ちょっとした工夫

2021年02月27日

DROの取付け法

45 degree 博物館の工房にある縦フライスにはDROが付けてある。3次元をディジタルで読めるので大変便利だ。友人が見て、「良いデザイン」と褒めてくれるのは、この45度傾けたDROだ。形を褒めてくれるが、その意味を考える人は少ない。これは機能優先のアイデアである。意匠優先ではない。

 DROは本体と移動部(XYテイブルなど)を結んで、移動距離を測るものだ。たいていは移動部に棹をネジ留め、本体にはカーソルをバネで固定する。どんなに細かく調節して水平に取り付けたつもりでも、動けば多少のズレや撓みが生じる。バネは多少の動きを吸収する。バネは堅く、無駄には撓まない。材料は厚めのリン青銅の板である。

 ズレや撓みを吸収しても、読みに影響するのは避けたい。写真の場合、もし水平面に取り付けてあれば、Y軸方向の動きは吸収できない。垂直面に付けてあればZ軸方向の動きは吸収できず、それが原因でX軸の長さの読みに影響を与えるかもしれない。

DROを45度傾ける理由 そこで、バネを”く”の字に曲げて本体に取り付ける。こうすると、Y,Z方向の撓みはどちらも無理なく吸収され、読みには影響を与えない。易しい工夫で 克服できる。傾けたのは、単に見掛けを良くしたり、読み取り易くしたのではないのだ。

 作例ではDROの棹を支えるものは、ブラスの角棒を切り出し、銀ハンダで付けてフライス加工してある。作るのが簡単で、丈夫である。飛び出した構造で強度が必要であるが、ハンダ付けでも壊れることはない。銀ハンダの効用について、再認識されるべき時期に来ていると思う。ロウ付けでも良いのだが、筆者はこちらを好む。

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2021年02月19日

gear tower

working on gear tower (1) フライホィールからの回転はユニヴァーサル・ジョイントを経て、この塔状の構造物のスプロケット、チェイン、ウォーム軸と伝わる。ボールベアリングの座グリは専用工具で行った。台になっているのは、フライホィールの材料である。800 gある。


working on gear tower (2) 前後の台車は全く引掛かることのない動きが保証されねばならない。チェインも滑らかに力を伝達せねばならない。この塔の中を通る軸の高さは微妙だ。当初の計算値では少し短いようで、塔が傾いている。


working on gear tower (3) 傾きから塔の底部分の削り量を計算した。難しい計算ではない。0.28 mm削ることになった。銀ハンダで付けてあるので、フライスでそのまま削り落としても外れることはない。2回に分けて削り、滑らかな仕上げとした。 ピンボケで分かりにくいが、同時に二つの高さを揃えて削っている。全く同じものを作るためである。

working on gear tower (4) これをアルミ合金製のギヤボックスに取り付ける。チェインは極めて滑らかに廻り、抵抗は感じられない。殆ど無音である。前後の台車は全く同等の仕上がりであって、滑らかに動く。今回の台車は独立しているので、これは比較的楽である。前回のテンダは 5軸固定だったので、調整が難しかった。

 今回の車輪は、以前の40インチではなく36インチだから回転数が高く、増速せずに動力を採取している。径が大きなスプロケットだけを用いるので、効率は高くなる。

<お知らせ>
 ボールベアリングを嵌めるための座グリドリル(外径 5 mm用)が数本ある。リンクの記事の後日追加製作分である。もう再生産しない。
 ご希望の方は連絡されたい。コメントの本文に連絡先(メイルアドレスも)を書いて戴かないと、こちらでは読めないので、その点留意されたい。



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2021年02月17日

センタピンの無い機構

 この機関車も、テンダのセンタピン位置にドライヴシャフトが通るのでセンタピンが置けない。すなわち、台車の回転は何らかの疑似回転運動をさせる方法(仮想心皿方式)を採ることを考えた。今回は単純に回転するだけなので、面倒な計算はいらない。リンクを付けて前後の位置だけ保持し、左右への振れ止めがあればよい。リンクを快削ブラス板から切り出した。

linkage こんなことを考える人はまずいないだろうと思っていたが、友人から坂本 衛氏が凸型電気機関車に採用していたという情報があった。条件が限られれば、誰しも行きつくところは同じである。これは「鉄道模型工作手帳」という本にあったそうだ。コピィを送って来た。筆者が作りかけたものと全く同じ配置であったのには驚いた。これを見て、やる気が失せ、別方法を探ることにした。誰もやってなければ作ってみたが、すでにあるなら冒険するまでのことはない。

 実を言うと、作り始めて分かったが、この方法では台車はかなり不安定だ。台車は一つ 350gもある。持ち方によっては、リンクが曲がって壊れる可能性があった。それを外れて来ないようにうまく支えるのは意外と難しいし、さらにリンクの邪魔をしないように作らねばならず、かなりの工夫が必要だ。
 熟慮の結果、より堅固な方式を採用することにした。

 あとは時間があるときに作れば、70時間でできるという計算だ。今その時間がない。信号機の工事に時間を掛け過ぎてしまった。まだやることはかなりある。


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2021年02月13日

続 漏電

 この種の漏電箇所は、這いつくばって探しても、そう簡単には見つからない。最近の大きな技術的な進歩が無ければ、発見は難しかったと思う。

 Tom Harveyは、
「俺は線路の every inch(どの1インチ)をも知り尽くしている。」
と豪語していた。レイアウト中を這い廻って作業した時、筆者はその言葉を思い出していた。

 以前、絶縁車輪を作った時、ショートして困ったことがある。小さな金属クズが絶縁紙に刺さっていて、通電しているのだろう。祖父江氏に聞くと、
「なーに、簡単だよぉ。自動車のバッテリィを持ってきて、ちょっとつなぐと、いいんだよぉ。パシッと音がして、問題個所は燃えてなくなっちまうんだぁ。」
と言った。乱暴ではあるが、それで解決することが多かった。これは鉛蓄電池の内部抵抗が小さいことを利用している。

 その後アメリカで、レイアウトのショート箇所を特定するのに、似た方法を使うのを見た。可能性のある部分に、人をたくさん配置してレイアウトの上下の面を見張らせた上で、バッテリー(確か24 Vだと思う)をつなぐのだ。どこかから煙が上がるから、用意した水を掛けて消す。アメリカの大きなレイアウトの饋電線はAWG12(約3.5 mmsq)以上だから数十アンペア以上流していることになる。
 今回もそれがやりたかったが、一人ではそんな危ないことはできない。そのまま火事になるかもしれないからだ。もう少し賢い方法を採らねばならない。
 
 肺炎禍で非接触体温計が手に入りやすい。これを使った。大きなトランスを用いて15 Vを掛けると、10 Aほど流れるから、温かくなるだろう。通電しながら怪しい部分の温度を測定した。すぐに温かい部分が特定された。電源を切り、修復作業に取り掛かった。この方法なら、煙が出る前だから、安全である。

 ダブルスリップの絶縁されたフログのギャップ部分に青い錆のかけらがあった。ハンダを外して分解清掃し、再度組み立てた。ギャップにはエポキシ樹脂を詰め込んだから、大丈夫だろう。場所の特定までには長い時間が掛かったが、修復はあっという間だった。

 この方法は、むすこたかなし氏から赤外放射計を使うというヒントを得たことから、思い付いた。感謝する。 
 今回の件で、レイアウト全体に掃除が行き届き、とてもきれいになったのは思わぬ余禄である。

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2021年02月05日

丸金床

round anvils 友人が筆者の丸棒を熔接した金床を見て、これが欲しいと言う。作ってくれと言われたが、ちょうど良い丸棒もないし、足になるH鋼もない。
 友人の鉄工所に行って頼んだら、二つ返事で引き受けてくれたが、H鋼の良いのが無かった。似たものを作ってくれれば良いのだと頼むと、それなら簡単、と作ってくれたのがこれらである。見本は筆者の下手な熔接品で、プロに見せるのは恥ずかしかったが、持って行かざるを得ない。右が見本、左が製品である。
 
 高さ、幅などはどうでもよかったのだが、 全く同じ寸法に作ってくれた。さすがは熔接のプロで、素晴らしい作りである。細い方がΦ12,太い方がΦ30である。HO用にはもう少し細いものも必要かもしれない。

 これらは丸屋根を作るときにとても便利である。ブラスの板を置いて、ゴムハンマで丹念に叩く。鋼製ハンマは使ってはならない。端から曲げて、曲げ過ぎたら太いほうで戻す。これを繰り返すとどんな形状にも曲げられる。筆者の客車の屋根はすべてこれで曲げたものである。誰も自分で曲げたものだとは思わない。大きなプレスで曲げたと思われているようだ。

 追加生産できるので、欲しい方はコメント欄を通じて連絡されたい。最近はコメント欄にあるメイルアドレスに書き込んでも、それがこちらには表れないので、本文に連絡先を書かれたい。 


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2021年02月01日

空転させる設定

 ゆうえん氏から質問があったので、少しく詳しく説明したい。

 スロットルのspeed tableは、NCEの場合126ステップある。それぞれのステップに固有の出力電圧を割り当てることができる。殆どの場合は、最高速を抑えるとか、動きの悪い機関車の出発時の電圧を上げるくらいしか用途が無いだろう。筆者の場合、(0,0)を通る完全な直線で使っている。伝達効率の高い動力装置と、全軸ボールベアリング装荷のおかげで、何もしない方が自然な動きをするからだ。

 例えば、第10番目のステップだけで、最高速の40%ぐらいの電圧を与えるとする。起動して直ぐには列車の抵抗があって動き出していない。短時間高電圧が掛かればスリップするだろう。ステップ10以降はごく普通の出力曲線で加速するだろう。

Momentum 減速時にご心配のスリップが予期せぬ時に起これば、気分が悪くなる。しかし、NCEにはスロットルの上の方にMomentumというボタンがある。これを押すと、見かけ上の慣性を与える動き(徐々に加速する、あるいは減速する)の程度が10段階で指定できる。その設定変更は、運転中でも可能なのだ。

 起動時のスリップを希望するときはこのモメンタムを、0 にセットする。そうすればステップ10だけで高電圧が供給され、派手にスリップするだろう。列車は重く、その慣性は大きいから、実感的なスリップの再現が可能だ。そして順調に加速していくだろう。このモメンタムの値を適宜増減すると、スリップ発生具合も変化するはずだ。
 巡航時にモメンタムを最大値 9 にセットする。そうすると、ステップ10を通過しても、ほとんど変化を感じないだろう。

 もし、派手に逆回転をさせてみたければ、逆転をかけ、モメンタム0でステップ10を選べばよい。あるいはステップ2あたりにもそのような電圧が与えられていると良いかもしれない。

 筆者採用のデコーダは永末氏の完全直流デコーダで、スロットルOFF時には、モータの逆起電力は完全に遮断されるので、列車は自らの慣性でかなり進んでしまう。そこで、逆転してそこそこの電圧が掛かれば、逆転空回りを披露することができるはずだ。


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2021年01月30日

圧着工具

 最近は電気工事ばかりしている。信号機周りはハンダ付けが多いが、路盤下の配線は圧着端子が多い。
 以前、この工具が原因で拇指の脱臼が始まった。それ以来なるべく使わないようにしていたが、使わざるを得ない時がある。そういう時は床に立てて、体重を利用して押していた。そうすると、不安定でなかなか難しい。

crimping tool 台を付けてハンドルを太くすれば楽に押せるし、体重を掛けても問題ないだろう。自分で熔接しようと思ったが、体重を掛けるものを下手に熔接すると、外れたときに大けがをする。ここはプロの腕に頼ろうと、友人の鉄工所に行き、図面を渡してお願いした。
 すぐにやってくれたので、さび止めの黒い塗料を塗っておいた。

 安定が良く、使いやすい。どうしてもっと早く、こうしなかったのだろうかと、悔やまれる。整形外科の先生は、工具の現物を見て、
「これは良くない。こんなに手を開いて力を入れれば、関節が壊れるのは当たり前だ。」
と言った。圧着工具はもう一つあるので、それは小物を付けるときに使う。どうしても手に持ってやらねばならないこともあるからだ。細い端子なら取っ手の開きも少なく、安全な範囲にある。

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2021年01月26日

クラブの新年会

 所属クラブの新年会があった。広い部屋を借り、ゆったりと線路を敷いた、少人数の集会だ。無観客である。窓は開けっ放しで涼しい。みな上着を着ての参加だ。
 
 いつもなら大きな声でワイワイやるのだが、今年はきわめて静かだ。HOの人たちは新レイアウトでの走行を楽しんだ。その中で名古屋地下鉄の一群を作られたK氏の作品はなかなか良い。色がズバリで、レモンイェロゥがまぶしい。既製品のラッカ・スプレィを使ったそうだ。
 車体は市販されていないものなので、どうやって作ったのかを聞くと、ブラス板をレーザで抜いたものだそうだ。手際よく作られていて、感じをよくつかんでいる。いよいよレーザカットが身近なものになったのを感じる。

Rotary Dumper 伊藤 剛氏のロータリィ・ダンパの実演があった。電源装置を新しくしたので、運転しやすい。組立式なので、滑らかな机の上では徐々に滑って位置関係が狂う。厚い布の上に敷くと摩擦が大きく、具合が良い。クラブ員は順に運転して楽しんだ。こういうモデルが60年前に存在したことは、驚異的である。

 他に、例のパワーショベルも持って行った。伊藤剛氏の頭脳と腕には、みな感服した。残念ながら、「僕が直す」と手を挙げた人は居なかった。その場での結論は、直すよりもこれを見本に、もう一つ作る方が良さそうだということであった。

FEF4 UP850 テイブルが余っているので、筆者も直線の線路を敷き、運転をした。例の慣性増大装置付きのUP850 4-8-4だ。この写真を見て気が付いたが、先台車の外れ止め鎖を付けていくのを忘れていた。あまりにも透けていて良くない。
 試しにクラブ員にも、交代で運転してもらった。止まらないところが怖くて、楽しいそうだ。現在はDC仕様だが、間もなくDCCに改装する。

 意図的にスリップさせるアイデアがあるので、それをやってみる。DCCだからこそ簡単にできる。さて、どうするのだろうか。

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2021年01月24日

側線分岐部の信号

 当博物館のレイアウトには側線に入るための信号機が2つある。一つは、ダブルスリップで対向する線路も跨がねばならない。下り本線から分岐して上り本線を跨ぐので、上り線の出発信号機を赤にする必要がある。ここの論理回路をどうするかは、なかなか面倒であった。

sygnal system and route control 今回の試運転をしているうちに、ある簡便な方法を思い付いた。
 センサ部の赤外線を遮断すれば、その信号は赤になる。すなわち、赤外線LEDにスウィッチを付けて消しても同じことだと考えたのだ。設計者に聞くと、何ら問題は起こらないとのことであったので、回路を開いてポイントマシンで動くスウィッチで開閉するようにした。この図の複線部分は左側通行である。


 配線をやり直してみると、その信号は赤になり、その前の信号は黄色になるから、実感的である。もちろん対向列車がすでに止まっているときも問題は起こらない。上り線のダブルスリップの場合はポイントマシンが2つあるし、下り線では分岐のポイントマシンがある。これらの動きをよく考えて事故が起こらないようにスウィッチを連動させねばならない(この図のスウィッチの結線はまだ未確定であるので、追及しないようにお願いする)。
 
 これで良いと思ったが、実際には不都合がある。赤信号から抜け出せないのだ。本線側に切り替えても緑が出ないのである。2つ先の信号を赤にすると、この信号が緑になるので、その手も考えたが不自然でもある。製作者に問い合わせると、その対策をしたものを作ってくれたそうで、間もなく送られてくる。

 細かなことで、意外と面倒なことがあるものだ。いずれ、この信号機回路はあちこちのレイアウトで使われるようになるだろうと思う。優れた装置である。


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2020年12月29日

双方向クラッチ

 双方向クラッチのことを書いたところ、何人かの方から連絡を戴いた。モータと動輪を切り離す機構の存在価値について、全員が疑問を投げかけている。
 切り離すと手で押せるというのは面白いが、ボールベアリングで摩擦を減らした機関車では、わずかな傾斜でも動き出して卓上からの落下の心配があるという指摘を受けた。全くその通りで、筆者もあわや、という経験がある。

 祖父江氏から最初の1輌を受け取った時に、父に見せた。陸軍の…という話はその時のものだが、筆者が、
「中はどうなっていると思うか。」
と問うと、さらさらとスケッチを描いて、
「こうなっているんだろうな。外と中の速度差があれば、摩擦で爪が動いてひっかかるだけのことだろう?」
 
 驚いたことに、その図は祖父江氏の試作品と全く同一であった。
「手で廻すなら良いが、モータで廻すと寿命は短いだろうね。」とも言った。

 実際に80坪の仮設レイアウトで長大編成を牽かせてみると、シャフトに彫った、爪がひっかかる溝は徐々に拡大し、爪のピンの入る穴もガタつくようになってきた。その後、その種の機関車はほとんど稼動させていない。ガラス棚に飾るときも、前後に車止めを挟み、注意書きも置いてある。

 ”押して動く”件は、考え得るすべてのパターンを祖父江氏と共同して試作したが、蒸気機関車に関しては3条ウォームが最適解であることが分かった。

 ちなみに、その英語訳は"Free to Roll"としたい。”Free Rolling"では勝手に転がることを意味する。前者は「押せば動く」ということで、このメカニズムの意味をよく表している。これは native の英語を話す人に聞いたことで、間違いはないだろう。


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2020年12月27日

続 自動操縦自動車 

TMS #6 この車は小菅製作所というおもちゃメーカの”ダンディ”という製品らしい。だいたい1/42サイズくらいだとある。1947年型キャデラックである、と01175氏からお知らせ戴いた。

 ブリキ板をプレスしたものだったそうだが、モータの界磁が近いので、磁気回路が外に出来てしまい、モータの力が出なかったそうだ。界磁に近いところを切り取って捨て、その部分をブラス板から叩き出してハンダ付けしたそうである。その継ぎ目が全く分からないので、磁石を近づけて境界を判定した。この工作は素晴らしい。

 70年以上経ってもその価値が減じない模型というものには、なかなかお目に掛かれない。どんなに細かく出来ていても、塗装が美しくても、工学的な裏打ちがあり、模型人の心を揺さぶる模型というものは稀である。

 博物館が開業すると、伊藤剛氏の作品を間近で見るチャンスがある。手に取ってという訳には行かないが、目の前で動きをご覧に入れることができるだろう。

 肺炎禍のせいで、何もかもが遅れているが、なんとか来年には開館できるめどが付いた。維持費は安いので、開業が遅れたからといって赤字がかさむわけでもない。筆者も、開業していないほうが工作に時間が取れてありがたいと言えば嘘ではない。
 信号機の完成実用化のめどが立ち、後は転車台を取り付けて、防護ガラスを付けるだけとなった。 

(TMSの旧い号は傷んでいるものが多いが、この椙山氏からお預かりしたものは全く傷んでいない。左上にサインが見える。椙山氏のご子息の意向で、蔵書をかなりお預かりした。)


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2020年12月11日

ステンレス容器 塩水漬け

removing broken drill bit in stainless steel bowl この方法を編み出したのは筆者である。しかし10年以上前にやったきりで、そのチャンスがしばらく無かった。それは通称 ”ガラ”を使うようになったので、タップを折ることが無くなったからだ。しかし、今回は少し違う事案だ。

 台車枠の鋳物に、軸箱護をネジ留めするための下孔をあける時に、折ったのだ。高速ボール盤を使っているので孔は簡単にあくが、中に鬆(す)があったようで、がくんと中に落ち込んだ時に折れた。高速ボール盤といえども、送りは無造作ではいけない、という良い例だろう。(写真の左上の部分の裏側に折れて刺さっている。)

 当時の韓国製の鋳物は見えない鬆がある場合があった。おそらく、熔湯を入れる速度が大き過ぎるのだろう。埋没材が削れて落ち込むのだが、それが浮力を得て上がって来るが、途中で引っ掛かってその分が空洞になる。もっとも埋没材はそこに残っているが、脆いのでドリル刃は一瞬で通過し、その先の金属に当たる。

 今回の失敗例をよく観察すると、ドリル刃は穴の中で斜めに刺さっている。すなわち、空洞を通過した後の向こう側の金属が斜面だったのだろう。それに乗り上げて、ドリル刃は横這いし折れた、と解釈した。

 ステンレス塩水漬けの方法は、「蒸機を作ろう」にも掲載され、利用する人が多くなったのは喜ばしい。しかし、相変わらず「溶けない」という文句が来る。
 ステンレス容器を使わない人が居るのには驚く。これはステンレスを使うことに意味があるので、プラスティック容器ではうまく行かないのは当然だ。書いてある通りにやらないと意味がないということを理解しない人は少なくない。
 また超硬のドリル刃を折り込んだという相談も時々あるが、それは諦めて戴く以外ない。切り取って埋め金をするしかないだろう。相手がブラスであれば、超硬を使う理由は見つからない。

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2020年11月25日

続々 Sofue Joint 

 先日紹介した現物以外にかなりの数の実例がある。いずれ写真をお見せしよう。

 また似て非なるものとして、中心ピン付きのものもある。これはトルクを伝えている。
Sofue Joint 2 これが実用化されている例があるのだろうか。かなり探したが見つかっていない。これはDDA40Xなどの4軸台車を全軸駆動する時に使う。以前はこのジョイントを六角のルース・ジョイントでつなぎ、反トルクをバネ材で承けていた。バネ可動時に無理をしないようになっているのだ。
 現在なら、可撓継手(フレキシブル・ジョイント)を使うが、当時は無かった。

Sofue Joint 2 (2)Sofue Joint 2 (1) 中心ピンで反トルクを承け、外周ピンでトルクを伝える。これは先回のと比べると使い方が簡単である。周りの剛性も必要がないが、駆動軸が振り廻されないような支持法が必要である。ここでは、中心の2軸が、台車内で左右に動かないことが必要である。動軸が左右にガタがあってブレる模型を見ることがあるが、そのような車輌には応用できないということである。コンパクトにまとまり、安上がりである。音は聞こえない。
Sofue Joint 2 (3) これは軸が可動であっても無理なく力が伝わる。厳密には等速ではないが、曲がる角度が非常に小さいので等速と見做せ、問題ない。各軸にはボールベアリングが装荷され、3条ウォームで極めて軽く作動することが、うまく行く秘訣である。

 この継手が成功したので、祖父江氏は嬉しそうだった。全く問題なく作動したので、いくつかの輸出モデルにも付けたはずだ。この種の継手は、模型全体が総合的に正しい設計でないと正しく作動しない。採用を考えていらっしゃる方は、その点をご理解戴きたい。

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2020年11月23日

続 Sofue Joint 

Sofue Joint 祖父江氏開発の一本ピンのジョイントが話題になっているようだ。このページへ訪問者が異常に多い。検索サイトからいらっしゃる方が、普段の数倍もある。
 brass_solder様からの情報で、TMS516号1989年7月号に載っていることを確認し、写真を拝借している。

 理屈を勘違いしている人もかなりあるようだ。コメントでいろいろなことを書いて来られるが、根本的に間違っているものは掲載していない。撓み継手のピンを減らしただけだというのは、最も多い誤解釈である。

 この継手はトルクを伝えているのではない。この継手を囲む構造体が大切で、それが前後上下左右に動かないように押さえつけている。この点はTavata氏のご指摘の通りであるが、そのコメント掲載後にも誤った解釈がいくつか来ている。

 TMSの新製品紹介にあったC57は、筆者の機関車を完成させた直後に、祖父江氏のアイデアを実現したものである。これ以外にカツミがHOに使用した例があるのだろうか。
 TMSの解釈は、コアレスモータは軸方向の力に耐えられないからだとある。それもあるかもしれないがそれだけではない。僅かな軸ずれを許容できるメリットが大きいのだ。

 そのC57のギヤボックスの中の写真がある。なんと4条ウォームで16歯のヘリカルギヤと組んでいる。そのあとはまたスパーギヤ2段で1:4にし、全体で1:16にしてある。これではだめだ。「互いに素」になっていない。動きが渋いそうだ。これがもし、互いに素で、モリブデン・グリースが使ってあったら、全く違う動きを見せ、評価は大きく変化しているはずだ。ウォームの進み角は非常に大きく、歯型が心配だ。これは角速度が一定にならない可能性がある。

 ところで、このギヤボックスにはトルクアームが付いている。これは明らかに祖父江氏の指導である。不思議なのはこの手法が使ってある模型が極めて少ないことだ。どうしてトルクアームを付けないのだろう。

 4条ウォームの模型が日本にもあったというのは驚きだ。韓国製で4:40というおかしなものがあったらしいことは聞いている。


「歯車 互いに素」を検索すると、拙ブログの記事が最初の方に出て来るそうだ。毎日の読者数のある一定の割合で、この記事を検索する人がいるわけだ。模型の記事なのできっと驚いているだろう。 

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2020年11月21日

3-unit GTEL の駆動方式

 第三世代のGTELの駆動はやや難しい。C-Cだから簡単そうであるが、それはA-unitの話である。B-unitは面倒な点がある。

 B-unit の床下には何もない。B-unitは鉄橋のような台枠の上にガスタービンを載せ、床下機器は一切ない。 すなわち、透けて向こうが見える。だから、普通の駆動方式では下にぶら下がってしまって、おかしなことになる。Ajinの初期製品では、床下にギヤタワァの下半分が見えないように、円筒を半分に切った形のもので隠している。オムツを当てているように見えるのだ。 これは極めてまずい。

 それで、その次のロットではB-unitの動力化を諦めてA-unitだけで走るようにしてしまった。これは、牽引力が無くて評判が悪かった。のちに室内で駆動する方式に改めたが、排気ダクトが邪魔であるから、切り詰めて極めて底の浅い排気ダクトになった。ガスタービンは、排気ダクトから中が見えるところが面白いのに、それが塞がれていると気分が悪い。

How to drive 3-unit GTEL この図は筆者の方式である。排気ダクトを温存するために、駆動装置を前後非対称にした。 6軸が連動するから、牽引力は大きい。3軸台車は、バネを利かせて可動軸にすると、3軸目の駆動は工夫が要る。ジョイントが必要である。

 かなり面倒な方式である。何回か作り直している。

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2020年11月15日

Sofue Joint

Sofue Joint 1 このジョイントには参った。常識では考えられない構造だ。二つの向き合った円板が、たった一本のピンで引っ掛かって廻っている。相手は長溝で、ピンの太さより微妙に幅が広い。Φ1.6のピンに対し、2.0 mmのスリットである。ピンは硬く、スリットは軟らかい。このジョイントで、軸の心ずれ、軸長手方向の伸縮、微妙な傾きを全て吸収する。オレンジ色の矢印はピンである。バランスは取れていないが、軽く半径も小さいから、影響は少ない。
 幾何学的には問題がある。しかし、比較的低トルクで、回転数も知れている。磨り減ったらスリット側を取り替えれば良いのだが、ほとんど減る気配はない。モリブデングリスを少しだけ塗ってある。沢山塗ると飛び散るだろう。

 初めはこんな子供だましの方法ではだめだと思ったが、走らせているうちに、これは無視できない方法であると評価した。筆者の8軸ディーゼル電気機関車の半分ほどに装荷されている。どの機関車も、複数のモータ搭載であっても全部の軸が連動し、同時に回転する。こうしないと牽引力は稼げないが、この理屈に興味を示さない人は多い。


Sofue Joint 2「インチキのように見えるけど、これでもいいんだぁ。軸重が大きいから問題ねえよ。レイルがあるから上下動はねぇってわけだし、台車は左右にゃ動かねえんだから、トルクは伝達されるさ。昔からアイデアはあったんだけどねぇ、付けたのは初めてだよ。」と言った。
 そんな馬鹿な、と言いたくなる設計であるが、問題なく作動する。オルダム継手は摩擦損失が大きいがこれは少ない。面白い設計だ。これは3条ウォーム、ボールベアリング装荷だからこそ通用する工夫で、ドライヴそのものの損失が大きいと振り廻されて、振動の元になってしまうはずだ。駆動軸でトルクが小さいから問題が目立たなくなるということもあろう。
 また、Oスケールの大きさだからこそ、うまく行くのだと思う。HOの大きさでは、径が小さい割に変位が大きく、難しいだろう。

 角速度変化はないとは言えないが、全く検知できない。重負荷でも音は聞こえないのだ。その後、かなりの文献を調査したが、これに関するものはまだ見付けられない。祖父江氏のオリジナルなのだろうか。1987年に取り付けられている。
 先例を見付けられた方は、お知らせ願いたい。

 この頃は祖父江氏がチェイン・ドライヴで様々な試行をしていた頃だ。ありとあらゆるところに使ってその音と耐久性を調べていた。

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2020年11月13日

GTELの駆動方式

GTEL drive mechanism この種スパン・ボルスタの付いた機関車の駆動方式には悩む。
 実はこの内の1輌は土屋氏のものであって、祖父江氏に依頼してドライヴを取り替えた。その時は、韓国製のやり方の一部を踏襲した。中央に近い一軸の動力化を捨てて、長いドライヴ・シャフトを使う方法である。この方法はドライヴ・シャフトの曲がりが少なく音がしない。もちろん、赤いアームはギヤボックスの反トルク受けである。

 これでも良いのだが、
「ほんとは全軸駆動にしたかったんだよねぇ。」
と祖父江氏は言った。上の図が、その6/8駆動のものである。反トルク受けは大切な構成部品なのだが、これを付けていない模型は多い。これが無ければ走らないはずなのだが、無理やり走らせているのが大半だ。既製品にも付いていないものが多い。

 筆者のも「やってみたい 。」と言うので送ったら、短いドライヴ・シャフトを付けて帰ってきたのは意外だった。当然、ギヤ・タワァ(チェイン・タワァと言うべきか)を第二、第三台車に付けての8軸駆動だと予想していた。なんと、短いユニヴァーサル・ジョイントを床下に2つ付けて帰ってきたのだ。(下の図)
「これでも行けるんだぁ。土屋さんのも、こうすりゃあ良かったかもしれねえな。」と言った。確かに半径2700 mmでは、偏倚量は少ないから問題はないし、牽引力は増大する。
 この時チェインを1本にして前後方向の長さを節約したので、ユニヴァーサル・ジョイントが使えるようになった。当初はチェインの強度が足らないと思ったのだが、1つで十分な強度があった。モータは細くて強力なものが高価だったので、2個付けた。

 二つの2軸台車を結ぶジョイントには、祖父江氏の発案品が搭載されている。

 先回の写真で手前のは筆者のLPG専焼実験機である。LA-SL線で実験が行われた。それは短期間で終わって通常型に戻されたので、実物を見た人は極めて少ない。これしかなかったので入手したが、この模型を走らせるのはやや違和感がある。


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2020年10月18日

続 最短の鉄道

 椅子は、バッタ屋で極端に安価で手に入れたものだが、有名なデザイナの製品らしい。足を切って台車に熔接したのだが、それを見て「ああもったいない。本物なのに。」と友人が漏らした。

 角度を考えて取り付けてあったのだが、評判が良くない。座ると嵌まり込んで、立ち上がりにくいと言う。この椅子は、腰が嵌まり込むように設計されていたのだ。そこで、少しバネを利かせて持ち上がるようにしてみた。それは単なるバネでは意味がない。行きと戻りで速度が異なるべきだ。

moving chair (3) 友人の鉄工所に図面を持って行って相談すると、「それは面白い」とすぐに作ってくれた。自動車のリア・ハッチを支えるガス・スプリングを付けると、体重を掛ければ静かに沈み、立ち上がるときはかなり早く追随するので、立ち上がりやすい。沈む速度よりも復帰する速度の方がはるかに大きいので、少し体を持ち上げて体勢を立て直すときには沈まない。だから楽に立ち上がれる。もちろん頭上にあるハンドル(グラブアイアン)を掴んで体を持ち上げるのだ。何回かやってみると、なかなか具合が良い。
 椅子の前の鉄骨には足を載せる。足で床を蹴って移動するのは難しい。上にあるつかみ棒を握って移動するのだ。ボールベアリングのお陰で、極めて小さい力で動かせる。


moving chair (2) 設計に際しては、絶対に指を挟まない構造にした。挟みそうな部分に手が届かないようにすれば良いのである。
 ガス・スプリングに掛かる力は、想定体重の1/2にするべきだ。当初、テコにより約2倍の距離にあることを失念してしまった。手元の 420 N(約43 kg重)のものを嵌めたが、相撲取りほどの体重を掛けないと縮まなかった。そこで240 Nのものを購入して取り換えたところ、実に調子よく作動する。
 屋外で塗装する時に写真を撮った。

「世界で一番短い鉄道だ」と言うと、納得する。電動にしてくれという要望もあるが、さすがにそれは難しい。

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2020年10月16日

最短の鉄道

moving chair (4)moving chair (1) 博物館のレイアウトの周回線路をくぐって内側に入る時、頭とか背中を打つ人が出て来た。筆者は慣れているから問題ないが、初めての人はかなり困るようだ。床から1080 mmだからそれほど低くはないが、歩いて通るのにはやや問題がある。
 当初はくぐって行く距離が短かったので、低いところに掴み棒があれば、それを支えにして簡単に入れた。ところが、留置線を増設したので、くぐって行く距離が長くなり、下を3歩、歩くことになった。屈んで3歩というのは、意外に大変な距離だ。背中を打つ人が続出したが、路盤の骨組みが堅固なので、当たると痛い。そのショックで留置線の車輛が脱線する可能性はないが、それだけ痛いということだ。

 30x30のアングルを伏せた線路を作り、その逆V型に合うボールベアリングの車輪を付けた椅子を作ってみた。熔接で簡単に作れるのだが、座って貰うと評判が今一つである。

 Vレイルに合うボールべアリングの台車のようなものは、レールコマという商品である。昔本棚があまりにも多くなり、スペイスの節約のために可動式としたときのものである。まだいくつかある。本来は製材所で、原木を載せた送材車が直線上を往復するようにする車輪である。片方はアングルをレイルとして鋸との距離を保つが、他方は平板を張ってある。


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2020年09月28日

車輪を抜く

custommade 動輪などを抜く台は、錆びやすいので油を塗ってポリ袋に入れてある。それを見て、欲しいという人が居たので、鉄工所に注文して作ってもらった。右は既存のもので、チャンネル材を平板に伏せた形である。左が今回作ったものである。上の板を薄くしている。さすがはプロの熔接で完璧である。

custommade2 寸法は似ているが、「軸箱フランジを大きくし、表の板を薄くしてほしい」と言うので、t4.5の板の裏側を一部えぐり取った。この写真では、左だけを裏返している。
 面板が比較的薄い板であるので硬い材料にしたかったが、工場で手持ちがなかったそうで、SS(普通鋼)にした。撓むといけないので、僅かではあるが支えを入れた。この支えは効く。単に側面だけを熔接したのでは凹んでしまうのだ。

 この種の補助具を用意せずに車輪を外したりする人が多いが、フレの元である。例の”コンコン改軌”などは決して褒められたものではない。HO用でもある程度まとまれば作れる。希望があれば、皆さんで相談して寸法を統一されると良い。クラブなどで数をまとめて戴くと有難い。

 プレスをお持ちの方は少ない。完成品を買う金があったらプレスを買うべきである。一度使えば、他の方法など考えられなくなる。便利なものである。


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2020年09月02日

模型クラブの会合

619_2219 久し振りに模型クラブの会合に行った。Covid19禍でしばらく中止されていたり、当方の都合で行けなかった。今回は会員に渡すものがあるのと、様々な用事があり、どうしても行かねばならなかった。ウェブ会議でやるというアイデアもあったが、それはあまりにもばかばかしいということになったようだ。

 会場に着くと大きな部屋であった。最近は、誰も使う人が居ないらしい。安価で広い場所が与えられた。参加者は10名ほどであったが、持ち寄られたものは面白いものが多かった。
 在宅勤務が増えたので、模型工作の時間が十分に与えられたことになる。アイデアを形にしたものを見せ合い、なかなか面白い会合であった。

 伊藤 剛氏は、クラブに入っていない人の作品には偏りがあります、と述べていた。それはそうだろう。互いに啓発し合うチャンスが無いと、間違いを是正するチャンスもなくなる。また、手伝いに来て下さる方もあって、助かる。もう何十年も付き合っていると、お互いの事情も良く分かっているからこそである。

 今回、筆者はパシフィック2輌を持って行った。このサイズの模型は壊れやすい。もうすこし大きなものは良いのだが、重い割には飛び出しているところが多いのだ。4-8-4クラスだと相対的に出っ張りが少なくなる。

carrying engines 手術台に載せて箱に入れ、隙間に緩衝材を丸めて突っ込んだ。この方法は機関車が安定して良い。テンダは別の箱に入れた。動軸が回転するので、転がらないようにするのはかなり手間がかかるが、あおむけにしておけば何も考えることがない。

 二輌を同じ線路に載せ、片方を押すとヘッドライトが点き、他方が走った。始めて見る人も居て、とても驚いたようだ。理屈は分かるが、実際には難しいことだと言う。
 角速度が一定になるように設計した3条ウォームギヤであることは知っているので、何度も押してその感触を楽しんだ。実はUPの機関車には大きめのフライホィールを付けてある。これを付けると角速度が一定でない歯車を付けた機関車はゴリゴリするはずだ。その話をすると非常に面白がってますます早く押して、調子を調べたがった。小さな抵抗を持って行ったので、それでレイル間をショートさせ、負荷を与えての高速手押しを何度もやって、角速度が一定であることの価値を確認していた。また、トルクチューブの意味について語り合った。もっとも合理的な方法であるということが納得できたようで、嬉しい。

 工学を正しく理解している人たちとの会話は楽しい。単なる思い付きではなく、裏打ちのある知識を持って実験することの意義を感じた日であった。 

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2020年08月23日

続 非金属製車輌の末路

 ウレタンは、熱可塑性ではない。いわゆる”流れる固体”ではないのだが、現実はこれだ。やはりプラスティック素材で骨を入れずに長い客車などを作るのは避けるべきである。成型した後、片面だけ機械加工してあるのが、ファクターとしては大きいと思う。片面だけ応力が解放されているのだろう。だから、その面にジュラルミンの板を貼ってあると、かなり違う。ジュラルミンの薄板は飛行機の材料だと思う。友人から少し貰ったのだが、もう使い尽くした。熱処理した鋼板でも良いだろう。側板は内側に反っている。(先日会ったF氏はブラス板に筋を入れて木製の側板を再現したが、裏側も同様の筋を入れていた。うまい工夫である。両面の応力を開放すると反りが無くなるのだ。)

 彼のいくつかのキットを未組で持っているので、反りを調べている。組んでない状態でも屋根板は少しずつ反っている。これを組み付けると全体が反るだろう。硬いアルミ製のアングルを、逆に反らせてエポキシ接着剤を塗ってクランプで締めた。こうすると反りは抑えられ、安定した。

 何年か経つと、ウレタンは徐々に加水分解され、壊れていくはずだ。壊れないウレタンは残念ながら存在しない。その期間が10年なのか、20年なのか、100年なのかは分からない。日本の模型に詰められたスポンジは、ほとんどが劣化してしまったようだ。不思議なのは、アメリカ製のスポンジがダメになったのはほとんど無いことだ。材料が微妙に異なるらしいところまでは突き止めた。
 我家の建築資材はアメリカ製のものが多い。断熱材のウレタンを一部剥がしてみたが、25年でほとんど劣化していなかったので少し安心したが、油断はできない。

 この客車もそのうちに駄目になるだろうから、寸法を取ってブラス板からレーザーカットで再生することにした。このような客車を作るのは難しいことではない。リヴェット打ちはかなり大変であるが、橋を作った時のことを思えば大したことではない。屋根は定評のある木製にする。60年物の屋根材がいくつかある。 
 いずれ製作記を掲載するつもりだ。2輌作る。 

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2020年08月17日

半波整流による低速制御

 Marnoldのカタログは面白い。正直なところ、これがウェブ上で見つかるとは思わなかった。70年代のアメリカでも、既に過去のものであって、新品はWalthersのカタログには載っていたが、現物を見ると少々がっかりした。先にも書いたが、筐体の鉄板が薄くて剛性が小さく、出力のラグが小さいので結線しにくい。また、スロットルはガリガリして高級感が無かった。しかし今回、セレン整流器の性能向上について、知見が広がり、有難かった。

 今回このカタログを熟読して一番興味があったのは、半波整流による低速制御(いわゆるパルス電源)である。p.21(画面左下のペイジを表す数字は 16)の Super1 回路図には一箇所ミスがあるが、気が付かれるだろうか。右上のDPDT(いわゆる6Pスウィッチ)に行く線がない。2つのセレンからの出力と結ぶべきだ。

 トランスの上の巻線にはスライドする端子が2つあるから、それを別々に動かすことができれば、半波だけの24 V(実効値で12 V)も出せるし、半波は普通に出し、残りの半波は低電圧にすることもできる。要するにセンタータップを偏らせることができるのだ。実際には半波だけの24 Vは出さなかったようである。特許( US2859398)を見れば半波を微速用に出していて、残りの半波は電圧を0から可変のようだ。非常に簡単な方法である。これについてはTMSに詳しい解説がなかったように思う。気が付かなかったのか、理屈が分からなかったのかは分からない。

 伊藤剛氏が試作した回転式接点断続法では、誘導負荷を遮断するので火花が出て、すぐに消耗してしまったそうだ。その点、半波方式は自然に遮断されるので、寿命について考慮する必要は全くない。それとレオスタットとをさらに組合せれば、より細かい運転法が可能だ。今まで紹介されていた方法はパルス式だけの給電であったから、細かい制御が難しかった。このパルス方式は、実効値は小さいが瞬間の電圧が高いので、多少接触が悪い状況でも、動き出させることができる。

 宣伝文句には列車の慣性に打ち克ってゆっくりスタートできるとあるが、この文言だけは賛成できない。慣性ではなく、静止摩擦であろう。
 一般には、現在の模型でも摩擦が大きいものがいくらでもあるから、それを走らせるには工夫の余地がある。小さなスライダックを2つ繋げば、ほぼ同等のものができるだろう。片方は通常のトランスでも良いかも知れないが、その時はレオスタットを組み合わせた方が良いかも知れない。レオスタットはいくつか転がっているので、使いたい人には提供しても良いが、モータの特性に合わせて調節するのはかなり面倒であろうと思う。
 もはや過去の遺物であると云うべきで、これを再現する価値があるかどうかは疑わしい。やるなら、完全なソリッドステートである。決して難しくはない。既にそういうものは市販されていたように思う。しかし、既にDCCの時代である。低速運転は何も考えなくてもできるようになってしまった。 

 また低速での起動をしたいなら、牽かせるものの抵抗を極限まで小さくし、ギヤの伝達効率を高くすることが早道である。当博物館では、120輌を牽いて登り坂で微速前進ができるが、完全直流運転で、何の仕掛けもない。  


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2020年07月08日

古い車輪を再利用する

 3線式の時代の車輪はかなり捨てたが、まだいくつかある。厚みがあるのでこれを削ったら、OJ用のスポーク車輪になるかもしれないと思い付いた。19 mmのサンプルで試してみる。
 
19mm wheel on collet (1)19mm wheel on collet (2) ネジは旧JISのM4で、ピッチが0.75 mmだ(現在は並目ピッチは0.7 mmである)。筋の良い車軸を選んでヤトイとする。裏の根元がきちんと平面になっていないと振れが生じるので、まずそこを削り、フランジ内側を削り落とす。これでよいかと思ったが多少の振れがある。昔の製品の精度はこんなものだ。この方法では最初に根元を削った部分が垂直であるとは限らないからだ(大きなコレットでタイヤを掴むのがベストであることが分かった)。ヤトイから外して、前後嵌め替え、今度は表面を厚さ 3.5 mmになるように削った。

 タイヤ厚み(法線方向)が1 mmだから、輪心径17.0 mmのものと、それから絶縁材の厚み×2を引いたもの、の2種を削り出すのだ。

 
 ネジ込み車輪というものは根本的に「振れ」からの脱却は困難である
筆者が圧入にこだわるのはそこである。
 この工場で作ったネジ込み車輪のネジの精度には誰しも驚く。ぎゅっとは締まらない。こつんと締まる。ガタが、事実上ないネジを作ってくれるのだ。だからLow-Dにもネジ込み車輪が登場したのである。最初はすべて圧入だった。


 タイヤはステンレスだから伸びやすい。無茶に締めると、径が左右で異なることになる。定盤の上でエポキシ接着剤を塗ってそろりと嵌めることにしよう。

19mm wheel centers (1)19mm wheel centers (2) 軸はバックゲージが21.5 mmのものを作る。今どきM4-P0.75と聞いたら、工場の人は驚くはずだ。久しく作っていないだろう。少し太めのオネジを作って、ネジのガタを減らすことにする。当時の製品はネジがガタガタで、心が出にくい。
 この工場ではネジを少し太くすることは簡単にやってくれる。そういうヤトイ(旧製品を再生するための)をいくつか特注しておくという手もある。それを頒布すると、昔の部品を精度高く再利用することが簡単になろう。しかし、希望者が何人居るか、である。

 今回の発表で、細かいものを少し作ってくれと言ってくる人があるが、そういうものは請けられない。この工場は量産工場である。極めて精度の高いものを大量に作る技術を金に換えているのである。こちらで用意した仕様以外のものは、相当数の注文がないと動き出せない。


 タイヤだけを作っておけば、いろいろな使い方が見つかるだろう。昔は旋盤工作ができないと加工は無理だったが、今回はそのまま嵌めるだけというものもできるかもしれない。ある人は、車輪内にボールベアリングを仕込んではどうか、とも言っている。左右自由回転になる。出来ないことはないだろうが、ガタがあるので、複列にして多少の予圧を掛ける必要がある。かなり面倒な構造だ。ガタを見越して使うのなら簡単だが、Oスケールでは避けたい。 

 見かけだけはよくできた車輛を見せてもらうことがあるが、車輪が振れていると、思わず天を仰いでしまう。優れた走りには、どうしてもこだわりたい。


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2020年06月20日

走行抵抗を与える車輌

 沢山のコメントが入り、驚いている。

 車軸にモータを仕込んで発電機とし、抵抗で消費させてブレーキを掛けるものは作ったことがあるが、面白くない。安価な有鉄心モータであるから、発電量は位相によって異なり、大げさに言えばカクカクとなった。たくさんつければ均されるが、おもちゃのようなものである。HOでは大きさの点で難しい。

 要はブレーキであるから、効率はあまり関係ない。負荷が均一であることが大切だ。簡単な歯車装置か、摩擦車でも良い。細いバネで軽く押さえれば、用は済む。
 昔アメリカの広告で見た、大きな車を台車の上に置いてフランジから摩擦駆動するものがあったが、あれでよいのだ。その商品は慣性を増大させるものだったように覚えているが、角速度が小さいので意味がなさそうだった。今回は慣性は関係なく、半径が大きければ、摩擦力は小さくて済む。
 どなたかが作られると面白い。 引張力を掛けた状態での走行状況を見るものだから、慣性は無くてもまったく構わない。単なるブレーキ車で良いのだ。

 急曲線の話があったが、左右の車輪を独立にすると摩擦が激減する。これは15インチ(381 mm)ゲージの乗用模型で立証済みである。半径 5 mでも5人乗った客車を片手で押せる。左右の車輪が連結されていると、二人で押さねばならないほど、重かったのである。HOなら、構造は極めて単純で良い。 
 軽便鉄道風の物であれば引張力がなくてもかまわないのだが、本線を走る大型機関車については調べる必要があるはずだ。

 ハンダの色については、いくつかのコメントがあった。最近はKKCに限って言えばハンダの色が見えているものが増えて来た。喜ばしいことである。完全にハンダが廻っていて、壊れにくい。これはその昔、TMSのミスリード記事が元になっていると思う。ハンダを見えなくすると良くなることなど、見かけの問題以外、どこにも見つけ出せない。アメリカのコンテストでも、未塗装の場合、ハンダが見えているものが多い。見かけよりも実質を取るのだ。


 コメントに、自己宣伝を書いてくる人が多くなった。何度も申し上げたことだが、コメントはコメントであり、それ以上のことはご自分のサイトで発表されたい。核心を突かない不要部分は削除して短くするか、掲載をお断りしている。 

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2020年05月27日

UPの客車群を塗る

UP Streamliner 外出が制限されている。時間があるので、組んだまま放置されていた客車を塗り始めた。
 Union Pacific 鉄道の流線形客車群である。総ブラス製で、かなり重い。もともとは、Kemtronが作っていた厚さ0.63 mmのエッチング・キットであった。殆どの人は、買ったは良いが、組めずに放置していた。20年ほど前から、それが中古市場に適価で出始め、筆者は手あたり次第、買い占めた。一時期は40輌分ほどあったが、その後欲しがる人も居て、譲り渡して半分になった。右の2輌は、参考品として塗装済のものを購入したもので、色合いが異なる。

 キットは板だけなので、まず窓抜きをせねばならない。これは当初、糸鋸で抜いた時期もあったが、その後縦フライスになった。ヤスリ掛けは不可欠で、たくさんのヤスリを消費し、ヤスリ粉は牛乳パックに2杯も貯まった。屋根曲げは、ある程度は折曲げ機で曲げ、その後の修整はこの丸アンヴィルを使った。非常にうまくできる。屋根板は0.55 mmのものもある。

 屋根と側板は隙間なくつなぐ。これには、Kemtron社自体が公表していたノウハウがあって、その通りにすればかなりうまくいく。つなぎ目に連続した板を内側に貼り付けるのは、極めて難しいからだ。
 そのノウハウは、ブラス板の小片をたくさん用意し、簡単なジグ上で押さえ込んだ屋根と側板の接合部にハンダ付けする、というものだ。小片の上半分は屋根に合わせて軽く曲げておく。多少の隙間ができても押さえ付けながら、その部分を局所加熱すれば直せる。これが連続した材料であると、難しい。最終的につなぎ部分の8割がこの小片で埋まる。車体外側から見ておかしくなければ、成功だ。この小片によるつなぎ法は、いろいろなところに応用している。部分的な修正が効くのが良い。炭素棒による加熱なら、自由に付け外しできて具合が良く、楽である。

 このやり方はいかにもアメリカ人の考えた方法である。下手な人でも、そこそこにうまくできるのである。それを、筆者は少し進歩させている。
 数箇所を小片で付け、ずれや隙間が無いのを確認したのち、長目(75 mm程度)のつなぎ板を一気に貼る。ハンダの量を適量にすると、なぎ目にハンダがにじんだ状態で完成する。もちろんこの長板の上半分は、屋根の丸味に沿わせて曲げておくのだ。

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2020年05月25日

operating table

手術台 手術台と呼んでいる。機関車を作ると必ずそれに合わせて作る。めんどくさいと思われる方もいるだろうが、これは不可欠のものである。ディーゼル電気機関車の場合は、外側の回廊部を支えなければならない。それには、手摺りを逃げた薄い材料で作る。

 Oスケールは重い。機関車が最低 2 kgはある。大きなものは4 kg以上ある。関節機などは6 kgもあるものがある。これをひっくり返して機構部を外したり、ロッドの調整をしようと思うと、細部が壊れてしまう。

 ラニングボードの付け根を支えるものが必要である。ラニングボードは分割され、段差があって上下しているものが大半なので、それに合わせた支えが必要である。幸い木工機械があるので、精密に切り出したブロックをたくさん用意し、高さを決め、接着剤で固定する。
 
 作った手術台は嵩が大きいので、専用の大きなコンテナに、嵩を減らすように組み合わせて入れてある。先回の慣性増大装置付きテンダには、専用の手術台をこしらえた。テンダ用としては、初めてである。もう一つ作らねばならない。

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2020年05月11日

続々々々々 ATSF Heavy Pacific

 本物では、インジェクタなどの補機類はどこに付いているのだろうか。たいていは運転室床下にある。機関士が手を伸ばしてレヴァを引き、あるいはコックを開き、作動させる。インジェクタは配管だけでぶら下がっているのではない。配管だけでは、振動で折れてしまう。大型機のインジェクタは重い物である。最低100 kg、大きいものは300 kgほどもありそうだ。垂直荷重の大半はフレイムから生えた支え(stay)で持つ。配管には殆ど力が掛からない。ステイは垂直方向にもある。三角形にして重さも受け持つようにしたものもある。また、Uボルトでインジェクタを押さえたり、インジェクタそのものに取付ボルトがあるものもある。

 模型では、インジェクタはキャブに配管だけでぶら下がるものが、ほとんどだ。だから塗装などで上下分解すると、上廻りをインジェクタで支えるような置き方になる。HO 以下のサイズなら、さほど問題にはならないかもしれないが、Oスケールの大きさであると、これは 大きな問題である。上廻りをどうやって置くべきか、考えねばならない。事前に台を作ったりする。そのまま置けば、インジェクタが曲がってしまったり、配管が折れたりするからだ。

injector suppoert (1)injector suppoert (2) 今回は火室底板に付いている配管を延長し、インジェクタまで一体にした。インジェクタには支えをハンダ付けし、フレイムに作ったネジ穴で固定することにしたのだ。2箇所留まっていれば安定する。

 このやり方は祖父江氏と何回か相談したことがある。どうすれば実感的で、しかも壊れにくいか、だ。今までは、キャブ床板からステイを下に延ばしたものが多かった。これは実感を損なうし、弱い。今回のやり方でいくつか作って検討してみることにする。

  既製品であるので、寸法を出すのが難しい。配管だけで浮かしたものに、フレイムにネジ留めしたステイを接触させ、その先に炭素棒でインジェクタをハンダ付けした。こうすれば位置は必ず合う。 そうしておいて外して洗う。

 塗装はばらばらの状態で行い、組んでネジを締める。あちこち触っているので塗装は傷だらけだ。後でタッチアップする。裏面だから見る人はいないが、気にする人もいるからだ。

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2020年04月17日

タオルを敷く

 この3日程、極端に忙しかった。注文してあった部品、工具等が、どういうわけか集中して届いたのだ。箱を開けて検品したり、合わないものは削ったりして、ほぼフルタイムで3日程かかって何とかなった。
 一番大変だったのが3Dプリンタによる部品である。外形だけの物は少なく、機能部品が多いので、二次加工が必要である。 実際に組立ててみて、当たるところはないかなど、確認が必要である。コンピュータも触る時間が無かったので、久しぶりに開いてみると、予約していた記事が無いので驚いた次第。メイルもたくさん溜まっていた。
 いつもは数回分の予定稿が用意してあるのだが、1回分の書きかけしかなかったので、今回は短い記事である。



 雲黒斎氏からのコメントを受け、試していた。分解・調整・再組立の時、ネジが落ちたりして探し回るのは避けたい。その抜本的な解決策である。
 氏はラジコンにご興味があるようで、そのような方法を既に経験されたのだろう。

towel 机の上に、タオルを折って分厚い層を作り、その上で分解・組立等をする。試しにネジを落としてみると、タオルの糸がショックを吸収し、ネジは静かに着地する。机の下には、全く落ちることが無い。今まで、菓子折りの蓋などで受けていたが、それでもネジは弾んで落ちた。

 タオルにはいろいろな織り方があるが、軟らかいループのあるものの効果が大きい。ただ、部品がひっかかりやすいから注意が要る。最近はあまり見ないが、カットパイルと言って、ループを切って糸の切り口が見えるタイプは、モノが引っ掛かりにくいので良い。


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2020年04月15日

続 炭素棒ハンダ付け装置の増設

 炭素棒ハンダ付けの恩恵に与る人は厚板を使う人であろう。あるいは大きな鋳物部品を扱う人だろう。HO以下の模型では頻度は少ないかもしれない。Oスケールでは、これがないと進まない。
 CLW のキットを組めばその理由が分かる。すべての部品が1 mm以上の厚さを持つ。キャブなど薄板でよいのに、1.6mm厚のロストワックス鋳物の妻板、側板に、0.76mmの厚さの屋根板である。これを完全に隙間なく付けねばならない。イモ付けではなく、階段状にかき取ってある部分をきちんと突き合わせてクランプし、ハンダを置いて加熱する。屋根板を付けるときは、ブラスの針金を直角に付き合わせたところに置いておくと、接着面が広くなり、丈夫に付く。

resistance soldering 既存のタイプの電源を床に置くとケーブルの長さが足らない。机の上では邪魔である。思い切ってテーブルの下に斜めに付けた。
 この傾斜は有効である。わずかに上に向いているだけで、表示が見易く、操作も楽である。放熱も良い。お薦めする。

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2020年04月13日

炭素棒ハンダ付け装置の増設

 むすこたかなし氏の素晴らしい着想で、24 V出力のトランスを二段接続する方法を採用した。正直なところ二段接続は好きではなかったが、このトランスの価格を知れば、やるべきであると思った。まだ1000円程で手に入る。筆者はたくさん買って友人に譲った。

 ヤフー・オークションの様子を見ていると、この24 Vトランスはしばらくの間、無限に出てくるような感じである。遊戯機械がそう簡単に低電力化されるとは思えないからだ。いくつか手に入れて内部を見ると、かなり焼けているものがある。酷使したのだ。内部のプラスティック部品が焦げているものもある。温度フューズが飛んでいるものもあるので、それは取り替えればよい。巻線の絶縁は十分にあるので、このような事故品でも問題なく使える。電圧が低いから、事故は起こりにくい。一つだけ、二次線が導通していないものがあった。落とした跡があるので、衝撃で切れた可能性がある。これは巻き替えざるを得ない。時間ができたらやってみよう。3.5 mmsqのテフロン線を少し巻くだけで再生できる。 

 自分用のものは、とにかく出力の大きいものが欲しかった。分厚い砲金(青銅)の鋳物でできた前頭部に、ロストワックスの部品を隙間なくハンダ付けするのはそう簡単ではない。今まではガスバーナで100 ℃あたりまで予熱し、それを保温材で包んで炭素棒で付けた。かなり面倒で失敗も多かった。Dennisのようにアセチレンガスでやれば良く付いただろう。

AC6V 41A 今回出力 41 Aというのを手に入れたので、キャスタ―の付いた台にトランスを二段に積んで、ネジ留めした。さすがに重くて持てない。作業台の下に押し込んである。これは都合が良い。
 ただ、手持ちプローブの電線が太過ぎて固く、取り回しに苦労する。柔らかいものを探している。3.5 mmsqでは電線がかなり熱くなる。耐熱電線だから100℃くらいへっちゃらなのだが、持っている人間のほうが火傷してしまう。5.5 mmsq以上を使わねばならない。8 mmsqはかなり使いにくい固さである。

 作るのは簡単で効果が大きいので、このレポートを参考にして自作されると良い。

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2020年03月20日

実感を与える

UP FEF3 久し振りにFEF3が本線上を走った。ここ3年はChallengerの牽くプルマン特急しか走っていなかった。Challengerにはminor problemが発生し、工場入りしている。マイナ・プロブレムというのは大したことのない故障であって、ごまかして使えないこともない程度であるが、完璧を期すために修理している。
 draw bar が外れやすいのである。坂の途中で外れると電気配線のソケットを引き抜いて、機関車だけがどんどん走っていく。当鉄道では機関車だけで両側集電しているから単独走行が可能であるからだ。ボールベアリングを装備しているので、タイヤからの集電ブラシを付けないと走らない。それを2組付けているのだ。サウンドは途切れてしまうから、切れたことはすぐわかる。

 テンダは機関車と同一極性にしてある。こうすれば、機炭間の無用なショートから逃れられる。10年ほど前、それをHOの友人に話したら大変驚いていたが、下らない昔の考えに捉われる必要などないのだ。
 ドロゥ・バァには斜めに切り込みが入れてあって、ワンタッチで連結できるが、その押さえのラッチ・バネが弱いのだ。すぐ直るが、あちこちついでに見ておこうと、休車扱いにした。すべての先輪、従輪、テンダ車輪は、既にLow-Dに替えてある。




 このFEF3は1985年にロールアウトして、おそらく1000キロメートルは走っている。日本で、いや世界で一番長距離を走った模型機関車かもしれない。自宅のレイアウトで、20年ほど、80輌牽かせて毎日1時間くらい走らせていた。山の手線と同じで、同一方向に走らせるとフランジが片減りするので、毎月初めに回転方向を逆にしていた。
 ひっくり返して見ると、従台車、テンダ―の車輪がかなり摩耗している。めっきがはげてブラスが見えている。フランジも形が良くない。直立に近づいている。これらはオリジナルのカツミ仕様であった。Low-Dに取り換える。動輪は一度も交換していないが、十分に持っている。鋼のタイヤだからだ。ボールベアリングはNMB製である。さすが日本製の高級品で、十分性能を保っている。ギヤボックスを開けて見たが、なんの問題もない。二硫化モリブデングリスは健在で、歯形も良い。

signals (5) この機関車を作るにあたって、本物を丹念に観察した。気が付いたのはキャブの下がり方と、除煙板の波うちである。前者についてはしばらく前に触れた。波うちは金床の上で木槌で丹念に打って再現し、内側には骨を付けた。配管も少し歪ませた。
 祖父江氏は、目ざとくそれに気が付いた。「でもねぇ、商品が歪んでいると、お客さんは買ってくんねぇよ。」
 実感的な歪みというものに、かなり興味を持ったようだが、実現には時間が掛かった。例のビッグボーイの配管は、実物の観察から、僅かの歪みを与えている。
「歪ませましたね。」と言うと「わかるかい。たいていの人は気がつかないと思うよ。その程度にしといたよ。」とのことであった。  

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2020年03月12日

トロイダル・コア

 昨年末に、むすこたかなし氏から相談があった。炭素棒ハンダ付け機の電源を作る工夫である。トロイダル・コアのトランスを二段階接続して(これを直列接続とは言うべきではない)、100 Vから 5〜6 Vを得る方法だ。素晴らしいレポートがあるので、詳細はそれをご覧戴きたい。

 驚いたのはそのトランスが一つ1000円ほどで出ているということである。パチスロというものがある。筆者にはどんなものか見当もつかないが、ソレノイドを多用した遊技装置らしい。大電流を使うという話だ。出力は 24 Vで 10 A〜20 Aの電流が取り出せる。このトランスの放出は今だけなのか、それとも継続的に行われるのかも見当がつかないが、現在はインターネット・オークションでいくらでも見つけ出すことができる。 ただ一つの懸念は、たくさんの人が同時に買おうと殺到すると価格が上がってしまうことだ。そこはわきまえて安く買う工夫をされたい。

 トロイダル・コアは、変圧器の鉄心としては最も高効率のものである。昔、筆者の父が作ってくれた変圧器は戦災で焼けたケイ素鋼板をネジで締めたもので、通電するとブーンと音がした。隙間があったからだ。これは全く音などしない。

transformers 仕様を絞って見て行くと、出力 41 Aというとんでもないものが見つかった。要するに1 KVAである。質量は9 kgもある。これを2段目に使い(右) 、1段目に350 VAの(左) を使うと、1段目の容量が無駄にならない。それを購入して、2段目の入力を1段目の出力に圧着端子で固定接続した。総質量は12 kgある。そう簡単には動かせない。

 筆者は、炭素棒ハンダ付け機は既に2台持っているが、いずれも出力不足に悩んでいた。より大きなものを付けたい時には大電流の機種が必要であったので、安価にそれが実現できるわけでありがたい。もちろん、2回も変圧器を通すのだから、損失は多少はある。しかし、長時間使うものでもないので、安くできれば、電気代がわずかに余分に掛かろうとも全く問題ない。

 これをキャスターの付いた台に載せ、作業台の下に滑り込ませるようにする。手元のコードは可撓性のある電線を用いるが、5.5平方mmを使わねばならない。炭素棒も 8 mm径のものを使うつもりだ。ここまで来るとかなりの太さで、自動車のジャンパ線か、熔接機の電線のような感じである。

 以前の頒布終了後、多くの方から再度の頒布を要望されていたが、これで殆ど解決したように思う。前回のキットをまだ組まずに持っているから値が上がる、と信じているおかしな人もいるようだが、これでそんなことは何の意味もなくなる。今回の価格破壊で、どんどん作る方が増えるだろう。この技法を広めて戴きたい。


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2020年03月08日

続々 US Hobbies のギヤボックス

 どうしてこのようなギヤボックスを作る必要が出て来たか、というのは少し説明が要る。Ajin製のヘリカルギヤだけのギヤボックスが複数見つかり、それにはEMD E7の車輪(36インチ)がついていた。 1:1のギヤボックスだから、事前に減速ギヤで減速しないと走らせることができないわけだ。
 
 これがうまく行くかどうかは、使ってみないことにはわからないところがある。というのは、減速されて大きなトルクが台車に伝わる。すると、反作用で車体が反対方向に傾く可能性がある。輪重も一定にはならないかもしれないから、それは脱線を誘発するだろう。しかし既製品は曲がりなりにも走ったようなので、うまく行く可能性もある。
 理想論を言えば、前後の台車のひねられる方向を逆にするために、ウォームのネジを鏡像にすれば良い。当然モータは2個を逆方向に回転させることになる。しかし、コストが増大するから、そんな模型は見たことがない。むしろ台車ごとにモータを付けて、独立した状態にするのが確実である。

 過去に筆者が作ったものは、すべて台車内で3 : 23にしている。即ち、ドライヴシャフトで伝達するトルクは小さいから、車体が傾く心配はまずない。
 今回のギヤボックスはCLWのE7に取り付ける予定で、それは砲金で鋳造された前頭部を持ち、すこぶる重い。ということは大きなトルクで推進軸を廻しても、その反作用に耐えてくれる可能性が高い。

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2020年03月06日

続 US Hobbies のギヤボックス

 歯数が決まっているので、ギヤ比は変えにくい。ちょうどよい歯車があれば良いが、この M0.8 の手持ちは少なく、なかなか難しい。M0.5 であれば、異なる歯数の歯車をふんだんに持っている。軸距離を計算して可能な組み合わせを選び出す。今回、歯数が14枚に満たないものはすべて廃棄した。そんな歯車を使っている以上、ガリガリ・ジャラジャラ音からは絶対に抜け出せないからだ。(”M”とは歯車の歯の大きさを表す”モヂュール”である。)

 ギヤボックスの内側のえぐりをフライスで拡げて、大きな歯車を入れると、自由度が増した。大きな50枚を最終段に置き、中間を大小二段の歯車にした。与えられた条件内で、14枚以上を用いた組合せを、限られた空間内に押し込んだ。設計にはかなり苦労した。
 まさに「フライスと旋盤の実技修了試験」のような工作であった。すべての孔をフライスとリーマで仕上げて、ボールベアリングはすべり嵌めである。全くガタの無い軸というのは気持ちが良いが、もう一つ作るのは勘弁してほしい。フランジ付きは、ミネベア製の高級品である。

US Hobbies gearbox modified 歯車のボス部分は細く削ってボールベアリングのインナ・レースのみに触れるようにした。また、正確に削って、予圧を与えることに成功した。
 ワッシャ無しで嵌めるように、ぴたりの寸法に削ったのである。ここでガスケットの圧縮による分を、計算に入れてある。最終的なギヤ比は 約 1 : 7 である。非常に軽く動き、音もほとんどしない。
 ガスケットの厚さは、ネジを緩く仮締めした時と、強く締めたときの差を、マイクロメータで調べた。その中間でネジを固定するわけだ。難しくはない。この方法は10年ほど前に思い付いたが、実践するチャンスが今まで無かった。ネジはロックタイトで固着させたので、中を開いて見せるわけにはいかないのが残念だ。

 上のモータに行く軸は撓み継手である。この頃はこういう部品が安く手に入る。以前は苦労して作っていた。事実上、一直線上に設定されたモータ軸ではあるが、微妙な曲がりがあっても全く問題がなくなる。こういうところには、ユニヴァーサル・ジョイントは使いたくない。効率が下がるからである。


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2020年01月26日

工程表

 限られた時間で完成させようとすると、どうしても工程表が要る。工程表が無いと、くだらないところに時間を掛け過ぎてしまう傾向がある。

 各単元の工程の時間は、経験上分かっているので、細かく分けて書く。ここまでは何月何日に出来ていなければならない、という目安は大切である。
 単元ごとに検査し、あとでの再調整を不要にしておくことが時間節約になる。これは建築工事と同じだ。組んだものをバラして再調整するのは、膨大な手間が掛かる。今回は既製品の改造なので、既存の構造を利用できるところは残す。他を切り取るので、補強が要る。補強を後廻しにすると寸法誤差が出るので、補強工事を最優先にし、その後余分を切り取るようにした。
 テンダの中は太い骨が入っている。もともとはがらんどうであったが、重くなるので持った時に潰れないような構造でなければならない。
 
 旋盤工作は意外に時間が掛かる。刃物やドリルを取り替える手間が多いからだ。その必要が無いものは早い。小さい方の旋盤にはDROが付いていないので、目盛を読んで作るのは意外と大変である。1回転で何mmということから計算するので、計算用紙、電卓が必要である。早見表を作り見やすい位置に貼ってある。すべての材料、工具は並べておく。材料探しというのは、するべきではない。

 最初に見積もったスケジュールより早く進んでも油断せずに、先の方の予定でも時間が掛かりそうなものを先に作っておく。
 ロストワックス部品は念入りに仕上げてバリを取り、足の長さを調整して完全に密着するようにしておく。そうしないとハンダが完全に廻らない。
 細かな組立ては、机の上を整理して行う。前掛けをして、落とした部品がひっかかるようにする。落とした部品探しというのは、時間の無駄そのものである。
 塗装は4日掛かるとみた。初日は塗装剥がしである。塗ったらオヴンに入れて加熱する。100℃で2時間だ。マスキングは丁寧にする。失敗すると時間が無駄だ。塗り終わると同時に剥がして再加熱する。

 結局のところ、〆切の2日前に落成した。テンダがとても重く、宅配便で送るわけには行かない。持って行く途上で、T氏には助けて戴いた。ナンバーボードのスクリーンを忘れたのだ。コンピュータで作って戴いたものを付けた。


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2020年01月24日

リンク機構の工夫

making link (1)making link (2) テンダの先台車はリンクで結ばれている。左右に振れると、先台車は微妙に回転し、曲線上に載る。前後のガタは全くない。ピンはネジだが、パイプを切って嵌めてあった。要するに段付きネジのようになっているのだ。友人のO氏に見せたら、ピンに僅かのガタがあると指摘されたので、旋盤で精密なピンを挽いて、作り直した。ガタがあれば、台形リンクの意味がない。
 ガタをなくし、微量のグリスを塗った。当然、穴にはリーマを通してある。磨り減ることはないだろう。

 フライスのDROで設計寸法に孔をあけてから、外形を切り抜くが、今回はギヤボックスがあるので一筋縄ではいかない。少し逃げている。そうすると固定台車の第一軸の車輪が干渉する。絶縁側は念の為、さらに1 mmの逃げを付けるのが、当社の方針である。するとリンクは直線にはならない。

tailoring a link こういう時は、距離を保ちつつ途中の経路を変更するので、屈曲させるわけだ。十分な剛性が必要で、なおかつ設計寸法が変化するのを避けたい。そういう時はこの方法が確実である。図は誇張してある。
 .團鷙Δ鬚△院太い副木(そえぎ)を当ててピンを通し、ハンダ付けする。
 副木に食い込むくらい切り込んで、障碍物を回避する。
 A澗里鮴扱舛垢襦

 これを3次元でやるので、できあがりのリンクはあらぬ形をしているが、ちゃんと機能する。

stopper 先台車のリンク支持には大きな利点がある。直線の線路上では、自然に台車が真っ直ぐ向く。即ち線路に載せ易い。問題は、センタピンが無いので、車体を持ち上げると台車が落ちてくることである。今回はそれを解決するために、ひっかかりの爪を作って落ち留め(写真)としている。左右に滑らかに動くことが条件だ。二硫化モリブデンを塗ってあるので、滑らかに作動する。
 復元装置は付けなかった。今のところ、なくても脱線したことは無い。機関車に引張られているというところが大きいのだろう。推進時にも問題はなかった。ただ、設計最小半径未満では脱線する。ガタが無いので当然である。

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2020年01月18日

続々 ”Super 800” 

 テンダ台車からの動力採取は、6軸とした。1軸は構造上、捨てる方が都合が良い。7軸中の6軸であるから、十分だ。ディーゼル電気機関車用に開発したギヤボックスが一番小さいので、それを入れたが、ぎりぎりである。当初はギヤボックスで回転軸を平行に持ち上げる予定であったが、とても入らない。また、横から見えるのは避けたい。既存のテンダの上廻り構造変更も避けるべきなので、チェイン・ドライヴとした。

swing motion link もう一つ、このテンダには特筆すべき工夫がある。先台車の心皿がドライヴ・シャフトに干渉する。即ち、心皿のキングピンを長孔の中で左右動させることは、不可能である。この写真の左の写っていない部分にもう一軸ある。それは先台車の前軸である。キングピンは存在しない。

 設計時にそこに気付いたので、リンク機構による左右の偏倚を採用した。当然、偏倚時に所定の角度の回転をさせる。心皿の代わりに、種類の異なる平板を置いて摩擦を減らし、モリブデングリスを少量塗った。滑らかに偏倚する。

swing motion linkage1 ある程度の回転があれば良く、フランジが確実に触っている必要はないので、そこは割り切った計算にした。むしろ、5軸台車の方が苦しい。本物も後進では脱線し易いが、当然だろう。これは、Low-D採用のおかげで脱線しない。軸の左右動を少し許した。

swing motion linkage2 リンクの長さはS氏に検証してもらった。最近はコンピュータの画面上でシミュレイションが可能だ。この図は、northerns484氏に描き直してもらったものである。リンクは、寸法的にはこの通りだが、実際には台枠に当たる可能性があるのと、絶縁車輪のタイヤに触れるのを確実に避けるために逃げている。下の図は 2800R 上の挙動である。

 この図でわかるように、5軸台車は軸方向の動きを許す構造でないと脱線する。

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2020年01月08日

エアブラシの保守

airbrushfixing airbrush hose Badgerのエアブラシを使っている。もう20年も使っているから、かなり擦り切れている。先日、使おうと思ったら、細いホースの根元が切れていて、空気が音を立てて漏れ出している。仕方がないから、根元で切り、金具を押し出して嵌め直した。3 cmほど短くなったが再生された。

 このエアブラシの欠点の一つは、ボタン(空気を出すボタン)の丸い部分が外れやすいことだ。そのボタンはどこかに行ってしまった。外れていると、指に痛い。

 思い付いて、コンパスの針の締めネジを付けて見たら、ぴったりである。このネジは0-80であろう。1.5 mm位だ。
 これより少し太い1-72というのは1.8 mm程度のネジで、通称1番と言う。1インチにネジ山が72個ある。それより細いのは0-80である。1-72、0-80は、昔からO、HOのパンタグラフのネジとして知られている。それがコンパスにも使われていたとは思わなかった。これより少し太いのは2-56である。2.1 mm程度である。
 このあたりのインチネジは昔はいたるところに使われていたが、我が国では、もう痕跡すらなくなった。しかし、コンピュータ部品には使われているそうだ。

 博物館は元文房具店の店舗を利用している。売れ残りのコンパスの部品などが見つかり、その用途を探していたところだ。ちょうど良かった。のちに別のネジを見付けたがそれはメートルネジで、M1.6 のようだ。要するに、合うものがあるかもしれないという程度の情報である。お役には立たないかもしれない。 

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2019年12月31日

余分のハンダを取る

 ハンダというものは、すべての接続部を満たしていなければならない。隙間があればそこから錆びる。大きな平面に小さな平板を付ける時、側面から半分しかハンダを入れない人は多い。いずれ剥がれて、泣きを見る。完全に付けるべきだ。

 しかもハンダは富士山の裾野のようになだらかに広がる必要がある。そうなっていないと完全に入ったという証拠にはならない。それでは形が良くない。部品の側面が垂直になっていないといけないという部分には、良い方法がある。 
 電線をほぐして銅の心線だけ取り出し、良く捩じっておく。それに塩化亜鉛を少しつけ、炭素棒あるいは熱い鏝で押さえつける。余分のハンダは99%吸い取られて、エッジが出る。あとは磨き砂で磨けば、綺麗になる。
ハンダの色が見える」と言う人は、どうぞお好きなようになされればよい。

 先月号のTMSに名取氏が、コンテスト応募作品の開封時に壊れているものが多いことを紹介している。それはハンダが廻っていないということである。筆者はいかなる部品も、それだけで全体をぶら下げられる程度の強度で付いていることを確認する。こうしておけばまず壊れることが無い。

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2019年11月25日

シリンダブロックの構造

Mr.Sofue's cylinder block 先日steam chestの話題を出したが、どなたからも応答がなかった。少々難しすぎる問題だったようだ。
 答はさておき、現物を見た人が非常に驚いていたので、その写真をお見せする。


cylinder block construction シリンダブロックの前後の板は1 mm厚で、かなり分厚い。そこにシリンダ前カヴァが付いている。これは挽き物を嵌めて取り付けてあるのだが、かしめてある。突っ込んだ部分に穴があいていて、それをポンチで潰して抜けないようにしている。後ろ側も同様である。こうすれば、ハンダ付けの時、部品が取れて来る心配はない。これはプロならではのアイデアである。

 前後の板はスペイサを入れてハンダ付けしてある。しかもスペイサは縦横2枚入っていて、それに外板を巻き付けてハンダ付けしてある。過剰品質ではないのか、という声もあった。これは祖父江製作所の仕様である。シリンダ部は踏んでも壊れないほど堅固だ。ネジで台枠とボイラを締め付けるので、弱いと狂ってしまうからだそうだ。

 今回、外に巻いてある板を外して一部のスペイサを切り取った。そして新たな部品を 6 mmと 3 mmの板を切り抜いて貼り足した。炭素棒でなければこんなハンダ付けはできない。もちろんバラバラにならないように、ブラスのピンを通してかしめてある。さて何を作っているのであろうか。

cylinderblock covering 巻き付けてある板は、0.5 mmの薄板であるが、巻き始め部分に工夫がある。溝に差し込んでハンダで仮留めし、力を入れて巻き付ける。そうしてから全周をハンダ付けしたようだ。こうすれば隙間は無くなるし、強いものができる。これも祖父江氏の手法である。


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2019年11月06日

先台車を作る

 先台車にはLow-Dを使うべきである。振れがなく遊びの少ない車輪が、先台車の車輪として適する。それを台車枠にガタなく付けねばならない
 
619_1393 三点支持にして、ローラ式の復元装置を付ける。台車枠はレーザで切ってある。それを底板と組み合わせてハンダ付けする。大きな穴は固定軸である。そこにフランジ付きのボールベアリングを入れる。旋盤で正確に削った車軸を差し込み、ロックタイトで車軸と固定する。

619_1395 可動する軸は、チャンネル材を切ってはめ込む。その両端には角材を押し込んで、銀ハンダで固める。ガタが出ないように注意して、嵌めあい部分を仕上げる。ボールベアリングは両端に専用工具で彫り込んで嵌め込み、車軸を通す。下から中が見えるので、ロックタイトを付けやすい。これで全くガタの無い先台車が完成する。

 中心部を一点で支える。軸距離が小さいので、上下 0.5 mmも動けば上等だ。これで脱線しない先台車ができた。小さいボールベアリングを仕込んだ中子で、上から押さえる。動輪軸の半分程度の軸重を掛けると、実物のような復元力を持つようになる。


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2019年10月29日

Driver Quartering Jig

MR quartering 崖製作のお手伝いに来て戴いた F氏から、quartering のアイデアが古いModel Railroader '61 10月号 に載っていると、連絡があった。
 
 この手法では、HOの機関車加工を考えている。クランクピンをネジで締める方式でないとできないから、Oスケールでは使えない。クランク角を90度にするよりも、むしろすべての動輪のクランク角を等しくすることに重きを置くべきである。

 抄訳(筆者の注釈付)を載せると、
 ‘偉悗離丱奪ゲージの長さの丸棒を用意する。
  直径はフランジ径よりも大きくなければならない。
  輪心部分は少し凹ませておく。
◆90度にケガキ線を入れる。それを他方にまで延長する。
 反対側にも同じ位相でケガく。
ぁ―住線は、異なるクランク半径の動輪のために余分に描いておくと良い。
ァヾ殍世房崋瓦同じ太さの孔を貫通させる。 
Α‘偉惻憾把衢僂離優弦Δ鮑遒襦動輪軸より太い留めネジを使うこと。
А‘偉惻瓦鮹γ緲僂垢襪燭瓩旅造鯢佞韻襦
  糸鋸、ヤスリで削っても良いが、フライスで削り取るのが楽。
➇ 動輪のクランクピンのネジ孔位置にドリルで穴をあける。 
  ネジ山に当らない太さのドリルを使うこと。
 反対側にも穴をあける。
以降はどうでも良いことだが、孔を貫通させておくと便利(ジグのAB線上の孔を貫通させておくと、目視でクォータリングができるし、動輪にクランク孔がない場合に新たにネジ孔を作るガイドとしてのジグにもなる)とある。

 発案者は機械工らしく、簡単にできるように書いてある。しかし、これを間違いなく作るのは、かなりの腕前と設備とが必要である。ジグは丸棒を切った物を正確に加工して作る。大きなコレットがないと難しそうだ。卓上旋盤の四爪では、切れ目を入れてからは、どうやって掴んでもうまく行かないような気がする。

 腕に自信のある方は挑戦して戴きたい。ここで一番問題となるのは、ネジ穴の中の山の部分にちょうど接触するが、ガタの無い寸法のドリルがあるかということである。僅かに太いものを使って、ネジ山が削れるのは良いかもしれない。その代わりすべての動輪のクランク穴にそのドリルを通しておく必要がある。

 この技法を見ていて感じるのは、垂直に削り、垂直にドリルで孔をあけられる技量を持つまでには、かなりの修練が必要であるということだ。筆者は、二回くらいは失敗せねば、出来ないような気がする。

 このジグを持つと、組立てた動輪の踏面の切削にも使える、とある。その場合は、ジグごとコレットで掴むことになる。あるいは、心を出して掴むための他の工夫が必要である。大きな旋盤でないと難しそうだ。Δ離優犬2本以上あれば、四爪チャックでも掴めるかもしれない。ネジが1本では、片方の端を強く掴むと歪んでしまう可能性がある。

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2019年09月15日

ウォームを外す

gear removing 手伝いに来て下さるクラブ員に聞かれた。
「このモータが安くて強力なので使いたいが、ウォームが外れない。どうしたら外れるものだろうか。」

 最近話題になっているモータであるが、ウォームが固着していて、そう簡単には取れないらしい。今野氏の話を思い出した。ウォームを掴んで旋盤で廻せばよいのだ。

gear removing2 早速、術式を真似してコレットでつかんだ。9 mmのコレットがぴったりだ。深く掴んで、高速で廻し、突っ切りの先を変形させたバイトで削った。コレットは心が出ているので、モータは微動もしない。

gear removing3 軸の手前まで削って、虫眼鏡で見ながら軸に触る寸前までバイトを進めると、ぽろりと取れる。



 後は万力にウォームを銜えて、糸鋸で平行に二回切る。軸に傷を付けないように気を付けて、軸の近くを平行に切るのだ。ペンチで挟んで捻れば取れる。簡単である。
 時間にして5分足らずである。見ている間に出来たので、依頼者はとても喜んだ。読者の皆さんもお試しになると良い。

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2019年09月13日

エポキシ樹脂のリヴェット?

 手が不自由な間、ずいぶん大量の本を読んだ。雑誌もたくさん目を通した。日本を離れていた時期の雑誌は、始めて見るものも多かった。

Train2 ゲージ問題関連の記事があるものだけ、付箋を付けている。その記事を読む時に、ついでに周りの記事も目に入ってしまう。また、気になるところを見つけてしまった。例の連載記事である。
 エポキシ接着剤を多めにつけて部品を貼り付ける時に、中心に孔が開いていると接着剤が裏にはみ出し、ちょうどリヴェットのようになると書いてある。そうすると丈夫に付くのだそうだ。

Train1 冗談でなく、本気で書いているらしい。接着剤は、接着面以外の強度は無いも同然である。その証拠に、接着剤チューブについている固まった部分は、簡単にちぎることができる。


 圧力を掛け、接着剤自身の厚さを薄くすると、最も接着力が強い。塗装も同じである。厚いと良くない。なるべく薄く塗る方が、はがれにくい。本物の電車は、必ず元の塗料を剥がしてから塗る。塗り重ねると弱くなって、剥がれやすくなるのだ。

 この記事では、繰り返し間違ったことが書いてある。普通は叩かれたら、少しぐらいは勉強するものだ。技師と名乗るなら、専門書を開いて熟読すべきだ。眺めているだけではだめである。分からないなら書かないことだ。迷惑する人がいる。

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2019年09月05日

再度 慣性について

 むすこたかなし氏の記事を読まれた感想を、たくさんの方から戴いた。

 Tavata氏が、慣性力は見かけの慣性力はスケールに応じて小さくなるという証明をされている。その通りなのだ。

 模型を作られる方の中で、模型は本物とは違うと考えた上で作られる方は少ない。特に実物から入った方には、縮小したものを作るとそれが実物のように動く、と勘違いしている人が多いように思う。非常に細かいところまで作って悦に入っているのだが、走りが良いものには、あまりお目に掛からない。あちこちの運転会に行って、走りを見ているが、ギィギィゴロゴロと走る車輛が多い。

 小さい模型は惰力を再現させることが難しい。管 晴彦氏のナロゥゲージの小型機関車が走るところを、ご覧になった方もいらっしゃるだろう。素晴らしい慣性を見せてくれる。HOスケールでここまでの慣性を持たせるために、管氏はモータ軸と同軸のフライホィールを増速している。径が小さいので、高回転にする以外、慣性モーメントの効果を大きくする方法はないのだ。

 縮小模型の慣性は小さい。高校1年程度の簡単な物理計算であるから、模型を作る人は一応やっておくべきだろう。
 摩擦を減らし、質量を大きくし、回転数を上げる。この三つを同時に組合せれば、見かけ上の慣性が増大し、素晴らしい走りを再現できるであろう。筆者が考案した、慣性が本物のように有るテンダの試作機は8割がた出来ているが、博物館が開業するまでは完成できない。

 どんなに精密につくられた模型も、よく走る模型には敵わないということは、椙山 満氏のレイアウト上で体感している。HOの世界では、井上 豊氏の作られた模型の走りが群を抜いて良かった。高校生の時にそれを見せて戴き、その時に受けたインパクトが、現在にまでつながっている。

 2月からの罵詈雑言を含めて多量のコメントを受け取っているが、その中に、
「走行性能ばかりを言うのはおかしい。よく走らなくても良いではないか。」
と書いて来た方があった。
 こういう方が 12 mmゲージ陣営の中にどの程度いらっしゃるのかは知らないが、非常にまずいことだと思う。

 管氏のリンクを更新した。完成時の動画はこちらにある。 (9/6/2019)

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2019年09月01日

続 またまた3条ウォーム

 むすこたかなし氏の目は、かなり細かいところまで届いている。インナ・レースは軸と共に廻るが、それがどこかに触ると、とんでもない損失を生み出す。ギヤボックスの内側は微妙に削り、何が起こってもインナレースが触らないように出来ていることを、見抜かれた。素晴らしい注意力である。これは、今まであまり誰も指摘しなかったことなのだ。

 今まで、いろんな方が作ったギヤボックスを見て来た。せっかくボールベアリングを使っているのに、ここが触っている例が多かったのだ。ウォームギヤは大きなスラストが発生するので、触ればそこで発生する摩擦損失は大きい。

 このギヤボックスは、ディーゼル電気機関車用に開発された。以前のΦ2.5軸系列のウォームギヤは、ロストワックス鋳物のギヤボックスを用いていた。鋳物は精度が出にくいので追加工をしたが、そのばらつきは無視できず、調整に時間が掛かった。それに要する時間がもったいなかった。噛み合わせ調整に時間を掛けるというのは無駄以外の何物でもない。
 だからギヤボックスを精密機械加工で作ろうとしたのだ。歯車の残数も少なかったので、思い切って完全な新規生産にした。

 潤滑はモリブデン・グリースをほんのわずか塗ってあるだけである。沢山入れると安心する人は多いが、決して褒められない。撹拌損失を増大させているだけである。歯の当たる部分にだけ塗ってある。互いに素であると、最初は渋くても、1分も運転すると極めてよくなじんでくる。もしこれが 30:2 だったりすると、ゴロゴロ感から逃れられないことがある。

 新製品の開発は成功で、時間の節約ができた。動力化する機関車の数がかなり多いので、多少の出費で省力化ができれば有難かった。しかも動力性能が完全に同一になるので、重連の時に全く問題がない。当時は博物館の構想すらなかった時代であったが、思い切って作ったのは大成功であった。

 歯車はたくさん作ったので、今後のギヤボックスは3Dプリンタで作ってみたい。ナイロン12で作るものなら、油に漬けても変化がないことが分かった。これについてはミシン油浸けで3か月間日光に当てた試験をしてある。

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2019年08月28日

片持ち式ロンビック

 中澤氏の片軸の支持方式が話題を呼んでいる。いくつか問い合わせを戴いた。

 筆者の作例は、ひたすら頑丈さを求めている。角棒を支持板にネジ留めし、それに角棒を曲げたものをハンダ付けし、ステンレス軸の細いところを押さえている。たまたまこの軸はテーパを付けているので、細い部分を保持すれば、摩擦は少ない。ほんのちょっとモリブデン・グリースを付ければ、全く摩擦を感じないほど滑らかである。ステンレス軸を高精度の旋盤で挽いたものとブラスとの組合せは、下手なボールベアリングに勝るとも劣らない。
 ほんの少し、ガタを付けてハンダ付けし、軽く押しつけてガタを減らした。

 中澤氏は洋白板を曲げて作られた。あとで、微妙な曲げによって高さ調整、ガタ調整をされているようだ。

 電車のような2台車の車輛は、ボルスタが傾いても構わない。お互いに相手の台車に載っているので転ばないからだ。中澤氏は台車ごとに完結させて、それを車体全体の等角逆捻りメカニズムと連動させるおつもりのようだ。伊藤剛氏はその方式で電車を作られている。


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2019年08月26日

続 中澤 寛氏の記事

 中澤氏のお手紙によると、先回の2番目の写真の支点は、軸中心の高さになるようにされたそうだ。それができる構造ならば、わざわざ外した位置にする必要はないので、それが正解である。高さの微調整ができるのは良い方法だ。

 戴いたお手紙をそのまま掲出する。

nakazawa5nakazawa4 参考までに伝動台車の別の不掲載画像を添付させていただきます。

 ピンのある内側の底板前方とギヤボックスはM1.4ネジで留めていますが、密着させておらずフリーにしています。

 なお、外側の台車枠は吊り下げただけのいわばダミーで、車軸の先端は軸受パーツを嵌める位置のガバガバの穴に浮いています。


 軸孔を緩くして外側台枠は形だけというのは、うまい解決法である。中澤氏は数多くの電車を作られているので、その中での「現場知」としてこのような方法を会得されたのであろう。このような素晴らしい記事を、不完全な形でしか読めないというのは、読者にとって極めて不幸な状態である。

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2019年08月11日

O gauge

O gauge (2) この写真をお見せするのを忘れていた。
 これはNMRAの Oスケールの建築限界ゲージである。これを入手した時は、NMRAが現在のようなステンレス板打ち抜きのゲージを売っていなかったので、フロリダの知り合いが作ったのを買った。高かった。30年ほど前、20ドルもした。今の感覚だと5千円以上の感じである。完全な手作り品である。おそらく50枚くらい重ねて締め、フライス盤で削り落としたのだろう。正確にできている。

 40ミルのブラス板製である。40ミルというのは、40/1000 インチのことであり、
1.02 mm位だ。

O gauge 中心の穴に棒を取り付け、それを持って限界を調べる。隣に大きめの車輛を置くと、すれ違いの様子もわかる。
 筆者のアメリカの友人は、いわゆる”オイラン車”を作った。柔らかい針金を車体から突き出させ、それを一周させて、曲がりがないか確認する。しかし、どこで曲がったかを突き止めるのは、なかなか大変であった。今なら、無線で送信させることもできるだろう。簡単にするなら、針金付近に集音マイクを付けておいて、アンプで増幅し、積んであるスピーカから音を出させると良い。触った瞬間にガリガリとか、バリバリとかの音が聞こえるかもしれない。

 レイアウトを作るには不可欠の道具であるが、日本でこれを持っている人は少ないと感じる。線路敷設用ゲージすら持っていない人が多いのだから、当然ではある。

 このゲージによって、走行する車輛がO scaleであることが定義される。土屋 巖氏はかなりの数の1/24サイズ(1/2インチスケール)、32mmゲージの軽便車輌を遺された。すべて、スクラッチ・ビルトである。それらは平坦な、何もないヤード上を問題なく走行するが、橋やトンネル、駅のプラットフォームは、当然ながら、通過できない。車輛限界がスケールを決めているのである。同様にOn30はHOのレイアウトを走らない
 1/80日本型16.5 mmゲージの車輛はアメリカ型1/87.1のレイアウトを問題なく走る。これは50年前から椙山 満氏のレイアウトで見ている。単純なことである。

 最近、HOのポイントが入手困難になったという話を聞いた。
「自分で作ればいかがですか。」
と提案すると、
「そんな難しいことはできない。」
と言う。決して難しくはない。
 筆者は高校生のころから自作のポイントで遊んでいる。確かに尖端レイルを正確に削り落とすのは、機械を使わないと難しいが、そこまでの正確さが要求されることでもない。線路ゲージさえあれば簡単である。
 彼は今度フライス盤を使いにやって来るそうだ。訳なくできるから、きっと驚くだろう。エポキシ基盤の枕木も用意しておこう。NMRAのHOゲージを持ってくるのを忘れないように念を押した。

dda40x at 08:11コメント(0) この記事をクリップ!
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