電気工学

2018年01月20日

回転計とトルク計

tachometer and torque indicator フライス盤の改良で、回転計を用いて回転数を測定した。これはレーザ光を発し、反射光を数えるタイプである。アマゾンで安価にて購入した。写真中央下のものである。この話を教えて下さったのは、時々登場する Dr.Y である。氏は様々なモータを測定して、一覧表にされたのだ。100機種弱を整理されたデータで、非常に興味深い。
 電圧電流が直読できる安定化電源と、トルク計を用いれば測定できるとは言え、大変な労力を投入したデータであり、貴重だ。

 写真中央上はトルク計である。三爪チャックでモータの出力軸を掴み、所定の電圧で廻してバネ秤で直読する形式になっている。表示単位は昔懐かしい ”g重cm” である。 

 Dr.YはHOを楽しまれているので、モータのトルクはせいぜい 100 g重cm である。筆者に見せて下さった時、Oスケール用のものも測定してみよう、ということになった。しかし、たちまち振り切ってしまった。もっと大きなものが必要であった。

torque indicatorcalibration その後、ヤフオクで目を皿のようにして探し、ついに 600 g重cm のものを購入することに成功した。これらの写真をご覧になるとお分かりかと思うが、正逆回転に対応した目盛りになっている。
しかしこれでも振り切るものがいくつかあり、低電圧で測って高電圧のトルクを、外挿して求めることになった。筆者は商売柄 ”Nm” しか使わないので、980を掛けて何桁ずらすのだったか、再計算にやや手間取った。
 径が大きなものはモーメントが大きいので、概して高トルクである。マイティ800に付けてあるのは出力11.5 Wで、大人を載せた客車を牽いても、かなりの加速を示すはずである。もちろん客車にはボールベアリングを付けていることが条件だ。
 
 模型機関車用のモータとして適するのは、強力な界磁を持つ低回転モータで、負荷の掛かった時の回転数が落ちる率が小さい物である。吉岡精一氏が書かれた「モータ調書」のデータとよく一致する。昔から定評のあるEscapの低回転モータは、その点、抜群の性能を持つ。もちろん、伝達系は高効率であることは最低条件で、ろくに廻らないギヤトレインでは、話にならない。

 吉岡氏がデータを採られたのは25年前で、当時無かったモータもあるので、再度調べてみる。近々導入予定のパシフィックの強力機に搭載するモータを決める必要があるのだ。重量客車数輌を牽いて、15.6‰を駆け上がらねばならない。


2015年11月27日

自動逆転器

 最近の若い方は、自動逆転器という言葉を知らない方が多いと思う。界磁が電磁石だったころは、この自動逆転器は高嶺の花だった。モータよりも値段が高かった。ライオネルやメルクリンには標準装備だったが、日本製のものにはほとんどついていなかった。一時期、自動逆転器付きのモータも出ていたが、高価であった。

automatic reverser 界磁コイルに中点タップを付け、両端を切り替える方式だと、逆転器の構成は簡単になる。外国製の模型はそれが多かった。逆転器は電磁石とラチェットでできているものが多く、高電圧を掛けたりすると、車体が動く前に逆転リレィが作動し、小さな接点を付けたローラが回転する。

 この種の界磁はいわゆる複捲ではないのだが、これを複捲と言う人がいる。単なる勘違いである。複捲は直捲と分捲を合わせたもので、それを切り替えたり、同時に使用して抑速ブレーキを掛けたりすることもできる。模型には縁がない、使いにくいものである。

 最近伊藤剛氏や吉岡精一氏が遺された多量のモータを動かし、直捲モータの動きを見て楽しんでいる。それにしても昔のモータは騒々しいのが多い。
 子供のおもちゃとしてのOゲージの動力としては静かである必要はなかった。やかましいモータは、「元気がある」という時代だったのだ。


 

2015年11月25日

続々 スーパー20

114_4069 また、スーパー20かと思われた方も多いと思うが、これはLobaughのモータである。コア厚25.4 mm(1インチ)の強力型である。
 ブラシのホルダを三角の部材で留めているところなど、カツミが真似たことがすぐわかる。界磁は薄い珪素鋼板を積層して、リヴェットでかしめ、それに軸受をネジ留めしている。電機子との隙間は極めて小さく、磁路の障碍も少ない。

114_4071 電機子は旋削され、ダイナミック・バランスがとってある。隙間に見えるブラス片は錘代わりである。この旋削というのがミソで、こうすることによって磁路のギャップを狭くすることができる。もちろん界磁内側も研磨してある。そのためにはリヴェット留めが必要なのである。
 軸は3/16インチで4.76 mmである。カツミ製は 6 mmである。ずっと細い。


114_4072 このモータはpolarizedである。”ポラライズする”とは、整流器を用いて界磁に一定方向の電流を流して、永久磁石代わりにする方法である。こうすればマグネット・モータと同様、手元のスイッチで逆転できる。これがないと、車載の逆転器で方向を変えねばならず、面倒である。1950年代は大きなセレン整流器をテンダに入れていた。これはシリコン・ブリッジ整流素子を使っているから小さい。

polarized motor この図を見れば、どんな回路かはすぐお分かりいただけるであろう。線路の電圧が反転しても、界磁電流は一定方向に流れる。電機子に逆向きの電流が流れると、逆転できる。簡単にして、確実な方法である。これを使えば、直捲電動機の特性が生きるので、かなり手を抜いた電流制御の電源でも気持ちよく走るはずだ。
 現代のようにマグネット・モータが容易に手に入らなかった時代は、この方法を採っていた。マグネット・モータは分捲特性なので、電圧制御でなくてはならず、やや運転しにくい。現在、市販の電源は大半が電圧制御になっているから、どなたもその違いに気が付かない。 


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2015年11月23日

続 スーパー20

 このモータは海軍の技術将校だった人が設計したらしい。当時カツミに入り浸っていたY氏が紹介したという。その設計思想はある程度納得のいくものであるが、現在のモータの専門家の意見はなかなか手厳しい。
 友人のT氏からの手紙の一部を紹介する。

 

 界磁鉄心厚さが厚いだけでは、強力にはならない。巻き数と電流値の積AxT大きくないといけないのだ。とりえは他の形式の電動機より巻線太さが太いので、ブラシにかかる電圧が高くなっていることぐらいか。多少巻数も多いと思う。

 電圧をかけていくと、じゃらじゃらと猫が騒ぐような音を出して回転が上昇する。KB3(安価なモータ)のほうがMax回転数は高いと思う。

 

 そのあと界磁を永久磁石に替えたものを、輸出用に使った。ヤフーではボールベアリング入りと説明があったが、知らない人は幸せですな。とんでもなく太い電機子軸なので摩擦損失は大きい。

 オイルレス・メタル付きなのだが、こんな太い軸にする必要は全くない。怪しいボールベアリングの時と同じ太さにしたのだろう。
 当時、模型店で1000円以上していたかと思う。KB3が180円位の時だ。手で廻してみると、固くて抵抗が大きいのにびっくりした。それが強力の証とはとても思えなかった。


 筆者もT氏も、ネオジム磁石を買って、界磁をパーマグ(permanent magnet)にした。
 低速でのトルクが大きく、減速比が小さくできる。すなわち旧型モータなのに、押して動くモデルができることになる。コアレスモータでなくても、押して動くようにできるのだ。もちろん、鉄心があるのでコアレスほど軽くは廻らないが、押せば動く。
 ヤフー・オークションに出ているモータの界磁磁石は三菱製のものだそうだが、弱い。工場で組み上げてから着磁したそうである。要するに電機子を外すと磁路が切れて弱くなりがちなのだ。



2014年08月24日

Short Lamp

Short Lamp ショート・ランプと聞いて、「ああ、あれか!」と思い当たる人はかなりの年配であろう。筆者の世代でさえも、ショート・ランプを実用化した人は稀である。筆者は中学生のころ、自動車のヘッドライト用の大きな電球があったので、それを付けて遊んだことがある。
 ショートすると光るので、正常状態より、むしろショートを期待して走らせていたような記憶がある。この写真はやや電流が多くて、ぼんやりと光っている様子である。

 ご存知ない方のために、簡単な解説をする。現在のDCCはサーキット・ブレーカが当然のように使用されている。筆者のレイアウトでは、10 Ampsの電源であるが、実際には1.3 Amps で飛ぶ3回路のブレーカを、2つ設けている。客車をLED化したのでその程度の電流で走る。ちょっとした短絡でブレーカが飛ぶので冷や冷やで運転している。

Short Lamp 2 分岐された主回路に自動車のTurn Signal(いわゆるウインカ)用の電球を直列に結線する。そうすると、1A前後の電流では電球は光らない。電球のタングステン・フィラメントは、低温では電気抵抗が小さいので、損失はほとんどない。ところが回路が短絡されると、12Vが全て電球に掛かることになる。すると2.3 Ampsほど流れて、電球はまぶしく光る。
 この写真は、完全なショートで光量が大きいので、露出がそれに合わせて絞られた結果、暗く写っている。

 アメリカのレイアウトではよく見たが、この方式を使う人は少なくなり、最近はまずお目に掛からない方式だ。Dennisはこの電球を5つ付けて、回路を保護している。
 レイアウト上で一箇所、ギャップの位置が悪くて、そこを機関車が跨いでいるとショートするところがある。ブレーカだと機関車が止まってしまうが、ショート・ランプならぴかっと光るだけで済む。その点は優れている。



2012年07月04日

Kleinshmidt氏の仕事

COM_4385-2 クラインシュミット氏の本業はもともとは電子工学および精密機械加工であった。ラジオ、電気蓄音機、テレビ、時計、その他「電気と機械が組み合わさったものなら何でも修理します」という看板を揚げていたらしい。

 今回訪問した時に時計旋盤の写真を取るのを忘れたが、それを駆使して時計の部品を作る。たまたま完成したばかりだと言って見せてくれたのが、1934年型デューセンバーグの時計であった。この種のヴィンテージ・カーの時計などを修理できる人は少なくなってきて、ニューヨークに一人と彼だけだそうである。アメリカ中から修理依頼がくるそうだ。
 その他、真空管の時代の無線機器や電気器具の修理も引受けている。

 3年ほど前、筆者の家にあったアメリカ製の電気オヴンが故障してしまったことがあった、制御部分を外して様子を見たが分からなかった。2か月ほど回路図とにらめっこしたが、結局直らず廃棄した。製造元はすでに部品が無いと言うし、インターネット上では、「クロック部分の修理が出来る人を探さねばならない」という抽象的な表現しか見付からなかった。
 その話を彼にすると、「なーんだ、送ってくれたら直してやったぞ。」と言われた。
 
 その後そのオヴンを外した穴に適合する同サイズの新しいオヴンを購入した。期待していなかったが、珍しくアメリカ製で、価格もそこそこであった。運賃を入れても、日本製の同程度の物の1/4位の価格であった。この種の台所用の大型電気器具は、まだまだアメリカ本国で作っている場合が多い。ドルの価値が下がったので相対的に安くなっている。
 筆者の家では洗濯機、乾燥機、食器洗い器、冷蔵庫はアメリカ製を使っている。多少やかましいが、機械部分は壊れにくい。回転部分のボールベアリングに、常識的に考えられる大きさの二倍程度の大きさのものを使っている。すなわち消耗が少なく、極端に長もちする。その会社の製品は故障が少ないのが売りであった。
 しかしオヴンは機械部分などほとんどなく、制御部分が壊れると火事になってしまうので、故障すると打つ手が無い。18年使ったので良しとせねばならない。 

2011年12月03日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

炭素棒ハンダ付け電源回路図 これが全回路図である。あまりにも簡単で拍子抜けしそうである。この図の表現はやや古いかもしれない。筆者は専門家ではないので、最近の表示法をよく知らない。昔の知識である。


 Capacitorは日本では「サージキラー」と呼ばれている物を採用した。その2本の端子には長短があるが、交流負荷なのでどちらでも良い。コイル(誘導負荷)がつながっている回路の電流を断続すると、高電圧が発生し、電波障害をはじめとする様々な障害を引き起こす。場合によってはスイッチの接点が焼損する。これを付けておくと、ほとんどの問題が解決する。付ける場所はいくつかの候補があるが、電気屋さんのお勧めの場所に取り付けた。これは経験上の知識で、電線の長短のファクタがあり、完全な理屈付けは難しいとのこと。

 Thermal Fuseは温度フューズのことで118℃で熔断することになっている。巻線は120℃に耐えるそうであるから、これでまず火事になることはなさそうだ。

 Monitor Lampはロータリィ・スウィッチが出力する位置にあって、なおかつ、足踏みスウィッチを踏んだ時だけしか点灯しない。点灯中、すなわち、出力中である。
 この電源を使用しないときは、ロータリィ・スウィッチをOFFの位置にする。そうすれば、何かの間違いで足踏みスウィッチが押されても安全である。モニタ・ランプ(パイロット・ランプ)の回路は、他と比べて細い電線を用いた。

 全ての部品は信頼性ある日本製を吟味して用いている。長く使えるものと思う。

2011年11月27日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3060 この写真を再掲する。この黒いバンドは耐熱性のあるナイロンの結束材で、温度フューズを取りつけるものである。長いものの在庫がないので、短いもの2本を供給する。つないで使用することをお許し戴きたい。


GOW_3062GOW_3061GOW_3063 足踏みスウィッチである。コードを長くされたい方は、このように改造する。付属の電線は 1m で やや短い。1.5m の線を用意したので、それと取り換えることができる。アメリカで市販されている炭素棒ハンダ付け電源に付属している物より、はるかに丈夫なものを選択した。この部分が最も激しく動かされるからである。高価であるが投資効果はある。100万回の動作に耐えるらしい。

 裏のネジを一本緩める。これは外さなくても良い。シャフトを押し出して分解する。ペダル部分を押さえて、何か細いものでシャフトを押すのだ。この時、うっかりするとコイルバネが飛び出す惧れがあるので、新聞紙を1枚かぶせて抜くとよいだろう。飛んでも新聞紙で引っ掛かる。

 開けるとこのようになっているので、スウィッチを外し、赤の線を切断する。白と黒の線を付けているハンダをはがす。そこに供給した電線の外側の被覆を剥いたものを通し、さらに内部の線の被覆を剥く。ハンダ付けは容易だ。踏んだ時、白と黒が導通するかを確認しておく。

 コードの抜け防止の金具を付けて、元のように組み立てる。この時、内部にゴムあるいはフェルトを貼るとガチャガチャという音が小さくなる。これは個人の好みにあわせて貼り付けられたい。シャフトには少量のグリスを塗ると長もちするだろう。
 
 ここまでの標準的な時間は30分くらいである。

2011年09月30日

炭素棒ハンダ付け装置のその後

 ようやく見積もりが上がってきて、価格交渉の最中である。当初は1万円を切る価格でと思っていたが、とてもそれでは収まりそうにない。トランスは二次線まで巻かない状態で納品ということはできないと言う。トランスの外形が大きくなったので、ケースも大きくなり、それが意外に高い。
 5V 20A の定格なので短時間なら30A程度流れても問題ない。1次タップを4段に切り替えるのでそのロータリィ・スウィッチが必要で、足踏みスイッチもある程度の高級品を使わないと踏む頻度が高く、壊れてしまう。
 出力端子も30Aに耐えるものを使用することにした。圧着端子で8φ用のを使うと、耐久性がある。

 トランスの二次巻線をテフロン線で細く仕上げようと思っていたが、十分な余裕があるので普通仕様の線を使うことにした。出力端子から先はテフロン線を使いたいところだ。

 ざっとであるが、今のところの積算金額は1万6000円弱である(ブラスの敷板は別途)。こんな価格では辞退したいという方は早めにお知らせ願いたい。
 これには炭素棒を保持する部材も含まれている。それは筆者が材料を加工中である。ブラスの丸棒を旋盤で切って穿孔し、ネジを切った。
 握りはヤスリの柄にちょうど良い大きさのものがあるので、その中を電線が貫通するようにした。圧着端子の締具を持っていない人が多いはずなので納品時に、それだけは締めて差し上げたい。

 PL法の適用外になることを承諾して戴く必要があり、それを念押しされている。事前に承諾書に署名して戴く必要があるので、2台申し込まれた方は、使用予定者の住所とお名前をお知らせ願いたい。文案は準備中である。

 使用する炭素棒は5mm径のもので、仙台の今野氏からの御提供である。筆者のプロジェクトに賛同されて無償で提供戴いた。感謝している。

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2011年07月17日

続々 Carbon Rod Soldering on Conductive Surface

d6bb09b7.jpg ピンセット型の物も持っているが、効率が悪くあまり使わない。このピンセットの先は赤くなるが、発生した熱の2割くらいしか相手に伝わらないので、小さいものを持って組み立てるときぐらいしか使用しない。



 直流電源を使うことも可能であるが、場合によって電極から有毒な塩素ガスが出る可能性があるので気を付けて戴きたい。もし直流を使われるなら炭素側をマイナス極にされたい。そうすると相手のブラス側が多少溶解して、塩素は出ない。炭素極をプラス極にすると塩素が出るだろう。もちろんこれは塩化亜鉛を使った場合の話である。いわゆるペーストならば関係ない。交流では極が入れ替わるので、実質的に塩素は発生しない。
 アメリカではかなりの人が、ペーストを使う。後始末が楽だからであろう。アセトンを入れた容器が置いてあって、それで洗ったり、ティッシュに含ませて拭く。塩化亜鉛を使って水で洗うほうが楽だと筆者は思うのだが…。

 harashima様からのコメントにもあったように、ハンダゴテは熱い。通電時間中、工作物に熱を伝えているのは一体何パーセントくらいの時間であろうか。筆者の経験では5%を越えることはまずない。組立て式レイアウトの配線作業では同じことを繰り返すので、30%くらいは伝熱している。もっとも休んでいる時も熱を発生して、コテの銅の塊にエネルギを貯めていると考えれば 、この種の作業ではもう少しよく使っているだろう。
 炭素棒ハンダ付けは省エネルギであるし、車体の組み立てには最も適する方法である。コテを使うより、素人には簡単である。これを採用すれば、ブラス工作にのめり込む人も増えるであろう。確かに素人には、車体の組み立てをハンダコテ一本でやるというのは難しい作業なのである。

 ある程度の数がまとまれば、このハンダ付け装置の製作を電気屋の知人に頼めるかもしれない。きっと、輸入するよりかなり安くできるであろう。いかがであろうか。

【追記】 簡易キットを用意しようと思い、懇意にしている近所の弱電メーカの社長に話をしてみたら、最低20台あれば、部品集めをしてくれるという。一次巻線だけ巻いた二次線を巻く隙間のあるトランスとか耐熱線などを市場から探すそうだ。炭素棒も手に入るルートを教えて戴いた。作業台に張る厚いブラス板も希望により提供する。素材(アルミ箱も含む)と簡単な説明書を添えた形になる。これはPL法の範囲外であるからそれも念を押されている。場合によっては、同意書を戴くことになるかもしれない。   (2011年7月21日)

2011年01月21日

続々 磁気回路

 先日、高橋淑氏にお会いして聞きたかったのは、誰がOゲージ用モータの設計をしたかということであった。なんと祖父江氏であった。Lobaughのモータを元に彼が絵を描き、それを元に電気屋を何軒か回って作るところを探したのは高橋氏であった。道理で、ブラシ支え部分の作りが似ているわけだ。しかし、ほとんど完璧な真似であったのでかなり良いモータであった。
 当初5溝のロータを作ったのだが、プレス型がでたらめで、重ねると極の位置が違って、がたがたになる。巻線機で巻くとひっかってエナメル線が切れてしまう。しょうがないので、ひとつずつヤスリで削るなどということをしていたそうだ。
 より良い抜き型を作るまで苦労したそうである。仕方なく合印を作って、特定の位置で縦にそろえたのだ。

磁気回路短絡 その後、どの位置でも合う抜き型を作るところがあったので、それ以降は合い印はないということだ。昔筆者の持っていた三線式のOゲージの機関車のモータは軸受け部の支え板が鉄板製であった。父は「こんな馬鹿な設計はない。」と憤慨して、ブラスの板で作り直してくれた。要するに磁気回路が短絡されて、トルクが減るのである。

 これについて、高橋氏に聞くと驚くべき答が返って来た。「あれはコストを下げるためにやったのです。無論私は反対しましたよ。でも、『安くせよ』と言うもので仕方なくなるべく薄い鉄板で作ったのを付けたんです。多分動かないだろうと思っていたんですよ。でもトランスをつないだら一応廻りました。社長の『廻るじゃねえか』の一言でおしまいだったんですよ。」

 このあたりに、日本のOゲージがおもちゃで終わってしまった大きな原因が隠されているように思う。「より良いものを作ろう」という気迫が全く感じられないのである。
 ところが輸出用の模型のモータはどれも例外なく、軸受け部の支え板がブラス製である。磁気回路は短絡していない。
 インポータの指示があったのである。当時のインポータは「金はいくらでも払うから良い物を作れ。」と言ったそうだ。

 当初のEB電関の台枠は、ブラスの1mm板であった。それを安くするために0.9 mmにし、さらに0.8 mmまで薄くしたら、強度がなくなった。ところが、蔵前にあったある問屋の下請けが0.7 mmの鉄板で作ってきた。これは安く、丈夫であったのでそれが標準となった。
 台枠を固定するリベットも最初は銅であったのがアルミになった。
 我が家のEB電関はこの鉄板製台枠であった。軸穴の中でブラス製の軸が回転する。当然軸は磨り減って細くなり踊るようになる。またまた父の怒りは炸裂した。
「軸は硬い材料で、軸孔は軟らかい材料でというのは鉄則だ。何を考えているんだ、こいつらは!」とブラスの軸受けを作ってくれた。軸は鉄製のを手に入れたから、改造は簡単であった。

2011年01月17日

磁気回路

 磁気回路という言葉をご存じない方が多いと思う。モータ、変圧器などの中を通っている磁力線の通り道が一周しているその通り道である。筆者は幼少のころより、父から散々聞かされて育った。

 最近話題のネオジム磁石を模型用DCモータに使うとどうなるだろうか、という話を土橋和雄氏とした。土橋氏は本物の電車の電路屋さんだ。
 既製品のモータはアルニコかフェライトの磁石を使用している。直巻モータよりは省電力(界磁を励磁する必要がない)だが、界磁の磁束密度が高いとも思えない。これをネオジム磁石にすれば単純計算で10倍くらいにはなる。すると逆起電力は10倍になるから回転速度は落ち、トルクは増大するはずである。いろいろなファクターがあって一概には言えないが、全て良い方向に行くはずである。

 改造すべきモータをジャンク箱から探し出した。

①Lobaughの直卷モータ コア厚み38.0mm(1.5インチ)電機子径31.75mm(1.25インチ)7溝
②KTMのマグネット・モータ コア厚み32mm 電機子径32mm 7溝
③All-Nationのマグネット・モータ コア厚み25.4mm(1インチ)電機子径25.4mm(1インチ)7溝
④中村精密のマグネットモータコア厚み20mm 電機子径12.5mm 5溝

 磁石はNeoMag社から購入した。注文すれば即日送ってくる。ぴったりの寸法がなければ軟鋼板を削って隙間に入れれば改造完了である。

 久しぶりに糸鋸で鉄板を切った。バローべの2番でがしがしと切り、ニコルソンのヤスリですり落とした。普段のブラス工作とは違い、刃物の切れ味がもろに分かる。ニコルソンのヤスリは鉄工には不可欠だ。
 よくブラス工作にもニコルソンでなければ…と言う人がいるが、筆者にはどれでも良いと感じる。ブラスは軟鋼に比べればはるかに快削であって、どんなヤスリでも大差なく削れるはずだ。

Modified Nakamura Seimitsu MotorOne magnet is removed to ensure bertter performance 最初に④のモータをばらして磁石を捨て、25x5x10というサイズの磁石を嵌めた。吸引力は5.1 kg重(52 N)もある。もちろん軟鋼板を隙間に入れた。
もともと二つの磁石があったが、磁気回路を考えると無い方が良いということになって、ひとつだけ嵌めた。

 これは失敗であった。磁力が強すぎて、電機子の鉄心が吸い付けられ、コッギング(英語ではTeething)が起き、電流を通じてもそれを引き離すだけの磁力が生まれなかった。もっと弱い界磁にしなければ動かない。これは5溝しかないことも大きなファクタである。完全に磁極にはさまれる瞬間があるからだ。多少電機子をねじった(Skewed)状態にしても追っつかない。
 5 A も流せば吸引力から逃れることが出来るだろう思ったが、とても無理で焼け始めた。この種のモータにはもうすこし弱い磁石が適する。しかし現況のは弱すぎて全く力がない。電機子の巻き数も多くすると良いだろうが、磁気飽和を考えると無駄かもしれない。薄くて安いものを買ってみよう。

 後述のOゲージ用モータに比べると、当時のHO用のモータの設計は見るからに駄目そうである。  

2009年08月29日

電球の明るさ

 先日の電球の突入電流の話はかなりの反響があった。いろんな方から感想や意見を戴いた。

 まず、突入電流の比率は12倍と書いたが、「文献によると13.5倍というのが常識だ」という意見を戴いている。筆者の値は、自作の直流電源で12V用の電球で調べた値であって。交流100Vでは多少の違いが生じうるであろう。今度なるべく正確に測定して見ようと思う。

 白熱電球は温度が上がってしまうと、多少電圧変動があっても明るさが変化しにくい。ということは模型の電燈としては非常に具合がよい。多少の過電圧でも焼け切れにくいし、電圧が下がっても温度が下がって電気抵抗が減るのでそれほど暗くならない。

 LED照明ではそんなわけにはいかない。したがって何らかの工夫が必要となる。最近は大容量の電気二重層キャパシタがあるのですぐ解決しそうであるが、これは内部抵抗が大きいので電流を取ると電圧が下がってしまう。

 また、集電不良で明滅するのがよくわかる。そのための大容量キャパシタであるが、少しでも電圧が下がると暗くなるからそれほどの効果があるわけでもない。

 永末さんのところの製品はその電圧降下をなくすような工夫がされていて一定の電圧を保つ。この辺りの工夫は、さすがである。
 
 

2009年08月23日

電球の寿命を延ばす

 電灯線2本で行う多重制御の記事にはいくつかのコメントを戴いている。ある程度はお答えしたが、まだ不足しているのでここでお答えする。

 アメリカやヨーロッパの発想と日本の住宅用に開発された製品の発想には大きな違いがある。

 欧米の家は寿命が長く、100年は住める。天井の電気配線も昔のままで住んでいるから、多重制御ができれば便利だと思う人が多い。
 壁のコンセントにスタンドランプのプラグを挿して使うので、コンセントに多重制御の子機が付いていれば便利だ。遠くからでも点滅できる。自動点滅のシーケンスを組み込んだものもあるので、夜になると自動で点き、防犯上も都合がよい。

 片や日本のものは4線式が多い。「2本の電力線 + 2本の信号線」というパターンである。これでは新築以外には使いにくい。新築時にしかこのような装置を付けないと思っているのであろう。

 日本ではスタンドランプを使っている人が少ない。ほとんどが天井からの均一照明である。ドイツ人の友達が面白いことを言った。彼が住んでいた団地には日本人家庭も数多くあったが、夜間に外から見るとすぐわかったそうだ。現地人はスタンドランプなどの局所照明を使うが、日本人は蛍光灯の均一照明を使うので目立ったらしい。
 それで泥棒に見抜かれて、日本人の家だけ被害があったという。

 フィラメントの予熱について、よく分らないというご意見も頂いている。

 一般的にいえば、金属の電気抵抗は温度が高くなると大きくなる。要するに熱いと電気が通りにくくなるというわけである。(逆に高温では電気伝導率が増すものは半導体という。)
 冷たいフィラメントには電気が良く流れ、加熱されると電流は絞られて落ち着く。常温と2000度では約12倍の違いがある。つまり、100Wの電球は、点灯直後は1200Wの電熱器と同等であるというわけだ。冷たいフィラメントが急激に温まるので、熱膨張が不均一に起こると、たちまち切れる。フィラメントそのものと支持部に接しているところでは熱容量が異なるので、温度の上昇速度が異なる。それが原因で伸びが不均等になるのである。

2009年08月17日

続々 多重制御

 アメリカでは35年ほど前から家庭電化製品の中に多重制御の工夫が入り込み始めた。正面きっての多重制御ではなく、各電球や、扇風機の中に組み込んだモヂュールにより見掛け上の多重制御ができるようになった。

 一番良く売れたと思われるものは、電球のソケットの中に埋め込んだ切り替え装置で、壁のスウィッチを手早くOn、Offすると、明るさが三段階に変化するものであった。これは筆者もたくさん買った。ありがたいのは電球が極端に長持ちすることであった。タングステンフィラメントが冷たいときには、その抵抗が小さく1/12くらいしかない。そこに規定電圧を掛ければ、電流は12倍流れてフィラメントは急激に膨張して切れる。
 この素子はその突入電流 rush current を抑制するように設計されているので、ほとんど切れない。ざっと10倍くらいは持つ。点灯すると、ボワッと明るくなるのがわかる。パッと付くのではない。

 時間が来ると自動消灯する電球もあった。賢いことに30分経つと、点滅して警告を発してから、やがて消灯する。これは我が家のトイレの電球に使っている。これもソフト点灯するので、築18年で一度も切れていない。

 天井の扇風機と電灯は2本しか電線が来てない家庭が多かった。電灯だけしかなかったところに扇風機をつけたのだから当然である。ぶら下がっている紐を引いてファンとライトを切り替え、回転速度は手を伸ばしてロータリー・スウィッチで切り替えていた。これを壁スウィッチのOn、Offで、全てコントロールできる。手早くOn、Offするとモードが順次切り替っていく。このモジュールはとても小さくまとまっていて、天井扇のベースに収まる。我が家の天井扇にもつけてある。大変具合が良い。

 ややぜいたくなタイプは、壁スウィッチのパネルに3つのモードの切り替えと明暗、回転の無段階調整がついている。扇風機中のモジュールとの通信は、最初からある2線で行うので、配線を触る必要はない。

2008年11月10日

擬似三相交流

 先日の擬似三相交流で三相モータを回す話を紹介したところ、複数の専門家からお便りを戴いた。

 効率を考えなければ問題なく動くという結論である。驚いたのは、新幹線の床下にある空気圧縮機等の小さいモータを動かすための三相交流はこの方法で作り出していたということである。架線から来ている電源は、当然単相である。

 現在はインバータであるが、0系新幹線の時代には擬似三相交流であったそうだ。ただし、キャパシタではなくリアクトルで遅らせるということである。
 電子工学が未発達の頃は、これがベストの方法であったらしい。

 いずれにせよ三相モータを動かす電源は120度の完全な三相交流でなくともよいということである。

 また、別の方からはこのリンクを紹介戴いた。これによるとやはり90度、135度であった。記憶していた数値は正しかった。
 この回路は出力によってかなりの変動があるはずである。回すモータの特性によって定数を計算して最適値にする必要がある。

 送電線の3線の並べ方については、興味深いことをお教え戴いた。3線はところどころでひねってあるのだそうだ。3つの線を等価にするためには、そうせざるを得ないが、今までそんなことには気づかなかった。これからは上を見て歩かねばならない。

 「いろいろなところで物理学は生きている」と感じた一週間であった。
 
 

2008年11月04日

三相交流

 日本の場合、三相6600Vで市街地まで配電送電しているので、三相が欲しければ電力会社に頼めばトランスを上げてくれる。多少の金が掛かるが可能である。このごろは三相のトランスではなく、V結線というやや簡易方式で給電配電するようだ。トランスの利用率は低下するが、小さなトランスを取り付けるだけで三相給電配電が可能になるので、小規模の需要家に対しては、ほとんどこの方式を採っている。
 我が家の空調は三相であり、維持費がとても安い。

 アメリカはどういうわけか、三相を引きにくい。街路ごとの分岐がすでに単相三線で、随分太い線で給電配電している。三相トランスをつけてもらうと遠くから専用電線を引くので、出費が大きいのだそうだ。
 このあたりの設計思想の違いはどこから来たのであろうか。

 インバータにするとモータの回転数が自由に選べる。便利であるが、普通の機械にインバータをつけただけではモータが焼けることがある。
 モータの冷却ファンは出力軸の反対側にあり、定格どおりの回転で冷却能力を発揮するようになっている。

 これを低速で回すとどうなるであろうか。風量が不足して焼ける可能性がある。どうすればよいかというと、別電源で送風機を回すのである。簡単な軸流ファンを増設するだけのことである。

 旋盤には回転計をつけた。周速度を表示する装置も市販されている。

 インバータを付ければ、逆転も急停止も自在である。加速曲線も自由に選べるので運転はとても静かである。
 
                 
              <御指摘の用語を改めました。>

2007年06月26日

理想のTrack Cleaning Car 

 真空掃除機は自動車用の小型のもので、これもバッタ屋で見つけた。かなり強力である。
 
 線路には、いろいろなものが落ちている。最も多いのがカプラの留めネジで、たまにはセンタ・ピンがある。列車の中で一つくらい抜け落ちても、そう簡単には脱線したりしない。年に一回の車検で持ち上げて気がつくことがある。抜けたスパイクも結構ある。

 磁石を下向きにつけておくと、かなり引っかかってくるが、ブラス、ステンレス、アルミニウムは付かない。

 鉄以外の金属片を取り除くには、渦電流による方法しかない。これはまだ予備実験の段階だが、高速で回転する強力な磁石を接近させるという方法がある。

 友人から貰ったネオジム磁石がたくさんある。これは信じられないほど強力で、2cm角の磁石二つを手で引き離すことが出来ない。それをモータで回転させ、磁界変化を与えると、落ちている金属片には渦電流が流れ、それが作り出す磁界で反発して飛び上がる。そこを真空掃除機で吸い取ればよいのだ。この方法はゴミ分別等でも実用化されているはずであり、公知の事実であって特許は取れない。

 原理は簡単なのだが、筆者のレイアウトは鉄レイルを使っているところがあり、そこを通過するとき、凄まじい勢いで吸着されて不具合が生じるような気がする。また、Kadeeのフェライト・マグネット製アンカプラは直ちに消磁されてしまうであろう。その部分では回転磁石を持ち上げるか、シールドする必要がある。

 まだ夢の段階だが、こういう順番で構成して清掃すればよいはずである。
 ‥棺Δぁ研磨、非鉄金属拾い、集塵車
◆[動パラフィン塗布車
 機関車 
ぁ‥展纂
 
 キマロキ編成ならぬ線路清掃列車である。

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