歯車

2020年03月08日

続々 US Hobbies のギヤボックス

 どうしてこのようなギヤボックスを作る必要が出て来たか、というのは少し説明が要る。Ajin製のヘリカルギヤだけのギヤボックスが複数見つかり、それにはEMD E7の車輪(36インチ)がついていた。 1:1のギヤボックスだから、事前に減速ギヤで減速しないと走らせることができないわけだ。
 
 これがうまく行くかどうかは、使ってみないことにはわからないところがある。というのは、減速されて大きなトルクが台車に伝わる。すると、反作用で車体が反対方向に傾く可能性がある。輪重も一定にはならないかもしれないから、それは脱線を誘発するだろう。しかし既製品は曲がりなりにも走ったようなので、うまく行く可能性もある。
 理想論を言えば、前後の台車のひねられる方向を逆にするために、ウォームのネジを鏡像にすれば良い。当然モータは2個を逆方向に回転させることになる。しかし、コストが増大するから、そんな模型は見たことがない。むしろ台車ごとにモータを付けて、独立した状態にするのが確実である。

 過去に筆者が作ったものは、すべて台車内で3 : 23にしている。即ち、ドライヴシャフトで伝達するトルクは小さいから、車体が傾く心配はまずない。
 今回のギヤボックスはCLWのE7に取り付ける予定で、それは砲金で鋳造された前頭部を持ち、すこぶる重い。ということは大きなトルクで推進軸を廻しても、その反作用に耐えてくれる可能性が高い。

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2020年03月06日

続 US Hobbies のギヤボックス

 歯数が決まっているので、ギヤ比は変えにくい。ちょうどよい歯車があれば良いが、この M0.8 の手持ちは少なく、なかなか難しい。M0.5 であれば、異なる歯数の歯車をふんだんに持っている。軸距離を計算して可能な組み合わせを選び出す。今回、歯数が14枚に満たないものはすべて廃棄した。そんな歯車を使っている以上、ガリガリ・ジャラジャラ音からは絶対に抜け出せないからだ。(”M”とは歯車の歯の大きさを表す”モジュール”である。)

 ギヤボックスの内側のえぐりをフライスで拡げて、大きな歯車を入れると、自由度が増した。大きな50枚を最終段に置き、中間を大小二段の歯車にした。与えられた条件内で、14枚以上を用いた組合せを、限られた空間内に押し込んだ。設計にはかなり苦労した。
 まさに「フライスと旋盤の実技修了試験」のような工作であった。すべての孔をフライスとリーマで仕上げて、ボールベアリングはすべり嵌めである。全くガタの無い軸というのは気持ちが良いが、もう一つ作るのは勘弁してほしい。フランジ付きは、ミネベア製の高級品である。

US Hobbies gearbox modified 歯車のボス部分は細く削ってボールベアリングのインナ・レースのみに触れるようにした。また、正確に削って、予圧を与えることに成功した。
 ワッシャ無しで嵌めるように、ぴたりの寸法に削ったのである。ここでガスケットの圧縮による分を、計算に入れてある。最終的なギヤ比は 約 1 : 7 である。非常に軽く動き、音もほとんどしない。
 ガスケットの厚さは、ネジを緩く仮締めした時と、強く締めたときの差を、マイクロメータで調べた。その中間でネジを固定するわけだ。難しくはない。この方法は10年ほど前に思い付いたが、実践するチャンスが今まで無かった。ネジはロックタイトで固着させたので、中を開いて見せるわけにはいかないのが残念だ。

 上のモータに行く軸は撓み継手である。この頃はこういう部品が安く手に入る。以前は苦労して作っていた。事実上、一直線上に設定されたモータ軸ではあるが、微妙な曲がりがあっても全く問題がなくなる。こういうところには、ユニヴァーサル・ジョイントは使いたくない。効率が下がるからである。


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2020年03月04日

US Hobbies のギヤボックス

US Hobbies gear box 次はUS Hobbiesの推進軸を下げるギヤボックスである。先回のMax Grayの時代から進化して、ダイキャストで作っている。この設計者も祖父江氏である。


KTM gearbox ネジは裏表互い違いになっていて、型を一つしか起こす必要が無い。ガスケットをはさんで14枚、16枚、28枚の歯車を収納している。軸は4mm軸で、スティール製である。フランジ付きオイルレスメタルによって保持されている。新しく組んだら、油を注して放置し、油が馴染んでから慣らし運転をする。歯数がすべて2で割れるのは面白くない。
 どうして偶数にしたのかと、祖父江氏に聞いたことがある。その理由は偶数の歯車は注文すればすぐ製作してくれる。奇数とか素数の歯車は時間が掛かる。「互いに素」は知っていたが、そうでなくても密閉型の場合は、さしたる問題は起きたことが無いそうだ。

 実情はそうかもしれない。しかし、3条ウォームの時は、「互いに素」を強く主張した。出来て来たものを組んでみた時、初めは多少しっくりこないところがあったが、1分も廻すと実に滑らかになったのには、祖父江氏は感銘を受けたようだ。2条で偶数歯のものは、特定の場所でひっかかりがあるといつまでも抜け出せない。3条で互いに素にしたら、全くひっかかりが無いものができたのだ。
「これは参ったねー。本当にあんたの言う通りだよ。大したもんだ。」
と称賛した。のちにこれと同じことをディーゼル用ギヤボックスを作ってくれた友人も言った

 このギヤボックスのオイルレスメタルは、内径 4 mm、外径 6 mmである。フランジは内側に付ける。軸を Φ3 にすると安価なボールベアリングが使える。たまたまフランジ付きボールベアリングがある程度の数あったので、それを使ってみることにした。そうすると今回の場合は、設計が極めて楽になる。筆者は過去にフランジ付きを使ったことはまず無い。その理由は前に述べた。今回は構成が全く異なる。フランジ付きを使わざるを得ない。


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2020年03月02日

Max Gray のギヤボックス

MG gear boxes (1)MG gear boxes (2) ジャンク箱の中のギヤボックス中、一番古そうなのは、このFM Erie-builtの推進軸を下げるギヤボックスだ。ブラスの砂型鋳物を、大きなヤスリで削って平面を出し、孔をあけてギヤを入れてある。鋳物をフライスで削るのではなく、すべての面を手で削ってあるのには驚いた。大した腕である。普通の人が平面を削り出すことは、まず無理だ。よく見ると合印があって、番号も振ってある。その字は祖父江氏の筆跡ではないか!「8」の字に特徴がある。
 このハンダ付けも見事である。100 g以上もある塊りを一発で付けてある。しかもハンダが光っている。そう簡単にできる技ではない。

 40年ほど前、祖父江氏は筆者にヤスリ掛けの指導をしてくれた。四角のブロックを削って、真ん中を凹ませよと命じたのだ。そんなことが出来るわけがない、と思ったが、彼はちゃんとやって見せた。30 mmのスパンで、真ん中が 0.2 mmほど低くなった。定規を当てると光が通るのである。そうやっておいて周辺を削ると、平面になると言う。
 真ん中を凹ませるのはヤスリを少し反らせて、その反りに従って動かすのだ。もともとヤスリは腹が膨らんでいるものである。それをさらに反らせてやるのである。そんな馬鹿なと思う人が多いだろうが、彼はいとも簡単にやった。これは仕上工の必須技能だそうだ。腕に自信のある方はやって見られるとよい。これをやるには姿勢が大切なのだ。万力に向かって立つ位置が決め手だ。もちろん高さも重要である。
 のちに筆者もできるようにはなったが、もうそんな必要もない。フライスで一発である。

 ギヤ比は14 : 16 : 28であった。シャフトはスティールであるから滑りが良い。歯数が偶数であるのはまずいが、14枚という数字が祖父江氏らしい。12枚とは明らかに音が違う。他社製のギヤボックスがうるさいのは、歯数が足らないのである。少ない歯数で行こうと思えば、ホブを替えなければならない。そんな単純なことも出来ていないのが、この国の模型である。韓国でさえホブを替えたのに、どうしてできなかったのだろう。この国の模型雑誌で歯数に言及した例があっただろうか。
 
MG gear boxes (3) グリースが、固まって石鹸のようになっていたので動かなかったが、灯油で洗ってスピンドル・オイルを注したら、軽く動いて、音も静かであった。肉が厚いので油が保たれるから、摩擦が少ない。


MG gear boxes (4) 一つ110 g 近辺だ。捨てるには忍びない。そのまま使うことはないので、この半分を加工して新たなギヤボックスを作ろうと思う。フライスで彫れば、いかようにもできる。
 要するに単なるブロックであると考えて作るわけだ。あいている孔には、ブラスの棒を突っ込んでハンダ付けして塞ぐ。両側を鋳物にする必要はないので、片方をブラスの板にする。そうすると数が2倍になる。もちろんボールベアリングを入れる。使える機種を探している。この合わせ目に見えるハンダは、二つを合わせてヤスリ掛けするために仮付けした時のものだ。うまく付いているものだと、改めてじっくり見た。


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2020年02月29日

Samhongsa のギヤボックス

Samhongsa gear box (1) 先日、Ajinのギヤボックスを改良して安価に、かつ、そこそこの性能を持つものを作り出せた。捨てるものから役に立つものができるのならと、ジャンク箱を漁っていた。
 韓国製のギヤボックスがバケツ一杯ほど出て来た。選り分けると、比較的近年のものは何とか逆駆動出来そうである。その中にこのサムホンサのギヤボックスがあった。

 これは土屋氏のC&O J3 4-8-4を改装した時に出たものである。変な色のグリスがぎっしり詰まっていて、動きにくい。
 蓋を開けてみて驚いた。これにもモジュールの大きなヘリカルギヤが使ってある。ヘリカルはスラストが発生するから、その処理をしないと損失が大きいのだが、このギヤボックスにはスラスト・ボールベアリングが使ってあるではないか。そこだけは出来過ぎである。ただ、グリスが粘くて動きにくい。また灯油に漬け込んでから、溶剤スプレイで洗い落とした。

 スパーギヤの3段減速なのだが、モジュールは 0.5 で歯数は14:28である。この14枚は、何かを感じる。Ajinで筆者が教えた奴が、競合するサムホンサに就職した件と関係ありそうだ。その次のヘリカルは 8:13である。互いに素にしたのも、ピンと来る。こんな偶然はめったにない。
 間違いなくこの設計者は筆者に会っている。スラストベアリングの話もした。しかし14:28は間抜けだ。どうせやるなら29枚を使えば良かった。最終段の14枚がブラス製なのはどうしてだろう。ここは力が掛かるところなのに、何か抜けている。眼鏡を掛けた坊主頭の若い男だった。本質を理解していないから、記憶に頼って失敗している。

Samhongsa gear box (2) よく洗って研磨し、再組立てしたが、手で廻すと何か触るような感触がある。ほんのちょっとなのだが、気になる。分解してみて仰天した。歯先がギヤボックス内面に当たっているではないか。よく見ると、その部分は縦フライスで削ってある。設計ミスで追加工しているのだが、削り方が足らなかったのだ。今まで当たっていた数枚の歯は、歯先が光っている。最低だ。
 仕方がないから、縦フライスでさらに削った。歯先はダイヤモンド砥石で再調整した。スピンドルオイルを注し、組み立てると素晴らしく滑らかに廻るようになった。
 ギヤ比は14/28 ✖ 14/28 ✖ 14/28 ✖ 8/13 = 1/13 である。減速比が大き過ぎる。1段減らす工夫をしてみよう。それほど難しくはない工作だ。すべての軸にボ−ルベアリングを入れることも可能である。このギヤボックスを何に使うべきか、思案中である。1/6.5程度のギヤ比ならば、パシフィックに付けて見たい。


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2020年02月27日

Kemtron の Alco RS2

 先日の韓国製ギヤボックスの高性能化が、意外なレヴェルで可能であったのに驚き、もう一つやってみた。初段のギヤを外してギヤ比を下げた。これで効率がさらに上がるだろうし、押して動かすことも楽になる。ほとんどの場合、ギヤ比は高過ぎる。ギヤ比が低いものほど高効率が達成できる。これは筆者の経験によるが、自動車でも同じである。原動機の回転数が高いと損失は大きくなる。ポルシェのギヤ比は低い。
 高トルクのモータを使ってギヤ比を低く、というのはあまり見ることが無い。これを採用すれば、ピニオンの歯数を増やして音が小さい模型を作れるが、だれもやらない。ほとんどの人は外見が綺麗に出来れば満足してしまうのだろう。
勾配線で重列車を牽けば実力はすぐわかる。コンテストでそういうことをしない現状では、スケールスピードで走って、重負荷でもつまずかない機関車を誰も評価しない。

 高トルクモータは仕様書を読めばすぐ見つかる。300台も注文すれば作ってくれる。30年前、祖父江氏との共同作業の中で特注したものは、その後その会社の定番商品になっている。
 今でもかなりの数を持っている。ディーゼル電気機関車の3条ウォーム化改造に適する回転数とトルクを持つ。

Alco RS2 Alco のroad switcher RS2 である。先のスウィッチャは、S2 であった。要するに、本線用にも入替用にも使えるというのがウリであった。この会社の名前の付け方は単純である。その点EMDはややこしい名付け方法を採っている。NW とは900馬力(nine hundred HP)で熔接台枠(welded frame)を使っているのだそうだ。こんな話であれば、付き合い切れない。 

 Kemtronのキットは重い。ボディの丸味のある部分はすべてロストワックス製で、それに30ミル(0.76 mm)の厚さのブラス製ボディがかぶさる。床板は同じ厚さで、そこに1/8インチ(3.2 mm)厚、1/2インチ(12.7 mm)幅の帯材を両側に貼り付けるという堅牢な構造である。下廻りの床板関連だけで、600 gほどもある。
 ハンダ付けは炭素棒でも良いが、筆者はピンで位置決めしてクランプで挟み、ガスバーナで焙り付けである。隙間なくできると気持ちが良い。床は堅く、パイロット部は一体鋳造で安心である。相手が貨車なら、正面衝突しても決して負けないだろう。

 動力はAll-nationのものを推奨していたが、開放型のギヤボックスは当社の方針に合わないので、すべて売却した。その動力装置はアメリカでは希少価値があり、ずいぶん高く売れた。その後3条ウォーム化したものが1輌、ダミィが1輌あった。今回のAjin製をそれにつけることにした。改造費はジャーナル部のボールベアリング8個とコアレスモータだけである。在庫は十分で、すぐできる工作であった。レイアウトの作業が終わってから2時間くらいずつ、それに充てた。

Alco RS2's Kemtronの製品は、荒っぽく扱っても決して壊れない丈夫さがあり、筆者の好みである。ただ、ハンダ付けは素人にはできないだろう。ということは、これを手に入れておくと、ハンダ付け教室の良い教材になるということに気付いた。しかしもう入手することは困難だ。

 Alcoの機関車は美しい。当時から、EMDに比べると頭一つ出ているデザインであった。

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2020年02月07日

Ajinのギヤボックス

3 unit turbine + S2 この機関車S2の製造元がどこかは分からない。GTEL タービン電気機関車も Alco製である。しかし、大きさが全然違う。
 台車の造形は素晴らしい。よくぞここまでというほど、よくできている。しかし、台車にバネは無く、単純な2点支持である。肝心の動力部分の構成は最低で、直ちにゴミ箱行きであった。入れ替えるべきギヤボックスの伝達様式を考えた。3条ウォーム以外も探っていたのだ。

 先日、処分するものをより分けていたら、比較的新しいアジン製のギヤボックスを見付けた。なんと、逆駆動できそうな気配である。少々ぎこちないが、整備すれば行けそうな感触だったので、早速バラして灯油に浸けておいた。グリースが溶けてきたところで、溶剤スプレイを吹き付けて洗い、ダイヤモンド砥石で歯車のバリを完全に取った。すべての回転部分を研磨して、入念に再調整した。
 スパイラルギヤには二硫化モリブデングリスを少々塗り、他のギヤにはスピンドルオイルを垂らした。オイルレス・メタルによく浸み込ませてから再組立てした。

 このAjinのギヤボックスは、アメリカで開かれるショウで安く並べておくと、喜んで買っていく人が居る。今までそうやって処分してきた。今回のは今までのとは形が違った。

 アジンには80年代によく行って、ある程度の技術移転をしていた。その後に作られたものだと思う。
Ajin gearbox アジンに持って行ったギヤ・ホブ(少ない歯数の歯車には、専用の歯切り用ホブを使うように助言した)を使ったようで、そこそこの性能を得ているようだ。だから、10枚歯でも音が小さい。(わが国で売られている小歯車の歯型はひどいものが多い。14枚以下は全滅に近い。)
 このギヤボックスでは、小さな歯車は硬い材料で、大きな歯車は軟らかい材料で、という原則は守ってあるようだ。ところが最終段の90度ひねりが全く駄目である。どうしてこんな歯数の少ないギヤを使うのか、理解できない。8枚歯では歯車とは言い難い。見るからに歯型が良くない。モジュールを小さくして歯数を増やせば、効率はずっと上がる。(逆駆動しにくいから、無理やり廻して歯を折った人が居るのかもしれない。だからスティール製の大きな歯にしていると考えると、合点がいく。)


 ジャーナル 即ち車軸端にはボールベアリングを嵌め、台車を組立てた。押してみると見事に逆駆動できる。ギヤ比が大きいので、3条ウォームほどは軽くないが、台車の自重の摩擦力で、逆駆動できた。潤滑油であるグリースの粘性によって、廻りにくかったのだ。ここまでの整備時間は、4時間くらいである。
 車輪は替えなかったので、やはりめっき音がする。アジンはどういうわけか、車軸が Φ4.5 なのだ。車輪を替えると、各種のスリーブを嵌め替える手間がかかるが、いずれ替えることになるだろう。しかし少々先の話だ。
 この台車は2点支持のイコライズ方式だ。バネがないから、レイルの継ぎ目音がカツンカツンと頭に響く。軽い機関車だからまだ良いが、衝撃は大きい。
 次回の整備時には、ボルスタの心皿にゴム板をはさむことにする。機関車にバネを入れずにイコライザ支持だけで、ジョイント音が良いと悦に入っている人が多いが、Oスケール以上ではそれは非常にまずい。車輛、線路双方に影響がある。衝撃でハンダが疲労して外れることがある。分岐のフログ付近がよく傷む。
 HO以下では問題になることは少ない。この機関車は、当鉄道では初登場の、バネ無しでイコライザのみの機関車である。実のところ、こんなに響くとは思わなかった。枕木下にエラストマが敷いてあっても、かなり響く。これがなければ、もっと凄まじい音だろうと思う。車輪踏面が真円でないこともファクタの一つかもしれない。バネ懸架、あるいはゴムによる緩衝が必要だ。

 モータをコアレスモータに取り換えて、試運転した。
 もう一輌の方(3条ウォーム)は1.5 V, 0.07 Aで起動するが、これは1.3 V, 0.06 Aほどで起動する。12 Vでの無負荷走行電流も、他方は 0.09 A に対して、0.07 Aしか喰わない。12 V掛けてスリップさせるときの電流は0.36 Aと0.31 Aである。起動し易さは同等であるが、最大負荷時の効率に関してはウォームに微妙に勝る結果が出ている。おそらくこれは、前者のギヤ比が大きいことと、後者ではチェインがわずかに伸びて効率を低下させるファクタが大きいと思う。

 いずれも、車輛の質量は1.17 kgと1.21 kgであってほぼ同じである。引張力はどちらも2.9 Nである。多段スパーギヤは非常に良い結果を出している。このギヤボックスは、チェイン無しの駆動ができるところが大きな利点である。ギヤボックスにボールベアリングを入れることができれば、さらに良くなるだろう。しかし、押した時の動き易さということに関しては、3条ウォーム + チェインの方が、はるかに良い。
 改装費用は1/10、時間は1/4であったから、その点でも助かった。もう一輌分見つけ出したので、やってみよう。

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2019年10月17日

Sofue Drive

 1985年、3条ウォームが実用化された。 これを世界中に広めたいと、祖父江氏と筆者はかなり努力した。雑誌に発表し、現物を持ってアメリカ中見せて廻った。その真価は理解できるようだが、なかなか浸透しない。

 カリフォルニアのある富豪が、現物を見て目を輝かした。名刺を渡したら早速連絡があり、試しに一台送るから改装してくれと言って来た。

 それは1950年頃の安達製作所製のミカドであった。もともとは酒井喜房氏の設計である。この機関車は動輪がブラス製で、台枠は、t1のブラス板をプレスでコの字断面に曲げてある。軸距離は怪しい。しかもクランクピンがネジ留めであるから、クランクピンが緩みやすいし、磨り減りやすい。正直なところ、改装の価値がない劣悪な模型であるとは思ったが、祖父江氏が丁寧に直してドライヴを入れ替えた。

 それを送ったら、大変興奮して電話を掛けて来た。日本は深夜だったので驚いたが、その興奮はよく分かった。その後の彼の注文数は凄まじかった。300輌ほどの機関車を順次送ってきて、その改造で祖父江氏の生活は成り立った。
 大半はカツミ製(祖父江製)であったが、アメリカ製、韓国製もかなりあった。それらの改装のノウハウも掴め、順調に注文をこなすことが出来た。

 その後30年経ち、その富豪は亡くなり、コレクションが売りに出された。Sofue Drive付きだから、価格はすこぶる高い。しかしすべて売れてしまった。その後、筆者のところに、改装を依頼する連絡が届き始めた。祖父江氏の代わりをせよというリクエストが大きくなってきたのだ。
 本業の仕事を辞めて、そちらにシフトしようと思っていた矢先に土屋氏から博物館設立を頼まれ、Sofue Drive受注はしばらく中止となった。動輪リビルトの道具一式を揃えたのに、日の目を見ることがなくなった。

 しかし、今回あるきっかけで、既存の機関車を改装し、新製に近い形で完成させねばならないことになった。その第1号がこの4-8-4であった。今ボイラまでばらして、新しい缶胴を作っている。50年前の製品のボイラは、ばらさないと修正できなかった。煙室は新製である。キャブも新製である。
  
quartering jig 動輪嵌め替えジグを引っ張り出して、整備した。これはアメリカで普及しているタイプであり、日本ではあまり見ない。これを自作するつもりで、northerns484氏の親しい職人に部品を作ってもらっていたが、彼はあっという間に全体を完成させてしまった。これには驚いた。筆者はジグを自作した、と言いたかったのだが、有難いことに言えなくなってしまった。さてどんな構造であろうか。


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2019年10月15日

Cockerham Drive

 Doug Cockerham氏には何度か会ったことがある。ダグは背の高い黒髪の男で、自分の伝達装置にはかなりの自信を持っていた。
 筆者は現物を2組持っていたが、間違って廃棄してしまったような気がする。あるべき場所で、ここ数年見ていない。ブラス屑の処分の時に捨てたのかもしれない。もったいないことをした。

Cockerham Drive 蒸気機関車用のギヤボックスの構成は、薄肉のロストワックス鋳物で作ったギヤケース内にベークライト製のウォームホィールを入れ、鋼製の細い2条ウォームをボールベアリングで支えていた。ギヤボックスは歯車、ベアリングの外径 + 3 mm 程度の形で、なかなか優美であった。残念ながら、その写真をGoogleで探しても、”Cockerham Driveという街路(drive)” の名前しか、見つからない。
 split line(分割面の線)上にはネジのタブが付いていて、それを3本締めるようになっていた。軟らかいグリースを使っていたのは、先回紹介したのと同じだ。 

 逆駆動が出来た。ギア比は35:2の互いに素であり、進み角は9度程度である。当時はモータが直捲、あるいは有鉄心マグネットモータの時代であるから、押しても動かなかったが、効率はかなり良いと感じた。ベークライトのギヤを使った理由は分からない。悪くはないが、良いとも言えない。リン青銅との組み合わせを使うのがベストだ。

 1995年頃、彼に3条ウォーム + コアレスモータの実例を見せた時の、驚愕した顔は忘れられない。当時はそのようなものに需要がなかったし、経験のない走行性能であったから、事故が起こるという心配の方が大きかったのだろう。
「これでは勾配の途中で停車できないからダメだ。」と言った。

 コカハム氏の方が、ホワイト氏より工学の素養があったようだ。

Cockerham Drive追記 コカハムドライヴのウォームホィールが出て来た。写真をお見せする。ベークライトのギヤがスリップしないように、軸を圧入したボスにピンで留めている。    (Jan.16, 2020)


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2019年10月13日

Jerry White Drive

Jerry White Drive (4) Jerry White氏は、Lobaughの職人であった。数多くのカスタム・ビルディングをこなした。腕の方は素晴らしい。絵で言えば、水彩画のような機関車を作った。特徴をよくとらえた造形で、板厚は薄目である。直接には会ったことは無いが、1990年代に手紙のやり取りはある。10年ほど前に亡くなった。

Jerry White Drive (3)Jerry White Drive (2) ギヤボックスは独特の2条ウォームで滑らかである。逆駆動はできないわけではないという程度だ。どういうわけか30:2である。感心しない。薄い板金工作で出来ている。厚みは15ミル(0.38 mm)である。ウォームの先端はボールベアリングで受けている。軸径は、3/16インチ(4.76 mm)、外径は3/8インチ(9.52 mm)である。実に滑らかな動きをするベアリングである。このべアリングが付いているから、逆駆動できる。ギヤは快削鋼だが、シャフトにはブラスを使っているのは不思議だ。ギヤボックスを支えるトルクアームはない。ドライヴシャフトが反作用を受け持つから、そういう点ではスティール軸の方が良かった。

Jerry White Drive (5)Jerry White Drive (1) ウォームホィールはブラスである。外径はボールベアリングと近い径である。もう少し細くすれば、進み角が大きくなって、効率が上昇したはずである。残念だ。
 グリースは軟らかい。ギヤボックスは、普通にはない分かれ方をする。下半分は動軸から外れない。ウォーム部分だけが外れる。そのウォーム部は長いストラップ状のもので、下半分に連結されて固定される。前後を逆にすると嵌まらない。即ち互換性は無い。
 どういうわけか、このドライヴが付いていると値が高い。今回の機関車は全体がかなり破損していたので、超格安であった。このドライヴだけでも欲しい人が居るので、外してアメリカで処分することにする。動輪を抜くと購入者が困るので、付けたままの方が売却しやすい。予備の動輪は持っているから、それに3条ウォームを付け替える。


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2019年10月11日

続 歯車の要件 

 他の友人たちとの会話の中で、歯数の少ない正しい平歯車が欲しいという話が出た。どれもこれもやかましいのは、角速度が一定にならないからだ。市販のものは怪しい歯型で、しかも偶数歯の物ばかりだ。奇数歯のものがあれば、かなり助かる。”互いに素”を作りやすいからだ。しかし一般的に言えば、14枚以下のものは感心しない。

 他のゲージも含めて走行音を聞いて歩いた。歯車の音がするが、正直なところ、誰も気にしていない。本物ではありえない音を立てていると、気分が悪い。車輪の音も誰も気にしないのであろうか。明らかに「めっき音」がする。
「めっき音」というのは、筆者が勝手につけた名前だが、精密な旋削だけで出来たものと、ブラス素材をめっきした物と比較すると如実にその差が分かる。めっきしたものはゴロゴロ音がするのだ。表面が粗雑なのだが、光っているので研磨されていると信じてしまうのだろう。
 以前にも述べたが、細かい紙やすり(#1200程度)で磨くとかなり改善される。

 話が飛んだが、模型用の正しい歯型の、奇数歯の歯車が欲しい。こういうものこそ皆で共同して出資し、作るべきである。模型クラブ組織があるのだから、出来ないことではない。インヴォリュート歯車の設計能力のある人も居る筈だ。歯車は意外と高くないものなのだから。

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2019年10月09日

歯車の要件 

 スパイクモデルの2条ウォームをたくさん持っている、という友人Bob氏が来た。
「残念だよね。dda40xさんの記事を読めばすべてのノウハウが書いてあるのに、それを読み取れないんだね。どうせ盗まれてしまう特許より、名を残すという手に出ているんだから、教えてくれと言われたら教えたんだろ?」
「そりゃそうさ、世界で一番素晴らしいものが作れるように指導したさ。」

 現実に出来たものは感心しない出来で、このブログで検討されている。それでも動くそうだ。割り切れるギヤ比で、もったいない話である。ダイキャストの型代を掛けて、変なものを作っている。もし正しい設計の物であれば、素晴らしい走りを提供し、模型界を席巻したに違いない。模型人は人の指導を仰ぎたくない人が多いらしい。”オリジナルを凌ぐコピィなし”ということが、わからないのだろう。

 インヴォリュート歯車は角速度を等しくするために作られたのだが、それを忘れた実例もある。歯型が正しくないものはダメなのである。「動きます」とは言うけれど、正しい角速度で動いている証拠を見たいものだ。重負荷をかけて高速で駆動する時、角速度が等しくなければ音がする。
 ウォームギヤの特質は、バックラッシを理論上、ゼロに出来ることである。こういう歯車は他にない。即ち無音に出来る(現実には潤滑油が廻るように、ごく僅かの隙間を空けるが、普通の歯車より、ずっと近づけることができる)。工作機械で使う割出し盤にウォームギヤが使われているのは、そういう理由である。
 オルゴールに付いている2条ウォームもどきが、どういう動きをしているかはよく分からない。スプリングモータで軽い羽根を動かしているので、この場合、問題は見えて来ない。

 平坦線でぐるぐる廻しを楽しむ分には、それでも良かろう。最近問い合わせを戴く方々は、筆者と同じように勾配線を重負荷で登りたい、そしてエンジンブレーキを掛けて下りたいという人達だ。正しいギヤを使わないと泣きを見る。 
 先日博物館のレイアウトを見学にいらした方は、本当に無音で機関車が動くので、とても驚いた。彼は、
「想像したのと違っていた!」
と叫んだ。ある程度はガラゴロ音がするのだと思っていたらしい。
 道床のエラストマも騒音減少に貢献しているが、動力車の無音化は、それとはまた違う話だ。

 歯車の最小歯数については既に述べた。そういう歯車しか使っていない人がこれを見れば、驚くのは当然だろう。

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2019年10月07日

関西合運参加

go-unn 年に一回だから、行かねばならない。自宅から山を越えて街道を行く。早朝で交通量も少なく、平均速度は 50 km/hだから、かなり速い。高速道路は山崩れとか、いろいろな障害があって、渋滞気味で避けた。燃費の良い車で、35 km/L も走る。軽快なドライヴであった。

3D printing 今年は新作の貨車3輌と切断機(テーブルと折れたハンドル、その代替品)を展示した。高精度3条ウォームの実物を見たい、というリクエストもあったので、持って行った。
 3D プリンティングの見本を置いておくと、興味のある方はじっくり見ている。質問にはお答えした。今まで紹介されている材料とは違うことに興味がある人が多い。

 切断機の諸問題については、興味のある人が多く、テーブルと新ハンドルの注文 を受けた。テーブルは、あと6台ある。もう再生産はしない予定なので、売り切りである。ハンドルは、1/2インチネジのを持っている人は不安で、注文が多かった。皆さんフライスはお持ちのようで、こちらも気楽である。キィ材と共に送る予定だ。ご希望の方はコメントを通じて連絡されたい。

 すでにテーブルを買われた方が、感想を知らせてくれた。横についている定規が便利で、役に立つということである。テーブルが薄くて、小さなクランプで材料を留められるのも有難いとのことだ。設計者としては、この種のお褒めは嬉しい。

 遠藤機械の切断機については、専門家のコメントとして、「ハンドルが折れないのが奇跡だ」という話には、皆驚いていた。

 3条ウォームの新しいギヤボックスには興味津々で、廻してみて愕然とする人が多かった。ただ廻りますというのとは、異なる世界であることがお分かり戴けたのだ。押して動かす動作をすると、感動するらしい。  

 紹介した本の英語版、日本語版を置いておいた。意外なことに、日本語版は持っている人が多いことがわかった。英語版の著者名にLinn Westcott氏の名前を確認すると、皆さんは安心するようだ。 

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2019年09月03日

続々 またまた3条ウォーム 

久し振りに「互いに素」のことを書いた。割り切れない組合せにしておくだけで、滑らかな伝達が保証される。
 歯車は工業製品である。優秀な歯切装置で作られたものであれば、ばらつきは少ないが、ゼロであることは無いだろう。僅かなばらつきや、微小な傷、異物の噛み込みなどの影響で、噛み合わせに異常を来すことが無いとは言えない。

 そういう時はこの「互いに素」が効果を発揮する。様々なファクタによる不具合を薄めて、自然に支障の無い状態になる。
 このウォーム・ギヤボックスを作ってくれたY氏は、組んでみて廻したとき、微妙なひっかかりに気が付いた。ところが廻しているうちに問題がなくなったので、改めてその効果に驚いたそうだ。
 進み角は tooling cost(新規に必要となる刃物の価格)の掛からない18度以下にするべきだ。また、伝達効率もその辺りが良い。特殊な刃物を用意せずに作った進み角の大きなウォームでは、高効率は望むべくもない。
 ウォームホィールの歯当たり部分を凹ませた物は、高級に見えるらしい。残念ながら、伝達効率はそのほうが低下するという報告も出ている。ともかく、この歯車セットは、工業的に最も具合の良い条件を組み合わせたものである。単なる思い付きを形にしたものではないのだ。これを実現するために、複数の歯車の専門家に話を聞き、コストも考えて設計した。

 クラブの集会に持って行くと、皆で寄ってたかって触る。逆駆動できるウォームとは言っても、かろうじて廻る程度の物だろうと思っていた人が多かったようだ。車軸を廻すと、ウォーム軸がビューンと廻るのには皆さん驚く。ウォーム軸は小さな物なのだが、高速で回転するので、慣性で廻り続けようとするのを見て、皆さんは驚く。(動画の前半部分のみ)

 HO車輌に嵌め替えた人も何人か居る。動輪の大きな蒸気機関車には嵌まるそうだ。押して動く動画を送ってくれる人も居て、嬉しい。

 ギヤボックスを作っても開放ではいけない。ゴミを巻き込んでダメになる。動輪軸にガタがあると、それだけで損失が増大する。HOの蒸気機関車のギヤボックスには、そういうガタがあるものが多いように思う。

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2018年11月27日

続 3D printing

 正直なところ、廉価な3D printingにはあまり期待していなかった。
 2年ほど前、3Dの勉強をした。近くの公民館で生徒を募集していた3D教室に入って3箇月ほど練習したのだ。ある程度はできるようになったが、実際に印刷して見ると粗い。しかも材質がよくないので経年変化が大きい。ミシン油に漬けておいたら少し膨潤した。進歩を待たねば、役には立たないと思った。

 今回のナイロン(ナイロン12だと言っている)は丈夫で踏んでも潰れないだろう。熱にも強い。今ミシン油に漬け込んであるので、そのうち結果を報告する。耐油性が証明されたら、ギヤボックスを作ってみる。

 実はあと何台かの機関車のギヤボックスが必要なのだ。縦フライスで作るための図面と刃物を用意した。少々厄介な形であるが、やればできることは分かっている。しかし、おそらく1日ではできない。5個作ると、多分フルに3日程掛かるだろう。そこまで割く時間がない。

 こういう時は助かる。金属製に拘ることがないものであれば、ナイロン製でよいのだ。ネジを立てることも可能だろうし、タッピングビスでも良い。

 ロストワックスの原型を作る手間も省ける。鋳縮みを見越した大きさにするのは簡単だ。ただし、まだHO以下の小型模型には向かないだろう。解像度がそこまでよくないのだ。先回のHOの木製キットと同じで、同じ材質で相似形の小さなものを作ると、粗さが目立つようになるだろう。今のところはOスケールくらいが最小限度である。高精細なものが安くできるようになるのは、いつごろだろう。

 今のところ、小さなものは一度金属に置き換えたものを研磨するしかないだろう。

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2018年08月15日

続々 阿里山

ShaysShay 18-2Shay 18 奮起湖駅には機関区があり、そこには2輌のシェイが置いてあったが静態である。片方はドライヴシャフトも外してあった。

 ここには整備工場もあったが、もぬけの殻で、壁に近いところに、古い旋盤とボール盤があった。旋盤の展示は向きが逆で、スピンドルが右にあった。おそらくもともとそういう向きにあったのだろう。観客の観覧スペイスを作るために、平行を保って奥にずらしたので、意味不明の展示となってしまった。こういうところは考えるべきである。

Shay 29Shay 29Shay 29-6Shay 29-3 シェイは頂上の駅付近にもまだ置いてあるのだろうが、詳しくは分からない。阿里山のシェイはどれがオリジナルなのかが、特定できないらしい。フレームを新製したり、廃車と振り替えたりしたという。ボイラも自家製と取り替えているものがあるという話も聞いた。

Shay 29-5Shay 29-4 小さな機関車である。762 mmゲージだから、北勢線と同じである。今までに見たものは、 standard gauge と 3-ft gauge であるから、格段に小さい。

 彼らもこの機関車が観光資源になると気付いたので、最近は大事にしている。40年前は、買おうと思えば、目方で買えるという話さえ聞いた。北朝鮮の蒸気機関車も、おそらく目方で買えるだろう。代わりの機関車を持って行けば、喜んで交換するかも知れない。狙っている人も居る筈だ。しかし、石油のない国だから難しいのかも知れない。


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2018年01月06日

インヴォリュート歯車

 その方にどうして100%ということがありうるのかと聞くと、99.99%以上だという。少し後退した。何か怪しい。その電車に乗ってみて音を聞いた。モータ音以外に歯車音もある。これでは99%近辺だ。歯車箱を触ってみればすぐわかる。かなり温かいはずだ。
 普通の平歯車は98%である。効率を上げるには径を大きくしたり、モヂュールを小さくする以外に、斜歯(はすば)にする方法がある。そうすると重なり噛合い率が上がる。

 噛合い率とはいくつの歯が噛んでいるかということである。斜歯なら、3枚程度を噛ませることができる
 転位させて歯先と歯元を薄くすることができれば、殆どがピッチ円付近の接触になり、転がり摩擦に近づく。この辺のことは50年前に亡父から聞いた。
 船のスクリュウのように連続負荷なら良いが、鉄道では衝撃負荷が多いので、斜歯は感心しないのだそうだ。斜歯は弱いのだ。それから、設計時は歯車の効率を95%と見積もって、発生する熱をどうやって捨てるかを考えておかないと実戦で役に立たないのだそうだ。今はもう少し良いだろう。潤滑油の進歩もある。第二次世界大戦の兵器はそんなものだったのだ。斜歯の場合は負荷によって性能に差が出る。力が掛かると歯が曲がるのだそうだ。要するに彼は、軽負荷での性能を拡大解釈しているのだろう。

 もう一つ父は付け加えた。斜歯にするときは歯先、歯元ともに薄くしてはならない。すべてが当たるようにすると、効率が上がるというのだ。その理由は聞きそびれたが、多分、噛合い率が上がり、歯が曲がりにくくなるのだろう。

 話題になった電車は、出力が小さいので斜歯であるが、機関車などで一台1MW(1300馬力)もあるモータでは使えない。即ち効率は98%程度だ。
 歯車の効率はコンピュータが進歩し始めたときに、数学の先生に計算してもらった。そう簡単には騙されない。一応は勉強しているのだ。


2017年11月29日

rack & pinion

broken plastic rack 春先に自宅のWashlet(TOTO製)が壊れた。比較的高級な機種(TCF815)で、購入して4年ほどであった。故障ではなく、壊したのである。最低だ。


 使用中に、バリバリメリメリと音がして、ノズルが引っ掛かって止まった。押しても引いても動かない。突き出したままだから、トイレは使えない。仕方なく安物を買ってきて、仮に取り付けた。外したものを営業所に送って修理してもらおうと思ったが、現場での修理しか受け付けないと言う。こちらの都合など全くお構いなしで、取り付けた状態しか駄目だと言うのだ。取り付けられている状況を見ないといけないと言う。
 何が知りたいのかと聞くと水圧、水質、電源、日照の有無、気温、湿度だと言う。すべての正確なデータを測定して送ったが、屁理屈を付けて、「現場で」と言い張る。
 再度取り付けたら、トイレは使えない。滅茶苦茶な方針を押し付けようとする会社だ。出張費が欲しいのだろう。見掛け上の修理費を安くする方便に違いない。押し問答の末、正確な訪問時間を決め、元に戻した。

 当日、修理を見ていたら、内部のノズル繰り出し装置がフレクシブルなラックであって、それが折れていた。疲労したのだ。それはプラスティック(多分ナイロン)のラックの中に編みワイヤを封入したもので、いかにも細い。座屈して折れるのは、当たり前だ。
「なんだ、設計が間違っているじゃないか。」と言うと、修理員は申し訳なさそうな顔をして、「この機種の修理はすべて無料でさせて戴いています」と言う。最初からそう言えば良いのに。リコールの対象であるはずだ。購入者に不便を強いている。
 代替部品はかなり太く、これなら折れないだろうという形であった。座屈発生というのは、設計者にとって最低の失敗だ

 こんな設計はダメである。今回の転車台のメカニズムの設計は、それを見たときの印象が、大きく影響している。


2017年11月27日

続 turntable indexing

ring gear リング状の歯車を作った。もちろん既存の歯車の内側を削ったのだ。ボス付きの歯車のボスを銜えて廻し、所定の半径に中グリをする。
 DROの無い旋盤で、中グリをするのは怖い。うっかり削り過ぎると失敗だ。もう余分の材料は無い。何回も寸法をチェックし、2/100mmずつ削って、滑り込みにする。ボスから切り離した瞬間に、このような状態になる。 これをパイプに嵌めてハンダ付けする。モータでパイプを廻すと、ラックが出入りするのだ。

 ラックによる伸縮はネジ式に比べると利点が多い。ネジは逆駆動ができないのだ。もちろん三条ウォームのように進み角を大きくすればよいのだが、そんなネジを作っている暇はない。ラックとピニオンなら単純なメカニズムだ。ラックは十分に丈夫な太さにして、転がり摩擦で受けている。ガタはなくした。

 今回作っている装置は、すべて逆方向に力が掛かると滑らかに戻る。インデックス(割り出し)の動作で所定の位相で停止するが、制御者の意思が働いていない時は自由に回転できる。制御にはリミット・スウィッチは使わない。スイッチがあると、いかにも機械仕掛けで動いています、という感じを与えるからだ。つまり、玩具っぽい動きになる。本物はとても重いので、カチンカチンと動くことは無いのだ。あたかも人間がそこに居て、動かしているような感じを与えるような設計だ。

 要するに人間が意思を持って押しているような動きである。力を入れて所定の位置に持って行く。そこで力を緩めると、別の力が掛かっている時は、逆に動き始めるのだ。言葉では説明しにくいが、試運転を見た人は非常に驚き、「機械の動きのようには見えない。」という言葉が出た。

 すべての機構は、2度作り直した。

2017年01月12日

3条ウォーム・ギヤ

 コメントを戴いているので、予定を変更して、続編である。

 筆者の3条ウォームは、85年夏のミルウォーキのNMRAコンヴェンションで発表した。祖父江氏と一緒に行って、ブースを借りた。
 2輌を同一の線路に置いて、片方押すと他方が走る様子は、大きな反響を呼び、地元のテレビ局が取材に来た。「マジック」というタイトルで放映されたようだ。そのビデオが見たかったが、 チャンスがなかった。MRに載ったのはその年だ。当時は、本社がすぐ近くの北7番街1027番地の古いビルだった。

 その発表のさなかに、一人の男がやってきて、
「このアイデアは戦前にライオネルが採用している。」
と言ってきた。こちらは そんなものを見たことが無いので、
「そうですか」
としか言えなかった。後に見せてもらった時、確かに押して動くが、それほど軽く動くわけでもなく、比較できないと思った。中を開けて見せてもらったわけではないので、今回の分解が初体験である。ギヤボックスが密閉式であるのは優秀である。
 ずっと後でわかったのは、その男がクラインシュミット氏であった。彼とはいろいろなところで会って、手厳しい評価を受けている。因縁深いものを感じる。しかし、最近は非常に仲の良い友達になった。

 大切なのは潤滑だ。良い潤滑剤を採用し、密閉されたギヤボックスを採用しないとうまくいかない。油が切れたり、埃を噛んだりするようでは意味がない。
 また、組立時にはよく洗っておくことも必要である。 

 3条ウォームが実現して、31年経った。一部のOゲージ・メーカが似たものを作っているだけで、他には同じものがまったくない。
 似ているだけでは、あまり効率が良くないのだ。材質も大切なファクタである。ブラスのウォーム・ギヤは感心しない。 

 以前にも書いたが、この直角伝導がコンパクトにできるというところが、模型用として非常に大きな利点である。傘歯車と平歯車ではあまりにもコストが掛かるし、ギヤ比や音の点で不利である。 効率も、それらに比べてさほど低くはなく、十分に太刀打ちできる。むしろ設計手法や工作精度によっては、勝てる範囲にある。またクラッチ等を用いて、押して動くようにすると下り勾配で制御不能になるので、低抵抗車輪を用いた長大編成の運行ができなくなる。これは、まだその実験機が保存してあるので、いずれ博物館で実際に運転してみる。多分悲惨な結果になる。

2016年11月15日

メカニズム

 しばらく留守をしていた。東京で所属クラブの会合があったのだ。今回は久しぶりに全員が顔を合わせたので、一人ずつ自己紹介をした。
 筆者は、
「模型の外観は適当にできていれば十分であるが、メカニズムには最高を求めることにしている。いかにして低電流でたくさん牽くか、貨車や客車はいかにして摩擦を減らして遠くまで転がるかしか興味がない。」 
と言うと、みなさんはどっと沸いた。

 家に帰ってみると、少々手に余るコメントが来ていて、無視しようかとも思ったが、載せておいた。反論も来ているが、それもそのまま載せた。

 最近、妙なコメントが時々送られてくる。お前のブログに、俺の自己主張を載せろ、と言わんばかりのものがある。 
 お断りしておくが、コメントはあくまでもコメントであって、この場を借りて自分の主義主張を発表する場所ではない。それはご自分でブログ等を立ち上げて発表されればよい。メイルアドレスが書いてある場合は、それをお伝えして消去している。

 今回のコメント主は、拙ブログをほとんど読んでいらっしゃらないことがわかる。筆者は考えられるメカニズムをすべて作っている。それを祖父江氏がさらに改良したものも持っている。傘歯車駆動の機関車は3輌ある。人にお勧めできるものではない。
 価格の面でも問題があるが、一番大きな問題は音である。祖父江氏の腕をもってしても、歯車の音は無くならない。蒸気機関車がヒューと歯車音を出して走るのは問題だ。当時は若かったので、耳が敏感であったこともあるが、気になった。
 芦屋の御大の機関車はすべてこの音がする。彼はそれがお好きなようだったが、筆者は容認できない。
 また、摩擦係数と摩擦とは異なる次元の話であり、コメントの趣旨はよくわからない。

 最近皆さんもお気付きのようだが、低回転高トルクモータを用いて、低歯車比にすると静かで高効率の機関車ができる。筆者の「3条ウォーム+1段減速」は8:1程度であるが、新モータを用いて、その半分程度にすることを目標にしている。

2016年07月17日

続 TMS195号 

 筆者が高効率模型開発の実践をしていることを、山崎喜陽氏は井上豊氏から聞いていたらしく、
「TMSで発表させてあげるから・・・」
と話し掛けてきた。物の言い方が気になったが、数分間話をした。彼は筆者の話に非常に興味を持ち、実際に80坪の部屋の床で大規模な線路を敷いて実験をしている写真を見て、愕然としていた。
「日本で模型の効率を測定している人はあなただけだ。」
と言った。実際にはもう一人いて、それは吉岡精一氏であった。しかし、当時はまだ、吉岡氏とは連絡が付いていなかった。それを妨害した張本人は山崎氏その人であったのだが。
 極めて初期のTMSに、歯車の効率の話がある。山崎氏は、鉄道模型はよく走らねばならないという信念は持っていたようだ。

 話の内容を横で聞いていた荒井友光氏は上機嫌で、
「山崎君、名古屋にはこういう人もいるんだよ、大したもんだろ。『尾張名古屋はO(オウ)で持つ』って昔から言ってたじゃないか。」
と嬉しそうだった。その前の年のNMRAの新年会で、アメリカのNMRAのコンヴェンションのスライドを100枚以上見せた。カツミの栗山氏がそれを見ていて、筆者は請われて東京で二回再演した。そのことも聞いていたらしく、見せてくれと頼まれた。当時アメリカでも、
"O gauge is back" というキャッチ・フレイズでOゲージの復権が始まっていると言うと、非常に興味深そうだった。彼はアメリカの話には心を動かされるようだった。

その席で、筆者は山崎氏が「Model Railroader に投稿するならウチを通さなければ載らない・・・・」と、また言ったものだから、呆れてしまった。筆者は若いとは言え、アメリカに居たことのある人間だから、そんなことを言えばバレることぐらいわかりそうなものだ。
 筆者は井上に連れられて、山崎氏とは過去に複数回会っている。いつもそれを言う人であった。本人はそう信じていたのだろう。お気の毒ではある。
 
 例の3条ウォームの記事はぜひともTMSで扱いたかったものだったと、発表直後に荒井氏から聞いた。

 一方ミキストで、実名を挙げて攻撃された副会長の加藤 清氏の怒りは収まらず、553号まで投稿しなかった。漁夫の利を得たのが「とれいん」誌で、かなりの原稿がそちらで発表された。


2015年07月26日

続 frog numbers 

 Fast Tracksという会社がある。web siteが立派で、なかなか大したものだと思っていたが、中身は少々怪しい。最近の工業レベルを反映して、レーザカット、CNCフライスでジグを作って、材料とともに売っている。様々なテクニックを駆使して、ポイント等を簡単に作れるように準備している。動画もたくさんあるので、買わなくても楽しめる。
 Fast Tracks の♯4のYポイントのフログ角は14.04度で、#8は7.13度である。すなわちどちらも簡易式での値だ。NMRAのRP準拠と言っているので、NMRAも怪しい。このままでは操車場の線が平行にならない。

 以前にフランジの件で書いたように、NMRAにはまともな人材がいないようだ。いずれアメリカの雑誌に書いて、反応を見てみよう。

 
 多少角度が違っても、線路を敷くときに少し曲げれば難なく敷けるのであろう。実物であれば、乗り心地が大幅に悪くなるので大問題になるが、模型であれば構わないということなのかもしれない。
 しかし、きちんとしたものを売れば、その会社の評価も上がるはずだ。この会社には直接言ってみよう。改善されれば大したものだ。

 先回のTMSの旧号はすぐ探せた。それを読んだ場所、時期がわかっていたので、その前後を探したら、ちょうど中心の6月号にあった。南海の凸電が表紙だ。鉄道模型に熱中していた少年期が思い出される。
 他の記事も拾い読みしたが、ディテールをどうするかという記事ばかりだ。動力機構とか線路関係の記事などほとんどありはしない。この状態が50年も続いた結果が、現在につながっている。
 細密な完成品がこれだけ豊富にあるのに、動力機構が素晴らしいと感じるものはまずない。どれもこれも、効率が悪く、音が出やすい設計のように、筆者には思える。ほとんどがギヤボックスがなく、むき出しの歯車をつけている。
 ある先輩はこう言う。「日本の鉄道模型はフルパワーで30分走るとおかしくなる。たいていギヤが減ってしまう。」
 そうだろうと思う。両方ブラスの歯車を使っているからだ。小さいほうを快削鋼にするだけでも20倍くらい持つ。もちろん潤滑は大事だ。油を差しても、走り出したら無潤滑の状態に近い。そろそろ気が付いてもよさそうなのだが、走らせている人は少ないのだ。

追記
 fast track には優先車線という意味がある。アメリカの高速道路では最中央の1ないし2車線は優先車線であり、2人以上乗車の際には使える。一人で乗っていると捕まれば数百ドルの罰金である。
 それを走るためのリアルな人形を売っているようだ。おそらく摘発されると大変なことになるはずだ。
 高速道路上の実際の表記は少し変えて、Fast Trakになっている。 


2015年05月26日

スパーギヤ

 Oゲージの運転会に行って、レイアウトを観察する。東西いずれのレイアウトもかなり大規模で、よく工夫されている。さすがに大きくて、組立て、分解、運送には10人ほどが、各30分程度働く必要がある。これだけの規模の物だから、それは仕方ないが、全部で300 kgくらいはあるだろう。

image (2)  さて、その中で分岐の様子を観察した。筆者の作っているレイアウトに、参考になるところは吸収したいからだ。関東のは歴史が古く、何もかも手作りで立派なものである。そのフログ部分を見て、少々驚いた。
 ガードレイルに等間隔に傷が付いている。ある方の解説によると、スパーギヤが当たったのだそうだ。しかもスパークしてブラスが融けている。
 と云うことは、絶縁側にスパーギヤがあることになる。これはまずい。根本的にスパーギヤをむき出しで使うことには、筆者は反対である。しかも、その径が車輪径と等しいのは言語道断である。さらに絶縁側に付けるとは………。

image (1)「 困ったもんだね。」と話をしていたところ、他の部分に油が点々と「印刷」されていることに気が付いた。ショートは免れているが、レイル面に接触しているのは間違いなさそうだ。フログでの落込みで接触している。事実上、歯車で走っている。
 このフログは古い規格であって、落込みをフランジで支えるようになっている。最近はそのフランジが低くなったので、かなり落ち込んでいる。本当はフログを更新すべきであろう。

 筆者の建設しているレイアウトに車輌を持って来られても、すぐには運転させない。車検がある、と書いたところ、何人かの友人から、「すこし厳しすぎるのではないか。」と言われた。
 しかし、現実はこのようなものである。これでは線路の損傷が起きるし、油を撒き散らされて迷惑そのものである。

 車検は行うし、短期間の車検証も発行する。本当はレイアウトから持ち出すと、再車検を受けるのが筋である。アメリカのレイアウトではそのようなシステムを採るのがふつうである。決して厳しすぎるルールではない。

 博物館に車輌を持ってきて走らせよう、とお考えの方にお願いしたい。油が飛散するのを防止する装置、あるいは、ギヤボックスが付いていない車輌は、運転ができない。 

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2011年07月05日

続 査読者

 この件で何人かの方からメールを戴いている。私信なので一部を公開するにとどめるが、大体同じことを仰っている。

A氏より
 査読がある、というのは驚きです。載せる記事に責任を持つというメディアの姿勢と理解しました。

B氏より
 dda40xさんが指摘されているように、日本の雑誌のレベルに問題があるのは、投稿された原稿をそのまま載せるという体制に最大の原因があると思います。というか書き手の割に雑誌数が多すぎるのと、コストが低くできて多く売れればよいという雑誌社の姿勢が問題なのでしょうか?

C氏より
 学会誌と同じですね。査読に通れば、それはお墨付きが得られたと同然ですから、大きな進展があるものと思います。…中略… 出せば載るというレベルの低い日本の雑誌とは違うということがよくわかりました。どんな人に査読をお願いしているのでしょうね。

 筆者は、Model Railroaderが世界最大にして最高の模型雑誌たらんとして、努力している雑誌社であると認識している。その世界中に与える影響の大きさを鑑み、慎重であることが素晴らしいと思う。
 
 以前の押して動くギヤも、25年経つと、世界中の色々なメーカが採用していることに気がつく。
 先日のHill氏も、「祖父江氏に頼んで改造してもらった押して動くギヤは素晴らしい。あれも日本人が考えたそうだね。ずいぶん色々な会社で作られているね。」と言うので、「そうですよ。この雑誌です。」と棚の蔵書のMRの旧号を取りだして見せた。「おや、すぐわかるのかね ?」と聞くので、「どこかで御覧になった名前ではありませんか?」と著者名を見せた。
 彼はとても驚き、「どうしてそれを早く言わないのだ。もっと早くに招待していたのに。」と言った。
 MRに載るということは、とても重要なことだと彼は念を押した。

2011年04月26日

モータの界磁磁石を交換する

 Chicagoの O Scale Meet で Low-D 車輪の講演をした。その時、古いOpen Frameモータの界磁をネオジム磁石にするアイデアを披露した。親しい友人がそれを雑誌に発表すべきだと勧めたが、誰でも思いつくことだし、実際にやっている人もいる、と同意しなかった。
 第一アメリカでそんな磁石もあまり売っていないし、日本から飛行機で送ることができないから難しいと考えていた。

 先日送られてきたMicromarkのE-mailによる広告によると、同社はいわゆるPittman型モータ(TMSでは棒形モータと呼んでいた)のアルニコ磁石を取り替える磁石セットを売り出している。どの程度の磁石なのかはよく分からないが、大きさと吸着力から推測するとネオジム磁石のようだ。

 先日の記事にも書いたように、HOサイズの模型には大きな磁束密度を与えるとあまり効果はない。果たしてどの程度の効果があるのか知りたいものだ。 この広告を見ると、飛行機には載せられないので陸続きの48州しか配達できないとある。そのようなことを情報として明示しておくことは大切である。磁石を飛行機に持ち込むことができないということは意外と知られていないからだ。

 やはり鉄心の大きなOサイズの模型モータに採用すべきものであるように思う。  アメリカの友人にはLobaughの古いモータの入手を依頼しておいた。いずれいくつか集まるから、それらを再生しようと思う。回転数がかなり低下するから、歯車の減速比が小さくなる。すると必然的に”Free-Rolling”になる。このアイデアには彼らはかなり驚いたようだ。

2011年01月01日

続々々々々 慣性を増大させる装置

 
               謹賀新年 
 
 このあたりの構成はかなり面倒であるが、設計を試みていた。そうこうしているうちに、産業用の機器に組み込まれた遊星ギヤ装置があるので、その製造元からサンプルとして購入してみることになった。直径が36mm程度である。細いのは11mmというものもある。

 さらに小さなものを探すと、弦楽器のチューニングに使う物もある。ヴィオラ・ダ・ガンバのような大きなものの弦を張るのにはかなりの力が要る。それを同軸減速ギヤを用いて小さな力で行うようにした工夫である。 鉄道模型にはあまり用いられていない。モータ自身の中に組み込まれたものは最近よく見るが、単なるギヤボックスとしての使用例は見たことがない。

 遊星ギヤは同軸であるから、モータ軸の延長上に置くことが出来るし、効率が良い。1段で98%と謳っているものもある。悪くても90%だろう。2段でも80%ある。車軸にべべルギヤを用いればトータルでも70%くらいの伝達効率になるだろう。
 
 そろそろウォームギヤ一辺倒から脱却しても良い時期かもしれない。モータも今、低速回転モータを開発中で、それを使えばギヤなど不要になるかもしれない。

 新年早々 初夢にお付き合い戴いてありがとうございます。今年もよろしく。

2010年12月30日

続々々々 慣性を増大させる装置

 増速装置をどんな構造にするかは少々悩む。
 各軸同じように取り付けられたギヤボックスの上にギヤボックスを重ねてつけるのは、せっかくイコライズしているのに意味がなくなる。なるべくバネ下質量を小さくしておきたい。たいした質量ではないはずであったが、試作してみるとかなりの質量で驚いてしまった。
 駆動軸から平行にユニヴァーサル・ジョイントで動力を取り出し、床上に固定した増速装置につなぐ。
 スパーギヤで増速すると大きい方の歯車の収納に頭を悩ます。筆者は「全ての歯車は密閉式ギヤボックスに収める。」という主義であるので、大きな防塵ケースの取り付け空間を探すのは難しい。

 遊星ギヤのシミュレイタがここにある。この作動は小学生のころから興味があった。これを画面上で確認できるのは嬉しい。
 
 以前から気になっているものに、タミヤの遊星ギヤのキットがある。定価は1500円であるが、カーボンブラシ付きモータが付属していて、それにも興味があった。
 購入して内部を調べた。歯車の材質はエンジニアリング・プラスティックとあるので、油をつけても大丈夫なのだろう。
 子供のおもちゃとしてはよく出来ているが遊星ギヤの保持をしているキャリアがゆるい。3つの小さな遊星ギヤが完全な円運動をするとは思えない。ジャラジャラと音がするのは、その結果のような気がする。これを採用するのなら、その部分を作り直す必要がありそうだ。
 また大きなエネルギ伝達をするので、遊星ギヤ軸にもボールベアリングが必要であろう。
 
 このキットには1/4のセットと1/5のセットが2個ずつ入っているので全部を組み合わせると1/400というギヤ比も可能である。その1/4のセットの遊星ギヤが正三角形の頂点にはないことに気が付いた。
 多分サン・ギヤ(中心の歯車)とのかみ合わせの問題で遊星ギヤを保持する三角形のキャリアが変な動きをしたのだろう。3つのギヤに同じ力が掛かる位置を探してこうなったのだと思う。あまり賢明な設計とは思えない。

 実物は車の自動変速機の中にあり、はす歯歯車を使っているので噛合い率が一定でこのようなことは起こらないはずだ。普通の歯車では、噛合い率が低ければ歯を蹴飛ばす音がし始める。平行軸ドライヴならそれだけのことであるが、遊星ギヤの場合は、キャリアに不等な力が掛かって踊り始める。このようなことが分かったので、遊星ギヤホルダは別途ボールベアリングで二重軸にして支える必要が出てきた。改造は大変だ。 

2010年08月20日

Mike Hill氏を訪ねて  その8

control board Mikeのレイアウトは、いわゆるDisplay Layoutである。ディスプレイ・レイアウトには最小限のストラクチャーしかない。ヤードの収容量を限界まで大きくし、列車を順番に運転することを目的としている。エンドレス・トラックの内側はほとんどが留置線である。


 
old timerbaggagecoach その中にこの車輌があった。
 Mikeが、「これは間違いなく日本製であるが、どこにもその記録が見つからない。これを作ったのはだれかということが分からないか?」と聞く。
 残念ながら全く見当もつかない。全ての窓は糸鋸で抜いてある。大変な手間である。側板は卦書き針で筋を掘ってある。エッチングとかプレスを全く使わずに作ってあるのだ。屋根の絞りは叩き出しである。全て職人の技で作ってある。
 読者の皆さんの中で、多少なりとも見当が付く方は、どうかお教え願いたい。

 他に、NYCのモホークを見せられた。「不思議なことにこの機関車の記録もどこにもない。IMPの時代の前のものだろう。このキャブを見よ。」という。
 そこには機関車の番号が浮き出しになっていた。番号が切り抜き文字で貼ってあるのだ。IMPの時代のチャレンジャはそうなっているが、それ以外の機関車では例を見ない。
 筆者は「これは祖父江氏のカスタムの製品です。」と答えた。確証はなかったが、糸鋸で切った目を見るとそのような気がした。帰国後、当時の祖父江氏を知る人に尋ねた。「それは祖父江さんだね。エッチングで出来てくるのを待ちきれなくて糸鋸で抜いてしまうんだよ。腕に自信があるから全部手作りだよ。凄い速さで作ったね。」
 ということであったので、その証言を添えて連絡した。

 この号で マイク・ヒル氏の訪問記を終わる。

テキサスに来ている。今月一杯滞在予定である。しばらく休載させて戴く。

2007年11月13日

再度 All-NationのF3

 栗生弘太郎氏のOスケール・ミュージアムに新車登場である。

 先日来、筆者が「All-Nationは良い」と言い続けたので、ようやく腰を上げられたのだ。たまたま、塗装済があったので紹介して差し上げた。オークションの写真では暗くてよく分からなかったが、素晴らしい塗装だ。多少のはげはあるが一級の仕上げである。

 確かに、ブラスのF3,F7は少ない。後に韓国製はあるが、日本で作られたものはない。これを見れば「無駄な抵抗は止せ!」という感じがする。さすがのMax Grayもこれのブラス製は作る気がしなかったのだろう。All-Nationのセールス・コピィによれば、「本物の図面から型を起こしているので、正確無比」だそうだ。
 
 栗生氏は動力機構に興味を持たれたようだ。ドライヴ軸をモータ軸から平行に下ろすために、ヘリカルギヤが使ってある。

 実に静かで効率が良い。筆者も1台だけオリジナルのドライヴを持っているが静粛で力強い。全体が重いので、実に堂々とした走りである。全軸イコライズしてあるので、レイルの継ぎ目の音もよく響く。

 このような製品を1952年に売り出す国と戦争をしたのは間違いであった、と言うコメントを戴いている。この模型を手にすると、"King of All Scales"という言葉が思い出される。

 明日からそれについて書きたい。


2006年11月30日

トルクチューブ

Torque Tube  トルクチューブの説明をしておきたい 。

 筆者は自動車の構造にも興味がある。もちろん、動力で動くものはみな好きだが…。
小学生の頃、乗用車のスプリングは「リーフ・スプリング」であった。急加速するとばねが妙な形にねじれるのを知った。作用・反作用の原理で説明できた。ばねの隙間の摩擦が振動を吸収することもよくわかった。

 そのうちに「コイルスプリング + ショックアブソーバ + リンク」の時代が来て、リンクが反作用を受け持つのを知った。ショックアブソーバがないといつまでも車体のゆれが止まらないことも理解した。

 鉄道模型を、固定軸の「EB電関」というおもちゃで始めたころはわからなかったが、動輪がスプリングで可動するタイプの機関車を見て、これはインチキだと思った。というのは、反作用でギヤボックスが倒れてくるのを支えるものが何もない。怪しげなゴムのチューブでつながっていて、反作用があればそれがたわむ方向または伸びる方向に作用した。しかし、ゴムチューブは硬いらしくびくともしない。ということは、ギヤボックスの自由な運動を妨げている。TMSを読んでもほとんどそれに関する記述を見たことがない。

 しばらくしていすゞのジェミニという車が発売された。その動力伝達機構は、それまでのタイプとやや違っていた。反作用を受け持たせるリンクがなく、単純な構造であった。これでは走らないはずだと、よく調べたら、ドライヴ・シャフトが、やや太目のパイプの中を通っている。そのパイプの一端が車体に取り付けられている。これを「トルクチューブ」と呼んだ。当然、推進軸の反作用もそれで受けている。当時、いすゞはGMと技術提携していた。GMの車にはこれを採用したものが多い。ポルシェも採用している。

 うまい工夫である。これを採用しようと思った。現在、祖父江氏の工房で動力機構を改装するとほとんどこのタイプが採用されてくるはずだ。

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2006年11月29日

ウォームギヤとスパーギヤ

90-degree drive 筆者がなぜここまでウォームギヤにこだわるのか。他のギヤで「押して動く」のでは満足できないのか。

 Model Railroaderへの投稿原稿にも書いたが、最大の利点は、食い違い直角伝導であるということだ。ギヤボックスの設計、製作が容易で、小さくできる。

parallel drive スパーギヤでは歯車は大きく、モータは吊り掛け方式にならざるを得ない。佐藤昌武氏の名作C53はスパーギヤが動輪の内側に密着して取り付けられている。ギヤボックスはとても作りにくい。油の飛散を防ぐのは困難だ。また、たとえイコライズしても、軸重の均等化は無理である。モータもあまり大きいのは使えない。一段ではギヤ比が足らないので2段以上にせねばならない。

 電気機関車のような各軸モータであっても、イコライズの問題以外、それは同じことだ。筆者は油が飛散するような車輌が自分のレイアウトに進入するのを極端に嫌う。レイルが汚れて集電が悪くなるからだ。

 ベベルギヤはギヤボックスの設計が難しい。製作はもっと難しい。目的に合う歯車を製作してくれる工場を探すのも難しい。また、機関車への納まりも、ウォームギヤほどうまくいかない。実は祖父江欣平氏が試作してくれたベベルギヤ・ドライブの機関車もあるが、横から透かして見たときのシルエットが良いとは言えない。

 おそらく、スパーギヤ、ベベルギヤの効率は90%近いだろう。二段なら80%だ。ウォームギヤが70%として損失はかなり違うが、その分大きなモータが楽に入るメリットがある。

最後に音の問題がある。ウォームほど静かなギヤはない。理論的にはバックラッシュをゼロにすることもできる。蒸気機関車がわずかでもジコジコとギヤの音をさせて走るのは、興醒めだ。筆者はサウンド装置を搭載しているので、余計に音には敏感である。ディーゼルは多少の音があっても許される。

 ところで気になっていることがある。皆さんの模型のギヤボックスには、動輪の駆動に伴うトルクの反作用を受けるトルクアームまたはトルクチューブがついているだろうか。昔からTMSなどに発表される作品でこれがついているのをめったに見ることがない。怪しげなシリコン・ゴム・チューブで繋いでお仕舞いというのが多い様に思う。これでは前進・後退で調子が違うのも当たり前である。

dda40x at 07:29コメント(0) この記事をクリップ!

2006年11月23日

斜歯歯車

kyusan.u.井上研究室website AJINに行っていた時、材質、加工、伝導など、ありとあらゆる相談を受けた。
 一番驚いたのはギヤボックスだった。ちょっとした工夫で、トラクション・モータ型のギヤボックスを作ってあり、中に平歯車を入れて2段減速の製品だった。

 「どうも調子が悪いので、どこを直せばよいのか教えてくれ。」ということであった。ふたを開けて驚いた。単純なスパーギヤではなく、斜(はす)歯歯車であった。

 斜歯歯車は、回転時にスラストを発生する。多段であれば、回転数が大きい時はトルクが少ないので歯の角度は大きくなる。低回転部分ではトルクが大きい分だけ、歯の角度を小さくする必要がある。

 一つの軸に大歯車と小歯車があれば、その両者が発生するスラストが打ち消しあうようにせねばならない。すなわち、歯の傾く方向は互いに逆向きになるべきである。

 ところが、見せられた製品はスラストが助長しあうようになっていて、モータの回転により、歯車がギヤボックスに強く押し付けられながら回転するようになっていた。摩擦は極めて大きい。それを指摘し、歯の角度を反転させたところ、極めて調子のよいものとなった。

 このようなことが次々に改善され、AJINの製品は急速に向上した。しかし、アメリカのインポータの意向で、押して動くギヤが採用されることはなかった。 Overland Models の技術力のなさが露呈していた。


 写真は自動車用の変速機の内部。ギヤ比に応じてねじれ角が変化し、なおかつスラストが互いに打ち消しあう設計になっている。 

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