歯車

2017年01月12日

3条ウォーム・ギヤ

 コメントを戴いているので、予定を変更して、続編である。

 筆者の3条ウォームは、85年夏のミルウォーキのNMRAコンヴェンションで発表した。祖父江氏と一緒に行って、ブースを借りた。
 2輌を同一の線路に置いて、片方押すと他方が走る様子は、大きな反響を呼び、地元のテレビ局が取材に来た。「マジック」というタイトルで放映されたようだ。そのビデオが見たかったが、 チャンスがなかった。MRに載ったのはその年だ。当時は、本社がすぐ近くの北7番街1027番地の古いビルだった。

 その発表のさなかに、一人の男がやってきて、
「このアイデアは戦前にライオネルが採用している。」
と言ってきた。こちらは そんなものを見たことが無いので、
「そうですか」
としか言えなかった。後に見せてもらった時、確かに押して動くが、それほど軽く動くわけでもなく、比較できないと思った。中を開けて見せてもらったわけではないので、今回の分解が初体験である。ギヤボックスが密閉式であるのは優秀である。
 ずっと後でわかったのは、その男がクラインシュミット氏であった。彼とはいろいろなところで会って、手厳しい評価を受けている。因縁深いものを感じる。しかし、最近は非常に仲の良い友達になった。

 大切なのは潤滑だ。良い潤滑剤を採用し、密閉されたギヤボックスを採用しないとうまくいかない。油が切れたり、埃を噛んだりするようでは意味がない。
 また、組立時にはよく洗っておくことも必要である。 

 3条ウォームが実現して、31年経った。一部のOゲージ・メーカが同仕様のものを採用しているだけで、他には同じものがまったくない。
 似ているだけでは、あまり効率が良くないのだ。材質も大切なファクタである。ブラスのウォーム・ギヤは感心しない。 

 以前にも書いたが、この直角伝導がコンパクトにできるというところが、模型用として非常に大きな利点である。傘歯車と平歯車ではあまりにもコストが掛かるし、ギヤ比や音の点で不利である。 効率もそれほど低くはなく、十分に太刀打ちできる。むしろ設計手法や工作精度によっては勝てる範囲にある。またクラッチ等を用いて、押して動くようにすると下り勾配で制御不能になるので、低抵抗車輪を用いた長大編成の運行ができなくなる。これは、まだその実験機が保存してあるので、いずれ博物館で実際に運転してみる。

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2016年11月15日

メカニズム

 しばらく留守をしていた。東京で所属クラブの会合があったのだ。今回は久しぶりに全員が顔を合わせたので、一人ずつ自己紹介をした。
 筆者は、
「模型の外観は適当にできていれば十分であるが、メカニズムには最高を求めることにしている。いかにして低電流でたくさん牽くか、貨車や客車はいかにして摩擦を減らして遠くまで転がるかしか興味がない。」 
と言うと、みなさんはどっと沸いた。

 家に帰ってみると、少々手に余るコメントが来ていて、無視しようかとも思ったが、載せておいた。反論も来ているが、それもそのまま載せた。

 最近、妙なコメントが時々送られてくる。お前のブログに、俺の自己主張を載せろ、と言わんばかりのものがある。 
 お断りしておくが、コメントはあくまでもコメントであって、この場を借りて自分の主義主張を発表する場所ではない。それはご自分でブログ等を立ち上げて発表されればよい。メイルアドレスが書いてある場合は、それをお伝えして消去している。

 今回のコメント主は、拙ブログをほとんど読んでいらっしゃらないことがわかる。筆者は考えられるメカニズムをすべて作っている。それを祖父江氏がさらに改良したものも持っている。傘歯車駆動の機関車は3輌ある。人にお勧めできるものではない。
 価格の面でも問題があるが、一番大きな問題は音である。祖父江氏の腕をもってしても、歯車の音は無くならない。蒸気機関車がヒューと歯車音を出して走るのは問題だ。当時は若かったので、耳が敏感であったこともあるが、気になった。
 芦屋の御大の機関車はすべてこの音がする。彼はそれがお好きなようだったが、筆者は容認できない。
 また、摩擦係数と摩擦とは異なる次元の話であり、コメントの趣旨はよくわからない。

 最近皆さんもお気付きのようだが、低回転高トルクモータを用いて、低歯車比にすると静かで高効率の機関車ができる。筆者の「3条ウォーム+1段減速」は8:1程度であるが、新モータを用いて、その半分程度にすることを目標にしている。

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2016年07月17日

続 TMS195号 

 筆者が高効率模型開発の実践をしていることを、山崎喜陽氏は井上豊氏から聞いていたらしく、
「TMSで発表させてあげるから・・・」
と話し掛けてきた。物の言い方が気になったが、数分間話をした。彼は筆者の話に非常に興味を持ち、実際に80坪の部屋の床で大規模な線路を敷いて実験をしている写真を見て、愕然としていた。
「日本で模型の効率を測定している人はあなただけだ。」
と言った。実際にはもう一人いて、それは吉岡精一氏であった。しかし、当時はまだ、吉岡氏とは連絡が付いていなかった。それを妨害した張本人は山崎氏その人であったのだが。
 極めて初期のTMSに、歯車の効率の話がある。山崎氏は、鉄道模型はよく走らねばならないという信念は持っていたようだ。

 話の内容を横で聞いていた荒井友光氏は上機嫌で、
「山崎君、名古屋にはこういう人もいるんだよ、大したもんだろ。『尾張名古屋はO(オウ)で持つ』って昔から言ってたじゃないか。」
と嬉しそうだった。その前の年のNMRAの新年会で、アメリカのNMRAのコンヴェンションのスライドを100枚以上見せた。カツミの栗山氏がそれを見ていて、筆者は請われて東京で二回再演した。そのことも聞いていたらしく、見せてくれと頼まれた。当時アメリカでも、
"O gauge is back" というキャッチ・フレイズでOゲージの復権が始まっていると言うと、非常に興味深そうだった。彼はアメリカの話には心を動かされるようだった。

その席で、筆者は山崎氏が「Model Railroader に投稿するならウチを通さなければ載らない・・・・」と、また言ったものだから、呆れてしまった。筆者は若いとは言え、アメリカに居たことのある人間だから、そんなことを言えばバレることぐらいわかりそうなものだ。
 筆者は井上に連れられて、山崎氏とは過去に複数回会っている。いつもそれを言う人であった。本人はそう信じていたのだろう。お気の毒ではある。
 
 例の3条ウォームの記事はぜひともTMSで扱いたかったものだったと、発表直後に荒井氏から聞いた。

 一方ミキストで、実名を挙げて攻撃された副会長の加藤 清氏の怒りは収まらず、553号まで投稿しなかった。漁夫の利を得たのが「とれいん」誌で、かなりの原稿がそちらで発表された。


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2015年07月26日

続 frog numbers 

 Fast Tracksという会社がある。web siteが立派で、なかなか大したものだと思っていたが、中身は少々怪しい。最近の工業レベルを反映して、レーザカット、CNCフライスでジグを作って、材料とともに売っている。様々なテクニックを駆使して、ポイント等を簡単に作れるように準備している。動画もたくさんあるので、買わなくても楽しめる。
 Fast Tracks の♯4のYポイントのフログ角は14.04度で、#8は7.13度である。すなわちどちらも簡易式での値だ。NMRAのRP準拠と言っているので、NMRAも怪しい。このままでは操車場の線が平行にならない。

 以前にフランジの件で書いたように、NMRAにはまともな人材がいないようだ。いずれアメリカの雑誌に書いて、反応を見てみよう。

 
 多少角度が違っても、線路を敷くときに少し曲げれば難なく敷けるのであろう。実物であれば、乗り心地が大幅に悪くなるので大問題になるが、模型であれば構わないということなのかもしれない。
 しかし、きちんとしたものを売れば、その会社の評価も上がるはずだ。この会社には直接言ってみよう。改善されれば大したものだ。

 先回のTMSの旧号はすぐ探せた。それを読んだ場所、時期がわかっていたので、その前後を探したら、ちょうど中心の6月号にあった。南海の凸電が表紙だ。鉄道模型に熱中していた少年期が思い出される。
 他の記事も拾い読みしたが、ディテールをどうするかという記事ばかりだ。動力機構とか線路関係の記事などほとんどありはしない。この状態が50年も続いた結果が、現在につながっている。
 細密な完成品がこれだけ豊富にあるのに、動力機構が素晴らしいと感じるものはまずない。どれもこれも、効率が悪く、音が出やすい設計のように、筆者には思える。ほとんどがギヤボックスがなく、むき出しの歯車をつけている。
 ある先輩はこう言う。「日本の鉄道模型はフルパワーで30分走るとおかしくなる。たいていギヤが減ってしまう。」
 そうだろうと思う。両方ブラスの歯車を使っているからだ。小さいほうを快削鋼にするだけでも20倍くらい持つ。もちろん潤滑は大事だ。油を差しても、走り出したら無潤滑の状態に近い。そろそろ気が付いてもよさそうなのだが、走らせている人は少ないのだ。

追記
 fast track には優先車線という意味がある。アメリカの高速道路では最中央の1ないし2車線は優先車線であり、2人以上乗車の際には使える。一人で乗っていると捕まれば数百ドルの罰金である。
 それを走るためのリアルな人形を売っているようだ。おそらく摘発されると大変なことになるはずだ。
 高速道路上の実際の表記は少し変えて、Fast Trakになっている。 


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2015年05月26日

スパーギヤ

 Oゲージの運転会に行って、レイアウトを観察する。東西いずれのレイアウトもかなり大規模で、よく工夫されている。さすがに大きくて、組立て、分解、運送には10人ほどが、各30分程度働く必要がある。これだけの規模の物だから、それは仕方ないが、全部で300 kgくらいはあるだろう。

image (2)  さて、その中で分岐の様子を観察した。筆者の作っているレイアウトに、参考になるところは吸収したいからだ。関東のは歴史が古く、何もかも手作りで立派なものである。そのフログ部分を見て、少々驚いた。
 ガードレイルに等間隔に傷が付いている。ある方の解説によると、スパーギヤが当たったのだそうだ。しかもスパークしてブラスが融けている。
 と云うことは、絶縁側にスパーギヤがあることになる。これはまずい。根本的にスパーギヤをむき出しで使うことには、筆者は反対である。しかも、その径が車輪径と等しいのは言語道断である。さらに絶縁側に付けるとは………。

image (1)「 困ったもんだね。」と話をしていたところ、他の部分に油が点々と「印刷」されていることに気が付いた。ショートは免れているが、レイル面に接触しているのは間違いなさそうだ。フログでの落込みで接触している。事実上、歯車で走っている。
 このフログは古い規格であって、落込みをフランジで支えるようになっている。最近はそのフランジが低くなったので、かなり落ち込んでいる。本当はフログを更新すべきであろう。

 筆者の建設しているレイアウトに車両を持って来られても、すぐには運転させない。車検がある、と書いたところ、何人かの友人から、「すこし厳しすぎるのではないか。」と言われた。
 しかし、現実はこのようなものである。これでは線路の損傷が起きるし、油を撒き散らされて迷惑そのものである。

 車検は行うし、短期間の車検証も発行する。本当はレイアウトから持ち出すと、再車検を受けるのが筋である。アメリカのレイアウトではそのようなシステムを採るのがふつうである。決して厳しすぎるルールではない。

 博物館に車両を持ってきて走らせよう、とお考えの方にお願いしたい。油が飛散するのを防止する装置、あるいは、ギヤボックスが付いていない車輌は、運転ができない。 

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2011年07月05日

続 査読者

 この件で何人かの方からメールを戴いている。私信なので一部を公開するにとどめるが、大体同じことを仰っている。

A氏より
 査読がある、というのは驚きです。載せる記事に責任を持つというメディアの姿勢と理解しました。

B氏より
 dda40xさんが指摘されているように、日本の雑誌のレベルに問題があるのは、投稿された原稿をそのまま載せるという体制に最大の原因があると思います。というか書き手の割に雑誌数が多すぎるのと、コストが低くできて多く売れればよいという雑誌社の姿勢が問題なのでしょうか?

C氏より
 学会誌と同じですね。査読に通れば、それはお墨付きが得られたと同然ですから、大きな進展があるものと思います。…中略… 出せば載るというレベルの低い日本の雑誌とは違うということがよくわかりました。どんな人に査読をお願いしているのでしょうね。

 筆者は、Model Railroaderが世界最大にして最高の模型雑誌たらんとして、努力している雑誌社であると認識している。その世界中に与える影響の大きさを鑑み、慎重であることが素晴らしいと思う。
 
 以前の押して動くギヤも、25年経つと、世界中の色々なメーカが採用していることに気がつく。
 先日のHill氏も、「祖父江氏に頼んで改造してもらった押して動くギヤは素晴らしい。あれも日本人が考えたそうだね。ずいぶん色々な会社で作られているね。」と言うので、「そうですよ。この雑誌です。」と棚の蔵書のMRの旧号を取りだして見せた。「おや、すぐわかるのかね ?」と聞くので、「どこかで御覧になった名前ではありませんか?」と著者名を見せた。
 彼はとても驚き、「どうしてそれを早く言わないのだ。もっと早くに招待していたのに。」と言った。
 MRに載るということは、とても重要なことだと彼は念を押した。

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2011年04月26日

モータの界磁磁石を交換する

 Chicagoの O Scale Meet で Low-D 車輪の講演をした。その時、古いOpen Frameモータの界磁をネオジム磁石にするアイデアを披露した。親しい友人がそれを雑誌に発表すべきだと勧めたが、誰でも思いつくことだし、実際にやっている人もいる、と同意しなかった。
 第一アメリカでそんな磁石もあまり売っていないし、日本から飛行機で送ることができないから難しいと考えていた。

 先日送られてきたMicromarkのE-mailによる広告によると、同社はいわゆるPittman型モータ(TMSでは棒形モータと呼んでいた)のアルニコ磁石を取り替える磁石セットを売り出している。どの程度の磁石なのかはよく分からないが、大きさと吸着力から推測するとネオジム磁石のようだ。

 先日の記事にも書いたように、HOサイズの模型には大きな磁束密度を与えるとあまり効果はない。果たしてどの程度の効果があるのか知りたいものだ。 この広告を見ると、飛行機には載せられないので陸続きの48州しか配達できないとある。そのようなことを情報として明示しておくことは大切である。磁石を飛行機に持ち込むことができないということは意外と知られていないからだ。

 やはり鉄心の大きなOサイズの模型モータに採用すべきものであるように思う。  アメリカの友人にはLobaughの古いモータの入手を依頼しておいた。いずれいくつか集まるから、それらを再生しようと思う。回転数がかなり低下するから、歯車の減速比が小さくなる。すると必然的に”Free-Rolling”になる。このアイデアには彼らはかなり驚いたようだ。

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2011年01月01日

続々々々々 慣性を増大させる装置

 
               謹賀新年 
 
 このあたりの構成はかなり面倒であるが、設計を試みていた。そうこうしているうちに、産業用の機器に組み込まれた遊星ギヤ装置があるので、その製造元からサンプルとして購入してみることになった。直径が36mm程度である。細いのは11mmというものもある。

 さらに小さなものを探すと、弦楽器のチューニングに使う物もある。ヴィオラ・ダ・ガンバのような大きなものの弦を張るのにはかなりの力が要る。それを同軸減速ギヤを用いて小さな力で行うようにした工夫である。 鉄道模型にはあまり用いられていない。モータ自身の中に組み込まれたものは最近よく見るが、単なるギヤボックスとしての使用例は見たことがない。

 遊星ギヤは同軸であるから、モータ軸の延長上に置くことが出来るし、効率が良い。1段で98%と謳っているものもある。悪くても90%だろう。2段でも80%ある。車軸にべべルギヤを用いればトータルでも70%くらいの伝達効率になるだろう。
 
 そろそろウォームギヤ一辺倒から脱却しても良い時期かもしれない。モータも今、低速回転モータを開発中で、それを使えばギヤなど不要になるかもしれない。

 新年早々 初夢にお付き合い戴いてありがとうございます。今年もよろしく。

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2010年12月30日

続々々々 慣性を増大させる装置

 増速装置をどんな構造にするかは少々悩む。
 各軸同じように取り付けられたギヤボックスの上にギヤボックスを重ねてつけるのは、せっかくイコライズしているのに意味がなくなる。なるべくバネ下質量を小さくしておきたい。たいした質量ではないはずであったが、試作してみるとかなりの質量で驚いてしまった。
 駆動軸から平行にユニヴァーサル・ジョイントで動力を取り出し、床上に固定した増速装置につなぐ。
 スパーギヤで増速すると大きい方の歯車の収納に頭を悩ます。筆者は「全ての歯車は密閉式ギヤボックスに収める。」という主義であるので、大きな防塵ケースの取り付け空間を探すのは難しい。

 遊星ギヤのシミュレイタがここにある。この作動は小学生のころから興味があった。これを画面上で確認できるのは嬉しい。
 
 以前から気になっているものに、タミヤの遊星ギヤのキットがある。定価は1500円であるが、カーボンブラシ付きモータが付属していて、それにも興味があった。
 購入して内部を調べた。歯車の材質はエンジニアリング・プラスティックとあるので、油をつけても大丈夫なのだろう。
 子供のおもちゃとしてはよく出来ているが遊星ギヤの保持をしているキャリアがゆるい。3つの小さな遊星ギヤが完全な円運動をするとは思えない。ジャラジャラと音がするのは、その結果のような気がする。これを採用するのなら、その部分を作り直す必要がありそうだ。
 また大きなエネルギ伝達をするので、遊星ギヤ軸にもボールベアリングが必要であろう。
 
 このキットには1/4のセットと1/5のセットが2個ずつ入っているので全部を組み合わせると1/400というギヤ比も可能である。その1/4のセットの遊星ギヤが正三角形の頂点にはないことに気が付いた。
 多分サン・ギヤ(中心の歯車)とのかみ合わせの問題で遊星ギヤを保持する三角形のキャリアが変な動きをしたのだろう。3つのギヤに同じ力が掛かる位置を探してこうなったのだと思う。あまり賢明な設計とは思えない。

 実物は車の自動変速機の中にあり、はす歯歯車を使っているので噛合い率が一定でこのようなことは起こらないはずだ。普通の歯車では、噛合い率が低ければ歯を蹴飛ばす音がし始める。平行軸ドライヴならそれだけのことであるが、遊星ギヤの場合は、キャリアに不等な力が掛かって踊り始める。このようなことが分かったので、遊星ギヤホルダは別途ボールベアリングで二重軸にして支える必要が出てきた。改造は大変だ。 

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2010年08月20日

Mike Hill氏を訪ねて  その8

control board Mikeのレイアウトは、いわゆるDisplay Layoutである。ディスプレイ・レイアウトには最小限のストラクチャーしかない。ヤードの収容量を限界まで大きくし、列車を順番に運転することを目的としている。エンドレス・トラックの内側はほとんどが留置線である。


 
old timerbaggagecoach その中にこの車輌があった。
 Mikeが、「これは間違いなく日本製であるが、どこにもその記録が見つからない。これを作ったのはだれかということが分からないか?」と聞く。
 残念ながら全く見当もつかない。全ての窓は糸鋸で抜いてある。大変な手間である。側板は卦書き針で筋を掘ってある。エッチングとかプレスを全く使わずに作ってあるのだ。屋根の絞りは叩き出しである。全て職人の技で作ってある。
 読者の皆さんの中で、多少なりとも見当が付く方は、どうかお教え願いたい。

 他に、NYCのモホークを見せられた。「不思議なことにこの機関車の記録もどこにもない。IMPの時代の前のものだろう。このキャブを見よ。」という。
 そこには機関車の番号が浮き出しになっていた。番号が切り抜き文字で貼ってあるのだ。IMPの時代のチャレンジャはそうなっているが、それ以外の機関車では例を見ない。
 筆者は「これは祖父江氏のカスタムの製品です。」と答えた。確証はなかったが、糸鋸で切った目を見るとそのような気がした。帰国後、当時の祖父江氏を知る人に尋ねた。「それは祖父江さんだね。エッチングで出来てくるのを待ちきれなくて糸鋸で抜いてしまうんだよ。腕に自信があるから全部手作りだよ。凄い速さで作ったね。」
 ということであったので、その証言を添えて連絡した。

 この号で マイク・ヒル氏の訪問記を終わる。

テキサスに来ている。今月一杯滞在予定である。しばらく休載させて戴く。

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2007年11月13日

再度 All-NationのF3

 栗生弘太郎氏のOスケール・ミュージアムに新車登場である。

 先日来、筆者が「All-Nationは良い」と言い続けたので、ようやく腰を上げられたのだ。たまたま、塗装済があったので紹介して差し上げた。オークションの写真では暗くてよく分からなかったが、素晴らしい塗装だ。多少のはげはあるが一級の仕上げである。

 確かに、ブラスのF3,F7は少ない。後に韓国製はあるが、日本で作られたものはない。これを見れば「無駄な抵抗は止せ!」という感じがする。さすがのMax Grayもこれのブラス製は作る気がしなかったのだろう。All-Nationのセールス・コピィによれば、「本物の図面から型を起こしているので、正確無比」だそうだ。
 
 栗生氏は動力機構に興味を持たれたようだ。ドライヴ軸をモータ軸から平行に下ろすために、ヘリカルギヤが使ってある。

 実に静かで効率が良い。筆者も1台だけオリジナルのドライヴを持っているが静粛で力強い。全体が重いので、実に堂々とした走りである。全軸イコライズしてあるので、レイルの継ぎ目の音もよく響く。

 このような製品を1952年に売り出す国と戦争をしたのは間違いであった、と言うコメントを戴いている。この模型を手にすると、"King of All Scales"という言葉が思い出される。

 明日からそれについて書きたい。


2006年11月30日

トルクチューブ

Torque Tube  トルクチューブの説明をしておきたい 。

 筆者は自動車の構造にも興味がある。もちろん、動力で動くものはみな好きだが…。
小学生の頃、乗用車のスプリングは「リーフ・スプリング」であった。急加速するとばねが妙な形にねじれるのを知った。作用・反作用の原理で説明できた。ばねの隙間の摩擦が振動を吸収することもよくわかった。

 そのうちに「コイルスプリング + ショックアブソーバ + リンク」の時代が来て、リンクが反作用を受け持つのを知った。ショックアブソーバがないといつまでも車体のゆれが止まらないことも理解した。

 鉄道模型を、固定軸の「EB電関」というおもちゃで始めたころはわからなかったが、動輪がスプリングで可動するタイプの機関車を見て、これはインチキだと思った。というのは、反作用でギヤボックスが倒れてくるのを支えるものが何もない。怪しげなゴムのチューブでつながっていて、反作用があればそれがたわむ方向または伸びる方向に作用した。しかし、ゴムチューブは硬いらしくびくともしない。ということは、ギヤボックスの自由な運動を妨げている。TMSを読んでもほとんどそれに関する記述を見たことがない。

 しばらくしていすゞのジェミニという車が発売された。その動力伝達機構は、それまでのタイプとやや違っていた。反作用を受け持たせるリンクがなく、単純な構造であった。これでは走らないはずだと、よく調べたら、ドライヴ・シャフトが、やや太目のパイプの中を通っている。そのパイプの一端が車体に取り付けられている。これを「トルクチューブ」と呼んだ。当然、推進軸の反作用もそれで受けている。当時、いすゞはGMと技術提携していた。GMの車にはこれを採用したものが多い。ポルシェも採用している。

 うまい工夫である。これを採用しようと思った。現在、祖父江氏の工房で動力機構を改装するとほとんどこのタイプが採用されてくるはずだ。

2006年11月29日

ウォームギヤとスパーギヤ

90-degree drive 筆者がなぜここまでウォームギヤにこだわるのか。他のギヤで「押して動く」のでは満足できないのか。

 Model Railroaderへの投稿原稿にも書いたが、最大の利点は食い違い直角伝導であるということだ。ギヤボックスの設計、製作が容易で、小さくできる。

parallel drive スパーギヤでは歯車は大きく、モータは吊り掛け方式にならざるを得ない。佐藤昌武氏の名作C53はスパーギヤが動輪の内側に密着して取り付けられている。ギヤボックスはとても作りにくい。油の飛散を防ぐのは困難だ。また、たとえイコライズしても、軸重の均等化は無理である。モータもあまり大きいのは使えない。一段ではギヤ比が足らないので2段以上にせねばならない。

 電気機関車のような各軸モータであっても、イコライズの問題以外、それは同じことだ。筆者は油が飛散するような車輌が自分のレイアウトに進入するのを極端に嫌う。レイルが汚れて集電が悪くなるからだ。

 ベベルギヤはギヤボックスの設計が難しい。製作はもっと難しい。目的に合う歯車を製作してくれる工場を探すのも難しい。また、機関車への納まりも、ウォームギヤほどうまくいかない。実は祖父江欣平氏が試作してくれたベベルギヤ・ドライブの機関車もあるが、横から透かして見たときのシルエットが良いとは言えない。

 おそらく、スパーギヤ、ベベルギヤの効率は90%近いだろう。二段なら80%だ。ウォームギヤが70%として損失はかなり違うが、その分大きなモータが楽に入るメリットがある。

最後に音の問題がある。ウォームほど静かなギヤはない。理論的にはバックラッシュをゼロにすることもできる。蒸気機関車がわずかでもジコジコとギヤの音をさせて走るのは興醒めだ。筆者はサウンド装置を搭載しているので、余計に音には敏感である。ディーゼルは多少の音があっても許される。

 ところで気になっていることがある。皆さんの模型のギヤボックスには、動輪の駆動に伴うトルクの反作用を受けるトルクアームまたはトルクチューブがついているだろうか。昔からTMSなどに発表される作品でこれがついているのをめったに見ることがない。怪しげなシリコン・ゴム・チューブで繋いでお仕舞いというのが多い様に思う。これでは前進・後退で調子が違うのも当たり前である。

2006年11月23日

はす歯歯車

kyusan.u.井上研究室website AJINに行っていた時、材質、加工、伝導など、ありとあらゆる相談を受けた。
 一番驚いたのはギヤボックスだった。ちょっとした工夫で、トラクション・モータ型のギヤボックスを作ってあり、中に平歯車を入れて2段減速の製品だった。

 「どうも調子が悪いので、どこを直せばよいのか教えてくれ。」ということであった。ふたを開けて驚いた。単純なスパーギヤではなく、はす歯歯車であった。

 はす歯歯車は、回転時にスラストを発生する。多段であれば、回転数が大きい時はトルクが少ないので歯の角度は大きくなる。低回転部分ではトルクが大きい分だけ、歯の角度を小さくする必要がある。

 一つの軸に大歯車と小歯車があれば、その両者が発生するスラストが打ち消しあうようにせねばならない。すなわち、歯の傾く方向は互いに逆向きになるべきである。

 ところが、見せられた製品はスラストが助長しあうようになっていて、モータの回転により、歯車がギヤボックスに強く押し付けられながら回転するようになっていた。摩擦は極めて大きい。それを指摘し、歯の角度を反転させたところ、極めて調子のよいものとなった。

 このようなことが次々に改善され、AJINの製品は急速に向上した。しかし、アメリカのインポータの意向で、押して動くギヤが採用されることはなかった。 Overland Models の技術力のなさが露呈していた。


 写真は自動車用の変速機の内部。ギヤ比に応じてねじれ角が変化し、なおかつスラストが互いに打ち消しあう設計になっている。 

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