力学

2017年05月26日

日本の蒸気機関車のブレーキ

 T氏から、さらにいろいろな機関車の調査結果を教えて戴いた。機種によっては、リーディングとトレーリングを混在させているらしい。 

 再検証した範囲では、以下の様だ。

・9600は前進で明らかにトレーリングである。
製造当時は最重量級の列車を牽いていたのだから、これは不思議である。
・8620とC56の第3動輪、C58の第2動輪は前進で明らかにトレーリングだ。いずれも軽量の中小型機なのでブレーキが強すぎると動輪が滑走しやすい可能性があるだろう。
・大型テンダー機のC51、C55、C57、C59〜C62、D51、D52は前抱きで前進リーディング(ただし、かなりニュートラルに近い)
C53は3シリンダの関係で軸距が独特なので、第1動輪だけ後ろ抱き、第3動輪は長いリンクで吊っているため、第3動輪だけ極端にリーディングだ。恣意的か、それとも単なるスペースの問題か?
・D50はかなりきわどいが、第4動輪だけはトレーリングに見える。

 蒸気機関車の動輪はすべて連結されているので、動輪群全体でブレーキ力確保という考え方かもしれない

 ともかく、前抱きはトレーリングというのが非常に浅い思考であったことは、反省している。


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2017年05月24日

EMD SD45

SD45 pingpong table SD45は1970年頃導入された、当時としては最大級の単エンジン機関車だ。V型20気筒ディーゼルエンジンを搭載し、ラジエータ面積を稼ぐために斜めに配置したデザインは刺激的であった。長大なフレーム一杯に、長いフッドが載っている。
 音は独特で、遠くからでも認識できた。非常に低い音というよりも空気振動があり、腹の皮が共振した。KTMはインポータの US Hobbies からの発注でこの機関車を製作・輸出した。祖父江製作所製ではない。構成は明らかにGP7、SD7とは異なる。非常に簡素な作りである。
 
 これは1980年代にアメリカで購入した。当然のように中身は外して売却し、3条ウォームを搭載、慣性モーメントを稼ぐために巨大なフライホイールを搭載した。モータ軸よりも1.3倍ほど増速している。これ以上の増速はコマの効果が出て危険である。これは実験上求めた値だ。
 我が家の地下レイアウトでは、最高速でpower off すると、慣性でエンドレス(約30 m)を一周してきた。 軸重は500 gwである。運転は楽しい。

 実物はしばらく見ないと思ったら、キャブ上に卓球台みたいなものを載せて復帰した。しかも機番が1から始まっている。実物の機番はその時々の空き番号を付けるので、タービンが引退した後の番号を付けたのだ。実物の写真があるので、それを見て改造した。この機関車は”1”になる予定だ。
 屋根の上の”pingpong table”は無線による列車の総括制御のアンテナであった。

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2017年05月06日

続 ブレーキの設定 

 T氏から興味深い文章を送って戴いた。イギリスの蒸気機関車を設計する手法について述べた本のようだ。”How steam locomotives really work?”  という題の本であるそうだ
 

 servo brake という言葉が出ている。すなわち倍力装置のことである。要するにリーディングにするということだ。
 日本の文献には、今のところこの記述が見つかっていないという。日本型蒸気機関車が前抱きブレーキにしたのは、後ろ抱きにするとブレーキ・梃子(てこ)が圧縮荷重を受け、振動することを嫌ったためのようだ。アメリカ型の近代機では、ブレーキ・アームは極端に太く、圧縮に十分耐えるようになっている。

 ヨーロッパでは、前後進でブレーキ力が変化しないような設計を推奨しているようだ。タイヤが減ると、どうしてもどちらかに傾いていくだろう。よく見ると、磨り減っていくと、リーディングでもトレーリングでもないニュートラルのところに行くようだ。そこで取り換えるのだろう。

 久し振りに、頭をよく使って結論を導き出せた。何か非常に爽やかな気持ちだ。チャンスを与えてくれたT氏には感謝する。


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2017年05月04日

ブレーキの設定

 よく考えてみれば、鉄道車輛にとってブレーキは生命にかかわる部分だから、細心の注意を払って設計されているはずだ。
 前に付いているからトレーリングだと信じ込んでしまったことは、恥ずかしい。物理的な考察をせずに、見かけだけで判断してしまったのだ。

self actuating brake 図を描けば、ぶら下がったブレーキと同じであることに気が付く。Aはリーディングであることは明白だ。B2はAと同じでリーディングである。ブレーキの腕には押す力が掛かる。B1は腕が引っ張られているだけの違いでこれもリーディングに相当する。物理で、「押すと引くは同じだ。向こうから見るかこちらから見るかだ。」と習ったのに、忘れてしまっている。この図ではB1とB2はつながっているように見えるが、別のものを考えている。

 またまたモップの絵を描くと右の図である。上を押すのと、下を引くのは結局は同じことだ。

 昨日から、いろいろな人と意見の交換をしていた。出てくる意見はどれも面白い。動輪が減るとどうなるかということを気にする人が複数いた。確かに接線が中心に近づくと支点を通るようになりかねない。おそらくその手前でタイヤを取り替えると思う。ブレーキ・シュウを取り替えても関係ない。ブレーキ支点を移動できれば良いのだが、そうなっているようには見えない。

 self-actuating (自己倍力装置)である前提で設計しているので、必要とされるブレーキ力を下回ることは許されない。おそらく、機関士はそういうことには極めて敏感だから、効きが悪ければすぐに報告されるだろう。特に高速で走る旅客用機関車にとっては、旅客の生命が掛かっているから、その整備は大切だ。

 昔はそのような伝承があったのだろうが、現在の数少ない保存機の場合は、「これはブレーキが効かないのではないか」とは、気が付かないだろう。タイヤの摩耗限界が、そのような基準で決められていたことも知らない世代に入ってしまったのではないかと危惧する。事故が起こらなければ良いが。

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2017年05月02日

日本の蒸気機関車のブレーキはリーディングである。

 先回の記事が出た直後に、表題に示す連絡を受けた。連絡してきたのは、工学のエキスパートのT氏である。(leadingと言うよりも、むしろself-actuatingと言うべきかもしれない。)
 T氏は、鉄道車輌よりももう少し大きなものの姿勢を制御する専門家である。
 

 そんな筈はないとも思ったが、彼の言うことが間違っていたことは、過去に一度もない。食事の時も上の空で、皿と箸でシミュレートした。彼の意見は正しいことが分かった。わざわざ、ブレーキを効かないようにするはずはない。

leading 結論は出たが、どうやって説明するかである。極端に簡略化した絵を描くとこうなる。それを平面上のモップにすると、下の絵になる。
 モップを塀の上に載せて、下から横に引っ張ると、モップは質量と重力加速度によって生じる摩擦力以上の摩擦力を生じる。喰い込む方向に力が掛かるのだ。エスカレータのベルトを拭くときにこういう装置を付けると、喰い込んで止まってしまうかもしれない。 

JNR C62 leading brake 実物の機関車の写真をじっくり見た。これはC62である 。確かに支点は接線より中心に近いところにあることが分かる。
 これで井上氏がよく効くとおっしゃった意味が、ようやく分かった。

 この件に関するコメントを沢山戴いているが、トレーリングであるという前提のご意見ばかりなので、掲載は控えている。ヨーロッパの機関車には、支点を接線上に持って行って前後進でブレーキ力の変動が起きないような設計にしたものがある。

 それにしても、T氏の眼力には恐れ入った。実はT氏からは、例の”天秤棒イコライザ”に関する解析も戴いているので、いずれそれも紹介したい。イコライザではないということである。

 追記: 添付のC62のブレーキの写真は、提供者のmon氏のご厚意で、圧縮前の、より鮮明な写真と差替えました。  

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2017年04月30日

leading or trailing

 自動車は前後進するので、リーディングだけだとブレーキ力が不足し、危ないことがある。
 最近は4輪ディスクが普通だが、40年ほど前までは乗用車もドラム式がかなりあった。前輪は2リーディング(二枚のブレーキ・シュウが両方ともリーディングになっている)であったが、後輪はリーディング・トレーリングであった。後退時にブレーキが効かないと事故を起こすからである。
 最近は、ディスク・ブレーキでもリーディングがあるらしい。英語の表現は、self actuating、self energizing などである。  
 
 
 バイクは前進しかしないので、2リーディングがふつうである。ところが、モトクロス用のバイクだけは、前輪にリーディング・トレーリングが採用されていた。逆に廻そうとする力が掛かる瞬間があるからだ。

 蒸気機関車は前進を旨としている。となると、ブレーキはリーディングが有利だ日本の機関車はトレーリングが多いのはなぜだろう。喰い込み過ぎて危ないのだろうか。
 アメリカの近代の機関車は、後ろから抱くリーディングがほとんどだ。この考察はK氏によるものだが、興味深い。

 井上豊氏は、
「列車のブレーキは大したことはないが、機関車のブレーキは良く効くんだ。カキッと止まるんだぜ。」とおっしゃった。バックの方がもっと効くという話は出なかった。そこを聞いておくべきであった。

追記 日本の機関車も、前から抱いているが、リーディングであると、指摘されました。次の記事を参照してください。

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2017年04月28日

集電ブラシ

 今野氏のブログでしばらく前に話題になった件である。

 ブラシをどう作るかである。接触させる部分の構造を、皆さんあまり考えていないように思う。コメントに少し書いたのだが、本論に入る前に、打ち切られたのでその続きを書くことにする。

leading and trailing ブラシの接触圧は回転方向で力の掛かり方が変化する。これもリーディングとトレーリングの考え方である。バイクに乗っていた人はこの言葉をすぐ理解するだろう。要するに、押すか、引きずるかである。左の図は二軸貨車のブレーキを模式的に描いたものである。
 回転方向によって、ブレーキ・シュウが食い込むか、それとも逃げて行くか、という差が出る。シュウをぶら下げている支点がどこにあるかで、加えた力で生じる摩擦力が変化する。深く考えると、シュウのどの部分を押すかによっても変わってくる。

leading & trailing 丸いものは考えにくいので、円周の中心を無限遠に持って行くと平面になる。掃除をするとき、モップを押す(1)のと、引く(2)のとでは力の掛かり方が数倍違うことがある。支点を下げて床と平行にすれば、押し引きでも全く変わらない。つまり、円周で言えば、支点を接線上に置く(3)ことである。様々な模型を見るが、そこに気を付けている模型はまず見ない。これを守らないと、前進は良いが、後退時にガリガリ音がすることがある(その逆もある)。

 大きな模型では集電ブラシを板で作り、その先にニッケルを貼る。接触点を増やすために先端を櫛状にする。この櫛状にする方法はEscapのコアレスモータに使われている。ニッケルがなぜよいかは決定的な答はないが、適度に硬いこと、融点がかなり高いことと、酸化被膜に多少の通電性があり、それが取れ易いことだろう。この知見はアメリカやヨーロッパ製の製品から来たものと思われる。
 筆者の父親は、「当然だ」と言っていた。何が当然だったのか聞いておくべきであったが、もう遅い。少なくともステンレスの酸化被膜は硬く取れにくい。
 最近は銀合金が使われるようだ。 

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2016年12月15日

続々々 鉄橋を組む

門構門構 2基 初めはへなへなであった板を次々に組んでいくと、突然素晴らしい剛性が生まれる。橋というものはそういうものであることは知っていたが、実際にそれが目の前で起こると驚く。橋本氏も、門構を組み付けた途端、堅くなったのでずいぶん感動された。

115_5060 橋は最小限の材料で、最大限の強度を出すように設計される。貨車も同じである。どうすれば強くなるかということを考えて、使用に供される。アメリカもこの時期は人件費が安かったのだろう。細かい部品を、これでもかと組み付けている。現代は大きな部材を簡単に組んでいる。鋼材の進歩や、熔接の技術が向上したことも大きい。
 この写真は、厚い鋼板を嵌めて、橋本氏に手で押さえて戴いた様子である。

115_5066 ハンダ付けが終わった橋は、水洗いして乾かす。見る間に薄い錆が出てくる。鋼板の表面には、極めて薄い酸化被膜ができている。即ち、不動態化している。そこに塩化物イオンが付くと、その不動態被膜に欠陥が生じ、水中で酸素によって酸化されてしまう。
 それを防ぐには、よく洗ったのち、すぐに水を取り除くことだ。タオルで拭いてから、空気を吹き付けると飛んでいくだろう。よく乾いた状態では、徐々に酸化被膜が生成し、また錆びにくくなる。もちろん窓は締め、外から飛来する塩、硫酸を排除することが必要だ。冬の石油ストーヴは非常に良くない。二酸化硫黄ができて、それが鉄の上で硫酸に変わるからだ。
 カーヴした線路を置いてみて、建築限界に引っ掛からないかを確認している。

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2015年03月11日

またまたイコライザかバネか

 複数のウェブサイトで、例の天秤棒の論争がまだ続いている。関係がないコメントもあって、余計に混乱している。

 友人からいくつかメイルを貰っているが、どれもみな辟易していると伝えてきている。ゆうえん氏のところに筆者の思うところを書いておいた。要するに、すでに言葉遊びの領域に入ってしまっていると、筆者は感じている。全てを理解している人には、これがイコライザを含んでいることはわかる。しかしそれを表題に入れてはいけないというのが筆者の投稿の趣旨である。

 筆者は職業柄、定義というものを解説することが多い。定義は、ある概念の中の特定の集合(英語ではset(s) と云う)を指すように作られる。
setこの図を見て戴きたい。「エタノール」という答を正解とするときに、「アルコール」では集合が大きすぎる。「有機化合物」では、何をか言わんや、である。ところが今回の論争は、「有機化合物で良い」と言うのと同等である。

 筆者がテレビを見なくなって10年以上経つが、昔よく見た番組に「世界不思議発見」というのがあった。今もやっているのかどうかは知らない。それに板東英二とかいう元野球選手が出ていた。彼の答は非常に大きな集合で答えている場合が多く、いつもスーパーヒトシ君は没収されていた。彼は「当たってますやんか。」と、憤懣やるかた無しであったが、判定は覆らなかった。対する黒柳徹子の答は常に小さい集合で、完璧な答であった。
 このエピソードで、集合という概念はお分かり戴けたであろう。

KTM O gauge TR47 truck 昔、カツミが売っていたOゲージ用のTR47台車があり、文鎮というあだ名があった。それはブラス鋳物をブリキ板でつないだものだ。このブリキ板で作られた枕梁は捻り易く、線路の不整に追随する能力があり、脱線しにくかった。現物がないので写真を撮れないと思っていた矢先に、ヤフー・オークションでちょうど売りに出ていたので、写真を拝借した。これは判定が難しい。しかしこの台車を二つ付けたボギィ車全体は、イコライズされているとは言わないのが賢明だ。



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2015年03月05日

イコライザとバネ

 今回の天秤棒バネによる方法はイコライザではない。何が違うのかと云うと、イコライザは動作によって仕事をしないはずなのである。仕事をしてエネルギィが蓄えられると、それを放出する方向に動こうとする。場合によってはそれを復元力とも言う。それを積極的に利用することもあるが、イコライジングによる懸架装置とは無縁のものである。

 ここで言う仕事とは、物理学で言う仕事である。要するに線路上の凸部を乗り越えたとき、その変位によって、エネルギィが蓄えられてしまうとイコライザではない。
 仕事の例として、ゼンマイ時計を巻くと云う操作を考えて戴きたい。巻かれたゼンマイは、いずれほどけて時計の針を廻す仕事をする。エネルギィが蓄えられている。 
 今回の天秤棒バネは、線路上の突起によって一輪が持ち上げられると、重心が1/4持ち上げられ、位置エネルギィが増大する以外に、バネがねじられてエネルギィが蓄えられる。いずれそのエネルギィは放出されることになる。

 次に鳩時計の錘を引っ張り上げる操作を考える。重りに位置エネルギーが蓄えられ、針を廻す仕事をする。今野氏の作例では、バネはないが、イコライザ自身が厚板製なので、重くて垂れ下ろうとする方向に行きやすい。その逆方向に捻るのは、重力場の中ではやや重さを感じる。ボルスタ付近の支点もややずれているようで、捻る方向によって、車体が微妙に上下する。作図をすると、支点位置はどこに来るべきか、すぐ分かる。
 すなわち、台車の捻りで、エネルギィが蓄えられたり、放出されたりする。こういうのは、本当はイコライザとは言い難い。バネ等で、引っ張り上げて、重力の影響をキャンセルすべきであろう。brass_solder氏はその重力による影響を打ち消すバネをG-キャンセラと名付けられた。この作例には全ての要素が盛り込まれている。

 
 分かってやっていたことのなのだが、筆者の作例で「仕事をしてしまう」事を看破されてしまった。多分誰も気が付かないだろうと思っていたのだが、目敏い人がいらっしゃった。
 この作例を作るときに、バネを極端に弱くしても”脱線”しないようにした。中央に来ると最も安定化するようにしたので、それから外れる方向に行くと、多少の仕事をすることになる。バネが弱いので、ほとんど無視しうる程度ではある。

 今回TMSに載った記事と同等のアイデアが発表された記事は、すでにいくつかある。
 筆者がいくつか見た中ではこの案が一番賢明である。作り易く、単純明快である。2月26日の記事にある。小池令之氏はアイデアが豊富で手が早い。工作は伊藤剛氏の作風を感じる。  

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2014年04月09日

鉄道の魅力

 鉄道の魅力は何だろう。それは慣性のある動きに尽きると思う。表現を変えれば摩擦の少なさである。押しただけでレイアウトを一周する慣性があれば、機関車には起動時だけエネルギィを与えると、あとはほとんど惰力で動く。

 尤も、機関車の動力伝達装置にはロスがあり、貨車だけのような動きをするわけでもない。曲線では多少の抵抗もあるし、勾配があれば、斜面を牽き上げるエネルギィを与えねばならない。

 
 しばらく前、あるHOの機関車をじっくりと観察する機会があった。よく牽くというご自慢の機関車であった。凄まじく重い。よく見ると、フレイムの隙間、キャブの天井その他、あらん限りの補重をしてある。さらにテンダの前半分に錘を載せ、機炭間のドロゥ・バァを介してテンダの重さが機関車に掛かるようになっている。
 ここまでは思いつくことを全てやったわけで、特別なことはない。

 走るところを見ると、いかにも苦しそうである。カプラを手で押さえると動輪が止まりそうになる。要するにモータの出力に対して、過分の補重をしてしまったということである。
 スリップしない機関車は壊れる。電流が大きければ燃え始めるであろう。このことに気付いていない人は多い。
 
 また、平坦線ではたくさん牽けるかも知れないが、勾配では牽けない可能性もある。自身の質量を持ち上げるエネルギィが大きいからだ。

 また、重い機関車には動軸にボールベアリングを入れるべきだ。そうでないと、発生したエネルギーのかなりの部分を、自身の重さによって軸受で熱に変えてしまう。

 牽かれる車輌を手で押して見て愕然とした。惰行しない。車軸は太く、注油してあるかどうかも怪しい。問題解決の順番が誤っている。まず第一に牽かれる車輌の改良を行うべきであった。軽く動く客貨車であれば、機関車にあのような補重など必要なかったのである。

 運転会に行くと、フル編成の急行列車をスリップしながら牽く機関車を見るが、それを寂しく思うのは筆者以外にほとんどいなかったような気がした。

 謹告 ブログのURLを変更した。今までのURLでも転送されるはずであるが、こちらを登録して下さると確実である。
      
http://dda40x.blog.jp/

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2013年02月10日

続々 ロンビック ・イコライザの幾何学

800px-Reliant_Robin_Green800px-Goliath-Dreirad_Pritsche 今回の講演では3点支持の不利な点を挙げた。 この緑の車はMr.Beanで良く出てきた。ひっくり返る場面も記憶にある。この車を写し、「これって安全ですか?」と聞くと「極めて危険だ。ひっくり返る。」と言う。イギリス人もいたので、より詳しく説明してもらった。"stupid car(馬鹿な車)”とまで言う。もう生産停止になったそうだ。次のオート三輪はドイツ製のようだ。日本の写真が見つからなかったのでこれを使用したが、国産車がカーヴでひっくり返ったのは見た覚えがある。

 しかし、三輪車が全て危ないかと言うとそうでもない。

800px-Messerschmitt_KabinenrollerMorgan_3-Wheeler_193Xこれらの写真を見せると場内は興奮した。「オッ、メッサーシュミットだ。かっこいい。」「モーガンじゃないか。凄い車だ。」と絶賛の嵐である。
「前一輪であると具合が悪くて、後が一輪だと問題ないのはなぜか。」と問うと、
カーヴで重心が三角からはみ出すからだ。ブレーキを掛けると余計にはみ出しやすいと言う。
「それならメッサーシュミットを高速でバックしながらステアリングを切り、ブレーキを掛けたらどうか。」と聞くと、「そりゃあ、ひっくり返るさ。」と言う。

 ここで鉄道車両を引き合いに出した。
「鉄道車輌はどちらにも高速で走るが、向きによって安定性が異なるとまずいよね。」
「そりゃそうだ。」
 そこで4輪カブースの話をしてくれる人がいた。三点支持にすると、走らせる向きによって脱線しやすいという証言だ。
 鉄道車輌は等方性(筆者の造語で、どちらにも同じ性質を持つこと。もともとは化学用語)を持たねばならない。
英語ではBi-Directionalと言うことにした。

「でも無理だよね。」という雰囲気が漂ったところで、ロンビック・イコライザの登場である。幾何学的な証明をして、現物を紹介すると、場内に衝撃が伝わった。
 作るのがとても面倒であるから、と片持ち式の台車を見せると、あまりよくわからない様子である。菱形を描いてやるとよくわかったようだ。見えない菱形が見えたのだ。これは作り易くて良いと評判だ。
「ひとつ無くしても良いのか!考えた奴は天才だ。」

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2012年02月25日

続 不思議な工作記事 

台枠の切欠き フライスで台車枠を切り出す記事があった。エンドミルで四角に切り取っておしまいである。
 ほとんどの人には気が付きにくいことだが(もちろんこの著者も気が付いていない)、台車枠の切り込みは四角ではない。必ず丸くえぐってある部分がある。これは、応力の集中を避けてクラックを生じさせない工夫である。

応力の集中「応力の集中」とは、次のようなことである。 例えば紙テープを引っ張って切れる時の力を測定する。そのテープの二倍幅の物を用意し、半分までハサミで切れ目を入れる。先ほどの力を掛けると簡単に切れる。おそらく二割程度の力で切れるであろう。角があるとまずいのである。粘着テープを切るカッタがギザギザなのは、これを利用しているのだ。
 切れ込み部分を半径の大きな円にすれば、最初の実験とあまり変わらぬ値になるであろう。

 手法はもちろんであるが、製作記事にはこのような解説があることが望ましい。軸箱守も爪状になって強度部材として存在していることも触れるべきであろう。
 
 単発記事ではなく連載で書く人は、それなりに勉強した人であってほしい。そうでないとこの趣味の世界をリードすることにはならない。今の連載では、中学生が外見だけ見て模型を作っているのと、さほど変わりが無いのである。タイトルは模鐡技師になっているが、技師とはとても思えない。

 その点では、昔伊藤剛氏が書かれていた記事には今でも感服することが多い。専門家が分かり易く説く姿勢というのが、この趣味の世界には最もふさわしい。素人の勘違い記事は初学者にとって迷惑そのものである。

 機械で工作する手法が書きたいなら、少し謙虚になって近くの町工場で見学してくるべきだ。素人の思い付きではだめなのである。
 鹿ケ谷氏の御指摘にもあったように、ワーキング・パス(working path)が長くなると必ず失敗する。刃物が飛び出している量を少なくすることが最も大切なことである。
 機械全体の中でどの部分の剛性が最も小さいかを考えれば、自ずと手法は決まるのだ。

 しばらく前にこの雑誌中、どなたかの記事で模型連結器の話が展開されていたようだが、それにMonarchの話が出て来なかった。連結器の歴史上、最も信頼性ある連結器として名を轟かしたのだが、それをご存知ないようだ。編集部ももう少し知識のある人を揃えないといけないし、前にも書いたように査読者に見てもらうべきなのである。

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2012年02月19日

続々々々々 UP F9A

Fly Wheel これがフライホィールである。実に単純な形である。

 慣性モーメントは半径の二乗に比例するので、中心から遠いところのみに物質があるのが望ましい。本当は自転車のスポークのようにほとんど質量がないものでリング状の物が支持されているのがベストである。材料も密度が大きいものが良い。とは言え、鉛やハンダでフライホィールを作る気はしない。ブラスは適度に重く、また削り易いので、具合が良い材料である。

FEB_3743 このモータはエスキャップのタコ・ジェネレータ付きの物をジャンクで買い、それのタコ部分をむしったものである。2 mmという細い軸なので、ここに重い物を付けるとショックで曲がる可能性がある。それで少しでも軽くしたかったのである。

 ちょっとしたことなのだが、効き目は大きく、軽く押せば 1 m近く走っていく。この程度で十分である。問題はユニヴァーサル・ジョイントである。韓国製なのだが、精度が良くなく、ジャラジャラ音が出る。
 久し振りにラジコン屋さんを覗いてみるとOゲージに使えそうなサイズの物がたくさんある。ところがほとんどが位相が間違っていて使えない。等速ではないから、あんな高速で、しかもサスペンションの可動範囲が大きいところに使えばとんでもない音がしそうだ。四輪駆動の場合、ステアリングの切れ角が大きいと、これまたすごいことになりそうだ。
 どうやら誰も気が付かないようだ。鉄道模型と違って目の前 30 cmを走らせる人が居ないからだろう。それにしても理屈を理解しないで物を作る人は多い。

 
Universal Joint たまたま一つだけプラスティック製の物を見つけたのでそれを買った。これだけが正しい位相であった。スパイダはステンレスのように見える。少し嵌め合いがきついようなのでリーマを通して軽く廻るようにする。軸穴は2Φなのだが、D型の断面である。シャフトはそのように削ったものを使うのだろう。
 太さに余裕があるので穴を開け直して使うことにする。コレットで掴めば割れることもない。

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2012年01月08日

続々々 Etchant

 長年温めてきたアイデアがあって、検証実験を始める前に、特許を調べてみた。どの程度のものがあるのか知るためだ。
 やはり、ある程度のものは既に押さえられている。「醤油+過酸化水素」の骨子となる物質を特定して指定してあるので、もうその方面のアイデアは面白くない。
 今考えているものは、具体的には言えないがもう少し高級な発想であって、それについては今のところ特許が成立していない。しばらくその方面を考えることにしよう。

 鹿ケ谷氏からクエン酸を過酸化水素と混ぜて使うというアイデアを戴いているが、これはかなり具合の良い方法である。速度が大きく、反応後の液は青緑色になる。廃液は捨てずに取っておいて、過酸化水素を加えればまた使える。この方法がうまく行くのはキレート化が起こるからである。キレートとはリガンドが環状の結合を作ったもので、例えば銅アンモニア錯イオンの二つずつのアンモニアを結んでそれぞれ五角形の結合を作る場合である。

 「塩酸と過酸化水素」の組み合わせは動画が見つかった。美術分野のエッチングである。レジストとしてフェルトペンを使用している。溶解作業中は細かい泡が出ている。反応後の液は黄緑色である。

 すでに述べたように、塩化鉄(III)に頼るエッチングというのは前世紀の遺物と言っても過言ではなく、さらに進化した方法をとるべき時代であることは間違いない。

 また、電解エッチング(電解研磨の延長)や、電解リヴェット生成などは、広く採用されるべきものであろうと思う。 

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2011年10月30日

ガラス板

旧家の窓ガラス 色々なご意見を戴いた。「なるほど、やってみよう。」から、「そんなもの見えやしないよ。」まである。

 ゆうえん氏のコメントにもあるように「手近にあるから使った。」というのも一つの意見である。
 OJゲージの故加藤清氏はカヴァ・グラスを使っていた。氏はレントゲン技師で、職場にこれがあったのだろう。TMSでの初出ではないかもしれないが、かなり古くから使っている事は間違いない。
 氏は盛んにこれを宣伝していらした。この方はたしか明治44年生まれであったから、ガラスがゆがんでいる時期をご存知である。それを知った上での採用であるから、「手近説」に入れておこう。

 筆者もそれを使っていたが、最近は使わない。割れやすいからである。しかし、自分で割ったことは一度もない。

 どういう時に割れるかというと、「他人が見せてくれ」と言って手を触れた時に割られてしまうのである。さすがにOゲージャに割られたことは殆どない。普段、このサイズの模型を手にしていない方は、その重さに驚き、しっかり握らねばと思うのであろう。
 キャブを持ってはいけない。機関車中で一番丈夫なのはどこかというとボイラなのであるが、そこを持つ人はまれだ。たいてい、パイロットとキャブをわし掴みである。その結果窓枠が撓み、ガラスはパリンと割れる。

 最近は窓を開けたままにする例が多いのは、その被害を防ぐためでもある。キャブは相対的に板が薄く、開口部があるので弱い。牽引車両の抵抗が小さいので、機関車全体を軽量にすることができるようになり、比較的事故は減った。

 ガラスに限らず小さいものは壊れにくい。物を作っている材料のヤング率は物質固有のものであるが、モーメントが小さくなるからである。ガラスの置き物で言えば、花瓶は割れやすいが、小さなガラス細工の犬は落としてもはずんでいる。HOサイズ以下では、構成しているブラス板が相対的に厚いし、ガラスも小さい。色々な意味でガラス板でも割れにくいのは当然である。

 だからこそ、筆者は割れにくいプラスティック板であって、なおかつ実感的なデロデロしたものを探していたのである。しばらく、客車の組み立てから遠ざかっていたが、やる気が湧いてきた。

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2010年12月24日

続 慣性を増大させる装置

5-axle Equalizing 軸重は700 g重を超えるだろう。固定軸ではすぐ壊れるだろうことは自明だ。個別のスプリングでは、重い車体が勝手な動きをするのを止められない。この解決法はやはり3点支持のイコライジングしかない。もちろんバネ懸架でないと壊れる。

 動力採取用のギヤボックスは2軸ずつを結ぶのは合理的であるが3軸目は難しい。線路の不整によって車軸が上下しても推進軸は曲がらないからだ。5軸のうち離れた2軸ずつを互いにユニヴァーサル・ジョイントでつないで、中間の1軸からの動力採取は、諦めてしまえばよい。軸重を減らしておけば、損失は少ない。この設計では他軸の半分にしてある。
 
Equalizing Mechanism 後部の2軸台車は、揺れ枕で懸架して復元力を稼ぐと同時に、三点支持の支点として機能する。落ち着いた走りを期待できる。

 実物のChallengerのテンダはなぜこのような三点支持の設計手法を取ったのかという解説は読んだことが無い。
 実物の超大型テンダ、例えばSanta Feの4-8-4などのテンダは箱型テンダである。それに4軸の台車が付けられているが問題が無いわけではない。不整線路面でねじられると、車体の剛性が大きく脱線の可能性が指摘された。この構造では三点支持にできないからである。実物は車体が柔かいというのが前提になっている。電車などは、脱線すると車体がねじれているのが目で見て分かる。
 旧型電気機関車の車体など剛性がほとんどないペラペラの箱である。だから前後の台車はそれぞれ三点支持になっていて、その台車の上に四点支持で車体が載っていても、全く問題なくねじれに対応する。ところが模型は肉厚の材料で作られた車体を持ち、剛性が大きい。すなわちねじれないから、実物どおりに設計すると、線路のねじれには対応できない。この辺りのことは無理解な人が多く、「本物通りだからすばらしい」と思う人が大半だ。

 さて、Challengerのテンダは超大型で剛性が高い構造を採ったので、どうしても懸架装置に工夫が必要であった。一番簡単なのは、蒸気機関車の懸架装置をコピィすることで、この前部台車で一点、後部台車で二点の方式に落ち着いた。
 本線上はともかく、機関区、側線などの保線のしてないぐにゃぐにゃの線路を踏破する能力の大きいのは、さすがである。さらに、小さなターンテイブルで廻すことが出来るのも、この懸架方式の隠れた大きな利点であった。

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2010年12月22日

慣性を増大させる装置

equalizing plan この図面をご覧になれば、軸重配分がお分かり頂けるはずだ。均等配分ではない。例によって、作図はnortherns484氏にお手伝い戴いた。
 この5軸のうち一軸は脱線しない程度の軸重しか掛かっていない。残りの二軸ずつには均等荷重が掛かる。それらにはギヤボックスが付く。ギヤボックスは動力伝達用ではない。慣性増大装置へ運動エネルギを出し入れするためのものである。

uneven weight distribution これは古いLobaughのChallenger 4-6-6-4のテンダ台車である。軸配置は4-10-0とでも言うべきである。古いLobaughのキットを3台同時に組んでいるが、一台だけオリジナルのテンダがあった。そのテンダには砲金鋳物製の台車が付いていた。その台車は非可動で、速く走らせるとポイントで飛び上がる。またジャ-ナル(車軸の末端部分)も折れる。(現実に1本折れていた!)この側面の鋳物を可動にしようと思うとかなりの加工をせねばならず、なかなか良く出来ている鋳物を壊すのは少々忍びなかった。外観を保存して、なおかつイコライジングしたいので、内側台車にするしかなかった。この鋳物は製造後60年も経つのに、塗装されたものを見るとなかなか味がある。造形として優れているのだ。

 この重いテンダの中に高速で回転するはずみ車を付け、車輪からの回転力を伝える。はずみ車は直径50mmの砲金の連続鋳造の肉厚円筒である。長さ 180 mm で 1.8 kgある。これを車軸の回転数の10倍以上で廻すと、かなり大きな慣性モーメントを持たせることが出来る。

 以前にも述べたが、機関区で単機の機関車がスリップしながら走り出したり、止まる時に動輪を逆回転させているのを見た。本当はやってはいけなかったらしいが、よく見た。模型ではそのような芸当はできない。列車を引き出す時はそれは可能であるが、単機では出来るわけがない。
 しかしこの方式を採用することにより、このテンダがその質量の数十倍の慣性を持てば、実物のような慣性のある動きを再現するはずである。筆者は高校生の時からこれを考えていた。
 先日、ライヴスティームの平岡幸三氏にお会いするチャンスがあったので、この話を持ち出したところ、「それは面白い、是非やってください。」と背中を押して戴いた。

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2010年12月20日

続々 慣性を考える

Duplicating some equalizersDuplicating an equalizing lever   丸い穴にはボールベアリングが嵌まる。その外周の丸みは、中心の穴にはまる軸を固定しておいて、刃物を高速回転させて工作物を廻して削る。簡単である。
 これを見て「危ない」と仰った方があったが、決して危なくはない。
 ただし、回転方向を間違えると喰い込んで致命的な失敗になるから、刃が喰い込まない方向に回転させ、さらに回転限界を決めておく。絶対に逆回転してはいけない。この写真の状態では、工作物は上から見て時計回りに廻す。小さなVise Pliers(固定できるプライヤ)で軽くはさみ、くるりと回転すると出来上がりである。

 このブラスは快削材ではないので、喰込みにくいラフィングエンドミルという刃物を使用している。さらにその刃先を殺して使う。要するに刃先角を大きくするのだ。これは近所の工場で教えてもらった。ダイヤモンド砥石で、そっとひとなでするだけで安全に使える。
 削った部品を外して、油目ヤスリで滑らかにして出来上がりである。
 最近は板材を含めて、材料を全て快削材で揃えている。レーザ・カットの工場はそんなことに無頓着で、普通のブラスを注文してしまったのである。使い切るまでは、しばらく我慢せねばならない。

Equalizer layout これを作っているのだ。このようなイコライザは全く見えないところで機能するので、寸法と穴の仕上げだけを丁寧にしてある。外見はどうでも良いのだ。


 さて構成をご覧戴きたい。図面でないので少々分かりにくいかもしれない。もっとも大きなイコライザにはピンが差してあり、それが折れるようになっている。黒い線は引きバネで引っ張る部分である。赤の矢印は荷重が掛かる点である。

 さて、軸重の配分はどうなっているだろうか。また、機種および目的は何であろうか。
 唐突な質問であるがメカニズムの設計についての久しぶりのクイズである。コメント欄を通じてお答え戴きたい。

 2.6 mm厚を中心にして、外側は 1 mmの板二枚で挟んでいる。仮組みすると、くねくねとよく曲がるが左右にはぶれない。

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2010年12月18日

続 慣性を考える

 昔遊んだおもちゃの自動車のはずみ車は、車輪の回転速度の大体10倍から12倍位で廻っていた。全く怪しい構造のギヤボックスと、鉄板をプレス打ち抜きしたギヤの組合わせであったが、よく走った。しかしそのうちブラスのピニオンが擦り減って、御陀仏となった。小さい方の歯車が軟かい材料で作られているので、すぐ歯が無くなってしまう。そうすると、父は「ひどい設計だ。」と憤慨して、歯車を減っていない方に少しずらしてくれた。そうすれば、またしばらくの間走るようになったことを覚えている。このこともあって、歯車の組合せには人並み以上の注意が向くようになった。
 軸受も0.5mm厚以下の鉄板で、軟鋼の軸が嵌まっていた。摩擦が大きくてキーキー言った。しかし父にミシン油を注して貰うと、廊下の端から端まで、調子よく走った。エンジンオイルを使うと抵抗が大きくなることも分かった。
 
 回転体の慣性モーメントの計算は積分を使う数学の問題で出会った。工学を修めた方なら結果の式を暗記しているはずだ。筆者は覚えていないので、計算して求める。
 大事なことは角速度の2乗で効くことだ。2倍の速度で廻せば4倍になる。実はそれを現実のものにするために、現代の材料で、合理的な機構の試作を行っているところだ。運動エネルギを溜め込む装置が付けば、実物並みの慣性を持つ模型が出来る。これは筆者の高校生の時からの夢であった。いよいよその実現が近付いてきた。

duplicating a lever さてこの写真は、先日のレーザ・カットの失敗で挫折した部品を、手作りで増産しているところである。穴を開けてリーマを通し、シャフトを通して卦書く。ざっと荒取りしてシャフトを通し、ハンダで貼り重ねて周りを削り落す。
 久しぶりにフライス盤の前に立って数時間の作業である。最近はレーザに頼っていて、コツを忘れてしまったので時間が掛かるようになった。



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2010年12月16日

慣性を考える

 栗生氏の撮影された動画をご覧になっていろいろな方から御意見を戴いている。
 一番多かったのは、「あの貨車はとても重いのでしょう?」というものである。重い貨車はよく転がるのだろうか。重ければ摩擦力が増えるから、重さで慣性の増した分は完全に相殺される。すなわち、重くても軽くしても、意味がないのだ。
 
 今、実物と同じ材料で貨車を作り、軸受の摩擦係数も同じであるとしよう。スケールスピードで転がすと、実物と同じ距離(スケールで同じ距離)を転がるだろうか。
 
 これは高校2年生程度の物理の知識があると簡単に導き出せる。結論を言うとサイズが1/48なら実物の1/48の距離しか転がらない。1/87なら1/87しか転がらないのだ。

 一定速度で動いている物体があるとしよう。運動エネルギが摩擦によって消耗することにより停止する。走る速度が1/48になると、運動エネルギはその2乗で効くので1/48×1/48になる。このことを模型に当て嵌めてみる。もちろん空気の抵抗は無視するものとする。

 今、貨車が実物と同じ密度の物質で作られ、同じ動摩擦係数を持つとする。スケールスピードで転がすと、運動エネルギが小さくなり、サイズが1/48なら 1/48 × 1/48の距離しか転がらない。しかし、観測者も1/48に縮んでいることを忘れてはならない。結局、その48倍の距離を走るように見える
 すなわち、

    1/48 × 1/48 × 48 = 1/48

の距離になる。

 この式を見れば、逆立ちしたって実物のように転がすのは無理であることが分かる。そうなると、あとは摩擦係数を実物の1/48にすれば実物の様に転がるはずであるが、これは不可能である。

 お一人だけ、「あの貨車には、はずみ車が付けてあるのでしょう。」とお聞きになった方があった。鋭い感覚の持ち主である。しかし、残念ながら何も付いていない単なる貨車である。軸受けはピヴォットで、モリブデングリスが少し付けてある。
 昔よく遊んだはずみ車の付いた自動車のおもちゃは実物並みの慣性を持たせるための賢い工夫である。内部に高速で回転する慣性モーメントの大きな物体があり、それに運動エネルギを溜めこんでいるのだ。


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2010年05月02日

続 CHI TOWN UNION STATION

CHI TOWN UNION STATION 5CHI TOWN UNION STATION 4CHI TOWN UNION STATION 6






 これは大きな橋である。曲線であるが、ちゃんと直線を組み合わせてある。分かっている人が作っている。曲がっていたら、落ちる可能性がある。
 作者は近所の整形外科医だそうだ。その医者はこのクラブの構成員である。どこかにプロトタイプがあるのかと聞いたところ、ないそうだ。保線は万全で、脱線したことは一度もないと言っている。

螺旋を描いて何度もループを廻ると、この最高地点に出る。橋はその高さにある。
下ると、どんどん下がって、歩いている床まで降り、その部分は床を少し高くして見学者は気付かずに通り過ぎる。
 つまり、通路の下を通って向う側の島に行くようになっているのだ。この写真で、人が立っているところが通路で、その左側の部分がもう一つの島である。

 このレイアウトはヤード部分がとても長い。100両の列車が20本位並べられるようになっている。

 このレイアウトには約2000両の車輌が載っているそうだ。といってもほとんどがプラスティック製の貨車だから、比較的安くまとめている。これがブラス製ならば金額は数倍であるが、おそらく全く牽けないであろう。台車の改良で挫折しているはずである。

 アメリカには金持ちがたくさん居る。
 一番金の掛かる遊びはヨットだそうだ。一隻10億円クラスの船がよく座礁する。牽き出せないと、大抵壊してしまう。
 飛行機はあまり落ちないから安いのだそうだ。それに比べれば、「汽車の模型など安いものさ。」ということである。

2010年03月06日

イコライザの設計 その15

 D62 equalizing 国鉄の近代型蒸気機関車の従台車は外台枠で、主台枠は内台枠である。イコライザは斜めに入り、従台車旋回時に移動する量の少ないところに力点を持って来てある。
 それは第4動輪の後ろのクロス・イコライザからぶら下がっている。このクロス・イコライザは苦肉の策であろう。支点が中央にはないので、左右は多少の干渉はあるが独立である。お分かりにならない方は、左右に開いた図を作ると決して傾かないことが理解できるだろう。 

モビール 「イコライジングはモビールのようなもの」とコメントでAC9様はおっしゃっている。その通りなのである。ここにアトランティックのイコライジング・モビールを示す。この絵の発案者は吉岡精一氏である。筆者はそれを翻案しただけである。
 黒い棒は本来はつながっているのだが、前群、後群を分けた概念上の構造体である。また、オウヴァハングはカウキャッチャの先端、キャブの後端を指している。すなわち、線路の不整によって上下している最先端を意味しているのだ。


 この話はいつまで続くのかと心配されている方も多いだろうが、ひとまずここで区切りとしたい。
 今、筆者はいくつかの用事をからめてシカゴ方面に来ている。もっとも大きな目的はシカゴで開かれるOゲージのコンベンションで講演することである。Low-D車輪について話せというリクエストが来ているし、MRも興味を示している。
 今年の春の O scale West は開催時期がずれて、 6月にNational Convention としてカリフォルニアで開かれる予定である。6月は筆者の都合がつかないことが判明したので、その代りに久しぶりに友達に誘われているシカゴ大会に参加することにした。

 しばらく休載する。また、コメントを戴いても、掲載がかなり遅れる見込みであることも御承知願いたい。 

2010年03月04日

イコライザの設計 その14

傾く台車枠 複式イコライザの台車枠は自由に転んでしまうと書いたが、それについてよく分からぬというお便りを複数戴いている。模型を作ってみれば一目瞭然なのだが、それを図示するとこのようになる。
 車輪の数がいくつあっても自由に傾くが、どんな場合でも軸重は一定になる。BB型電気機関車の台車はこのような構造であるが、転ばないようにいくつかの工夫がある。そうしないとブレーキもかけられない。たとえば、前後の台車が水平面の中だけで回転するように結んでいるものがあるようだ。
 台車ごとに二点支持であるから、全体では4点になるが、車体の剛性が少ないのとバネが効いていることによって、線路への追随性 compliance は保たれる。 

 コンプライアンスというのは脱線を防ぐ最も大切なことであり、イコライジングすることにより格段の性能向上が見込める。車輪の跳躍があっても重力加速度以上の加速度を与えて圧着させるので、フランジが外れにくくなるのだ。模型においては集電が良くなる。

 クロス・イコライザがあると左右の群が一点で支えられると書いたのだが、これも良く判らないというご意見を戴いている。先回のアトランティックの後動輪と従輪はこのクロス・イコライザで結ばれているわけで、前部が 1/2 持ち上がって、多少後ろに傾くわけだ。軸重は正しく保たれるのだが、やや複雑で分かりにくい。それでは最大限に単純化してみよう。
四輪三点支持 クロス・イコライザの最も簡単な例を示すとこのようになる。手前の青いイコライザに注目して、その左右につながっている二輪を展開すると右下のような状態になる。
 これは上記の「傾く台車枠」と同じであって、一点で支えられていることになる。すなわち、自由にひねることができる。

 先回のアトランティックの先台車廻りの構造は、多少ややこしいが、ほぐして考えるとこの図のように考えることができるはずだ。先台車と第一軸と片方が持ち上がって車軸が傾いても、実質的に1点で支えられているから機関車フレイムはねじられず、ただ段差の半分だけ前方支持点が持ち上がるというわけである。

 クロス・イコライザの意味が分かって、等価図が描ければ、イコライジングの設計は容易である。

2010年03月02日

イコライザの設計 その13

Cross Equalizer 先台車あるいはそれを含めた前群は一点支持である。動輪を含めた場合はどのようにして一つの支点を構成しているのであろうか。




Cross Equalizer 2 先台車付近の線路が捩じれて、左右のレイルに高さの差ができたとする。第一動輪まで持ち上がっていると仮定した時の様子を考える。車軸で縦割りにして左右に開くと、このような図になる。初めてご覧になると少々戸惑う図だが、前の方から見て左右に開いた様子を考えて戴きたい。

先台車を支えるテコも切り開いている。第一動軸の前半に掛かるクロス・イコライザ cross equalizer は左右またいでいるのでそれを引き伸ばす。機関車のフレイムはまだ左右には傾いていない。微妙に後ろには傾いているだろうが、それはここでは考えないことにする。片足持ち上げているが、フレイムは後群で支えられているから傾かない。フレイムは左右の高低差の半分持ち上がっている。

 左右のイコライザ系の中でどこかでつながって、その中点に支点があると、このように左右の群が一点で支えられると考えることができる。時間のある方は、先台車から第一動輪まで左右独立したイコライザでつなぎ、第一動輪の後ろで左右を結んでそこに支点を設けた場合を作図されるとよいだろう。同じ結果になることを確認することができる。

2010年02月28日

イコライザの設計 その12

Atlantic 解答 これが解答である。AC9様はじめ多数の方が正解である。
 蒸気機関車の支点は目に見えない場合が多いので、このような図を描いて確認しておく必要がある。前後のオーヴァ・ハングの様子はあらかじめ知ることができるので、カウキャッチャのクリアランスも決めることができる。低いカウキャッチャは実感味を増大させる。
 後部オーヴァ・ハングが長いとキャブが上下し、あまり見掛けの良いものでもない。乗務員がキャブの天井に頭をぶつけるだろう。実物は線路が撓むのでよいが、模型の場合は大変具合が悪い。したがって、多軸機関車の場合は最後部動輪と従台車だけのイコライズが、走行時の安定性の点だけからは良いと、筆者は考えている。この時のバネは、なるべく柔く、ストロークの大きいものを用いるべきである。ストロークが大きければ大きな力を掛けることができる。また、多少の変位があっても、力が変化しにくい。

 さて、牽引力増大装置であるが、実に簡単な装置である。手元に図面がないのでうろ覚えであるが、こんな形をしている。
Traction Increaser 従台車の例を出そう。イコライザの穴がやや長く作ってある。動輪に近いところにもう一つの穴があり、そこに差してあるピンが空気圧あるいは蒸気圧で下に向かって押し付けられる。
 おそらく機関車は1インチ程度は持ち上がるのであろう。軸重が3割程度増大するので牽引力は増す。その時後部オーヴァ・ハングは長くなるのでキャブは激しく上下するだろうし、ピッチングも激しくなる。低速時だけ作動させる。巡航時に作動させると危険である。

2010年02月26日

イコライザの設計 その11

 それでは、アトランティック(4-4-2)のイコライジングを考えてみよう。方針として、先輪には動輪の1/2の軸重、従輪には2/3の軸重ということにする。
Equalizing Atlantic type 先台車と第一動軸を第一群とし、第二動軸と従輪とを第二群としよう。テコ比を求めて戴きたい。

 そして機関車の重心をどこに持って行くべきかを決める。下の図中、q : r を求む。
 勿論、この時、動輪の質量、ギヤボックスの質量などは全て無視しているので、実際にはそれを加味すべきであるが、ここでは省略した。


 モータ出力と動力伝達機構の効率が測定してあれば最大引張力が計算できるので、モータが焼けないような質量を決定できる。機関車が完成した後、重心が既定の位置に来るよう、天秤で吊って、所定の質量の重りを載せれば完成した機関車ができるはずだ。

「完成した機関車」というのはあまりお目に掛からない、起動時にスリップできないような機関車はモータが焼ける。モータの選定、ギヤ比の選定、動輪上重量のいずれか、あるいは全部が間違っている。

 アトランティックは動輪上重量が比較的少ないので、出発時のtraction (引張力)が不足する。いくつかのアトランティックはイコライザの支点を移動させる装置を持っていた。
 これをtraction increaser 引張力増大装置という。

2010年02月24日

イコライザの設計 その10

weight distribution diagram AC9様から興味深いグラフを戴いた。予定を変更してこのグラフの見かたについて考えたい。
 左側のグラフがAC9様の御教示のものである。この中の X は、イコライザ・スパンのアンカピン・スパン両端の距離に対する比であり、実物では 0.5 から 0.7 くらいである。
 
 ここで簡略化のために、言葉の定義をする。重ね板バネともう一つの重ね板バネの間に短いイコライザ・テコを置いたものを、"複式”と呼ぶことにしよう。大きなイコライザだけを設けたもの、すなわち井上氏方式を"単式"と呼ぶことにする。

 複式の重ね板バネをどんどん短くしていくと、このグラフでは下の方に行く。ここまでは筆者も考えたのだが、その長さをゼロにするところまでは考えなかった。素晴らしい証明で、複式の力学的重心と単式の力学的重心が一致することが見事に分かる。
 
 軸距離を一定にしてバネの長さを変化させるとどうなるかを表すと、右のグラフのようになる。このグラフは筆者の追加である。X は0.5とした。イコライザ・ピンの位置とボルスタ・ピン(キング・ピン)の位置がずれていくのが分かる。ボルスタ・ピン位置は上の図の中では目には見えない

truck bolster height 複式のときはセンタ・ピン位置が目に見えないことがお分かり戴けるはずだ。台車枠は浮動しているので、センタピン位置が外れると転ぶ。位置が合っていても、加減速で転ぶだろう。したがって、実物の台車では荷重が掛かる位置が車輪中心を結ぶ線より下に来るような工夫がしてあるはずだ。このあたりは専門家の栗生氏に解説をお願いしたいところだ。

[追記]
三重交通北勢線モニ220型 台車 弓型イコライザつき台車の図を心皿位置の例として出したところ、栗生氏から例として良くないという御指摘があったので、単式ではあるが心皿を低くしている例の図を挙げる。
 弓型イコライザの場合はコイルバネを複数入れているので、それだけでフンバリが効き、倒れない。もしこのコイルバネが一つだったらどうなるかと考えるとそれはモニ220の台車と等価である。

 複式の例は調査中であるが、F級電機のように先台車がないと倒れてしまうのは自明である。

2010年02月22日

イコライザの設計 その9

8-Wheel bucheye Truck equalizing 解答 8輪バックアイ台車の均等配分の図である。濃い青の桁に掛かる力が 2f になればよいので、1:1 が正解である。この比を守っていれば、端の部分(腕のように見える部分)の長さは自由である。すなわち濃い青の部分の長さも自由である。

 Buckeye社の方針は、軸のちょうど中間にバネを持ってくることである。先の6輪の場合も同じであるが、この方法を採ると大きなバネを効率よく収容することができる。したがって、実際の設計では青い桁の末端のピンは第2軸の真上にくる。
 この台車の自由度は極めて大きく、設計方針の賢明さには感銘を受けた。この模型の台車は、酒井喜房氏設計、祖父江欣平氏製作(1954年頃)である。

weight distribution 解答 さて、不均等な分配の例である。f と 2f の軸重を合わせると 3f になる。中間にはさんだイコライザの長さを 2:1 にするとうまくいく。

 この時、台車枠に結ばれている部分を剛性のあるテコにすると、そのどこに荷重を掛けると台車枠が転ばないかを調べる。中学校の理科の問題であるので、作図すればすぐにわかる。これが合力の中心であるが、台車をどんなに眺めてもその位置は見ることができない。この図で赤丸がその点である。

 その計算値は、何のことはない、下の概念図の赤いテコの 2:1 の点である。この赤いテコと上の複合型イコライザは全く等価であることが分かる。


2010年02月18日

イコライザの設計 その7

解答 一、二、四 先回の解答である。全ての軸重を等しくしたいのだから、イコライザが2つ掛かっている部分の力を半分にするだけのことである。これらの4つのイコライザは、力学的には全く等価である。右上の図は機関車などで見るが、これも左上の図と同じ効果が得られる。ただ、イコライザ・テコが短くなり、強度の点で優れた結果をもたらした。
 左下の図では、2つのイコライザはやや離れて掛かっているので、その掛った点までの距離を表している。バネの位置は偏り、あまり良い位置とは言えない。

 右下はBuckeyeの貨車、テンダ用の台車である。長く伸びた鋳鋼のイコライザが中央軸を乗り越して反対側に行っている。するとテコ比2:1でもバネの位置を軸の中点に来させることが出来る。これは機構学上、特筆すべき工夫である。

 

2010年02月16日

イコライザの設計 その6

 演習問題のリクエストを複数戴いているので、いくつか用意した。テコ比を求める問題である。

第一問 きわめて初歩的なイコライザである。産業機械の中に使われている。
第一問



第二問 プルマン3軸台車の場合である。
第二問




第三問  Buckeye社の3軸台車のテコ比の問題である。テコが向う側に行っている珍しい構成である。
第四問





 今回はこれらの3問である。正解は次回。

2010年02月06日

イコライザの設計 その1

 蒸気機関車のイコライジングの方法は多種ある。そのほとんどが三点支持方式である。バネが深く作動する、あるいは主台枠がよく捩じれるような剛性の低い設計であれば、四点支持でもよい。

 さて、再び4-6-0タイプの蒸気機関車のイコライジングを考えてみよう。大抵は、先台車一点と動輪三軸を二点とする三点支持である。場合によっては先台車と動輪一軸を一点とし、残る動軸二軸を二点とすることもできる。
 その優劣を比較してみよう。

 動軸上の重量を増やすのは重心の移動で自由にできる。問題は「座り」である。

イコライザ方式の比較 もし先台車を一点にすると、構成される三角形は長くなり、線路の不整に対しての機関車の傾斜角が小さくなる。要するにギッコンバッタンする角度が小さいのである。
 アメリカ型の場合は、カウ・キャッチャを低く保ちたいので、前方の一点はなるべく前にあった方がよい。前方オゥヴァハングが大きいと、線路の不整に対しある程度の隙間を保つことは難しくなる。すなわちショートが発生するだろう。
 模型においては先台車を一点にするのは、それなりに意味のあることなのである。

 さて従台車はどうなるかということになるが、これが意外と難しい。4-6-2(パシフィック・タイプ)の従台車は動輪からかなり離れているが、これを後群とするとイコライザの可動範囲からはみ出して底突きすることがある。

2010年02月04日

equalized と sprung その10

 ゴムの材質は何でもよいというわけにはいかない。油に耐えるゴムを探さねばない。自動車の部品でガソリンパイプと称するものはニトリルゴムで、素晴らしい耐油性があるが入手しにくい。
 パッキンとして汎用品の「Oリング」は大抵はクロロプレンゴムで、これもかなりの耐油性がある。適当な太さのものをホームセンタで購入し、切り刻めばよい。ゴムを切るのは、使っていないカミソリがよい。いわゆるゴム系接着剤はクロロプレンゴムなので、同種のゴムは接着しやすいことも具合のよいことである。

 緩衝性について述べてきたが、その必要性について、いまだに懐疑的な方は多い。何度も申し上げるが、比較をしなければその優劣について論じることが出来ない。
 筆者の実験では、緩衝装置の無い模型は、走らせるとやかましく、またすぐ壊れる。
 バネは必要であって、なくても良いものではない。

 本物とは異なり、バネ下質量の問題が無視できるので、イコライザの上でも下でもどこかに緩衝装置があれば、実にうまく作動し、静粛である。

 いままで模型雑誌を見てきて、この件に言及した記事は一つもなかったのは残念だ。
 どの記事も、外見の精密さの見地からしか述べられていない。お飾りの模型ではないので、走行性能を上げようと思えば、それなりの工夫が要る。
 
 祖父江欣平氏の製作した模型は、全て重ね板バネを使用している。
「イコライザを付ければバネが要らねえって奴が居るのかい。冗談じゃねえよ。バネがなかったら壊れるってことを知らねえんだな。音の問題だけじゃあ、ねえんだよ。」

2010年01月23日

equalized と sprung その4

 実物の機関車の重ね板バネは硬い。そう簡単には作動するのが分からない。しかし工場で分解整備している写真を見ると、バネは反り返っている。荷重が掛かった状態ではまっ直ぐに見えるが、元はかなり湾曲しているのである。

 もしこれが柔かければ、機関車はまっすぐ走らないだろう。線路の不整に対して、バネはほとんど作動しない。イコライザが先に動いて、その変位を他のバネに伝える。沢山のバネは、力を均等割りして受け持つので、ますます変位は少なくなり、見掛け上、なにも作動していないように見える。これが勘違いのもとである。

 インパクトはバネで吸収される。イコライザでは吸収できない。もちろんコイルバネでは、吸収されたエネルギはすぐ放出されて、機関車は飛び跳ねる。重ね板バネでは、板の隙間の摩擦でそれは消費されて、緩衝される。

 模型でも重ね板バネは有効である。うんと硬いバネで良いから作るべきなのである。イコライザを一枚の板で作る方式であれば、その先端に何らかの工夫をすべきである。そこには内部損失の大きいゴムなどを付けるべきである。

 このところ、筆者のところに、「ほらイコライズしたんだよ。」と見せに来てくれる人が多い。手で押して段差を乗り越えるところを見せてくれるのだが、コツンコツンという音がする。さっと一周運転しておしまいになるが、会場が騒がしく、音は聞こえにくい。静寂な場所で走らせると、愕然とするはずだ。そのような経験がないのだろうと推察する。
 静かな列車を牽いて運転すると、その機関車の真の実力が分かる。そのようなチャンスがないと、この表題の論議は不毛なものとなる。

2010年01月21日

equalized と sprung その3

「正しくイコライズされた模型にはバネを入れてはいけない。」と何度も言われてきた。「それは迷信だ。」と声を大きくしなければならない。

 最近、いろいろな人からイコライズについての基本的な質問を戴いている。静力学的な設計手法については、中学校の理科の範囲にあり、図を描けば終わりである。
 問題はそれがある程度の速度で走行中にどのような力を受けるかである。高校で習う物理に、力積という概念がある。英語で言う方が分かりやすい。Impact(衝撃力)である。

 インパクトは時間が短いと大きくなる。絨毯を敷いた部屋を歩いても静かであるが、板張りの床を歩くとコツコツとやかましい。力がかかる時間を長くするとインパクトは小さくなる。絨毯はその役割を果たしている。長い時間かかって体重が床に伝わると、静かである。バネはまさにその役割を果たしている。

 絨毯を敷いてない部屋で転ぶと痛い。ズボンも破れるかもしれない。歩き廻ると膝にも良くない。バネなしイコライズはまさにそのような状態である。

 ヤング率という概念も高校の物理で習う。力を掛けた時の弾性変形の話である。物質のヤング率は一定不変であるが、模型は小さい。長さが小さいということはモーメントが小さいということである。すなわち、模型は硬い(堅い) 。硬いからたわみにくい。

 本物の電車は相対的に柔らかいので、脱線すると車体が目で見てわかるほどねじれる。乗用車でも、峠の急カーヴを廻るとき、車体が歪むのが分かる。窓を数ミリ開け、指をその部分に当てて旋回すると、隙間が変化するのが分かる。

2007年11月15日

King of all Scales

King of all Scales Oゲージの製品を買うと、説明書の角にKing of All Scalesという丸い印を見ることがある。最近は見なくなったが70年代にはよくあった。Kemtronが作ったマークだという。


 どういう意味か、にはいくつかの解釈があろう。先日栗生氏とお会いしたときには、慣性ということが話題の中心であった。

 鉄道は他の交通手段と何が違うのだろう。それは重いということ、摩擦が少ないということだ。長大な編成が一定の速度で走るということは慣性と低摩擦の二つが実現されないと不可能である。

 慣性は質量に比例し、そのエネルギは速度の2乗に比例する。大きさが半分になると、惰力が効かないというのは、そこに原因がある。

 小さくなるとどんなに軸受けを改善しても無駄なのである。HO以下の模型では慣性というのは無視しうるくらい小さくなる。Oゲージであれば、機関車が3kg、客車が1〜2kg、貨車でも0.5Kgほどもある。軸受けがボールベアリングならば、重くすればするほど慣性が増す。一編成が30kg以上はあるのだ。

 もちろん重くしようと思えば、1番ゲージという手もあるが、もう片手では持てない大きさになる。鷲づかみが出来る最大限がOゲージなのだ。

 バネもよく効く。ポイントを通過するときの、車体の揺れも実に気持ちよく再現される。このような点でも最適の大きさであると感じる。  

2007年08月10日

続 ジャックマン・シャフト

EF62 DT124 Shibata氏よりのコメントでEF62DT124台車もこれに相当すると教えて戴いた。EF62は就役当初から知っている。最近は東海道本線にも走っていたように思う。

 この機関車は、ベルクランクを持ったボルスタレス台車である。すっかり忘れていた。ポイントを通るとき、台車が回転すると、大きなコイルばねが多少ねじれるのが見えたのを憶えている。この台車は3軸もあるので、引張力を掛けたときに軸重変化する量が少ない。

 このような軸重変化や、引張力に関する考察はウェブ上ではほとんど発表されていない。多分、書籍ではあるのだろうが、手の届きやすいウェブサイトでは、この理屈についての発表が見つからない。

 写真はこのサイトからお借りしている。

 最近の機関車はインヴァータ方式で駆動されているものが増えてきた。この方式だと、全てのモータが全く同じ回転速度で廻るように制御することも出来るはずだ。すなわち、蒸気機関車と同様に、あたかもロッドでつながっているような回転をさせることが出来るはずだ。

 すると、全ての車輪がスリップするまで、引張力を稼ぐことができることになる。交流電気機関車が採用され始めたときのスリップしにくさとは、異なる次元のスリップしにくさとなるだろう。また、制動時にも全く同じ回転数にすることが出来るはずだ。

 これは筆者の推理であり、実物はどうなっているのであろうか。

2007年08月09日

ジャックマン・シャフト

DT129 ジャックマン・シャフト YU様よりのコメントを拝見し、ジャックマン・シャフトという言葉をお教えいただいた。ED75という機関車のDT129台車に付いているそうだ。

 ED75という機関車は、いろいろな意味での試行を集大成したような機関車らしい。現物を見たことは無い。スリップしにくく、小さくても牽引力に優れた機関車であったそうだ。

 実物の機関車の牽引力はスリップさえしなければかなり増大する。各軸モータの電気機関車はその点不利である。空転検知に多大な苦労がある。制動時も同様である。

 Tom Harveyも盛んにそのことを言っていた。牽引力は馬力では決まらないと。Big Boyの牽引力はGP-9の5台分に相当するそうだ。

 ところで今日の写真はquazyan氏のウェブサイトから拝借したものである。検索中に偶然見つけたのであるが、凝りに凝ったCGグラフィックの集大成である。
 
 この図中、気になるのは、牽引力伝達棒が斜めになっていることである。2軸の中心のレイル面に仮想の接地点を置いているのだろう。この手法をとるには、台車枠にひねりに対する十分な剛性が必要である。そうでないと、輪重が変化する。

 最近の電気機関車などにはこのような工夫はないようだ。軸重移動を防ぐ抜本的な方策がほかにも見つかったのであろうか。

2006年12月06日

慣性を大きくする

Flywheel equipped Diesel Engine 本物の慣性は大きい。山手線など駅を出たら次の駅まで慣性だけで走っていく。運転士は「動かしているのか止めているのか判らない。」とまで言う。

 模型は質量が小さいと同時に速度が小さい(これは二乗で効く)ので、慣性はほとんどない。内部に隠したはずみ車を高速で回すしか、見かけ上の慣性を稼ぐ方法はない。チェーン・ドライブを作る時、はずみ車を作り、ボールベアリングで支えた。もちろんスラスト・ベアリングも組み込んで、衝突に耐えるようにした。

 多少増速して、モータの回転以上で回るようにした。この効果は大きく、巡航速度に達すれば、電流を切ってからエンドレスを周回するほどである。

 あまり速く廻すと、ジャイロの効果でカーブを廻り損ねる可能性すらある。DCCによる起動時のモメンタム(擬似慣性効果)とは全く違う、本当に質量があるかの様な走りをする。

 この機関車(Aと呼ぶ)と、普通のはずみ車のない機関車(Bと呼ぶ)を重連で貨車なしで走らせていた時、非常に面白い現象に気がついた。

 Aを休ませておいてBだけで駆動すると、たった2両しかないこの重連が、極端な重さを感じさせるのである。しかし動き始めたら止まらない。発電ブレーキで止めなければならない。これは何かに使えないだろうか……。

 子供の頃、機関区で仕業につく蒸気機関車が単機で走っていくのを見ていた。その時、スロットルを開くと、動輪がシュルシュルとスリップする。止まる時もかなり荒っぽく止まるので、動輪がロックした状態で数メートル滑っていく。たまに逆転して止まるのもいた。これが再現できるはずである。普通の模型ではそれは絶対に再現できない。サウンドと組み合わせるとそれは絶大な面白さを演出する。 

 今作っているチャレンジャの1両は、テンダにこのはずみ車を入れる予定である。センティピード・テンダなら、見かけを損なわずに簡単にできる。増速を強めに掛けておくとどうなるか。単機で走り出してもスリップするはずである。本物のように。止まる時は逆転を掛けて止まるということもできそうな気がする。おそらくテンダは巨大なはずみ車を収容して、機関車より重くなるだろう。軸受けの摩擦が少ないので、凄まじく大きな慣性を生み出すはずである。

2006年12月01日

トルクアーム

torque arm トルクアームはギヤボックスの倒れ止めに過ぎない。簡単な工夫で、軸箱の上下動を保ちつつ反作用を受け持つ。

 このような工夫さえない機関車が多く存在するというのは、この国の理科教育がいかに無力かを知らせているようだ。

 ゴムチューブでつないだものをよく見るが、軸箱の上下動を妨げている。前後進で調子が変わって当たり前である。

 ずいぶん昔の話になるが、故酒井喜房氏がUnitedの設計をされていた頃である。「前進と後進で調子が違う。バックのほうが調子がよいのは駄目だ。」とインポーターのPFMに言われたそうだ。「仕方がないから、ウォームを逆のねじれにしたところ、前進の調子が良くなった。」と嬉しそうに話された。それを聞いて、「トルクアームをつければいいのですよ」と言うと、「あっ、そうか。」と妙に納得されたようだった。その後改良されたかどうかは確認していない。

 ギヤボックスをなぜ必要とするかというのはギヤの分離力(反発力)に耐えて軸距離を保ち、スラストを閉じ込め、外部にはトルクのみが現れるようにするためである。要するに、モータとはトルク以外何の関係もない状態にせねばならない。モータとの継ぎ手はオルダム継手ユニヴァーサル・ジョイントのようなルースな継ぎ手が望ましい。オルダム継手はここに動画がある。 

 モータ軸に直接ウォームをつける方法は、相変わらずよく見るが、どんな理論武装をしてみても褒められる話ではない。モータというものは、モータ軸にスラストを継続的に掛けてもよいようには設計されていないからである。

2006年11月30日

トルクチューブ

Torque Tube  トルクチューブの説明をしておきたい 。

 筆者は自動車の構造にも興味がある。もちろん、動力で動くものはみな好きだが…。
小学生の頃、乗用車のスプリングは「リーフ・スプリング」であった。急加速するとばねが妙な形にねじれるのを知った。作用・反作用の原理で説明できた。ばねの隙間の摩擦が振動を吸収することもよくわかった。

 そのうちに「コイルスプリング + ショックアブソーバ + リンク」の時代が来て、リンクが反作用を受け持つのを知った。ショックアブソーバがないといつまでも車体のゆれが止まらないことも理解した。

 鉄道模型を、固定軸の「EB電関」というおもちゃで始めたころはわからなかったが、動輪がスプリングで可動するタイプの機関車を見て、これはインチキだと思った。というのは、反作用でギヤボックスが倒れてくるのを支えるものが何もない。怪しげなゴムのチューブでつながっていて、反作用があればそれがたわむ方向または伸びる方向に作用した。しかし、ゴムチューブは硬いらしくびくともしない。ということは、ギヤボックスの自由な運動を妨げている。TMSを読んでもほとんどそれに関する記述を見たことがない。

 しばらくしていすゞのジェミニという車が発売された。その動力伝達機構は、それまでのタイプとやや違っていた。反作用を受け持たせるリンクがなく、単純な構造であった。これでは走らないはずだと、よく調べたら、ドライヴ・シャフトが、やや太目のパイプの中を通っている。そのパイプの一端が車体に取り付けられている。これを「トルクチューブ」と呼んだ。当然、推進軸の反作用もそれで受けている。当時、いすゞはGMと技術提携していた。GMの車にはこれを採用したものが多い。ポルシェも採用している。

 うまい工夫である。これを採用しようと思った。現在、祖父江氏の工房で動力機構を改装するとほとんどこのタイプが採用されてくるはずだ。

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