撓み継手

2021年09月13日

ゴム弾性 2 

 生ゴムは、中に反応性の高い二重結合をかなり含んでいるのですが、それは自分では反応しません。数%の硫黄を練り込んで加熱すると、長い分子間に適度な架橋が起こり、今までは弱い分子間力だけで束縛されていたのが、部分的に強力な共有結合で結び付けられるようになります。ある程度の自由な動きと、限界まで引っ張ったときの共有結合による束縛が両立する都合の良い構造になるわけです。輪ゴムを引っ張ると、最初はゴム分子の主鎖の高分子がほどけるにつれて長くなり、そのうちに硫黄の共有結合が限界を示します。それ以上引っ張ると切れてしまうでしょう。手を離せば、ゴムの分子は、存在確率がより高い、くしゃくしゃの状態に戻ろうとして縮みます。温度が高いと、分子運動が大きくなり、よりくしゃくしゃになろうとして弾力が強くなります。すなわち、弾力は絶対温度に正比例します。フックという物理学者はそれを見て、「ゴムは気体である」という有名な冗談を吐きました。

 考えてみれば、ゴム風船は縮もうとし、気体は膨張しようとします。運良く、その向きが逆ですから、風船の大きさは一定に保たれます。もしも、その向きが同じであれば、急速に膨張して爆発するか、収縮してしまいます。風船を加熱すると、気体は膨張しますがゴム弾性は増大するので、あまり大きさが変わらないのが興味深いところです。模様の付いた風船を膨らませて、一部をヘアドライヤで加熱すると、そこだけ縮むのがわかります。人の顔が描いてあれば、局部的に加熱して、しかめっ面をさせることも可能でしょう。

 すべての長大な分子(高分子)には、分子間力がある程度あるので、生ゴムのような性質を持ちます。シリコーンでは、-O-Si-O-C-O-Si-のような主鎖の間に架橋を起こさせなければなりません。一番簡単なのは過酸化物を加えることです。酸素による架橋が起き、安定化しますが、その安定度が非常に大きく、いかなる方法でも、主鎖が切れない状態で架橋を切ることは出来ません。(終わり)


 というわけで、シリコーン・ゴムが曲がっているのに力を掛けても、加熱しても、形は変わらない。製造時にまっすぐ保つしかないのである。水平に置けば。潰れていくであろうし、垂直では伸びてしまうであろう。水平に保持した細いパイプの中でゆっくり回転させるしかなさそうだが、決して出来ないというほどのものでもない。これを実用化できれば、称賛を得るであろう。このままではだめだ。  
 最近連絡をもらった友人からは、シリコーンゴムは外れやすいとのことだ。摩擦が小さいので、軸から抜けてしまうのだろう。あまり優秀な材料とは思えなくなってきた。


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2021年09月11日

ゴム弾性 1

 Y氏からのゴムについての質問に、詳しく説明した返事を送ったところ、その説明はブログで公開する価値がある、とのことであった。一般人はゴムの構造についてほとんど知らない、と感じられたのであろう。
 手紙に少し補足したものを、ここに示すことにする。

 加硫というプロセスは、非常にうまく出来ていて、よくこんな方法を思い付いたものだと、いつも感心します。ゴムタイヤは熱いアスファルトの上を走っても、高圧の空気を充填しても、弾力は保たれますが、永久的な変形はありません。必ず元の形に戻ります。
 天然ゴム自身は、そこそこに弾力がありますが、チューインガムのようなものです。当然、夏はべとつき、冬はパリパリになってしまうので、ゴムというものは発見されてから100年以上も、うまい使い途が見つけ出せなかったのです。

 アメリカの図書館でこんな話を読みました。
 Goodyearという人は、ゴムの改良に勤しんで、全財産を使い果たしました。いよいよ明日は家を追い出されるというときに、ヤケを起こして、実験材料を蹴り飛ばしました。たまたま、そこにあった焼けたストーブの上に硫黄との混合物が落ちて焦げ始めたので、あわてて払い落としました。するとその塊は生き物のように跳ね返り、実に適当な弾力を示すことがわかったのです。次の日に、債権者たちに実演して見せて、それで窮地を乗り切ったと言います。たまにはヒステリィも効果があるのでしょう。(結局の所、Goodyear はブランド名には残りましたが、企業家としては失敗したようです。)

 加硫は米語では vulcanization(英語では  vulcanisation)と言います。火山 volcano と関係がありそうな綴りですね。熱と硫黄を使うのでその名がついたのです。


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2020年04月07日

可撓ジョイント

flexible joint PA のモータには可撓ジョイントを付けた。本来ならユニヴァーサル・ジョイントを付けるのだろうが、先回の工夫で、推進軸の振れ角が極めて小さくなった。半径2800 mmを走行時で、1度ほどである。より損失の小さいジョイントを使うことにしたのだ。
 内部損失の小さな材料であるから具合が良いが、ただ一つの欠点は伸縮ができないことである。振れ角が小さいから殆ど伸縮は無いが、ゼロではない。相手のユニヴァーサル・ジョイントは中のスパイダが滑動するので 1 mmほど伸縮する。これを使えば、全く問題が無くなる。金属製の伸縮するスプライン付きのユニヴァーサル・ジョイントも用意してあるから、いずれ取り替えたい。

 この可撓ジョイントは様々なタイプのものがある。昔のスプリングジョイントという怪しげなものを、今様に改良したものだ。様々なサイズがある。HOには少々固いかもしれない。要は使い方次第だ。長い軸を使ってモーメントが大きいところなら、軽く曲がるから問題ないだろう。今回使ったのは、両方が Φ2 であったのを、旋盤に銜えて大きな貫通孔にしたものだ。

Flexible drive 3軸を駆動する台車の場合は、3軸目の支え方に工夫が要る。多少の上下動、捻りを許しつつ、トルクを伝えねばならない。軸重は大きい。過去にいろいろな形を試作したが、大軸重の機関車には向かない物ばかりであった。
 そこで、2軸を通し軸にし、3軸目をこの可撓継手で駆動すると解決した。剪断力には十分に耐えるからだ。それが昔のスプリングジョイントとの根本的な違いである。剪断力は、即ち動軸の反トルクである。ガスタービン機関車にはそれを使ってある。

 こういう部品はまとめて作ってあるので、順次取り替えて様子を見る。 

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2006年12月07日

三軸台車の伝導方式

7580e8cc.jpg 昨日の機関車の三軸台車は当然全軸駆動である。凹凸のある線路に完全に追従させるためには、三軸が自由に動かねばならない。このような場合の伝導方法は藤井直氏がTMS誌に20年以上前に発表されている。確かEF62の記事であった。筆者は撓み継手を採用している。

写真は古い1985年製の韓国製台車に取り付けたものでボルスタの剛性が足らない。荷重をかけると、ハの字に開いてしまうお粗末なものである。いずれ作り直す予定である。先方に問題点は指摘した覚えがある。現在の製品は直っているだろうか。

 この手の台車の伝導方式は、合理性に欠ける方式が多数発表されている。藤井氏の方式が唯一合理的である。ただ、それは自在継手が一つなので、厳密に言えば角速度は多少変化する。もちろん、これは全く無視できる範囲にあるから問題にはならない。

 最近、撓み継手が非常に手に入り易くなった。写真に示したものは1つ200円台で買える樹脂製のものである。しなやかでねじり剛性は大きく、剪断力に耐える。すなわち、これがトルクアームの代わりをしている。

 今までいろいろな方法で3軸目のギヤボックスを浮動させ、回転だけ伝える工夫をしてきたが、この方法をとるようになってから、極端に楽になった。

 同じ撓み継手といえども、大昔のスプリング・ジョイントとは全く異なる使い心地である。

 DDA40Xのような4軸台車の場合はこれを二つ使えばよい。もちろん中の2軸は共通の駆動軸を使用する。

 極めて静かな高効率の駆動方式である。ゴムチューブは内部損失が大きく、駆動部品としては適さない。またゴムでは剪断力に耐えないのは当然である。

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