イコライジング

2022年08月21日

イコライザの間違い

a mistake D社が頒布した1/24のC62のキットの組立て説明書があったので、目を通したところ、驚くべき間違いを見つけた。これは15年ほど前、別のG出版社が出した本の図と同じ間違いである。その出版社に手紙を出したところ、すぐ改訂された。新しい版を送ってくれたので古い本は捨ててしまったが、その古い本の図のコピィのようだ。

IMG-2475 新しい本の図はこの様になって、前群と後群が分かれている。これは正しい。



 上の本のイコライザでは、機関車は鼻を擦るか、しりもちをつくはずだ。そのC62の模型キットを購入した人は、これを読んで気付いたのだろうか。

C62 C62の模型のイコライザはこんな構造には出来ないから、先台車で一点、動輪従輪で二点となっている。A氏が写真を送ってくれたので、それを見ると先台車が一点となっている。 それで問題ないが、この図のような間違いは多い。

 以前にも指摘したが、不安定なイコライザもどきはよくある。よく出来たメカニズムならば、完成した瞬間に失敗であることが分かる。走り出した瞬間につんのめったり、尻を引きずるのだが、摩擦が大きいメカニズムだと、その不具合に気付きにくいのだろう。

 以前のコメントにもあったが、某社製の高価な輸出用機関車のイコライザがまさにこれで、前後にギッコンバッタンした。早速修正して、先台車を一点としたらよく走るようにはなったが、それを購入した人たちは何も感じなかったのだろうか。


dda40x at 08:21コメント(1) この記事をクリップ!

2022年03月12日

転ばない台車

 普通にイコライズすると転んでしまうが、工夫すれば転ばない。本物の機関車のイコライザの配置を見るのは、楽しい。様々な工夫があるからだ。

B+B w/cross equalizer まずこれを見て戴きたい。B+Bタイプである。片方の台車(右)は、中央寄りにクロス・イコライザが付いている。リンクの厚みが見える。すなわちこの台車は、3点支持で安定している。左の台車は、転ぶタイプであるが、右側台車と結合してしがみついている。すなわち転ばない。筆者もこうすればよかったのだが、高校生の頭では思い付けなかった。のちに椙山氏のところで図面集を見せて貰い、なるほどと思った。

B+B+B 次にこれはどうだろう。中央台車の右側にクロス・イコライザが見える。すなわち中央台車は転ばない。前後の台車は、両方とも転ばないように、中央台車に結び付けられている。すなわち全体が安定化する。


2-B+B 先輪があるときは簡単である。先輪を1点として、残りをイコライザで繋げば、転ぶことはない。蒸機の4-4-0と同じである。その安定化した台車に、もう一つの台車を結び付けている。

 流石(さすが)に、実物では転んだら大変なことになるので、きちんと考えられている。

dda40x at 03:12コメント(2) この記事をクリップ!

2022年03月06日

転ぶ台車

ED17 オークションの写真を見て、高校生の頃を懐かしく思い出した。イコライジングを試みたが、台車が転んでしまったのだ。まさにその状態が、この数枚の写真に写っている。

 ED17はイギリス製であったから、台車は板バネの4点支持である。イコライザが付いているのはアメリカからのものが多い。この模型はどうしたわけか、イコライザが付いている。持ち主は付けたくなったのだろう。その結果はこの写真のとおりだ。

 筆者はED14に似た自由形を作り、これと同じイコライザ付き台車を付けた。軸ごとに小さいモータを付けた。全軸伝導である。完成を急いだが、できたものは、全くお話にならない状態だった。
 台車は前後に自由に転び、収拾がつかない。台車ボルスタの前後の幅を大きくしてみようと思ったが、それは実物の構造とは違う。
 近くの電車の車庫に行って、そこにあった怪しいBB電気機関車(入替とか、小貨物を牽いていた)の台車を見ると、2つの台車が噛み合っていた。回転はするが上下にずれない様になっていたのだ。しかし、それはイコライズしていない台車だったから、何の答にもなっていない。そのうち、台車を互いに引っ張り合わせたらどうかと思い付き、細いコイルバネで引っ張った。なんとか走るようになったが、不安定である。

 最終的に、台車の片側のイコライザを取り外し、各3点支持としたが、全く面白くなかった。このときはクロス・イコライザまでは考えが及ばなかった。その機関車は、友人に譲った。 

 ともかく、イコライザを付けると台車は転ぶという実例を見せてくれているので、教材としては面白い。「続 蒸機を作ろう」にも書いておいたが、実例として見るのは稀である。 

dda40x at 03:06コメント(0) この記事をクリップ!

2022年02月20日

8-wheel Buckeye truck for Allegheny

 自宅の地下室の棚を整理している。長らく進まなかったプロジェクトを進ませるべく、順次引っ張り出して、工程を考えている。いくつか同時にやれば効率が良いからだ。
 地下室は20坪あるので、そこに置いてあるものは4トン車1台分くらいである。この一年で1/3ほど点検して、捨てるものは捨て、資源回収に廻すものは業者に持っていった。高校生のときに作った貨車、客車もかなり出てきたが、経年変化で捨てざるを得なかったので、地金として処分した。やはり、ブラス製は残るが、その他の材料は全て駄目であった。それを考えると、稲葉氏の客車群の状態は奇跡的である。 筆者は木工用ボンド(酢酸ビニル・エマルション)を使ったので、全て壊滅的な状態であった。エポキシは全く問題ない。
 
 1990年代、祖父江氏の仕事がなくなってしまった時期にお願いしたのが、このC&O 2-6-6-6 Allegheny である。プレスで抜いた板を井上豊氏が保管していて、それを戴いたものだ。主台枠の鋳物などはあったが、祖父江氏は自分の作ったものなのに「気に入らねえ。」と捨ててしまった。新たに、ブラスの厚板から切り出したものだ。シリンダ廻り、運転室の支持は、手が込んでいる。カスタムビルトの素晴らしい作品である。

8-wheel Buckeye truck テンダは自分で作りなさいということで、部品をある程度揃えてくれた程度だ。8輪台車の部品はあったが、肝心のイコライザがなかった。すぐ作るはずが、30年近く放置されてしまった。このイコライザは 3 mmの厚さである。快削材を削り出して作るのだが、寸法が大切である。誤差があると、動きが不自然になる。この写真撮影後、少し削って外形が変化している。

8-wheel Buckeye2 縦フライスで計算通りの穴をあけて、切欠きを付けた。それを切り抜いたのだ。イコライザの形は、力が掛かっても折れない設計になっている。この図は軸受等が異なるタイプである。図面は半分しかないので、反転して継ぎ足した。平面図もあるので拡大して見ている。素晴らしい設計だ。 
 ピンは何本か挽き出して、良いものを取った。余分なところにハンダが廻らないように注意して、目的部に完全にハンダを流した。滑らかに動き、強度は十分だ。

 この台車はある程度ひねられる可能性があるので、ボールベアリングは付けなかった。写真に写っている樹脂製の滑りの良いブッシュを入れ、シャフトは細いものを用いた。こういう時のシャフトは#2000で研磨しておく必要がある。素晴らしい滑りである。このテンダはとても重く、1 kgほどあるから、何も対策せずにブラスの鋳物に穴をあけただけでは、損失が大き過ぎる。

 祖父江氏は今から65年以上前に、この台車を作った。輸入者のMax Gray は、それを見せられて、驚嘆したらしい。それまでの台車は、全く可動しない、文鎮のようなものであったからだ。 

dda40x at 02:20コメント(0) この記事をクリップ!

2022年01月09日

続々々 またまたイコライジング

 最後に、重心を決めねばならない。重心はイコライザの支えの位置からは求められない。イコライザ系の中の、目に見えない動作点から求められる。これは別の図(等価図)を作図せねばならない。

Equivalence Diagram  軸距離と軸重が決まっているので、それらから、目に見えないシーソウ運動するテコを考え、どこが中心であるかを求める。前群の軸重の総和は 2f である。後群の総和は (5/3)x f であるから、一番上のテコのどこを押さえると、そのような荷重配分ができるかを考えれば良い。

 前群から5:6 の位置を押さえれば、すべての軸に所定の軸重が掛かる。動輪上に掛かる力は全て等しくなるのは言うまでもない。これは、モータを取り付けた後、上廻りを載せた状態での話である。完成した機関車の重心を求めていることを、忘れてはならない。

 簡単な話なのに、これを理解しようとせず、ウェイトを所定の位置に付けない人が居るのには驚く。それでは脱線する。イコライザ付きの機関車にとっては重心位置が命である。正しくウェイトを設置して、重心が定位置にあれば、機関車の質量を測定するだけで、牽引力が求められる。

 難しく考える人は多いが、中学校の理科である。正しい鉄道模型の実現のために、理解したい。  

dda40x at 01:09コメント(10) この記事をクリップ!

2022年01月07日

続々 またまたイコライジング

 たまに手つかずの機関車が発掘されると、まずモータ、ギヤを捨てる。次にテンダ台車、先従台車の車輪を取り替えて、ボールベアリング化する。最後に台枠を寝かせて、寸法を写し取り、イコライジングの案を練る。主台枠の加工は、縦フライスがあると実に容易である。動輪軸のギヤ廻りの加工は一番最後である。 

Weight distribution PRR E6s 近代型のPennsylvania鉄道の従台車は、通常型とは異なり、台車枠自体がイコライザとして機能するので、一度やってみたいと思っていた。軸重配分は、当鉄道の基準である先台車軸を動輪軸の1/2、従台車軸を2/3としてイコライザの構成図を描いてみた。従台車軸には軸バネが付いてはいるが、テコで掛かる軸重は同じである。

 従台車の幅を少し詰めて、イコライザ支点を内側に各1 mmずらすことができれば、後はほとんど何もすることがない。バネ吊りは長くなるが、硬いリン青銅板を使えば問題ない。従台車の前端では曲げモーメントが発生するので、硬い材料で作り、銀ハンダで付ければ良いだろう。この従台車はブラスの砂鋳物でよく出来ているが、とても重い。バラしついでに、裏側をフライスで削って肉抜きをしてみたい。 
 イコライザ自身が重過ぎると、せっかく正しく設計しても、意味がなくなるからである。 

 この機関車は、何らかの理由でテンダが正規の製品とは異なるので、市場価値が低かった。しかし、たくさんの実物写真を見ていくと、そういう組合せもあったので、問題にはならない。
(次回の重心位置の決め方に続く)

dda40x at 01:07コメント(4) この記事をクリップ!

2022年01月05日

続 またまたイコライジング

 筆者が今まで作ったイコライジングでは、従台車をイコライザ列から排除していた場合が多い。従台車は独立したバネで支えていて、機関車の姿勢には影響を与えないようにしてきた。と言うのは、従台車は動輪群から遠くにあって、それらを結ぶと、その道中があちこちに干渉してまずいことが起こるからであった。模型では従台車の左右に振れる量が大きいのが、その原因である。

 今回の従台車では、そのようなことは考えなくても良い。台車枠自身がイコライザであるから、何も問題が起こらない。従台車の回転中心の近くに、動輪のバネからの引き棒が付けば良く、回転中心は上下に自由に動く

PRR E6s 珍しく実物通りのサスペンションになる。Pennsylvania の博物館で、この機関車の本物を見たことがあり、興味があった。正しく重心を保ち、高速でポイントを通過させるとどのような音を立てるかが、興味深い。
 これは、1軸あたり1000馬力に初めて到達した機関車で、本線を10輛もの客車を牽いて高速走行していた。極めて重厚な機関車である。

dda40x at 01:05コメント(0) この記事をクリップ!

2022年01月03日

またまたイコライジング

 この機関車は1964年頃のカツミ製で、祖父江氏の設計製作である。正しい設計がなされていることに、刮目すべきである。

jointneoprene disk モータ軸はある程度の自由度を持って、ギヤボックスの入力軸につながっている。その継手は 2 mm厚のネオプレンゴム板を介した構造で、多少の屈曲を許すようにはなっている。2本のピンの生えた継ぎ手を直角に組合せて、その中間に4つの孔の空いたゴム板を挟んでいる。水道関係のポンプのモータとの継手に同様のものが使われているが、当然、心ずれには対処できない。 

 現代のモータは十分小さいから、火室後部、運転室床板を新製・改造中である。サスペンションは捨てて、作動する板バネを用いたフル・イコライジングにする予定だ。ここにハンダで固めた板バネを用いるべきだと言う人が居るが、全くおかしな論理である。高速で走ると、壊れてしまうだろう。誰が始めたのかは知らないが、極めてまずい設計方針だ。こういうことに誰も異論を挟まないというのも、困ったものだ。欠線部を通る時の音が良いと言うが、その瞬間にハンダが疲労して、壊れていくことを知らないのだ。
 誰か有名人がやったのだろう。そうすると、それが良いことになってしまったのではないか。根本的に間違っている。何のためのイコライザだろう。イコライザは硬いバネを用いて、ひとつあたりの変位を減らしつつ、全体として衝角や窪みを滑らかに乗り越える構造であることを理解すべきである。歴史的な発展過程を考えれば、理解できるはずである。見掛けしか考えない人達は、進歩できないだろう。

 主台枠はブラスの砂鋳物であるから、フライス加工して、板台枠風に削り落とす予定だ。4 mmの板から作り直しても、ほとんど工作時間は変わらないだろうと思う。ただ、手持ちの4 mm板は快削材ではないので、手間が掛かると予想する。

 この従台車は中空の鋳鋼製で、イコライザを兼ねている。この種の設計は珍しい。模型の場合は、中身の詰まったブラスの砂鋳物で重い。すなわち、バネ下質量が大きくなる可能性がある。とは言っても、軸箱は独立していて、バネ可動であるからさほど問題はない。  

dda40x at 01:03コメント(0) この記事をクリップ!

2021年08月22日

TMSの記事

MIXT 21 古いTMSの記事には良いことも書いてある。 
 21号のミキストには、「吊掛け式のユニットを作ると良い」と図まであるが、それっきりである。反トルクの処理がしてないと、このようにジョイントがよじれる様子を描いている。程度の差はあるが、シリコーン・チューブも同様によじれる。

 吊掛け式が良いなら、その理由も含めてしつこく繰り返し書くべきであったが、山崎氏はそれには何回も触れていない。単なる「感じ」で終わっているのは残念だ。
 
 駆動に関する色々な単元の紹介があるが、一回きりという例が多い。それは山崎氏自身がモデルを作っていなかったからであろう。見れば理解したと思っていたようだが、その種の能力はお持ちではなかったようだ。単に、誰かからの受け売りに過ぎない。きちんと頭に入っていないから、説明できていない。だから、TMSが存在しても、駆動方式、懸架方式の進歩はほとんど無かったのではないか。これは合葉氏も指摘していた。
 イコライザの理屈がわからないままに模型を作り、それが掲載されるということを60年以上も続けている。内野氏の4-8-4の記事は、まれな良い例外である。吉岡精一氏の監修が有効であった。ただ、重ね板バネを使っていないのは残念である。

 先のコメントにもあったように、高価な完成品のOゲージ模型の懸架装置が完全に間違っている。作る人が、理屈を何もわかっていないからだ。先台車、従台車ともに無負荷でぶら下がっているような模型がまともに走るわけがないが、それが輸出されている。恥ずかしいことである。理屈の分かっている人が、早い時期にきちんとした記事を書くべきであった。合葉氏はその働きかけをしていたが、山崎氏には、その気がなかったそうだ。

 先台車の心皿上にゴム板を入れるのは筆者のアイデアだが、これは非常によく働き、静粛化に大きく貢献する。動軸はたくさんあるので、たとえバネなしでもあちこちが微妙に撓んで衝撃を吸収するのかもしれないが、先台車はシリンダブロックとボイラに直結しているから、何らかの緩衝機構がないと壊れるし、音がひどい。ある程度の速度でポイントを渡らせると、先台車が通過する瞬間に、かなりの衝撃音を感じる。軸重は動軸の半分程度ではあるが、上部構造物の質量があるので、加速度が与えられると掛かる力は大きい。
 もちろん、そこには重ね板バネを入れるのが筋だが、その場所がないときには小さなゴムのワッシャを挟むだけで、大きな効き目がある。 


dda40x at 08:22コメント(0) この記事をクリップ!

2021年08月10日

続 またまたイコライジング

 先回の図の間違いはお分かりになっただろうか。4日間に多くのコメント、メイルを戴いた。
 確かにバネは利いているが、この機関車は転んでしまう。前に傾いて顎を擦るか、後ろに傾いて尻を引きずる。このイコライザ群は、しばらく前に扱った、仮想心皿と同じである。枕木方向に通る、目に見えない1本の回転中心があるから、それを中心に前後に振れる(ピッチング)。
 田中氏の記事では、錘を加減して水平になるようにしたとあるが、全く無意味である。イコライザ周辺の摩擦がかなりあるので、転ばなかったように見えるだけで、潤滑が良ければ、走行中に必ずどちらかの限界まで傾いて、運行不能になる。おそらく走らせた時間が短かっただけであろう。
 バネ付きイコライザの概念は、ここにも書いてある。この図の先台車が支えて、転ばないように働いていることがおわかりになるだろう。
 

 伊藤剛氏のファイルの中で、ある模型同好会の機関紙を綴じたものを見つけた。その記事で、HOのC58キット組みの再生をした話があった。
「イコライザを取り付けたら、機関車が前後にギッコンバッタンして困った。ひどい設計だ。先台車と従台車にバネを付けて転ばないようにした。」というようなことが書いてあったが、これも勘違いしている。設計は間違っていない。その改造者が間違っただけであろう。
 その正解例のひとつとしては、従台車を無荷重にして、弱い線バネで軽く押し付けておく。錘の位置を加減して、重心を第一、第二動軸の間に持っていくことだ。先台車にはゴム板などを介して、機関車前部を載せると良い。このゴムがあるとレイルの突起を乗り越えるときに衝撃を緩和する。先輪の数が少ないので、無いと具合が悪い。

 イコライザに関する記事で、まともなものは、やはり少ない。合葉氏が、正しい鉄道模型ということを力説したのも、無理はない。以来30年以上も経っている。これほど理解されていない分野も、珍しいと思う。イコライジングを正しく理解している人は本当に少ない。

dda40x at 08:10コメント(2) この記事をクリップ!

2021年08月06日

またまたイコライジング

 古いTMSの整理をしている。たまに欠落した号が補充されると、バインダを開いて綴じ直す。その中で気付いた記事があった。

Tanaka 180号に田中長治氏の記事がある。田中氏は京都の方で、病床にあったにもかかわらず、ベッドの脇で様々な工作をされて発表されていた方だそうだ。その中で、イコライズしながらバネを利かせる工夫の図があった。4軸タンク機関車である。

 この頃のTMSには、イコライジング + バネの案はいくつか発表されている。その後、何を間違えたか、イコライズすればバネは要らないという”迷信”が世にはびこるようになってしまった。近代の模型的イコライジングの元祖である井上豊氏の記事が誤解を増幅したように思う。

井上氏は、
バネが要らないはずは無い大型機はバネがないと壊れてしまうだろうね。」
と、勘違いを一生懸命打ち消してはいたが、TMS読者全体には届かなかった。この世にあるイコライズされた機関車の中でバネが装備されているものは0.5%にも満たないであろう。 

Equalizing idea さて、これが田中長治氏のメカニズムである。一見うまい工夫のように見えるが、極めてまずいところがある。Dタンクに付けたという条件で、考えて戴きたい。これはイコライザの落とし穴である。ネジが段付きでない、というのは、ここでは無視されたい。


dda40x at 08:06コメント(8) この記事をクリップ!

2021年03月31日

double slip linkage

double slip linkage ダブルスリップのリンク機構が完成している。すべて1.5〜3 mm厚のブラスの角棒から削り出して作った。関節はフォークにしてあり、ピンはΦ1である。木製部分は他と同様のグレイに塗るつもりである。リンクは黒染めするから、やや濃い色になるだろう。

 支え部分は、捻られないようになっている。滑動を妨げないようにして、直線運動を回転運動に変換している。Φ4のボールベアリングを使って、摩擦を減らしているのだ。

 当初はリンク機構を隠すつもりだったが、見えた方が良いという意見が多く、全露出型となった。イコライズする様子が見えて面白いと感じる人も居るだろう。もちろんスライドする部分には、蓋をかぶせる。

swarfslider base リンクが滑動する部分は、10 mm厚のブロックを削った。快削材であるから、気持ちよく作業でき、切り粉はかなり出た。黒染めを施し、モリブデン・グリースを薄く塗るつもりだ。
 本当は切り粉を掃きながらやるのだが、荒削りなのでさぼっている。仕上げ削りではこんなことはしない。刃を替え、ゆっくり送ってぴかぴかにした。


double slip kinkage (2) モータはΦ45のギヤード・モータを半分埋め込んだ。この写真では、少し持ち上げて中を見せている。
 箱状の路盤を増設した。それに取り付けた上で、路盤に固定する。塗装すれば目立たない。

dda40x at 03:30コメント(2) この記事をクリップ!

2021年03月09日

続 double slip mechanism

double slip mechanism4 テコの長さを 2:1 に内分する点を回転軸としてみよう。そうすると腕の長さが違うので、力は 1:2 となり目的を達する。
 一方がある程度動いて、目的地点まで到達すると支点となり、他方が別の目的地点に向かって動く。
 下の図の左端が目的地に到着すると右端が上に行き、同時に回転軸も上に、その 2/3 移動する。トルクを与えている軸が動くことになるのだ。これは問題だ。

 軸にはモータが付いている。モータはある程度動くと同時に、反トルクを受け持つ何らかの機構を持たねばならない。しかもテコの作動面とモータの位置は、上下にある程度離れているから、反トルク承けの構造は捻りに耐える工夫が必要である。そうなると、かなり難しい構造を覚悟せねばならない。

 トルクアームをどうすべきか、あるいは小さなギヤボックスを付けて、トルクチューブにするか、それともつまらぬことを考えずにテコを延長するか、しばらく悩んでいた。
 皆さんならどうされるだろう。 

dda40x at 03:09コメント(2) この記事をクリップ!

2021年03月07日

double slip mechanism

 いくつかお答を戴いている。フレッド折澤様が正解で、その他の方は部分的に良くても、うまくいかないこともあるので不正解とした。

double slip mechanism この図を見て戴きたい。上の図は単純な天秤棒で、2倍の荷重が掛かっている方に近いところを押せば、すべてが均等に押される。
 中の図はテコを右に延長したものである。テコの右端を下に押すと、左端が動作を終えて引っ掛かり、支点となる。すると中心の部分が作用点になる。2点を2倍の力で押すから、すべての点が均等の力で押されることになる。
 下の図では、中の2点が支点となった状態である。左の作用点は力点と同じ力となり、中点は2倍となるが、2点に分配されて均等になるというわけだ。

 これらの動作中、長孔は何ら力が掛かっていないので、不要である。実はその部分は、単にスライドするだけの滑り子を作ってある。

 テコを延長するのが最も簡単な解決法だが、偶力が働いているのだから、トルクと置き換えできる。    


dda40x at 03:07コメント(1) この記事をクリップ!

2020年12月17日

またまた天秤棒…

 できれば触れるのを避けたかったのだが、コメントでぐさりと刺されてしまったので触れない訳にはいかなくなった。その通りである。コメント主は鋭い方だ。

 例の天秤棒ナントカはイコライザではないのである。この台車は弾性のある材料でできているので、かなり自由に捻られる。ただしボルスタが撓んだりしないように設計してある。

 奇しくも、筆者の愛車の前輪スタビライザ・リンクが傷んで、異音がし始めたところである。交換せねばならない。試しに右前輪だけを、整備用の斜面を登らせ、最大限持ち上げてバネを底衝きさせてみると、スタビライザは限界まで捻られた。その時、タイヤに掛かる力は右前と左後が極大値に達し、残りの2輪の輪重はかなり減る。これを「イコライズされている」と言う訳にはいかないのは、当然だ。スタビライザが無いと、左前のタイヤにはほとんど力が、掛からなくなるはずだが、それを多少緩和しているに過ぎない。

 この試作台車の一輪の下に何かを挟んで、センタピンに錘を載せると、同じようなことになる。ボルスタのセンタピンは僅かに傾く。もっとも、線路の不整は極めて小さい量なので、輪重変化は少なく、ほとんど同一であろう。その範囲ではイコライザと言っても良いのかもしれないが、それは単なる言葉遊びである。

 この件については解決済みであるが、いまだにくすぶっている人も居るようだ。要は定義域の問題で、身勝手な定義を振り回しているということだろう。


dda40x at 12:17コメント(3) この記事をクリップ!

2020年09月16日

閑林氏のこと

10004 閑林憲一氏はクラブで親しくお話をする機会が多かった方だ。話題が走行性能のことになると、いつもかなりヒートアップした。議論はなかなか終わらず、次の日閑林氏の会社を訪ね、現物を見せながらその続きをしたことがある。

 閑林氏は名古屋の中心部にビルを構えて会社を経営されていた方だ。様々なアイデアを出して特許をいくつか得ていたが、その特許があまり売れなかったと聞かせてくれた。筆者が面白いと思ったのは、男性用小便器に尿を検出する装置を付け、水を自動で流す装置(オーケークリーン 1965年特許取得)である。今では光を使ったセンサを用いるのが常識であるが、55年前は水の電気抵抗変化で検知したのだそうだ。

 会社の倉庫に水道の鉛管クズが沢山あり、よく分けて戴いた。社長室でお茶を戴きながら模型談義をしているのは少し気が退けたが、よく寄らせてもらった。

 HOながらイコライザ付きサスペンションには工夫が凝らされ、バネが確実に利いていた。電気機関車やディーゼル機関車の仮想心皿方式の台車を、リンクで動かすメカニズムを実物通りに作られ、ポイントをくねくねと渡って行くのを見せてご満悦であった。いくつかの作品はTMSにも載った。

100031000210001 何度か御自宅に招かれ、レイアウトを見せて戴いた。いつも嬉しそうに走らせていらした。奥様も御一緒に運転を手伝われることも多かった。

 この写真は社長を退かれ、引退生活に入られた頃である。ダブルスリップとシザーズ・クロッシングで脱線しないように調節するのが非常に難しかったそうで、そこを全ての車輛が動揺せずに通過するのがご自慢であった。
 2000年頃の撮影であると思う。プリントからの再撮影で、低画質であるのはお詫びしたい。

 筆者の3条ウォームには驚き、HOでもやりたいものだとおっしゃっていた。自宅に走らせるためのインフラを持っている人は、走行性能向上には熱心になるのは当然である。筆者の自宅レイアウトに来訪される予定であったが、体調を崩されてそれが叶わなかったのは残念である。

dda40x at 09:16コメント(0) この記事をクリップ!

2020年09月08日

続々 模型を作ると…

 模型と実物の違いは何度も扱ってきたが、果たしてどの程度の読者がそれについて理解しているか、また興味を示すかは不明である。しかし、レイアウト上を列車を牽いて走らせている人は、すぐに理解し、改善策があればすぐ実行に移すだろう。
 故人となられたが、閑林憲一氏はその素晴らしい実例であった。すべての車輌を sprung で equalized とし、自宅レイアウトでポイントをくねくねと渡らせてご満悦であった。走行性能を上げることは、外観をいじくり回すことよりはるかに大切である、ということをクラブ員にいつも語っていらした方であった。

 さて、読者の方から長文のメイルを戴いた。少し短くして掲載する許可を得たので転載する。理論と現実のギャップについて書かれている。 

 16番以下のモデルを中心に遊んでいる人には、丁寧に説明されても大スケールや実物での素材強度や挙動を想像するのは難しいのではと思います。

 TMSは、ほぼ16番模型趣味工作専門誌としてやってきて、一般実用機械工学的な知識情報からのアプローチは、編集部としても読者の要求からもあまり顧みられなかったということがあるのかもしれません。

 私の場合もイコライザやバネには興味を持っていろいろと試してみたりもしましたが、絶対的に質量が小さなHOスケール(16.5mm、9mm gauge)Nスケールでは、実用上殆ど意味が無いということを感じて、私のスクラッチの動力は、欧州型模型製品のように縦軸方向に少しガタのある固定軸方式に決めています。もちろん集電のためにできる限りウェイトは積みますが、挙動に影響を与えるような質量では全くありません。影響が出るようなスピードで走らせることもありませんから。

 16番の世界で精巧なイコライザーを組み込んだ作品を作られている方々はたくさんおられますが、それは特殊な世界のように感じます。
 最近は、小さなスケールでもフライホイールを採用する製品が増えてきたことで、質量、慣性に関心を持つ人は増えてきているのではと思いますが、それでも車輌自体の走行性や挙動と結びつける人はまだまだ少ないでしょうし、実際のところそれを理解する必要性も実用性もないのだから、それでいいのではとも思っています。すこしさみしい気がしないでもないですが、ここで指摘してもあまり良いことがあるような気がしません。
  

 これには返事を差し上げたが、その要旨は、下記の通りである。
 誰も興味がなさそうに見えても、この種の主張は必要である。模型誌が書かない以上、誰かが理解し実際に作ってみてその効果を確かめることができるように、最大限の改善の実例は発表しておくべきである。軽便列車ではその違いはあまり感じられないだろうが、本線上を機関車に牽かれて走る長大列車では、その差は極めて大きいのである。



dda40x at 09:08コメント(4) この記事をクリップ!

2019年11月16日

続 先台車を作る

new smoke box 先台車はガタが無いように作るのが基本だ。よくできた機関車なのに復元がないというのはよく見る。また復元が効いているのに、車軸が台車の中で左右に動くものがある。これでは何の意味もない。この写真は現在製作中の4-8-4である。steam chest 部分が切り取られているのはなぜだろう。


pilot truck 当鉄道では内側先台車は、すべて共通部品を使っている。細かい部品は、外から見えるところしか付けない。機能を最優先しているからだ。
 ボールベアリングは、台枠にロックタイトで固着する。車軸もロックタイトで留める。片方の軸(ここではたまたま前方)は左右つないだものの中心に溝を切って、台車枠の蓋部分の支点に嵌める。こうして3点支持が完成する。前軸は少し捻ることができるが、左右には全くガタがない。

centering device 中子にはボールベアリングの小さいものを用いて、V字斜面を転がらせる。ほんの少しの偏倚でも強い復元力が現れる。この写真のバネは仮のものである。もっと硬いバネを用いる。

 この台車のボールベアリングは外径 8 mm、内径 5 mmのタイプだ。軸が太いので、グリースの撹拌抵抗が大きいことが危惧された。 
 案の上、完成したものを手で押しても、軽くは走って行かない。押せば動くが、慣性でするするとは行かない。重いものを載せて軸重200 gもあれば、0.5%の坂でも下り降りる。無負荷なら1.6%くらいでかろうじて滑り降りる。このグラフの通りである。

 径の大きなボールベアリングは抵抗が大きい。普段はΦ19の車輪に内径 2 mm 外径 5 mmのボールベアリングを付けていた。2 / 19 であって、テコ比で軽く動くが、今回は 5 / 21 だから重いのは当然だ。
 HOではΦ1.5を使っても 1.5 / 9.5 だから、軽くは動かないだろう。軽負荷ならピヴォットに限るというのは、こういうことだ,
 優秀な旋盤屋で良い材料を使って作ったピヴォットは、極めて優秀な値を叩き出す。

 この先台車も、細い軸にすることはできないことではないが、機関車には思わぬ力が掛かることがある。例えば脱線時に、前につんのめったりする。その瞬間の衝撃力で、軸が曲がることは十分に考えられる。軸はステンレス材なので、塑性変形し易いのだ。細い軸の場合は堅い炭素鋼を使うべきだが、錆びやすいから考え物だ。


dda40x at 11:16コメント(0) この記事をクリップ!

2019年08月28日

片持ち式ロンビック

 中澤氏の片軸の支持方式が話題を呼んでいる。いくつか問い合わせを戴いた。

 筆者の作例は、ひたすら頑丈さを求めている。角棒を支持板にネジ留めし、それに角棒を曲げたものをハンダ付けし、ステンレス軸の細いところを押さえている。たまたまこの軸はテーパを付けているので、細い部分を保持すれば、摩擦は少ない。ほんのちょっとモリブデン・グリースを付ければ、全く摩擦を感じないほど滑らかである。ステンレス軸を高精度の旋盤で挽いたものとブラスとの組合せは、下手なボールベアリングに勝るとも劣らない。
 ほんの少し、ガタを付けてハンダ付けし、軽く押しつけてガタを減らした。

 中澤氏は洋白板を曲げて作られた。あとで、微妙な曲げによって高さ調整、ガタ調整をされているようだ。

 電車のような2台車の車輛は、ボルスタが傾いても構わない。お互いに相手の台車に載っているので転ばないからだ。中澤氏は台車ごとに完結させて、それを車体全体の等角逆捻りメカニズムと連動させるおつもりのようだ。伊藤剛氏はその方式で電車を作られている。


dda40x at 08:28コメント(3) この記事をクリップ!

2019年08月26日

続 中澤 寛氏の記事

 中澤氏のお手紙によると、先回の2番目の写真の支点は、軸中心の高さになるようにされたそうだ。それができる構造ならば、わざわざ外した位置にする必要はないので、それが正解である。高さの微調整ができるのは良い方法だ。

 戴いたお手紙をそのまま掲出する。

nakazawa5nakazawa4 参考までに伝動台車の別の不掲載画像を添付させていただきます。

 ピンのある内側の底板前方とギヤボックスはM1.4ネジで留めていますが、密着させておらずフリーにしています。

 なお、外側の台車枠は吊り下げただけのいわばダミーで、車軸の先端は軸受パーツを嵌める位置のガバガバの穴に浮いています。


 軸孔を緩くして外側台枠は形だけというのは、うまい解決法である。中澤氏は数多くの電車を作られているので、その中での「現場知」としてこのような方法を会得されたのであろう。このような素晴らしい記事を、不完全な形でしか読めないというのは、読者にとって極めて不幸な状態である。

dda40x at 08:26コメント(0) この記事をクリップ!

2019年08月24日

中澤 寛氏の記事

 中澤氏から、TMSに載らなかった写真が送られてきた。掲載する許可を戴いたので、ここで紹介したい。

Nakazawa1 ロンビック・イコライザの一種の方法で、片軸だけに依存するタイプである。この方法は、ガタが大きいと、動作が不確実になる可能性がある。それを強調する人も居るが、作ったことが無い人だろう。作ればすぐに理屈が分かり、解決法が得られる。
 このタイプは、ガタが無いように作ることができれば、イコライザの回転中心と軸とが同じ高さにならなくても良い。つまり、菱形タイプより、はるかに作りやすい。どちらかと言えば、初心者にはこれをお勧めしたい。アメリカの講演会で見せた時も、このタイプの方が人気があった。軸の中央に、ボールベアリングを嵌めて、そこを保持することができれば、さらに具合が良くなるだろう。

Nakazawa2 伝動台車である。電車では1軸に伝導することがあるので、そこにイコライザ支点を置く方が良いことがある。微妙にひねられるが、その角度が小さければ、コジることはないだろう。
 これは、台車枠を外した状態である。スペイスがあれば、手前に支点を置いて、ギヤボックスを完全に浮動させる方がより良いが、実際にはそのようなスぺイスを得るのは難しいだろう。


Nakazawa3 集電シュウは先を二股にしている。接触点を増やし、接触抵抗を低減させる。ブラシは極めて薄いものを使うべきである。全軸がイコライズしていて、なおかつ、全軸集電であるから、走りは極めて滑らかな筈である。


 TMSがどうしてこれらの写真を使わなかったのかは、極めて不可解である。全くイコライザというものを理解していないのではないか。写真を見て、その作動状況が目に浮かぶ人なら、必ず使うであろう。車輛の外観だけにしか興味のない人が編集に携わるのならば、この雑誌の存在価値はない。どうして、スタッフに工学を理解する人材を入れないのだろう。見つからないのなら、連絡してくれれば助言くらいはして差し上げる。出典に書いてあるのだから、連絡が付かないことはない筈だ。 

dda40x at 08:24コメント(5) この記事をクリップ!

2019年08月07日

TMSの記事

 正直なところ、TMSを読んだのは久しぶりだ。旧体制のころからやっているドイツの”速報”とやらを、1年も続けているのは、どう考えてもおかしなものだし、小林氏の記事も連載するようなものでもない。金をとって見せるのだから、もうすこし良い記事が欲しい。

 今月号の中澤 寛氏の車輛は素晴らしい。ところが記事がおかしい。皆さんの中で、あの記事を熟読されて、意味を完全に理解できた人が居るのだろうか。
筆者は何が言いたいか」を忘れてしまった編集だ。
 何回か読んだが意味が分からないので、中澤氏にそれとなく聞いてみたら、やはり筆者の推察した通りであった。説明に対応する写真を殆ど載せていないとのことだ。走行性能を向上させる工夫について画像が全く無くなっていたのは、心外であったそうだ。

 言えることは、編集者は模型工作をしたことがあまりにも少ないのではないか。ゼロではないだろうが、糸鋸、ヤスリ、ドリル、ハンダゴテを使って、ブラスの板から、イコライジングやその他のメカニズムを作り上げた経験がほとんどないのではないか、と思う。あまりにもトンチンカンな記事で、情けなくなってしまった。

 30年前のヤマ氏のころ、実物誌が増えてきたので、実物の話題を載せるのをやめるとの決断があった。またぞろ実物の話題が載っていて、しかもそれが間違っているのでは困ったものだ。
 金を取っているということを忘れてはいけない。先のM氏が書いた不発弾の中に、「TMSを100円にして、イモンの広報紙とする」という案が書いてあった。その第一歩なのかとすれば、あまりにも悲しい。


dda40x at 08:07コメント(6) この記事をクリップ!

2017年11月23日

等角逆捻り機構のあり方

 先回で、T氏による解説が終わった。
 客観的であって、自説を売り込もうとか、俺は専門家だぞ、というところが全くない素晴らしい考察であったので、掲載させて戴いた。これで、この範疇のことは一応の決着が付いたように思う。小難しい学術用語は極力排除して戴いてあるので、誰にでも読めると思った。
 本来、こういう原稿はTMSに載せるべきであったが、もうすでにそういうこともできなくなりそうだ。

 過去に何回も論じたことだが、イコライザとバネは切り離して考えるべきである。議論の前に、ルールを決めなければいけない。自分の都合の良い方向に話を持って行くために、異なる次元のものを持ち込もうとする人がいるからだ。

 弾性梁というものを持ち出したい人もいるが、それは「バネ」と「イコライザ」を同時に用いている。
 世の中のどんなものも、完全な剛体ではない。しかし剛体と考えて理屈を考えようと言っている。その部材は多少撓むのなら、そのファクタを、別に「バネ」として考えるべきだ。しかし、模型のように小さなものは、事実上剛体として考えて良いのである。ヤング率が一定だから、モーメントが小さい時は曲がらないと考えて、何ら問題ではない。
 「バネ」は曲がるような形に作られている。コイルバネをよく見て戴きたい。細かく見ればよく分かるように、原理はトーション・バーなのだが、それを極端に長くしてあって、微小区間での捩じりは目に見えない。しかし全体では、その総和としての伸びが観察できるほどになっている。

 さて、天秤棒…は作ってみるまでもなかったが、簡単な実証モデルを作ってみた。作動状況は極めて良くなかった。「使い分け提案」にもあったように、車体の慣性モーメントの小さな、軽いモデルには使えるのかもしれないが、Oスケールでは全く駄目である。車体がプルプルと小刻みに振動し、おもちゃ以下の状態である。
 バネで台車を留めた車輌は、この天秤棒…と力学的に等価であるが、調整すれば良い走りを示すし、揺れ加減も具合が良い。ダンピング(振動を減衰させること)のおかげである。
 普段ダンピングを考えない人は多いが、それは摩擦の多い模型が大半だということの裏返しなのである。摩擦を減らすと、ダンピングが必要であることが分かる。
 理屈をこねるばかりでなく、実証モデルを作ってみられたい。しかし、それをしない人が多過ぎるのである。実験は大切だ。 

 コメントを寄せて戴きたい。

2017年11月21日

第6章 各種等角逆捻り機構の使い分け提案

(8回連載の8回目)
 最後に、ここまでの考察を通して各機構の使い分けについて考察します。なお、ここでは「ロンビック」を強制的に等角逆捻りさせるリンク機構の代表としています。魔法使いの弟子ヨー軸シーソーの方式もロンビックと同等でしょう。

 それでは、
ロンビックイコライザ(以下
Rh式と略)」
フカヒレイコライザ(同
F式)」
ロール・トーション・バー等角逆捻り(同
RT式)」
ピッチ・トーション・バー等角逆捻り(同
PT式)」
4
つについて考えます。

 Rhは基本的な原理が確立していますし、ガタや弾性変形を伴う動きが無いので、等角捻りを必要とする任意の車輌に搭載できると思います。

 次にFは図3のように斜め軸を回転軸としているので、厳密にはロール以外の運動が含まれてしまいます。そのため、ボギー車の場合、台車の回転に伴って、回転軸と台車ピッチング軸の成す角が近付くと、レイルのピッチングの影響を受けやすくなります。この条件になるのは、全長が短く、車幅の大きい(つまり回転軸がロール軸に対して大きな成す角になる)車輌で、しかも台車の回転角度が大きい、つまり急カーヴを曲がる車輌の場合と考えられます。これはちょうどナローのカブースなどではないでしょうか。このような車輌ではFはピッチングの影響を受けやすいと推察します。

 RTは、既に説明したとおり、軽量の小スケール車輌に簡単に組み込むのに向いていると思います。ボギー車の場合は、台車回転軸がロール以外の動きをしないように、何らかの形で拘束しないといけないでしょう。捩じりバネだけで輪軸を支持するには帯板の使用が有用と思われます。根本的には短編成に用いる二軸車に使用する簡易な方式だと思います。

 PTも前述のとおり、ピッチ剛性が弱いので全長が短い車輌が向いていると思います。あえてピッチングを弱くするのも、動きに面白味を与える上では良いかもしれません。

 最後に、これらの使い分け案を表1にまとめて掲載します。

表1 各等角逆捻り機構の使い分け案まとめ


 

名称

 

提案名

 

原理

 

動作

確実性


工作性(上)

調整性(下)

 

考察結果

ロンビックイコライザ
リンク式強制等角逆捻り全般)

リンクによる
強制ロール等角逆捻り



○〜△

工作が可能ならば全般的に良好

フカヒレイコライザ

上記を簡易化し、
バーサインを、
リンクの小さなガタで
巧妙に吸収



台車が大角度で回転する小型ボギー車には懸念有り

天秤棒イコライザ

ロール・トーション・バー等角捻り

バネ釣合による
ロール軸等角逆捻り


○〜△


小型二軸車などに容易に設置可

90度捻り天秤棒

ピッチ・トーション・バー等角捻り

上記のピッチ軸版



短尺小スケールの
二軸車等に有用



2017年11月19日

第5章 輪軸の弾性支持に関する考察

(8回連載の7回目)
 輪軸の弾性支持(要するにバネを利かせること)は、小型模型では【質量 バネ定数】の比率が本質的に実物と同値にできない上に、輪軸の変位が実物よりもはるかに大きいため、非常に難しい課題です。

 見掛けの動きだけを実物的に見せるのであれば、変位を最小限に抑える非弾性支持の等角逆捻りで良いと思いますが、ジョイント音や弾性的な動きに魅力を感じる様でしたら評価が全く異なると思います。ちょうど中間的ないわゆる「天秤棒イコライザ」、ロール・トーション・バー等角逆捻りは、ロールだけを弾性支持にしたものですので、ワークス
K氏の言うように「軸座バネ式の自由度を減じたもの」でしょう。こちらはイコライザ同様に変位を最小化可能であり、バネ長が長いため比較的大きなロール角度の変位に対応できるというメリットがあると思います。

 また、
HO程度の小型模型で輪軸を弾性支持にする場合、実物のバネを模した物をあきらめて、実物よりも細くて長いものでなければ、輪軸可動の効果を得ることは困難でしょう。その意味でも「天秤棒」のような長いバネは小型模型用には使いやすい構成です。例えば長いバネ2本をちょうどレイルと平行に床板下に這わせて、それで前後の輪軸を支持し、その2本のバネの中点で車体と結合するなどの応用もあると思います。



2017年11月17日

第4章 ロール軸の高さに関する考察

(8回連載の6回目)
 ロール軸高さの議論は、第1章で考察した通り、実車は車輌全体の図心軸を中心に捩じれますので、実車の近似的再現という意図であれば、回転中心は床上よりさらに上でも構わないと思います。ただし、模型としての機能性を考えますと、ワークスK氏の提唱される線路面と同一高さにロール軸を置きますと、車体の「レイル面に対する移動量」(地上座標系での車体変位)を最小化できます。(純粋な輪軸のロールのみなら重心高は変化なし=仕事しない)
 
 したがって、模型の線路に存在する大きな誤差に対しても、不自然に大きな車体の揺れを低減できると思います。また、コン氏が提唱されるロール軸を車軸高さ(輪軸のロール方向の図心)とした場合、車体と「輪軸との位置変化」(輪軸上に置いた座標系での車体変位)を最小にできます。なお別の視点から見ますと、ロール中心高さが連結器高さと大きく離れていると、連結運転で重牽引している際に曲線(特に登り勾配)で連結器からロール方向モーメント成分が大きく生じるので、ボディーが倒れやすくなる懸念があります。特に弾性支持の場合が気になるのですが、ロール・トーション・バー等角逆捻りでは床板近傍にロール軸(トーション・バーそのもの)があるので、連結器からのロール・モーメントが小さくなり問題は少ないでしょう。

 また逆説的に、ロール軸を高くするほど線路の誤差に対して車体が大きく変位するので、自由形などでは、あえてロール軸を高くして、フラフラ、ユラユラとユーモラスな走らせ方をさせることもできると思います。つまりロール軸高さは車輌に与えたい特性や工作性を考えて個々に判断する要素ではないでしょうか。



2017年11月15日

第3章「90度捻り天秤棒イコライザ」(ワークスK氏考案)についての考察

(8回連載の5回目)

図4
4 天秤棒90度逆捻りの概念図
 まず、「90度捻り天秤棒」の機構をワークスK氏がどのように意図されたかを考えます。記事を読みますと、ロール軸ではなくピッチ軸でトーション・バーを用いるという意図のようです。したがって、機構は図4のように考えられます。この図から、機構の名称についても、「ピッチ・トーション・バー等角逆捻り」で整合性が取れるかと思います。この機構は下段のようなイコライザ台車と等価です。さて、この機構は原理的には等角逆捻り効果があるのですが、長手方向に長い車体のピッチングをトーション・バーで支える構造であり、トーション・バー長も最大で車幅までと短いため、調整が難しいことが懸念されます。逆説的にいえば、ピッチング剛性を弱く作れるので、19世紀の馬車の車体を用いた客車のような模型の再現には良いかもしれません。小型の二軸車ならば比較的調整も容易ですし、柔かい動きを再現できると思います。なお、調整性能向上の案としては、ワークスK氏のブログでも示されていますように、イコライザ台車同様、支持バネを別途用意するのが良いのではないかと思います。


2017年11月13日

続 第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察

図3(8回連載の4回目)
 図
3に「天秤棒イコライザ」「フカヒレイコライザ」「ロンビックイコライザ」の3つの機構を概念図で示します。ここではトーション・バー(捩じり棒バネ)は模式的に弦巻バネで示しています。図上では▲が輪軸との支点、▽が車体と機構の接合点(ともに自由支持)として記述しています。「天秤棒イコライザ」にはリンク機構はなく、輪軸同士がトーション・バーでつながっていると考えられます。このトーション・バーが小林氏の言う「天秤棒」です。そして、この機構はトーション・バーの長さの二等分点にトーション・バーとロール方向に剛な支持点(トーション・バーの左右にある2つの)を設けて、この支持点でボディーのロールを拘束するものと考えられます。このトーション・バーが支持点前後で同じ捩じりバネ定数を持っていると仮定すれば、輪軸間のロール角度を二等分する点でボディーを支持しているので、等角逆捻り効果自体は持っていると考えられます。この効果は、ボルスタ下にコイルバネが入ったボギー車と同じ原理とみなせるでしょう。しかしながら、この構造は輪軸のロール角度とボディーのロール角の差分が「イコールになる」のは確かですが、軸重平準化の機構とは言い難いと思います。さらに、輪軸の捻じれが生じた状態では、トーション・バーの反作用のトルクを線路が受け持つため、左右の車輪の支持荷重(輪重)が異なってしまい、かえってイコールではなくなってしまいます。その様な意味で、イコライザと言うのは少々無理があるというのが率直な意見です。

しかしながら、見方を変えれば、前章の図2で示したように、実物も車輌のロールの捻じれで力学的な仕事が発生しているのです。その意味では実物の車体の弾性捻じれの近似と言う意味では、却ってこちらの方式の方が近いものかもしれません。

 さて、それでは、この力学的な特性を元にこんな名前を考えてみました。「ロール・トーション・バー等角逆捻り」です。この方式のメリットは何よりも単純な構造です。トーション・バーが捩じりだけを支持するように注意さえすれば、バネ長が長いので剛性の調整がルースでも作動します。また、トーション・バーにヨー方向の機能を持たせないために帯板を用いるのは簡単で良い方法だと思います。他にも、工夫次第でバネ特性を色々いじれるので、軸バネ独立懸架よりも簡単にバネ効果のある動きや走行音を工夫できると思います。ただし、ボディー全体のロール回転拘束をトーション・バーだけに頼っているので、ボディー重量が重いOスケールなどのラージスケールではボディーのふらつきを抑えるため、輪軸の捩じれを止めてしまうほど堅いトーション・バーにせざるを得ず、等角逆捻りの効果が得られないでしょう。


 なお、ダンピング性能については、軽い小スケール小型車輌模型の場合、ダンピングが強すぎるとバネが中性点まで戻ってこない懸念(工学的には内部応力が残留した状態)が考えられます。結局はボルスタと床板の摩擦程度でのダンピングが現実的かと思います。

 まとめますと、名称としての「天秤棒イコライザ」は力学的な整合性としては少々無理があると思われますので、ロール・トーション・バー等角逆捻り」という名称を提案します。また、用途としては、その簡単な工作性とバネ特性の調整のし易さが生かせるので、小スケール(HO 以下)の2軸車等で有用な方式だと思います。



dda40x at 11:13コメント(2) この記事をクリップ!

2017年11月11日

第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察

(8回連載の3回目)

 ロールに関する概念を整理したところで、
TMS 876号で小林氏が発表された「天秤棒イコライザ」について考察します。既にdda40xコン氏ゆうえん氏ワークスKらが十分考察されているので、今回は、名称と力学的性質を比較するという側面からのみ考察します。つまり、「天秤棒」と「イコライザ」の2つの言葉からアプローチします。


「天秤棒」は一般的に両端に作用する同一方向の
2つの荷重を受け、中央支持点でバランスをとるものと考えられます。TMS 876号の最初の写真1で指先に機構を載せている写真はまさに天秤棒です。しかしながら、車輌に組み込まれた時、この機構は天秤棒として作用しているとは言い難いと思います。理由としては、ボディーの支持点が輪軸直上のボルスタの2箇所とロール留めのネジ留め箇所の1点であるためです。少し譲歩して、ボディーを中央のネジ留め箇所の1点でボディーの荷重を支持していると仮定しますと、確かに天秤棒を上下逆転させた形です。ところが今度はボルスタと床板が接触してはいけないことになり、TMS記事での解説に矛盾します。したがって、力学的な意味では「天秤棒」という名称は少々無理があると思います。

次に、「イコライザ」という名称についてです。そのためにイコライザの一般的な定義を確認しておきましょう。イコライザとは「イコールにするもの」、すなわち平衡装置のことです。さて、このイコールとは何をイコールにするのでしょうか?一般的には軸重を平準化するものと推測されます。もちろん、常に軸重を平準化できるわけではないですが、基本的には目標とする軸重に近づけるリンク機構を示すものだと思います。その観点から、天秤棒イコライザを考えましょう。そのために「天秤棒イコライザ」の機構原理を整理して、イコライザとしての条件を満たしているかを確認していきます。
                      (この章続く)



2017年11月09日

続 第1章 等角逆捻り機構の考察 

(8回連載の2回目)
 三点支持イコライザや等角逆捻り機構は、この誤差だらけの線路に足廻りだけを追従させる機構です。特に等角逆捻り機構は、通常の三点支持よりも車輌の振る舞いが比較的「実感的」であるという所に特徴があると言えるでしょう。その振る舞いを図2の下段右側に示します。つまり、実車の車体の捩じれの様子を、足廻りの捩じれ角度の半分のロール方向回転で近似しているのです。例えるなら、切れ目のないフランスパン一本が、それ自体は捩じれることなく、線路の捩じれ角の半分だけロール軸周りで回転しているというイメージです。

ここでもう一つ余談です。ヨーロッパHO車輌等に見られるハイフランジ固定軸は「脱線防止」以外の機能を妥協したものと理解しています。その代りに全軸集電やスケールスピードに徹した駆動機構など別の側面から実感的な走行をカバーしているのだと思います。


 さて、ここからは少々踏み込み、ロール捩じれに関する力学的な仕事について、実車と模型を比較してみましょう。まず、模型の等角逆捻り機構について考えます。こちらは単なるロール方向の回転なので、バネを捩じる様な(弾性変形を伴う力学的な)仕事をしている訳ではないことが分かります。厳密には重心高さとロール中心が若干ずれているため重心変動による微小な仕事は発生していますが、本質ではないので無視します。等角逆捻り機構が本質的には仕事をしないことについては、
dda40x氏のブログにも記事があります。

 ところが、実車はボディー全体が弾性変形しているので、捩じりによる仕事が入っているのです。つまり、実車はボディー全体が非常に弱いトーション・バー(捩じり棒バネ)として機能しています。ただし、映画の話にも書きましたように、実物は大きく捩じれると壊れてしまうので、あくまで微小な捩じれ角度範囲での話です。



2017年11月07日

等角逆捻り機構の考察 

 等角逆捻り機構に対する考察を、T氏に寄稿して戴いた。8回に亘って連載する。

           目次
第1章 等角逆捻り機構の考察 (2回に分けて連載)
第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察 (2回に分けて連載)
第3章「90度捻り天秤棒イコライザ」(ワークスK氏考案)についての考察
第4章 ロール軸の高さに関する考察 
第5章 輪軸の弾性支持に関する考察
第6章 各種等角逆捻り機構の使い分け提案 



 dda40x氏へのコメントを機に、等角逆捻り機構に関する私見の発表の機会を与えて戴きました。僭越ながら、6テーマで記述します。なお、dda40x氏、コン氏、ワークスK氏、ゆうえんこうじ氏らの記事を拝見した上での考察ですので、重複等はお許しください。

第1章 等角逆捻り機構の考察 (基礎事項)

最初に等角逆捻り機構の考察に向けての基礎事項をまとめます。ほとんどの方には釈迦に説法でしょうから、図を見て「当たり前だ」と思われる方は、ここを読む必要はありません。

図1最初に、車体の回転および捩じれの座標軸を確認しておきます。図1の様に車体の前後方向(レールと平行)の回転軸をロール軸、左右方向(枕木と平行)をピッチ軸、鉛直方向(床板に垂直)をヨー軸と言います。等角逆捻り機構はロール軸に関する捩じりの議論であることは言うまでもないでしょう。

図2次に、実車と模型のロール運動に関する概念の違いを示します。図2は車輌が捩じれた線路上にある際に、実車と模型(等角逆捻り機構搭載)がどのような振る舞いをするかを模式的に描いています。下段左側の実車ではボディーのロール剛性が低い(柔かい)のでボディー全体が捩じれています。例えるなら、学校の物理実験室にあるウェーブマシンのすだれの個々の棒の上に、スライスしたフランスパンのような輪切りのボディー要素が載っているというイメージです。もちろん、実車は厳密には足回りにバネ装置他、線路の誤差をある程度緩和する装置を搭載してはいるのですが、それでも最終的にはボディーが捩じれを吸収するような設計になっているように思います。
 
 なお、余談ながら私のお気に入りのディズニーの実写映画
"The Great Locomotive Chase"(南北戦争で南軍列車を北軍がハイジャックした史実を元にした映画)の脱線シーンでは、築堤上で脱線した木造ボックスカーが捩じれながら崖下へ駆け下りていくのですが、最後は地面の捩じれに耐えられなくなって、屋根がカパッと外れて車体全体が崩れます。実車はそれほどロール方向の剛性が弱く、柔かいのです。

一方で、小型模型ではボディーのロール剛性が高い(堅い)ので、ボディーに捻じれを吸収させる機能は全く期待できません。それにも関わらず、小型模型には、実物よりも非常に大きな誤差(実物換算で数以上)がある線路の上を「脱線なく」、しかも「集電を伴って」、「実感的に」(カタカタせずスムースに)走らせることが求められます。この要求を満たすには、車体とは独立して足廻りを線路の誤差に追従させ、その足廻りと車体の変位差を吸収する積極的な機構(イコライザなど)が必要となるのです。
                       (この章続く)



2017年06月27日

続 3軸台車

 レイアウトの作業中に、車輛工作のことを考える。帰り際の1時間に工作をする。

Walthers Pullman truck プルマンの台車がたくさん必要だ。とりあえず Walthers のキットを組んだものに数輌分取り付けねばならない。良い性能のイコライザ付き台車がないので、改造して作らねばならない。

Modofied Walther's truck 造形の点では、 Walthers のダイキャスト製がなかなか良いが、抜けるべき孔が抜けていないので、文鎮のような感じである。まずそれを糸鋸で抜いてしまう。細かい糸鋸は詰まりやすいので、最大限に粗いものを使う。電動糸鋸の金工用が具合が良い。この写真は一部切り抜いた状態だ。

spring attached ザクザク切って、ヤスリを掛ける。そこに細いコイルバネを貼り付けると、可動式だと勘違いする人が出てくるほどだ。


 文鎮からは脱したが、中間軸をどうするかだ。よくあるのは、中間軸受を長穴にしてごまかす方法だが、走っているとき、車輪が踊るのが良く見えてしまい、みっともない。音も悪く、これは駄目だ。
 前後軸はイコライズするが、中間軸はバネで支えたい。側台枠がダイキャスト製なので、軸箱は動かせないのだ。

 なるべく簡単に解決したいので、内側軸受にして板バネで支えることにした。20年ほど前思い付いて、ある程度の部品は作ってあるのだ。Low-Dを開発しているときの試作車輪を用いたユニットを、いくつか持っている。それはボール・ベアリング入りである。キャノンボックスにバネをハンダ付けすればできあがりだ。

6-wheel truck 要するにイコライズしている2軸の中間にバネで圧着する中間軸を付けるのだ。この場合のバネの強さは事前に実験して決める。予定では、このプルマンの軸重は約200 gwだ。台車の質量が約170 gだから、バネだけで台車+30 gの分銅を支えなければならない。あとは自然に分配される。 
 このバネの負担力を先に計算するというのは、当たり前なのだが、意外と盲点であるそうだ。これを考えている人は少ないと思う。蒸気機関車の先従台車をバネ支持にしているときは、これを先に考えるべきなのだ。そうして、動輪がスリップするかどうかを計算し、補重量を決めるべきである。
 過去に完成させた機関車は、すべてそうやって決めて来た。大切なモータを焼いてはいけないからだ。


dda40x at 06:27コメント(0) この記事をクリップ!

2017年06月25日

3軸台車

 模型の3軸台車で実物通りに動く物は少ない。

 イコライズしてあれば、イコライザの支点は2:1の点を押えているはずだ。実物がそうなっているから、模型にも間違いはない。
 ところが、Sunset の子会社のGolden Gate Modelsの客車の台車は、不思議だ。バネ支点位置は良いのだが、イコライザと3つの軸箱が一体なのである。折れないから、何とかして切り離してみようと思った。しかし、切ったら最後、どうやって収拾を付けるかが問題で、まだ手をつけてない。イコライザは亜鉛ダイキャストで、細いがかなり硬い。曲がらないこともないので、重い客車が載っていれば、ある程度は撓んで、何とかすべての車輪が密着しているようだ。
 心皿位置がネジ留めの都合上、ずれていて、軸重が一定でない。脱線しやすいから、これは許せない。心皿位置を支える滑り子を取り付けて、回転中心はずれているが、荷重は中心に掛かるようにした。脱線は皆無になった。
 アメリカ人は、よくあんな状態で我慢しているものだ。軸重が一定でないと、様々な条件で浮き上がりやすく、ろくなことはない。

Ace's 6-wheel truck この台車はAceと云う会社が1965年頃売っていたもので、ダイキャストのフレイムとホワイトメタルの軸受からなる。ちゃんと sprung であるが、軸が入るところはハトメが入っていた。減りにくいつもりなのだろうが、どちらかというと給油が完全であれば、ホワイトメタルの方が摩擦が少ないはずである。実感的とは言い難いが、まあよくできている。
 いずれ、ロストワックスの軸箱にボールベアリングを入れたものに取り換える。

USH working spring truck これはUS Hobbies (KTM製造)が出していた細密構造のダイキャスト台車である。揺れ枕まで動く凝った作りだが、車輪が亜鉛鋳物で話にならない。スケールを間違えているような気もする。大きいのだ。1/45.2かもしれない。しかし、「これでも正しい」という人もいる。大きい台車もあったと言うのだ。真偽は分からぬ。
 Dennisはこれをもとにロストワックス鋳物を作った。鋳縮みで、ちょうど良い大きさになったそうだ。

 関係者の証言が得られたので発表する。この台車はUS Hobbiesの発注でKTMが作ったが、その時渡されたサンプルが Auel 製品であった。この通りに作れと言われて作ったが、そのスケールが17/64インチスケールであったことに、双方が気付かなかった。それで一回きりの製造で打ち切られた。 Jan.30,'19 

dda40x at 06:25コメント(8) この記事をクリップ!

2017年05月10日

6-wheel trucks

6-wheel truck UPの流線形特急列車の荷物車、郵便車は重いので3軸台車が使われている。その製品を、アマチュアが作って売っていた。20年ほど前に見たのは、イコライズはするものの、構造をわかっていない人が作っていたので全く良くなく、一つ入手したがさらに欲しいとは思わなかった。

 これはテキサスのDennisが作ったもので、なかなか良い形をしている。構造を理解している人が簡略化しているからだ。既製品の2軸台車を切り継ぎ、新製した部品と組合せている。ハンダが多そうに見えるが、実はこれくらいがちょうど良く、鋳物のすその部分が表面張力でうまく表現できる。大きなコテで、多めのハンダを付けた。
 ここに部品の継ぎ目が見えると気分が悪い。そういう模型をよく見る。
 バネはぴったりのものがないので、間に合わせである。いずれ、旋盤で線を巻いて作る。適当な長さに切って、ベルトサンダで端面を落とせばできあがりだ。

 ブラスの線でも、巻けば加工硬化してちょうど良い硬さになり、へたらない。

 韓国製はわざわざ揺れ枕を作って、それがうまく作動しない。模型では揺れ枕はそれほど効果がない。人間が乗っていないので、効果があってもなくても一緒である。すなわち無くて構わない。

 当鉄道には3軸台車付きの車輌が3輌ある。どれもこれも重く、2kg近くあるから、ボールベアリングを付けている。レイルの継ぎ目の音が良い。


2016年12月27日

コメントへの反応

 先回の記事に対し初心者氏から戴いたコメントには反応が多く、直接の投稿、メイルを沢山戴いている。
一言で言えば、この方は文字通りの初心者で、ものを作った経験が乏しく、観察も未熟と推察する。

 戴いたコメントの中で、工学のエキスパートであるT氏からの文章がすべてを言い表しているように思うので、紹介しよう。コメントとしては量が多いので、許可を得て本文に掲載する。下線は筆者が追加した。

初心者氏のおっしゃる「たわまないべニア路盤」が実物よりずっと強固であることはその通りだと思います。
また、車輌も脱線や衝突をすれば簡単に壊れる実車に比べて模型は非常に丈夫です。
そういった意味では、模型は実物以上に「しっかり」「堅く」できていますので、実物が採用している
構造部品を壊さないための」イコライザーは小型模型には必要ないでしょう。
一方で、今回話題の模型独特の等角逆捻り機構は、むしろ模型の路盤や車輌の「丈夫さ」「堅さ」を和らげて、模型に実物に近い振る舞いを模型に与える機構だと理解しています
実物は「フニャフニャ」で重いので多少の線路誤差にも車体自体の変形で追従しますし、線路も台車が通過のたびに目で見えるほど沈みます。 

模型の場合は、実物より「ガチガチ」に堅い上に軽いので、線路の段差やねじれが線路の誤差のまま、モロに車体が躍ってしまいます。
つまりピョンピョン、カタカタと動いてしまい、いかにも「模型チック」に見えてしまいます。
しかも、線路の誤差はコン氏がおっしゃるように、実物換算で数センチ近くに相当するため、模型はより一層ピョンピョン、カタカタ跳ねます。(しかも、車体が堅いので、段差に載っていない側の(反対側の)車輪を引っ張り上げてしまい、車輪が浮くこともしばしばです)
ここで、等角逆捻り機構を搭載しますと、線路誤差に対して車体は機構によって、前後の台車で「無理やり」半分づつ分けて追従させるように振舞います。
これによる車輌の振舞いは、実物の様な「フニャフニャ」までには達しないものの、段差通過時は、一つ目の台車が通過するときに、まず
車体が段差の半分傾き、次の台車が通過するとまた半分傾くため擬似的に車体がフニャフニャな「様に」見せることができるのだと思います。 
ちょうど、アニメーションの駒数を増やすイメージではないでしょうか?
また、この追従構造はコンさんのおっしゃる通り集電面で有利です。普通の三点支持と比べて等角逆捻りは変位と支持質量が半分づつなので一層追従性も良いはずです。
 
大きな段差を一輪車で越えるより、半分ずつの2段を自転車で越える方がサドルの動きは小さいですよね。 
集電が良くなれば模型はスムースに走るので一層実物らしい走りに近づきます。 
従って、これらの機構は模型に「実物に似せた」振舞いを「見かけ上」与えるものではないでしょうか?



 全くその通りである。走る模型は実物を縮小したものではないのである。実物のみの体験、観察からはよく走る模型は生まれない。だからこそ、Low-D車輪をはじめとする、いくつかの工夫があるのだ。


dda40x at 12:27コメント(0) この記事をクリップ!

2016年12月25日

等角逆捻り機構の英語訳

 the O scale Resourceの1.2月号が出た。拙稿も掲載されている。編集者と会った時に、ぜひこれを載せたいと乞われたので、原稿を送った。
 問題はその英訳である。same angle opposite twist mechanism で、SAOTでどうかという話もあったが、northerns484氏が、symmetricalという言葉を薦めて下さった。symmetrical twisting か symmetrical tilting のどちらがよいか編集者に聞いてみた。多少の時間が掛かったが、結局後者に決まった。今後これで行こうと思う。

等角逆ひねりe3 今回の投稿で最も大切な部分はこの図である。等角逆捻り機構の意味が分かるようにした。鉛筆でスケッチして northerns484氏に送り、3次元の作図をして戴いた。視点を上下して、最も効果的な角度で表した。

 ロンビックもフカヒレも結局はこの動作(あるいは疑似動作)をさせているわけで、それさえ理解できれば、細かい理屈はどうでもよくなる。

 動画が要るというので、慌てて撮った。時間がなく、一回きりの撮影である。台本も作らず、実にいい加減な動画撮影であったのは反省している。いずれ撮り直したい。
 グネグネ線路を走ってくる様子は、大変気に入ったようで、素晴らしいと言っていた。

 あといくつかのネタで編集サイドからの要望があり、いずれ発表される。 

2016年12月21日

類似の機関車

 伊藤 剛氏保管の図面コピィを探すと、類似機種が見つかった。

DEKI400 名鉄 デキ400 これはイコライザ・ピンが1本である。二つの台車はリンクで結ばれ、バネで押されている。車体には引張力が掛からない。モータは75 kWが4つで400馬力というわけだ。牽引時は台車はどちらも同じ方向に傾こうとするが、リンクで十分持つのだろう。このモータは電車用で、車体内に電動送風機はない。すなわち、走らないとモータは冷えないから、重い列車は引き出せない。
 デキ400の図面を見てみよう。横ずれを防ぐリンクがあるが、押し引きは押金と引張りリンクだ。バネで突っ張っている。他には何もない。
 台車の力学的中心を結ぶ線分の近くにリンクと押金がある。 

DEKI 600 この写真を見ると、台車は後ろに少し傾いている。これは許容範囲であろう。この程度の出力ならイコライザ・ピンが1本でもなんとか行ける、ということなのだろう。写真は土橋和雄氏撮影。


ED14 ED14は900馬力ほどもあるので、台車が転ぶのを防ぐ積極的な策を講じたのだろう。ピンが二本であると転びにくい理屈は、極端な例を出せばこういうことだろう。平面に細い棒を立てると転びやすい。その棒の下に小さくてよいから板を釘で打てば、多少は安定して立つ。台車のピン孔はやや縦長になっている筈だ。 こうなるとイコライザ(equalizer)という意味は薄れる。「掛かる力を分散させている装置」というわけで、バネ折れを防ぐことには貢献している。
 このような方策を施した機関車は、国内にいくつかあると、そのDFには書いてある。

2016年12月17日

イコライザ付きの台車

 二つの板バネ間にイコライザが付いた二軸台車は、不安定である。台車枠が前後に転んでしまう。
 このことはずいぶん前にこのブログで理屈を説明した。 模型でこれを作ると連結器が垂れてしまったり、上を向いたりする。また、集電ブラシは可動範囲外になり、ショートする。

 高校生の時に作ったイコライザ付き自由形BB電機は、台車間に転び止めのオスメス嵌め合いを付けたりしたが、今一つ具合が悪かった。調子が悪かったので、片方で3点支持に作り替えたが、すでに譲ってしまい手元にはない。

 その後、時は経ち忘れていたが、こちらのブログに採り上げられた。ED14は、模型とするには好適な大きさであるから、皆さん御興味がおありなのだ。たくさんのコメントが投稿され、栗生氏がそのすべてをバッサリ切り捨てた形にはなっている。「〜大いなる謎(1),(2)」とあるので、いずれ(3)が発表され、正解が公表されるのだと思っていたが、まだその気配はないようだ。

 先日土橋和雄氏とお会いした時、その話が出た。氏が仰るには、
「誰も現物を見ていないのではないか。ED14の台車イコライザのピンは1本ではない。」
とのこと。
 その証拠に、と雑誌を示された。写真を目を凝らして見ると、何となくそんな感じだ。たくさんの写真を見るうちにその指摘が正しいことが分かった。近接した二本のピンがある。その抜け留めのピン(コッタ)も二本ある。4点支持だ。傾こうとすると抵抗する。
台車のセンタピンの心皿を広くして転び止めとするのは、いろいろな点で得策ではない。
 この機関車を設計した人達には敬意を表したい。

2016年08月23日

Atlantic

Greenfield Village (32) このアトランティック 4-4-2は出発時の牽引力を一時的に増すための装置を持っている。文字通り、traction increaser と呼ぶ。従台車のイコライザ中心穴が上下に長い。長穴の上は親指が入るくらいの隙間がある。

Greenfield Village (4) 下から覗くと、蒸気シリンダが2本下向きに取り付けられている。テコでイコライザの動輪に近いところのピンを押し下げるようになっている。そうすると第二動輪の軸重が3割くらい増す。機関車は後ろが持ち上がり、妙な姿勢になるが、短時間のことである。加速する間はこの姿勢を保つ。機関士の乗り心地は良くないだろう。これは以前理屈を図示したので、覚えていらっしゃる方もあるだろう。筆者は、理屈は承知していたが、現物を見るのは初めてだった。図面はp.202にある。

 機関庫内にいたcurator(日本語では学芸員)に、この装置のことを聞いてみた。多分知らないだろうと思っていたのだが、実に正確にその機能を説明してくれた。その瞬間に機関車の姿勢が変わることまで知っていた。さすがはヘンリィ・フォード博物館である。

 博物館はキュレイタで持っている。能力のないキュレイタしかいない博物館は、「仏作って魂入れず」である。日本の博物館には、不合格点しか付けられないものがかなりある。

dda40x at 08:23コメント(2) この記事をクリップ!

2016年02月05日

続 条件設定

 起こりうることを想定して設計するのは当然だが、起こりえないことを考えて、これではだめだというのは、いわゆる杞憂である。

 以前、等角逆捻り機構で角棒の外を角パイプで滑らせる機構を試作し、非常にうまくいったと考えている。ところが、「スライダー(滑り子)はダメだ。あれでは磨り減る。」とあるウェブサイトに書いてあるのを見て、噴き出してしまった。

 確かに、重負荷で一日中動く機械とか、埃の多い環境で作動させれば磨り減るだろうし、その更新には費用が掛かるだろう。この等角逆捻り機構は一月に数回動かして説明するだけだ。しかも荷重はほとんど掛かっていない。今回建設中のレイアウトの片隅に、例のぐにゃぐにゃ線路を1 m ほど敷いてみようと思っている。その程度の話だ。そんなに磨り減るわけがない。おそらく孫の代まで確実に作動するだろう。

 教科書に書いてあることを額面通り受け取る人がいる。しかし物事には軽重がある。考える必要もないほど小さなこともあるし、必ず考えて対処せねばならない重大なこともある。その区別を付けられることが、設計の巧拙を生み出す。

 それよりも摺動面と言えば、客車の台車のセンタベアラ、サイドベアラのほうが磨り減るだろう。プルマンは重いので切実な問題だ。そのことに言及した例を見たことがない。筆者はモリブデングリスを塗ってある。一部の極端に重いテンダにはスラストベアリングが入れてある。また、件の等角逆捻り機構にはグラファイト粉を潤滑材として擦り付けてある。
  
 当鉄道では起こりうる軽衝突、脱線に対して様々な手法で備えがしてある。 そう簡単には破損しないはずだ。当然それらは想定の範囲内であるからだ。

2015年10月28日

可動橋の懸架装置

turntable equalizing 可動橋の両端は4輪台車で受ける。もちろんそれらは円周の接線方向の車輪を持つ。すべての車輪が異なる方向を向いているので、作るのは大変だ。作図して角度を割り出し、フライス盤で削り出す必要がある。斜めに保持する万力を使えば簡単にできる。車輪の嵌まる台車は、大きなブロックから積み重ねた形を削り出して、それを四等分するのが楽かもしれない。

 地下に集電装置を持って行けば、ボールベアリングをそのまま車輪として使える。ボールベアリングに通電するとろくなことはないのだ。荷重は4 kgw ほどかかる瞬間がある。レイルのギャップが少なければ衝撃荷重も少ないだろう。ここに普通の摩擦式の軸受を使うと、抵抗が大きく、動きが渋い。即ち慣性のある動きはなくなる。

 可動橋は楽に捻られるように作る。そうしないと4点支持だから浮いてしまう。中心の回転軸も荷重を受け、中心位置を保持する。

 最近立て続けに、いろいろな分野の専門家がレイアウト見学に来てくれて、多くの助言を下さる。ありがたいことである。彼らは模型人ではないのだが、面白がっていろいろなことを聞く。
 平坦線に置いてある貨車をそっと押して、遠くまで転がるのが意外らしい。工夫を話すと、感心している。それと、博物館の運営に関する情報も助かる。

「よく脱線するのか?」と聞かれた。
「いや一日中走らせていても、脱線はないよ。」と言うと、
「それが大事だ。ゆっくりと実物のように走ったら、きっと感動するよ。」

2015年03月13日

Clinic

 今年のクリニックは2コマ用意するからと言われていたのだが、講演希望者が多かったらしく、「1コマでやってくれ。」ということになった。二つの内容を1時間でやるのだから、中途半端ではある。
 どういうわけか、前評判が高く、何人かがテーブルに来て、「今日の話は一昨年と同じか、進歩があるか。」と聞く。
「もちろん進歩はあるよ。」と言うと、来てくれた。
 人数は10人ほどであったが、皆熱心だ。
 Low-D車輪は、会場ではサンプルとして何個か売れただけであったが、そのあとで電話があって、100個単位で売れて行った。後で連絡を貰うと、「友達に自慢している。」とか、「Oゲージの未来を切り開いてくれた。」という賛辞が寄せられた。
 例の80輌以上牽く動画と、押してやると一巡り半する動画を皆喜んで見ている。潜在的には、皆長い列車を牽きたい気持ちがあるのだ。それと、たまたま今は円安で、買いやすいことも大きい。

等角逆捻り機構試験線路 そのあとで、等角逆捻り機構 のサンプルは、パンタグラフ式だけ持って行った。これは理論的に、全く突っ込まれる心配がないからだ。ロンビックは2軸車だと面白いのだが、アメリカには二軸車はほとんどない。


SATR Mechanism and Alf Modine 今回はぐにゃぐにゃの線路を作って持っていた。これが大人気で、テーブルの上に置いておくと、友達を連れてきてゴロゴロと転がす。シカゴでは見せたが、カリフォルニアには初めて持っていったのだ。
 皆、引込み線のぐにゃぐにゃ線路を見た記憶があるので、レイアウトの片隅でやりたいのだ。

 これを作ってくれという申し出もあったが、同じ貨車を用意するのが面倒で、断った。この貨車は、Athearnのブラス製外皮だけを使って作った。製品では、木製箱組みにブラスを貼るのだが、これは骨をブラスで作って、それに貼りつけた。正直なところ、スクラッチビルトに近い。ブラス製既製品は床を外しても妙な所に骨があって、ヤジロべエが入りにくい。骨を切ると、それを補強せねばならず、めんどうだ。



dda40x at 03:13コメント(0) この記事をクリップ!

2015年03月11日

またまたイコライザかバネか

 複数のウェブサイトで、例の天秤棒の論争がまだ続いている。関係がないコメントもあって、余計に混乱している。

 友人からいくつかメイルを貰っているが、どれもみな辟易していると伝えてきている。ゆうえん氏のところに筆者の思うところを書いておいた。要するに、すでに言葉遊びの領域に入ってしまっていると、筆者は感じている。全てを理解している人には、これがイコライザを含んでいることはわかる。しかしそれを表題に入れてはいけないというのが筆者の投稿の趣旨である。

 筆者は職業柄、定義というものにはこだわる。定義は、ある概念の中の特定の集合(英語ではset(s) と云う)を指すように作られるものである。
setこの図を見て戴きたい。「エタノール」という答を正解とするときに、「アルコール」では集合が大きすぎる。「有機化合物」では、何をか言わんや、である。ところが今回の論争は、「有機化合物で良い」と言うのと同等である。

 筆者がテレビを見なくなって10年以上経つが、昔よく見た番組に「世界不思議発見」というのがあった。今もやっているのかどうかは知らない。それに板東英二とかいう元野球選手が出ていた。彼の答は非常に大きな集合で答えている場合が多く、いつもスーパーヒトシ君は没収されていた。彼は「当たってますやんか。」と、憤懣やるかた無しであったが、判定は覆らなかった。対する黒柳徹子の答は常に小さい集合で、完璧な答であった。
 このエピソードで、集合という概念はお分かり戴けたであろう。

KTM O gauge TR47 truck 昔、カツミが売っていたOゲージ用のTR47台車があり、「文鎮」というあだ名があった。それは彫りの浅いブラス鋳物をブリキ板でつないだものだ。このブリキ板で作られた枕梁は捻り易く、線路の不整に追随する能力があり、脱線しにくかった。現物が手元にないので写真を撮れないと思っていた矢先に、ヤフー・オークションでちょうど売りに出ていたので、写真を拝借した。これはイコライズされているとは言い難いが、軽く捻られるから、軸重変化はかなり少ない。さらにこの台車を二つ付けて、バネを介して締めたボギィ車全体は、イコライズされているとは言わないのが賢明だ。

 最近は天秤棒をイコライザだと断定する記事もある。弾性を持ったイコライザを使うと良いとか書いてあって、何もかも混在させている。論議のルールを決めてから意見を出すべきだ。

dda40x at 03:11コメント(0) この記事をクリップ!

2015年03月05日

イコライザとバネ

 今回の天秤棒バネによる方法はイコライザではない。何が違うのかと云うと、イコライザは動作によって仕事をしないはずなのである。仕事をしてエネルギィが蓄えられると、それを放出する方向に動こうとする。場合によってはそれを復元力とも言う。それを積極的に利用することもあるが、イコライジングによる懸架装置とは無縁のものである。

 ここで言う仕事とは、物理学で言う仕事である。要するに線路上の凸部を乗り越えたとき、その変位によって、エネルギィが蓄えられてしまうとイコライザではない。
 仕事の例として、ゼンマイ時計を巻くと云う操作を考えて戴きたい。巻かれたゼンマイは、いずれほどけて時計の針を廻す仕事をする。エネルギィが蓄えられている。 
 今回の天秤棒バネは、線路上の突起によって一輪が持ち上げられると、重心が1/4持ち上げられ、位置エネルギィが増大する以外に、バネがねじられてエネルギィが蓄えられる。いずれそのエネルギィは放出されることになる。

 次に鳩時計の錘を引っ張り上げる操作を考える。重りに位置エネルギーが蓄えられ、針を廻す仕事をする。今野氏の作例では、バネはないが、イコライザ自身が厚板製なので、重くて垂れ下ろうとする方向に行きやすい。その逆方向に捻るのは、重力場の中ではやや重さを感じる。ボルスタ付近の支点もややずれているようで、捻る方向によって、車体が微妙に上下する。作図をすると、支点位置はどこに来るべきか、すぐ分かる。
 すなわち、台車の捻りで、エネルギィが蓄えられたり、放出されたりする。こういうのは、本当はイコライザとは言い難い。バネ等で、引っ張り上げて、重力の影響をキャンセルすべきであろう。brass_solder氏はその重力による影響を打ち消すバネをG-キャンセラと名付けられた。この作例には全ての要素が盛り込まれている。

 
 分かってやっていたことのなのだが、筆者の作例で「仕事をしてしまう」事を看破されてしまった。多分誰も気が付かないだろうと思っていたのだが、目敏い人がいらっしゃった。
 この作例を作るときに、バネを極端に弱くしても”脱線”しないようにした。中央に来ると最も安定化するようにしたので、それから外れる方向に行くと、多少の仕事をすることになる。バネが弱いので、ほとんど無視しうる程度ではある。

 今回TMSに載った記事と同等のアイデアが発表された記事は、すでにいくつかある。
 筆者がいくつか見た中ではこの案が一番賢明である。作り易く、単純明快である。2月26日の記事にある。小池令之氏はアイデアが豊富で手が早い。工作は伊藤剛氏の作風を感じる。  

2014年08月06日

吉岡精一氏の死去

吉岡精一氏近影 筆者撮影 吉岡精一氏が一昨日お亡くなりになったと、御家族から連絡を受けた。大正15年1月1日生まれであるから、88歳であった。写真は本年5月筆者撮影。

 吉岡氏とお知り合いになれたのは1983年であるから、もう30年以上も指導戴いたことになる。本当はもっと早く、お会いできたのであるが、TMSが接触を意図的に妨害したので3年遅れとなった。それが分かったときにはお互いに憤慨した。
 何度か泊めて戴いたことがあり、拙宅にも何回か逗留された。

 吉岡精一氏は、イコライザの研究者として名を知られている。古今東西の機関車のイコライザを徹底的に調べて、その理論を読み解き、数学的な検討を加えて冊子にされた。内野日出男氏と共著の形になっているが、実際は吉岡氏が大半を書かれた。

 氏は文章を書くのが大変お上手で、筆者の保管している書簡はB5の便箋で高さ1m近くにもなる。どの手紙にも精緻な図と数式がぎっしりで、毎回、手紙を戴くたびに、白紙に式を写して検算をするのだが、間違っていたことは一回もない。

 筆者のイコライジングの記事は吉岡氏の書かれたものを翻案して、数式を使わず直感的理解できるように表したものである。クロス・イコライジングの説明は、「良く書けている」とお褒めに与った。

 ウォーム歯車の効率についても、精緻な計算をされ、結果として筆者の採用した仕様が最高値を示すことを証明された。その時のお言葉には驚いた。
「偶然か、それとも計算の結果か?」
「一応計算しましたが、コンピュータを使ったわけではないので、極大値かどうかは分かりませんが、かなり良いところにあるという自信はありました。」
「運がいい奴だ。」

 吉岡氏は栃木県大田原市に在住で、食品会社を経営されていた。父君の開拓された畑にトウガラシを栽培し、その精製にかけては日本一の技術を持っていた。現在でも日本の香辛料の大半が氏の会社の製品である。カレーなどの加工食品にも広く用いられている。

 正直なところ、初めてお会いした時、大学の物理の先生だと思っていた。
「いや、これは趣味でね、社長室で暇な時、数式を弄っていると時間が経つのを忘れるよ。」
 とても趣味の範囲とは言えないレベルの考察を加えて、クラブ員の知的レベル向上に貢献された。 

dda40x at 00:00コメント(4) この記事をクリップ!

2013年09月05日

続々々 「等角逆捻り機構の工夫」

片持ち台車 筆者には縁がないが、2軸車ならば片持ちロンビックの製作が最も楽であろう。支持点3点の高さが多少違っても、不具合は全く生じない。
 もちろん片方の軸に、押す引く両方の力が掛かって、その軸に対する依存度が増す。それを心配される方もいらっしゃるが、走らせてみて不具合を感じるほどでもない。

3 samples 23 samples 2台車の場合、作動が一番確実で、作るときに難しい手加減が不要なのは、第二の作例のパンタグラフ式である。見掛け上難しそうに感じるが、実際は一番楽に作れる。主要部分のスライド式の滑り込みの角棒と、リンク、関接ピンさえあれば、1台1時間くらいでできるはずだ。
 どこかの模型店が簡易キットを売り出せば、きっと売れるであろう。残念ながら、筆者はHOの知識が無く、標準となる寸法を知らない。どなたかHOの達人が、汎用性のある寸法を割り出されると良い。前にも述べたが、このメカニズムは車体の中心にある必要はない。車端に置けば、車室内部の造作を完璧に作ることが可能だ

 第三の作例は簡単そうに見えるが、バネの固さと長さが意外と難しい。最適値を見つけ出すのに苦労されるはずだ。しかし、一度その最適値を得れば、工作は楽かもしれない。

 2台車の車輌ではさほどの利点は感じないかもしれないが、2軸車では等角逆捻り機構の利点は大きい。集電が飛躍的に良くなるのである。
 
 筆者の鉄道では、これで貨車3輌が完成したので、レイアウトの片隅のぐにゃぐにゃ線路を走らせてみたい。その前にそれに対応する機関車も作らねばならない。

 クリニックの最後に正しい鉄道模型という言葉を出した。聴衆の中には「えっ」という顔をされた方もいらっしゃったが、これは大切なことである。模型を見る人の中には、たとえ趣味者でなくても、その道の専門家が居るかもしれない。
その方が、「なんだ、これは…」と感じてしまうような模型ではいけない。
「さすがだね。」という言葉が出るような模型を目指したい。これは、この趣味の社会的な地位を向上させる大きなポイントである。
 このような工夫をすることに冷ややかな態度を示す人もいるが、それはこの模型趣味の価値を下げることになるのだ。「貴方の趣味はその程度のものですか?」と言われて、嬉しい人はいないはずだ。

dda40x at 09:05コメント(0) この記事をクリップ!

2013年09月03日

続々 「等角逆捻り機構の工夫」

図1 この写真で、大体の見当が付くと思う。曲がったバネはリン青銅の薄板で、前後同時に曲げて、弾力を揃えてある。硬いウレタンゴムのブロック上で尖ったセンタ・ポンチで押して、凹みを付けた。
 台車は自由に傾斜できるブロックに取り付けられ、それから上方に伸びた腕を付けた。ピヴォットはブラスの棒で、旋盤で削った。

horizontal swing motion 水平振子が振れると、バーサインによって、図のようにアームの実質的な長さが短くなる。もし、凹みを付けたバネを外から押し付ける形にすると、アームが振れた時の方が、アームが中心にある時より安定になってしまう。すなわち動作が不安定になる。だからバネは、中心に向かう力を生み出すように配置しなければならない。
 この図の方式では、赤で示す状態になると復帰できなくなる可能性もある。だから、外から抱きかかえるようなバネを作り、それに尖ったピヴォットが嵌る凹みを付けたのだ。台車のボルスタの振れを伝える部分は、センタ・ピンの前後で支えるから、バネによる推力が与えられても軸重に変化は無い。この台車の振れを伝える腕が左右に振れると、多少のバーサインが生じて高さが変化するが、変位の角度が小さいので、それはバネの撓みで吸収されるはずだ。
 その点についてはN氏から質問があった。「まあ、問題ないでしょう。」と答えたが、それで間違いではないと思う。

図2 曲がった板バネは左右方向にはかなりの剛性を持つが、前後、上下には剛性が弱くなければならない
 板厚、曲げ半径を工夫して、一応満足できる形にした。たまに運搬中の衝撃でピヴォットから「脱線」するので、自動復帰できるように左右を曲げ、V溝にした。単純な形だが、意外と手間取った。

 この貨車はLobaughの薄板製で、車体は0.25 mmしかない。1/100インチである。衝突すると床板が原型を留めないほど変形するので、1 mm 板を貼り重ねて補強した。
 根本的解決のためには、他の2輌と同様、床板全体を厚板で新規作成すべきであった。いずれ作り直す予定だ。

dda40x at 09:03コメント(3) この記事をクリップ!

2013年09月01日

続 「等角逆捻り機構の工夫」

 「いわゆるロンビック・イコライザとして紹介されている事例を詳細にチェックすると、4つの支点が完全に同一の平面には存在していない場合が多くあり、根本原理の理解が望まれる。」と述べたところ、何人かの方ががっくりと肩を落とされた。申し訳ないが、それは事実なのである。
 ロンビック・イコライザは、製作が難しい。アメリカで講演した時も、「そんな難しいものが出来るか!」と言った人が居る。工作の達人ほど難しいことが分かるのだ。だから、片方を略した「片持ちロンビック」の人気が高かった。こちらの方の特許を取るべきだと言ったのもその人だ。あとで考えると、全くその通りであると思った。

 筆者の作例を順に披露した。

 第一の例は交差フカひれ型の改良案であった。これは部品の重さをキャンセル出来ていないから、動きの均等性にやや欠けるところがある。

 第二の例はパンタグラフ式である。これの動きは皆さんに触って戴いたが、どなたも滑らかな動きに驚かれた。
これはHO用に基本部品のキットを作れば採用が増えるものと思うが、いかがだろう。エッチングで簡単にできるはずだ。

 第三の例は、3月末には作ってあったのだが、誰にも見せてなかった。水平振子であって、伊藤 剛氏の発案に近いが、多少の工夫を施してある。
 これについては、この記事とコメントおよびこのコメントをご覧戴くと、大体の見当が付くだろう。実はこの時点で、逆バネ機構はすでに完成していたのであるが、動作が不完全で、3回ほど作り直している。完璧な動作が確認できたのは5月である。
 バーサインの吸収はなかなか難しい。

2013年08月30日

「等角逆捻り機構の工夫」

JAM 2013 トークショウに引き続いて、今野氏の旋盤を用いた動輪の作成の実演があった。小型旋盤を現場まで送って、それをセッティングするので、大変なご苦労だ。位置決めピンが一本飛んでしまったそうで、QCTPがクウィック・チェンジでなくなってしまうという障碍が起き、それを乗り越えての講演で、さぞかし大変であったろう。筆者だったら、止めてしまいそうな状況だった。紹介記事があるので、それを参照されたい。
 今野さん、本当にお疲れ様。

 そのあと、筆者の等角逆捻り機構の講演だ。何人かの方から、「タイトルの意味が分かりにくい。」とお叱りを受けていた。現にグーグルでこの言葉を検索されて、当ブログに来訪された方が数十人いらっしゃる。それらの方は、「予習」を済まされてのご参加であるから、さほどの困難は無かったものと推察する。問題は、「何だろう」と思っていらした方たちだ。きっとよく分からないままではなかったか、と冷や汗が出た。
 このようなメカニズム主体の分野は、ご自分でブラス板を切って穴空け、ヤスリがけ、ハンダ付けをしたことがない人には分かりにくいかもしれない。

 出席者は少なくて5人、多くても30人と踏んでいたのであるが、100人弱ほどいらして、後の方の方は見えなかったのではないかと、申し訳ない気持ちで一杯である。

 今回は、
1 三点支持の性能が、前後進で異なること。
2 ロンビック・イコライザが、非常に特殊な場合にのみ成り立つ「特殊解」であること。
3 ロンビック・イコライザの効果を得るには、他にも無数の解があること。
4 フカひれイコライザ ≠ ロンビック・イコライザであること。
5 ロンビック、フカひれは、等角逆捻り機構という概念に統一されること。
6 等角逆捻り機構は伊藤剛氏の命名で、根本的には二点支持であること。
7 「制御された二点支持」という概念を理解すると、様々な応用例があること。
8 いかなる線路にも追随するような懸架装置を採用することによって生じる利点。
についてお話しした。

 作例も3種用意して行った。それと二軸台車のボルスタが倒れないようにした事例も用意した。これは現場で箱を開いて見たら、ネジが抜け落ちていた。それを嵌めるのに大わらわで、結局のところ、講演中に浮津信一朗氏のお手を煩わせて、締めて戴いた。この場を借りて御礼申し上げる。今野氏のお手製のロンビック・イコライザの見本をお借りしていたので、それもお見せした。

2013年08月28日

JAM 2013 鉄道模型功労者表彰

 8月17日の早朝に車で東京に行った。大きなスーツケースを持って行ったので、事務局の方は、いったい何が入っているのかと興味を持たれたようだ。その中には、展示用の機関車とクリニックで紹介する貨車を詰め込んであった。

JAM 2013 12時より鉄道模型功労賞の授賞式があり、伊藤 剛氏、平野和幸氏、河田耕一氏、山本 豊氏の4人に賞状が手渡された。そのあとで、受賞者各氏によるお話を聞くことが出来た。(左から、河田、山本、平野、伊藤の各氏)


伊藤剛氏 モノレールを語る sJAM 2013 剛氏の代表作は上野公園のモノレールだそうで、もともとは都の交通局が上野から羽田まで結ぶ構想であった。1957年にその試験線が上野動物園にできて、新聞記者多数を乗せた試乗車が走り始めた。ところが故障して、動けなくなって宙吊りになった。大変なことになったと思ったが、そこは機転の利く剛氏のこと、すぐに床下の非常用スロープを出し、それを延長して地面まで降ろした。新聞記者たちはそれを伝って避難した。「こんな長い滑り台は初めてだ。」となかなかの評判で、悪口を書いた新聞は無かったそうだ。この日、剛氏の顔色が悪く心配したが、話し始めれば調子が戻ってほっとした。
 剛氏の8 mm列車”Sunbeam”號は展示されていたが、今一つ注目が集まる場所ではなく、残念だった。あとで、「知らなかった」と見られなかったことを悔やむ話はいくつか聞かれた。

 拙ブログで伊藤 剛氏の話題を出したすぐ後に、JAMの理事の方からの接触があり、「我が意を得たりとの思いです。」とのことであった。受賞はすぐ内定したが、発表までは他言できない。これもなかなか辛いものであったが、幸いにも外国に複数回行っていたので、模型関係者と会うことが無く、助かった。 
 拙ブログも微力ながらお役に立てたようで、嬉しい。

 平野氏のお話では、レイアウトは何度も作り直しをされたようで、シザース・クロッシングの信頼性が低くて困ったとのお話は興味深かった。既製品は精度が低く、完全に平面には仕上がっていないからだろう。(よそで筆者の聞いた話では、大きな油目ヤスリでレイル面全体を丹念に削って平面を出すと良いそうである。)

 河田氏の、レイアウトにはアート(絵心)が必要という話には感銘を受けた。

 山本氏は小型車輌の専門家で、筆者にはあまり縁の無い方であったが、エピソードは面白かった。熊延(ゆうえん)鉄道で蒸気動車が走る様を一回だけ直近で見たことがあるそうで、その起動時、スリップしたという話は興味深い。それほどのトルクがあったのだ。調べたが、この蒸気動車の記録は見つからない。

 このようなトークショウは、非常に興味深い。もっと大きな会場でたくさんの聴衆に聴かせて差し上げたい。

Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ