線路

2023年06月12日

レイルを内側に傾ける

 友人から「レイルを内側に傾けるのは、牽引力増大に効果があるだろうか。」と、電話があった。
 これは45年ほど前に実験した。その記憶は薄れつつあるが、結論は単純である。効果なしだ。

 即時に結論を言ったので、友人は驚いていた。「どうしてだろう、実物は効果があるんだ。」と不満そうである。 

 その理屈は単純だ。実物ほど接触圧が大きくないので、模型の車輪とレイルは弾性変形することがほとんど無いからである。実物ファンの方は実物と同じ理屈があるはずだと思うだろうが、それもファンタジィである。

 目には見えにくいが、実物の機関車のタイヤとレイルは弾性変形して喰い込む。レイルが垂直に置いてあれば、レイルヘッドの角の部分の圧力が非常に大きくなる。レイルが傾いていれば、それが多少は小さくなる。
 摩擦力は圧力が小さいうちは圧力に比例するが、大きくなると直線から外れてくる。実用的な最大牽引力は、微妙に滑っている状態のことを指すのだろうと思う。つまり、動摩擦と静止摩擦の境目の話である。
 一方、被牽引車の摩擦も変化する。レイルに車輪がめり込むほどの圧力があると、逆に転動摩擦は増えてしまう。

 こういうことが模型でも起こって欲しいと考えるのだろうが、無理な相談である。車輪やレイルが極端に軟らかいと起こり得るかもしれないが、走りは極端に悪くなるだろう。
 よく走る車輌のタイヤは十分に硬くなければならない。同時にレイルも硬い材料が望ましい。筆者は鋼レイルを用いている。錆びないかと心配する人は多いが、窓を開放していないので錆びにくい。 

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2023年02月12日

続 Gandy Dancers

equalized motion 筆者が初めてそれを見た瞬間、
「イコライザが使ってある!」
と叫んでしまった。剛氏は、にこっと笑って、
「そこに気付いたのは貴方が最初です。」
と言われた。

エンヤコーラ (3)エンヤコーラ (2) 上死点に到達すると一斉に振り下ろされるが、それまでは多少ばらつく。しかもそのばらつきが、毎回微妙に異なるところが面白いのである。工夫は腰と肩が動く。力を入れて振り下ろす、まさにその動作が再現される。工夫の体の中には細い鎖が入っていて、それを引っ張ることにより、腕と腰が動く。

 アメリカではGandy Dancersと呼ばれている。この語源は今ひとつはっきりしないが、この動画にもあるように、その工具がGandy社製のものであったというのが大きいだろう。
 録音がないのが残念だが、筆者が聞いた範囲では、アメリカでのその種の歌の文句は女性に関することが多かった。問いかけとその呼応により構成された歌だ。
 日本でもその手の歌は、かなり卑猥なものが多かった。そういう作業歌について調査している人は居る。歌に合わせて多人数で作業していたのだ。

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2022年08月03日

定常状態

 機関車の効率測定には、まともな勾配線を導入することを薦めたい。列車全長の2倍程度の均一な勾配を用意して、定常状態のドローバー・プル(牽引力)を測定し、速度を測定すれば、機関車の出力はすぐ出る。
 この「定常状態」の意味をよく噛み締めたい。勢いを付けて「ほら登った」というのは小学生の発想である

 長くて均一な勾配を用意する、というのは意外に難しいことかもしれない。過去に見た勾配線は、どれも勾配が不均一であった。
 当博物館の複々線は、精密に出来た勾配線である。その内側の見えないところに、HOの勾配線を作り、定常状態の運転をして出力測定し、効率を求める、ということは考えられないことではない。安定な電源と光電式のタイマがあれば、測定は容易である。希望者が多ければ、その線路を敷くことには、やぶさかではない。その勾配は精密にできていて、誤差が殆ど無いから出力測定には適する。
  
 定常状態と言うべきところを、平衡状態であると勘違いして使われている事が多い。平衡というのは見かけ上の釣り合いではない。エネルギィの出入りのない状態を考える必要がある
 例えば電車が均一な坂を登るとき、あるノッチでその電車が一定速になると平衡速度と言う人もいるが、正しくはない。エネルギィは投入され、その大部分は位置エネルギィとして蓄積されている。均衡速度と言うべきだ。

 ハンダ鏝に通電すれば加熱され、一定温度になる。平衡温度と言う人もいるが、正しくはない。エネルギィは投入され、周りの空気を温めて逃している。
 これらは定常状態 steady stateである。平衡はequilibriumであって、密閉系の中でしか考えられない。一定温度の瓶詰めの内部の蒸気圧は平衡圧である。そこでは物質、エネルギィは外界とやり取りされていない。

 面倒なことを省いて書けば、定常状態での測定は、こういうことだ。
 列車を牽いて斜面を登る機関車の、機関車と炭水車を結ぶ連結棒にバネ秤を付けた状態で、炭水車と列車とを牽き上げる。その時、電流値に増減があってはならない。速度も電流値も一定である時、引張力と速度を測定し、その積を求めれば出力は求められる。それを電源の出力で除せば効率が出せるが、日本でこれをやったという人を他には知らない。正確で十分な長さの勾配があればできる。


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2022年02月18日

track cleaner

 track cleaner 自宅で使っていた線路磨きである。自宅地下室のレイアウトには短いながらもトンネルが有り、その中の掃除は面倒だった。これがあると、楽である。



 Micro Mark で売っていたものだ。20年位前に買ったが、価格は10ドルくらいだった。便利に使っていたが、博物館の方に主力が移ってからは、置き去りになっていた。

 先日クラブの会合に持参したら、使ってくれた。棒が長過ぎる感もするが、短く持って使うことは難しくない。
 製品は3分割であった。ネジがすぐ緩んで使いにくかったので、エポキシで固着させた。握りは綾目のロレットが切ってあり、滑りにくい。
 先端は硬い樹脂だが、研磨材が入っているらしく、線路が僅かに削れる感じである。

 最近地下室の整理を始めたので、面白いものが次々と発掘される。機関車や貨車以外にも、かなり出てくるのだ。いずれ、KadeeのTwin-Spikerも出てくるだろう。 
 金属材料、木材の発掘も馬鹿にできない量だ。木材とは堅木材料で、装飾用のものである。レイアウトの縁どりなどの材料である。
 塗料もたくさん出てきた。書籍類は、すでにかなり量の移動がなされている。 古い雑誌は面白い。

 地下のレイアウトをどうするか、考えている。きちんと仕上げてあれば残しておいてもよいが、中途半端では困るだろう。 

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2021年06月23日

実験をすることの重要性

 友人が新たに組み立て式線路を作るので、材料を融通した。彼は道床にコルクを張るつもりだった。それは止めたほうが良いと言ったが、彼はコルクにも吸音性があると、比較的近年のTMSにも書いてあったような気がする、と言う。その記事は見たことがないが、実際のところはどうなのか、比較実験をするように提案した。

 彼は実験の価値を認めたので、ゴム板、コルク板を交互に使用した線路を作るように勧めた。線路と緩衝材との留め具合も変えるように言った。

 3日後、電話があった。
「仰るとおりでした。コルクは殆ど効果がないですね。カーッとかコーッとかいう音がします。ゴムの上で緩く留めたものは音がしません。大したものです。実験をして良かった。」
とのことであった。

 ところが、さらに3日後、電話があった。
「この間の実験は、Low-D車輪を使ったときの結果です。普通の車輪を使うと、ゴムのほうがはるかに良いが、コルクでも効果がないとは言えないのです。」と言う。
 それでは12 mm合板に直接敷いた線路も作ってみて、試してくださいと言うと、
「それもやりました。それと比べればコルクにも効果があることは否定しないが、騒音がもともと大きいので、無いよりマシという程度です。」

 彼の話から結論をまとめると、こういうことになる。
1 普通の車輪を使うと発生する音量が大きいので、コルクでも多少は静かになる感じはする。
2 ゴムの板の上にゆるく留めたフレクシブル線路上の音は格段に小さく、低速では殆ど無音である。
3 Low-D車輪であると、ゴム板上の静粛性はさらに顕著である。
4 フレクシブル線路は孔を大きくして、釘で緩く留めるべきである。

 要は車輪踏面が粗雑であるとやかましく、何らかの緩衝材がないと実用にならない。コルクよりゴムのほうが、はるかに効き目があるのは間違いない。

 こちらの主張どおりであったから、安心した。ここではコルクかゴムか、留め方が固いか緩いかで、彼はその4種を並べ替えて、走らせて音を聞いたそうだ。簡単なことなのに、この種の比較実験をしない人は多い。

 これだけの事なのだが、やる人は少ないのだ。2つの次元を組み合わせるだけだから簡単だが、実験せずに間違ったことを流布する人は居る。またそれを聞いてすぐ納得してしまう人もいるようで、困ったものである。ウソでも信じる人がいる限り、いつまでも広がっていくだろう。それで損をするのは、善良な模型人だ。
 実は、博物館のレイアウト建設中にその実験をしている。動画を撮ってあるので、探している。ただしそれはLow-D車輪での実験で、普通の車輪の走行実験はしていない。

 実験結果が全てだ。そういう点でも、この国の鉄道模型雑誌のやる気の無さには、ため息しか出ない。 

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2021年01月14日

scientific であるということ (7)

「実物通り」という言葉は、ある種の魔力を持っているように感じる。客観的にものを考えられない人にとっては、あこがれの対象であり、崇拝したい考え方のようだ。


 先日某所の組立式レイアウトを更新するということで、古いものを引き取ってきた。実は、当博物館3階の空きスペースに試験運転場を作ろうということになって、有志が動き始めたのだ。(博物館の本線上では試験運転はできない。ギヤボックスのない車輛は油を撒き散らすから入線できないので、より気楽に運転できる周回線路の設置を要望されていた。)

 見ると、曲線の部分のゲージがかなり広い。軌間31.75 mmのところ、33 mmほどもある。どうしてかと聞くと、
「スラックが付けてあるんだそうだ。」と言う。
どんな基準で付けたのだろうと訝しげに見ている友人に、誰かが答えた。
「国鉄の技師の〇〇氏が、本物の計算式で付けたと言っていたから、完璧なんだそうだよ。」

 こうなると、もうパラノイアとしか思えない。技師氏はどんなデータを入力してこの数字を出したのだろう。国鉄に半径94mの本線があったのだろうか。軌間は31.75 × 45 = 1429 ≒ 標準軌となるが、それを考えたのだろうか。模型のフランジの形、高さを考慮したのだろうか。模型の線路の数値を実物の計算式に入れたようだ。何もかも虚構であって、めちゃくちゃであった。ここまで軌間が広いと、はまり込む車輪もあったようだが、Low-Dはタイヤ幅が狭くないので、かろうじて助かっている。 

 模型の軌間はスラックを内包しているということが、分からないらしい。車輪ゲージとの差を”ユルミ”というらしいが、これはかなり大きい。Low-Dではそれをかなり減らしている。その結果チェックゲージを保ちつつ、バックゲージ  (back to back) を広くでき、フランジウェイを狭くできる。当然、走りも安定する。

 この結論を見せても、「素人は黙っていろ!」という態度であった。本物縮小主義者は、大体似たような傾向を持つ。しかし、どちらが素人なのかはすぐにわかってしまい、Low-Dは売れ続けた。一方、模型は実物とは異なるのだが、技師氏は最期まで非を認めなかった。
 
スケール効果MCB TMS誌21号(1950年)には、MCB台車の製作記事が伊藤剛氏によって書かれている。揺れ枕の話が出ているが、そこには、模型の揺れ枕は手で押すと動くのが良いが、「實物と同じ揺れ方はしません。(これをスケール効果といゝます)…」と書いてある。現代でも「揺れ枕を本物のように作った」、とご自慢の車輛を見るが、単なる自己満足の域を出ない。伊藤剛氏は揺れ枕吊りを天井まで伸ばしたものを作ってみたそうだが、それでも全然足らないと言っていた。この時代から、実物を縮小しても動作は異なると書いてあるのに、学習しない人は多く存在する。
 
 現代においても「実物通りに作られている」と言うと、平伏する人は多い。運転性能は怪しい。車輪規格を実物に合わせた(つもり)かもしれないが、模型の軌間は実物通りではない。摩擦係数も異なる。どうするのだろう。 


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2021年01月06日

scientific であるということ (3)

 低抵抗を得るというのは、いくつかのファクタを小さくすることである。

1.フランジがレイルを擦ることによる抵抗
2.行路差による摩擦
3.摩擦係数
4.2点接触による速度差から生じる損失

 これらの中で一番大きいのは、1.である。NMRAのRP25は実物の形態を少しでも真似すべきという幻想にとらわれた結果であって、中世ゴシック建築のアーチにある ogive(オーヂャイヴと発音)をとり入れている。形にこだわって性能を落としているのだ。プラグマティズムとは正反対の方向にある。
 示されている数字はでたらめで、絵が描けないものがあるが、それすら無視して強行している。描けるものについては、筆者の作図によればフランジ角は、79度である。この角度は大きい。描けないものについて、彼らは間違いを認めない。情けない限りである。こんな部局は潰すべきだ。

 2.の行路差は、意外に大きい。模型の線路の曲率が大きい(急カーヴ)ので余計に影響が大きくなる。踏面のテーパでは賄いきれないから、行路差を補償するのは別の要因(フィレット)の効用が大きい。また、2軸台車では後ろの車輪は外周レイルには接触しないから、行路差は殆どそのまま出る。

 3.の転がり抵抗は静止摩擦抵抗の関数である。静止摩擦係数が大きいものは転がり抵抗も大きい。なるべく堅い材質のレイルと堅い車輪との組み合わせが、良い結果を生む。さらに異なる材質の組み合わせが、ベストの結果をもたらす。
 行路差の損失は、摩擦係数が小さいほど小さくなるのは自明だ。 

 4.の 2点接触は、二つの意味を持つ。最初は1.のフランジの接触である。フランジの先が触るような車輪は脱線機そのものであるから、全く考慮に値しない。捨てるべきである。次はフィレット付近の接触(RP25で見られる)である。レイルヘッドの半径と比べて相当に大きな半径のフィレットを与えておけば、いつも1点接触になり、抵抗は大幅に減る。
 このあたりのことについては、実物形状を縮小することにのみ価値を認めている人、また、実物理論を出して来る人は、引き下がらない。このあたりの2点接触は、速度差が小さいから無視できるなどと断言している人まで居る。1点接触にする工夫ができれば、はるかに勝るものができることを否定するのである。全くもってサイエンティフィックでない。実物では無理でも、模型なら1点接触は可能なのだ。レイルも車輪も十分に堅く、潰れることがないからだ。 

 「フィレットは接触圧でレイル・車輪が破壊されるのを防ぐためのものである。」という主張には参った。この種の知識を振りかざして模型に対しても適用すべきだと言う人は、模型作りをするべきではなさそうだ。

 我々は模型を走らせたいのであって、実物を走らせたいのではないのだ。このように現実とファンタジィの区別がつかない人とは、話ができない。ここで言うファンタジィとは、実物を縮小した世界に縮小された自分も存在し、実物の理論が100%適用される世界に生きているという妄想の世界である。縮小模型は本物とは異なる挙動をするという常識が欠落している人の生み出す幻想だ。

 実物理論を模型に適用するというのは、ほとんどの場合において、サイエンティフィックではない。

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2019年11月08日

laying flexible track

 古い知人のI氏が博物館に来訪した。工事を手伝ってくれるそうで、その下見に来てくれたのだ。 筆者は彼が高校生の時から知っているが、今年定年だそうだ。
 I氏は希望していた電鉄会社に勤め、 駅務から始めて車掌、運転士となり、長い間、特急電車の運転をしていた。そののち助役に昇進して退職したのだそうだ。

 根っからの電車ファンで、高校生の時から出色の作品を作っていた。特急電車の塗装が綺麗で、感心したことを覚えている。彼は今HOのレイアウトを作っている。彼のレイアウトセクションはいくつか見せて貰っているが、とても美しい。電車の運転士をしていたので、電車から見える景色を再現しているのだ。普通の人とは視点が少し異なる。

 博物館で列車をいくつか動かして見せた。120輌が音もなく動き始めるのには、驚いたようだ。ほとんどの車輛がブラス製というのは信じられない、と言った。
 車輪の現物を見せると、とても驚き、「信じられないほど綺麗ですね。」と言った。踏面の仕上げが、めっきとは違うことに気が付いたので、めっきの車輪を転がした音と比較した。既製品の車輪が一つもないことには感銘を受けたようだ。

 何に一番驚いたかと聞くと、
「線路の曲線が美しいですね。完全な緩和曲線が付いていて、しかも曲線の曲率が完全に一定になっています。」と言う。
「僕は運転士をしてましたから、そういうことには敏感です。今までいくつかのレイアウトを見てきましたが、ここの線路は別格です。ケチの付けようがありません。本物の線路のようです。」
と褒めてくれた。
「どうやったら、こんな綺麗な線路が敷けるのですか。いつも曲率を一定にするのに苦労しています。大きなコンパスも作りましたがうまく行きません。」と聞かれた。

 そこで、例のレーザで切り抜いたテンプレートを見せた。本線用の一定曲率のものと、緩和曲線のものを出してきて、実際に嵌めて見せた。彼はとても驚いた。
「これって高いのですか。」
「これは薄い鉄板だから安いよ。使い捨てでも気にならない程度だ。」と言うと、どうやら作ってみる気持ちになったらしい。

 この種のテンプレートは市販されるべきだろう。筆者のは貸し出したことがあるが、例が少ない。HO用は必要な人が多いに違いない。


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2019年08月11日

O gauge

O gauge (2) この写真をお見せするのを忘れていた。
 これはNMRAの Oスケールの建築限界ゲージである。これを入手した時は、NMRAが現在のようなステンレス板打ち抜きのゲージを売っていなかったので、フロリダの知り合いが作ったのを買った。高かった。30年ほど前、20ドルもした。今の感覚だと5千円以上の感じである。完全な手作り品である。おそらく50枚くらい重ねて締め、フライス盤で削り落としたのだろう。正確にできている。

 40ミルのブラス板製である。40ミルというのは、40/1000 インチのことであり、
1.02 mm位だ。

O gauge 中心の穴に棒を取り付け、それを持って限界を調べる。隣に大きめの車輛を置くと、すれ違いの様子もわかる。
 筆者のアメリカの友人は、いわゆる”オイラン車”を作った。柔らかい針金を車体から突き出させ、それを一周させて、曲がりがないか確認する。しかし、どこで曲がったかを突き止めるのは、なかなか大変であった。今なら、無線で送信させることもできるだろう。簡単にするなら、針金付近に集音マイクを付けておいて、アンプで増幅し、積んであるスピーカから音を出させると良い。触った瞬間にガリガリとか、バリバリとかの音が聞こえるかもしれない。

 レイアウトを作るには不可欠の道具であるが、日本でこれを持っている人は少ないと感じる。線路敷設用ゲージすら持っていない人が多いのだから、当然ではある。

 このゲージによって、走行する車輛がO scaleであることが定義される。土屋 巖氏はかなりの数の1/24サイズ(1/2インチスケール)、32mmゲージの軽便車輌を遺された。すべて、スクラッチ・ビルトである。それらは平坦な、何もないヤード上を問題なく走行するが、橋やトンネル、駅のプラットフォームは、当然ながら、通過できない。車輛限界がスケールを決めているのである。同様にOn30はHOのレイアウトを走らない
 1/80日本型16.5 mmゲージの車輛はアメリカ型1/87.1のレイアウトを問題なく走る。これは50年前から椙山 満氏のレイアウトで見ている。単純なことである。

 最近、HOのポイントが入手困難になったという話を聞いた。
「自分で作ればいかがですか。」
と提案すると、
「そんな難しいことはできない。」
と言う。決して難しくはない。
 筆者は高校生のころから自作のポイントで遊んでいる。確かに尖端レイルを正確に削り落とすのは、機械を使わないと難しいが、そこまでの正確さが要求されることでもない。線路ゲージさえあれば簡単である。
 彼は今度フライス盤を使いにやって来るそうだ。訳なくできるから、きっと驚くだろう。エポキシ基盤の枕木も用意しておこう。NMRAのHOゲージを持ってくるのを忘れないように念を押した。

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2019年03月22日

続々 質疑応答

 3週間以上留守をしていたが、昨日帰国した。留守中に入っていたコメントを記事として再掲することにした。質問(Q1)以降は、すべて森井義博氏からのものである。文字表現は統一した。
 小画面の端末しか持って行かなかったので、一部のコメントに目を通していないことが分かった。いずれすべて掲載する。

(Q4)「規格はすべて公差付きの数値で表されており、1/87の縮尺通りではありません。」とありますが、S-4.2のNは、(Nom.)しか記載が無く、公差は示されていません。以前は、Minがありましたが、どうして公差が無くなったのでしょうか。
NのMinが定義されていないと、極論すれば、車輪の薄い輪軸もS-4.2としての規格内ということになります。(S-3.2の規格に合わないので、脱線の頻発が予想されますが)

(A4) Minがなくなった理由は私にもわかりませんが、製造上の公差で構わないとのことでしょうか。このNの寸法チェックは、NMRAゲージで行われるのが通常ですので、薄くなるとすぐにわかりますので気にしていませんでした。


(Q5) 走る鉄道模型の輪軸、線路は、模型機械として動作可能な寸法と、互換性を確保するために、実物の縮尺通りにはできません。そのことは、NMRAのS-1.2に記載されています。では、何のためにS-1.2でNAME OF SCLAE、SCALE OF FOOT、PROPORTIONが書いてあるのでしょうか。私はS-1.2で、名前と縮尺、軌間の関係を定義しているものと考えています。

(A5) おっしゃる通りだと考えています。いわば各スケールの原点でしょうか。ばらばらの正式ではない規格をまとめたと思っています。


(Q6)「線路、車輪、車輌限界がそろって初めて一つの規格になります。」とありますが、現在のNMRAにおいて車輌限界の規格はどこにあるのでしょうか。
かつて、規格として定義されていたS-6,S-7,S-8は、RPとなり、規格では無くなってしまっています。

(A6) 車輌限界については、これも通常はNMRAゲージの出番です。私は3種類のゲージを持っていますが、少しずつ異なります。RPに移したのは改定の準備ですね。基本は変わらないと思っています。


(Q7) 輪軸、線路、車輛限界が同じであれば、縮尺が全く異なっても同じScaleなのでしょうか。

(A7) 今回の改定では同様に扱っていると思います。縮尺が全く異なれば、車輌限界が変わりますので異なるスケールになると思います。


(Q8)日本型の1/80模型とアメリカ型の1/87模型とでは車輛限界は同じなのでしょうか。私は、日本型1/80模型の方が、車輛限界は小さいと思っています。

(A8)
車輌限界とは最大値です。何分の一であるかは無関係です。外れればぶつかりますが、小さければぶつかりません。


(Q9)輪軸、線路、車輛限界が同じであれば縮尺は問われないとすると、模型鉄道としての縮尺はどうなるのでしょうか。建造物、自動車等の鉄道車輛模型以外の縮尺はどうなるのでしょうか。それから、私の周囲では、NMRA S-3、S-4の規格数値の誤りが多くあることで、話題になっています。

(A9)NMRA規格は鉄道模型規格で、鉄道模型以外の規格はありません。レイアウトでは、遠くの建築物は大きな縮尺で作る、など製作者によって決められると思います。この辺りは作者のセンスに任せるべきで、規格の出番ではないと思います。NMRA規格は10年近く前に改定されていますので、誤りはないと思っていましたが、もし誤りが多くあるとすれば、ぜひNMRAに教えてあげてください。きっと感謝されます。


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2019年03月03日

続 質疑応答 

(Q1) S-1.2には、
4. On30 uses HO scale wheel and track geometries, as specified in S-3.2 and S-4.2.

と記載されており、「On30Oナローの19 mmゲージを、HOスケールの線路を使用することで生まれたスケールです。」のことだと思いますが、何故、これは、HOと呼ばずにOn30と呼ぶのでしょうか。

(A1)Oナローだからです。車輌限界がHOスケールではありません。

 

(Q2) S-3.2には、Scale Ratioとして、HOの場合は、1:87.1と記載されていますが、どのような理由で、「NMRA規格では縮尺に関する規格はなく」「Scale Ratioの表記は車輌限界と思います。」ということになるのでしょうか。

(A2) 規格はすべて公差付きの数値で表されており、1/87の縮尺通りではありません。1/87がすべてならば規格は不要です。

 

(Q3) S-3.2によれば、TTn42Nは同じ線路規格(S-1.2でも6. TTn42 uses N scale wheel and track geometries, as specified in S-3.2 and S-4.2.と記載)ですが、何故別のスケールとして分けられているのでしょうか。 

(A3) 車輌限界が違うからです。繰り返しになりますが、線路、車輪、車輌限界がそろって初めて一つの規格になります。




 しばらく、日本を離れている。
 休載させて戴くので、コメント等の掲載が、ある程度遅れることがあることを、お許し願いたい。

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2019年03月01日

質疑応答

Q
 Empirebuilder様のお話に関して、理解できないところがあります。極めて基本的なこととは思いますが、私のような海外事情にも疎い初学者のために改めてご教示頂ければ、ありがたく存じます。 

・"最新のNMRA規格を元にしている" と書かれていますが、これは,S-3.2やS-4.2を指しておられるのでしょうか? 
・それらには,HO Scaleの "Scale Ratio" は,"1:87.1" と記されています。Empirebuilder様の "縮尺にこだわらない" ことは,どこを見れば分かるのでしょうか? 
・"scale"については、辞書には”(模型などの)実物に対する大きさの比率(proportion)”(ランダムハウス大英和)と書かれていますが、この解釈で良いのでしょうか? 

A

 S-2,S-3にはScale Ratioは示されていますが、規格ではありません。規格はその横に示されている数値です。数値は Scale Ratio どおりではありません。LSスケールにはVariedになっており、数種のRatioが書かれています。
 もし日本型HONMRA規格に採用されるとすると、Scale Ratio1/871/80が示されるでしょう。以前は日本型HOの規格がどこに当てはまるか見つかりませんでしたが、今回の改定で1/80を加えるだけとなりました。いずれにせよ縮尺が規格にならないことは、規格の数値が縮尺通りでないことより明らかです。
 

 ScaleHOについての規格のくくりのような意味になっていると思います。車輪、線路、車両限界に、その他の規格を加えた集合でしょうか。私はレイアウトを作っていますが、その時に線路をハンドスパイクしましたので、感覚的に理解できますが、車両のみを工作される方にはわかりにくいかもしれません。NMRA用語と言えると思います。    



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2019年02月27日

続々 ゲージ論は終焉を迎えるか

  気になるのは、このように互換性のない規格を、「1/80はHOではありません」と言って、Jスケールなどと語り、HOとJとの違いをはっきりさせていないことです。いつの間にかHOではない製品を作り、今までのHO規格に合った製品を「HOではない」などと言うのは、暴論と言わずに何と言えばよいのでしょうか。

 Jは元々規格がありませんが、可能性としてはメーカー主導になり、その都合で先が読めなくなります。今までも特に電気関係で突然生産が中止され、互換性のない規格で使い物にならない製品がありました。また、メーカーごとに独自の規格が作られる可能性があります。いずれにせよ注意が必要です。 

 さらにLow-Dを例として説明しましたが、薄い車輪は走行性能を犠牲にして、部分的に縮尺を追及しています。NMRAにはProto規格がありますが、いわゆる量産化した製品が見当たりません。少なくとも線路を見たこともありません。「J用の専用線路が必要」と書きましたが、まだ見たことがありません。Jは高価ですので走行は考えないのでしょうか。 

 ゲージ論については規格に至る前の話と考えています。いろいろ議論され縮尺、ゲージが決まったら規格の出番です。規格作りにはゲージ論の経緯など無用です。したがって、ゲージ論を規格に持ち込むのは不可能と考えます。今までの反論にはゲージ論を根拠に、規格を論じるなど混同している場合がありました。規格はすでに存在しますので、その規格を前提に議論する必要があります。 

 12 mmはHOn3½ではなく、無理やり独自に規格を作ろうとして妙なことになっている気がします。12 mmはNMRA規格外ですので、独自の規格を静かに目指してほしいものです。名称にHOと入れることは、混乱のもとになりますのでやめるべきです。

  私はHO規格以外の製品は買いませんので問題はありませんが、規格外れの製品を買っている方は、問題にはならないのでしょうか?メーカーも「1/80、16.5 mm」などという、あやふやな表記でなくHO規格に合っているならばHO、より薄い車輪を使っているならばJなどと、はっきり分けるべきです。最近のメーカーの人は規格を知らないのでしょうか?それとも知っていて、意識的にそうしているのでしょうか。    
        「終わり」(次号に質疑応答あり)



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2019年02月25日

続 ゲージ論は終焉を迎えるか

 「1/80はHOではありません」は、NMRA規格から読み解くと、別の見方ができます。「車輪厚が小さい車輪を使用した日本型1/80は、HOではありません」と、なります。明らかにHO規格と異なる薄い車輪は、これまでのコメントにもありましたが、脱線しやすいなど問題があるようです。規格外ですので当然です。このタイプはNMRA規格にも見当たりませんので新規格となります。ですから、これをJスケールと呼ぼうが、何と呼ぼうが勝手です。ただしNMRA規格を連想させる表記は、使ってもらいたくありません。 

 HOと表記されている鉄道模型は、NMRA規格に合っていますので、問題なく走らせることができます。もし問題があればクレーム対象です。 

 現在は、HO規格外れの薄い車輪を使用した製品の名称はありません。その意味では、誤解を防ぐためJスケールでも良いと思います。この場合、1/80、16.5 mm日本型にはHOとJが存在することになります。即ち、同じ1/80、16.5 mmではあるが、互換性のない2種類の模型があることになります。1/80、16.5 mm表記では、メルクリンが以前発売したキハ58も含まれてしまいます。現状では安価なプラ製と高価な真鍮製の、互換性のない2種類でしょうか。 

 将来Jスケールには、専用の線路が必要になる可能性があると思います。「車輪だけ薄くなったが線路がない」とは、数十年前のMRスタッフの言葉ですが今も変わりませんね。コメントに、13 mmが同じ経緯で薄い車輪用の線路を作り、HO規格に沿った車輪を使った車両の走行をあきらめるとの話がありました。そうなると、当然同じ理屈で、HOでも同じ経緯をたどるでしょう。 

 HOとJとの大きな違いは、HOはグローバルスタンダードであり、Jは日本のみのガラパゴス規格となることです。当然価格には大きな違いが出てきます。シノハラ亡き後、Jはどのような線路を使うのでしょうか。余計な心配をしています。
                    
(続く)



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2019年02月23日

ゲージ論は終焉を迎えるか

  ゲージ論のコメントは、静寂の状態が続いている。どなたからも反論がない。非常に主観的で、国粋主義的とも取れる情緒的なご意見は戴いたが、それらは掲載を控えている。

 Empirebuilder氏から、最終的と思われる意見が届いたので、3回に分けて紹介する。先のコメントに大幅加筆されたものである。

 いろいろなコメントを読ませていただきました。もう一度整理をしてみましょう。

 私の考えは最新の線路、車輪のNMRA規格を元にしています。米国の規格ですが、これはグローバル・スタンダードであると言えます。

 まず用語ですが、NMRAHO scale standardを、「HO規格」と書きます。HO guageHO規格に含まれますので使いません。注意していただきたいのは、scaleは縮尺ではありません。正しい訳は難しいですが規格かもしれません。縮尺はproportionです。繰り返しますが、HOゲージとHOスケールの違いなど議論する必要はありません。 

 NMRA規格は2010年ごろ改定されましたが、かなりドラスティックな改定でした。ある意味、現状追認型とも言えます。個人的にはLSスケール(NMRAGスケールをLSスケールと呼んでいますが定着していませんね)、On30の登場が影響したと思っています。この改定はそれ以前の縮尺、ゲージの考え方とは一線を画する内容です。今までのコメントでは、どなたもこの理解をされていないように感じました。 

 LSスケールでは現状追認の形で、一つのゲージに複数の縮尺を認めています。線路と車輪、車両限界をを共有することで、ナローから本線機関車まで同じ線路上を走っています。On30Oナローの19 mmゲージを、HOスケールの線路を使用することで生まれたスケールです。On3の線路の代わりに、全く縮尺の違う線路を使うこのアイデアは、市場に受け入れられ、本家のOn3を凌駕する勢いです。 

 このようにNMRA規格はゲージ、縮尺にこだわらない、模型的な発想の規格を容認する形に変貌しました。これを見れば、線路を共有することがいかに有効な戦略であるか、お分かりと思います。市販線路のないFine規格が伸び悩んでいるのとは、対照的です。 

 NMRA規格では縮尺に関する規格はなく、寸法で表されています。目標値、±公差が書かれています。公差はありますが、なるべく目標値に合わせて、と書いてあります。Scale Ratioの表記は車両限界と思います。 

 最初に線路と車輪の関係について書かれています。主にポイント通過時のレイルと車輪の位置関係が図示されています。この図を数値化したものがHO規格です。フログの欠線部に落ちる前に、ウィングレイルに車輪が乗り移ることが基本です。すなわち、フログ部分で車輪が落ち込まないようにするには、車輪の厚みが重要になります。以前のこのブログの記事に、NWSL ATLASと、Low-D を並べた写真がありましたが、明らかにLow-Dの車輪が一番厚いのがわかると思います。スケール感より、走行性能を重視しているからです。

 他にも規格がありますが、この線路と車輪の規格が今回の主題です。私はこの規格をもとに日本型、米国型が並んで走るレイアウトを製作中です。ともに問題なく同じ線路上を走っています。同じ規格でできた線路上を、米国型とともに走る日本型もHO規格です。NMRA規格上は、これらは同じHO規格です。縮尺はもともとNMRA規格にはありません。線路、車輪自体も縮尺通りではありません。

 それがHO規格なのです。これが準拠の理由です。もともとゲージを変え、縮尺を変えてHO規格に合わせたのですから当たり前なのですが。 

 もし私の考えに反論される場合は、NMRA規格のどの部分か指摘していただけると助かります。歴史的経緯は意味がありません。NMRA規格自体を否定される場合は、しかたがありませんね。(続く)



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2019年01月30日

線路規格ゲージ

 昔は線路用のゲージを売っていた。HO用なら、NMRAのも見た覚えがある。最近はあまり見ない。ほとんどの人が出来合いのポイントを買うからであろうか。それが正しく規格に基づいているかどうかなど分かりはしない。

 O scaleのNMRAの規格に則ったゲージは今でもある。昔買ったステンレス板打ち抜きのものである。建築限界全体も示す大型のゲージは、フロリダのメーカーがブラスの 1 mm強の板で作っていた。これはたくさんの板を重ねてボルトで締め、外形をフライス加工したものであった。ブラス製だから多少軟らかく、ポイント作成時に使うと磨り減る惧れがあった。

 13 mm や 24 mmゲージ、12 mmゲージの人たちは、身内でゲージの頒布を行っているだろうか。今ならステンレスの板をレーザで切り抜いたものを作るのは容易である。試作して実測寸法を調べて発注すれば良い。その程度の努力はするべきだ。

 ゲージ無しで正しいポイント作成は難しい。出来ないことは無いが、やる気が失せる人も居るだろう。標準ゲージがあれば、市販品のポイントがいかにおかしいかも分かる。線路ゲージが狂っていることにも気が付く。

 枕木を切ってずらすくらい、訳はない。線路を中心で切って縦割りにし、打ち直せば良いのだ。直すのがポイント部だけなら、大した作業ではない。車輌工作に投入する手間の1/10で解決する。フログのウィングレールを太くする方法は簡単で効果が大きい。


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2018年10月30日

続々 長い貨車

tri-level autorack 長い貨車の幅はやや狭い。紙の上で曲線上の車体を描いてみると、内側が当たることに気付く筈だ。車端はオウヴァハングが少ないので大したことは無い。
 普通の貨車よりやや狭い。客車と比べるとさほど長いわけもないが、急曲線を通すことを考えているのだろう。本線上は全く問題ないが、積み下ろしする引込み線はかなり急曲線だからだ。

test シュナーベル型の大物車はその点かなり考慮している。積荷部分が左右に油圧で動かせる。当たりそうなときはずらすのだ。
 シュナーベルの運行を見たことがある。弱い橋を通るときは最徐行である。高速だと衝撃で橋が落ちるからだ。


tri-level autorack of brass 自動車運搬貨車の積載許容荷重は意外と小さい。自動車は平均密度が小さいからだ。1台2トンとしても、15台で30トンだ。この動画は素晴らしい。
 この車種を好きな人が多いが、自作する人はまれだ。ほとんどの人は完成品を不満を持ちながら買っている。この記事にはレーザ加工で作る話がある。暇になったらやってみたい。自動車の模型は高価であるから、完全閉鎖型を作ると安くできる。自動車の形に切り抜いたシルエットを入れると、それらしく見えるかもしれない。
 写真の車輛はあとハシゴとブレーキ装置を作れば完成だ。渡り板は1枚ずつ作った。本当はフライスで溝を切る予定であったが、裏が網目板なので角材を貼った。ブラス板製だから丈夫である。かなり荒っぽいキットだったので、自作と言ってもおかしくない。キット中のアングル、チャネルは使ったが、その他は自前である。ハンダが汚く見えているが、塗装すれば問題ない。 

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2018年06月16日

O Scale West での講演 4

Hidden Yard bird's eye view 200輌収容の隠しヤードの写真を見せた。曲がっているのが格好良いとの評判であった。そこでカンザス・シティの話をすると、
「そうだ。あそこだ。」と相槌を打つ人が居た。やはり見ている人は見ているのだ。

image (18)frog number ヤードの入り口 (throat; 喉という意味)の部分の角度について話した。この図はとても分かり易いそうだ。市販品のYポイントを使うとうまく行かない話をした。皆、なるほどという顔をした。雑誌に載せるべきだという声が上がった。

wye switch and ladder 市販品を組合せると妙なことになるから、型紙を二枚の型紙から合成したのは良いアイデアだ、と褒めてもらえた。
「これなら絶対に合う。」と面白がった。このアイデアは簡単にして、確実な物なので、評判が良い。一見高級そうに見えるアイデアも、破綻することが多いからだ。この種の話は、実際にレイアウトを作っている人が多いので、興味のあるところなのであろう。その点、日本とは大違いだ。日本では机上の空論をとくとくと語るだけで終わってしまうこともあるが、実際にやってみるとそれだけでは済まないこともあるのだ。

quiet track 次に話したのは道床である。例のコルクがダメな話をするにあたって、現物を用意した。組立式で 2 m の線路を用意した。半分はコルク、残りは例のPVC道床である。眼の前で貨車を押して音を出してみると、あまりに違いに騒然となった。写真は終了後残った人たちの様子である。手に持っているのは等角逆捻りの現物で、
「magicだ。」と評判であった。

 コルクに効果があると信じていた人は多い。Homasote という古新聞を厚さ数十mmに固めたものもあるが、これまた殆ど効果がない。現物を持っているが、さすがにそれは持って行けなかった。ホマソートは密度が大きくないので、効果は薄いのだ。

「コルクはどうして駄目なのか。」
という質問があった。逆に、
「車の床下などに防音用にコルクが使ってあるなら教えて欲しい。たいていはゴムかPVC(ポリ塩化ビニル)、あるいは鉛のシートでしょう。」
と聞くと、皆なるほどと思ったようだ。さすがに車の国である。単なる先入観か、間違ったうわさを信じているだけのことだと分かったのだ。prejudice 先入観という言葉を出すと、どよめいた。

 売ってくれないかという打診もあったが、さすがにこれは重くて送料がかさむ。
「アイデアは差し上げますから、事業化してください。押出ノズルは$1000ドルくらい、材料は1ヤード(1m弱)当たり50セントもしないでしょう。たくさん売って金を儲けて、その1/4ほど戴ければ十分だ。」
と答えたら、一人がやってみたいと言うので、サンプルはそのままお渡しした。どうなるだろう。 
「私はサイエンティストなので、『本に書いてありました。』、『専門家が言っていました。』などということは全く信用しない。すべて実験に基づいて決定している。」と言うと、大拍手であった。シリコン・ヴァリィの人たちは科学者が多いからだろう。


2018年05月10日

レイルの清掃

track cleaning 自宅に複線エンドレスを作って、電車を走らせている先輩がいらっしゃる。線路の清掃を頻繁に行わないとよく走らないらしい。
 線路磨きは何が良いのかと問われたので、リモネンの線路磨き車を貸し出した。その後の連絡ではとても調子が良いとのことで、その車を複製することにしたらしい。中のローラはペンキ塗りの回転刷毛だと言うと、早速買ってきて試されたそうだ。
 リモネンは臭くないし、気分が良いと言う。それは良いのだが、どうして線路が汚れるかを考えるべきだ。

 博物館の線路は、ここ1年磨いたことが無い。しかし、機関車は全くつんのめることもなく、極めて調子よく走っている。メンテナンスの手間はゼロである。
 軸重が大きいとかいう人もいるが、根本的な違いがあることに気付いていない。

 歯車がコンシールドされているからである。全てギヤボックスの中にあり、全く油が飛び散らない。

 最近今野氏のブログのコメントにその話が出ていたが、一体何人の人がその差に気が付くのだろう。スクラッチ・ビルトの機関車を見せて貰うが、歯車が見えるものばかりだ。少し工夫するだけで油が飛ばず、潤滑が確実な模型を作ることができるはずだ。
 連続数時間の運転をすれば、歯車が丸坊主になってしまうような機構では残念だ。
「外観より機構」というのは、売れないスローガンなのだろうか。

2018年04月12日

続々 guard rails 

 guard rail の先端をブラス製の別部品にして銀ハンダで付けた。全体を下向きに曲げて底をベルトサンダで磨った。調子よく削れて行ったのだが、突然ばらばらになった。洋白レイルは熱伝導が悪いので、摩擦熱が溜まって、ハンダが融けたのだ。仕方がないので拾い集めて、丁寧に手でヤスリ掛けした。
guard rails 耐熱板の上に並べて押え、再度ガスバーナで焙って付けた。昔この形の先端を見て、いつか作ってやろうと思っていたのだ。
 仮に置いてみた。枕木、レイルの位置関係はでたらめであるのはご容赦願いたい。レイル高と同じ厚さの板を貼りつけ、20度くらいの角度で下に曲げて、レイルごと削ってある。

 Oスケールの模型では、護輪軌条があると、脱線しない。片車輪を持ち上げて外に滑らせても、内側が引掛かっていて、落ち込まない。外の車輪はフランジで走っている。そのうち元に戻る。ガードレイルはいわゆるフランジウェイよりかなり広いが、模型のタイヤは厚いので、その隙間にタイヤが落ち込まない。完全なスケールの車輪ならば、はまる可能性がある。即ち脱線した状態になるだろう。それが本物の状態である。要するに、本物は脱線することを前提に、逸脱量を建築限界の中に収めるのが目的であると結論できる。

 博物館のレイアウトの周回線ができてから、かれこれ2年近く経つが、脱線はほとんどない。この一年以上無事故だ。一部の車輛のフランジにはフェルトペンで薄く印を付けてあるが、それが触った形跡もない。フランジで曲がっているのではないのだ
 そう信じている人もいるが、模型の遠心力の効果を計算するべきだ。フランジが当たるわけがない。ステンレスの摩擦係数が小さいことが大切なファクタだ。

2018年04月10日

続 guard rails

guard rails 護輪軌条の図がある。これはPaul Mallery氏の
Trackwork Handbook の中にある図だ。

 上の図はごく一般的な単線の場合だ。2本のレイルが熔接されて尖っている。橋の入り口からかなり出ていることが分かる。

 中の図は複線で護輪軌条が各1本ずつの場合だ。これは脱線時に橋の構造体にぶつからないためのものである。中心方向に寄ることに対しては全く考慮していない。through girder橋は進行方向に衝撃があると落橋する可能性が高い。この図はバラストが敷いてあるときの場合だ、と注釈にある。 

 下の図はバラスト無しの場合で複線の時である。複線の中心線に、ガーダー橋の構造物があるので、それに衝突しないようにしてある。いわゆる三主桁である。進行方向が決まっているので、尖っている方向はそれぞれ一方向である。

 ガードレイルは使い廻した古レイルを使う場合が多く、そうでなくても細いものを使うことが多い。日本の護輪軌条は橋から外の方向にそれほど長くは伸びていない。

 走行レイルとガードレイルはある程度離れているから、車輪が限界まで偏倚しても、ガードレイルに接触することはないようになっている。


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2018年04月08日

guard rails

 護輪軌条の先端の形をどうするかは難しい問題だ。左右を接続するとショートする可能性が高い。走行レイルはスパイクで留められている。ガードレイルはそれに触っているからだ。尖端部分を別部品にして、接着するしかない。高さも低くなっているものを見たことがあるので、そういう形にしたい。

 護輪軌条は何のためにあるのだろう。要するに脱線時に車輛が橋の構造物に当らないようにするものだ、と手元の本には書いてある。橋の専門家の友人がいたが、彼の見解は違っていた。橋の構造物は、中で脱線が起こっても耐えられるように設計してあるというのだ。むしろ、入り口が危ない。そこに衝突すると落橋もありうるし、電車などは縦裂きになって死傷者が出るだろう。だから、護輪軌条は橋の手前を長くすべきだと言っていた。


 ガードレイルは、走行レイルに裏から接続部品を作ってハンダ付けした。現実にはまず脱線は起こらないから、形だけで良いのだが、取り付け時に外れにくいようにした。走行レイルと同電位だ。洋白は熱伝導率が小さいので、細い 58 W の鏝で楽にハンダ付けできた。しかも、手で持っていても熱くないのが良い。
 そう言いながら、手の甲を火傷した。水ぶくれができたが大したことは無い。不思議なことに、インフルエンザ以降、体調がいまひとつだったが、その日は妙に体が軽かった。少しばかりの火傷をすると、体調が良くなるようだ。要するにお灸だ。以前もそういう経験があった。因果関係はよく分からないが、面白いものだ。

 ガードレイルの取り付けられた曲線の線路は、非常に剛性が強くなり、曲率が保たれる。2800Rと2900Rの差は僅かだが、並べると正しく曲線間隔 100 mm を保っていることが分かった。

2017年05月08日

Hemmschuh

hemshoe 部品箱を探していると、思わぬものに遭遇する。もう20年近く忘れていたものだ。綴りは hem shoe と二つに分ける方法もあるようだ。英語ではないのだけど、英語風にしている。googleで検索すると、日本の会社が出している。これは商品名なのか、それとも一般名なのかが、わからない。日本語版WikipediaにはHemmschuhと言うドイツ語風の綴りが載っている。ドイツ語版Wikipediaには、最初にこの綴りがある。

 英語ではこれを何と言うのだろう。多分、skid(橇・そり)だ。

 日本の会社の商品は、上の写真とは微妙に異なる形である。このロストワックスの鋳物は、実際に作動する。レイル上に置いて、車輛を突っ込ませると、多少スリップして止まる。左右にガタがあるので、それを少し手直しするともっと確実に止まるだろう。
 片方のレイルだけではなく、両方であればより確実に、脱線もなく止まる。

 車止めが固定式なので、その前には置いておきたい。

  

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2017年03月31日

客車ヤードの延長

 車輛工作もしたが、レイアウトの方をサボっているわけでもない。車輛工作は1日1時間と決めている。例の競作は製作時間16時間と踏んでいたが、最終日の2日前に丸一日使ったので、製作時間は23時間ということになる。長いほうだ。筆者は工作時間を短くするように工夫している。考えながら作ることは、時間の無駄であると思う。工程表を作って部品を集め、工具を確認してから作り始める。工具が見つからないときは作業しないことにしている。趣味なのだが、時間は大切だからだ。

extended yard 客車ヤードの延長をした。終端には車止めを付けた。これが難物で、意外に時間が掛かる。立体を支え無しで作らねばならない。ある程度の角度でハンダで仮留めして、犬釘で押さえて修正しながら付ける。
 本当は木型を作ってそれに沿わせてハンダ付けするのが正しいだろうが、5つしか作らないのだからよかろうと思ったのだ。それが間違いであった。
 一つに20分ほども掛かる。アメリカで買った見本を参考にした。

extended yard2 本物を見たが、実にいい加減な作りで、熔接もへたくそだ。だからというわけでもないが、ごく適当な作りである。左右のレイルが導通しているから、両ギャップで切り離しておく。片ギャップでは心配だ。日本では車止めの手前で止めるが、アメリカではどういうわけか接触させている場合が多い。
 写真を撮ってから、少々時間が経っている。 

2016年11月27日

線路の更新

 一部の線路を敷替えている。
 このレイアウトの建設当初は、材料が逼迫し、線路はあるものをすべて投入した。観客から近い部分には新しい線路を敷いたが 、遠い部分には中古の線路を使用していたのだ。 

damaged rail 40年前に購入した Atlas の線路は、ブラスのレイルにニッケルめっきを施したものだった。見かけはきれいなのだが、微妙な凸凹があって気になった。水を付けて砥石で擦り、突出部は削り落としてある。走らせているうちに滑らかになるだろうと思ったのは甘かった。写真中央部がざらついているのがお分かりだろう。めっきも少し剥げている。
 どうしてこんな製品を出したのだろう。めっきは無電解めっきではないように思う。無電解なら、表面が多少は滑らかである。

 最近、貨物列車を運転すると、特定の場所からゴーッという音が聞こえるようになった。こうなれば、もう頬かむりはできない。
 シカゴでフレクシブル線路を戴いてきたので、材料は潤沢にある。思い切って、新しい線路に交換することにした。先日はT氏が手伝ってくれたので、二時間ほどで、一挙に5 m取り替えた。一人で作業すると、その5 mの取替えは一日仕事である。

 延べ20 mほど取り替えて、外した線路はショウケースの中の展示用とする。すでに取り換えた部分に重量列車を走らせると、見違えるように静かになった。

 静かな走行は、車輪・レイル双方が良くないと実現できない。

2016年07月27日

隠しヤード

image (19) 隠しヤードが大半完成した。あとは終点まで延長するだけなのだが、フレクシブル線路が無くなった。昔のブラス製のレールが沢山あるので、それをめっきして枕木を付けようかと思っていたが、めっき代が意外と高く、買った方が時間も金も節約できる。線路を買いに行かねばならない。


image (18) ヤードは8線で、9 m強ある。実物で言えば、400 m強だ。障害物を避けるために、微妙に曲がっている。実はそれがやってみたいから、支柱の位置を決めた。真っ直ぐにしようと思えば、できたのだ。ここでも、分岐の整列はレーザ光で行った。
 Kansas Cityの巨大なヤードは川沿いにうねり、実に素晴らしかった。曲がったヤードは美しい。土屋氏とそこに行ったのだが、かなり感動的な景色で、
「これをやりたいものだ。」
と話し合ったことを思い出したのだ。
 
 直線部分の線路間隔は90 mmだが、途中の曲線では少し拡げて95 mmにした。だから、微妙な曲線を描いている。さらに奥に進むと細い柱があるので、もう一度曲がって2線と6線に分岐する。

 少し離れた1本は、 機廻り線である。突き当り部にポイントを付けるのだが、切り離しを確認するために、TVカメラが必要だ。剛氏なら、光電式の検知装置を付けるのだろうが、カメラの方が簡単で安そうである。


2016年06月21日

鉄橋上の線路

jig for superelevated ties トラス橋の延長上にガーダ橋がある。線路を続けて作っておかないと、曲率が変化してしまうこともありうる。

 ジグを加工して、長い線路を作れるようにした。2.6 mmの鉄板だから、糸鋸で切れないこともない。
 伊藤 剛氏は、
「糸鋸は最も仕事量が少ないので、手でやる仕事ならこれに勝るものは無い。」
と仰っていた。

 掛かってみると、ほんの数ミリメートルを切るだけで、かなり疲れた。いつも快削ブラスを使っているので、その10倍ほどの手間が掛かる。

 一箇所切っただけでギブアップし、アングル・グラインダに切断砥石を付けて切った。20 mm ほど切るところもあったが、数秒で終わった。角を落として、手を切らないようにした。
 
 また10 mm厚のバルサを敷いて延長工事をするのだが、この写真で左の方は浮いてしまうので、10 mm程度の板を挟んで安定化させた。

 レイルの曲率が一定になるようにあらかじめ曲げて置く。レイルは長さが足らないのでつなぎ、ハンダ付けして一体化させた。こういう作業は塩化亜鉛に限る。ジョイナの隙間をハンダが満たし、固着する。

2016年06月17日

カント付き線路

hand laid superelevated track カント付きの曲線はこのように出来上がった。曲率が一定であるので、なかなか壮観である。枕木裏も削ったので、平面に完全に密着する。スパイクは緩いものをすべて抜き、接着剤を塗って押し込んだので、二度と抜けることはないはずだ。

underside of the superelevated track 裏はベルトサンダの平面で軽く削ると、このようになった。枕木の多少厚いところは削られている。フライスで斜めに削いだ部分は刃型が出ている。目で見ても分からないが、このようにするとオイル・ステインの浸込み具合が浅かったので、その凹凸が強調されているのだ。
 釘の切り口が平面になって光っている。何かの間違いで短絡を起こすといけないので、絶縁材を貼る予定だ。
 
 ここまでの工事で延べ6日掛かっている。もちろん仕事をしている時間は3時間くらいだが、ステインの固まる時間、接着剤が硬化するまでの時間を取らねばならないので、その程度の時間が必要だ。重しを載せて保持する平面も必要で、生産性は極めて低いと言わねばならない。あまりやりたくない仕事だ。
 この部分はトラス橋の上で、さらにガーダ橋の部分も連続して作る。ジグを加工して延長できるようにするのだ。ジグは2.6 mmの鉄板だから、糸鋸で切るのは大変だ。

2016年06月15日

視力とDCC

 検診で視力測定を受けた。意外なことに両眼ともかなり良くない。
 白内障、緑内障の心配は全くなく、網膜も無事なのだが、ピントが合わない。老眼でレンズが薄くなっている。かなりの遠視になったのだ。以前は両眼とも、視力2.0を誇っていたのだが、今はどちらも0.8程度だ。しかし+1.0ディオプタのレンズを装着すると、2.0になったので安心した。夜間、車を運転するときには眼鏡を掛ける必要がある。2,3年前、本業の本を仕上げるのに、数か月コンピュータと睨めっこをしたので、急速に悪くなったような気もする。

 過去に何回も手術を受けて角膜を引張ったせいか、左眼に微妙にあった乱視が完全に直っていた。このことは伊藤 剛氏も仰っていた。
「私は乱視でしてね、夜空の星が点に見えなかったんですよ。ところが白内障の手術をしたら、角膜を縫い付けて引っ張ったので、ピンと張って、おかげでとても良く見えるようになりました。角膜にシワがあったんでしょうね。」

 遠視になると不便この上ない。日中は虹彩が細く絞られるので、かなりピントが合うが、夜間や室内では裸眼ではピントが合わない。線路をつなぐような作業は、眼鏡を掛けないと全くできない。
 もう一つ困ったことがある。DCCの機関車の番号を打ち込む作業ができない。そこに止まっている機関車を、少し移動したいので呼び出そうとするのだが、番号が読めないので非常に難しい。普段あまり動かしていない機関車の番号は忘れてしまうからだ。

2016年06月13日

客車ヤード

 眼科で検診後、有無を言わせず切られてしまった。本来は手術の日程を決めるための検診であったのが、少々急を要する事態であったので、即手術となった。 中の方ではなく外側なのだが、しばらくは視線を動かすと痛いので、静養していた。
 居間のリクライニング・チェアで好きなカントリ・アンド・ウェスタンを聞いて過ごした。 本は読んでも良いことが分かった。コンピュータ画面とは違って、視線を動かさずに読むことが可能だからだ。河原匡喜氏の「連合軍専用列車の時代」を熟読した。
 実に興味深い本で、3回読み直した。お薦めする。黒岩保美氏から直接伺った話とも重なり、様々なことが分かった。

 そろそろ車の運転もできるので、博物館の工事を再開する。
up, level and down 客車ヤードがある程度完成に近づき、車輛を置いてみた。客車はペンシルヴェイニア鉄道の急行用車輌である。隠しヤードに下りていく貨車はNYCのPacemaker塗装である。どういうわけか6輌が番号違いで揃っている。その後は、複々線を登っていく貨物列車である。たまたま写っているこの2輌はワシントン州に関係がある。スポケーンから来た男は、この2輌を見てホームシックになると言った。こうしてみると、この付近は地下鉄の入り口のような感じである。

 隠しヤードへの線路の敷設もかなり進捗した。5 mmのゴムの効き目は大したもので、レイルヘッドと車輪との転動音しかしない。Low-Dの表面の平滑度が良いことが如実にわかる。しかも、レイルの継ぎ目の音が実にやさしい。あまりにも静かで、拍子抜けする。機関車がベルを鳴らして上がってくるようにしないと、事故を起こしそうだ。

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2016年06月05日

続 鉄橋内の線路

 cutting the excess枕木の下にはスパイクが貫通しているから、それを裏返して喰切りで根元から切り取る。そののちにベルトサンダのテイブルの上で、裏側に軽くヤスリを掛ける。そうすると、微妙に出ている釘は完全に削り取られると同時に、やや厚い枕木だけが削られて全体が床面に接するようになる。

 この釘の切れ端は始末に負えない。磁石で集めようと思ったが、鉄板の上であるから、磁路ができて、ちっとも集まらない。刷毛で履いて大半を集め、残りは粘着テープの糊で集めた。

 この方法で曲率が一定の軌框ができる。これを橋の床面に置けば、完成だ。しかし問題点がある。スパイクが枕木を貫通しているので、それに金属が接触すると、短絡する可能性がある。裏にプラスティックのテープ状のものを貼るか、何らかの方法で短絡を防がねばならない。

 橋の本体には接着剤で付けることになろう。その時、レイルに継ぎ目をわざと深く入れて、集音マイクロフォンを取り付ける。
 果たしてどんな音が出るのであろうか。場合によっては別の音を出す工夫も必要かもしれない。

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2016年06月03日

鉄橋内の線路

 カントの付いた枕木を整列ジグに入れて、レイルを取り付けた。

 レイルを曲げて所定の半径にする。枕木に罫書きを入れて、位置を確定した。仮留めの位置に、外側レイルを取り付けるためのスパイクの下穴を細いドリルであける。枕木に少量のスーパーXを塗り、レイルを固定する。その時、半径2900 mmのジグを押し当て、全く隙間が無いようにする。

 レイルを圧迫し、枕木と密着するようにせねばならない。枕木はいかに精密に作られたとは言え、多少の厚さの違いはありうる。それでも密着させねばならないので、柔らかなバルサの厚板の上で作業する。その厚さは10mmである。

 レイルの上にあらん限りの重いものを並べる。合板を置いて、その上に定盤、スライダック、金床、電線、ネジ釘、工具、重そうな雑誌を山のように積み上げると、バルサは多少凹み、すべての枕木とレイルが密着して、接着される。
 次の日、重しを取り除くと、バルサには枕木の凹みがあるのが分かる。重しがよく効いた証拠だ。レイル10 cm当たり、6 kgほど載っていたことになる。

M1040001 そこにスパイクを打つ。もちろんバルサまで貫通する。再度2900 mmのジグを置き、内側レイルを接着し、また重しを載せる。固まるまで一昼夜を要する。
 錘を外しても位置関係が正しくできているので、スパイクをすべての枕木に4本ずつ打つのは容易だ。もちろん下穴を開ける。
 裏返してバルサ板を取り除くとこんな具合だ。


2016年05月24日

枕木を染める

oil stainstained ties 鉄橋の線路を組み上げるには、まず枕木を染めなければならない。それにはオイルステインを使う。水性のステインを使うと、反りくり返ってしまい、後悔する。合板ならばあまり問題はないかもしれないが、無垢の木で出来た枕木は水をつけるべきでない。
 このステインは、家を建てたときに白木の家具に浸み込ませたものだ。その後枕木にかなり浸み込ませたが、まだ半分ほど残っている。適当な容器にとって、そこに枕木を投げ込み、10分ほど放置する。浸み込んでいくと泡が出る。次に上下ひっくり返して、また10分ほど置けば良い。新聞紙の上に広げて余分の油を落とし、浮かせて放置すればよい。固まるまで2日ほど掛かる。乾くのではない。固まるのだ。
 
 この種の油は亜麻仁油を主として、触媒と煮たもので、空気中の酸素と反応して固化する。要するに内部まで固まるのである。いわゆる塗料とは異なる。手に着くと爪の間に浸み込んで固まるから、すぐに溶剤を使って洗う必要がある。リモネンで洗えばすぐとれる。

 日本の家具はこのステインを浸み込ませるという操作をあまりしていない。さっと塗っておしまいだから、表面だけしか色がついていない。だから傷がつくと、白い木が見える。
 家を建てる時、アメリカの家具屋でじっくりと観察したが、組立ての途中でステインをドボドボに塗りつけ、放置する。テイブルであれば、上に表面張力で盛り上がる位に塗る。時々見に行って、吸い込んだところにはさらに多めに塗る。2時間くらい経ってから、ぼろきれで余分をさっと拭き取る。3日程置いて、透明塗装を掛ける。上塗りを重ねて掛ける。その間には水研ぎがある。とても丁寧な作業である。
 このような仕上げだと、傷がついても色が変化しない。表面のめくれを取って、透明塗料を塗れば元通りだ。

 油を拭き取ったぼろきれは丸めておくと発火する可能性がある。必ず広げて、発生した熱が空気中に発散するようにせねばならない。 

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2016年05月20日

隠しヤード

yard ladder 3 隠しヤードのラダァ部分にゴムを敷き、エラストマを並べてみた。複線間隔が90 mmであるから、かなり狭く感じる。黒い部分が露出するわけだが、この程度の幅であって、意外に落ち着いている。

 この幅でゴムを貼るというのはかなり難しい。曲がっている部分だけに全面的に接着剤を付け、平らな部分は点付けで行こうと思う。釘を併用して貼れば、落ち着くだろう。
 面積が大きいと、よほどうまく圧力を掛けないと均一には着かない。場合によっては細かく切って、貼るということも考えている。

 ゴム板の上にエラストマを貼り付けた部分に線路を敷いて、貨車を走らせた。枕木に大きめの穴をあけ、線路は緩く取り付けてある。実に静かで、感動的である。車輪の転動音だけしかしない。

 今回はこの黒ゴムが1 m幅で10 mあったので、惜しみなく使っている。ヤードの奥の方は足らないので、仕方なく、ポリ塩化ビニルの 3 mmと 2 mmのシートを重ねて使う。ありがたいことに、端材の廃品を大量に戴いたので、活用する。

 隠しヤードの奥は転車台の横まで伸びている。その部分の工事をしないと先に進めない状況になってきた。
 

2016年05月16日

ゴムを貼る

yard ladder (2) 機廻り線を先に置いて、矛盾が無いようにラダァを配置してみた。 

 ポイントが密集する部分にはゴム板を大きな三角形に切って貼るつもりだ。すなわち地面が黒く見えるわけだ。それに灰白色のエラストマを貼る。
 他の部分よりも複線間隔が狭いので、黒く見える部分がかなり少ない。

チーズ削り ゴムを貼るには、裏側を削って新しい面を出す必要がある。それにはこの工具を使った。多分チーズ削りの一種なのだろうが、非常に細かい。伊藤剛氏の工具箱で見つけたものだ。
 軽く擦るだけで、細かい綿状のゴムがめくれてくる。掃除機で吸ってきれいにし、曲がっている部分だけに接着剤を付け、クランプで締める。大きな面積のところには、厚板を木ネジで締め付けるのが効果的だろう。

clamps 曲がったゴムを締め付けるのには、かなりの数のクランプが必要で、均一に締め付けるのは大変な仕事である。立体交差部は上の線路の路盤を使って、ジャッキで押し下げた。上が少し持ち上がってしまうので、重い金床や定盤などを総動員して載せた。 


ups and a down 本線の登り勾配と、隠しヤードへの下りとの違いは、この程度ある。まだ仮に置いただけの線路であるが、かなりの急勾配であることが実感できる。

 


 
 

2016年05月14日

カント

 アメリカの炭鉱地帯(ウェスト・ヴァージニア州辺り)には、満載の貨車を引き上げる線路が無数にあった。それらは逆カントを付けていた、とPaul Malleryの著書にある。極めて低速であるから、遠心力は考慮する必要はない。急曲線なら、逆カントのほうがはるかに安定である。アメリカは合理主義の国であるから、実験の結果、それが良いということになったのだろう。
 このような例は日本にもあるのだろうか。電車線での曲線上の渡りではたまに見るが、それは本論から外れる。

 下りは空車であるから、速度さえ出さなければ危険ではない。あるいは複線ならば、自由にカントを付けられる。

 隠しヤードへの進入路は、かなりの急勾配であるが、80輌ほどを引き上げる必要がある。機関車は専用のスイッチャを用いる予定だ。GP9の重連を考えている。
 電流は 2 A ほど流れるだろう。饋電線は 3.5 mmsq を用いる。レイル一本ごとの饋電だ。半径が小さいので走行抵抗は大きい。Low-Dであっても、かなり抵抗が増える。線路が完成したら、要求される引張力を測定してみる。
 入替作業用であるから、曲線部で停止した状態から引き出さねばならない。かなり苦しい条件だが、3条ウォームの特質が活かされるはずだ。

 ヤード部分のラダァを並べてみた。正直なところ、正確な作図をしたわけではないので、無理のないように並べるだけのことである。その先の枝線部分は適当に曲げて障碍物を避ける。これは実物と同様である。

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2016年04月28日

続々 客車ヤード

passenger car yard 4 しばらく来客が多く滞っていたが、作業を再開した。

 線路有効長はプルマン客車の12輌分が2本と11輌分が1本、10輌分が2本である。これで良しとしておかないと収拾がつかなくなる。隠しヤードへ行く線路には、枕木を茶色のものを用いた。色分けをしておかないと、何かの間違いを犯す可能性があるからである。
 線路は仮に置いただけであるから、多少のずれはご容赦願いたい。

 こうして見ると、ずいぶんたくさんの線路が並んでいて、壮観である。曲線の半径は左から順に、3100、3000、2900、2800R、そして空白があって、2600Rの隠しヤード行の線路がある。その内側の5線は2500、 2400、 2300、 2200、 2100Rである。これだけで10線である。

 考えてみれば、この写真の向こうの方(入り口に近いところ)にも、8線のヤードがあり、本線と合わせて10線ある。すなわち、このカメラの位置から15 m弱は10線が並んでいるということだ。それだけでFlex-Trackを10カートンほど消費している。山のように有った線路の箱がついに一つもなくなったのである。そして、エラストマの道床も400kgほどあったが、半分以上使用した。

 エラストマは製品の表面に何かの油(離型剤)がついているらしく、強力な洗剤で洗って落とした。そうしないと接着剤が付かない。接着剤は水性のものを用いた。

 各ヤードごとに分けて、DCCは全部で4つの饋電区間とする。そうしないと何かの事故が起きたときにどこで問題が起きたか、解明が困難だからである。4つの短絡検出回路を付けるべきであろうが、一つだけ根元に付け、各セクションごとの遮断スウィッチを付ければ、短絡時に一つずつ確かめることができる。この方法は、自宅のレイアウトで検証済みである。

2016年04月10日

続 客車ヤード

 複線の本線と客車ヤードの間には、隠しヤードに下って行く線路がある。

UP and DOWN 本線は1.56%の登り勾配で、隠しヤードは1.9%の下り勾配だ。 片方は持ち上がり、他方は潜っていく。この二つが並んでいるから、地下鉄のようだ。

 その下り線の路盤を切るには、例によって型紙を作り、それを写し取って切るのだ。おマヌケなことに裏表間違えて作ってしまい、再度ばらして作り直した。単純な曲線ではなく、緩和曲線がついているので、逆にすると嵌まらない。 

 本線ではないとは言え、平面でないと困るので、継ぎ目をベルト・サンダで研いだ。裏の足の高さも念入りにチェックし、置いてみた。どこに力を入れてもバタつかないことを確かめる。 観客から見えにくいところではあるが、手を抜かないようにした。

 ヤードの線路はすべて色を揃えて、ある程度見栄えがするようにしたが、客車を置いたら何も見えなくなる。
 このようなヤードはDCCである。そうすると、止まっているプルマンの個別照明を点滅して遊ぶことができる。 

 下りの路盤高さは途中で5 mmの段差がある。その低いほうには5 mmのゴム板を敷くのだ。登ってくるとき、極めて静かになるはずである。 

2016年03月25日

yard 線路敷設完了 

Yard Ladder completed 3週間以上かかったが、ようやく第1ヤードが完成した。と言っても、まだポイントマシンやDCCのデコーダも付けねばならない。レーザによるアラインメントがなければ、このようにうまくはいかなかっただろう。長期にわたって、機材を貸してくれたO氏に感謝する。すべてのポイントを直線側にして、貨車を一押しすると、するすると転がって本線に出る。何もしなければ静止しているので、平面性は合格だ。Yard Tower 信号所の中に3人入れた。
 Superintendent(支配人)、Inspector(検査官)とOperatorである。コントロール・ボードも置いた。実はここでやりたいことがある。この操作盤の上に、ちいさなLEDで指示らしきものを出させるのである。本当に線路の状態を反映する必要もない。ただ、ちかちかと変化すると面白いと思うからだ。完成までにまだ時間が掛かると思うが、いつかはやりたい。

114_4574 反対側から見てみよう。大した規模ではないが、一応40 ft車が100輌弱収容できる。おそらくこのヤードは機関車付きの短い列車が待機する場所になる。電源はDCC onlyの区域である。待機している機関車からは様々な音が聞こえ、列車の照明も点くようになる。DCCの醍醐味を味わうことができる。
 転車台への進入路、退出路もできた。

114_4569 この写真では貨物列車、旅客列車ともに出払って、閑散としている。signal bridgeはこの位置に建てる。側線への指示を出す信号もここに付ける。かなり賑やかなものになるはずだ。

 来週からは第2ヤードの建設が始まる。それは旅客列車を仕立てて置いておく線である。10輌編成を5本置けるようになる。もちろんDCC専用である。そうしないと、車内の照明が点かない。

2016年02月29日

バラスト

 先日の動画をご覧になった方から様々な意見を戴く。みなさんよく見ていらして、こちらで気が付かなかったことをたくさん教えて戴いた。

 保線状態のことも、作った本人が全く気付かなかったことをご指摘下さった。 3分9秒、3分14秒辺りの線路の折れ曲がりは、敷設時には良かったのだが、徐々にレイルの弾力で戻ってしまったようだ。釘を打って押え込んだ。その他あちこちの不具合を修正した。 

 その中には直せなかったところもある。2分54秒辺りのバラストの撒いてある部分のことである。音がうるさいとのことだが、まさにその通りであるが、おいそれとはいかない。
 この部分は厚さ5mmのゴム板を貼って、それにFlex-Trackの線路を軽く打ち付け、バラストを撒いた。バラストはゴムの小片である。 可搬式だから、バラストは固着せねばならない。木工用ボンドを界面活性剤と混ぜて垂らした。
 途端にうるさくなって、その方法は諦めた。今回の線路敷設で、その気に入らない線路を活用せざるを得なくなり、観客から一番遠い部分の高架に敷いたのだ。自宅のレイアウトのバラストは固着していない。ざっとばらまいて指で均しただけで、かなり静かである。時々掃除機で全部吸って、敷き直す。もちろんゴミ袋は新しいものを用いないと、後始末が大変である。吸ったものにはゴミも含まれているので、浅い箱に入れ、選り分けて再使用する。

 今回のビデオ撮影ですっかりバレてしまったが、その近辺にはややレベルの低い線路(傷がついている)を用いている。多少やかましいのはそのせいだ。傷は主としてスパークから来る。その線路を作った時様々な車輛を走らせたが、電流の大きな機関車でバネが付いていないものを走らせたことがあるので、その時に細かい傷が付いたのだ。その部分のレイルは丹念に磨いているので、徐々に滑らかになってはきたが、まだ不十分である。
 博物館の観客に近い部分の線路は、新品の傷の全くついていないものを用いている。

 博物館には車輛の持ち込みはできるが、車検を受けて戴く。その要件として、電流は1 Amp 以下で走り、動輪はバネ付きであることが求められる。バネがないと明らかに集電が悪い。イコライズでも良いが、いずれにせよ集電軸が十分に多いことが求められる。

 クラブの会員が来てくれた時には、線路の状態を見てもらう。ポイントの部分など、鋭い指摘があり、直ちに修正した。ガラスエポキシ基盤の銅箔の上にハンダ付けして作ったので、修正は非常に楽である。 

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2016年01月28日

続 フランジ

 実物の鉄道関係者にはフィレットなんて関係ないと言う人が多い。どうして図を見ないのだろう。実物のフィレットのRは小さい。レイルヘッドの丸みの1割増し程度である。テハチャピ・ループで見ると、車輪の形がレイルに転写されて、完全に一致している。レイルヘッドが多少狭くなっているのだ。塗油器でべとべとで、鉄粉を塗り固めたようになっている。
 それを見れば誰でもフランジで曲がると思う。

 一方、Low-Dでは丸みの比率が2倍はあるだろう。場合によっては数倍にもなるかもしれない。模型の線路は平型のゴム砥石でこする場合が多く、レイルの角は丸くなりにくい。その場合、比率は大きくなる。新品のレイルをスライスして顕微鏡で見たが、0.25から0.3 mmRほどである。
 半径比が大きいと上記リンクのP点まで行っても、当然一点接触である。現実にはそこまでは行かない。これは先回の写真でも明らかである。

 Low-Dの材質はSUS303である。摩擦係数が3/4ほどである。良く滑るから、まずP点まではいかない。試作の段階で0.4 mmで切り落としたものを作り、それでエンドレスを一周させた。全く問題なく走った。その車輪は吉岡氏のところに送ったのだが、戻ってきていない。それを見れば、「カーヴはフランジで曲がる」という実物屋さんも、納得戴けるのだろうが。
 実験がすべてだ。模型と実物は違うのである。

 フランジは推進運転の時の座屈防止には役立っている。あの高さがないと、とても持ちこたえることができない。先日、100輌の推進運転の実験をした。平面では何の問題も無いが、登り勾配の曲線を押し上げるのはむずかしい。微速後進で数メートル進んだのだが、2輌が同時に脱線した。

 来週は2輌の機関車で前牽き後押しをやってみる。DCCならではのゲームだ。半分くらいを押し上げるのなら、行けると思う。
 

2016年01月22日

洋白と白銅

 洋白(洋銀)は銅、亜鉛、ニッケルの合金だ。すなわち、白銅に亜鉛を足している。この亜鉛の量の多少が様々な性質の変化をもたらす。亜鉛が少なければ、白くなる。洋白は腰が強い合金でバネにも使える。ナイフ、フォークの材料にも適する。もちろん銀めっきして用いる。俗語で"hotel silver"という言い方がある。ホテルで銀器代わりに使われているのだ。本物を使うと、盗まれて困るからだ。  
 亡父の使ったコンパスやデバイダは洋銀製で、表面が多少酸化されて緑がかって見える。ギターのフレットはどうしてこの合金を使っているのかはわからない。適当な硬さで、弦を傷めないのだろう。色は気にする必要はない。

 白銅貨の100円玉、50円玉はその昔の銀貨、ニッケル貨から現行のものに切り替えられた。純ニッケルを硬貨に使ったのはドイツの真似だと祖父が言っていた。ニッケルは兵器を作るのに不可欠な金属元素なので、備蓄しておかねばならないが、その倉庫を建てるにも金が掛かる。しかし貨幣として流通させれば、国民は大切に保管する。必要な時は何か理由をつけて、無効にすると宣言すれば、慌てて持ってくるだろうということであった。
 現実に、日本でもニッケル貨は戦争時の資材として役に立ったそうだ。朝鮮戦争の時にも値上がりしたので、銅で薄めたものに取り換えたという話がある。
 白銅貨の採用はアメリカの25セント、50セント硬貨の例を見て決めたらしい。インフレで価値が下がり、銀を使えなくなったのだ。

 さて、白銅(cupronickel 銅の入ったニッケルという意味)は展延性に富むので、コインにしやすいし、薄く伸ばして薬きょうにする。黄銅より薄くできるので、火薬量を増やせて効率が良い。レイルにしてもそれほど難点があるようにも見えない。
 たまたまであろうが、洋銀の行き先の無い材料があったことが、その後の鉄道模型の運命を決めたような気がする。 

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2016年01月20日

洋白の色

 洋白(洋銀)レイルの色が気になる。磨いてみても鉄の色とはほど遠い。白銅の百円硬貨の成分はニッケルと銅だ。前者が25%らしい。百円玉の色は比較的白く、どちらかと言えば、レイルの洋白より鉄の色に近いような気がする。もう50年近くになるが、TMSで久保田富弘氏だったかの記事中、洋白を材料にすると良いという話があった。その記事はかなりインパクトがあったらしく、その後、急に洋白を使う話が増えた。ミキストにも載っていたように思う。筆者は洋白を使わない。高いし、色が良くないからだ。めっきのほうが好きだ。

 カツミに居た高橋氏の話である。1960年ごろ、たまたま伸銅屋の店先に注文流れのギターのフレットの材料が一山あった。使い道がないかという打診があったので、それを使ってレイルを作ると良さそうだということになった。それが日本の洋銀レイルの始まりであった。篠原模型店がそれを使って洋銀の製品を作り始めたようだ。

 当時、日本の模型材料は、梅澤伸銅という非金属材料店からの製品を使っていた。この店はもうないが、模型業界のような消費量が少ない相手に、少量(100 kg単位)で売ってくれる珍しい店だったからだ。その他の店は当然トン単位でしか売らない。
 したがって、洋白もその店の仕様で作られたものを使っていることになる。当時は全国同じ材料であったはずだ。

 仮定の話であるが、もし、その店がもう少し白い材料を扱っていたら、模型のレイルはもう少し白かったかもしれない。

 30年ほど前、アメリカで買った洋白レイルは素晴らしく白かった。やや軟らかく曲がりやすかったが、色だけは良かった。最近の洋白レイル(英語ではnickel rail)は、日本のレイルのように黄色い。磨いても黄色っぽいのは腹が立つ。どうして白い材料をつかわないのだろう。
 多分中国製なのだろうが、発注元が指定すれば済むことなのだ。

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2015年12月27日

Steel Rail

 steelレイルを磨いた。保管中、施工中に多少錆びたものもあるが、概して変化は少ない。色が良い。洋白とは比べ物にならない。
 日本の模型人は洋白(洋銀)を賛美する。ブラス(黄銅)より良いという人が多い。ブラスは黄色い。しかし、たいていの場合は塗装するし、めっきする場合が多い。しかし、ロッド類は洋白製にしたがる人が多い。
 洋白の色がもう少し良ければ筆者も使いたいが、やや黄色で、時間が経つと緑っぽくなるので好きではない。金属材料で鉄の色を出せるのは、快削鋼そのものか、クロム・ステンレスの一部である。井上豊氏は快削鋼を好んだ。良く磨いて光らせ、油を切らさなければ錆びない。機関車の動輪には必ずこれを用いた。ロッド類も快削鋼の場合があった。
 最近はエアコンがどこにでもあるのだから、錆を防ぐことは容易である。以前も書いたが、窓を開放しないこと、湿度を50%程度にすること、この二つが守られれば鉄は錆びない。
 筆者の機関車にはすべて快削鋼のタイヤが嵌まっている。これは日本もアメリカも同じである。日本製はめっきを掛けているが、薄いのですぐ剥がれてしまい、結果として鋼が露出している。

 鉄(鋼製)レイルの色は素晴らしい。訪問した人は、何も言わなくてもすぐ気が付く。「本物みたいだ。」複々線のうち、外2本は鋼製だ。摩擦が大きいのもさることながら、見かけが良いのは素晴らしい。
 HOでは昔のLIMA製線路が鉄レイルであった。安いから仕方がないと思ったが、意外と錆びず、見かけもよかった。錆びないのは、むき出しの歯車から飛び散る油のおかげの他、薄い亜鉛めっきが掛けてあることによるように思う。

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2015年12月23日

レイルボンド

114_4292 これが鉄レイルに取り付けたレイルボンドである。ハンダは先にレイルにつけておいて、撚り線をハンダめっきしたものを近づける。こてを熱くしてあるので、融着させるのは簡単だ。
 撚り線は友人のところでもらってきたアース用の裸撚り線である。いろいろな太さがあるので、ちょうどよいのを選ぶ。電気ドリルで撚りをさらに掛け、末端をハンダ揚げする。そうしておかないと良い形に成型できない。

 こうやって取り付けたレイルボンドを見て、「はみ出しているのはみっともないから、もっと細いのを使うべきだ。」ということを言った人がいる。レイルボンドは太くなければならない。電流が大きくてもレイアウトのすべての部分で電圧降下が起こらないようにせねばならない。饋電線は太くせねばならないのは当然だが、すべてのレイルで同じ電圧が保証されねばならないから、レイルボンドも太くあるべきだ。レイルボンドは2本のレイルをつないでいる。その他の接続部は力学的に繋がっているだけで、通電はほとんど考慮していない。この写真には写っていないが、すぐ脇で、下から饋電線が出ている。大切なのはハンダがよく付いていることだ。
 いずれ配線が完成したら、10 A通電したときの電圧降下を全線で測定する。大掛かりにやるのは簡単だが、最も簡単でスマートな方法を考えている。
 
UP7002 and a string of Pullmans この機関車で重いプルマンをたくさん牽いて坂を登るのはなかなか大変だ。下手をするとスリップする。本物と同じように、滑ったらスロットルを戻す。再粘着させて引上げるのは、面白い。プルマンはどれも1 kg以上ある。機関車を重くすれば摩擦力は稼げるが、それは筆者の哲学に反する。補重していない機関車でたくさん牽きたいのだ。

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2015年12月21日

踏固め試験

114_4283 遠方から友人が来訪したので、車輛を持って行って走らせてみることにした。レイルは磨いてないし、線路の通りはまだ不完全だ。
 機関車は今まで無事故を誇るものを持って行った。それに合わせて、客車はプルマンの5輌だ。客車の台車連結器は当社の仕様に交換してあり、調子が良いはずだ。

 電流を通じると、そろそろと動き始めて、全て順調かと思われたが、数箇所でショートが発生した。線路が浮いているのだ。二次元平面上への正射影はそこそこ良いのだが、フレクシブル線路が一部で浮いていたりする、高さ方向の不整合がある。路盤の不陸もたまにはあり、シムを挟んで釘で留めた。
114_4286 機関車はUP7000で、カウ・キャッチャが低くて恰好が良いのだが、このような未整備の線路では立ち往生してしまう。カウ・キャッチャが擦るのだ。そこでショートが起きる。すべての線路を正確に固定すれば、問題は解決するだろう。今までは全く問題が起きなかったのだから、機関車自身の性能には問題がない。
 
 あと何台か機関車を置いてみて、具合を見たが、どれも線路の浮き上がり箇所でショートした。これはまさに踏固め試験である。
 このUP7000は、線路の不具合検出用として、能力を発揮しそうだ。

 レイアウトが全通するまで、今しばらく時間が掛かるので、その間に問題解決をしたい。




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2015年12月15日

double slip

 このレイアウトの本線上にダブルスリップがある。通過量は極めて大きい。耐久性と確実さが必要である。また、静粛性も非常に大きなファクタだ。

 まずは動画をご覧戴きたい。台車がイコライズのみでバネが入ってないものを選んだ。どんな音がするかをお聞き願いたい。ダブルスリップは欠線部は意外と少ない。二つのフログだけであって、他は斜めにつながっているから、うまく作ればそこから音はしないし、車輛の動揺も少ないはずだ。

 すべてのレイルが同一平面上にあるということが非常に大切である。製作に当たって、平面性を重視し、ハンダ付けするときに十分な重しを載せて行った。プリント基板を細く切ったものを枕木にしているが、当初安い紙エポキシを使ったのは大失敗だった。すべて反ってきて平面性が失われた。仕方がないから、一本ずつ外して再度重しを載せてハンダ付けをした。

 気を付けないといけないのはレイルの捻じれである。押し出しの型が良くないのだろうか、少し捻じれている場合がある。万力に挟んで逆に捻じって補正する。めっきは硬質ニッケルで、ヤスリが掛かりにくいほど硬い。十分な耐久性がある。

 動作させるリンク機構は、単純化するためにモータ2台で駆動する。またリンクは露出させる。メンテナンスを考えると裏側に置くのは避けたい。今回の線路配置では最初からそのつもりで、ダブルスリップの隣に空き地を作った。もちろん完全露出ではなく、モータ部は隠し、リンクのみを見せる。イコライザが作動するところも見える。

 HOの既製品の上を通過する様子をたまに見るが、欠線部が多く、プラスティックでできた欠線部のフランジウェイを高さの異なるフランジで踊りながら通過する場合がある。可動フログにすれば一挙に解決するはずだが、その工作をしたというのは寡聞にして知らない。 

追記
 youtubeの動画が直接見られないという苦情を戴いている。再度リンクを置き直したので改善されたと思うが、ダメな時はコメントを通じて、ご連絡戴きたい。



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2015年10月12日

匐進を防ぐ

 勾配線ではレイルが下へと滑っていく。これをcreeping (匐進 ふくしん)という。35 kgの列車を引張り上げるのだから、かなりの力が掛かる。既製品をそのまま使えるHouse of Duddyの製品はよいのだが、Atlas製 を差し替えたものは緩いから、あっという間にずれてしまうだろう。道床の木部に打ち込んだブラス製の釘を曲げ、レイルに密着させてハンダ付けする。 これをある程度の間隔で行うと安心できる。
 鋼製レイルにはペーストではハンダ付けしにくいから、その部分にあらかじめ塩化亜鉛を用いてハンダめっきしておく必要がある。もちろん、水でよく洗っておかないと大変なことになる。

 饋電線から分岐した給電線はレイル2本のつなぎ目に来る。そこでレイル・ボンドを用いて、隣のレイルにも給電するわけだ。

 複々線の部分は、複線がループで還ってくるわけだから、2本ずつ同じ電源になる。DCCなら一つになるのだが、半分をDCにも適応させねばならないので、分離させている。
 信号機も新モジュールが到着しているので、試運転が始まれば取り付ける。

 饋電線の総延長はかなり長く、用意してあった電線リールが空になった。10年ほど前に専門家にもらったMil-Specの高級品だ。各色あったのでとても便利だった。
 信号用の線は電流が少ないので、使わないLANケーブルを使うことにした。これも100 m 以上あるので十分足りるだろう。

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2015年09月26日

続 屋外レイアウト

shed 2shed 引込み線にはshed(覆い)がかぶさっている。建設工事用の紙管を縦割りにしてある。20輌ほどはいつもここに入れてある。 嵐にならない限り、これで十分に雨露はしのげるという。
 短いからもう少し延長し、また本数を増やすそうだ。「Low-Dを手に入れたので、いくらでも列車の長さを伸ばせる。」と言っていた。

outdoor layout 4 猫の居る方向に客車ヤードを新設するらしい。できれば家を一周するようにしてみたいのだ。ラジオ・コントロールでウォーク・アラウンドをするから、本当に敷地一周の散歩をすることになる。


dual track switch 珍しいポイントを見た。Sunset Valley と云う会社が作っているdual gauge のポイントだ。狭い線路の方向しか分岐しないので、構造は簡単だ。両方やろうとすると、フログが3つもできて大変だ。
 以前はGゲージもやっていたので、ポイントが残っているのだ。「外すこともないからね。」というわけだ。



2015年07月01日

続々々 easement

 コメントを戴いたので確認したところ既製品にもあることがわかった。

 倍の半径を持つセクションを挿むようになっていて、角度も1/2になっている。複線を想定しているから大したものだ。果たしてどの程度売れているのだろう。

cosmetic curve 筆者が建設中のレイアウトの緩い reverse curve (Sカーヴ)には大半径の円曲線を順次細かくはめ込み、曲率を逓減させている。その最大半径は10 m以上ある。この部分は通して見たときに違和感がないように、かなり丁寧な設計になっている。施工もCNCで切り出してあるので正確である。以前にも述べたように、カントも正確につけることができた。

 また、線路敷設用に定規をレーザで切り出してある。それをはめて線路を固定すると、きわめて正確な曲線が簡単にできる。 
 Armstrong氏はこの種のカーヴをCosmetic Curveと名付けた。単に直線にしても良い部分なのだが、緩やかな曲線にすると列車がうねりながら走り、感動的な場面となるはずだ。

 本線上はカント、緩和いずれもつけてあるが、構内の配線には全くついていない。 また、隠しヤードへの勾配線にはカントなしである。勾配は1.5%であるから大したことはないが、半径がやや小さく2600R程度であるから、内側に引き込まれて脱線することがないようにという配慮である。逆カントを付けるほどではないが、多少は配慮が必要であろう。隠しヤードは10線で200輌以上の収容力を持たせる。機能だけを考えるので、かなり簡略化した構造となる。

 隠しヤードはレイアウトの下に吊り下げる構造となる。事故時の対応を考えると、十分な照明と手の入るスぺイスが必要である。すべての線ではないが機廻り線を付けて、機関車を戻すようにする。途中にデルタ線があれば、転向も同時にできる。レイアウトの高さが1200 mmであるので、隠しヤードの路盤面は950mm程度になる。走行させるわけではないので、作りは簡便な形とし、ゴム板の上に線路を直接敷く。ゴム板の在庫は80 kgもある。これを有効利用したい。

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