ちょっとした工夫

2021年09月17日

余分なハンダを取る

 このカブースの屋根は、木製だったが、ブラスに作り替えた。細かい手摺等を接着しても、取れてしまう可能性が高いからだ。

 板に孔をあけて、手摺の針金を突っ込み、ハンダ付けする。ハンダは十分に付け、孔の中外によく廻っていることを確認する。こうしておけば、まず取れることが無い。余分のハンダはどうやって取るべきだろうか。

minimizing slolder 殆どの人はキサゲで落とし、ワイヤブラシで磨くことを考えるだろう。筆者は熱いコテで下から加熱する。2秒で終わる。この方法をやってみせると、大抵の人は目を丸くして驚く。

 融けたハンダは液体であり、コテはハンダを吸い取るのだ。重力で流れ込むのである。条件として、コテの表面がよくハンダでぬれていることである。ガリガリに錆びていては、うまく行くわけがない。

 もう一つの条件は、ハンダが完全に融けなければならないということである。63%スズの共晶ハンダであれば、融けた瞬間に完全な液体になるので、ハンダゴテに吸い込まれる。共晶でないときは、ザラザラしている状態(こしあん状態)があって、融け切るまで流れにくい。

minimizing solder 筆者は、殆どの場合、共晶ハンダしか使わない。その理由を聞いた人がいるが、このハンダ吸い取り術が、簡単に使えるからである。この写真の矢印の部分が、吸い込んだ後である。孔に挿した針金の周りに、富士山の裾野のようにハンダが残るが、その他はすべてコテに回収される。下はこれから処理する所である。
 ハンダはブラスの板の表面に残っているが、めっき程度の厚みで、気になる人は削ればよいが、その意義があるかどうかは人によるだろう。

 筆者はハンダを削るということをあまりしない。ブラスに傷がつくのが嫌なのだ。塗装すると見えてしまう。このめっき程度の膜は塗装するとほとんど見えなくなる。



 400号あたりのTMSのミキストに山崎氏が、この操作を書いていたのを覚えている。それも一回きりで、その後全く出て来なかったと思う。普通のハンダを使う限り、この吸い込み法は、よほど大きなコテを使わない限りうまくいかない。おそらく、やった人が成功しなかったので、広まらなかったのではないか。 

 祖父江氏は、流れ作業で作ったものを、順次ひっくり返してハンダを吸い取っていた。その手捌きがあまりにも見事で、見とれていたことを思い出す。大きなコテでハンダをたっぷり溜め込むのだ。溜まったハンダは回収して再度使える。みなさんもお試しあれ。これが出来ると、キサゲの量が1/10になる。先日クラブで紹介したところ、評判が良かった。
 クラブ員の中にはハンダ付けのプロ(電子回路製作)も居るので、色々と補足して戴いて、充実したプレゼンテイションであった。 

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2021年09月09日

木製貨車をブラスで作る

 木の板を隙間なく張った側面を再現するには、ブラスの板に細かい溝を彫らねばならない。そのための専用の工具もあるので、簡単ではある。しかし、その後の処理をどうするかについては、説明を見たことが無いように思う。
 圧延された金属板には、目には見えないが、表面には残留応力がある。それを溝彫りによって断ち切ると、反りくり返ってしまう。その補正は難しい。エッチングも同じことである。片面に模様がつくと、反りくり返る。模様のとおりに、裏から見ても分かる凹凸が残る。また、腐食の速度も場所によって異なるので、表面の彫りの状態が不均一となる。
 これを防ぐために、エッチングを施す前にブラスの板は、焼き鈍される。だから、エッチングされた板は腰がなく、くたくたである。以前にも述べたように、細いアングルは縦溝をエッチングして曲げてあるので、話にならないほど、くたくたである。きちんとしたプレス型上で曲げて加工硬化させたものとは、比較できないほど駄目である。

Look inside さて、最近よく登場するF氏は、金属加工には深い造詣のある方で、次のような手法で解決している。木板張りを表現するために、裏表に同様な溝を彫ってある。こうすれば打ち消し合って、板は曲がらない。もちろんすべての溝が同程度の深さでなければならないのは言うまでもない。この方法で、腰が強く、扱いやすい側板ができる。
 伊藤 剛氏の遺作の修理は、F氏により、この板を使ってなされた。

 サンドブラストを掛けても、残留応力で反ることがある。日本のメーカで、サンドブラストを導入した頃、テンダの表面をそれで綺麗にしたのだそうだ。すると全て反ってしまって、作り直さざるを得なくなった。本当はハンダ付けが上手な人が作って、キサゲでわずかに余分なハンダを削って仕上げる程度が良かったのだ。しかしサンドブラストで梨地になると高級感があったのだそうだ。韓国製はエッチングした板を使っているから、反らない。その代わり、剛性がなく、重いものを鷲掴みにすると歪んでしまう。

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2021年08月26日

樋型軸受

 一般的な模型機関車は、軸箱を持っている。それらは左右独立しているから、厚みが少ない。

「軸受」という専門書を図書館で読んだところ、軸受の厚みは軸径の2.5倍以上必要とあった。HOで言えば、Φ3 の軸に対し、7.5 mmを要求している訳だ。左右で 15 mmだから、ほとんど軌間に近くなる。それならば、左右を繋いで、角棒に孔をあけたものを使えば良い。この厚みが油膜を保持し、金属同士の接触を防ぐのだ。真ん中に孔を一つあけて、注油口とする。この孔は上向きが良い。パイプを挿して横に持ち出せば、注油が楽である。

Yutaka Inoue2 動輪を抜くのが面倒な場合は、樋状の軸受を使うべきだ。最近、この軸受を装着することを人に勧めている。押して動く3条ウォームを付けたHO用ギヤボックスの試作をしているので、それを装着した機関車の改良に用いてもらうためだ。全軸ボールベアリング化せねばならないと思っている人もいるが、この方法でそれに準じた性能が出せる。井上豊氏の記事では、ボールべアリングの外径が大きいので、台枠下端よりも下がった位置まで軸箱を張り出させる構造になっている。この樋状軸受なら、そのような加工は不要である。 
 もちろん内部はリーマを通してから、下側の余分なところを削り落とす。

 HOの B,Cタンク機関車の前の軸を一点で支えたいなら、この樋状軸受の上にレイル方向に溝を付けて、そこを押さえれば足りるだろう。軸そのものを押さえる方法が一般的だが、摩擦が大きいから避けるべきである。

Lobaugh drivers この種の軸受はアメリカでたまに見る。単なる角材に孔をあけただけのものは Lobaugh の製品に付いていた。これに油を注すと、ボールベアリングを装着したのかと思うほど、よく滑る。油膜の効果は大きい。油は低粘度のエンジンオイルを用いると、素晴らしい効果を示す。 

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2021年08月24日

滑らかな駆動を実現するために

 滑らかな駆動を可能にするために、どのような工夫が必要かを並べてみた。ここでは機関車に限っている。重負荷での静粛かつ強力な駆動を実現することが目的だ。

 ー桓の改良
◆[匹ぅヤの選定・採用
 反トルクの処理
ぁー瓦困譟曲がり、軸方向の多少の伸縮を吸収できる継手の選定
ァ.ぅ灰薀ぅ献鵐阿悗寮気靴ね解
Αヾ望彖置の設置
А[匹ぅ癲璽燭料定

 ぐ奮阿砲弔い討蓮∈道阿海海乃掴世靴拭ユニヴァーサル・ジョイントは正しい位相のものであれば、調子が良いことは当然であるが、それを実装出来る空間が足らないことがある。
 HO用には販売されていないと思われる優秀な継手があるので、紹介したい。

Hexagonal Joint KTMが1960年代から採用している六角ジョイントがある。このHOヴァージョンを作ることを提案する。



Hexagonal Joint Oスケールの製品はカツミに居た高橋 淑氏が、イギリスの雑誌を見て作った。ポリアセタール製の内部が六角になった部品と、面取りを大きくした六角ナットとの組み合わせである。微妙な軸ずれ、曲がりを見事に吸収し、静粛である。両側の内側に、Kadeeの細いリン青銅のバネが入っていて安定化している。角速度変化は極めて小さく、音が出にくい。
 六角穴のあるボルトに先が球状の六角レンチを入れる状態を考えて戴きたい。多少の傾きは許容される。

 この写真の右上が製品の長さである。この角度では見えないが、中央に薄い隔壁があり、両側から柔らかいバネで押しているので、継手が踊らない。  
 短く削って、使いたかった。六角の先端をネジ留めすると、留めネジが当たるので、そこをフライスで削って逃げている。六角は軸にハンダ付けあるいはロックタイトで留めても良い。
 HO用はこの半分の大きさに作れば良い。もっと小さいものも可能だろう。肝要なのは、六角の角を丸くすることだけである。
 
 継ぎ手は3Dプリントでナイロンで作れるであろう。特許等の問題は、開発当初から全く無かったし、さらに50年以上経っているので大丈夫だ。

 今野氏の極小Malletは、シリコーンチューブを使わずとも、駆動可能になるかもしれない。 

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2021年06月27日

続 M10000の駆動方式

 モータの取り付け方法については悩んだ。この車体には奇妙な中間床板と言うべきか、サブ・フレイムがある。これは流線型の丸い外被を床に被せているから付けたのだろうが、あまり賢い設計とは思えない。大きなモータを付けてあったので、その孔が大きく、サブフレイムには剛性が全くない 。仕方がないので0.7 mm板で床板を張り、ネジ留めしたら、とても堅くなった。

M10000 truck  (1) モータは小さいので長孔を切り抜き、少し沈めた。沈め具合は孔の縁を斜めに削る事によって調整できる。そうしておいて、押さえをネジ留めすれば良い。ドライヴシャフトと同じ高さにしておけば損失は小さくなる。

M10000 power unit 台車内に集電ブラシを付ける。アースは車軸に、他方は車輪の中心に近いところを擦るようにする。DCCにする前の仮配線をして完成だ。余分な孔をあけた所はアルミニウム板で塞いだ。

 ついでにヘッドライトの配線もせねばならない。不思議なことにヘッドライトは2つある。一つは250 Wの前方照射であるが、もう一つは鉛直方向照射の100 W球である。アメリカの車輛には、たまにこういうのがある。
 蒸気機関車でもCN&Wの急行機関車は45度前方上方に向けたのを付けていた。夜間に見るとどの様な効果があったのかは、想像すると楽しい。 

 改造は簡単と思ったが、意外と手間取った。それは、既に形があるものを直すのは面倒だということである。思い切って下半分を全部捨てるべきであった。台車など見えなくなるのだから、それを利用することなどなかったのだ。機械加工で作った機能だけの駆動台車にすべきだった。そうすれば無調整で完成だ。この調整作業に多大な時間がかかる。 
 今回は自分のものと、友人のものを並べて作業したので、効率的ではあったが、かなり時間がかかった。 

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2021年06月21日

続々 M10000の改良

passengers 台車の上に載っている状態はこれである。台車が廻るように、外被の上を少し切り取った。大変うまく行って、曲線上で接触しない。

 これも筆者の蒸気機関車群と同様に、機関車と付随車の車体、台車をすべて同極性にしてある。最近は今野氏の貢献で「機炭同極」という言葉が市民権を得たようだ。数十年も昔に決められた実利が殆どない規則を堅持する必要はない。筆者の機関車群は30年以上前から、機炭同極である。駆動軸から集電するのがミソである。常に多少スリップするから、汚れが蓄積しないところに価値がある。

 機関車の動力台車の左右の車輪から集電し、テイルライト電源も、最後尾車輛の台車内のコレクタ・シュウで採る。こうすれば、ショートの可能性が極端に減る。

 乗客はパラパラと乗っている。あまり見えないから、これで十分だ。車内燈を点けると、中の乗客のお行儀が悪いのが見えてしまうので、今回は割愛する。

power truckpower truck2 友人の動力台車を同時に改造する。ボルスタが、こんな変な形をしている。ギヤボックスを避け、偏心したセンタ・ピンを持つ。この部分が嫌で、4 mm厚のブラス板をフライスで削ってボルスタを作った。これをはめて銀ハンダで付ける。そうすれば、このヘナヘナのボルスタが強固なものとなり、軸重も等しくなるわけだ。

 軸重なんてどうでも良いと考える人は、多いようだ。軸重が等しくないと、走行音がおかしいのと、脱線しやすくなる。特に動力台車では問題が大きい。軸重が軽い方の軸が、起動時の軸重移動で浮きやすくなるからだ。特にこの模型ではセンタ・ピンの位置が少し高く、それが起きやすい。車輪をLow-D化したので摩擦係数が小さくなり、その危険は減っている。しかし、偏心しているのは許せないのだ。

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2021年06月19日

続 M10000の改良

 流線型外被の付いた台車は、車体に当たる。模型だから実物より車輪が厚く、ゲージも少し広いからだ。
 どんな工夫をしても当たるから、車体の一部を切り取るか、台車外被の上の方を切り取るしか無いだろう。

rubber grommet 台車には弾性懸架がないから、その上の部分で衝撃を緩衝せねばならない。電線を通すゴムのグロメットがたくさんあるので、使ってみた。厚み方向には、良いクッションである。最近のは品質が格段に良くなって、20年経ってもへたらない。


interior 車内には座席がついているので、乗客を座らせた。窓からちらりと見えるだけなので、少々出来の悪いのを使った。足を切ったり、尻を削ったりして、かなり無理をして入れている。椅子、床の塗装は元の持ち主による。 


aero-dynamic 最初付いていた後ろの方の動力台車部分には、座席がついてない。設計当初はあったのだろうが、走らなかったので動力台車を追加して、座席を外したのだろう。愚かな発想だ。
 24人分の座席を作らねばならない。この種のものを揃えて作るのは大変である。アルミ板を切って作り始めた。
 重い車輛なので、少しでも軽くしないと抵抗が大きいからだ。この模型は前頭部、後尾とも一体ロストワックス製の重い部品でできているから始末に負えない。また造形は美しいとは言えない。遠くから見るべきもののようだ。
 実物の車体は、飛行機と同じ作り方のジュラルミン製である。 


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2021年06月17日

M10000の改良

M10000 内側台車 直すべきものは付随車の台車である。内側台車の軸をプレスで押し抜き、新たに細い軸を作って、ボールベアリングで承けるつもりであった。しかし、台車に流線型外被を取り付けると、写真のように、車輪外側とピヴォット軸の先端が同時に触る位置である。すなわち、流線型外被の丸みを考えると内側軸受にする価値がない。ピヴォットのほうが、はるかに抵抗が小さいからだ。線路上では、どの方向から見ても台車の内側は見えにくい。模型として最高の性能を出すようにするのが目的だから、形には拘らない。

 この写真の上の方に写っているのは、内側台車の軸箱の孔を広げて、ボールベアリングを入れるためのジグである。万力に銜えると、軸の心が出るように段取りしてあったが、取り止めた。内側台車は叩き潰して廃棄した。設計があまりにも下手で、直す価値がないし、退路を断つと良いものができるという経験が多いからだ。また、外側台車にしても誰も気が付かないはずだ。

 1 mm板を台車側枠とした。その末端には、さらに板を貼り足して厚くした。ピヴォットの軸穴を、専用カッタで厚さの3/4掘った。台車は3つしか無いので、全て手作業である。一つずつ、最良の結果が出るように磨り合わせて組んだ。穴の深さを調節し、ガタが最小になるようにしたのだ。互換性は無いから、刻印を打ってある。

M10000 外側台車 台車ごとに3点支持にする。段付きネジを旋削して、ガタがないように磨り合わせて留めた。側枠が回転し過ぎて車軸が外れないように、回転制限も付けてある。この種の工作は楽しい。分解して他の台車の部品と入れ替わると、組めない。
 台車枕梁は12mm角材から削り出しである。流線型カヴァは、仮に置いてある。ネジ一本でピタリと留める方式を採る。こういうところで2本もネジを締めるのは好きではない。


 モリブデングリスを付けると素晴しい転がりで、ボールベアリングをはるかに凌ぐ。小さなモータで快適に走るはずだ。本物の車輌も、そういう走りをするものである。


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2021年05月26日

続 UP M10000 を整備する

 走らなかった原因は、すぐ分かった。トレーラの車輪径が17.5 mmであるのに、内側軸受の軸径が4.5 mmもある。つまり、車輪径の1/4以上あるのだ。半径比の理解がない。これでは損失が多すぎる。軸を細くして、内側軸受を細く作り替えるべきだ。最大Φ3、できればΦ2にしたい。今回は牽かれるものが3輛以下だが、細ければよく走るはずである。
 たとえボールベアリングを使うとしても、径の大きなものは感心しない。グリースをかき回す損失は、バカに出来ないからだ。

 あるいは、この台車と車輪セットを捨てて、Low-Dのピヴォット軸で外側軸受にするのが、最も簡単な方法である。この台車は外側に流線型のカヴァがあるので、そこに軸受を仕込めば良い。しかし、実のところ、筆者はカヴァが無い方が好きである。

power truck1 前後の動力台車は実に無駄な設計で、ドライブシャフトが中央で折れるようになっている。折れても何の利益もないが、それによって起きる不都合はたくさんある。
 一本の曲がらないドライヴ・シャフトを通しておくだけで、問題は解決する。ギヤボックスを分解すると、径の大きなウォームで、歯の切削は極めて粗い。何もかもが悪い方向に行っている。少しは考えろよ、と言いたい。しかし、考えた結果こうなったのだろう。困ったものだ。

power truck2 ギヤボックスは、反トルクで倒れるような、救いのない構造だ。作用・反作用の法則を知らないらしい。左右の傾きと同時に、前後の傾きも生じる。これでは走らないのも当たり前である。またユニヴァーサル・ジョイントの位相は、もちろん間違っている。(筆者がアジンのところに行ったのは、この発売後2,3年経った頃である。)

 分解検査の結果は、零点である。どこにも正しい部分がない。元の持ち主は怒っていた。
 実は、アジンの工場にこの列車が飾ってあったのを見た。社長にあれを譲ってくれないかと聞いてみたことがある。彼は顔をしかめて、「走らない」と言った。「じゃあ、私が直して動くようにしてあげよう。満足したら、その動力を売れば良い。」と申し出たことがある。
 その気になったようだったが、その後うやむやになった。そのチャンスが30年以上経ってから巡ってきたわけだ。

 ギヤを取り替えてトレーラの車輪を改良すれば、なめらかに走るはずだ。全ブラス製で重いから、素晴らしい惰行を見せてくれるはずである。当時、韓国には鉄道模型を嗜む人がいなかったのは、明白である。アマチュアでも、中学校の理科を100%理解していれば、こんなおかしなものは作らない。

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2021年04月30日

バネを入れる

Pullman 6-wheel truck (1) 3Dプリントで作った台車を組み、バネを入れる。バネは最初に入れることはできるが、完成後に入れる方が紛失の可能性が少ない。組立て途上では、緩んで落としやすい。

 この方法は一度紹介したことがある。絹糸を用いるのが正統派だ。今回は思い付いて、デンタル・フロスを用いた。デンタル・フロスは、ワックスが塗ってあるので滑りが良い。すなわち抜き取るときに支障がない。また、絹糸よりずっと重いので、短くてもバネが爆ぜた時に飛んで行きにくい。
 要するに、縮められたバネに蓄積されたエネルギィは、バネそのものを数メートル飛ばすほどもあるが、糸を引っ張っていては、せいぜい10 cmしか飛ばない。だから、紛失する可能性はなくなる。

 カーペットを敷いた部屋では、バネを飛ばすとカーペットのループの中に食い込んでしまい、引っ掛かる。うっかり引っ張るとバネが変形してオシャカになってしまう。飛ばさないためには、この種の防護策が必要である。

Pullman 6-wheel truck (2) バネをはめ終わったら、バネ座に正しくはまっているのを確認して、バネを押さえながらデンタルフロスを引き抜く。実に簡単に抜け、バネの位置は変化しない。
(本日の写真はKS氏による)

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2021年04月20日

truck tuner

 新しく作った焼結ナイロンの台車の軸受内部は、ざらついている。この部分をさらって、新しいナイロン面を出さないと摩擦が大きい。表面は染色してあるが、内部は白く、緻密である。削って滑面を出す必要があるのだ。精密に作られたステンレス製ピヴォット・コーンとの摩擦は非常に少ない。また、ナイロンは硬いので軸重を増やせる。以前の基準ではPOM(ポリアセタール、デルリン、ジュラコンなど)では軸重100 gを限度としていたが、150 gまで認めることにしている。

truck tuner2 この工具は以前にも紹介している。最近いくつか製作依頼があって、作った。この種のものは一つだけ作ると、大変な手間がかかる。綾目ローレットを掛けた材料がなくなったので、作らねばならなかった。買えばよいのだが、量が少ないと買いにくい。丸棒から作るのは楽しいので、たまにやる分には気分転換になる。

truck tuner 下のものは、以前紹介したHO用を延長したものである。テーパを削ってつるつるに研磨する。コレットで逆に銜えてセンタ穴をあけ、 ドリルで穴をあける。リーマを入れて内部を滑らかにし、ガラスドリルの軸を切って差し込む。先は少し削っておかないと、リーマの喰い付き部分のテーパで引っかかる。長さを確認して、必要ならば調整する。

 よく洗って油気を取り、エポキシ接着剤を入れ、ドリルの軸を差し込む。簡単そうに見えるが、精密に作ってあると、ここで引っかかる。内部の空気が出ないのだ。ドリル軸にダイヤモンド・ヤスリで縦溝を付けるのを忘れたからだ。横から細孔をあけておくのも良い。四苦八苦して所定の深さまで押し込み、1昼夜保持して完成だ。

 このガラスドリルは切れ味が良く、アッという間に彫り込める。また角度が良く、摩擦が少ないと同時に、寿命も長い。


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2021年04月02日

自宅のDRO支えを更新

 自宅のフライス盤のDROに重い割出盤を軽く引っ掛けてしまい、支えがひん曲がってしまった。曲がりにくいように、より太い棒を使って作り直した。

DRO Support 2 以前は細いM3のネジを使ってあったが、本体にM4のネジを切り直した。ブラス角棒を銀ハンダで接合し、孔をあけた。以前のが曲がりやすかった理由は、細いネジが角棒の中心にあったことだろう。上方から当たって曲がったので、下半分が持ち堪えてくれるようにネジ位置を少し上げた。
 正確に孔をあけるのは難しい。太いドリルで一発でやると、膨らんでしまい失敗することが多い。細いドリルで孔をあけておいて、裏表から掘り進んだ。たまたま刃の長い4枚刃のエンドミルがあったので活用した。エンドミルの正面中央には切刃が無いから、先導の穴は必要である。2本とも、計算通りの位置に孔があいて、両方からの孔のずれはなかった。めったにないことで、気分が良い。これは万力とDROの精度が良いということに、他ならない。
 45度になった方には座グリをして、ネジの頭を収容するようにした。この時、ハンダで付いている部分を押さえているので、はがれる心配は全くない。

DRO Support 右に最大限動かしたときに読み取り部の逃げ場所が必要なので、棹の左端を少し外に出した。その部分の角材の組合わせは、フライスで正確に溝を切って、嵌め込んである。こうすれば、ネジ1本で組めて、ガタもない。上の写真はこれを裏側から撮ったものである。 

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2021年03月11日

続々 double slip mechanism

 軸がずれても、トルクを伝達する方法はいくつかある。高級なものではブフリィ式などがある。先の祖父江ジョイントにおける、ある位相での挙動も同様である。
 簡単で壊れにくい構造は、リンク機構である。これは、例があまり発表されていないように見えるが、蒸気機関車のロッドはまさにこれで、多少の動軸の上下動があっても、問題なく動く。スイスあたりの電気機関車の駆動方式は、さらに大きな動きを許容する。このロッドには垂直に動くスライダがあるからだ。筆者はこれに目を付けた。

 2:1に内分する点に、テコから直角(枕木方向)に張り出した別のテコを付け、長い既存のテコがレイル方向にずれないように長孔で保持してトルクを生み出す、という方法である。文章では分かりにくいので、図示する。

double slip mechanism 3 上の方に伸びたテコにはリンクが付き、左右に振られる。左に行けば、支点は左右には動かないから、リンクが傾き、どちらかの作用点が接触するまで行く。例えば左が接触すれば、右端が接触するまで左に回転するので、支点は少し上に動くだろう。

 支点は、スライダの溝の中を滑るボールベアリングが嵌まった軸である。上下の抵抗は、無視できるほど小さい。この方法の利点は、イコライザとしてのテコの平面上で力が掛かるので、捻りが生じないことである。機構は極めて簡単になる。動く角度が小さい範囲では、3点への力は均等であると見做せる。

 T字型のリンクの根元は補強しておく必要があるが、面積があれば普通のハンダ付けで十分だ。


 本日は東日本大震災から10年目の日である。当日、日本を離れていて、帰国できるかどうか心配していたことを思い出す。テキサスのデニスは「うちに来い。いつまで居ても良い。」と言ってくれた。
 帰国の日、日本に近い太平洋上で、飛行機から親潮と黒潮の潮目が見え、そこに膨大な量の漂流物があるのを見た。建物も船も、おそらく遺体も含まれていただろう。むごいことであった。  

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2021年02月27日

DROの取付け法

45 degree 博物館の工房にある縦フライスには、DROが付けてある。3次元をディジタルで読めるので大変便利だ。友人が見て、「良いデザイン」と褒めてくれるのは、この45度傾けたDROだ。形を褒めてくれるが、その意味を考える人が少ない。これは機能優先のアイデアである。意匠優先ではない。

 DROは本体と移動部(XYテイブルなど)を結んで、移動距離を測るものだ。たいていは移動部に棹をネジ留め、本体にはカーソルをバネで固定する。どんなに細かく調節して水平に取り付けたつもりでも、動けば多少のズレや撓みが生じる。バネは多少の動きを吸収する。バネは堅く、無駄には撓まない。材料は厚めのリン青銅の板である。

 ズレや撓みを吸収しても、読みに影響するのは避けたい。写真の場合、もし水平面に取り付けてあれば、Y軸方向の動きは吸収できない。垂直面に付けてあればZ軸方向の動きは吸収できず、それが原因でX軸の長さの読みに影響を与えるかもしれない。

DROを45度傾ける理由 そこで、バネを”く”の字に曲げて本体に取り付ける。こうすると、Y,Z方向の撓みはどちらも無理なく吸収され、読みには影響を与えない。易しい工夫で 克服できる。傾けたのは、単に見掛けを良くしたり、読み取り易くしたのではないのだ。

 作例ではDROの棹を支えるものは、ブラスの角棒を切り出し、銀ハンダで付けてフライス加工してある。作るのが簡単で、丈夫である。飛び出した構造で強度が必要であるが、ハンダ付けでも壊れることはない。銀ハンダの効用について、再認識されるべき時期に来ていると思う。ロウ付けでも良いのだが、筆者はこちらを好む。

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2021年02月19日

gear tower

working on gear tower (1) フライホィールからの回転はユニヴァーサル・ジョイントを経て、この塔状の構造物のスプロケット、チェイン、ウォーム軸と伝わる。ボールベアリングの座グリは専用工具で行った。台になっているのは、フライホィールの材料である。800 gある。


working on gear tower (2) 前後の台車は全く引掛かることのない動きが保証されねばならない。チェインも滑らかに力を伝達せねばならない。この塔の中を通る軸の高さは微妙だ。当初の計算値では少し短いようで、塔が傾いている。


working on gear tower (3) 傾きから塔の底部分の削り量を計算した。難しい計算ではない。0.28 mm削ることになった。銀ハンダで付けてあるので、フライスでそのまま削り落としても外れることはない。2回に分けて削り、滑らかな仕上げとした。 ピンボケで分かりにくいが、同時に二つの高さを揃えて削っている。全く同じものを作るためである。

working on gear tower (4) これをアルミ合金製のギヤボックスに取り付ける。チェインは極めて滑らかに廻り、抵抗は感じられない。殆ど無音である。前後の台車は全く同等の仕上がりであって、滑らかに動く。今回の台車は独立しているので、これは比較的楽である。前回のテンダは 5軸固定だったので、調整が難しかった。

 今回の車輪は、以前の40インチではなく36インチだから回転数が高く、増速せずに動力を採取している。径が大きなスプロケットだけを用いるので、効率は高くなる。

<お知らせ>
 ボールベアリングを嵌めるための座グリドリル(外径 5 mm用)が十数本ある。リンクの記事の後日追加製作分である。もう再生産しない。
 ご希望の方は連絡されたい。コメントの本文に連絡先(メイルアドレスも)を書いて戴かないと、こちらでは読めないので、その点留意されたい。



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2021年02月17日

センタピンの無い機構

 この機関車も、テンダのセンタピン位置にドライヴシャフトが通るのでセンタピンが置けない。すなわち、台車の回転は何らかの疑似回転運動をさせる方法(仮想心皿方式)を採ることを考えた。今回は単純に回転するだけなので、面倒な計算はいらない。リンクを付けて前後の位置だけ保持し、左右への振れ止めがあればよい。リンクを快削ブラス板から切り出した。

linkage こんなことを考える人はまずいないだろうと思っていたが、友人から坂本 衛氏が凸型電気機関車に採用していたという情報があった。条件が限られれば、誰しも行きつくところは同じである。これは「鉄道模型工作手帳」という本にあったそうだ。コピィを送って来た。筆者が作りかけたものと全く同じ配置であったのには驚いた。これを見て、やる気が失せ、別方法を探ることにした。誰もやってなければ作ってみたが、すでにあるなら冒険するまでのことはない。

 実を言うと、作り始めて分かったが、この方法では台車はかなり不安定だ。台車は一つ 350gもある。持ち方によっては、リンクが曲がって壊れる可能性があった。それを外れて来ないようにうまく支えるのは意外と難しいし、さらにリンクの邪魔をしないように作らねばならず、かなりの工夫が必要だ。
 熟慮の結果、より堅固な方式を採用することにした。

 あとは時間があるときに作れば、70時間でできるという計算だ。今その時間がない。信号機の工事に時間を掛け過ぎてしまった。まだやることはかなりある。


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2021年02月13日

続 漏電

 この種の漏電箇所は、這いつくばって探しても、そう簡単には見つからない。最近の大きな技術的な進歩が無ければ、発見は難しかったと思う。

 Tom Harveyは、
「俺は線路の every inch(どの1インチ)をも知り尽くしている。」
と豪語していた。レイアウト中を這い廻って作業した時、筆者はその言葉を思い出していた。

 以前、絶縁車輪を作った時、ショートして困ったことがある。小さな金属クズが絶縁紙に刺さっていて、通電しているのだろう。祖父江氏に聞くと、
「なーに、簡単だよぉ。自動車のバッテリィを持ってきて、ちょっとつなぐと、いいんだよぉ。パシッと音がして、問題個所は燃えてなくなっちまうんだぁ。」
と言った。乱暴ではあるが、それで解決することが多かった。これは鉛蓄電池の内部抵抗が小さいことを利用している。

 その後アメリカで、レイアウトのショート箇所を特定するのに、似た方法を使うのを見た。可能性のある部分に、人をたくさん配置してレイアウトの上下の面を見張らせた上で、バッテリー(確か24 Vだと思う)をつなぐのだ。どこかから煙が上がるから、用意した水を掛けて消す。アメリカの大きなレイアウトの饋電線はAWG12(約3.5 mmsq)以上だから数十アンペア以上流していることになる。
 今回もそれがやりたかったが、一人ではそんな危ないことはできない。そのまま火事になるかもしれないからだ。もう少し賢い方法を採らねばならない。
 
 肺炎禍で非接触体温計が手に入りやすい。これを使った。大きなトランスを用いて15 Vを掛けると、10 Aほど流れるから、温かくなるだろう。通電しながら怪しい部分の温度を測定した。すぐに温かい部分が特定された。電源を切り、修復作業に取り掛かった。この方法なら、煙が出る前だから、安全である。

 ダブルスリップの絶縁されたフログのギャップ部分に青い錆のかけらがあった。ハンダを外して分解清掃し、再度組み立てた。ギャップにはエポキシ樹脂を詰め込んだから、大丈夫だろう。場所の特定までには長い時間が掛かったが、修復はあっという間だった。

 この方法は、むすこたかなし氏から赤外放射計を使うというヒントを得たことから、思い付いた。感謝する。 
 今回の件で、レイアウト全体に掃除が行き届き、とてもきれいになったのは思わぬ余禄である。

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2021年02月05日

丸金床

round anvils 友人が筆者の丸棒を熔接した金床を見て、これが欲しいと言う。作ってくれと言われたが、ちょうど良い丸棒もないし、足になるH鋼もない。
 友人の鉄工所に行って頼んだら、二つ返事で引き受けてくれたが、H鋼の良いのが無かった。似たものを作ってくれれば良いのだと頼むと、それなら簡単、と作ってくれたのがこれらである。見本は筆者の下手な熔接品で、プロに見せるのは恥ずかしかったが、持って行かざるを得ない。右が見本、左が製品である。
 
 高さ、幅などはどうでもよかったのだが、 全く同じ寸法に作ってくれた。さすがは熔接のプロで、素晴らしい作りである。細い方がΦ12,太い方がΦ30である。HO用にはもう少し細いものも必要かもしれない。

 これらは丸屋根を作るときにとても便利である。ブラスの板を置いて、ゴムハンマで丹念に叩く。鋼製ハンマは使ってはならない。端から曲げて、曲げ過ぎたら太いほうで戻す。これを繰り返すとどんな形状にも曲げられる。筆者の客車の屋根はすべてこれで曲げたものである。誰も自分で曲げたものだとは思わない。大きなプレスで曲げたと思われているようだ。

 追加生産できるので、欲しい方はコメント欄を通じて連絡されたい。最近はコメント欄にあるメイルアドレスに書き込んでも、それがこちらには表れないので、本文に連絡先を書かれたい。 


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2021年02月01日

空転させる設定

 ゆうえん氏から質問があったので、少しく詳しく説明したい。

 スロットルのspeed tableは、NCEの場合126ステップある。それぞれのステップに固有の出力電圧を割り当てることができる。殆どの場合は、最高速を抑えるとか、動きの悪い機関車の出発時の電圧を上げるくらいしか用途が無いだろう。筆者の場合、(0,0)を通る完全な直線で使っている。伝達効率の高い動力装置と、全軸ボールベアリング装荷のおかげで、何もしない方が自然な動きをするからだ。

 例えば、第10番目のステップだけで、最高速の40%ぐらいの電圧を与えるとする。起動して直ぐには列車の抵抗があって動き出していない。短時間高電圧が掛かればスリップするだろう。ステップ10以降はごく普通の出力曲線で加速するだろう。

Momentum 減速時にご心配のスリップが予期せぬ時に起これば、気分が悪くなる。しかし、NCEにはスロットルの上の方にMomentumというボタンがある。これを押すと、見かけ上の慣性を与える動き(徐々に加速する、あるいは減速する)の程度が10段階で指定できる。その設定変更は、運転中でも可能なのだ。

 起動時のスリップを希望するときはこのモメンタムを、0 にセットする。そうすればステップ10だけで高電圧が供給され、派手にスリップするだろう。列車は重く、その慣性は大きいから、実感的なスリップの再現が可能だ。そして順調に加速していくだろう。このモメンタムの値を適宜増減すると、スリップ発生具合も変化するはずだ。
 巡航時にモメンタムを最大値 9 にセットする。そうすると、ステップ10を通過しても、ほとんど変化を感じないだろう。

 もし、派手に逆回転をさせてみたければ、逆転をかけ、モメンタム0でステップ10を選べばよい。あるいはステップ2あたりにもそのような電圧が与えられていると良いかもしれない。

 筆者採用のデコーダは永末氏の完全直流デコーダで、スロットルOFF時には、モータの逆起電力は完全に遮断されるので、列車は自らの慣性でかなり進んでしまう。そこで、逆転してそこそこの電圧が掛かれば、逆転空回りを披露することができるはずだ。


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2021年01月30日

圧着工具

 最近は電気工事ばかりしている。信号機周りはハンダ付けが多いが、路盤下の配線は圧着端子が多い。
 以前、この工具が原因で拇指の脱臼が始まった。それ以来なるべく使わないようにしていたが、使わざるを得ない時がある。そういう時は床に立てて、体重を利用して押していた。そうすると、不安定でなかなか難しい。

crimping tool 台を付けてハンドルを太くすれば楽に押せるし、体重を掛けても問題ないだろう。自分で熔接しようと思ったが、体重を掛けるものを下手に熔接すると、外れたときに大けがをする。ここはプロの腕に頼ろうと、友人の鉄工所に行き、図面を渡してお願いした。
 すぐにやってくれたので、さび止めの黒い塗料を塗っておいた。

 安定が良く、使いやすい。どうしてもっと早く、こうしなかったのだろうかと、悔やまれる。整形外科の先生は、工具の現物を見て、
「これは良くない。こんなに手を開いて力を入れれば、関節が壊れるのは当たり前だ。」
と言った。圧着工具はもう一つあるので、それは小物を付けるときに使う。どうしても手に持ってやらねばならないこともあるからだ。細い端子なら取っ手の開きも少なく、安全な範囲にある。

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2021年01月26日

クラブの新年会

 所属クラブの新年会があった。広い部屋を借り、ゆったりと線路を敷いた、少人数の集会だ。無観客である。窓は開けっ放しで涼しい。みな上着を着ての参加だ。
 
 いつもなら大きな声でワイワイやるのだが、今年はきわめて静かだ。HOの人たちは新レイアウトでの走行を楽しんだ。その中で名古屋地下鉄の一群を作られたK氏の作品はなかなか良い。色がズバリで、レモンイェロゥがまぶしい。既製品のラッカ・スプレィを使ったそうだ。
 車体は市販されていないものなので、どうやって作ったのかを聞くと、ブラス板をレーザで抜いたものだそうだ。手際よく作られていて、感じをよくつかんでいる。いよいよレーザカットが身近なものになったのを感じる。

Rotary Dumper 伊藤 剛氏のロータリィ・ダンパの実演があった。電源装置を新しくしたので、運転しやすい。組立式なので、滑らかな机の上では徐々に滑って位置関係が狂う。厚い布の上に敷くと摩擦が大きく、具合が良い。クラブ員は順に運転して楽しんだ。こういうモデルが60年前に存在したことは、驚異的である。

 他に、例のパワーショベルも持って行った。伊藤剛氏の頭脳と腕には、みな感服した。残念ながら、「僕が直す」と手を挙げた人は居なかった。その場での結論は、直すよりもこれを見本に、もう一つ作る方が良さそうだということであった。

FEF4 UP850 テイブルが余っているので、筆者も直線の線路を敷き、運転をした。例の慣性増大装置付きのUP850 4-8-4だ。この写真を見て気が付いたが、先台車の外れ止め鎖を付けていくのを忘れていた。あまりにも透けていて良くない。
 試しにクラブ員にも、交代で運転してもらった。止まらないところが怖くて、楽しいそうだ。現在はDC仕様だが、間もなくDCCに改装する。

 意図的にスリップさせるアイデアがあるので、それをやってみる。DCCだからこそ簡単にできる。さて、どうするのだろうか。

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2021年01月24日

側線分岐部の信号

 当博物館のレイアウトには側線に入るための信号機が2つある。一つは、ダブルスリップで対向する線路も跨がねばならない。下り本線から分岐して上り本線を跨ぐので、上り線の出発信号機を赤にする必要がある。ここの論理回路をどうするかは、なかなか面倒であった。

signal system and route control 今回の試運転をしているうちに、ある簡便な方法を思い付いた。
 センサ部の赤外線を遮断すれば、その信号は赤になる。すなわち、赤外線LEDにスウィッチを付けて消しても同じことだと考えたのだ。設計者に聞くと、何ら問題は起こらないとのことであったので、回路を開いてポイントマシンで動くスウィッチで開閉するようにした。この図の複線部分は左側通行である。


 配線をやり直してみると、その信号は赤になり、その前の信号は黄色になるから、実感的である。もちろん対向列車がすでに止まっているときも問題は起こらない。上り線のダブルスリップの場合はポイントマシンが2つあるし、下り線では分岐のポイントマシンがある。これらの動きをよく考えて事故が起こらないようにスウィッチを連動させねばならない(この図のスウィッチの結線はまだ未確定であるので、追及しないようにお願いする)。
 
 これで良いと思ったが、実際には不都合がある。赤信号から抜け出せないのだ。本線側に切り替えても緑が出ないのである。2つ先の信号を赤にすると、この信号が緑になるので、その手も考えたが不自然でもある。製作者に問い合わせると、その対策をしたものを作ってくれたそうで、間もなく送られてくる。

 細かなことで、意外と面倒なことがあるものだ。いずれ、この信号機回路はあちこちのレイアウトで使われるようになるだろうと思う。優れた装置である。


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2020年12月29日

双方向クラッチ

 双方向クラッチのことを書いたところ、何人かの方から連絡を戴いた。モータと動輪を切り離す機構の存在価値について、全員が疑問を投げかけている。
 切り離すと手で押せるというのは面白いが、ボールベアリングで摩擦を減らした機関車では、わずかな傾斜でも動き出して卓上からの落下の心配があるという指摘を受けた。全くその通りで、筆者もあわや、という経験がある。

 祖父江氏から最初の1輌を受け取った時に、父に見せた。陸軍の…という話はその時のものだが、筆者が、
「中はどうなっていると思うか。」
と問うと、さらさらとスケッチを描いて、
「こうなっているんだろうな。外と中の速度差があれば、摩擦で爪が動いてひっかかるだけのことだろう?」
 
 驚いたことに、その図は祖父江氏の試作品と全く同一であった。
「手で廻すなら良いが、モータで廻すと寿命は短いだろうね。」とも言った。

 実際に80坪の仮設レイアウトで長大編成を牽かせてみると、シャフトに彫った、爪がひっかかる溝は徐々に拡大し、爪のピンの入る穴もガタつくようになってきた。その後、その種の機関車はほとんど稼動させていない。ガラス棚に飾るときも、前後に車止めを挟み、注意書きも置いてある。

 ”押して動く”件は、考え得るすべてのパターンを祖父江氏と共同して試作したが、蒸気機関車に関しては3条ウォームが最適解であることが分かった。

 ちなみに、その英語訳は"Free to Roll"としたい。”Free Rolling"では勝手に転がることを意味する。前者は「押せば動く」ということで、このメカニズムの意味をよく表している。これは native の英語を話す人に聞いたことで、間違いはないだろう。


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2020年12月27日

続 自動操縦自動車 

TMS #6 この車は小菅製作所というおもちゃメーカの”ダンディ”という製品らしい。だいたい1/42サイズくらいだとある。1947年型キャデラックである、と01175氏からお知らせ戴いた。

 ブリキ板をプレスしたものだったそうだが、モータの界磁が近いので、磁気回路が外に出来てしまい、モータの力が出なかったそうだ。界磁に近いところを切り取って捨て、その部分をブラス板から叩き出してハンダ付けしたそうである。その継ぎ目が全く分からないので、磁石を近づけて境界を判定した。この工作は素晴らしい。

 70年以上経ってもその価値が減じない模型というものには、なかなかお目に掛かれない。どんなに細かく出来ていても、塗装が美しくても、工学的な裏打ちがあり、模型人の心を揺さぶる模型というものは稀である。

 博物館が開業すると、伊藤剛氏の作品を間近で見るチャンスがある。手に取ってという訳には行かないが、目の前で動きをご覧に入れることができるだろう。

 肺炎禍のせいで、何もかもが遅れているが、なんとか来年には開館できるめどが付いた。維持費は安いので、開業が遅れたからといって赤字がかさむわけでもない。筆者も、開業していないほうが工作に時間が取れてありがたいと言えば嘘ではない。
 信号機の完成実用化のめどが立ち、後は転車台を取り付けて、防護ガラスを付けるだけとなった。 

(TMSの旧い号は傷んでいるものが多いが、この椙山氏からお預かりしたものは全く傷んでいない。左上にサインが見える。椙山氏のご子息の意向で、蔵書をかなりお預かりした。)


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2020年12月11日

ステンレス容器 塩水漬け

removing broken drill bit in stainless steel bowl この方法を編み出したのは筆者である。しかし10年以上前にやったきりで、そのチャンスがしばらく無かった。それは通称 ”ガラ”を使うようになったので、タップを折ることが無くなったからだ。しかし、今回は少し違う事案だ。

 台車枠の鋳物に、軸箱護をネジ留めするための下孔をあける時に、折ったのだ。高速ボール盤を使っているので孔は簡単にあくが、中に鬆(す)があったようで、がくんと中に落ち込んだ時に折れた。高速ボール盤といえども、送りは無造作ではいけない、という良い例だろう。(写真の左上の部分の裏側に折れて刺さっている。)

 当時の韓国製の鋳物は見えない鬆がある場合があった。おそらく、熔湯を入れる速度が大き過ぎるのだろう。埋没材が削れて落ち込むのだが、それが浮力を得て上がって来るが、途中で引っ掛かってその分が空洞になる。もっとも埋没材はそこに残っているが、脆いのでドリル刃は一瞬で通過し、その先の金属に当たる。

 今回の失敗例をよく観察すると、ドリル刃は穴の中で斜めに刺さっている。すなわち、空洞を通過した後の向こう側の金属が斜面だったのだろう。それに乗り上げて、ドリル刃は横這いし折れた、と解釈した。

 ステンレス塩水漬けの方法は、「蒸機を作ろう」にも掲載され、利用する人が多くなったのは喜ばしい。しかし、相変わらず「溶けない」という文句が来る。
 ステンレス容器を使わない人が居るのには驚く。これはステンレスを使うことに意味があるので、プラスティック容器ではうまく行かないのは当然だ。書いてある通りにやらないと意味がないということを理解しない人は少なくない。
 また超硬のドリル刃を折り込んだという相談も時々あるが、それは諦めて戴く以外ない。切り取って埋め金をするしかないだろう。相手がブラスであれば、超硬を使う理由は見つからない。

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2020年11月25日

続々 Sofue Joint 

 先日紹介した現物以外にかなりの数の実例がある。いずれ写真をお見せしよう。

 また似て非なるものとして、中心ピン付きのものもある。これはトルクを伝えている。
Sofue Joint 2 これが実用化されている例があるのだろうか。かなり探したが見つかっていない。これはDDA40Xなどの4軸台車を全軸駆動する時に使う。以前はこのジョイントを六角のルース・ジョイントでつなぎ、反トルクをバネ材で承けていた。バネ可動時に無理をしないようになっているのだ。
 現在なら、可撓継手(フレキシブル・ジョイント)を使うが、当時は無かった。

Sofue Joint 2 (2)Sofue Joint 2 (1) 中心ピンで反トルクを承け、外周ピンでトルクを伝える。これは先回のと比べると使い方が簡単である。周りの剛性も必要がないが、駆動軸が振り廻されないような支持法が必要である。ここでは、中心の2軸が、台車内で左右に動かないことが必要である。動軸が左右にガタがあってブレる模型を見ることがあるが、そのような車輌には応用できないということである。コンパクトにまとまり、安上がりである。音は聞こえない。
Sofue Joint 2 (3) これは軸が可動であっても無理なく力が伝わる。厳密には等速ではないが、曲がる角度が非常に小さいので等速と見做せ、問題ない。各軸にはボールベアリングが装荷され、3条ウォームで極めて軽く作動することが、うまく行く秘訣である。

 この継手が成功したので、祖父江氏は嬉しそうだった。全く問題なく作動したので、いくつかの輸出モデルにも付けたはずだ。この種の継手は、模型全体が総合的に正しい設計でないと正しく作動しない。採用を考えていらっしゃる方は、その点をご理解戴きたい。

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2020年11月23日

続 Sofue Joint 

Sofue Joint 祖父江氏開発の一本ピンのジョイントが話題になっているようだ。このページへ訪問者が異常に多い。検索サイトからいらっしゃる方が、普段の数倍もある。
 brass_solder様からの情報で、TMS516号1989年7月号に載っていることを確認し、写真を拝借している。

 理屈を勘違いしている人もかなりあるようだ。コメントでいろいろなことを書いて来られるが、根本的に間違っているものは掲載していない。撓み継手のピンを減らしただけだというのは、最も多い誤解釈である。

 この継手はトルクを伝えているのではない。この継手を囲む構造体が大切で、それが前後上下左右に動かないように押さえつけている。この点はTavata氏のご指摘の通りであるが、そのコメント掲載後にも誤った解釈がいくつか来ている。

 TMSの新製品紹介にあったC57は、筆者の機関車を完成させた直後に、祖父江氏のアイデアを実現したものである。これ以外にカツミがHOに使用した例があるのだろうか。
 TMSの解釈は、コアレスモータは軸方向の力に耐えられないからだとある。それもあるかもしれないがそれだけではない。僅かな軸ずれを許容できるメリットが大きいのだ。

 そのC57のギヤボックスの中の写真がある。なんと4条ウォームで16歯のヘリカルギヤと組んでいる。そのあとはまたスパーギヤ2段で1:4にし、全体で1:16にしてある。これではだめだ。「互いに素」になっていない。動きが渋いそうだ。これがもし、互いに素で、モリブデン・グリースが使ってあったら、全く違う動きを見せ、評価は大きく変化しているはずだ。ウォームの進み角は非常に大きく、歯型が心配だ。これは角速度が一定にならない可能性がある。

 ところで、このギヤボックスにはトルクアームが付いている。これは明らかに祖父江氏の指導である。不思議なのはこの手法が使ってある模型が極めて少ないことだ。どうしてトルクアームを付けないのだろう。

 4条ウォームの模型が日本にもあったというのは驚きだ。韓国製で4:40というおかしなものがあったらしいことは聞いている。


「歯車 互いに素」を検索すると、拙ブログの記事が最初の方に出て来るそうだ。毎日の読者数のある一定の割合で、この記事を検索する人がいるわけだ。模型の記事なのできっと驚いているだろう。 

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2020年11月21日

3-unit GTEL の駆動方式

 第三世代のGTELの駆動はやや難しい。C-Cだから簡単そうであるが、それはA-unitの話である。B-unitは面倒な点がある。

 B-unit の床下には何もない。B-unitは鉄橋のような台枠の上にガスタービンを載せ、床下機器は一切ない。 すなわち、透けて向こうが見える。だから、普通の駆動方式では下にぶら下がってしまって、おかしなことになる。Ajinの初期製品では、床下にギヤタワァの下半分が見えないように、円筒を半分に切った形のもので隠している。オムツを当てているように見えるのだ。 これは極めてまずい。

 それで、その次のロットではB-unitの動力化を諦めてA-unitだけで走るようにしてしまった。これは、牽引力が無くて評判が悪かった。のちに室内で駆動する方式に改めたが、排気ダクトが邪魔であるから、切り詰めて極めて底の浅い排気ダクトになった。ガスタービンは、排気ダクトから中が見えるところが面白いのに、それが塞がれていると気分が悪い。

How to drive 3-unit GTEL この図は筆者の方式である。排気ダクトを温存するために、駆動装置を前後非対称にした。 6軸が連動するから、牽引力は大きい。3軸台車は、バネを利かせて可動軸にすると、3軸目の駆動は工夫が要る。ジョイントが必要である。

 かなり面倒な方式である。何回か作り直している。

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2020年11月15日

Sofue Joint

Sofue Joint 1 このジョイントには参った。常識では考えられない構造だ。二つの向き合った円板が、たった一本のピンで引っ掛かって廻っている。相手は長溝で、ピンの太さより微妙に幅が広い。Φ1.6のピンに対し、2.0 mmのスリットである。ピンは硬く、スリットは軟らかい。このジョイントで、軸の心ずれ、軸長手方向の伸縮、微妙な傾きを全て吸収する。オレンジ色の矢印はピンである。バランスは取れていないが、軽く半径も小さいから、影響は少ない。
 幾何学的には問題がある。しかし、比較的低トルクで、回転数も知れている。磨り減ったらスリット側を取り替えれば良いのだが、ほとんど減る気配はない。モリブデングリスを少しだけ塗ってある。沢山塗ると飛び散るだろう。

 初めはこんな子供だましの方法ではだめだと思ったが、走らせているうちに、これは無視できない方法であると評価した。筆者の8軸ディーゼル電気機関車の半分ほどに装荷されている。どの機関車も、複数のモータ搭載であっても全部の軸が連動し、同時に回転する。こうしないと牽引力は稼げないが、この理屈に興味を示さない人は多い。


Sofue Joint 2「インチキのように見えるけど、これでもいいんだぁ。軸重が大きいから問題ねえよ。レイルがあるから上下動はねぇってわけだし、台車は左右にゃ動かねえんだから、トルクは伝達されるさ。昔からアイデアはあったんだけどねぇ、付けたのは初めてだよ。」と言った。
 そんな馬鹿な、と言いたくなる設計であるが、問題なく作動する。オルダム継手は摩擦損失が大きいがこれは少ない。面白い設計だ。これは3条ウォーム、ボールベアリング装荷だからこそ通用する工夫で、ドライヴそのものの損失が大きいと振り廻されて、振動の元になってしまうはずだ。駆動軸でトルクが小さいから問題が目立たなくなるということもあろう。
 また、Oスケールの大きさだからこそ、うまく行くのだと思う。HOの大きさでは、径が小さい割に変位が大きく、難しいだろう。

 角速度変化はないとは言えないが、全く検知できない。重負荷でも音は聞こえないのだ。その後、かなりの文献を調査したが、これに関するものはまだ見付けられない。祖父江氏のオリジナルなのだろうか。1987年に取り付けられている。
 先例を見付けられた方は、お知らせ願いたい。

 この頃は祖父江氏がチェイン・ドライヴで様々な試行をしていた頃だ。ありとあらゆるところに使ってその音と耐久性を調べていた。

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2020年11月13日

GTELの駆動方式

GTEL drive mechanism この種スパン・ボルスタの付いた機関車の駆動方式には悩む。
 実はこの内の1輌は土屋氏のものであって、祖父江氏に依頼してドライヴを取り替えた。その時は、韓国製のやり方の一部を踏襲した。中央に近い一軸の動力化を捨てて、長いドライヴ・シャフトを使う方法である。この方法はドライヴ・シャフトの曲がりが少なく音がしない。もちろん、赤いアームはギヤボックスの反トルク承けである。

 これでも良いのだが、
「ほんとは全軸駆動にしたかったんだよねぇ。」
と祖父江氏は言った。上の図が、その6/8駆動のものである。反トルク承けは大切な構成部品なのだが、これを付けていない模型は多い。これが無ければ走らないはずなのだが、無理やり走らせているのが大半だ。既製品にも付いていないものが多い。

 筆者のも「やってみたい 。」と言うので送ったら、短いドライヴ・シャフトを付けて帰ってきたのは意外だった。当然、ギヤ・タワァ(チェイン・タワァと言うべきか)を第二、第三台車に付けての8軸駆動だと予想していた。なんと、短いユニヴァーサル・ジョイントを床下に2つ付けて帰ってきたのだ。(下の図)
「これでも行けるんだぁ。土屋さんのも、こうすりゃあ良かったかもしれねえな。」と言った。確かに半径2700 mmでは、偏倚量は少ないから問題はないし、牽引力は増大する。
 この時チェインを1本にして前後方向の長さを節約したので、ユニヴァーサル・ジョイントが使えるようになった。当初はチェインの強度が足らないと思ったのだが、1つで十分な強度があった。モータは細くて強力なものが高価だったので、2個付けた。

 二つの2軸台車を結ぶジョイントには、祖父江氏の発案品が搭載されている。

 先回の写真で手前のは筆者のLPG専焼実験機である。LA-SL線で実験が行われた。それは短期間で終わって通常型に戻されたので、実物を見た人は極めて少ない。これしかなかったので入手したが、この模型を走らせるのはやや違和感がある。


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2020年10月18日

続 最短の鉄道

 椅子は、バッタ屋で極端に安価で手に入れたものだが、有名なデザイナの製品らしい。足を切って台車に熔接したのだが、それを見て「ああもったいない。本物なのに。」と友人が漏らした。

 角度を考えて取り付けてあったのだが、評判が良くない。座ると嵌まり込んで、立ち上がりにくいと言う。この椅子は、腰が嵌まり込むように設計されていたのだ。そこで、少しバネを利かせて持ち上がるようにしてみた。それは単なるバネでは意味がない。行きと戻りで速度が異なるべきだ。

moving chair (3) 友人の鉄工所に図面を持って行って相談すると、「それは面白い」とすぐに作ってくれた。自動車のリア・ハッチを支えるガス・スプリングを付けると、体重を掛ければ静かに沈み、立ち上がるときはかなり早く追随するので、立ち上がりやすい。沈む速度よりも復帰する速度の方がはるかに大きいので、少し体を持ち上げて体勢を立て直すときには沈まない。だから楽に立ち上がれる。もちろん頭上にあるハンドル(グラブアイアン)を掴んで体を持ち上げるのだ。何回かやってみると、なかなか具合が良い。
 椅子の前の鉄骨には足を載せる。足で床を蹴って移動するのは難しい。上にあるつかみ棒を握って移動するのだ。ボールベアリングのお陰で、極めて小さい力で動かせる。


moving chair (2) 設計に際しては、絶対に指を挟まない構造にした。挟みそうな部分に手が届かないようにすれば良いのである。
 ガス・スプリングに掛かる力は、想定体重の1/2にするべきだ。当初、テコにより約2倍の距離にあることを失念してしまった。手元の 420 N(約43 kg重)のものを嵌めたが、相撲取りほどの体重を掛けないと縮まなかった。そこで240 Nのものを購入して取り換えたところ、実に調子よく作動する。
 屋外で塗装する時に写真を撮った。

「世界で一番短い鉄道だ」と言うと、納得する。電動にしてくれという要望もあるが、さすがにそれは難しい。

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2020年10月16日

最短の鉄道

moving chair (4)moving chair (1) 博物館のレイアウトの周回線路をくぐって内側に入る時、頭とか背中を打つ人が出て来た。筆者は慣れているから問題ないが、初めての人はかなり困るようだ。床から1080 mmだからそれほど低くはないが、歩いて通るのにはやや問題がある。
 当初はくぐって行く距離が短かったので、低いところに掴み棒があれば、それを支えにして簡単に入れた。ところが、留置線を増設したので、くぐって行く距離が長くなり、下を3歩、歩くことになった。屈んで3歩というのは、意外に大変な距離だ。背中を打つ人が続出したが、路盤の骨組みが堅固なので、当たると痛い。そのショックで留置線の車輛が脱線する可能性はないが、それだけ痛いということだ。

 30x30のアングルを伏せた線路を作り、その逆V型に合うボールベアリングの車輪を付けた椅子を作ってみた。熔接で簡単に作れるのだが、座って貰うと評判が今一つである。

 Vレイルに合うボールべアリングの台車のようなものは、レールコマという商品である。昔本棚があまりにも多くなり、スペイスの節約のために可動式としたときのものである。まだいくつかある。本来は製材所で、原木を載せた送材車が直線上を往復するようにする車輪である。片方はアングルをレイルとして鋸との距離を保つが、他方は平板を張ってある。


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2020年09月28日

車輪を抜く

custommade 動輪などを抜く台は、錆びやすいので油を塗ってポリ袋に入れてある。それを見て、欲しいという人が居たので、鉄工所に注文して作ってもらった。右は既存のもので、チャンネル材を平板に伏せた形である。左が今回作ったものである。上の板を薄くしている。さすがはプロの熔接で完璧である。

custommade2 寸法は似ているが、「軸箱フランジを大きくし、表の板を薄くしてほしい」と言うので、t4.5の板の裏側を一部えぐり取った。この写真では、左だけを裏返している。
 面板が比較的薄い板であるので硬い材料にしたかったが、工場で手持ちがなかったそうで、SS(普通鋼)にした。撓むといけないので、僅かではあるが支えを入れた。この支えは効く。単に側面だけを熔接したのでは凹んでしまうのだ。

 この種の補助具を用意せずに車輪を外したりする人が多いが、フレの元である。例の”コンコン改軌”などは決して褒められたものではない。HO用でもある程度まとまれば作れる。希望があれば、皆さんで相談して寸法を統一されると良い。クラブなどで数をまとめて戴くと有難い。

 プレスをお持ちの方は少ない。完成品を買う金があったらプレスを買うべきである。一度使えば、他の方法など考えられなくなる。便利なものである。


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2020年09月02日

模型クラブの会合

619_2219 久し振りに模型クラブの会合に行った。Covid19禍でしばらく中止されていたり、当方の都合で行けなかった。今回は会員に渡すものがあるのと、様々な用事があり、どうしても行かねばならなかった。ウェブ会議でやるというアイデアもあったが、それはあまりにもばかばかしいということになったようだ。

 会場に着くと大きな部屋であった。最近は、誰も使う人が居ないらしい。安価で広い場所が与えられた。参加者は10名ほどであったが、持ち寄られたものは面白いものが多かった。
 在宅勤務が増えたので、模型工作の時間が十分に与えられたことになる。アイデアを形にしたものを見せ合い、なかなか面白い会合であった。

 伊藤 剛氏は、クラブに入っていない人の作品には偏りがあります、と述べていた。それはそうだろう。互いに啓発し合うチャンスが無いと、間違いを是正するチャンスもなくなる。また、手伝いに来て下さる方もあって、助かる。もう何十年も付き合っていると、お互いの事情も良く分かっているからこそである。

 今回、筆者はパシフィック2輌を持って行った。このサイズの模型は壊れやすい。もうすこし大きなものは良いのだが、重い割には飛び出しているところが多いのだ。4-8-4クラスだと相対的に出っ張りが少なくなる。

carrying engines 手術台に載せて箱に入れ、隙間に緩衝材を丸めて突っ込んだ。この方法は機関車が安定して良い。テンダは別の箱に入れた。動軸が回転するので、転がらないようにするのはかなり手間がかかるが、あおむけにしておけば何も考えることがない。

 二輌を同じ線路に載せ、片方を押すとヘッドライトが点き、他方が走った。始めて見る人も居て、とても驚いたようだ。理屈は分かるが、実際には難しいことだと言う。
 角速度が一定になるように設計した3条ウォームギヤであることは知っているので、何度も押してその感触を楽しんだ。実はUPの機関車には大きめのフライホィールを付けてある。これを付けると角速度が一定でない歯車を付けた機関車はゴリゴリするはずだ。その話をすると非常に面白がってますます早く押して、調子を調べたがった。小さな抵抗を持って行ったので、それでレイル間をショートさせ、負荷を与えての高速手押しを何度もやって、角速度が一定であることの価値を確認していた。また、トルクチューブの意味について語り合った。もっとも合理的な方法であるということが納得できたようで、嬉しい。

 工学を正しく理解している人たちとの会話は楽しい。単なる思い付きではなく、裏打ちのある知識を持って実験することの意義を感じた日であった。 

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2020年08月23日

続 非金属製車輌の末路

 ウレタンは、熱可塑性ではない。いわゆる”流れる固体”ではないのだが、現実はこれだ。やはりプラスティック素材で骨を入れずに長い客車などを作るのは避けるべきである。成型した後、片面だけ機械加工してあるのが、ファクターとしては大きいと思う。片面だけ応力が解放されているのだろう。だから、その面にジュラルミンの板を貼ってあると、かなり違う。ジュラルミンの薄板は飛行機の材料だと思う。友人から少し貰ったのだが、もう使い尽くした。熱処理した鋼板でも良いだろう。側板は内側に反っている。(先日会ったF氏はブラス板に筋を入れて木製の側板を再現したが、裏側も同様の筋を入れていた。うまい工夫である。両面の応力を開放すると反りが無くなるのだ。)

 彼のいくつかのキットを未組で持っているので、反りを調べている。組んでない状態でも屋根板は少しずつ反っている。これを組み付けると全体が反るだろう。硬いアルミ製のアングルを、逆に反らせてエポキシ接着剤を塗ってクランプで締めた。こうすると反りは抑えられ、安定した。

 何年か経つと、ウレタンは徐々に加水分解され、壊れていくはずだ。壊れないウレタンは残念ながら存在しない。その期間が10年なのか、20年なのか、100年なのかは分からない。日本の模型に詰められたスポンジは、ほとんどが劣化してしまったようだ。不思議なのは、アメリカ製のスポンジがダメになったのはほとんど無いことだ。材料が微妙に異なるらしいところまでは突き止めた。
 我家の建築資材はアメリカ製のものが多い。断熱材のウレタンを一部剥がしてみたが、25年でほとんど劣化していなかったので少し安心したが、油断はできない。

 この客車もそのうちに駄目になるだろうから、寸法を取ってブラス板からレーザーカットで再生することにした。このような客車を作るのは難しいことではない。リヴェット打ちはかなり大変であるが、橋を作った時のことを思えば大したことではない。屋根は定評のある木製にする。60年物の屋根材がいくつかある。 
 いずれ製作記を掲載するつもりだ。2輌作る。 

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2020年07月08日

古い車輪を再利用する

 3線式の時代の車輪はかなり捨てたが、まだいくつかある。厚みがあるのでこれを削ったら、OJ用のスポーク車輪になるかもしれないと思い付いた。19 mmのサンプルで試してみる。
 
19mm wheel on collet (1)19mm wheel on collet (2) ネジは旧JISのM4で、ピッチが0.75 mmだ(現在の並目ピッチは0.7 mmである)。筋の良い車軸を選んでヤトイとする。車輪裏の根元がきちんと平面になっていないと振れが生じるので、まずそこを削り、フランジ内側を削り落とす。これでよいかと思ったが、多少の振れがある。昔の製品の精度はこんなものだ。この方法では、最初に根元を削った部分が垂直であるとは限らないからだ(大きなコレットでタイヤを掴むのが良いことが分かった)。ヤトイから外して、前後嵌め替え、今度は表面を厚さ 3.5 mmになるように削った。

 タイヤ厚み(法線方向)が1 mmだから、輪心径17.0 mmのものと、それから絶縁材の厚み×2を引いたもの、の2種を削り出すのだ。

 
 ネジ込み車輪というものは根本的に「振れ」からの脱却は困難である
筆者が圧入にこだわるのはそこである。
 この工場で作ったネジ込み車輪のネジの精度には誰しも驚く。ぎゅっとは締まらない。こつんと締まる。ガタが、事実上ないネジを作ってくれるのだ。だからLow-Dにもネジ込み車輪が登場したのである。最初はすべて圧入だった。


 タイヤはステンレスだから伸びやすい。無茶に締めると、径が左右で異なることになる。定盤の上でエポキシ接着剤を塗ってそろりと嵌めることにしよう。

19mm wheel centers (1)19mm wheel centers (2) 軸はバックゲージが21.5 mmのものを作る。今どきM4-P0.75と聞いたら、工場の人は驚くはずだ。久しく作っていないだろう。 
 当時の製品はネジがガタガタで、心が出にくい。
 
 今回の発表で、細かいものを少し作ってくれと言ってくる人があるが、そういうものは請けられない。この工場は量産工場である。極めて精度の高いものを大量に作る技術を金に換えているのである。こちらで用意した仕様以外のものは、相当数の注文がないと動き出せない。

 タイヤだけを作っておけば、いろいろな使い方が見つかるだろう。昔は旋盤工作ができないと加工は無理だったが、今回はそのまま嵌めるだけというものもできるかもしれない。ある人は、車輪内にボールベアリングを仕込んではどうか、というアイデアもある。左右自由回転になる。出来ないことはないだろうが、ガタがあるので、複列にして多少の予圧を掛ける必要がある。かなり面倒な構造だ。ガタを見越して使うのなら簡単だが、Oスケールでは避けたい。 

 見かけだけはよくできた車輛を見せてもらうことがあるが、車輪が振れていると、思わず天を仰いでしまう。優れた走りには、どうしてもこだわりたい。


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2020年06月20日

走行抵抗を与える車輌

 沢山のコメントが入り、驚いている。

 車軸にモータを仕込んで発電機とし、抵抗で消費させてブレーキを掛けるものは作ったことがあるが、面白くない。安価な有鉄心モータであるから、発電量は位相によって異なり、大げさに言えばカクカクとなった。たくさんつければ均されるが、おもちゃのようなものである。HOでは大きさの点で難しい。

 要はブレーキであるから、効率はあまり関係ない。負荷が均一であることが大切だ。簡単な歯車装置か、摩擦車でも良い。細いバネで軽く押さえれば、用は済む。
 昔アメリカの広告で見た、大きな車を台車の上に置いてフランジから摩擦駆動するものがあったが、あれでよいのだ。その商品は慣性を増大させるものだったように覚えているが、角速度が小さいので意味がなさそうだった。今回は慣性は関係なく、半径が大きければ、摩擦力は小さくて済む。
 どなたかが作られると面白い。 引張力を掛けた状態での走行状況を見るものだから、慣性は無くてもまったく構わない。単なるブレーキ車で良いのだ。

 急曲線の話があったが、左右の車輪を独立にすると摩擦が激減する。これは15インチ(381 mm)ゲージの乗用模型で立証済みである。半径 5 mでも5人乗った客車を片手で押せる。左右の車輪が連結されていると、二人で押さねばならないほど、重かったのである。HOなら、構造は極めて単純で良い。 
 軽便鉄道風の物であれば引張力がなくてもかまわないのだが、本線を走る大型機関車については調べる必要があるはずだ。

 ハンダの色については、いくつかのコメントがあった。最近はKKCに限って言えばハンダの色が見えているものが増えて来た。喜ばしいことである。完全にハンダが廻っていて、壊れにくい。これはその昔、TMSのミスリード記事が元になっていると思う。ハンダを見えなくすると良くなることなど、見かけの問題以外、どこにも見つけ出せない。アメリカのコンテストでも、未塗装の場合、ハンダが見えているものが多い。見かけよりも実質を取るのだ。


 コメントに、自己宣伝を書いてくる人が多くなった。何度も申し上げたことだが、コメントはコメントであり、それ以上のことはご自分のサイトで発表されたい。核心を突かない不要部分は削除して短くするか、掲載をお断りしている。 

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2020年05月27日

UPの客車群を塗る

UP Streamliner 外出が制限されている。時間があるので、組んだまま放置されていた客車を塗り始めた。
 Union Pacific 鉄道の流線形客車群である。総ブラス製で、かなり重い。もともとは、Kemtronが作っていた厚さ0.63 mmのエッチング・キットであった。殆どの人は、買ったは良いが、組めずに放置していた。20年ほど前から、それが中古市場に適価で出始め、筆者は手あたり次第、買い占めた。一時期は40輌分ほどあったが、その後欲しがる人も居て、譲り渡して半分になった。右の2輌は、参考品として塗装済のものを購入したもので、色合いが異なる。

 キットは板だけなので、まず窓抜きをせねばならない。これは当初、糸鋸で抜いた時期もあったが、その後縦フライスになった。ヤスリ掛けは不可欠で、たくさんのヤスリを消費し、ヤスリ粉は牛乳パックに2杯も貯まった。屋根曲げは、ある程度は折曲げ機で曲げ、その後の修整はこの丸アンヴィルを使った。非常にうまくできる。屋根板は0.55 mmのものもある。

 屋根と側板は隙間なくつなぐ。これには、Kemtron社自体が公表していたノウハウがあって、その通りにすればかなりうまくいく。つなぎ目に連続した板を内側に貼り付けるのは、極めて難しいからだ。
 そのノウハウは、ブラス板の小片をたくさん用意し、簡単なジグ上で押さえ込んだ屋根と側板の接合部にハンダ付けする、というものだ。小片の上半分は屋根に合わせて軽く曲げておく。多少の隙間ができても押さえ付けながら、その部分を局所加熱すれば直せる。これが連続した材料であると、難しい。最終的につなぎ部分の8割がこの小片で埋まる。車体外側から見ておかしくなければ、成功だ。この小片によるつなぎ法は、いろいろなところに応用している。部分的な修正が効くのが良い。炭素棒による加熱なら、自由に付け外しできて具合が良く、楽である。

 このやり方はいかにもアメリカ人の考えた方法である。下手な人でも、そこそこにうまくできるのである。それを、筆者は少し進歩させている。
 数箇所を小片で付け、ずれや隙間が無いのを確認したのち、長目(75 mm程度)のつなぎ板を一気に貼る。ハンダの量を適量にすると、なぎ目にハンダがにじんだ状態で完成する。もちろんこの長板の上半分は、屋根の丸味に沿わせて曲げておくのだ。

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2020年05月25日

operating table

手術台 手術台と呼んでいる。機関車を作ると必ずそれに合わせて作る。めんどくさいと思われる方もいるだろうが、これは不可欠のものである。ディーゼル電気機関車の場合は、外側の回廊部を支えなければならない。それには、手摺りを逃げた薄い材料で作る。

 Oスケールは重い。機関車が最低 2 kgはある。大きなものは4 kg以上ある。関節機などは6 kgもあるものがある。これをひっくり返して機構部を外したり、ロッドの調整をしようと思うと、細部が壊れてしまう。

 ラニングボードの付け根を支えるものが必要である。ラニングボードは分割され、段差があって上下しているものが大半なので、それに合わせた支えが必要である。幸い木工機械があるので、精密に切り出したブロックをたくさん用意し、高さを決め、接着剤で固定する。
 
 作った手術台は嵩が大きいので、専用の大きなコンテナに、嵩を減らすように組み合わせて入れてある。先回の慣性増大装置付きテンダには、専用の手術台をこしらえた。テンダ用としては、初めてである。もう一つ作らねばならない。

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2020年05月11日

続々々々々 ATSF Heavy Pacific

 本物では、インジェクタなどの補機類はどこに付いているのだろうか。たいていは運転室床下にある。機関士が手を伸ばしてレヴァを引き、あるいはコックを開き、作動させる。インジェクタは配管だけでぶら下がっているのではない。配管だけでは、振動で折れてしまう。大型機のインジェクタは重い物である。最低100 kg、大きいものは300 kgほどもありそうだ。垂直荷重の大半はフレイムから生えた支え(stay)で持つ。配管には殆ど力が掛からない。ステイは垂直方向にもある。三角形にして重さも受け持つようにしたものもある。また、Uボルトでインジェクタを押さえたり、インジェクタそのものに取付ボルトがあるものもある。

 模型では、インジェクタはキャブに配管だけでぶら下がるものが、ほとんどだ。だから塗装などで上下分解すると、上廻りをインジェクタで支えるような置き方になる。HO 以下のサイズなら、さほど問題にはならないかもしれないが、Oスケールの大きさであると、これは 大きな問題である。上廻りをどうやって置くべきか、考えねばならない。事前に台を作ったりする。そのまま置けば、インジェクタが曲がってしまったり、配管が折れたりするからだ。

injector suppoert (1)injector suppoert (2) 今回は火室底板に付いている配管を延長し、インジェクタまで一体にした。インジェクタには支えをハンダ付けし、フレイムに作ったネジ穴で固定することにしたのだ。2箇所留まっていれば安定する。

 このやり方は祖父江氏と何回か相談したことがある。どうすれば実感的で、しかも壊れにくいか、だ。今までは、キャブ床板からステイを下に延ばしたものが多かった。これは実感を損なうし、弱い。今回のやり方でいくつか作って検討してみることにする。

  既製品であるので、寸法を出すのが難しい。配管だけで浮かしたものに、フレイムにネジ留めしたステイを接触させ、その先に炭素棒でインジェクタをハンダ付けした。こうすれば位置は必ず合う。 そうしておいて外して洗う。

 塗装はばらばらの状態で行い、組んでネジを締める。あちこち触っているので塗装は傷だらけだ。後でタッチアップする。裏面だから見る人はいないが、気にする人もいるからだ。

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2020年04月17日

タオルを敷く

 この3日程、極端に忙しかった。注文してあった部品、工具等が、どういうわけか集中して届いたのだ。箱を開けて検品したり、合わないものは削ったりして、ほぼフルタイムで3日程かかって何とかなった。
 一番大変だったのが3Dプリンタによる部品である。外形だけの物は少なく、機能部品が多いので、二次加工が必要である。 実際に組立ててみて、当たるところはないかなど、確認が必要である。コンピュータも触る時間が無かったので、久しぶりに開いてみると、予約していた記事が無いので驚いた次第。メイルもたくさん溜まっていた。
 いつもは数回分の予定稿が用意してあるのだが、1回分の書きかけしかなかったので、今回は短い記事である。



 雲黒斎氏からのコメントを受け、試していた。分解・調整・再組立の時、ネジが落ちたりして探し回るのは避けたい。その抜本的な解決策である。
 氏はラジコンにご興味があるようで、そのような方法を既に経験されたのだろう。

towel 机の上に、タオルを折って分厚い層を作り、その上で分解・組立等をする。試しにネジを落としてみると、タオルの糸がショックを吸収し、ネジは静かに着地する。机の下には、全く落ちることが無い。今まで、菓子折りの蓋などで受けていたが、それでもネジは弾んで落ちた。

 タオルにはいろいろな織り方があるが、軟らかいループのあるものの効果が大きい。ただ、部品がひっかかりやすいから注意が要る。最近はあまり見ないが、カットパイルと言って、ループを切って糸の切り口が見えるタイプは、モノが引っ掛かりにくいので良い。


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2020年04月15日

続 炭素棒ハンダ付け装置の増設

 炭素棒ハンダ付けの恩恵に与る人は厚板を使う人であろう。あるいは大きな鋳物部品を扱う人だろう。HO以下の模型では頻度は少ないかもしれない。Oスケールでは、これがないと進まない。
 CLW のキットを組めばその理由が分かる。すべての部品が1 mm以上の厚さを持つ。キャブなど薄板でよいのに、1.6mm厚のロストワックス鋳物の妻板、側板に、0.76mmの厚さの屋根板である。これを完全に隙間なく付けねばならない。イモ付けではなく、階段状にかき取ってある部分をきちんと突き合わせてクランプし、ハンダを置いて加熱する。屋根板を付けるときは、ブラスの針金を直角に付き合わせたところに置いておくと、接着面が広くなり、丈夫に付く。

resistance soldering 既存のタイプの電源を床に置くとケーブルの長さが足らない。机の上では邪魔である。思い切ってテーブルの下に斜めに付けた。
 この傾斜は有効である。わずかに上に向いているだけで、表示が見易く、操作も楽である。放熱も良い。お薦めする。

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2020年04月13日

炭素棒ハンダ付け装置の増設

 むすこたかなし氏の素晴らしい着想で、24 V出力のトランスを二段接続する方法を採用した。正直なところ二段接続は好きではなかったが、このトランスの価格を知れば、やるべきであると思った。まだ1000円程で手に入る。筆者はたくさん買って友人に譲った。

 ヤフー・オークションの様子を見ていると、この24 Vトランスはしばらくの間、無限に出てくるような感じである。遊戯機械がそう簡単に低電力化されるとは思えないからだ。いくつか手に入れて内部を見ると、かなり焼けているものがある。酷使したのだ。内部のプラスティック部品が焦げているものもある。温度フューズが飛んでいるものもあるので、それは取り替えればよい。巻線の絶縁は十分にあるので、このような事故品でも問題なく使える。電圧が低いから、事故は起こりにくい。一つだけ、二次線が導通していないものがあった。落とした跡があるので、衝撃で切れた可能性がある。これは巻き替えざるを得ない。時間ができたらやってみよう。3.5 mmsqのテフロン線を少し巻くだけで再生できる。 

 自分用のものは、とにかく出力の大きいものが欲しかった。分厚い砲金(青銅)の鋳物でできた前頭部に、ロストワックスの部品を隙間なくハンダ付けするのはそう簡単ではない。今まではガスバーナで100 ℃あたりまで予熱し、それを保温材で包んで炭素棒で付けた。かなり面倒で失敗も多かった。Dennisのようにアセチレンガスでやれば良く付いただろう。

AC6V 41A 今回出力 41 Aというのを手に入れたので、キャスタ―の付いた台にトランスを二段に積んで、ネジ留めした。さすがに重くて持てない。作業台の下に押し込んである。これは都合が良い。
 ただ、手持ちプローブの電線が太過ぎて固く、取り回しに苦労する。柔らかいものを探している。3.5 mmsqでは電線がかなり熱くなる。耐熱電線だから100℃くらいへっちゃらなのだが、持っている人間のほうが火傷してしまう。5.5 mmsq以上を使わねばならない。8 mmsqはかなり使いにくい固さである。

 作るのは簡単で効果が大きいので、このレポートを参考にして自作されると良い。

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2020年03月20日

実感を与える

UP FEF3 久し振りにFEF3が本線上を走った。ここ3年はChallengerの牽くプルマン特急しか走っていなかった。Challengerにはminor problemが発生し、工場入りしている。マイナ・プロブレムというのは大したことのない故障であって、ごまかして使えないこともない程度であるが、完璧を期すために修理している。
 draw bar が外れやすいのである。坂の途中で外れると電気配線のソケットを引き抜いて、機関車だけがどんどん走っていく。当鉄道では機関車だけで両側集電しているから単独走行が可能であるからだ。ボールベアリングを装備しているので、タイヤからの集電ブラシを付けないと走らない。それを2組付けているのだ。サウンドは途切れてしまうから、切れたことはすぐわかる。

 テンダは機関車と同一極性にしてある。こうすれば、機炭間の無用なショートから逃れられる。10年ほど前、それをHOの友人に話したら大変驚いていたが、下らない昔の考えに捉われる必要などないのだ。
 ドロゥ・バァには斜めに切り込みが入れてあって、ワンタッチで連結できるが、その押さえのラッチ・バネが弱いのだ。すぐ直るが、あちこちついでに見ておこうと、休車扱いにした。すべての先輪、従輪、テンダ車輪は、既にLow-Dに替えてある。




 このFEF3は1985年にロールアウトして、おそらく1000キロメートルは走っている。日本で、いや世界で一番長距離を走った模型機関車かもしれない。自宅のレイアウトで、20年ほど、80輌牽かせて毎日1時間くらい走らせていた。山の手線と同じで、同一方向に走らせるとフランジが片減りするので、毎月初めに回転方向を逆にしていた。
 ひっくり返して見ると、従台車、テンダ―の車輪がかなり摩耗している。めっきがはげてブラスが見えている。フランジも形が良くない。直立に近づいている。これらはオリジナルのカツミ仕様であった。Low-Dに取り換える。動輪は一度も交換していないが、十分に持っている。鋼のタイヤだからだ。ボールベアリングはNMB製である。さすが日本製の高級品で、十分性能を保っている。ギヤボックスを開けて見たが、なんの問題もない。二硫化モリブデングリスは健在で、歯形も良い。

signals (5) この機関車を作るにあたって、本物を丹念に観察した。気が付いたのはキャブの下がり方と、除煙板の波うちである。前者についてはしばらく前に触れた。波うちは金床の上で木槌で丹念に打って再現し、内側には骨を付けた。配管も少し歪ませた。
 祖父江氏は、目ざとくそれに気が付いた。「でもねぇ、商品が歪んでいると、お客さんは買ってくんねぇよ。」
 実感的な歪みというものに、かなり興味を持ったようだが、実現には時間が掛かった。例のビッグボーイの配管は、実物の観察から、僅かの歪みを与えている。
「歪ませましたね。」と言うと「わかるかい。たいていの人は気がつかないと思うよ。その程度にしといたよ。」とのことであった。  

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2020年03月12日

トロイダル・コア

 昨年末に、むすこたかなし氏から相談があった。炭素棒ハンダ付け機の電源を作る工夫である。トロイダル・コアのトランスを二段階接続して(これを直列接続とは言うべきではない)、100 Vから 5〜6 Vを得る方法だ。素晴らしいレポートがあるので、詳細はそれをご覧戴きたい。

 驚いたのはそのトランスが一つ1000円ほどで出ているということである。パチスロというものがある。筆者にはどんなものか見当もつかないが、ソレノイドを多用した遊技装置らしい。大電流を使うという話だ。出力は 24 Vで 10 A〜20 Aの電流が取り出せる。このトランスの放出は今だけなのか、それとも継続的に行われるのかも見当がつかないが、現在はインターネット・オークションでいくらでも見つけ出すことができる。 ただ一つの懸念は、たくさんの人が同時に買おうと殺到すると価格が上がってしまうことだ。そこはわきまえて安く買う工夫をされたい。

 トロイダル・コアは、変圧器の鉄心としては最も高効率のものである。昔、筆者の父が作ってくれた変圧器は戦災で焼けたケイ素鋼板をネジで締めたもので、通電するとブーンと音がした。隙間があったからだ。これは全く音などしない。

transformers 仕様を絞って見て行くと、出力 41 Aというとんでもないものが見つかった。要するに1 KVAである。質量は9 kgもある。これを2段目に使い(右) 、1段目に350 VAの(左) を使うと、1段目の容量が無駄にならない。それを購入して、2段目の入力を1段目の出力に圧着端子で固定接続した。総質量は12 kgある。そう簡単には動かせない。

 筆者は、炭素棒ハンダ付け機は既に2台持っているが、いずれも出力不足に悩んでいた。より大きなものを付けたい時には大電流の機種が必要であったので、安価にそれが実現できるわけでありがたい。もちろん、2回も変圧器を通すのだから、損失は多少はある。しかし、長時間使うものでもないので、安くできれば、電気代がわずかに余分に掛かろうとも全く問題ない。

 これをキャスターの付いた台に載せ、作業台の下に滑り込ませるようにする。手元のコードは可撓性のある電線を用いるが、5.5平方mmを使わねばならない。炭素棒も 8 mm径のものを使うつもりだ。ここまで来るとかなりの太さで、自動車のジャンパ線か、熔接機の電線のような感じである。

 以前の頒布終了後、多くの方から再度の頒布を要望されていたが、これで殆ど解決したように思う。前回のキットをまだ組まずに持っているから値が上がる、と信じているおかしな人もいるようだが、これでそんなことは何の意味もなくなる。今回の価格破壊で、どんどん作る方が増えるだろう。この技法を広めて戴きたい。


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2020年03月08日

続々 US Hobbies のギヤボックス

 どうしてこのようなギヤボックスを作る必要が出て来たか、というのは少し説明が要る。Ajin製のヘリカルギヤだけのギヤボックスが複数見つかり、それにはEMD E7の車輪(36インチ)がついていた。 1:1のギヤボックスだから、事前に減速ギヤで減速しないと走らせることができないわけだ。
 
 これがうまく行くかどうかは、使ってみないことにはわからないところがある。というのは、減速されて大きなトルクが台車に伝わる。すると、反作用で車体が反対方向に傾く可能性がある。輪重も一定にはならないかもしれないから、それは脱線を誘発するだろう。しかし既製品は曲がりなりにも走ったようなので、うまく行く可能性もある。
 理想論を言えば、前後の台車のひねられる方向を逆にするために、ウォームのネジを鏡像にすれば良い。当然モータは2個を逆方向に回転させることになる。しかし、コストが増大するから、そんな模型は見たことがない。むしろ台車ごとにモータを付けて、独立した状態にするのが確実である。

 過去に筆者が作ったものは、すべて台車内で3 : 23にしている。即ち、ドライヴシャフトで伝達するトルクは小さいから、車体が傾く心配はまずない。
 今回のギヤボックスはCLWのE7に取り付ける予定で、それは砲金で鋳造された前頭部を持ち、すこぶる重い。ということは大きなトルクで推進軸を廻しても、その反作用に耐えてくれる可能性が高い。

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2020年03月06日

続 US Hobbies のギヤボックス

 歯数が決まっているので、ギヤ比は変えにくい。ちょうどよい歯車があれば良いが、この M0.8 の手持ちは少なく、なかなか難しい。M0.5 であれば、異なる歯数の歯車をふんだんに持っている。軸距離を計算して可能な組み合わせを選び出す。今回、歯数が14枚に満たないものはすべて廃棄した。そんな歯車を使っている以上、ガリガリ・ジャラジャラ音からは絶対に抜け出せないからだ。(”M”とは歯車の歯の大きさを表す”モヂュール”である。)

 ギヤボックスの内側のえぐりをフライスで拡げて、大きな歯車を入れると、自由度が増した。大きな50枚を最終段に置き、中間を大小二段の歯車にした。与えられた条件内で、14枚以上を用いた組合せを、限られた空間内に押し込んだ。設計にはかなり苦労した。
 まさに「フライスと旋盤の実技修了試験」のような工作であった。すべての孔をフライスとリーマで仕上げて、ボールベアリングはすべり嵌めである。全くガタの無い軸というのは気持ちが良いが、もう一つ作るのは勘弁してほしい。フランジ付きは、ミネベア製の高級品である。

US Hobbies gearbox modified 歯車のボス部分は細く削ってボールベアリングのインナ・レースのみに触れるようにした。また、正確に削って、予圧を与えることに成功した。
 ワッシャ無しで嵌めるように、ぴたりの寸法に削ったのである。ここでガスケットの圧縮による分を、計算に入れてある。最終的なギヤ比は 約 1 : 7 である。非常に軽く動き、音もほとんどしない。
 ガスケットの厚さは、ネジを緩く仮締めした時と、強く締めたときの差を、マイクロメータで調べた。その中間でネジを固定するわけだ。難しくはない。この方法は10年ほど前に思い付いたが、実践するチャンスが今まで無かった。ネジはロックタイトで固着させたので、中を開いて見せるわけにはいかないのが残念だ。

 上のモータに行く軸は撓み継手である。この頃はこういう部品が安く手に入る。以前は苦労して作っていた。事実上、一直線上に設定されたモータ軸ではあるが、微妙な曲がりがあっても全く問題がなくなる。こういうところには、ユニヴァーサル・ジョイントは使いたくない。効率が下がるからである。


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2020年01月26日

工程表

 限られた時間で完成させようとすると、どうしても工程表が要る。工程表が無いと、くだらないところに時間を掛け過ぎてしまう傾向がある。

 各単元の工程の時間は、経験上分かっているので、細かく分けて書く。ここまでは何月何日に出来ていなければならない、という目安は大切である。
 単元ごとに検査し、あとでの再調整を不要にしておくことが時間節約になる。これは建築工事と同じだ。組んだものをバラして再調整するのは、膨大な手間が掛かる。今回は既製品の改造なので、既存の構造を利用できるところは残す。他を切り取るので、補強が要る。補強を後廻しにすると寸法誤差が出るので、補強工事を最優先にし、その後余分を切り取るようにした。
 テンダの中は太い骨が入っている。もともとはがらんどうであったが、重くなるので持った時に潰れないような構造でなければならない。
 
 旋盤工作は意外に時間が掛かる。刃物やドリルを取り替える手間が多いからだ。その必要が無いものは早い。小さい方の旋盤にはDROが付いていないので、目盛を読んで作るのは意外と大変である。1回転で何mmということから計算するので、計算用紙、電卓が必要である。早見表を作り見やすい位置に貼ってある。すべての材料、工具は並べておく。材料探しというのは、するべきではない。

 最初に見積もったスケジュールより早く進んでも油断せずに、先の方の予定でも時間が掛かりそうなものを先に作っておく。
 ロストワックス部品は念入りに仕上げてバリを取り、足の長さを調整して完全に密着するようにしておく。そうしないとハンダが完全に廻らない。
 細かな組立ては、机の上を整理して行う。前掛けをして、落とした部品がひっかかるようにする。落とした部品探しというのは、時間の無駄そのものである。
 塗装は4日掛かるとみた。初日は塗装剥がしである。塗ったらオヴンに入れて加熱する。100℃で2時間だ。マスキングは丁寧にする。失敗すると時間が無駄だ。塗り終わると同時に剥がして再加熱する。

 結局のところ、〆切の2日前に落成した。テンダがとても重く、宅配便で送るわけには行かない。持って行く途上で、T氏には助けて戴いた。ナンバーボードのスクリーンを忘れたのだ。コンピュータで作って戴いたものを付けた。


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2020年01月24日

リンク機構の工夫

making link (1)making link (2) テンダの先台車はリンクで結ばれている。左右に振れると、先台車は微妙に回転し、曲線上に載る。前後のガタは全くない。ピンはネジだが、パイプを切って嵌めてあった。要するに段付きネジのようになっているのだ。友人のO氏に見せたら、ピンに僅かのガタがあると指摘されたので、旋盤で精密なピンを挽いて、作り直した。ガタがあれば、台形リンクの意味がない。
 ガタをなくし、微量のグリスを塗った。当然、穴にはリーマを通してある。磨り減ることはないだろう。

 フライスのDROで設計寸法に孔をあけてから、外形を切り抜くが、今回はギヤボックスがあるので一筋縄ではいかない。少し逃げている。そうすると固定台車の第一軸の車輪が干渉する。絶縁側は念の為、さらに1 mmの逃げを付けるのが、当社の方針である。するとリンクは直線にはならない。

tailoring a link こういう時は、距離を保ちつつ途中の経路を変更するので、屈曲させるわけだ。十分な剛性が必要で、なおかつ設計寸法が変化するのを避けたい。そういう時はこの方法が確実である。図は誇張してある。
 .團鷙Δ鬚△院太い副木(そえぎ)を当ててピンを通し、ハンダ付けする。
 副木に食い込むくらい切り込んで、障碍物を回避する。
 A澗里鮴扱舛垢襦

 これを3次元でやるので、できあがりのリンクはあらぬ形をしているが、ちゃんと機能する。

stopper 先台車のリンク支持には大きな利点がある。直線の線路上では、自然に台車が真っ直ぐ向く。即ち線路に載せ易い。問題は、センタピンが無いので、車体を持ち上げると台車が落ちてくることである。今回はそれを解決するために、ひっかかりの爪を作って落ち留め(写真)としている。左右に滑らかに動くことが条件だ。二硫化モリブデンを塗ってあるので、滑らかに作動する。
 復元装置は付けなかった。今のところ、なくても脱線したことは無い。機関車に引張られているというところが大きいのだろう。推進時にも問題はなかった。ただ、設計最小半径未満では脱線する。ガタが無いので当然である。

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2020年01月18日

続々 ”Super 800” 

 テンダ台車からの動力採取は、6軸とした。1軸は構造上、捨てる方が都合が良い。7軸中の6軸であるから、十分だ。ディーゼル電気機関車用に開発したギヤボックスが一番小さいので、それを入れたが、ぎりぎりである。当初はギヤボックスで回転軸を平行に持ち上げる予定であったが、とても入らない。また、横から見えるのは避けたい。既存のテンダの上廻り構造変更も避けるべきなので、チェイン・ドライヴとした。

swing motion link もう一つ、このテンダには特筆すべき工夫がある。先台車の心皿がドライヴ・シャフトに干渉する。即ち、心皿のキングピンを長孔の中で左右動させることは、不可能である。この写真の左の写っていない部分にもう一軸ある。それは先台車の前軸である。キングピンは存在しない。

 設計時にそこに気付いたので、リンク機構による左右の偏倚を採用した。当然、偏倚時に所定の角度の回転をさせる。心皿の代わりに、種類の異なる平板を置いて摩擦を減らし、モリブデングリスを少量塗った。滑らかに偏倚する。

swing motion linkage1 ある程度の回転があれば良く、フランジが確実に触っている必要はないので、そこは割り切った計算にした。むしろ、5軸台車の方が苦しい。本物も後進では脱線し易いが、当然だろう。これは、Low-D採用のおかげで脱線しない。軸の左右動を少し許した。

swing motion linkage2 リンクの長さはS氏に検証してもらった。最近はコンピュータの画面上でシミュレイションが可能だ。この図は、northerns484氏に描き直してもらったものである。リンクは、寸法的にはこの通りだが、実際には台枠に当たる可能性があるのと、絶縁車輪のタイヤに触れるのを確実に避けるために逃げている。下の図は 2800R 上の挙動である。

 この図でわかるように、5軸台車は軸方向の動きを許す構造でないと脱線する。

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