ちょっとした工夫

2019年11月06日

先台車を作る

 先台車にはLow-Dを使うべきである。振れがなく遊びの少ない車輪が、先台車の車輪として適する。それを台車枠にガタなく付けねばならない
 
619_1393 三点支持にして、ローラ式の復元装置を付ける。台車枠はレーザで切ってある。それを底板と組み合わせてハンダ付けする。大きな穴は固定軸である。そこにフランジ付きのボールベアリングを入れる。旋盤で正確に削った車軸を差し込み、ロックタイトで車軸と固定する。

619_1395 可動する軸は、チャンネル材を切ってはめ込む。その両端には角材を押し込んで、銀ハンダで固める。ガタが出ないように注意して、嵌めあい部分を仕上げる。ボールベアリングは両端に専用工具で彫り込んで嵌め込み、車軸を通す。下から中が見えるので、ロックタイトを付けやすい。これで全くガタの無い先台車が完成する。

 中心部を一点で支える。軸距離が小さいので、上下 0.5 mmも動けば上等だ。これで脱線しない先台車ができた。小さいボールベアリングを仕込んだ中子で、上から押さえる。動輪軸の半分程度の軸重を掛けると、実物のような復元力を持つようになる。


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2019年10月29日

Driver Quartering Jig

MR quartering 崖製作のお手伝いに来て戴いた F氏から、quartering のアイデアが古いModel Railroader '61 10月号 に載っていると、連絡があった。
 
 この手法では、HOの機関車加工を考えている。クランクピンをネジで締める方式でないとできないから、Oスケールでは使えない。クランク角を90度にするよりも、むしろすべての動輪のクランク角を等しくすることに重きを置くべきである。

 抄訳(筆者の注釈付)を載せると、
 ‘偉悗離丱奪ゲージの長さの丸棒を用意する。
  直径はフランジ径よりも大きくなければならない。
  輪心部分は少し凹ませておく。
◆90度にケガキ線を入れる。それを他方にまで延長する。
 反対側にも同じ位相でケガく。
ぁ―住線は、異なるクランク半径の動輪のために余分に描いておくと良い。
ァヾ殍世房崋瓦同じ太さの孔を貫通させる。 
Α‘偉惻憾把衢僂離優弦Δ鮑遒襦動輪軸より太い留めネジを使うこと。
А‘偉惻瓦鮹γ緲僂垢襪燭瓩旅造鯢佞韻襦
  糸鋸、ヤスリで削っても良いが、フライスで削り取るのが楽。
➇ 動輪のクランクピンのネジ孔位置にドリルで穴をあける。 
  ネジ山に当らない太さのドリルを使うこと。
 反対側にも穴をあける。
以降はどうでも良いことだが、孔を貫通させておくと便利(ジグのAB線上の孔を貫通させておくと、目視でクォータリングができるし、動輪にクランク孔がない場合に新たにネジ孔を作るガイドとしてのジグにもなる)とある。

 発案者は機械工らしく、簡単にできるように書いてある。しかし、これを間違いなく作るのは、かなりの腕前と設備とが必要である。ジグは丸棒を切った物を正確に加工して作る。大きなコレットがないと難しそうだ。卓上旋盤の四爪では、切れ目を入れてからは、どうやって掴んでもうまく行かないような気がする。

 腕に自信のある方は挑戦して戴きたい。ここで一番問題となるのは、ネジ穴の中の山の部分にちょうど接触するが、ガタの無い寸法のドリルがあるかということである。僅かに太いものを使って、ネジ山が削れるのは良いかもしれない。その代わりすべての動輪のクランク穴にそのドリルを通しておく必要がある。

 この技法を見ていて感じるのは、垂直に削り、垂直にドリルで孔をあけられる技量を持つまでには、かなりの修練が必要であるということだ。筆者は、二回くらいは失敗せねば、出来ないような気がする。

 このジグを持つと、組立てた動輪の踏面の切削にも使える、とある。その場合は、ジグごとコレットで掴むことになる。あるいは、心を出して掴むための他の工夫が必要である。大きな旋盤でないと難しそうだ。Δ離優犬2本以上あれば、四爪チャックでも掴めるかもしれない。ネジが1本では、片方の端を強く掴むと歪んでしまう可能性がある。

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2019年09月15日

ウォームを外す

gear removing 手伝いに来て下さるクラブ員に聞かれた。
「このモータが安くて強力なので使いたいが、ウォームが外れない。どうしたら外れるものだろうか。」

 最近話題になっているモータであるが、ウォームが固着していて、そう簡単には取れないらしい。今野氏の話を思い出した。ウォームを掴んで旋盤で廻せばよいのだ。

gear removing2 早速、術式を真似してコレットでつかんだ。9 mmのコレットがぴったりだ。深く掴んで、高速で廻し、突っ切りの先を変形させたバイトで削った。コレットは心が出ているので、モータは微動もしない。

gear removing3 軸の手前まで削って、虫眼鏡で見ながら軸に触る寸前までバイトを進めると、ぽろりと取れる。



 後は万力にウォームを銜えて、糸鋸で平行に二回切る。軸に傷を付けないように気を付けて、軸の近くを平行に切るのだ。ペンチで挟んで捻れば取れる。簡単である。
 時間にして5分足らずである。見ている間に出来たので、依頼者はとても喜んだ。読者の皆さんもお試しになると良い。

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2019年09月13日

エポキシ樹脂のリヴェット?

 手が不自由な間、ずいぶん大量の本を読んだ。雑誌もたくさん目を通した。日本を離れていた時期の雑誌は、始めて見るものも多かった。

Train2 ゲージ問題関連の記事があるものだけ、付箋を付けている。その記事を読む時に、ついでに周りの記事も目に入ってしまう。また、気になるところを見つけてしまった。例の連載記事である。
 エポキシ接着剤を多めにつけて部品を貼り付ける時に、中心に孔が開いていると接着剤が裏にはみ出し、ちょうどリヴェットのようになると書いてある。そうすると丈夫に付くのだそうだ。

Train1 冗談でなく、本気で書いているらしい。接着剤は、接着面以外の強度は無いも同然である。その証拠に、接着剤チューブについている固まった部分は、簡単にちぎることができる。


 圧力を掛け、接着剤自身の厚さを薄くすると、最も接着力が強い。塗装も同じである。厚いと良くない。なるべく薄く塗る方が、はがれにくい。本物の電車は、必ず元の塗料を剥がしてから塗る。塗り重ねると弱くなって、剥がれやすくなるのだ。

 この記事では、繰り返し間違ったことが書いてある。普通は叩かれたら、少しぐらいは勉強するものだ。技師と名乗るなら、専門書を開いて熟読すべきだ。眺めているだけではだめである。分からないなら書かないことだ。迷惑する人がいる。

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2019年09月05日

再度 慣性について

 むすこたかなし氏の記事を読まれた感想を、たくさんの方から戴いた。

 Tavata氏が、慣性力は見かけの慣性力はスケールに応じて小さくなるという証明をされている。その通りなのだ。

 模型を作られる方の中で、模型は本物とは違うと考えた上で作られる方は少ない。特に実物から入った方には、縮小したものを作るとそれが実物のように動く、と勘違いしている人が多いように思う。非常に細かいところまで作って悦に入っているのだが、走りが良いものには、あまりお目に掛からない。あちこちの運転会に行って、走りを見ているが、ギィギィゴロゴロと走る車輛が多い。

 小さい模型は惰力を再現させることが難しい。管 晴彦氏のナロゥゲージの小型機関車が走るところを、ご覧になった方もいらっしゃるだろう。素晴らしい慣性を見せてくれる。HOスケールでここまでの慣性を持たせるために、管氏はモータ軸と同軸のフライホィールを増速している。径が小さいので、高回転にする以外、慣性モーメントの効果を大きくする方法はないのだ。

 縮小模型の慣性は小さい。高校1年程度の簡単な物理計算であるから、模型を作る人は一応やっておくべきだろう。
 摩擦を減らし、質量を大きくし、回転数を上げる。この三つを同時に組合せれば、見かけ上の慣性が増大し、素晴らしい走りを再現できるであろう。筆者が考案した、慣性が本物のように有るテンダの試作機は8割がた出来ているが、博物館が開業するまでは完成できない。

 どんなに精密につくられた模型も、よく走る模型には敵わないということは、椙山 満氏のレイアウト上で体感している。HOの世界では、井上 豊氏の作られた模型の走りが群を抜いて良かった。高校生の時にそれを見せて戴き、その時に受けたインパクトが、現在にまでつながっている。

 2月からの罵詈雑言を含めて多量のコメントを受け取っているが、その中に、
「走行性能ばかりを言うのはおかしい。よく走らなくても良いではないか。」
と書いて来た方があった。
 こういう方が 12 mmゲージ陣営の中にどの程度いらっしゃるのかは知らないが、非常にまずいことだと思う。

 管氏のリンクを更新した。完成時の動画はこちらにある。 (9/6/2019)

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2019年09月01日

続 またまた3条ウォーム

 むすこたかなし氏の目は、かなり細かいところまで届いている。インナ・レースは軸と共に廻るが、それがどこかに触ると、とんでもない損失を生み出す。ギヤボックスの内側は微妙に削り、何が起こってもインナレースが触らないように出来ていることを、見抜かれた。素晴らしい注意力である。これは、今まであまり誰も指摘しなかったことなのだ。

 今まで、いろんな方が作ったギヤボックスを見て来た。せっかくボールベアリングを使っているのに、ここが触っている例が多かったのだ。ウォームギヤは大きなスラストが発生するので、触ればそこで発生する摩擦損失は大きい。

 このギヤボックスは、ディーゼル電気機関車用に開発された。以前のΦ2.5軸系列のウォームギヤは、ロストワックス鋳物のギヤボックスを用いていた。鋳物は精度が出にくいので追加工をしたが、そのばらつきは無視できず、調整に時間が掛かった。それに要する時間がもったいなかった。噛み合わせ調整に時間を掛けるというのは無駄以外の何物でもない。
 だからギヤボックスを精密機械加工で作ろうとしたのだ。歯車の残数も少なかったので、思い切って完全な新規生産にした。

 潤滑はモリブデン・グリースをほんのわずか塗ってあるだけである。沢山入れると安心する人は多いが、決して褒められない。撹拌損失を増大させているだけである。歯の当たる部分にだけ塗ってある。互いに素であると、最初は渋くても、1分も運転すると極めてよくなじんでくる。もしこれが 30:2 だったりすると、ゴロゴロ感から逃れられないことがある。

 新製品の開発は成功で、時間の節約ができた。動力化する機関車の数がかなり多いので、多少の出費で省力化ができれば有難かった。しかも動力性能が完全に同一になるので、重連の時に全く問題がない。当時は博物館の構想すらなかった時代であったが、思い切って作ったのは大成功であった。

 歯車はたくさん作ったので、今後のギヤボックスは3Dプリンタで作ってみたい。ナイロン12で作るものなら、油に漬けても変化がないことが分かった。これについてはミシン油浸けで3か月間日光に当てた試験をしてある。

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2019年08月28日

片持ち式ロンビック

 中澤氏の片軸の支持方式が話題を呼んでいる。いくつか問い合わせを戴いた。

 筆者の作例は、ひたすら頑丈さを求めている。角棒を支持板にネジ留めし、それに角棒を曲げたものをハンダ付けし、ステンレス軸の細いところを押さえている。たまたまこの軸はテーパを付けているので、細い部分を保持すれば、摩擦は少ない。ほんのちょっとモリブデン・グリースを付ければ、全く摩擦を感じないほど滑らかである。ステンレス軸を高精度の旋盤で挽いたものとブラスとの組合せは、下手なボールベアリングに勝るとも劣らない。
 ほんの少し、ガタを付けてハンダ付けし、軽く押しつけてガタを減らした。

 中澤氏は洋白板を曲げて作られた。あとで、微妙な曲げによって高さ調整、ガタ調整をされているようだ。

 電車のような2台車の車輛は、ボルスタが傾いても構わない。お互いに相手の台車に載っているので転ばないからだ。中澤氏は台車ごとに完結させて、それを車体全体の等角逆捻りメカニズムと連動させるおつもりのようだ。伊藤剛氏はその方式で電車を作られている。


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2019年08月26日

続 中澤 寛氏の記事

 中澤氏のお手紙によると、先回の2番目の写真の支点は、軸中心の高さになるようにされたそうだ。それができる構造ならば、わざわざ外した位置にする必要はないので、それが正解である。高さの微調整ができるのは良い方法だ。

 戴いたお手紙をそのまま掲出する。

nakazawa5nakazawa4 参考までに伝動台車の別の不掲載画像を添付させていただきます。

 ピンのある内側の底板前方とギヤボックスはM1.4ネジで留めていますが、密着させておらずフリーにしています。

 なお、外側の台車枠は吊り下げただけのいわばダミーで、車軸の先端は軸受パーツを嵌める位置のガバガバの穴に浮いています。


 軸孔を緩くして外側台枠は形だけというのは、うまい解決法である。中澤氏は数多くの電車を作られているので、その中での「現場知」としてこのような方法を会得されたのであろう。このような素晴らしい記事を、不完全な形でしか読めないというのは、読者にとって極めて不幸な状態である。

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2019年08月11日

O gauge

O gauge (2) この写真をお見せするのを忘れていた。
 これはNMRAの Oスケールの建築限界ゲージである。これを入手した時は、NMRAが現在のようなステンレス板打ち抜きのゲージを売っていなかったので、フロリダの知り合いが作ったのを買った。高かった。30年ほど前、20ドルもした。今の感覚だと5千円以上の感じである。完全な手作り品である。おそらく50枚くらい重ねて締め、フライス盤で削り落としたのだろう。正確にできている。

 40ミルのブラス板製である。40ミルというのは、40/1000 インチのことであり、
1.02 mm位だ。

O gauge 中心の穴に棒を取り付け、それを持って限界を調べる。隣に大きめの車輛を置くと、すれ違いの様子もわかる。
 筆者のアメリカの友人は、いわゆる”オイラン車”を作った。柔らかい針金を車体から突き出させ、それを一周させて、曲がりがないか確認する。しかし、どこで曲がったかを突き止めるのは、なかなか大変であった。今なら、無線で送信させることもできるだろう。簡単にするなら、針金付近に集音マイクを付けておいて、アンプで増幅し、積んであるスピーカから音を出させると良い。触った瞬間にガリガリとか、バリバリとかの音が聞こえるかもしれない。

 レイアウトを作るには不可欠の道具であるが、日本でこれを持っている人は少ないと感じる。線路敷設用ゲージすら持っていない人が多いのだから、当然ではある。

 このゲージによって、走行する車輛がO scaleであることが定義される。土屋 巖氏はかなりの数の1/24サイズ(1/2インチスケール)、32mmゲージの軽便車輌を遺された。すべて、スクラッチ・ビルトである。それらは平坦な、何もないヤード上を問題なく走行するが、橋やトンネル、駅のプラットフォームは、当然ながら、通過できない。車輛限界がスケールを決めているのである。同様にOn30はHOのレイアウトを走らない
 1/80日本型16.5 mmゲージの車輛はアメリカ型1/87.1のレイアウトを問題なく走る。これは50年前から椙山 満氏のレイアウトで見ている。単純なことである。

 最近、HOのポイントが入手困難になったという話を聞いた。
「自分で作ればいかがですか。」
と提案すると、
「そんな難しいことはできない。」
と言う。決して難しくはない。
 筆者は高校生のころから自作のポイントで遊んでいる。確かに尖端レイルを正確に削り落とすのは、機械を使わないと難しいが、そこまでの正確さが要求されることでもない。線路ゲージさえあれば簡単である。
 彼は今度フライス盤を使いにやって来るそうだ。訳なくできるから、きっと驚くだろう。エポキシ基盤の枕木も用意しておこう。NMRAのHOゲージを持ってくるのを忘れないように念を押した。

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2019年07月04日

炭素ディスクによるハンダ付け

 しばらく前の実演の写真を、MS氏から戴いた。炭素棒ハンダ付けの実演をせよ、とのことで、機材一式を持って出かけた。大きなトランスが入っているので、それを2つも入れると20 kgもあった。大きなスーツケースを牽いて行ったのだ。
 いつも手伝って戴くDr.Yも、自作のトランスを持って来られたので、それもお見せした。二次側の線は熱くなるので、ビニル被覆はいずれ可塑剤が昇華し、ぽろぽろと割れて来る。テフロン線に更新するようにお勧めした。一週間後にお会いしたら、直ちに巻き替えられたそうだ。

 伊藤 剛氏製作の炭素棒ハンダ付け機も、供覧するべく持って行った。非常にコンパクトに作られ、独立した足踏みスウィッチが無いにもかかわらず、1次側の断続が自由にできる優れものであった。
 ケースの蓋は蝶番で開くが、その陰にマイクロスウィッチが隠れている。蓋に触れると On になる工夫だ。実に素晴らしい工夫で、誰しも驚く。足元にケースを置いて、蓋を軽く押さえれば、On になるのだ。

炭素ディスク 炭素棒ハンダ付けの現場を見たことがある人は日本では少なく、かなりの方が熱心にご覧になった。太い材料(例えば 4 x 5 mmの角棒で出来たテンダの端梁)にステップを取り付けるのは、普通のコテではできないが、炭素棒なら3秒で完了だ。分厚い鋳物(Φ30、5mm厚)に小さなロスト部品を付けるのも5秒でOKである。外す時は。炭素棒で出来たピンセット状のもので挟めば、すぐ取れる。持ったまま、ずらして付けることも容易だ。

 客車側板のシル、ヘッダを隙間なく付けるのは、熟練がいる。プロは大きなコテの温度を最高に上げ、ジグで押さえ付けた細い帯板を一気に付ける。これはアマチュアには、かなり難しい。もたもたしていると、熱が板の方に廻って、全体が反る。こうなると修復不可能だ。
 帯板にハンダを塗り付け、良く磨いた側板にはフラックスを塗る。そしてこの炭素ディスクを当てて毎秒 2 cmほどで移動させると、全く隙間なく、完璧なハンダ付けができる。ハンダが両側に僅かに光って見える、理想的な状態である。

carbon disk 炭素ディスクは仙台の今野氏に挽いて戴いたものだ。中心部の金属が炭素ディスクとよく篏合し、この部分の接触抵抗が小さいことが肝要である。そうでないとこの部分が発熱し、燃えてしまう。
 アメリカで見たのは炭素ローラで、直径より幅が広いものであった。工業用途のもので、電流は100 Aも流れるそうだ。極端に太い電線が付いていた。何を付けるのに使ったのだろう。


 今度は右手の手術で入院しているので、しばらく休載する。左手は、お陰様でとても調子が良い。こんな事なら、もっと早く手術を受ければ良かったと後悔している。ボタンを嵌めたり、靴下が普通に履ける生活を、久しぶりに体験した。ここ何年かは、ヤットコでボタンを嵌めていたのだ。

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2019年05月09日

UP cabooses 

UP CaboosesUP caboose 完成しているカブースを塗った。すぐできると思ったが、意外に手間がかかるもので、6日かかった。左端が今回完成の車輛で、あとは以前から塗ってあった。

 例の red car (オキサイド・レッドの車輛)は台車が仮台車であって、高さが合っていない。しばらく待てば、wood beam trucks(木製台枠の台車)が3Dプリンタで出来て来るから、楽しみにしている。台車は金属製であると、ショートの心配がある。機関車でない限り、台車はデルリン製かナイロン製に限ると思う。これらの材料は非常に安定で、100年以上は持つだろう。ステンレス、モリブデン・グリースとの相性も良い。

 その次は先回お見せしたもので、塗装の修整をしてある。狭い範囲の修整なら、マスクして細い刷毛塗りで十分である。 台車は3Dプリンタで作ったものだ。 

 一番右の台車は、Lobaugh の砲金砂鋳物を糸鋸で抜いて、バネを押し込んだものである。艶の無い黒に塗ってあるので気にならない。
 彩度が高すぎる。車体に極めて薄いグレイを全体に吹けば、彩度を抑えられる。この手はよくやる。

 右の二輌は同一の安達製のものなのだが、窓配置が異なる。実は左が正解なのだが、工場で間違えたものが、検査に通ってしまったのだ。当時はこのようなミスは多々ある。車体の反対側の窓配置は、さらに大きな間違いがある。深く追及してはいけない。資料がない時代だったのだ。
 
 Glazing(窓ガラス)が入れてないものがある。アクリルの薄板があるので早急に貼ってしまおう。
 
 UPのカブースは未組も含めてあと4輌ある。2輌はスクラッチから作った物で、1輌は不可思議な完成品を組み直したものである。もう1輌は上記の窓が異なるものと同じ時期の製品だが、一部バラしてかなり加工してある。
 UPのカブースだけでも早く形にしておきたい。右端のNYCはパイオニア製だと思う。出来が良くないのだ。ハンダが廻っていない。

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2019年05月07日

Peabody Coal

PEABODY 10年以上前から半完成だったホッパ貨車を、5輌完成させた。1月ほど外に放り出して酸化被膜を付け、さらにプライマを塗った。黄色の塗料を塗り、床上部とホッパ下を黒く塗った。細かい部分の塗分けは大変なので、境目の面倒なところは細い筆で塗ってしまう。そうしておいて、マスキングを大きく簡単に施し、黒を吹き付けた。いつもやる手である。この方法を採用すると、マスキングの手間を1/10にすることができる。一輌ずつ手にとって眺め廻すものではないので、十分である。
 
 Peabodyの意味は、さやの中に一つだけ入っている大きな豆である、と昔聞いたが、最近の辞書には載っていないようだ。そういう種類の豆があるらしい。ここでは人名である。発音は、ピーバディ で石炭を掘る会社だ。石炭は燃やして電力にして売っていることもある。アリゾナ州の砂漠の中に突然出現する電化された貨物鉄道もPeabodyで、昔Amtrakで使われていた電気機関車がホッパ車をたくさんつないで走っているのに出くわす。30年以上前、それを見て狐につままれたような気がした。炭鉱で掘って数十マイル離れた町の発電所に運んでいるのだ。その鉄道は作られた電気で動いているという訳である。この発電所は有名な観光地の Antelope Canyon のすぐ脇にある。
 そこは期待して行くと、拍子抜けするほど狭い範囲である。これらの写真で見るのがすべてである。全体を眺める場所は無い。雨水で削れた砂岩の景勝である。徐々に削れてなくなっていくのだろう。雨の降りそうなときは進入が禁止される。過去に沢山の人が鉄砲水で死んでいるのだ。

 Champのディカルは一つしか手に入らなかったので、Dr.Yに複製して戴いた。番号はでたらめである。石炭はいつも通り、スポンジである。
 目立つ貨車群である。高校生の時から好きな塗り分けであった。

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2019年04月23日

ハンダ付けの補助具

soldering aid モハメイド氏の記事を見て、「オッ」と思わず声が出てしまった。この補助具は筆者も同様のものを持っている。30年以上前に作ったものだ。何度かの修整を経験しているが、捨てがたいものだ。いつも重宝している。


passemgercar errection 客車や貨車を組むときに使う。手前の一部は少し持ち上がっている。それはこの写真のように、裾がすぼまっている車輌があるからである。この部分は焦げたりして傷むから、時々ノミで剥がしとって、新しい板に交換する。この部分の無いものも作った。

 最近は炭素棒の出番が多いので、焦げる回数は減った。

 ハンダゴテを仕舞ってある棚を探すと、いろいろなものがあるので、ついでに紹介する。
square 直角ジグである。左は伊藤 剛氏のところから来たもので、井上大令氏の作られたものである。今では使ってはいけない石綿板が張ってある。ガス火で加熱する時に使う。これはよくある形だが、右は筆者の自作した貫通型である。45年ほど前に作った。
 アメリカの古い雑誌からアイデアを頂戴した。1950年代のModel Railroad Craftsman誌だったと思う。下の板はジグの下の隙間を貫通している。縦の板はクランプで軽く留めて倒れないようにしている。大きなコテで、さっと一息で付けると、傾かない。ハンダが片方だけにあると、それが縮んで傾くのだ。ハンダが浸み込んで、向こう側にも等量なければならない。これは祖父江氏から教わった。向こう側に出したくない事情があるときは、少し向こうに倒しておくと、固まった時に垂直になる。
 その角度はと聞くと、
「そんなもなぁ、メケンだよぉ。」
とのことだった。メケンとは目で見て、見当をつけることである。

 5月19日にあるKKCの展示会で、ハンダ付けの講習会の講師をせよ、と言われている。何かリクエストがあれば応じたい。炭素棒を主題としてやってくれ、とのことだ。


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2019年04月19日

続 3Dプリンタによる台車製作

national Nationalという会社の台車である。丸穴が面白い。二つの穴の中にもバネが仕込まれている。組立時に、どうやってバネを仕込むのかは興味深い。
 ボルスタ中にも大きなバネがあり、バネの中心は位置は十文字配置である。下側のバネ座は台車枠だけであって、spring plank(バネ床)がない。当時のカタログを見ると、部品の少なさ、すなわち軽量化を謳っている。軽くなった分、積荷を増やして収入を増すことができる、と述べている。軸箱を分解すると、簡単に車軸を外せるという図も添えてある。要するに、車軸が無いと、左右の枠は水平面で自由にひねれるらしい。台車枠と枕梁との摺動する部分いわゆる摺り板がないからだ。ということはバネの横剛性だけで載っていることなのだろうか。バネ座が深いのは、そう考えれば理解できる。self-centering という名称もそれを示しているのだろう。
 この台車はよく写真集で見るのだが、模型の製品としてはまずお目に掛からない。1940年代の貨車によく使われている。いくつか該当する車輛があるので、台車を交換するつもりである。

bet_cb カブース用の重ね板バネつきのベッテンドルフ台車である。揺れ枕内蔵のSwing Motion Truck である。人が乗る車輛は重ね板バネのダンピングが効いていないと、乗っている人がどうかなってしまう、ということだ。
 昔コンテナ列車にコキフが付いていた。車掌室側の台車だけをダンピングのよく効いた台車に履き替えていたという話を聞いた。当初の台車では車掌が参ってしまったらしい。この件について、詳しい情報をお持ちの方はお知らせ願いたい。 

 今回の試作品だけで10輌のカブースが正しい台車になる。

追記 
 うっかりして、古い原稿をそのまま出してしまったので、完全に新しいものと差し替えた。申し訳ない。


 コキフについてはお二方から情報を寄せて戴いている。
brass_solder氏から、 
 コキフ50000型は50000-50063まで前後ともコキ50000型と同じTR223を履きましたが、乗り心地の問題があり50064以降は車掌室側をバネの柔かいTR223Aに変更したそうです。その後やはり乗り心地が悪かったので、前後とも空気バネのTR203Sに交換したそうです。鉄道ピクトリアルNo.540 1991-3 に解説がありました。


kuma氏からは、
今回話題の件と関係があるかはわかりませんが、乗り心地の悪い車種があった様です。ここに記事があります。

 これらの記事を見る限り、ダンピングに言及しているわけではない。お二方には感謝する。 



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2019年04月15日

続々 遠藤機械の切断機をカスタマイズする

 大半の方は、そのまま組んでドンピシャリであったそうだ。シムを挟んで調節が必要であった方は数人である。下刃とテイブルが同じ高さでないと、ワークを滑らせたときに気分が良くない。

 U氏は自作された送り装置を付けられた。天板を外せば原型が現れるので、以前と同じ形で送り装置が使えるそうだ。この送り装置には筆者も興味があり、何回も図面を描いてはいるが、まだ形にはなっていない。
 いよいよ作りたいと思い、リニアガイドを入手した。送りネジは旋盤の心押台から外した左ネジを持っているので、それを使うつもりだ。その節にはU氏に助けて戴いたことを、感謝する。

lighting 切刃の真上から光を当てて、ケガキ線を見たい。いつも専用の照明の下で切っていたが、あまり明るいとは言えない状態であった。それを見ていた友人のN氏が、
「ほら、これを作ったから使ってみてよ。」
と持って来て下さった。それは電池式のLEDライトである。バァ・ライトと電池箱をそれぞれ両面接着テープで留めれば良い。実によく光が廻って、切り間違いはなくなる。N氏のアイデアと実行力は素晴らしい。感謝する。

 当初の予定では昨年11月末に納品の予定であったが、かなり遅れてしまった。その間にいくつかのキャンセルが出て、それを処分したいことをクラブ内で告知したら、意外にもいくつか追加注文が来てしまった。少数を再生産することになったので、このブログの読者からも注文を受け付ける。
 希望者は手持ちの機械の情報を知らされたい。
‖臑里旅愼年および価格
⓶脚の上面から下刃の上面までの高さ(43 mmが多い)
Bの間隔(270 mmと330 mmがある)
げ漆呂良(切断面から手前の角までの距離)
をコメントで「私信」としてお知らせ願う。他に漏らしたりはしない。
納期は2か月、価格は11,000円前後だ。

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2019年04月13日

続 遠藤機械の切断機をカスタマイズする 

underside 仕上げ無しで良いということは、工賃を抑えることができるわけだ。当初はフライスで仕上げることにしていたが、その必要は全く無くなった。ネジ孔を用意するだけで完成だ。その加工は外注した。さすがにM10のネジを切るのは、筆者の工房では無理だ。
 レーザ加工の工場の紹介でネジを切ってもらったが、安くはなかった。止り穴の場合は切り粉を出すのに苦労するので、横から孔をあけておいて、排出した。これは良いアイデアだと、加工工場で評判が良かった。

table top テイブルは二系統を一つにまとめたので、余分な穴が開いているが、それはお許し願った。



 テイブルの奥行は、下刃の手前側にぴったりくっつけたいところだったが、下刃の奥行きにもかなりのばらつきがあることが判った。最大のものに合わせたので、最大1 mm強の隙間ができる。気になる人がいるかもしれない、と危惧したが、今のところ苦情はない。黒皮の普通鋼板であるが、剛性があって平面度が良い。下刃との高さを合わせると、極めて作業性が良くなる。

shear table 直角定規(切断ガイド)は普通鋼板のつもりだったが、それでは曲がり易かった。用をなさないことが判ったので、高級な刃物用ステンレスを使用した。そのままでも包丁になる材料だ。熱を加えると極端に硬くなるので、下手に加工すると収拾がつかなくなる。水で冷やしながら砥石で磨る程度だ。

rule 矢印の部分は、機械の寸法のばらつきによって当たることもあるらしく、その場合は少し削らねばならない。M10を仮締めして、直角が出るか試切りで確認する。良ければM10を本締めして、できあがりである。


 本体の孔が多少ずれているものもあるらしく、どうしても直角が出ないという訴えがあった。電話で、ヤスリで本体の孔を僅か拡げて戴くようお願いして、解決した。どうもこの切断機は、手作り品のようだ。 


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2019年04月11日

遠藤機械の切断機をカスタマイズする

00016070001607_3 しばらく前にこれらの写真をお見せした。これは熔接で出来ている。職人の腕で、段差が全くないものを作ってもらったのだ。これを所属クラブで披露すると、欲しいという方が多数あったので、それを増産することになった。

 困ったことに遠藤機械の製品は、40余年の月日のうちにどんどん寸法が変化していることが判った。クラブ員からの申告を分析すると、下刃の高さは39 mmから44 mm程度までの分布を示し、脚の間隔も270 mmと330 mmの二系統があった。組み合わせは計11通りあって、個別に対応するのは無理であった。出来たとしても価格が極端に高くなる。細かく検討した結果、大きく4種に分けられ、微妙な寸法の差はシムを挟むことによって逃すことにした。そのシムを挟む場所は二箇所にすれば、テイブルが高い場合と低い場合に対応できる。

 当初は熔接で作る予定であったが、溶接工の友人が突然入院してしまい、別方法で製作した。
 レーザ加工の工場が引き受けてくれたのだが、機械が故障し、新型に入れ替えるのに正月を挟んで一月ほど停止期間があった。再稼働し始めたが、初期故障もあり、また遅れを生じた。今野氏から一番低い事例としてお借りしていた機械は、3か月以上もこちらに留まり、大変なご迷惑をお掛けしてしまった。

stands 構成は、19 mmの鋼板をレーザで切って、その断面を使ってテイブルを直角に保持するというものである。技術の進歩はこういうところに出て来る。
 19 mmもの厚さの板を切れば、切り口はめちゃくちゃになって、その面で板が直立することなどありえないと思っていた。ところがレーザ加工工場の専務が、
「まあ見てください。ほらね。」
と立てて見せてくれたのだ。以前は13 mm厚程度でしか、このような芸当は出来なかったそうだが、今度の機械は19 mmでも完璧なのだ。


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2019年01月30日

線路規格ゲージ

 昔は線路用のゲージを売っていた。HO用なら、NMRAのも見た覚えがある。最近はあまり見ない。ほとんどの人が出来合いのポイントを買うからであろうか。それが正しく規格に基づいているかどうかなど分かりはしない。

 O scaleのNMRAの規格に則ったゲージは今でもある。昔買ったステンレス板打ち抜きのものである。建築限界全体も示す大型のゲージは、フロリダのメーカーがブラスの 1 mm強の板で作っていた。これはたくさんの板を重ねてボルトで締め、外形をフライス加工したものであった。ブラス製だから多少軟らかく、ポイント作成時に使うと磨り減る惧れがあった。

 13 mm や 24 mmゲージ、12 mmゲージの人たちは、身内でゲージの頒布を行っているだろうか。今ならステンレスの板をレーザで切り抜いたものを作るのは容易である。試作して実測寸法を調べて発注すれば良い。その程度の努力はするべきだ。

 ゲージ無しで正しいポイント作成は難しい。出来ないことは無いが、やる気が失せる人も居るだろう。標準ゲージがあれば、市販品のポイントがいかにおかしいかも分かる。線路ゲージが狂っていることにも気が付く。

 枕木を切ってずらすくらい、訳はない。線路を中心で切って縦割りにし、打ち直せば良いのだ。直すのがポイント部だけなら、大した作業ではない。車輌工作に投入する手間の1/10で解決する。フログのウィングレールを太くする方法は簡単で効果が大きい。


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2019年01月04日

蒸気機関車の音の再生

618_0131 正月に音楽家の友人に招かれて、演奏を聞いた。彼は仕事をやめた後、専用の建物でジャズの教室、演奏会を開いている。設備は相当なものである。各種のオーディオ装置を完備し、レコードは1万枚弱を持っている。彼はもともと電気工学出身で、オーディオは専門家であった。
 レコード再生には非接触のレーザ光によるプレイヤを用い、 特殊な真空管アンプを通して聴く。スピーカはイギリス製の何とかという珍しいブランドだ。巨大な超低音再生スピーカもある。それを入れたり切ったりして、効果を確かめながら聞いた。

 筆者は、アンプはFETがベストという結論を持っているので、真空管アンプ至上主義者からは睨まれている。それは物理学的な考察の結果であり、情緒的なものではない。少なくともFETは安い。安くていい音がすれば良いではないかということだ。
 それはともかく、今回は彼のオーディオ装置を通して聞かせて貰うことになった。真空管アンプ特有の音がし、それはそれで楽しめた。

618_0129 筆者を招待したので、友人は蒸気機関車の音を収録したレコードを特別に用意して、待っていた。全員の前でそれを再生した。素晴らしい臨場感で、感動した。
 Santa Feの最終蒸気運転のレコードで、4-8-4がロスアンジェルスからパサディナを抜け、カホン峠を行く様子が収められている。B面にはデイライトとキャブ・フォワードの音も入っている。後者はスリップして、音がずれていく様子が分かる。
 我が家でいつも聞いているCD再生音とは、根本的に違うと感じた。ここからは彼の講釈である。

 CDは20,000 Hz以上の周波数をカットしている。しかしレコードはそうではない。極端な低周波も高周波も一応、物理的に可能な範囲を収録している。その部分はHi-Fiではないかもしれないが、ゼロではない。
 音響効果が考えてある部屋でそれを再生すると、様々なものに当り、共振させ、耳に入る。共振は倍音、半音その他いろいろな成分を持っている。それが総合されて耳に入るので、臨場感が生まれる。この音をヘッドフォンで聴くと、面白くない。反響、共鳴がほとんど期待できないからだ。


 臨場感は本物と同じという意味ではない。本物ではないが、聞いた人に「そうかもしれないという感じ」を与えるような響きを生じることらしい。彼の意見に完全に同意はできないが、かなり説得力のある説明であった。ちなみに筆者は聴力試験の結果、12,000Hz以上はほとんど聞こえていないらしいが、違いは感じた。

 帰宅後、手持ちの蒸気機関車の録音を全部聞いた。頭の中は排気音と汽笛で満たされた。DCCの再生音とは違う。もちろんPFM方式とも根本的に違う。
 
 余韻に浸っているうちに、様々なことが頭の中を巡り、しばらく前のMRに載っていたオーディオ方式を試してみたくなってきた。それは、車載DCC以外に、固定されたDCCからの音声のうち、重低音部分を重低音専用スピーカを経て、レイアウト全体にばらまくというアイデアだ。低音は指向性がないので、一箇所あれば有効だ。
 ディーゼル・エンジンの腹の皮がぶるぶると共振するような重低音を味わうことができる筈だが、隣の家のガラス戸が震えるかもしれない。面白そうだ。

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2018年12月31日

続 活字金鋳造

 活字金は硬く、加工性が良い。フライスで削れるし、タップでネジも立つ。今野氏のブログにギヤボックスの蓋を鋳造で作られた件が紹介されている。うまい方法である。油が飛ぶから、ギヤボックスの底の部分には蓋が要るのだ。それを作るのは結構面倒だが、一つ作って型を取り、それを活字金で鋳物にすれば非常に良いものが簡単に大量にできる。採用したい。

 場合によっては、ギヤボックス全体を活字金で作っても問題ないだろう。そういう時には金型を作る方が良さそうだ。予熱しておかないと、最初のいくつかは失敗する可能性がある。冷えすぎるからだ。空気抜きの細孔もあると良いだろう。下手をすると押し湯で噴き出す可能性もあるから、理屈をよく考えて安全な構造の型を作るべきだ。

 人形とか、ストラクチュア関係の小物も活字金で作れば簡単だし、しかも丈夫である。シリコーン・ゴム型でも平気である。鉛では融解温度が高いので、壊れてしまう。3Dプリンタで原型を作ってゴム型を作り、それを活字金で複製するわけだ。かなり簡単にできそうである。
 今まで、活字金は比較的高価であった。しかし最近は値崩れしているから、いくらでも使える。この活字金の利用法をもっと考えるべきだ。

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2018年12月29日

活字金鋳造

 友人から、活字金鋳造をやりたいと申し出があった。詳しく教えてくれとのことだったが、
「簡単なことだから一つだけ守れば良い」
と伝えた。

casting1 彼は ”とれいん” 464号の記事を見て心配になったという。
「うまく行かないような気がする」
と言うのだ。その記事では型は片面だけで反対側は板で押していると言う。薄い型では出来るわけがない。
「こちらの言うとおりにすればできる、くだらない記事は無視されたい。」と強く念を押した。
 その一つだけ守るべきことは、「押し湯を十分にする」である。

casting2 その号は博物館にあるので開いて見た。案の上、記事では融解した活字金をゴム型に板で押し付けている。粘土細工ではないのだから融けたのを押し込んでもダメだ。融けた金属の表面張力は極端に大きい。金属結合が強いからだ。水銀の粒がまん丸であるのを見ればわかる。シリコーン・ゴムの型は金属をぬらさないから、押し込んでも無駄な努力だ。10何回かの試作で台車枠2枚ができたそうだが、それでも奇跡に近い。写真2枚は、同号から転載した。

 二つの型の間に挟まれた空間に、融けた金属に圧力を掛けて押し込むしか方法はない。そのために遠心力を使ったり、水蒸気の圧力を使ったり、あるいは型を多孔質にして裏側を真空にしたりしている。大昔はそんな方法がなかったので、重力を使った。融けた金属の注ぎ口を高くするのだ。その分の圧力が、金属の表面張力に打ち克って、型の隅々まで押し込むのだ。高さは 10 cmほどでもかなり効く。金属は密度が大きいので、少し高くするだけで十分なのだ。活字金は固まるときに体積が縮まないので、高くしても問題が起きない。筆者は最高 30 cmほども、上げた。活字金を使う時は、まかり間違って湯口が先に固まっても、問題ないのだ。

 素晴らしいものができたと喜びの電話があった。指南した甲斐があった。同時に、この記事への不満を聞かされた。この筆者は一体何なのか。自称技師と言ってみたり、今回は「指導」と書いてあるではないか、と彼は怒る。確かに通読すると、そこには"サイエンス"が抜け落ちていると感じる。合金の性質、表面張力、ぬれなどの知見が全くない。これでは成功するのは困難だ。

 その号には、越後要介氏、佐野匡司郎氏、田野倉要介の素晴らしい工作法が紹介されているのに、あまりの落差に驚いてしまった。

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2018年12月27日

続々 press

「16.5 mm軌間の車輪を 13 mmにするときのことをおっしゃっているのですか?」という質問を戴いた。その通りである。

 コンコン改軌という言葉があるそうで、叩いて目的の位置までずらすのだそうだ。叩いてずらすというのだから、それほど固く嵌まっているわけでもないようだが、出来れば避けたい。
 
 ゲージを決める断面がU字型のブロックを挟んで、プレスでぐーっと押し込むのが良い。衝撃を与えるということは、意外と大きな力で特定の部分を押すことだ。ジャーナル部(車軸の先端)が目に見えない程度潰れるだろうし、それが垂直であればまだしも、多少傾いているかもしれない。そうなると、走らせるとゴロゴロするだろう。叩く工具も問題だ。金槌を使う人が居るが、これは論外だ。銅のハンマを使うならまだ良い方だが、そんな人はまずいない。木槌で叩く人はいるだろうが、大きいから扱いが難しい。

 また、ピボット軸では深刻な問題だ。筆者はピボット軸を押す専用の先端工具を持っている。旋盤さえあれば作るのは簡単だ。尖端部を避けてテーパで受ける。テーパは完全に合っている必要はないから気楽だ。ギヤの押し込みにも便利である。軸にローレットを切って押し込めば、留めネジも要らず心が出て、楽である。ギヤをハンダ付けすると心は出にくい。

 この種のプレス機は高いものではない。昔アメリカで買ったものだが、最近は日本からでも簡単に買える。模型用として使うプレス機は、さすがにネコプレスでは大き過ぎるだろう。このギヤ式のプレスはとても使いやすい。


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2018年12月25日

続 press

 プレス本来の使い道として、雌型に雄型を押し付けて、形を転写するということがある。この時雌型を作るのは面倒である。プロは雄型を作って焼き入れし、雌型の素材を焼きなまして押し付ける。凹んだものは硬くなっているので更に焼きなます。これを繰り返して雌型を作る。もちろん深いものは、ある程度まで機械で彫っておく。 

 雌型をこのような方法で作るのが面倒な場合は、ZAS(亜鉛を主体とした硬い合金)を流し込む方法がある。雄型を上向けにしてZASを融かして流し込むと雄型の通りに出来た雌型ができる。ブラス相手なら十分に成型できる。これをフライスで平らに切ると、抜き型さえできるほど硬い材料である。

rubber female die その昔、ある天才が雌型をゴムで作ってはどうか、と思い付いた。硬いゴムを敷いて、その上にワーク(材料)を置く。そこに雄型を押し付けるとかなりの成型ができる。ワークを焼きなましておくと綺麗に出来る。ゴムは天然ゴムで始まったが、現在は硬いウレタンゴムである。折り曲げもできるが、十分に角を出すのは、やはり溝を切った鋼製雌型が必要である。

 ブレーキ・ホィールはサラダ・ボウルのような形である。エッチングやレーザ・カットでできたものは平面であるから、これを整形して丸くしたい。こういう時にはとても便利な方法である。

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2018年12月23日

press

PanaVice (3) 圧入、取り外しには不可欠の工具であるが、日本の模型人はあまり持っていないような気がする。
 叩いて嵌め込む、あるいは抜く、と書いてある記事をよく見るが、やめるべきである。曲がる可能性があるし、叩いたところが斜めに凹むことがある。

 筆者はこれと1トンのネコプレスを持っている。PanaPressは軽合金製で、250 kg重(2.5 kN)程度の軽作業用だ。車軸を抜いたりするのには十分な力がある。
PanaVice (2) 厚い木の板に取り付けてある。手前に出ているのがミソである。これがないと、てこを引いた時に力が入らない。補助具は熔接して作った。これも専用のを作っておかないと、水平が出ないから、軸が曲がる可能性がある。押すものはブラスの挽きものである。ある程度軟らかくないとワークに傷が付く。
 その取付けネジは、1/4インチのネジ(カメラの底にある三脚ネジ穴)である。旋盤上でダイスで切る。ブラスだから作るのは極めて楽である。たまに鋼製のピンを植え込むことがある。

Panavice (1) 専用の補助具(台)には裏に穴があいている。こうしておかないと抜けたものの行き場所がない。補助具を高くする手もあったが、低くしたかったので穴をあけた。

 車輪、動力機構を作るときにはプレスの出番が多い。

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2018年12月19日

ブレーキ

 brake とは制動機のことではない。金属板を曲げる機械である。もちろん手動で曲げるものである。筆者は大きなものから小さなものまで4台持っている。

 一番良く使うのは、先回紹介したこの小さなベンダである。 何をするかというと、細いアングルを作るのである。市販品のアングルはろくでもないものが多いからだ。曲げ易いようにエッチングで筋を彫ってあったりする。
 エッチングはなました材料を使っているので、製品がくたくたである。腰がないので使えない。こんなものを貨車に使うと、連結した瞬間にめり込むだろう。

 ベンダで曲げると加工硬化して腰が強くなる。曲げてから切り落とす。先日ジャンク箱から見つけたアングルは曲がり方が甘い。虫眼鏡で曲がり角を見てみると、型が良くないことに気が付いた。メス型は単に直角ではいけないということを知らない人が作ったのだ。
h3244-f4ca2749af14ee6e7682644b12431d2e メス型はこんな形であるべきだ。溝の底に深い溝がなければならないのだが、それを知らない人が多い。この型を使えば、製品には独特の痕がつく。

 このブレーキは万力に吸い付かせて使う。便利なものだ。2 mmの板でも曲げられるから、モータ・ブラケットを作るときには便利だ。これはカタログ上の写真であって、筆者のはアゴの側面にネジで締める。両面テープで仮留めすると、ずれない。

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2018年12月11日

華奢に作る

 先回の通風扉を友人たちに見せたところ、針金が細くて実感的だと言われた。久し振りに褒められて、嬉しかった。細い線を等間隔に張るところが見せ場だったからだ。
 華奢(きゃしゃ)に作るのは難しいものだ。太いものはオモチャ的で気持ちが良くない。なるべく細く仕上げたい。

 プラスティックの貨車はハシゴ等が太くて実感がない。これを薄く、細くしたい。切り外してブラス製にするとかなり良くなる。さらに細くすると、強度がないので触ると、曲がって壊れてしまう。針金類は、リン青銅かステンレスのバネ線にする。

freight car detail 10年前にアメリカで買ったプラスティックの真空成型の貨車は、そのような部品が薄鋼板で出来ている。鋼板は堅いから細くできるし、壊れない。
 写真の左から、
木製キットにブラス製ディテイルを付けたもの、
真空成型に鋼板部品を付けたもの、
エポキシ鋳物の貨車、
プラスティックのインジェクション・モールドの太い部分を切り離したもの
の順である。

,呂海谿幣綺戮できない。
△禄淑細く、塗装しても実感的である。
は未加工である。細い鋼板製アングルを作ってみよう。
い蓮▲魯轡瓦硫桟を切り取った。細いステンレス・バネ線を貼るつもりだ。

 実物は実に細い。普段模型しか見ていないので、たまに実物を見るとドキッとする。ハシゴなど透けて見えないくらいだ。 


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2018年11月07日

続 all-door boxcar by Thrall

all-door boxcar ceiling 先回の写真の内、三つ目の車輛は、ドアを片方に寄せて荷役作業をしている時を表している。ドアが重なる様子を作った。

 この種の車輛は全スパンに亘って屋根の支えがない。即ち、屋根の剛性を確保するためにかなり努力している。H型断面の鋼材を入れて見たり、Iビームを付けたりしている。筆者がたまたま見たものには、トラスが入っていた。きっと他の構造もあるだろう。

 開いているドアは空中に浮いているので、ブラス板で作った。かなり重い。ドアを開けたまま走ることは禁止されているので、これは走らないディスプレイ・モデルである。連結器もケィディではない。

 積み荷は、レーザで切った物を売っていたので、貼り合わせて作った。ランダムに積んだ様子を表している。実際にこのようなバラ積みも見た。

 あれから40年以上経つ。この種の貨車は急速にその地位を失い、現在では博物館でしか見られない。積込みの方式が変化したのだ。今はセンタービーム・フラットカーを使う。これはドアがないので荷役作業が楽である。たった一人で積み込みができる。積み荷には簡単な雨よけが付いていて、車内に入れる必要がなくなったのである。 

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2018年11月05日

all-door boxcar by Thrall

 1970年代には、この貨車をあちこちで見た。荷役作業をしているところを見ると非常に面白い。どのドアも開くので、直接フォーク・リフトを使って積み込む。中にはほとんどバラ材に近いものを積むのも見た。それが印象に残っていて、いつか模型を作ろうと思った。1976年にこのキットを手に入れた。ラッカ・サーフェサを何度も塗って研いであるので、つるつるである。誰も木製であるとは信じないくらいの仕上がりだ。しかし、形はすぐできても、色が難しい。

colors of boxcars 何枚かの写真と記憶にある色を組合せて塗ってみたものが一番下である。被写体の車輛の経年変化の程度もあり、参考にした写真の色再現性の問題も絡めて、塗った時は正しいと思ったのだが、ディカルを貼る瞬間に間違ったことに気付いた。ヘラルドの色と近いのである。地の色はもっと薄い。それからこの模型を見るたびに、様々なことが思い出され、気分が滅入った。

 10年ほど前、模型ショウのスワップ・ミートで一番上のを見つけた。この人も色では失敗している。筆者のより、濃く塗っている。上から二つ目はフロクイルのWeyerhauser greenを塗っているようだ。調色塗料なので一応色相は合っているが、本体の構成が派手に間違っているのと、塗装が薄くて下地が透けているのが問題だ。どちらも10ドルほどで買った。

 これらの造作を全て外して下地を整え、細かい部品を作り替える。塗装は完全にやり直し、ディカルも貼り直す。何のことは無い、一から作るのとそう変わらないのだ。白く塗ったもの緑のものと合わせて、完成すると7輌揃う。

 この模型は、HO、Nでよく見る。人気があるのだろう。しかし実物を見たことがある人は、少ないはずだ。

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2018年11月01日

簡易バッフル付き空気清浄機

air purifiers ハンダ付けの時のフラックスの fume(煙・霧)の処理には困る。最近は中型の空気清浄機が3台揃ったので、殆ど問題なく吸えている。塩化亜鉛のフュームは金属を錆びさせるので問題だ。長い貨車をハンダ付けする時は、少し配列を変えるとよく吸ってくれる。
 右からバッタ屋で安価で入手したもの、粗大ごみの中から拾ったもの、新品をご寄付戴いたもの。さすがにこれだけ並べるとすごい効果である。背後から風が吸い込まれていくのを実感する。光が反射して、LED1灯でも手元がとても明るい。

fume collector 所属する模型クラブ員が来て、作業場として使っている。たまたまこの形の吸煙装置を持って来た方があったが、直前 5 cmで吸わせないと全く吸わないことが分かった。そこで廃段ボール箱を加工して無理やり押し込んだ。捨てる時困らないよう、内部は粘着テープでしか留めていない。上にヒサシを付け全体を前に傾けた。

fume suckerexhoust 加工の手順はこんな調子である。中に台として合板を接着し、その上に吸煙機を置く。排気部は箱の上の方に密着させる。隙間はすべてマスキングテープで塞ぐ。

buffle バッフルには縁を付け、それを向こう側(吸煙機側)に向けた。こうすると、空気の流れがより自然になる。上下左右の隙間は 25 mm程度あけて取付けた。段ボールと合板は、水性ボンドで良く接着できる。
 風量が少ないので、このままではハンダ付けの煙は上に行ってしまう。少し手前に傾けると同時に、ヒサシを付けて前に出してある。これはよく効く。

fume sucker 結果は上々で、風量の少ない機種ではあるが、十分に吸ってくれる。配線作業などにはとても好都合だ。材料費はゼロに近い。
 中の汚い木の板は、バッフルとの隙間を少し狭くするように貼ったものだ。

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2018年10月28日

続 長い貨車

auto carrier3 1段目を接着している状態を示す。これは、ゴムの代わりにテープを使っている。錘はまだ載せていない。接着部は点接触のように思うが、意外にたくさんの面積で接触しているから、かなりの強度で接着されている。おそらく、走行時に軽度の脱線事故があっても生き残るだろう。支柱は1本 6 g ほどで、24本あるからそれだけで 150 gである。未組の時、箱が重くて驚いたことを覚えている。

 この貨車は突出している部分が多いので、その部分は念を入れて接着する必要がある。たとえば隣の貨車との接続部には、渡り板がある。これを接着する時には、接着面をよく削って平面を出し、硬化時間中は適当な保持具で押さえねばならない。
auto carrier5 筆者はヤスリを用いる。目の立っている部分を使うと簡単に押さえることができる。接着面は小さな面積ではあるが、垂直に隙間なく圧着されていると、よく付く。この方法はハンダ付けに時にも役立つ。

auto carrier4 Xブレイスなども、すべてエポキシで付ける。二番目の写真の右上にある二液性エポキシ接着剤は、2つのシリンジが平行している。押せば自動的に等量出るので具合が良い。大きく "5 minutes"と書いてあった。多少古いものを、アメリカのバッタ屋で大量に買った。それ以来5年も経つが、問題なく使える。持ち帰るとき嵩(かさ)を減らすためにブリスタ・パックを捨てたので、何というブランドか分からない。多分これだろう。もう残り少ない。
 5分というのはいわゆる"working time"(付け外しが可能な時間)で、"setting time"(硬化時間)は15分である。未混合では硬めだが、混ぜると粘り気が減るから、隙間の上に盛り上げておくと、毛細管現象で吸い込まれてしまう。ぬれが良いのだ。

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2018年10月26日

長い貨車

 1970年代のアメリカの鉄道では、85 ft(約26m)クラスの貨車が急速に増えていた。そのころは貨物列車を見て、新車を探すのが楽しみであった。この Autorack  車載専用車は3段でたくさん積めた。乗用車は15台載せていた。当時は現在のような屋根や側板はなく、開放型であった。長さは徐々に伸びて 89 ft(27 m強)まで行った。

 この貨車が好きで、都合4輌作った。1輌目は別会社の木製キットで1970年代に完成させた。実に難しいキットで、苦労した。接着部が少ないので、ショックに弱いだろうから、走らせられない。展示用だ。その後90年代に金属製キットを入手したが、単なるチャンネルと板の詰め合わせであった。これがキットと言えるのか、という程度のものであった。図面も怪しく、実感に欠けるところがあったので修正した。ハンダ付けなのでジグも要らず、作るは容易であった。組み立てたものは10年も行くえ不明であったが、最近発見された。重く600 g以上ある。補強材を足したためである。少しディテールを付ける必要があるので資料を当たっている。

 今回のキットの2輌は支柱がホワイトメタルでその他が木製である。支柱は24本あって、それに3段のラックが載る。接着している間にどうやって保持するかで悩んだ。友人は考えた末、「不可能だ。」と言った。しかし、何とかして組み立てたかった。

auto carrier2 丸一週間悩んで、ついにある方法を思いついた。側面の枠だけを型紙上で接着してしまう。つまり、格子状にするのだ。それを床板の隅に引っ掛けて二段目のラックを支点に上端を輪ゴムで軽く締める。仮留めはマスキング・テープでも良い。そうすると支柱の弾力の範囲であるから、支柱は床の隅に密着して留まる。もちろんある程度の錘をラックに載せると密着が良くなる。5分間エポキシを使った。

assembling autocarrier 支柱はかなり硬い合金で、曲がったりはしない。普通のホワイトメタルとは違う。ヤスリを掛けると快削であることがわかる。たまには捩じれているのもあるので、事前に修正するが、とても硬い。

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2018年09月16日

ダイヤモンド・ホィール vs. 鋼

 最近はダイヤモンド工具が安い。百均の店に行くと様々な先端工具がある。さすがにダイヤモンド・ホィールは見たことが無いが、通販で購入すると安くて驚く。

 鋼材(鉄合金)をダイヤモンドホィールで切る話を、時々ウェブ上で見かけることがある。ご本人は気が付いていないようだが、あまり感心しない話である。ダイヤモンドは鉄と反応するからである。高温では炭化鉄になってしまう。

 例えば、モータのシャフトを切る時、ダイヤモンド・ホィールの直径を測定してから切ると、切断後少し小さくなっていることに気が付く。減るのは当然だと思う人もいるが、切断砥石を使った時は減り方が少ないはずだ。しかも速く切れる。

 ダイヤモンド・ヤスリで鉄合金を削るのはダメなのかと聞かれることもあるが、それは構わない。要するに温度が問題なのだ。赤熱したり、火花が散っているようではいけない。ヤスリ掛けでは、そんな温度にはならないから問題ない。

 旋盤でダイヤモンド工具を使う人は、アマチュアではいないだろうが、ゆっくり廻す分には問題ない。ダイヤモンドは熱伝導率が極めて大きいので、赤熱することはないはずだ。余談だが、こんな事例がある。

 そんな大きなものは持ったことは無いが、ダイヤモンドの薄板を温かい指で挟んで、氷に触れさせると、氷は融けてダイヤモンドが食い込んでいく。指は冷たさを感じる。ダイヤモンドは金属よりはるかに熱を伝えやすいものである。


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2018年09月14日

曲がったブラス板を平らにする

 薄いブラス板を落として、角がくしゃくしゃになった経験はないだろうか。ペンチで修正しても、細かい凹凸が残っている。普通の方法では直らないから、新たな材料で作るしかない。

ヤスリによる塑性変形の応力 昔、伊藤剛氏に教えて戴いた方法を紹介する。とても簡単な方法である。平面を見せたい方の面を下にして傷の無い金床の上で粗いヤスリを被せて、叩くのだ。もちろんヤスリを普通のハンマで叩くと傷が付くし、ヤスリも折れてしまうかもしれない。筆者はゴムハンマで叩く
 剛氏のオリジナルの方法は、ヤスリと共に万力で挟むということであった。筆者の万力の口金は模様があって、それが転写されてしまうから、傷の無い金床の上で叩く。もちろん、傷の無い鋼板と粗いヤスリとで、挟んで締めても良いのだ。少し伸びて大きくなるから、縁は削って修整する必要が生じるが、平面が戻る。この方法は、星打ち(七子目ならし)と呼ばれるらしい。

 理屈は一言で言えば、なるべくたくさんの部分(体積にして)が、塑性変形の応力を受けるようにすることである。ヤスリの尖った部分がブラスにたくさん突き刺さって、どこもかしこも塑性変形するわけだ。ペンチで曲げても部分的にしか応力は加わらないから、一部しか変形、修正されない。だから、へなへなのままである。

nanako 精密機械やメータなどの測定機の中をあけると、ベースになる金属板に無数に細かい傷がついているのをご覧になった方もあるだろう。あれこそがこの方法が応用された実例であるとのことだ。平面の板が必要な時は、この方法を使う以外ないのだ。

 この話を剛氏から教えて戴いたのは、30年以上前のことである。時々やるが、とてもうまく行く。紹介記事を書こうと思ったが、どんな絵を描こうかと迷っていたところ、名古屋模型鉄道クラブ会報の、古い記事を再録する作業をされている濱島氏からオリジナル記事を送って戴いた。 早速絵を描き直して紹介した。

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2018年09月10日

続 切断機をカスタマイズする

0001607_3 ブラス板を固定するとこんな感じである。小さなクランプ二つで留めて、簡単に切れる。直角ガイドがあるから極めて楽である。




 これをクラブの仲間に見せると加工希望者が集まった。鉄工所の暇な時期を狙って注文することにしたが、問題は個体差である。
 長年の間に微妙な設計変更があり、固定刃の位置を微調整するネジが付いたり、足が太く長くなったりしていた。ハンドルのネジも当初は1/2インチのネジであったが、途中で5/8インチになり、最近はM16のようだ。
 今のところ、固定刃の高さには4通りがあることが分かっている。即ち、テイブルの脚の長さが4通りになる。同じものを作れば安いが、異なるものを現物に合わせて作ると手間が掛かり過ぎて、高いものになる。
 脚の長さは一定として、シムを挟んで高さ調整というのが一番楽な方法であろう。


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2018年09月08日

切断機をカスタマイズする

 遠藤機械が発売している切断機は、鉄道模型界では根強い人気を保っている。薄板を切るには便利な道具で 1 mm厚のブラス板が切れる。1200×365 mmのいわゆる定尺板(業界では小板という)を切ることができる。

 TMS1972年3月号の新製品紹介記事に出ている。当時の価格は12,000円だった。それが50年近く売り続けられている。確かに便利な道具である。しかし、ワークを手で保持しなければならないし、どうしても引き込まれる方向に力が掛かる。直角に切るのは少々コツがあって、そう簡単ではない。

plywood table 筆者は2本の足に大きな合板製のテイブルを付け、そこに留め具をネジ留めするようにしていた。マホガニィの合板の屑を用いた。合板は厚く、留めにくい。薄い鉄板で作れば小さなクランプで留められる。一念発起して簡単な図面を描き、友人の鉄工所に持ち込んだ。


0001607 テイブルは 180 mmの奥行(足の長さと同じ)とし、4本の支えで固定した。4 mm厚の板だから、踏んでも曲がらないが、それほど重くもない。1インチ(25 mm)のクランプで簡単に留められる。

0001607_2 直角に切りたい時の直角定規も同時に取り付けた。有効幅が 370 mmしかないので、365 mm幅の材料に対しては 5 mmしか余裕がない。細い角材の先を 2 mmまで削って熔接してもらった。ここの熔接は素人にはできない。プロの仕事である。筆者がやると真っ直ぐにはならない。
 これでざくざく切れる。

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2018年09月06日

続 塗装ブース

 今野氏のブログに塗装ブースにバッフルを付けた例が掲載されている。段ボールを切って付けただけだが、好結果を得ている。
 Brass_solder氏のブログにも掲載されている。材料の弾力で浮かせてある。これでも良いのだ。他にも作例が見つかるが、隙間が左右だけしかないものもあって、それでは効果が期待できない。
 上下左右に均等な隙間があることが肝要である。また、風圧でめり込まないようにする。工作時間は5分も掛からないであろう。皆さんも、ぜひ採用して戴きたい。驚くほどよく吸われ、臭いがしなくなる。

vortex 筆者の作例はジャンクのコンピュータ用冷却ファンを4台並列に付け、その前に間口60 cm、高さ40 cmのフッドがある。バッフルとの隙間は20 mmほどである。バッフルの縁は後ろに曲げておくと、音が多少静かになる。渦が大きくなって、遠くに行くからである。

 内部には照明がたくさんある。白熱電球もついているから、少々熱くなる。カブリを防ぐためである。白熱電球は製造停止になったので、スペアをかなり持っている。バッタ屋に行くと投げ売りしていたから買い占めた。このような用途には不可欠だ。
 また、ターンテイブルがあって、ワークを回転できる。その上には餅焼き金網で作った台がある。風が抜けるので、細かいものを塗装しやすい。

 排気は全く継ぎ目のないパイプで外に抜けている。外で上に行って雨が入らない形の煙突につながる。屋外で排ガスが漏れる分には問題ないが、室内では洩れないようにした。

 早く完成させて写真をお見せできるようにしたい。最近のような湿気の多い時期は、外では塗装ができないからだ。塗装待ちがかなり溜まっている。既に埃が付いたのもあって、洗わねばならない。無駄な仕事が増えてしまった。

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2018年09月04日

塗装ブース

 塗装ブースの設計に関することで、問い合わせを戴いた。現物が今はないので写真をお見せできないが、基本概念だけは図で説明できる。

 様々な形の塗装ブースが発表されているが、そのほとんどは気休めの域を出ていない。大量の空気を吸えばそれで良いはずだが、現実にはワークに当って跳ね返ったものは吸い込まれないこともある。ある友人の塗装に立ち会ったことがあり、部屋中にシンナの臭いが立ち込めたことが、それを裏付けている。

 少ない風量で、完全に近い吸い込みを期待しようと思うと、風速を上げることである。風量が限られているから、断面積を小さくするしかない。

fume hood 化学実験室には、fume hood(日本ではドラフト・チャンバーという怪しい言葉が使われている)がある。有毒なガスが出る実験はこの中でやる。そのガスが重いか軽いか、によって下の出口をあけたり、上をあけたりする。その手前にはバッフルという板があって、空気はそこの上下にあるスリットのどちらかから吸い出される。よくできた装置では、少ない風量で完全に吸い出される。前面のガラス戸も汚れない。これを見て閃き、自宅の台所の換気扇を改造した。

kitchen hood 30年以上前に住んでいたマンションの台所の換気扇は、何の工夫もない単なる箱状のもので油煙は溢れ出し、部屋が汚れた。風量を増すのは大変だったので、中にバッフルを吊り下げた。アルミ板を曲げてぶら下げただけだったが、効果は覿面で、煙は完全に吸い取られた。

 kitchen hood improved 煙はバッフルに当って横に移動する。その端の部分の流速は、今までの10倍ほどもあるので、煙ははみ出すことなく吸い取られる。おそらく、当時そのような台所換気扇は日本で唯一であったろう。特許を取っておけば良かった、と今でも思う。しかしその特許が売れたかは怪しい。このバッフルつきが商品化されたのは、ここ数年のことであるからだ。その購入者も理屈を理解しているようにも見えない。ただ意匠上のことだと思っているようだ。上記のリンクのカスタマーレビューの中にも、”カバーがある分吸い込み能力は並”と書いてあることからも推測できる。ずっと性能は良いはずである。メーカは、どうしてその機能を謳わないのだろう。
 
 その後転居して、現在の住居では油煙の出る物は外で調理するので、コンロの後ろから上にせり出して来る、簡単な局所換気扇で用が足りるようになった。(リンクは一例である。筆者宅のはもっと原始的なものである。) 

 現在の住居に引っ越してから、模型の塗装は外でやるようになったので、塗装ブースは作りかけて何年も放置されている。バッフルも用意したがまだ付けてない。


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2018年08月31日

崖の素材

 何人かの方に種明かしを迫られたが、沈黙を守っていた。これは天井のタイルである。日本語ではなんという言葉を使うと正しいのかよく分からないが、商品名は大建ダイロートンと書いてある。かなり安いものだが、工事現場で捨ててある半端品を貰って来たからタダである。
 材質はロックウール(石綿とは異なる人工物である)とセルロースだろう。後者は不燃加工してある。

cutting apartbreak it それを 7 cm程度の幅に切り、半分に割って切り口を露出させる。表面は多少人工的であるので、下を向けて見えないように積む。



making cliff 全体の褶曲の様子を頭の中で描いて、ある程度の角度で積む。支えの合板にも接着剤を付けて剥がれて来ないようにする。



anticline この部分は背斜になっている。多分この下には石油が埋もれているだろう。だから石油タンクがあるというのは、出まかせである。


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2018年08月05日

2-truck Shay

 PFMの極めて初期の製品に 2-truck Shay がある。筆者が祖父江氏に最初に会ったときに見せて貰った。その時は単なるHOのシェイだとしか思わなかったが、そのうちにそれがHOの最初のプロダクションモデルであると気付いた。再度じっくり見せてもらった。(写真は上のリンクの一番下の方にある。)

 Oゲージのものとは伝導方式が違う。細いウォームをドライブシャフトに取り付けたウォームホイールに、斜めに裏側から当てている。ウォーム軸は片持ちである。うまい工夫だな、と感心した。しかしながら、祖父江氏は、
「3気筒のは、真ん中のヴァルヴギヤは動かねえんだ。インチキなんだけど、これでいいってんだから、しょうがねえよ。」
とぼやいた。
 その機関車は祖父江氏の設計である。その試作品を保管していたのだ。

  あと2,3輌のHOモデルがあった。ドイツ型の4気筒の機関車は、内側まで作られていた。プロダクションモデルでは、内側は省略されていたそうである。多分、ご自身の設計のものだろう。ギヤは外してあり、押すとするすると走った。

  既に当時祖父江氏は50歳になろうかという時で、「老眼で、もうHOは見えやしないよ。」と言っていた。それから30年以上、彼はより進歩した模型を作り出したのだ。

 このシェイのギヤトレインの設計は、その後の United の標準仕様となった。生産総数は万の桁であろう。もし祖父江氏がいなかったら、様々な点で大きな違いが生まれたことは間違いない。

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2018年07月18日

tapping aid

tapping aid (2) 先日、工具箱を整理していて見つけた。30年以上前に作ったものだ。

 タップでネジを立てる時に使う、極めて単純明快な補助具である。砲金のブロックに孔をあけただけのものであって、下穴の上にこれを置き、タップを挿す。歯車を廻すとネジが立つ。必ず直角に立つし、タップに妙な力がかかることも防げる。すなわち折れにくい。
 歯車は指に痛いが、それがかえって良い方向に働く。無理に廻そうとしないので、折れることが少ない。


tapping aid (3)tapping aid (1) M1〜M2のタップは太い部分の外形径が 3 mmで共通だが、M1は短いので、ブロックの薄い部分に貫通させてある。M3は、外径 4 mmである。

 インチのタップは、 外形が 3.2 mmなどいろいろあるから、測定して孔をあけねばならない。孔にはリーマを通す。

 筆者は最近はガラなどを使うので、久しく使ってなかった。ガラ導入以前は、やや大掛かりなtapping aid を使っていた。それはこんな形をしていた。

 GOW_3158六角のカートリッジをたくさん作って、タップを挿してハンダ付けしてある。それを差し替えて、上の大きなハンドルで廻す。
 M3 以上ではとても使いやすいが、M1.4あたりでは具合が悪いから、このブロックを使った。この大掛かりな道具の小さいヴァージョンを作ろうと思っていた矢先に、ガラが手に入ったので、使わなくなり、すっかり忘れていた。

 このブロックは単純な形であるので、お薦めする。材料はアルミ合金でも良いだろう。40年前、アメリカで見たことを記憶しているが、銘柄等思い出せない。 それは、細くて短いタップを挿す部分が、らせん階段のように低くなっていた。六角形だったような気がする。Bill Melisの自作品であったかもしれない。

2018年07月08日

続 架橋工事

bridges 橋脚、橋台が固着されていれば、あとの仕事は容易である。
 線路を延長し、ガードレイル付きの線路と結合する。レイルボンドを付け、通電を確保する。念のため、一番大きな車輛を通して、どこにも触らない事を確認した。また、曲線の外方向には関節機関車の煙室戸の脇のラニング・ボードが突出するので、それも確認した。
bridge すべて合格であったので、一応の完成である。本線の運行禁止を解く。新しい線路には油が付いている可能性があるので、直ちにリモネンで拭き、試運転列車を通した。

 橋の部分は音が極端に静かである。セラミック・ピックアップを用意してあるので、それを付けてアンプで増幅した音を出してみる予定だ。

 橋の色は目立たない。そういう意味では土屋氏の意向の通りであったが、ややアクセントも欲しかった。少しさび色も塗ってみよう。下の線路を通る車輛からの煙で汚れているはずだ。そのあたりのことは徐々に完了させる。

 着工から2年以上掛かったが、漸く完工した。設計に尽力して戴いた northerns484氏ハンダ付け時に手助け戴いた橋本氏、ガセット作りを手伝って下さったクラブのN氏には、心より感謝する。レーザ加工してくれた会社の専務には招待状を出さねばならない。

 来週からは高架部分の擁壁と岩肌の表現に取組む。その次は信号装置である。


2018年07月06日

架橋工事

bridge construction (1) レイアウト建設で、まだ実行しなければならない面倒な工事はいくつかあって、一つはこの架橋である。近々予定されている来客に合わせて、先週から工事を開始している。
 本物と同じで、本線を遮断する時間をなるべく短くするように段取りを考える。位置をマークし、橋の代わりに橋脚の上に載っている板は、橋の footprint(正射影と同義)である。原寸大の板であるから簡単である。垂れている電線は既存の饋電線である。仮橋脚、仮橋桁を撤去し、製作した橋脚を立てる。 
 まず細かい調整部分を解決する。これだけで1日掛かった。全て予定通りであったが、橋台(abutment) の部分で多少の調整が必要であった。橋は3次元の調整が必要なものである。
 この写真の左手に大きなアンヴィル(金床)がある。これは現場で切り離した貨物列車の前半が、勾配から滑り降りてくるのを阻止している。機関車ごと下って来るのである。

bridge construction (3) この写真の左の方は例の巨大な橋台が来る。高架の路盤の 24 mm 合板を少し切ってはめ込む。丸鋸でやると埃が出るので、手で鋸を挽いた。その時、掃除機で出るおがくずを吸い取りながらやる。橋台はぴたりと嵌まった。計算通りで助かった。線路の上に敷いてある黄緑色の合板は、その上で作業する時の足場板である。

 道床を延長するが、全体を見通して不具合の無いように行う。橋の上だけが長い枕木になるように調整し、仮固定する。枕木を糸で縛り付けるのだ。
  
 すべての部材が予定通り嵌まった状態で、遠くから見て曲率が一定であるか、確認する。その後橋台、橋脚の位置をマークし、すべて取り外す。

bridge construction (2)bridge construction (5) 2日目は橋脚をネジ留めする。地震の時にこれが動くと大変な被害が生じるから、接着剤を塗って、裏からネジで締める。
 ネジを締める時には、動かないように、最大限の錘を載せておく。ネジは下穴をあけてから差し込む。


2018年05月16日

節電

skelton 3時間というのは材料を切り始めてからの時間だ。工作機械を駆使して最短で作る。ハンダ付けの作業中、ハンダごてを休めることはほとんど無い。流れ作業で作る。薄板工作は久しぶりで、調子よく進んだ。ヤニの入っていない糸ハンダの短く切ったものを大量に用意し、所定の位置に置く。

 ハンダがしみ込むので、キサゲ作業はほとんど必要を感じない。こての先がいつもハンダでぬれていて、酸化被膜ができる暇がない。片方をハンダ付けするのに15分くらいである。 
 速く作るということは節電でもあるのだ。


 ハンダは 約50 g使用した。全ての接合面には、隙間なくハンダが満たされている。決して錆びることは無い。補剛材に 2 mmの角線を使ったが、その角線が快削でないものが半分あった。切る時に丸鋸の刃が喰い込むから腹立たしい。これは事前に調べておくべきであった。フライス作業時には、ほとんど問題がなかった。

 縦の哨屮譽ぅ垢鰐姪櫃覆里如板にした。端はXにするつもりだ。上部横構は曲げた針金である。この方法は成功で、簡単に橋が捻られる。中心はまだ作ってないが、ネジで高さ調節ができるようにする。簡単な構造である。

moving bridge 仮にピットに置いてみた。高さ調整をするが、とりあえず何か置いて支えてみた。回転軸が通る穴が丸見えである。何かで隠す必要がある。円錐面を持つ円盤を作って嵌めてみよう。
 木製は作るのが面倒だ。金属製が楽だが、味気ない。本物は中心部が少し盛り上がって、600トンを受ける大きなスラスト軸受(砲金製)がある。 

 また、色で悩んでいる。黒か銀あたりだろう。

2018年05月14日

手順

 速く作るには、作り始める前に手順を確認することが時間節約の第一歩だ。設計には時間を掛ける。

 作業台を広くする。ワークを回転させるものならば、邪魔にならないように周りを整理する。作り始める前に、すべての材料を並べる。ハンダも何を使うか決める。コテか炭素棒かも決めておく。

 工具を使用手順の順序に並べる。刃物の切れ味を確かめる。工具が揃っていない時は着手しない。作業中ものを探すことが無いようにする。

 部品をいくつ作るか計算して、プラス2個作る。多くても少なくても2個余分に作ると助かることが多い。今回は54個の補剛材 stiffenerが必要だから56個作っておく。はめ込む先のアングルの角は甘いので、補剛材の先端には大きめの面取りを施すことを忘れてはならない。多少隙間が空いてもハンダが浸み込んで解決する。

 電動丸鋸で所定の寸法に切って、フライスで補剛材をアングルの厚み分を削る。本物では、さらに平板をその上に固着している。そこまでやっても誰も気が付かないから省略する。
 内部の哨屮譽ぅ垢眈蔑する。捩じれに対する剛性を減らすのが主眼だ。

section 下面の哨屮譽ぅ垢世韻惑い板で作って付けておかないと、回転時にたわんで、ずれが出る可能性がある。
 これで完成だ。台車部分は取付け時に欠き取って高さを合わせる。今作っても仕方がない。

 昔、祖父江氏のところで作業を見ていたが、作業時間を口に出して、必ずその時間で終わるのが興味深かった。失敗がないので、まず間違いがない。こちらは素人なので、失敗の復旧時間が多かった。
 祖父江氏は、
「失敗だと思ったら、捨てちめぇ。迷うことなんか、ねえんだよ。」
と言った。直すより作ったほうが早いのだ。最近それはつくづく感じる。ゴミ箱には、失敗作が無造作につっ込んである。それは金属回収業者のところに行く。叩き潰してから持って行くのだ。


2018年04月16日

続 軌框

tie lining-up jigremoving from jig すべてのキャットウォークの板を貼ってから、ジグを裏返し、枕木の安定のために貼ってあったマスキング・テープを剥がした。枕木を長い定規で押し込んだ瞬間に全ての枕木が外れた。肉を盗んだ効果は絶大である。

trimmed 直径は 900 mm(43.2 m) であるから、コンパスでけがいて角を切り落とす。cab (運転室)の位置を写真、図面等から確認し、追加のキャットウォークの材料を確保する。キャブ前のプラットフォームはかなり広い。 

 キャブの設計をした。UPの写真等から判断して、相当の大きさにした。木造かと思ったが、金属製のようにも見える。戦争中は真っ黒だったが、戦後は貨車のような茶色または赤になっているものが多い。どういう訳か、屋根はアーチになっている。

 操作盤は単純で、電車のマスコンのような形をしている。三相交流電動機のスター結線とデルタ結線を切り替えているようだ。それぐらいしか操作する物はない。ブレーキもなく、非常時は逆ノッチを入れたりしたのだろう。

 車輪は8個にして、2個ずつイコライズする。中心と合わせて5点支持だ。橋の構造体を薄い材料で作って捩じれるように製作する。そうすると回転時に、動きに落ち着きが出るはずだ。

2018年03月29日

端数処理

 Fortyniner は1939年頃、毎週日曜日の朝10時にシカゴを出て、火曜日朝の10時過ぎにサン・フランシスコに到着する特急だった。もちろん蒸気機関車牽引だ。一時期、流線形の機関車が充てられていた。

 たまたま、この2輌の詳細な図面集を持っている。それによると窓幅は 2 ft 8-1/2 inという数字が良く出て来る。(2 + 8.5/12)x 304.8 ÷ 48 =17.1979 mm となる。これをそのまま使うわけにはいかない。
 祖父江氏はすべて 0.5 mm 刻みで図面を描いた。
「なーに、人間の眼は0.5 mm以下は分からねえんだよ。0.2とかの数字を入れると大変だし、無駄なんだよね。」

 この話をすると、ムキになって、
「僕は0.5と0.6のドリルを眼で識別できる。」
と言う人もいたが、それはできて当然だ。1割以上も違うのだからわかるだろう。
 ここでの問題は、20 mm位の大きさのものに0.2 mmという数字を、足しても足さなくても、見た目にはまったくわからない、ということである。0.4だったら0.5にし、0.8だったら1とすればよいのだ。工作上もそのほうがずっと楽である。

 全部の数字を0.5刻みで出して足し算し、全体の寸法があっているかを確認する。たいてい 1.5 mm 程度狂っているから、どこでごまかすべきかを決める。対称性のある場合は対称を保つようにごまかす。
 窓の角は丸いから、その丸味のエンドミルを持っているかどうかを確認する。側板は所定の幅で大量に切ってあるから、それをジグに挟んで窓を切り抜く。DROあればこそである。あっというまに多数の窓を切り抜いてできあがりだ。

 同じものが多数あれば、レーザのお世話になるが、1枚きりならDROが早い。  

2018年03月11日

続 旋盤のカスタマイズを終了

lathe customized 後ろの切粉ガードは高さが足らないので、合板を継ぎ足した。その時横に延長して、回転するコレットホルダを付けたのだ。コレット群は、手の届くところにあれば探す手間が減る。結局、この旋盤はER25コレット専用機となった。貫通穴が要らない時は鋼製引きボルトで引いている。手前に置いてあるのはコレットの締め外しに使う工具である。28.5 mm(1-1/8インチ)のスパナがなかったので、このモンキィ・レンチが常備品になった。長いので楽である。

 切粉ガードの中ほどに棚を付けて、QCTPなどの部品を置く。アルミのアングルで手前に落ちないようにしている。左右は解放で、飛び込んだ切粉を掃除しやすいようにした。

 10mmの厚肉パイプを 4つ、旋盤で挽いて切断し、ブラス板にハンダ付けした。各種の工具を挿すようにしたのだ。剥がれては困るので、銀ハンダで付けた。融点が高いが、ガスバーナで焙ればすぐである。

 すべてのハンドルを取り替えた。オリジナルはガタガタの細い回転ツマミであったが、正確に廻そうと思うとある程度の大きさが必要で、丸味があったほうが良い。M4のネジを M5に広げ、新しい回転するものと取り替えた。ハンドルの丸味は大切である。

silver bearing solder 銀ハンダについて質問を戴いている。これは銀を 4 %含む無鉛ハンダであって、融点は約 240 ℃ でやや高いが、硬い。また、引き剥がしにくい。アメリカ製であるが、同等品は日本でも売っている。筆者は無鉛ハンダは好きではない。流れにくいからだ。強度を要求される場所に使う。
 
 日本ではオーディオ用として暴利で売っているようだが、効果はあろうはずはない。鉛ハンダで十分である。
 
 通販で買うのが楽だ。銀ハンダは高価であるが、本当はそんなに高いはずがない。銀 1 g は数十円なのだ。模型屋で売っているロストワックス部品の方がはるかに高価だ。           

2018年03月07日

フライス盤のカスタマイズを終了

 フライス盤の補強をした。

 この機械はコラム(縦の柱)が左右に倒れて斜めの切削をすることができるという、あまり聞かない不思議な構造を持っている。本来はワークを傾けるのが筋だ。批判を浴びて、直角固定のコラムを持つように変更になったようだ。

reinforcement この機械は傾ける機構のせいで、コラムが弱い。根元の剛性が足らないのだ。一番楽な補強は根元の部分に鋼製のアングルをネジ留めすることだ。大げさなものを考えていたが、スティールの肉厚アングル小片を見つけたのでネジ留めしてみた。ネジを締めた状態でやや大負荷の切削をして、途中で緩めた。切削痕を見ると、締めてあるときは、無い時に比べるとずっと良くなっている。測定器がないので手触りだけだが、凹凸が2/3以下になるような気がした。

 エポキシ樹脂を塗って、日本製のネジで固く締めた。これ以上のことは望まないことにする。ブラスの切削が主で、Φ6 以上の刃物は使わないから、これで良しだ。

customized milling machine 切粉が前に向かって飛んでくるのは避けたいので、1 mm アクリル板を使った防塵窓を作った。自在のホルダで位置調整できる。
 フライス盤のカスタマイズは、これにて一応、終了である。



  先回のお答えが少ないが、今のところ、すべて正解である。


2018年03月05日

タッピング

 最近は細いメネジを立てることから遠ざかっているが、タップを入れてある箱から、こういうものが出てきた。

tap holders 左が商品のオリジナルの状態である。右は直角に出た部分を打ち抜いたものである。細いタップを把持して回転するのであるが、左の状態のものはタップをよく折る。数本連続して折って、気が付いた。



 この横棒は無いほうが良い。人間の手は点対称にできていない。親指が2本ある人は良いが、普通の人はそうではない。この横棒にほかの指が引っ掛かる。筆者の経験では中指が犯人である。引っ掛けると、貴重な細いタップがぽきりと折れる。

 細いタップは高いので参ってしまう。先の方が折れただけなら、旋盤のチャックに銜えて、手で廻しながら砥石で磨って再生する。もちろん砥粒は受ける。
 折れた先は喰い込んでいるから、ステンレス塩水漬けで2日掛かって溶かす。多大な損失だ。

 横棒を抜くと、殆ど折らなくなる。細いタップ立てには力は要らない。下穴を多少大きめにすると楽に切れる。油を付けるとさらに楽になる。この2つを守れば、タップを折ることはない。筆者は小型電動ドリルの先に小さなチャックを付けて切ることもある。1.4 mmなら一瞬である。電動ドリルはしっかり保持して、即座に逆転する。意外に簡単である。ガラも使うが、電動も良いものだ。小型の自動逆転のタッピングマシンを作れないか検討している。細い電池式のもので十分だから、過電流を検知して逆転すれば良い。H5氏は、自動ではないが、細いタッピング専用機を作られた。非常にうまく作動するのを拝見した。

 もちろん、数が少なく、板が薄ければ、回転ヘッド付きのピンバイスも楽で良い。


XX2 ところで、これは何だろうか。丸い部分は直径 35 mmほどである。長さは 140 mm ほどである。スティールで作りたかったが、良い材料がなかったので、とりあえずブラスで作った。ネジは、M10-P1.5 である。久しぶりに太いネジを切った。

2018年03月03日

脱線

 脱線と言っても線路の上ではない。ターンテイブルの駆動部分にある集電用レイルから、集電車輪が脱線したのだ。うっかりそのまま廻したので、レイルは外れ、車輪が横に押されてばらばらになった。大事故である。完成してからでなくて良かった。

 原因は円盤を載せて組み立てる時、車輪が外れたまま、はめたのだろう。脱輪したまま回転させたので、レイルが外れ、車輪およびテコが壊れた。
 車輪幅が4 mmしかなかったのは間違いであった。精密に作ってあるから脱線しないはずだったが、組立て時のことを忘れていた。脱線はありうる。

electrical pickupsturntable disc すべての集電装置を外し、作り替えた。車輪幅は11 mmとした。レイルは細かく補強を入れ、ハンダ付けの数を3倍にした。もうこれで壊れることが無いはずだ。
 集電車輪ではなくローラになった。レイルとの接触痕は中心部につくから、問題は起きないだろう。回転させると6個のローラが廻る。抵抗はかなり少ない。

 ターンテイブルは、大きな精密機械であって、作るのは大変である。据え付けをするには3人がかりで支えなければならない。
 基盤は24 mmの合板、ディスクは15 mmの合板で作ってあるが、これだけ大きいと多少撓む。撓まないように補強を入れることにした。チャンネルを熔接して付けることになるかもしれない。回転部の中心は、スラストベアリングを追加することにした。


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