3条ウォームギヤ

2024年03月30日

続 lesser thickness gearboxes

 懸案の薄型ギヤボックスが出来上がり、貫名氏から供給が開始された。今までの形よりもかなり薄くできるので、台枠内側にイコライザがあっても取り付けられる。I田氏が早速換装されているのでぜひご覧戴きたい。改装マニュアルも補筆されているはずなので、よりHOの人たちにとっても分かりやすいようになっている。リーマを通すことも強調してある。ヤスリでゴリゴリということは禁物である。 
 歯車を1 mm薄くしている。また中心部の形状を少し変えて、より全体を薄くできる工夫をした。
 動きを動画で見ると、今までのものと全く同等である。

「普通のギヤと何が違うのか」と、いつも同じことを聞かれるが、すべてが異なるのである。よくあるウォームギヤ・セットとは歯形が異なり、仕上げ精度も2桁近く違う。材質も違う。高性能を得ようとすれば、それなりの工夫が必要である。このギヤの歯面を見て、ある専門家は、「これは凄いね、高そうだな。」と言ったが、全くその通りなのである。
 
 歯車屋で歯数を指定して注文しただけのギヤとは違って当然なのだ。当初はコースティング・ギヤなどと呼ばれていたようだが、高効率ギヤという名前が定着したようで嬉しい。これはどなたが言い始めたのかは定かではないが、非常に良い名前であると思う。

 実は、筆者は ”coasting” という言葉は好きではない。これは定年退職者が年金で無気力に暮らしていることを表す時にも使う言葉だ。Bill Wolfer が眉をひそめてそれを言ったのを覚えている。「俺は違うぞ。」と言いたかったのだろう。  

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2024年03月26日

installing triple-thread worm gears

 貫名氏らの改造の経験者に話を伺うと、市場にはおかしな模型がかなりあるとのことだ。

 まず韓国製の機関車は鬼門だそうだ。車軸断面が真円でないことがあるという。精密に仕上げてあるボールベアリングが入らないということがあるらしい。丸くない車軸の存在というのは考えにくいことである。動輪ごと取り替えてしまうのが良いそうだ。 
 
 日本製の機関車について言えば、天賞堂のは良いという。カツミも問題はない。
 S店のはきわどいらしい。軸が太いのがあるそうだ。一般論で言えば、軸はマイナス方向の公差で作られているはずだ。太くては軸受けに通らない。また、動輪との篏合部にテーパが付いているものがあり、嵌めるときに苦労する。機械工学の基本から外れているようだ。

 1970年代の輸出用の機関車を作っていたメーカのものは、なかなか大したものだったらしい。部品の精度が良いそうだ。
 
 改装した機関車はどれもよく走る。何が違うのかと聞かれるが、答は単純だ。
「すべてが違うのです。」 

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2024年03月24日

push-to-roll drive for steam engines

 来訪者に機関車のメカニズムを見せたのち、駆動装置本体を手渡して、車軸を廻してもらう。駆動軸が高速回転するが、あまりの滑らかさに愕然とする。全く抵抗を感じないのだそうだ。
 これほど軽く廻るなら、テンダに付けて巨大なフライホィールを廻すのも問題がないことに気が付く。

 HOの機関車の見本も1輌置いてある。短い線路だが、機関車を押すと発電してヘッドライトが点く。これは優れたディスプレイである。いかに高効率か、がよく分かるからだ。
 これを見ると誰しも欲しがる。貫名氏が在庫を持っているはずだと言うと、すぐに注文すると言う。
 このギヤを採用すれば、今までの駆動装置はいったい何なのかということになるだろう。その魔力にはまってしまった人は何人もいる。

 高効率ギヤを採用した人が運転会に持って行くと、注目を浴びるそうだ。欲しがる人は多いが、動輪を抜いて元に戻さねばならないと知ると尻込みしてしまう人が多いという。
 90度ジグを作るのは難しいことではないし、それを作れば他の人の機関車の改造を引受けてアルバイトもできるはずだ。

 以前も書いたが、この国の模型界で一番不足しているのが、この種の仕事を引き受けるカスタムビルダの存在である。だれでもができるわけはないので、できる人が適価で引き受ければ良いのだ。その種の特技を持つ人は少なくない。小遣いを稼ぎながら、模型界の進歩に貢献できる楽しい仕事のはずだ。

 今月からとれいん誌に貫名氏がHOの高効率ギヤに関する連載を始めた。 

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2024年02月19日

hi-efficiency triple-thread worm gear

 神戸では、高効率ギヤについていくつかの事例をもとに会話があった。 どなたも同じことを言う。
モータの出力が直接動輪に掛かりますね。」

 高効率であることを、最も端的に表す表現である。六角ジョイントの使用体験も聞いた。貫名氏は短いものが使いやすいとおっしゃる。長いものと短いものの両方を使用した上での感想であるから、価値のある情報である。短いものをガタを少なくして使うと、隙間にバネを入れる必要がないそうだ。

 高効率ギヤモータ軸とギヤ軸が同一直線上になるようにトルクアームを調整するのがコツだ(先回の写真を再掲)。モータは固定され、動軸とは無関係である。

 モータは、筆者はコアレスモータを推奨しているが、貫名氏はある理由があって有鉄心モータを使っていると言う。
 押すと動いてその電力で他の機関車が走るというのはコアレスモータでないとうまく行かないのは当然である。ところが貫名氏のレイアウトは山岳レイアウトであり、斜面で滑り落ちるのはまずいという特殊事情があるのだそうだ。コアレスモータを使うとヘッドライトを点けて、するすると一番下まで行ってしまうらしい。  


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2024年02月05日

lesser thickness gearboxes

 HOの蒸気機関車に用いるには、厚さがあると使いにくいそうである。当初はこれで十分ということだったが、イコライザが仕込んであったりするとギヤボックスはもっと薄くないと入らないらしい。

 その開発を頼まれたが、難しい点がたくさんある。3D出力のときの最低厚さが決まっているので、減らせない部分たとえばウォームの前後のボールベアリングのフランジが当たる部分は薄くできない。

薄型ギヤボックス 3Dの師のS氏は面白いアイデアで切り抜けた。その部分を外側に飛び出させ、厚みを持たせて成形した上で、組立後にヤスリで外に出た分をを削り取るというものだ。こうすればその部分は極端に薄くできる。

 あちこちの寸法をすこしずつ削って、ようやく試作品が完成した。現在は三次試作品まで来た。
 左右を締めるネジの位置なども、工夫して移動している。これがうまく収まることを確認してから、まとまった量を発注する。
 これができれば、機種をあまり考えずに採用できるというわけだ。 3月ごろ、貫名氏から発売予定。

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2024年02月03日

correct method to assemble gearboxes

 HO用のギヤボックスを作り、一部の顧客向けに発売を始めた頃の話である。簡単な組立マニュアルを書いて、添えた。これだけは守らないと作動しないということだけを箇条書きで書いた。

・Φ5のリーマを使ってボールベアリングの入る部分を削る。
・ウォームをシャフトに通してロックタイトで固着する。
・ボールベアリングを軸に通す時は油を塗ってからにする。
・動輪を外すときに叩いてはいけない。

 この種の単純なことが、あと数項目書いてあった。ところがとんでもないことをする人が居るものである。
「ちょうど良い太さのヤスリがあったから、それで削ってベアリングをはめたが、動かない。」
「シャフトにニッパで傷を付けてウォームに叩き込んだら、調子が悪い。」

などなど、呆れ返ることをする人が居るものだ。マニュアル通りにしなかった理由を聞くと、「今までこれでうまく行っていた。」と言う。

 今までのものとは全く異なるレヴェルの工業製品である、と説明しても理解しようとしないのには参った。
「ずっとこの方法でやってきたが、今まで問題はなかった。」と不満そうである。最後の叩いてはいけない、の意味が全くわからないらしい。これは例のコンコン改軌が広く行われているという証左だ。叩くのは避けるべきだ。どうしても叩く必要があるときは、ブラスあるいは銅の棒を介して叩くべきである。

 模型は精密機械であるはずなのだが、プラレールと同様の扱いを受けているような気がしてきた。 

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2024年01月30日

smooth running engines 

 滑らかに走らせるには歯車の噛合いに注意する必要がある。以前、どうしてウォームギヤが無音で廻るかという話題があった。歯と歯との衝突がないからだという話を紹介した。これは、滑らかに廻るということと同根である。ウォームギヤだからこそ、低速で滑らかに廻るのである。

 昔よく見たギヤボックスで、モータから来た推進軸がスパーギヤで平行に落とされ、ウォーム軸に伝動されている物があった。これはやかましい。すなわち動作が滑らかでなく、避けるべきものである。過去に見たものは歯数が足りない。すなわち噛合わせ調整をしても無駄なものばかりであった。 

 高効率ギヤはギヤ比がそれほど高くない。それを理由に採用に踏み切れない人も居ると聞く。高ギヤ比にするためには途中でもう一段ギヤを噛ませねばならず、滑らかさが損なわれる可能性がある。
 現実に高効率ギヤを採用した人たちの中で、ギヤ比について問題を提起している人は無い。そういう意見が必ず来ると思っていたから、少々拍子抜けしている。

 筆者は、技術者であった父親から「ギヤ比を低くすると効率が上がる事が多い」という実例をいくつか聞かされていたので、このギヤ比にすることにはためらいはなかった。摩擦損失は回転速度の関数であることは間違いない。

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2023年10月28日

installing the flywheel

flywheel in the tender テンダの床にフライホィールを置いてみる。径を1 mm縮めたので、上廻りをほとんど削らなくても入る。軸をわずかに下げる事により、テンダの天板にも当たらない。可能な最大の径を実現するためには、軸を 2 mm 下げれば良いという計算だ。すなわち床板に孔を開けてフライホィールを沈ませるわけだ。 

disassembled tender floorcutting out for the flywheel 床板に孔の位置をケガいて、糸鋸の#1という荒目の刃で切り抜く。このような形のものの長辺を抜くには、少しテクニックが必要だ。糸鋸の弓を押さえてヤットコで刃を捻じる。少し捻じれば外形と平行に切れる筈だった。ここではその捻じり方が足らなかったようで脱線しているが、全く見えなくなる場所なのでそのまま切った。薄い板なのであとでよく切れるヤスリを 7,8 回掛ければ、修正されることなのだ。当然床面の上が開く形にヤスる。よく切れるヤスリは、刃の面を持つと指に喰い付く感じがする。
「そういう感触がないものはためらわずに捨てよ。切れないヤスリを使うほど時間の無駄はない。また、他のヤスリと接触するような置き方はしてはならない。」とBill Melisは戒めた。

lowering the flywheel center 出来上がった孔にフライホィールを置いてみる。実際には、床板の孔の縁とは 0.5 mmの隙間を空けることになっているので、厚紙を挟んで上廻りをかぶせ、当たっていないことを確かめた。 

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2023年10月14日

慣性増大装置 第2弾

 近々ある集会に慣性増大装置を付けた機関車を持って行かねばならない。いつもの4-8-4では見飽きた人も居るだろうから、思い切ってもう1輌の完成を急いでいる。

momenntum emphasizer この砲金の円柱だけでも 840 gもある。これは重過ぎる。台車のバネが完全につぶれていて、線路からの衝撃が緩和できない。円柱の内部をくり抜いて軽くする。慣性モーメントは半径の2乗に比例するから、中心部は無くてもあまり影響はない。

 この円柱の径は 52 mmである。先回は 46 mmだったから、かなり大きい。外側に傷が付いているので、一皮剥いて51 mmにする予定だ。
 テンダの上廻りにはそのままでは入らないので、幅を多少削って入れる(オレンジ色の部分)ことになりそうだ。高さも微妙に当たるので、床板を少し切り抜いて沈める。そうすると床板の強度が減るので、側面のアングルで持たせている。 

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2023年08月25日

貫名氏の報告

 JAMが終了し、その報告を戴いた。

 このブログの読者は、興味深く観察されたそうだ。現物を見るのは初めての方も多かったようだ。運転の滑らかさ、直接手で押して動くその軽さには、どなたも驚かれたそうである。
 数人の方はギヤセット(ギヤボックス付き)を欲しいと注文されたようだ。ある程度の腕のある方は、マニュアルさえあれば換装は可能である。ただし、リーマを持っていないと難しい。
 
 現在開発中のより薄いギヤボックスができれば、さらに応用例が増えるであろう。筆者はHOを触ったことがないので、勘所が分からず、購入者からの質問にもうまくお答えできないことがあったが、今後は貫名氏が頒布してくださるそうで助かる。注文してあった薄型ギヤは納品されたので、現在ギヤボックスの制作中である。換装マニュアルを一部分書き換えねばならない。

 今までは日本製の模型を換装することを考えていたが、韓国製機関車の換装は思わぬ障壁があるそうだ。動輪軸断面が真円でないものがあるという。そうなると、ボールベアリングが入らないこともある。
 模型といえども、まともな工業製品である磨棒鋼を使用してあるものと、そうでないものの差は大きい。正しい磨棒鋼が手に入る国に生まれたことを感謝したい。

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2023年08月19日

続 山川 眞氏の死去

 吉岡精一氏が筆者に山川氏を紹介して下さったのは35年前である。腕が良く、向上心のある方であった。後者が大切である。吉岡氏はOJの仲間の中で山川氏を最も高く評価していた。というのは、例えば見かけ上細かく作ってある台車ではあるが、中でジャーナル部が左右動しても平気な人がいる。これでは、台車が斜めになって走ってしまう。そういう模型が多い中で、山川氏の車輌にはそういうことが一切なかった。
 とにかく、よく走る車輌を作るために、最大限の努力をされる人だった。逆に言うと、そうでない人が多かったのだ。吉岡氏は細密工作自慢会のような運転会がお嫌いだったようだ。だからこそ、吉岡氏は筆者との連携を大切にされた。
 吉岡氏がOJの会合に筆者の3条ウォームの組込見本を持って行ってもほとんど評価されなかったが、山川氏だけは飛び付いて来た。その後売り出された怪しい3条ウォームの不具合で、やる気を無くされたようだった。その頃は筆者は国外に居た。

 その後再会し、筆者の機関車群を見てどうしてもやりたいと言われた。ところがそのOゲージ用ギヤボックスは大きく、OJの台枠にはとても入らない。さりとて、新たに歯車を用意するのは、少々難しかった。
 自宅に招かれ、様々な模型を見せて戴いて、尋常ならざる探究力と工作力の持ち主であることが分かったので、お手伝いしたい気持ちが強くなった。そこで、ギヤセットだけをお渡しし、ギヤボックスの図面を描いて送った。驚くべきことに、その図面通りのギヤボックスをフライス盤で削り出し、素晴らしい走りを実現された。その頃から、山川氏はOJの会合に行く頻度が減ったようだ。逆に筆者とは緊密に連絡を取り、様々な部品や資材の調達、二次加工などを引き受けた。お宅には筆者が東京に行くときに必ず寄るようにし、年に10回程度お会いした。次から次へと作品が完成した。この完成とは、動力改装工事の完了を指す。

Mr,Yamakawa's OJ gauge layout 筆者としては、OJ分野でも動力改造の希望者が増えることを願っていたが、
「それは無理。あの人達は走らせることにあまり興味がない。」
と言われてしまった。山川氏は自宅に30畳程度の運転場を持っていた。そこが根本的な違いであった。
 


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2023年08月17日

山川 眞氏の死去

Makoto Yamakawa 1 山川 眞氏が亡くなった。91 歳だった。お元気だったが、急なお別れであった。凄腕のOJゲージャである。生まれつき耳が不自由であったが、美的感覚に優れ、家業の家具製造で特殊な能力を発揮された。いくつかの有名ホテルでは、今だにその家具を使い続けている。

 裕福な御家庭に育たれたので、昭和20年代の特急列車には一等から三等まで全て乗り、トイレの中まで写真を撮られたそうだ。カツミ模型店で発売になった部品には、山川氏が原型を作ったものを量産したものがたくさんあった。

Makoto Yamakwa's engine 車輪は鋳型を作って特注し、台車、床下器具は詳細な調査によって精密に作られた。客車区には日参していたそうだ。これは動く資料集と言っても過言ではない。多くの車輌を作られたが、ほとんどがスクラッチから作られている。マイフォードの旋盤を使いこなし、蒸気機関車を次から次へと作られた。板バネは作動して曲がるように作ると、静かになるということを実際に作って示された。これはOJのお仲間には理解されなかったようだ。そういう意味でも客観的な方であった。

 例の怪しい三条ウォームにはかなり投資したが、全て無駄になって、筆者のところに助けを求めて来られたのは10数年前だ。正しいウォームギヤをお渡ししたら、あまりにもよく動くので興奮して、泣いて喜んだというのは大袈裟でなく、本当である。大量に採用したいとおっしゃった。

 のちに筆者のOゲージ用のギヤを薄く削って OJ用に作り替え、新ギヤボックスを作りお渡しした。結果は素晴らしく、
「今まで何をやっていたんだ!時間と金の無駄だった!!」と、残念がられた。
 たくさんの機関車を改装し、嬉しそうに走らせていらしたのは、つい三年前である。その静かな走りには満足されていた。また、反トルクの処理を、今までほとんど誰も研究しなかったことに対する怒りはなかなか収まらなかった。

 耳が聞こえないのに静かさをどうやって知るのかは興味深い。手の平を線路に当てるのである。うるさいものと静かなものを識別する能力は凄かった。当博物館にいらして、その静かな運転を”体感”し、「驚異的な静かさだ。」
とおっしゃった。 
 運転会に参加されて、車輪が振れている模型を見ると顔をしかめ、「話にならん。」とご立腹であった。そういう模型はよくあったのだ。  


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2023年08月13日

続 高効率ギヤ搭載機関車の展示

 どの様な展示になるのかは当方には全くわからない。観客が見たいものが何か、は貫名氏が考えてくれてあると思う。 
  
 重い列車をじわりと牽き出す様子、坂の途中で再起動する様子などを見せてくれると面白い。先にご指摘のあった、押して動き、前照灯が点くという場面も面白そうだ。 

 貫名氏は工学を修めた方なので、この種のメカニズムのキモは確実に押さえている。解説は正しく、観客の知りたいところを確実に見せて下さると期待している。

 今年もあの怪しいコンテストはあるのだろうか。低速、高速の話だ。負荷無しでやるのは小学生程度だと書いて、非難轟々かと思ったが、実際には「よくぞ言ってくれた。」という御意見をたくさん戴いている。やはり、分かる人は分かっているのだと安心した。

 重負荷での挙動を評価するコンテストがあれば、この歯車を装荷した機関車は、どの分野でも上位を独占するだろう。効率が高いということはそういうことなのである。 

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2023年08月11日

高効率ギヤ搭載機関車の展示

 貫名氏のお話では、近々開かれるJAMの会場内で、貫名氏とお仲間の皆さんが高効率ギヤ搭載機関車の運転を披露するそうだ。場合によっては、押して動く場面を目近で見ることができるだろう。

 貫名氏達は、すでに多くの機関車を換装されている。その動きには大変満足され、このメカニズムをより多くのファンに知らせたいということである。このメカニズムの露出を増やして欲しいとお伝えしたところ、この様な事になって望外の喜びである。

 これは開発者としては身に余る光栄である。筆者自身はHOには疎く、このメカニズムの換装促進には全く寄与できない。しかし、今回それが、購入者によって行われる、というのはとても嬉しい。

 このギヤには某大手が触手を伸ばして来ていたが、結局のところ業務縮小で立ち消えとなった。もう3年ほど前に接触できれば、また異なる展開になったであろう。

 現在のギヤはギヤボックスの幅が十分狭いとは言えないので、既存の台枠に無調整で入るわけではなかった。近々、より狭いものを発表するので、換装はかなり簡単になるだろうと思われる。 

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2023年08月05日

続 若い見学者 

 彼は3条ウォームギヤの効率について、あまり知識がなかった。押して動く程度のものだと思っていたようだ。
 音がするようなウォームギヤはまがい物であって、存在すべきものではないことを強調した。

 現物のギヤボックスを実際に触らせて、感想を聞いた。
「これがウォームギヤとは、とても思えない」と言う。機関車がするすると押せて、前照灯が点くのにはかなり驚いたようだ。

「このギヤセットだけ分けて下さい。」と頼まれたが、それはお断りした。ギヤボックスとボールベアリングのセット、それと高精度シャフトの組でなければ売らないことにしている。そうしないと怪しいギヤボックスを作って、「動かない!、インチキ商品を売付けられた!」ということになってしまうからだ。これには過去に苦い経験がある。高名な模型人だから分かっているはずだと思ったのだが、実際にはその方は小学生程度の理解しかなかった。

 このギヤのバックラッシについて、話をした。潤滑油が通る程度しか隙間はない。モリブデングリスの塗布についても説明した。潤滑油なんてなんでも良いのだと思っている人も居るから、そこは特に注意した。完全密閉のギヤボックスが必要である。
 模型用の歯車ではなく、精密機械の歯車であることを認識してもらわねばならない。つい先日も、訳の分からない人が「歯車だけを売れ」と言って来たので、困った。この人も価格だけを見て買いたいと言ったのだ。怪しいOゲージ用のギヤも最近は高いのだそうで、何でも良いけども、安い筆者のを買いたいのだ。こういう人とは接触を避けているが、下手に断ると「あいつは独り占めしている」と言われかねない。
 
 模型人は自信過剰の人が多いようだ。今まで誰も出来なかったことを、歯車さえあれば自分にもできると思うらしい。このギヤにはかなりのノウハウが有る。全部が設計者の意図の通りに組まれれば、高性能を発揮するが、1箇所でも駄目な所があれば、性能はガタ落ちで作動しない。謙虚さが大切だと力説しておいた。


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2023年07月02日

続 押して動く機関車

 コメントにもあるが、他の多条ウォームの駆動装置は滑らかには動かないそうである。その理由を色々な人に聞かれたが、現物を持っていないのでよく分からない。ただ2つだけは言えることがある。

・歯数が互いに素になっていない場合は、どこかに引っ掛かりがあるとそれが解消されるということがない。すなわち、いつまでも同じところで引っ掛かる。単純な話なのだが、この理屈がわからない人が多いようで、同じ説明を何百回となく、している。すべての歯が相手の異なる歯に当たるようになっていないといけない。極端に高精度の歯車はそういうことを考慮しなくても良いらしいが、ほとんどの実用機械(自動車も含めて)は互いに素になっている。作るとき指定するだけなのだが、これが出来ていないとアウトである。

・ウォーム軸のスラストを正しく承ける様になっていないと引っ掛かる。せっかくスラスト軸受を入れても、ラジアルベアリングと触れているようでは意味がない。これについてはここでも議論されている。
NMB made in Japan HOゲージなら、スラストベアリングを省略してラジアルベアリングでスラストを受け持たせることができる。ギヤボックスは十分精密に出来ていて、無調整で完成する。写真はやや大きな内径 3 mmの溝つき型。許容荷重が大きい。

 あとは先回の記事にあるように、バックラッシを極力減らすことである。潤滑油が回る程度の隙間があれば良く、事実上ガタ無しで良い。開放型ではホコリを巻き込んで駄目になるのだが、こちらの注意を聞かずに開放型にしてしまい、動かなくなったと文句を言ってきた人もある。そういう人には売らないことにするつもりだ。

 I田氏の動画に既存のものとの比較がある。差は大きいようだ。探し出せないが、他の動画では押しつけてガリゴリと逆駆動しているのもあった。  

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2023年06月26日

続 高効率ギヤによる走行

 いくつか意見を戴いたが、その内容はほとんど同じであった。改装して走らせているのは関西方面の人が多い。関東で高効率ギヤを使って走らせている実例を見たことがない、というものであった。
 関東にもかなり出荷されているが、実際に装着して走らせたという連絡は、確かに少ない。8月になればJAMがあるので、そこで見られるかも知れないと期待はしているが、実際のところはどうなのだろう。

 このギヤの真価は重負荷のときに現れる。手で押して動くというのは、さほど意味はない。要するに、勾配線も無いようなレイアウトを、軽い編成を牽いてぐるぐる回すだけの人には意味がないのである。平坦線なら、数十輌の貨車、あるいは10輌以上の鋼製客車を牽いてゆっくり発進して止まるのを見せ付けて欲しいものだ。

「ウォームギヤは音がするものだと思っていたが、このギヤはしない」という話が聞こえて来た。初めは、一体何を言っているのかよく分からなかった。彼が言うには、市販のギヤはガリガリ音がするのだそうだ。それはひどい話である。これについて、工学系の友人は、
バックラッシのせいではないかな。」と言ったので、さらに驚いた。
 本来ウォームギヤは、バックラッシが無くても良い歯車である。昔から、ウォームの調整は、少し隙間を空けるとTMSにも書いてあった。今回頒布のギヤボックスではバックラッシをほとんど無くしている。ギヤの精度が高いのでそれを実現できるのだ。 

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2023年06月24日

高効率ギヤによる走行

 高効率ギヤを採用された方から、情報を戴く。非常に評判が良く、開発者としては嬉しい。もっとも、これを新規に開発した訳ではなく、O scale のディーゼル電気機関車用として開発したものを薄くして、HO蒸気機関車用に流用できるようにしただけのことである。とは言うものの、専用ギヤボックスとの組合せができなかったら、ここまで浸透しなかっただろう。3Dの師のS氏には感謝する。

 いくつかの動画がある。まずこの動画からご覧になると良いだろう。実際にレイアウトで走らせている方は少ないらしいので、参考になる動画である。たくさんの動画を発表されている。
 この動画は重負荷でゆっくり起動する様子を写している。高効率ギヤの真髄である。この種の動きは、今までのHO模型ではまず見られないはずだ。筆者はOゲージで40年近く前からやっているが、それを見た人は、「Oゲージだからできるのさ。HOでは無理」と諦めていた。
「いや、できるはずだよ。」とは言ったが、歯車を用意しなかったので、そのままになった。今思えば、ディーゼル電気用は30年以上前からあるので、やる気になっていたら、可能であった。
 今回は I 田氏からの要望で思い切って作ったわけだ。300組作ったが、すでにほぼ完売した。一度にたくさん買う人が数人いて、その人達のグループ内で競って改装したようである。
  
 ヒステリシスの小さい伝達装置で、モータの出力が動輪にそのまま伝わる。だからこそ極めてゆっくりと起動できる。また客車の車輪はHO用 Low-Dで、極限まで摩擦が小さくなっている。
牽かれる車輌の責任」という言葉を導入したのは筆者であるが、最近はあちこちでお目にかかる言葉になったのは嬉しい。


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2023年04月03日

続 高効率ギヤ 

 過去にも何度か書いたが、この歯車の設計にはかなりの時間を掛けている。普通のウォームではない。進み角が大きくなると、ウォーム・ホイールも多少変化する。そのあたりのことは細かく計算した。

 仕様を決めただけで業者に発注して、「設計した」と言い張る人もいるが、それではうまくいかないのは自明だ。
 今回のHOにも使えるギヤセットは、Oゲージのディーゼル、電車用でもある。徹底的な工夫により、極めて高効率で、音もしない。

 先日の来客は、音がしないのには感服したとおっしゃる。音はするはずはないのだが、普通のHOのウォーム・ギヤセットはやかましいと言う。何か根本的なところが間違っているのだ。1条のウォームで進み角が小さいので、ほとんど何も考えることはないが、音がするそうだ。

「かなりのノウハウが詰まっているのですよね。」とその来客は感想を述べられた。確かにそれはあるが、それは本を読んで計算を繰り返しただけで、筆者自身の発見ではない。これは、良いものを作ろうと思えば当然するべき努力である。コンピュータに数式を入れてグラフを描かせ、効率の計算をしたと信じる人も居るから困ったものだ。

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2022年11月14日

乗越カルダン

乗越カルダン 電車の台車を作り始めた。近鉄電車はもともと大好きであったので、それを作らないかという誘いに乗ってしまったわけだ。

 台車は当然3Dプリントで、ナイロン製である。適度な細密性を持ち、最高の動力性能を持たせることが狙いだ。こういうものは試作が重要である。3D図面の上で検討しても、思わぬ伏兵があるものだ。これは3次試作品である。ようやく、他人に見せてもあまり恥ずかしくない形にはなったが、まだまだである。

 乗越カルダンで、1軸伝動だ。これで2輌牽ける。もちろん相手が「Low-D + ボールベアリング装荷」の場合だ。両軸モータであればその倍ということになる。例のジョイントを使っている。これはやや怪しい作りのジョイントで、角速度がどのようなグラフになるのかと問い合わせたところ、「わかりません」ということだった。要するに考えていなかったのだ。当初のカタログには「等速」と謳っていたので、それは削除すべきであると伝えた。
 とりあえず、前後対称に曲がるように使えば等速になるはずではある。
 

センタピン保持 キングピンは軸を通すので二股になる。それも3Dプリントで作ったが、底に孔があいているので弱くて、加工中に割れてしまった。とりあえずブラス片からフライスで作ったが、手間がかかるものだ。改良品を発注する。

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2022年11月08日

続 ある装置

 昨年のKKCの総会で、筆者の慣性増大装置付きの機関車を披露した。短い線路の上でまずまずの走りであったが、電源装置に問題があった。中点OFFなのだが、惰行させるには線路が短か過ぎて、操作が難しい。ところが、この逆起電力キャンセラを搭載すれば、何も考えなくても、惰行の途中で逆転ブレーキを掛けられる。テンダに内蔵されたフライホィールからのエネルギィ放出を、動輪の逆回転で行うことができるのだ。これは今までは、かなり広い場所でないとできなかったのだ。
 秋のKKC総会でそれを披露することになった。

 機関車自体はほとんど見かけ上の変化はない。あと、HOの機関車に3条ウォームを搭載したデモンストレータを持っていく。現物を触って、その効果を確かめられると良い。内野氏の作品も高効率ギヤに取り替えてあるものを持っていく。

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2022年11月04日

ヒステリシス

 histeresis ヒステリシスは、物理の時間に出てくる。磁気ヒステリシスという言葉に記憶がある方も多いはずだ。

駆動ヒステリシス この模型の挙動をグラフにするとこうなるだろう。印加電圧を横軸に、動輪回転数を縦軸にとる。分巻特性のマグネットモータだから電圧で問題なかろう。通常型の場合は、ある程度の電圧を掛けないと動かないから、原点からしばらくは横に行く。伝達部の様々な障碍を乗り越えると、途端に回転が始まり、その速度は大きい。その後は滑らかに加速していくだろうが、起動時の挙動は面白くない。減速時は起動時ほどではないが、あるところで突然止まってしまうであろう。
 逆転時は、これまた困ったことが起こるかもしれない。「往きはよいよい、還りはこわい」で、そう簡単には動かないかもしれない。このグラフではそれを強調している。
 実際には、このグラフが逆になっていることもあるだろう。すなわち後退はよく走るが、前進はちょっと…という場合である。

 一方、「高効率ギヤ + 六角ジョイント + トルクアーム」では赤線のようになる。囲まれた部分の面積は小さい。この面積(積分値)は損失に比例する。
 損失は少ないに越したことはない。


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2022年11月02日

高効率機関車の挙動

 友人が、高効率歯車を搭載した機関車を運転した感想を伝えて来た。一言で言うと、スロットルの廻し具合と、機関車の動輪のトルクが一致するのだそうだ。

 比較的急な勾配で、ある程度の負荷を牽かせると、途中でスリップして止まってしまう。普通ならそこからの再起動はできない。動輪が滑るだけで列車は止まっているはずだ。  
 ところが高効率ギヤを付けている場合は、ゆっくり再起動して、動輪の再粘着により、少しずつ引っ張り上げて行く。滑ればスロットルを戻し、少しずつ引き上げることが出来るという。
 通常の動力装置であると、電圧を上げてもなかなか動かず、ある程度の電圧をかけた瞬間に回転を始め、スリップして摩擦係数が減るので動き出せない。再度止めて起動しても、結局は同じ結果であるらしい。 

 この様子を別の工学系の友人に説明したところ、興味深い言葉が出てきた。
「つまり、通常型の場合はヒステリシスが大きいのだね。」

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2022年09月14日

1番ゲージの車輌群

#1 gauge in Toyota (1) A氏は1番ゲージの車輌群を、スクラッチから作っている。それらは全て押して動くようになっていて、なおかつ慣性増大装置を付けている。


#1 gauge in Toyota (3) 筆者のOゲージ用3条ウォームを購入し、巨大なフライホィールを廻すので、その慣性は信じられないほど大きい。作った本人が、「動かないので、ギヤがロックしていると思った。」ほどである。
 慣性質量は500 kg相当である。軽自動車より重いので、押しても動かないと感じたのは当然であろう。

#1 gauge in Toyota (2) A氏は機械工学の専門家であり、工作にはその知識が散りばめられている。ご自宅の庭に大きなエンドレスの線路を敷いて、長大編成が走る。ワインの瓶が積荷であるところが面白い。


#1 gauge in Toyota (4) 先日、豊田市の科学体験館という博物館で子どもたちを相手の体験運転を披露されたので、招待戴いた。重い列車を徐々に加速して行くのは見ていて楽しい。止めるのは、発電ブレーキである。


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2022年09月12日

HOのギヤボックスの見分

3-thread worm gear 友人がHO用として売られているギヤを見せてくれた。よく売れているそうだ。ところが、彼の知り合いの博物館の人が、「すぐダメになる」と言うので「どうしてだろう」と、筆者に見分を依頼してきたのだ。

 開けてみて驚いたのは、3条ウォームギヤが入っていたことだ。その割には押しても動きにくい。多少は動くが、動きは渋い。
 しかし、じっくり見ないと3条ウォームには見えない。進み角が小さいからだ。なぜ小さいか、よく考えてみよう。

  以前にも見かけたが、太いウォームに3条を彫っても、細い1条の普通のウォームと進み角は大差ない。どうしてもっと細いウォームを作らなかったのだろう。それは軸の太さに拘っているからである。

 軸が Φ2 もあるのだ。これではダメだ。軸と一体にしてギヤを細くすべきであった。そうすれば、進み角は大きくなる。

 博物館での連続使用でダメになる理由だが、それは進み角の小ささによる低効率から来ているのだろう。摩擦熱が大きいので、POM製のウォームホィールが融けるのでは、と推測する。また、グリースがたくさん入っている。多すぎるのではないか。その撹拌抵抗だけでかなりの損失である。スラストを受けるボールベアリングもない。
 設計は元KTM社員のT川氏らしい。彼とは親しかった。どうして筆者に相談してくれなかったのだろう。いくらでも助言をしてあげたのに。

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2022年08月15日

続 Loctite を使う

2-piece gear boxes for diesels このギヤボックスはアルミ合金製である。15年ほど前、友人のY氏に作ってもらったものだ。Y氏は腕の良いフライス工で、大きな機械を使って素晴らしい精度の加工をする。飛行機の部品も作っていた。
 3条ウォームを使って精度の高いギヤボックスを作りたかったので、お願いした。飛行機に使う材料で作ってくれ、極めて剛性の大きなものができた。

 製品は黒染めしてあったせいか、誰もアルミ合金製であるとは思わなかった。プラスティックの成形品だと思ったようだ。それほどツルツルピカピカであった。素晴らしい性能を示し、このギヤボックスは例のテンダの動力ピックアップに使った。極めて滑らかな作動で、無音である。わずかにチェインの音がするだけである。

 このギヤボックスの唯一の欠点は、2ピースであったことだ。動軸の中心を通る面で分割し、3ピースにするべきだった。このままでは側面からのネジが締めにくい。

3-piece gear box for diesels 左右から締めてから底蓋を締めると、無理なく締められるし、蒸気機関車のように車輪がはずれない場合の駆動にも使える。
 これを薄く作ったのが、今回のHO用ギヤボックスである。

 時代の進歩で、3Dの成形品の精度が高くなると同時に、経年変化がほとんど無い樹脂を使うことができるようになった。 価格は格段に下がり、全ての機関車を改装して滑らかな動力化が可能になる。
 今回、100軸のギヤを組み立てた。たくさんあったボールベアリングが払底した。  

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2022年08月07日

音のこと

 蒸気機関車から歯車音がするのは絶対に許せない。

 なぜウォームギヤを使うのかを考えてみたい。まず、直角伝導だから、大きなモータが使える。ギヤ比が大きく取れるから模型用としてはコストの点では大きなメリットだ。

 忘れてはいけないことに、ウォームギヤでは音がしないということがある。ウォームギヤ以外では、必ず音がする。ウォームギヤは無音である
 筆者の動力増大装置は、3条ウォームギヤを使って、ウォームホィール側から廻して、動力ピックアップをしている。ここで普通のギヤを使うと、音を消すことは極めて難しい。ウォームギヤは逆駆動しても音は出ない

 今回希望者に頒布した3条ウォームは、とても静かである。無音であると言っても差し支えない。歯車の仕上げ精度が素晴らしく良いのだ。
 HOでは車輪はブラスの挽物にニッケルめっきが主流だろうから、転動音はするだろう。しかし動力装置の音は聞こえないはずだ。

 音のするウォームギヤセットには問題がある、と断言する。その問題とは、歯型のことである。
 進み角の大きなウォームギヤには、特殊な歯型が必要であるが、そんなことにはお構いなしで作ったものもあるようだ。自分で計算せずに人任せで作ったもののようだが、お話にならない出来であった。

 平歯車では、ピニオン(小さな平歯車)の歯型は相変わらずひどい。13枚歯以下のものは考えねばならない。


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2022年08月01日

続々 高効率ギヤによる改装報告

 US氏は技術系の方であるので、説明しなくても正しい分析をされている。当初M0.6と書かれたので、「進み角を忘れていませんか。」と書いたら即座に反応されて、M0.5と書き換えられた。こういうところにピンと来る方であるから、分析は客観的である。 

 いまだに、「ギヤ比が低いから最高速が…」という揚げ足を取る人が居るが、それは今までの低い効率の動力伝達装置しか見たことがない人の推論である。
 US氏は、「実際に交換してみると、同じモータであるのに、従来の1条ウォームより低速が効く」とおっしゃる。他の方からは、「高効率」の意味が初めて分かったという感想も来ている。

 例の「犬に馬車を牽かせる」話については、US氏は次のように解釈された。
 従来の方法では動かせなかったものが、高効率ギヤでは動かせるので、犬でも馬車が牽けるとも言える。しかし、モータのトルクが小さく、低速が安定しないときはDCCで補正するのが実用的だ。
 しかし、従来の1条ウォームで低速走行が安定しないようなモータでは、高効率ギヤに替えても芳しい結果は得られない


 正しい能力を持った方が分析されているので、これをお読みになって着手しようと決断される方が多くなれば、それは喜ばしい。食わず嫌いの方もいるだろうが、困るのはそれを吹聴する人が居ることである。
 最近はウェブ上で各種の知識が容易に得られるので、US氏の意見のような客観的な情報に接する人が増えてきた。すなわち、より客観的になってきたわけで、望ましいことだ。

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2022年07月30日

続 高効率ギヤによる改装報告

 次はUS氏の感想である。

 想像以上の静かさと滑らかさで、高速から低速まで安定した走りでした。負荷に応じた速度の変化が見られ、実物に近い運転感を楽しめます。牽き出し時はスロットルをゆっくり回さないと空転するのも実感的です。
 スロットルの動きと列車の動きが異なっても、車両の慣性や走行抵抗を感じられるので集電不良のような不快感はありませんでした。

 DCC運転では負荷による速度変化が抑えられて安定した走行になり、低速での安定性も向上しました。3条ウォームは1条ウォームより減速比が小さいので低速時の安定性が心配されましたが、コアレスでなくてもトルクがあるモーターなら低速も問題ないことも分かりました。

 自動運転を楽しむにはDCCが有利ですが、個人的にはアナログの方が、運転は面白く楽しいと感じます。


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2022年07月28日

高効率ギヤによる改装報告

 HO用ギヤセットを購入された方から、次々と改装の報告が入る。
 まずMS氏の報告から。

 中村精密キット組みの旧作8200の動力系を換装しました。
動輪の軸バネはコイルで硬かったので、「続・蒸機を作ろう」誌掲載の高木幹夫氏の記事を参考にして、リン青銅バネに取り換えました。モーターは「I田氏」のブロクで推奨の17x25コアレスモーターを採用、吊掛け式とし、ジョイントは当然ながら六角ジョイントです。結果は上々で、単機で2 V、0.2 A前後で起動、平地でブラス製客車14輌を牽き出します。機関車を手で押すと、軽く転がります
曲線(750R)でのスピード低下はありますが、PowerPacのつまみを少し上げる程度で気になるほどではありません。急なパワーオフで、客車に押されて数十cmは惰行します。換装時のポイントはモーターの選択と車両側の軸受けの改良(今回バネだけですが、車軸受けもベアリングないし樋状軸受けにするとさらに良いかもしれません)、ウェイトによる補重と重心調整と考えます。HOでは、モーターおよび動輪径の制約から小型機への装着は難しいようで、大型機に長大編成を牽かせる状況がベストな印象です。
ブラス製客車 + ケィディー・カプラです
と、牽き出し時に実物の自動連結器のような挙動も楽しめます。最近はプラ製客車が出回っているので忘れてしまっていましたが、再発見でした。 

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2022年07月12日

EMDの機関車群 2

EMD GP15 (3) これらはGP15である。1980年代に増備された。この機種は排気タービンも、ダイナミックブレーキも無い。    
 この機関車は古いGP9を引き取って、エンジン、発電機、モータを取り替えたもので、台車は古いものを使っているものが大半だが、中には軸箱にオイル・ダンパを付けているものもある。
 この機種も先回のSD40T-2と同じく、冷却用の吸気口が下にあり、素抜けている。トンネル内の熱気を避けるためではないが、同系統だと主張する人もいる。
 
EMD GP15 (1) この機種を 3輌同時に求めた。スワップミートで安価なジャンクを買ったのだ。驚いたことに、2つのボディはエッチングが裏表逆のところがあり、そのままでは組めない。だから捨て値だったのだ。細かく調査すると、一部を切り離して逆に組み、残りをスクラッチから作れば製作可能と判定された。捨てる部分は未練がましく持っていると、勘違いしそうだったので、切り刻んで捨てた。

EMD GP15 (2) 10年ぶりに組み始めた。キャブ部分は諦めてスクラッチから作るべきだったと、後悔した。大変な苦労をして形になった。2機種作ることにした。UP仕様とBN仕様である。どちらもそれほど正確ではないが、仕方がない。これらは床板の形、側面のモータ・ブロワのダクトの形が異なる。 
 床板の前後端には 2.4 mmの板を貼り重ねる必要がある。運良く見つかったその太さのインチ材の角線を貼る事によって解決した。

 床板の前後を補強するのは必須である。軽衝突で修復不能になるのを回避する。先回のKTM製は衝突でパイロットがめり込んでいた。切り離して別部品と取り替えた。その種の部品は、アメリカ製の代替品のストックが有る。前後が微妙に異なるものが出来たが、snow plow スノウプラウで隠れて見えない。 

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2022年07月06日

続々々 高効率ギヤへの換装報告

 そもそも、HO以下の模型に新ギヤを取り付けることは、筆者の想定外のことであった。そのような要望があって驚いた、というのが本音である。     
 Oゲージ用の歯車を薄く削ったものを作り、試作品として供給した。ギヤボックスは新規に起こした。幅が少々苦しく、シールド型ベアリングが使えないので、ギヤボックスの形を工夫して、ゴミが入りにくい構造にした。それが一次試作である。その後何度か改良して現在の形に至る。

 とにかく、なんとか収まれば良いと形を決めたので、イコライザ装備の模型等には、苦しい寸法だそうだ。筆者はHOの模型を持たないので、それについては配慮が足らず、反省すべき点もある。しかし、イコライザを付けている方はクラフツマンであろうから、その点はご自分で工夫されるだろう。例えば、軸箱とギヤボックスを一体化するという手もある。

 13 mmゲージにはギヤボックスを自作しないと使えない。その写真を見せてもらうと、なんとウォーム前後のスラストの処理がなく、ギヤボックスは開放型であった。具合が悪いとのことであった。それは当然である。
 すぐに要点を伝え、作り直して戴いたら、調子が良いとのことである。このブログに写真が載っているが、これは撮影時に蓋を外して中を見せているもので、実際は密閉型だそうだ。この歯車は模型用の精度の製品ではないから、わずかでも埃を噛むと、性能が著しく落ちる。 

 小さなモータでうまく動かないという報告もあるが、それに対してこんな比喩を送ってくれた方があった。
「犬に馬車を牽かせるようなもので、調子が悪いと言って、DCCを御者にしようとしていますね。」 
 なかなか良いところを突いていると思った。そろそろお止め戴くようにお願いしている。犬は死にそうだ。 

 櫻井氏からの情報では、例の低速モータはここで手に入るそうである。このモータが収容できる機関車の換装を考えていらっしゃる方には、お薦めする。

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2022年07月04日

続々 高効率ギヤへの換装報告

 最高速の考察も、たくさん戴いている。一番多いのは、
「12Vを掛けて走らせることはあまりない。」
ということである。しかも無負荷というのはありえないそうだ。これは筆者の意見を補強している。

 高効率ギヤを装着した機関車で、重い列車(輪軸を改良したもの)を牽くと、実物のような牽き出しができるそうである。電圧を徐々に上げると、あるところでスリップするので、少し戻すと再粘着する。そして電圧を少し上げるということを繰り返すと、牽き出せてしまうそうだ。
 今までの非効率な模型では、牽き出し時に余分な電圧を掛けざるを得ず、止まっているか、動いているか、どちらかのクリティカルな動きをしていたのだろうと推察する。だから牽き出せない。新ギヤでは、じわりとトルクを掛けるということが、できるようになった、ということである。

 当然のことではあるが、新ギヤボックスを付ける前の段階の改装で、「トルクアーム + 六角ジョイント」の効果に驚いた、というお知らせをたくさん戴いている。
 ゴム・ジョイントと怪しい継手で、モータ出力の半分を失っていたのだろう。素晴らしい性能アップだそうだ。何も他にしていなくても走行性能が劇的に良くなり、「天地がひっくり返ったような衝撃を受けた」と書いて来た人が居る。

 考えてみれば、戦後すぐから、70年以上も何も進歩していなかったのだ。ゴム・ジョイントがシリコーン・チューブに変わっても、駄目なものは駄目なのである。もう、皆さんはお分かりになったとは思うが、どなたか、客観的な比較実験をしてくださるとありがたい。
 Oゲージの模型を作っている人は、この不具合が気にならない人がいるらしい。これも大きさの効果である。大きなものは柔らかいのである。

 六角ジョイントは作るのが簡単である。さほどのノウハウはないが、材質には注意すべきだ。POMまたはナイロンで射出成形すれば良い。どこかのメーカが作ってくれれば、こちらも助かる。

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2022年07月02日

続 高効率ギヤへの換装報告

 このような感想も戴いている。

 送付いただきましたギヤをフジヤマ製の4-8-4に装着し、あまりのギヤの滑らかさに感動いたしました。手持ちのコアレスモーターとの組み合わせでは、アナログの電流計がほとんど振れないほどです。
 また、いただいた詳細なマニュアルは誠にありがたく、無事に取り付けることができました。当初69インチ以上の動輪径のみを置き換えようと考えておりましたが、小さな動輪径の機関車も含めて変更したいと思います。


 おそらく、今までのゴム・ジョイントを使い、スラスト処理のない開放型ギヤボックス、トルクアームなしの状態だったのだろう。それから考えれば、とてつもない変化である。 


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2022年06月30日

高効率ギヤへの換装報告

 頒布した高効率ギヤを取り付けた方々から、次々と報告を戴いている。賛辞を戴くのは嬉しい。
 ここで何度も書いたので、最近は「逆駆動できるギヤ」という表現が減ってきたのはありがたい。

 動画を送って下さった方が多い。良く走るさまを皆さんにも見て戴きたいとのことであったが、動画の形式が異なり、ここではお見せすることができない。Youtube での公開を待とう。 

AT&SF3760 まずは櫻井成道様の作例である。古い United製 のAT&SF4-8-4に組み込んである。モータは以前紹介した12Vで2400 rpm(実測)のΦ22、32 mm長のコアレスモータである。
 単機でも惰力で30 cmほど動くそうである。動きの悪い客車13輌を牽いたので満足している、とある。 

 このモータは大型蒸機には最適であると貫名氏から、お墨付きを戴いている。

 小さなモータを付けて、牽けない、とか登り坂で遅くなる、などという意見もたまに来るが、その他の方は概ね肯定的である。
 高効率であるということは、モータの出力が直接動輪の回転に表れるということである。登り坂では過負荷である。小さなモータでたくさん牽けないのは当然で、実物でできないことを、模型にさせる必要はない。

 今までの模型は低効率の動力伝達装置でモータの出力を大半すりつぶしながら、モータをフル回転し、そのごく一部が連結器から出力されていたに過ぎない。だからDCCの補正効果が顕著であった。
 少し考えて、最適のモータ、最適の負荷(付随車の輪軸の改善)をすれば、素晴らしくよく走る模型になるのである。中学校の理科の時間に戻って考えてみてはいかがだろう。

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2022年05月27日

蒸気機関車の吊掛け駆動

 本来の吊掛け駆動(平行にモータ軸を搭載)を蒸気機関車に応用するのは、極めて困難だ。直角駆動にせざるを得ない。そうすると、モータはかなり後ろに付き、モータの質量はほとんど台枠の上に載る。こうなると、完全浮動のトルクアーム方式とほとんど変わらないが、分解時にギヤボックスはモータと共に外さねばならない。そういう点では分解の楽なトルクアーム方式が気楽だ。モータの差し替えが自由だからだ。ちなみに、トルクチューブであればもっと楽に外せる。

 また、ギヤボックスをモータと完全に一体にするのは、難しい点が多い。ギヤ軸、モータ軸の同心性が確保されるか、が問題である。長い軸を持つモータが手に入れば良いが、そうでなければ諦めるほうが良い。
 ある人が、
「ギヤにモータ軸の先を入れて固着し、ギヤの反対側に別の軸を挿してはどうか?」
と聞いてきたが、お答えしなかった。失敗する確率が高い。このギヤは極めて高精度である。微妙な心振れが大きな不具合を生じる可能性がある。ギヤボックスは浮動させるのがベストだ。すなわち、トルクアームを使うのが、本来の使い方である。
 どうしても吊掛け型にするときは、貫名氏のような方法で、モータに固着し、間を六角ジョイントで結ぶことだ。

 六角ジョイントの効果が想像できない人が多いらしい。すなわち、ゴムジョイントを用いる方法でも十分に良いと思っているのである。六角ジョイントを用いた駆動方式の動画をご覧になるべきだ。この例では軸がかなりの角度で向き合っており、ゴムジョイントでは伝達不可能な条件だが、それでもこんなに軽く動く。お勧めはしないが、可能な範囲が広いということはおわかりだろう。

 先日、新ギヤシステムの実践者が来訪されたので、感想を伺った。はじめはギヤボックスだけを取り替えて走らせて、かなり改善されたと思っていたが、六角ジョイントに付け替えたところ、劇的な変化があったそうである。多少曲がっていても、 引っ掛かることが全く無くなり、電流値が激減したとおっしゃる。


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2022年05月21日

改装された方々の感想

 貫名氏は、はじめ少数の機関車改装を考えていらしたようだ。試しにやってみたら、意外な結果だったようで、極めて調子が良かった。メイルで、その時の感想を知らせてくれた。
素晴らしい走りです。これまで動力装置を色々と試してきましたが、これ以上のものはありません。
 その後ギヤセットをたくさん購入して、次々に改装されている。
異次元の走行が手に入るというのが、モチベーションになります。
とあった。お気に召したようで嬉しい。

 他の方からも完成させて喜びのメイルを受け取っている。その方はFujiyama製の4-8-4に装着されたようだ。
あまりのギヤの滑らかさに感動いたしました。手持ちのコアレスモータとの組合せでは、アナログの電流計がほとんど振れないほどです。」 
とある。おそらく今までは消費される電流の大半が、ゴムジョイントの前後で浪費されていたのである。トルクアームの効果は、歴然たるものがある。

 このような感想も戴いている。
手押しで動く機関車は、50年近い鉄道模型歴でも初の経験で、空走させたり、発電によって前照灯を点灯させたり、といろいろ楽しんでいます。

 外観だけで満足することなく、走りの改善をすることがいかに大切であるのが、分かったという意見が多い。それこそが、筆者の言いたいことである。このブログの副タイトルそのままである。
  低摩擦、高効率の鉄道模型を追求する



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2022年05月19日

続 貫名氏の換装手順

 貫名氏はたくさんの改装予定機関車をお持ちである。だから、改装を手際よく行えるよう、下準備に時間を掛けている。

 ギヤを車軸の中心に留めるのは、簡単そうに見えて、意外と難しい。ロックタイトの接着力は非常に強く、一度固着したら、まず外せない。エポキシより強い。剥がすのは難しい。250 ℃ほどに加熱すると緩むが、常温ではまず外せない。ボールベアリングの中に流れ込んだり、モータ軸に入ると、修復不能である。
 そういう点でも、位置決めジグは作っておく価値がある。筆者もいくつか持っている。また、ウォームを軸にネジ留めするものだと思っている人もいるが、それは、偏心して騒音の元であるし、効率はガタ落ちである。 

 余分の拭き取りは、極めて大切である。綿棒を斜めに削いだものを作っておき、それにわずかの溶剤を含ませて取ると良い。綿棒にはかなりの種類があり、削ぐと分解してばらばらになるものがあるから、注意が必要である。

 抜き工具は軟らかい材質でなければならない。硬い鋼製のポンチでは相手が参ってしまう。傷がつくと同時に膨らんでしまったり、斜めに凹んだりして、組んでもまっ直ぐに入らない。このあたりのことは機械屋さんならば常識なのだが、模型人にはほとんど浸透していない。以前コンコン改軌という話題を出したが、あまりピンと来ない人もいるようだ。

 ボールベアリングの下には油膜があるべきだということも、ほとんど誰も知らない。こういうことは模型雑誌で周知すべきことなのだが、記事で読んだ覚えがない。
 今回希望者に配布したΦ2の精密シャフトにミシン油を塗って、ボールベアリングを滑り込ませた感想を戴いている。
「本当にぬるぬると入りました。初めての感触で、病みつきになります!」
とあった。このようなシャフトを量産できる技術力のある国に生まれたことを、感謝したい。製造元から買うので、価格は信じられない位、お値打ちだ。ただ、最低ロットが大きい。

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2022年05月17日

貫名氏の換装手順

 早くからの3条ウォームギヤ装着者である貫名氏は、やや簡易な換装法を紹介している。ご許可を得たので、紹介したい。戴いた原稿に少々加筆している。

NK1 動輪の非絶縁側の中心部に、軸と輪心をまたぐケガキ線を入れる。これは復元時に位相合わせをするガイドになるものである。



NK 2 非絶縁側を外す。これはプレスで押し抜く。決して叩いてはいけない。片方の軸箱を外し、ウォームホィールを露出させる。これも押し抜く。プレスがないときには、ボール盤に短い押し棒を付けて押す。支えは頑丈なものを用意する。押し棒は軟らかいブラスあるいは銅の棒を用いること(この頑丈な鋼製抜き台は、今野氏に頒布して戴いている)。

NK 3NK4 天賞堂、鉄道模型社の製品は、軸にローレット(ウォームホィールと動輪を固定するための凹凸が、軸の円周上にある)が3箇所切ってあるので、片側から、2箇所を旋盤に銜えて削り取る。太さを調べながら、細かいヤスリを当てて削り取り、ボールベアリングがぎりぎり通る太さにする。軸端が段付きの場合は中央の1箇所を削るだけで済む(この写真の韓国製模型の場合は、中央1箇所だけである)。

Jig 新ウォームホィールを所定の位置で留めるためのU字型ジグを用意する。これはボールベアリングを逃げた内径に作るべきである。ボールベアリングを嵌めてから、ロックタイトを塗り、ウォームホィールを滑り込ませる。

 はみ出したロックタイトを少量の溶剤を付けた綿棒で拭き取り、ミシン油を塗ってボールベアリングをもう一つ滑り込ませる。先に嵌めたボールベアリングの軸との接触面にも、ミシン油を沁み込ませる。ボールベアリングは油膜で浮いた状態が正しい

NK6NK5 非絶縁動輪を軽く嵌めて、付けた傷を基に、位相を合わせる。ロックタイトを塗って、プレスで締める。余分のロックタイトを拭き取る。動輪を締めるときに、バックゲージが一定になるようなジグ(上のジグの厚いものであり、ギヤを逃げるように大きな切り欠きが必要)を作っておくと、作業は楽になる。

NK7 少量のモリブデン・グリースを全周に薄く塗り、ウォーム軸の嵌まったギヤボックスをかぶせてから、底蓋を閉める。これで完成だ。この機関車は 2-10-4 であり、火室は長大である。この写真から判断すると吊掛け式ではあるが、モータの重さはほとんどギヤボックスには掛からないから、トルクアーム式に近い。このモータは、例の低速モータである。

 この方法は、位相を決める操作が省略できるから、非常に簡易である。ただし、プレス、あるいはそれに代わるボール盤などが必要だ。または口金が平行に締まる万力でも良いが、その万力の口金は研磨されていることが不可欠だ。


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2022年05月15日

不可欠なこと

 要点は次の3点である。

反トルク承けを付けていない機関車は、まともには機能しない。モータ出力の一部あるいは大半が、モータ軸受部のスラストの摩擦で消費される。また、ゴムジョイントの内部の損失に費やされる。 

・反トルク承けが付けば、ギヤボックスは完全に浮動させることができる。モータ軸との動力伝達は、何らかの自在継手によらねばならない。スペイスがあれば、伸縮できるユニヴァーサル・ジョイントで良いが、狭いところに入れるには、六角ジョイントが良い。

・普通のギヤボックスのウォームの前後に発生するスラストを確実に処理する事が必要である。これさえできれば効率はかなり上がるのだが、実際にはそのスペイスがない。今回頒布のギヤボックスはコンパクトにまとまり、組立ては容易である。
「押して動く」を喧伝するのは結構だが、その前にこのギヤセットの伝達効率の高さに気付くべきである。無音の動力伝達が可能である。ギヤ音のする蒸気機関車が存在するわけがない。 

 効率の良いギヤセットだから、押して動くのである。押して動かすのが主目的ではない。正しい歯型、適正な研磨、正しい潤滑、正確なギヤボックス内での組み合わせ、がないと、このような性能は得られない。  


 たくさんの問い合わせを戴いているが、動輪の嵌め外し、位相合わせの道具、またはテクニックをお持ちでない方には、直ちには薦められない。友人に可能な方がいれば、依頼すべきであるし、ご自分でやろうとすると、それなりの投資が必要である。プレスを使わないと失敗する
 換装マニュアルを配布している。ご希望の方はコメントの本文に連絡先を書いて投稿されたい。

 一番良いのは、腕に自信のある方が適価で換装を請け負うことである。決して難しいことではない。次回はその簡易な方法を紹介する。 

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2022年05月13日

続々 作用・反作用

吊掛式 吊掛け式は、このようなものである。モータの反トルクは内部で解決し、外には現れて来ない。すなわち、この方式では、吊掛けアームはモータのトルクでねじれない程度の剛性を持たねばならない。モータのトルクは知れているから、適度な厚さがあれば十分だが、減速後のトルクは大きいので、その反トルクで長手方向が折れない程度の強度は必要だ

 さて、動輪の回転による反トルクはどこに来るだろう。それはこの吊掛けアームの最後端である。主台枠には1点で接するようにするのが理想的だが、実際には難しい。ゴムブッシュなどで緩やかに留めると、動輪が片足持ち上げたときに、不都合がない。

 このとき、モータ軸とウォームギヤ軸をゴムジョイントで結ぶ人が多い。このとき、全く問題が起こらないのは、極めて稀なことらしい。ゴムへの差し込み具合とか、わずかな軸ズレ、ゴムチューブ自身の曲がり等があるから、調整は極めて難しく、静かに走らせることはとても難しい。

 だからこそ、その全てを一挙に解決する六角ジョイントが有効なのだ。

 実例を見てみよう。I 田氏の作例を参考にさせて戴く許可を得た。
P1100544 この例は、理屈通り剛性を高めた構造である。途中は六角ジョイントで結んでいる。このジョイントに出会う前は、かなり調整に苦労されたようだ。このように述べられて、性能向上を実感されている。

 シャフトの伸直性確保・偏心の解消など、ゴムジョイントの調整に苦労したD52の換装とは違って、モーターを付けたままでの逆駆動も簡単に実現。

 
この図も1976年のNMRAの会報から切り出して編集している。

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2022年05月05日

続 来訪者

 TN氏は3条ウォームの威力を目の当たりにし、かなり衝撃を受けたようだ。彼の素朴な疑問である。

どうして模型メーカはこれを採用しないのだろう。高いものではないし、やろうと思えば採用できるはずだ。押して動けば楽しい。特に蒸気機関車は、ロッドの動きが見えるのだから、やる価値は十分にある。」 

 その通りであるが、やろうとしているようには見えない。最初から諦めているのか、顧客が望んでいないと決めつけているのかはわからない。今回のものはOゲージのディーゼル機関車用を流用しているので、ギヤ比はやや小さい。すなわち、無負荷では6 V付近でその機関車の最高速度に到達するようだ。DCCなら何の問題にもならないが、アナログに固執する人もいる。列車を牽いて負荷の掛かった状態なら12 V近辺で最高速になるそうだ。全く問題ない。

unnamed 知人から興味深い強力モータを提供戴いたので、装着例を作って戴くべく、経験の深い友人にお願いしている。それは、12 Vで2200 rpmだそうだ。Φ22で、32 mm長の両軸である。前後で軸の太さが異なるのは、ロータリィ・エンコーダを取り付けるのであろう。
 HO用としてはかなりの大型で、4-8-4や2-10-4あたりでないと火室には収容できそうもない。マグネットはかなり大きく、ずしりと重い。これを収容できれば、極めて調子の良い強力機関車になるであろう。

 要は注文ロット数である。コアレスモータは300台の注文ができれば、新仕様のものが発注できるはずだ。強磁界で巻数を増やせば、低速モータは可能である。もう少し小さな物を注文すべく、メーカは考えるべきだ。

 また、換装を引受ける工房ができれば良い。筆者はHOを触ったことがないので不可能だが、その道の達人はいらっしゃるだろう。必要部品は供給できる。

 高性能のギヤを付けた機関車の走行は、見ているだけで楽しいのだ。このギヤは、極めて高精度のギヤである。過去の模型用ギヤの水準を遥かに超えていることは、見れば分かるはずだ。
 コアレスモータを逆駆動するのは容易だが、有鉄心モータは難しい。しかし、それをいとも簡単に廻すらしい。伝達効率が良いということは、ここにも現れる。

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2022年05月03日

来訪者

 突然K氏から連絡があり、
「貴方の高校時代の後輩のTN氏が『博物館を見たい。』と言っている。今日は都合がつくだろうか。連れて行ってあげたいのだが。」
と問い合わせて来た。
 承諾し、来てもらった。55年ぶりの再会である。彼は筆者のブログを読んでいた。椙山氏の話などを読んで、筆者が誰であるか確信したそうだ。 

 歳はとっても、中身は昔のままである。懐かしく語り合った。彼の感想である。
1.路盤が高いのは良い。今までどのレイアウトを見ても、線路面が低く、かがんで見なければ面白くなかった。これは楽に見えて良い。
2.とても静かであるのには驚いた。機関車が無音で走る。貨車、客車、共に極めて静かである。
3. 押して動くのが、ここまで軽く動くとは思わなかった。もう少し力が要るのかと思っていた。最後端を押すと、100輌先の機関車が楽に動く場面には驚いた。
4.走っている列車が慣性で動き続けるのには驚いた。下りではどんどん加速するのは感動的である。
5. DCCによる音声再生は極めて実感的である。

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2022年04月27日

続々 装着マニュアルを書く

 ウォームギヤは、効率が低いと昔から言われている。それは進み角が小さく、ウォーム径が大きいときである。今回頒布のウォームはその点を最良の領域に持っていき、さらに素材の吟味歯切りカッタの新設計で、これ以上ないものを作った。先に戴いた手紙の「これ以上のものはありません。」という感想は、その通りなのである。おそらく、コピィ品が出てくると思うが、その性能を見たいものだ。今回のギヤの製造工場は、非常にうるさい顧客を相手にしているので、そのレヴェルの性能が確保されている。

 歯車を見せると、手に取って返すとき、たくさんあるものの中にポトンと落とす人が居る。これはやってはいけない。傷が付いて取り返しがつかないことになる。精密機械部品を触ったことがない人なのだ。こういう人には売らない。

「ギヤボックスは要らない」と言う人も居るが、精度の高い物を自分で作れる人は限られている。こちらの提供したものを使ってもらいたい。性能の確保は、困難なものなのである。模型人には自信家が多いようだが、完全な直角を出すのは意外と難しいものなのだ。ウォーム軸にはラジアル荷重とスラスト荷重が掛かる。その両方を承ける方法を承知していないと、とんでもないことになる。   
 少なくとも縦フライス盤を持っていない人には、正しいギヤボックスは作れないはずだ。

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2022年04月25日

続 装着マニュアルを書く

 潤滑剤はモリブデングリースを用いる。極圧剤が入っていないグリースでは意味がない。ほんの少しを薄く塗り付ける。”互いに素”の組み合わせだから、一箇所塗れば全体に広がるはずだが、それにはかなりの時間が掛かる。

  シャフトにボールベアリングを嵌めるときは、ミシン油を少し付ける。そうすると、シャフトにぬるぬると入っていく。ベアリングは油膜で浮いていなければならない。もちろんホコリを噛まないように、十分拭ってからの仕事である。ボールベアリングを注油なしで嵌めるとどうなるかは、やってみると分かる。数年たつと黒い微粉が付くようになる。微妙にすり減って、ガタツキが出始めるのだ。油膜は不可欠である。
 
 ギヤボックス本体にネジを立てるが、このネジ立てのあとでリーマを通すのが良い。中の膨らみを取り去ることができるからだ。
 左右を組立て、車軸を嵌めて裏蓋を取り付ける。車軸を廻せば、ウォーム軸がするすると抵抗なく廻るはずである。ウォームギヤは無音で廻るものである。この利点を最大限活かしたい。


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2022年04月23日

装着マニュアルを書く

 3条ウォームを機関車に装着するには、ギヤボックスを組まねばならない。そのマニュアルを書き始めた。

 ギヤボックスは、3D成形時の厚み指定があるから、薄くは作れない。薄くしたいときは外側を 0.5 mm程度は削れる。また、長さ方向はかなり削ることができる。トルクアーム装着用の角(つの)が出ているが、これも切っても構わない。片方がネジ留めできるなら、スーパーXで接着すれば、全く問題ない。

 左右を組むネジは、首下寸法が十分ないと、場合によっては引き抜かれてしまう。材質が金属でないので、長いネジが必要である。特にリーマを通すときは圧力が掛かるので、万力に挟んで軽く締め付けないと安全ではない。ウォーム軸はボールベアリングのアウタレースを直接挟む。そのときに穴の内側がざらついていると、動きがおかしくなる可能性が高い。リーマ仕上げで、つるつるにしておかねばならない。

 ギヤはシャフトにロックタイトで留める。その他の方法は事故のもとである。シャフトにニッパなどで傷を付けて押し込むという荒っぽいことをする人もいるが、それは偏心の元である。またシャフトも曲がる。金槌で叩いて押し込むのは、絶対にやってはいけない。シャフトはマイナス17ミクロンのを特注した。滑り嵌めである。絶妙な固さで嵌まる。位置は何らかのジグで決めておく。固まるまで1分半くらいだ。
 以前、これをハンダ付けした人が居て、「動かない!」と大騒ぎだった。見せてもらうと、ハンダが多過ぎて、歯面にまで付いていた。それをヤスリで削っているのだから始末が悪い。彼は、ギヤボックスというものの意味を知らない。ギヤボックス無しで空中戦状態の噛み合わせだ。これでは動くわけがない。自分の無知を棚の上に上げて、「インチキなギヤ」だと触れて廻った。
 正しい使い方を知っている人にはたしなめられたようだが、それでも懲りずに悪口を言って歩いたようだ。付ける薬がないとはこのことだ。  

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2022年04月17日

新設計のギヤセット

 今回発注のギヤセットは新設計である。切削する刃物も新調して、考えられる最高効率を目指した。40年の研究結果の集大成であって、猿真似では、実現できないレヴェルにある。高価ではあったが、望んだ通りの結果が出た。
 
 当然のことながら、Oゲージ用も同時にデヴュウしている。これには固定客がある。たまに模型クラブに持っていくと、価格を聞かれる。安いと感じるらしい。こちらは儲けるつもりがないので、一般のギヤセット程度の値段である。

 売ってくれ、と言うので、細かい説明をする。潤滑剤の話、ボールベアリングの銘柄と形式、嵌め方、そしてシャフトは提供したもの以外使わないこと、さらにネジの締め方、リーマの通し方などである。
 すると、その人は、「たかが模型なんだから、そんなことまで言わなくても…。」と言う。

 こういう人には売らないことにしている。後で悪評を撒き散らされるのが、目に見えているからだ。価値を理解できない人は、間違った使い方をして、失敗する。更にそれを開発者である筆者のせいにされた事例は、多々ある。
 
 筆者は精密機械の部品を用意しているのだ。おもちゃの部品を売っているわけではない。

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2022年04月15日

HO用3条ウォームギヤ・セット

「HOゲージ用の3条ウォームを作って欲しい」という要望が、かねてからあった。問題点は発注ロットで、最低300組の注文がないと、動き出せなかった。
 Oゲージ用の注文が溜まってきて、それと同規格にすることを思い付いた。厚みだけ減らせばよいのだ。HOゲージの蒸気機関車に使える。Oゲージ用はディーゼル機関車や電車用である。外径は約14 mmで、ギヤボックスの底を削ると、ギリギリで9600にも使えるということであった。穴は薄いフィルムで覆えば良い。潤滑剤は、モリブデングリスをほんの少し塗るだけなので、漏れることもない。

 ギヤ比は3/23で、蒸気機関車にはやや低いかもしれないが、時代はDCCである。DCCでは低い電圧を作り出せるので、問題はない。重負荷のときはもう少し高い電圧を掛けられる。

 何人かの友人に先行試作品を買って戴き、テストをお願いした。結果は非常に良く、2輌の機関車を同一の線路に置き、片方を押すと他方が走るそうである。トルクアームあるいは吊り掛け装置は、仮のものであろう。

「HOのギヤを1両組み込んでみました。素晴らしい走りです。これまで動力装置を色々と試してきましたが、これ以上のものはありません。」
というお便りも受け取った。差出人は工学部機械学科出身の方で、この分野には明るいから、よく理解された上での感想であろう。

 3Dプリントの特性上、肉厚が減らせない部分がある。製品を削るのは全く問題ないので、薄くしたいときは、外面を0.5 mm程度削るように、お願いした。また、外形は冗長性を持たせてあるので、差し障る部分は切り落せば良い。トルクアームを付けるべく、上に角を出してあるが、そこは使い方によっては不要になることもあるだろう。


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2021年07月11日

直角伝導

 合葉氏は筆者の開発したギヤを、次のように分析した。

1. 直角伝導であるので、より大きなモータを搭載できる。
2. 密閉型ギヤボックスを作れるので、保守に手間がかからず、静かである。
3. 比較的大きなギヤ比が一段で得られるので、トルクの小さいモータでも使いやすい。効率は70%以上あるから、他の多段ギヤより勝ることもある。
4. 蒸気機関車にも電気機関車、電車のいずれにも使える。
5. カルダン・ドライヴが容易に実現できる。 

 筆者はこれを蒸気機関車用として設計したので、直角伝導は当然ではあったが、合葉氏はカルダン・ドライヴに拘った。やはり電車屋さんであるから、バネ下質量の小さなドライヴがお好きなのだろう。
 電気機関車などにはチェインを使う方式を示したところ、大変驚かれたようだ。サンプルを進呈すると、いくつか使う予定を示されたが、その実現の前に体調を崩されたようだ。 

Cardan Drive TMSの102号(1956年12月)に乗越カルダンの記事がある。これを読むと、合葉氏の気持が分かった。
 1軸しか伝導せず、ベルト駆動で他方の車輪を廻している。ドライヴ・シャフトはキングピンの下をくぐっている。ユニヴァーサル・ジョイントを介して、モータへとつながる。
 当時は小さなモータがなかったので、HOのモータを使っている。Oゲージのモータと異なり、慣性モーメントが小さいので、急に止まるのが気になると書いている。

 ユニヴァーサル・ジョイントの曲がる点は、実質的に1つしかないので、2つの位相を考慮する意味がない。台車は、剛氏の発案のスナップで留まっているので、台車は工具無しで、ドライヴ軸から外れる。台車内のジョイントはカップ型であり、前に抜けるようになっていて、反トルクはカップの中のボールで承けるようになっている。
 ベルト伝動は筆者はやらないが、ジャーナルにボールベアリングを用いれば、効率は少しは上がるだろう。伸びる材料でトルクを伝えることは期待できない。むしろ、ギヤボックスを2つにするほうが楽であるが、カルダン軸の振れ角は大きくなる。先日のM10000は、その方式を採った。

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2021年07月03日

合葉博治氏の記事

 TMSの100号あたりの記事を見ると、様々な試行錯誤が載っていて楽しい。あまり良いモータが無かった時代で、歯車も良くない。車輪はブラスの地肌で、車軸も軸受も同じ材料を使っている。フランジの先端は曲線でレイルに当たっている。車軸も太い。これではろくな走りは期待できない。

 合葉氏と初めて会ったのは1985年である。筆者の3条ウォームの開発記事を見て、興奮して電話を掛けていらした。呼び出されてお宅に伺った。機関車 2輛と線路10メートルほどとポイント1台を持って行った。廊下に敷いた線路を機関車が往復した。その時の合葉氏の興奮状態は、動画に撮ってあれば、Youtube で100万回の視聴が望めるほどだった。
「これだよ!これでなくっちゃ。」
と、惰行するのを楽しんだ。全軸ボールベアリング装荷のOゲージ蒸気機関車を見るのは初めてのようだった。しかも三条ウォームで軽く押せて、発電によって前照燈が点く。合葉氏は子供のように何十回も押して、楽しんだ。先台車の復元装置が本当に作動するのを確かめ、テンダの重さと摩擦の少なさを確認した。

New O gauge「昔ね、”New O gauge" というのを提唱したんだ。ほとんど反響がなくってね、10人くらいの人が賛同を表明したが、それっきりになった。Oゲージにはそれ以下の模型とは異なる魅力があるんだけど、走らせる線路の確保が大変ということがあるからね。」
 と切り出した。(写真はTMS97号1956年6月号) 

「良い線路、良い車輪、良いギヤ、良いモータ、良い軸受の5つが揃えば、怖いもの無しだったのだ。今のHOに、果たして、それがあるだろうか?無いんだよね。それじゃHOの魅力って何だろう。狭い場所でも走らせられる?HOでも自宅のレイアウトで走らせている人なんて、ほとんど居ないよ。それならOゲージのほうが良い。Oゲージの大きさ、質量は、鉄道模型の最大の魅力だよね。HO以下では、逆立ちしたって、できゃしないんだからね。」
と、大きさの効果(2乗3乗則)をまくし立てた。
「原さんのはスパーギヤでよく走るけど、工夫がない。貴方のは直角伝導で、より実用的だ。こちらのほうが良い。」と言った。

「今まで誰もできなかった。でも貴方はやった。将来語り継がれるエポックメーカだ。」
と、お褒めの言葉を戴いた。


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