制御

2007年08月10日

続 ジャックマン・シャフト

EF62 DT124 Shibata氏よりのコメントでEF62DT124台車もこれに相当すると教えて戴いた。EF62は就役当初から知っている。最近は東海道本線にも走っていたように思う。

 この機関車は、ベルクランクを持ったボルスタレス台車である。すっかり忘れていた。ポイントを通るとき、台車が回転すると、大きなコイルばねが多少ねじれるのが見えたのを憶えている。この台車は3軸もあるので、引張力を掛けたときに軸重変化する量が少ない。

 このような軸重変化や、引張力に関する考察はウェブ上ではほとんど発表されていない。多分、書籍ではあるのだろうが、手の届きやすいウェブサイトでは、この理屈についての発表が見つからない。

 写真はこのサイトからお借りしている。

 最近の機関車はインヴァータ方式で駆動されているものが増えてきた。この方式だと、全てのモータが全く同じ回転速度で廻るように制御することも出来るはずだ。すなわち、蒸気機関車と同様に、あたかもロッドでつながっているような回転をさせることが出来るはずだ。

 すると、全ての車輪がスリップするまで、引張力を稼ぐことができることになる。交流電気機関車が採用され始めたときのスリップしにくさとは、異なる次元のスリップしにくさとなるだろう。また、制動時にも全く同じ回転数にすることが出来るはずだ。

 これは筆者の推理であり、実物はどうなっているのであろうか。

2006年11月27日

モータの能力を限界まで使う

出力策定 モータの特性図を描いて、この辺りなら大丈夫だろうと、見当だけで補重してしていた。その後、大事なモータを焼いたら大変だというのと、その持っている能力を、最大限に搾り取るにはどうしたらよいかということを考え始めた。

 保有する貨車が増えてきて、60両編成の貨物列車を牽くようになったからだ。1.75%の勾配を登らせると、時々スリップする。定電流装置のせいもあり、スリップすると止まらない。実物通りではあるが、運転は大変だった。

 父にモータが焼けるのはどんなときか聞いてみた。答えは単純で「放熱が悪くて、電流が大きい時」であった。「モータの製造元にThermal Resistance(熱抵抗)という項目があるか聞いてみよ。」というので問い合わせたところ、(3.5+8.0)[degree/W]という返事があった。父は「なかなかまともな会社のようだな。」と言った。3.5はロータ・ボディ間、8.0はボディ・外界間の値であった。後者はヒートシンクと冷却ファンをつければ小さくなるだろう。

 そんな時、吉岡精一氏がモータの性能を最大限取り出すには、という大変細かく検討されたレポートを軌動楽会に提出されていることが分かった。直接連絡をとり、ご指導いただいた。大体のところは既に考えてあったものと一致した。ただし、ロータの温度上昇による電気抵抗上昇の項が抜けているという指摘を戴いた。しかし、電流が減る方向に働くのでそれでよしとした。

 この辺りのことを纏めて、とれいん123号に発表した。合葉博治氏がまた電話をかけてきて、現物を見せてくれとおっしゃる。車輌と線路をお宅まで持っていって走らせた。その性能には驚嘆されたようだ。「今度、京王百貨店でこれをディスプレーするよう、案を作る。80輌の貨物列車がジワリと動いて、惰力を効かせて止まる様子を見たら誰もがびっくりするよ。」

 この記事は合葉氏にはかなりの衝撃を与えたようだ。「模型界、最初にしておそらく最後の工学博士論文だ。」とまでおっしゃった。「あなたはいったいこのような知識をどこから得ているのか。」と何度も問われたが「門前の小僧です。」としか答えられなかった。高校の物理と何冊かの専門書以外、勉強した覚えはない。ただ、父にいろんな機会に話を聞いただけである。あとはひまな時に演繹の練習をしたぐらいのものだ。「社内の論文講読の材料に使える。」とまでおっしゃったのには参った。

 十数年後、関西合運でお会いした稲葉清高氏が「ああやって限界値を求めるとは初めて知りました。」とおっしゃった。多分稲葉氏がおつくりになっている民生機器では別の考えがあるのだと思うが、そこまでは明かされなかったが…。筆者の設計手法は兵器の設計思想に基づいている。父に聞いたことが元になっていることは事実だ。  

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2006年11月26日

定電流制御装置

Fuel and Water-level simulator 効率が高いとどのような挙動を示すであろうか。これは高校生のとき友人と議論したことの延長にある。

電車通学だったので、毎日運転台の後ろにかじりついていた。起動電流は580Aで、減流継電器が働いている様子がよく分かった。加速が終われば電流がなくなる。減速は電気ブレーキで、停車すると床下の抵抗器から発する熱気が立ち昇った。冷房のない時代の、窓が開放されていた懐かしい思い出である。


 モータは電流で廻る。当たり前のことであるが、意外と抜け落ちていることである。電圧は分捲特性があるマグネット・モータだからこそ多少は意味があることであり、本来は電流制御でなければならないと考えていた。電流がトルクを決める。ここまでは高校生でも分かった。  
 
 1983年に定電流電源装置を作った。ゼロから任意に指定した電流値までは出る。電圧は24Vまで掛け放題という恐ろしい電源だ。これでFEF-2を制御すると、まるで本物の蒸気機関車を運転しているような錯覚に陥った。
 単機では消費電流が少ないのでうんと絞って起動させねばならない。勾配で長い列車を牽き出すときスリップする限界電流値で起動すると、本物が出発するようなスリップぎりぎりの加速をする。巡航運転に入ったら電流を絞るとその速度を保つ。急停車をさせるときは数十オームの抵抗器を用いて短絡する。するとグググッと減速する。同時に抵抗器が熱くなる。 

 これはちょうど弁装置をフルギヤにして起動し、巡航に近づくと絞るのに似ている。違うのは、ボイラの能力が実物と異なり、無限大であるということだけだ。
 これを定電圧電源と組み合わせると面白いことになると思った。電圧を制御することはスロットルを絞ることに対応する。

 二つを直列につなぎ、最初は電流を流し放題にしておいて、電圧を上げていく。ある程度の速度になったら電流を絞りながら電圧を上げる。このようにすると、あたかも自分が機関士になったような気がした。今ある「電車でGO」とは全く次元の異なる『実感』であった。

 これもミルウォーキイに持っていった。Model Railroaderの電子工作の記事を書いていたDon W.Hansen氏に見せた。運転させてみるとすごく感動していたが、この機関車を持っている人以外、誰もその意味を理解できないよ。」というので、「それでは10年後に発表しよう。」ということになった。
 
 そのとき蒸気機関車の運転台型のパワーパックのスケッチも持っていった。スロットルが上からぶら下がっていて、あまりにも大掛かりな雰囲気であった。その後、MR誌は、ウォーク・アラウンドの方に興味が向いてしまい、DCCの台頭で筆者自身の気持ちもやや離れてしまった。しかし、DCCでもう一度この形でできないか、と考えている。
 次に実現する時はボイラの容量、水位、テンダの水量もパラメータとして入れる。このアイデアはDonのものである。'85年5月号に発表されている。

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