電気工学

2021年10月01日

open-frame motor の界磁を強くする

Lobaugh motor rebuilt Lobaugh の1.5インチ(38 mm)厚の界磁を持つ直捲モータを改造した。コイル部分を切り取った界磁を作ったのだ。
 レーザで切り抜いた界磁の軟鋼板を積層し、エポキシで接着している。軸受はボールベアリングを入れた。ちょうど合う 内径3/16インチ(4.76 mm)、外径1/2インチ(12.7 mm)のがあったので、軸受を加工して押し込んだ。

armature chuck アーマチュアは掃除してから、コミュテータを旋盤上で削り直した。そのために持っている工具があるのだ。これは、armature rotary chuck と呼ばれる。要するに軸を掴んで回転させることが出来る。ボールベアリングが入っていて、抵抗なく廻る。自動車のオルタネータの整備に使ったものだ。
ある程度削ってから、油を付けて細かい砥石で研ぐ。こうすると摩擦が減る。
 組まれた車輪をそのまま掴んでフランジを修正するときにも使えるが、あまりやらない。

 全体を組み直して、手で廻すと非常に滑らかである。この界磁の隙間に永久磁石を入れるわけだ。吸着力 58 kgwというとんでもないものを付けたら、12 Vを掛けても全く回らなかった。22 kgwの磁石でも怪しい。8 Vを掛けないと起動出来ない。その時、モータ軸を手で
アシストしてすと、明らかに鉄心が吸着されて、脱出できないことが分かる。3 V でも、廻り始めれば慣性で次の吸着から脱出できるのだ。
 界磁に大きな鉄片を吸着させて、磁力線の半分くらいをそちらに流す(これを弱め界磁というべきかは疑問である)と、1 V でも起動できる。吸着力が10 kgw程度の磁石を挟むとちょうど良いかもしれない。

 ちょっとしたお遊びなので、厳密なことは考えていない。元の電磁石がどの程度の吸着力を持っていたのかは見当が付いた。このLobaughのモータはバランスが取ってあることと、エアギャップ(隙間)が小さいことには感心した。模型用ではあったが、本物の技術が使われていた。当時(1941年頃)の日本製のモータとはかなりの差がある。


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2021年06月01日

Tenshodo のレオスタット

 しばらく前に扱った天賞堂製の最高級パワーパックの記事中、Marn-o-Statと書いたが、それは誤りであった。この記事はTMS105号(1957年3月)からコピィをさせて戴いている。この(F)という執筆者が誰なのかはわからないが、的確な記事を書いている。

Tenshodo 40 Ωの”テーパーワインディング”とある。若い方は意味がわからないだろうと思うので、簡単に説明しよう。モータの回転数が低いときに細かな速度制御ができるように、そのあたりの巻線が細い。中高速域では電流が増え、大まかな調整で良いので線は太い。大抵は、3段階になっている。もうすでに過去の遺物で、現在の低電流で動かす模型には使えない。
 40 Ω とあるので、初期短絡電流は 0.3 Aだ。当時としてはかなり優秀なモータ搭載した機関車を想定していたのだろう。実際には半分近く廻して、1 A弱でスタートしたものと思われる。

 可変抵抗による電流制御であり、本来は直巻電動機の制御に適する。現在使われているマグネットモータは分巻特性であるから、電圧制御でなければうまくコントロールできない。

 この記事によると日本製のようだ。アメリカでの特許が切れているのを承知して作ったのだろうが、それにしてもよく似ている。現代なら文句を付けられそうだ。

 日本では、この種のスロットルを縦に動かす電源は、殆ど見ることがなかった。固定されたレイアウトの存在があまりにも少なかったからだろう。ともかく、このスロットルは日本のどこかに眠っているものと思う。現物を拝見したいものだ。
 taper-wound の発音は、昔のTMSで議論されていたが、正しいものがなかったように思う。 ウーンドというのは意味が違う言葉だ。windの過去分詞だからワウンドである。この件についてTMS記事を調査中だが、見つからない。お教え願いたい。 

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2021年03月05日

炭素棒ハンダ付け

 むすこたかなし氏のRSU (resistant soldering unit) の記事が面白い。筆者はOゲージを楽しんでいるので、細かい工作をしていないと思っている人も多い。だから、太い炭素棒で高い電圧を掛けていると思われているようだ。
 筆者は細かい作業もする。ディーゼル機関車のブレーキ・リギングなどは極めて細かい。その組立てはRSUを用いる。相手が大きいので、ハンダごてではできない。

 炭素棒は、1/16インチ(1.6 mm径)を用いる。電圧は5 Vである。先端が白熱するのではないかと思われるだろうが、そんなことはない。発熱量は、電流の2乗と時間との積である。時間を短くすれば良いのだ。

 筆者がペダルを踏むのを見ると、ほとんどの人が「すごい」と言う。きわめて短時間の踏み込みを、猛烈な速度で繰り返す。それがコツなのだ。炭素棒は相手に触れたままにする。発生した熱は殆ど相手に吸収させるようにする。通電は0.2秒程度だ。通電中に離すとアークが出て穴があくかもしれない。 
 毎秒2回程度踏む。足踏みスウィッチは、耐久性が保証されているものを選んであるから、思い切り速く、細かく踏むべきである。

 ハンダメッキしておいて、炭素棒を押し当てればハンダはつるりと沁み込み完了する。きわめて単純な話で、簡単だ。 もちろんフラックスは塗っておく。

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2021年03月01日

switch motor

 ポイントマシンを取り付けている。すべてモータ駆動になるので、各種のギヤードモータの電流値を調べている。

 優秀なモータは5 mA以下で回転する。1.5 kΩの抵抗を直列に介して 12 Vを掛けると 6 mAで起動し、無理に回転を止めると8 mA弱で一定となる。抵抗では 0.1 Wが熱になるが、尖端レイルは押し付けられている。その力は十分大きく、脱線は起こらないだろう。抵抗は熱くなるはずだが、30分待っても温かく感じなかった。十分安全である。もちろんモータは単なる銅線であるから、熱は発生しないと考えて良い。 

switch motor (1)equalizer この種のモータが一番良いのだが、もう手に入らない。10年以上前にたくさん買ったが、友人が一つずつ「サンプルに」と持って行って、ほとんどなくなってしまった。3 mAで動くが、ほこりを噛みやすい。脱脂洗浄剤でよく洗い、注油して密閉空間に入れた。こうすれば20年は問題なく動くだろう。これはおそらく、当時の8ミリビデオのズームレンズを駆動するものではなかったかと思う。

 ここで問題を一つ。このダブルスリップの「1つのモータで動く3組の尖端レイル」の圧着力をすべて等しくしたい。この図の構成では圧着はするが、均等ではない。どのように改良すれば良いだろうか。矢印の長孔は十分に長いものとする。

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2020年10月26日

ガスタービン機関車の運転

 電気車の専門家にこのマニュアルを見せて、感想を聞いた。一言で言うと、「大したものだ」であった。1950年ごろにこのような機関車を全自動で起動し、加速も自動進段させ、なおかつ空転検知をしているのは凄いとしか言いようがない、とのことだ。

GTEL Master Control ダイナミック・ブレーキ(発電ブレーキ)はセレクタで切り替えて掛ける。このセレクタのポジションは、M1, M2, OFFとブレーキになっている。
 M1 はガスタービンがアイドリングしていて、補助エンジンが廻っている時に、選べる。
 M2 を選ぶと、ガスタービンが最高速で廻り、補助エンジンが843 rpmで廻る。
 その状態でスロットルを動かすわけである。ノッチは20段あると書いてあるが、Tomは14段しか使わなかったと言う。しかも途中の細かいノッチはほとんど意味がないそうだ。機械に任せておけば自動で進むからである。

 下にあるのは前後進の逆転ハンドルである。セレクタ・ハンドル、逆転ハンドルはスロットルがアイドリングの状態しか動かせないようになっている。これらは機械的にインタ・ロッキングされている。走行中に逆転すると大事故が起こるからである。

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2020年09月26日

Marnold Throttle

 しばらく前に話題になったMarnoldの広告を見てみよう。

Marnopower 1954年1月号のModel Railroaderの広告である。この時期には頻繁に広告を出していて、いろいろなタイプがある。同時期の他社のパワーパックは貧弱で見劣りがする。もちろん外観の話である。このレヴァ方式のレオスタットは、かなり訴求力があったようだ。
 握って動かすと、ざらざらした感触であまり高級感はないが、他社のツマミを廻す方式に比べるとなかなか良い。


Marnold PowerMarnoldcabinetMarnostat こちらはWalthersのカタログである。様々なコンポ−ネントを組合せて、好きな形に出来る。配線は自分でやることになっているが、誰でもできたわけでもないだろう。おそらく、組立・配線も受注していたはずだ。あるいはその種の仕事を請け負う人もあちこちに居ただろう。このページのパネルの絵を切り抜いてどんなパネルにするか決めると書いてあるのだ。当時は既にゼロックスのコピィが普及していたので、本当に切り抜いた人は少ないと思う。

 1970年代にはいくつかのレイアウトでこれを見たが、そのうちに急速に淘汰されてしまった。既に90年代には、筆者は見たことがない。動力のモータが低電流になると、レオスタットでは制御不能になってしまったからだろう。その後DCC が台頭して来ると、誰もがその存在を忘れてしまった。今ではその形以外、存在価値はなくなった。
 しかし、このレヴァ式のスロットルはDCCの時代になってもやりたい人がいる。ディーゼル機関車のスロットルの形に似せてあるからだ。  

transistor throttle トランジスタ・スロットルも発売していたようだが、価格は書いていない。見たところ、非常に簡単な回路のようだ。ブレーキの段数は少なく、無段階ではない。

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2020年08月17日

半波整流による低速制御

 Marnoldのカタログは面白い。正直なところ、これがウェブ上で見つかるとは思わなかった。70年代のアメリカでも、既に過去のものであって、新品はWalthersのカタログには載っていたが、現物を見ると少々がっかりした。先にも書いたが、筐体の鉄板が薄くて剛性が小さく、出力のラグが小さいので結線しにくい。また、スロットルはガリガリして高級感が無かった。しかし今回、セレン整流器の性能向上について、知見が広がり、有難かった。

 今回このカタログを熟読して一番興味があったのは、半波整流による低速制御(いわゆるパルス電源)である。p.21(画面左下のペイジを表す数字は 16)の Super1 回路図には一箇所ミスがあるが、気が付かれるだろうか。右上のDPDT(いわゆる6Pスウィッチ)に行く線がない。2つのセレンからの出力と結ぶべきだ。

 トランスの上の巻線にはスライドする端子が2つあるから、それを別々に動かすことができれば、半波だけの24 V(実効値で12 V)も出せるし、半波は普通に出し、残りの半波は低電圧にすることもできる。要するにセンタータップを偏らせることができるのだ。実際には半波だけの24 Vは出さなかったようである。特許( US2859398)を見れば半波を微速用に出していて、残りの半波は電圧を0から可変のようだ。非常に簡単な方法である。これについてはTMSに詳しい解説がなかったように思う。気が付かなかったのか、理屈が分からなかったのかは分からない。

 伊藤剛氏が試作した回転式接点断続法では、誘導負荷を遮断するので火花が出て、すぐに消耗してしまったそうだ。その点、半波方式は自然に遮断されるので、寿命について考慮する必要は全くない。それとレオスタットとをさらに組合せれば、より細かい運転法が可能だ。今まで紹介されていた方法はパルス式だけの給電であったから、細かい制御が難しかった。このパルス方式は、実効値は小さいが瞬間の電圧が高いので、多少接触が悪い状況でも、動き出させることができる。

 宣伝文句には列車の慣性に打ち克ってゆっくりスタートできるとあるが、この文言だけは賛成できない。慣性ではなく、静止摩擦であろう。
 一般には、現在の模型でも摩擦が大きいものがいくらでもあるから、それを走らせるには工夫の余地がある。小さなスライダックを2つ繋げば、ほぼ同等のものができるだろう。片方は通常のトランスでも良いかも知れないが、その時はレオスタットを組み合わせた方が良いかも知れない。レオスタットはいくつか転がっているので、使いたい人には提供しても良いが、モータの特性に合わせて調節するのはかなり面倒であろうと思う。
 もはや過去の遺物であると云うべきで、これを再現する価値があるかどうかは疑わしい。やるなら、完全なソリッドステートである。決して難しくはない。既にそういうものは市販されていたように思う。しかし、既にDCCの時代である。低速運転は何も考えなくてもできるようになってしまった。 

 また低速での起動をしたいなら、牽かせるものの抵抗を極限まで小さくし、ギヤの伝達効率を高くすることが早道である。当博物館では、120輌を牽いて登り坂で微速前進ができるが、完全直流運転で、何の仕掛けもない。  


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2020年08月15日

模型とラジオ "鉄道模型部品ものしり帳"

Mokei to Radio (3) ”模型とラジオ”という雑誌があった。”模型と工作”誌には合葉氏が興味深い記事をたくさん書いていたが、”模型とラジオ”誌にはより実践的な工作記事が載っていた。1961年の4月号の別冊付録は珍しいことに、鉄道模型の部品価格の絵入りカタログであった。いったい何度これを読み返したであろう。既にОゲージは斜陽化が始まり、HOの時代が始まっていた。 

 近所の模型屋の店先の3線式Oゲージはトイトレインから脱却できず、子供の眼から見てもつまらないものに見えた。ごく一部の腕のある模型人は、2線式の重厚な模型を作り、座敷に敷いた線路上の運転を縁側から見せてくれた。それに対抗するHOも、さほど素晴らしいものではなかった。大きさ以外に何が違うかと言うと、直流運転で逆行が簡単であったことだ。

 Oでも椙山氏の率いるクラブではDC化が完了していたが、一般にはセレンがとても高価で、DC化は進まなかった。子供の小遣いではとても買えなかった。 1.3 Aで475円という札が掛かっていて、それを見つめてため息を漏らしていた。
 母方の祖母が来た時、何か欲しいものはないかと問うので、それを買って貰ったのは嬉しかった。直流がいくらでも取れるので、鉛蓄電池を充電して、それで機関車を走らせて遊んだ。鉛蓄電池は内部抵抗が小さいので、脱線してショートすると電線が発火した。畳に焼け跡が付いて、それを削り取るのには苦労した。その他、ここには書けないような事故を連発しつつ、DC運転を始めた。父は心配して、二重の安全装置を付けてくれた。楽しい小学生時代であった。

Mokei to RadioMokei to Radio (1)Mokei to Radio (2) この”ものしり帳”を見ると、例の Marn-o-Stat が付いた写真があり、価格は16,000円である。直流電源は高価である。日本製の機器は工業製品を並べたものであり、それなりの機能、正確さを持っていたように思う。アメリカでMarnoldの製品をいくつか見たが、電圧、電流計はひどい物であった。プレスしたブリキでできた箱に怪しい針がつけられていて、誤差は2割くらいあった。しばらく持っていたが、捨ててしまったので写真を見せられないのは残念だ。0 Vがセンターにあるのだけは良かった。
 スロットルの武骨さを見れば、それなりの出来を期待するが、板が薄く貧弱なものであった。

 Marnold の製品は、彼の合理主義の設計思想がよく見えるものばかりだ。安く、効率を高くするにはどうしたらよいかを考えて、実現した人ではある。センタータップ・トランスを使用していたのは知らなかった。セレンが1枚であるのも驚きだ。セレンの性能は、後期には製造所のノウハウによって、随分と差があったことも分かった。高性能なものが存在したらしい。アメリカで見た彼のパワーパックの筐体は薄い板でできていて、いくつかのコンポーネントを完全に組立てて結合しないと、強度が出ない物であった。天賞堂の筐体は、その点、剛性が高く素晴らしい。
 

 これらの写真は小栗彰夫氏の蔵書を撮影戴いた。実は筆者も持っているのだが、書き込みが多く、人に見せられたものではないので、程度の良いものを提供戴いた。

 この記事のレオスタットは日本製であることが判明したので、お詫びして訂正させて戴く。(6/1/2021)

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2020年08月11日

セレン整流器の耐圧

 昔アメリカで聞いた解釈によると、「セレン整流器の耐圧によって、自動車の電圧が12 Vに決まった」のだそうだ。12 V化は、1953年から始まったという。電圧が高いほどクランキング(スタータ・モータを廻す) 電流が減るから電線を細くできて、効率が良い。歴史的な順序は間違ってはいないから、説得力はある。

 鉛蓄電池の充電での最高電圧が2.26 Vであるから、その6倍で13.6 V、電圧降下分2 Vを足すと15.6 Vである。交流が正弦波であれば、電圧の最大値は√2倍で22 Vとなり、許される最大電圧に近い。6 Vの車の時代が長かったが、それは亜酸化銅整流器の耐圧とも関係があるのかもしれない。しかしその頃はジェネレータの時代で、直流発電をしていたから、因果関係は希薄だ。現在はオルタネータで、三相交流発電である。ばらすとダイオードが6個付いている。

 最近の車には12 V でない車が出て来た。48V車である。トラックはしばらく前から24 Vである。PHVでは数百 Vであるが、主回路に異常が起きた時には切り離され、非常用クランキングは補助の12 Vバッテリィで行って、ガソリンのみで家まで帰れるようになっている。直流の48 Vは感電の可能性がある電圧だ。汗をかいていると危ないと思う。

 我々が楽しんでいる鉄道模型の電圧が自動車用の充電装置から決められたものであれば、その起源はやはりセレン整流器の耐圧ということになる。実験室で使う直流電源のことをエリミネータと言っていた時代がある。これは battery eliminator のことであり、鉛蓄電池が無くても通電実験ができる装置という意味であった。出力はAC16 V、DC12 Vであったものが多い。これがパワーパックの原点である可能性は高い。

 電圧は直接目で見えるものではないから、様々な素子の性能で決まったものが多いのは、歴史的事実である。例えば 1 Volt という電圧は、初期の実用電池であるダニエル電池の電圧で決められたことは、意外と知られていないが電気化学史上の事実である。一方、真空管のヒータ電圧12.6 Vは、鉛蓄電池の6個直列満充電時の電圧であることは有名である。


 現在はシリコン整流器が常識である。これは電圧降下が小さいので、発熱も小さく効率が高い。また耐圧が250 V以上あるものが大半で、既にそういうことを考える必要はほとんどなくなってしまった。

 筆者は、高校生の時にシリコンダイオードを初めて手に入れた。12 A規格の製品で、放熱器にネジ込んで使うタイプだった。当時は高価で、4つも買えなかったから、トランスをセンタータップにして、ダイオードを節約した耐圧が大きいからこそ、できるのである。セレンでは2段にしないと壊れる。即ち、その枚数はブリッジ接続の枚数と同じになってしまい、ダイオードの数の節約はできないわけだ。それに比べれば、センタータップとシリコンダイオードの組合わせでは、はるかに効率が良くなることを知って、感動したことを覚えている。
 セレンより電圧降下が少なく、さらに半分の数で済んだから、DC出力電圧が高くなった。また放熱器は大きいものを作ったのに、全く熱くならなかったので拍子抜けした。きっと熱くなると思い込んでいたのだ。
 センタータップ方式の電源を鉄道模型に使った例は、国内ではまず無いだろうと思う。

 この電源を用いたトランジスタ・スロットルを椙山氏のところに持ち込んで披露した。国鉄の電気技師のH氏が操作してとても気に入り、椙山氏のレイアウトの4台あるキャブを、全て作り替えた。但し、シリコンダイオード・ブリッジを採用した。


〔追記〕 セレン整流器は徐々に進化し、その終末期には耐圧が36 V以上に達したようである。また電圧降下も小さくなっているそうだ。そうなると18V車が可能になるが、 シリコンダイオードが普及すると同時にオルタネータが標準装備されて、ブリッジ接続のセレン整流器は姿を消した。8/16/20

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2018年01月20日

回転計とトルク計

tachometer and torque indicator フライス盤の改良で、回転計を用いて回転数を測定した。これはレーザ光を発し、反射光を数えるタイプである。アマゾンで安価にて購入した。写真中央下のものである。この話を教えて下さったのは、時々登場する Dr.Y である。氏は様々なモータを測定して、一覧表にされたのだ。100機種弱を整理されたデータで、非常に興味深い。
 電圧電流が直読できる安定化電源と、トルク計を用いれば測定できるとは言え、大変な労力を投入したデータであり、貴重だ。

 写真中央上はトルク計である。三爪チャックでモータの出力軸を掴み、所定の電圧で廻してバネ秤で直読する形式になっている。表示単位は昔懐かしい ”g重cm” である。 

 Dr.YはHOを楽しまれているので、モータのトルクはせいぜい 100 g重cm である。筆者に見せて下さった時、Oスケール用のものも測定してみよう、ということになった。しかし、たちまち振り切ってしまった。もっと大きなものが必要であった。

torque indicatorcalibration その後、ヤフオクで目を皿のようにして探し、ついに 600 g重cm のものを購入することに成功した。これらの写真をご覧になるとお分かりかと思うが、正逆回転に対応した目盛りになっている。
しかしこれでも振り切るものがいくつかあり、低電圧で測って高電圧のトルクを、外挿して求めることになった。筆者は商売柄 ”Nm” しか使わないので、980を掛けて何桁ずらすのだったか、再計算にやや手間取った。
 径が大きなものはモーメントが大きいので、概して高トルクである。マイティ800に付けてあるのは出力11.5 Wで、大人を載せた客車を牽いても、かなりの加速を示すはずである。もちろん客車にはボールベアリングを付けていることが条件だ。
 
 模型機関車用のモータとして適するのは、強力な界磁を持つ低回転モータで、負荷の掛かった時の回転数が落ちる率が小さい物である。吉岡精一氏が書かれた「モータ調書」のデータとよく一致する。昔から定評のあるEscapの低回転モータは、その点、抜群の性能を持つ。もちろん、伝達系は高効率であることは最低条件で、ろくに廻らないギヤトレインでは、話にならない。

 吉岡氏がデータを採られたのは25年前で、当時無かったモータもあるので、再度調べてみる。近々導入予定のパシフィックの強力機に搭載するモータを決める必要があるのだ。重量客車数輌を牽いて、15.6‰を駆け上がらねばならない。


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2015年11月27日

自動逆転器

 最近の若い方は、自動逆転器という言葉を知らない方が多いと思う。界磁が電磁石だったころは、この自動逆転器は高嶺の花だった。モータよりも値段が高かった。ライオネルやメルクリンには標準装備だったが、日本製のものにはほとんどついていなかった。一時期、自動逆転器付きのモータも出ていたが、高価であった。

automatic reverser 界磁コイルに中点タップを付け、両端を切り替える方式だと、逆転器の構成は簡単になる。外国製の模型はそれが多かった。逆転器は電磁石とラチェットでできているものが多く、高電圧を掛けたりすると、車体が動く前に逆転リレィが作動し、小さな接点を付けたローラが回転する。

 この種の界磁はいわゆる複捲ではないのだが、これを複捲と言う人がいる。単なる勘違いである。複捲は直捲と分捲を合わせたもので、それを切り替えたり、同時に使用して抑速ブレーキを掛けたりすることもできる。模型には縁がない、使いにくいものである。

 最近伊藤剛氏や吉岡精一氏が遺された多量のモータを動かし、直捲モータの動きを見て楽しんでいる。それにしても昔のモータは騒々しいのが多い。
 子供のおもちゃとしてのOゲージの動力としては静かである必要はなかった。やかましいモータは、「元気がある」という時代だったのだ。


 

2015年11月25日

続々 スーパー20

114_4069 また、スーパー20かと思われた方も多いと思うが、これはLobaughのモータである。コア厚25.4 mm(1インチ)の強力型である。
 ブラシのホルダを三角の部材で留めているところなど、カツミが真似たことがすぐわかる。界磁は薄い珪素鋼板を積層して、リヴェットでかしめ、それに軸受をネジ留めしている。電機子との隙間は極めて小さく、磁路の障碍も少ない。

114_4071 電機子は旋削され、ダイナミック・バランスがとってある。隙間に見えるブラス片は錘代わりである。この旋削というのがミソで、こうすることによって磁路のギャップを狭くすることができる。もちろん界磁内側も研磨してある。そのためにはリヴェット留めが必要なのである。
 軸は3/16インチで4.76 mmである。カツミ製は 6 mmである。ずっと細い。


114_4072 このモータはpolarizedである。”ポラライズする”とは、整流器を用いて界磁に一定方向の電流を流して、永久磁石代わりにする方法である。こうすればマグネット・モータと同様、手元のスイッチで逆転できる。これがないと、車載の逆転器で方向を変えねばならず、面倒である。1950年代は大きなセレン整流器をテンダに入れていた。これはシリコン・ブリッジ整流素子を使っているから小さい。

polarized motor この図を見れば、どんな回路かはすぐお分かりいただけるであろう。線路の電圧が反転しても、界磁電流は一定方向に流れる。電機子に逆向きの電流が流れると、逆転できる。簡単にして、確実な方法である。これを使えば、直捲電動機の特性が生きるので、かなり手を抜いた電流制御の電源でも気持ちよく走るはずだ。
 現代のようにマグネット・モータが容易に手に入らなかった時代は、この方法を採っていた。マグネット・モータは分捲特性なので、電圧制御でなくてはならず、やや運転しにくい。現在、市販の電源は大半が電圧制御になっているから、どなたもその違いに気が付かない。 


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2015年11月23日

続 スーパー20

 このモータは海軍の技術将校だった人が設計したらしい。当時カツミに入り浸っていたY氏が紹介したという。その設計思想はある程度納得のいくものであるが、現在のモータの専門家の意見はなかなか手厳しい。
 友人のT氏からの手紙の一部を紹介する。

 

 界磁鉄心厚さが厚いだけでは、強力にはならない。巻き数と電流値の積AxT大きくないといけないのだ。とりえは他の形式の電動機より巻線太さが太いので、巻線の抵抗が小さく、ブラシにかかる電圧が高くなっていることぐらいか。多少巻数も多いと思う。

 電圧をかけていくと、じゃらじゃらと猫が騒ぐような音を出して回転が上昇する。KB3(安価なモータ)のほうがMax回転数は高いと思う。

 

 そのあと界磁を永久磁石に替えたものを、輸出用に使った。ヤフーではボールベアリング入りと説明があったが、知らない人は幸せですな。とんでもなく太い電機子軸なので摩擦損失は大きい。

 オイルレス・メタル付きなのだが、こんな太い軸にする必要は全くない。怪しいボールベアリングの時と同じ太さにしたのだろう。
 当時、模型店で1000円以上していたかと思う。KB3が180円位の時だ。手で廻してみると、固くて抵抗が大きいのにびっくりした。それが強力の証とはとても思えなかった。


 筆者もT氏も、ネオジム磁石を買って、界磁をパーマグ(permanent magnet)にした。
 低速でのトルクが大きく、減速比が小さくできる。すなわち旧型モータなのに、押して動くモデルができることになる。コアレスモータでなくても、押して動くようにできるのだ。もちろん、鉄心があるのでコアレスほど軽くは廻らないが、押せば動く。
 ヤフー・オークションに出ているモータの界磁磁石は三菱製のものだそうだが、弱い。工場で組み上げてから着磁したそうである。要するに電機子を外すと磁路が切れて弱くなりがちなのだ。



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2014年08月24日

Short Lamp

Short Lamp ショート・ランプと聞いて、「ああ、あれか!」と思い当たる人はかなりの年配であろう。筆者の世代でさえも、ショート・ランプを実用化した人は稀である。筆者は中学生のころ、自動車のヘッドライト用の大きな電球があったので、それを付けて遊んだことがある。
 ショートすると光るので、正常状態より、むしろショートを期待して走らせていたような記憶がある。この写真はやや電流が多くて、ぼんやりと光っている様子である。

 ご存知ない方のために、簡単な解説をする。現在のDCCはサーキット・ブレーカが当然のように使用されている。筆者のレイアウトでは、10 Ampsの電源であるが、実際には1.3 Amps で飛ぶ3回路のブレーカを、2つ設けている。客車をLED化したのでその程度の電流で走る。ちょっとした短絡でブレーカが飛ぶので冷や冷やで運転している。

Short Lamp 2 分岐された主回路に自動車のTurn Signal(いわゆるウインカ)用の電球を直列に結線する。そうすると、1A前後の電流では電球は光らない。電球のタングステン・フィラメントは、低温では電気抵抗が小さいので、損失はほとんどない。ところが回路が短絡されると、12Vが全て電球に掛かることになる。すると2.3 Ampsほど流れて、電球はまぶしく光る。
 この写真は、完全なショートで光量が大きいので、露出がそれに合わせて絞られた結果、暗く写っている。

 アメリカのレイアウトではよく見たが、この方式を使う人は少なくなり、最近はまずお目に掛からない方式だ。Dennisはこの電球を5つ付けて、回路を保護している。
 レイアウト上で一箇所、ギャップの位置が悪くて、そこを機関車が跨いでいるとショートするところがある。ブレーカだと機関車が止まってしまうが、ショート・ランプならぴかっと光るだけで済む。その点は優れている。



2012年07月04日

Kleinshmidt氏の仕事

COM_4385-2 クラインシュミット氏の本業はもともとは電子工学および精密機械加工であった。ラジオ、電気蓄音機、テレビ、時計、その他「電気と機械が組み合わさったものなら何でも修理します」という看板を揚げていたらしい。

 今回訪問した時に時計旋盤の写真を取るのを忘れたが、それを駆使して時計の部品を作る。たまたま完成したばかりだと言って見せてくれたのが、1934年型デューセンバーグの時計であった。この種のヴィンテージ・カーの時計などを修理できる人は少なくなってきて、ニューヨークに一人と彼だけだそうである。アメリカ中から修理依頼がくるそうだ。
 その他、真空管の時代の無線機器や電気器具の修理も引受けている。

 3年ほど前、筆者の家にあったアメリカ製の電気オヴンが故障してしまったことがあった、制御部分を外して様子を見たが分からなかった。2か月ほど回路図とにらめっこしたが、結局直らず廃棄した。製造元はすでに部品が無いと言うし、インターネット上では、「クロック部分の修理が出来る人を探さねばならない」という抽象的な表現しか見付からなかった。
 その話を彼にすると、「なーんだ、送ってくれたら直してやったぞ。」と言われた。
 
 その後そのオヴンを外した穴に適合する同サイズの新しいオヴンを購入した。期待していなかったが、珍しくアメリカ製で、価格もそこそこであった。運賃を入れても、日本製の同程度の物の1/4位の価格であった。この種の台所用の大型電気器具は、まだまだアメリカ本国で作っている場合が多い。ドルの価値が下がったので相対的に安くなっている。
 筆者の家では洗濯機、乾燥機、食器洗い器、冷蔵庫はアメリカ製を使っている。多少やかましいが、機械部分は壊れにくい。回転部分のボールベアリングに、常識的に考えられる大きさの二倍程度の大きさのものを使っている。すなわち消耗が少なく、極端に長もちする。その会社の製品は故障が少ないのが売りであった。
 しかしオヴンは機械部分などほとんどなく、制御部分が壊れると火事になってしまうので、故障すると打つ手が無い。18年使ったので良しとせねばならない。 

2011年12月03日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

炭素棒ハンダ付け電源回路図 これが全回路図である。あまりにも簡単で拍子抜けしそうである。この図の表現はやや古いかもしれない。筆者は専門家ではないので、最近の表示法をよく知らない。昔の知識である。


 Capacitorは日本では「サージキラー」と呼ばれている物を採用した。その2本の端子には長短があるが、交流負荷なのでどちらでも良い。コイル(誘導負荷)がつながっている回路の電流を断続すると、高電圧が発生し、電波障害をはじめとする様々な障害を引き起こす。場合によってはスイッチの接点が焼損する。これを付けておくと、ほとんどの問題が解決する。付ける場所はいくつかの候補があるが、電気屋さんのお勧めの場所に取り付けた。これは経験上の知識で、電線の長短のファクタがあり、完全な理屈付けは難しいとのこと。

 Thermal Fuseは温度フューズのことで118℃で熔断することになっている。巻線は120℃に耐えるそうであるから、これでまず火事になることはなさそうだ。

 Monitor Lampはロータリィ・スウィッチが出力する位置にあって、なおかつ、足踏みスウィッチを踏んだ時だけしか点灯しない。点灯中、すなわち、出力中である。
 この電源を使用しないときは、ロータリィ・スウィッチをOFFの位置にする。そうすれば、何かの間違いで足踏みスウィッチが押されても安全である。モニタ・ランプ(パイロット・ランプ)の回路は、他と比べて細い電線を用いた。

 全ての部品は信頼性ある日本製を吟味して用いている。長く使えるものと思う。

2011年11月27日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3060 この写真を再掲する。この黒いバンドは耐熱性のあるナイロンの結束材で、温度フューズを取りつけるものである。長いものの在庫がないので、短いもの2本を供給する。つないで使用することをお許し戴きたい。


GOW_3062GOW_3061GOW_3063 足踏みスウィッチである。コードを長くされたい方は、このように改造する。付属の電線は 1m で やや短い。1.5m の線を用意したので、それと取り換えることができる。アメリカで市販されている炭素棒ハンダ付け電源に付属している物より、はるかに丈夫なものを選択した。この部分が最も激しく動かされるからである。高価であるが投資効果はある。100万回の動作に耐えるらしい。

 裏のネジを一本緩める。これは外さなくても良い。シャフトを押し出して分解する。ペダル部分を押さえて、何か細いものでシャフトを押すのだ。この時、うっかりするとコイルバネが飛び出す惧れがあるので、新聞紙を1枚かぶせて抜くとよいだろう。飛んでも新聞紙で引っ掛かる。

 開けるとこのようになっているので、スウィッチを外し、赤の線を切断する。白と黒の線を付けているハンダをはがす。そこに供給した電線の外側の被覆を剥いたものを通し、さらに内部の線の被覆を剥く。ハンダ付けは容易だ。踏んだ時、白と黒が導通するかを確認しておく。

 コードの抜け防止の金具を付けて、元のように組み立てる。この時、内部にゴムあるいはフェルトを貼るとガチャガチャという音が小さくなる。これは個人の好みにあわせて貼り付けられたい。シャフトには少量のグリスを塗ると長もちするだろう。
 
 ここまでの標準的な時間は30分くらいである。

2011年09月30日

炭素棒ハンダ付け装置のその後

 ようやく見積もりが上がってきて、価格交渉の最中である。当初は1万円を切る価格でと思っていたが、とてもそれでは収まりそうにない。トランスは二次線まで巻かない状態で納品ということはできないと言う。トランスの外形が大きくなったので、ケースも大きくなり、それが意外に高い。
 5V 20A の定格なので短時間なら30A程度流れても問題ない。1次タップを4段に切り替えるのでそのロータリィ・スウィッチが必要で、足踏みスイッチもある程度の高級品を使わないと踏む頻度が高く、壊れてしまう。
 出力端子も30Aに耐えるものを使用することにした。圧着端子で8φ用のを使うと、耐久性がある。

 トランスの二次巻線をテフロン線で細く仕上げようと思っていたが、十分な余裕があるので普通仕様の線を使うことにした。出力端子から先はテフロン線を使いたいところだ。

 ざっとであるが、今のところの積算金額は1万6000円弱である(ブラスの敷板は別途)。こんな価格では辞退したいという方は早めにお知らせ願いたい。
 これには炭素棒を保持する部材も含まれている。それは筆者が材料を加工中である。ブラスの丸棒を旋盤で切って穿孔し、ネジを切った。
 握りはヤスリの柄にちょうど良い大きさのものがあるので、その中を電線が貫通するようにした。圧着端子の締具を持っていない人が多いはずなので納品時に、それだけは締めて差し上げたい。

 PL法の適用外になることを承諾して戴く必要があり、それを念押しされている。事前に承諾書に署名して戴く必要があるので、2台申し込まれた方は、使用予定者の住所とお名前をお知らせ願いたい。文案は準備中である。

 使用する炭素棒は5mm径のもので、仙台の今野氏からの御提供である。筆者のプロジェクトに賛同されて無償で提供戴いた。感謝している。

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2011年07月17日

続々 Carbon Rod Soldering on Conductive Surface

d6bb09b7.jpg ピンセット型の物も持っているが、効率が悪くあまり使わない。このピンセットの先は赤くなるが、発生した熱の2割くらいしか相手に伝わらないので、小さいものを持って組み立てるときぐらいしか使用しない。



 直流電源を使うことも可能であるが、場合によって電極から有毒な塩素ガスが出る可能性があるので気を付けて戴きたい。もし直流を使われるなら炭素側をマイナス極にされたい。そうすると相手のブラス側が多少溶解して、塩素は出ない。炭素極をプラス極にすると塩素が出るだろう。もちろんこれは塩化亜鉛を使った場合の話である。いわゆるペーストならば関係ない。交流では極が入れ替わるので、実質的に塩素は発生しない。
 アメリカではかなりの人が、ペーストを使う。後始末が楽だからであろう。アセトンを入れた容器が置いてあって、それで洗ったり、ティッシュに含ませて拭く。塩化亜鉛を使って水で洗うほうが楽だと筆者は思うのだが…。

 harashima様からのコメントにもあったように、ハンダゴテは熱い。通電時間中、工作物に熱を伝えているのは一体何パーセントくらいの時間であろうか。筆者の経験では5%を越えることはまずない。組立て式レイアウトの配線作業では同じことを繰り返すので、30%くらいは伝熱している。もっとも休んでいる時も熱を発生して、コテの銅の塊にエネルギを貯めていると考えれば 、この種の作業ではもう少しよく使っているだろう。
 炭素棒ハンダ付けは省エネルギであるし、車体の組み立てには最も適する方法である。コテを使うより、素人には簡単である。これを採用すれば、ブラス工作にのめり込む人も増えるであろう。確かに素人には、車体の組み立てをハンダコテ一本でやるというのは難しい作業なのである。

 ある程度の数がまとまれば、このハンダ付け装置の製作を電気屋の知人に頼めるかもしれない。きっと、輸入するよりかなり安くできるであろう。いかがであろうか。

【追記】 簡易キットを用意しようと思い、懇意にしている近所の弱電メーカの社長に話をしてみたら、最低20台あれば、部品集めをしてくれるという。一次巻線だけ巻いた二次線を巻く隙間のあるトランスとか耐熱線などを市場から探すそうだ。炭素棒も手に入るルートを教えて戴いた。作業台に張る厚いブラス板も希望により提供する。素材(アルミ箱も含む)と簡単な説明書を添えた形になる。これはPL法の範囲外であるからそれも念を押されている。場合によっては、同意書を戴くことになるかもしれない。   (2011年7月21日)

2011年01月21日

続々 磁気回路

 先日、高橋淑氏にお会いして聞きたかったのは、誰がOゲージ用モータの設計をしたかということであった。なんと祖父江氏であった。Lobaughのモータを元に彼が絵を描き、それを元に電気屋を何軒か回って作るところを探したのは高橋氏であった。道理で、ブラシ支え部分の作りが似ているわけだ。しかし、ほとんど完璧な真似であったのでかなり良いモータであった。
 当初5溝のロータを作ったのだが、プレス型がでたらめで、重ねると極の位置が違って、がたがたになる。巻線機で巻くとひっかってエナメル線が切れてしまう。しょうがないので、ひとつずつヤスリで削るなどということをしていたそうだ。
 より良い抜き型を作るまで苦労したそうである。仕方なく合印を作って、特定の位置で縦にそろえたのだ。

磁気回路短絡 その後、どの位置でも合う抜き型を作るところがあったので、それ以降は合い印はないということだ。昔筆者の持っていた三線式のOゲージの機関車のモータは軸受部の支え板が鉄板製であった。父は「こんな馬鹿な設計はない。」と憤慨して、ブラスの板で作り直してくれた。要するに磁気回路が短絡されて、トルクが減るのである。

 これについて、高橋氏に聞くと驚くべき答が返って来た。「あれはコストを下げるためにやったのです。無論私は反対しましたよ。でも、『安くせよ』と言うもので仕方なくなるべく薄い鉄板で作ったのを付けたんです。多分動かないだろうと思っていたんですよ。でもトランスをつないだら一応廻りました。社長の『廻るじゃねえか』の一言でおしまいだったんですよ。」

 このあたりに、日本のOゲージがおもちゃで終わってしまった大きな原因が隠されているように思う。「より良いものを作ろう」という気迫が全く感じられないのである。
 ところが輸出用の模型のモータはどれも例外なく、軸受部の支え板がブラス製である。磁気回路は短絡していない。
 インポータの指示があったのである。当時のインポータは「金はいくらでも払うから良い物を作れ。」と言ったそうだ。

 当初のEB電関の台枠は、ブラスの1mm板であった。それを安くするために0.9 mmにし、さらに0.8 mmまで薄くしたら、強度がなくなった。ところが、蔵前にあったある問屋の下請けが0.7 mmの鉄板で作ってきた。これは安く、丈夫であったのでそれが標準となった。
 台枠を固定するリベットも最初は銅であったのがアルミになった。
 我が家のEB電関はこの鉄板製台枠であった。軸穴の中でブラス製の軸が回転する。当然軸は磨り減って細くなり踊るようになる。またまた父の怒りは炸裂した。
「軸は硬い材料で、軸孔は軟らかい材料でというのは鉄則だ。何を考えているんだ、こいつらは!」とブラスの軸受を作ってくれた。軸は鉄製のを手に入れたから、改造は簡単であった。

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2011年01月17日

磁気回路

 磁気回路という言葉をご存じない方が多いと思う。モータ、変圧器などの中を通っている磁力線の通り道が一周しているその通り道である。筆者は幼少のころより、父から散々聞かされて育った。

 最近話題のネオジム磁石を模型用DCモータに使うとどうなるだろうか、という話を土橋和雄氏とした。土橋氏は本物の電車の電路屋さんだ。
 既製品のモータはアルニコかフェライトの磁石を使用している。直巻モータよりは省電力(界磁を励磁する必要がない)だが、界磁の磁束密度が高いとも思えない。これをネオジム磁石にすれば単純計算で10倍くらいにはなる。すると逆起電力は10倍になるから回転速度は落ち、トルクは増大するはずである。いろいろなファクターがあって一概には言えないが、全て良い方向に行くはずである。

 改造すべきモータをジャンク箱から探し出した。

①Lobaughの直卷モータ コア厚み38.0mm(1.5インチ)電機子径31.75mm(1.25インチ)7溝
②KTMのマグネット・モータ コア厚み32mm 電機子径32mm 7溝
③All-Nationのマグネット・モータ コア厚み25.4mm(1インチ)電機子径25.4mm(1インチ)7溝
④中村精密のマグネットモータコア厚み20mm 電機子径12.5mm 5溝

 磁石はNeoMag社から購入した。注文すれば即日送ってくる。ぴったりの寸法がなければ軟鋼板を削って隙間に入れれば改造完了である。

 久しぶりに糸鋸で鉄板を切った。バローべの2番でがしがしと切り、ニコルソンのヤスリですり落とした。普段のブラス工作とは違い、刃物の切れ味がもろに分かる。ニコルソンのヤスリは鉄工には不可欠だ。
 よくブラス工作にもニコルソンでなければ…と言う人がいるが、筆者にはどれでも良いと感じる。ブラスは軟鋼に比べればはるかに快削であって、どんなヤスリでも大差なく削れるはずだ。

Modified Nakamura Seimitsu MotorOne magnet is removed to ensure bertter performance 最初に④のモータをばらして磁石を捨て、25x5x10というサイズの磁石を嵌めた。吸引力は5.1 kg重(52 N)もある。もちろん軟鋼板を隙間に入れた。
もともと二つの磁石があったが、磁気回路を考えると無い方が良いということになって、ひとつだけ嵌めた。

 これは失敗であった。磁力が強すぎて、電機子の鉄心が吸い付けられ、コッギング(英語ではTeething)が起き、電流を通じてもそれを引き離すだけの磁力が生まれなかった。もっと弱い界磁にしなければ動かない。これは5溝しかないことも大きなファクタである。完全に磁極にはさまれる瞬間があるからだ。多少電機子をねじった(Skewed)状態にしても追っつかない。
 5 A も流せば吸引力から逃れることが出来るだろう思ったが、とても無理で焼け始めた。この種のモータにはもうすこし弱い磁石が適する。しかし現況のは弱すぎて全く力がない。電機子の巻き数も多くすると良いだろうが、磁気飽和を考えると無駄かもしれない。薄くて安いものを買ってみよう。

 後述のOゲージ用モータに比べると、当時のHO用のモータの設計は見るからに駄目そうである。  

2009年08月29日

電球の明るさ

 先日の電球の突入電流の話はかなりの反響があった。いろんな方から感想や意見を戴いた。

 まず、突入電流の比率は12倍と書いたが、「文献によると13.5倍というのが常識だ」という意見を戴いている。筆者の値は、自作の直流電源で12V用の電球で調べた値であって。交流100Vでは多少の違いが生じうるであろう。今度なるべく正確に測定して見ようと思う。

 白熱電球は温度が上がってしまうと、多少電圧変動があっても明るさが変化しにくい。ということは模型の電燈としては非常に具合がよい。多少の過電圧でも焼け切れにくいし、電圧が下がっても温度が下がって電気抵抗が減るのでそれほど暗くならない。

 LED照明ではそんなわけにはいかない。したがって何らかの工夫が必要となる。最近は大容量の電気二重層キャパシタがあるのですぐ解決しそうであるが、これは内部抵抗が大きいので電流を取ると電圧が下がってしまう。

 また、集電不良で明滅するのがよくわかる。そのための大容量キャパシタであるが、少しでも電圧が下がると暗くなるからそれほどの効果があるわけでもない。

 永末さんのところの製品はその電圧降下をなくすような工夫がされていて一定の電圧を保つ。この辺りの工夫は、さすがである。
 
 

2009年08月23日

電球の寿命を延ばす

 電灯線2本で行う多重制御の記事にはいくつかのコメントを戴いている。ある程度はお答えしたが、まだ不足しているのでここでお答えする。

 アメリカやヨーロッパの発想と日本の住宅用に開発された製品の発想には大きな違いがある。

 欧米の家は寿命が長く、100年は住める。天井の電気配線も昔のままで住んでいるから、多重制御ができれば便利だと思う人が多い。
 壁のコンセントにスタンドランプのプラグを挿して使うので、コンセントに多重制御の子機が付いていれば便利だ。遠くからでも点滅できる。自動点滅のシーケンスを組み込んだものもあるので、夜になると自動で点き、防犯上も都合がよい。

 片や日本のものは4線式が多い。「2本の電力線 + 2本の信号線」というパターンである。これでは新築以外には使いにくい。新築時にしかこのような装置を付けないと思っているのであろう。

 日本ではスタンドランプを使っている人が少ない。ほとんどが天井からの均一照明である。ドイツ人の友達が面白いことを言った。彼が住んでいた団地には日本人家庭も数多くあったが、夜間に外から見るとすぐわかったそうだ。現地人はスタンドランプなどの局所照明を使うが、日本人は蛍光灯の均一照明を使うので目立ったらしい。
 それで泥棒に見抜かれて、日本人の家だけ被害があったという。

 フィラメントの予熱について、よく分らないというご意見も頂いている。

 一般的にいえば、金属の電気抵抗は温度が高くなると大きくなる。要するに熱いと電気が通りにくくなるというわけである。(逆に高温では電気伝導率が増すものは半導体という。)
 冷たいフィラメントには電気が良く流れ、加熱されると電流は絞られて落ち着く。常温と2000度では約12倍の違いがある。つまり、100Wの電球は、点灯直後は1200Wの電熱器と同等であるというわけだ。冷たいフィラメントが急激に温まるので、熱膨張が不均一に起こると、たちまち切れる。フィラメントそのものと支持部に接しているところでは熱容量が異なるので、温度の上昇速度が異なる。それが原因で伸びが不均等になるのである。

2009年08月17日

続々 多重制御

 アメリカでは35年ほど前から家庭電化製品の中に多重制御の工夫が入り込み始めた。正面きっての多重制御ではなく、各電球や、扇風機の中に組み込んだモヂュールにより見掛け上の多重制御ができるようになった。

 一番良く売れたと思われるものは、電球のソケットの中に埋め込んだ切り替え装置で、壁のスウィッチを手早くOn、Offすると、明るさが三段階に変化するものであった。これは筆者もたくさん買った。ありがたいのは電球が極端に長持ちすることであった。タングステンフィラメントが冷たいときには、その抵抗が小さく1/12くらいしかない。そこに規定電圧を掛ければ、電流は12倍流れてフィラメントは急激に膨張して切れる。
 この素子はその突入電流 rush current を抑制するように設計されているので、ほとんど切れない。ざっと10倍くらいは持つ。点灯すると、ボワッと明るくなるのがわかる。パッと付くのではない。

 時間が来ると自動消灯する電球もあった。賢いことに30分経つと、点滅して警告を発してから、やがて消灯する。これは我が家のトイレの電球に使っている。これもソフト点灯するので、築18年で一度も切れていない。

 天井の扇風機と電灯は2本しか電線が来てない家庭が多かった。電灯だけしかなかったところに扇風機をつけたのだから当然である。ぶら下がっている紐を引いてファンとライトを切り替え、回転速度は手を伸ばしてロータリー・スウィッチで切り替えていた。これを壁スウィッチのOn、Offで、全てコントロールできる。手早くOn、Offするとモードが順次切り替っていく。このモジュールはとても小さくまとまっていて、天井扇のベースに収まる。我が家の天井扇にもつけてある。大変具合が良い。

 ややぜいたくなタイプは、壁スウィッチのパネルに3つのモードの切り替えと明暗、回転の無段階調整がついている。扇風機中のモジュールとの通信は、最初からある2線で行うので、配線を触る必要はない。

2008年11月10日

擬似三相交流

 先日の擬似三相交流で三相モータを回す話を紹介したところ、複数の専門家からお便りを戴いた。

 効率を考えなければ問題なく動くという結論である。驚いたのは、新幹線の床下にある空気圧縮機等の小さいモータを動かすための三相交流はこの方法で作り出していたということである。架線から来ている電源は、当然単相である。

 現在はインバータであるが、0系新幹線の時代には擬似三相交流であったそうだ。ただし、キャパシタではなくリアクトルで遅らせるということである。
 電子工学が未発達の頃は、これがベストの方法であったらしい。

 いずれにせよ三相モータを動かす電源は120度の完全な三相交流でなくともよいということである。

 また、別の方からはこのリンクを紹介戴いた。これによるとやはり90度、135度であった。記憶していた数値は正しかった。
 この回路は出力によってかなりの変動があるはずである。回すモータの特性によって定数を計算して最適値にする必要がある。

 送電線の3線の並べ方については、興味深いことをお教え戴いた。3線はところどころでひねってあるのだそうだ。3つの線を等価にするためには、そうせざるを得ないが、今までそんなことには気づかなかった。これからは上を見て歩かねばならない。

 「いろいろなところで物理学は生きている」と感じた一週間であった。
 
 

2008年11月04日

三相交流

 日本の場合、三相6600Vで市街地まで配電送電しているので、三相が欲しければ電力会社に頼めばトランスを上げてくれる。多少の金が掛かるが可能である。このごろは三相のトランスではなく、V結線というやや簡易方式で給電配電するようだ。トランスの利用率は低下するが、小さなトランスを取り付けるだけで三相給電配電が可能になるので、小規模の需要家に対しては、ほとんどこの方式を採っている。
 我が家の空調は三相であり、維持費がとても安い。

 アメリカはどういうわけか、三相を引きにくい。街路ごとの分岐がすでに単相三線で、随分太い線で給電配電している。三相トランスをつけてもらうと遠くから専用電線を引くので、出費が大きいのだそうだ。
 このあたりの設計思想の違いはどこから来たのであろうか。

 インバータにするとモータの回転数が自由に選べる。便利であるが、普通の機械にインバータをつけただけではモータが焼けることがある。
 モータの冷却ファンは出力軸の反対側にあり、定格どおりの回転で冷却能力を発揮するようになっている。

 これを低速で回すとどうなるであろうか。風量が不足して焼ける可能性がある。どうすればよいかというと、別電源で送風機を回すのである。簡単な軸流ファンを増設するだけのことである。

 旋盤には回転計をつけた。周速度を表示する装置も市販されている。

 インバータを付ければ、逆転も急停止も自在である。加速曲線も自由に選べるので運転はとても静かである。
 
                 
              <御指摘の用語を改めました。>

2007年06月26日

理想のTrack Cleaning Car 

 真空掃除機は自動車用の小型のもので、これもバッタ屋で見つけた。かなり強力である。
 
 線路には、いろいろなものが落ちている。最も多いのがカプラの留めネジで、たまにはセンタ・ピンがある。列車の中で一つくらい抜け落ちても、そう簡単には脱線したりしない。年に一回の車検で持ち上げて気がつくことがある。抜けたスパイクも結構ある。

 磁石を下向きにつけておくと、かなり引っかかってくるが、ブラス、ステンレス、アルミニウムは付かない。

 鉄以外の金属片を取り除くには、渦電流による方法しかない。これはまだ予備実験の段階だが、高速で回転する強力な磁石を接近させるという方法がある。

 友人から貰ったネオジム磁石がたくさんある。これは信じられないほど強力で、2cm角の磁石二つを手で引き離すことが出来ない。それをモータで回転させ、磁界変化を与えると、落ちている金属片には渦電流が流れ、それが作り出す磁界で反発して飛び上がる。そこを真空掃除機で吸い取ればよいのだ。この方法はゴミ分別等でも実用化されているはずであり、公知の事実であって特許は取れない。

 原理は簡単なのだが、筆者のレイアウトは鉄レイルを使っているところがあり、そこを通過するとき、凄まじい勢いで吸着されて不具合が生じるような気がする。また、Kadeeのフェライト・マグネット製アンカプラは直ちに消磁されてしまうであろう。その部分では回転磁石を持ち上げるか、シールドする必要がある。

 まだ夢の段階だが、こういう順番で構成して清掃すればよいはずである。
 ‥棺Δぁ研磨、非鉄金属拾い、集塵車
◆[動パラフィン塗布車
 機関車 
ぁ‥展纂
 
 キマロキ編成ならぬ線路清掃列車である。

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