低抵抗車輪

2017年10月28日

続 物理的考察

 先日博物館に、元国鉄で当時の新型特急の保守に当たっておられた高齢の方の来訪を受けた。現場をお見せすると、列車の規模にかなり驚かれたようだ。アメリカの鉄道には接することが無かったそうなので、それは当然だろう。

 最初の質問は、「フランジの摩耗にはどのように対処しているか。」であった。実物はフランジで曲がっているのだ。それは当然だが、この博物館の模型は違う。

「模型の線路の曲率は大きいので、フランジが当たると抵抗が大きくて走れませんし、仰るように磨り減ります。ここではフランジの手前のフィレット部分を大きくして当たらないようにしています。」と答えた。非常に不思議そうであった。
 実物関係者はだいたい同じ質問をする。実物と模型は違うのである。遠心力は無視できる。計算をするとすぐ分かるが、フランジに押し付けられることはない。同じだと思う人もいるようだが、実験しなくてもわかることだ。フランジが触るのは、ポイントで尖端レイルによって曲がる瞬間だけである。それも10番以上では、ほとんど触らない。

 カント (superelevation) も然りである。これについては以前にも書いた。カントは単に見栄えを良くするだけである。
 このように実物と模型は違うのであるが、自説を曲げない人はいる。走るところを見れば一目瞭然なのであるが、見たくないのだ。模型は実物と同じというファンタジーから抜けられないらしい。

 ところでRM Models の最新号に、筆者の作品が載っているそうだ。関西合運の記事の右上の方にあるとのことだが、田舎に住んでいるので本屋がなく、まだ見ていない。


dda40x at 10:28コメント(6) この記事をクリップ!

2017年10月16日

関西合運

OBJ 今年も出掛けた。何か新作を持って来いということなので、半年前に作った Old Black Joe と貨車2輌だけを持って行った。本当は塗るばかりまで完成したPullmanの8輌編成を持って行くはずだったのだが、ついに天候不順で塗れなかった。


 Oゲージのレイアウトは舞台床面に平で置いてある。高さが無いので残念である。せめて30cmでも持ち上げることができればかなり良いのだが、会場の都合でできないらしい。持って行ったものは陳列台に飾ってあったのだが、鎮目氏が、「走らせて見せてくれ」と言うので、彼のスクラッチビルトのタンク車14輌を牽くことになった。見物人は牽かないだろうと思ったらしいが、するすると牽き出し、順調に加速した。
 高効率のモータと効率の良いドライヴのなせる業である。全くと言ってよいほど無音で走った。貨車は1輌が 600g 弱ある。軸受はピヴォットではなく、プレーンである。Φ2のステンレス軸をブラスの軸受で受けている。よく注油されているから、かなり摩擦は少ない。

 ステンレスは摩擦が小さい金属なので、よく研磨してあれば、かなり抵抗は少ない。平坦線なので、軸受の摩擦抵抗と曲線抵抗である。Low-Dであるから、曲線抵抗はかなり小さい筈だ。暗算で必要な牽引力を計算した。1.0から1.4 N程度だろうと推測したが、もっと小さかった。
 機関車はΦ25のステンレスLow-Dを流用しているので、牽引力は少なく1.3 N 弱だ。モータの出力から計算して、補重してあるので、ぎりぎりのところでスリップしてモータが焼けないようになっている。直線では牽き出せるが、曲線では引っ掛かるかもしれないと思った。しかし、かなり余裕を持って走った。鎮目氏はLow-Dの効果を見て、感慨深げであった。  

 板バネが効いていて、フログを渡る音が重々しい。ここに等角逆捻り機構だけを使うと、軸重が大きい時は、ゴトゴト、コツコツという音がする。もちろんバネを介せば、問題ない。
 機関車が全く左右に振れない事にもご注目戴きたい。車輪の精度が高いから、二軸車でも安定している。また、重ね板バネの緩衝のおかげでもある。コイルバネではこうはいかず、ふらふらする。電流は、起動時で130 mA、巡航時で60 mA 程度である。


dda40x at 10:16コメント(0) この記事をクリップ!

2017年04月26日

OSR May/June 2017

 最近号の O Scale Resource にLow-D の記事が載っている。毎号載せてくれるのは有難いが、少し頻度が高すぎる。編集者の要望に応えて原稿を送っておいたものだ。まだほかにも、いくつか送ってある。
 また、99%以上、書いたそのままが載っている。"to" を一箇所抜いたのと、複数形を2箇所直しただけだ。編集者は良く書けていると褒めてくれるのだが、こちらとしては今様の英語にして欲しい。筆者が英語を勉強して50年近く経ち、アメリカから帰ってもう25年以上経つのだから。
 
 外国人の書いた英語の雰囲気を味わって欲しいらしい。 アメリカ人の友達に聞くと、古風な言い回しがあるそうだが、違和感はないとは言っている。しかし、筆者自身は読み返すと少々気になるところがある。今はこう言わないような気がする、と感じるのだ。自分の書いた英語なのだから責任を持て、と言う人もいるだろうが、原稿をコンピュータ画面で見るのと、このような冊子風になったものを見るのとは、少々感じ方が違うのはやむを得ない。

 ステンレスの摩擦係数が小さいから、フランジ角を小さくでき、その結果線路の不整による脱線が起こりにくくなったことを強調した。Big Boyなどのセンティピード・テンダが脱線しやすいのは、これを使えば直ると書いておいたのだが、果たしてどの程度の人が興味を持つのだろう。

 滑走データも付けておいた。最後の写真は非常に多くのことを語ってくれる。これを見てフランジが触っていないということが明白になる。過去にいろんなことを言ってきた人がいるが、これを見せるとたちまち黙ってしまう。それほど雄弁 (eloquent) な写真である。動かぬ証拠である。
 フランジの接触による損失は大きい。先日RP25を付けた車輌が1輌発掘されたので、よく整備して滑走させた。車輪は溶剤スプレイでよく洗い、油気をなくした。線路も溶剤でよく拭き、油気を取った。
 下り坂を滑走させたが、カーヴの途中でキーッという音がして驚いた。フランジの音だ。フランジが擦れてそんな音を立てたのだ。ステンレスの摩擦係数が小さいとは言え、音がするようでは、とんでもない損失を生んでいる。フランジでカーヴを曲がるのは、模型では避けるべき間違いだ。

dda40x at 04:26コメント(0) この記事をクリップ!

2017年01月02日

謹賀新年

rainbow 大変きれいな虹が出た。晴天だったが、風が強く、山の向こうの雲から雨粒が飛んできたのだ。空に掛かる部分が100%見える虹は珍しい。よく見ると左上に二重の虹がある。
 虹が虫偏なのは興味深い。虫は爬虫類の「虫」で、トカゲすなわち「龍」を指す。「工」は橋を架けることである。要するに龍が空を渡って橋のようになることを指すのだ。

 博物館は徐々に完成に近づいている。あと転車台付近と信号機の工事を完成させれば、一応の工事は終わる。四月の開館を目指している。

Lionel 正月は孫と甥の子供たちが来るので、何か用意せねばならない。今年はLionelの線路を敷き、貨物列車1編成を用意した。
 O27という急曲線で、嫌がるかと思ったが、子供たちはよく遊んだ。機関車はライオネルの純正品でない Williams の6軸ディーゼルを走らせた。この機関車は不評であった。ウォームギヤが1条で、押しても動かないからだ。
 子供たちは手で押して走らないものは嫌がる。貨車はピヴォット軸受付きで、実によく転がる。急曲線でもくるくると惰性で廻る。左右は別回転ではない。レイルは洋白製の普通のレイルの形をしていて、いわゆるチューブラ・レイルではない。車輪は円錐面二つで構成された荒っぽい作りだ。曲線では多少は抵抗が増えるが、それほどひどいものではない。フランジが触っていないからだろう。 要するに一点接触に近いのだ。

dda40x at 01:02コメント(1) この記事をクリップ!

2016年02月19日

続々 視察団の来訪 

 レイアウトで117輌を牽引するのを目の当たりに見た時、ある方がぼそっとつぶやいた。
「ブログでいろいろな意見があると書いていたけど、この車輪でなければこれは牽けないよ。論より証拠だ。」 

 後で皆さんにお一人ずつ、坂の頂上で機関車から切り離された列車を手で引張って戴いた。大体5.5 Nの引張力だ。約 550 gをぶら下げたとき、手にかかる力だ。
「おっ、重い。重いけど軽いね。」
 変な表現だが、これを物理学用語に翻訳すると、
「慣性質量は大きいが、摩擦が少ないからゆっくりと加速する分には大きな力は要らない。」
である。坂を引き上げる力は当然必要だが、摩擦が少ないから、損失は少ない。

 下り坂では機関車は貨車に押されて降りていく。どんどん加速するのがわかる。日本の機関車は絶気するが、アメリカの機関車は絶気運転をしない。うんとカットオフを早めてパラパラという音をさせながら下る。バイパス弁がない物が大半だからだ。

 貨車は大半がバネを介して支えられている。たかが貨車と侮ってはいけない。たくさんあるから、ポイントのフログに与える衝撃力の総和は大きい。バネがないと傷みやすい。ポイントはすべて非対称フランジウェイを持つので、かなり落ち込みは少ないが、そうでない場合は顕著にフログが傷む。

 線路面が床から120 cm強あるのは、評判が良い。
「確かにこれは列車を見ている高さだね。これが80 cmだったら高いビルから見下ろすことになるね。」
 高架部分は145 cmあるので、背が足らない人もいるかもしれない。実はそれを狙っている。そこには古いレイルを使っている。そうせざるを得ない状況であったので、目立たない位置に使ったわけだ。

 レイアウトを作ろうとしている方は、架台の構造を調べて、写真を撮って帰られた。 金属製の梁を使うのが流行るかもしれない。

dda40x at 02:19コメント(3) この記事をクリップ!

2016年01月30日

RP25との対比実験

RP25とLow-D もうすべて廃棄したはずのRP25が見つかった。使用済みのは、すべてアメリカの友人が欲しがったので渡してしまい、日本には存在しないと思っていた。
 タンク車を50輌博物館に移籍した。その中に、1輌だけ取替え忘れたものが見つかったのだ。交換するだけでは面白くないから、再度比較実験をしてみた。

 車軸寸法は現行のLow-Dと同じである。外して溶剤でグリスを拭き取り、踏面、フランジをよく清掃した。フランジに汚れが付いていないことを確認する。軸穴も洗って拭き取り、新しいモリブデン・グリスを少量塗って、再組立てする。

 RP25車をエンドレス上の最高地点から自由に滑走させて、到達地点を調べた。手で押すと誤差が生じるから、自分で自然に動き出す位置を選んで印をつけた。実験は12回行い、最大値と最小値を捨て、平均値を求めた。到達地点は15 cmくらいの範囲に収まる。
 次にLow-D車である。先ほどの車輛と全く同じように整備し、自由滑走させた。直線部分の加速は同等であるが、曲線を回る速度が明らかに大きい。到達地点は5.4 m先であった。これもばらつきは15 cm以内である。
 タンク車を走らせる向きは、当然同じにしている。車輪以外、すべて同一の条件である。

 RP25車輪を拡大鏡で覗くと、明らかにフランジが擦っている跡が見える。レイル側面の汚れが付着して、接触面ではそれがこすれている。ここまで来ればもう反論はできまい。
 この実験は公開で行ってもよい。何度でもできる。

・Low-Dはフランジで曲がってはいない。
・フランジが擦ると抵抗が大きい。
・模型と本物は異なる原理で曲がっていることがあっても不思議ではない。


 これでLow-Dに対する誹謗中傷は収まると信じたい。

dda40x at 01:30コメント(4) この記事をクリップ!

2016年01月28日

続 フランジ

 実物の鉄道関係者にはフィレットなんて関係ないと言う人が多い。どうして図を見ないのだろう。実物のフィレットのRは小さい。レイルヘッドの丸みの1割増し程度である。テハチャピ・ループで見ると、車輪の形がレイルに転写されて、完全に一致している。レイルヘッドが多少狭くなっているのだ。塗油器でべとべとで、鉄粉を塗り固めたようになっている。
 それを見れば誰でもフランジで曲がると思う。

 一方、Low-Dでは丸みの比率が2倍はあるだろう。場合によっては数倍にもなるかもしれない。模型の線路は平型のゴム砥石でこする場合が多く、レイルの角は丸くなりにくい。その場合、比率は大きくなる。新品のレイルをスライスして顕微鏡で見たが、0.25から0.3 mmRほどである。
 半径比が大きいと上記リンクのP点まで行っても、当然一点接触である。現実にはそこまでは行かない。これは先回の写真でも明らかである。

 Low-Dの材質はSUS303である。摩擦係数が3/4ほどである。良く滑るから、まずP点まではいかない。試作の段階で0.4 mmで切り落としたものを作り、それでエンドレスを一周させた。全く問題なく走った。その車輪は吉岡氏のところに送ったのだが、戻ってきていない。それを見れば、「カーヴはフランジで曲がる」という実物屋さんも、納得戴けるのだろうが。
 実験がすべてだ。模型と実物は違うのである。

 フランジは推進運転の時の座屈防止には役立っている。あの高さがないと、とても持ちこたえることができない。先日、100輌の推進運転の実験をした。平面では何の問題も無いが、登り勾配の曲線を押し上げるのはむずかしい。微速後進で数メートル進んだのだが、2輌が同時に脱線した。

 来週は2輌の機関車で前牽き後押しをやってみる。DCCならではのゲームだ。半分くらいを押し上げるのなら、行けると思う。
 

dda40x at 01:28コメント(2) この記事をクリップ!

2016年01月26日

フランジ

 修正したフログの部分のバックゲージ(back to back) が当たる部分を正確に28.45mmにした。これは意図的な操作である。Low-Dは29.0mm、機関車はすべて28.5mmに統一してあるので問題ない。とは言っても中にはハズレもあるだろうから、それをあぶり出すための方策である。

 108輌の長い貨物をゆっくり走らせて、そのフログの部分で観察する。どの車輛も静かに通過する。すべて合格だと思った瞬間、SPのカブースの台車がゴンと持ちあがった。そのカブースは韓国製で、車輪を替えてなかった。25年前から走っていたが、台車をばらすのが面倒で、そのまま使っていたのだ。
 車輪を見ると、踏面のめっきは半分剥がれて浮き上がり、フランジがかなり擦れている。彼らがRP25であると言っている怪しいフランジだ。バックゲージは28.32から28.42程度のばらつきだった。ホンの僅かだが、狭いので乗り上がる。
 早速外して、Low-Dのジャーナルにモリブデン・グリスを塗って嵌め替えた。もちろんこれで、なんの問題もなく走るようになった。(家に帰って、他のカブースも点検したところ、狭いのがもう1輌見つかった。カブースに対する注意力がなかったことが明らかになって、反省した。)

RP25 worn out 外した車輪を見て驚いた。フランジ全周が擦れている。二点接触の証拠もある。 なんという間抜けな設計だ。フランジでカーヴを曲がるという説もあるようだが、これはひどい。メッキが残っているということは、摩耗してこうなったというわけでもなさそうだ。 コンタ(形)が間違っている。今まで何も考えずに自宅のレイアウトを何千周もさせてきたのだ。たまたまフログのバックゲージがかろうじて通るほどの広さだったのだろう。フランジの背面には、ガイドレイルに当たることがあったので擦過痕が見える。

Low-D 15 years old 別の車輛を整備するために、Low-Dの汚れを拭いた。仙台に送って、カメラを搭載する専用車を作って戴くのだ。この車輪は裏を削って軽量化してあるから、5年前に作ったものだ。手で廻して塗装してある。毎日1時間ほど走っていたが、ほとんど磨り減っていない。フランジには何の跡もないと言ってよい。フィレット部の立ち上がりまでには多少の摩擦痕が認められる。裏にも接触痕は見当たらない。
 この車輪は一点接触しかしていないことは証明された。

 フランジが擦るような車輪は損失が大きいから避けるべきだ
。筆者は、これを言い続けている。しかし驚いたことに、「二点接触は問題ではない。」という反論があるそうだ。ライオネルだってそうなっているが誰も問題にしない、ということらしいが、論点が違う。条件が全く異なるものを比較出来ない。
 百歩譲って、ライオネルが効率を考えているのなら、それもありかもしれない。しかしライオネルは単なるおもちゃで、効率という概念はこれっぽっちもない。ガラガラ、ギャーギャーという音を立てて走る。音がするということはそれだけでアウトだ。ライオネルの付随車の車輪は左右が別回転するものもあるが、そちらの方は考察されていないようだ。

 博物館にお手伝いに来られた方は、どなたも走行の静かさに感動される。長い貨物列車が音もなく走るのだ。転動面の滑らかさが大きく貢献している。このカブースを最後に、めっきした車輪は一つもなくなった。めっきされたものは明らかに平滑性が劣るから、転動音がする。 

dda40x at 01:26コメント(2) この記事をクリップ!

2016年01月04日

摩擦を減らす

 例の動画を見た友人からの連絡が多い。 単純に褒めてくれる人と、何かあると疑っている人が半々だ。何もない。英語で言うと、"Nothing in the sleeve(袖の中には何もないよ)."だ。これは手品師が言う常套句である。
 ステンレス車輪で、フィレット半径を大きくしてある。フランジの円錐面は決してどこにも触らない。 単純な話なのだが、フランジでカーヴを曲がると信じていて、お分かり戴けない人がいる。筆者はLow-D車輪のフランジ円錐面から先をすべて無くして走らせたことがある。何の問題もなく、半径2800 mmの線路を周回させることができる。実験がすべてだ。これについて異論がある方は、ご自分で実験されて報告されたい。「いや、こうなるはずだ」というご意見は、正直なところ迷惑である。模型には模型の理屈があるのだ。

 外国からの連絡は、ボールベアリングが使ってあるのだろう、というのが多い。ちゃんとピヴォット軸受だと書いてあるのに、である。 現物を持っていて、こちらの指示通りにモリブデン・グリスを付けている人は、「すごいね」の一言で終わりだ。「うちのは線路が良くないからこんないい音はしないよ。」というのもある。良い耳を持っている人だ。確かに、博物館の線路はナイロンタワシで磨いてある。走らせてもほとんど転動音がしない。それと大きなファクタは、エラストマの貼り付けである。接着剤をあまりたくさんつけないで、かろうじて留まっている程度にする。flex trackを留めるのは釘を用いるが、枕木を貫通する部分の穴は大き目にしておく。軽く留まっているようにするのが骨(コツ)である。こうするととても静かだ。コルク枕木を信じている人はまだ多い。無いよりはマシという程度で、効果があるとはとても言えない。

 機関車の回転部にはボールベアリングを入れる。高回転、重荷重のところには不可欠だ。スラストは専用のスラスト・ベアリングを入れるとギヤボックスの設計が楽になる。ラジアルベアリングでスラストを受けるときは、アウタ・レースが広がらないようにハウジングの剛性を高め、はめ合い誤差を小さくせねばならないから、素人には難しい。モータ軸にフライホイールを付けた機関車を押すと、はじめは押しにくいが、手を放すとそのまま、しばらく走るのが面白い。

 ところが最近戴いた手紙によると、

(HO以下の場合であるが)最近良く見聞きする、機関車そのものの摺動抵抗をそのままにトルクの強いモータに換装して良く走るようになった、模型も進歩したもんだというお話には賛同しかねています。実際のところ、かつての乗工社のキャラメルモーターPU(パワーユニット)でも良く調整して指で押して動輪が回るくらいにすれば、オリジナルのキャラメルモーターでも充分スローが効いた安定した走行はできます。

とのことだ。機関車の構造を改良せず、硬いグリスをつけてそれを強力モータで回すと、いずれモータは焼ける。より高性能の減速機ユニットの開発が待たれる。
  

dda40x at 01:04コメント(0) この記事をクリップ!

2015年12月13日

Low-D wheelset の効果

 先回の動画を、別の角度で写したものがある。三脚にカメラを付けて写したのだが、少々パンする速度にムラがあり、見苦しいところはご容赦を願いたい。
 レイアウトの全貌がお分かり戴けるだろう。今、配線作業に掛かりきりだ。たまにショ−トするので、そのたびに大騒動だ。経験上、ポイントの隙間に何らかの導体が嵌まり込んで起きるのが普通だ。撚り線の一本が落ちていたりする。丹念に掃除機で吸いながら、隙間を刷毛で掃除する。今回もダブルスリップがショートしていることがわかり、何人かで見たが、原因がわからなかった。2時間くらい努力して、ようやく解決した。原因不明であった。こういう時は、荒っぽいがショートさせるという方法がある。
 大電流を流すと、その部分が融けたり、燃えたりして解決する。鉛蓄電池(内部抵抗が小さい)をつないで、スイッチ代わりの金属棒を一瞬接触させると、バチッと音がして、赤熱したものが飛び上がる。一瞬で解決だが、火事に気を付けねばならない。霧吹きで水を吹いておく。

 現場にやってきた友人にこの滑走を見せると、みな感動する。車体を裏返して、動力が付いていないことを確認する人もいる。模型としてあり得ない滑らかさであるからだ。台車はAthearnのデルリン台車で、sprungである。だから、ポイントを通過してもほとんど揺れない。これがイコライジングだけだと、高速では多少飛び跳ねて、脱線するかもしれない。

 実物の1/48の滑走距離なのだが、かなりインパクトがある。フランジが全く触っていないところには、みな驚く。この車輌も長年走っているが、フランジには多少の汚れが付いている。要するに接触したことがないわけだ。全てフィレットの範囲で解決し、フランジは走行時には機能していない
 摩擦係数の小さな材料であるステンレスを使用した効果がはっきりと出ている。実物の理論は全く通用しない。 

dda40x at 12:13コメント(0) この記事をクリップ!

2015年12月11日

線路を敷く

 しばらく博物館のことに触れなかったが、着実に工事は進んでいる。

 現在は本線の電気配線をしている。友人たちが手伝いをしてくれるのは、本当にありがたい。一人で作業するのに比べて3倍以上の速さで仕事が進む。勾配線が完成したので、貨車を置いてみたら、40 m近く滑走した。勾配の上の平坦線が本当に平坦であるかは重要な問題で、この貨車が転がって行かないことを確かめねばならない。

 Youtubeに動画をアップロードしたのでご覧戴きたい。この撮影は先週行った。現在は複線がほとんど完成している。始めは平坦線なので少し押してやる。右手に黄色の家が見えてきた辺りから、下り勾配である。そこからぐんぐん加速して、最高160 km/hほど出ている。ポイントを渡る手前から平坦線である。

work car 工事に当たっては、必要な道具をひとまとめにして、作業が終われば2 mほど移動する。工具を箱に入れて動かしていたが、T氏が、「貨車に積もう。ワークトレインにしよう。」と言い始めた。なるほどと思った。しかし、
「斜面では滑って行ってしまうから、車止めを置かねばならず面倒だ。」と言うと、
「性能の悪い台車を使えば良い。」と言う。それはそうだ。
 古い台車を持ってきて、箱の下に付けた。油も切れているので、ブレーキがかかった状態だ。押せば動くが斜面でも安定している。思えば、昔はこんな車輛しかなかったのだ。10輌牽いても機関車がスリップした。現在の車輛は斜面には止まれない。


 一つまずいことが起こった。地盤沈下である。鉄骨の台のオウヴァ・ハングの大きいところに、二人が立ってしまったのだ。さすがに150 kg近く載るとまずい。アングルが微妙に曲がったらしく、5 mmほど下がったところがある。たまたま梁を継ぎ足して飛び出し量を200 mmほど増やした場所であって、要注意箇所であった。
 来週はそこの修理をする。自動車用の油圧ジャッキで持ち上げておいて、ブレイスを熔接する。おそらくそれで解決だ。
 その地盤沈下に気が付いたのも、この貨車のおかげだ。いつもそこで止まってしまうからだ。低抵抗車輪付き車輛は十分に水準器として機能する。 

dda40x at 12:11コメント(2) この記事をクリップ!

2015年09月22日

Bob を訪ねて

 Bob はLow-D車輪を愛用してくれている。数十輌の貨車、客車に付け、運転しているのだ。

 Bobは、もう退職しているが、写真学の教授であった。サン・フランシスコの東岸の閑静な住宅街に住んでいる。たびたびお招きに与っていたのだが、 チャンスがなかった。今回の訪米の話をすると、「ぜひ寄ってくれ。泊まって行け。」と連絡があった。
 Bobは、アメリカ人にしては長い列車を運転している。50輌以上ないと面白くないと言う。

汽車が来る。初めは遠くに見える。だんだん近くなって機関車が通り過ぎる。機関車は大きい。そして列車は通り過ぎる。振り返るとだんだん小さくなって見えなくなる。これがやりたい。」
 芸術家である。それには長い直線が必要だ。

Low-Dwork shop storage 訪問しても、どこにレイアウト・ルームがあるのかわからなかった。この辺りは海岸なので、地下室は無い。
 工作スペイスを見せてくれた。車庫の片隅にある。車輪を台車にはめるために、tunerで加工している。どれも慎重な工作で、素晴らしい転がりだ。

 「裏庭に行こう」と言うので外に出た。すると、そこにレイアウトがあった。


 

dda40x at 09:22コメント(0) この記事をクリップ!

2015年05月28日

truck tuner

 Low-Dはかなり売れていったが、いくつかの御不満も戴いている。それはピヴォット軸が短い場合があると云うものだ。

 本来はAthearn用として開発されたのだが、他の台車(Weaver など)の中では踊ってしまうとのことである。解決法としては、長短二種を作ることだが、それは避けたい。最小ロットを考えると、発注数を引き上げねばならないからだ。すでにAthearnの台車は少数派で、手に入りにくい。それなら長い方を作って、Athearnの台車の軸穴を深くするのが楽である。

 その目的の工具はtruck tunerと云って市販されているが、アメリカから取り寄せるのは最近はあまりにも高くて避けたい。その工具の刃は1本で、喰い込みを小さくするような作りである。深くするのはできないと云う意見もあるが、そうでもない。ただ、深くするのには多少時間がかかるのは事実である。気が短い人には具合がよくない。

truck tuner ホームセンタでガラス用ドリルと云うものを見つけた。新潟精機の製品だ。700円台であった。 3、4、5、6・・・最大12 mm が市販されている。これには超硬の刃が4枚ついているから、穴を深くするのは簡単である。
 指で回す部分を旋盤で作り、軸にロレットを掛けて、押込む。接着剤は使わない。これは祖父江氏に学んだ方法だ。

 穴を1 mm程度深くするのは簡単である。左右均等に彫込み、モリブデングリスをほんの少しつけて車輪を嵌めれば完成だ。

 アメリカの客が欲しがったので、作って送った。
「あなたの知恵(wisdom)には感服する。」と書いてきた。大した工夫でもないが、作るのが簡単で効果が大きい。

 

dda40x at 05:28コメント(0) この記事をクリップ!

2015年05月16日

歯車、車輪についての問い合わせ

 最近、昔の記事を読まれて車輪や歯車を希望される方が増えてきた。とても嬉しいことではあるが、すべての部品をストックしているわけではない。設計変更で新しい規格へと変化したものもあるし、用途に応じて、頒布させて戴いている。

 最近作のLow-Dは素晴らしい造形である。裏面も実物風に削り、精度が一段と良くなっている。おそらく機械が更新されたのであろう。走行音が一段と良くなった。
 軸の長さを微妙に長くした。各社の規格のうち、一番長いものを基準にしたのだ。その代わり、台車の軸受けを少し彫り込む必要が出てくる。その作業をする tuner を作って頒布している。これは別項で紹介する予定だ。以前のタイプは高価であるし、アメリカから取り寄せるのも面倒だ。

 tuner は穴を深くすることができる。市販の物も同様だ。できないという記述をどこかで見たことがあるが、否定の証明は難しい。やってみればわかるが、深くできる。今回作成の物はその彫り込む能力を大きくした。アメリカに何本か出て行ったが、大変評判が良い。

 歯車は、難しい問題に直面している。昔頼んだ工場が廃業してしまったのだ。蒸気機関車用には小さいが、ディーゼル用は売るほどある。これはHOにも使える大きさである。

 先日3条ウォームを欲しい方がいらしたので、スラストベアリングを含めてお売りした。すぐに「動かない」と文句を言ってきた。案の上、有鉄心モータを付けていた。
「それは無理ですよ。」
「あっ、そうか。すまん。」で済んだが、このコッギング(米口語ではteething)の件は、あちこちで同様のことが起きている。コアレスでないと意味がないのだが、なかなか難しいようだ。

 さてこのteething と云う言葉であるが、辞書に載っていないという指摘を受けている。辞書に載っていないから怪しいというのは短絡的な発想で、メディア・リテラシィ(新聞、放送などの情報を受けて、正しく理解する力)に問題があるかもしれない 。
 この言葉は正しい。

 10年ほど前カリフォルニアで、この件について講演をした。その時、coggingと云う言葉を使ったら、ほとんどの人が不思議そうな顔をする。近くの人が小声で、「teethingだよ」と言うので、言い直したら皆が納得した顔つきになった。
 コッギングは書き言葉らしい。これが気になっていたので、次のシカゴではわざと、「書物には使ってあるが、あまり通用しないらしいコッギング」と言ったら、全員が爆笑した。
「その通り!」との声があった。
 ニューヨークの会合でも確かめたが、teethingが何の問題もなく通用した。

 言葉は生きている。辞書に載るまでにかなりの時間がかかりそうだ。使われて通用している言葉であるから、辞書に載っていなくても正しいのだ。
  現地で集めた情報を書くと、それをいろいろな方法で検索して関連情報を集める人がいる。どういうわけか、「この情報はおかしい。調べたけどどんな本にも載っていない。ウェブ上でも調べたが載っていない。」と言って来るのだが、ことごとく外れている。足で稼いだ情報には多少なりとも敬意を払ってほしい。こちらも英語は不自由しないので、それ程ひどい間違いはないはずだ。

dda40x at 05:16コメント(4) この記事をクリップ!

2015年03月13日

Clinic

 今年のクリニックは2コマ用意するからと言われていたのだが、講演希望者が多かったらしく、「1コマでやってくれ。」ということになった。二つの内容を1時間でやるのだから、中途半端ではある。
 どういうわけか、前評判が高く、何人かがテーブルに来て、「今日の話は一昨年と同じか、進歩があるか。」と聞く。
「もちろん進歩はあるよ。」と言うと、来てくれた。
 人数は10人ほどであったが、皆熱心だ。
 Low-D車輪は、会場ではサンプルとして何個か売れただけであったが、そのあとで電話があって、100個単位で売れて行った。後で連絡を貰うと、「友達に自慢している。」とか、「Oゲージの未来を切り開いてくれた。」という賛辞が寄せられた。
 例の80両以上牽く動画と、押してやると一巡り半する動画を皆喜んで見ている。潜在的には、皆長い列車を牽きたい気持ちがあるのだ。それと、たまたま今は円安で、買いやすいことも大きい。

等角逆捻り機構試験線路 そのあとで、等角逆捻り機構 のサンプルは、パンタグラフ式だけ持って行った。これは理論的に、全く突っ込まれる心配がないからだ。ロンビックは2軸車だと面白いのだが、アメリカには二軸車はほとんどない。


SATR Mechanism and Alf Modine 今回はぐにゃぐにゃの線路を作って持っていた。これが大人気で、テーブルの上に置いておくと、友達を連れてきてゴロゴロと転がす。シカゴでは見せたが、カリフォルニアには初めて持っていったのだ。
 皆、引込み線のぐにゃぐにゃ線路を見た記憶があるので、レイアウトの片隅でやりたいのだ。

 これを作ってくれという申し出もあったが、同じ貨車を用意するのが面倒で、断った。この貨車は、Athearnのブラス製外皮だけを使って作った。製品では、木製箱組みにブラスを貼るのだが、これは骨をブラスで作って、それに貼りつけた。正直なところ、スクラッチビルトに近い。ブラス製既製品は床を外しても妙な所に骨があって、ヤジロべエが入りにくい。骨を切ると、それを補強せねばならず、めんどうだ。



dda40x at 03:13コメント(0) この記事をクリップ!

2014年08月10日

続々 吉岡精一氏の死去

 Low-D車輪の開発も、吉岡氏の助言に負うところが大きい。
 当初、出来の悪いプラスティック製のRP25車輪をステンレス製に置き換えようということになって、筆者が図面を描き、旋盤屋に1000軸ほど発注した。それを見本として送ったところ、逆鱗に触れた。
 
 「RP25が正しいと思っていたら、それは大間違いだよ。正しい知識を身につけるまで、車輪の発注をするべきでない。」
 それ以降、ナダルの式の勉強をさせられ、MRの記事の間違いを教えられた。フランジ角を何度にするか決めるのに半年ほどかかった。摩擦係数の小さい材料を用いた車輪は模型では有利であることも、その時認識できた。
 フランジウェイの寸法や、チェックゲージの決定に、さらに半年くらい掛かった。その間に来た手紙が、たちまち10 cmほども溜まった。当時、返事を書く暇がないほど忙しかったので、電話で返答した。
 手紙でないと叱られるかと思ったら、逆に褒められ、「君は偉いよ。全ての手紙を読んで、必要な返答を寄こしている。電話も掛けて来ない奴が大半なんだから…」
「先例に捉われず、全てを洗い直し、最高のものを作る」ということを繰り返し言われて、かなりの重圧であった。 図面はこの間に20回ほど往復した。

 そして、ついにLow-D車輪発注の承認が得られて、工場に注文した。図面は全てに吉岡氏の手が入っていて、それを見た工場の人が言った。
「こんな図面は初めて見ました。全ての点に座標が入っています。これを手で計算するのは大変だったでしょうね。おかげで入力は楽ですよ。」

 その後、CNC旋盤の入力の仕方が分かり、簡略化した図面になった。
 Low-Dの性能を測定するのは難航し、たくさんつないだ状態でカーヴを通し、その抵抗の変化を測定した。それはかなり大雑把な実験であったが、吉岡氏は大変満足そうであった。
 「車輪の抵抗なんてのは、1輌では分からないし、分かる必要もないんだ。たくさんつないでどうなったかが大事なんだよ。」

 その後のLow-D車輪の売れ行きにはいつも目を配って戴き、3万軸を越えたという報告をすると、大変御満足そうであった。Low-Dの設計をご自分でされる代わりに、筆者に設計をさせ、それを監修されたことになる。きっと御自身でされた方が早く出来たはずだと思うが、「良いチャンスだからこいつに勉強させてやろう」というお気持ちがあったのだろう。

 氏は筆者のことを管理型模型人と名付けられたが、吉岡氏はどの様な分類になるのであろうか。
 多分、監督型模型人というのが適当ではないかと思う。

dda40x at 08:10コメント(2) この記事をクリップ!

2014年02月03日

Low-D wheel contour 総括

 筆者は、色々な分野の専門家と共同して仕事をすることがよくあった。専門家の皆さんは非常に的確な推論を出して問題を解決する場合が多かったが、たまに完全に外れる場合があった。
 それを筆者なりに分析すると次のようになる。

推論





 未知の事象が過去の経路からそれほど大きく外れていないときには、専門家の皆さんの推論はたいてい当たっている。しかし、未知の事象は必ずしも微分可能な関数の上に載っているわけではない。急な曲がり方をしているかもしれないし、完全に折れているかもしれない。あるいは連続性がないのかもしれない。
 工学は演繹的な推論と帰納的な推論を組み合わせて出来ている。前者は連続的な関数の時には非常に大きな効果を与えるであろう。またその結果が今まで全て当たっていると、その演繹性がこれからも全て正しいはずという帰納的な推論をもたらす。ここに大きな落とし穴がある。

 条件設定が変わると、「今までどの変数がどの範囲で正しい結果をもたらしたのか?」という検証が必要になるのだが、専門家の皆さんは、過去の成功体験から逃れられない場合が多い。
 筆者は成功体験などないので、物理の基本原理だけから考えることしかできない。
 いわゆる公式というものも、元の関数だけから調べれば、近似の結果であることが大半だ。近似という操作をするときも、近似できる範囲は条件によって大きく変化する。

 自然科学は観察の学問である。何が起きているかは机の上では解決しない。実際に模型を作って、多数の例を観察して結果を出すべきである。都合のよい例だけを分析すると間違える。

 この連載記事が始まった途端、「個人攻撃を始めたのですか?」というご意見も戴いたが、そうではない。もっともっと客観的な話である。全てを本物の理論で解決することが出来ないことを伝えたいのである。Proto48や、本物縮小主義に対しての筆者の意見表明である。

 先日も「旧型EF電気機関車を本物通りに作った。」というのを見せてもらったが、車体の剛性が大き過ぎて、線路のひねりに追随できない。本物の車体は細い梯子フレイムにへなへなの箱車体が載っているだけであるから、簡単にひねられる。台車と台車は牽引力を伝えるように結び付けられていて、車体には牽引力は伝わらない。そのあたりがあやふやで、非常に残念であった。

dda40x at 02:03コメント(0) この記事をクリップ!

2014年02月01日

Centipede Tender

 Big Boy、 Challenger、 Mighty 800についているテンダは、いわゆるセンティピード・テンダである。4-10-0の車軸配置で、後5軸の軸は固定であるが、バネは効いている。
 このテンダをつけた機関車を後退させるのは、難しい点がある。最後軸が極めて脱線し易いのである。ウェイトを余分に積んだり、左右動を効かせてみたり、出来る工夫は全てした。しかし後退時にポイントで脱線し易かった。だから、後退でなるべくポイントを通らずに機関区に行けるように、線路配置を工夫したこともある。

 Low-Dが開発されて、33 in.(17.5mm)、36 in.(19.0mm)の車輪が行き渡ったころに40 in.(21mm)の車輪を作った。大半はディーゼル電気機関車の非動軸用のものであった。当初は機関車を全て動力化する予定であったが、Low-Dの実用化で、機関車1台で100輌以上の貨車が牽き出せることが分かった。勾配があっても50輌は牽けるので、動力車の数が半減してしまい、かなりの機関車がダミィとなったからである。
 余分の21mm車輪をセンティピード・テンダに取り付けたところ、後退時の脱線が皆無になった。今までの苦労がウソの様に、脱線しなくなった。

 比較してみると、同じ軸重でも、フランジがポイントの尖端軌条に辷り上がらないのである。明らかに摩擦係数が小さいことが寄与している。軸が左右に振れるようにもしていないのだが、すんなりと転向する。1kg以上ある重いテンダーだが、ボールベアリングのおかげで非常に軽く動く。
   
 芦屋の御大もBig Boyのテンダが脱線することで悩んでいた。
「考えられることは全てやりましたよ。でも脱線するのです。バックさせないようにしてます。」
と仰ったことを覚えている。

 やはり摩擦係数が小さいことは、非常に大きなファクタであることは間違いない。模型と本物は違うのである

dda40x at 02:01コメント(0) この記事をクリップ!

2014年01月30日

推進運転

 長い列車を推進運転するのは勇気が要る。脱線したときの被害は甚大だ。特に高架線では転覆して落下すると修復不能な被害を被る可能性がある。
 友人が来るとたまに80輌列車の推進運転をして見せる。心配する人は多いが、急加速しないようにすれば、うまくいく。列車の編成時に、重い車輌を機関車に近い位置に置くのは当然必要なことである。

 全体がLow-Dで摩擦が少ないので、推進時に掛かる力も少ない。緩やかな加速であれば、物理の法則通り、必要な力が少ないから、脱線の心配はない。以前はピヴォットでない車輌が存在したので、転がり抵抗が大きく困難であった。

 ポイントを渡っての入れ替え作業は楽しい。トングレイルの浮きさえ気をつけていれば、まず脱線はありえない。側線の平坦度は大事なことである。下手をすると流れてしまい、接触限界標を越えれば即事故である。

 アメリカでは、そこを突っ込んで来る。「側線に停めて置くことができないような車輌は役に立たない。」
レイアウトに見に行くと、車軸に油が注してないので、キーキーと音を立てる。「油を注すと動いてしまうから、入れ替えが楽しめない。」と言うのだ。
 何か間違っているのだが、直そうとしないから、話しても無駄だ。以前KadeeのNゲージ用のカブース台車には軸端にコイルスプリングが入っていることを知った。軽くブレーキを掛けておいてDU ディレイド・アンカプリングを成功させるためと聞いた。一つのアイデアではあるが、筆者にはなじめない話である。要するにKadeeのNゲージ車輌は、類まれなる転がりを示すという自信の表れと解釈した。

 伊藤英男氏のところで車輪を見せて戴いて驚いた。Low-Dに似た、大半径のフィレットを持っている。その理由を聞くと、「こうすると曲線での抵抗が減るのです。実験もしてみました。」と仰る。Low-Dを作ってしばらくしての訪問時であったので、時間的には伊藤氏の方が多少早かったのかもしれない。一緒に訪問した吉岡精一氏も非常に驚いたが、同じ実験結果を得たということで、納得した。 

dda40x at 01:30コメント(2) この記事をクリップ!

2014年01月28日

低摩擦、高効率の鉄道模型を追求する

 このブログの副題である。趣味の方向性を宣言しているのであるが、はたしてどの程度の方が、その意義を汲み取っていらっしゃるのだろうか。つまみ食いは感心しない。全てを改善しないとよい走りは実現できない。
「適当に走ればよし」という時代は高校生の時に卒業して、そのあとはひたすら高効率の実現に邁進した。手に入るものは何でも使ってみたが、最終的に3条ウォーム + コアレスモータに落ち着いた。 
 スパーギヤはより高効率だが、使いにくいし、密閉ギヤボックスを作るのが大変だった。3条で逆駆動は完璧にできる。横浜の博物館には、「ウォームギヤは逆駆動出来ない」と書いてあるそうだ。ウソはいけない。

 1987年からは吉岡精一氏の指導のもと、RP25の研究を始めた。当初はそれでうまくいくものと思っていたのだが、走らせると不具合が見つかった。NC旋盤屋を見つけて、なだめすかして仕事をさせた。当時は景気が良かったので、なかなか仕事を引き受けなかった。 

 ボールベアリングの導入もそのころである。いったい何個買ったのだろう。トータルで数万個買ったのではないかと思う。国内外に原価であっせんした。しかし、貨車はピヴォットに限るということがわかった。

 Low-Dは一発で成功したので、その後3万軸以上作った。とにかく数を作って、原価でばらまき、国内の市場を席巻してデファクト・スタンダードにすることに専心した。利益はないが、皆さんの車輌の性能向上に役立った。
 持っていたRP25は、「あまりたくさん走らせない」とおっしゃる方に差し上げた。アメリカの友人で、性能向上に興味がない人に渡したのだ。10輌しか牽かない人達には、それで十分だからだ。
 そういうわけでRP25はもう手元にないので、さらなる比較実験が出来なくなった。

 やはり、「80輌編成をやりたい。」という人はたまに居て、大量に買ってくれる。評判は上々だ。最近は円安なので多少安くなって、買いやすいようだ。送料、関税を節約するために、アメリカまで持っていって、送ってやる。

 Low-Dの3D PDFをご覧戴けるようになった。直線を走っている時と、押し付けられてフィレットの最下端に来た時を比較することが出来る。 そこまで来ると、脱線抗力の最大値に達したわけだから、そのまま辷り上がって脱線するはずである。全軸sprung, equalizedであるから、そういうことはまずない。
 スケールスピードで時速100マイルでも、全く脱線しないし、80輌の推進運転でも、幾つものポイントをくねくねと渡れる。

dda40x at 01:28コメント(0) この記事をクリップ!

2014年01月26日

フィレット

jpg 曲線上で2軸台車をつけた観察用の車輌を転がすと、台車は曲線の接線より外を向こうとする。すなわち、第1軸の外側フランジがレイルヘッドに当たろうとする。
 第2軸は内側に入ろうとするが、半径2800 mmの上で観察すると、ちょうど中央付近である。1800 mmではやや内側に寄るように見える。

 さてこの時、第1軸の実際にレイルヘッドに触れている部分(フィレットの裾に乗り上がった部分)の半径を計算すると、行路差を十二分にキャンセルするほどの半径比になる。第2軸では踏面勾配が小さいので左右に寄ってもあまり影響を与えず、行路差がほとんどそのまま出る。すなわち、Low-D車輪を装備すれば、2軸台車では行路差に基づく損失の半分近くは、取り戻せる可能性がある。
 上記の計算では、19mm車輪より17.5mm車輪の方が、フランジの裾を踏んだ時の行路差キャンセルの効き目が大きいことになるだろう。何度も書くが、この時、フランジの円錐台面はレイルヘッドと接触していないすなわち見掛け上、フランジは輪軸の転向に寄与していない。大きいフィレットがフランジの代わりとして機能し、車輪半径を大きくして摩擦を減らすように働いている。また、フィレットの肩が輪軸を転向させている。
 車軸は曲線の接線に垂直ではないので、多少は回転方向に対し斜めに滑りながら動くことになる。その時もステンレスの摩擦係数が小さいことが有利に働く。

 このあたりの接触状況は、3D設計の専門家にシミュレイションをお願いして、色々な角度から覗いて見た。当然のことながら、フィレットを大きくすると、線路半径を小さくしてもフランジに当たりにくくなることが分った。
 市販の模型の車輪の精度は低い。マイクロメータで測ってみると、直径が  3/100 mm 程度のばらつきならば極めて優秀で、ひどいものは 0.5 mmも違うのがある。車輪踏面にはテーパが付いているので、転がせば多少片方に寄って走ることになる。そうすると、 場合によっては、2軸台車の車軸が進行方向に垂直にならずに、斜めになって走ることもある。こうなると、当然、摩擦損失が生まれ、抵抗が増す。Low-Dは1/100 mm以下のばらつきである。
 精度の高い車輪は、装着するだけで抵抗が小さくなるのである。

 筆者はLow-D採用時に、あまりにも摩擦が減少したので驚いたことを、覚えている。それは、ステンレス製RP25車輪をつけた列車が、当鉄道のエンドレスを一周繋いで(95輌)走るのは限界ギリギリであったのに、Low-Dにすべて取り換えたら、途端にらくらく牽けて、電流が70%になったことである。潤滑条件は同一であった。模型を実際に作って測定している人が得たデータは尊重すべきであろう。
 反論するには、独立した実験をしてその結果を示すのが自然科学の常識である。

 このような問題を解決するには、多次元の解析をしなければならない。この条件で、どのファクタが一番大きく効いているかを、調べるのだ。今回の条件での実験観察でわかったことは、摩擦係数が小さいことが一番効き目があったということである。 これでは実物とは全く異なる理屈によると言わざるを得ないであろう。 

dda40x at 01:26コメント(5) この記事をクリップ!

2014年01月24日

続 フランジ

 フランジが摩耗した車輪で手を切った方は少ないであろう。”ピザ・カッタ”と揶揄する人もいたが、本当に切れる。
 筆者には経験がある。昭和30年代の3線式Oゲージで、EB電気機関車の動輪が摩耗したのだ。軟らかいブラス鋳物を挽いた動輪と、ブリキ線路とが擦れるわけだから、当然のことながらブラスが負けるのである。擦り切れるまで走らせたわけで、動輪を嵌め替えて、さらに走らせた。
 ライオネルは極端に固い焼結合金(sinteredという)の車輪だから、レイルには負けない。すなわち、手を切る心配はない。

 フランジでカーヴを曲がるということに異存はない。それは当然である。レイルヘッドの食い違いを乗り越えることにフランジ角が効いていることは、筆者も小学生のころから気が付いている。 フランジが擦り減った車輪は脱線しやすく、新品の車輪は多少フランジ角が小さいので脱線しにくかったのである。フランジ角を小さくしようと、減った車輪を父親の電気ドリルに銜えてヤスリを当てた。いわゆるドリルレースなのだが、あっという間にフランジが丸坊主になって泣きべそをかいた。

 フィレットがレイルヘッドの食い違いを乗り越えるというMR, TMSの説明が明確な間違いであることは1987年に吉岡精一氏から知らされた。彼は国鉄の研究所の友人から教えられたそうだ。ナダルの式もその時知った。その結論は当然であるが、このような数式を生み出した能力には畏敬の念を覚えた。

 フランジ角は脱線抗力を決める。直角では最大値になるが、別の原因で直ちに脱線する。ここでも摩擦係数が絡んでくる。摩擦係数が小さい材料を使えば、フランジ角が小さくても良いのである。
 フィレットは何のためにあるかということは、実物の専門家が解説されているが、その概略は、圧力が一点に集中して金属組織が破壊されるのを防ぐためである。実物と模型は同じ理屈によると、力説されているが、圧力が異なるので、理屈は正しいが応用する必要は全くない。ステンレスの摩擦は小さいので、フランジ角に到達する前にフィレットを滑り落ちる
 すなわち、模型ではフィレットの効用が別にあるわけだ。先回のLow-Dの写真でフランジにほとんど擦過痕がないのは、この結果である。

 昨年から、フィレットについてかまびすしい論議があった。どうして反論しないのかという問い合わせは多くの方から戴いていた。専門家だという方の論理展開は全て同じで、「素人は知らないだろうが…」という書き方になっている。素人も観察くらいは出来る。模型の走行を時間を掛けて観察するべきである。観察に時間を掛けないと、理論に振り回されてしまう。
 不思議なことに、専門家が「こうだ」と言うと、「私もそう思っていました」という意見が出てくる。ものを言う前に観察しよう。
 Low-D車輪をカーブ上で乗り上げるように押しても、フランジの円錐台面に当たる前にずり落ちるのが観察できる。撮影は非常に困難であるが、望遠鏡で覗くとよく分かる。半径の大きなフィレットはよく働いている
 模型と実物は大いに異なるのである。フランジが接触しなくなるだけでも、曲線抵抗はかなり小さくなることを、だれも否定することはできないだろう。

 実物の技術者は、鋼と鋼の接触を考えているが、模型には異なる材料が使われている。当然のことながら圧力が異なり、曲率も異なる。さらに速度も異なる。フランジ塗油器もないし、散水装置もない。 フィレットが大きいと走行が安定しないそうだが、模型には誰も乗っていないから乗り心地は考慮する必要はないだろう。

 観察はまだまだ続く。

dda40x at 01:24コメント(2) この記事をクリップ!

2014年01月22日

フランジ

RP25 使い古した写真だがRP25である。
 これは♯110のコンタを拡大したものを作った。明らかにフランジ形状のまずいところが露呈している。
 模型の線路半径ではフランジの変曲点付近が当たるのだ。これさえなければ、筆者はRP25でも良いと思っている。

 この写真は雄弁だ。筆者の記事がModel Railroaderに載ったときに、写真が無かったので記事を読んでケチをつけてきたのが、複数いた。図面を送ってやったのだが、収まらない。
「フランジの抵抗なんて、車輪の行路差分の摩擦に比べて無視できる。」
「俺は専門家だ。」
などと色々言ってきたが、この写真を見せた途端に、誰からも文句が無くなった。明らかに二点接触であり、余分な損失を生みだしていることは否定できなかったのだ。

 
Low-D これはLow-Dである。初めはLo-Dとしていたが、どこぞのオーディオの会社に文句を言われる可能性があるという忠告を受け、一文字足した。あまりにも分野が異なるので、大丈夫だろうということだったが、法律の専門家の助言を受け容れた。
 フランジが円錐台の斜面であるから、逃げが大きく、レイルヘッドに当たることがない。この写真を撮った時点で10年以上毎日走らせているが、フランジが働いている形跡がほとんど見られない。
 
 レイルヘッドの食い違いでは働いてもらわなければならないが、整備の良い線路では、出番が無かったようだ。また、全ての車輪はイコライズしてあり、大半はバネが効くので、浮き上がることもまずない。すなわちフィレットの範囲だけで走っていると言っても、何ら間違いではない。

dda40x at 01:22コメント(0) この記事をクリップ!

2014年01月20日

走行抵抗

 曲線での内外の車輪の行路差は、無視できない。その差の分だけ車輪が滑る。軸重の約半分が掛かった状態の滑りである。その損失を少なくしようと思えば、摩擦係数の少ない材料を使うことである。
 筆者がステンレスに拘るのはそれがあるからである。高級な機械で旋削した車輪の摩擦は小さい。ごく普通のブラスにニッケルメッキの車輪に比べると 3/4 から 2/3 ほどである。めっきしたものは表面が粗くて音がするし、摩擦が大きい。
 それを考慮すれば、機関車にステンレスのタイヤを嵌めるのは、かなりまずい選択である。

 Oゲージでは、半径1800 mm (72 inch)の曲線では、走行距離に対する行路差は1.78%もある。半径3000 mmでも1.06%もある。HOでは半径を910 mm、1500 mmと読み替えて下されば良い。しかし、筆者の測定では、走行抵抗の比は、1.78 / 1.06 =1.68 でという比率ではない。フランジが当たっているからだ。
 
 RP25という、規格でも何でもない妙なRecommended Practice(推奨手法とでも訳しておこう)がある。このRPが無茶苦茶なことを勧めているので、というより何も大事なことを決めていないので、模型製造会社はそれぞれ勝手な判断で、珍妙な車輪を作る。

 NMRAのRP25というページに載っている車輪コンタ contour (形状)はかなり怪しい。どの番手の数字を使って描いているのかよく分からない。どう考えても図面が描けない番手の数字がある。明らかにD'の数字がおかしい番手があるのだ。#175、#148、#54が問題だ。

RP25 これについて、「どうやったら描けるのか?」とNMRAに問い合わせたら、でたらめな絵を送ってきた。フランジの中間部を直立させた絵である。左図中、赤字のVertical Segmentという部分である。いくらなんでも、これはないだろう。どうかしている。
 NMRAの車輪線路部会のレヴェルはそんなものであるらしい。まともなことを考えられる人材はいないようだ。NMRAとは35年付き合って、多少の寄付もしてきたが、縁を切ることにした。

dda40x at 01:20コメント(2) この記事をクリップ!

2014年01月14日

再開

 しばらく休載させて戴いたのは、休養をとる必要があったからだ。
 昨夏より、7年越しの仕事を完成させる必要があり、数か月の間、毎日12時間以上コンピュータとにらめっこをしていた。年末に決着が付いたのだが、極端な視力低下で車の運転も危ない状態になった。一言で言えば、蓄積疲労であって、休む以外ないということであった。1月近く、休ませて戴いたので視力が十分に回復し、やる気も出てきた。夜間の車の運転も不都合が無くなった。

 休んでいる間、何を書くべきか、いくつか案を練った。実物の構造の話とか、機関士Tom Harveyの手記の翻訳、車輪コンタの話、工作機械などについて随分考える時間があった。リクエストがあれば順に書いて行きたい。

 最近、色々な方がボール・ベアリングに興味を持たれるようになり、筆者が安く仕入れたものを提供して差し上げることが多くなった。貨車、客車にそれを入れれば転がり抵抗の低減に寄与するものと思われるのだろうが、渡すときに申し上げても、それに対する期待が大き過ぎたことに実際に完成するまでは気が付かない方が多いようだ。
 廻りくどい表現になったが、早い話が、HO以下ではOゲージのように慣性が感じられないので、ご不満の方があるのだ。

 先に結論を言うと、客貨車では軸重100 g 以下ではボール・ベアリングの効果は目に見えない。ボール・ベアリングの中に封入してあるグリスの攪拌抵抗がかなりあって、するするとは回転しないのである。Oゲージのブラス製客車のように1台 2 kg もあると、ボールベアリングの効果は絶大である。一押しで1周30 m強 のエンドレスを廻って来る。それを見せると、HOでも可能なように思うのであろうが、それは無理である

 まず、車輪半径が半分なので、テコ比の問題がある。同じ回転抵抗でも、車軸を回転させにくい。また質量が、単純計算で 1/8 なので慣性が小さい。速度が半分なので運動エネルギーが 1/4 である。事前に説明しているのだが、一押し 30 m の夢から逃れられないようである。
 それでは、車体を極端に重くすればどうだろう。これはアメリカで一度見せてもらったことがあるが、かなりの効果があった。しかし、脱線すると大変なことになるし、ポイントのフログがすぐに駄目になるであろう。

 貨車や客車について言えば、ピヴォット軸受には敵わない。筆者の実験では軸重100 g 以下はピヴォット軸受が良い。軸受はブラスの板にセンタ・ポンチで凹みを付けたもので十分で、僅かのモリブデン・グリスを入れると良い。凄まじくよく転がり、水準器代わりになるほどである。この動画はピヴォット軸での転がりを示す。

 17.5 mm と 19 mm のピヴォット軸(英語ではCone Endという)を新たに作ったので、ご希望の方にはお頒けしている。 

dda40x at 01:14コメント(2) この記事をクリップ!

2013年04月18日

続 Model Railroader の記事

 アメリカの友人からは色々なコメントを送って貰った。
「ようやく載ったな。」から、「すごいね。今度来たら、その記事にサインしてくれ。」
とか、「来年のコンヴェンションのクリニックにゲスト講師として迎えたいから、二行で要約を送れ。」などというのがある。
 肺ガンと戦っている友人からは、「もう車を運転することができないからコンヴェンションには行けないが、記事を読んで興奮した。動画も見たよ。感動した。来年うちに来てくれよ。会いたいから。」というメイルを貰った。来年まで元気でいてほしい。

 動画を見て、早速ケチを付けてきたのもいる。
「模型鉄道のカーヴにおける摩擦は、車輪が車軸とくっついて回転できないからであり、フランジが摺れることによって起きる損失は小さい。最近号のModel Railroaderの記事はそういう意味で完全に間違っている。」
 確かに内外の車輪の行路差による問題もあるが、少しの計算で分かる通り、半径がある程度大きい(ライオネルのような小半径ではない)と、それは踏面のテーパとフィレットの乗り上げ分で完全にキャンセルされる。
 しかし、RP25ではフランジが当たり続ける。これは写真を見ればすぐ分かることなのだが、肝心の写真が掲載されなかった。彼とはしばらく論争が続きそうだが、それも面白い。

 多くの人はステンレス製車輪の意義について知識が無かったようだ。摩擦が小さいということはたくさん牽けるということである。アメリカでよく聞く話は、「ニッケルめっきは怪しからん。摩擦が小さいから牽けない。」というものである。しかし大半の人が鉄レイルを採用しているので、しばらく走ればそれが摩耗して鉄タイヤが出てくるから問題ない。これはKTM製のMG、USH、PSCブランドの機関車の話である。
 貨車、客車はニッケルめっきのものを使っているようだが、その表面の粗さには気が付かない。めっきはその表面の仕上げ粗さをさらに増大させる。精密削成されたものにはとてもかなわない。
 たくさん買ってくれた友人Samは、「静かなのには驚いた。」というコメントを寄せている。

dda40x at 04:18コメント(0) この記事をクリップ!

2013年04月16日

Model Railroaderの記事

 以前は何月号に載りますということをある程度教えてくれていたが、今回は全くの唐突であった。しかも、時間が経ち過ぎて、半分忘れてしまっていた。

 今月号のMRは”Tech Trend”というタイトルの特集をしている。挑戦的な技術を紹介しているのだ。拙記事のタイトルも”Rethinking the RP25 Wheel Standard" となっていて、規格(本当は規格ではないのだが)の見直しを迫るような感じを与える。
 筆者の原稿では、タイトルは"Is RP25 still correct?"(RP25 は今でも正しいのか)であった。どちらが強く迫っているかは判らないが、 編集者の判断で変えられている。
 本文も50%ぐらいしか元の文は見つけ出せない。図とか数表を文章に置き換えているところが今一つ理解しがたい。特許でもないのだから、図を見せられないわけでもない。フランジ形状が図で紹介されていないのは残念だ。

 Milwaukeeに行った時、現物を持って行って見せたところ、その差に驚き、大いに感動したAndyはもう退いてしまった。若い編集者に仕事が任されてしまっているのも、その原因の一つだろう。

 Youtubeの動画のリンクが紹介されているので、それを見て連絡してきた人が何人か居る。ある人は早々と、500軸買いたいと言って来た。彼も長い列車を牽かせるのが趣味のようだ。在庫が無いので再生産をすることになる。
「長年の夢をかなえてくれて感謝している。」と、すでに所有しているかのごときメイルを寄こした人もいる。

 あと二本の投稿を約束させられているが、それが載るまで何年かかるのだろう。

dda40x at 04:16コメント(3) この記事をクリップ!

2011年07月07日

仕掛品の始末

 アメリカ紀行ばかりで模型工作の話から遠ざかってしまったが、最近は、大変熱心に工作をしている。

 実は仕掛品などが大量にあって、それがやりたい工作の邪魔になっていることが分かったからだ。それを片づけると工作台の周辺のスペースが大きく空き、工作が進展することになる。

 工作机の周りにある貨車の仕掛品だけで40輌、客車が30輌以上ある。このひと月で貨車の大半が片付く予定である。貨車の仕掛品が多かったのは、例のLow-D車輪の性能試験で同じ型の貨車が30輌要るので、倉庫からキットを選び出して台車、連結器と大まかな外装を付けただけの状態に急遽仕立てたからだ。
 その貨車を並べて、いろいろな曲線の上で抵抗を測定した。発表原稿ができると、工作台の周りの棚等に押し込んだり、工作台に積んだりしてあったので、本来やりたかった仕事の邪魔になった。その状態で1年ほど過ごして、大きな損失になったと感じたのである。

DSC_1627 これらの貨車は同じメーカのものばかりなので、共通部品を同時にたくさん作って並べて工作すれば仕事は早い。1週間で16台を生地完成まで持って行けた。あとは天気予報を見て乾燥した日に一気に塗る。ほとんどが同じ色なので簡単である。

 
DSC_1629 問題は残りの貨車である。全て形式が違うので図面集などを見て検討しなければならず、時間がかかる。特にカブースは面倒である。今、7両のカブースを同時進行させている。全てブラス製なので工作そのものは簡単である。部品がないものは作り、場合によってはロストワックスで量産して仲間に分けることにする。これらのカブースは中古の壊れたものを修理するわけである。何度かやっているが、最近は治すのが面倒な部分は外して捨て、新製する。
 スクラッチビルトに近くなり、もとの部品がどこにあるのかわからなくなってしまう。10ドルで買ったジャンクが新しい命を吹き込まれる。カブースは大破したものが安く手に入り易い。追突事故で破損するからだろう。前後ともつぶれているものが大半だ。

dda40x at 07:07コメント(0) この記事をクリップ!

2011年07月03日

査読者

 Model Railroader誌には原稿を送ってあったのだが、事務手続き上の手違いが双方にあって、手紙が届かなかったりしたことがこの遅れの元となった。

 原稿は正当に評価された。しかし、「内容があまりにも重大な部分を含むので編集者の一存では判断しかねる。Reviewer(査読者)にその判断をゆだねたい。」という連絡が来た。確かにこの記事はNMRAの規格にも大きな影響を与えるだろうし、ひいては世界中の規格にも影響を与えかねない。うっかり載せて、それが何かの間違いを含むものであると、大変なことになるからだ。
 査読者がどなたかはよく分からないが、NMRA規格などの責任者であろうと推察する。1月ほど経ったある日、「査読者のApproval(承認)が得られたので、原稿の買い取りの契約書を送る。それに書いてある条件以外の指定事項があれば知らせよ。」と言ってきたので、コンピュータ・グラフィックによるレンダリングや3DのPDFを作ってくれたBunji Izumi氏の名前を載せることなどを指定した。原稿料の振込先の指定もある。

 問題はそのあとのことである。E-mailならば話は簡単なのだが、契約書は紙である。それを送ると言ったきり、待てど暮らせど送って来ない。問い合わせると「送ってある。」とのことだが、来ないものは仕方がない。再度問い合わせている最中に、知人経由でその封筒が届いた。聞けば、その封筒は筆者の20年以上前の住所に送られていた。前回の”Free Rolling Locomotive(押して動く機関車)"の記事を送った時の住所が、Kalmbach社のコンピュータに残っていたらしい。幸い、旧住所には知人が住んでいるので、気を効かせて送ってくれたのだ。

 査読者がいるということは素晴らしいことである。レイアウトの紹介記事、車輌の製作記事などは主観的な記事であって、間違いということはあまりないし、たとえ多少の間違いがあっても問題にはならないだろう。しかし、このような規格に関する記事や、電子工学に関する記事などは査読者が必要だ。前回の歯車の記事も、査読の対象であったようだ。

 翻って、日本の雑誌はどうだろうか。以前電子工学の記事が載った時は、「内容に関しては製作者にお問い合わせください」という編集部の断り書きが付いた記事があったことを記憶している。これは責任放棄も甚だしい。「私たちは原稿をそのまま載せています。場所を貸しているだけなので中身については関知しません。」ということなのだ。金を出してその雑誌を買う人のことを考えていない。これは「横暴」である。

dda40x at 07:03コメント(2) この記事をクリップ!

2010年10月11日

続 Low-D Wheel の効果 

 会員のお子さんの中学生が、筆者の貨車を使って入替えをしていた。よく見ると突放をしている。彼らは初めてこの車輪を見て、この性能なら突放が出来ると考えたのであろう。さすがである。

 1950年代のModel Railroaderに、ハンプを使った入れ替えの話が出ている。TMSにも紹介されたので記憶がある方もいらっしゃるだろう。
 はたして、当時どの程度転がったのかは分からないが、かなりの急勾配であろうと推測する。カ―・リターダは圧縮空気のジェットを利用するとあったが、おそらく実用化はされていない。もし実用化されていたなら、どこかで見たことがあるはずである。

 時を経て、それが可能な時代がやってきた。筆者のレイアウトにもそのハンプとリターダをつけたかったが、現実にはスぺイスがなかった。アメリカの友人たちには、「Low-Dを使えばそれは可能だ。」と宣伝してあるが、まだ作ったという話は聞かない。

GGD 12-1 Pullman2GGD 12-1 pullman 最近発売になったプラスティック製の客車がある。そこそこの出来で価格は150ドルもしない。塗装済みでレタリングも正しく、室内が付いている。なおかつ人形まで乗せてある、もちろん照明も付いている。編成が欲しいと思えば、これを買うべきである。自分で作る労力を考えれれば、はるかに安い。
 筆者は Walthersの組みかけキットを20台分ほど保有しているが、それを投げ捨てたくなってきた。

Pullman 6-wheel truck この客車にはダイキャスト製の台車が付いている。一応スプリングが多少効くので、走行は静かである。イコライズはしていないが、その可動部分が細いイコライザごと動くので、Oゲージの大きさではそれが撓み、3軸であってもそこそこの動きをする。



Pullman truck with Low-D wheel sets 車輪は極端に精度の悪いピヴォット車輪であったが、それをLow-Dに嵌め換えた。偶然にも軸長が同じで、ぴったりとはまった。
 走らせてみると実に調子が良い。軸重は 200 g 位であるが、モリブデングリスのおかげで、わずかの傾斜でも転がるくらいよく走る。軸受は、デルリンでなくても大きな問題はないようだ。

 実はアメリカからは、これらの客車用の取替え部品として引き合いが多い。

dda40x at 10:11コメント(0) この記事をクリップ!

2010年10月09日

Low-D Wheel の効果

 関西合運の舞台上のエンドレス・トラックには、いろいろなお客様が見にいらした。Oゲージの仲間にはすでに知れ渡っているので、他の方にも事前に宣伝して戴いたのかもしれない。

 感想としては、「ボールベアリングが入っているのだろう」というのが大半で、フランジ形状に言及される方はほとんどなかった。カーヴでもほとんど減速しないということにはほとんど誰も気が付かない。
 やはり、模型を走らせて性能を調べている方は少ないというのが実感である。

 ボールベアリングは、低軸重の車輌には不利である。というのはボールベアリングの中にはグリースが入っている。その攪はん抵抗は無視できない。
 筆者の実験では軸重 100 g まではピヴォット軸受が有利である。もちろんピヴォット軸受にはごく少量のモリブデングリスを付けてある。「ピヴォット軸には注油してはいけない」と書いた人が居たが、それは明らかな間違いである。全く訂正文が載らないのはおかしなものだ。

 ブラス製の重い客車などにはボールベアリングは不可欠である。筆者の客車の中には軸重が 800 g を超えるものがある。あるアメリカ人が作った客車で内部には9.5 mm 角のブラスの棒が補強で4本も入っている。全くの過剰品質である。脱線すると、周りのものがめちゃくちゃに壊れるだろうから、近所迷惑であること夥しい。重いが、ボールベアリングのおかげで、滑るように走る。

 電車ファンの方は、静かに走るということが非常に大事で、その点でこの車輪を購入する方が多い。めっきすると、平滑度は格段に低下するからやかましい。その点、この製品は高精度の旋削で、真円度が高いから静かに走る。
 今回の増産では、電車用ということで片方をネジ込みにした。絶縁側をネジ込みにするのは、性能保証上出来なかったが、外れるのは片方で十分である。
 そのネジはJISの 4 mm の細目で、超精密に仕上っている。ガタが全くない。ねじ込めばもう外れることはない。接着剤で緩み留めをすることは必要ないのだ。
 緩いネジは、それだけですでにエキセン(excentric)で振れている。
 
 製造所が変わったので心配したが、前回と同程度以上の仕上がりであった。「機械の精度が製品の精度」というのは本当である。市販も始まったので、いずれこれが「事実上の規格」になると信じている。

 13mmゲージの方たちも見にいらして、非常に興味深くご覧になった。聞くところによると、13mmゲージの車輪の規格はきちんとは決まっていないそうである。
 13mmゲージは、蒸気機関車と客車を主体とするファンによって支えられているとのことである。より安定な走行を求めると、それは新しい車輪を作らざるをえないことになる様だ。優れた車輪を大量に作って安く売れば、皆それを採用するだろうから、「お手伝いしますよ」と申し出ておいた。 

dda40x at 10:09コメント(3) この記事をクリップ!

2010年10月07日

Who can believe it?

Kishi's DB10 pulls 21 carsDB10 pulls 21 cars 関西合運では、舞台がOゲージの指定席になっている。そこに簡易レイアウトを敷く。今年はやや小規模で小さく敷いている。1周27m程度しかない。


 他の参加者に断って、Low-D車輪の効果のほどをお見せすることにした。まず、岸健志氏の国鉄DB10をお借りして牽かせた。この機関車は岸氏による最初のOゲージでのスクラッチビルト作品である。質量は550g程度である。
 当日持って行った筆者の貨車は、ほとんどがAthearn社、All-Nation社の製品で1輌340gから500g程度である。Athearn社のデルリン製台車にLow-D車輪をはめてある。潤滑はモリブデン・グリースを少量付けただけである。
 貨車を20輌ほどつないで牽かせることにした。中には「牽くかな?」という声もあったが、スリップもせずに楽々と牽き出した。
 この動画では途中で必要以上の加速をしたのは失敗だった。実物なら50km/hも出ないであろう。しかし、十分な余力があるという証明にはなる。おそらく40輌は牽くであろう。
 止めようと思っても後ろの貨車が押してくるのでそう簡単には止まれない。 これらのビデオ撮影は栗生弘太郎氏による。


 次に、1台だけ楕走させることにする。この貨車は以前紹介した10ドル以下で購入したジャンクを再生したものである。
 脱線しない程度の速度で押してやると。見事に1周半を走った。もう少し速く押せば2周回ったかもしれない。曲線部分での抵抗が少ないのがよくわかる動画である。
 以前、自宅のレイアウトでこの楕走をアメリカからの来客に見せたことがある。彼は愕然として、「これは魔法か、それともサイエンスか?」と聞いた。「もちろんサイエンスだよ。」というと、「分かった。君の車輪を買うよ。」、と数百軸持ち帰った。

dda40x at 10:07コメント(0) この記事をクリップ!

2010年09月03日

Texas への旅

Texas 久しぶりにテキサスに行った。先回やり残したロストワックスの後片付けをしなければならないのと、近在の模型人と交歓したかったからだ。



 今回はDennisにDFW国際空港まで迎えに来てもらった。「隣の町だからすぐだよ。」とはいうものの300kmはある。ダラス・フォートワース空港は巨大な空港で、5つのターミナル・ビルディングと7本の滑走路がある。4機が同時に離着陸するのを見ることが出来る。これが、いずれ、13のターミナルと9本の滑走路になるというのだから恐れ入る。

IMG_2367 二年前には乗らなかったが、今回は Skylink という電車に乗ってターミナル間を移動した。これは速度が高く、乗り心地が良い。10年ほど前乗り換え時に乗ったのは、信じられないほどノロい電車で時速25kmほどであった。さすがに評判が悪く、2005年頃更新したと言っていた。もともとターミナルが3つしかなかった時代に作られたものだ。

Old Dennis Road Dennisの車でAbileneに向かう途中、"Dennis Rd."という表示を見つけて、面白がっていたら、「笑うのはまだ早い。」と言う。しばらく走ると今度は "Old Dennis Rd."というのが出てきて、笑い転げた。「お互い、歳を取ったものだね。」と語りあった。もう20年以上の付き合いである。
 今回はLAX乗り換えで行ったものだから、入国、通関に時間が掛かった。なるべく小さい空港で入国するのが賢明である。そういう点では Portland かSeattle 辺り、あるいは San Jose から入った方が良かったが、切符が手に入らなかった。LAX とはロスアンジェルス国際空港である。

 アビリーンへの途中、この数年仲よくしているMike Rossの家に寄った。彼は1970年前後に横須賀のアメリカ海軍病院に研修に来ていた医師である。当時の日本の蒸気機関車を追って全国を巡り、スティル写真、ムービィともにたくさん撮っている。大変な親日家で、玄関で日本式のお辞儀を上手にしたのには驚いた。
 彼は、Low-D車輪を評価してくれ、大量に購入した。その使用状況を確認に行ったのである。「音が静かなのには驚いた。」ということであった。摩擦が少ないのは、牽く輌数が少ないのでまだ感じていないという。

dda40x at 09:03コメント(5) この記事をクリップ!

2010年03月23日

続々 Chicago O Scale Meet

Clinic 4時少し前になると、館内放送で「午前中に行われた低抵抗車輪のクリニックは、過去のクリニックの中で最高の講演であったという評判です。再度の講演を行いますので聞きにいらしてください。」と伝えてくれた。
 これには少々驚いた。主催者が、クリニックの内容を主観的な表現を交えて伝達しているのである。

 二回目の講演では、より深く興味のある人たちが来ていて、自由闊達な意見交換が行われた。非常に良い雰囲気であった。他のクリニックをのぞいてみると、車体の外見上の改良とか、DCCの可能性というような、すでに何度も扱われている内容であった。鉄道模型の本質を突いたクリニックはこれが初めてだという評価を得た。

「雑誌に発表すべきだ。」と主催者側が言う。出版社を紹介するから会えと勧められた。実はModel Railroaderの副編集長のAndy Sperandeo氏には以前から連絡してあったので、会う日取りを決めているところであった。滞在中に連絡があり、シカゴを離れる前日にミルウォーキィで会った。
 クリニックでの講演をPower Pointを使って再現したところ、「大変面白い。すぐに原稿をまとめてくれ。」ということであった。
 25年前に祖父江欣平氏と訪ねたことをよく覚えていて、最近亡くなったことを伝えた。彼の功績の一部を話し、祖父江氏がいなければMax Grayが日本に来ることがなかったかもしれないこと、3条ウォームのギヤボックスの量産により、その後1000輌以上の機関車が "Free Rolling”になったことを話した。

 それも原稿にまとめてくれということになり、近日中には原稿を完成させることになった。

2010年03月21日

続 Chicago O Scale Meet

Melissa Melissa は、引退した店主の息子の奥さんである。Low-D車輪の概要を送り、ビデオのリンクを送ったところ、店主のMike Hill氏が大変驚いて、「是非講演して貰え。」と言ってきた。
常識では考えられない映像であり、多くのO scalerにインパクトを与えるClinicになるだろう。」と言うのである。

 参加費を払わねばならないが、少額を送金するのも面倒で、「Oスケール・ウェストでは外国からの申し込みは、送金料の節約のため窓口で払っても良いという例外規定がある。」と、その案内書の写しを送った。すると、「よい考えだ。採用したい。」というわけで、送金費用は節約できた。

 現場に到着すると、メリッサさんが待ち構えて居て、現金での納付を済ませた。「すごく期待しています。義父が興味があると言っているわ。」と握手した。

 講演は英語では"Clinic"と言う。土曜日の朝11時に開かれたクリニックには、それほど多くの人が来たわけではなかったが、閉会後、何人かが来て、「先ほどの講演会をこのまま終わらせるのは、もったいない。友人にぜひ聞かせたいので、もう一度やってくれないか。」と言うのである。

 一時間の講演は、正直なところ結構疲れるので断りたかったが、何度も来て頼むのでその気になった。「事務局が許せばやっても良い。」と答えた。

 メリッサさんが、「本当にやって貰えるか?」と確認に来た。「考えてみれば、二度もやってくれと言われるのは、とても光栄なことだ。やりましょう。」と答えると、「一回目に聞いた人が、『過去のクリニックの中で最高の内容だ。』と絶賛しているわ。聴衆が再演を望むのは珍しい。」と言う。
 午後4時から再演することになった。

2010年03月19日

Chicago O Scale Meet

Westin Lombard 昨日帰国したので、その報告を始めたい。

 3月12,13,14日に行われたChicago O Scale Meet で、
Low-D車輪についての発表の機会を与えられたので、一時間の講演を行った。


 
Chicago O Scale Meet Chicagoの集会は全米で最大のOスケールの催しである。O scale Westよりかなり規模が大きい。この種の集会は、毎年、東部はコネティカット周辺、あるいはワシントンDCで、南部はアトランタ周辺で、中西部はシカゴ、西海岸はサンホゼ、そしてたまにテキサス、デンヴァ辺りでも行われる。  

 シカゴは筆者にはあまり縁のない都市で、飛行機の乗り継ぎではよく通るが、降りたことは比較的少ない。車で行ったことは何度かあるが、ひとの車に乗せてもらっていたので地理は良く判らなかった。今回シカゴに1週間近く居て、500キロ以上自分の車で市内を走ったので、様子が随分と良く判った。歴史のある、資本の集積した大都市である。
 O'Hare空港は、市内にあった狭いMidway空港の代替として整備された。世界で一番にぎわっている空港である。70年代に着陸した時、二機同時に並行して着陸したので、とても驚いた覚えがある。当時はまだ周辺はのどかな牧場で、牛がたくさん居たのを目撃した。その後30年以上経つとすでにシカゴの市内にあると言ってもよい状態になった。電車も整備されて市内まで安く行けるようになった。

 そのオヘア空港の西のLombard市で、Westinホテルの一部を借り切って行われた。通常では320ドルもするホテルを週末3日のみ一泊90ドルという格安で押さえてくれた。
 この催しは、以前は市内のPark Ridgeにあった模型屋の Hill's Train Shop の奥さんが裏方を一手に引き受けてくれた居たのだが、店主の引退と店の売却で、息子の嫁さんの Melissa がその大任を引き受けてくれた。

2010年01月07日

車検の日

 今年も大みそかには車検を行った。レイアウト上の全ての車輌をひっくり返して、旧規格の車輪を探し出す。旧アトラスのプラスティック台車は2mmのプレーン軸なので、それに合わせてRP25を作ってはめたのが何台か紛れ込んでいた。台車ごと外して、最新のデルリン台車にLow-D車輪をはめたものに取り換える。けしからぬことにボルスタ高さが異なるので、改造用部品を作っておいたのをはめて完成である。1.8 %の坂を下る程度のものであったが、0.3 %でも動いてしまうほど軽くなる。

 また、アサンのデルリン台車にはめたステンレス製RP25が見つかるので、その場でLow-Dに取り換える。一晩で100軸以上はめ替えた。

 せっかく車輪を塗装してあったのに、またはじめからやり直しだ。連結器高さが合っていても、妙に腰高な車輌もたまにあるので、実物写真を見て確認する。今年も容赦なく不合格にしたので、正月早々その修正作業に忙しい。

 連結器をむしって、台座を削り落すかハンダを外して連結器中心を持ち上げる。同時にボルスタの座を低くする。
 人間の目は大したもので、0.5 腰高であるだけでも違和感を感じるものだ。
 合格した車輌は機関車につないで運転する。抵抗が少なくなっているので速度が上がる。この日、筆者のUP835 FEF-3 は、当レイアウトで初めて120マイル/時を出した。65両を引っ張っての記録である。以前は危なくてとてもできなかったが、全車輪がLow-Dであるから安心して高速運転が出来る。しかし非現実的であった。もうそんな遊びをすることもないだろう。

 ポイント脇で見ていると、先台車の復元装置が作動するのがよくわかる。先台車が尖端軌条に入った瞬間に、機関車の鼻が右に動き、機関車が微妙に左に傾くのが分かる。 
 抵抗が小さいが、質量が大きいので、加速時にはスリップするのが分かる。発進時には、連結器が伸びているとスリップが目立つ。少々バックして連結器を詰めて、ゆっくり加速すると、本物のような出発になる。車輪の真円度が高いので、走行音が極端に静かになった。 

2010年01月03日

Digital Pull Meter

digital pull meter by Micro-MarkDigital Pull Meterを見つけた。これを長年探し求めていたのだ。嬉しくてすぐ注文した。

 届いたものを調べていて、妙なことに気が付いた。カタログには   0.01 オンス刻みで表示されると書いてあったので信じていたが、どのように測定しても 0.18 オンスか 0.17 オンス刻みでしか表示されない。
 要するに、0.00の次は0.18、その次は0.35、そして0.53,     0.71、0.88、1.06、1.23という具合である。
 1 オンスを 28.35gで計算してみると、このincrement(増え方の刻み)は、 5gであることが分かった。

 この秤は安い。デジタル吊秤でこんなに安いものはないので注文したが、とんでもない「安物買いの銭失い」であった。すぐに発売元に詳しい事情を書いて送ったので返品できると思う。また、そのうちにカタログからも消えるはずである。

 実は、ダイナモメータ・カーを作るつもりであった。デジタル出力があれば、速度と引張力の積を演算して出力できる。それを手元に送らせて印加電圧と消費電流の積で割れば、効率は直ちに出る。最近はテレメータ(遠隔測定)が常識になっているので、そうするつもりであった。
 今年のプロジェクトはダイナモメータ・カーに決定済みであったが、軌道修正を余儀なくされた。古い客車の屋根を切ってある程度は作ってあったので、余計腹立たしい。


 車輪を全て更新したので、同一の機関車でも引っ張れる車輛が増え、より慣性が効くようになった。
 

2009年05月05日

Railhead

railhead contour 厳密にはレイルヘッドは丸くなければならない。ほとんどの模型線路のレイルヘッドは丸くない。線路磨きに用いる大きな消しゴム状の研磨材でこするので、たいてい平坦である。この図はレイルヘッドの丸みをやや誇張して描いてある。

 さて、Low-D車輪が、狭くしたフランジウェイを通過するときのことを考えよう。左右のP点間の距離は31个任△襪ら、ちょうどこの図のような位置にある。その時、レイルヘッドが角ばっているとどうなるだろう。車輪はかなり持ちあがるはずだ。

 少し丸みが付いていると、かなり助かる。狭めた線路はよくすりへるので自然に丸くなりやすいが、細かいサンドペーパで内側を磨くと、通過時の車体の挙動が良くなる。また、フランジウェイ欠線部を通過するときの挙動も格段に良くなる。

 32丱押璽孤分を走っているときの接触状況は、図中の二つの状態を行ったり来たりしているはずだ。
 32丱押璽犬鯤櫃辰討い詼楡では、特に何もしなくても、レイルヘッドの形は自然に良好な形に保たれるし、たとえ平坦であっても問題は起きない。しかし、高速で通過する本線上の分岐は、ある程度の配慮が必要である。

 Oゲージ以上の鉄道模型は、このあたりがそれ以下の大きさの模型と大きく違う。質量の大きなものが、高速で通過するとimpact(衝撃力)が大きく、フログは徐々に壊れていく。洋銀レイルのフログはたちまちつぶれる。鋼製フログが望ましい。できれば焼入れしてあるとよい。いずれ作ってみたい。  

2009年05月03日

車輪の直径の測定位置

 鉄道の専門家から、車輪の直径の測り方について注意を受けた。

>車輪の外径は、フランジフィレットの始りで測るのではありません。
>フランジの高さとは、狭軌1067mm軌間ならば、車輪一対の中心線より560mmの位置を基本としてフランジの高さ、外面距離、車輪直径を測定するように決められています。車輪内側から65mmの位置になります。ちなみに、車輪厚さは日本では125mmがほとんどです。
>標準軌1435mmではどうかというと、新幹線を参考にバック・トゥ・バックは1360mmwで65x2をプラスすると1490mmで、その1/2=745mmで測定位置でしょうか。
>模型の車輪は厚いので車輪厚さの1/2で考えることになると思います。



 以前、この方から教えて戴いていたので、表記には多少迷うところがあったが、実質的にレイルに触れる部分としてフィレットの始まりで考えた。

 同じ方からのメイルの続きである。



>TMSの写真を見ていると、この人知っているのかなと思うような車輪を削って、得意になって記事にしている人もいます。本当にきちんとした走りをするのか疑問が湧きます。「いい加減な車輪つくりはやめて」と言いたいですね。
>まだフランジでカーブを曲がるんだと思っている人が多すぎますね。

>実物のレイルを知らないメーカーが作った模型のレイルは頭が平らで、使う者もヤスリでごしごし削ってしまうほどですから、本当に走行に適したレイルとは言い難いです。

>全部のメーカーがLow-D車輪で作って頂きたいですね。このLow-D車輪を見ているとほれぼれします。



 多少なりとも、おほめを戴いたので安心した。

2009年04月19日

Fillet

Fillet とは踏面とフランジとの隅を埋めるものである。ライオネルその他の toy train では踏面とフランジが完全に鈍角になっていて、丸みはない。

 RP25が日本に紹介されたのはTMSの206号ミキストである。山崎喜陽氏がこの内容を完全に理解していたかは、大いに疑問である。その説明には理解に苦しむところがある。発音だけは「フィリット」となっていたのは興味深い。

TMS #206 MIXT そのミキストにはレイル・ヘッドの不整合を乗り越えるのに役に立つだろうとこんな絵が描いてあったが、これはフランジの仕事でフィレットの仕事ではない。

TMS #206 MIXT 2 RP25の功績は、フィレットを紹介したことに尽きる。それまでの車輪は帽子のつば状のものであり、フランジにつながる丸みはほとんど無かった。すると、カーヴでは常にフランジがレイルヘッドに当たり、踏面とフランジの二点接触により、速度差が生まれて、その差が摩擦損失として現れる。フィレットがあれば、カーヴでわずかな乗り上げが起こることにより、常に一点接触の原則は保たれる。実物に比べ曲線が急な模型では、このフィレットは当然大きくとるべきであって、RP25の値でも、まだ不足するのだ。

<追記> NMRAの当時の記事、およびそれを紹介したMRの記事を見ると、このレイル・ヘッドの不整合を乗り越える絵が描いてある。すなわち、本家が間違っていて、それを誰も訂正できなかったのだ。

2009年04月17日

Flangeの厚み

Flange Thickness フランジの高さという概念は分かりやすい。フランジの裾野 (Filletという)が始まる点からの高さであるから、(フランジ径−車輪径)÷2で求められる。Low-D車輪では0.99mmである。

 フランジ厚の定義を理解している人は少ないはずだ。P点と車輪裏側との距離である。Low-Dでは1.00mmである。設計時にはここからスタートしている。軌道のフランジ・ウェイが2.0mmであるので1.0mmの余裕を見ている。フランジ・ウェイは少々広すぎる。

 実際にはレイル・ヘッドの丸みもあるのでもう少し余裕がある。しかし模型ではレイルを研磨するとき、平面に研磨紙を付けてこする場合が多く、レイル頂部は平面に近くなっている。フログ部分の清掃時には、なるべく指先に1500番の研磨紙を付けて丸みを出すようにしている。そうしないと、フログ通過音が大きくなる。場合によっては飛び跳ねることもあるだろう。

車輪裏のフランジ勾配はどの文献を見ても同じことが書いてあるので特段の考慮はしなかった。こうして表と裏が決まると後はフランジ先端をどうするかだ。丸くする必要もないが、そうしておかないとクレームが来るのは目に見えている。適当に絞って、先端は少しとがらせた。これは造形上の工夫で、フランジを薄く見せる効果がある。これを見せると、ほとんどの方は、「フランジが薄いですね」と仰る。成功であった。

 京阪電車のフランジは先端が丸くないそうだ。筆者が観察して気がつき、栗生氏に問い合わせたところ、「よく気付かれましたね。」とそのあたりのいきさつを説明してくださった。実物はフランジ塗油を前提にしているので、設計の条件が異なる。

2009年04月15日

続 Low-D Wheel Contour

復元範囲 この図はカーヴでのせり上がりにおける復元の様子を示している。
1は直線を走行しているときの規定位置である。Low-D車輪の直径というのはこの点での数値である。
2カーヴで車輪が外に押されてせり上がった様子を示す。車輪の有効半径が増大し、内側への転向力が生じている。
3レイルヘッドがP点に来ている。フランジ角は最大値に達し、脱線抗力は最大であるから、既にこの時点で脱線は始まっている。車軸が多少は傾くから、有効フランジ角が多少は増大するだろうが、事実上無視できる。

 P点の大体の位置はノギスなどで車輪を挟んでみるとわかる。片方のキャリパを車輪裏面に当て、他方は踏面からノギスのキャリパを狭めていくと車輪が押し出される感触を受ける。そのまま狭くしていくと、あるところで急に抵抗が大きくなり、動かなくなる。これは近似的にP点である。
 左右の車輪のP点間の距離がwheel gauge(車輪ゲージ)であり、track gauge(軌間)との差が「ユルミ」となる。ユルミが大きいと、蛇行が起こりやすく、視覚的によくない。さりとて、ユルミが小さいと、多軸車の曲線上での挙動を制限する。

 既存の線路の規格は決まっているので、チェック・ゲージはそれに合わせねばならない。そのあたりの数値の操作は、かなり面倒であった。最終的に、フランジ高さは1mm以下となった。何度も強調するが、フランジ高さはどうでも良い数字で、その他の条件で自然に決まってしまう。
 ここで0.99mmという数値を採用した理由は、旋盤屋で材料を無駄にしないための工夫である。19φの車輪を作るとき、21φの材料からスタートできる。このあたりの条件設定は、経営者としての吉岡氏の貴重な助言による。
 
 模型の車輪製作で大切なのは、旋盤での挽き目が出ないようにすることである。せっかくP点を正確に決めておいても挽き目が見えるようではその意味がない。

 <追記1> この図のレイル・ヘッドはごく一般的な模型レイルを表している。正確には5月5日の図が正しい
 <追記2> 最近号のTransPacificによると、本物のgauging pointはここに示す点ではないそうだ。RP25では、接線に置いてある。 Apr.17, 2013

2009年04月13日

Low-D Wheel Contour

Low-D Wheel contour この図はLow-D車輪のcontourである。このコンタを割り出すまでにはかなりの時間が掛かった。吉岡精一氏の助言を最大限に受け入れ、ある程度の直観に基づく形状を構成した。製図はnortherns484氏に助けて戴いた。

 この図中P点はフランジがレイルに触る直前の点で、このとき脱線抗力が最大になる。すなわち、P点を超えてフランジに接触しているということは、もうすでに脱線しているのと同じである。P点での脱線抗力以上には大きな抗力が生じないから、フランジがせりあがって、そのまま脱線してしまう。

Have you ever seen the flange like this? 言い方を変えると、このP点より高いフランジはなくても緩い曲線上なら脱線しない。もちろんsprungの状態に限る。それでは1ミリもあるフランジは何をしているのかという疑問が生じる。レイルヘッドの不整を乗り越えるとき以外何もしていないが、これがないとフランジの裏がポイントのガードレイルを擦るとき、妙な形になる。チェック・ゲージが決まっているので本物の様な低いフランジにすると、台形のフランジになって妙なものである。

 模型のフランジは模型の軌道を走る都合上、仕方なく高いフランジを付けているのである。それでは本物の1/48にすればそれで解決するだろうか。摩擦係数は小さくても同じかというとそうでもないから、いろんな点で不都合が生じるかもしれない。模型の車輪が、実物を1/48にした程度に平滑かどうかは疑問だ。ひどい場合は塗料がついた車両もある。塗料の厚みを48倍するととんでもないことになる。

 筆者の採用しているO Scaleは、こういうわけでやや高く見えるフランジを付けている。しかし、HO よりは相対的に低い。 タイヤも、ポイントのフランジウェイを無事通過するようにやや厚く作られている。アメリカではもっと薄くするのが最近のはやりだが、ポイントで落ち込んでしまい、やや不様な体をさらしている。薄くすると、ゲージがスケール通りの30mmより2mm弱広いのが強調されてしまう。 

2009年04月09日

Stainless Steel

 被牽引車の車輪にはステンレスが適する。なぜかというとそれは摩擦が少ないからである。すなわち動力車には本当は適さない。普通の鋼材に比べると摩擦が70%位である。

 しかし本物の車輪には使えない。それは塑性変形しやすいからである。この種のステンレスはオーステナイト系といって、簡単に変形する。すなわち本物の車輪のように大荷重が掛かるものには使えない。建築物の構造材にも使えない。クリープが起きて伸びてしまう。たとえば庇の鉄骨に使えば、いずれ垂れ下がってくるだろう。また、実用機器にステンレスのボルトを使う場合もあるが、強く締めると伸びるので、本当は使うべきではない

 ピヴォットの先端が曲がりやすいのも、オーステナイト系だからだ。何か硬いものに当たるとつぶれやすい。工場からトレイに入れて納品された時は全く問題なかった。
 箱に入れ替えて運ぶと100軸に一つくらい、このような事故が起こるようだ。また、人に見せると、見たあと無造作に放り込む人がいて、先端が潰れるようだ。ここまで精密に作られた部品に接したことは、ほとんどの人にはないだろうから、ついやってしまうのだろう。

 しかし、他の利点がこの欠点を補って余りある。また、模型程度の荷重ならクリープは起きない。

 ジャーナル部を円筒型に研削し、マイナス17μにした。ボールベアリングの滑り嵌めを実現するためである。工場では全数検査をしてくれたので、間違いなく嵌まる。さらに、面取りを大きく施したので、多少の打痕が生じても問題なくはまるはずである。このあたりのノウハウは、経験上確立されている。


2009年04月07日

続々 Low-D Wheel Sets

 昨日、川島氏のお宅で会合があったので出席した。その席上、Low-D車輪をお頒けした。発表の機会を与えられ、レイアウトの高架線上で手を離すと、斜面を滑り降りて滑走した。その一瞬、観客がどよめいた。

 ほとんどの人はボールベアリングの効果だと思われたようだが、ピヴォット軸受けの効果である。機関車のように軸重が大きいと、ボールベアリングの効果は絶大である。しかし貨車のように軸重が100g程度なら、ピヴォットの勝ちである。相手はデルリン(ポリアセタール樹脂)だから多少凹み、自己潤滑性があるのでよく回る。

 ボールベアリングには油が入っているので、その撹拌抵抗が無視できない。うんと重くなればそれが無視できるようになるというわけだ。

pivot failure たまに振れが出ているように感じる時がある。それは、他の部品と衝突して曲がってしまったからだ。ステンレス・ピヴォットは先端が曲がりやすい。焼きが入るとよいのだが、SUS303では無理だ。外して、もし曲がっているようなら、砥石で先端部を少し修正すると治る。箱にそっと入れてあるのだが、無造作に扱うとそういうことが起こりうる。

 実演を見て、初めて例の動画が本当だと実感したというコメントを戴いた。実はあの動画をご覧になった方からいろいろな質問が届いている。一番多いのは、「貨車の中に動力車が紛れこませてあるに違いない。」というものだ。次に多いのは、「ゴムタイヤを履かせてあるのだろう。」である。また、「CG(コンピュータで処理して多く見せている作り物の動画)だろう。」というものもあった。

 種も仕掛けもなく、ブラス製貨車が80%以上含まれた総重量約35kgの列車である。動力車は先頭の4-12-2蒸気機関車のみで、走行時の電流は0.37Aである。機関車は約3.5kgである。
 このような運転ができるのはこの車輪のお陰以外の何物でもない。

2009年04月05日

続 Low-D Wheel Sets

 今回は車輪の裏側を削った。これは、前回の製品との区別をするためでもある。また、明らかに軽量化にも貢献している。

 裏を削るというのは、実は大変手間がかかり、なおかつ難しい。CNC旋盤では刃物は片方からしか動かないので、出来上がってきた車輪を別の機械にくわえ直して、裏を削る。
 裏は精度が要らないので、総型バイトで削ればよいと言ったのだが、機械と職人が遊んでいたので、贅沢にもCNCで図面通りに作ってくれた。この仕事をするのに1個当たり30秒ほどもかかる。

 踏面は図面通りにできていないと意味がない。この工場には20倍の投影機があり、図面と実物を重ねて見ることができる。結果は完全に図面通りで感動した。
 このような検査機能をもつ工場は少ない。今回、こちらの要望が100%通り、思った通りのものがとても安くできた。

 仲間内で融通する分以外にもかなりの余分を作ったので、ご希望の方には原価でお渡しする。いつものことなのだが、事前に注文数を聞いて作ると、後で現物を見て欲しがる人が多い。今回も注文数の2倍を作ったので、ちょうどよいくらいだろうと思っている。コメント欄を通じて、価格等お問い合わせ願いたい。市価と比べると非常に安い。

・17.5φのピヴォット軸、及び19φのピヴォット軸 これらは圧入してあり分解できない。
・19φの5mmストレート軸、ジャーナルは2mmボール・ベアリングを嵌めることができるようにマイナス17μ、軸は片方のみネジ込み。
・21φの5mmストレート軸、仕様は上と同様。

 5mm軸もボール・ベアリングを嵌めることができるようにしてあり動力台車を作ることができる。

 17.5φは高性能のプラスティック台車(TR41似)にはまった状態でも出荷できる。この台車の転がりの良さには、だれしも驚く。工場で現物が転がるところを見せたら、「信じられない」と言った。

2009年04月03日

Low-D Wheel Sets

Low-D Wheel sets on Weaver Trucks Low-D 車輪が納品された。前回から13年、製造所が夜逃げしたため、ノウハウごと消滅してしまった。その後、手を尽くして新しい製造所を探していたが、好景気で誰も見向きもしなかった。

 今回のトヨタ・ショックで、近在の工場はすべて閑古鳥が鳴いている状態になった。いくつか当たってみると、ぜひやらせてくれという工場があった。工作機械は新品で、5000万円もする物に入れ替えた途端、仕事がなくなってしまったのだ。

 話を聞いて、最近の製品サンプルを見せてもらうと、素晴らしい精度であることがわかった。ネジも「ISO 4mm細目でガタの無いようにできるか」と問うと、「自信がある」とのことで図面を渡し、見積もりと試作を頼んだ。

 出来てきた試作品を見て驚いた。こんなネジは見たことがない。ガタが全く感じられない。「工作精度の限界です。世界最高レベルのネジです。」という。

 温度管理が大事で、昼間は人間が付き添っていて、あまり精度の要らないものを作る。夕方になって油の温度が上がって一定になったところで、多量の材料をセットし、朝まで自動で作ると、同じものができるという。

 圧入も寸法誤差範囲を小さくしなければならないのでこの方法で作る。前回は絶縁材を介して圧入してあるところが、場合によっては弛みやすかったが、今回はロレットを軽く切ったので、回らなくすることができた。

 圧入の方法も全く新しいジグを作って、精度高く組み上げてある。長年、この工場ではカメラ部品を作ってきたらしく、細かいネジは任せてくださいということであった。

2007年05月18日

続 Kemtronの客車キット

Postal Storage Car 荷物車は80Ftのを作ったが73Ftのを2両製作中である。これは完全なスクラッチ・ビルトである。80ftの方には三軸台車が付いている。これは2軸台車を切り刻んで継ぎ足したものである。インチキ台車ではあるが、ちゃんとイコライズする。この車両のドアは、アメリカから帰ってくるときに、引越し荷物の中に紛れ込んで行方不明になった。そのうち再製作する。

Kemtron Trucks w/Ball beraing 筆者はボディーキットを長年に亘って蒐集したものの、台車が無く困っていた。5年ほど前、友人がKemtronの台車を手放しても良いと言うので全部買ってしまった。車輪は捨てて、自分の低抵抗車輪に嵌め替えた。同時にボール・ベアリングを仕込んだ。

 これで準備完了で一気に完成まで持ち込みたい。牽引機はPA-PB-PAE8のABB編成である。後者は現在スクラッチビルド中である。2年位のうちには完成させるつもりだ。

Kemtron Passenger Car Parts キットの構成は、側板、屋根、妻とドームの部品というところである。どれも厚い材料で作られている。治具を作ってはめ込み、大きなコテで一気に付けた。今なら炭素棒ハンダ付けでやるだろう。

2006年10月31日

急カーブを曲がるには

15' gauge truck w/swing bolster どんなに工夫をしても、軌間の10倍程度の半径では、内外のレイルの円周差が10%にも達し、フィレットではまかないきれない。

 軸重が小さい時はさほど大きな問題にはならない。摩擦力は軸重に正比例するからである。しかし重い車両のときはカーブでの抵抗は無視しえない。市電が交差点を曲がるとき、キュンキュンという音を立てている。あれはこの車輪のスリップ音である。標準軌の半径250Mでさえも、スリップ音が聞こえる。この音をフランジがすれる音だと勘違いする人は多い。超望遠レンズで前方から覗いてみても、フランジ側面が当たってはいない。

 しばらく前、近所のボランティア団体で15インチ軌道の豆列車を作ろうということになった。半径4Mを廻る必要がある。いきさつ上、筆者がその走り装置を作る羽目になった。計算してみると、人間が5人も乗っているとその摩擦力はかなり大きく、連結器端での出力500ワット程度の動力車でも、秒速0.5Mくらいが限度であった。要するに摩擦力はすこぶる大きい。並みの動力車では牽けないことが判明したのである。しかも、2台の客車を牽きたいという。

 こうなれば、左右の車輪を別回転にする以外ない。近くのNTNの技術者の長と知り合いになれたので、思い切ってお願いしてみた。ボランティア団体ですのでお金がありませんと。

 するとその方のお計らいで「研究用」としてサンプル供与をして戴いた。自動車の前輪用複列ボールベアリングその他一切を戴いた。簡単な作図の後、旋盤作業に取り掛かった。熔接機も出力7KWのを別の方から戴いた。

 鋼材屋からアングル、チャンネルを買い、チップソウ(鋼材を切る円鋸)で切断、ボール盤で穴を開け、組み立てた。近所の人は鉄工所を開業したと思ったらしい。1ヶ月ほどで2両分が完成した。

 内側揺れ枕付きで、この台車1つが39kgある。早速車体を取り付け試運転した。半径4Mでも走行抵抗は直線とほとんど変わらなかった。

Recent Comments
Archives
Recent TrackBacks
Categories
  • ライブドアブログ