3条ウォームギヤ

2022年09月14日

1番ゲージの車輌群

#1 gauge in Toyota (1) A氏は1番ゲージの車輌群を、スクラッチから作っている。それらは全て押して動くようになっていて、なおかつ慣性増大装置を付けている。


#1 gauge in Toyota (3) 筆者のOゲージ用3条ウォームを購入し、巨大なフライホィールを廻すので、その慣性は信じられないほど大きい。作った本人が、「動かないので、ギヤがロックしていると思った。」ほどである。
 慣性質量は500 kg相当である。軽自動車より重いので、押しても動かないと感じたのは当然であろう。

#1 gauge in Toyota (2) A氏は機械工学の専門家であり、工作にはその知識が散りばめられている。ご自宅の庭に大きなエンドレスの線路を敷いて、長大編成が走る。ワインの瓶が積荷であるところが面白い。


#1 gauge in Toyota (4) 先日、豊田市の科学体験館という博物館で子どもたちを相手の体験運転を披露されたので、招待戴いた。重い列車を徐々に加速して行くのは見ていて楽しい。止めるのは、発電ブレーキである。


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2022年09月12日

HOのギヤボックスの見分

3-thread worm gear 友人がHO用として売られているギヤを見せてくれた。よく売れているそうだ。ところが、彼の知り合いの博物館の人が、「すぐダメになる」と言うので「どうしてだろう」と、筆者に見分を依頼してきたのだ。

 開けてみて驚いたのは、3条ウォームギヤが入っていたことだ。その割には押しても動きにくい。多少は動くが、動きは渋い。
 しかし、じっくり見ないと3条ウォームには見えない。進み角が小さいからだ。なぜ小さいか、よく考えてみよう。

  以前にも見かけたが、太いウォームに3条を彫っても、細い1条の普通のウォームと進み角は大差ない。どうしてもっと細いウォームを作らなかったのだろう。それは軸の太さに拘っているからである。

 軸が Φ2 もあるのだ。これではダメだ。軸と一体にしてギヤを細くすべきであった。そうすれば、進み角は大きくなる。

 博物館での連続使用でダメになる理由だが、それは進み角の小ささによる低効率から来ているのだろう。摩擦熱が大きいので、POM製のウォームホィールが融けるのでは、と推測する。また、グリースがたくさん入っている。多すぎるのではないか。その撹拌抵抗だけでかなりの損失である。スラストを受けるボールベアリングもない。
 設計は元KTM社員のT川氏らしい。彼とは親しかった。どうして筆者に相談してくれなかったのだろう。いくらでも助言をしてあげたのに。

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2022年08月15日

続 Loctite を使う

2-piece gear boxes for diesels このギヤボックスはアルミ合金製である。15年ほど前、友人のY氏に作ってもらったものだ。Y氏は腕の良いフライス工で、大きな機械を使って素晴らしい精度の加工をする。飛行機の部品も作っていた。
 3条ウォームを使って精度の高いギヤボックスを作りたかったので、お願いした。飛行機に使う材料で作ってくれ、極めて剛性の大きなものができた。

 製品は黒染めしてあったせいか、誰もアルミ合金製であるとは思わなかった。プラスティックの成形品だと思ったようだ。それほどツルツルピカピカであった。素晴らしい性能を示し、このギヤボックスは例のテンダの動力ピックアップに使った。極めて滑らかな作動で、無音である。わずかにチェインの音がするだけである。

 このギヤボックスの唯一の欠点は、2ピースであったことだ。動軸の中心を通る面で分割し、3ピースにするべきだった。このままでは側面からのネジが締めにくい。

3-piece gear box for diesels 左右から締めてから底蓋を締めると、無理なく締められるし、蒸気機関車のように車輪がはずれない場合の駆動にも使える。
 これを薄く作ったのが、今回のHO用ギヤボックスである。

 時代の進歩で、3Dの成形品の精度が高くなると同時に、経年変化がほとんど無い樹脂を使うことができるようになった。 価格は格段に下がり、全ての機関車を改装して滑らかな動力化が可能になる。
 今回、100軸のギヤを組み立てた。たくさんあったボールベアリングが払底した。  

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2022年08月07日

音のこと

 蒸気機関車から歯車音がするのは絶対に許せない。

 なぜウォームギヤを使うのかを考えてみたい。まず、直角伝導だから、大きなモータが使える。ギヤ比が大きく取れるから模型用としてはコストの点では大きなメリットだ。

 忘れてはいけないことに、ウォームギヤでは音がしないということがある。ウォームギヤ以外では、必ず音がする。ウォームギヤは無音である
 筆者の動力増大装置は、3条ウォームギヤを使って、ウォームホィール側から廻して、動力ピックアップをしている。ここで普通のギヤを使うと、音を消すことは極めて難しい。ウォームギヤは逆駆動しても音は出ない

 今回希望者に頒布した3条ウォームは、とても静かである。無音であると言っても差し支えない。歯車の仕上げ精度が素晴らしく良いのだ。
 HOでは車輪はブラスの挽物にニッケルめっきが主流だろうから、転動音はするだろう。しかし動力装置の音は聞こえないはずだ。

 音のするウォームギヤセットには問題がある、と断言する。その問題とは、歯型のことである。
 進み角の大きなウォームギヤには、特殊な歯型が必要であるが、そんなことにはお構いなしで作ったものもあるようだ。自分で計算せずに人任せで作ったもののようだが、お話にならない出来であった。

 平歯車では、ピニオン(小さな平歯車)の歯型は相変わらずひどい。13枚歯以下のものは考えねばならない。


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2022年08月01日

続々 高効率ギヤによる改装報告

 US氏は技術系の方であるので、説明しなくても正しい分析をされている。当初M0.6と書かれたので、「進み角を忘れていませんか。」と書いたら即座に反応されて、M0.5と書き換えられた。こういうところにピンと来る方であるから、分析は客観的である。 

 いまだに、「ギヤ比が低いから最高速が…」という揚げ足を取る人が居るが、それは今までの低い効率の動力伝達装置しか見たことがない人の推論である。
 US氏は、「実際に交換してみると、同じモータであるのに、従来の1条ウォームより低速が効く」とおっしゃる。他の方からは、「高効率」の意味が初めて分かったという感想も来ている。

 例の「犬に馬車を牽かせる」話については、US氏は次のように解釈された。
 従来の方法では動かせなかったものが、高効率ギヤでは動かせるので、犬でも馬車が牽けるとも言える。しかし、モータのトルクが小さく、低速が安定しないときはDCCで補正するのが実用的だ。
 しかし、従来の1条ウォームで低速走行が安定しないようなモータでは、高効率ギヤに替えても芳しい結果は得られない


 正しい能力を持った方が分析されているので、これをお読みになって着手しようと決断される方が多くなれば、それは喜ばしい。食わず嫌いの方もいるだろうが、困るのはそれを吹聴する人が居ることである。
 最近はウェブ上で各種の知識が容易に得られるので、US氏の意見のような客観的な情報に接する人が増えてきた。すなわち、より客観的になってきたわけで、望ましいことだ。

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2022年07月30日

続 高効率ギヤによる改装報告

 次はUS氏の感想である。

 想像以上の静かさと滑らかさで、高速から低速まで安定した走りでした。負荷に応じた速度の変化が見られ、実物に近い運転感を楽しめます。牽き出し時はスロットルをゆっくり回さないと空転するのも実感的です。
 スロットルの動きと列車の動きが異なっても、車両の慣性や走行抵抗を感じられるので集電不良のような不快感はありませんでした。

 DCC運転では負荷による速度変化が抑えられて安定した走行になり、低速での安定性も向上しました。3条ウォームは1条ウォームより減速比が小さいので低速時の安定性が心配されましたが、コアレスでなくてもトルクがあるモーターなら低速も問題ないことも分かりました。

 自動運転を楽しむにはDCCが有利ですが、個人的にはアナログの方が、運転は面白く楽しいと感じます。


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2022年07月28日

高効率ギヤによる改装報告

 HO用ギヤセットを購入された方から、次々と改装の報告が入る。
 まずMS氏の報告から。

 中村精密キット組みの旧作8200の動力系を換装しました。
動輪の軸バネはコイルで硬かったので、「続・蒸機を作ろう」誌掲載の高木幹夫氏の記事を参考にして、リン青銅バネに取り換えました。モーターは「I田氏」のブロクで推奨の17x25コアレスモーターを採用、吊掛け式とし、ジョイントは当然ながら六角ジョイントです。結果は上々で、単機で2 V、0.2 A前後で起動、平地でブラス製客車14輌を牽き出します。機関車を手で押すと、軽く転がります
曲線(750R)でのスピード低下はありますが、PowerPacのつまみを少し上げる程度で気になるほどではありません。急なパワーオフで、客車に押されて数十cmは惰行します。換装時のポイントはモーターの選択と車両側の軸受けの改良(今回バネだけですが、車軸受けもベアリングないし樋状軸受けにするとさらに良いかもしれません)、ウェイトによる補重と重心調整と考えます。HOでは、モーターおよび動輪径の制約から小型機への装着は難しいようで、大型機に長大編成を牽かせる状況がベストな印象です。
ブラス製客車 + ケィディー・カプラです
と、牽き出し時に実物の自動連結器のような挙動も楽しめます。最近はプラ製客車が出回っているので忘れてしまっていましたが、再発見でした。 

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2022年07月12日

EMDの機関車群 2

EMD GP15 (3) これらはGP15である。1980年代に増備された。この機種は排気タービンも、ダイナミックブレーキも無い。    
 この機関車は古いGP9を引き取って、エンジン、発電機、モータを取り替えたもので、台車は古いものを使っているものが大半だが、中には軸箱にオイル・ダンパを付けているものもある。
 この機種も先回のSD40T-2と同じく、冷却用の吸気口が下にあり、素抜けている。トンネル内の熱気を避けるためではないが、同系統だと主張する人もいる。
 
EMD GP15 (1) この機種を 3輌同時に求めた。スワップミートで安価なジャンクを買ったのだ。驚いたことに、2つのボディはエッチングが裏表逆のところがあり、そのままでは組めない。だから捨て値だったのだ。細かく調査すると、一部を切り離して逆に組み、残りをスクラッチから作れば製作可能と判定された。捨てる部分は未練がましく持っていると、勘違いしそうだったので、切り刻んで捨てた。

EMD GP15 (2) 10年ぶりに組み始めた。キャブ部分は諦めてスクラッチから作るべきだったと、後悔した。大変な苦労をして形になった。2機種作ることにした。UP仕様とBN仕様である。どちらもそれほど正確ではないが、仕方がない。これらは床板の形、側面のモータ・ブロワのダクトの形が異なる。 
 床板の前後端には 2.4 mmの板を貼り重ねる必要がある。運良く見つかったその太さのインチ材の角線を貼る事によって解決した。

 床板の前後を補強するのは必須である。軽衝突で修復不能になるのを回避する。先回のKTM製は衝突でパイロットがめり込んでいた。切り離して別部品と取り替えた。その種の部品は、アメリカ製の代替品のストックが有る。前後が微妙に異なるものが出来たが、snow plow スノウプラウで隠れて見えない。 

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2022年07月06日

続々々 高効率ギヤへの換装報告

 そもそも、HO以下の模型に新ギヤを取り付けることは、筆者の想定外のことであった。そのような要望があって驚いた、というのが本音である。     
 Oゲージ用の歯車を薄く削ったものを作り、試作品として供給した。ギヤボックスは新規に起こした。幅が少々苦しく、シールド型ベアリングが使えないので、ギヤボックスの形を工夫して、ゴミが入りにくい構造にした。それが一次試作である。その後何度か改良して現在の形に至る。

 とにかく、なんとか収まれば良いと形を決めたので、イコライザ装備の模型等には、苦しい寸法だそうだ。筆者はHOの模型を持たないので、それについては配慮が足らず、反省すべき点もある。しかし、イコライザを付けている方はクラフツマンであろうから、その点はご自分で工夫されるだろう。例えば、軸箱とギヤボックスを一体化するという手もある。

 13 mmゲージにはギヤボックスを自作しないと使えない。その写真を見せてもらうと、なんとウォーム前後のスラストの処理がなく、ギヤボックスは開放型であった。具合が悪いとのことであった。それは当然である。
 すぐに要点を伝え、作り直して戴いたら、調子が良いとのことである。このブログに写真が載っているが、これは撮影時に蓋を外して中を見せているもので、実際は密閉型だそうだ。この歯車は模型用の精度の製品ではないから、わずかでも埃を噛むと、性能が著しく落ちる。 

 小さなモータでうまく動かないという報告もあるが、それに対してこんな比喩を送ってくれた方があった。
「犬に馬車を牽かせるようなもので、調子が悪いと言って、DCCを御者にしようとしていますね。」 
 なかなか良いところを突いていると思った。そろそろお止め戴くようにお願いしている。犬は死にそうだ。 

 櫻井氏からの情報では、例の低速モータはここで手に入るそうである。このモータが収容できる機関車の換装を考えていらっしゃる方には、お薦めする。

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2022年07月04日

続々 高効率ギヤへの換装報告

 最高速の考察も、たくさん戴いている。一番多いのは、
「12Vを掛けて走らせることはあまりない。」
ということである。しかも無負荷というのはありえないそうだ。これは筆者の意見を補強している。

 高効率ギヤを装着した機関車で、重い列車(輪軸を改良したもの)を牽くと、実物のような牽き出しができるそうである。電圧を徐々に上げると、あるところでスリップするので、少し戻すと再粘着する。そして電圧を少し上げるということを繰り返すと、牽き出せてしまうそうだ。
 今までの非効率な模型では、牽き出し時に余分な電圧を掛けざるを得ず、止まっているか、動いているか、どちらかのクリティカルな動きをしていたのだろうと推察する。だから牽き出せない。新ギヤでは、じわりとトルクを掛けるということが、できるようになった、ということである。

 当然のことではあるが、新ギヤボックスを付ける前の段階の改装で、「トルクアーム + 六角ジョイント」の効果に驚いた、というお知らせをたくさん戴いている。
 ゴム・ジョイントと怪しい継手で、モータ出力の半分を失っていたのだろう。素晴らしい性能アップだそうだ。何も他にしていなくても走行性能が劇的に良くなり、「天地がひっくり返ったような衝撃を受けた」と書いて来た人が居る。

 考えてみれば、戦後すぐから、70年以上も何も進歩していなかったのだ。ゴム・ジョイントがシリコーン・チューブに変わっても、駄目なものは駄目なのである。もう、皆さんはお分かりになったとは思うが、どなたか、客観的な比較実験をしてくださるとありがたい。
 Oゲージの模型を作っている人は、この不具合が気にならない人がいるらしい。これも大きさの効果である。大きなものは柔らかいのである。

 六角ジョイントは作るのが簡単である。さほどのノウハウはないが、材質には注意すべきだ。POMまたはナイロンで射出成形すれば良い。どこかのメーカが作ってくれれば、こちらも助かる。

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2022年07月02日

続 高効率ギヤへの換装報告

 このような感想も戴いている。

 送付いただきましたギヤをフジヤマ製の4-8-4に装着し、あまりのギヤの滑らかさに感動いたしました。手持ちのコアレスモーターとの組み合わせでは、アナログの電流計がほとんど振れないほどです。
 また、いただいた詳細なマニュアルは誠にありがたく、無事に取り付けることができました。当初69インチ以上の動輪径のみを置き換えようと考えておりましたが、小さな動輪径の機関車も含めて変更したいと思います。


 おそらく、今までのゴム・ジョイントを使い、スラスト処理のない開放型ギヤボックス、トルクアームなしの状態だったのだろう。それから考えれば、とてつもない変化である。 


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2022年06月30日

高効率ギヤへの換装報告

 頒布した高効率ギヤを取り付けた方々から、次々と報告を戴いている。賛辞を戴くのは嬉しい。
 ここで何度も書いたので、最近は「逆駆動できるギヤ」という表現が減ってきたのはありがたい。

 動画を送って下さった方が多い。良く走るさまを皆さんにも見て戴きたいとのことであったが、動画の形式が異なり、ここではお見せすることができない。Youtube での公開を待とう。 

AT&SF3760 まずは櫻井成道様の作例である。古い United製 のAT&SF4-8-4に組み込んである。モータは以前紹介した12Vで2400 rpm(実測)のΦ22、32 mm長のコアレスモータである。
 単機でも惰力で30 cmほど動くそうである。動きの悪い客車13輌を牽いたので満足している、とある。 

 このモータは大型蒸機には最適であるとNK氏から、お墨付きを戴いている。

 小さなモータを付けて、牽けない、とか登り坂で遅くなる、などという意見もたまに来るが、その他の方は概ね肯定的である。
 高効率であるということは、モータの出力が直接動輪の回転に表れるということである。登り坂では過負荷である。小さなモータでたくさん牽けないのは当然で、実物でできないことを、模型にさせる必要はない。

 今までの模型は低効率の動力伝達装置でモータの出力を大半すりつぶしながら、モータをフル回転し、そのごく一部が連結器から出力されていたに過ぎない。だからDCCの補正効果が顕著であった。
 少し考えて、最適のモータ、最適の負荷(付随車の輪軸の改善)をすれば、素晴らしくよく走る模型になるのである。中学校の理科の時間に戻って考えてみてはいかがだろう。

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2022年05月27日

蒸気機関車の吊掛け駆動

 本来の吊掛け駆動(平行にモータ軸を搭載)を蒸気機関車に応用するのは、極めて困難だ。直角駆動にせざるを得ない。そうすると、モータはかなり後ろに付き、モータの質量はほとんど台枠の上に載る。こうなると、完全浮動のトルクアーム方式とほとんど変わらないが、分解時にギヤボックスはモータと共に外さねばならない。そういう点では分解の楽なトルクアーム方式が気楽だ。モータの差し替えが自由だからだ。ちなみに、トルクチューブであればもっと楽に外せる。

 また、ギヤボックスをモータと完全に一体にするのは、難しい点が多い。ギヤ軸、モータ軸の同心性が確保されるか、が問題である。長い軸を持つモータが手に入れば良いが、そうでなければ諦めるほうが良い。
 ある人が、
「ギヤにモータ軸の先を入れて固着し、ギヤの反対側に別の軸を挿してはどうか?」
と聞いてきたが、お答えしなかった。失敗する確率が高い。このギヤは極めて高精度である。微妙な心振れが大きな不具合を生じる可能性がある。ギヤボックスは浮動させるのがベストだ。すなわち、トルクアームを使うのが、本来の使い方である。
 どうしても吊掛け型にするときは、NK氏のような方法で、モータに固着し、間を六角ジョイントで結ぶことだ。

 六角ジョイントの効果が想像できない人が多いらしい。すなわち、ゴムジョイントを用いる方法でも十分に良いと思っているのである。六角ジョイントを用いた駆動方式の動画をご覧になるべきだ。
 先日、新ギヤシステムの実践者が来訪されたので、感想を伺った。はじめはギヤボックスだけを取り替えて走らせて、かなり改善されたと思っていたが、六角ジョイントに付け替えたところ、劇的な変化があったそうである。多少曲がっていても、 引っ掛かることが全く無くなり、電流値が激減したとおっしゃる。


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2022年05月21日

改装された方々の感想

 NK氏は、はじめ少数の機関車改装を考えていらしたようだ。試しにやってみたら、意外な結果だったようで、極めて調子が良かった。メイルで、その時の感想を知らせてくれた。
素晴らしい走りです。これまで動力装置を色々と試してきましたが、これ以上のものはありません。
 その後ギヤセットをたくさん購入して、次々に改装されている。
異次元の走行が手に入るというのが、モチベーションになります。
とあった。お気に召したようで嬉しい。

 他の方からも完成させて喜びのメイルを受け取っている。その方はFujiyama製の4-8-4に装着されたようだ。
あまりのギヤの滑らかさに感動いたしました。手持ちのコアレスモータとの組合せでは、アナログの電流計がほとんど振れないほどです。」 
とある。おそらく今までは消費される電流の大半が、ゴムジョイントの前後で浪費されていたのである。トルクアームの効果は、歴然たるものがある。

 このような感想も戴いている。
手押しで動く機関車は、50年近い鉄道模型歴でも初の経験で、空走させたり、発電によって前照灯を点灯させたり、といろいろ楽しんでいます。

 外観だけで満足することなく、走りの改善をすることがいかに大切であるのが、分かったという意見が多い。それこそが、筆者の言いたいことである。このブログの副タイトルそのままである。
  低摩擦、高効率の鉄道模型を追求する



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2022年05月19日

続 NK氏の換装手順

 NK氏はたくさんの改装予定機関車をお持ちである。だから、改装を手際よく行えるよう、下準備に時間を掛けている。

 ギヤを車軸の中心に留めるのは、簡単そうに見えて、意外と難しい。ロックタイトの接着力は非常に強く、一度固着したら、まず外せない。エポキシより強い。剥がすのは難しい。250 ℃ほどに加熱すると緩むが、常温ではまず外せない。ボールベアリングの中に流れ込んだり、モータ軸に入ると、修復不能である。
 そういう点でも、位置決めジグは作っておく価値がある。筆者もいくつか持っている。また、ウォームを軸にネジ留めするものだと思っている人もいるが、それは、偏心して騒音の元であるし、効率はガタ落ちである。 

 余分の拭き取りは、極めて大切である。綿棒を斜めに削いだものを作っておき、それにわずかの溶剤を含ませて取ると良い。綿棒にはかなりの種類があり、削ぐと分解してばらばらになるものがあるから、注意が必要である。

 抜き工具は軟らかい材質でなければならない。硬い鋼製のポンチでは相手が参ってしまう。傷がつくと同時に膨らんでしまったり、斜めに凹んだりして、組んでもまっ直ぐに入らない。このあたりのことは機械屋さんならば常識なのだが、模型人にはほとんど浸透していない。以前コンコン改軌という話題を出したが、あまりピンと来ない人もいるようだ。

 ボールベアリングの下には油膜があるべきだということも、ほとんど誰も知らない。こういうことは模型雑誌で周知すべきことなのだが、記事で読んだ覚えがない。
 今回希望者に配布したΦ2の精密シャフトにミシン油を塗って、ボールベアリングを滑り込ませた感想を戴いている。
「本当にぬるぬると入りました。初めての感触で、病みつきになります!」
とあった。このようなシャフトを量産できる技術力のある国に生まれたことを、感謝したい。製造元から買うので、価格は信じられない位、お値打ちだ。ただ、最低ロットが大きい。

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2022年05月17日

NK氏の換装手順

 早くからの3条ウォームギヤ装着者であるNK氏は、やや簡易な換装法を紹介している。ご許可を得たので、紹介したい。戴いた原稿に少々加筆している。

NK1 動輪の非絶縁側の中心部に、軸と輪心をまたぐケガキ線を入れる。これは復元時に位相合わせをするガイドになるものである。



NK 2 非絶縁側を外す。これはプレスで押し抜く。決して叩いてはいけない。片方の軸箱を外し、ウォームホィールを露出させる。これも押し抜く。プレスがないときには、ボール盤に短い押し棒を付けて押す。支えは頑丈なものを用意する。押し棒は軟らかいブラスあるいは銅の棒を用いること(この頑丈な鋼製抜き台は、今野氏に頒布して戴いている)。

NK 3NK4 天賞堂、鉄道模型社の製品は、軸にローレット(ウォームホィールと動輪を固定するための凹凸が、軸の円周上にある)が3箇所切ってあるので、片側から、2箇所を旋盤に銜えて削り取る。太さを調べながら、細かいヤスリを当てて削り取り、ボールベアリングがぎりぎり通る太さにする。軸端が段付きの場合は中央の1箇所を削るだけで済む(この写真の韓国製模型の場合は、中央1箇所だけである)。

Jig 新ウォームホィールを所定の位置で留めるためのU字型ジグを用意する。これはボールベアリングを逃げた内径に作るべきである。ボールベアリングを嵌めてから、ロックタイトを塗り、ウォームホィールを滑り込ませる。

 はみ出したロックタイトを少量の溶剤を付けた綿棒で拭き取り、ミシン油を塗ってボールベアリングをもう一つ滑り込ませる。先に嵌めたボールベアリングの軸との接触面にも、ミシン油を沁み込ませる。ボールベアリングは油膜で浮いた状態が正しい

NK6NK5 非絶縁動輪を軽く嵌めて、付けた傷を基に、位相を合わせる。ロックタイトを塗って、プレスで締める。余分のロックタイトを拭き取る。動輪を締めるときに、バックゲージが一定になるようなジグ(上のジグの厚いものであり、ギヤを逃げるように大きな切り欠きが必要)を作っておくと、作業は楽になる。

NK7 少量のモリブデン・グリースを全周に薄く塗り、ウォーム軸の嵌まったギヤボックスをかぶせてから、底蓋を閉める。これで完成だ。この機関車は 2-10-4 であり、火室は長大である。この写真から判断すると吊掛け式ではあるが、モータの重さはほとんどギヤボックスには掛からないから、トルクアーム式に近い。このモータは、例の低速モータである。

 この方法は、位相を決める操作が省略できるから、非常に簡易である。ただし、プレス、あるいはそれに代わるボール盤などが必要だ。または口金が平行に締まる万力でも良いが、その万力の口金は研磨されていることが不可欠だ。


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2022年05月15日

不可欠なこと

 要点は次の3点である。

反トルク承けを付けていない機関車は、まともには機能しない。モータ出力の一部あるいは大半が、モータ軸受部のスラストの摩擦で消費される。また、ゴムジョイントの内部の損失に費やされる。 

・反トルク承けが付けば、ギヤボックスは完全に浮動させることができる。モータ軸との動力伝達は、何らかの自在継手によらねばならない。スペイスがあれば、伸縮できるユニヴァーサル・ジョイントで良いが、狭いところに入れるには、六角ジョイントが良い。

・普通のギヤボックスのウォームの前後に発生するスラストを確実に処理する事が必要である。これさえできれば効率はかなり上がるのだが、実際にはそのスペイスがない。今回頒布のギヤボックスはコンパクトにまとまり、組立ては容易である。
「押して動く」を喧伝するのは結構だが、その前にこのギヤセットの伝達効率の高さに気付くべきである。無音の動力伝達が可能である。ギヤ音のする蒸気機関車が存在するわけがない。 

 効率の良いギヤセットだから、押して動くのである。押して動かすのが主目的ではない。正しい歯型、適正な研磨、正しい潤滑、正確なギヤボックス内での組み合わせ、がないと、このような性能は得られない。  


 たくさんの問い合わせを戴いているが、動輪の嵌め外し、位相合わせの道具、またはテクニックをお持ちでない方には、直ちには薦められない。友人に可能な方がいれば、依頼すべきであるし、ご自分でやろうとすると、それなりの投資が必要である。プレスを使わないと失敗する
 換装マニュアルを配布している。ご希望の方はコメントの本文に連絡先を書いて投稿されたい。

 一番良いのは、腕に自信のある方が適価で換装を請け負うことである。決して難しいことではない。次回はその簡易な方法を紹介する。 

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2022年05月13日

続々 作用・反作用

吊掛式 吊掛け式は、このようなものである。モータの反トルクは内部で解決し、外には現れて来ない。すなわち、この方式では、吊掛けアームはモータのトルクでねじれない程度の剛性を持たねばならない。モータのトルクは知れているから、適度な厚さがあれば十分だが、減速後のトルクは大きいので、その反トルクで長手方向が折れない程度の強度は必要だ

 さて、動輪の回転による反トルクはどこに来るだろう。それはこの吊掛けアームの最後端である。主台枠には1点で接するようにするのが理想的だが、実際には難しい。ゴムブッシュなどで緩やかに留めると、動輪が片足持ち上げたときに、不都合がない。

 このとき、モータ軸とウォームギヤ軸をゴムジョイントで結ぶ人が多い。このとき、全く問題が起こらないのは、極めて稀なことらしい。ゴムへの差し込み具合とか、わずかな軸ズレ、ゴムチューブ自身の曲がり等があるから、調整は極めて難しく、静かに走らせることはとても難しい。

 だからこそ、その全てを一挙に解決する六角ジョイントが有効なのだ。

 実例を見てみよう。I 田氏の作例を参考にさせて戴く許可を得た。
P1100544 この例は、理屈通り剛性を高めた構造である。途中は六角ジョイントで結んでいる。このジョイントに出会う前は、かなり調整に苦労されたようだ。このように述べられて、性能向上を実感されている。

 シャフトの伸直性確保・偏心の解消など、ゴムジョイントの調整に苦労したD52の換装とは違って、モーターを付けたままでの逆駆動も簡単に実現。

 
この図も1976年のNMRAの会報から切り出して編集している。

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2022年05月05日

続 来訪者

 TN氏は3条ウォームの威力を目の当たりにし、かなり衝撃を受けたようだ。彼の素朴な疑問である。

どうして模型メーカはこれを採用しないのだろう。高いものではないし、やろうと思えば採用できるはずだ。押して動けば楽しい。特に蒸気機関車は、ロッドの動きが見えるのだから、やる価値は十分にある。」 

 その通りであるが、やろうとしているようには見えない。最初から諦めているのか、顧客が望んでいないと決めつけているのかはわからない。今回のものはOゲージのディーゼル機関車用を流用しているので、ギヤ比がやや小さい。すなわち、6 V付近で無負荷最高速度になるようだ。DCCなら何の問題にもならないが、アナログに固執する人もいる。

unnamed 知人から興味深い強力モータを提供戴いたので、装着例を作って戴くべく、経験の深い友人にお願いしている。それは、12 Vで2200 rpmだそうだ。Φ22で、32 mm長の両軸である。前後で軸の太さが異なるのは、ロータリィ・エンコーダを取り付けるのであろう。
 HO用としてはかなりの大型で、4-8-4や2-10-4あたりでないと火室には収容できそうもない。マグネットはかなり大きく、ずしりと重い。これを収容できれば、極めて調子の良い強力機関車になるであろう。

 要は注文ロット数である。コアレスモータは300台の注文ができれば、新仕様のものが発注できるはずだ。強磁界で巻数を増やせば、低速モータは可能である。もう少し小さな物を注文すべく、メーカは考えるべきだ。

 また、換装を引受ける工房ができれば良い。筆者はHOを触ったことがないので不可能だが、その道の達人はいらっしゃるだろう。必要部品は供給できる。

 高性能のギヤを付けた機関車の走行は、見ているだけで楽しいのだ。このギヤは、極めて高品質のギヤである。過去の模型用ギヤの水準を遥かに超えていることは、見れば分かるはずだ。
 コアレスモータを逆駆動するのは容易だが、有鉄心モータは難しい。しかし、それをいとも簡単に廻すらしい。伝達効率が良いということは、ここにも現れる。

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2022年05月03日

来訪者

 突然K氏から連絡があり、
「貴方の高校時代の後輩のTN氏が『博物館を見たい。』と言っている。今日は都合がつくだろうか。連れて行ってあげたいのだが。」
と問い合わせて来た。
 承諾し、来てもらった。55年ぶりの再会である。彼は筆者のブログを読んでいた。椙山氏の話などを読んで、筆者が誰であるか確信したそうだ。 

 歳はとっても、中身は昔のままである。懐かしく語り合った。彼の感想である。
1.路盤が高いのは良い。今までどのレイアウトを見ても、線路面が低く、かがんで見なければ面白くなかった。これは楽に見えて良い。
2.とても静かであるのには驚いた。機関車が無音で走る。貨車、客車、共に極めて静かである。
3. 押して動くのが、ここまで軽く動くとは思わなかった。もう少し力が要るのかと思っていた。最後端を押すと、100輌先の機関車が楽に動く場面には驚いた。
4.走っている列車が慣性で動き続けるのには驚いた。下りではどんどん加速するのは感動的である。
5. DCCによる音声再生は極めて実感的である。

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2022年04月27日

続々 装着マニュアルを書く

 ウォームギヤは、効率が低いと昔から言われている。それは進み角が小さく、ウォーム径が大きいときである。今回頒布のウォームはその点を最良の領域に持っていき、さらに素材の吟味歯切りカッタの新設計で、これ以上ないものを作った。先に戴いた手紙の「これ以上のものはありません。」という感想は、その通りなのである。おそらく、コピィ品が出てくると思うが、その性能を見たいものだ。今回のギヤの製造工場は、非常にうるさい顧客を相手にしているので、そのレヴェルの性能が確保されている。

 歯車を見せると、手に取って返すとき、たくさんあるものの中にポトンと落とす人が居る。これはやってはいけない。傷が付いて取り返しがつかないことになる。精密機械部品を触ったことがない人なのだ。こういう人には売らない。

「ギヤボックスは要らない」と言う人も居るが、精度の高い物を自分で作れる人は限られている。こちらの提供したものを使ってもらいたい。性能の確保は、困難なものなのである。模型人には自信家が多いようだが、完全な直角を出すのは意外と難しいものなのだ。

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2022年04月25日

続 装着マニュアルを書く

 潤滑剤はモリブデングリースを用いる。極圧剤が入っていないグリースでは意味がない。ほんの少しを薄く塗り付ける。”互いに素”の組み合わせだから、一箇所塗れば全体に広がるはずだが、それにはかなりの時間が掛かる。

  シャフトにボールベアリングを嵌めるときは、ミシン油を少し付ける。そうすると、シャフトにぬるぬると入っていく。ベアリングは油膜で浮いていなければならない。もちろんホコリを噛まないように、十分拭ってからの仕事である。ボールベアリングを注油なしで嵌めるとどうなるかは、やってみると分かる。数年たつと黒い微粉が付くようになる。微妙にすり減って、ガタツキが出始めるのだ。油膜は不可欠である。
 
 ギヤボックス本体にネジを立てるが、このネジ立てのあとでリーマを通すのが良い。中の膨らみを取り去ることができるからだ。
 左右を組立て、車軸を嵌めて裏蓋を取り付ける。車軸を廻せば、ウォーム軸がするすると抵抗なく廻るはずである。ウォームギヤは無音で廻るものである。この利点を最大限活かしたい。


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2022年04月23日

装着マニュアルを書く

 3条ウォームを機関車に装着するには、ギヤボックスを組まねばならない。そのマニュアルを書き始めた。

 ギヤボックスは、3D成形時の厚み指定があるから、薄くは作れない。薄くしたいときは外側を 0.5 mm程度は削れる。また、長さ方向はかなり削ることができる。トルクアーム装着用の角(つの)が出ているが、これも切っても構わない。片方がネジ留めできるなら、スーパーXで接着すれば、全く問題ない。

 左右を組むネジは、首下寸法が十分ないと、場合によっては引き抜かれてしまう。材質が金属でないので、長いネジが必要である。特にリーマを通すときは圧力が掛かるので、万力に挟んで軽く締め付けないと安全ではない。ウォーム軸はボールベアリングのアウタレースを直接挟む。そのときに穴の内側がざらついていると、動きがおかしくなる可能性が高い。リーマ仕上げで、つるつるにしておかねばならない。

 ギヤはシャフトにロックタイトで留める。その他の方法は事故のもとである。シャフトにニッパなどで傷を付けて押し込むという荒っぽいことをする人もいるが、それは偏心の元である。またシャフトも曲がる。金槌で叩いて押し込むのは、絶対にやってはいけない。シャフトはマイナス17ミクロンのを特注した。滑り嵌めである。絶妙な固さで嵌まる。位置は何らかのジグで決めておく。固まるまで1分半くらいだ。
 以前、これをハンダ付けした人が居て、「動かない!」と大騒ぎだった。見せてもらうと、ハンダが多過ぎて、歯面にまで付いていた。それをヤスリで削っているのだから始末が悪い。彼は、ギヤボックスというものの意味を知らない。ギヤボックス無しで空中戦状態の噛み合わせだ。これでは動くわけがない。自分の無知を棚の上に上げて、「インチキなギヤ」だと触れて廻った。
 正しい使い方を知っている人にはたしなめられたようだが、それでも懲りずに悪口を言って歩いたようだ。付ける薬がないとはこのことだ。  

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2022年04月17日

新設計のギヤセット

 今回発注のギヤセットは新設計である。切削する刃物も新調して、考えられる最高効率を目指した。40年の研究結果の集大成であって、猿真似では、実現できないレヴェルにある。高価ではあったが、望んだ通りの結果が出た。
 
 当然のことながら、Oゲージ用も同時にデヴュウしている。これには固定客がある。たまに模型クラブに持っていくと、価格を聞かれる。安いと感じるらしい。こちらは儲けるつもりがないので、一般のギヤセット程度の値段である。

 売ってくれ、と言うので、細かい説明をする。潤滑剤の話、ボールベアリングの銘柄と形式、嵌め方、そしてシャフトは提供したもの以外使わないこと、さらにネジの締め方、リーマの通し方などである。
 すると、その人は、「たかが模型なんだから、そんなことまで言わなくても…。」と言う。

 こういう人には売らないことにしている。後で悪評を撒き散らされるのが、目に見えているからだ。価値を理解できない人は、間違った使い方をして、失敗する。更にそれを開発者である筆者のせいにされた事例は、多々ある。
 
 筆者は精密機械の部品を用意しているのだ。おもちゃの部品を売っているわけではない。

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2022年04月15日

HO用3条ウォームギヤ・セット

「HOゲージ用の3条ウォームを作って欲しい」という要望が、かねてからあった。問題点は発注ロットで、最低300組の注文がないと、動き出せなかった。
 Oゲージ用の注文が溜まってきて、それと同規格にすることを思い付いた。厚みだけ減らせばよいのだ。HOゲージの蒸気機関車に使える。Oゲージ用はディーゼル機関車や電車用である。外径は約14 mmで、ギヤボックスの底を削ると、ギリギリで9600にも使えるということであった。穴は薄いフィルムで覆えば良い。潤滑剤は、モリブデングリスをほんの少し塗るだけなので、漏れることもない。

 ギヤ比は3/23で、蒸気機関車にはやや低いかもしれないが、時代はDCCである。DCCでは低い電圧を作り出せるので、問題はない。重負荷のときはもう少し高い電圧を掛けられる。

 何人かの友人に先行試作品を買って戴き、テストをお願いした。結果は非常に良く、2輌の機関車を同一の線路に置き、片方を押すと他方が走るそうである。トルクアームあるいは吊り掛け装置は、仮のものであろう。

「HOのギヤを1両組み込んでみました。素晴らしい走りです。これまで動力装置を色々と試してきましたが、これ以上のものはありません。」
というお便りも受け取った。差出人は工学部機械学科出身の方で、この分野には明るいから、よく理解された上での感想であろう。

 3Dプリントの特性上、肉厚が減らせない部分がある。製品を削るのは全く問題ないので、薄くしたいときは、外面を0.5 mm程度削るように、お願いした。また、外形は冗長性を持たせてあるので、差し障る部分は切り落せば良い。トルクアームを付けるべく、上に角を出してあるが、そこは使い方によっては不要になることもあるだろう。


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2021年07月11日

直角伝導

 合葉氏は筆者の開発したギヤを、次のように分析した。

1. 直角伝導であるので、より大きなモータを搭載できる。
2. 密閉型ギヤボックスを作れるので、保守に手間がかからず、静かである。
3. 比較的大きなギヤ比が一段で得られるので、トルクの小さいモータでも使いやすい。効率は70%以上あるから、他の多段ギヤより勝ることもある。
4. 蒸気機関車にも電気機関車、電車のいずれにも使える。
5. カルダン・ドライヴが容易に実現できる。 

 筆者はこれを蒸気機関車用として設計したので、直角伝導は当然ではあったが、合葉氏はカルダン・ドライヴに拘った。やはり電車屋さんであるから、バネ下質量の小さなドライヴがお好きなのだろう。
 電気機関車などにはチェインを使う方式を示したところ、大変驚かれたようだ。サンプルを進呈すると、いくつか使う予定を示されたが、その実現の前に体調を崩されたようだ。 

Cardan Drive TMSの102号(1956年12月)に乗越カルダンの記事がある。これを読むと、合葉氏の気持が分かった。
 1軸しか伝導せず、ベルト駆動で他方の車輪を廻している。ドライヴ・シャフトはセンタ・ピンの下をくぐっている。ユニヴァーサル・ジョイントを介して、モータへとつながる。
 当時は小さなモータがなかったので、HOのモータを使っている。Oゲージのモータと異なり、慣性モーメントが小さいので、急に止まるのが気になると書いている。

 ユニヴァーサル・ジョイントの曲がる点は、実質的に1つしかないので、2つの位相を考慮する意味がない。台車は、剛氏の発案のスナップで留まっているので、台車は工具無しで、ドライヴ軸から外れる。台車内のジョイントはカップ型であり、前に抜けるようになっていて、反トルクはカップの中のボールで承けるようになっている。
 ベルト伝動は軸受での損失が大きく、筆者はやらないが、ジャーナルにボールベアリングを用いれば、効率はかなり上がるだろう。むしろ、ギヤボックスを2つにするほうが楽であるが、カルダン軸の振れ角は大きくなる。先日のM10000は、その方式を採った。

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2021年07月03日

合葉博治氏の記事

 TMSの100号あたりの記事を見ると、様々な試行錯誤が載っていて楽しい。あまり良いモータが無かった時代で、歯車も良くない。車輪はブラスの地肌で、車軸も軸受も同じ材料を使っている。フランジの先端は曲線でレイルに当たっている。車軸も太い。これではろくな走りは期待できない。

 合葉氏と初めて会ったのは1985年である。筆者の3条ウォームの開発記事を見て、興奮して電話を掛けていらした。呼び出されてお宅に伺った。機関車 2輛と線路10メートルほどとポイント1台を持って行った。廊下に敷いた線路を機関車が往復した。その時の合葉氏の興奮状態は、動画に撮ってあれば、Youtube で100万回の視聴が望めるほどだった。
「これだよ!これでなくっちゃ。」
と、惰行するのを楽しんだ。全軸ボールベアリング装荷のOゲージ蒸気機関車を見るのは初めてのようだった。しかも三条ウォームで軽く押せて、発電によって前照燈が点く。合葉氏は子供のように何十回も押して、楽しんだ。先台車の復元装置が本当に作動するのを確かめ、テンダの重さと摩擦の少なさを確認した。

New O gauge「昔ね、”New O gauge" というのを提唱したんだ。ほとんど反響がなくってね、10人くらいの人が賛同を表明したが、それっきりになった。Oゲージにはそれ以下の模型とは異なる魅力があるんだけど、走らせる線路の確保が大変ということがあるからね。」
 と切り出した。(写真はTMS97号1956年6月号) 

「良い線路、良い車輪、良いギヤ、良いモータ、良い軸受の5つが揃えば、怖いもの無しだったのだ。今のHOに、果たして、それがあるだろうか?無いんだよね。それじゃHOの魅力って何だろう。狭い場所でも走らせられる?HOでも自宅のレイアウトで走らせている人なんて、ほとんど居ないよ。それならOゲージのほうが良い。Oゲージの大きさ、質量は、鉄道模型の最大の魅力だよね。HO以下では、逆立ちしたって、できゃしないんだからね。」
と、大きさの効果(2乗3乗則)をまくし立てた。
「原さんのはスパーギヤでよく走るけど、工夫がない。貴方のは直角伝導で、より実用的だ。こちらのほうが良い。」と言った。

「今まで誰もできなかった。でも貴方はやった。将来語り継がれるエポックメーカだ。」
と、お褒めの言葉を戴いた。


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2021年06月25日

M10000の駆動方式

3-thread worm gear 駆動台車の車軸には、新設計の3条ウォームギヤを装着した。新規発注のホブによる進み角21度の高性能ギヤである。これは希望者が多くなってきたので、いずれ頒布するつもりだ。HO用もある。現在ギヤボックスの試作中である。上の角はトルクアーム取付用である。必要がなければ切り落とす。 
 2つのドライヴ・シャフトを共通にして一本にすれば、反トルクはお互いに乗り掛かって、一挙に解決だ。普通の模型はそうなっている。先に述べた折れるドライヴ・シャフトは実に愚かな発想だ。

 自分で設計した台車なら、ウォームギヤの位置を決めて固定すればできあがりだが、この台車は怪しいロストワックス鋳物で軸距離が正確とは言えない。こういう場合はドライブシャフトを分割して、パイプで結び、ロックタイトで留める。台車にはめて、固まるまで、ごろごろと転がしていると間違いが無い。ほんの1分ほどの間である。 

  ユニヴァーサル・ジョイントはやや高級なものを使った。どこで求めたのかは忘れたが、ラジコン用である。片方がΦ2、他方がΦ2.5であった。位相は正しく、その位相でしか組めないようになっているのは素晴らしい。ラジコン屋で売っているユニヴァーサル・ジョイントは9割方、位相が間違っている。

  モータはEscapの18M61である。もう購入してから30年近く経つ。これは、このサイズで当時世界最大のトルクを持つものであった。希土類磁石を使っている。
 Old Black Joeに使った。40ft の標準貨車12輌(4.2 kg)を牽いて1.56%の坂をらくらく登る。


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2021年06月21日

続々 M10000の改良

passengers 台車の上に載っている状態はこれである。台車が廻るように、外被の上を少し切り取った。大変うまく行って、曲線上で接触しない。

 これも筆者の蒸気機関車群と同様に、機関車と付随車の車体、台車をすべて同極性にしてある。最近は今野氏の貢献で「機炭同極」という言葉が市民権を得たようだ。数十年も昔に決められた実利が殆どない規則を堅持する必要はない。筆者の機関車群は30年以上前から、機炭同極である。駆動軸から集電するのがミソである。常に多少スリップするから、汚れが蓄積しないところに価値がある。

 機関車の動力台車の左右の車輪から集電し、テイルライト電源も、最後尾車輛の台車内のコレクタ・シュウで採る。こうすれば、ショートの可能性が極端に減る。

 乗客はパラパラと乗っている。あまり見えないから、これで十分だ。車内燈を点けると、中の乗客のお行儀が悪いのが見えてしまうので、今回は割愛する。

power truckpower truck2 友人の動力台車を同時に改造する。ボルスタが、こんな変な形をしている。ギヤボックスを避け、偏心したセンタ・ピンを持つ。この部分が嫌で、4 mm厚のブラス板をフライスで削ってボルスタを作った。これをはめて銀ハンダで付ける。そうすれば、このヘナヘナのボルスタが強固なものとなり、軸重も等しくなるわけだ。

 軸重なんてどうでも良いと考える人は、多いようだ。軸重が等しくないと、走行音がおかしいのと、脱線しやすくなる。特に動力台車では問題が大きい。軸重が軽い方の軸が、起動時の軸重移動で浮きやすくなるからだ。特にこの模型ではセンタ・ピンの位置が少し高く、それが起きやすい。車輪をLow-D化したので摩擦係数が小さくなり、その危険は減っている。しかし、偏心しているのは許せないのだ。

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2021年05月02日

F級電気機関車

 国鉄のF級電気機関車は、一度は自作してみたかったものだ。昔の駆動装置はモータ軸を縦置きにし、ウォームギヤで動軸を廻し、それからスパーギヤを使って他の2軸に伝動していた。これでは効率が悪いのは、仕方がない。

 実はF級に相当する機関車は、いくつか作っている。3軸台車を持つディーゼル電気機関車群、タービン電気機関車などである。    
 しかし、国鉄型のような軸距離が不均等であると同時に、イコライザが稼働する模型は、経験がない。駆動メカニズムは、短い軸距離の方を1群とし、遠い方には可撓ジョイントを経て伝動すればよい。モータは床上に置き、チェインを介し駆動軸に伝達する。全く難しくない方式である。モータは出力5.7 Wのがあるのでそれを使う。出力曲線を読めば、十分な余力があることはすぐわかる。

 35年前にUP4-8-4を作った時、事前に出力のシミュレイションをした。試運転で、ぴたりと予測と実際の数値が合ったので、驚いたことを覚えている。今回の計算はそれに比べてはるかに楽であった。列車の現物があるので引張力は確実な値であるし、ディーゼル電気機関車群の動力測定は済んでいるので、それを踏まえての動力設計は容易だ。
 
 センタピンの真下を駆動軸が通過する部分は、寸法的にやや苦しそうだが、動輪径が大きいので可能だろう。

 今まで直径が22 mm(42インチ)のものが最大値であったが、今回の27 mm径の機関車は少々戸惑う。速度が大きいから、ギヤ比を替える必要がある。動輪は、古いのをたくさん集めて、その中から良いものを選び、旋盤で径を揃えた。形の駄目なものは捨て、フランジを総型バイトで削った。踏面とフランジを#1200のサンドペーパで磨り、光沢ニッケルメッキを掛ける。硬いので磨り減ることはないはずだが、これは摩擦係数が小さい。

 これが組めれば、次はGG1を組んでみよう。これはテキサスから持ってきたもので、Dennisが作った鋳物で構成されている。


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2021年02月15日

動力ピックアップ

 レイアウトの工事で忙しく、車輛工作はしばらくしていなかった。例のATSFのHeavy Pacific は、テンダの慣性増大化工事がそのままになっていて、少々気がかりだ。
 
6-wheel truck with power pickup 6輪台車は完成しているが、まだ心皿については迷っている。ギヤボックスがあるので、心皿は通常の構造では付ける場所が無い。駆動軸の台 (tower)を作るが、センタピンを付けられない。ギヤボックスはバネで浮動するので隙間を 1 mm程度空けねばならない。全く新しい方法でセンタピンを無しにするか、テンダボディの中にめり込ませて固定するしかない。他と干渉しなければ、後者を採りたい。
 写真は 後者の様子で、ギヤボックスの浮動分をクリアするように彫り込んである。

 チェインは1コマが単位なので、許される軸距離は連続ではない。多少のたるみを見越して、とびとびの値しか与えられないのだ。その中でベストの高さを拾い出すわけだから、意外と面倒である。メーカのカタログにも算出データがあるが、信用してよいのか迷う。伸びをどの程度考えているか、だ。

 支持方式も先回とは少し異なる。せっかく太いアングルを通したので、それに直接付けてしまう。ネジ留めだけで、ボ−ルベアリングの予圧を掛けられるように設計せねばならない。その上でスラストベアリングで受ける。こうすれば軽衝突時にも生き残る。剛性を高くしてネジで締めるのが最良だが、それではあまりにも重くなる。2.5 kg以下にしたい。
 必要なことはフライホィールの径を許される限り大きくすることに尽きる。軽くても径が大きく、速く回転するものを作れば、用が足りる。


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2020年09月02日

模型クラブの会合

619_2219 久し振りに模型クラブの会合に行った。Covid19禍でしばらく中止されていたり、当方の都合で行けなかった。今回は会員に渡すものがあるのと、様々な用事があり、どうしても行かねばならなかった。ウェブ会議でやるというアイデアもあったが、それはあまりにもばかばかしいということになったようだ。

 会場に着くと大きな部屋であった。最近は、誰も使う人が居ないらしい。安価で広い場所が与えられた。参加者は10名ほどであったが、持ち寄られたものは面白いものが多かった。
 在宅勤務が増えたので、模型工作の時間が十分に与えられたことになる。アイデアを形にしたものを見せ合い、なかなか面白い会合であった。

 伊藤 剛氏は、クラブに入っていない人の作品には偏りがあります、と述べていた。それはそうだろう。互いに啓発し合うチャンスが無いと、間違いを是正するチャンスもなくなる。また、手伝いに来て下さる方もあって、助かる。もう何十年も付き合っていると、お互いの事情も良く分かっているからこそである。

 今回、筆者はパシフィック2輌を持って行った。このサイズの模型は壊れやすい。もうすこし大きなものは良いのだが、重い割には飛び出しているところが多いのだ。4-8-4クラスだと相対的に出っ張りが少なくなる。

carrying engines 手術台に載せて箱に入れ、隙間に緩衝材を丸めて突っ込んだ。この方法は機関車が安定して良い。テンダは別の箱に入れた。動軸が回転するので、転がらないようにするのはかなり手間がかかるが、あおむけにしておけば何も考えることがない。

 二輌を同じ線路に載せ、片方を押すとヘッドライトが点き、他方が走った。始めて見る人も居て、とても驚いたようだ。理屈は分かるが、実際には難しいことだと言う。
 角速度が一定になるように設計した3条ウォームギヤであることは知っているので、何度も押してその感触を楽しんだ。実はUPの機関車には大きめのフライホィールを付けてある。これを付けると角速度が一定でない歯車を付けた機関車はゴリゴリするはずだ。その話をすると非常に面白がってますます早く押して、調子を調べたがった。小さな抵抗を持って行ったので、それでレイル間をショートさせ、負荷を与えての高速手押しを何度もやって、角速度が一定であることの価値を確認していた。また、トルクチューブの意味について語り合った。もっとも合理的な方法であるということが納得できたようで、嬉しい。

 工学を正しく理解している人たちとの会話は楽しい。単なる思い付きではなく、裏打ちのある知識を持って実験することの意義を感じた日であった。 

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2020年07月16日

ギヤボックスを作る

 3条ウォームが少し残っていたが、ギヤボックスがない。図面を描いて自分で作る算段をしたが、凄まじい時間が掛かるし、精度のあるものが沢山できるかは疑問があった。一つだけ作るのなら喜んでやるが、ディーゼル電気やタービン電気機関車の動力は数十個を必要とする。CNC加工の外注という手も考えたが、外注先はそう簡単には見つからない。
 3Dプリントで樹脂型を作って、それを金属置換するのもアイデアとしてはあるが、鋳縮み測定の実験を数回せねばならないであろう。また決して安くはない。

 悩んでいたところ、S氏が焼結ナイロンでやってみようと言う。寸法安定性は十分にある。ただ、X,Y,Z軸の各方向の寸法再現性は、全くのデータ無しの状態であった。
 無調整で一発で組みたい。噛合い調整は絶対に避けたいのだ。時間の無駄であり、また効率が一定しないから、惰行の仕方にばらつきが出る。工業製品としてのギヤボックスを目指すべきであるのだ。
 
Nylon gearbox 3軸のどの面が一番正確に再現されるかを調べるために、3通りの方向に試作品を並べて、積層の向きを指定して印刷した。常識的には、XY平面のお絵描きが一番正確であろうことは分かる。Z軸が問題なのだ。
 実験の結果は予想通りであった。Z軸の数字を調整して再度試作した。素組みしただけで、最高の性能が出るものを発注して、染色した。

 ボールベアリングを収めるスリーブが入る部分はリーマを通したが、ざらつきを取る程度の抵抗しかなかった。ネジ孔も印刷形成で良い筈であるが、M2のためにΦ1.6をあけておいて、ガラでタッピングした。切粉が大匙一杯ほど出た。この種の作業は楽しい。モリブデン・グリースをマイクロブラシで薄く塗り、ぱちぱちと組んで、あっという間に出来上がった。ギヤの噛み合いも均一で素晴らしい物であった。

 ナイロンは数十年以上問題なく使える筈であるし、重負荷で温かくなったとしてもその程度ではクリープは起こらない。たとえ壊れたとしても、データはあるので再現は簡単である。写真は二次試作品である。

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2020年05月03日

続 ATSF Heavy Pacific

 この機関車は場違いなところにあったのだ。東部の機関車は西部で、西部の機関車は東部で買うと良い、と言われていた。人気がない機種は、安く買えるということだ。サンタフェの機関車がニュー・イングランドにあっても、欲しい人などいない訳である。当時の相場としては900ドル位であった。その価格で出ていたが、誰も見向きもしない。売り主と話をすると、
「800ドルにするから買ってくれないか。」と言う。
「いや、こちらはアメリカ一周の旅行中だから、買いたくない。」と答えると、「最終日まで待って誰も買う人が居なかったら、600でも良い。」と言う。
「いやそれでも買いたくないな。」
「じゃ500でいいから。」と言う。その価格でなら魅力があった。

 そして最終日の夕方行って見ると、筆者の名前を書いた箱があり、小切手を渡してそれを受け取って来た。良い買い物であった。南部の友人を訪ねてから、自宅に帰って箱を開けた。驚いたことに、ACモータが入っていて、逆転スウィッチはキャブの中にあった。Max Gray時代の極めて初期のものだったのだ。それが安い理由であった。ニ線式であったのは助かった。帰国する時には錘とモーターは捨てた。それでも十分に重かった。
 祖父江氏に見せると、「参ったねー。こいつぁー古いよ。30輌位作ったっけな。モータが入らねえから、バックプレートを切り開いて、無理に押し込んだんだよ。テンダは重いよ。厚い板で作ったんだ。高くついたね。あとでUS Hobbies向けにも作ったけど、あれは薄い板で作ったから軽いよ。」と言った。
「煙突の裾はハンダの丸味だよ。プレス型を作るほどの数が無かったからね。あとで作った時はプレスになったな。」

pneumatic smoke deflector (2) バネを入れ、動力を改造して押して動くようにした。外装もかなり手を入れた。塗ってしまえば良かったのだが、ガラス棚に長期間鎮座していた。今回テンダを改造する予定だが、先に塗ってしまうつもりだ。本物の煙突は2フィート(61 cm)ほど折れて畳めるようになっている。それをやりたいのに、資料が見つからなかったのが、塗装が遅れた理由だ。DCCで畳めるようにしようと思っていたのだ。この図面がかなり近いと思う。

 実は、この機関車はもう一輌ある。テンダを手に入れたので、スクラッチからある程度作ってあった。並べると壮観だろうと思った。それは贅沢にもフル・イコライジングである。作りかけのまま、30年以上放置されている。スポーク動輪を他に使ってしまったのだ。今度作るときはボールドウィン・ディスク輪心にしたい。最近は3Dプリントでもできるから、試しにやってみたくなった。しかしタイヤを挽くのは大変である。快削鋼のΦ45を買ってきて削り出すのだ。ほとんど切粉になってしまう。昔は鋳鉄からも作ったことがある。鋳鉄製タイヤでは、牽引力は確かに増大するが、見た目が良くない。ステンレスのタイヤは許せない。色が悪いし、滑りやすい。快削鋼の色は素晴らしい。錆びると言う人がいるが、よく走らせていれば心配ない。
 精度の点ではタイヤだけは外注したいのだが、20枚程度では引き受け手がない。タイヤを研削する時に使うヤトイを作ってあったのだが、見当たらない。頑張って作ってみよう。 

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2020年05月01日

ATSF Heavy Pacific

ATSF Pacific Santa Fe鉄道のヘヴィ・パシフィックである。背が高い。動輪径は79インチ、2006 mmだ。古いパシフィックを大改造して作られた。大きな動輪に替え、ボイラを作り替えて圧力を上げ、給水装置をElescoにした。筆者の好みの形だ。この機関車は、筆者としては珍しく完成品を入手している。1960年より前の祖父江氏の作である。

 1989年、アメリカ東部のOスケールのショウを見てみたいと思った。西部から車で何日も掛けて走り、あちこちで友人を訪ねながらメイン州まで行った。帰りにコネチカット州のスタンフォードに寄った。駅前のホテルでその模型ショウがあったので、Bill Wolferに頼んで、入場券を押さえて貰った。ホテルはマリオットで高級だが、参加者は安く泊まれた。すぐ裏に、St. John's Episcopal Church があり、そこの地下には巨大なOスケールのレイアウトがある。その大きさ、精緻さは全米で屈指のものである。

 物品販売しているテーブルはたくさんあり、手紙のやり取りで知っている人も多かったので、一つずつ訪ねて歓談した。中には金を払ったけど送って来なかった奴がいて、乗り込んで行って名乗った。非常に驚いて、「もうすぐ送るつもりだった。」と言い訳をした。「黙れ!さっさと商品を渡さないと主催者に言うぞ。」と怒鳴ると、慌てて渡した。もう廃業しているから名前を出すが、Sal Marino’sというイタリア系の店であった。何回か電話したが、ごまかすつもりで、でたらめなことを言っていた。まさか西部から乗り込んで来るとは思わなかったのだろう。啖呵を切る練習をして行ったので、うまく行った。そのせりふの手ほどきをしてくれたのは、Bill Wolferである。後ろでニコニコして、見ていてくれた。


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2020年04月29日

慣性増大装置付き機関車の増備

 今アメリカの複数のフォーラム(非公開サイト)で筆者のUP850が採り上げられている。Youtube を見て討論しているのだ。傍観しているが、いろいろな意見があって面白い。
 増速装置にウォームギヤを使っているとは思わないので、様々な想像をして、多段スパーギヤ + 食い違い傘歯車だろうと書いている。そんな歯車装置では、高価だろうし、多分すさまじい音がする。たとえウォームギヤが使ってあっても正しい歯型のものでないと無意味なのだが、そのあたりはあまり理解されていない。動けば良いというものではないのだ。高効率で静粛性を求めるには何をすべきか、ということは自分で計算をしてみないと分からないだろう。7軸の内、6軸から動力採取をしていることの意味は読み取った人がいた。これは嬉しい。
 そのうちに、誰かが3条ウォームを使っている筈だ、と言い出した。ここでも"3条"に意味があると思っている人が多いことがわかった。3という数字には意味はない。「互いに素」の組み合わせが相手が偶数でも作りやすいという利点しかない。かなり頭を絞って考えているようだが、進み角 lead angle にたどり着いた人は、まだいない。

 多条ウォームは、世の中に沢山ある。オルゴールとか、蓄音機に使われて来た。しかしそれらはゼンマイ動力であって、駆動側の慣性モーメントが無いに等しい。
 歯形がでたらめでも、被駆動側の大きな慣性モーメントで、均等化されていたのだ。今回は、大きな慣性モーメントを持つものを駆動し、また逆に、それによって駆動されるのだから、話は違ってくる。角速度の均一性は極めて重要なファクタである。そこに気が付くかどうかを見ている。
 MRに投稿する原稿をまとめる上でとても参考になるので、しばらく議論を眺めていたい。


 原氏の博物館からは、当分帰って来ないことが確定した。その間落下事故がないことを祈る。
ATSF Tender フライホィールの効果を見たい友人がいる。もう一台くらい作って見せてくれ、と言う。作るのが簡単で効果が大きいものは、テンダの体積の大きな、大動輪のパシフィックであろう。このSanta Feのパシフィックは塗る直前の状態で10年以上置いてあった。

 車輪は既にLow-Dに交換してあり、この重いテンダは0.2%の坂を下り降りる。塗装前にテンダの床に孔をあけて準備しておけば、フライホィールの増設は難しくない。このテンダは箱型で、高さがあるから、改造には適する。台車のシルエットも、動力ピックアップ装置をかなり隠せる大きさだ。 車輪径が小さいので、増速率を減らすことができる。これは音の問題を小さくするだろう。


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2020年04月11日

続 コンテストの結果

 肺炎騒ぎで、原氏の博物館は閉鎖されている。本来なら、4月4日〜4月末まで展示され、その後は返却されるはずであった。それを取りに行って、その足で友人たちに見せ、家に持って帰るはずであったが、延期になってしまった。表彰式は9月にするそうだ。

 本来は5月に渡米し、コンテストにエントリィの予定であったが、それは不可能になった。もっとも、向こうも大変な騒ぎで、そのコンテストも取りやめになっているはずだから、実害はなくなった。しかし、機関車は早く手元に戻したい。少し手を加えて、より静かにしたいからだ。
 以前にも書いたように、テンダの4軸側の動力ピックアップによって発生するトルクが、チェインの許容張力の限界に近いので、急加減速時に少し音がするからだ。2丁掛けにすればかなり静かになる。定速走行時には殆ど気にならない程度の音である。

 筆者の友人たちは、機関車が帰って来るのを待っている。目の前でスリップさせて見たいのである。動画では満足していない。運転させてくれという人も多い。
 慣性が大きいので、運転はかなり難しい。慣れるまで時間が掛かるだろう。

 もう一輌作ってみたい。テンダが大きく、四角い Santa Feの6輪台車のテンダが良さそうだ。パシフィックなので、スリップは 容易だ。ただ、ギヤボックスが横から見えにくいとは言えないので、少々問題である。そういう点では、このセンティピード・テンダはとても好都合であった。

 審査風景の写真が差し替えられている。テンダをわしづかみの写真が消えてしまった。どうして消すのだろう。やったことは仕方がない。壊れなかったようで、問題は生じなかったのだ。消したことで、余計問題が大きくなるのではないか。


 驚くほど大量のコメントを戴いた。放送禁止用語の入っているものは掲載できない。すべてが選考の基準等に関するものであった。落としたのを見たというのも複数ある。そういうところであれば、無事に返してくれるよう祈るしかない。

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2020年04月09日

コンテストの結果

 4月4日に結果が発表された。筆者はそれについてコメントできる立場にはないが、様々な方からメイルを戴いた。

 このコンテストは商業的な博物館のコンテストである。筆者は結果をある程度予測していたが、このコンテストに応募するように勧めてくれた友人は、かなり落胆していた。しかし、これによって3条ウォームの露出が増えて、興味を持つ人がたくさん出て来ると言っている。

 原氏はウォームギヤが嫌いであった。スパーギヤ、ベベルギヤによる伝動しか認めないという姿勢を崩さなかったのだ。筆者が3条ウォームを実用化し、逆駆動が可能になってからも、原氏は一切その話題には乗って来なかった。地震で亡くなった魚田真一郎氏は、「あの人も困ったもんだ。どうして認めないのだろう。」と嘆いていた。魚田氏も3条ウォーム派であって、殆どの機関車を改造したのだ。

 原鉄道模型博物館には「ウォームギヤは逆駆動できない」と掲示されている。これはおかしい。否定の証明は難しいのだ。まさにその反例を突き付けている。
 筆者が応募したのは、この掲示を外してもらう良いきっかけになると思ったからである。FEF4の慣性のある動きはテンダのウォームギヤの逆駆動による動力ピックアップによる。もう誰も否定はできない。
 鉄道模型は科学的な思考を育て、それによって再生産されるはずだ。その科学的思考に誤りがあると、その産物は正しい物とは言えないだろう。

 また、先日1980年代後半のミキストを拾い読みした。その中に逆駆動されるウォームギヤに関することが2行程度だが書いてあるのを見付けた。山崎氏はどうして接触して来なかったのだろう。

 今回発表されている写真を見ると、ボイラー脇のラニングボードが派手に曲がっている。持ち方を指定する図まで添えたのだが、ここをわしづかみにされたかもしれない。完全に真っ直ぐではなかったが、曲がりが極端に増している。ラニングボードが薄かったのだが、厚いラニングボードはオモチャ的で、筆者は好きではない。本物もへなへなと曲がっているので、より「実感的」ではあるが、出品者としてはあまり嬉しくはない。
 審査風景の中にもテンダをわしづかみにしている場面がある。これも持ち方の図を無視している。一応補強を入れておいたので生き残っているが、それが無ければ、確実に壊れていただろう。模型に対する愛情、情熱が不足した人が審査しているのだ。補強を入れた判断は正しかった。 

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2020年03月22日

Texasからのメイル

 Dennis の調子が良くない。手術後今リハビリ中で大変だ、と奥さんが知らせてくれた。早速元気付けに行こうと思ったのだが、肺炎騒ぎで行けそうもなくなった。毎年この時期には、花粉症対策と称してアメリカに逃避していたのだ。今年は、行ったは良いが、帰って来られなくなる可能性もある。
 彼のところには、たくさんの友人が行っている。人望のある男だから、助けに行っているのだ。遠くカリフォルニアからも助っ人が何人も行って、レイアウトの工事をみんなでやっている。かなり進歩したらしい。

 先日のFEF4の動画を送ったら、みんなで見たと連絡があった。単機で動輪がスリップする様子を見て、興奮したと書いてきた。MRに早く載せろと言うので、その準備を始めた。

 ついでに送ったEM-1が長編成を牽く動画は、評判が良くない。EM-1はこんなに牽けないと言う。119輌を牽くには3重連が必要だという結論になったそうだ。時々片方のエンジンがスリップして音が変わるのは、とても楽しくて良いそうだ。様々な動画を送ってあるので、みんなで見てワイワイと批評して楽しんでいる。ともかく、一人でつまらぬリハビリをしているより、はるかに良い。

 FEF4がスリップする場面は評判が良い。テンダの中身の写真を見て、皆仰天したらしい。車軸の回転をどうやって取り出しているのかわからなかったのだ。こちらはいつもやっているから当たり前だと思っているが、普段ウォームの逆駆動などしたこともない人には、実感が湧かないらしい。デニスが、虎の子の3条ウォームを取り出して廻して見せたら、のけぞったそうだ。軽く動くし、全く無音と言っても良いほどなので、ウォーム駆動とは思えないそうだ。
 ともかく、テンダ車輪の 6/7 から動力採取して増速してフライホィールを廻すメカニズムは理解した。それが機能して、テンダが機関車に当たり、それを押して行く場面は何十回も再生したという。慣性がここまで大きいのが面白いのだそうだ。

 予定ではDennisのところに寄って、後二人のMikeのところに寄ることにしていたが、それもダメになった。 


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2020年02月25日

EMD NW2

 改装で細かい傷がついたのでタッチアップした。先日の神戸の催しに持って行って、披露した。筆者がスウィッチャを持って行ったのは初めてだそうで、「珍しいね。」と言われた。確かに今までは本線用の大型機しか持って行かなかった。
 下の写真の、UPカブースの付いているタンク車一編成を持って行った。Texaco は新作である。このディカールを Dr.Yに 新しく作ってもらったので、一気に増えた。本当は Texaco だけで60輌編成が組みたかったが、当時はディカールが高くて、とても無理であった。  

 S2 と NW2 とを同じ線路の上に置き、片方を押すと、もう一つも走り出す。これを見せたら、驚愕した人が居た。彼には初めてだったらしい。話には聞いたことがあるけど、本当に動くとは思わなかったそうだ。どういう風に話が伝わるとそうなるのだろう。あいつはウソツキだと言う人も居るらしいから、油断はできない。この動画を撮って、早くUPしておく必要がある。 名古屋の会合で撮って貰った動画があるので、それを近日中に youtube にUPする。 

displayed in Kobe 神戸の催しでは、モハメイドペーパー氏による解説が日に4回あるので、そこでの紹介に入れて貰った。押して動かすと、どよめきがあるかと思ったが、そうでもない。皆よく分からないのだろう。しかし、数人が接触してきて話をした。「面白いですね。」と言ってくれる人も居る。

UP NW2DCC NW2 はまもなくDCC化する。DCC化すると、2台並べて片方を押す演示は出来なくなるのは残念だ。その前に1枚写真を撮った。なかなか良い雰囲気である。

 この種の機関車はこのスロットルがあると面白そうだ。動画を見て欲しくなった。アメリカ人の作るものだから、厚みはかなりある。今後進歩するだろう。

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2020年02月19日

続々 FEF4 UP850

centipede tender (2) テンダは最前部のデッキを切り落とせば済むわけではなかった。キャブが延長されているので、それと連結するにはデッキ下の台枠を13 mmほど延長してやらねばならない。機関車の連結部を伸ばすと、オウヴァハングが大きくなる。これは避けるべきである。テンダのdraw barのピン位置は10 mm移動した。この部分は力が掛かるところであるから、十二分に補強してある。床板にはチェインが通る穴があいている。強度を持たせるために、ボディ・シェル側に太い骨を入れて、それとネジで連結するようにした。銀ハンダで付けてあるから、オリジナルより丈夫かもしれない。

 テンダのボディ・シェルの骨は、重いのをわしづかみにされても凹まないように設計した。また、シェルと床板をネジで締める部分は、力がシェル全体に掛かるような設計にした。こうしておけば、メネジ取り付け部が剥がれたりしない。ここまで考えておかないと、塗装完成後に壊れて泣きを見る。ここまで重いテンダはまずないから、気を付けねばならない。

centipede tender オリジナルの模型の製造は1966年頃で、祖父江氏による。まだKadeeはなく、怪しいダイキャスト製のダミィ・カプラが付いていた。その取付部の高さは、どのように工夫してもKadeeには適合しない。フライスですべて削り取り、ブロックを作成して埋め込んだ。テンダは重いので、バネの沈み込み量が大きい。実験・測定を繰り返して、高さを決めた。

FEF4 painted (1) 今までの車輛とは大幅に異なる質量を持ち、なおかつ客車ほど長くない。即ち平均密度が大きい。初めて触れる人はきっと驚く。落とすまいとしっかり握るから、何も対策しないとつぶされる可能性があった。だいたい、わしづかみにする人はHOの人で、Oスケールの標準軌車輛を持ったことが無い人だろう。

 博物館に来た人で、車輛に触りたい人が居るが、それは遠慮願っている。HO以下の模型とは全く異なるので、壊す可能性が高い。握って客車の窓をぶち抜いたり、荷物室扉を押し潰したりする例は多い。機関車を持つときは、どこが一番堅いかを調べてからしか、持ってはいけない。テンダについては今まで特に注意を与えなかったが、これに限っては重いので最高の注意が必要である。

 今回は審査員が触るという前提があったので、最大限の補強を入れているし、壊れそうなものは付けなかった。一般論で言えば、他人の車輛には手を触れてはいけない。


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2020年02月05日

続 UP switcher

NW2 (1)NW2 (6) ハンダ付けがへたくそで、肝心の部品が取れて来る。上廻りを床に留める金具がパラリと落ちる。ハンダが廻っていない。左が取れる前、右が取れて落ちた物。塗装してあるので、ハンダ付けはできない。良く磨いてエポキシ接着剤を塗り、クランプで締めた(圧締)。こうすれば極めて強力に付く。

NW2 (3) 運転室(キャブ)があるので、推進軸支えの位置をキャブ側は中心に近く、手前に置き、機関室側を遠くに置いた。モータ位置も少し移動した。そうしないとユニヴァーサル・ジョイントのスペイスが無いからだ。オリジナルでは、モータも床上にあったのは同じだが、中央のギヤボックスで推進軸を下に降ろし、極端に短いユニヴァーサル・ジョイントで無理につないでいた。しかも位相は間違っていた。そのせいで、カーヴでゴリゴリという音がした。改造したら、とても静かになった。ユニヴァーサル・ジョイントは、ある程度の長さが必要で、曲がる角度を小さくすべきなのだ。
 改造により、燃料タンクの中が空になったので、活字をぎっしり詰めた。すると、ハンダ付けが不完全なせいで、重さにより分解して試運転中に落下した。仕方がないので、丈夫に作り直すことになった。こういうことは、韓国製の模型の宿命である。

NW2 (4) ジョイントはこんな形である。Ajinのジョイントを拾っておいたのを、有効利用している。あまり精度は高くない。中間軸が微妙に震えるが、軽いものだから我慢する。ブラスで作ったスリーヴと接合するのだが、抜け留めが要る。超硬の 0.5 mmのドリルで軸を貫通して孔をあけ、針金を通して曲げる。ドレメルで3万回転であけるのだ。これには熟練を要する。

 モータ・マウントは1.6 mmの板で、4 mm角の棒に銀ハンダで付けてある。簡単なジグ上で、焙り付けである。角棒にフライスで溝を入れ、軽く押し込んで付けた。その時、板にはニッパで軽く傷を付けて、押し込んで噛合わせた。こうするとハンダが廻りやすい。工作が簡単な割には、剛性が大きく、具合の良いものであり、お薦めできる技法である。普通のハンダでは強度が足らない。

UP NW2UP S2 30年の懸案課題が解決した。同時に中身の怪しいスウィッチャ Alco S2 も整備した。 これは後述するが、軽整備である。モータを取り替え、車軸にボールベアリングを入れただけだ。
 DCC化するが、近々ある神戸の行事に持って行ってからの予定だ。

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2020年01月28日

5軸台車にギヤボックスを付ける

centipede tender こんなに狭いところに5軸あるので、ギヤボックスを無理なく収めるのには少々苦労する。例えば3軸台車なら、2軸を一つにまとめてドライヴ・シャフトで結び、もう1軸はルースなジョイントでつなぐことを考えるだろう。そのギヤボックスに反動受けのリンクを付ければ、完成だ。
 しかし5軸あると、そのような方法が採れない。2軸ずつにして中間の1軸は捨てて、そこに伸縮するユニヴァーサル・ジョイントを置くしかない。しかし、そのスペイスすらないのだ。こうなると、六角軸のジョイントでつなぐしか方法が無い。

 この六角軸ジョイントは、六角レンチの頭が丸くなっているタイプを思い起こして戴くと、理解できるだろう。少しくらいの角度なら、問題なく廻る。厳密に考えると等速とは言えないのだろうが、角度が浅ければ全く問題ない。線路の上に載っているのだから、それほどの段差はなく問題は起こらない。よくできた部品だと思う。これは、カツミ模型店にいた高橋 淑氏のアイデアだ。写真では、ずれが大きいところを見せている。軸受を外して作動状況を見せているのだ。走行時には殆ど直線状である。

 チェイン・ドライヴは前後2つに分けた。1つにすると負荷が大きすぎると判断した。これは前述した許される最大加速度の計算時に、チェインの張力が算出されたからだ。また、先台車の偏倚によって、ドライヴ・シャフトが曲がって大きくずれ、効率が低下するのを避けたかったからである。
 車輪が滑るほどの加速度を与えると、チェインの音が大きくなる。プラスティックのチェインであるから、張力で多少伸びるからだ。もっと張力を掛けると切れる。
 
 このフライホィールの慣性モーメントはかなり大きく、加速するには大きなトルクが必要である。スペイスが許せばチェインを二重にしたかった。2つのスプロケットの位相を1歯の半分ずらすと、音が静かになる。次に改造する時には考慮したい。

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2019年12月07日

HOゲージャの訪問

 HOの友人が夫人を伴って来訪した。
 かねてから、夫人はこの博物館のレイアウトのことを聞かされていたので、「どうしても見たい」といらしたようだ。120輌が音もなく発車し、ドラフト音を響かせながら坂を登って降りて来るのをご覧になって、大変驚かれたようだ。
 御亭主に、「どうしてうちのは短いのに、ここは長くても牽けるの。」と質問された。彼の自宅のレイアウトには、電車を中心に車輛が走っている。

「すべてが違うんだよ。車輪旋削の精度、材質、軸受の精度、歯車の設計、モータの種類、すべてが全く異なるのだ。」と彼が答えると、「HOでもできないの」と聞く。
「残念ながらそういう車輪を作る人が居ない。誰か作らないかなと待っているんだけど誰も作らないから無理だ。」と彼が言うと、残念そうな顔をされた。

「『誰かが作らないかな』と思っていても、駄目さ。自分で作らなきゃ。そういう工場はいくつか伝手があるから、紹介しようか。」と切り出したけど、話はそれ以上進まなかった。

 どうして誰もやらないのだろう。研究結果は発表されているので、HO用のヴァージョンを作るだけのことだ。半分の大きさにすると、いくつか予想外のことが出てくるかもしれないが、少なくとも、めっきされた車輪よりはずっと静かになる。

 動力車用の40インチの車輪のネジの嵌め外しを、して貰った。さすがに技術者だけあって、その違いに気が付いた。
「このネジは高精度だ。こんなのは他に例がない。」
 全くガタがないネジで、締まるとき、コツンと当たるともう動かない。軽く締めただけで、そう簡単には緩まない。細目のM4ネジである。車輪の製造所が胸を張って「世界最高峰のネジです。」と自慢したネジである。左右の車輪径が1/100mmの桁まで合っているし、バックゲージ(back to back)のばらつきがない。
 それを言うと、彼は、
「ここまで来ると模型じゃないな。精密機械だね。この静かさには参るね。HOはオモチャかな。オモチャから脱却したいもんだ。」と言った。

 彼は、筆者が上廻りの出来具合にはあまり興味がないことを、良く知っている。模型屋には殆ど行かないと聞いて、夫人はどこに行くのかと聞いた。
「クズ屋です。廃金属回収の店に行くと、楽しいものがたくさん見つかりますから、洗いざらい買ってきます。工作した残りのクズは持って行って売ります。50 kg買って40 kg以上売りますよ。」
と言うと、ずいぶん驚いた。ブラス専用の屑箱をお見せすると、納得されたようだ。


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2019年09月03日

続々 またまた3条ウォーム 

久し振りに「互いに素」のことを書いた。割り切れない組合せにしておくだけで、滑らかな伝達が保証される。
 歯車は工業製品である。優秀な歯切装置で作られたものであれば、ばらつきは少ないが、ゼロであることは無いだろう。僅かなばらつきや、微小な傷、異物の噛み込みなどの影響で、噛み合わせに異常を来すことが無いとは言えない。

 そういう時はこの「互いに素」が効果を発揮する。様々なファクタによる不具合を薄めて、自然に支障の無い状態になる。
 このウォーム・ギヤボックスを作ってくれたY氏は、組んでみて廻したとき、微妙なひっかかりに気が付いた。ところが廻しているうちに問題がなくなったので、改めてその効果に驚いたそうだ。
 進み角は tooling cost(新規に必要となる刃物の価格)の掛からない18度以下にするべきだ。また、伝達効率もその辺りで良い。特殊なホブを用意せずに切った進み角の大きなウォームでは、歯形がおかしくなる(最近は別の歯形創生法で、18度以上でも作れて、効率低下が少ない方法があるらしい)。
 ウォームホィールの歯当たり部分を凹ませた物は、高級に見えるらしい。残念ながら、伝達効率はそのほうが低下するという報告も出ている。ともかく、この歯車セットは、工業的に最も具合の良い条件を組み合わせたものである。単なる思い付きを形にしたものではないのだ。これを実現するために、複数の歯車の専門家に話を聞き、コストも考えて設計した。

 クラブの集会に持って行くと、皆で寄ってたかって触る。逆駆動できるウォームとは言っても、かろうじて廻る程度の物だろうと思っていた人が多かったようだ。車軸を廻すと、ウォーム軸がビューンと廻るのには皆さん驚く。ウォーム軸は小さな物なのだが、高速で回転するので、慣性で廻り続けようとするのを見て、皆さんは驚く。(動画の前半部分のみ)

 HO車輌に嵌め替えた人も何人か居る。動輪の大きな蒸気機関車には嵌まるそうだ。押して動く動画を送ってくれる人も居て、嬉しい。

 ギヤボックスを作っても開放ではいけない。ゴミを巻き込んでダメになる。動輪軸にガタがあると、それだけで損失が増大する。HOの蒸気機関車のギヤボックスには、そういうガタがあるものが多いように思う。

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2019年09月01日

続 またまた3条ウォーム

 むすこたかなし氏の目は、かなり細かいところまで届いている。インナ・レースは軸と共に廻るが、それがどこかに触ると、とんでもない損失を生み出す。ギヤボックスの内側は微妙に削り、何が起こってもインナレースが触らないように出来ていることを、見抜かれた。素晴らしい注意力である。これは、今まであまり誰も指摘しなかったことなのだ。

 今まで、いろんな方が作ったギヤボックスを見て来た。せっかくボールベアリングを使っているのに、ここが触っている例が多かったのだ。ウォームギヤは大きなスラストが発生するので、触ればそこで発生する摩擦損失は大きい。

 このギヤボックスは、ディーゼル電気機関車用に開発された。以前のΦ2.5軸系列のウォームギヤは、ロストワックス鋳物のギヤボックスを用いていた。鋳物は精度が出にくいので追加工をしたが、そのばらつきは無視できず、調整に時間が掛かった。それに要する時間がもったいなかった。噛み合わせ調整に時間を掛けるというのは無駄以外の何物でもない。
 だからギヤボックスを精密機械加工で作ろうとしたのだ。歯車の残数も少なかったので、思い切って完全な新規生産にした。

 潤滑はモリブデン・グリースをほんのわずか塗ってあるだけである。沢山入れると安心する人は多いが、決して褒められない。撹拌損失を増大させているだけである。歯の当たる部分にだけ塗ってある。互いに素であると、最初は渋くても、1分も運転すると極めてよくなじんでくる。もしこれが 30:2 だったりすると、ゴロゴロ感から逃れられないことがある。

 新製品の開発は成功で、時間の節約ができた。動力化する機関車の数がかなり多いので、多少の出費で省力化ができれば有難かった。しかも動力性能が完全に同一になるので、重連の時に全く問題がない。当時は博物館の構想すらなかった時代であったが、思い切って作ったのは大成功であった。

 歯車はたくさん作ったので、今後のギヤボックスは3Dプリンタで作ってみたい。ナイロン12で作るものなら、油に漬けても変化がないことが分かった。これについてはミシン油浸けで3か月間日光に当てた試験をしてある。

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2019年08月30日

またまた3条ウォーム

時々コメントを戴く、むすこたかなし氏が連載されている記事が興味深い。筆者が自分で書くより、客観的な記事を書いて下さるだろうと思い、サンプルをお送りした。

 このギヤボックスは10年ほど前に、硬いアルミ合金からCNCフライスで削り出したもので、かなり高価なものである。飛行機の部品を作っていたY氏が作ってくれたものだが、再生産は難しい。ネジはM1.4を使用している。ネジ孔はタップを立ててあるが、切削タップではない。転造タップである。これは素人が手で廻すものではなく、高性能のCNCマシニング・センタでなければできない。切削後、黒染めを施してあるので、プラスティック製と間違える人が居る。

 スラスト・ボールベアリングを用いていない。小型化を狙ったので、ラジアルベアリングだけで作った。
 むすこたかなし氏の解説にもあるように精度高く作ったベアリング・ハウジングに油を付けて滑り込ませてある。アウタ・レース(外輪)はハウジングに油膜によって支えられている。油がないと玉が押し出されて、壊れやすいはずだ。

 ミクロン単位で作られているので、無調整で最高の性能を発揮する。噛み合わせの調整は全く要らないというところがミソである。組み立てただけで所定の性能を発揮する。手製のギヤボックスでは到底考えられないところまで行っている。


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2018年06月12日

O Scale West での講演 2

 3条ウォームの特質で一番大切なのは、高効率を求めると、同時に逆駆動ができるようになるということである。決して逆駆動だけが目的ではなかったと言いたかったのだ。音のことも強調した。
「スパー・ギヤ、べヴェル・ギヤ・ドライヴでは蒸気機関車がヒューと音を立てて走るから許せない。」と述べると、皆納得した。ウォームの静粛性には敵わない。

 一部の人達は「祖父江ドライヴは歯車比が小さいから、牽引力がない」と勘違いしているが、それはモータが小さいだけである。高価だが12 Wクラスのモータを入れれば、UPの4-8-4が重いプルマンを12輌牽いて1.6 %の勾配を駆け上がることができる。その様子を動画で見せると、皆愕然とした。全効率は60 %弱であると言った。低ギヤ比の方が効率が良いことと、祖父江ドライヴには 15 W の伝達能力があるということを強調した。

「そういうモータはいくらぐらいのものだろう?」と聞く。
「場合によるが定価は300〜500ドルくらいだろう。」と言うと驚いた。
「高級なスポーツカーでは、その製造原価のうち、エンジンは40%くらい、トランスミッションが20%くらいを占めるのだから、当然ではないか?」と言うと妙に納得した。

B&O EM-1 + 125cars + caboose 次いで、126輌編成がドッグボーンを周回して機関車とカブースが逆向きになって平行になった状態を見せた。その状態でカブースを後ろに引く。約 0.7 mほど引くと連結器の隙間(slack)が伸び切って、機関車が後ろに引張られて動く。今度はカブースを前方に押して行くと、スラックが閉じて機関車が前に押される。
 この場面は非常に感動的で、会場内は騒然となった。
 機関車が軽く動くから驚いたのではない。そんなことは承知の上だ。126輌の貨車の連結部のスラックが波のように伝播し、押し寄せてくるところが感動的なのだ。皆大拍手である。動画を再演した。
「ありえないシーンだ。」と叫んだ者もいた。
 これを実現するために貨車の台車を全て取り替え、Low-D車輪に取り換えたからである。それを説明すると、場内は静粛に包まれた。その手間とコストを考えたのだ。

drag そこでこの図を示した。
「誰しもボールベアリングを使うと摩擦が減ると信じている。ところがボールベアリングにはグリースが詰まっているから、負荷が小さいときはピヴォット軸に負けている。軸重が4 oz. (約 100 g)を超えると初めてボールベアリングの効果が表れる。」
と言うと、これまた大ショックだったようだ。
「ここにある貨車はすべて16 oz(455 g)以下だから、ボールベアリングは全く使っていない。」

 そこでLow-Dを付けた貨車を短い 2 mほどの線路上で転がした。極めて静かに慣性を見せつけて走った。これにはみなとても驚いた。
「実物の貨車は、摩擦式軸受の場合 5 ‰以下の坂で動き始めることになっている。しかしこれは3 ‰ でも動く」
と言うと、さらに驚いた。
 ただし、実物は慣性が48倍あるから、その動きとは違うは説明した。これは少々難しかったかもしれない。   

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2018年01月04日

続々々 困った3条ウォームギヤ

 歯車は奥が深い。筆者は父から聞いた話と、数冊の本を読んだ程度の知識しかなく、高度な計算を伴う設計はしたことが無い。ウォームギヤについて知っていることは、
・バックラッシを小さくできること、
・摩擦を低減することができれば効率は上がること、
・進み角を大きくすると単純な滑りではなく、転がりに近くなって効率が格段に上がること、しかし、進み角が18度を超えると、歯形を変更しなければならない(ホブで切る場合)こと、である。
 先日来、この項目で、某模型店製の進み角の小さな3条ウォームを紹介しているが、ある方から次のようなお便りを戴いて、新年早々大笑いした。

 3条ウォームの件は本当にお気の毒様です。私に言わせれば、小さな進み角の制限のもとで3条もの溝を成立させる方がよほど難しいです。故にこれは、貴殿の方式を貶めるため、相当頭の切れる策士が緻密に練った謀略に違いありません。

 これはジョークにしても、どうやって考えるとあんな結果になるのかは、本当に不思議だ。



 話は替わって、スパーギヤ(平歯車)の効率は100%ではない。この動画は歯車が摩擦しながら動いている様子をよく表している。この線の角度が圧力角である。中心から遠い部分と近い部分での周速度は異なる。その速度差分が損失を生じる。ピッチ円上だけが、完全な転がり摩擦だ。
 スパーギヤの効率を上げるには、ピッチ円付近でしか接触しないようにすることが必要である。径を大きくすると、ピッチ円付近しか接触しなくなる。即ち、相対的に大きくするにはモジュールを小さくすることが同じ働きをするだろう。その他、高度な工夫もあるが、結局は摩擦から逃れることはできない。即ち効率は100%にはなりえない。

 しばらく前、ある実物業界の方が、インボリュート歯車は完全な転がり摩擦だとおっしゃるので、質問してみた。どうやら歯車メーカの効能書きの受け売りをしているようで、実際に運転時に触ってみたことは無さそうだ。100%なら発熱は無く、潤滑も要らないだろう。
 人の言うことやカタログを信用する人は進歩できない。しかし、その方は筆者に「もっと勉強せよ。」としか言わなかった。ご自分がどんな勉強をしたのかを、聞いてみたかった。



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2017年12月31日

続々 困った3条ウォームギヤ

 このウォームを発注した時の仕様書らしいもののコピィがある。判読が難しいところもあるので、読めるところだけ書くと、モヂュールは0.6らしい。

 歯先円直径は 7.8 mmとある。これはどうしたことだろう。この現物はもう少し
太い。ピッチ円を指定していないところが不可解だ。また、軸穴を3.0 mm径と指定している。これはまずい。2.5 mmにすべきだった。そうすればかなり細くなり、進み角は大きくなる。このあたりは経験不足から来ている。どうして先駆者に聞かなかったのだろう。小学校の算数と理科の範囲である。 
 材質はS45Cである。どうして快削鋼にしなかったのかは疑問だ。快削鋼であれば、表面の粗さが、より良いものができる。逆駆動には、このあたりの微妙なところも大切なのである。イモネジはM1.4らしい。

 ウォーム・ホィールは28枚歯で、歯先円直径は18.7 mmとある。これは正しい。歯数が互いに素であることは良い。これもイモネジ(M1.6)で締めるようになっている。このような留め方は避けたい。僅かの偏心が逆駆動の妨げになりうる。材質はリン青銅で、これは良い。

 組み込んで動かなかったものだから、その模型店には客から文句が来たようで、その返答のコピィを見せてもらった。それは私信に属するから、写しは取らなかったが、概要はこういうことであった。
 逆駆動するには動軸にボール・ベアリングを入れないとダメである。逆駆動はこの程度が限界であると認識されたい。なじんで来れば多少は良くなるかもしれない。”

 何を言っているのか、全く理解できない。滅茶苦茶である。かなりの金額を支払ったそうだが、全て灰燼に帰している。もったいないことであった。
 ウォーム軸にスラスト・ベアリングを入れれば、動軸側には無くても逆駆動できる。進み角の小ささと歯面の仕上げの悪さが、こういう事態を引き起こしている。快削鋼で作っていれば、きっと動いたであろう。進み角が小さいので、効率は良くないが、一応は動いたはずだ。モリブデン・グリースを使うことも必須だ。

 筆者の機関車は、同一の線路に2輌載せて、片方を押すと発電してもう一輌が走り出す。正しい設計とそうでないものとは、ここまで違うのだ。
 筆者の発表した記事には、全ての必要項目が書いてある。そのまま作れば、必ず動いたのだ。そして、そのグループでも標準仕様として採用されて、動力機構の改善が進んだはずだ。下手な知恵を出すからこういうことになる。残念な限りだ。もう既に時効だろうが、正しいものを作り直させることが必要だ。
「オリジナルを凌ぐコピィなし」ということが分からない人が多い。発明者は様々な条件を満たすものとしてそれを作ったのだ。それを思い付けなかった人が、工夫をしてもっと良いものを作り出せるわけがない。まずは完全なコピーを作るべきであった。

 返すがえすも残念なのは、そのグループには吉岡精一氏も居たのに、吉岡氏に相談しなかったことだ。吉岡氏は筆者の設計の歯車を多角的に解析し、実験結果を含めた「ウォームギヤ調書」という数十ページのレポートをグループ内で配布している。それは筆者がアメリカに居る頃で、日本では盛り上がっているのだろうなと想像していたが、結果はこれであった。誰もその内容を読んでいないのだ。非常に分かり易く書いてあるのにだ。吉岡氏曰く、”中学生にも分かるように書いた”とのことであったが。吉岡氏は筆者のギヤを活用されていた。 

 筆者の正しい3条ウォームは手持ちに余裕があるので、希望の方にはお譲りしている。

dda40x at 12:31コメント(2) この記事をクリップ!
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