ちょっとした工夫

2022年09月28日

ケガキ用ノギス

 ケガキにはノギスを多用する。本当はやってはいけないのだろうが、この方法を採用する人は多いはずだ。この方法は昔からTMSにも書いてあった。

Mr.Go Ito's 伊藤 剛氏のノギスである。両方の爪を削ってある。すなわち、右でケガき、左でもケガくことができる。剛氏の遺品にはこの種の工夫が多い。外寸法測定側(下)だけが削ってある。



Mr.Uchino's これは内野日出男氏のケガキ用ノギスである。片方を短くし、尖らせてある。照明の具合が悪く、影になってしまったことをお詫びする。上側の爪と同じような形である。
 これは理にかなっている。長い方を深く保てるので、距離が斜めにならない。すなわち正確にケガける。
 不思議なのは、内寸法測定側も同じように削ってあることだ。内寸法側でケガくことは少ないと思う。孔の縁に沿って一定の距離で線を引く事があるのだろうか。それほど機会はないものと思われる。  

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2022年09月22日

SP の inertial separator の排気管周辺

 SP Southern Pacificには山岳路線が多い。トンネルの中でも確実に働く機関車を長年に亘り、作り続けて来た。より低い温度の空気を吸い込むために、ラジエータの吸気は最下部から吸う。

inertial separator on SP engine (1) モータ冷却用の吸気は高いところにあって、しかも慣性による塵埃分離機で濃縮されてゴミをたくさん含む排気は、すぐその上から放り出される。トンネル天井面にあたって跳ね返るのもあるだろうが、大きな問題は低速時に気流が周回することだ。要するに排出したものが、すぐに吸い込まれてしまう。

inertilal filter hatch on SP engines これを防ぐには、その「周回気流が発生する位置」を上げるべきである。そのためにSPは1980年頃から、奇妙な板を水平に取り付けている。足は4本で、排気口を延長している。この図を見るとその効果がわかるだろう。なかなか賢い解決法である。

inertial separator on SP engine (2) 工作は簡単で、SPの機関車らしい賑やかな外観が再現できる。 

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2022年09月18日

続々 DDA40X を作る

building  a DDA40X  (3) DDA40X はエンジンフッドの中央部が盛り上がっている。それをどう作るかが一番の問題点である。
 前回は左右の盛り上がりを別々に作って中央で接ぎ合わせた。その接ぎ合わせのときに幅を決めねばならず、面倒であったし、計算値と現実は合わないこともあった。

building  a DDA40X  (1) 今回は左右を余裕を持たせて切り、隙間を空けた。その隙間には、後で帯材を嵌めてハンダで埋めることにした。別の大きな板で上を覆うので、わずかの距離の分しか見えないから、さほど大きな問題ではない。上の板は完全に密着させねばならない裏から63%ハンダで全面ハンダ付けである。下になる板には孔をたくさんあけておいて、流れ具合を確認する。この操作は非常に簡単である。この写真でアメリカのブラスの色がよく分かる。黄色である。快削で硬い。

 5本の6x6角材をフライスで高さを整えて削り、嵩上げ分を確保した。車体に載せて、上の張り出し分をハンダで仮留めしてから外し、確実にハンダ付けした。すなわち、車体との隙間は全く無くなる。

DDA40X Body section 車体側には、その角棒が当たるところに孔をあけ、嵩上げ部分を押し付けて炭素棒で加熱してハンダを完全に沁み込ませた。非常に強い車体になった。中央部が、通路として欠き取られて細くなっているが、強度は十分である。 問題はファンの取り付けである。こういう部分を動かすのは、筆者の趣味ではない。見えないところに手を掛けて、色が剥げたり、部品が欠落するのは耐えられない。


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2022年09月08日

続 DDA40Xを作る

DDA40X 3 (1)DDA40X 3 (2) ラジエータ・グリルの延長部分を作らねばならない。前回作った2輌をどのように作ったのだったか、40年以上も昔で、しかと覚えがない。
 ロストワックスではないように思う。木型を作って、近くの鋳物屋でふいてもらったような気がする。砂型鋳物特有の表面の色を持っているからだ。もうその鋳物屋は廃業して久しい。あるいはロストワックス鋳物をもらったのかもしれない。

DDA40X 3 (3)) 斜面が3つあり、曲面でつながっているところもある。実物は薄い板金製であるが、模型はブロックをヤスリで削り出さねばならない。フライス盤で、目見当で粗取りし、近い大きさまで削る。それを太い角棒にハンダ付けし、万力に銜えてヤスリで削るのだ。

 仕上工であった祖父江氏のテクニックを思い出している。こういうものは2つを左右対称に置く。削って、目的の形にする。
「なーに、人間の目は意外に確かなんだよ。左右対称に置いときゃね、違いがよく分かるんだぁ。」
 こういうときのヤスリ作業は、大きな単目ヤスリを用いる。ザクザクと削って行くのだ。新しいヤスリはよく切れる。  

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2022年08月27日

SD40 の改装

brothers of SD40'sbrothers of SD40-2's (2) SD40は1970年代に活躍したEMD(GMの電気機械部門)の6軸機関車である。これが改良されるとSD40-2となり、ますます売れてアメリカ中の鉄道がこの機種を購入した。それは”ダッシュ2”と呼ばれた。ダッシュが付いた機関車は電気系統に大幅な改良(制御回路をユニット化、HTC台車採用)を施して、メンテナンスが楽になった。外見上は長い下廻りに短い SD40 のボディを載せたので、前後にporch が付いたようになった。T-2は車体が長いので後ろの隙間がなくなり、この機関車はスヌートなので前も隙間がなくなった。SD40だけはKTM製。最近ヤフー・オークションにも出ていた。
 写真は上から、SD40T-2、SD40-2、SD40。 

reinforcing engine hood さて、これはKTM製のボディシェルに補強を付けている様子である。2つのタブにはネジが切ってあって、それが床下からネジで締められる。そのネジ穴付近以外を持つとどうなるか、はお分かりだろう。凹んでしまって隙間が空く。ブラス板が焼き鈍してあるからだ。微妙な歪みが出ても、焼き鈍すべきではなかった。HOでは問題にならなくても、Oの大きさではもたない。
 仕方がないので、4 mm角の棒を貼り付ける。タブに当たりそうなところは、フライスで削り落としておく。クランプで挟んでガスバーナで炙ると、63%ハンダは瞬時に融け、隙間に沁み込む。一瞬で完成である。このハンダの持つ特性を最大限に生かした例である。上は取り付けた状態、下は原状。

 この程度太いと、持ったときの剛性が全く異なり、「ゴン」という感じがする。  


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2022年08月19日

stress release

 日本製のディーゼル電気機関車は繊細な仕上がりで、素晴らしい出来である。しかし、全体がエッチングされた板で出来ているので妙に柔らかい。剛性がないので、ボディを持つと少し撓む感じがする。機関室が狭くなると隙間が見えたりして気分が悪い。仕方がないから、内側にstiffner(補剛材)を入れて剛性を大きくする。

stress release by etching アメリカ製のキット(CLW)の板は堅い。そう簡単には曲がらない。それを切り開いた残骸が残っていたので、裏を見てみる。
 表面をエッチングすると、その部分の応力が開放され、板が微妙に曲がる。中間にはその模様が少し見える。これが気になる人がいるので、日本ではエッチングする板は焼き鈍した板を用いる。だからクタクタなのである。衝突すると、かなり悲惨な状況になる。

 アメリカ製の場合、板は快削材である。すなわち堅い。そう簡単には曲がらない。組む前に板が微妙に反っていれば、修正を施してから組むだろうが、その歪みは微々たるものだ。組んだものは反っていない。
 この写真の筋は微妙な曲がりを補正したものである。左の方には、うっすらと歪みが見える。

 もう日本のメーカが模型を作って輸出するとは思えないが、堅い材料で作って欲しいものだ。焼き鈍したものを使うのは、やめるべきだ。軽衝突でさえ、歪んでしまうのだ。しかも重い機関車は、持つところが悪いと凹んでしまう。 

 以前にアングルがエッチングで溝を掘って曲げやすくなっているのを紹介した。くたくたで全く役に立たない。そういう部品こそ、快削材の板で、焼き鈍しせずに作って堅くすべきだ。多少歪みが出ても曲げるのだから問題ないはずだ。(本来はエッチングの溝無しで曲げて欲しいが、その腕がなければエッチングで少し溝を掘っても良い、という意味である。) 
 要するに、エッチングするものを全て焼き鈍し材から作るのはいい加減にやめるべきだということだ。 

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2022年08月13日

Loctiteを使う

gear centering jig (1) ディーゼル電気機関車の40インチ動輪軸に、歯車を組み付けねばならない。正確に動軸の中心に来るように、ジグを作る。ロックタイトを使うので、それがジグに付着すると取れなくなる。また、はみ出したロックタイトがジグに付かないように、逃げておく必要がある。

 ジグは丸棒から旋盤で挽き出した。許容誤差は 0.03 mm以下なので、何度も計測して作り、磨いた。

gear centering jig (2) 絶縁側は、車軸を圧入してあるので外せないから、そちら側(右側)のボールベアリングは先に入れて置く。ギヤを入れてロックタイトを手前に塗る。この写真では写真写りを考えて、塗る量を多くしている。本当は、少しで良い。ジグを嵌めて車輪をネジ込む。


gear centering jig (3) ギヤを廻しながら左にずらして、ロックタイトをなじませる。20秒ほど待てば固着しているから、あとは車輪を外して、ジグを外すだけだ。
 ロックタイトは購入後20年ほど経過している。心がけが良いせいか、よく固まる。はみ出した分は、綿棒に溶剤を滲み込ませて、拭き取る。拭き取りが不完全であると、もう一つのボールベアリングを滑り込ませたときに、固着してしまう。 
 また、ジグの内径は車軸よりも 0.5 mm程度太くしておかないと、何かの間違いで固着してしまう可能性がある。

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2022年08月03日

定常状態

 機関車の効率測定には、まともな勾配線を導入することを薦めたい。列車全長の2倍程度の均一な勾配を用意して、定常状態のドローバー・プル(牽引力)を測定し、速度を測定すれば、機関車の出力はすぐ出る。
 この「定常状態」の意味をよく噛み締めたい。勢いを付けて「ほら登った」というのは小学生の発想である

 長くて均一な勾配を用意する、というのは意外に難しいことかもしれない。過去に見た勾配線は、どれも勾配が不均一であった。
 当博物館の複々線は、精密に出来た勾配線である。その内側の見えないところに、HOの勾配線を作り、定常状態の運転をして出力測定して、効率を求める、ということは考えられないことではない。安定な電源と光電式のタイマがあれば、測定は容易である。希望者が多ければ、その線路を敷くことには、やぶさかではない。その勾配は精密にできていて、誤差が殆ど無いから出力測定には適する。
  
 定常状態と言うべきところを、平衡状態であると勘違いして使われている事が多い。平衡というのは見かけ上の釣り合いではない。エネルギィの出入りのない状態を考える必要がある
 例えば電車が均一な坂を登るとき、あるノッチでその電車が一定速になると平衡速度と言う人もいるが、正しくはない。エネルギィは投入され、その大部分は位置エネルギィとして蓄積されている。均衡速度と言うべきだ。

 ハンダ鏝に通電すれば加熱され、一定温度になる。平衡温度と言う人もいるが正しくはない。エネルギィは投入され、周りの空気を温めて逃している。
 これらは定常状態 steady stateである。平衡はequilibriumであって、密閉系の中でしか考えられない。一定温度の瓶詰めの内部の蒸気圧は平衡圧である。そこでは物質、エネルギィは外界とやり取りされていない。

 面倒なことを省いて書けば、定常状態での測定は、こういうことだ。
 列車を牽いて斜面を登る機関車の、機関車と炭水車を結ぶ連結棒にバネ秤を付けた状態で、炭水車と列車とを牽き上げる。その時、電流値に増減があってはならない。速度も電流値も一定である時、引張力と速度を測定し、その積を求めれば出力は求められる。それを電源の出力で除せば効率が出せるが、日本でこれをやったという人を他には知らない。正確で長い勾配があればできる。均一な列車(全て同一質量を持つ貨車で編成)を牽き上げながら、機関車が平坦線に載っているときに速度を測ればよいのだ。
 列車長は 40 m近くあり、勾配は 15 mほどだから可能である。  


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2022年07月24日

EMDの機関車群 5

GP7's (2) これらのGP7はいずれもジャンクから作ったものである。1960年以前のものをアメリカの中古市場で買い集めた。左は Kemtron の初期のキットである。厚さ50ミル(1.3 mm弱)の板から出来ていて、エッチングの深さは0.3 mmもある。とても重い。All-nationの下廻りを使うことが指定されていた。起動電流は2 Ampsほどもあった。3条ウォームに作り変えたところ、50 mAで起動するようになった。

GP7's (1) 左から2番目も、Kemtronの後期のキットである。板は多少薄くなって40ミル(約1 mm)である。これも部品が欠落していたので作った。排気管はまさに煙突で、飛び出している。根本に支えが付いていて、それをどう作るか、かなり考えた。結局、伊藤 剛氏の方法で、切れ目を入れて長い板を差し込み、座板にハンダ付けしてから耳を切り取った。簡単で良い方法だ。

GP7's (3) 3番目は1955年にMax Grayがカツミに注文して作らせたGP7で、その残材が祖父江氏のスクラップ置き場にあったのを拾ってきたものだ。 フッドはコの字に曲げてなかったので、切り離して角材にハンダ付けし、角を丸く落とした。曲げるよりは、簡単で安全な工法である。
 キャブはSD7用のを見つけたので僅かな改造を施して付けた。不足部はスクラッチから作ったが、ロストワックス鋳物を安く買えたので、細かい部品を付けた。排気管が平面で、面白い形である。


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2022年07月18日

続 EMDの機関車群 3

 GP38-2は、2000馬力の中型機で、ターボ・チャージャがついていない。ルーツ・ブロワによる掃気である。音が違うので、遠くからでもわかる。
 以前採り上げたとんでもない作りのジャンクだ。丁寧に焙ってバラし、全て削り直して作った。CLWのキットはこのような作り直しに耐える。板が厚いということは何よりも大きな利点である。ハンダ付けはクランプで挟んでガスバーナで炙れば良い。完全に密着させる事ができる。

 エンジンフッドはやや薄く、0.8 mmである。頼りないので、上下の組合わせ部分を工夫し、噛み込むようにしたから、強く掴んでも安全である。薄いと、エンジンフッドを持って持ち上げると凹んで壊れる可能性が高い。

両軸化する 下廻りを仕上げている。両軸モータで直接に駆動すると、伝達効率が高くなる。両軸モータは高価なので、ロータリィ・エンコーダの付いているものを探し、そのエンコーダ部分を壊す。軸の太さは異なるが、旋盤でスリーヴを挽いて取り付ければ良い。

 安価で手に入れたものが、高性能な機関車に生まれ変わる。こういう瞬間は、何度経験しても嬉しい。筆者自身のコレクションの機関車で、新品完成品を買ったものは一輌もない。

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2022年07月14日

続 EMDの機関車群 2

 安価なジャンク品では部品が足らないことが多い。使えそうな部品を取って、売るのであろう。この場合も排気管の鋳物がなかった。 

EMD GP15 (4) t 1.5の板を4枚貼り重ね、フライスで正確な座標で細穴をあけて、後で中の長穴を切る。パイプを潰して扁平にする。この時、パイプは焼き鈍して、中に芯金を入れて挟むとこのような形のものができる。芯金は硬くないといけないから、ヤスリの柄を使った。芯金がないと雪だるまのような形になってしまう。芯金に当たってからも力を掛けると、形態が落ち着く。要するに、全体に応力を掛けて塑性変形させるのだ。
 また、芯金は二段階程度を用意しておくことがコツである。一回では思うような形にならない。もちろん、万力の口金は研いだものを用いるのは言うまでもない。掴み代がないと作業しにくいので、それは後で切り落とす。

EMD GP15 (5) 細穴に線材を押し込んで所定の位置に置き、例の押さえで全体をセットしたのち、塩化亜鉛水溶液を塗って63%ハンダの小片を横に置く。ガスバーナで軽く炙ると、ハンダはすべての接合面に一瞬で沁み込んで、完了する。こんな簡単なハンダ付けはまずない。しかし、これをやっている人は少ないように思う。銀ロウ付けも全く同じ感じである。

 はみ出したハンダはそのままでも良いが、塩化亜鉛を塗った平編み線を当てて、炭素棒で触ると、余分はすべて平編み線に吸い込まれる。ハンダの色が見えていないハンダ付けは、付いているかどうかわからない。

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2022年06月24日

続々 8軸ディーゼル電気機関車を作る

 4軸台車は、実物の保線屋からは嫌われていた。軸距離が長く、横圧でポイントを壊すのだそうだ。軸重は30トンもあるので、破壊力はあるだろう。

 台車は必要数以上に用意した。Bill Melis の型を持っている人が居るので、それから作ったものもあるし、KTM製をアメリカで買ったものもある。
 細かいパーツは自作の部品をロストワックスで作ったから、問題ない。但し、台車は2種あって、互換性がない。

4-axle trucksknock pins KTM製は台車ボルスタの鋳物が薄くて、弱そうだ。Billの方はかなり分厚い材料を使っているが、1本なので、台車枠がガタつくおそれがある。ガタをなくすには、このようにピンを植え込んでハンダ付けしておく。ネジ一本で完璧な組立てが可能である。ピンが長いと組立てに手間がかかるので、太さくらいの飛び出しで十分だ。先は角を落としておくと、組立てが容易だ。

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2022年05月29日

ロックタイトを外す

 友人から、SOSが入った。ロックタイトで付けたときに、部品を入れ忘れたらしい。どうやっても取れそうもない。困り果てて電話してきた。

「物理的に外すのは無理だよ。」と伝えると、泣きそうであった。大事な部品を壊さざるを得ないと、考えたようだ。

「ハンダゴテで熱くしてみて。」と伝えると、半信半疑だった。車軸の他の端にはPOMで出来た絶縁が入っている。それが融けるのではないか、と心配した。Low-Dの1軸を捨てることになるけど、大事な台車を壊すよりはマシだ、と温めたそうだ。

 すぐに電話が入って、「取れました!」と叫んだ。絶縁も生き残ったそうである。しかし、動力車に使うのは避けて、トレーラに使うと言う。
 その返事を聞いて、筆者も試してみた。POMの嵌っている絶縁の方を、水に浸けて固定した。そして、大きなコテを歯車に当てると、2分くらいで緩んだ。
 水に浸かっている限り、100 ℃を超えることは無い。すなわち安心である。Low-Dの車軸は、ステンレス製であって、熱伝導率が小さいということも、プラスに作用した。


LOCTITE ロックタイトは、250 ℃に保つと取れる、と説明書にはあったように覚えている。買ったのは20年ほど前で、説明書は紛失した。600番台の強力型を買ってしまった。模型用なら200番台で十分だ。大きな瓶だが、中身はちょっぴりだ。使った量は数 mLだろう。何年経っても何ら問題なく使えるというのは、素晴らしい。 

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2022年05月19日

続 NK氏の換装手順

 NK氏はたくさんの改装予定機関車をお持ちである。だから、改装を手際よく行えるよう、下準備に時間を掛けている。

 ギヤを車軸の中心に留めるのは、簡単そうに見えて、意外と難しい。ロックタイトの接着力は非常に強く、一度固着したら、まず外せない。エポキシより強い。剥がすのは難しい。250 ℃ほどに加熱すると緩むが、常温ではまず外せない。ボールベアリングの中に流れ込んだり、モータ軸に入ると、修復不能である。
 そういう点でも、位置決めジグは作っておく価値がある。筆者もいくつか持っている。また、ウォームを軸にネジ留めするものだと思っている人もいるが、それは、偏心して騒音の元であるし、効率はガタ落ちである。 

 余分の拭き取りは、極めて大切である。綿棒を斜めに削いだものを作っておき、それにわずかの溶剤を含ませて取ると良い。綿棒にはかなりの種類があり、削ぐと分解してばらばらになるものがあるから、注意が必要である。

 抜き工具は軟らかい材質でなければならない。硬い鋼製のポンチでは相手が参ってしまう。傷がつくと同時に膨らんでしまったり、斜めに凹んだりして、組んでもまっ直ぐに入らない。このあたりのことは機械屋さんならば常識なのだが、模型人にはほとんど浸透していない。以前コンコン改軌という話題を出したが、あまりピンと来ない人もいるようだ。

 ボールベアリングの下には油膜があるべきだということも、ほとんど誰も知らない。こういうことは模型雑誌で周知すべきことなのだが、記事で読んだ覚えがない。
 今回希望者に配布したΦ2の精密シャフトにミシン油を塗って、ボールベアリングを滑り込ませた感想を戴いている。
「本当にぬるぬると入りました。初めての感触で、病みつきになります!」
とあった。このようなシャフトを量産できる技術力のある国に生まれたことを、感謝したい。製造元から買うので、価格は信じられない位、お値打ちだ。ただ、最低ロットが大きい。

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2022年05月15日

不可欠なこと

 要点は次の3点である。

反トルク承けを付けていない機関車は、まともには機能しない。モータ出力の一部あるいは大半が、モータ軸受部のスラストの摩擦で消費される。また、ゴムジョイントの内部の損失に費やされる。 

・反トルク承けが付けば、ギヤボックスは完全に浮動させることができる。モータ軸との動力伝達は、何らかの自在継手によらねばならない。スペイスがあれば、伸縮できるユニヴァーサル・ジョイントで良いが、狭いところに入れるには、六角ジョイントが良い。

・普通のギヤボックスのウォームの前後に発生するスラストを確実に処理する事が必要である。これさえできれば効率はかなり上がるのだが、実際にはそのスペイスがない。今回頒布のギヤボックスはコンパクトにまとまり、組立ては容易である。
「押して動く」を喧伝するのは結構だが、その前にこのギヤセットの伝達効率の高さに気付くべきである。無音の動力伝達が可能である。ギヤ音のする蒸気機関車が存在するわけがない。 

 効率の良いギヤセットだから、押して動くのである。押して動かすのが主目的ではない。正しい歯型、適正な研磨、正しい潤滑、正確なギヤボックス内での組み合わせ、がないと、このような性能は得られない。  


 たくさんの問い合わせを戴いているが、動輪の嵌め外し、位相合わせの道具、またはテクニックをお持ちでない方には、直ちには薦められない。友人に可能な方がいれば、依頼すべきであるし、ご自分でやろうとすると、それなりの投資が必要である。プレスを使わないと失敗する
 換装マニュアルを配布している。ご希望の方はコメントの本文に連絡先を書いて投稿されたい。

 一番良いのは、腕に自信のある方が適価で換装を請け負うことである。決して難しいことではない。次回はその簡易な方法を紹介する。 

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2022年05月13日

続々 作用・反作用

吊掛式 吊掛け式は、このようなものである。モータの反トルクは内部で解決し、外には現れて来ない。すなわち、この方式では、吊掛けアームはモータのトルクでねじれない程度の剛性を持たねばならない。モータのトルクは知れているから、適度な厚さがあれば十分だが、減速後のトルクは大きいので、その反トルクで長手方向が折れない程度の強度は必要だ

 さて、動輪の回転による反トルクはどこに来るだろう。それはこの吊掛けアームの最後端である。主台枠には1点で接するようにするのが理想的だが、実際には難しい。ゴムブッシュなどで緩やかに留めると、動輪が片足持ち上げたときに、不都合がない。

 このとき、モータ軸とウォームギヤ軸をゴムジョイントで結ぶ人が多い。このとき、全く問題が起こらないのは、極めて稀なことらしい。ゴムへの差し込み具合とか、わずかな軸ズレ、ゴムチューブ自身の曲がり等があるから、調整は極めて難しく、静かに走らせることはとても難しい。

 だからこそ、その全てを一挙に解決する六角ジョイントが有効なのだ。

 実例を見てみよう。I 田氏の作例を参考にさせて戴く許可を得た。
P1100544 この例は、理屈通り剛性を高めた構造である。途中は六角ジョイントで結んでいる。このジョイントに出会う前は、かなり調整に苦労されたようだ。このように述べられて、性能向上を実感されている。

 シャフトの伸直性確保・偏心の解消など、ゴムジョイントの調整に苦労したD52の換装とは違って、モーターを付けたままでの逆駆動も簡単に実現。

 
この図も1976年のNMRAの会報から切り出して編集している。

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2022年05月11日

続 作用・反作用

 反作用は、何らかの方法で承けて、モータ軸にスラストが掛からないようにせねばならない。
torque arm そこで登場するのは、この古典的なトルクアームである。この機関車は1964年頃、カツミからアメリカに輸出された。実に正しい設計で恐れ入った。トルクによるギヤボックスの倒れを確実に防いでいる。これは力の強いOゲージの例なので、このような構造を持たせざるを得ないが、HOゲージ以下なら簡略構造で十分だ。それが先回の井上氏の工夫である。

 板バネは、座屈することが無い程度の厚みを持てば良い。短ければ t 0.25で良いだろう。これは裏側なので短くできるが、上に付けるときは長くなるので、もう少し厚くするべきだろう。

torque arm 板は t 0.5以上を使うべきだろう。台枠との結合部は動けるようにしておかないと、ギヤボックスが上下に動きにくい。井上氏の方法が賢いのは、トルクアームに弾力のある材料を用いることにより、その取り付け部を固く締めても問題が起こらないところだ。


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2022年05月09日

作用・反作用

 連休中に届いた3条ウォーム関連の部品をまとめて、注文者に発送した。数が多いので、なかなか大変であった。購入者の方は、部品の不足などがあればお知らせ願いたい。
 マニュアルが未完成であったので、友人に見てもらって書き直し、配信した。写真をたくさん入れたので分かりやすくできたと思う。写真は、I田氏 と brass-solder氏の快諾を得て、貼り付けることが出来た。

井上式トルクアーム その brass-solder氏の写真である。これは井上 豊氏の工夫だ。HOの大きさなら、これで十分である。板の厚さは吟味しなければならない。短いものなら、t 0.25で十分だろうが、長くなると t 0.4は必要だろう。実験によって決められたい。

 トルクアームの効果を再確認する良い機会であるから、解説したい。

reaction ギヤボックスを浮動させ、トルク(回転させる力)以外の出入りがないように作るとどうなるだろう。動輪が廻ると、タイヤはレイルを蹴って前に進もうとするが、反トルクによりギヤボックスは後ろに倒れようとする。昭和20年代から、その反トルクは極めて怪しいゴムチューブで承けられていた。ほとんど何の進歩もなく70年以上経った。最近はゴムの材質が変わったので、良くなったという人がいるが、客観的なデータを取ったという話は聞かない。

 先日も、「ゴムジョイントの調整が難しく、時間がかかって仕方がない」という話を聞いた。しかも逆転させると調子が悪いと言う。
 それはそうだろう。モータというものはスラスト(軸方向の推力)に耐える軸受など持っていないのが普通だ。トルクだけを出力するように設計されている。 
 しかも、ゴムチューブには剪断力まで掛かるようになっている。だから、正直な所、何をしても無駄なのだ。

 この図は1976年のNMRAの会報から切り出したものを、多少改良している。  

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2022年05月01日

六角ジョイントの装着マニュアルを書く

 六角穴の中には粉が入っているので、それを取り除く。洗剤を付けて歯ブラシでこすると取れる。

 六角ナットは角を落とす。ネジに取り付けて旋盤で落としても良いし、ドリルレースでも良いのだ。要するに角がなくなって中央部分だけが最大径を持てば良い。先の丸い六角レンチが良い見本であるが、そこまでやる必要もない。

 六角ナットはM1.4のネジを切ったシャフトに付けても良いが、中をえぐってシャフトに嵌めても良い。このとき、隙間が小さければ、ロックタイトで良いが、ハンダ付けでもかまわない。微妙な振れは吸収されてしまう。

 モータ軸とギヤ軸は、向かい合わせてほぼ一直線にする。大きなズレは吸収できない。その状態で、ギヤボックスがどこにも支障せずに浮動していることを確認する。バネのストローク内で引っ掛からないことが大切である。

 ギヤボックスが上下しても、動力伝達部がほとんど動かないように、トルクアームを付ける。トルクアームの一端はギヤボックスに、他端は台枠から生えた承けに、ネジ留めする。トルクアームは曲げ応力がかからないようにすると、薄い材料が使える。接線方向に伸ばすと良いのだ。

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2022年04月29日

続 六角ジョイント

 六角ジョイントはかなりの数が出ていった。評判は良い。中の隔壁と六角ナットの間には、弱いバネを入れて浮動させねばならない。
「ケイディのバネを入れて下さい」と書いておいたのだが、そのバネがないと言う。その方は、Oゲージ用のバネだと思ったようだ。「HOの連結器のパッケージに余分に入っているもので十分である」と伝えると、完成の喜びを伝えてくれた。

 ブログを拝見して、走行不調の原因を見出しました。(前後進で調子が異なるのは、ゴムジョイントモーターにギアを直結する  )

 HO用バネを挿入してみたら、懸念していたバネが六角穴の中で転ぶこともなく 良い具合に遊動しました。FEFとCallengerに使用したところ、前後進とも低速からスムーズかつ静粛になり、感謝感激です。

 他にも様々な感想を戴いている。

 反トルクがこんなにもあるということに、今まで気付かなかったのは情けないです。後退時にジョイントが抜けたので、気付きました。トルクアームを付けた瞬間にその機関車が生き返りました。今までの30年間、何をしていたのでしょう。素晴らしい走りです。友人に見せたら驚いていました。
 

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2022年04月05日

貨車を塗る

black laquar painted 寒くて大雨が降ったが、その後急に天気が良くなり、塗らずには居られない陽気になった。

 塗る準備のできた車輌を箱から出し、同じ色のものを並べた。黒が多い。ところが黒のエナメル塗料が足らない。困ったなと、塗料の棚を見ていたら、モノタロウ・ブランドの黒のスプレイ缶があった。いつ買ったのかは忘れてしまったが、ここ3年位のものだろう。ラッカー・スプレイである。

 筆者は、ラッカー塗装はここ40年ほどしたことがなく、全く自信がなかった。エナメルは濃いめにして塗料を載せていく感じである。
 溶剤は即乾性のものを用いれば、あっという間に終わり、その後12時間ほど放置すれば、酸素と反応して固まる。失敗してもシンナーのスプレイを浴びせれば、1面だけ落とすことも不可能ではない。 

 エナメルに慣れている筆者にとっては、ラッカー塗装は冷汗を流しながらの作業である。
 缶をよく振って、全体に薄く掛ける。それを何回か繰り返した。奥まったところは注意して、入る角度から吹き付ける。決して近くからはやらなかった。遠くから吹き、生乾きになるまで待って、次の回の吹付けをする。意外と時間が掛かるものである。奥のホッパはリブが多くて入隅の奥まで塗料を入れるのは、なかなか大変だった。 いつもなら、細い筆で先に入隅だけ塗っておくのだ。こうすると塗料を大幅に節約できる。

 太陽熱で程々の温度になり、カブリもなく仕上がった。いつものエナメル塗装よりうまく行ったかもしれない。
 6輌塗ったら、かなり疲れてしまった。近所の人は、何をしているのだろう、と見ていた。黒いものなので、多分わからない。 

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2022年04月03日

客車の連結器

 ブラス製の客車が発掘されたので、軽改造を施し、走行できるように整備中である。

coupler mount 連結器の取付け位置を、直さねばならない。オリジナルはケイディを採用して、車体の妻の部分に付けてある。ここは弱い。エッチングでリヴェットを出した t 0.5板を組合せただけの構造で、床も t 0.6であるから、弱い。エッチングされた板は焼きなましてあるので、くたくたである。

 衝撃があると曲がるはずだ。それは連結時の衝突でも起こる。10輌編成の質量は 12 kgを超える。それが 0.1m/s でぶつかっただけで、修復不能になるほど歪むおそれがある。転がりが良いので、衝突速度はさらに大きいこともある。 

extended frame それではどうすればよいか。床板は t 1.0 のブラス板で、焼きなましていないから十分に堅い。そこに、3x25 断面のブラスの平角棒を取り付ける。その延長上に連結器が来る。連結器の根本は台車の近くにある。台車ボルスタ部分は削って少し薄くしている。

 それなら、連結器の腕部分を支えるガイド枠をケイディの部分に付ければ良いではないかとも思うが、衝突時のショックで腕は上下に押される可能性がある。そうすると車端部はくしゃくしゃになってしまう。腕の通るガイド枠も、剛性のある骨に付けた連結器座と一体にする必要がある。この平角棒は、エポキシ接着剤を塗ってネジで締めると完全に一体となり、大きな剛性を示す。
 この種のことは、経験のない方にはお分かり戴けないだろうと思う。重いものがぶつかると一番弱いところが壊れる。連結器はボディ側に付けてはならないのだ。HOの車輌では、ボディ側についているものが大半だ。

 様々なメーカでOスケールの客車が作られているが、この連結器部分がまともなものは、見たことがない。

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2022年02月24日

ディジタル・ノギスの動作不良

 所属クラブの会員からの要望もあって、アメリカからノギススコヤを取り寄せた。その時の連絡の中に、
「以前買ったディジタル・ノギスの動作が不安定で、買い替えのチャンスだと思いました。」
というのがあった。それは何かの勘違いだ。そんなに簡単には、壊れはしない。

 実は、その種のトラブルは、筆者も何度か経験したことがある。切削作業中のDROのディスプレイに、あらぬ数字が飛び出してきて、それがぱらぱらと変わる。今までの読み取り(0点を起点とする)がどこかに消えてしまうのだ。全部やり直しである。電池を抜き差ししても、直らない。

 これは、細かい金属粉がノギスの棹(さお)と測定部の間に入っている可能性が高い。棹の表面には、ややこしいパターンを印刷してある。目には見えないが、プラスティックの目盛り板には、導電性樹脂のパターンがあるのだ。
 そのパターンを、数十個の静電センサで読み込んで演算し、数字を出している。だからその隙間に金属粉が入ると、異常を来たすわけだ。銅粉より鉄粉の方が異常が起きやすい。磁気でくっつきやすいのであろう。

 棹から測定部を抜き取って裏側にマスキングテープを貼り、剥がし取ると直る可能性が高いと伝えた。同時に棹の方も同じように掃除をすべきだと伝えた。

 すぐに、成功した旨、連絡があった。予想が当たって良かった。

 鉄粉が出るような作業をするときは、横に置いてはいけないわけである。掃除機で吸い取るのはもちろんのこと、あとで作業卓の周りを強力な磁石で掃除することが望ましい。  

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2022年02月18日

track cleaner

 track cleaner 自宅で使っていた線路磨きである。自宅地下室のレイアウトには短いながらもトンネルが有り、その中の掃除は面倒だった。これがあると、楽である。



 Micro Mark で売っていたものだ。20年位前に買ったが、価格は10ドルくらいだった。便利に使っていたが、博物館の方に主力が移ってからは、置き去りになっていた。

 先日クラブの会合に持参したら、使ってくれた。棒が長過ぎる感もするが、短く持って使うことは難しくない。
 製品は3分割であった。ネジがすぐ緩んで使いにくかったので、エポキシで固着させた。握りは綾目のロレットが切ってあり、滑りにくい。
 先端は硬い樹脂だが、研磨材が入っているらしく、線路が僅かに削れる感じである。

 最近地下室の整理を始めたので、面白いものが次々と発掘される。機関車や貨車以外にも、かなり出てくるのだ。いずれ、KadeeのTwin-Spikerも出てくるだろう。 
 金属材料、木材の発掘も馬鹿にできない量だ。木材とは堅木材料で、装飾用のものである。レイアウトの縁どりなどの材料である。
 塗料もたくさん出てきた。書籍類は、すでにかなり量の移動がなされている。 古い雑誌は面白い。

 地下のレイアウトをどうするか、考えている。きちんと仕上げてあれば残しておいてもよいが、中途半端では困るだろう。 

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2022年02月16日

シァでの切断テクニック

 しばらく前のコメントで祖父江氏のテクニックを書いたところ、いくつかの質問を受けた。もう少し詳しくとのことで、ここに紹介する。

shearing シァで切ることは剪断であるから、押し切られて、多少は塑性変形する。すなわち、角がダレて丸くなる。切ったものは、片方がダレて、他方は角が出るわけだ。


shearing2 連続的に切ると、切られたものはこうなる。片方は丸く、他方は角が出る。その板を模型の表面に貼ると、奇妙なものである。ダレた面と角の出た面が同時に見える。これを避けるには、わずかに大きく切って、切り口をヤスリで落とす。とても面倒であるし、その作業量が一定でないと、大きさに差が出る。これを避けるには、どうすれば良いのだろう。

shearing3 材料を送る時、最初の1枚は捨て(discard)、1枚ごとに材料をひっくり返す(flip over)のだ。すると、ダレの出る面は片方になる。すなわち反対側は角が出た面になる。ダレた方を下にしてハンダ付けすると、ハンダは沁み込んで、ダレた面をちょうど隠すぐらいに広がる。いや、その量のハンダを流し込むのだ。これには多少の経験が要る。
 四角の全ての辺をこのように切ろうと思うと、短冊に切る時も、ひっくり返しながら切る必要がある。板が大きいので、やや面倒ではある。

 このようにして貼った板は極めて丈夫に付き、剥がれることは、まずない。ハンダが見えないように、などと考える人は、このテクニックとは無縁である。


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2022年02月08日

切断機の整備

 遠藤機械の切断機の出入りが多い。最近はこの機械のディーラになったような気分になる。立て続けに古いものが持ち込まれ、処分を依頼される。ほとんど切れなくなったものもあるが、鉄クズで捨てるには忍びないので、再生させる。再生品はクラブ員などに世話することになる。

 刃がガタガタのものがある。全部分解して、刃を研ぐ。この種の刃は、当たり面を触ってはいけない。材料に接する面だけを研ぐ。荒砥、中砥と来て最後はアーカンソーで研ぐ。最初の二段はダイヤモンド砥石で研いだ。無茶な使い方をしていたらしく、刃こぼれがひどい。長時間研がねばならず、結局、ダイヤモンド砥石がタダの鉄板になってしまった。
 当たり面のカエリだけを擦り落とし、研ぎは完成だ。SK鋼の鈍い輝きはなかなか良い。

 刃が上下に滑る溝には薄い鉄板が入っていて、その厚さが切れ味を決めている。先回到来したのは、限界まで刃をせり出していた。しかし、その鉄板に当たって、それ以上刃の隙間を小さく出来なかった。 切れるようにするには、その鉄板を薄くする以外ないのだ。0.2 mm削って研いだ。組み直すと素晴らしい切れ味になった。こういう作業は、工作機械があればこそだ。 

 この切断機の駆動シャフトはΦ16であった。これもシャフトが軟らかく、ネジを締めると変形してハンドルが抜けなかったり、カムがあらぬ位相にまで廻り始めていた。
 こういうものは、工具なのだから、分解できなければいけない。分解整備できないようなものは、工具とは言えない。これも前回と同じで、普通の分解を諦めて、鋸で切断した

 硬いS45Cのシャフトを磨棒鋼屋で取り寄せてもらい、縦フライスで加工して、カムの取り付けネジの座を作った。また、折れないハンドルを付けるには、少し細くしなければならない。径を15.87 mm(5/8インチ)まで削って、キィ溝を彫った。磨棒鋼屋は、同じ材を何度も買いに行くので不思議そうな顔をしていた。 
 このS45Cという材はかなり快削で、旋削は気持ちが良い。あっという間に作業は終わった。ハンドルを付け、キィを入れた。キィはスルスルと入り、ハンドルは微動もしない。カムには派手な打痕があり、油が固まって汚いので、全周を研磨した。こういう作業は楽しい。

 出来たものを発送するに当たり、少々考えた。完全に衝撃から防護すると同時に、他への影響も小さくせねばならない。ダンボール箱の中でこんな重いものが踊ると、箱を突き破って周りのものを傷つける可能性もある。

Packing Shears (1)Packing Shears (2) 15 mmの合板を切って、ずれないように縁取りを接着剤と木ネジで付ける。切断機をはめて、ずれ留めをねじ込む。上からは、これも大きな合板を切って押さえを作り、載せる。こうしておけば、かなりのショックに耐えられる。一番上の合板が箱の内法と一致しているところが、ミソである。やや厚い合板の切れ端を大量にもらったので、ふんだんに使っている。

Packing Shears (3)Packing Shears (4) 箱に入れて押さえを載せ、蓋を閉めてテープ貼りをする。重いので、持ちにくい。太めのロープで2重に縛れば、運び易い。これで 24 kg強であった。
 重心位置を書いておいた。郵便局はあまりの重さに驚いたが、25 kg以下なので、文句はない。発送先には重い箱が届く旨、知らせておいた。先方は、この梱包を随分お気に召したようだ。  

 工具の整備は楽しい。切れ味が戻ると感動する。        

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2022年01月27日

続 actuating gimmicks

CB&Q tenderMRJuly85 テンダの中には平ギヤ駆動による大きなフライホィールが入っていた。MRへの発表当時は、一定電圧を掛けて、それを内部で電圧を制御していた。その後、制御方式は、かなり変化している。
 また、筆者の3条ウォームが85年の11月号に載った件を、彼はよく覚えていた。それを組み込むと面白そうだとも言った。
 フライホィールで惰行するのだ、と自慢されたので、例の伊藤 剛氏の話をした。怒り始めるかもしれないと身構えていたが、意外にも、
「そうだ。あなたの言う通りだ。これでは機関車はスリップしない。真に慣性のある走りをさせようと思えば、別の車輌、例えばテンダーからの動力ピックアップも必要だろうね。」
と返されたので、非常に驚いた。
「実はそれをやろうとしているのです。3条ウォームは無音で逆駆動できるのですよ。」と筆者が言うと、
「そうだ。ウォームギヤは音がしないのが最大の特長だ。早く作って見せてくれ。」
と言った。
 この作者は極めて客観的な思考をする方だと感心した。サイエンティストであった。ただ、すでにかなりのお歳で、もう気力がないと言っていた。

CB&Q boiler 機関車の出力は小さい。フライホイールの後ろの黒い小さなモータがそれである。出力は 3 W程度だろう。発煙ヒータは 20 Wくらいで、その送風モータ、ベルを動かすモータ、焚口戸を動かすモータ、機関士の腕を動かすモータ、逆転機を動かすモータがある。焚口戸が開くとまばゆいオレンジの光がキャブ内に満たされた。機関士がスロットルを引くと、前方までリンクが動く。


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2022年01月25日

actuating gimmicks

CB&Q smoking 少々古い写真が出てきたので、複写してお見せする。21年前の3月19日撮影とある。撮影場所はシカゴである。O scale conventionがあって、東部の友人に誘われた。オヘア空港の近くの殺風景なホテルであった。名前だけは知っているいろいろな人と会ったので、楽しかった。その後お付合いが続いている人も多い。入り口でこのデモンストレィションがあった。その十数年前のModel Railroaderに載った機関車である。

 このCB&Q 鉄道のO5bの模型は、あまり良い設計ではない。誰が設計したのかは、見当がつくが詳しくは書かないでおこう。形がおかしいのである。それをかなり丁寧に直してあった。

 この模型は、考えられるすべてのギミックを満載した機関車で、パルス電圧を掛けてリレィを切り替え、様々な部品を動かした。この機関車の中には7個のモータが入っている。

CB&Q O5 高校生の頃考えたことがすべて実現されていたので、興味深く見た。残念ながら、動きは今ひとつであった。余りにも入り組んでいて、故障も多い。テンダの中には電気装置が満載で、そこに発煙装置もあるので、熱の影響もあるかもしれない。 

 テンダ内のモータで機関車を駆動している。機関車の中には、様々な仕掛けがたくさんあって、駆動モータを入れる場所がなかったのだ。

MR July85 railtruck氏から、MR誌の掲載号を教えて戴いたので、早速UPした。 

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2022年01月15日

改良済 切断機

shear improved2 この遠藤機械の切断機は、ある方から委託されたものである。錆びて使いにくいものであった。古い製品を、完全に分解し、錆取り、再構築した。

 オリジナルの折れるかもしれないハンドルは捨て、レーザ切り抜きの新ハンドル、新たに硬いS45Cを削ったシャフト鋼板製テイブル、刃物用ステンレスから作った定規19 mm鋼板からレーザで抜いた足を組合わせた。現在考えられる最高の組合せである。

shear improved 4 mmの鋼板製テイブルであるから、材料をクランプで留めやすい。すなわち、定規で直角を合わせた状態で、間違いなく切断できる。1 mmのブラス板を切っても、確実に直角に切れる。切れ味は最高である。また、テイブルの角は、押し込んだ際、手を怪我しないように切り取ってある

 大切に使って下さる方にお譲りした。 

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2021年11月16日

上手さ と 速さ

 ヤスリがけは、ハンダ付け、穴あけと並んで、金属工作の大単元である。これを軽視する人は多い。先に真ん中を凹ませる話を披露したが、いまだに「そんな事できるわけない」と思っている人は多いようだ。そういう人は向上しないだろう。

 H氏の話は続く。H氏は電車を製造する会社に居た。そこで、木工職人を雇う必要があった。広告を出して、志願者を集め、実技試験をするのだそうだ。完成見本はなく、図面だけを見せて、窓枠や座席の枠などを作らせる。道具は会社の備品を使っても良いし、自前のものでも良いことになっていた。

 制限時間は3時間だそうだが、30分で持って来る人と、3時間きっちり掛けて仕上げる人の作品を比べると、早い人の方が数等出来が良かったそうだ。
 要するに、頭の中に作品のかたちが出来ていて、それに近づければ良いという人の作品の出来が良いというわけだ。あっちを削り、こっちを削って仕上げる人は結局は時間の無駄使いであって、ろくなものは出来なかったと言う。筆者には納得できることが多い。

 工作の上手な人は速い、というのは真理だろうと思う。内野氏の製作速度には、いつも驚かされたことを思い出す。祖父江氏はさらに速かった。

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2021年11月12日

続々 博物館の入場者

 その業界の友人たちは様々なことを提案してくれる。防犯カメラの設置に対しても、単なる録画では効果が薄いそうだ。インターネットを通じて世界中に放映せよという。そうすれば指名手配犯は来ないと言う。

 また、事前登録、身分証明書の提示は不可欠であるそうだ。「それが嫌な人は、来て戴く必要はない」と言い切れとまで言う。さらに、入場料を徴収するのは身元確認に必要なことで、事前の振込みに限ることだそうだ。振込みがあれば、身元は確実である。さらに、入り口での荷物置き場、コート掛けを設置する準備をしている。

 筆者は、この種のことには頭が回らないボンクラであるが、セキュリティ関係の仕事をしている友人にとっては、朝飯前の事のようだ。

 これらの提言を受け、様々な点で見直しをしている。線路の周りの防護の透明バリアも高さを上げることにした。
 先日の会合でこの話題が出たが、すでに盗まれているという話をすると、とても悲しそうな顔をされた方が何人もあった。誠実な方なのだろう。しかし現実はそうでもないことは、明白になってきた。 

 日本では、「嘘をついてはいけない」と言われて育つ。だから、悪いことをする人は、顔にそれが出て、眼の動き等が不自然になるのだそうだ。最近のAI技術は、それを捉えて分析するようになっているという。導入したいが、なかなか難しそうだ。またこれは、一部の外国人には通用しにくいそうだ。 

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2021年11月08日

面圧を下げる

 滑り軸受(いわゆる普通の軸受)は、金属同士の直接の接触を避けるため、油膜を生成するような設計が求められる。ところが模型の軸受には、それが完全に無視されているものが多々ある。

 台枠を切り欠いて、軸を嵌めただけのものや、軸を簡易イコライザで直接押さえるものがある。これでは接触圧が高すぎて、油膜は切れてしまう。先に述べたように、軸の径の2倍半というのが軸受の設計の基本だそうだから、模型の蒸気機関車の場合は、軸の全長に亘る軸箱が望ましいことになる。

 このことを書いたら、根拠なく異論を唱える人もあったが、何人かの方から「当然だ」という意見を戴いた。機械設計に携わった人たちばかりだ。模型化にあたっての実践例があれば、その結果を知りたいと思っていた。

 先日、畏友U氏から、「あの樋型軸受を作ったら、大変効果があった」という報告を戴いた。リーマを通して割ったのではなく、ボールエンドミルを使ったそうである。ある程度の研磨が必要だろうが、とにかく滑りが大変良いそうで、こちらとしても嬉しい。
 その後、実物の保守に関わっていた方からも情報を戴いた。本物でもよく使ってあるそうだ。取替が楽なのだそうだ。これは模型についても言える。動輪をバラさなくても軸箱をニッパなどで切り捨てて、新しい樋型軸受を嵌めれば良いのだ。

 油膜を保持するには、面圧が大きくならないようにすることだ。狭い面積の軸箱ではうまくいくはずはないのだ。このあたりにも、日本の理科教育の欠陥が露呈していると思う。 

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2021年11月06日

六角ジョイント

 前回の短いユニヴァーサル・ジョイントは、この六角ジョイントを使う予定だった。長さが20 mmと短いが、心ずれ、伸縮に対応する。これも完全に対称に使えば等速になるが、そうでなくても、模型では全く問題ないだろう。

 HO用がないので誰も使わないのは問題だ、と感じ、3Dプリントで作っている。来週には出来てくるだろう。構造は単純で、中央に薄い隔壁がある。
hexagonal joint 軸の太さは自由だが、先端にM1.4のナットがはまるようにする。ナットをはめて、ハンダ付けしてから旋盤で角を取り、ジョイントが多少傾いてもひっかからないようにする。要するに、ジョイントの中は、M1.4ナットの対辺 3 mmがはまる六角穴である。中にはKadeeの軟らかいバネを、前後に一つずつ入れることを推奨する。要するにジョイントを浮動させるわけだ。
 この試作品では、表面に粉をふいた状態だが、内部は焼結されていて十分堅い。 

 KKCの先達のNZ氏がこれと同様のものを作っているのを確認したが、金属製であり、給油が必要である。また材料も六角のボックスレンチの先を切り落とすなどして調達する必要があり、少々面倒であった。
 
 今回の部品はナイロン製であり、HO用は必要に応じて供給するつもりだ。安くて、機能的である。これを使えば、動作の怪しいシリコーン・チューブを使わなくて済むはずだ。しかし、これを採用すると反トルク承けが必要になることを、強調せねば、無数のトラブルが生じうることは承知している。それが模型界を進歩させるきっかけになるはずだ。シリコーン・チューブでトルクを承けている例を、よく見る。間違いであるが、それなりに走るので、見逃されているのだ。

 おそらくこのジョイントは、KKCからの発売になるだろう。


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2021年10月31日

GG1の駆動装置

 S氏が来てくれたので、今後の予定を話し合った。

 懸案のGG1を完成させねばならない。車体と台車枠を提供してくれたDennisが「早く作れよ。」とつっついてくるので、なんとか今年度中には走るようにしたい。  

GG1 driver centerquill drive casting 問題は車輪である。Φ30の車輪を提供してくれたが、あまり実感的でない。この種のクイル駆動の車輪はスポークに相当する部分が外側に出ているべきなのだ。それがタイヤ面と同一なので、実感がない。
 ロストワックス部を作り直そうかと思っていたところに、Φ30のLow-D車輪がいくつか出てきた。これは土屋氏の希望で作ったものの残りである。輪心部は平面なので、そこに3Dプリントのレリーフを貼り付ければ簡単である。 

 Low-Dは摩擦が少ないが、客車10輛を牽く程度の負荷なら、問題はない。客車はブラス製の Congressional である。1輌1.5 kgほどもある重い車輌だが、軸受にはボールベアリングが入っているからだ。

twin-motor GG1は、25ヘルツの交流11000 Vで走る機関車である。整流装置は持たず、交流をモータに流している。そのための低周波数である。
 モータは385馬力の小さなものを12台積み、それらはクイル駆動で動輪を動かす。すなわち1軸2モータである。実は当初それを作ろうと思っていたのだ。本当に作動する駆動方式(実物通りでない方式)も計画に入っていたが、牽引力を考えると難しかった。スリップが1軸でも起これば、牽き出しは難しい。これも、3条ウォームによる全軸連動方式になる。

 1974年に筆者は、現役時代のGG1を見ている。すでにAmtrak塗装になり、侘びしい姿であった。通勤列車を牽いていた。

 古いTrain誌に記事があり、興味深い話が沢山ある。  

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2021年10月27日

続 帯板押さえジグ

soldering jigs 2 このジグは高さごとに各種作っておく。簡単に作れる。実は最初、寸法を調節できるものを作ったが、使用中にネジが緩んで狂ったり、大きくなってしまって邪魔であった。ロクなことはない。専用のものを沢山持っていれば良いことである。必要があればさらに作れば良い。今回はハンダ付けで作ったが、フライスで切り出すと、微妙な寸法のものが簡単にできる。

 先回の図で示したように、ジグの水平が保たれるように、小さなスペイサを付けておくことが大切だ。これがないと引っかかってうまく滑らない。

 三角形の滑り子の形に興味のある方が多いが、これには他意はない。たまたまちょうど良い厚みの小片があったので使っただけである。

 この種の滑らせながら使うジグは、とても便利である。ただし、台をしっかり作って、多少力を入れられるようにしておくのがミソである。この種のジグ用の合板は、数cm幅に細く切ったものを用意してあるので、クラブ員が取りに来る。

soldering finished ハンダ付けが速く行われるということは、失敗が少ないということである。注意力を長い時間持続させるのは難しいが、15秒程度なら、可能である。その間、息を止めている。
 仕上がりはこの程度だ。はみ出しているのは、予めハンダめっきしたときの余剰部分である。 円盤の円筒面で押していて、帯板の表面には全く傷はつかない。電圧が低いと、電流密度を上げるために角で押さないと、ハンダが付かない。これをやると帯板に傷がつく事がある。 

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2021年10月25日

帯板押さえジグ

 帯板を正確に保持してハンダ付けするには、簡単なジグが必要である。また保持台も必要である。

soldering setup 合板を直角に組み合わせて、全体を保持することにする。これは、ある程度重いほうが安定する。ハンダ付けする範囲を少し持ち上げるために、木の薄板を貼る。こうすることによってワーク全体が持ち上がり、手前に少し隙間ができる。その薄板は6 mm厚である。後ろの銀色の壁は、3台の空気清浄機である。バッタ屋で手に入れたものや、戴きものだ。これだけ並べると、効果は絶大である。

sliding jig このジグはワークの手前をスライドする。奥に押し付けながら、ずらすのである。三角板は1.2 mm厚である。帯板を軽く押さえながらスライドするためには、裏に帯板のガイドが必要である。帯板の厚さの分だけ全体が持ち上がる必要があるので、2つのガイド以外に、もう一つ同じ厚さのものを貼って置かねばならない。

sliding jig 2 裏はこの様になっている。手前のが斜めになっているのは、特に理由はない。とにかく同じ厚さの板(スペイサ)が付いていればよいだけである。



belt soldering guide このジグを、向こう(この図では左へ)に押し付けながらずらし、ローラがその後を付いていくのだ。あっという間の作業である。 

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2021年10月23日

続 炭素円盤によるハンダ付け

 炭素円盤はある程度の半径があるので、普通の炭素棒に比べると炭素の中を電流が流れて行く距離が大きい。すなわち抵抗が大きく、電流が少ない。赤熱しにくいから、電圧を少し上げる必要がある。1次側に120 V 程度掛けると調子が良い。

 アース線をワークにつなぐ。クリップでは接触面積が小さいので熱くなってしまう。それだけ効率が下がる。複数の方法でアース線をつなぐ。厚板をネジで締めるのが一番良い。

carbon roller soldering ハンダめっきをしておいて、帯板を載せ、ローラを転がせば良い。接触面が熱くなり、あっという間に隙間のないハンダ付けが出来る。この時、帯板の位置を正確に決めねばならないが、それは簡単なジグを用意すれば良い。ローラを転がす速度は、毎秒 1 cm ほどである。写真はAM氏の撮影だ。

 後ろに見えるフラックスの瓶に注目されたい。この瓶には塩化亜鉛の飽和水溶液が入っている。倒れると中身が流れ出し、目も当てられない状態になるだろう。転ばない構造にしておけば良いのだ。flux bottle
 薄いブラスの板で作った帯を作る。この帯は、瓶にきっちりはまる大きさにするのがミソである。L金具で少し持ち上げて留め、ネジで固定しただけである。こうしておけば、まず事故はなくなる。

 飽和水溶液を用いると、ピチピチと飛ばなくなるから掃除も楽で良い。

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2021年10月05日

続 余分のハンダを取る

 先回の記事は反響が大きかった。様々な人から連絡を戴いた。TMSを長く読んでいる人も、その記事に記憶がないそうだ。

 さて、他の皆さんはどのようにして、ロストワックス鋳物からハンダを取っているのであろうか。昔、腕自慢の方が、「ハンダを細いキサゲで全部掘り出す」と言っていたのを思い出す。これは掘り出したつもりでも100%ではない。100%以上削ってしまうこともあるだろう。

 筆者がよくやっていたのは、
ガスで炙って、熱いのを振り回す。それだけでは足らないので、ヤットコを何かに当てて急停止させ、大きな加速度を与える。そうすると、ほとんどのハンダは飛んでいく。

フラックスを塗った平編み線を当てる。ハンダは平編み線の方に吸い出される。,汎嬰以下の取れ方である。

ガスで炙ってから、圧搾空気をガンで当てる。これはほぼ100%である。もちろん、表面の金属に沁み込んだものは取れないし、取る必要もない。合金になっているので、これを取るわけには行かない。取れば上記の100%以上の人と同じことになる。

 ハンダメッキされた状態は悪いことではない。ブラスの色が見えないと嫌だと言う方には、それはご自由に、と言うしかない。

 ハンダ付けは十分な量のハンダを使って付け、余分をコテを当てて取るというのが一番理想的である。ハンダは外から見えても良いのだ。むしろ見えていないと安心できない。

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2021年09月17日

余分なハンダを取る

 このカブースの屋根は、木製だったが、ブラスに作り替えた。細かい手摺等を接着しても、取れてしまう可能性が高いからだ。

 板に孔をあけて、手摺の針金を突っ込み、ハンダ付けする。ハンダは十分に付け、孔の中外によく廻っていることを確認する。こうしておけば、まず取れることが無い。余分のハンダはどうやって取るべきだろうか。

minimizing slolder 殆どの人はキサゲで落とし、ワイヤブラシで磨くことを考えるだろう。筆者は熱いコテで下から加熱する。2秒で終わる。この方法をやってみせると、大抵の人は目を丸くして驚く。

 融けたハンダは液体であり、コテはハンダを吸い取るのだ。重力で流れ込むのである。条件として、コテの表面がよくハンダでぬれていることである。ガリガリに錆びていては、うまく行くわけがない。

 もう一つの条件は、ハンダが完全に融けなければならないということである。63%スズの共晶ハンダであれば、融けた瞬間に完全な液体になるので、ハンダゴテに吸い込まれる。共晶でないときは、ザラザラしている状態(こしあん状態)があって、融け切るまで流れにくい。

minimizing solder 筆者は、殆どの場合、共晶ハンダしか使わない。その理由を聞いた人がいるが、このハンダ吸い取り術が、簡単に使えるからである。この写真の矢印の部分が、吸い込んだ後である。孔に挿した針金の周りに、富士山の裾野のようにハンダが残るが、その他はすべてコテに回収される。下はこれから処理する所である。
 ハンダはブラスの板の表面に残っているが、めっき程度の厚みで、気になる人は削ればよいが、その意義があるかどうかは人によるだろう。

 筆者はハンダを削るということをあまりしない。ブラスに傷がつくのが嫌なのだ。塗装すると見えてしまう。このめっき程度の膜は塗装するとほとんど見えなくなる。



 400号あたりのTMSのミキストに山崎氏が、この操作を書いていたのを覚えている。それも一回きりで、その後全く出て来なかったと思う。普通のハンダを使う限り、この吸い込み法は、よほど大きなコテを使わない限りうまくいかない。おそらく、やった人が成功しなかったので、広まらなかったのではないか。 

 祖父江氏は、流れ作業で作ったものを、順次ひっくり返してハンダを吸い取っていた。その手捌きがあまりにも見事で、見とれていたことを思い出す。大きなコテでハンダをたっぷり溜め込むのだ。溜まったハンダは回収して再度使える。みなさんもお試しあれ。これが出来ると、キサゲの量が1/10になる。先日クラブで紹介したところ、評判が良かった。
 クラブ員の中にはハンダ付けのプロ(電子回路製作)も居るので、色々と補足して戴いて、充実したプレゼンテイションであった。 

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2021年09月09日

木製貨車をブラスで作る

 木の板を隙間なく張った側面を再現するには、ブラスの板に細かい溝を彫らねばならない。そのための専用の工具もあるので、簡単ではある。しかし、その後の処理をどうするかについては、説明を見たことが無いように思う。
 圧延された金属板には、目には見えないが、表面には残留応力がある。それを溝彫りによって断ち切ると、反りくり返ってしまう。その補正は難しい。エッチングも同じことである。片面に模様がつくと、反りくり返る。模様のとおりに、裏から見ても分かる凹凸が残る。また、腐食の速度も場所によって異なるので、表面の彫りの状態が不均一となる。
 これを防ぐために、エッチングを施す前にブラスの板は、焼き鈍される。だから、エッチングされた板は腰がなく、くたくたである。以前にも述べたように、細いアングルは縦溝をエッチングして曲げてあるので、話にならないほど、くたくたである。きちんとしたプレス型上で曲げて加工硬化させたものとは、比較できないほど駄目である。

Look inside さて、最近よく登場するF氏は、金属加工には深い造詣のある方で、次のような手法で解決している。木板張りを表現するために、裏表に同様な溝を彫ってある。こうすれば打ち消し合って、板は曲がらない。もちろんすべての溝が同程度の深さでなければならないのは言うまでもない。この方法で、腰が強く、扱いやすい側板ができる。
 伊藤 剛氏の遺作の修理は、F氏により、この板を使ってなされた。

 サンドブラストを掛けても、残留応力で反ることがある。日本のメーカで、サンドブラストを導入した頃、テンダの表面をそれで綺麗にしたのだそうだ。すると全て反ってしまって、作り直さざるを得なくなった。本当はハンダ付けが上手な人が作って、キサゲでわずかに余分なハンダを削って仕上げる程度が良かったのだ。しかしサンドブラストで梨地になると高級感があったのだそうだ。韓国製はエッチングした板を使っているから、反らない。その代わり、剛性がなく、重いものを鷲掴みにすると歪んでしまう。

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2021年08月26日

樋型軸受

 一般的な模型機関車は、軸箱を持っている。それらは左右独立しているから、厚みが少ない。

「軸受」という専門書を図書館で読んだところ、軸受の厚みは軸径の2.5倍以上必要とあった。HOで言えば、Φ3 の軸に対し、7.5 mmを要求している訳だ。左右で 15 mmだから、ほとんど軌間に近くなる。それならば、左右を繋いで、角棒に孔をあけたものを使えば良い。この厚みが油膜を保持し、金属同士の接触を防ぐのだ。真ん中に孔を一つあけて、注油口とする。この孔は上向きが良い。パイプを挿して横に持ち出せば、注油が楽である。

Yutaka Inoue2 動輪を抜くのが面倒な場合は、樋状の軸受を使うべきだ。最近、この軸受を装着することを人に勧めている。押して動く3条ウォームを付けたHO用ギヤボックスの試作をしているので、それを装着した機関車の改良に用いてもらうためだ。全軸ボールベアリング化せねばならないと思っている人もいるが、この方法でそれに準じた性能が出せる。井上豊氏の記事では、ボールべアリングの外径が大きいので、台枠下端よりも下がった位置まで軸箱を張り出させる構造になっている。この樋状軸受なら、そのような加工は不要である。 
 もちろん内部はリーマを通してから、下側の余分なところを削り落とす。

 HOの B,Cタンク機関車の前の軸を一点で支えたいなら、この樋状軸受の上にレイル方向に溝を付けて、そこを押さえれば足りるだろう。軸そのものを押さえる方法が一般的だが、摩擦が大きいから避けるべきである。

Lobaugh drivers この種の軸受はアメリカでたまに見る。単なる角材に孔をあけただけのものは Lobaugh の製品に付いていた。これに油を注すと、ボールベアリングを装着したのかと思うほど、よく滑る。油膜の効果は大きい。油は低粘度のエンジンオイルを用いると、素晴らしい効果を示す。 

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2021年08月24日

滑らかな駆動を実現するために

 滑らかな駆動を可能にするために、どのような工夫が必要かを並べてみた。ここでは機関車に限っている。重負荷での静粛かつ強力な駆動を実現することが目的だ。

 ー桓の改良
◆[匹ぅヤの選定・採用
 反トルクの処理
ぁー瓦困譟曲がり、軸方向の多少の伸縮を吸収できる継手の選定
ァ.ぅ灰薀ぅ献鵐阿悗寮気靴ね解
Αヾ望彖置の設置
А[匹ぅ癲璽燭料定

 ぐ奮阿砲弔い討蓮∈道阿海海乃掴世靴拭ユニヴァーサル・ジョイントは正しい位相のものであれば、調子が良いことは当然であるが、それを実装出来る空間が足らないことがある。
 HO用には販売されていないと思われる優秀な継手があるので、紹介したい。

Hexagonal Joint KTMが1960年代から採用している六角ジョイントがある。このHOヴァージョンを作ることを提案する。



Hexagonal Joint Oスケールの製品はカツミに居た高橋 淑氏が、イギリスの雑誌を見て作った。ポリアセタール製の内部が六角になった部品と、面取りを大きくした六角ナットとの組み合わせである。微妙な軸ずれ、曲がり、伸縮を見事に吸収し、静粛である。両側の内側に、Kadeeの細いリン青銅のバネが入っていて安定化している。角速度変化は極めて小さく、音が出にくい。
 六角穴のあるボルトに先が球状の六角レンチを入れる状態を考えて戴きたい。多少の傾きは許容される。

 この写真の右上が製品の長さである。この角度では見えないが、中央に薄い隔壁があり、両側から柔らかなバネで押しているので、継手が踊らない。  
 短く削って、使いたかった。六角の先端をネジ留めすると、留めネジが当たるので、そこをフライスで削って逃げている。六角は軸にハンダ付けあるいはロックタイトで留めても良い。
 HO用はこの半分の大きさに作れば良い。もっと小さいものも可能だろう。肝要なのは、六角の角を丸くすることだけである。
 
 継ぎ手は3Dプリントで作れるであろう。特許等の問題は、開発当初から全く無かったし、さらに50年以上経っているので大丈夫だ。

 今野氏の極小Malletは、シリコーンチューブを使わずとも、駆動可能になるかもしれない。 

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2021年06月27日

続 M10000の駆動方式

 モータの取り付け方法については悩んだ。この車体には奇妙な中間床板と言うべきか、サブ・フレイムがある。これは流線型の丸い外被を床に被せているから付けたのだろうが、あまり賢い設計とは思えない。大きなモータを付けてあったので、その孔が大きく、サブフレイムには剛性が全くない 。仕方がないので0.7 mm板で床板を張り、ネジ留めしたら、とても堅くなった。

M10000 truck  (1) モータは小さいので長孔を切り抜き、少し沈めた。沈め具合は孔の縁を斜めに削る事によって調整できる。そうしておいて、押さえをネジ留めすれば良い。ドライヴシャフトと同じ高さにしておけば損失は小さくなる。

M10000 power unit 台車内に集電ブラシを付ける。アースは車軸に、他方は車輪の中心に近いところを擦るようにする。DCCにする前の仮配線をして完成だ。余分な孔をあけた所はアルミニウム板で塞いだ。

 ついでにヘッドライトの配線もせねばならない。不思議なことにヘッドライトは2つある。一つは250 Wの前方照射であるが、もう一つは鉛直方向照射の100 W球である。アメリカの車輛には、たまにこういうのがある。
 蒸気機関車でもC&NWの急行機関車は45度前方上方に向けたのを付けていた。夜間に見るとどの様な効果があったのかは、想像すると楽しい。 

 改造は簡単と思ったが、意外と手間取った。それは、既に形があるものを直すのは面倒だということである。思い切って下半分を全部捨てるべきであった。台車など見えなくなるのだから、それを利用することなどなかったのだ。機械加工で作った機能だけの駆動台車にすべきだった。そうすれば無調整で完成だ。この調整作業に多大な時間がかかる。 
 今回は自分のものと、友人のものを並べて作業したので、効率的ではあったが、かなり時間がかかった。 

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2021年06月21日

続々 M10000の改良

passengers 台車の上に載っている状態はこれである。台車が廻るように、外被の上を少し切り取った。大変うまく行って、曲線上で接触しない。

 これも筆者の蒸気機関車群と同様に、機関車と付随車の車体、台車をすべて同極性にしてある。最近は今野氏の貢献で「機炭同極」という言葉が市民権を得たようだ。数十年も昔に決められた実利が殆どない規則を堅持する必要はない。筆者の機関車群は30年以上前から、機炭同極である。駆動軸から集電するのがミソである。常に多少スリップするから、汚れが蓄積しないところに価値がある。

 機関車の動力台車の左右の車輪から集電し、テイルライト電源も、最後尾車輛の台車内のコレクタ・シュウで採る。こうすれば、ショートの可能性が極端に減る。

 乗客はパラパラと乗っている。あまり見えないから、これで十分だ。車内燈を点けると、中の乗客のお行儀が悪いのが見えてしまうので、今回は割愛する。

power truckpower truck2 友人の動力台車を同時に改造する。ボルスタが、こんな変な形をしている。ギヤボックスを避け、偏心したセンタ・ピンを持つ。この部分が嫌で、4 mm厚のブラス板をフライスで削ってボルスタを作った。これをはめて銀ハンダで付ける。そうすれば、このヘナヘナのボルスタが強固なものとなり、軸重も等しくなるわけだ。

 軸重なんてどうでも良いと考える人は、多いようだ。軸重が等しくないと、走行音がおかしいのと、脱線しやすくなる。特に動力台車では問題が大きい。軸重が軽い方の軸が、起動時の軸重移動で浮きやすくなるからだ。特にこの模型ではセンタ・ピンの位置が少し高く、それが起きやすい。車輪をLow-D化したので摩擦係数が小さくなり、その危険は減っている。しかし、偏心しているのは許せないのだ。

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2021年06月19日

続 M10000の改良

 流線型外被の付いた台車は、車体に当たる。模型だから実物より車輪が厚く、ゲージも少し広いからだ。
 どんな工夫をしても当たるから、車体の一部を切り取るか、台車外被の上の方を切り取るしか無いだろう。

rubber grommet 台車には弾性懸架がないから、その上の部分で衝撃を緩衝せねばならない。電線を通すゴムのグロメットがたくさんあるので、使ってみた。厚み方向には、良いクッションである。最近のは品質が格段に良くなって、20年経ってもへたらない。


interior 車内には座席がついているので、乗客を座らせた。窓からちらりと見えるだけなので、少々出来の悪いのを使った。足を切ったり、尻を削ったりして、かなり無理をして入れている。椅子、床の塗装は元の持ち主による。 


aero-dynamic 最初付いていた後ろの方の動力台車部分には、座席がついてない。設計当初はあったのだろうが、走らなかったので動力台車を追加して、座席を外したのだろう。愚かな発想だ。
 24人分の座席を作らねばならない。この種のものを揃えて作るのは大変である。アルミ板を切って作り始めた。
 重い車輛なので、少しでも軽くしないと抵抗が大きいからだ。この模型は前頭部、後尾とも一体ロストワックス製の重い部品でできているから始末に負えない。また造形は美しいとは言えない。遠くから見るべきもののようだ。
 実物の車体は、飛行機と同じ作り方のジュラルミン製である。 


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2021年06月17日

M10000の改良

M10000 内側台車 直すべきものは付随車の台車である。内側台車の軸をプレスで押し抜き、新たに細い軸を作って、ボールベアリングで承けるつもりであった。しかし、台車に流線型外被を取り付けると、写真のように、車輪外側とピヴォット軸の先端が同時に触る位置である。すなわち、流線型外被の丸みを考えると内側軸受にする価値がない。ピヴォットのほうが、はるかに抵抗が小さいからだ。線路上では、どの方向から見ても台車の内側は見えにくい。模型として最高の性能を出すようにするのが目的だから、形には拘らない。

 この写真の上の方に写っているのは、内側台車の軸箱の孔を広げて、ボールベアリングを入れるためのジグである。万力に銜えると、軸の心が出るように段取りしてあったが、取り止めた。内側台車は叩き潰して廃棄した。設計があまりにも下手で、直す価値がないし、退路を断つと良いものができるという経験が多いからだ。また、外側台車にしても誰も気が付かないはずだ。

 1 mm板を台車側枠とした。その末端には、さらに板を貼り足して厚くした。ピヴォットの軸穴を、専用カッタで厚さの3/4掘った。台車は3つしか無いので、全て手作業である。一つずつ、最良の結果が出るように磨り合わせて組んだ。穴の深さを調節し、ガタが最小になるようにしたのだ。互換性は無いから、刻印を打ってある。

M10000 外側台車 台車ごとに3点支持にする。段付きネジを旋削して、ガタがないように磨り合わせて留めた。側枠が回転し過ぎて車軸が外れないように、回転制限も付けてある。この種の工作は楽しい。分解して他の台車の部品と入れ替わると、組めない。
 台車枕梁は12mm角材から削り出しである。流線型カヴァは、仮に置いてある。ネジ一本でピタリと留める方式を採る。こういうところで2本もネジを締めるのは好きではない。


 モリブデングリスを付けると素晴しい転がりで、ボールベアリングをはるかに凌ぐ。小さなモータで快適に走るはずだ。本物の車輌も、そういう走りをするものである。


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2021年05月26日

続 UP M10000 を整備する

 走らなかった原因は、すぐ分かった。トレーラの車輪径が17.5 mmであるのに、内側軸受の軸径が4.5 mmもある。つまり、車輪径の1/4以上あるのだ。半径比の理解がない。これでは損失が多すぎる。軸を細くして、内側軸受を細く作り替えるべきだ。最大Φ3、できればΦ2にしたい。今回は牽かれるものが3輛以下だが、細ければよく走るはずである。
 たとえボールベアリングを使うとしても、径の大きなものは感心しない。グリースをかき回す損失は、バカに出来ないからだ。

 あるいは、この台車と車輪セットを捨てて、Low-Dのピヴォット軸で外側軸受にするのが、最も簡単な方法である。この台車は外側に流線型のカヴァがあるので、そこに軸受を仕込めば良い。しかし、実のところ、筆者はカヴァが無い方が好きである。

power truck1 前後の動力台車は実に無駄な設計で、ドライブシャフトが中央で折れるようになっている。折れても何の利益もないが、それによって起きる不都合はたくさんある。
 一本の曲がらないドライヴ・シャフトを通しておくだけで、問題は解決する。ギヤボックスを分解すると、径の大きなウォームで、歯の切削は極めて粗い。何もかもが悪い方向に行っている。少しは考えろよ、と言いたい。しかし、考えた結果こうなったのだろう。困ったものだ。

power truck2 ギヤボックスは、反トルクで倒れるような、救いのない構造だ。作用・反作用の法則を知らないらしい。左右の傾きと同時に、前後の傾きも生じる。これでは走らないのも当たり前である。またユニヴァーサル・ジョイントの位相は、もちろん間違っている。(筆者がアジンのところに行ったのは、この発売後2,3年経った頃である。)

 分解検査の結果は、零点である。どこにも正しい部分がない。元の持ち主は怒っていた。
 実は、アジンの工場にこの列車が飾ってあったのを見た。社長にあれを譲ってくれないかと聞いてみたことがある。彼は顔をしかめて、「走らない」と言った。「じゃあ、私が直して動くようにしてあげよう。満足したら、その動力を売れば良い。」と申し出たことがある。
 その気になったようだったが、その後うやむやになった。そのチャンスが30年以上経ってから巡ってきたわけだ。

 ギヤを取り替えてトレーラの車輪を改良すれば、なめらかに走るはずだ。全ブラス製で重いから、素晴らしい惰行を見せてくれるはずである。当時、韓国には鉄道模型を嗜む人がいなかったのは、明白である。アマチュアでも、中学校の理科を100%理解していれば、こんなおかしなものは作らない。

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2021年04月30日

バネを入れる

Pullman 6-wheel truck (1) 3Dプリントで作った台車を組み、バネを入れる。バネは最初に入れることはできるが、完成後に入れる方が紛失の可能性が少ない。組立て途上では、緩んで落としやすい。

 この方法は一度紹介したことがある。絹糸を用いるのが正統派だ。今回は思い付いて、デンタル・フロスを用いた。デンタル・フロスは、ワックスが塗ってあるので滑りが良い。すなわち抜き取るときに支障がない。また、絹糸よりずっと重いので、短くてもバネが爆ぜた時に飛んで行きにくい。
 要するに、縮められたバネに蓄積されたエネルギィは、バネそのものを数メートル飛ばすほどもあるが、糸を引っ張っていては、せいぜい10 cmしか飛ばない。だから、紛失する可能性はなくなる。

 カーペットを敷いた部屋では、バネを飛ばすとカーペットのループの中に食い込んでしまい、引っ掛かる。うっかり引っ張るとバネが変形してオシャカになってしまう。飛ばさないためには、この種の防護策が必要である。

Pullman 6-wheel truck (2) バネをはめ終わったら、バネ座に正しくはまっているのを確認して、バネを押さえながらデンタルフロスを引き抜く。実に簡単に抜け、バネの位置は変化しない。
(本日の写真はKS氏による)

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2021年04月20日

truck tuner

 新しく作った焼結ナイロンの台車の軸受内部は、ざらついている。この部分をさらって、新しいナイロン面を出さないと摩擦が大きい。表面は染色してあるが、内部は白く、緻密である。削って滑面を出す必要があるのだ。精密に作られたステンレス製ピヴォット・コーンとの摩擦は非常に少ない。また、ナイロンは硬いので軸重を増やせる。以前の基準ではPOM(ポリアセタール、デルリン、ジュラコンなど)では軸重100 gを限度としていたが、150 gまで認めることにしている。

truck tuner2 この工具は以前にも紹介している。最近いくつか製作依頼があって、作った。この種のものは一つだけ作ると、大変な手間がかかる。綾目ローレットを掛けた材料がなくなったので、作らねばならなかった。買えばよいのだが、量が少ないと買いにくい。丸棒から作るのは楽しいので、たまにやる分には気分転換になる。

truck tuner 下のものは、以前紹介したHO用を延長したものである。テーパを削ってつるつるに研磨する。コレットで逆に銜えてセンタ穴をあけ、 ドリルで穴をあける。リーマを入れて内部を滑らかにし、ガラスドリルの軸を切って差し込む。先は少し削っておかないと、リーマの喰い付き部分のテーパで引っかかる。長さを確認して、必要ならば調整する。

 よく洗って油気を取り、エポキシ接着剤を入れ、ドリルの軸を差し込む。簡単そうに見えるが、精密に作ってあると、ここで引っかかる。内部の空気が出ないのだ。ドリル軸にダイヤモンド・ヤスリで縦溝を付けるのを忘れたからだ。横から細孔をあけておくのも良い。四苦八苦して所定の深さまで押し込み、1昼夜保持して完成だ。

 このガラスドリルは切れ味が良く、アッという間に彫り込める。また角度が良く、摩擦が少ないと同時に、寿命も長い。


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2021年04月02日

自宅のDRO支えを更新

 自宅のフライス盤のDROに重い割出盤を軽く引っ掛けてしまい、支えがひん曲がってしまった。曲がりにくいように、より太い棒を使って作り直した。

DRO Support 2 以前は細いM3のネジを使ってあったが、本体にM4のネジを切り直した。ブラス角棒を銀ハンダで接合し、孔をあけた。以前のが曲がりやすかった理由は、細いネジが角棒の中心にあったことだろう。上方から当たって曲がったので、下半分が持ち堪えてくれるようにネジ位置を少し上げた。
 正確に孔をあけるのは難しい。太いドリルで一発でやると、膨らんでしまい失敗することが多い。細いドリルで孔をあけておいて、裏表から掘り進んだ。たまたま刃の長い4枚刃のエンドミルがあったので活用した。エンドミルの正面中央には切刃が無いから、先導の穴は必要である。2本とも、計算通りの位置に孔があいて、両方からの孔のずれはなかった。めったにないことで、気分が良い。これは万力とDROの精度が良いということに、他ならない。
 45度になった方には座グリをして、ネジの頭を収容するようにした。この時、ハンダで付いている部分を押さえているので、はがれる心配は全くない。

DRO Support 右に最大限動かしたときに読み取り部の逃げ場所が必要なので、棹の左端を少し外に出した。その部分の角材の組合わせは、フライスで正確に溝を切って、嵌め込んである。こうすれば、ネジ1本で組めて、ガタもない。上の写真はこれを裏側から撮ったものである。 

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