ディジタル技術

2024年03月18日

TV camera

 クラブの長老H氏からTVカメラを付けて欲しいと依頼があった。レイアウトの車庫の奥には目が届かないが、安心して最奥まで列車を収めたいのだ。H氏は片手が不自由なので、高いところにカメラを付けたり細い穴にケーブルを通したりするのは難しい。工具一式を積んで喜んで出かけた。30分のドライヴである。

 どんなカメラなのかと聞くと、しばらく前に購入した防犯カメラで中国製であった。マニュアルはあるが、マニュアル通りには作動させられない。あると書いてあるボタンがなかったり、無茶苦茶である。
 8心のLANケーブルが要る。これはバッタ屋でお値打ちに調達したものだが、ちょうど良い長さであった。

TV camera 接続して調子を見るが、ちっとも言うことを聞かない。壊れているのか、機種が違うのか、ヴァージョンが違うのか分からない。30分くらい格闘して偶然にもよく写った瞬間に写真を撮った。設定の再現性を確認して操作手順書を作った。こういう仕事は楽しくない。中国製のものは買うべきではないことを再確認した。

 ともかく、カメラはヤードの全体を俯瞰している。H氏はとても喜び、早速運転を開始した。走らせて楽しむ模型人である。自宅にレイアウトを持っていない人は、つまらぬ(失礼!)ディテール付けの競争に向かうのだろう。我々はよく走る模型の製作に勤しんでいる。

dda40x at 03:18コメント(1) この記事をクリップ!

2024年03月04日

dead rail

 これら20の話題の中で、筆者が一番注目しているのは dead rail である。線路に通電しなくても走る動力車制御方式だ。当然電池駆動になる。
 博物館の隠しヤードには240輌ほど入る。分岐は10台あるが、おそらく、ありとあらゆる故障が生じると予想する。その度に車輌をすべてどかして点検し、故障を直すというのは考えただけでも気が滅入る。半分以上が手の届きにくい隙間にあり、そこになにかの導電性のかけらでも落ちようものなら、完全にアウトとなる。
 実物の鉄道の貨車ヤードに架線は張ってない。張るべきではないのだ。全く同様に、隠しヤードには通電したくない。脱線はまずないから、機関車が電池動力で無線操縦で動けば、すべて解決だ。分岐はすべて露出させてあるから、メンテナンスは簡単だ。ポイントの切替は、ギヤード・モータの常時通電式である。その駆動はDCCで行う。そうするとルート・コントロールが自然にできる。連結器開放ランプは設置しない。遠隔操作でカプラの開放ができるからだ。

 A氏が新たに開発された無線方式は極めて合理的で、信頼性が高く、なおかつ広範な応用が効く方式だ。これは無線方式のDCCであって、多数の機関車を個別に呼び出せる。サウンド装置発煙装置も連動する。神戸の会場でも披露して戴いた。連結器の開放も訳なく出来、入換機としては願ったり叶ったりだ。もし商品化されれば、よく売れるだろうと思うが、モータと動力伝達機構の効率が悪いと、すぐ電池がなくなって立ち往生するはずだ。すなわち、dead rail には高効率の動力装置が不可欠なのである。

dda40x at 03:04コメント(2) この記事をクリップ!

2023年11月15日

スポーク車輪

spoked wheel center (1) 3Dプリントで輪心を作ってみた。1次試作品である。これは銜え代が少なく、コレットで銜えるのが少々難しかった。2次試作品は少し長くしたから大丈夫だろう。


Nylon's difficulty 旋盤で削ると切り粉が出るが、ナイロン製であるとそれが切れにくい。糸のように繋がって出て、それを切るのが面倒だ
 
 バイトをよく研いで切れ味を最高に良くしても、結果は変わらない。この点ではデルリン(POMの一種)は優秀である。それを「快削性がある」という表現をするのには少々疑問があるが、とにかく削り粉が切れて出てくる。

 スポークが細くて実感的ではあるが、この車輪は剛性が足らない。車軸を持って車輪を触ると、軸がタイヤ裏面に対して垂直でなくなるのだ。もちろん力を緩めれば元に戻るが、少々ドキリとする。
 ということは動輪には使えそうもない。蒸気機関車の動輪のような大きなものはとても無理である。最近の電気機関車のようなボックス動輪でも、工夫をしないと剛性が足らないだろう。やはり3Dで作ったプラスティックの原型を金属に置き換える事が必要なのかもしれない。

dda40x at 11:15コメント(0) この記事をクリップ!

2023年09月12日

続 車輪を作る

 たまたま3Dの師のS氏がやって来たのでその話題を出すと、「それは諦めるべきだ。ナイロンの成形品を作るべし。」との御宣託で、鋳物の加工をやめることにした。この鋳物は市販品よりはずっとまともなものであったが、しょうがない。

 カツミの市販品の車輪は、1950年代にロクロ屋で家内工業で作っていたのだ。ネジはガラで切った。手で持ってネジを立て、斜めに入れば逆に傾けて切り、最後にまっすぐ通して出来上がりとしていた。このような怪しい作り方なので、ネジがガタガタなのは当然だ。
 
fastebing wheel center 車軸は、ローレットを切ったものを用意してあるので、話は簡単である。問題は3D成形品の表面の粗さである。タイヤがはまりにくいかも知れない。廻しておいてサンドペーパを当てれば良い。その廻す方法を考えた。旋盤を持っていない人でもできるという条件だ。それは銜え代(くわえしろ)を外側に付けておくことである。

 電気ドリルのチャックに銜えて廻すわけだ。表面がきれいになって所定の寸法になっていれば、タイヤに押し込んで出来上がりだ。もし緩むのが心配なら、スーパーXを塗れば固着する。銜え代は切り離すわけだが、よく切れる薄刃のニッパで落とせるようにしておけば良い。もちろん銜え代は輪心の外側である。その部分は見えにくいし、精度が要らない。切ったあとは何らかの方法で削るのは良いだろう。軸のジャーナル部は段付きになっているから、ボールベアリングがはまる位置は、輪心とは無関係に決まる。

 この方法を用いれば、カツミの怪しいスポーク形状とは縁が切れるわけだ。Low-Dのスポーク車輪を欲しがる人が多いので、かなりの需要を満たせる。もちろんOゲージ、OJゲージ用を用意している。バックゲージはOでは29.0 mm、OJでは21.5 mmである。また、タイヤ幅は 4 mm、3.5 mmである。 これらの数字は Low-D を機能させるための数字であって、守らないと脱線する可能性がある。


dda40x at 09:12コメント(0) この記事をクリップ!

2023年03月18日

続々々 伊藤 剛氏のGandy Dancers

 動画を見て、多くの方から素晴らしいとの感想を戴いている。外国からも賛辞が来ている。 

 TC氏からの抄訳を披露する。 
 メカニズムがほとんど復元され、動くようになっていますね。あとは列車接近の検知ですね。親方が笛を吹き、工夫たちは退避する訳です。これは踏切と同じです。
 剛さんは、この種のメカニズムの製作に長けた方なのですね!


 全くその通りで、メカニズムでほとんどの動きを解決し、タイマーで作動させていた。カムの形状が素晴らしいとのメイルが来ている。剛氏は、この種のカムについては非常に深い経験があるようであった。

 A氏によれば、まだまだメカニズムの調整をせねばならないとのことだが、潤滑法を工夫すると非常にうまくいくようになると思う。

dda40x at 03:18コメント(0) この記事をクリップ!

2023年02月18日

続々々々 Gandy Dancers

gandy dancers (1) これは制御基板の裏側である。さすがにこれでは作った本人以外分からない。基本的な回路図はあったが、それにいろいろなものを付け足しているし、定数を変化させているので、解析は無理だ。


 先日来、この一連の記事を読まれて、手伝いたいという方が何人か名乗り出てくれている。国内はもちろん、外国からも志願者が来ている。興味深いのは、どなたもコンピュータによるアナログ制御でやりたいとおっしゃるのだ。ということは、与えられた条件によって、動作のタイミングが変わることがあるということである。面白いように見えるが、それまでの必要はないように思う。

 根本的には、列車の検知回路で「退避・復帰」ができれば良く、それに附随して、「親方の動き・工夫たちの動き」があるだけである。退避するのはツルハシが降りたときだ。ということはクロックによる制御のほうが単純であろう。


 振り返ってみれば、アナログのシークェンス制御しかない時代が有ったが、確実に作動させることができていた。タービン機関車の起動停止は、まさにその実例である。
 原発も最近までこの方式の炉があったそうで、そういう意味でもアナログ式はあなどれないことは理解している。

dda40x at 02:18コメント(2) この記事をクリップ!

2023年02月10日

Gandy Dancers

 伊藤 剛氏の傑作の一つに線路工夫がある。最近はこの「工夫」という文字が読めない人が多いようだ。メモ書きを置いておいたら、”せんろ・くふう” と言った人が居て、驚いた。

 鉄道は危険な職場である。現在のような安全基準が確立されていない時代には、大怪我、殉職はよくあった。その家族、遺族が路頭に迷うことがないように鉄道弘済会が発足したということは、井上 豊氏からお聞きした。大きな駅の売店を任されたりすると、鉄道員の収入より良かったらしい。

エンヤコーラ (4) さて、保線の工夫は、親方の指示で動く。親方は見通しの良い場所で線路を見張っている。列車が近づくと、笛を吹き、退避させる。そうすると列車が通過し、また工夫たちは作業を開始する。
 その一連の作業を再現する模型を作ったのである。工夫は4人で1組である。歌を歌いながらツルハシを振り上げる。その時、振り上げは多少のばらつきがある。上で一瞬止めて、歌に合わせて同時に振り下ろす。
 剛氏の絶妙なアイデアがそこにある。4本のツルハシはイコライザで結ばれていて、持ち上がる瞬間に微妙なズレが発生しても、それらが全て上死点に来ると、同じタイミングで振り下ろすのである。


dda40x at 02:10コメント(2) この記事をクリップ!

2022年12月24日

EMDの機関車用 traction motor を付ける

traction motor (1) 何台かの機関車を作るうちに、あることに気がついた。実物の台車の中にモータを収める場合は問題ないのだが、台車の外側にモータを吊る場合は、そのモータが丸見えなのだ。すなわち、ついていないと透けて見えて変なものだ。要するに、何かがそこにあるべきだ。

EMD traction motor (3) KS台車を作る時にダミィ・モータを作るので、ついでにこれを作った。電車用と異なるのは、冷却用のブロワ・ダクトである。それらしく上に伸ばした。あまり見えないので、細かく作る必要はない。 


EMD traction motor (1) 横から見るとこのような調子だ。十分である。 3軸台車、4軸台車にはこのようにモータが外に出ているものが多い。なぜかというと、モータが車軸の後ろ側に全て取付けられるので、一番後ろのモータは外にぶら下がるわけだ。2軸台車の場合は、台車の中の車軸の隙間に2台のモータが取付られているから、外からは見えない。

 3Dプリントでこのようなものを容易に作れるようになったので、いろいろな意味で助かっている。もしこれが金属製なら、あちこちに触ってショートするだろう。また重くなって大変である。 

dda40x at 12:24コメント(0) この記事をクリップ!

2022年04月15日

HO用3条ウォームギヤ・セット

「HOゲージ用の3条ウォームを作って欲しい」という要望が、かねてからあった。問題点は発注ロットで、最低300組の注文がないと、動き出せなかった。
 Oゲージ用の注文が溜まってきて、それと同規格にすることを思い付いた。厚みだけ減らせばよいのだ。HOゲージの蒸気機関車に使える。Oゲージ用はディーゼル機関車や電車用である。外径は約14 mmで、ギヤボックスの底を削ると、ギリギリで9600にも使えるということであった。穴は薄いフィルムで覆えば良い。潤滑剤は、モリブデングリスをほんの少し塗るだけなので、漏れることもない。

 ギヤ比は3/23で、蒸気機関車にはやや低いかもしれないが、時代はDCCである。DCCでは低い電圧を作り出せるので、問題はない。重負荷のときはもう少し高い電圧を掛けられる。

 何人かの友人に先行試作品を買って戴き、テストをお願いした。結果は非常に良く、2輌の機関車を同一の線路に置き、片方を押すと他方が走るそうである。トルクアームあるいは吊り掛け装置は、仮のものであろう。

「HOのギヤを1両組み込んでみました。素晴らしい走りです。これまで動力装置を色々と試してきましたが、これ以上のものはありません。」
というお便りも受け取った。差出人は工学部機械学科出身の方で、この分野には明るいから、よく理解された上での感想であろう。

 3Dプリントの特性上、肉厚が減らせない部分がある。製品を削るのは全く問題ないので、薄くしたいときは、外面を0.5 mm程度削るように、お願いした。また、外形は冗長性を持たせてあるので、差し障る部分は切り落せば良い。トルクアームを付けるべく、上に角を出してあるが、そこは使い方によっては不要になることもあるだろう。


dda40x at 04:15コメント(4) この記事をクリップ!

2022年04月13日

続 六角ジョイント

hexgonal joints 最近、今野氏ブログ採り上げられたので、問い合わせが多い。寸法を聞いて、自分で作るつもりの方もいらっしゃるようだが、かなりノウハウが有るので、そう簡単には出来ないだろう。ここに来るまでに、かなりの試作をしている。材質もABSではいけない。長持ちしないのだ。寸法は長短2種用意した。M1.4のナット(対辺3 mm)の角を落として用いる。これは旋盤で落とすべきである。

 今野氏は例のシリコーン・チューブを使うのを避けたかったようだ。正しい解釈である。シリコーン・チューブは鉄道模型の推進力伝達には全く適さないものである。

 六角ジョイントは、次の3つの問題点を同時に解決する。
(1)軸の曲がり
(2)軸ずれ 
(3)軸の伸縮
 もちろん大きな修正は期待できないから、目で見てほぼ合っている程度に調整してから、採用して戴きたい。角速度変化は極めて小さい。
 ギヤボックスには、反トルクを承ける何らかの装置が必要である。一般的にはトルクアームを付けるべきだ。これがないと、発進時あるいは減速時に、ジョイントが抜けてしまうだろう。

 六角ジョイントの中には隔壁が有る。そこには2つの弱いバネが入れてあり、浮動している。この浮動がミソなのである。それに気付かず、「音がする」と文句を言う人が居る。きちんと説明しているのに、話を聞かない人である。こういう人とは、縁を持ちたくない。 

dda40x at 04:13コメント(0) この記事をクリップ!

2021年11月18日

信号装置の修理

signal wiring 信号機の一部が不調であった。設置時から、1つがうまく作動しない。開発者のNS氏から連絡戴いて、見てもらうことになった。車から荷物を出すのを手伝ったところ、陰極線管の付いた、重いオシロスコープまで持ってきて下さった事に気がついた。

 要点を押さえたトラブル・シューティングにより、すぐに不具合の箇所がわかった。さすがは開発者である。配線をやり直して、作動を確認した。テストをしながら新しい部品に替えてみたところ、無事作動を確認できた。

 レイアウト一巡り100 m弱が4セクションに分かれている。短い旅客列車は全く問題ないが、長い貨物列車は2セクションをまたいで走るので、緑色の信号が出ないのは仕方がない。いつも黄色を踏みながら走る。短い60輛運転なら緑色信号が出る。

 渡り線がある部分では、遠方信号機がその開通方向を示すので、なかなか面白いはずだ。

dda40x at 11:18コメント(0) この記事をクリップ!

2021年10月29日

EF58の先台車

lead truck S氏に3Dプリントの作成をお願いしていたが、設計が終わり、先台車が納品された。こういうものは樹脂成形に限る。
 というのは、Oゲージでは先台車枠を広く作らざるを得ないからだ。デッキのハシゴが開き過ぎて、実感的でない。 これを解決するには、接触しても短絡の心配のない樹脂で、なるべく台車枠を狭く作ることだ。そして、デッキのハシゴに関節を付けて、押し上げられるようにする。半径2800 mmの曲線上では、ほんの少しはね上げられる程度にできる。よその線路には持ち出さないので、十分である。

 昔のOゲージを、博物館の線路に適合させるだけだから、難しい工作をする必要もない。伝動装置は3条ウォームの全軸駆動で、モータ軸からはチェインで下げる。もちろん前後の台車は連動し、牽引力を稼ぐ


dda40x at 10:29コメント(0) この記事をクリップ!

2021年08月08日

レーザによる切り抜き

What is this? 先回のお答がまだ少ないので、少し時間稼ぎのネタである。これは何だろう。大きさは100mm角より少し小さい。
 ステンレスで作ったから、ハンダ付けは容易である。熱が逃げないから、小さなコテで、よく付く。ハシゴなども作った。各種のハンダを使ってみた。やはりスズ63%のハンダに限る。これは液と固体の2つの相しか持たないから、一瞬で融け、コテを離すと固まる。また、液状のときの粘りはほとんど感じられない。隙間にするりと沁み込んでいくので、後で削る必要もほとんど感じない。この写真では60%のハンダを使った部分も写っているので、ハンダが盛り上がっているところもある。

field magnet 最近は、レーザ屋さんは忙しいらしく、少々待たされた。他にも色々なものを作ってもらった。厚いものでも平気で抜けると力説するが、さすがに38 mmの鉄心を一発で抜くことは出来ない。19 mmを2枚ということを考えたが、ネジ穴はあけられないらしい。厚さの半分くらいの穴なら、あくそうだ。仕方がないから、9.5 ✕ 4 = 38 とした。これはLobaughの調子の良さそうなモータの界磁鉄心である。このモータは550 g もある。界磁をネオジム磁石の強力なものにしてどうなるかをテストしたい。界磁磁石が強すぎるということも考えられる。電機子の電磁石など無視して磁力線が通過すると、アウトだ。どうなるだろう。
 Φ4.1 とΦ3.2の孔をあけたが、中に融けた鉄のかけらがあるので、ボルトが通らない。ドリルで貫通させておいた。周辺も微妙にカエリが出ていたりするので、ベルト・サンダで落とした。
 エポキシ接着剤で、4枚を貼り付けて組むことにする。 

dda40x at 08:06コメント(3) この記事をクリップ!

2021年08月04日

TR47 再生産

 例の客車群を全数完成させたが、そのためには台車をたくさん作らねばならなかった。ブラス製の古いカツミの台車は廃棄して地金になり、新たに3Dプリントした台車を作った。

 前回の出力では、あまり表面が綺麗とは言えなかった。見えにくい影になる部分だから、シルエットさえ良ければ十分と思っていたが、そうは思わない人もいる。多少なりとも平滑な仕上がりを得たいと思っていた。

 ちょうど3Dの師のS氏から、最近は受注する工場が価格を上げて来たので、より平滑な出力方式と大差ない値段になったと知らせてきた。それならば、と平滑な出力方式に切り替えた。仕上がりには満足できた。下手なロストワックス製よりずっと良い。

new TR47 Low-Dを嵌めた状態である。実に簡単に組め、ひねりに対して柔軟である。
 客車の電装は済んでいないが、内装が終われば当然照明を付ける。
その時に付ける集電ブラシだが、実に簡単である。絶縁の必要がないので、台車に直接ネジ孔をあけて、ブラシの元をネジ留めすれば出来上がりだ。

 転がりは最高である。0.25%の勾配で滑り降りる。14輛編成で20 gf の引張力で足りるという驚異的な低摩擦が可能である。   

dda40x at 08:04コメント(0) この記事をクリップ!

2021年07月29日

貨車を完成させる

 台車を組み立てたので、未完成だった貨車に手を付けた。九割方できた状態で放置してあったものを集めて、完成しやすいものから手を付けた。

 どれも3時間程で完成し、塗装を待つだけとなった。博物館のヤードにはあと15輛分しか余裕がない。飽和すれば、自宅のレイアウトに逆戻りするものも出てくる。凝った作りのものは、ガラスケースに飾るという手もある。

GS gon これは随分前に紹介したものである。その後3Dプリントで下廻りを作り、今回は細かい工作をして、連結器高さの調整をしただけだ。
 3Dプリントで梁を作ったが、鏡像の部品ばかりだ。2回に分けて出力して、組み合わせた。染色して色を変えたので、わかりやすい。正確に出来ているので、無調整で組めた。これもS氏の設計である。これをブラスで作ることは、あまりにも大変で避けたかった。 

 角線に通す4 mm角の細かい部品は3Dでは作りにくい。厚さが足らなかったりして、何回か作り直した。この部品は、無理に押し込むと割れてしまう。内寸を正確に出力してくれないと手直しが大変で、しかも角度が狂うとみっともない。
 大きなものは間違いなく作れるが、細くて小さなものは難しい事がわかった。

 天気図をよく見て、塗装の日取りを決める。同時に塗る何輛かの下地処理も行っている。塗装の準備は楽しい。 

dda40x at 07:29コメント(0) この記事をクリップ!

2021年07月27日

続 枕梁を更新する

 この枕梁は、快削ブラスの角棒から削り出したものを作ったことがあるが、上の3つの峰の部分を作るのが面倒で、一つ作ってやめた。

 その後10年も走らせていると、破損台車が20台以上溜まってしまい、なんとかせねばならなかった。もう供給が少ないので、修理する以外無いのだ。
 この製品は昔は安かったが、今はバネ入れの人件費が高いらしく、完成品は手に入りにくい。バラの状態では売っていたが、買う人がなく、それも消えてしまった。折れるから、枕梁だけは売っていたが、それも見なくなった。唯一の入手法は、コンヴェンション会場のスワップミートで、台車目的で中古貨車を買って、車体を捨てることだ。

 こういうものこそ、ナイロンで3Dプリントすべきである。見かけ上大切な、3つの峰と嵌め合い寸法だけは気を付けて、他は強度第一の設計にした。
 枕梁が割れるのには、もう一つのファクタがある。キングピンの頭だ。もともとは4-40 (2.8 mm径) というインチネジのはずだが、日本ではM3のネジがちょうど良い太さで、それを使うように車体にメネジを立てる。このM3の頭は、台車枕梁の穴にぎりぎり入るので、ねじ込むと抜けることがないから便利だと思った。しかし、ねじ込むことによってストレスを与え、ヒビを生じさせるのだ。枕梁の穴には抜き勾配があって、ネジを締めると食い込んで広がるのだ。筆者はそれに気が付いて、その工法は止めたが、その後遺症が出ているのだろう。この方法は、直ちにやめるべきだ。
 もう一つ、光による影響がある。塗装してない台車は劣化が早い。 中古貨車の部品は劣化していることが多い。

fixed bolster  例によってバネを嵌めるのは大変だが、デンタル・フロスを使った。台車は古く、埃が積もっているのはお許し願う。 

 一部の台車にはボールベアリングを仕込んである。車重が1 kgもあるような貨車にはそうせざるを得ない。3本のバネは中くらいまで撓んでいる。浮いている状態だから、ポイントを渡るときの動揺が実感的である。

dda40x at 07:27コメント(0) この記事をクリップ!

2021年07月25日

枕梁を更新する

 貨車の台車は、 Athearn のデルリン台車に敵うものはない。その低摩擦は、Low-Dと組合わせると無敵である。ピヴォット軸受であるが、軸重100 g重までなら全く問題ない。しかし、長期に亘って使用していると、たまに事故もある。

Athearn truck bolster 台車枕梁が破損するのである。一番多いのは黄色矢印の部分のひび割れである。徐々に疲労し、脱線などの衝撃で折れてしまう。折れなくても片側が開いて、枕梁が曲がる。すなわち、車軸が外れ、脱線する。この設計はまずい。力のかかるところの肉厚が、一番小さいのだ。ネジによる応力割れもある(後述)。
 二番目に多い事故は、赤色矢印の爪状部分の破損だ。これが赤の線で欠けてしまう。脱線などで、衝撃があると欠けるのだろう。これが無くなると台車枠は外れ、脱線転覆する大事故につながる。

 台車枠は、デルリン(いわゆるポリアセタール)であるのに、枕梁はポリスチレンである。とても弱い。リモネンを使って接着しても、他のところが割れてしまう。
 こんなところにポリスチレンを使うのは間違いだ。こういうところこそ、結晶性プラスティックを使うべきだ。どうしてデルリンを使わないのだろう。 

dda40x at 07:25コメント(0) この記事をクリップ!

2021年07月13日

M10000の座席

3D print M10000の座席をアルミニウム板と木片から作り始めたが、形が揃いにくく、たくさん作ってそれから選る必要があった。その準備を始めたが、しばらく放置されていた。
 3Dの師のS氏から連絡があって、お願いすべきものを頼んだ。座席の話を出すと、空きスペースがあるからそこに突っ込めば安上がりだと教えてもらった。

 早速、簡単な図面と写真を送ったところ、たちまち図面が到来し、承認した次の日には造形が始まったようだ。あっという間に届いて、床板に付けられた。実は貼り足したアルミ板の厚さの分だけ高さを減らすのを忘れて、底面をベルトサンダで擦り落としている。

M10000 スーパーXで貼り付けて、塗装した。すぐ出来上がり、人形をごく適当に乗せた。例によって人形の足は切断したり、背中や尻を削ったりしているので、車内を覗き込まれると、具合が悪い。この種のあまり見えない造作は、3Dプリントで十分だ。簡単で、安価である。S氏には感謝する。

  例の「はと」編成の座席を作らねばならない。3Dプリントで作るに限る。参考になる図面を探している。  

dda40x at 07:13コメント(0) この記事をクリップ!

2021年02月13日

続 漏電

 この種の漏電箇所は、這いつくばって探しても、そう簡単には見つからない。最近の大きな技術的な進歩が無ければ、発見は難しかったと思う。

 Tom Harveyは、
「俺は線路の every inch(どの1インチ)をも知り尽くしている。」
と豪語していた。レイアウト中を這い廻って作業した時、筆者はその言葉を思い出していた。

 以前、絶縁車輪を作った時、ショートして困ったことがある。小さな金属クズが絶縁紙に刺さっていて、通電しているのだろう。祖父江氏に聞くと、
「なーに、簡単だよぉ。自動車のバッテリィを持ってきて、ちょっとつなぐと、いいんだよぉ。パシッと音がして、問題個所は燃えてなくなっちまうんだぁ。」
と言った。乱暴ではあるが、それで解決することが多かった。これは鉛蓄電池の内部抵抗が小さいことを利用している。

 その後アメリカで、レイアウトのショート箇所を特定するのに、似た方法を使うのを見た。可能性のある部分に、人をたくさん配置してレイアウトの上下の面を見張らせた上で、バッテリー(確か24 Vだと思う)をつなぐのだ。どこかから煙が上がるから、用意した水を掛けて消す。アメリカの大きなレイアウトの饋電線はAWG12(約3.5 mmsq)以上だから数十アンペア以上流していることになる。
 今回もそれがやりたかったが、一人ではそんな危ないことはできない。そのまま火事になるかもしれないからだ。もう少し賢い方法を採らねばならない。
 
 肺炎禍で非接触体温計が手に入りやすい。これを使った。大きなトランスを用いて15 Vを掛けると、10 Aほど流れるから、温かくなるだろう。通電しながら怪しい部分の温度を測定した。すぐに温かい部分が特定された。電源を切り、修復作業に取り掛かった。この方法なら、煙が出る前だから、安全である。

 ダブルスリップの絶縁されたフログのギャップ部分に青い錆のかけらがあった。ハンダを外して分解清掃し、再度組み立てた。ギャップにはエポキシ樹脂を詰め込んだから、大丈夫だろう。場所の特定までには長い時間が掛かったが、修復はあっという間だった。

 この方法は、むすこたかなし氏から赤外放射計を使うというヒントを得たことから、思い付いた。感謝する。 
 今回の件で、レイアウト全体に掃除が行き届き、とてもきれいになったのは思わぬ余禄である。

dda40x at 02:13コメント(2) この記事をクリップ!

2021年02月07日

信号機の工事

working signal 年末から掛かっていた信号機9台の配線が、すべて完成した。今回の配線工事にはF氏が駆け付けてくれた。1台だけ少々不都合があるが、いずれ解決できる見通しが立った。
 全区間を4つに分けた複線だが、遠方信号機も必要になって9台設置した。


cantilever signal bridge 遠方信号機はCantilever型に付けられている。これは分岐があって、その進路を示すためにも必要なものだ。右に曲がるとダブルスリップがあるので、それが開いていることを示すものである。この角度からであると、信号機の配線が少し見えるが、観客側からは殆ど気が付かない程度になった。同じ色で塗れば、目立たない。 

signal bridge 信号機を作るのはそれなりに面倒な仕事ではあるが、その配線がこんなに大変だとは思わなかった。たくさんの線を見えないように配置せねばならない。細い線を使いたいので、ポリウレタン被覆線を採用した。それを束ねて軽く撚り、熱収縮チューブに入れて加熱する。細いものを用いるとΦ1.5程度になるので、それを鉄骨の陰になるように接着する。細いクランプをたくさん必要とするので、一部は洗濯バサミを加工して自作した。接着には時間が掛かるので、かなり長期間の工事であった。漏電すると失敗であるので、各工程ごとに絶縁試験をした。その手間が、とても大変であった。この信号橋には全部で18本の電線が通っているが、全く見えないように死角に設置することができた。これだけで1週間掛かってしまった。

 これらの写真には、信号機の裏に漏れる光も写ってしまっている。いずれ遮光塗料を塗れば見えなくなるはずだ。


dda40x at 02:07コメント(0) この記事をクリップ!

2020年12月15日

3Dプリントによる国鉄型台車

 S氏にお願いし3D-printed (1)3D-printed (2)た国鉄型台車が到着した。この写真はかなりの近接撮影であってざらつきが気になるが、実際の鑑賞距離ではほとんど見えない。Oスケールでの鑑賞距離は50 cmほどだろう。HOゲージならば、滑らかさを追求した別の出力方式を採る必要があるだろう。本物の図面から描き起こし、模型化の手順を経ているので、走行性能は抜群である。 実物をそのまま縮小した訳ではない

 稲葉氏の遺品である昭和29年の客車列車を保管することになり、その台車を交換する必要に迫られた。OJに改軌する必要があるのかもしれないが、とりあえずOゲージの台車を履かせて、12輌編成の特急、急行列車としたかった。機関車はEF58をお預かりしているので、その下廻りを新規に作れば一応の体裁は整う。その部品は揃った。

 OJ長軸が作ってあるから、車輪を嵌め替えればOJ用にもなるが、ブレーキ位置が異なる。しかし台車自身それほど高価なものでもないので、OJ用のも作ってもらった。こうすれば台車ごと嵌め替えれば対応でき、楽である。
 もちろん、ブレーキ装置は車輪踏面に当たるような位置に来ている。

  TR47、TR23を作ってもらったので、ピヴォット軸を嵌めれば走らせることが出来る。軽い車体なので、それで十分だ。ただ、床下器具は接着剤が劣化しているので、全部剥がして優秀な接着剤による再接着が必要だ。今のままでは、走行中に落下する。

 車輪はスポーク輪心ではないが、TR47では全く目立たない。TR23には、新設計のスポーク輪心を再利用するプロジェクトの完成を待ちたい。このスポーク車輪の再生は新年には出来るだろう。今、ネジ太さの微妙な調整で手間取っている。

 この新台車は、素材の性能を生かしたひねりの利く設計を採用している。すなわち、台車そのものが線路の凹凸に追従するから、バネ装置を省略できて経済的で、しかしながら走行性能は抜群である。端梁は、180度屈曲させ、ひねりに対応する。イコライズされているわけではないが、弾性のある素材を使っているからこそできる技である。走りは静かで、脱線も少ない。
(左の写真ではその180度ひねりの部品を、仮に上に載せて撮影している。実際には右のように上面が面一になる。)

dda40x at 12:15コメント(2) この記事をクリップ!

2020年09月22日

続々 信号機設置工事

occupancy detection Occupancy detection 車輛検知には赤外光を用いる。 sender と receiver が要る。伊藤剛方式で、連結器高さで斜めに光を送り、車輛で遮られるのを検知する。
 設計者は、蛍光灯のちらつきなどには一切影響を受けないようにして下さったそうなので、簡単なひさし状のものを飾りに付けただけである。写真は、どんな雰囲気か知るために、置いてみたところである。

 ブラス部品をハンダ付けし、電子部品を付ける。絶縁には十分気を付ける。脱線事故があると、曲がったり折れたりするだろう。今のところ、建設予定地では一度も脱線していないから、事故でセンサをなぎ倒すことは無いと信じている。しかし建築限界の外とは言え、気になるところだ。 
 あまり丈夫に作ると、万一ぶつかった時に二次被害が起きるといけないから、支柱はなるべく薄い材料で作り、曲がり易くした。センダには2本、レシーヴァには4本の線がある。それを信号機制御モヂュールにつなぐ。

 モヂュールは普段は見えないようにしてあるが、点検時には引き出せるように蝶番で留める。
 信号機の3つのLEDは̟、+コモンで4本がつながる。この線は目立つのでなるべく細い線を使って、信号橋の鉄骨に沿わせる。黄色LEDは、amber を採用した。これは昔から気になっていることで、電球の時代から決して黄色ではなかった。いくつかの天然色写真を見ても感じることである。鉄道模型では黄色が多く、違和感を感じる。 

 すべての段取りができた状態で、設計者に監督をお願いして配線工事をするつもりだ。この種の作業は一人ではできない。

dda40x at 09:22コメント(0) この記事をクリップ!

2020年09月20日

続 信号機設置工事

 LEDは各種を比較して、色の良いものを採用した。

Green LED 最近は道路の信号機用の青緑色のLEDが主流で、純緑で良いものがなかなか買えなかった。どのような色かを表すために写真を撮ろうとしたが、発光体の撮影は難しい。色バランスの問題があり、絞りだけでは調整ができない。手前に電球色を並べると比較的差のある写真が撮れたが、良い写真ではない。右側が純緑、左側が青緑色の道路信号機用である。その間に光っているかどうかも分からない小さなLEDがある。これは、25年前の緑色LEDである。現在のものとは輝度が3桁も違う。

 日本の道路用の信号機の緑はかなり青い。赤緑色盲の人でも感じやすいという利点があるという。戦後すぐに導入された信号機はアメリカの仕様だったそうで、緑色だった。ところが日本の法律では青信号と書いてあったので問題になり、少し青味を持たせたらしい。
 アメリカの鉄道信号は純緑である。その色を再現するLEDが欲しかったので、波長 520 nmを入手した。
 最近はアメリカでもLED信号機の普及により、道路用信号機が青緑色になってしまった。この色はturquoise(トルコ石)と呼ばれる。


 信号機の橙色は、英語では amber(琥珀色) というらしい。信号機の本にそう書いてある。米語では黄色と言っていた。日本の道路信号機は黄色だったが、最近はやや琥珀色のものが多い。自動車のターンシグナルの色も最近やや赤みが増してきて、琥珀色に近づいたように感じる。輸入車の色と国産車の色に違いがあることに気が付かれる方も多いと思う。ヨーロッパでは確実に琥珀色である。ヨーロッパでは条約を結んでいるので共通だが、アメリカと日本はその条約を批准していないと識者が教えてくれた。

 昔はレンズの色で決まっていたが、LEDの時代になると、世界中が共通の発光ディヴァイスを使うようになってきたのかもしれない。それは条約よりも効き目のあることである。  

追記 東急電鉄の緑色信号機は純緑(520 nm)であった。会社によって違うのである。11/5/20 

dda40x at 09:20コメント(2) この記事をクリップ!

2020年09月18日

信号機設置工事

 工程表によれば3月に完成しているはずであったが、Covid19で助っ人が誰も来てくれなくなり、信号機の工事は延期されていた。
 信号機の回路そのものは3年も前に完成していたが、信号橋その他のハードウェアの準備が遅れた。

 とりあえず電線だけ全体に張り巡らしたが、この種の工事は一人でやると大変である。一区間が22 mあり、レイアウトの骨組みの中を通さねばならない。8心の電線がいるので、大量に余っていたLAN cableを使った。100 mほど消費した。

sender + receiver 信号機の設置部分には接続用の端子台が必要なので、バッタ屋で見つけた端子を長ネジを作って組み、台になる合板にアルミのアングルで取り付けた。ネジはM4で、SS(普通鋼)の棒材で作り、さび止めを施した。ユルミ止めはロックタイトである。久しぶりにSSにネジを切ったが、大変である。こんなにも粘る材料だったかと驚いた。さりとて快削鋼を使うと、ネジを締めた途端に切れた経験があるから避けた。

 この種の下準備に数日掛かった。電線通しだけは助っ人のあるときにやるべきであった。

dda40x at 09:18コメント(0) この記事をクリップ!

2020年08月23日

続 非金属製車輌の末路

 ウレタンは、熱可塑性ではない。いわゆる”流れる固体”ではないのだが、現実はこれだ。やはりプラスティック素材で骨を入れずに長い客車などを作るのは避けるべきである。成型した後、片面だけ機械加工してあるのが、ファクターとしては大きいと思う。片面だけ応力が解放されているのだろう。だから、その面にジュラルミンの板を貼ってあると、かなり違う。ジュラルミンの薄板は飛行機の材料だと思う。友人から少し貰ったのだが、もう使い尽くした。熱処理した鋼板でも良いだろう。側板は内側に反っている。(先日会ったF氏はブラス板に筋を入れて木製の側板を再現したが、裏側も同様の筋を入れていた。うまい工夫である。両面の応力を開放すると反りが無くなるのだ。)

 彼のいくつかのキットを未組で持っているので、反りを調べている。組んでない状態でも屋根板は少しずつ反っている。これを組み付けると全体が反るだろう。硬いアルミ製のアングルを、逆に反らせてエポキシ接着剤を塗ってクランプで締めた。こうすると反りは抑えられ、安定した。

 何年か経つと、ウレタンは徐々に加水分解され、壊れていくはずだ。壊れないウレタンは残念ながら存在しない。その期間が10年なのか、20年なのか、100年なのかは分からない。日本の模型に詰められたスポンジは、ほとんどが劣化してしまったようだ。不思議なのは、アメリカ製のスポンジがダメになったのはほとんど無いことだ。材料が微妙に異なるらしいところまでは突き止めた。
 我家の建築資材はアメリカ製のものが多い。断熱材のウレタンを一部剥がしてみたが、25年でほとんど劣化していなかったので少し安心したが、油断はできない。

 この客車もそのうちに駄目になるだろうから、寸法を取ってブラス板からレーザ・カットで再生することにした。このような客車を作るのは難しいことではない。リヴェット打ちはかなり大変であるが、橋を作った時のことを思えば大したことではない。屋根は定評のある木製にする。60年物の屋根材がいくつかある。 
 いずれ製作記を掲載するつもりだ。2輌作る。 

dda40x at 08:23コメント(2) この記事をクリップ!

2020年07月20日

続 3D print についてのコメント

 コメントでYoutubeを紹介してあったので、見た。大変面白い。出来たものを加熱している。"annealing"という言葉を使っているのも興味深い。これは本来の意味から離れて、別の概念を紹介するためにわざと使っているものである。正しい用語とは言えない。丈夫になることを言っている。本来の意味は、金属が様々な原因で硬くなったのを、加熱して軟らかくすることである。原子の再配列をすることだ。ここでは高分子の再配列により、堅くしている。
 ちなみに、”annealed” という言葉は、中村修二氏の青色LEDの特許に関する紛争で、「これはすでにannealed ideaであって…」と相手側が反論しているのを見た覚えがある。突出した考え方ではなく、時間が経って既にありきたりの方法だと主張しているのであった。結果としてそれは認められなかったようだが、面白い用法だと思った。 

 シャツをくしゃくしゃと箱に詰めるよりも畳んで詰めるとたくさん入るという実例を示している。これは筆者もよく使う説明の方法で、結晶化によって密度が増大することを理解しやすくする。この動画をご覧になるとよい。英語は平易で、字幕も出るからわかりやすい。

 筆者の記事にもあるが、ポリエチレンが結晶化すると、密度はかなり増大する。結晶化という現象は、目の前で起こるとなるほどとは思うが、ほとんどの人はそれを見たことはない。
 インターネットなどでそれを知ると、”それが最初から自分の頭の中にあったように勘違いする”人が多い世の中になったと、昔のコメントに書いてあったが、本当にその通りである。拙ブログのコメントにも、まさにその実例がたくさん来る。

 今後AIが進歩すれば、機械が瞬時に探し出してくれるようなことを、さも「自分はこの分野には詳しいのです」、と言わんばかりにコメントを送って来る。こちらは長年の経験でそういうことはすぐわかる。そういうことを理解している人の数は極めて少ないものなのだ。 

 話は元に戻るが、この動画はなかなか面白い。経験したことの中の、使える部分をうまく抽出している。寸法を保つということを放棄して、強度増大を主眼にしているのだ。

 PLAとはポリ乳酸である。一時期、生分解性があると売り込んでいたが、それはそれほどでもなく、最近は別の観点での売り込みがなされる。

 筆者のアメリカの友人からは、「台車を3Dプリントで作ったから、お前も買え」という話が時々来るが、正しい材料を使ったものはほとんど無い。


dda40x at 07:20コメント(2) この記事をクリップ!

2020年07月18日

3D print についてのコメント

 過去数回3Dプリントについて書いてきた。コメント、私信が大変多く、注目されている内容であることが分かった。

 筆者は職業柄、材料を見ればどのような性質であって、長時間の後にはどうなるかは大体見当がつく。模型を作る人はそういうことには無頓着で、形ができれば満足するのだろう。3Dプリントが現実のものになってくると、様々なものが出て来る。10年後にはどうなるかなどとはだれも考えていないのではないか。

 アメリカの話だが、絶縁車輪の製法が変わったのは1960年代である。それまではベークライトが主体であった。その後ナイロンになった。ナイロンは優れた素材であるが、ただ一つ具合の悪いことがあった。それは削った時のクズが切れないのである。カミソリ状のものでそのクズを切り落とさないとみっともない。大変な手間がかかった。
 次に出て来たのはDelrinである。これは射出成型で作りやすく、そのスリーヴを嵌めて圧入するのは簡単である。また、それによってスリーヴが割れることもない。微妙に塑性変形して圧力を保ち、抜け止めに貢献する。要するに press fit が容易である。
 これに成功して鉄道模型界ではデルリン製(通称POM製)の歯車がたくさん作られたが、かなりの部分で応力割れが見られた。デルリンの歯車に無造作にシャフトを圧入したのである。5年位で割れてダメになった。

 現在ではこの方法は避けるべき方法として、かなり知られている。筆者はどうしてもこの部品を使わねばならないところには割れるボスの部分に金属製の環(タガみたいなもの)を嵌めている。こうすると殆ど場合助かる。以前紹介したチェイン・ドライヴのスプロケットではそうしている。要するに、中外から圧力がかかっていると、大丈夫だということだ。


dda40x at 07:18コメント(0) この記事をクリップ!

2020年07月16日

ギヤボックスを作る

 3条ウォームが少し残っていたが、ギヤボックスがない。図面を描いて自分で作る算段をしたが、凄まじい時間が掛かるし、精度のあるものが沢山できるかは疑問があった。一つだけ作るのなら喜んでやるが、ディーゼル電気やタービン電気機関車の動力は数十個を必要とする。CNC加工の外注という手も考えたが、外注先はそう簡単には見つからない。
 3Dプリントで樹脂型を作って、それを金属置換するのもアイデアとしてはあるが、鋳縮み測定の実験を数回せねばならないであろう。また決して安くはない。

 悩んでいたところ、S氏が焼結ナイロンでやってみようと言う。寸法安定性は十分にある。ただ、X,Y,Z軸の各方向の寸法再現性は、全くのデータ無しの状態であった。
 無調整で一発で組みたい。噛合い調整は絶対に避けたいのだ。時間の無駄であり、また効率が一定にならないから、惰行の仕方にばらつきが出る。工業製品としてのギヤボックスを目指すべきであるのだ。
 
Nylon gearbox 3軸のどの面が一番正確に再現されるかを調べるために、3通りの方向に試作品を並べて、積層の向きを指定して印刷した。常識的には、XY平面のお絵描きが一番正確であろうことは分かる。Z軸が問題なのだ。
 実験の結果は予想通りであった。Z軸の数字を調整して再度試作した。素組みしただけで、最高の性能が出るものを発注して、染色した。

 ボールベアリングを収めるスリーブが入る部分はリーマを通したが、ざらつきを取る程度の抵抗しかなかった。ネジ孔も印刷形成で良い筈であるが、M2のためにΦ1.6をあけておいて、ガラでタッピングした。切粉が大匙一杯ほど出た。この種の作業は楽しい。モリブデン・グリースをマイクロブラシで薄く塗り、ぱちぱちと組んで、あっという間に出来上がった。ギヤの噛み合いも均一で素晴らしい物であった。

 ナイロンは数十年以上問題なく使える筈であるし、重負荷で温かくなったとしてもその程度ではクリープは起こらない。たとえ壊れたとしても、データはあるので再現は簡単である。写真は二次試作品である。

dda40x at 07:16コメント(1) この記事をクリップ!

2020年07月14日

続々 3D プリンタに用いる樹脂

 ナイロンにはいろいろな種類がある。普通は6,6-ナイロンである。この6は、単位物質の炭素数による。作りやすい物が良いので、ベンゼン環の炭素数が保存される6から始まった。今はもっと安いものが原料に使われるが、6という数字は変わらない。現在では、8とか10という数字を含むナイロンもあるが、強度は6,6には敵わない。ナイロンを作ったのはCarothersという天才だが、最初に作られたものが、最終的に最も優れたものであったというのは、凄いことである。カラザースは立体構造を考え、分子間に働く水素結合が最も無理なく形成されるのは、6,6の場合であることに気が付いたのであった。今でこそ、分子設計という概念があるが、1930年代にそれを実現したのは、素晴らしいことである。

 これは実質的に流動し始める温度が268 ℃であり、とても高い。3Dプリンタではもう少し低い温度で融けるものが良い。炭素数の多いナイロンの中には、200 ℃近辺で流動するものもあり、それを使っている。

 粉体にレーザを当てて、瞬間的に融かして固めるので、どうしても多孔質になる。即ち、表面がざらざらし、油が浸み込みやすい。ざらざら感を無くすには、サーフェサを塗って研ぐしかない。大物で表面に平面があれば楽だが、そうでないとなかなか大変である。つるりとした感じを与えるものは、また異なる造形法であるが、高価格である。
 そういう点ではOスケールは鑑賞距離が大きいので有利である。遠くからしか見ないので、台車のざらつきなど、ほとんど見えはしない。  



   台車にナイロンを使う理由を聞かれたので、答えようと思った。基礎から説明する必要があり、3回分を充てた。 この手の話は化学に縁のない人には非常に説明しがたく、何回も書き直した。3Dプリントはかなりあちこちで使われているが、その説明を見ると首をかしげるものが多い。
 決してABSは万能ではなく、クリープの起きにくい材料を使うことの重要性を強調しておきたい。

 筆者は、本質的にプラスティック製車輛は避けたい種類の人間である。長い時間の後にも製造時と変わらぬ性能を持つ模型を作りたい。車体がプラスティックの機関車は僅かにあるが、下廻りはすべて金属で作り直してある。車重が2 kgもあれば、プラスティックだけでできていると徐々にクリープしていく。下廻りに用いる材料はブラスが主体で、熱硬化性の樹脂(3次元網目構造を持つ)のみを絶縁材に用いている。

 車輪の絶縁に用いる材料はPOMである。これがABSであると恐ろしい結果を招くだろうことは、お分かりかと思う。筆者は、接着剤も永く持つもの以外は絶対に使わない。エポキシ か スーパーXである。塗料も、より長持ちするエナメル系を用いている。

dda40x at 07:14コメント(1) この記事をクリップ!

2020年04月27日

続々 3D printing

National trucks この台車は以前作ったNationalの製品である。大きなコイルバネは別に作って、本体にぶら下げてある。こうすれば、数が必然的に合う。コイルバネは3Dで螺旋状に作られている。


clasp brake クラスプ・ブレーキ(両抱き踏面ブレーキ)を作った。なるべく密に詰めたクラスタである。こういう状態をクラスタというべきなのだ。一つで1台車分である。バネ座とか面倒なものは同時に作ってクラスタに入れておけば、数を数える必要もない。

 これでDaylight用の客車台車を作っている。本体はブラスの厚板をレーザで抜いたものだ。これはハンダ付けして組んである。
 ブレーキ装置で悩んでいた。ロストワックス鋳物では必ずショートする。ブレーキ関係をプラスティックにすれば問題は解決だ。ほとんどの製品では、ブレーキ・シュウが台車枠の位置にある。ショートしないように工夫したつもりだろうが、非常に大きな減点箇所である。そんな台車など要らない。ブレーキ・シュウの位置は大切である。  

 他の機能部品はいくつか問題があるので、発表はしばらく控えたい。積層方向によって、精度が変化する。3Dプリントは簡単そうに見えるが、高精度を期待すると、難しいものである。 次回の試し打ちでうまく行けばよいが、なかなか難しそうである。

dda40x at 04:27コメント(0) この記事をクリップ!

2020年04月25日

続 3D printing

6-wheel truck 今回作った新しい台車としては、このコイルスプリングの6輪台車がある。これには、見かけだけは良いが出来の悪い韓国製台車がある。高価であるがその機能はでたらめであって、揺れ枕は動くはずだが微動だにしない。摩擦が大きくて、たくさんは牽けそうもない。作り直す気が失せてしまうほどダメなものであったが、ボールベアリングを押し込んでLow-D化すると、良くなった(右)。バネを縮めるため、錘を載せてある。

 これを3Dプリントできればと思い、S氏に相談すると、それほど難しくないと言う。イコライザは例の支えを入れる手法で作り、コイルバネで荷重を受け持つ。基本的にプルマン6輪台車と同じである。揺れ枕は作らなかった。ボルスタアンカはΦ1のステンレス線である。
 この台車は銀色に塗装すると金属製に見える筈だ。荷物車、社長専用車などに使う。

 やはり客車の台車はプラスティック製に限る。絶対ショートしないし、軸の抵抗が少ない。現在使用中の金属製台車はすべて用済みとなる予定だ。そうすると、パシフィックでプルマン10輌が牽けるはずである(現在は6輌)。

disc brakebrake disc お遊びでこんなものも作った。ディスクブレーキ・ロータである。キャリパは省略した。やろうと思えば本物通り、 中空のventilated diskもできる。今回は外形だけである。旋盤で孔の中をリーマ通しして、心を出した。 

dda40x at 04:25コメント(0) この記事をクリップ!

2020年04月23日

3D printing

 今回の出力は多岐にわたる。構造・機能部品もあるし、台車関連もある。

light weight car truck (2) 台車の中ではこの軽量台車が出色である。これは1930年代のUPの特急M10002辺りから始まった軽量客車用の台車で、バネ下質量が小さい。またブレーキ装置が台車に付き、応答性が良い。もちろん、ブレーキロッドがちぎれる事故とは無縁になる。高速列車用として不可欠の要素をちりばめた台車である。S氏が「出来る」と言ってくれたので、ソフトウェアの作成をお願いした。

lightweight truck 1lightweight truck 2 この二つの図は極めて初期の構想図である。やめてしまったアイデアもあるし追加したものもある。重ね板バネは内部まで作ってあるが、揺れ枕は作動させなかった。 

light weight car truck (1)light weight car truck (3) 車輪径はやや小さく、36インチ(915 mm)ではない。貨車用の33インチよりも少し大きいようだ。確認できないが、34インチのようだ。
 模型ではフランジが大きいので33インチを嵌めるとちょうど良く見える。36インチではブレーキが掛かってしまう。 

 これをブラスで作ろうと思うとかなり難しい。5段くらいのロストワックス鋳物の集積を覚悟せねばならない。各部の組立精度の確保も難しい。飛び出したブレーキロッドもそう簡単にはできない。作っても曲がってしまうのがオチだ。また、ブレーキシュウを付けてあるが、近接させることができる。ショートの心配が無いからだ。

 こういうものは3Dに限る。バネを廃し、ボルスタの捻りで逃がしている。十分なcompliance (追随性)を発揮する。弾力があるのでバネの効果もある。仮車体を載せて走らせると極めて静かである。ボルスタは垂直荷重には耐えるが、捩り剛性を小さくする設計にしてある。

 ナイロンは結晶性プラスティックで、へたらない。熱可塑性ではあるが流動する温度は高く、常温では”流れ”ない。いわゆるプラモデルの材料のポリスチレンなどは、常温でも力を掛けていると少しずつ”流れて”、撓んだり潰れたりする。

 写真は高精細の近接撮影であるのでざらついて見えるが、30 cm程度の鑑賞距離であって、車体の下に付いているのであるから、全く気にならない。HO以下で矯めつ眇めつ見るには、やや粗いかもしれない。走行を主とするなら(そういう人は少ないが)全く問題ないだろう。

dda40x at 04:23コメント(0) この記事をクリップ!

2019年11月12日

折れない切断機用ハンドル

shear handles 折れないハンドルの注文がある程度溜まったので、発注した。切断機の回転軸の5/8インチ(15.87 mm)径の切れ端、キィ材のサンプルを添えて、切り出しを依頼した。厚板でも正確に切る自信があるとは言っていたが、さすがにキィをそのまま入れる注文は初めてだそうだ。
 うまくやってくれた。レーザの入射側はぴったりだ。油目ヤスリで調整するだけで、するっと入る。反対側はバリが多い。うまく切れているようだが、融けたものが再付着している。送り出す酸素の量を、もう少し増やすべきだったかもしれない。

 反対側は甲丸ヤスリでゴリゴリと出ているところを落とすと、ぴたりと入った。調整に要する時間は、5分ほどだ。

 角が手に痛いので、それはディスク・グラインダで落としてしまうべきだ。ホースの切れ端か、自転車の握りを付けると良いだろう。

 たいていの方はフライス盤をお持ちのようで問題ないが、少数の方にはキィ溝を彫って差し上げる必要がある。難しいことではないので引き受ける。

 このハンドルは 19 mm鋼板であるから重いが、レターパック・ライトに入るので安く送れる。郵便屋さんは、持つと驚くだろう。

dda40x at 11:12コメント(0) この記事をクリップ!

2019年11月10日

cantilevered signal bridge

cantilever signal bridge 門型の信号橋は作ったが、線路配置上、cantilever型の信号橋が必要となった。日本語では”カンチレバー”と書かれるが、この発音はなかなか難しい。キャンティリーヴァに近い。片持ち梁のことである。太字を強く発音する。
 この種の信号機はよく見るし、模型もふんだんにある。しかし満足のいく形の物は少ない。その話を northerns484 氏と話をしていたら、図面を描き起こしてくれることになった。
 上の部分は資料があるが、土台部分は写真も少なく、一体どうなっているのか見当もつかなかった。試しにいろいろな絵を描いてもらったが、しっくりこない。

cantilever signal bridge そうこうしているうちに、所蔵の本の中に本物の図面が載っているのを発見し、鮮明な1ページ大の写真を雑誌で見つけた。それで急速に話が進み、図面の完成を待って、2種類発注した。もう一種類も近日中に出来る。ミソはアンカ・ボルトの位置と、その周辺の構造である。フランジを二重にして、長いボルトを土台から飛び出させている。上と下の二段で締め込むから、締結力は強い。その模型構造は非常に巧妙に組まれたパズル的な構成で、すべての部品を差し込むと自然に目的の形になる。間違えると部品が入らないので、必ず正しい形になる。northerns484氏には改めて御礼申し上げる。

cantilever sssignal bridge (1)cantilever sssignal bridge (2) これらの写真は、ステンレスの切り抜き部品を全て組立てた状態で、これからガセットを作って貼り付ける。ハシゴの横木も、まだ付けていない。



 ガセットは小さく、数がそれほど多くもない。キャットウォークは金属製にするか、木製にするかで悩んでいる。木目のエッチング板もあるが綺麗過ぎるのだ。
 この1本は、観客からの鑑賞距離が近い位置に立てるので、皆さんがじっくり見る可能性がある。リヴェットはディカールで表現するものもあるので、それを貼り足してみよう。 

dda40x at 11:10コメント(3) この記事をクリップ!

2019年11月08日

laying flexible track

 古い知人のI氏が博物館に来訪した。工事を手伝ってくれるそうで、その下見に来てくれたのだ。 筆者は彼が高校生の時から知っているが、今年定年だそうだ。
 I氏は希望していた電鉄会社に勤め、 駅務から始めて車掌、運転士となり、長い間、特急電車の運転をしていた。そののち助役に昇進して退職したのだそうだ。

 根っからの電車ファンで、高校生の時から出色の作品を作っていた。特急電車の塗装が綺麗で、感心したことを覚えている。彼は今HOのレイアウトを作っている。彼のレイアウトセクションはいくつか見せて貰っているが、とても美しい。電車の運転士をしていたので、電車から見える景色を再現しているのだ。普通の人とは視点が少し異なる。

 博物館で列車をいくつか動かして見せた。120輌が音もなく動き始めるのには、驚いたようだ。ほとんどの車輛がブラス製というのは信じられない、と言った。
 車輪の現物を見せると、とても驚き、「信じられないほど綺麗ですね。」と言った。踏面の仕上げが、めっきとは違うことに気が付いたので、めっきの車輪を転がした音と比較した。既製品の車輪が一つもないことには感銘を受けたようだ。

 何に一番驚いたかと聞くと、
「線路の曲線が美しいですね。完全な緩和曲線が付いていて、しかも曲線の曲率が完全に一定になっています。」と言う。
「僕は運転士をしてましたから、そういうことには敏感です。今までいくつかのレイアウトを見てきましたが、ここの線路は別格です。ケチの付けようがありません。本物の線路のようです。」
と褒めてくれた。
「どうやったら、こんな綺麗な線路が敷けるのですか。いつも曲率を一定にするのに苦労しています。大きなコンパスも作りましたがうまく行きません。」と聞かれた。

 そこで、例のレーザで切り抜いたテンプレートを見せた。本線用の一定曲率のものと、緩和曲線のものを出してきて、実際に嵌めて見せた。彼はとても驚いた。
「これって高いのですか。」
「これは薄い鉄板だから安いよ。使い捨てでも気にならない程度だ。」と言うと、どうやら作ってみる気持ちになったらしい。

 この種のテンプレートは市販されるべきだろう。筆者のは貸し出したことがあるが、例が少ない。HO用は必要な人が多いに違いない。


dda40x at 11:08コメント(0) この記事をクリップ!

2019年10月05日

MKT covered Hopper

MKT CD covered  hopper このホッパ車はずいぶん前に紹介した。長らく色を塗れなかった。塗料も用意し、ディカールはDr.Yが作ってくださったが、上面のrunning boardが無かったのだ。

 入手した時の歩み板は気に入らなかった。加熱したプラスティック板を型に押し付け、印象を付けたものを張り合わせて構成してあったが、高さがおかしかった。足の長さが足らない、しかも本数が少ない。なおかつそれが弱い材料で、壊れた状態であった。
 この歩み板を自家製エッチングで作るつもりであったが、ある事情で断念した。それは近々、むすこたかなし氏が解説されるはずだ。大きな "breakthru" が必要だったが、それができなかったのだ。むすこたかなし氏は筆者の経緯説明を聞いて、すぐに解決策を開発された。思わず膝を打つ、簡単で素晴らしい工夫である。これはエッチングの手法に大きな進歩をもたらすであろう。化学屋として、誇りに思うことである。

 さて、金属製歩み板の製作でひっかかって10年ほど遅れたが、T氏が紙をレーザで切り抜く方法を紹介され、それを作ってもらった。エポキシ樹脂を薄めて沁み込ませてある。薄めるのは灯油である。シンナーで薄めると含まれているエステルが反応して固まりにくくなる。足はブラスで作り始めたが、今回の3Dプリンタが使えると気付き、お願いした。足の高さは完全に揃う。

 スーパーXで貼り付ければ、完成である。色はMKTグリーンを入手してあった。BNグリーンとは異なり、広葉樹の若葉の色である。MKTとは、Missouri-Kansas-Texas鉄道のことだ。


dda40x at 10:05コメント(1) この記事をクリップ!

2019年10月01日

続々 3Dプリンタによる台車

GSC2 イコライザの裏側には支えがある。この支えは薄く長いので撓む。位置関係を保っているだけである。荷重はコイルバネが受け持つ。
 この写真は台車枠から外した状態である。イコライザの位置は保たれている。そのまま台枠に締め付ければできあがりだ。ナイロンだから出来る。疲労することもない。このアイデアをHOに使えないかという打診もあるが、おそらくうまく行かないだろう。縮小模型は堅いのである。うんと細くするか、別の工夫が必要である。というわけで、これは O scale には適するアイデアである。 

GSCGSC 6-wheel truck この台車はGSC General Steel Castings の鋳鋼製6輪台車である。この市販品がなかったので、新規開発品である。イコライザ部品はプルマンと設計が共通である。ある特別な客車に使うことになっている。 

woodframe プリンタ出力時は、なるべく密に詰めないと損なので、例えばこんな形に並べて出力する。出力後黒染めを施してある。ナイロンは極性が大きな高分子であるから、染色が容易である。塗装するのだが、その前に黒くしてあると気分が良い。塗料を吹き付けると浸み込んでいくのが分かる。防水性を向上させるので、高湿度時の強度低下も防げるだろう。
 ナイロンは水分によって強度が低下する。それはガラス転移温度が下がるからである。要するに常温付近でも流れるようになる。堅い筈の樹脂が曲がってしまうのだ。濡らしてはいけない。  

 ナイロンは結晶性の高いプラスティックで経年変化が少ないものである。荷重を掛けていてもクリープが少ないから、台車には適する。価格が高いところが問題であるが、性能を考えると妥当であろう。今後この種の材料はどんどん進歩するはずだ。ソフトウェアがあれば台車の再生産は容易であるから、将来への不安はない。
 その昔のダイキャスト製品は大半が膨らんで割れている。それと比べると、このナイロン製ははるかに信頼性がある。

 ステンレス製・ピヴォットとの相性はとても良い。0.25%以下でも転がる。POM(通称デルリン)では0.3%ほどであった。 

dda40x at 10:01コメント(14) この記事をクリップ!

2019年04月21日

新しい台車を履く

UP caboose UPのカブースである。このカブースは塗装がおかしくて、すごく安かった。剥がして塗り替えるつもりなのだが、とりあえず埃を被せてごまかしてある。高速台車を付けてみると、こんな感じである。この時代に適合しないような気もするが、末期にはいろいろな組み合わせがあったので、これで良しとする。
 床下の道具箱やステップがこんな色をしているわけがないので、とりあえずそこだけ塗ってみようと思っている。

Rath Reefer イリノイ州の田舎から来た冷蔵車である。せっかくの台車が見えにくいが、Nationalである。この貨車は、ハーマンのところから貰ったものだ。組み掛けだったので、意図を汲んで製作した。ドアヒンジがなかったので、これも3Dプリンタで作った。本物の図面から作ったので、そのものずばりの形である。現物はヘンリィ・フォード博物館で見てきた。
 扉の鎖錠装置はあり合わせのものだが、非常に良くない。これも作り直す。屋根の色はいわゆる roof brown である。昔はこんな色の貨車があったのだという例として古い塗装で作った。

B&O Crummy B&Oのカブースだ。今までアンドルーズの台車を履いていた。コイル・スプリングであったので気分が悪かった。自作改造の怪しいリーフ・スプリングの台車に付け替えてあったが、気に入らなかったのだ。これでようやく安心して走らせられる。
 手摺は好みで白にしてある。本物は黄色が多かった。

 台車を履き替えると、気分が変わる。今までの鬱屈した状態から解放されたような気がする。車輪はすべて当鉄道の様式に塗ってある。平軸受の場合は外は油汚れの色、内側はさび色である。


dda40x at 04:21コメント(2) この記事をクリップ!

2019年04月19日

続 3Dプリンタによる台車製作

national Nationalという会社の台車である。丸穴が面白い。二つの穴の中にもバネが仕込まれている。組立時に、どうやってバネを仕込むのかは興味深い。
 ボルスタ中にも大きなバネがあり、バネの中心は位置は十文字配置である。下側のバネ座は台車枠だけであって、spring plank(バネ床)がない。当時のカタログを見ると、部品の少なさ、すなわち軽量化を謳っている。軽くなった分、積荷を増やして収入を増すことができる、と述べている。軸箱を分解すると、簡単に車軸を外せるという図も添えてある。要するに、車軸が無いと、左右の枠は水平面で自由にひねれるらしい。台車枠と枕梁との摺動する部分いわゆる摺り板がないからだ。ということはバネの横剛性だけで載っていることなのだろうか。バネ座が深いのは、そう考えれば理解できる。self-centering という名称もそれを示しているのだろう。
 この台車はよく写真集で見るのだが、模型の製品としてはまずお目に掛からない。1940年代の貨車によく使われている。いくつか該当する車輛があるので、台車を交換するつもりである。

bet_cb カブース用の重ね板バネつきのベッテンドルフ台車である。揺れ枕内蔵のSwing Motion Truck である。人が乗る車輛は重ね板バネのダンピングが効いていないと、乗っている人がどうかなってしまう、ということだ。
 昔コンテナ列車にコキフが付いていた。車掌室側の台車だけをダンピングのよく効いた台車に履き替えていたという話を聞いた。当初の台車では車掌が参ってしまったらしい。この件について、詳しい情報をお持ちの方はお知らせ願いたい。 

 今回の試作品だけで10輌のカブースが正しい台車になる。

追記 
 うっかりして、古い原稿をそのまま出してしまったので、完全に新しいものと差し替えた。申し訳ない。


 コキフについてはお二方から情報を寄せて戴いている。
brass_solder氏から、 
 コキフ50000型は50000-50063まで前後ともコキ50000型と同じTR223を履きましたが、乗り心地の問題があり50064以降は車掌室側をバネの柔かいTR223Aに変更したそうです。その後やはり乗り心地が悪かったので、前後とも空気バネのTR203Sに交換したそうです。鉄道ピクトリアルNo.540 1991-3 に解説がありました。


kuma氏からは、
今回話題の件と関係があるかはわかりませんが、乗り心地の悪い車種があった様です。ここに記事があります。

 これらの記事を見る限り、ダンピングに言及しているわけではない。お二方には感謝する。 



dda40x at 04:19コメント(0) この記事をクリップ!

2019年04月17日

3Dプリンタによる台車製作

3D printer S氏が製作した台車を持って来て下さった。今回は、ボルスタ・アンカ付きのカブース用高速台車、重ね板バネ付きのカブース用ベッテンドルフ、ナショナルの貨車用鋳鋼台車の3種である。試作品なので、これを実際に組んで、今後の設計に生かす。テクスチャはやや粗い。必要があれば細かくするが、今回はトライアルである。ナイロンは極性の大きな分子であるので、染色が容易だ。今回は自分でやろうと思っていたが、製造会社でやってくれるというので頼んだ。非常に安価だ。

highspeed caboose truckhighspeed trucks ボルスタ・アンカはしっかり飛び出していて、素晴らしい。これでなくっちゃ、という感じである。左は韓国製の不思議な形の製品である。
 ブラスのロッドを差し込んだ。穴はあけてあるのだが、詰まっているから、ドリルを手もみで通す。先端はニッパで傷をつけて押し込むと二度と抜けなくなる。
 ピボット穴は、例のドリルでさらって、モリブデングリスをほんの少量塗る。素晴らしい転がりだ。0.3%以下で転がる。ナイロンは弾力があるので、左右とボルスタは一体成型にしても問題なさそうだ。今回は回転できるようにしたが、バリ取りが面倒であった。良好な保線の施してある線路上なら、ひねりは極めて少ない。荷重の掛かっている状態で0.5 mmの板をレイル上に差し込んで様子を見たが、すべての車輪がよく密着している。イコライザは可動であるが、仮固定してその実験を行った。軸箱可動の必要性を感じない。

 重ね板バネも一体成型できた。透かして見ると気分が良い。コイルバネは細いケイディのバネを仮に入れてみた。飾りだから太い線でも良い。

 カブースは作りかけがたくさんあるのだが、すべて台車で引っ掛かっていた。重ね板バネの台車はろくなものがなく、作るのも大変で放置されていたのだが、もうこれで支障はなくなった。一気に完成に持ち込める。

cabooses この台車が来たので、現在6輌を製作中である。すでに2輌は塗装工場に入っている。

dda40x at 04:17コメント(0) この記事をクリップ!

2019年04月03日

mule

mulemule (2)mulesmules 1



 これらの電気機関車は mules と呼ばれている。ラバのことである。荷馬車を牽いて、もくもくと歩く動物だ。
 当初はGE製の機関車であった。運転台が前後にあるもので、三池炭鉱によく似たものがあった。当初は船が小さく、かなりいい加減な曳航でも問題はなかった。1970年頃日本製が納入され、再度新型が納入された。
 新型機は、精密機械である。船がどんどん大きくなり、パナマ運河の幅33 mに対し、32 m幅の船が大半になってしまった。要するに両側の隙間が50 cmしかないのだ。船がどちらにも偏らないように静々と進むのは、一種異様な雰囲気である。風の影響もあるだろうが、ほぼ無事故で毎日の業務をこなしている。先回紹介した事故は、かなり稀な例である。
 旧型機ではそういう仕事ができなくなってしまった。ウインチの張力を手加減で決めたり、速度を目測で合わせるようでは、現代の巨大船は運河壁に衝突してしまうのだ。

Panama canal (5)Panama Canal (4) 曳航索・巻取り装置は windlass という。発音はウィンドラスである。ワインドではない。この張力を一定にする装置の開発がキモであったようだ。一定速度での走行、均一な張力の二つが大切である。船の上から見ていると、運河壁との隙間は完全に一定で、文句のつけようが無い。

dda40x at 00:00コメント(3) この記事をクリップ!

2019年02月21日

3Dプリンタ

 3Dプリンタでいろいろなものを作っている。S氏の協力は有難い。
sofas まず最初は室内の椅子であった。正直なところ、どんなものか見当もつかないので、強度に関係がない椅子を作ってみた。極めて素晴らしいものができた。塗装も全く問題なくでき、剥がれない。接着もスーパーXでよく付く。日光に当てる試験、油に漬ける試験もやっている。ソファの脚はT氏にレーザで切ってもらった。 
 問題が無ければ、三条ウォーム用ギヤボックスを作れる。モータ型に作れば、造形上もとても良い。

truck 次に作るのは台車である。この台車は、韓国製のロストワックス製台車があるが、話にならない作りで、見たくもない。ボルスタアンカの意味が分からない人が原型を作ったので、この金属棒が台車枠とは平行にはできていない。いや、あらぬ方向を向いている。真横からの写真を見て、原型を作ったのだ。ひどい商品を売るものだ。そんなものを付けたら、見た人に馬鹿にされそうだと思う。

 どうしても、良い台車が欲しかった。そこに3Dプリンタの話が来て、すぐ乗った。様々な工夫をして、Low-Dをはめ込む。イコライザは可動になる予定だ。これはインジェクションでは絶対に作れない構造をしている。重ね板バネも同時に作り込む。この図は初期の構想である。それからかなり進歩した。

 他にカブース用の重ね板バネ付きベッテンドルフも作る。


dda40x at 02:21コメント(2) この記事をクリップ!

2018年12月15日

将来のscratch building

 今、蒸気機関車の部品を、3Dプリンタで作成してもらっている。 ロストワックスの原型を3Dプリンタで作ったので、わけなく新しい模型ができる。小さな部品にも文字が入った製品ができる。凄い時代になったものだ。

 レーザ加工、3Dプリンタの組み合わせで上廻りは非常に楽にできる。下廻りは、やはり旋盤とフライス盤がないと出来ないだろう。

 TMSで200号くらいまでのスクラッチ・ビルトの機関車で、素晴らしくよく走るのには、あまり遭遇しない。車輪の心が出ていない(偏心している)のだ。旋盤の無い時代のものは、それで仕方がなかった。ドリルレースという怪しい技法が今でも残っているが、動力部分に応用するのは良いとは言えまい。

 3軸のフライスを使えば、ややこしいフレームもプログラムするだけで出来てしまう。4軸の機械(x,y,z軸に沿った移動 + x軸の回転)が使えれば、超絶設計のものができるが、これはまだアマチュアには手が届かないだろう。

 こういう仕事を引き受ける人が増えてくるだろう。しかし残る問題はハンダ付けである。これには熟練が要る。正しい指導者から学べば、すぐできるようになるのだが、実際には難しいようだ。炭素棒ハンダ付けは簡単だが、その機械がまだまだ少ない。筆者が頒布したが、一体何%が稼働しているのだろう。中には買ったまま組まずに置いてあるという人までいる。この人は筆者の頒布目的を妨害している。
”組まずに取っておくと価値が出る”そうである。お気の毒な人である。

 もうあと一つは、ヤスリ掛けである。ヤスリ掛けを軽視する人が多い。プロのヤスリ掛けを見るチャンスがないからだ。姿勢も動かし方も、でたらめな人が多い。ヤスリの選び方から間違っている場合も多い。また、その準備もしていない。
 しかし、この種の仕事さえできればスクラッチ・ビルディングができる時代になるだろう。楽に自作を楽しめる時代になるのだ。

dda40x at 12:15コメント(0) この記事をクリップ!

2018年11月27日

続 3D printing

 正直なところ、廉価な3D printingにはあまり期待していなかった。
 2年ほど前、3Dの勉強をした。近くの公民館で生徒を募集していた3D教室に入って3箇月ほど練習したのだ。ある程度はできるようになったが、実際に印刷して見ると粗い。しかも材質がよくないので経年変化が大きい。ミシン油に漬けておいたら少し膨潤した。進歩を待たねば、役には立たないと思った。

 今回のナイロン(ナイロン12だと言っている)は丈夫で踏んでも潰れないだろう。熱にも強い。今ミシン油に漬け込んであるので、そのうち結果を報告する。耐油性が証明されたら、ギヤボックスを作ってみる。

 実はあと何台かの機関車のギヤボックスが必要なのだ。縦フライスで作るための図面と刃物を用意した。少々厄介な形であるが、やればできることは分かっている。しかし、おそらく1日ではできない。5個作ると、多分フルに3日程掛かるだろう。そこまで割く時間がない。

 こういう時は助かる。金属製に拘ることがないものであれば、ナイロン製でよいのだ。ネジを立てることも可能だろうし、タッピングビスでも良い。

 ロストワックスの原型を作る手間も省ける。鋳縮みを見越した大きさにするのは簡単だ。ただし、まだHO以下の小型模型には向かないだろう。解像度がそこまでよくないのだ。先回のHOの木製キットと同じで、同じ材質で相似形の小さなものを作ると、粗さが目立つようになるだろう。今のところはOスケールくらいが最小限度である。高精細なものが安くできるようになるのは、いつごろだろう。

 今のところ、小さなものは一度金属に置き換えたものを研磨するしかないだろう。

dda40x at 11:27コメント(3) この記事をクリップ!

2018年11月25日

3D printing

Quiz1Quiz2 当鉄道に初お目見えである。友人が3Dプリンタでいろいろなものを作るから、相乗りしないかと勧めてくれた。

 考えてみれば、足らない部品とか、手で作るのはとても大変な部品がある。いずれ手に入れたら作ろうと思っていて、10年経った物も多い。これを機会に在庫一掃を図った。
 
 客車の内装はある程度の部品は揃っているが、この二人掛けのソファは無かった。ラウンジの付いている車輛には不可欠の部品で、どうやって作ろうか悩んでいた。実は先日の活字合金による鋳造を検討していたこともある。この話があったので、Car Cyclopedia 1940年版を見て、形を決めた。寸法もすぐに決まったので送ったら、3Dのスケッチを送ってくれた。それを修正して発注してもらった。コの字の形の脚を付けるとできあがりだ。座面はローズ色にする。
 ナイロンの焼結で、非常に丈夫だ。多少曲げても復元する。これほど丈夫なら、台車の製造に使える。懸案のカブースの台車はこれで作れば解決だ。

 さてもう一つの部品は何だろう。これが分かる人はまずいないはずだ。ヒントとしては計画だけで終わった機関車の部品である。4という数字が付く。
 この部品を、investment casting でブラスに置き換える。後はちょいちょいとハンダ付けして出来上がりだ。


dda40x at 00:00コメント(0) この記事をクリップ!

2018年07月12日

DC-DC converter

DC-DC converter 転車台の回転橋を廻すモータの速度を、下げる必要があった。完成時にはコンピュータ・コントロールになるので、加速率なども自由に選べることになっていたが、アナログでは一定電圧しか選択できないからだ。
 インデックスや、アラインメントのモータは 7〜10 V でちょうど良いのだが、回転橋の駆動モータは 5 Vの時の回転速度がちょうど良い。別電源にしようと思っていたところに、たまたまDC-DC コンヴァータを戴いたので、例のバックアップ操作盤に取付けた。この頃は非常に安くなってきたそうだ。
 
 完全アナログにするはずだったが、一部ディジタルが入ってしまった。その故障時には外して短絡すればよいので、それはマニュアルに書くことにする。

 橋がゆっくり回転するので、実感的である。目的の位置が迫ったら、インデックス・ボタンを押すと、円盤にキィが喰い込む。
 慣性で円盤が廻り続けるので、キィは少しずれる。即ち回転橋は、目的の位置を越えてしまう。そこでアラインメント・ボタンを押せば、完了だ。

 今まではインデックスとアラインメントのモータに掛かる電圧が低くて、動きがやや渋い時もあった。今回コンヴァータを付けたことにより、全体の電圧を 7 V をやめて 9 V に出来た。動きが俊敏になって、確実である。
 
 どのポジションでも必ず位相は合うので、安心して機関車を動かせる。動画を撮り直して公開しよう。

2018年06月30日

laser-cut のキット

 先回紹介したキット以外にも、レーザ・カットのキットはたくさんある。日本にはまだ少ないが、アメリカではよく売れるので、多種のキットが出ている。

 BTSという会社がある。社名は社長の名前からきているはずだったが、
大きく"Better Than Scratchbuilding" とある。「自分で作るよりも良い」ということである。縮尺は自由だから、N, TT, HO, S, Oの各サイズが出ている。建物のキットは素晴らしい。

 日本では、まだレーザ・カットはガレージ・キットの範囲を出ていないように思うが、この会社はかなり大規模にやっている。友人が組んでいるのを見せて貰ったが、とても良い。
 これなどは素晴らしい出来だ。

 車輛は好みの問題があって何とも言えないが、ストラクチュアはどれをとっても、よく出来ていると感じる。日本のメーカも参考にすべきだ。
 金額的にはかなり張るが、完成すると素晴らしい。

 都市部の高架橋などは、レーザ・カットの最も得意とするところだろう。HO以下なら薄い航空べニアで十分だろう。あるいは、プラスティックでも良い。
 曲線部は直線を組合せて作っているようだ。井桁で承けているところもある。

 Oスケールでも合板製だ。鉄板製の方が安くできるはずだ。
 今計画中の扇形機関庫はかなり大きなものだから、剛性を持たせなければならない。骨組みを4 mm程度の板から切り抜き、屋根、壁は0.8 mm程度にする。窓枠は0.5 mmで作ると良いだろうと思っている。
 これから工場と相談するが、筋彫りができれば煉瓦の目地を表せる。

2017年07月03日

脳内3D

 先日、目を瞑って頭に浮かぶ3D画像をひっくり返した経験を紹介した。
 何人かの友人が、感想を聞かせてくれた。

「あれは面白いね、確かに頭の中でひっくり返して裏を見れば、簡単だし、好きなように回転させられるからね。」

「それができる人は、最近はほとんどいなくなった。会社の中でも我々の世代の少し後までだね。若い奴は図面を持ってきて説明するけど、『この裏はどうなっているんだ。』と聞くともう駄目。コンピュータで裏返してそれをプリントアウトするのに時間が掛かってしょうがない。頭の中でやる訓練をしてないんだ。」

「伊藤剛さんなんかは凄かったね、質問すると、『裏はこうなっていてね。』と、たちまち絵を描いてくれる。遠近法まで使った絵をさらさらと描いたよね。」
「頭の中ですべてやる訓練をしているからだけど、生まれつきの素質もあるね。」

「特定の音楽を聴くと、空中に浮かんだものが見えるんだ。海岸線を俯瞰しながら、自分も飛んでいるカモメになる。相手の下に回り込んだりできるんだぜ。」
「そりゃ少々異常かも知れんな。」

 この話をコンピュータ業界の男にしたら、
「それは違うな。そういう3Dの能力がある人が、別の業界に行くようになったというだけじゃないか?僕の周りにはいっぱい居る」と言う。さて、実際はどうなのだろうか。

2017年06月11日

続 wireless control

detail_1318_no01 他にこんなのもある。これは単三電池1本で動くプラレールのようなおもちゃをラジコン化する装置である。単三電池を外して、単四電池をはめ込んだこの装置を、代わりに差し込めばできあがりだ。

 すぐに鉄道模型に使えるわけではないが、何かの補助装置を動かすディヴァイスとしては有効だ。連結解放装置にはすぐ使えそうだ。10チャンネルあるそうだから、目的の車輛以外には影響なく作動させることができる。

 先回のもそうだが、汎用を考えているので、もう少し絞ったものであれば、鉄道模型用として使いやすい。特許で縛られているようなものではないから、簡単に開発して市場に出せるはずだ。

 実は筆者も、その分野の専門家に話をしているところだ。ハードは既に確立されているので、ソフトの部分での様々なアイデアを検討している。問題は到達距離で、Oスケールだと20 mほど届いてくれないと意味がない。

 レイルからの給電を考えないと、さまざまな可能性が広がりそうだ。

2017年06月09日

wireless control

a216d9a0-0b8e-56c3-1a96-2555e9050b68 最近のラジコン技術の進歩には驚く。いつかは出るだろうと思っていたが、もう売っているものがある。このウェブサイトの製品は安くて簡単そうだ。小電力Bluetoothなので。到達距離は小さそうだが、とにかくすぐできる。

 すでに4チャンネルのproportional control(比例制御)である。これが数千円で買える。電圧が5.5Vなのは残念だが、実は6V用のモータが、いくつか手持ちにあるので、そのまま使えそうだ。
 設定はほとんど何もしなくてよい。そのまま動くはずだ。ただ、モータ出力2チャンネル、サーボ出力が4チャンネルもあって、それで何をしようかということになる。LED出力も4つある。

 電車ファンなら、左右のドアを開けて2チャンネル、連結器の解放で1チャンネル使える。iPadでもスマートフォンでもOKだ。
 
 どなたか電子工学にお強い方が、鉄道模型専用12 Vのディヴァイスを作られれば、きっと売れるであろうと思う。


 

Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ