ストラクチュア

2023年05月15日

近頃あれこれ

 勘の鋭い人が居るものだ。電話を掛けてきて、こう言った。
「最近、車輌工作をしてないんじゃないのか。」

 これには参った。その通りなのである。筆者は、何かで忙しくてもそういうことを文面に出すのは避けたい。ブログは、工作とは直接関係ない話題でつないでいたのだが、バレてしまった。経緯を話すと、そのほうが面白いから書けということになった。

 正直に言うと3月から、この2ヶ月ほど、原寸大のストラクチュアの工作をしている。昔住んでいたマンションを修理しているのだ。長く貸してあった人が退去したのだが、廃墟のようになってしまっていた。長く病気であったようで、全くメンテナンスがしてなかった。天井は落ち、壁紙は剥がれ、電気系統のトラブルがあったので、全て一新した。外注するととんでもない金額だそうだが、自分でやると数分の一でできる。 

 このマンションは和室もある普通の間取りであったが、30数年前、アメリカから帰る時、内装材料、家具、電気器具を送り、完全にアメリカ仕様に改装した。間仕切りを取り払い、LDKを18畳にした。当時はアメリカの経済が最低で、ドルが安く、厚いオークの床板、家具を廉価で買えた。一部を120 Vにして、大型家電はアメリカ製であった。キッチン家具は、友人の家具職人に作ってもらった柾目オーク製のかなり重厚なものである。それは汚れを落としただけで元に戻った。厚さが21 mmもあるムクの扉は、日本ではまず見かけない。 

 帰国して半年間は時間の余裕があったので、その間に改装工事を自力でやった。アメリカの大工の友人のところで修行させてもらった時に、彼が指定した電動工具を、ある程度買い揃えていた。そのおかげで訳なく出来た。壁紙もアメリカの仕様で貼った。

leaking 何年か前の台風で上階が浸水し、その水が天井に入って一部が剥がれ落ちた。また床の塗料も部分的に浮き上がっていた。そのときにすぐ言えば保険で賄えたのに、借り主が入院していたようで、そのチャンスを逃したのだ。 


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2015年09月04日

machine shop

machine shopmachine shop 2 もう一つの大きな建物が machine shop である。ここでは機関車の動輪を抜いて嵌め替える作業をしていた。背の高い部分は走行クレインが取り付けられた部分である。その他の部分には車輪旋盤などが据え付けられていたはずだ。
 入り口にはEvanston Machine Shopと書いてある.
machine shop 3 内部を見てみよう。この写真の扉を開くと、扇形庫を経て、ターンテイブルに至る。引き込まれた機関車は1軸ずつピットで動輪を下に抜き取られて、横に移動させ、輪軸を解体する。 天井走行クレインのレイルが見える。

machine shop 4 反対側を見ると、手動ホイストが残っている。この扉を開けて、反対側にも出られるようになっている。こちらに出ると操車場につながっている。

 この建物は、訪問当日、何かの演奏会場になるようだった。中にいた人は突然日本語で話しかけてきて驚いた。横須賀に10年もいたそうだ。ユル・ブリナに似ている人で、それを言うと、Magnificient 7(荒野の7人)の話から三船敏郎の用心棒の話になり、盛り上がった。日本映画をたくさん見ている。
「エヴァンストンは初めてか?」と聞くので40年前に来たことがあると言うと、とても驚いた。「その頃はこの地方には日本人はほとんどいなかった。ましてや学生なんて・・・」




2015年08月29日

続 roundhouse

 扇形機関庫の外側を見てみよう。

round house 4 この扇形庫はかなり大きい。明り取りの窓ガラスは、既にことごとく割られて窓枠も折れている。現役時代はなかなか優雅な雰囲気であったに違いない。  
 この部分のパラペット部分には変更がない。すなわち、木製の梁に屋根を載せてあったのだろう。

round house 5 この写真を見ると、パラペット部に四角の座金がたくさん見える。この裏には鉄骨の梁があるのだろう。煉瓦壁に穴をあけ、ボルトを通して梁を抱かせている。
 この煉瓦はとても脆く、強度はない。日本ではまずできない工法である。地震が来るとばらばらになってしまうだろう。
 結婚式場の辺りだけは、完璧に修復されている。窓枠が美しい。

acetylene storage この倉庫は日本の油庫に似ている。東海道本線の木曽川駅に保存されているものを思い出した。
 説明によると、アセチレンガスのシリンダ(いわゆるボンベ)を仕舞っておくところだそうだ。アセチレンの密度は空気より小さいので、換気窓は上にある。



 

2015年08月27日

roundhouse

round house beam 扇形庫のつくりは、どの例を見てもだいたい同じである。煉瓦づくりの前壁、後壁の間には木造の屋根が掛けてある。Beam(梁)は木造が多い。hemlock(ツガ)やoak(樫)の巨木を挽いて作った柱に、brace(すじかい)をボルトで留めただけの荒っぽい作りだ。屋根は簡単で、ほとんど載せてあるだけだ。
 
round house doorsround houseround house 2 扉は大きな機関車が出入りするので巨大であり、明かり取りも兼ねている。このドアは新しく作ったもので、当時のプラクティスを踏襲している。材質は松のようだ。節があるのが良い材である。この辺りの感覚は日本とは異なる。knotty pine という言葉があり、「生き節」を賞味する。生き節とは周りの材と結合していて、強度のある節のことである。逆に「死に節」とは板を押すと節穴ができるような節である。我が家の天井はこれと同じ材である。 
 斜めのワイヤでドアの重さを支えている。こうすれば、垂れてくるのを防ぐことができる。ターンバックルの締め方で直角を保つことができる。
round house window 改装された部分から、未改装の部分を見ている。蒸気機関車の時代が終わってからは、扇形庫の使い方はかなり変わったはずだ。
 ディーゼル機関車は、各部のユニット化が進み、修理はユニットの交換で終わりである。それは隣接する machine shop で行われた。線形庫は単なる機関車置き場になり、そのうちに倉庫になってしまった。

round house 3Master Plan 外に出ていって、残りの部分を見た。すべてを改装するには、まだかなりの資金と時間が必要だ。この飛び出している建物が何だったのかはよくわからない。

 このマスター・プランを見ると、かなり大規模な計画のようだ。

2010年09月25日

続々 Lorell Joiner 氏のレイアウトを壊す

 Joiner氏のレイアウトの特徴は視点が「模型車輌の高さ」にあることである。要するに、現在のレイルスコープの登場を見越していたことである。
 
 ジョイナ氏は大学では電子工学を専攻し、軍隊では最先端の電子機器の試作をしていたという。信号装置は当時としては考えられる最高のシステムを採用していた。彼はPCの無い時代に信号機用の記憶装置を自作した。信号が順次変化していく様子を見せられて、とても驚いたことを覚えている。

「今のカメラはまだ大きいから…」と小さなカメラの出現を待ち切れない様子であった。
 
 トンネルはもちろん、高架線の裏側(下側)まで本物と同じように作られている。建物の内部の壁も正確に作り、照明は奥の部屋から漏れて来るようにも作られていた。
 ポイントを切り替えると、信号所の内部の表示装置のランプの点灯状態が変わった。もちろんウォーク・アラウンド方式であった。

 枚挙にいとまがないが、全ての面で当時世界中に存在していたいかなるレイアウトよりも、実感的で緻密なレイアウトであった。ある程度は予想していたが、その規模が大きく、どこにも手抜きがないことに驚いた。

 車輌はどれもゆっくり走り、ひっかかリがない。どの機関車も十分な補重がしてあり、レイルの継ぎ目でドスドスと音を立てて走った。ただし、列車の長さは30輌弱であった。筆者が80輌以上牽きたいと言うと、「そうするにはこのレイアウトを4倍以上大きく作る必要がある。」と言った。
 実はそうするつもりがあったらしい。「いずれ、大きなレイアウトを作ったら…」という話が出た。
 
 2005年頃、再訪問の話もあったがタイミングが合わず実現しなかった。

 ジョイナ氏は、金持ちにありがちな傲慢さが全くない紳士であった。誰に対しても親切で、礼儀正しかった。
 彼は、鉄道模型が何たるか、の一つの正しい回答を作った偉人である。

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2010年09月23日

続 Lorell Joiner 氏のレイアウトを壊す

 以前にもトンネルの話を書いたが、入口のみならず全長に亘って内部を作った人は稀であろう。
 昔のトンネルは、ほとんどが直線であったから、たとえ内部で脱線してもそれほど問題ではない。むしろ、脱線するような列車を走らせるのが間違いであるということである。

 先日栗生氏の掲示板でFresnoのOゲージレイアウトの車上からの眺めをYou-Tubeにupしてあるのをご紹介戴いた。それを見ると、トンネルの内部は入り口だけが作ってあり、それより内部はがらんどうであるのが分かる。
 それを正直にupしてあるので興冷めである。ここは、編集して真っ暗にしてしまうとか、あるいは片方だけ作っておいてそちらを写すなどの工夫が必要であろう。

IMG_2302IMG_2301 この調子でレイアウトを完全に取り壊した。屈強なデニスも少々バテ気味である。右の人はJakl氏である。遠いカリフォルニアからやって来て、大きなトレーラを借りて帰ったそうである。残骸はこのコンテナに4杯あったそうだ。

IMG_2300IMG_2309 奥方達も手伝いに来ている。ジェイクル氏の奥さんのエリザベスは埃のせいで体調を崩し、デニスの家で奥さんのキャシィの世話になって休んでいた。
 
 それを聞いて、筆者が "Model railroading is fatal.(鉄道模型は致死的である)"と言うと、”It really is!(本当にそうだ。)”と大笑いした。
IMG_2314IMG_2303IMG_2317 壊す前と外した建物群である。この扇形庫は本当に素晴らしい作りだ。内部がこれでもかと言わんばかりに作り込んである。普通の人には、到底到達できないレベルの作品である。
 台枠はご覧の通り、2x6材で組んである。普通は1x4で組むものである。

2010年09月21日

Lorell Joiner 氏のレイアウトを壊す

 ジョイナ氏のレイアウトは、1985年に祖父江氏と訪問した。その時でさえも、その完成度の高さには舌を巻いたが、その後の5年位でストラクチュアの数が倍増し、都市の複雑な形が完成した。
 その後、ジョイナ氏は模型界で最高の栄誉をいくつか受け、全米一のレイアウトの製作者としてその名は轟いた。
 決して人を雇わず、全て自分で製作したのは賞賛に値する。財力がある人は人を雇うことを考える。しかし、彼は完全主義者であって「雇った人間が自分より能力があるとは思えない。」ので、建物もすべて自分で作ったのだ。
 ジョイナ氏は建築家でもあるので、要点は完全に押さえてある。

 その後、年月が経ち、彼は豪邸に一人で住むようになり、生活は荒れた様だ。
糖尿病で入院することになり、財産の処分を始めた。レイアウトを含めて不動産を売ることも考えたが、それは実らなかった。新しい持ち主はレイアウトが要らなかった。……そして、ついにレイアウト最後の日がやってきた。

IMG_2313 テキサスとカリフォルニアの友人にレイアウトを壊すように頼んだ。業者に頼むと、パワーショベルで叩き潰してしまうので、その前に趣味人による運び出しを依頼したのである。



IMG_2318IMG_2311IMG_2312IMG_2306 



 ここにある写真はそのプロセスの一部である。レイアウトはプラスタで固めてあり、その量は8トンもあったそうである。
 壊すのに2週間も掛かったという。ほとんどのストラクチュアは基礎部分の2x6材に固着されていてストラクチュアだけを外すわけにはいかなかった。
 この扇形庫は、基礎部分をレシプロ・ソウで切っておいて、タガネでプラスターを割ってとり外したそうだ。この部分だけでも90kgもあったそうだ。
 これらの写真はデニスの許可を得て複写した。


IMG_2560 先日の写真には、未掲載分も含めて、たくさんの御答を戴いた。正解はトンネルである。ジョイナ氏はトンネルの内部も手を抜かなかった。紙管を縦割りにして接着剤で合板を貼り付け、目留めしてから、内部に煉瓦の模様の紙を張ってから、天井部に照明の取り付け穴を付けた。電球は低電圧で点灯し、うす暗かった。実に実感的で驚いた。
 不思議なのは接着剤である。スーツケースに押し込んで帰国したが、割れなかった。時に補強もない接合であって、割れても不思議はなかった。非常に強固な結合である。
 わがレイアウトにジョイナ氏のレイアウトが、ごく一部ではあるが移設されることになる。 

2007年05月01日

Kemtron の Outhouse

 早いもので、半年以上もほぼ毎日更新されている。休みに10回分くらいまとめて書き、細かく切って貼り付け、写真を入れるだけの作業だ。考えたり、資料を見ながらではないので極めて早くできる。

 自動送り出し機能があるので、不在であってもうまく更新されている。しかし、送り出し時刻は、所定の時刻より3時間半くらい遅れているようだ。

 このサイトを選んだのはいくつか比較をしてみて、もっとも簡単であるということだけで、深い意味はない。

 コメントは時々戴くが、ほとんどが筆者への私信で、公開するべきものではない。コメントは投稿すればすぐ載るわけではなく、管理者の判断で採否を決められる。



Kemtron HO Out House 本日の写真は、Kemtron の Out Houseで、御希望の方の中から抽選で1名様に差し上げる。本日より5月3日までの間にコメントを使って応募されたい。HOサイズである。(発送済)


 



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