工学

2021年07月19日

続 クラウンギヤ

 クラウンギヤは、径が十分大きければラックと同等とみなせるが、20枚歯程度では歯型がでたらめである。点接触をしているから、摩耗がひどく、徐々に崩れていく。ピニオンが硬い材料なら、クラウンギヤが適度に減ってそれなりの形で、ある程度の時間使える。しかし、音がするし、効率も良くない。要するに、減ることを前提にしている。

 ところが以前見たものは、大きな40枚歯を硬質クロムメッキしてあった。これはまずい。そもそも、歯車をめっきすると歯型が狂うから、常識的にはしてはいけないことである。光っているから滑らかだと思うのは、勘違いである。顕微鏡で見ると、表面は粗雑だ。(自動車のエンジンのシリンダ内壁はクロムメッキしてから研磨してある。そうすると、その粗雑面の突起が削り落とされ、無数のクロムの金属結晶の隙間に潤滑油が満たされて摩擦を減らしている。)
 
 ところがそれを使っている人は、嬉しそうに「クロムめっきしてあるから減らない」との”効果”を謳うのだ。大ギヤが硬いと、ピニオンがどうなるか、である。そこで見たピニオンは8枚歯のブラスであった。小さいものを軟らかい材料で作れば、たちまち寿命が尽きる。潤滑油が飛び散る開放されたギヤであったから、あっという間であろう。ギヤボックスを付けない人は大半である。密閉式にして油溜まりがあれば、かなり違うはずだ。

 ギヤ比は、8:40=1:5 であった。割り切れるし、ピニオンが小さ過ぎて、歯型がおかしい。走らせるとギャーという音がするが、本人たちは至って無関心で、静かだと言う。また、各動輪が個別に駆動されるから、牽引力が大きいとは思えない。

 こういうことに注意を払わない人は多い。いわゆる腕の良い模型人にも、この種の人はいる。合葉氏の言う「正しい鉄道模型」の実現は遠いと感じる。

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2021年07月17日

クラウンギヤ

 前回紹介した記事ではクラウンギヤが用いてある。これは意外だ。合葉氏に見せてもらったものはすべてウォームギヤであった。作られた時期によって違いがあるのかもしれない。

 合葉氏宅で話をした時、
「貴方はどうしてウォームを使うのか?」
と問われた。答は単純であった。
「静粛であることは、この上ないのです。効率も、工夫すればかなり上げられます。潤滑剤の進歩があり、他のギヤに勝るとも劣らないものができるはずです。」
と言うと、
「それでは、クラウンギヤについてはどう思う?」
と聞かれた。筆者は思い切って挑発的な表現をした。
「クラウンギヤは嘘で固めたギヤです。どこにも正しい部分がない。」
 合葉氏は腹を抱えて笑った。
「その通りなのだけど、そこまで言うかって感じだね。」

 こういうやりとりがあって、合葉氏は筆者のウォームギヤに傾倒していった。合葉氏と会う頃までには、筆者自身もウォーム・ドライヴの歴史については勉強して、実車にも使ってあったことを知っていた。
「初期のPCCカーにも使ってあったのです。」
と言うと、驚かれた。
「よくそんなことを知っているね。伊藤 剛氏は、名古屋市電800型で、それを近代化したのだね。名工大の先生にお願いして、より効率の上がる歯型を計算してもらったのだよ。PCCはその後、グリーソンのハイポイドギヤに切り替わったのだけど、そのギヤが精度高く出来るようになってからだ。」 
「軍用6輪トラックにも多条ウォームが使ってありました。」
と言うと、
「うーん、参った。我々はウォームギヤを再評価せねばならないわけだ。山崎氏は『ウォームは逆駆動出来ない』と、昔のミキストで断言していたので、それは間違いだと指摘したが、わからなかったね。モリコーのギヤも逆駆動できる細い2条ウォームだったのだけど、彼は全く理解しなかった。」
という会話があった。この時点で合葉氏は、
「貴方のウォーム・ドライヴこそOゲージの未来を切り開く。」
と述べた。


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2021年02月17日

センタピンの無い機構

 この機関車も、テンダのセンタピン位置にドライヴシャフトが通るのでセンタピンが置けない。すなわち、台車の回転は何らかの疑似回転運動をさせる方法(仮想心皿方式)を採ることを考えた。今回は単純に回転するだけなので、面倒な計算はいらない。リンクを付けて前後の位置だけ保持し、左右への振れ止めがあればよい。リンクを快削ブラス板から切り出した。

linkage こんなことを考える人はまずいないだろうと思っていたが、友人から坂本 衛氏が凸型電気機関車に採用していたという情報があった。条件が限られれば、誰しも行きつくところは同じである。これは「鉄道模型工作手帳」という本にあったそうだ。コピィを送って来た。筆者が作りかけたものと全く同じ配置であったのには驚いた。これを見て、やる気が失せ、別方法を探ることにした。誰もやってなければ作ってみたが、すでにあるなら冒険するまでのことはない。

 実を言うと、作り始めて分かったが、この方法では台車はかなり不安定だ。台車は一つ 350gもある。持ち方によっては、リンクが曲がって壊れる可能性があった。それを外れて来ないようにうまく支えるのは意外と難しいし、さらにリンクの邪魔をしないように作らねばならず、かなりの工夫が必要だ。
 熟慮の結果、より堅固な方式を採用することにした。

 あとは時間があるときに作れば、70時間でできるという計算だ。今その時間がない。信号機の工事に時間を掛け過ぎてしまった。まだやることはかなりある。


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2021年01月18日

続 むすこたかなし氏の実験 

 動画の撮り方が上手で、説得力がある。また、前車輪がフィレットに乗り上げていると、軸が傾くというのは、非常にうまい写真である。こういうのを見て、「個人的見解」に賛同する人は、もういないだろう。

 車輪については過去にいくつかの論評があるが、どれも実験とは言えないレヴェルのものばかりだ。実験とは何を調べたいのかを考えて計画されるべきものである。

 車輪にマジックインキを塗り、剥げた場所を確認するというのは、筆者も何回もやったことである。また10年も毎日運転していれば、どこが当たっているかは、光ってよくわかるようになる。大半径のフィレットの効果は非常に大きい。ブラス製車輪はすり減ってコンタが変化するが、硬いステンレス車輪では摩耗は無視できる。

 アメリカの富豪は大量に買ってくれて驚いたが、日本でもすべての車輛を Low-D にするという目標で、すでに数百輛を交換された方もいる。レイアウトで走らせている人は、既存の車輪ではとても満足できないのだ。

 高梨氏が今後どのような展開をされるかを、期待したい。低抵抗車輪を付ければ、長いフル編成をユーレイなしで楽に牽けるだろう。しかも旋盤の精度が高ければ、きわめて静かだ。それを運転会で見せることができれば、訴求力は大きい。

 模型雑誌を見ると、技巧をこらした細密車輛が毎回載っているが、走行性能については疑問だ。走らせていない人にとっては、それで充分なのだろうが、高度な運転性能を持つことを見せれば、大きなインパクトを与えることが可能だろう。
 また、細密度について言えば、どんな細密車輛でも、時計細工に比べれば一桁粗いと感じる。そういう意味では中途半端なものである。時計旋盤を持っていると自慢する人は居るが、作品をじっくり拝見したいものだ。

 高梨氏の研究により、HOゲージの世界にも、新しい光が射す可能性が高いと見ている。

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2020年12月13日

続々 Sofue Joint

 1本ピンのSofue Jointはトルクを伝えているのではない。変位を伝えているのだ。この説明をどのように書けば一番わかりやすいか、といろいろ考えた。

 早い話が、クランクを手で廻していることと同じなのである。フライス盤のZ軸高さを決めるネジのクランクは、本体が重くないと廻せない。小型のフライスでは押さえつけないと、本体が踊ってしまうだろう。
 いつも有用なコメントを送って戴くTavata氏も、「氷かきのクランクと同じ」という解釈を送って来られた。確かにこれも、本体を押さえ込んで足を踏ん張って廻さなければならない。

 頑丈な構造体の中に、ある半径のクランクがあって、他方の腕でそれが廻されているわけだ。沢山の腕で廻すと考えると、多気筒の星形エンジンも似ているだろう。
 丈夫な構造体を作る余裕があれば、製作は容易で、動作は確実である。微妙な芯ずれが許されるのは、製作者にとってはありがたいことだ。

 今回製作中の機関車に組み込むかは思案中である。

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2020年12月09日

続 veranda GTEL を作る

 スパン・ボルスタを持つ車輛は比較的少なく、その構造をじっくりと考えるチャンスは、今までほとんどなかった。今回はアジン製のGTEL を観察して、その問題点を洗い出した。衝突時に力がどのように掛かるかを考えると、弱いところは2箇所のセンタピン周りである。台車にはほとんど力は掛からない。

 連結部からの衝撃力は2箇所のセンタピンを剪断するように掛かる。センタピン周りの構造体は折り曲げられるだろう。祖父江氏はそこに角材を貼り付け、補強していた。しかしセンタピンだけは細いままだったので、
「ぶっつかったらさー、センタピンが切れっちまうからね。」
と言っていた。筆者はそのセンタピンをスティール製に替えた。しかし、その周りが弱いので、どうなるかは不明だ。

 速度を出すつもりは全くないが、なにかの間違いで追突することは、考えておかねばならない。長大編成での連結器切れは起こりうる。一編成45 kgほどあるので、置き去りにされた貨車にぶつかるとかなりの被害が出る筈だ。貨車は壊れても機関車は温存したい。

lap joint 主台枠中心にはチェインを通すので、角穴が開いている。だから、そこが弱くなる。その部分は 3 mmの厚板を用い、縦の部材を追加している。一方、前後の床板は薄い1 mmを使っている。3 mmの板と1 mm板は、祖父江氏の手法で欠き取って重ね継ぎをしている。ハンダが廻ると、最初から一枚板だったような剛性がある。

 今回設計の主台枠とスパン・ボルスタ2本の質量は、約 1 kgである。ジグを作って押し込み、ガスバーナで焙ってハンダ付けした。そう簡単には壊れないものが出来たが、やや過剰品質ではある。  

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2020年12月07日

veranda GTEL を作る

 長年放置してあったヴェランダ・タービンを完成させるべく、とりかかった。台車は30年以上前にAjinで調達したものだった。
 どうしようもない部分もあるが、台車の側面のディテールだけは秀逸で、 手を入れれば十分使えた。問題は、彼らが実物の図面からそのまま作っていたことだ。ペデスタル部には必要以上の凹凸がある。実物通りに作ったのだ。上下の滑りを確保しつつ軸受の距離(枕木方向)を保つのは良いが、台車ボルスタがへなへなで何の意味もない。ボルスタを補強し、重い本体が載ったときにもへたらないように、せねばならない。強度が不足しているし、また模型として作りやすい構造にすべきである。

 久し振りに鋳物に細孔を開けた。下穴ドリルを折り込んでしまい、ステンレス塩水漬けで3日待った。うまく錆びてくれたので取り出し、ネジを切った。ネジはあまり使わないM1.7で、タップの予備が無いのでヒヤヒヤであった。

 スパン・ボルスタは衝突に耐えるようにした。祖父江氏がAjin製GTELの剛性のなさを指摘していたので、材料置き場をひっくり返し、厚さ4.2 mmのnaval brass (ネーバル黄銅)の大きな板から切り出した。この長さを糸鋸で切るのはとても自信が無いので、ジグソウに金工用刃を付け、時間をかけて切り出した。自宅のフライス盤で直方体に仕上げ、台車の嵌まる部分を少し彫り込み、前後端のバッファを削り出した。
 ネーバルは海水に耐える材料である。廃金属商で入手したものだが、粘りがあって加工は大変だ。フライス刃は喰い込みやすく、難削材用の刃を用いる必要がある。さらに、切削油をたくさん使って削らねばならない。また、ネジを立てるのは一苦労であるが、とても丈夫である。

GTEL span bolster スパンボルスタの中央部はさらに1 mmと2 mm の板を貼り重ね、全面ハンダ付けをした。ここの部分には孔が開いているので弱く、本物も丈夫に作ってあるのだ。

 本体の骨組みは9.5 mm角のアングルで3 mmの板をはさみ込み、スパン・ボルスタのセンタピンはΦ8である。ここが弱いと衝突時に剪断されてしまう。 
 中心部は高さを稼いで撓みを防ぐ。トラス橋と同じである。


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2020年11月25日

続々 Sofue Joint 

 先日紹介した現物以外にかなりの数の実例がある。いずれ写真をお見せしよう。

 また似て非なるものとして、中心ピン付きのものもある。これはトルクを伝えている。
Sofue Joint 2 これが実用化されている例があるのだろうか。かなり探したが見つかっていない。これはDDA40Xなどの4軸台車を全軸駆動する時に使う。以前はこのジョイントを六角のルース・ジョイントでつなぎ、反トルクをバネ材で承けていた。バネ可動時に無理をしないようになっているのだ。
 現在なら、可撓継手(フレキシブル・ジョイント)を使うが、当時は無かった。

Sofue Joint 2 (2)Sofue Joint 2 (1) 中心ピンで反トルクを承け、外周ピンでトルクを伝える。これは先回のと比べると使い方が簡単である。周りの剛性も必要がないが、駆動軸が振り廻されないような支持法が必要である。ここでは、中心の2軸が、台車内で左右に動かないことが必要である。動軸が左右にガタがあってブレる模型を見ることがあるが、そのような車輌には応用できないということである。コンパクトにまとまり、安上がりである。音は聞こえない。
Sofue Joint 2 (3) これは軸が可動であっても無理なく力が伝わる。厳密には等速ではないが、曲がる角度が非常に小さいので等速と見做せ、問題ない。各軸にはボールベアリングが装荷され、3条ウォームで極めて軽く作動することが、うまく行く秘訣である。

 この継手が成功したので、祖父江氏は嬉しそうだった。全く問題なく作動したので、いくつかの輸出モデルにも付けたはずだ。この種の継手は、模型全体が総合的に正しい設計でないと正しく作動しない。採用を考えていらっしゃる方は、その点をご理解戴きたい。

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2020年11月23日

続 Sofue Joint 

Sofue Joint 祖父江氏開発の一本ピンのジョイントが話題になっているようだ。このページへ訪問者が異常に多い。検索サイトからいらっしゃる方が、普段の数倍もある。
 brass_solder様からの情報で、TMS516号1989年7月号に載っていることを確認し、写真を拝借している。

 理屈を勘違いしている人もかなりあるようだ。コメントでいろいろなことを書いて来られるが、根本的に間違っているものは掲載していない。撓み継手のピンを減らしただけだというのは、最も多い誤解釈である。

 この継手はトルクを伝えているのではない。この継手を囲む構造体が大切で、それが前後上下左右に動かないように押さえつけている。この点はTavata氏のご指摘の通りであるが、そのコメント掲載後にも誤った解釈がいくつか来ている。

 TMSの新製品紹介にあったC57は、筆者の機関車を完成させた直後に、祖父江氏のアイデアを実現したものである。これ以外にカツミがHOに使用した例があるのだろうか。
 TMSの解釈は、コアレスモータは軸方向の力に耐えられないからだとある。それもあるかもしれないがそれだけではない。僅かな軸ずれを許容できるメリットが大きいのだ。

 そのC57のギヤボックスの中の写真がある。なんと4条ウォームで16歯のヘリカルギヤと組んでいる。そのあとはまたスパーギヤ2段で1:4にし、全体で1:16にしてある。これではだめだ。「互いに素」になっていない。動きが渋いそうだ。これがもし、互いに素で、モリブデン・グリースが使ってあったら、全く違う動きを見せ、評価は大きく変化しているはずだ。ウォームの進み角は非常に大きく、歯型が心配だ。これは角速度が一定にならない可能性がある。

 ところで、このギヤボックスにはトルクアームが付いている。これは明らかに祖父江氏の指導である。不思議なのはこの手法が使ってある模型が極めて少ないことだ。どうしてトルクアームを付けないのだろう。

 4条ウォームの模型が日本にもあったというのは驚きだ。韓国製で4:40というおかしなものがあったらしいことは聞いている。


「歯車 互いに素」を検索すると、拙ブログの記事が最初の方に出て来るそうだ。毎日の読者数のある一定の割合で、この記事を検索する人がいるわけだ。模型の記事なのできっと驚いているだろう。 

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2020年11月15日

Sofue Joint

Sofue Joint 1 このジョイントには参った。常識では考えられない構造だ。二つの向き合った円板が、たった一本のピンで引っ掛かって廻っている。相手は長溝で、ピンの太さより微妙に幅が広い。Φ1.6のピンに対し、2.0 mmのスリットである。ピンは硬く、スリットは軟らかい。このジョイントで、軸の心ずれ、軸長手方向の伸縮、微妙な傾きを全て吸収する。オレンジ色の矢印はピンである。バランスは取れていないが、軽く半径も小さいから、影響は少ない。
 幾何学的には問題がある。しかし、比較的低トルクで、回転数も知れている。磨り減ったらスリット側を取り替えれば良いのだが、ほとんど減る気配はない。モリブデングリスを少しだけ塗ってある。沢山塗ると飛び散るだろう。

 初めはこんな子供だましの方法ではだめだと思ったが、走らせているうちに、これは無視できない方法であると評価した。筆者の8軸ディーゼル電気機関車の半分ほどに装荷されている。どの機関車も、複数のモータ搭載であっても全部の軸が連動し、同時に回転する。こうしないと牽引力は稼げないが、この理屈に興味を示さない人は多い。


Sofue Joint 2「インチキのように見えるけど、これでもいいんだぁ。軸重が大きいから問題ねえよ。レイルがあるから上下動はねぇってわけだし、台車は左右にゃ動かねえんだから、トルクは伝達されるさ。昔からアイデアはあったんだけどねぇ、付けたのは初めてだよ。」と言った。
 そんな馬鹿な、と言いたくなる設計であるが、問題なく作動する。オルダム継手は摩擦損失が大きいがこれは少ない。面白い設計だ。これは3条ウォーム、ボールベアリング装荷だからこそ通用する工夫で、ドライヴそのものの損失が大きいと振り廻されて、振動の元になってしまうはずだ。駆動軸でトルクが小さいから問題が目立たなくなるということもあろう。
 また、Oスケールの大きさだからこそ、うまく行くのだと思う。HOの大きさでは、径が小さい割に変位が大きく、難しいだろう。

 角速度変化はないとは言えないが、全く検知できない。重負荷でも音は聞こえないのだ。その後、かなりの文献を調査したが、これに関するものはまだ見付けられない。祖父江氏のオリジナルなのだろうか。1987年に取り付けられている。
 先例を見付けられた方は、お知らせ願いたい。

 この頃は祖父江氏がチェイン・ドライヴで様々な試行をしていた頃だ。ありとあらゆるところに使ってその音と耐久性を調べていた。

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2020年10月10日

ガスタービンを始動する

4500hp gasturbine ガスタービンはどんな燃料でも、火が付けば燃やせる。重油はそう簡単には火が付かないので、燃焼室が十分に熱くなってから供給する。点火時は火の点き易いディーゼル・オイル(軽油)を用いる。

 発電機に補助エンジンで発生した電力を投入し、モータとして回転させる。それに接続されているタービンが高速回転すると、吸入した空気は前半のタービンで数分の一に圧縮されるのでかなり熱くなる。そこにスタータ・オイル(軽油の事)を噴霧すると同時に、電気火花を与えると点火する。うまく行けば数秒で規定の回転数まで上がる。燃焼室が赤熱するまでその状態を保つ。そこで燃料を切り替えれば燃焼は持続し、稼働状態になる。このプロセスはすべて全自動で行われる
 その切り替え時に火が消えることがあるので、そこだけは見ている必要がある。失敗の原因は重油の予熱が不足している時である。それと燃焼室の温度が足らない時だ。燃焼室は6個あるが、どの部屋にもギヤポンプで同じ量の燃料が供給されるようになっている。またすべての燃焼室は横につながれている。そうしないとタービンの羽根に均一に力が掛からないので、壊れることがあるからだ。点火に成功すれば、最大出力まで上げ、燃焼室を十分に熱くする。温度を確認してスロットルを絞るが、燃料はすさまじい勢いで注入される。

 この種のエンジンはアイドリングでもフルスロットルの半分の燃料を喰う。また、音が大きいので、目的地に着いたら、さっさとエンジンを切る。しかし、ディーゼルエンジンは止めずに、タービンの出力軸を低速で廻して置く。こうしておかないと、軸受やタービンの羽根が傷む。どの羽根も、均一に冷えるようにするのだ。ディーゼルエンジンはいつも廻してある。

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2020年09月06日

続 模型を作ると…

 学生の頃、生物の講義で筆者の質問に対して講師が展開した話が、実に面白かったことを覚えている。
 それは生物が巨大化できる限界の話である。豪州のジャングルだったか、しかとは覚えがないが、とても太いミミズが居るらしい。長さが3 mくらいで胴回りは10 cmくらいだそうだ。
 動きは遅く、危険なものではないとのことだったが、それより太いものは存在しないということだった。その根拠は、心臓を持たず酸素を体の隅々まで運ぶことができないから、体表面から吸収した酸素が内部まで届く限界が2 cm以下らしい。これが蛇なら心臓を持つので、動作は機敏である。
 ついでに恐竜はどこまで大きくなれるものかという質問に対しては、骨の材質が現在の爬虫類と同じなら、既に限界を超えていたという。恐竜の骨を見ると骨折しているものが多いそうだ。自重を支えきれないのだ。大きなものは壊れやすいという実例を見たことになる。そのことをアメリカにある恐竜の博物館で聞いてみた。ほとんどの個体で大腿骨にひびが入っているのが見つかるらしい。
 ゴジラほど大きなものはありえないのは自明だ。

 
 T氏が送ってくれたURLを開くと、2乗3乗則について興味深い話があった。是非お読み戴きたい。大きなものは壊れやすく、小さなものは頑丈だ。しかし、小さなものは慣性が小さく、慣性のある動きはどうしても作れない。電子的な疑似制御ではない機械的な方法で慣性を増やした動きを再現するには、高速回転のフライホィールしかないのだ。このあたりのことはこのブログで何度も紹介しているのだが、理解戴けない人が少なからずいる。

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2020年09月04日

模型を作ると…

 模型と実物は違う。筆者は高校生の時に兄からその話を聞いた。兄は航空分野に居た。飛行機の設計時に用いる風洞実験の話を聞くと、Reynolds Numberというものを導入するのだ、と説明してくれた。模型にぶつかる空気の粒子も、実物にぶつかる空気の粒子と同じだからだ。気体分子は縮小できないことを忘れてはならない。また、ヤング率が一定だから縮小模型は相対的に堅くなるということも、その時知った。

「お前の作っている模型はオモチャだ。本物はもっと柔らかい。レイルも、枕木も、砂利も柔らかい。車体なんて、手で持ったら潰れるようでなければ、本物のような動きはしない。」とも言った。

 模型は実物の1次近似寸法を縮尺通りに作れば、動きも含めて、すべてを実物通りに縮小近似できる)だと言う人も居るから、模型界は進歩しない。模型は手で持つからある程度の堅さが必要であるが、下廻りは最大限の柔軟性を持たせねばならない。ところが、「イコライザさえあれば、バネは不要である」という、とんでもない迷信が、大手を振ってのさばっている。これについてはTMSなどで「そうではない」という記事を見たことがない。

 小さなHO以下の軽い模型は壊れにくいだろうが、少し重い模型は、バネ無しでは、すぐにヘタってくるのが分かる。またポイントのフログがてきめんに傷む。HOでさえも、バネが利いている車輛の走行音の軽さには、驚くはずだ。ゴムでも良いのだ。何かの緩衝材が入っていると音は極端に小さくなり、車輛は長持ちする。これは井上豊氏が研究していた。その続きをやれと言われていたが、重ね板バネの効果を確かめ、ゴム板による台車センタピン支持で消音効果があることを立証した程度である。

 模型のカーヴでの挙動について、「遠心力」という言葉を用いている記事はすべて誤りと言ってよい。高校1年の物理の教科書を開いて計算すれば、愕然とする人は多いはずだ。考慮する必要がないことは明白である。即ち、カントは気分の問題である。傾いていると気持ちが良い、という程度のことである。また、自然振り子電車は、実現できるわけがないことは自明だ。

 いつも的確な指摘を下さる工学エキスパートのT氏から、興味深い記事を送って戴いたので紹介したい。

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2020年08月29日

続 メルクリンの失敗

 先日のメルクリンの不合理なユニヴァーサル・ジョイントについて、01175氏から調査結果をお知らせ戴いた。これはドイツ製ではないそうで、驚いた。

 メルクリンは、2006年に創業一族からイギリスのファンドに売却されたが、2009年に倒産しているそうである。そして2010年に自力再生を果たしたとのこと。
 そのファンドに売却されたのちの製品は中国のサンダカンという会社(現在はバックマンに吸収された)に製造させたものがある。そのジョイント部分がおかしい2007年製の電気機関車(ジーメンスのユーロスプリンタ)もサンダカン製かもしれないということである。

 話題になったH型スパイダ金具は、製造初年1957年の 44型蒸機機関車に既に使われていた。写真を出したディーゼル機関車は1966年製の V90 という入替用機関車だそうである。


 メルクリンがこのような初歩的なミスを犯すはずは無いので、なにか怪しいと思っていたら、案の上中国製であった。これでは改良部品を所望しても無理だろう。捨てるしかない。それにしても01175氏の情報収集力には驚きを禁じ得ない。

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2020年08月25日

日本製のミニチュアベアリング

 しばらく前、日本製のミニチュアベアリングの話題を出した。過去の懐かしい思い出を書いたところ、「日本製のものはない」という珍説を唱える方が、とんでもないコメントを送って来たが掲載しなかった。各方面に御迷惑をかける可能性が生じたので、そのブログ記事そのものも削除した。
 一般論として、「〜はない。」と断定した話で、正しいものは少ない。自分の視野が非常に狭いことを自白しているようなものだ。その種の 否定を断定口調で書くブログはこの趣味界にも多々あるが、それらは内容が怪しいと自己宣伝しているのと同じだ。否定の証明は困難だ。


Made in Japan  2Made in Japan よく調べてみると、手元に日本製のものは多数ある。ラベルに書き込みがあって、プライヴァシィの点で公表ができないものもあるが、筆者がベアリング屋で直接購入したもののヴァイアル(ベアリングを多数入れた長い容器)も見つかった。その店の納品伝票まであるから、筆者が購入したものであることは間違いない。


 
供給元の安定と確保が必須の産業では、国産品を作るのは当然のことである。また、西側諸国の軍用はもちろん、ほとんどの民間航空機のジャイロは、アメリカ製だそうだ。Honeywell ともう1社あるが、アメリカ製のボールベアリングを使っているとの証言を得ている。

<追記>
 客観的事実のみの記述とした。
 また、削除された部分を再現し引用することを禁ずる。



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2020年07月24日

メルクリンのuniversal joint

 知人に古いメルクリンの機関車の整備を頼まれた。B型台車を二つ付けたディーゼル機関車である。今までメルクリンは眺めていただけで、手に取るのは初めてであったが、興味があって引き受けた。綿ボコリを噛んでいるのを取り、上下バラして注油するだけの事だと思っていたが、意外な展開であった。

 開けて見て驚いたのは、モータが、車体に固定されている。台車は派手に首を振るので、そこには何らかのしなやかに曲がる動力伝達装置が必要である。

Maerklin (4) モータからスパーギヤで減速されるのだが、途中のギヤはかなり大きい。そのギヤには大きな穴が二つ開いている。グリスが詰まっているのが、固まっているようだ。
 台車を抜くネジを外すとパラリと部品が落ちた。それは、H字型の板であった。スティール製で、4つの角を丸くしてある。 

Maerklin (1)Maerklin (2)   バラバラになった状態では機能がわからなかったが、再組立てしてみるとなるほどという構造であることが分かった。そのH型板がユニヴァーサルジョイントの中間軸を構成していて、4つの角は2つのスパイダの代わりをしている。部品の数を大幅に減らして、ほぼ同等の機能を得たわけだ。これを見ると角度はほぼ等しく、十分に等速であると推測する。
 これらの写真をご覧になると、その機能がお分かり戴けるだろう。

Maerklin (3) そのH型の部品は硬いスティール製で、2つの孔の中で動く。この部分を掃除して、新しいグリスを詰めた。モータ軸には保油装置が有り、そのスポンジに注油すると、スパーギヤの方にも油が広がっていくようになっている。このあたりの設計思想は素晴らしい。ただし油は撒き散らされる。それが集電の突起あたりにも付いて、滑りが良くなっているのかもしれない。ダイキャスト鋳物は出来がよく、緻密である。直捲3極モータは回転が意外と滑らかであってトルクは十分だ。軽くはないが、押して動く。自動逆転器の作動は確実である。歯の数は、ちゃんと互いに素になっている。また、あちこちにコンデンサが入れてあって、雑音防止に寄与している。


 ライオネルも、メルクリンも、よく出来たおもちゃである。学ぶべきところはたくさんあるが、いわゆるスケール・モデルにはほとんど採り入れられていないように見える。

 電源と線路一巻きを借りてあったので、完工検査をしてお返しした。以前よりずっとよく走るそうで、安心した。


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2020年05月13日

トルクアーム、トルクチューブ、吊掛け式

 コメントが多いので、予定を変更して稿を起した。

 吊掛け式は、トルクチューブの先端に剛の状態でモータが付いていると考えられる。そしてそのモータの一部を、僅かの自由度を与える方法で(ゆうえん氏は両面接着テープで)フレイムに取付けている。要するにモータ軸の延長線に対して垂直の動輪軸が、減速装置を介して廻るだけ、と考えることができる。その動軸が、バネその他の懸架装置で、レイルに押し付けられている。

torque tube 左の写真のトルクチューブはその先端が一点で固定されている。SKT氏の指摘通り、長孔があり、多少の伸縮(チューブが斜めになっているから)があっても逃げられるようになっている。この方法ではモータは固定できる。これはOスケールではありがたい。モータは350 gもある。そのモータが吊掛け式で動くと壊れやすい。また吊掛け式ではモータ固定ネジが、軸方向から締められるので、どうやって締めるべきか、設計に苦労する。また、吊掛け式ではバネ下質量が大きいから、軸重は均等にはならない。即ちレイル接続部を渡る音が、同じ音ではなくなる。

 トルクアーム方式は機種ごとにトルクアームの位置を考えねばならない、ところがトルクチューブはすべて共通部品で済む。モータ軸とドライブシャフトとはほぼ同一直線状にあれば良い。ルース・カプリングを介して付ければ、全く無調整でよく走る。トルクチューブには簡単な腕を付け、その先端にはピンを差すようになっているだけで、とても簡単である。モータ・ブラケットに小さな腕をつけたのは祖父江氏のアイデアである。これは優れたアイデアで、簡単に、かつ確実にできるので、量産には都合が良い。筆者のプロトタイプは、配線用のゴムのグロメットで承けたが、これでは経年変化が無視できない。10年でパリパリになったので改装した。

 この駆動方法は、祖父江氏が改造して世界中に出て行った1000輌のほとんどすべてに使われている。即ち、Sofue Drive である。

 愛読者氏のコメントで質問されているフレイムが曲がる話は、ギヤボックスや反トルク承けとは全く無関係の話である。おそらく、高ギヤ比の減速装置の付いたモータを取り付けたが、動輪が何らかの原因で廻らなかっただけのことである。単なる勘違いであるので、削除した。


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2020年05月09日

続々々々 ATSF Heavy Pacific

torque tube 動力部分を示す。過去に何度か触れたトルクチューブである。これは筆者の発案で、祖父江氏が全面的に採用したメカニズムである。ギヤボックスから生えた剛性のある円筒の後ろをピンで支える。発生するトルクは、そのピン一本で受ける。ギヤボックスは自由に動くので、サスペンションに何ら影響を及ぼさない。トルクをリンクで承けるのも良いが、そのリンクは意外に目立つものである。トルクチューブは目立ちにくい。

 この種の反動トルク承けは実物にとっては大切な機械要素であるが、そのスケールモデルと称する模型に正しく付いているのを見ることは、まれである。TMSの記事で出現確率を調査されると面白いと思う。コンテストの入賞作品でさえも、ついているものはまれだ。

 スリップさせながら(最大のトルクを発生)、フログなどの不整部分を通過させる時、バネ、イコライザの動作があっても、全く同じように引張力を発揮することが求められる。要するに動輪の上下動があっても、引張力が変化してはならないのである。これはサウンド装置を働かせながら、重列車を牽いてポイント上で起動するとよくわかる。

 ギヤボックスは負荷の大小に関係なく、自由に動かねばならないのだ。 

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2020年03月14日

炭素棒ピンセット型ハンダ付け機

carbon pliers 筆者は炭素角棒の付いたピンセット型のものを使うことが多い。
 これは炭素棒が2つ、ワークとの接触部も2点あるので、単純に考えると電気抵抗は2倍だ。同じ電圧ならば出力も半分になる。つまり、これを使う時には入力電圧を上げねば、同等の発熱は得られないことになる。
高電圧用スライダックを用いて電圧を130〜170 Vほどにすると、出力が120 Wくらいになって、瞬時にハンダ付けができる。加熱点がハンダ付する箇所の両面にあるので、明らかに温度上昇が早い

 今までは必要があるとそのスライダックを持って来て接続をしていたが、今回の装置が導入されたので、単極の太い電極の場合は新型を用い、ピンセット型は、旧来のタイプにスライダックを接続済みのものをそのまま使うようにする。

 いずれにせよ、炭素棒ハンダ付けは数秒で終わることであり、変圧器が焼けることは考えられない。
 ところが電気工学を勉強したと称する方は、必ず、こんなものを紹介するのはおかしい、火災の危険があると言ってくる。しかし、忘れてはいけないのは連続定格ではないということだ。どんな電気装置であっても、短時間なら焼けない
 筆者の父は、昔、面白い表現を使った。
焼けるまでは焼けていない。」
 どんなものにも、熱容量がある。発生熱量がそれを昇温させる。熱くなると外界に熱が逃げる。逃げる熱量が少ないと温度が上がって来る。しかし許されないところまで温度が上がる前に、電源が切れていれば何の問題も無いのだ。

 この装置のトランスではその制限時間は30秒くらいだろう。それ以上時間が掛かるものには使うべきではない。普通は5秒程度である。そして、次の通電までには10秒ほどおけば全く問題ない。それでも文句を付けてくる人が居るから困ったものだ。客観性のない人たちだ。

 こういうことを考えて見よう。ノーフューズ・ブレーカは各家庭にある。ショートするとバチンと音を立てて落ちる(トリップと言う)。ショートしてから切れるまでの間、0.1秒弱は、電流が数百アンペア以上流れている。内部のバイメタルが焼けて温度が上がって曲がり、引き金を引いて切るのである。文字通り、短時間はショートしているけれど、火事にはならない。そういう仕組みを理解できれば、炭素棒ハンダ付け機が危険だと言うのは矛盾していることが理解できるはずだ。

 炭素棒ハンダ付け機を何かの装置に埋め込んで使う人はいないだろう。目の前に置いてあるのだから、焼けた臭いがすれば切るだろうし、温度ヒューズも付いている。手でスウィッチを入れるのではない。足で踏むのだから、踏みっ放しにはならない。また、ワークを手で持った炭素棒で押さえるのであるから、手を離せば電流は切れる。すべて意図しないと働かない方向だから、安全であると言えるだろう。

soldering 炭素棒ハンダ付けを導入すると、完全なハンダ付けが誰でも可能になる。先回紹介した信号橋の歩み板は、骨組の上に置いた角材に、少量のハンダで完全密着している。普通の方法ではコテが入らないから難しい。これを見た友人はかなり驚いていた。歩み板(0.5 mm厚)の裏面にハンダを少し付けて所定の位置に押さえ込み、上の面から炭素棒で触るだけである。一回で半径 5 mm程度が融けるので、それを順にやればできあがりだ。反ることがないから誰でもできる。何の骨(コツ)もない。

signal bridges 歩み板の上面は炭素棒の痕が付いているが、融けたりしたわけではない。実はこのエッチング板の表面には、レジストが残っている。それが熱分解して痕を残しているわけだ。磨き砂でこすると無くなる。アメリカ製の物にはよくある。面倒なのでそのまま塗るつもりだ。見えなくなる。 

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2019年11月12日

折れない切断機用ハンドル

shear handles 折れないハンドルの注文がある程度溜まったので、発注した。切断機の回転軸の5/8インチ(15.87 mm)径の切れ端、キィ材のサンプルを添えて、切り出しを依頼した。厚板でも正確に切る自信があるとは言っていたが、さすがにキィをそのまま入れる注文は初めてだそうだ。
 うまくやってくれた。レーザの入射側はぴったりだ。油目ヤスリで調整するだけで、するっと入る。反対側はバリが多い。うまく切れているようだが、融けたものが再付着している。送り出す酸素の量を、もう少し増やすべきだったかもしれない。

 反対側は甲丸ヤスリでゴリゴリと出ているところを落とすと、ぴたりと入った。調整に要する時間は、5分ほどだ。

 角が手に痛いので、それはディスク・グラインダで落としてしまうべきだ。ホースの切れ端か、自転車の握りを付けると良いだろう。

 たいていの方はフライス盤をお持ちのようで問題ないが、少数の方はキィ溝を彫って差し上げる必要がある。難しいことではないので引き受ける。

 このハンドルは 19 mm鋼板であるから重いが、レターパック・ライトに入るので安く送れる。郵便屋さんは、持つと驚くだろう。

 少々残っているのでご希望の方はコメントを使って連絡されたい。本文にメイルアドレスを書いてくださると、具合が良い。公表はしない。

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2019年10月11日

続 歯車の要件 

 他の友人たちとの会話の中で、歯数の少ない正しい平歯車が欲しいという話が出た。どれもこれもやかましいのは、角速度が一定にならないからだ。市販のものは怪しい歯型で、しかも偶数歯の物ばかりだ。奇数歯のものがあれば、かなり助かる。”互いに素”を作りやすいからだ。しかし一般的に言えば、14枚以下のものは感心しない。

 他のゲージも含めて走行音を聞いて歩いた。歯車の音がするが、正直なところ、誰も気にしていない。本物ではありえない音を立てていると、気分が悪い。車輪の音も誰も気にしないのであろうか。明らかに「めっき音」がする。
「めっき音」というのは、筆者が勝手につけた名前だが、精密な旋削だけで出来たものと、ブラス素材をめっきした物と比較すると如実にその差が分かる。めっきしたものはゴロゴロ音がするのだ。表面が粗雑なのだが、光っているので研磨されていると信じてしまうのだろう。
 以前にも述べたが、細かい紙やすり(#1200程度)で磨くとかなり改善される。

 話が飛んだが、模型用の正しい歯型の、奇数歯の歯車が欲しい。こういうものこそ皆で共同して出資し、作るべきである。模型クラブ組織があるのだから、出来ないことではない。インヴォリュート歯車の設計能力のある人も居る筈だ。歯車は意外と高くないものなのだから。

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2019年10月09日

歯車の要件 

 スパイクモデルの2条ウォームをたくさん持っている、という友人Bob氏が来た。
「残念だよね。dda40xさんの記事を読めばすべてのノウハウが書いてあるのに、それを読み取れないんだね。どうせ盗まれてしまう特許より、名を残すという手に出ているんだから、教えてくれと言われたら教えたんだろ?」
「そりゃそうさ、世界で一番素晴らしいものが作れるように指導したさ。」

 現実に出来たものは感心しない出来で、このブログで検討されている。それでも動くそうだ。割り切れるギヤ比で、もったいない話である。ダイキャストの型代を掛けて、変なものを作っている。もし正しい設計の物であれば、素晴らしい走りを提供し、模型界を席巻したに違いない。模型人は人の指導を仰ぎたくない人が多いらしい。”オリジナルを凌ぐコピィなし”ということが、わからないのだろう。

 インヴォリュート歯車は角速度を等しくするために作られたのだが、それを忘れた実例もある。歯型が正しくないものはダメなのである。「動きます」とは言うけれど、正しい角速度で動いている証拠を見たいものだ。重負荷をかけて高速で駆動する時、角速度が等しくなければ音がする。
 ウォームギヤの特質は、バックラッシを理論上、ゼロに出来ることである。こういう歯車は他にない。即ち無音に出来る(現実には潤滑油が廻るように、ごく僅かの隙間を空けるが、普通の歯車より、ずっと近づけることができる)。工作機械で使う割出し盤にウォームギヤが使われているのは、そういう理由である。
 オルゴールに付いている2条ウォームもどきが、どういう動きをしているかはよく分からない。スプリングモータで軽い羽根を動かしているので、この場合、問題は見えて来ない。

 平坦線でぐるぐる廻しを楽しむ分には、それでも良かろう。最近問い合わせを戴く方々は、筆者と同じように勾配線を重負荷で登りたい、そしてエンジンブレーキを掛けて下りたいという人達だ。正しいギヤを使わないと泣きを見る。 
 先日博物館のレイアウトを見学にいらした方は、本当に無音で機関車が動くので、とても驚いた。彼は、
「想像したのと違っていた!」
と叫んだ。ある程度はガラゴロ音がするのだと思っていたらしい。
 道床のエラストマも騒音減少に貢献しているが、動力車の無音化は、それとはまた違う話だ。

 歯車の最小歯数については既に述べた。そういう歯車しか使っていない人がこれを見れば、驚くのは当然だろう。

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2019年10月07日

関西合運参加

go-unn 年に一回だから、行かねばならない。自宅から山を越えて街道を行く。早朝で交通量も少なく、平均速度は 50 km/hだから、かなり速い。高速道路は山崩れとか、いろいろな障害があって、渋滞気味で避けた。燃費の良い車で、35 km/L も走る。軽快なドライヴであった。

3D printing 今年は新作の貨車3輌と切断機(テーブルと折れたハンドル、その代替品)を展示した。高精度3条ウォームの実物を見たい、というリクエストもあったので、持って行った。
 3D プリンティングの見本を置いておくと、興味のある方はじっくり見ている。質問にはお答えした。今まで紹介されている材料とは違うことに興味がある人が多い。

 切断機の諸問題については、興味のある人が多く、テーブルと新ハンドルの注文 を受けた。テーブルは、あと6台ある。もう再生産はしない予定なので、売り切りである。ハンドルは、1/2インチネジのを持っている人は不安で、注文が多かった。皆さんフライスはお持ちのようで、こちらも気楽である。キィ材と共に送る予定だ。ご希望の方はコメントを通じて連絡されたい。

 すでにテーブルを買われた方が、感想を知らせてくれた。横についている定規が便利で、役に立つということである。テーブルが薄くて、小さなクランプで材料を留められるのも有難いとのことだ。設計者としては、この種のお褒めは嬉しい。

 遠藤機械の切断機については、専門家のコメントとして、「ハンドルが折れないのが奇跡だ」という話には、皆驚いていた。

 3条ウォームの新しいギヤボックスには興味津々で、廻してみて愕然とする人が多かった。ただ廻りますというのとは、異なる世界であることがお分かり戴けたのだ。押して動かす動作をすると、感動するらしい。  

 紹介した本の英語版、日本語版を置いておいた。意外なことに、日本語版は持っている人が多いことがわかった。英語版の著者名にLinn Westcott氏の名前を確認すると、皆さんは安心するようだ。 

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2019年08月24日

中澤 寛氏の記事

 中澤氏から、TMSに載らなかった写真が送られてきた。掲載する許可を戴いたので、ここで紹介したい。

Nakazawa1 ロンビック・イコライザの一種の方法で、片軸だけに依存するタイプである。この方法は、ガタが大きいと、動作が不確実になる可能性がある。それを強調する人も居るが、作ったことが無い人だろう。作ればすぐに理屈が分かり、解決法が得られる。
 このタイプは、ガタが無いように作ることができれば、イコライザの回転中心と軸とが同じ高さにならなくても良い。つまり、菱形タイプより、はるかに作りやすい。どちらかと言えば、初心者にはこれをお勧めしたい。アメリカの講演会で見せた時も、このタイプの方が人気があった。軸の中央に、ボールベアリングを嵌めて、そこを保持することができれば、さらに具合が良くなるだろう。

Nakazawa2 伝動台車である。電車では1軸に伝導することがあるので、そこにイコライザ支点を置く方が良いことがある。微妙にひねられるが、その角度が小さければ、コジることはないだろう。
 これは、台車枠を外した状態である。スペイスがあれば、手前に支点を置いて、ギヤボックスを完全に浮動させる方がより良いが、実際にはそのようなスぺイスを得るのは難しいだろう。


Nakazawa3 集電シュウは先を二股にしている。接触点を増やし、接触抵抗を低減させる。ブラシは極めて薄いものを使うべきである。全軸がイコライズしていて、なおかつ、全軸集電であるから、走りは極めて滑らかな筈である。


 TMSがどうしてこれらの写真を使わなかったのかは、極めて不可解である。全くイコライザというものを理解していないのではないか。写真を見て、その作動状況が目に浮かぶ人なら、必ず使うであろう。車輛の外観だけにしか興味のない人が編集に携わるのならば、この雑誌の存在価値はない。どうして、スタッフに工学を理解する人材を入れないのだろう。見つからないのなら、連絡してくれれば助言くらいはして差し上げる。出典に書いてあるのだから、連絡が付かないことはない筈だ。 

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2019年08月07日

TMSの記事

 正直なところ、TMSを読んだのは久しぶりだ。旧体制のころからやっているドイツの”速報”とやらを、1年も続けているのは、どう考えてもおかしなものだし、小林氏の記事も連載するようなものでもない。金をとって見せるのだから、もうすこし良い記事が欲しい。

 今月号の中澤 寛氏の車輛は素晴らしい。ところが記事がおかしい。皆さんの中で、あの記事を熟読されて、意味を完全に理解できた人が居るのだろうか。
筆者は何が言いたいか」を忘れてしまった編集だ。
 何回か読んだが意味が分からないので、中澤氏にそれとなく聞いてみたら、やはり筆者の推察した通りであった。説明に対応する写真を殆ど載せていないとのことだ。走行性能を向上させる工夫について画像が全く無くなっていたのは、心外であったそうだ。

 言えることは、編集者は模型工作をしたことがあまりにも少ないのではないか。ゼロではないだろうが、糸鋸、ヤスリ、ドリル、ハンダゴテを使って、ブラスの板から、イコライジングやその他のメカニズムを作り上げた経験がほとんどないのではないか、と思う。あまりにもトンチンカンな記事で、情けなくなってしまった。

 30年前のヤマ氏のころ、実物誌が増えてきたので、実物の話題を載せるのをやめるとの決断があった。またぞろ実物の話題が載っていて、しかもそれが間違っているのでは困ったものだ。
 金を取っているということを忘れてはいけない。先のM氏が書いた不発弾の中に、「TMSを100円にして、イモンの広報紙とする」という案が書いてあった。その第一歩なのかとすれば、あまりにも悲しい。


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2019年06月16日

見学者

 先日、親戚の土木工学の専門家から、元同僚2人を連れて見に来たいという連絡を受けた。彼らは、定年まで海外でインフラ工事の監督をしていた人たちだ。
 3人とも鉄道模型にはあまり縁がないが、路盤の設計方針を確認したいという、非常に珍しい申し出であった。筆者にとっては、まさに卒業に当っての口頭試問であって、合格点をとれないと恥ずかしい。

 彼らの興味の対象は、縦曲線、緩和曲線、カントの緩和、曲線上の複線間隔などであった。曲線上で均一な勾配を作る方法も興味があった。

 現場を見せて、質問に答えた。ある程度は説明の図を用意していたので、それを見せれば、なるほどと納得してくれた。
 緩和曲線については直ぐ合格したが、縦曲線は引っ掛かった。筆者は二つの勾配が接するところの縦曲線は3次曲線になると信じていた。作図するとそうなるのでそれで良いと思っていたが、現実には円曲線を嵌め込むだけだそうだ。
 人間は縦方向の加速度変化に鈍感なのかと考えた。現実にはバネも入っているし、加速度の変化率は大きくないだろう。コメントに拠れば、大半径の円弧を入れれば問題ないらしい。

 彼らが1970年に就職した当時は、いつも7桁対数表を持って仕事をしていたが、いつの間にかコンピュータで処理するようになって、もう手計算は出来ないと言っていた。

 カントのある曲線の勾配部分の計算の話は、楽しそうに聞いてくれた。彼らは現場で物を作っているので、工場で作ったものをはめ込む作業とは異なる。だから面白がった。直線で構成された骨に路盤を張って均一な勾配にするのは、なかなか難しいという評価であった。シムを挟む計算法には驚いたようだ。

 レーザで水平を確保し、アラインメントを出す方法は、そりゃそうだろうという感じであった。この辺は本物の仕事をしている人の感覚だ。路盤の強度は、筆者が載った時に変位量3 mm以内という基準で作ったことを話すと、剛性が高いねとのことだった。

 結論としては「高得点で合格」だそうだ。こういう異業種の人と話すと面白い。博物館を開くと、時々こういう人が来てくれるのだろう。断片的につまみ食いした知識ではなく、中身まで詰まった議論は本当に面白いと感じた。

 最後に123輌を1輌の蒸気機関車で牽き出して、勾配を登って下った。まさかそんなことが出来るとは思わなかったらしく、彼らは非常に驚いた。坂の途中で電流を遮断すると、貨物列車がズルズルと滑り落ちていくのを面白がった。
 直ちに列車を引っ張り上げるのに必要な力を測定し、速度を掛けて、機関車に要求される出力を計算した。電流値を調べると効率が分かる。こういうことをあっという間に処理するのは凄い。
 機関車本体を手で押してほとんど抵抗なく動くのには、全員が非常に驚いた。押してやると、発電して前照灯がともるところを見せると仰天した。
 歯車について説明すると、現物を見せてくれという。組み掛けのギヤボックスを見せたら、これがウォームギヤとは信じがたいとのことであった。貨車のほとんどが金属製であることも意外だったようだ。

 摩擦の少ない被牽引車、効率の良い駆動装置、高トルクモータの組合せがこのような運転を可能にする。彼らはかなり満足して帰った。 

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2019年05月31日

雑誌の存在価値

 Empirebuilder氏が一体誰なのかを知らせよ、ということも、複数の人から問い合わせがある。そんなことを聞くのは、非常識極まりない。
「素性のわからない人の意見は信用できないから」と書いてくるのである。信用できなければ応答する必要もなかろう。全く以って、理解不能だ。新聞社に電話したら、ニュースソースを教えてくれると思っているのだろうか。

 日本には確かな鉄道模型雑誌がない。何かの解決法になればと思って、このブログを始めた。初めは外国と提携して翻訳記事を載せようと思っていたが、独自記事だけでやってきた。
 なぜ既存の雑誌が面白くないかというと、スポンサがあるからだ。結局は提灯記事を書くことになる。”暮らしの手帖”誌は、その点よく頑張ってきたから、応援している。雑誌社には、やせ我慢の反骨精神が必要な筈だ。
 出版社がものを売るというのは禁じ手である。その雑誌そのものが、広告になる。読者が有料で広告を買うというのは、客観的に見れば滑稽だ。

 また、編集部の能力も透けて見えている。ある部分がすっぽり抜けた状態で、何十年もやっている。雑誌を手に取って開いて、脱力するような記事は多い。「工学」が全く抜けているのである。ありえない設計を見せつけられると、投げ捨てたくなる。このブログでは、雑誌の記事では見かけない部分に力を入れて来た。年少者のために、正しいことを多少の摩擦を覚悟で書いてきたのだ。

 雑誌では、走るかどうか怪しい、外見だけは極めて美しい車輛記事が多い。せめて、カーヴで建築限界に当らないとか、スケールスピードが確保されているかとか、スリップする時の引張力、その時の電圧・電流くらいは載せても罰は当たるまい。スリップしない機関車はそのままボツにすべきである。


 今回井門氏は、TMSの存続に、「金は出すけど口は出さない」とおっしゃっている。素晴らしい見識だ。この言葉を覚えておきたい。しかし、社長がそのつもりでも、社員は社長に対して忖度するだろう。「忖度を禁止しています」という言葉も欲しい。

 井門氏からコメントが入ったが、説明が全くないので困っている。当初、なりすましを疑ったが、先日の会話内容が含まれているので、間違いないと判断して掲載した。
 そのまま載せるので、是非とも詳しい理由をお聞かせ願いたいものだ。2千字以内でまとめて戴けると嬉しい。他人の言葉を引用する時は、そのご本人からの確認を再度お願いしたい。


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2019年03月30日

パナマ運河

 小学校の時にパナマ運河の本を読んで以来、一度は行きたいと思っていたが、チャンスがなかった。しかし、今回思わぬことで夢が叶った。

New Canal 最近新しい運河が平行してできたのだが、あまりにも大きくて面白味がない。この写真の右側である。できれば旧運河を通りたいと思っていた。どちらを通るかは当日までわからないのだが、運よく、旧の方を通った。通行量は船の大きさによって決まる。客船の場合は乗客数によるらしい。この船で2000万円程度払うのだそうだ。
 小さい船は当然安い。今までで一番安かったのは、冒険家が泳いで通ったときだそうで、36セントだと言っていた。

Panama Canal 水平式のスエズ運河とは異なり、閘門式で、26 mほどの高低差を乗り越えていく。閘門の中はせいぜい300 mほどの長さで、幅は33 mほどである。船との隙間は1 mもないから、ぶつからないように両側から8輌の電気機関車で引っ張る。

 mule trackLock (2)mule閘門部は最大27度の勾配があるのでラック式の鉄道である。新しい機関車は、日本製である。超低速で安定した動きをする。

worn out レイル2本のうち、運河寄りのレイルがかなり磨り減っているのが分かる。機関車は常に張力を与えているのだから、当然である。前部の4輌のうち最前方2輌は勾配部分ではロープを緩めて駆け上がり、上で再度ロープを緊張させる。その間に、次の機関車が駆け上がる。その瞬間には最後部の2輌は軽く引っ張って、船が前に行かないようにする。このあたりの動きが実にきびきびしていて、頼もしい。船は左右に全く振れずに静々と進む。

619_0468619_0471619_0473 閘室への一回の注水で、12mも持ち上がるところがある。船の脇の地面に立つ照明灯が、数分のうちにめり込んでいったように見えた。船が持ち上がったのであるが、あまりにも静かに水面が上がるので、地面が下がったように感じたのだ。船が上下する時は、機関車からのロープは緩まないように少しずつ長さを調節する。

619_0491619_0494 閘室の水面が次の水面と一致すると、閘門が開く。油圧式で、二重になっている部分もある。修理のための予備かもしれない。
 閘門の上には渡り廊下があり、閉ると手摺りがパタパタと立ち上がるのが面白い。開くときは倒れるのである。


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2018年07月14日

技術者T氏の来訪

 先日、技術者のT氏が見学に来て下さった。以前、等角逆捻り機構のまとめをして下さった工学エキスパートのT氏とは異なる別のT氏である。こちらのT氏は、貨物船のクレーン、冷凍機などの専門家であり、歴戦練磨の技術者で、いくつかのbreakthruを実現された方である。かねてより見学を希望されていた。プラグマティズムに満ちた方で、名うてのクラフツマンである。様々な点で尋常ではない方だ。筆者も来訪を心待ちにしていた。どのような視点でご覧になるかが、知りたかったのだ。

 転車台駆動モータを押し付ける機構のピニオンの歯数が17枚であることに気が付かれた。模型用の歯車は14枚とか12枚、ひどいものは8枚などがあるが、皆インチキな歯型で、音がするし、効率が悪く、寿命が短い。これは静かで良いそうだ。
 T氏は粘性継手に感銘を受けられたようで、実現したいことがあるとのこと。

 車輪のフランジの形、踏面の滑らかさ、ピヴォットの潤滑を一つずつ確かめ、列車全体を手で押し、確認された。機関車単独で押したときの感触も確かめられ、旅客機の動輪が大きいことによって、軽く押せることを確認された。小動輪の関節型機関車は、モ−タを2台積んでいるので、押したときやや重く感じる。小動輪は回転数が多いので、効率もやや低くなることを見抜かれた。

  レイアウトの下にも潜って、構造を調べ、鋼板製角パイプの強度について具体的に教えて戴いた。下にはふんだんに照明があるのは良いそうだ。また、潜って入る部分に、簡単な線路と台車があってそれに乗って辷り込むのは、真似したいとのことであった。

 路盤に敷くPVCの道床の消音効果には驚かれた。車輪の踏面が滑らかなのと相まって、音が殆どしないのには興味津々であった。また、転車台の作動状況には興味深そうだった。 

2018年02月15日

続 困ったユニヴァーサル・ジョイント 

 先回の記事に対し牛越氏から送られてきたコメントには、恐れ入った。このブログ始まって以来、最大の衝撃を受けた。旧製品は3種3個の部品からなるようで、「それらの中の同一のものを組合せると、対称的なものができる」というアイデアだ。非常に賢い解決方法である。牛越氏には感謝する。これを広めるべきだ。

 しかし、メーカーはどうして3種作ってしまったのだろう。何かむなしいものを感じる。

 先回の写真を使って解説しよう。

ABC これは最初の状態である。仮に左からA,B,Cと呼ぶことにする。もう一組あるから、これらをばらばらにしよう。中間軸の B はひねることができない。

ABA 次に、 A に B を挿し、そしてもう一つの B を挿す。これで第1組の完成である。


CBC その次は、C に B を挿し、次いで C を挿す。これが第2組である。こうして正しいものが二組完成した。

 
 実に賢明な方法で、作り直す必要はない。生産する時はとりあえず C を作るのをやめるだけで済むという訳だ。 売るのはA-B-A だけにすれば良いということだ。


nakazawanakazawa2 最初のコメントを戴いた中澤氏から、写真が送られてきた。形が変わっている。既に型を変更して、スプライン軸が片方の部品と一体になっているように見える。
 誰かから指摘を受けて直したのだろうが、それが公表されていないというのはおかしな話だ。

 写真を探すとイモンのウェブサイトにもあった。これは位相が間違っている。市場には、かなりの間違った製品が在庫されているものと思われる。エンドウは、とりあえず市場にあるものすべてに、この方法を知らせる紙を添えるべきだ。それによって企業のイメージを向上させることができれば、却って大きなプラスとなろう。今のままではいけない。


 railtruck氏からお知らせ戴いたウェブサイトの最下行には、正しいことが書いてある。"constant velocity" という言葉が使ってあるのが、すばらしい。 どうして日本の模型界にはこのような”常識”がないのだろう。おそらく、走らせている人の数が少ないということに起因している。走らせていなければ気が付かないことだからだ。外見しか興味がない人の比率が多いのだろう。
 ある程度の編成を牽いて曲線のある勾配線を走らせれば、如実に差が出ることである。

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2018年02月13日

困ったユニヴァーサル・ジョイント

MPギヤ2 10年以上前に、このブログで扱ったことのある話題だ。先日所属クラブの会合があり、HOの人たちと話をしていた。ある会員が持って来た動力車が、大半径の曲線上では快調であるのに、小半径の時はゴロゴロという音がする。
 どうしてだろうと皆が裏返して見ている。結論が出なかったようで、指名があった。見てみるとユニヴァ―サル・ジョイントの位相が間違っている。回転ムラを助長する方向の接続である。

revised この写真を加工して、正しい配置にしてみた。こうでなければならない。要するに左右対称でなければならない。こうすると不等速はかなり打ち消される。以下の写真は、加工していない他の車輛のものである。 



MPギヤ3「こりゃダメですよ。中間軸を90° ひねらないと・・・。」
バラしてひねろうとすると、それはプラスティックの成型品で、スプラインがモールドされている。打つ手はない。ということはたくさんのダメな製品が日本中にばらまかれているということだ。

MPギヤ その場にあった何台かの動力車を見たが、すべて間違っている。困ったことだ。その会社はエンドウである。MPギヤという製品の一群の中にある。たくさんの製品を売ってしまった後なのだろうが、良心があれば、無償交換すべきであろう。中間軸のスプラインが90° ひねられたものと現物を交換すべきだ。安いものだから、現物との交換ではなく、申し出があれば渡すという選択肢もある。

 このブログで大きな話題になったから、この種の間違いはもう存在しないと思っていたが、とんでもない思い違いであった。
 このブログで、もっと頻繁に繰り返し扱うべきことなのだろう。TMSの記事で、この種の間違いは、昔はたくさんあったが、誰も指摘しなかった。しても無駄、と感じていた人も多いのだろうと思う。

 まさか現行のMPギヤに間違いがあるとは思わなかった。エンドウともあろうものが、こんな間違いを放置するとは信じられない。

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2018年01月06日

インヴォリュート歯車

 その方にどうして100%ということがありうるのかと聞くと、99.99%以上だという。少し後退した。何か怪しい。その電車に乗ってみて音を聞いた。モータ音以外に歯車音もある。これでは99%近辺だ。歯車箱を触ってみればすぐわかる。かなり温かいはずだ。
 普通の平歯車は98%である。効率を上げるには径を大きくしたり、モヂュールを小さくする以外に、斜歯(はすば)にする方法がある。そうすると重なり噛合い率が上がる。

 噛合い率とはいくつの歯が噛んでいるかということである。斜歯なら、3枚程度を噛ませることができる
 転位させて歯先と歯元を薄くすることができれば、殆どがピッチ円付近の接触になり、転がり摩擦に近づく。この辺のことは50年前に亡父から聞いた。
 船のスクリュウのように連続負荷なら良いが、鉄道では衝撃負荷が多いので、斜歯は感心しないのだそうだ。斜歯は弱いのだ。それから、設計時は歯車の効率を95%と見積もって、発生する熱をどうやって捨てるかを考えておかないと実戦で役に立たないのだそうだ。今はもう少し良いだろう。潤滑油の進歩もある。第二次世界大戦の兵器はそんなものだったのだ。斜歯の場合は負荷によって性能に差が出る。力が掛かると歯が曲がるのだそうだ。要するに彼は、軽負荷での性能を拡大解釈しているのだろう。

 もう一つ父は付け加えた。斜歯にするときは歯先、歯元ともに薄くしてはならない。すべてが当たるようにすると、効率が上がるというのだ。その理由は聞きそびれたが、多分、噛合い率が上がり、歯が曲がりにくくなるのだろう。

 話題になった電車は、出力が小さいので斜歯であるが、機関車などで一台1MW(1300馬力)もあるモータでは使えない。即ち効率は98%程度だ。
 歯車の効率はコンピュータが進歩し始めたときに、数学の先生に計算してもらった。そう簡単には騙されない。一応は勉強しているのだ。


2018年01月04日

続々々 困った3条ウォームギヤ

 歯車は奥が深い。筆者は父から聞いた話と、数冊の本を読んだ程度の知識しかなく、高度な計算を伴う設計はしたことが無い。ウォームギヤについて知っていることは、
・バックラッシを小さくできること、
・摩擦を低減することができれば効率は上がること、
・進み角を大きくすると単純な滑りではなく、転がりに近くなって効率が格段に上がること、しかし、進み角が18度を超えると、歯形を変更しなければならない(ホブで切る場合)こと、である。
 先日来、この項目で、某模型店製の進み角の小さな3条ウォームを紹介しているが、ある方から次のようなお便りを戴いて、新年早々大笑いした。

 3条ウォームの件は本当にお気の毒様です。私に言わせれば、小さな進み角の制限のもとで3条もの溝を成立させる方がよほど難しいです。故にこれは、貴殿の方式を貶めるため、相当頭の切れる策士が緻密に練った謀略に違いありません。

 これはジョークにしても、どうやって考えるとあんな結果になるのかは、本当に不思議だ。



 話は替わって、スパーギヤ(平歯車)の効率は100%ではない。この動画は歯車が摩擦しながら動いている様子をよく表している。この線の角度が圧力角である。中心から遠い部分と近い部分での周速度は異なる。その速度差分が損失を生じる。ピッチ円上だけが、完全な転がり摩擦だ。
 スパーギヤの効率を上げるには、ピッチ円付近でしか接触しないようにすることが必要である。径を大きくすると、ピッチ円付近しか接触しなくなる。即ち、相対的に大きくするにはモジュールを小さくすることが同じ働きをするだろう。その他、高度な工夫もあるが、結局は摩擦から逃れることはできない。即ち効率は100%にはなりえない。

 しばらく前、ある実物業界の方が、インボリュート歯車は完全な転がり摩擦だとおっしゃるので、質問してみた。どうやら歯車メーカの効能書きの受け売りをしているようで、実際に運転時に触ってみたことは無さそうだ。100%なら発熱は無く、潤滑も要らないだろう。
 人の言うことやカタログを信用する人は進歩できない。しかし、その方は筆者に「もっと勉強せよ。」としか言わなかった。ご自分がどんな勉強をしたのかを、聞いてみたかった。



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2017年12月31日

続々 困った3条ウォームギヤ

 このウォームを発注した時の仕様書らしいもののコピィがある。判読が難しいところもあるので、読めるところだけ書くと、モヂュールは0.6らしい。

 歯先円直径は 7.8 mmとある。これはどうしたことだろう。この現物はもう少し
太い。ピッチ円を指定していないところが不可解だ。また、軸穴を3.0 mm径と指定している。これはまずい。2.5 mmにすべきだった。そうすればかなり細くなり、進み角は大きくなる。このあたりは経験不足から来ている。どうして先駆者に聞かなかったのだろう。小学校の算数と理科の範囲である。 
 材質はS45Cである。どうして快削鋼にしなかったのかは疑問だ。快削鋼であれば、表面の粗さが、より良いものができる。逆駆動には、このあたりの微妙なところも大切なのである。イモネジはM1.4らしい。

 ウォーム・ホィールは28枚歯で、歯先円直径は18.7 mmとある。これは正しい。歯数が互いに素であることは良い。これもイモネジ(M1.6)で締めるようになっている。このような留め方は避けたい。僅かの偏心が逆駆動の妨げになりうる。材質はリン青銅で、これは良い。

 組み込んで動かなかったものだから、その模型店には客から文句が来たようで、その返答のコピィを見せてもらった。それは私信に属するから、写しは取らなかったが、概要はこういうことであった。
 逆駆動するには動軸にボール・ベアリングを入れないとダメである。逆駆動はこの程度が限界であると認識されたい。なじんで来れば多少は良くなるかもしれない。”

 何を言っているのか、全く理解できない。滅茶苦茶である。かなりの金額を支払ったそうだが、全て灰燼に帰している。もったいないことであった。
 ウォーム軸にスラスト・ベアリングを入れれば、動軸側には無くても逆駆動できる。進み角の小ささと歯面の仕上げの悪さが、こういう事態を引き起こしている。快削鋼で作っていれば、きっと動いたであろう。進み角が小さいので、効率は良くないが、一応は動いたはずだ。モリブデン・グリースを使うことも必須だ。

 筆者の機関車は、同一の線路に2輌載せて、片方を押すと発電してもう一輌が走り出す。正しい設計とそうでないものとは、ここまで違うのだ。
 筆者の発表した記事には、全ての必要項目が書いてある。そのまま作れば、必ず動いたのだ。そして、そのグループでも標準仕様として採用されて、動力機構の改善が進んだはずだ。下手な知恵を出すからこういうことになる。残念な限りだ。もう既に時効だろうが、正しいものを作り直させることが必要だ。
「オリジナルを凌ぐコピィなし」ということが分からない人が多い。発明者は様々な条件を満たすものとしてそれを作ったのだ。それを思い付けなかった人が、工夫をしてもっと良いものを作り出せるわけがない。まずは完全なコピーを作るべきであった。

 返すがえすも残念なのは、そのグループには吉岡精一氏も居たのに、吉岡氏に相談しなかったことだ。吉岡氏は筆者の設計の歯車を多角的に解析し、実験結果を含めた「ウォームギヤ調書」という数十ページのレポートをグループ内で配布している。それは筆者がアメリカに居る頃で、日本では盛り上がっているのだろうなと想像していたが、結果はこれであった。誰もその内容を読んでいないのだ。非常に分かり易く書いてあるのにだ。吉岡氏曰く、”中学生にも分かるように書いた”とのことであったが。吉岡氏は筆者のギヤを活用されていた。 

 筆者の正しい3条ウォームは手持ちに余裕があるので、希望の方にはお譲りしている。

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2017年12月19日

困った3条ウォームギヤ

 最近3条ウォームギヤに出会うことが多い。模型人の友人が見せてくれるのだ。しかし、少々頭が痛い。

「動かない!」と言って、筆者に文句を言う人が居る。そう言われても、その設計には関与していないのだから、文句を言う相手が間違っている。
 Oスケールの3条ウォームは筆者設計のもの3種、某模型店製の1種の2系統しか国内にはないと思っていたが、もう一つあった。それは後述するが、出来が良くて、ちゃんと逆駆動できる。

 HO 用のものは2条で以前話題に上ったが、2:30という割り切れる歯数で感心しない。
 某模型店製のものは悲惨である。動かないというのでそれを見ると、進み角が小さい。ウォームギヤの径が大きいからだ。3条であるのに進み角が普通の1条と大差ないのである。これではだめである。話にならない。

 筆者が発表した記事には全ての情報が詰まっている。
 進み角を大きくすること、材質を異にすること(快削鋼とリン青銅)、潤滑油は二硫化モリブデンを含むものを使うこと、ギヤ比は互いに素にすること、スラスト・ベアリングを使うことである。
 それらをすべて守れば、必ず正しく動く。しかしながら、そんなことは何一つ考えていない。真似をするならすべて真似をすれば良い。こちらは特許申請していないのだから、直接問い合わせて来てもよいはずだ。喜んで教えただろう。似て非なるものが世に出て、それが本家の評判を下げているとは思わなかった。いい迷惑だ。

2017年11月17日

第4章 ロール軸の高さに関する考察

(8回連載の6回目)
 ロール軸高さの議論は、第1章で考察した通り、実車は車輌全体の図心軸を中心に捩じれますので、実車の近似的再現という意図であれば、回転中心は床上よりさらに上でも構わないと思います。ただし、模型としての機能性を考えますと、ワークスK氏の提唱される線路面と同一高さにロール軸を置きますと、車体の「レイル面に対する移動量」(地上座標系での車体変位)を最小化できます。(純粋な輪軸のロールのみなら重心高は変化なし=仕事しない)
 
 したがって、模型の線路に存在する大きな誤差に対しても、不自然に大きな車体の揺れを低減できると思います。また、コン氏が提唱されるロール軸を車軸高さ(輪軸のロール方向の図心)とした場合、車体と「輪軸との位置変化」(輪軸上に置いた座標系での車体変位)を最小にできます。なお別の視点から見ますと、ロール中心高さが連結器高さと大きく離れていると、連結運転で重牽引している際に曲線(特に登り勾配)で連結器からロール方向モーメント成分が大きく生じるので、ボディーが倒れやすくなる懸念があります。特に弾性支持の場合が気になるのですが、ロール・トーション・バー等角逆捻りでは床板近傍にロール軸(トーション・バーそのもの)があるので、連結器からのロール・モーメントが小さくなり問題は少ないでしょう。

 また逆説的に、ロール軸を高くするほど線路の誤差に対して車体が大きく変位するので、自由形などでは、あえてロール軸を高くして、フラフラ、ユラユラとユーモラスな走らせ方をさせることもできると思います。つまりロール軸高さは車輌に与えたい特性や工作性を考えて個々に判断する要素ではないでしょうか。



2017年11月15日

第3章「90度捻り天秤棒イコライザ」(ワークスK氏考案)についての考察

(8回連載の5回目)

図4
4 天秤棒90度逆捻りの概念図
 まず、「90度捻り天秤棒」の機構をワークスK氏がどのように意図されたかを考えます。記事を読みますと、ロール軸ではなくピッチ軸でトーション・バーを用いるという意図のようです。したがって、機構は図4のように考えられます。この図から、機構の名称についても、「ピッチ・トーション・バー等角逆捻り」で整合性が取れるかと思います。この機構は下段のようなイコライザ台車と等価です。さて、この機構は原理的には等角逆捻り効果があるのですが、長手方向に長い車体のピッチングをトーション・バーで支える構造であり、トーション・バー長も最大で車幅までと短いため、調整が難しいことが懸念されます。逆説的にいえば、ピッチング剛性を弱く作れるので、19世紀の馬車の車体を用いた客車のような模型の再現には良いかもしれません。小型の二軸車ならば比較的調整も容易ですし、柔かい動きを再現できると思います。なお、調整性能向上の案としては、ワークスK氏のブログでも示されていますように、イコライザ台車同様、支持バネを別途用意するのが良いのではないかと思います。


2017年11月13日

続 第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察

図3(8回連載の4回目)
 図
3に「天秤棒イコライザ」「フカヒレイコライザ」「ロンビックイコライザ」の3つの機構を概念図で示します。ここではトーション・バー(捩じり棒バネ)は模式的に弦巻バネで示しています。図上では▲が輪軸との支点、▽が車体と機構の接合点(ともに自由支持)として記述しています。「天秤棒イコライザ」にはリンク機構はなく、輪軸同士がトーション・バーでつながっていると考えられます。このトーション・バーが小林氏の言う「天秤棒」です。そして、この機構はトーション・バーの長さの二等分点にトーション・バーとロール方向に剛な支持点(トーション・バーの左右にある2つの)を設けて、この支持点でボディーのロールを拘束するものと考えられます。このトーション・バーが支持点前後で同じ捩じりバネ定数を持っていると仮定すれば、輪軸間のロール角度を二等分する点でボディーを支持しているので、等角逆捻り効果自体は持っていると考えられます。この効果は、ボルスタ下にコイルバネが入ったボギー車と同じ原理とみなせるでしょう。しかしながら、この構造は輪軸のロール角度とボディーのロール角の差分が「イコールになる」のは確かですが、軸重平準化の機構とは言い難いと思います。さらに、輪軸の捻じれが生じた状態では、トーション・バーの反作用のトルクを線路が受け持つため、左右の車輪の支持荷重(輪重)が異なってしまい、かえってイコールではなくなってしまいます。その様な意味で、イコライザと言うのは少々無理があるというのが率直な意見です。

しかしながら、見方を変えれば、前章の図2で示したように、実物も車輌のロールの捻じれで力学的な仕事が発生しているのです。その意味では実物の車体の弾性捻じれの近似と言う意味では、却ってこちらの方式の方が近いものかもしれません。

 さて、それでは、この力学的な特性を元にこんな名前を考えてみました。「ロール・トーション・バー等角逆捻り」です。この方式のメリットは何よりも単純な構造です。トーション・バーが捩じりだけを支持するように注意さえすれば、バネ長が長いので剛性の調整がルースでも作動します。また、トーション・バーにヨー方向の機能を持たせないために帯板を用いるのは簡単で良い方法だと思います。他にも、工夫次第でバネ特性を色々いじれるので、軸バネ独立懸架よりも簡単にバネ効果のある動きや走行音を工夫できると思います。ただし、ボディー全体のロール回転拘束をトーション・バーだけに頼っているので、ボディー重量が重いOスケールなどのラージスケールではボディーのふらつきを抑えるため、輪軸の捩じれを止めてしまうほど堅いトーション・バーにせざるを得ず、等角逆捻りの効果が得られないでしょう。


 なお、ダンピング性能については、軽い小スケール小型車輌模型の場合、ダンピングが強すぎるとバネが中性点まで戻ってこない懸念(工学的には内部応力が残留した状態)が考えられます。結局はボルスタと床板の摩擦程度でのダンピングが現実的かと思います。

 まとめますと、名称としての「天秤棒イコライザ」は力学的な整合性としては少々無理があると思われますので、ロール・トーション・バー等角逆捻り」という名称を提案します。また、用途としては、その簡単な工作性とバネ特性の調整のし易さが生かせるので、小スケール(HO 以下)の2軸車等で有用な方式だと思います。



2017年11月09日

続 第1章 等角逆捻り機構の考察 

(8回連載の2回目)
 三点支持イコライザや等角逆捻り機構は、この誤差だらけの線路に足廻りだけを追従させる機構です。特に等角逆捻り機構は、通常の三点支持よりも車輌の振る舞いが比較的「実感的」であるという所に特徴があると言えるでしょう。その振る舞いを図2の下段右側に示します。つまり、実車の車体の捩じれの様子を、足廻りの捩じれ角度の半分のロール方向回転で近似しているのです。例えるなら、切れ目のないフランスパン一本が、それ自体は捩じれることなく、線路の捩じれ角の半分だけロール軸周りで回転しているというイメージです。

ここでもう一つ余談です。ヨーロッパHO車輌等に見られるハイフランジ固定軸は「脱線防止」以外の機能を妥協したものと理解しています。その代りに全軸集電やスケールスピードに徹した駆動機構など別の側面から実感的な走行をカバーしているのだと思います。


 さて、ここからは少々踏み込み、ロール捩じれに関する力学的な仕事について、実車と模型を比較してみましょう。まず、模型の等角逆捻り機構について考えます。こちらは単なるロール方向の回転なので、バネを捩じる様な(弾性変形を伴う力学的な)仕事をしている訳ではないことが分かります。厳密には重心高さとロール中心が若干ずれているため重心変動による微小な仕事は発生していますが、本質ではないので無視します。等角逆捻り機構が本質的には仕事をしないことについては、
dda40x氏のブログにも記事があります。

 ところが、実車はボディー全体が弾性変形しているので、捩じりによる仕事が入っているのです。つまり、実車はボディー全体が非常に弱いトーション・バー(捩じり棒バネ)として機能しています。ただし、映画の話にも書きましたように、実物は大きく捩じれると壊れてしまうので、あくまで微小な捩じれ角度範囲での話です。



2017年08月04日

荷物車の中

 荷物車は窓がほとんどないので、中に色々な工夫を詰め込める。
 
 5輌のうち2輌は、大きめのショック・アブソーバをつけるつもりだ。ラジコン用の部品を、リンク機構で前後を一つで受け持つ。

 荷物車には貫通幌がないので、連結面が当たる寸前まで縮んでも大丈夫だ。トラベルは各 5mm程度にしないとみっともないので、2輌の4箇所に付ければ、総トラベルは20 mmになる。

 普段は所定の位置まで延びていて、急停車時には縮む。20 mmでも、力積はうんと小さくなるから、連結面の座屈は起こりにくい筈だ。連結器のピンも壊れないだろう。
 
 アメリカ人の組んだ客車には台車抜きで2 kgもあるものがある。中に補強のつもりで、3/8インチ(9.5 mm)の角材が2本も入れてある。床面は平角棒で固定してある。重いわけだ。ボールベアリングを付けたら、凄まじい転がりを示すが、急停車時の事故が怖い。これが脱線転覆すると、周りに甚大な被害が及ぶ。
 スケールスピードでの運転をするが、信号をよく見て、事故が起こらぬよう十分に注意をする。

 7月下旬から、アメリカに来ている。今回はLAXから入国して、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサス方面に行く予定だ。本業の取材を兼ねて来ている。
 しばらく休載する。



2017年07月03日

脳内3D

 先日、目を瞑って頭に浮かぶ3D画像をひっくり返した経験を紹介した。
 何人かの友人が、感想を聞かせてくれた。

「あれは面白いね、確かに頭の中でひっくり返して裏を見れば、簡単だし、好きなように回転させられるからね。」

「それができる人は、最近はほとんどいなくなった。会社の中でも我々の世代の少し後までだね。若い奴は図面を持ってきて説明するけど、『この裏はどうなっているんだ。』と聞くともう駄目。コンピュータで裏返してそれをプリントアウトするのに時間が掛かってしょうがない。頭の中でやる訓練をしてないんだ。」

「伊藤剛さんなんかは凄かったね、質問すると、『裏はこうなっていてね。』と、たちまち絵を描いてくれる。遠近法まで使った絵をさらさらと描いたよね。」
「頭の中ですべてやる訓練をしているからだけど、生まれつきの素質もあるね。」

「特定の音楽を聴くと、空中に浮かんだものが見えるんだ。海岸線を俯瞰しながら、自分も飛んでいるカモメになる。相手の下に回り込んだりできるんだぜ。」
「そりゃ少々異常かも知れんな。」

 この話をコンピュータ業界の男にしたら、
「それは違うな。そういう3Dの能力がある人が、別の業界に行くようになったというだけじゃないか?僕の周りにはいっぱい居る」と言う。さて、実際はどうなのだろうか。

2017年05月04日

ブレーキの設定

 よく考えてみれば、鉄道車輛にとってブレーキは生命にかかわる部分だから、細心の注意を払って設計されているはずだ。
 前に付いているからトレーリングだと信じ込んでしまったことは、恥ずかしい。物理的な考察をせずに、見かけだけで判断してしまったのだ。

self actuating brake 図を描けば、ぶら下がったブレーキと同じであることに気が付く。Aはリーディングであることは明白だ。B2はAと同じでリーディングである。ブレーキの腕には押す力が掛かる。B1は腕が引っ張られているだけの違いでこれもリーディングに相当する。物理で、「押すと引くは同じだ。向こうから見るかこちらから見るかだ。」と習ったのに、忘れてしまっている。この図ではB1とB2はつながっているように見えるが、別のものを考えている。

 またまたモップの絵を描くと右の図である。上を押すのと、下を引くのは結局は同じことだ。

 昨日から、いろいろな人と意見の交換をしていた。出てくる意見はどれも面白い。動輪が減るとどうなるかということを気にする人が複数いた。確かに接線が中心に近づくと支点を通るようになりかねない。おそらくその手前でタイヤを取り替えると思う。ブレーキ・シュウを取り替えても関係ない。ブレーキ支点を移動できれば良いのだが、そうなっているようには見えない。

 self-actuating (自己倍力装置)である前提で設計しているので、必要とされるブレーキ力を下回ることは許されない。おそらく、機関士はそういうことには極めて敏感だから、効きが悪ければすぐに報告されるだろう。特に高速で走る旅客用機関車にとっては、旅客の生命が掛かっているから、その整備は大切だ。

 昔はそのような伝承があったのだろうが、現在の数少ない保存機の場合は、「これはブレーキが効かないのではないか」とは、気が付かないだろう。タイヤの摩耗限界が、そのような基準で決められていたことも知らない世代に入ってしまったのではないかと危惧する。事故が起こらなければ良いが。

2017年05月02日

日本の蒸気機関車のブレーキはリーディングである。

 先回の記事が出た直後に、表題に示す連絡を受けた。連絡してきたのは、工学のエキスパートのT氏である。(leadingと言うよりも、むしろself-actuatingと言うべきかもしれない。)
 T氏は、鉄道車輌よりももう少し大きなものの姿勢を制御する専門家である。
 

 そんな筈はないとも思ったが、彼の言うことが間違っていたことは、過去に一度もない。食事の時も上の空で、皿と箸でシミュレートした。彼の意見は正しいことが分かった。わざわざ、ブレーキを効かないようにするはずはない。

leading 結論は出たが、どうやって説明するかである。極端に簡略化した絵を描くとこうなる。それを平面上のモップにすると、下の絵になる。
 モップを塀の上に載せて、下から横に引っ張ると、モップは質量と重力加速度によって生じる摩擦力以上の摩擦力を生じる。喰い込む方向に力が掛かるのだ。エスカレータのベルトを拭くときにこういう装置を付けると、喰い込んで止まってしまうかもしれない。 

JNR C62 leading brake 実物の機関車の写真をじっくり見た。これはC62である 。確かに支点は接線より中心に近いところにあることが分かる。
 これで井上氏がよく効くとおっしゃった意味が、ようやく分かった。

 この件に関するコメントを沢山戴いているが、トレーリングであるという前提のご意見ばかりなので、掲載は控えている。ヨーロッパの機関車には、支点を接線上に持って行って前後進でブレーキ力の変動が起きないような設計にしたものがある。

 それにしても、T氏の眼力には恐れ入った。実はT氏からは、例の”天秤棒イコライザ”に関する解析も戴いているので、いずれそれも紹介したい。イコライザではないということである。

 追記: 添付のC62のブレーキの写真は、提供者のmon氏のご厚意で、圧縮前の、より鮮明な写真と差替えました。  

2016年12月27日

コメントへの反応

 先回の記事に対し初心者氏から戴いたコメントには反応が多く、直接の投稿、メイルを沢山戴いている。
一言で言えば、この方は文字通りの初心者で、ものを作った経験が乏しく、観察も未熟と推察する。

 戴いたコメントの中で、工学のエキスパートであるT氏からの文章がすべてを言い表しているように思うので、紹介しよう。コメントとしては量が多いので、許可を得て本文に掲載する。下線は筆者が追加した。

初心者氏のおっしゃる「たわまないべニア路盤」が実物よりずっと強固であることはその通りだと思います。
また、車輌も脱線や衝突をすれば簡単に壊れる実車に比べて模型は非常に丈夫です。
そういった意味では、模型は実物以上に「しっかり」「堅く」できていますので、実物が採用している
構造部品を壊さないための」イコライザーは小型模型には必要ないでしょう。
一方で、今回話題の模型独特の等角逆捻り機構は、むしろ模型の路盤や車輌の「丈夫さ」「堅さ」を和らげて、模型に実物に近い振る舞いを模型に与える機構だと理解しています
実物は「フニャフニャ」で重いので多少の線路誤差にも車体自体の変形で追従しますし、線路も台車が通過のたびに目で見えるほど沈みます。 

模型の場合は、実物より「ガチガチ」に堅い上に軽いので、線路の段差やねじれが線路の誤差のまま、モロに車体が躍ってしまいます。
つまりピョンピョン、カタカタと動いてしまい、いかにも「模型チック」に見えてしまいます。
しかも、線路の誤差はコン氏がおっしゃるように、実物換算で数センチ近くに相当するため、模型はより一層ピョンピョン、カタカタ跳ねます。(しかも、車体が堅いので、段差に載っていない側の(反対側の)車輪を引っ張り上げてしまい、車輪が浮くこともしばしばです)
ここで、等角逆捻り機構を搭載しますと、線路誤差に対して車体は機構によって、前後の台車で「無理やり」半分づつ分けて追従させるように振舞います。
これによる車輌の振舞いは、実物の様な「フニャフニャ」までには達しないものの、段差通過時は、一つ目の台車が通過するときに、まず
車体が段差の半分傾き、次の台車が通過するとまた半分傾くため擬似的に車体がフニャフニャな「様に」見せることができるのだと思います。 
ちょうど、アニメーションの駒数を増やすイメージではないでしょうか?
また、この追従構造はコンさんのおっしゃる通り集電面で有利です。普通の三点支持と比べて等角逆捻りは変位と支持質量が半分づつなので一層追従性も良いはずです。
 
大きな段差を一輪車で越えるより、半分ずつの2段を自転車で越える方がサドルの動きは小さいですよね。 
集電が良くなれば模型はスムースに走るので一層実物らしい走りに近づきます。 
従って、これらの機構は模型に「実物に似せた」振舞いを「見かけ上」与えるものではないでしょうか?



 全くその通りである。走る模型は実物を縮小したものではないのである。実物のみの体験、観察からはよく走る模型は生まれない。だからこそ、Low-D車輪をはじめとする、いくつかの工夫があるのだ。


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2016年11月15日

メカニズム

 しばらく留守をしていた。東京で所属クラブの会合があったのだ。今回は久しぶりに全員が顔を合わせたので、一人ずつ自己紹介をした。
 筆者は、
「模型の外観は適当にできていれば十分であるが、メカニズムには最高を求めることにしている。いかにして低電流でたくさん牽くか、貨車や客車はいかにして摩擦を減らして遠くまで転がるかしか興味がない。」 
と言うと、みなさんはどっと沸いた。

 家に帰ってみると、少々手に余るコメントが来ていて、無視しようかとも思ったが、載せておいた。反論も来ているが、それもそのまま載せた。

 最近、妙なコメントが時々送られてくる。お前のブログに、俺の自己主張を載せろ、と言わんばかりのものがある。 
 お断りしておくが、コメントはあくまでもコメントであって、この場を借りて自分の主義主張を発表する場所ではない。それはご自分でブログ等を立ち上げて発表されればよい。メイルアドレスが書いてある場合は、それをお伝えして消去している。

 今回のコメント主は、拙ブログをほとんど読んでいらっしゃらないことがわかる。筆者は考えられるメカニズムをすべて作っている。それを祖父江氏がさらに改良したものも持っている。傘歯車駆動の機関車は3輌ある。人にお勧めできるものではない。
 価格の面でも問題があるが、一番大きな問題は音である。祖父江氏の腕をもってしても、歯車の音は無くならない。蒸気機関車がヒューと歯車音を出して走るのは問題だ。当時は若かったので、耳が敏感であったこともあるが、気になった。
 芦屋の御大の機関車はすべてこの音がする。彼はそれがお好きなようだったが、筆者は容認できない。
 また、摩擦係数と摩擦とは異なる次元の話であり、コメントの趣旨はよくわからない。

 最近皆さんもお気付きのようだが、低回転高トルクモータを用いて、低歯車比にすると静かで高効率の機関車ができる。筆者の「3条ウォーム+1段減速」は8:1程度であるが、新モータを用いて、その半分程度にすることを目標にしている。

2016年11月03日

緩衝とは

 緩衝装置にバネを用いてはいけないのか?という質問を戴いている。

 バネを用いると衝撃は受け止めるが、そのあとが問題である。蓄積されたエネルギィの行き場所がないから、すぐに放り出すことになる。即ち、貨車は同じ速度で跳ね返ってくる。これでは意味がない。
 ぶつかった時のエネルギィのかなりの部分を熱に変える必要がある。この発泡ポリ塩化ビニルは、その点とても優秀だ。もともとは、工場で高価なジグとか測定器を置く棚の中敷き用のものらしい。緑の部分は中身が詰まっているが、黒っぽい部分は多孔質である。

 曲げると弾力は多少感じるが、徐々に変形していく。変形した後はそのままの形を保つが、力を取り去るとじわじわと元に戻っていく。 典型的なエラストマの特性を持つ。

 63 ft貨車の20輌編成(約10 kg)を時速30 km相当でぶつけると、速度はその1/5くらいで戻ってくる。脱線もしない。この件については円筒状にする材料の幅をいくつか試作して決めた。初めは、中にエアキャップ(いわゆるプチプチ)を入れてみたりしたが、弾力が強くなりすぎるのでやめた。

 ラジコン自動車用のショックアブソーバも試したが、長さを短くできないのでやめた。紹介した方法が、コストの点でも性能の点でもベストである。 材料は大量に余っているので、送料だけご負担戴ければ、必要な方には差し上げる。
 この材料を隠しヤードの地下部分に全面的に貼って、消音するつもりだったが、ゴム板が見つかったのでそれを使った。 

2016年03月02日

酢っぱい葡萄

 コメントを戴いた中に、非常に興味深い一文があった。
「酸っぱい葡萄だと思うことで自分を慰めてしまう」とある。これは言い得て妙だ。
 イソップ童話にある文章を心理学者が引用した文章を取ったものだ。
 高い枝にたわわに実った葡萄を見つけた狐が、飛び上がってみても全く届かない。何度やっても出来ないので、「フン、あんな葡萄はどうせ酸っぱいのさ。僕はいらないよ。」と捨て台詞を残して狐は去るというお話だ。
 
 実はこれとよく似た経験がある。ある会場で3条ウォームの機関車が40輌ほどの貨物列車を軽々と牽いた。「すごいね。」と車輪を褒めてくれる人があり、その車輪をたくさん購入された。
 そうしたら、「あんなものは要らない。無駄だ。あそこまでやる必要はない。」 と言っているのが、どこかから聞こえてきた。

 その人は電車屋さんで、貨物列車には無縁の人だ。Low-D車輪は要らないのかもしれない。でも取り換えれば静かになるのだから、それはそれで価値がある筈なのだが、その意味を見出さないのだろう。ジャーという音を出して電車は走っていた。 

 趣味の世界では、人それぞれが持っている目標がある。筆者は、「走行性能を極限まで上げたい。本物のように走る模型が欲しい。」それだけである。何をすべきかを高校生の時から考えている。何十年か掛けて、一応やるべきことはすべてやってみた。できるはずだけどやらない、というのは嫌いだ。全部やってみた。
 その経験の中で、これはやっても無駄、金と暇を掛ける価値がない。しかしこの方法は何が何でもやるべきだ、という取捨選択ができて現在につながっている。 

 関節式蒸気機関車にはモータを2台取付けるというのは、不可欠なことだ。1台では、運転の面白みに欠ける。しかし、「そんなもったいないことをするとは・・・」というご意見もある。 

 車輪のフィレットを大きくするというのも不可欠なことである。これをやらないとたくさん牽けない。これは実験で確かめられている。しかし専門家の人は、ありとあらゆるチャンスをとらえて、理論的に間違っていると決め付けている。
 その人は本当に専門家なのだろうか。120輌の本物の貨物列車を急曲線で走らせている専門家なのだろうか。しかもその車輪はステンレス製なのだろうか。 もしそうであるならご意見を傾聴したいが、とてもそうとは思えない。これも葡萄の話を思い出してしまう。 


dda40x at 03:02コメント(0) この記事をクリップ!

2016年02月05日

続 条件設定

 起こりうることを想定して設計するのは当然だが、起こりえないことを考えて、これではだめだというのは、いわゆる杞憂である。

 以前、等角逆捻り機構で角棒の外を角パイプで滑らせる機構を試作し、非常にうまくいったと考えている。ところが、「スライダー(滑り子)はダメだ。あれでは磨り減る。」とあるウェブサイトに書いてあるのを見て、噴き出してしまった。

 確かに、重負荷で一日中動く機械とか、埃の多い環境で作動させれば磨り減るだろうし、その更新には費用が掛かるだろう。この等角逆捻り機構は一月に数回動かして説明するだけだ。しかも荷重はほとんど掛かっていない。今回建設中のレイアウトの片隅に、例のぐにゃぐにゃ線路を1 m ほど敷いてみようと思っている。その程度の話だ。そんなに磨り減るわけがない。おそらく孫の代まで確実に作動するだろう。

 教科書に書いてあることを額面通り受け取る人がいる。しかし物事には軽重がある。考える必要もないほど小さなこともあるし、必ず考えて対処せねばならない重大なこともある。その区別を付けられることが、設計の巧拙を生み出す。

 それよりも摺動面と言えば、客車の台車のセンタベアラ、サイドベアラのほうが磨り減るだろう。プルマンは重いので切実な問題だ。そのことに言及した例を見たことがない。筆者はモリブデングリスを塗ってある。一部の極端に重いテンダにはスラストベアリングが入れてある。また、件の等角逆捻り機構にはグラファイト粉を潤滑材として擦り付けてある。
  
 当鉄道では起こりうる軽衝突、脱線に対して様々な手法で備えがしてある。 そう簡単には破損しないはずだ。当然それらは想定の範囲内であるからだ。

2016年01月10日

Henry Bultmann のこと

 Lou の訃報はここに載っていると友人が教えてくれた。 4ページである。それほど詳しくは書いてないが、ご興味のある方は読まれると良いだろう。
 その次のページには驚いた。ヘンリィ・ボルトマンの死去を伝える記事である。発音はバルトマンではなくボルトマンに近い。筆者自身も綴りがBoltmannだと思っていたくらいだ。

 彼は機械工学に強いことになっていた。誰もが同じことを言う。彼の設計したギヤボックスは最高だという。確かに悪くないが、良いとは言えない。筆者が一番気になったのは軸の太さである。高速回転する部分が太いと損失が大きい。グリスも硬い。もう少し粘性の少ない油を使うべきだ。
 いろいろと論議したが、彼は教条主義者で教科書に書いてあることを守ろうとする。実物はそれでよいが、模型ではまずいと思えることを、とうとうとまくし立てる。見かけ上、弁が立つから、信ずる人もいるのだろう。

 ワシントンDCで会った時に、こちらのSP5000を見せて、動輪上重量、牽引力、電流その他を友人のレイアウトを借りて測定した。彼の機関車は重いから牽引力はあるが、効率はこちらのほうが断然よかった。「押して動く」ということへの無関心は彼だけではないが、全く考慮しようとしない。そういう機関車は「効率が良い結果として逆駆動できるということを認識すべきだ。」と言ったら、「模型には効率なんて関係ない。」と言い張る。
「じゃ、電流が多いと君は幸せか?」と聞くと、「5 Ampくらいどうってことない。」と言うのだ。
「それではその状態で1時間走らせたらどうなる?」
「そんなに走らせる奴はいない。」
 何か矛盾していることは本人もわかっていたと思う。

 そこで、例の84輌牽く動画を見せると息を呑む。なんと言うかと思ったら、
「そんなにたくさん牽かせる人は居ない。貨車の車輪まで全部替えるというのは行き過ぎだ。」と言う。

 あれから何年経つのだろう。その後の様子が知りたいと思っている矢先にこの訃報だ。博物館のレイアウトを100輌以上の貨車を牽いて、静々と走る機関車を見せてやりたかった。

2015年11月03日

air damper の設計

 ダンパは、往きはよいよい、還りはこわい、でなければならない。直径20mm程度のエア・ダンパを試しに作ってみよう。押した時には、すっと押し込まれて、引張ってもなかなか還ってこないようにする。

air damper ピストンに弁を付けるのは面倒なので、シリンダ・ヘッドにリード・ヴァルヴを付ける。リードはリン青銅の薄板だ。長くすると撓みやすく、押せば空気は簡単に漏れていく。穴をたくさん開けるか、あるいは大きな穴にすると、空気が抜けやすい。
 戻るときはぴたりと吸い付けられて、シリンダとピストンの漏れくらいしか空気は入って行かない。少量の油を塗ると、漏れは極めて少なくなり、戻るのにかなりの時間が掛かるだろう。最も押し込まれたときに残る空気が少ないと、還りに最初からダンピングが効く。空気がたくさん残っていると最初は、その空気が薄められるまである程度のストロークでは効き目が少ない。そのあたりはバネの強さとの兼ね合いがあり、調整が難しそうだ。

 以前たくさん作ったのは、ハイドラ・クッションの貨車の緩衝器を実際に作動させるためだ。その時は辷り込みの角パイプを使った。ピストンの代わりに細い角パイプを差込んだのだ。30年以上無事故である。現在は塗装更新中で、お見せするには無残な状態だ。
 押したときはリード・ヴァルヴで空気が抜けるのも、その時確かめた。今回考えているのは断面積が6倍くらいだから、効果が大きいはずだ。
 角パイプを使ったのは、ピストンを使うと漏れが多そうだったからだ。角パイプは重なる部分の長さが大きく、空気が漏れにくいのだ。大きな径のピストンを使うと容積が大きいから、漏れを補って余りある。言い換えると小さい物には角パイプが適するということだ。

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