得るには、他にも無数の解があること。
4 フカひれイコライザ ≠ ロンビック・イコライザであること。
5 ロンビック、フカひれは、等角逆捻り機構という概念に統一されること。
6 等角逆捻り機構は伊藤剛氏の命名で、根本的には二点支持であること。
7 「制御された二点支持」という概念を理解すると、様々な応用例があること。
8 いかなる線路にも追随するような懸架装置を採用することによって生じる利点。
についてお話しした。

 作例も3種用意して行った。それと二軸台車のボルスタが倒れないようにした事例も用意した。これは現場で箱を開いて見たら、ネジが抜け落ちていた。それを嵌めるのに大わらわで、結局のところ、講演中に浮津信一朗氏のお手を煩わせて、締めて戴いた。この場を借りて御礼申し上げる。今野氏のお手製のロンビック・イコライザの見本をお借りしていたので、それもお見せした。

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2013年08月28日

JAM 2013 鉄道模型功労者表彰

 8月17日の早朝に車で東京に行った。大きなスーツケースを持って行ったので、事務局の方は、いったい何が入っているのかと興味を持たれたようだ。その中には、展示用の機関車とクリニックで紹介する貨車を詰め込んであった。

JAM 2013 12時より鉄道模型功労賞の授賞式があり、伊藤 剛氏、平野和幸氏、河田耕一氏、山本 豊氏の4人に賞状が手渡された。そのあとで、受賞者各氏によるお話を聞くことが出来た。(左から、河田、山本、平野、伊藤の各氏)


伊藤剛氏 モノレールを語る sJAM 2013 剛氏の代表作は上野公園のモノレールだそうで、もともとは都の交通局が上野から羽田まで結ぶ構想であった。1957年にその試験線が上野動物園にできて、新聞記者多数を乗せた試乗車が走り始めた。ところが故障して、動けなくなって宙吊りになった。大変なことになったと思ったが、そこは機転の利く剛氏のこと、すぐに床下の非常用スロープを出し、それを延長して地面まで降ろした。新聞記者たちはそれを伝って避難した。「こんな長い滑り台は初めてだ。」となかなかの評判で、悪口を書いた新聞は無かったそうだ。この日、剛氏の顔色が悪く心配したが、話し始めれば調子が戻ってほっとした。
 剛氏の8 mm列車”Sunbeam”號は展示されていたが、今一つ注目が集まる場所ではなく、残念だった。あとで、「知らなかった」と見られなかったことを悔やむ話はいくつか聞かれた。

 拙ブログで伊藤 剛氏の話題を出したすぐ後に、JAMの理事の方からの接触があり、「我が意を得たりとの思いです。」とのことであった。受賞はすぐ内定したが、発表までは他言できない。これもなかなか辛いものであったが、幸いにも外国に複数回行っていたので、模型関係者と会うことが無く、助かった。 
 拙ブログも微力ながらお役に立てたようで、嬉しい。

 平野氏のお話では、レイアウトは何度も作り直しをされたようで、シザース・クロッシングの信頼性が低くて困ったとのお話は興味深かった。既製品は精度が低く、完全に平面には仕上がっていないからだろう。(よそで筆者の聞いた話では、大きな油目ヤスリでレイル面全体を丹念に削って平面を出すと良いそうである。)

 河田氏の、レイアウトにはアート(絵心)が必要という話には感銘を受けた。

 山本氏は小型車輌の専門家で、筆者にはあまり縁の無い方であったが、エピソードは面白かった。熊延(ゆうえん)鉄道で蒸気動車が走る様を一回だけ直近で見たことがあるそうで、その起動時、スリップしたという話は興味深い。それほどのトルクがあったのだ。調べたが、この蒸気動車の記録は見つからない。

 このようなトークショウは、非常に興味深い。もっと大きな会場でたくさんの聴衆に聴かせて差し上げたい。

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2013年07月09日

続々 Bob Longnecker氏のこと

 内野日出男氏はアマチュアではあったが、その抜きんでた腕を生かして、模型店のパイロットモデルの製作のアルバイトをしていた。
 PFM‐KodamaのK-27の試作時に、内野氏は温めたアイデアを全て詰め込んだのだそうだ。それを見て驚嘆したのが、PFMの技術顧問をしていたボブであった。あわてて日本にやって来て、作者の内野氏と会ったと言う。それ以来、極めて親密な関係を保っていた。

 内野氏は建築士であるから、その作品には機構的に怪しいところはない。そこがボブの眼に叶ったのである。TMSの旧号にはいくつかの作品が載っている。TMSの山崎氏は作品を見て、かなりショックを受けたらしい。どれもアマチュアの作品ではないレベルだったからだ。
 OJの作品が多い。軌道楽会では主力メンバーであった。個別の機種を挙げるのは控えたいが、模型店のパイロットモデル製作は非常に多い。 

 ボブは当時開発されたばかりのコアレス・モータを日本に初めて持ち込んだ。それを内野氏に渡して、機関車に搭載した。内野氏は、二つのモータの線を結んで廻した。するとあたかも軸がつながっているように、片方廻すともう一方が回転するのを見て、驚いた。
 筆者が内野氏との知遇を得たのは1980年頃だと思う。東京駅の地下で吉岡精一氏に紹介された。お勤めの都庁から近いのでそこを選んだのだ。ビールを飲みながら楽しくお話を聞かせて戴いた。その時もボブの話が出た。

「シアトルに行きたいから、その時は頼むよ。」ということであったが、互いに多忙で、それが実現したのは20年後であった。

 しばらく休載する。実は避けられない用事があってアメリカに来ている。10日ほどで帰る予定である。


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2013年06月23日

剛氏の工作

伊藤剛氏のバックアイ台車改造 この図は、しばらく前に送って戴いた。3軸バックアイ台車のバネの入れ方の工夫である。このような細かいところでも、「外れない、はめ易い」を原則に工作を施してある。(図中、文章だけは筆者がワープロで打ち替えた。)


  

伊藤剛氏の等角逆捻り機構 この図はつい最近戴いたものである。このタッチは92歳の方が描いたとはとても思えない。立体感があり、作動の原理が良く分かる。ツイストをしている女の子の絵も素晴らしい
 筆者の等角逆捻りのサンプルをお見せした時に、さらさらと描かれた。客車など、イコライザを室内に置きたくない時の工夫である。

 実はその時点で、筆者はすでにこれを上下逆にしたものを作ってあった。今、さらに工夫をしているところで、もう少し時間を戴いてから発表したい。
 この図のタイプは床がめり込んでいるタイプの大物車には適する。実はそれも製作中である。スパンボルスタの付いた16輪タイプであって、長いから等角逆捻り機構が不可欠なのである。

 ここまでは発表しても差し支えないと思っている。実はもう一段進化した物を、剛氏は製作中である。部品数を減らし、よりコンパクトにしてある。いずれ剛氏が発表されるだろう。

 他に、何か大き目の箱状のものを平面に留めるとき、必ず内部にイコライザを仕込んである。なかなか良い写真がないので紹介しづらいが、ネジ1本で箱が完全に密着するように工夫がしてあるのだ。小さな3本のテコであるから、見落としがちである。しかし確実な作動を念頭に作ってあるので、完全に密着する。

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2013年06月17日

剛氏の等角逆捻り機構

 伊藤剛氏は、ロンビック・イコライザの発表以来、その構造・機能を研究されて、結論としては等角逆捻り機構であることを解明された。その機能だけを取り出してみれば、リンクを用いて前後の台車が、等角に逆方向に傾けばよいことになった。おそらく10輌以上の試作をされている。プル・ロッド、プッシュ・ロッドを用いたタイプは横から見えてしまうとか、ギヤを使ったらバックラッシで役に立たなかったとか、逐一結果を教えて戴いている。

等角逆捻り機構 これらの写真は剛氏オリジナルのフカひれ型である。フカひれ機構は台車を傾ける軸が多少斜めになるので、センターピンで回転してその誤差を吸収している。しかし、結節点が少なくガタが無い機構である。
 剛氏は、「色々な方法があるけれど、結節点が多いといけませんね。結節点は回転軸が良いのですけど、単純回転でないときはボール・ジョイントにしなければなりません。とにかくガタを減らす工夫がないと失敗します。」と仰ったので、筆者の作品ではそこだけを、念入りに設計した。

等角逆捻り機構2等角逆捻り機構3 剛氏の車輌は、どの作例もシャカシャカと実に小気味よく作動する。摩擦が少なくなる設計で、しかもガタがないのは本当に素晴らしい。




等角逆捻り機構4等角逆捻り機構5 これはヨーロッパの製品で多分メータ・ゲージ 22 mm ゲージであったのを 32 mm に改軌して等角逆捻り機構を追加したものである。
 側面にプルあるいはプッシュ・ロッドがあって、ボルスタを引張って回転させ、その時、ローラが斜面を登り降りするようにして、台車を傾ける。よく出来ている。作動も滑らかだ。

等角逆捻り機構6 これは、 Snow White の兄弟機である Cinderella のテンダである。これにもフカひれを装備しようと言うわけだ。剛氏独特のからくりが仕掛けてある。台車は90度回転させると、パッと取れる。
 いずれ発表されるだろうが、3軸バックアイ台車が操舵する、という奇妙奇天烈な機構が完成していて、それがこのテンダーに取り付けられる。

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2013年04月12日

続 Clinic in Chicago

 やはり同じ質問が出た。パンタグラフの位置が真ん中にあるが、それをどこかに移動させることは可能かというものである。車端にパンタグラフを置き、捻られる軸を中空軸と中心の棒にすれば、どこにでも置ける。
連結器に当たらなければ、車長の中のどこにでもおけるので、荷物室や車掌室に押し込むこともできる。またこの作例のような大きさも必要ない。この半分くらいの大きさに作ることも可能である。小さく作ると誤差(リンクのガタ)が相対的に大きくなるので不利であるが、HOサイズでも十分に作れると思う。

 現在もう一つの作例を製作中であるので、近日中にお見せできる。これは車内の大きな体積を占有するので、有蓋車やカヴァードホッパくらいしか使えないだろう。

3点支持と4点支持 リンク機構は軽く作れるし、カウンタ・バランスがあれば作動に力が要らないので、具合が良い。このサスペンションが2点支持であるということは、なかなか思いつけないことのようだ。この絵は評判が良い。Controlled(制御された)2点支持という言葉が、彼らの胸に突き刺さったようだ。

 

 他のクリニックではProto48の講演もあった。要するに宣伝である。こんな線路と輪軸のセットを売っているから、こちらのサイドに来ないかと手招きをしているという感じのクリニックである。
 友人Harmonと見に行った。話を聞き終わった時、主催者が「何か質問、感想があればどうぞ。」と言った。すると誰かが、"Future of model railroading!”と叫んだ。何人かがそれに呼応して拍手した。
 会場を出て、Harmon が、「君はどう思う?」と質問してきた。「難しいと思う。レイアウトの半径が最低3mないとね。」と言うと彼は深くうなづいた。
 「彼らは貨車を一所懸命に細かく作っている。それでおしまいの人が多い。」彼の意見は否定的であった。

 そこで、筆者はこう言った。
「人間は3種に分けられる。雨が降らないかなあと空を見ている人。雨の降りそうなところに引っ越す人。そして雨を降らせることが出来る人(Rain Maker)。」
 彼らは空を見ている人である。

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2013年04月10日

Clinic in Chicago

 今年のクリニックの参加者はやはり20人くらいであった。 しかし皆が、新しいメカニズムに対して興味津々であった。何が始まるのか、見届けようという人たちばかりである。
 開始に先立って、Mike Hill氏が、筆者の紹介をしてくれ、簡単にバックグラウンドを説明してくれたのには助かった。このようなことは異例だそうだ。

 例によって、三輪自動車の安定性に始まり、貨車を三点支持にするとどうなるかというケーススタディをした。
 次に二点支持にするとどうなるかを考えさせた。もちろん、二点支持ではひっくり返ってしまう。そこで車体を安定化する工夫として、ロンビック・イコライザを持ち出し、一本外しても良いという事例を台車枠を用いて示した。

 フカひれイコライザの改良型を見せると、「なるほど。」という感じだ。しかし触ってもらうと、今一つ動きが渋い。それは作動させる軸が質量を持ち、どちらに捩っても同じとは言い難かったからだ。
 そこでパンタグラフ型を持ち出すと、その動きの面白さに目が行ってしまう。しかし、作動させるとその軽さに仰天する。カウンタ・バランスのおかげで、全く重さを感じさせない。台車の捻りで、他台車がカシャカシャと実に軽く捻られるのを見ると、びっくりする。

 今回持ち込んだレイルは、接続部に細工をして、レイルの太さ程度の段差をあちこちに設けてある。普通の貨車は必ず脱線してしまう。ところが等角逆捻りの貨車は、なんということもなく通過する。その時、パンタグラフのクロスへッドは1cm位上下して、段差を乗り越えるとき、車体も半分捻られることを示す。

 このデモはとても人気があり、参加者は順に押してみて楽しんだ。何に使うためかということを説明した。引き込み線の保線がしてない線路を車体をゆすりながら通過できるという話をすると、みな大いに興奮した。誰しもあの光景を見たことがあって、いつの日にかやってみたいと思っていたからだろう。

 工学の専門家も来ていて、学問上の見地からのお褒めも戴いた。ロンビックの話をしたが、アメリカには四輪車輌がほとんど居ないので、あまりのめり込んで来なかった。やはり、台車を加工した片持ちロンビックの方が人気がある。
 ほとんどの人は、この事実に気が付いていなかったので、「早速やって見る」ということであった。 

 パンタグラフがとても軽く動くことについては、全員が賞賛してくれた。見かけ倒しで動かないと思った人も居たようだが、動くのを目にしてとても驚いた。
 「ほとんど摩擦がない!」
とほとんどの人が叫んだが、まだ特に潤滑はしていない状態であった。

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2013年04月04日

続 Chicago O scale Meet 2013

Ed もう一人、どうしても見せておかねばならない人がいた。 この男Ed は、身長2mの大男である。電力会社の技師長で、このような技術面ではかなりうるさい人である。二年前の原発事故を一緒にテレビを見ていた。彼は次はこうなる、その次は…と予測して全てそれが当たったので驚いた。水素爆発を正確に予言した。理屈を言うので、それを筆者が補足して他の友人に伝えたところ、完璧に予測が当たった。
 彼自身は原子力にはタッチしていないのだが、詳しく知っているのには驚いた。アメリカの技術力の確かさを感じた。日本ではいわゆる専門家が居るが、彼らはその周辺領域には疎い場合が多い。アメリカの技術集団のトップに立つ人はジェネラリストである。その実例を見て、大したものだと改めて感心した。

 さて、彼の関心は一般の人とは別のところにあった。
「これは素晴らしい発想だ。このような試みをどうして思いついたのか。どのような必要性があったのか。」

「それには二つある。一つは昔住んでいたソルトレーク市の倉庫街を縫うように走る industrial line の保線の悪い線路を、ぐわんぐわんと車体を揺らしながら走る様を再現したいこと、それを実現するには集電を良くすることだ。コンプライアンス(線路の不整に追随すること)を良くすると、集電が飛躍的に良くなるのだ。」
「それは興味深い動機だ。集電を良くして走行性能の向上を狙って開発したのだね。面白い。君の車輪の形状の話も、走行性能の向上を考えている。三条ウォーム歯車も性能向上を考えて開発し、それが押して動くという副産物を与えたのだよね。実に面白い。君は常に走行性能の向上を考えている。そういう模型人は少ない。」

 その通りなのだが、彼のような技術者がそういう分析をするのがとても面白く感じた。彼は路面電車模型に関しては、とても詳しい人である。台車の構造については極めてうるさい。
 路面電車の線路は、一般の専用線に比べて、かなりの不整がある。それを乗り越えて脱線せずに走るための工夫は色々あるようだ。台車自身の剛性を減らして撓むようにすることと、荷重を掛ける位置を工夫して追随性を向上させる工夫を、とうとうと聞かせる。
「でも模型は堅いからね。本物のようには行かないよ。君の工夫は評価に値する。面白いものを見せてくれてありがとう。」と言った。

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2013年04月02日

Chicago O Scale Meet 2013

 シカゴに毎年行くようになって4年目である。地理もようやく頭に入り、どこへでも行けるようになった。また、多くの知己を得て、色々な方から遊びに来ないかというお誘いも受けるようになった。シカゴのある中西部はかなり保守的な地域であり、よそ者に心を開くには多少の時間が必要ということでもある。
 最初の年はLow-D車輪の紹介をしたのだが、やや警戒心を持たれたようだ。二年目にはその車輪を欲しいという申し出が相次ぎ、大した量ではないがある程度の数が出て行った。その後、評判が広がって少しずつ頒布している。
 今回は何か面白いネタはないのかという話があり、「ロンビック・イコライザ」から始まる「等角逆捻り機構」の応用例を話すことになった。カリフォルニアから話が伝わっていて、前評判は上々で、「面白い話が聞ける」という噂が立ったようだ。

 当日、クラインシュミット氏に会って、「今日来て戴けますか?」と聞くと、「あいにく今日は都合が付かない。どんな話だ?」と聞くので、「それではそこの机を借りてお見せしましょう。」ということになった。

 クラインシュミット氏は手厳しい評論家であって、技術発達史に関しては生き字引のような存在である。過去に色々な物を見せて、感想を聞くと、「それは19XX年に、誰それが特許を取っている。」とか、「〇〇社が売り出した商品にそれが採用されている。」という調子で、あまり認めてもらえなかった。
彼の口癖は、”There is nothing new in the world." である。要するにすでに誰かが考えたものばかりで、完全に新しく考えだされたものなんか無い、というものである。面白かったのは、「最近のトヨタのプリウスのステアリングホィールが電熱で温かくなるものが宣伝されているが、あんな物は昔からある。1920年型の何とかという車に採用されている。いかにも世界最初と言っているが、嘘っ八だ。」という話であった。

113_7672 そこで、筆者が持って行った今野氏製作のロンビック・イコライザの見本を見せ、次にその応用として筆者の改良フカひれイコライザ、パンタグラフ式イコライザを見せた。彼はととても驚き、眼を見開いて見た。持参の凸凹線路を全く脱線せずに通過するのを見て、仰天した。
 何度も押してはその動きを吟味して、「素晴らしい。」「こんなのは見たことがない。」 ”It 's very new!"
という評価を得た。

 ここで彼の評価を得ると、その後の動きはとても早い。あっという間に、その評価が伝わり、たくさんの人が見に来てくれた。

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2013年03月16日

続 さらに等角逆捻り機構

 Chicagoに来ている。今回は、レンタカーを借りなかった。空港から鉄道だけを使ってホテル近辺まで行けると書いてあったのでそれを試したのだ。近くの駅まではホテルの車に迎えに来てもらった。ホテルはいつものWestinでなかなかよいホテルである。

 さて明日の講演を控えて、拙ブログの記事を見るとたくさんのコメントが入っていて、その反響の大きさに驚いた。
 発表用のPowerpointを調整していたところなので、コメントからいくつかのアイデアを戴いた。

 歯車を使う工夫をお知らせ戴いた方が多いが、それは試作済みで、すでに不合格の烙印を押されている。細かい歯車を使っても、バックラッシをゼロにはできない。軽く動くようにするには隙間が必要で、そうするとガタが生じ、そのガタは必要な変位量を上回ることがある。それほど捻りの変位量は少ないのである。
 リンクの結節点は少なく、ガタの総量を極力極力少なくすることができる。このガタが小さいということが全てで、他のいかなる方法もリンクには敵わない。伊藤剛氏のフカひれ型が優れているのは、結節点が少ないことである。だからガタがほとんどない。ガタがあれば正しく作動しないのである。
 
 それともう一つ、変位量の大きさが完全に2台車間で等しいことが必要である。これもパンタグラフ方式には敵わない。単純なリンク方式では、動きが大きくなると、回転角がまったく等しいとは言えなくなる。これはロンビックも同様である。形が大げさなので難しそうに見えるが、作るのはとても簡単である。滑り込みのパイプさえあればすぐできる。しかも調整がほとんど要らない。リンクの結節点を厚く作って倒れないようにすれば、摩擦はいつも小さく保てる。またバランスが取れているので、作動に力が要らない。 

 機構学に詳しい方は、きっとこの方式の利点に気が付かれるだろう。先回の改良フカひれ方式では、完全な等角ではないのだ。
 
 ゆうえん氏の記事にあるように、等角逆捻りが目的であって、ロンビックイコライザはその一つの方式に過ぎない。それではどの方法がベストかと言うといまのところ、目的的には、このパンタグラフ方式が最上の方式のようだ。模型であって、ある程度の誤差を含めてもよいなら、フカヒレでもよいし、ロンビックでもよい。
 作る模型のサイズの問題もあるし、どのような線路を走らせたいのかにも依るので、解は一つではない。

ちなみに、実物の電車等のパンタグラフには、イコライザと称するリンクが付いている。それが1本の場合とたすき掛け2本の場合がある。前者は動きが滑らかであるが、2本のアームの動きが完全に対称ではない。後者は動きが正確であるはずなのであるが、動きが渋い。作図してみると、どちらもおかしなことに気がつく。リンク機構は大きな稼動範囲をもたせると、具合が悪くなるという実例である。この話は栗生弘太郎氏から伺った話を元にしている。


 しばらく休載の予定であったが、所感をまとめてお知らせした。

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2013年03月14日

さらに等角逆捻り機構  

pantograpgh typepantograph type4 先日来、頭の中には出来ていたのだが、形にしていなかったものがある。昨日時間を見つけて、一気に作った。今回は一応原寸図を用意したので、それを写して4時間で作った。上廻りの加工もあったので、都合7時間で完成した。なんとなく、ディズニィの「魔法使いの弟子」に出てくる「箒の水汲み」のような形だ。

pantograph type2pantograph type3 リンク機構による等角逆捻りである。最もコンパクトにするには遊星歯車が良いのだが、それは売っていないし、バックラッシが無視できない。
 そうなるとフカひれ型なのだが、重さを打ち消すのにトーション・バーなどの工夫が要るし、バネは調節が面倒である。カウンタ・バランスだと計算だけで大体OKである。バランスが良いので非常に軽く動く。二つの写真は手前の台車を捻った時の、クロスヘッド位置変化を示す。


pantographtype 7 さてこの写真で構造はお分かりだと思う。貨車の背骨の中に通っているシャフトはただ回転するだけである。それに付けたアームは上のパンタグラフを動かす。フカひれ型の様に作動軸が斜めになることもなく、理想的な等角逆捻りである。
 リンクでクロスヘッドが上下するから、その動きを反対側のリンクが拾い、逆捻りに"翻訳"する。クロスヘッドは角パイプで、するすると滑る。潤滑剤無しでも動くようにしたかった。油を付けると、いずれ埃を呼んで動かなくなる。グラファイト粒子をまぶす程度にするつもりだ。"翻訳"というのは伊藤剛氏の使われた言葉である。
 
pantograph type5pantographtype6 クロスヘッドと上部リンクは軽く作るが、多少の質量があるので、右捻りと左捻りでは差が出てしまう。その重さを打ち消すもの(G-キャンセラと命名)はカウンタバランスとした。ある程度は計算しておいて、角棒をネジで少し動かし、最良の点で少量のハンダで留めた。

 例によって、回転中心は段ネジとし、それが留めるリンクは厚く作った。動きは滑らかだ。



 ウィキペディアのロンビックイコライザの記述は悲惨である。ウィキペディアが如何に信頼できないか、の見本のようなものである。どなたか、書き直して戴けると嬉しい。この記事の図やGIFをお使い戴いて、結構である。    


 しばらくシカゴ方面に来ている。Chicago O Scale Meet で講演をするように誘われたのだ。この貨車を持って来た。
 貯まっているマイルの消化旅行である。ファーストクラスでの往復も可能であったが、例の787事件の影響で座席が押さえられなかったのが残念だ。
 しばらく休載させて戴く。

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2013年02月18日

等角逆捻り機構 総括

 長くなったので、このあたりで総括する。やや表現が硬いが、ご容赦願いたい。

ロンビックは等角逆捻(ひね)り機構の一つに過ぎない
 1996年に出羽文行氏により発表された時点においては、その理論的解明がなされていなかったので、これが唯一の解であると信じられていた。
 2009年に伊藤 剛氏により、交差フカひれ型イコライザが、等角逆捻り機構の他の解であることが示され、他にも解があることが示唆された。その一案として、歯車による方法も示されたが、バックラッシの大きさが、無視できないので、それは採用できなかった。
 他の方法はリンク機構によるもので、ガタを極力少なくすることで目的を達することが出来た。交差フカひれ型はそのリンク機構の一つの例である。

等角逆捻り機構は制御された2点支持である
 2軸台車を見れば分かるように、台車ボルスタは自由回転し、安定しない。それを台車の捻りに因っても動かない車軸中点に掛かる支えで固定すれば、転ばない。電車などはその2軸台車を2組持ち、互いに相手に乗り掛かっているので転ばない。

模型の車体は剛性が大きいので捩(ねじ)れない。すなわち等角逆捻(ひね)り機構が無いと、大きな捻りを逃がすことができない
セミトレーラのサスペンション この図に示すように、セミトレーラのトラクタ部分を外すとトレーラは傾く。これが傾かないようにするには同じ高さの台車が必要である。 しかしそれでは二つの台車は捩(ねじ)れないから不整地に置いた場合には、各車輪に掛かる重さが異なるはずだ。
 ところが現実にはトレーラは容易に捩られ、安定化する。一方模型は捩られにくいので、何らかの機構で捩りを逃がし、しかも車体は台車の捩られた量の半分まで回転することが望ましい。
 実物の車輌は捩れやすい。先日近所で電車の脱線事故があった。砂利に乗り上げた車体は見事に捩れ、ドアが開かなかった。

イコライザは仕事をしてはならない
 台車の捻りに因って車体が所定の角度捻られても、その結果車体の重心が上下することがあってはならない。また、イコライザ自身が上下することに因って仕事をすることがあってはならない。
 ある程度の質量を持つイコライザの上下による仕事をキャンセルするためには、カウンタ・バランスあるいはバネによる補償機構が必要である。(ここで述べる「仕事」とは、物理的な仕事のことである。)
 

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2013年02月16日

続々々々々 ロンビック・イコライザの幾何学

clinic4「全てのことは出羽文行氏、内野日出男氏、前田昌宏氏、伊藤剛氏、栗生弘太郎氏によって開発、解析されました。私はそれらをまとめてコンシールドした物を作ったのです。」と言うと、
「それが大事だ。総合的に全ての原理をまとめて製品化するのが最も重要なんだ。」と言う。

 随分褒めてもらったので、ニュートンの言葉を引用してこう述べた。
”I was standing on the shoulders of giants."(幾多の巨人の肩の上に乗って(遠くを見た)。)
 途中まで言うと、それを聞いていた3人が唱和した。これは有名な言葉だからだ。アインシュタインもこの言葉を使った。学問(業績)は多くの研究の蓄積の上に成り立つという意味である。ノベール賞受賞者がこの言葉をよく使う。

 この講演で、聴衆が比較的少人数ではあったが、かなりレベルの高い人たちであったので、非常に深く理解されたと感じた。また日本の模型技術(技能ではない)が高い、ということも印象付けられたと自負する。

「これをYoutubeにupせよ。」とか、「MRに載せろ。」という提言を戴いている。いずれまとめて、発表したい。

 最後に、「脱線しにくいだけではない。集電が飛躍的に良くなる。」と言うと、
「最も大事なことだ。それを強調すべきだ。』と言う。

 筆者は今年もテーブルを購入していたので、講演参加者の友達が何人もやってきた。何度も再演して見せた。
 今年は売るべきジャンクがほとんどなかったので、テーブルを購入しても無駄かと思ったが、こういうときには役に立つ。売れた細かいジャンクの価格で、テーブル代がちょうど払えた程度のことだ。

 古くからの友人たちも、テーブルを持っていれば立ち寄ってくれるので、そういう意味では価値がある。
「来年は何をやるのか?」と聞かれるのだが、次の新しいネタがあるわけでもなく困っている。

 所属クラブの来年の競作の「お題」が決まったので、新しいアイデアを盛り込むつもりだ。開発に成功すればそれを発表できないものかと思っている。

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2013年02月14日

続々々々ロンビック・イコライザの幾何学

「伊藤 剛氏がこの機構を考案したのは3年前で、現在92歳である。」と言うと、皆ホーッという顔をした。どういう人なのだと聞くので「中学生のころに8mmゲージの列車を作り、コンテストで一等になった。戦後は1950年頃NMRAのBulletin(会報 )にたくさん名前が載っている。」と言うと、「Phenomenon(天才)だね。」ということになった。
伊藤 剛氏 写真は剛氏が作られた荷物電車の床下の交差フカひれ型イコライザを説明しているところ。それを持っているのは筆者。見ているのは鹿ケ谷氏と今野氏。手前の車輌群は全て剛氏の作品。 2012年4月8日 鈴木茂臣氏撮影

 ここでロンビックの効果と交差フカひれ型の効果が同じであるけれど、全く異なる概念から出発していることを明確にした。交差フカひれ型は、二つの台車の傾きを前後で均等になるようにするという目的のためだけに存在する。だから、他の方法もありうることを強調したのである。
「例えば?」と聞くので、「高級過ぎるけどもセンサとサーボモータで、台車の捻られ方が均等になるようにするとか…」と言うと、
「そりゃだめだ。これが良い。」ということになった。

「床下に大きな板がぶら下がると、その質量で、ある方向に捻られやすくなるから、なるべく軽く作るのが良い。私のは中空パイプで軽量化してある。でもまだ重いから、バネで重さを補償せねばならないのです。」
「上から吊るのか?」
「いや、パイプの中にトーション・バァを通してトルクを掛ければ良いのです。」
このアイデアには皆驚いた。
「究極のパッキングだ。それ以上詰め込めない。お前はplogidy(天才)だ。」
ここまで来るとお世辞でも気持ち悪い。

113_6882「この貨車は上にかぶさっているからメカニズムが見えないが、うまく小さく作ればゴンドーラ(無蓋車)にも付けられるぞ。小さい荷物の箱で隠せばよいのだ。」というアイデアも戴いた。

 ほとんどの人が写真を撮って行ったので、きっと来年にはかなりの数の作品が出てくるだろう。

《追記》  brass-solder氏が早速トーション・バァによる重力補償を実現された。コンパクトで簡単な方法である。
Gキャンセラという名前を付けられたので、それを採用したい。 2013年2月16日


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2013年02月12日

続々々 ロンビック・イコライザの幾何学

clinic 3「考案者は日本人で、Mr.Dewaである。」と言うと「なんだお前じゃないのか。」と言われた。Patent も出願されていると言ったら、
「そりゃそうだろうが、このアイデアが売れるかどうかは何とも言えない。」と懐疑的である。
「必ず4支点を同一平面に置いて、ガタが無いようにせねばならない。」と言うと、
「工作がむずかしい。」という評価であった。

「片持ちはお前の発明だろう?」と聞かれたので、
「これもMr.Dewaによる。」と言うと不思議そうだ。
「こちらを特許出願すべきだった。」と言う。 
同じ効果なら、より簡単な片持ち式が良いという意見が大半だった。

clinic 2 等角逆捻りの機能さえあればよいのだから、他にもアイデアがある。と伊藤剛氏のアイデアを、今野氏が16番で作られたものの写真を見せた。これには、会場がどよめいた。
「Dr.Konnoは本当に医者か?模型屋じゃないのか。」という質問に、
「どちらとも決めかねるお人です。」と答えると爆笑した。

clinic 1 そして、最終的に筆者の作ったコンシールドタイプである。
最初は皆、
「これはいったい何?」という顔をしていた。
作動させると、「これは面白い」ということになった。みんなで順に触って、動作を確かめる。
不思議そうな顔をしているが、理屈が分かった途端に晴れ晴れとした顔になるのが見ていて楽しい。
 
 二本のロッドの先端の噛み合いはボールとソケットになっているのが分かると、
「凄いアイデアだ。日本には天才がたくさん居る!」
と叫んだ。

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2013年02月10日

続々 ロンビック ・イコライザの幾何学

800px-Reliant_Robin_Green800px-Goliath-Dreirad_Pritsche 今回の講演では3点支持の不利な点を挙げた。 この緑の車はMr.Beanで良く出てきた。ひっくり返る場面も記憶にある。この車を写し、「これって安全ですか?」と聞くと「極めて危険だ。ひっくり返る。」と言う。イギリス人もいたので、より詳しく説明してもらった。"stupid car(馬鹿な車)”とまで言う。もう生産停止になったそうだ。次のオート三輪はドイツ製のようだ。日本の写真が見つからなかったのでこれを使用したが、国産車がカーヴでひっくり返ったのは見た覚えがある。

 しかし、三輪車が全て危ないかと言うとそうでもない。

800px-Messerschmitt_KabinenrollerMorgan_3-Wheeler_193Xこれらの写真を見せると場内は興奮した。「オッ、メッサーシュミットだ。かっこいい。」「モーガンじゃないか。凄い車だ。」と絶賛の嵐である。
「前一輪であると具合が悪くて、後が一輪だと問題ないのはなぜか。」と問うと、
カーヴで重心が三角からはみ出すからだ。ブレーキを掛けると余計にはみ出しやすいと言う。
「それならメッサーシュミットを高速でバックしながらステアリングを切り、ブレーキを掛けたらどうか。」と聞くと、「そりゃあ、ひっくり返るさ。」と言う。

 ここで鉄道車両を引き合いに出した。
「鉄道車輌はどちらにも高速で走るが、向きによって安定性が異なるとまずいよね。」
「そりゃそうだ。」
 そこで4輪カブースの話をしてくれる人がいた。三点支持にすると、走らせる向きによって脱線しやすいという証言だ。
 鉄道車輌は等方性(筆者の造語で、どちらにも同じ性質を持つこと。もともとは化学用語)を持たねばならない。
英語ではBi-Directionalと言うことにした。

「でも無理だよね。」という雰囲気が漂ったところで、ロンビック・イコライザの登場である。幾何学的な証明をして、現物を紹介すると、場内に衝撃が伝わった。
 作るのがとても面倒であるから、と片持ち式の台車を見せると、あまりよくわからない様子である。菱形を描いてやるとよくわかったようだ。見えない菱形が見えたのだ。これは作り易くて良いと評判だ。
「ひとつ無くしても良いのか!考えた奴は天才だ。」

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2013年02月08日

続 ロンビック・イコライザの幾何学

ロンビック、片持ちロンビック、三点支持 今野氏のお作りになったロンビック・イコライザの作例をお借りして持って行ったので、出席者はそれを手で触って実感した。この作例は昨年のJAMでのデモ用に製作されたものである。それを少々手直しさせて戴いて、持って行った。

通常の台車の加工片持ち台車 それ以外に、栗生氏の説明の中にもある台車のボルスタに支えを付けたものも持って行った。これが意外と評判が良く、「面白い!」ということだった。片持ちだと三角型にしかならないと思われるかもしれないが、その三角形は菱形の半分であり、左側は無いように見えても、実は存在している。その三角形は右の三角形と同一平面にあることは自明であろう。3点支持が二つ(見方によっては四つ)在って、それらが同一の平面上にある、すなわち4点支持になるというところがこの工夫の妙である。

片持ちロンビック片持ちロンビックの裏側 もちろん片持ちの方には裏からも支えが必要である。これが無いとひっくり返ってしまう。
 これら二つの作例をご覧戴きたい。この二つは等価である。台車枠そのものをイコライザとして使っているか、台車枠の中にイコライザを仕掛けただけなのか、の違いである。

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2013年02月06日

ロンビック・イコライザの幾何学

Mid-Point 栗生氏の証明に沿って説明しよう。中学校の幾何の時間に、中点連結定理というのがあった。三角形の二辺の中点を結ぶと底辺に平行になるというものだ。これは簡潔明瞭な定理であって、証明は容易である。



Mid Point 2 今度はその三角形の底辺同士を重ねて任意の四角形を作って見る。すると中点を結んだ線分同士が平行になる。要するに任意の四角形の各辺の中点を結ぶと、必ず平行四辺形が生まれるというわけだ。見方を変えれば、四角形の対角線と、それによって二分されて生じる三角形の中点連結線分は平行になるということである。もう一つの対角線についても全く同様であるから、必然的に平行四辺形が生まれることになる。

中点連結定理 それを捻(ひね)るとどうなるかという図がこれである。平行四辺形は微妙に長さが変化するかもしれないが、存在し続ける。対辺が同じ角度だけ捻られたと考えるわけだ。平行四辺形の部分に車体が載っていると考えれば良い。
等角逆捻りGIF ロンビック・イコライザの幾何学はこれで終了である。実に簡単な証明であって、明快である。大切なことはこれらの4支点が同一平面上に来ることだ。いくつか作例を見せて戴いたが、支点があらぬところにあって驚くことがある。それでは完全な平面上に置いたときは問題ないが、変位があると、あちこちで矛盾が生じるだろう。動きが渋いのは、たいていそういう種類の間違いから生じている。

Rhomboidal Equalizer GIF 当初は原理が証明されていなかったので、この種の間違いに気が付かなかったのは仕方が無い。しかし今後作る時には、この点を十分に考慮した設計をするべきである。

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2013年02月04日

Clinic

clinic O Scale West 2013 は、1月25,26日に Santa Clara で開かれた。サンタクララはサンホゼの隣の市である。
 年末に講演会の打診があったので請けた。意外に皆さんが期待してくれている。「何か面白い話をするだろうと毎年楽しみにしている」と、言われた。

 今回の講演は例のロンビック・イコライザの話だ。英語であるから、表現は多少改めた。菱型は Rhomboid であるから、その形容詞形は Rhomboidal になる。幾何学用語をおさらいして、間違いのない表現を心掛けた。出席者は約20人であったが、全員技術畑の人ばかりで、隙があったら突っ込まれる、やや緊張感のある講演会であった。

三点支持と四点支持等角逆捻り「3点支持が不整路面に対応する唯一の方法である」ということは、長年にわたる常識であった。ロンビック・イコライザはそれを覆した。良く考えてみれば、4本の足を二組に分けて、台の部分に対し回転するようにしてその回転角が正反対に均等になるようにすればよいことである。要するに制御された二点支持である。(この考え方は栗生氏の記事の追記4に紹介されている。2013年2月9日追記
 この捻(ひね)りを掛ける方法はいくつかある。仰々しく考えれば、センサとサーボ・モータで動かすことができる。それを幾何学的に行うことができれば自然にできるはずだ。

四点支持 ここまでの議論を整理するとこうなる。リンクに依る等角逆捻り機構が伊藤剛氏のフカひれ型である。結果は同じであるがロンビック・イコライザとは異なる概念に基づく。

 ロンビック・イコライザの理論的解明は長年の懸案事項であったが、2009年に栗生弘太郎氏が証明されたので、非常にクリアになった。今までロンビックだと発表されていたものも、この証明により微妙な間違いが露呈したものもある。4つの支点が完全に同一平面になければならないのである。すなわち、作用点(力点)を含め、8点が同一平面になければならない。

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2013年01月17日

続々々 IMP の Boxcar を改造する

40-ft Boxcar Mechanism 床上のリンクは片方は曲がらないが、もう片方は2支点になっている。捩り棒が円弧を描いて動くので、反対側から見ると、長さが変化するのを許容せねばならないからだ。このせいで微妙に左右での振れ具合が異なることになるが、実用上は問題ない範囲にある。いわゆるバーサインを吸収させているのである。


 どうしてこんな貨車が必要なのかというと、実は昔アメリカで見た引き込み線がぐにゃぐにゃで、そこを3両ほどの貨車を牽いた入れ替え機関車が走る場面が目に焼き付いているからである。良く似た場面の動画がある。

 レイアウトの片隅に、そのような凄まじい劣悪な条件の線路を敷いてやろうと思っている。そこでの走行に耐える車輌が何台か欲しいのである。もちろん89‐ftの車輌はそんなところは通らない。
 機関車はすでに選定済みで、いずれ工作する。すでに極めてflexibleな台車を用意してある。ぐわぐわと車体を揺らしながら走るのを見ると楽しそうだ。 友人たちは悪趣味だと言うが、普段の線路上ではごく普通に走るのだから問題ない。





 無事であれば今頃フロリダ方面に行っている。しばらく休載させて戴く。

 アラバマ州でGM&O鉄道の名残を見ることができればと思っている。そのあとはカリフォルニアでO Scale Westがあり、そこでこの講演をすることになっている。


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2013年01月15日

続々 IMP の Boxcar を改造する

 これは伊藤 剛氏の発案の交差フカひれ型イコライザの進化形である。brass‐solder様他何人かの方から正解を戴いている。
113_6890 3年ほど前にこのフカひれ型が発表されたので、すぐに作ってみた。それは89ftの3-Level Auto Carrierであった。このように長い車輌では不整線路上でのひねりが解消できないと脱線しやすい。筆者の経験ではカントの遷移部分で問題が起こる。台車ボルスタをネジで留めるとき、柔らかいスプリングを介して軽く締めると良い。しかし、走行中はふらふらしてあまり安定性は良くない。このフカひれ型はそのような場合も全く問題なく通過した。肝心の模型が行くえ不明で写真を出せないのが残念だ。あんな大きな車輌がどこかに隠れているとは思えない。間違ってどこかにしまい込んだのだ。

113_6883113_6886 さて、今回はブレーキリギングを見て、それが完全に取りつけられても、機能は保たれるようにしようと考えたのだ。リンク機構は床上に置き、途中の捩り棒を細くして、フレイムの中にコンシールドされるようにした。捩り棒は中空で、多少の軽量化に貢献している。
 というのは、栗生氏がかねがねおっしゃっていることではあるが、台車を右ネジに捩ったときと、左ネジ方向に捩った時では、イコライザ自体の重さがあって「仕事」をしてしまう。要するに右ネジ方向では少し重いのである。
 さらに厳密に言うと、台車を留めている心皿の中心が捩り棒の支点から少しだけ離れているので、そこでも仕事をしてしまう。いずれこの部分の仕事量をゼロにする工夫をするが、捩り棒の重さはバネか、カウンタ・ウェイトを付けなければ解決しない。また、支点位置を少し斜めに移動すべきであるが、軸が長いのでほとんど誤差は無視できる範囲にある。この件については、ある工夫と関連するしている。いずれ発表できる日が来るだろう。(下線部分は2015年2月加筆)

 「リンク部分が厚い」と MM氏から御指摘を戴いているが、今回のコツはまさにそこなのである。このアイデアは井上豊氏から教えて戴いたことである。
「dda40x君、リンク機構を作るときは厚い板を使うんだ。 模型は本物とは違って、少しでも摩擦があるとうまく動かない。なるべく隙間を開けてカパカパにするんだ。その時リンクが薄いと倒れてこじるからうまくいかない。リンクが厚ければ転ばないから摩擦は少なくできる。目に見えないところのリンクは、出来る限り厚く作るんだよ。」
 この教えは本当にその通りである。今まで何度救われたか分からない。段ネジは旋盤で作ったが、不完全ネジ部がどうしても出来てしまう。雌ネジは少しさらって不完全ネジ部が干渉しないようにする。厚さ3mmのリンクに段ネジが3.3 mmであるから、かなり余裕があって良く動く。

 捩り棒にリンクをハンダ付けするのは、床板の長穴からである。台車を付けてから床板に水準器を載せ、水平が出ているのを確認して、炭素棒でハンダ付けする。もちろんあらかじめハンダめっきしておいた上での話である。

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2012年07月16日

続々々々々 Kleinschmidt氏のコレクション

COM_4397-2 最後に見せてもらったこの小さい機関車をご覧戴きたい。「日本製だよ。」と棚から出してくれた。デザインが奇妙だが許せる範囲にある。しかしその下回りが悲惨である。


B electricCOM_4398-2COM_4400-2「こんなんじゃ、ひっくり返るよ。」と言うのである。イコライザが付いているのが、片方だけだと信じたいが、両方についている。確かにこれではつんのめる。模型はバネが突っ張っているらしく転ばなかったが、本物なら大変なことになろう。

COM_4403-2COM_4408-2COM_4407-2COM_4406-2




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COM_4409-2 居間の暖炉の前にはライヴスティームが置いてあった。5インチゲージ(正確には4‐3/4インチゲージ)の4-4-0だ。すばらしい工芸品で、ライヴとは思えない仕上がりである。

 作った男を知っているとのことだ。行き先が無くなりそうで買い取ったそうだ。この模型は鋼ではなくブラスで出来ている。

COM_4410-2 辞去しようと思ったら、「一緒に食事をしたい。時間はあるだろう?」とお誘いを受けた。残念ながら夜の予約があったので失礼した。
 奥様にも強く誘われたので、残念であった。

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2010年12月28日

続々々 慣性を増大させる装置

 この5軸イコライザの基本概念は長年温めてきたものである。主釣り合い梁を二つに折れるようにして衝撃力を緩和するのであるが、撓むと軸距離が縮む。それでは、支点を最初からやや高めにしておくとどうなるか。
 実は、今回のレーザ・カットの不具合で、いくつかのイコライザ部品を手作りした。そのときに一つの部品をやや長めにして支点を上げたのである。

versine伊藤剛氏 近影 図をご覧戴くと分かるが、折れたイコライザはまっすぐになると伸びる。その差は僅かではあるが軸を平行に出来なくなる。この伸びを"versine"と呼ぶ。この言葉は伊藤剛氏から教わった。日本の設計現場では「バーサイン」と言うのだそうだ。
 ほんの僅かな差であるが軸距離を伸ばすことが出来る。この不具合を良い方向に持っていけないかと考えた。(右の写真は伊藤剛氏近影)

Challenger's 5-axle truck equalizedSelf Stearing 5-axle Truck この重いテンダが曲線で遠心力のため外に傾くだろう。何しろ 大きな質量のあるフライホイールがかなり高いところに取り付けてあるので、外に傾くことはありうる。すると外側の軸距離が少し伸びる。もうあとは書かなくてもお分かりと思うが2軸と3軸が操舵する。5軸の固定台車ではなくなるのである。この方法を採用することによって、摩擦が減り、センティピ-ド・テンダの走行性能は大幅に改善されるであろう。バネを分散させて、全てのイコライザ・バーをこの方法で伸びるようにすると、面白い動きを示すであろう。

 軸の上下によるバーサインは無視できる範囲にあるが、車体からの荷重変化は無視できないので、有効に働くものと思われる。イコライザが折れるのに対抗するバネは、当初の設計値よりやや強くして釣合い点を上げてある。この引きバネは、もう30年も前からこのアイデアを温めつつ保管してきたものである。アメリカで飛行機の整備をしていた友人から貰った物で、何の部品かは分からないが、へたらないバネである。

 ボールベアリングはイコライザの孔の中に接着剤Super Xで埋め込んである。左右の片方の車輪が持ち上がると、ボールベアリングは微妙にこじられる形になる。これを複列にしてキャノンボックスにすると構造はあまりにも複雑になるから今回は割愛した。
 いくつかのメーカのボールベアリングを購入して一番ガタの大きい物を使った。某国製のラジコン用と称するものである。安価で驚いた。異常を感じたら差し替えるようにする。取り外しの容易な場所だから問題はなかろう。

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2010年12月24日

続 慣性を増大させる装置

5-axle Equalizing 軸重は700 g重を超えるだろう。固定軸ではすぐ壊れるだろうことは自明だ。個別のスプリングでは、重い車体が勝手な動きをするのを止められない。この解決法はやはり3点支持のイコライジングしかない。もちろんバネ懸架でないと壊れる。

 動力採取用のギヤボックスは2軸ずつを結ぶのは合理的であるが3軸目は難しい。線路の不整によって車軸が上下しても推進軸は曲がらないからだ。5軸のうち離れた2軸ずつを互いにユニヴァーサル・ジョイントでつないで、中間の1軸からの動力採取は、諦めてしまえばよい。軸重を減らしておけば、損失は少ない。この設計では他軸の半分にしてある。
 
Equalizing Mechanism 後部の2軸台車は、揺れ枕で懸架して復元力を稼ぐと同時に、三点支持の支点として機能する。落ち着いた走りを期待できる。

 実物のChallengerのテンダはなぜこのような三点支持の設計手法を取ったのかという解説は読んだことが無い。
 実物の超大型テンダ、例えばSanta Feの4-8-4などのテンダは箱型テンダである。それに4軸の台車が付けられているが問題が無いわけではない。不整線路面でねじられると、車体の剛性が大きく脱線の可能性が指摘された。この構造では三点支持にできないからである。実物は車体が柔かいというのが前提になっている。電車などは、脱線すると車体がねじれているのが目で見て分かる。
 旧型電気機関車の車体など剛性がほとんどないペラペラの箱である。だから前後の台車はそれぞれ三点支持になっていて、その台車の上に四点支持で車体が載っていても、全く問題なくねじれに対応する。ところが模型は肉厚の材料で作られた車体を持ち、剛性が大きい。すなわちねじれないから、実物どおりに設計すると、線路のねじれには対応できない。この辺りのことは無理解な人が多く、「本物通りだからすばらしい」と思う人が大半だ。

 さて、Challengerのテンダは超大型で剛性が高い構造を採ったので、どうしても懸架装置に工夫が必要であった。一番簡単なのは、蒸気機関車の懸架装置をコピィすることで、この前部台車で一点、後部台車で二点の方式に落ち着いた。
 本線上はともかく、機関区、側線などの保線のしてないぐにゃぐにゃの線路を踏破する能力の大きいのは、さすがである。さらに、小さなターンテイブルで廻すことが出来るのも、この懸架方式の隠れた大きな利点であった。

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2010年12月22日

慣性を増大させる装置

equalizing plan この図面をご覧になれば、軸重配分がお分かり頂けるはずだ。均等配分ではない。例によって、作図はnortherns484氏にお手伝い戴いた。
 この5軸のうち一軸は脱線しない程度の軸重しか掛かっていない。残りの二軸ずつには均等荷重が掛かる。それらにはギヤボックスが付く。ギヤボックスは動力伝達用ではない。慣性増大装置へ運動エネルギを出し入れするためのものである。

uneven weight distribution これは古いLobaughのChallenger 4-6-6-4のテンダ台車である。軸配置は4-10-0とでも言うべきである。古いLobaughのキットを3台同時に組んでいるが、一台だけオリジナルのテンダがあった。そのテンダには砲金鋳物製の台車が付いていた。その台車は非可動で、速く走らせるとポイントで飛び上がる。またジャ-ナル(車軸の末端部分)も折れる。(現実に1本折れていた!)この側面の鋳物を可動にしようと思うとかなりの加工をせねばならず、なかなか良く出来ている鋳物を壊すのは少々忍びなかった。外観を保存して、なおかつイコライジングしたいので、内側台車にするしかなかった。この鋳物は製造後60年も経つのに、塗装されたものを見るとなかなか味がある。造形として優れているのだ。

 この重いテンダの中に高速で回転するはずみ車を付け、車輪からの回転力を伝える。はずみ車は直径50mmの砲金の連続鋳造の肉厚円筒である。長さ 180 mm で 1.8 kgある。これを車軸の回転数の10倍以上で廻すと、かなり大きな慣性モーメントを持たせることが出来る。

 以前にも述べたが、機関区で単機の機関車がスリップしながら走り出したり、止まる時に動輪を逆回転させているのを見た。本当はやってはいけなかったらしいが、よく見た。模型ではそのような芸当はできない。列車を引き出す時はそれは可能であるが、単機では出来るわけがない。
 しかしこの方式を採用することにより、このテンダがその質量の数十倍の慣性を持てば、実物のような慣性のある動きを再現するはずである。筆者は高校生の時からこれを考えていた。
 先日、ライヴスティームの平岡幸三氏にお会いするチャンスがあったので、この話を持ち出したところ、「それは面白い、是非やってください。」と背中を押して戴いた。

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2010年12月20日

続々 慣性を考える

Duplicating some equalizersDuplicating an equalizing lever   丸い穴にはボールベアリングが嵌まる。その外周の丸みは、中心の穴にはまる軸を固定しておいて、刃物を高速回転させて工作物を廻して削る。簡単である。
 これを見て「危ない」と仰った方があったが、決して危なくはない。
 ただし、回転方向を間違えると喰い込んで致命的な失敗になるから、刃が喰い込まない方向に回転させ、さらに回転限界を決めておく。絶対に逆回転してはいけない。この写真の状態では、工作物は上から見て時計回りに廻す。小さなVise Pliers(固定できるプライヤ)で軽くはさみ、くるりと回転すると出来上がりである。

 このブラスは快削材ではないので、喰込みにくいラフィングエンドミルという刃物を使用している。さらにその刃先を殺して使う。要するに刃先角を大きくするのだ。これは近所の工場で教えてもらった。ダイヤモンド砥石で、そっとひとなでするだけで安全に使える。
 削った部品を外して、油目ヤスリで滑らかにして出来上がりである。
 最近は板材を含めて、材料を全て快削材で揃えている。レーザ・カットの工場はそんなことに無頓着で、普通のブラスを注文してしまったのである。使い切るまでは、しばらく我慢せねばならない。

Equalizer layout これを作っているのだ。このようなイコライザは全く見えないところで機能するので、寸法と穴の仕上げだけを丁寧にしてある。外見はどうでも良いのだ。


 さて構成をご覧戴きたい。図面でないので少々分かりにくいかもしれない。もっとも大きなイコライザにはピンが差してあり、それが折れるようになっている。黒い線は引きバネで引っ張る部分である。赤の矢印は荷重が掛かる点である。

 さて、軸重の配分はどうなっているだろうか。また、機種および目的は何であろうか。
 唐突な質問であるがメカニズムの設計についての久しぶりのクイズである。コメント欄を通じてお答え戴きたい。

 2.6 mm厚を中心にして、外側は 1 mmの板二枚で挟んでいる。仮組みすると、くねくねとよく曲がるが左右にはぶれない。

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2010年11月24日

Depressed Center Flat car by MTH

MTH 昔から大物車というものに興味を持っている。特に真ん中が下がっているものが好きである。表題の正確な意味は、「中央部が凹んだ平らな貨車」で矛盾のある言葉である。この写真はアメリカの友人宅で撮ったものである。

MTH Depressed Center FlatcarSpan Bolster 軸重が大きいので36インチの車輪(特に高軸重の貨車では40インチの車輪)を8軸付け、スパン・ボルスタで受けている。レーザ・カットすれば簡単に出来そうな形をしている。
 このようなスパンの大きな車輌こそ、線路の不整に対して等角逆捻り機構の効果が表れるだろう。これは川島氏のお宅で見せて戴いたものである。MTHはこの種の特殊貨車も何種類か出している。積み荷は変圧器のようだ。台車がひとつ無いが、修理中なのであろう。
depressed center  flat car イナ@ペン氏御撮影Hexagonal platform 左の写真はイナ@ペン氏御撮影のものである。積み荷の形がこの模型とよく似ている。
 前後の台車の上のプラットフォームは、実物は矩形ではない。曲線上で本体に当たるのを避けるためにわずかに逃げて、五角形(厳密には六角形)になっている。その代り隙間は小さくできる。右の写真はイリノイ鉄道博物館で撮ったものである。荷台の鋼板の厚さには恐れ入る。

 ブレーキ装置は普通の貨車より複雑で、ブレーキハンドルも2つあるものが多い。  

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2010年06月05日

続 "Super X" cement

Flexible Pop-Off ValveFlexible Pop-Off Valve2 この接着剤の優れたところは、その弾力性にある。硬くならないので、ショックでパラリといくことがない。
 先回にお見せしたフレームは捩じることが出来る。ハンダ付けではそうはいかないし、また瞬間接着剤では分解してしまうだろう。
 この捩じり剛性の少ないフレームは、簡単に捩じれる。すなわち、線路への追随性の増大に貢献する。すなわち等角逆捻り機構が要らないことになる。
  
 連結器の取り付けには、極めて適する。大きな衝撃が掛かるので、エポキシではいつか剥がれてしまう。以前エポキシで付けたところが剥がれたので、これで貼り付けた。

 それともう一つの利用法として、飛び出している部品を付けることである。たとえばタンク車のドームには、安全弁がL字型に飛び出している。これを硬い接着剤で付けたり、ハンダ付けすると、何かにひっかかったときに折れやすい。あるいは接着が剥がれる。穴をやや大きめに作り、スーパーXを多めに付けて固着させる。もちろん固まるまで何らかの保持装置で押さえる必要はある。

Flexible cement, Super X 固まった後でも実によく曲がって、しかも復元性が良い。完全に元に戻る。これで付ければ、持った時あちこちがふにゃふにゃして奇妙な感じがするが、壊れたり塗料が剥げたりしない。この床下機器も飛び出しているので貼り付けただけでは剥がれやすいが、これを使えばこの通り曲がって剥がれない。丸い団子状のものはキットに付いていた台座で、接着層は薄い。

 合成ゴム系のものは30年くらいで少しずつ劣化するが、これはシリコーン系なのでもっと長持ちするはずだ。40年前のシリコーン・シーラントは、雨ざらしでも全く変わらぬ弾力性を示している。 

2010年03月06日

イコライザの設計 その15

 D62 equalizing 国鉄の近代型蒸気機関車の従台車は外台枠で、主台枠は内台枠である。イコライザは斜めに入り、従台車旋回時に移動する量の少ないところに力点を持って来てある。
 それは第4動輪の後ろのクロス・イコライザからぶら下がっている。このクロス・イコライザは苦肉の策であろう。支点が中央にはないので、左右は多少の干渉はあるが独立である。お分かりにならない方は、左右に開いた図を作ると決して傾かないことが理解できるだろう。 

モビール 「イコライジングはモビールのようなもの」とコメントでAC9様はおっしゃっている。その通りなのである。ここにアトランティックのイコライジング・モビールを示す。この絵の発案者は吉岡精一氏である。筆者はそれを翻案しただけである。
 黒い棒は本来はつながっているのだが、前群、後群を分けた概念上の構造体である。また、オウヴァハングはカウキャッチャの先端、キャブの後端を指している。すなわち、線路の不整によって上下している最先端を意味しているのだ。


 この話はいつまで続くのかと心配されている方も多いだろうが、ひとまずここで区切りとしたい。
 今、筆者はいくつかの用事をからめてシカゴ方面に来ている。もっとも大きな目的はシカゴで開かれるOゲージのコンベンションで講演することである。Low-D車輪について話せというリクエストが来ているし、MRも興味を示している。
 今年の春の O scale West は開催時期がずれて、 6月にNational Convention としてカリフォルニアで開かれる予定である。6月は筆者の都合がつかないことが判明したので、その代りに久しぶりに友達に誘われているシカゴ大会に参加することにした。

 しばらく休載する。また、コメントを戴いても、掲載がかなり遅れる見込みであることも御承知願いたい。 

2010年03月04日

イコライザの設計 その14

傾く台車枠 複式イコライザの台車枠は自由に転んでしまうと書いたが、それについてよく分からぬというお便りを複数戴いている。模型を作ってみれば一目瞭然なのだが、それを図示するとこのようになる。
 車輪の数がいくつあっても自由に傾くが、どんな場合でも軸重は一定になる。BB型電気機関車の台車はこのような構造であるが、転ばないようにいくつかの工夫がある。そうしないとブレーキもかけられない。たとえば、前後の台車が水平面の中だけで回転するように結んでいるものがあるようだ。
 台車ごとに二点支持であるから、全体では4点になるが、車体の剛性が少ないのとバネが効いていることによって、線路への追随性 compliance は保たれる。 

 コンプライアンスというのは脱線を防ぐ最も大切なことであり、イコライジングすることにより格段の性能向上が見込める。車輪の跳躍があっても重力加速度以上の加速度を与えて圧着させるので、フランジが外れにくくなるのだ。模型においては集電が良くなる。

 クロス・イコライザがあると左右の群が一点で支えられると書いたのだが、これも良く判らないというご意見を戴いている。先回のアトランティックの後動輪と従輪はこのクロス・イコライザで結ばれているわけで、前部が 1/2 持ち上がって、多少後ろに傾くわけだ。軸重は正しく保たれるのだが、やや複雑で分かりにくい。それでは最大限に単純化してみよう。
四輪三点支持 クロス・イコライザの最も簡単な例を示すとこのようになる。手前の青いイコライザに注目して、その左右につながっている二輪を展開すると右下のような状態になる。
 これは上記の「傾く台車枠」と同じであって、一点で支えられていることになる。すなわち、自由にひねることができる。

 先回のアトランティックの先台車廻りの構造は、多少ややこしいが、ほぐして考えるとこの図のように考えることができるはずだ。先台車と第一軸と片方が持ち上がって車軸が傾いても、実質的に1点で支えられているから機関車フレイムはねじられず、ただ段差の半分だけ前方支持点が持ち上がるというわけである。

 クロス・イコライザの意味が分かって、等価図が描ければ、イコライジングの設計は容易である。

2010年03月02日

イコライザの設計 その13

Cross Equalizer 先台車あるいはそれを含めた前群は一点支持である。動輪を含めた場合はどのようにして一つの支点を構成しているのであろうか。




Cross Equalizer 2 先台車付近の線路が捩じれて、左右のレイルに高さの差ができたとする。第一動輪まで持ち上がっていると仮定した時の様子を考える。車軸で縦割りにして左右に開くと、このような図になる。初めてご覧になると少々戸惑う図だが、前の方から見て左右に開いた様子を考えて戴きたい。

先台車を支えるテコも切り開いている。第一動軸の前半に掛かるクロス・イコライザ cross equalizer は左右またいでいるのでそれを引き伸ばす。機関車のフレイムはまだ左右には傾いていない。微妙に後ろには傾いているだろうが、それはここでは考えないことにする。片足持ち上げているが、フレイムは後群で支えられているから傾かない。フレイムは左右の高低差の半分持ち上がっている。

 左右のイコライザ系の中でどこかでつながって、その中点に支点があると、このように左右の群が一点で支えられると考えることができる。時間のある方は、先台車から第一動輪まで左右独立したイコライザでつなぎ、第一動輪の後ろで左右を結んでそこに支点を設けた場合を作図されるとよいだろう。同じ結果になることを確認することができる。

2010年02月28日

イコライザの設計 その12

Atlantic 解答 これが解答である。AC9様はじめ多数の方が正解である。
 蒸気機関車の支点は目に見えない場合が多いので、このような図を描いて確認しておく必要がある。前後のオーヴァ・ハングの様子はあらかじめ知ることができるので、カウキャッチャのクリアランスも決めることができる。低いカウキャッチャは実感味を増大させる。
 後部オーヴァ・ハングが長いとキャブが上下し、あまり見掛けの良いものでもない。乗務員がキャブの天井に頭をぶつけるだろう。実物は線路が撓むのでよいが、模型の場合は大変具合が悪い。したがって、多軸機関車の場合は最後部動輪と従台車だけのイコライズが、走行時の安定性の点だけからは良いと、筆者は考えている。この時のバネは、なるべく柔く、ストロークの大きいものを用いるべきである。ストロークが大きければ大きな力を掛けることができる。また、多少の変位があっても、力が変化しにくい。

 さて、牽引力増大装置であるが、実に簡単な装置である。手元に図面がないのでうろ覚えであるが、こんな形をしている。
Traction Increaser 従台車の例を出そう。イコライザの穴がやや長く作ってある。動輪に近いところにもう一つの穴があり、そこに差してあるピンが空気圧あるいは蒸気圧で下に向かって押し付けられる。
 おそらく機関車は1インチ程度は持ち上がるのであろう。軸重が3割程度増大するので牽引力は増す。その時後部オーヴァ・ハングは長くなるのでキャブは激しく上下するだろうし、ピッチングも激しくなる。低速時だけ作動させる。巡航時に作動させると危険である。

2010年02月26日

イコライザの設計 その11

 それでは、アトランティック(4-4-2)のイコライジングを考えてみよう。方針として、先輪には動輪の1/2の軸重、従輪には2/3の軸重ということにする。
Equalizing Atlantic type 先台車と第一動軸を第一群とし、第二動軸と従輪とを第二群としよう。テコ比を求めて戴きたい。

 そして機関車の重心をどこに持って行くべきかを決める。下の図中、q : r を求む。
 勿論、この時、動輪の質量、ギヤボックスの質量などは全て無視しているので、実際にはそれを加味すべきであるが、ここでは省略した。


 モータ出力と動力伝達機構の効率が測定してあれば最大引張力が計算できるので、モータが焼けないような質量を決定できる。機関車が完成した後、重心が既定の位置に来るよう、天秤で吊って、所定の質量の重りを載せれば完成した機関車ができるはずだ。

「完成した機関車」というのはあまりお目に掛からない、起動時にスリップできないような機関車はモータが焼ける。モータの選定、ギヤ比の選定、動輪上重量のいずれか、あるいは全部が間違っている。

 アトランティックは動輪上重量が比較的少ないので、出発時のtraction (引張力)が不足する。いくつかのアトランティックはイコライザの支点を移動させる装置を持っていた。
 これをtraction increaser 引張力増大装置という。

2010年02月24日

イコライザの設計 その10

weight distribution diagram AC9様から興味深いグラフを戴いた。予定を変更してこのグラフの見かたについて考えたい。
 左側のグラフがAC9様の御教示のものである。この中の X は、イコライザ・スパンのアンカピン・スパン両端の距離に対する比であり、実物では 0.5 から 0.7 くらいである。
 
 ここで簡略化のために、言葉の定義をする。重ね板バネともう一つの重ね板バネの間に短いイコライザ・テコを置いたものを、"複式”と呼ぶことにしよう。大きなイコライザだけを設けたもの、すなわち井上氏方式を"単式"と呼ぶことにする。

 複式の重ね板バネをどんどん短くしていくと、このグラフでは下の方に行く。ここまでは筆者も考えたのだが、その長さをゼロにするところまでは考えなかった。素晴らしい証明で、複式の力学的重心と単式の力学的重心が一致することが見事に分かる。
 
 軸距離を一定にしてバネの長さを変化させるとどうなるかを表すと、右のグラフのようになる。このグラフは筆者の追加である。X は0.5とした。イコライザ・ピンの位置とボルスタ・ピン(キング・ピン)の位置がずれていくのが分かる。ボルスタ・ピン位置は上の図の中では目には見えない

truck bolster height 複式のときはセンタ・ピン位置が目に見えないことがお分かり戴けるはずだ。台車枠は浮動しているので、センタピン位置が外れると転ぶ。位置が合っていても、加減速で転ぶだろう。したがって、実物の台車では荷重が掛かる位置が車輪中心を結ぶ線より下に来るような工夫がしてあるはずだ。このあたりは専門家の栗生氏に解説をお願いしたいところだ。

[追記]
三重交通北勢線モニ220型 台車 弓型イコライザつき台車の図を心皿位置の例として出したところ、栗生氏から例として良くないという御指摘があったので、単式ではあるが心皿を低くしている例の図を挙げる。
 弓型イコライザの場合はコイルバネを複数入れているので、それだけでフンバリが効き、倒れない。もしこのコイルバネが一つだったらどうなるかと考えるとそれはモニ220の台車と等価である。

 複式の例は調査中であるが、F級電機のように先台車がないと倒れてしまうのは自明である。

2010年02月22日

イコライザの設計 その9

8-Wheel bucheye Truck equalizing 解答 8輪バックアイ台車の均等配分の図である。濃い青の桁に掛かる力が 2f になればよいので、1:1 が正解である。この比を守っていれば、端の部分(腕のように見える部分)の長さは自由である。すなわち濃い青の部分の長さも自由である。

 Buckeye社の方針は、軸のちょうど中間にバネを持ってくることである。先の6輪の場合も同じであるが、この方法を採ると大きなバネを効率よく収容することができる。したがって、実際の設計では青い桁の末端のピンは第2軸の真上にくる。
 この台車の自由度は極めて大きく、設計方針の賢明さには感銘を受けた。この模型の台車は、酒井喜房氏設計、祖父江欣平氏製作(1954年頃)である。

weight distribution 解答 さて、不均等な分配の例である。f と 2f の軸重を合わせると 3f になる。中間にはさんだイコライザの長さを 2:1 にするとうまくいく。

 この時、台車枠に結ばれている部分を剛性のあるテコにすると、そのどこに荷重を掛けると台車枠が転ばないかを調べる。中学校の理科の問題であるので、作図すればすぐにわかる。これが合力の中心であるが、台車をどんなに眺めてもその位置は見ることができない。この図で赤丸がその点である。

 その計算値は、何のことはない、下の概念図の赤いテコの 2:1 の点である。この赤いテコと上の複合型イコライザは全く等価であることが分かる。


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