貨車

2020年11月19日

貨車を仕上げる

 組掛けの貨車を一掃したい。5年前から自宅の整理をして、次から次へと見つかるキット等を組立て、破損したブラス貨車等を修理して来た。それが徐々に終盤に向かいつつある。もうこれ以上は出てこないことを願っている。
 スクラッチ・ビルトの貨車も、ケガキだけで終わっているのがまだ10輌ほどあるが、ケガキを捨てて、レーザで裏から抜けばそれも終わる。とにかく、「作りかけのものは無くしてしまえ」という目標を掲げてやって来た。車輪が不足していたのも、作れなかった一つの言い訳にはなるが、それも解決した。台車も3Dプリントして、高性能のものが沢山できた。 


 並べておいて、共通項目のあるものを同時に仕上げている。レイアウト関係の仕事が、Covid19の影響でやや遅れているので、ヤードの線路上に滞留している未塗装のものを順次塗っている。かなり進んで、未塗装はあと20輌弱だ。未組があと25輌ほどで、それが終われば完了する。この5年で120輌仕上げたことになる。

 貨車は350輌強が線路上にある。もう満杯で、置けない。自宅に持ち帰る必要もあるだろう。よくもこれだけ塗ったものである。車輪の数だけでも1400軸以上だ。Low-Dの再生産が進み、順調に出荷されつつある。今回は旋盤がさらに更新されたようで、これ以上は望むべくもないほど素晴らしい仕上がりである。走行音は極端に静かである。既製品のめっき車輪とは訳が違う。

flatcars この4輌の Flatcar は最近完成したものだ。手前の1輌は古いMGの事故品を再生したものである。隣接車輌へ渡る橋の部品が欠けていたのを作ったが、その部分だけ形が良くなってしまい、反対側も作り直した。Pennsylvania RR の貨車だが、UP塗りとした。

 その向こうのバルクヘッド付きの 3輌は、Quality Craftの木製キットを組んだものである。形になってから、15年ほど置いてあった。側面の仕上げが面倒で放置していたが、一念発起して完成させた。光硬化の接着剤を使ったのが決め手であった。
 黄色のTrailer Trainはマスキングして床板はオイルステイン色だが、手前の2輌は、マスキング無しで塗った。本物は再塗装する時に、そうしているからである。どうせ積荷に当たって傷むところを、マスキングする価値はないからであろう。
 例によってディカールはパリパリで、補強しないと貼れなかった。

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2020年05月17日

続 貨車の塗装

ACF Covered Hopper (3)ACF Covered Hopper (2) この青いホッパ車は1986年に目黒で買った。落下破損品を買ったのだ。ところが、長手方向が派手に壊れていて少し縮んでいた。切り外して叩き伸ばし、どちらかと言うと作り直した方が早いという状態であった。
 ともかく、30年以上掛かって修復し、見られる形になったが、側面には軽く凹みがあって、これは直せなかった。この凹みを伊藤 剛氏がご覧になると、”Authentic!"とおっしゃるに違いない。
 底の排出口あたりの出来が良くなく、いろいろな資料を見て作り替えたが、気に入らなかった。15年ほど前、テキサスの男が、Weaverの車輛の上廻りに、韓国で作らせた3-bayの下廻りを嵌め込むというアフターマーケットを作った。筆者も10輌分購入し、殆どはプラスティック車輛の改造に使ったが、2輌はこのブラス製品に使った。微妙に寸法が異なるので、かなり苦労して切り継ぎをしている。全部スクラッチから作るべきであった。おそらく半分以下の時間でできたであろう。

Rust-Oleum この青は80年代末にアメリカで買ったスプレイである。今でもあるRust-Oleumというブランドで、たまたま閉店セールで1本50セントで買ったものだ。黒、グレイ、銀とか黄色は大量に買って、引っ越し荷物で持ち帰った。一部は飛行機でも持ち帰った。そういう点では、非常に緩い時代であった。すべて使い尽くしたが、青だけはこの貨車に塗る以外、用途が無かったので、30年全く封を開けていなかった。ガスが抜けているのではないかと心配したが、全く問題なかった。中で顔料が沈殿していて、撹拌のガラス玉がまったく動かない。動くまでかなり激しく振動させる必要があった。さらに数分間振って見たが、最初は透明な液しか出なかった。ありがたいことに、その後調子良く霧が出るようになった。

 これはラッカ・スプレイではない。エナメル・スプレイでねっとりした塗料が噴出する。垂直面でも垂れず塗りやすいが、HO以下の模型には使いにくいだろう。塗膜がやや厚めであり、ディテールが埋まる可能性があるからだ。しかし、この種の大きな面のある貨車には、非常に適する。このエナメル塗料は不器用な平均的アメリカ人でも、まず失敗しないようにしてあるのだろう。固まるのに数時間を要する。朝塗って夕方取り込めばよい。つるつるぴかぴかに仕上がる。当鉄道の黒いタンク車数十輌は、ほとんどこのスプレイで塗った。ディカールを貼るのが容易で助かった。もちろん、あとで艶を抑えてある。

ACF Covered Hoppers この貨車のディカールも実在しないから、参考にはならない。とは言え、無いとは言えない。本物の編成を見ていると、剥がれた部分にあり合わせのディカール(本物でも同様のものがある)を貼っただけのものをよく見るからだ。否定の証明は難しい。 

 興味深い動画がある。たまに見る風景だが、ここまでのものは珍しい。 

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2020年05月15日

貨車の塗装

 外出が制限されるようになり、自宅に居なければならない。天気が良いので、塗装を始めた。夜準備をし、洗剤でよく洗う。長年の間に油汚れが付いているからだ。扇風機で軽く風を送っておくと朝までには完全に乾く。

ACF Covered Hopper (1) 外の塗装台に被塗装物を並べると、日が当り、ほどほどに温まる。コンプレッサをonにし、タンクに溜まった水を捨て、圧力を見て開始する。今回の貨車はGreat Northernにする。これはアメリカ人がブラスで作ったものである。キットなのか、スクラッチから作ったのかもわからない。これも手際良く作ってある破損品を安く買った。部品を作って修復するのに10年以上かかっている。この種の破損品は、現在のアメリカではとても安く手に入る。誰も直せないからだ。
 たまたま少し残っていたNYCの Jade Green(ヒスイの色)の始末をするのが目的で、それに僅かに黄色を足して作った glacier green (氷河の色) である。似ていれば良いので、適当である。
 貨車の色というものはもともと怪しいものである。殆どが日焼けして、さらに錆びている。この色が正しいとか、これはおかしいと言われても、そうでしょうかねという程度のことだ。完成時の色はどうなのかということなのだろうが、あまり興味が無い。
 艶を出して塗って、それにディカールを貼る。番号もごく適当である。ディカールは沢山あってちっとも減らない銘柄を、貼った。実物には無いはずの組み合わせだから、参考にされないようにお願いする。
 車輪を塗って、少し汚すとできあがりだ。十分な仕上がりになった。

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2019年10月05日

MKT covered Hopper

MKT CD covered  hopper このホッパ車はずいぶん前に紹介した。長らく色を塗れなかった。塗料も用意し、ディカールはDr.Yが作ってくださったが、上面のrunning boardが無かったのだ。

 入手した時の歩み板は気に入らなかった。加熱したプラスティック板を型に押し付け、印象を付けたものを張り合わせて構成してあったが、高さがおかしかった。足の長さが足らない、しかも本数が少ない。なおかつそれが弱い材料で、壊れた状態であった。
 この歩み板を自家製エッチングで作るつもりであったが、ある事情で断念した。それは近々、むすこたかなし氏が解説されるはずだ。大きな "breakthru" が必要だったが、それができなかったのだ。むすこたかなし氏は筆者の経緯説明を聞いて、すぐに解決策を開発された。思わず膝を打つ、簡単で素晴らしい工夫である。これはエッチングの手法に大きな進歩をもたらすであろう。化学屋として、誇りに思うことである。

 さて、金属製歩み板の製作でひっかかって10年ほど遅れたが、T氏が紙をレーザで切り抜く方法を紹介され、それを作ってもらった。エポキシ樹脂を薄めて沁み込ませてある。薄めるのは灯油である。シンナーで薄めると含まれているエステルが反応して固まりにくくなる。足はブラスで作り始めたが、今回の3Dプリンタが使えると気付き、お願いした。足の高さは完全に揃う。

 スーパーXで貼り付ければ、完成である。色はMKTグリーンを入手してあった。BNグリーンとは異なり、広葉樹の若葉の色である。MKTとは、Missouri-Kansas-Texas鉄道のことだ。


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2019年06月30日

Signal Red

UP cabooseSignal Red カブースの手摺り、はしご等は赤の警戒色に塗られている。この色が、日本で売っている塗料の中には見つからない。
 20年ほど前、赤の塗料をいくつか買って、条件を整えて色見本を作った。ある程度の面積を持つもの、線に塗ったものなどの見え具合を調べた。どれも不合格であった。昔撮ったコダクロームのスライドと比べると、その色は微妙に違ったのだ。
 この色は単純な赤より、僅かに橙色に寄っている。黄色を混ぜると、明らかに彩度が落ちるのが分かるから混合色ではだめだ。単一物でこの色を持つものは、一つしかない。

 Floquilの Signal Red という色がある。この色はずばりである。30年前、本物のカブースの廃車体から、塗料を削り取って、分析に掛けたところ、カドミウムが入っていた。カドミウム・レッドだ。カドミウムの硫化物 カドミウム・イエロゥ は黄色で、道路の追い越し禁止表示に使われていた。カドミウムと、硫黄の同族元素のセレンとの化合物は、この特徴的な赤を作り出す。陽に当っても褪色せず、その顔料がある限り、鮮やかな赤を示す。このフロクイルの塗料はカドミウム・レッドを含み、貴重なものであったが、もう手に入らない。

brake handlebrake handle24017_Backhead_20040426 UPの蒸気機関車のあちこちのハンドル類にはカドミウム・レッドが塗られていた。筆者が所蔵しているBig Boyのブレーキハンドルにも、塗られている。5枚目の写真はWikipedia からお借りしている。日本でも明治・大正期の一部の機関車には赤いハンドルがあったそうだ。

 最近はドイツを中心に広がった下らない環境保護団体の活動のせいで、カドミウムを使うことが禁止されてしまった。カドミウムは摂取してはならない、と主張している。本当にカドミウムが全く入っていない物しか食べなければ、人間は発育不良になる。カドミウムは人類にとって、微量必須元素である。あちこちで使われたものは、少しずつ溶けて現在の日本がある。
 道路の黄色の線の色が、最近は少し変わってきたことに気が付かれた人も居るだろう。有機物になったのだ。そうなると、徐々にカドミウムの不足が顕著になるだろう。筆者はいずれ、「カドミウム強化米」というものが発売されるとみている、というのは悪い冗談だが、決して起こりえないことではない。カドミウムは骨の中のカルシウムの代謝には必要なのである。多すぎるといけないが、なくては困るものなのだ。

 シグナル・レッドの残りが少ない。アメリカの市場でも枯渇している。なくなれば自分で顔料から作るしかない。あるいは油絵具から抽出することになる。

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2019年06月28日

narrow gauge

 これでF scaleは終了である。線路がかなりあるので、自宅の庭で試運転してみよう。耐候性がある材料なので、しばらく敷きっぱなしでも問題ないだろうが、犬が居るのでその点は心配だ。早く博物館レイアウトの完成に向けて傾注したい。


 細かい作業ができない日が続いたので、貨車で、マスキングが要らない物を塗装をした。延べ20輌は塗ったはずだ。

D&RGW2 その中に、これらのDenver and Rio Grande Westernの On3貨車群がある。ブラス製のかなり高価な車輛たちである。内2輌はパイオニアの製品だ。ハンダが廻っていないので、部品がぽろりと取れる。ひどいのは端梁が落下したことだ。全くと言ってよいほどハンダが付いていない。塗装前に念入りに調べて再ハンダ付けをした。こういう時は炭素棒は便利だ。磨き砂で磨いて、プライマを塗り、Floquilで塗った。Glazeをたくさん入れて、思い切り艶を出し、ディカールを貼りやすくする。 ディカールはあり合わせのものを切り刻んで貼った。正確かどうかは分からない。年代によって、標記位置が異なる。今まで殆ど注意して来なかった分野なので、資料探しも難しい。

 土屋氏が、On3の線路も少しは敷いて欲しいと希望されたので、簡単なヤードと三角線を本線脇に作ろうと思う。貨車は数輌が未組である。Oスケールの標準軌車輛に比べるとあまりにも小さく、なかなか難しい。この種のキットには、見えもしない床下機器を完全につけることになっているのだ。簡略化したいが、ターンバックルだけは、付けねばならない。ブレーキ装置は、ある程度は付ける。

D&RGW3 車輪の載せてある車輌は、クレーン車と組 (mate) になる。囲いは枕木を入れる場所だ。

D&RGW カブースは韓国製で、細かく出来ているが、実感が湧かない。綺麗すぎる。あたかも写真のように細かいのだが、細部が怪しいのである。床板に上廻りを取り付けるネジが不良であるし、どちら向きにもはまる。ネジの位置を1本変えておけば、いつも特定の方向に向けて床板を留められる。ブレーキ装置は向きが決まっているのだ。あまりにも重く、軸受が良くないので、油を注しても動きが悪い。また車輪の踏面の精度が悪く、ゴロゴロと音がする。これを改良するのは難しい。

 軽く砂埃を被せて終了。いずれ本格的にウェザリングをする日が来るだろう。

 筆者はナロゥゲージをそれほど深く研究しているわけではないので、標準軌車輛との対比材料として考えているだけである。

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2019年06月22日

続 F scale

hopper car この木造ホッパ車は、部品数200以上のかなり面倒なキットを組んだものだ。鋳物部品もあるが、それらは精度の高い硬い鋳物である。活字合金のような気がする。ヤスリが良くかかるので具合が良い。すべての木材は正確に切り出されている。削らなくても必ず合うのが良い。斜めのかすがいも、ぴたりと納まるのには驚いた。
 こんな正確なキットを作る人が居るのだ。飛び出したハンドレイルも、手が当たりやすいところだけは、ブラスの鋳物である。よく気が付く人が作ったことが分かる。ブレーキ・リギングは活字金製のようだが、あまり実感的でないので、ブラスで作り替えることにした。その部分だけを除いて完成だ。これも金属部品だけを塗装して、全体にウェザリングを施すとできあがりだ。

 ニューメキシコの Hartford という模型屋であった。2001年に土屋氏とシカゴに行ったときに、この模型屋に行きたいとのことで、地平線の見えるサンタ・フェ街道を 3日もかけて車で行った。遠かったけれども、楽しいドライヴであった。その時はRaton峠は通らなかった。そこでたくさん購入した物の一つである。この店は今は買い取られて、ユタ州に引っ越したようだ。
cabooseinterior 他にも flat car、gondola、caboose などがある。大きなものなので、耐衝撃を考えた作り方をしないと、連結時に壊れてしまう。カブースは車内まで作る部品があった。資料がないから大変である。博物館の蔵書を調べてそれらしく作るしかない。これは土屋氏の製作だ。塗装は非常に実感的である。内装は筆者が作っている。


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2019年05月13日

Nationalの台車

National trucks Nationalの丸い穴のあいた台車は、現物を見たことがある。もう40年以上前だ。不思議な形をしていた。UPのタンク車だった。写真を撮らなかったので、もう見ることもない、とあきらめていたが、たまたま開いた本に写真があった。

UP tank car 早速台車を取り付けて、写真を撮った。筆者の鉄道にしては、珍しく番号は近い。これはChampの見本帳を参考にして貼ったので、そこそこに正しい範囲にあったということだ。
 このタンク車は 50 ft でやや長い。ドームの周辺はテクスチャが異なるのが、お分かりになるだろうか。滑落防止のために砂が撒いてあるのだ。

 この貨車はアメリカに持って行ったことがある。皆興味があって、やり方を聞かれた。実は、艶出し塗装して、部分的に最大限の艶消し塗装をしただけである。
 十分 anti-skid の感じがするそうだ。

 この模型の台車にはバネを挿す穴が下から開いているので、不要な細いコイル・バネを差し込んでエポキシ樹脂を塗り、固めた。横からバネが見えるので、一瞬可動するのかと思ってしまう。バネは動かなくても本物を使うと効果があるという見本だ。
 人間は決して目だけで物を見ているのではないという実例である。脳が働いて見ているので、錯視が起こるのである。

(お詫び) 
 一部の方から、台車部の詳細が、写真が黒くつぶれてわからないとご指摘を受けている。見え方はブラウザによるらしい。Google Chromeでは良く見えるそうであるが、暗いことは確かなので、撮り直して写真を入れ替えた。  

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2019年04月21日

新しい台車を履く

UP caboose UPのカブースである。このカブースは塗装がおかしくて、すごく安かった。剥がして塗り替えるつもりなのだが、とりあえず埃を被せてごまかしてある。高速台車を付けてみると、こんな感じである。この時代に適合しないような気もするが、末期にはいろいろな組み合わせがあったので、これで良しとする。
 床下の道具箱やステップがこんな色をしているわけがないので、とりあえずそこだけ塗ってみようと思っている。

Rath Reefer イリノイ州の田舎から来た冷蔵車である。せっかくの台車が見えにくいが、Nationalである。この貨車は、ハーマンのところから貰ったものだ。組み掛けだったので、意図を汲んで製作した。ドアヒンジがなかったので、これも3Dプリンタで作った。本物の図面から作ったので、そのものずばりの形である。現物はヘンリィ・フォード博物館で見てきた。
 扉の鎖錠装置はあり合わせのものだが、非常に良くない。これも作り直す。屋根の色はいわゆる roof brown である。昔はこんな色の貨車があったのだという例として古い塗装で作った。

B&O Crummy B&Oのカブースだ。今までアンドルーズの台車を履いていた。コイル・スプリングであったので気分が悪かった。自作改造の怪しいリーフ・スプリングの台車に付け替えてあったが、気に入らなかったのだ。これでようやく安心して走らせられる。
 手摺は好みで白にしてある。本物は黄色が多かった。

 台車を履き替えると、気分が変わる。今までの鬱屈した状態から解放されたような気がする。車輪はすべて当鉄道の様式に塗ってある。平軸受の場合は外は油汚れの色、内側はさび色である。


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2019年03月28日

大陸横断鉄道というよりは

PCRC むしろ大洋連絡鉄道 inter-oceanic railroad と言った方が良いらしい。パナマ地峡を走る鉄道である。地峡は英語では isthmus という。(複数形はisthmi だったが、既に誰も使わない。)
  船内の案内映画で何回も音を聞いたが、筆者の思い込んでいた発音と一致せず、ピンと来なかった。thは読まないから発音は簡単だったのだ。7文字中5文字が子音という珍しい語である。子音が多いのはドイツ語やチェコ語にはよくあるが、英語には極めて珍しいパターンだ。喘息 asthma と同様、ギリシア語起源である。医学用語にはよくある。
 
 歴史的には世界最初の大陸横断鉄道であって、勝海舟らも乗った。長さはせいぜい 80 km弱である。昔はPanama Rail Road  PRRと言っていたが、最近はPanama Canal Railway Company  PCRCと言うらしい。旅客列車は両端に機関車を付けたプッシュプルである。短い区間を往復するので、そうしているのだろう。
 この鉄道は複線で、パナマ運河ができるまでは、世界で最も収益率の高い鉄道であったそうだ。これしかないので、とんでもない高額な運賃を取っていたのだ。通過貨物量も当時、世界最大であったという。今は単線である。
 
PCRC freight この鉄道は広軌であったはずだが、知らぬ間に標準軌化されていた。アメリカの鉄道会社が機関車、貨車を使いやすくするためだろう。旅客列車も走るが、コンテナを二段積みした貨物列車が走っている。長さは60輌程度が最大である。現在は単線である。いずれ複線電化が完成するだろう。

electrifying パナマ運河を巨大コンテナ船が通るのだから、船で運べば良い筈と思うのだが、実際には運河を通れない船もあるようで、鉄道の需要は大きい。輸入した2段積コンテナ貨車を使えば、運送コストが下がるのだろう。現在はKCS  Kansas City Southern Railway によって運行されている。KCSはメキシコにかなりの路線を持っている。  
 ディーゼル電気機関車が走るのだが、一部は架線柱が立ち、電化を目指しているようだ。この地域は水力発電が容易なので、電化のメリットが大きいと判断したのだろう。

 パナマ運河は長らく往復ニ線しかなかったが、新パナマ運河が平行してできたので、通行量は倍以上になったらしい。旧運河の幅は狭く、船の幅の広さは 32 mが最大であったが、新運河ではそれが49 m幅まで許される。しかも喫水が深くなったので、重い船も通れるようになった。

追記 インドの電化された線路をダブルスタックのコンテナ列車が走る動画がある。May.25,2019

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2019年02月19日

LVM の Big John

Big John's この貨車はエポックメイキングなものである。100トン積みのアルミ製ホッパ車はこれが最初である。Southern鉄道の発注により1963年に作られた。

 これらの模型はLVMのキットから作られた。二つ入手したので、何の問題もなく組まれるはずであった。ところが、部材の精度が極端に悪く、ブロックが直方体ではなかったし、側面の板がひどく湾曲して、矯正の方法が無かった。

 20年ほど、キットの箱の蓋を開け閉めしただけで、終わっていた。一念発起して新規に作ることにしたが、使った材料はハッチの蓋だけである。あとはフル・スクラッチだ。
 1輌目は20年ほど前に完成した。車体全体を無垢の木製にした。よく乾燥した材木(デッキの材料のカナダ産イェローシーダ)を正確にスライド丸鋸で切って作った。側面は航空べニアであり、連結部近辺はブラス製である。塗装してすぐ完成した(写真左)。その後多少のウェザリングを施したが、この写真では判らない。

 よくできたと思ったが、無垢は重過ぎた。2輌目も削ってあったが捨てて、中空の箱にした。と言っても10 mm厚の板を組んだ箱である。これはさらに20年掛かって完成した。今回は台車まで塗った。優れたプライマであるミッチャクロンがあるからできることである。いずれ1輌目の台車も塗ることになる。

 このような製作の場合、キット組みになるのか、スクラッチ・ビルトになるのかよく分からない。使ったのは図面とハッチの鋳物である。

 ディカールはもう一組持っているので、いずれブラスで作ってみよう。それほど難しいものではない。最近は3Dプリンタがあるので、細かい部品は作れるからだ。構造体さえできれば、わけなく完成まで持って行ける。 

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2019年02月17日

続々 神戸の行事

 ピギィバックは3種持って行った。本当は 89 ftを7輌持って行きたかったところだが、持って行く入れ物に余裕がなかった。

24ft trailer これは1960年ころ、UPが小口配送をしていた時のものだろう。 トレーラは 24 ft(7.2 m強)である。この模型は硬質ウレタンの鋳物だ。塗装は大変苦労したが、つるつるに仕上がった。あたかもブリキのおもちゃのようである。しかし、この種の材質の模型は、50年も経つと形が無くなっている可能性もある。それだけが残念である。
 この flatcar も、53ftである。

 89 ftの車には40 ftのトレーラを2台積んだ。J.B.Huntのロゴが鮮やかだった。

automobile carrier Autorack 自動車を3段積む貨車を塗った。こんなに透け透けでも塗料はたくさん要る。意外と表面積が大きな車体なのである。1,2段目に車を積むのは非常に難しい。載せてある車は植松宏嘉氏の愛車のジャガー2台と、1939年Hispano Suizaである。こんな高価な車を裸で運ぶわけはないが、縮尺が正しい車は手に入りにくいのだ。
 このUP塗装のものは珍しい。写真が載っている本を探し当てたので、それを参考にした。


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2019年02月15日

続 神戸の行事

watermelon car ventilated car 通風車も完成したので持って行った。ガラリのところの仕上げは、皆さんご興味があり、手に取って見て戴いた。3Dプリンタの威力をしみじみと感じたようだ。手作業では、まずできない仕事だからだ。

 フライスを使って等間隔、等しい深さに溝を掘って丸線を浅く入れるというアイデアは、納得できるそうである。深さが綺麗に揃っているので評判が良かった。ウェザリングはこの程度で良いそうで、やり過ぎではないそうだ。積荷がないので、ベアリング玉をスイカ塗装にして入れると良い、とのアイデアを戴いた。

 3Dプリンタの話題は尽きない。N氏からは、仕事上の様々な事例を教えて戴いた。ナイロンは湿気に弱いそうである。濡れると強度がかなり落ちるということで、強度試験は濡らして行うと良いそうだ。

depressed center flat car depressed center flatcar は少し積荷を工夫していった。放熱器をスキッドに載せ、木の板を挟んで積み上げた。あとはワイヤで張力を与えるようにするだけである。ワイヤは turn buckle で締め上げるようだ。

48ft trailer これは 48 ft (14.4 m)のトレーラを運ぶ貨車だ。日本にはない長さである。この時期は、様々な大きさのトレーラが出て来た時期で、53 ftの貨車を使っている。様々なタイプの貨車が設計され、一つの貨車に積むことをやめ、二つの貨車にまたがった積み方をするもの(貨車2輌にトレーラ3輌を積む)すら現れた。そうすると分岐などで車体が折れ曲がると、タイヤは多少スリップする必要があった。ブレーキは掛かっているが、無事に通過していたようだ。


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2019年02月13日

神戸の行事

 9日に神戸で行われた行事に参加した。都合20輌強を持って行った。どれも塗料が完全に固まっていず、臭いがプンプンする状態だった。筆者はエナメル系塗料を使う。触っても良いが、完全には固まっていない状態は1週間ほど続くのだ。酸素と結合して固まるので、時間が掛るのである。

wooden  gondola 古い貨車も用意した。この gondola 無蓋車は木製キットを組んだものだ。古いキットで、寸法が合わず大変苦労した。ソフトメタルの鋳物パーツも出来が良くなく、自作したものと取り替えているところがある。古い carcyclopedia を見て、ごく適当に作ったが、長い時間が掛った。足掛け20年以上かかっているが、ここで完成しておかないと出来そうもなかったので、思い切って完成させた。

 できたものがあまりにも綺麗で、そのままでは、人に見せるのが恥ずかしかった。適当に汚さねばならない。フロクイルのDust(埃)というのがあって、これは実に良い。もう売っていない。ストックは少なく、先行きが不安だ。

UP hoppers 多少ぶれていたので、まともな写真と取り替えた。ホッパを塗ることになっていたが、シカゴ近辺のものはたくさんある。当鉄道にはUP塗装が少ないことが分かったので、この色に塗った。ディカールはありあわせである。これも適当に汚した。車輪の外は車体色あるいは指定色(たいていは油でべとべと)、内側はさび色である。これは当鉄道のすべての車輛について、実行していることである。


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2019年02月11日

家畜車を塗る

13 UP cattle cars cattle car 家畜車を塗った。UP色はこれで13輌になった。もう十分である。プラスティック製が2輌、ブラス製が4輌、木製が7輌である。13というのは昔見たこの種の貨物列車が13輌だったからだ。それは1970年代前半のことである。UPの支線でGP9が牽いていた。カブースは側面にドアがあった。Droverが乗っていたのだ。ドローヴァとは、家畜の世話をする人である。この程度の輌数しか世話できないだろう。

 コンソリがある。これが走っているのを見たわけではないが、これに牽かせると似合う貨物列車だと思う。側線に留置しておける長さである。カブースをスクラッチから作り、コンソリを塗って完成させるのが今年の目標だ。

 木製の貨車は素晴らしい。組むのにかなりの手間がかかる。エポキシ接着剤もたくさん要る。塗装は下塗りが大変である。塗料が浸み込むので、サーフェサを浸み込ませて固めて置く。ある程度研いで、中塗りをし、上塗りという手順だ。ブラス製は塗装が楽であるが、金属製の家畜車は良くない。木板の部分を薄い材料で作るので、実感がないのだ。さりとて厚くすると重くて持てないだろうし、シアで切ると切り口がダレる。

 妻と屋根は渋い銀に塗り、赤い文字のディカールを貼る。このディカールもDr.Yに作って戴いたものだ。Champ のディカールはもう手に入らないのだ。

 筆者としては、もう家畜車を作ることは無いだろうと思う。木製キットを組むのは大変で、もうやりたくないというのが本音だ。

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2019年02月09日

貨車の積荷

wheel car flatcarには何か積まないと、妙だ。ジャンク箱に車輪を積む cradle があった。ソフトメタルの怪しい鋳物である。クレイドルは「ゆりかご」であるが、ここでは車輪を載せる。積み下ろしをしていると塗装が剥げるので、下塗りを念入りに施した。ミッチャクロンは効果絶大である。2Lの缶入りを買ってきたので、惜しまず使える。

 O scaleの車輪を積むことにした。あっという間に完成だ。積荷はジャンクの怪しい韓国製の車輪を載せたのだが、フランジの形が気になって、結局のところ、Low-Dを載せている。この写真では、手前から、NWSL、 Low-D、韓国製の順である。積載量から考えると、車輪は2段、3段に積むべきだろう。

depressed center flatcar derpressed center flatcarという貨車がある。1950年代のModel RailroaderにHOのこの貨車を作る方法として、アクリルガラスを切り、木型に挟んでオヴンで加熱して塑性変形させる、という方法が紹介されていた。O scaleでもやってみたが、あまり芳しい出来ではなかった。
 All-Nationという模型屋は、アルミ鋳物を売っていた。価格は$9.99であった。出来が悪く、当時としては高いと感じ、買わなかった。昨年、O scaleのショウでジャンクで$9で買った。50年経つと1割引だ。出来が悪い鋳物で鬆(す)があった。
 パテで埋めて研いだが、感心しない。積荷で隠せばよいと気付き、HOの変圧器キットを組んだ。碍子その他は捨て、運送時の姿に作り替えた。時々、この変圧器キットを組んで、碍子付きで運んでいる模型を見るが、ありえないことである。振動で碍子が折れるだろう。この写真を見て、番号を貼り忘れたことに気が付いた。

 skidを組んで載せた。スキッドはパレットとは異なる。使い捨ての木の台のことのようである。家を建てる時に古い煉瓦を数トン輸入したが、スキッドに載せて来た。スキッドは壊して薪にした。
 冷却装置は外して積む必要がある。その木枠はまだ作っていない。仮にパレットに載せた。この冷却装置を付けたまま、積載した模型を見ることが多いが、ありえない。壊れてしまう。
 筆者が中学生のころ、郊外にかなり大きな変電所ができ、大型の変圧器が多数運ばれていくのを、毎日観察していた。たくさんの車輪を持つシキが使われ、それを運ぶ巨大なトレーラもよく見た。狭い道をうまく通り抜けて、運んでいった。

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2018年12月13日

covered hopper cars

 最初に住んでいたところがUP沿線であったことも大きな要因だが、このカヴァード・ホッパが好きである。一体何輌あるのか数えたことは無いが、おそらく80輌以上あるだろう。ブラス製、木製、プラスティック製の混合である。博物館が開業したら、すべての roster(在籍表)を作らねばならない。

 先回の大捜索で、ブラス製とエポキシ鋳物製がいくつか発掘された。その話をすると、友人が、
「dda40xさんのところには埋蔵金がありそうだね。」
と冷やかす。確かに、もうないと思っていても、再調査で数輌ずつ発掘される。
 ブラスの定尺板の使い掛けもかなり出てきた。何枚か買ってきて一部を使い、それをどこかにしまって、忘れるのだ。戸棚の後ろの隙間から3枚も出て来たのには、さすがに驚いた。埋蔵金属は、確かにある。
 
 さて、発掘されたホッパは時代がやや古い。1960年代の車輛だ。それらは、Locomotive Workshopの半製品、破損品である。アメリカで安く買ったものばかりである。
 Car Cyclopediaを見ても見つからないタイプもある。そうなると、ごく適当にごまかして作るしかない。塗装して編成に紛れ込ませれば、誰も気が付かないものだ。手持ちのディカールの使える形にまとめてしまおう。

 塗装するだけの生地完成の状態になったものが40輌ほどある。1日に10輌は塗れないので、かなりの日時を要する。これから天気が良い日を選んで、順に塗っていきたい。

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2018年12月07日

続 watermelon car 

 通風扉(ventilation door) を作らねばならない。それらしく作るだけだが、部品数が多く大変である。なるべく簡単に作る工夫をした。
 まずt0.6 快削ブラス板を固定して、Φ0.5のエンドミルで溝を掘った。間隔はインチサイズだから、DRO表示をインチに切替えて削った。こういうことは楽になったと思う。それを短冊に切り、型紙の上に並べる。 

ventilation door1 Φ0.5のリン青銅線を入れるのだから、深さを0.25 mmにするのが普通なのだが、経験上浅くする。0.15 mmである。こうすると二枚合わせた時、底衝きしているのである。板は多少は反っているので、厚さ方向に一定の深さに削れる訳ではないのだ。線が中で踊るよりも、底衝きしていた方が揃って見える、というのが筆者の見解である。
ventilation door2 手前側の一枚にリン青銅線をコテでハンダ付けする。ハンダは多めにする。この写真はそれを表から見たところである。そしてフラックスを薄く塗った二枚目を重ね、炭素棒の太いピンセットでつまんで通電すると、1秒で完了である。冷えるまでそのまま3秒ほど待つ。

 最初のハンダ付けで、線の配置が多少ばらついても、重ねて挟むと、有無を言わさず揃った位置に落ち着く。隙間にはハンダが埋まる。

ventilation door 針金が留まったら、横桟の端を仕上げて縦桟を付ける。ハンダ付けはアッという間に終わる。あとはラッチとか小さな金具を付ければ、塗装への準備が整う。
 塗装後にドアをはめて、下のレールに外れ留めを接着すれば完成だ。  

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2018年11月29日

watermelon car

watermelon car ACL ウォータメロンとはスイカのことである。スイカを出荷する時に用いた専用貨車がある。友人の Bill が、
「これはOスケールで最も珍しい貨車だぞ。この模型は他に持っている人を見たことが無いんだ。」
と自慢したので、いつもそれを探していた。5年目くらいに e-bay でキットを見つけた。接戦で勝ったが、少々高かった。

 箱の蓋を開けて驚いたことに、それは All-Nation による再生産品であった。オリジナルの良さがなく、ディカールはプリンタで印刷したものが入っていた。図面は不正確で(それはオリジナルと同じ)あったが、材料は直角に切れていた。この程度のものなら、スクラッチから作っても大した手間ではなかった。多分ブラスで作ったろう。
 
 ある程度の形までは出来たが、妻面の通風窓をどうやって作るかが問題だった。様々な方法を考えた。伊藤剛氏の手法で斜めの部分を揃えて作ることも考えたが、あまりにも大変で、そのまま10年以上、棚の上で昼寝をしていた。添付された図面の寸法はいい加減で、その通り作るとおかしなものになっただろう。通風窓の大きさが小さかったのだ。

ventilators 先日 3D プリンタの話が出たので、ついでにこれもお願いした。できて来たものは、実物通りのフランジが付き、完璧なものであった。これは高精細のアクリル製である。斜めのシャッタ板はS字断面を持っているので、それを滑り込ませ、エポキシで固めた。妻板の孔を拡大し、取り付けた。サイズは1辺が15 mm弱だ。黒いのは側面をダイヤモンドヤスリで磨った時の粉である。

watermelon car3watermelon car2 これらの角度から見ると、なかなか素晴らしい。小さなものなので、寸法を揃えて手で作るのは難しい。こういうものこそ3Dプリンタの効果が出る。
 ここまで来ればできたも同然で、後は通風扉である。風通しの良い格子になっているので、細い線を正確にそろえて張る必要がある。機械加工で作れば自然に揃うだろう。0.5 mmのエンドミルで溝を彫り込めばよいのだ。
  
 扉は密閉扉と通風扉とが選べるようになっている。即ちレイルは開口部の左右に伸びていて、2枚の扉が動く。この貨車は、輌数が少ないのに、ヴァリエィションが多いようだ。どの写真を見ても形が違う。

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2018年11月15日

HO scale キット

HO and O scale UP cabooses HOのキットが発掘された。おそらく35年ぶりに日の目を見たのである。筆者が組んだ唯一のHOキットで、ある方に進呈しようと思って購入したものだ。ある程度出来たところでアメリカに行ってしまい、そのまま忘れていた。その方は既に他界され、行き先がないので、博物館で大きさの対比の指標にするつもりだ。

 後ろにあるのはOスケールのカブースである。相似形だ。やはり、HOでは鋳物のざらつき、側面の板張りの様子などが、これ以上細かくできないので拡大すると良くないだろう。

 ここまで出来ていたので、少し手を入れれば完成する。問題は、色をどうするかだ。ディカールは2色入っていた。一つは黄色ボディ用、もう一つは red car 用である。この "red" が問題なのだ。上の写真で、模型の下敷きになっている説明書の写真に注目されたい。車体色が暗いので赤だと思う人も多い。

 説明書を見ると、Scalecoat の caboose red を塗れ、とある。これはおかしい。UPの red caboose は赤くないのだ。1948年以前は boxcar red いわゆる鉄錆をもとに作った茶褐色の顔料である。その辺の普通の boxcar の茶褐色である。この間違いがアメリカ中に広がり、一時期製造元のBob Weaver氏は釈明に追われた。塗り直す時にはディカールを無償提供したと聞いた。
UP red caboose この写真はAjin製のブラスの鋼製カブースである。この色は正しい。台車は未交換である。

 アメリカの鉄道界で "red car" という言葉には二通りの意味がある。いわゆる赤とこの茶褐色である。 あちこちでこの種の間違いはある。日本でも赤を塗ったUPカブースを持っている人は居る。Champ のディカールの説明書にも、"red car" とあるからだろう。罪作りな話だ。 


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2018年11月13日

続 Ambroidの木製キット

sections Ambroidのキットは、このような繊細なセクションをもつ部材からなる。細いアングル、チャネル、Iビーム、Zセクションなどが入っている。右から5番目はTセクションであるが、倒れている。申し訳ない。

 このような細い部材を作るノウハウがあったのだろう。bass wood(シナノキの一種)をよく切れる回転刃物で削り出すのだ。細いものは厚みが 0.5 mmに満たないものもある。型材以外に平角材があるが、その厚さたるや 0.4 mm以下のものもある。

 木材であるから繊維の向きには割れやすい。開封したらすぐにラッカ・サーフェサを塗って固めてしまう。こうすることによって、安全に作業できる。切るのは薄刃のカッタ・ナイフである。新しい刃を使うのがコツだ。チャネルなどを切る時は、凹みに合わせた木材を噛ませて切ると、割れない。

 スティール・ウルを使って、下塗り材のザラつきを落とす。部品を接着してから、再度サーフェサを塗り、研ぎ上げる。最低2回、出来れば5回塗ると金属と見間違えるようになる。チャネルの溝の中は細いヤスリで磨く。

 先回の写真で側面パネルについているリブは、厚みが 0.5 mm以下である。非常に繊細であって、完成時に細密感を際立たせる部分である。

covered hopper floor 床の構造は車種によって異なるが、この写真のタイプはよくある。薄板を嵌め込む溝を床板に切ってあり、それが連結器取付け板となる。非常によくできている。この写真は裏から見ている。

 ボルスタは、線路方向に”目”がある。長いものをルータで削り出して、それを10 mmほどに切ってある。これも非常に良い形をしている。
 どこで読んだのか忘れたが、「割れやすいからこの構造は良くない。」と断定する記述があった。決して悪くない。その人は割った経験があるのだろうか。筆者は100輌以上作ってきたが、1輌たりとも割れたことは無い。床板に貼る前に孔をあけてネジ込めば、割れるかもしれない。それはあまりにもマヌケなやり方である。床板に完全に接着してから、ネジを締めるのが常識というものだ。経験の足らない人が、思い込みで良いものをけなすのは、悲しいことである。

 HOとOのキットは互いに相似形である。Oは1000、HOは5000の生産が通例である。このようなキットは、生産されていないようだ。機械、ノウハウが消えてしまうのはもったいない。

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2018年11月11日

Ambroid の木製キット

 アムブロイドは1960年代からこの種のキットを出している。HO も出ているが、Oゲージの模型の方が出来が良い。その違いはサイズから来るもので、HOの設計が拙いわけではない。木材にはある程度の粗さがあるので、HOではその粗さが相対的に大きく、消しにくいからである。 

Ambroid kit boxAmbroid Cement 1980年代はこんな箱であった。1ロット1000箱ぐらいの製造である。精密に加工された木材が入っている。細かい部品はソフトメタルである。接着は当然 Ambroid Cement を使うのだが、かなり良く付く。水性ボンドを使うと木材が反る。エポキシはその点、問題がない。

Ambroid kit airslide hopper の蓋を開けたところである。原寸大の図面とディカールが入っている。
 最初は骨組みからである。この部分は木の板を正確に切ってあるから、直角ジグで正確に貼り付ける。その後は徐々に材料を切りながら、組んでいく。木製部品は、予めラッカ・サーフェサを塗って研いでおく。金属部品はバリを取り、そのまま付けられるか、確認する。全体の質量がいくつになるかを調べ、計算して補重する量を決める。この車種なら80 g位だ。
 鉛を秤量して錘を作る。内部に取り付ける時には、ショックで外れないように押さえを作って、エポキシ接着剤で留める。場合によっては、鉄骨の切れ端を入れることもある。

Ambroid kit2 これは骨組みを示したものである。床板は幅の広い、浅い溝が切ってあって、薄い板をそこに嵌めると連結器が付く部分ができる。薄いと弱いので、部分的にブラス板に取り換えても良い。

 エポキシ接着剤を使って作り始めると、大体2週間かかる。固まるのに一晩掛かるからである。この種のキットはブラス製とは違って、ずっと連続して作ることができないことを承知していなければならない。だから、複数を同時に作ると効率が良いわけだ。


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2018年11月09日

red cabooses

 ”Red Caboose” と書くと、どこかの模型屋の商号である。あるいはカブースを改造してホテルにしているところもある。

 これらはQuality Craftのキットから組んだものである。何とも言えない雰囲気があり、筆者の好きな車輛群だ。カブースは木製のものが良い。スティール製は味気ない。問題は台車である。ぴったりのものが見つからない。既存のコイルバネのものでごまかしているが、いずれ取り替えたい。

Erie Railroad caboose Erieのカブースは筆者の最初の作品である。多分1977年製だろう。ちょうど事故車のErie の Heavy Pacific K5aを手に入れた直後だ。機関車は、徹底的に作り替えてよく走るようにしたが、まだその時は客車がなかった。仕方がないので短い貨物列車を牽かせて遊んだが、カブースを必要とした。このキットが入手できた時は嬉しかった。Ambroid Cementで組み立ててある。塗装はフロクイルだ。

B&O caboose B&O I-5タイプは、その10年後くらいにEM-1を入手した時に作った。台車には困った。合うものがないのだ。ごく適当にAndrewsを付けているが、誰からも指摘を受けていない。
 写真を見て手摺に白を入れた。黄色のものが多い。 ウェザリングしていないので、赤が鮮やかだ。


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2018年11月07日

続 all-door boxcar by Thrall

all-door boxcar ceiling 先回の写真の内、三つ目の車輛は、ドアを片方に寄せて荷役作業をしている時を表している。ドアが重なる様子を作った。

 この種の車輛は全スパンに亘って屋根の支えがない。即ち、屋根の剛性を確保するためにかなり努力している。H型断面の鋼材を入れて見たり、Iビームを付けたりしている。筆者がたまたま見たものには、トラスが入っていた。きっと他の構造もあるだろう。

 開いているドアは空中に浮いているので、ブラス板で作った。かなり重い。ドアを開けたまま走ることは禁止されているので、これは走らないディスプレイ・モデルである。連結器もケィディではない。

 積み荷は、レーザで切った物を売っていたので、貼り合わせて作った。ランダムに積んだ様子を表している。実際にこのようなバラ積みも見た。実は筆者の住宅はキットの状態でアメリカから買ったが、その工場の側線には、この貨車がたくさんあった。

 あれから30年以上経つ。この種の貨車は急速にその地位を失い、現在では博物館でしか見られない。積込みの方式が変化したのだ。今はセンタビーム・フラットカーを使う。これはドアがないので荷役作業が楽である。たった一人で積み込みができる。積み荷には簡単な雨よけが付いていて、車内に入れる必要がなくなったのである。 

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2018年11月05日

all-door boxcar by Thrall

 1970年代には、この貨車をあちこちで見た。荷役作業をしているところを見ると非常に面白い。どのドアも開くので、直接フォーク・リフトを使って積み込む。中にはほとんどバラ材に近いものを積むのも見た。それが印象に残っていて、いつか模型を作ろうと思った。1976年にこのキットを手に入れた。硬い床用塗料を塗って固め、ラッカ・サーフェサを何度も塗って研いであるので、つるつるである。誰も木製であるとは信じないくらいの仕上がりだ。しかし、形はすぐできても、色が難しい。

colors of boxcars 何枚かの写真と記憶にある色を組合せて塗ってみたものが一番下である。被写体の車輛の経年変化の程度もあり、参考にした写真の色再現性の問題も絡めて、塗った時は正しいと思ったのだが、ディカールを貼る瞬間に間違ったことに気付いた。ヘラルドの色と近いのである。地の色はもっと薄い。それからこの模型を見るたびに、様々なことが思い出され、気分が滅入った。

 10年ほど前、模型ショウのスワップ・ミートで一番上のを見つけた。この人も色では失敗している。筆者のより、濃く塗っている。上から二つ目はフロクイルのWeyerhauser greenを塗っているようだ。調色塗料なので一応色相は合っているが、本体の構成が派手に間違っているのと、塗装が薄くて下地が透けているのが問題だ。どちらも10ドルほどで買った。

 これらの造作を全て外して下地を整え、細かい部品を作り替える。塗装は完全にやり直し、ディカールも貼り直す。何のことは無い、一から作るのとそう変わらないのだ。白く塗ったもの緑のものと合わせて、完成すると7輌揃う。

 この模型は、HO、Nでよく見る。人気があるのだろう。しかし実物を見たことがある人は、少ないはずだ。

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2018年11月03日

木製キットを組む

wooden kits completed 自宅の倉庫その他の大捜索で発見されたキットを博物館に持ち込んだのは半年前である。博物館の作業台はとても広く、開いた状態で並べて置ける。
 毎日の作業の前に点検し、組立て手順を考える。同じ種類の作業は昼休みにやり、帰り際にはそれを接着する。一晩経てば完全固着しているから、次の工程に入れる。これを毎日やるとかなりの進捗である。

wood cabooses ざっと40輌が9割以上の進捗度である。船で言えば、進水式を終えた状態である。台車、連結器が付き、走れる状態になっている。
 あと手摺を付ければ生地完成のものがたくさん並んでいる。木製カブースがなかなか良い。かなり細かく出来ている。側板は羽目板を表す細い筋がたくさん入っていて、それに角孔をあけて、ホワイトメタルの窓枠を入れる。
 キュポラもホワイトメタルで重い。その屋根は薄い木板である。このあたりが弱いので、ブラスで作り替える。キュポラは外れないと窓ガラスが入らないから、ピンを植えて本体に挿すようにする。物によってはブラスの屋根板を磁石で留めている。

 これらはAmbroid のキットとQuality Craftのキット、それと後者の後継者のGroor Craftのキットである。1960年代はこのようなキットがたくさん出ていた。筆者が集め始めたのは70年代である。その後、売れ残りを見つけたら買い求めた。50輌以上あるだろう。殆ど定価で買っている。安くはなかった。投げ売りが始まったのはこの10年である。Gloor Craftは 人気のあった機種を再生産して儲けた。 

 Ambroid は接着剤のメーカである。この種のキットを売り出したのは、その販売促進用だという説すらある。その接着剤は、樹脂を溶剤に溶かしたものをチューブに入れている。すこし粘り気の多いセメダインCのような感じであり、”Amber(琥珀)に似た物”という意味の言葉である。そんな色をしている。昔はそれを使っていたが、最近はエポキシ以外使わない。経年変化が怖いからだ。

the brace この写真は自動車輸送車の一部である。実はこの貨車は未完成である。筋交いは車輌中ここだけに付く。点対称の位置、線対称の位置には無い。手ブレーキを締めた時に床が歪むのに対抗する。沢山のお答えに感謝する。 


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2018年10月30日

続々 長い貨車

tri-level autorack 長い貨車の幅はやや狭い。紙の上で曲線上の車体を描いてみると、内側が当たることに気付く筈だ。車端はオウヴァハングが少ないので大したことは無い。
 普通の貨車よりやや狭い。客車と比べるとさほど長いわけもないが、急曲線を通すことを考えているのだろう。本線上は全く問題ないが、積み下ろしする引込み線はかなり急曲線だからだ。

test シュナーベル型の大物車はその点かなり考慮している。積荷部分が左右に油圧で動かせる。当たりそうなときはずらすのだ。
 シュナーベルの運行を見たことがある。弱い橋を通るときは最徐行である。高速だと衝撃で橋が落ちるからだ。


tri-level autorack of brass 自動車運搬貨車の積載許容荷重は意外と小さい。自動車は平均密度が小さいからだ。1台2トンとしても、15台で30トンだ。この動画は素晴らしい。
 この車種を好きな人が多いが、自作する人はまれだ。ほとんどの人は完成品を不満を持ちながら買っている。この記事にはレーザ加工で作る話がある。暇になったらやってみたい。自動車の模型は高価であるから、完全閉鎖型を作ると安くできる。自動車の形に切り抜いたシルエットを入れると、それらしく見えるかもしれない。
 写真の車輛はあとハシゴとブレーキ装置を作れば完成だ。渡り板は1枚ずつ作った。本当はフライスで溝を切る予定であったが、裏が網目板なので角材を貼った。ブラス板製だから丈夫である。かなり荒っぽいキットだったので、自作と言ってもおかしくない。キット中のアングル、チャネルは使ったが、その他は自前である。ハンダが汚く見えているが、塗装すれば問題ない。 

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2018年10月28日

続 長い貨車

auto carrier3 1段目を接着している状態を示す。これは、ゴムの代わりにテープを使っている。錘はまだ載せていない。接着部は点接触のように思うが、意外にたくさんの面積で接触しているから、かなりの強度で接着されている。おそらく、走行時に軽度の脱線事故があっても生き残るだろう。支柱は1本 6 g ほどで、24本あるからそれだけで 150 gである。未組の時、箱が重くて驚いたことを覚えている。

 この貨車は突出している部分が多いので、その部分は念を入れて接着する必要がある。たとえば隣の貨車との接続部には、渡り板がある。これを接着する時には、接着面をよく削って平面を出し、硬化時間中は適当な保持具で押さえねばならない。
auto carrier5 筆者はヤスリを用いる。目の立っている部分を使うと簡単に押さえることができる。接着面は小さな面積ではあるが、垂直に隙間なく圧着されていると、よく付く。この方法はハンダ付けに時にも役立つ。

auto carrier4 Xブレイスなども、すべてエポキシで付ける。二番目の写真の右上にある二液性エポキシ接着剤は、2つのシリンジが平行している。押せば自動的に等量出るので具合が良い。大きく "5 minutes"と書いてあった。多少古いものを、アメリカのバッタ屋で大量に買った。それ以来5年も経つが、問題なく使える。持ち帰るとき嵩(かさ)を減らすためにブリスタ・パックを捨てたので、何というブランドか分からない。多分これだろう。もう残り少ない。
 5分というのはいわゆる"working time"(付け外しが可能な時間)で、"setting time"(硬化時間)は15分である。未混合では硬めだが、混ぜると粘り気が減るから、隙間の上に盛り上げておくと、毛細管現象で吸い込まれてしまう。ぬれが良いのだ。

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2018年10月26日

長い貨車

 1970年代のアメリカの鉄道では、85 ft(約26m)クラスの貨車が急速に増えていた。そのころは貨物列車を見て、新車を探すのが楽しみであった。この Autorack  車載専用車は3段でたくさん積めた。乗用車は15台載せていた。当時は現在のような屋根や側板はなく、開放型であった。長さは徐々に伸びて 89 ft(27 m強)まで行った。

 この貨車が好きで、都合4輌作った。1輌目は別会社の木製キットで1970年代に完成させた。実に難しいキットで、苦労した。接着部が少ないので、ショックに弱いだろうから、走らせられない。展示用だ。その後90年代に金属製キットを入手したが、単なるチャネルと板の詰め合わせであった。これがキットと言えるのか、という程度のものであった。図面も怪しく、実感に欠けるところがあったので修正した。ハンダ付けなのでジグも要らず、作るは容易であった。組み立てたものは10年も行くえ不明であったが、最近発見された。重く600 g以上ある。補強材を足したためである。少しディテールを付ける必要があるので資料を当たっている。

 今回のキットの2輌は支柱がホワイトメタルでその他が木製である。支柱は24本あって、それに3段のラックが載る。接着している間にどうやって保持するかで悩んだ。友人は考えた末、「不可能だ。」と言った。しかし、何とかして組み立てたかった。

auto carrier2 丸一週間悩んで、ついにある方法を思いついた。側面の枠だけを型紙上で接着してしまう。つまり、格子状にするのだ。それを床板の隅に引っ掛けて二段目のラックを支点に上端を輪ゴムで軽く締める。仮留めはマスキング・テープでも良い。そうすると支柱の弾力の範囲であるから、支柱は床の隅に密着して留まる。もちろんある程度の錘をラックに載せると密着が良くなる。5分間エポキシを使った。

assembling autocarrier 支柱はかなり硬い合金で、曲がったりはしない。普通のホワイトメタルとは違う。ヤスリを掛けると快削であることがわかる。たまには捩じれているのもあるので、事前に修正するが、とても硬い。

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2018年10月24日

床下

 筆者は床下は徹底して省略することにしている。シルエットにはこだわるが、線路際で横から見て、見えないものは一切付けない。
 貨車のキットでも、低床の場合は床下が全く見えないので、何も付けない。その場所に活字金などで作ったウェイトをどっさり付けることにしている。

Trailer Train (2)Trailer Train そう言う筆者も、さすがに省略できない貨車がある。このトレーラ積載貨車は床が比較的高いのと、側板がほとんど無い車だから、丸見えである。床下には太いspine(背骨)があり、それにrib(肋骨)が生えている。スパインには活字金が満載だ。リブには補強もある。この三角のリブにはさらに前後3枚ずつ6枚の補強板が付く。

 ブレーキ管も丸見えである。こういう場合は付けざるを得ない。最近、発掘された5輌を含め10輌を完成させている。もう無いと思っていた貨車キットが先日どっさり見つかった。安いものは記憶に入っていない場合があるのだ。この10年ほど、木製のキットは組める人が居なくなったらしく、捨値で出ることがある。1輌7ドル、5輌で30ドルほどで買っているのだ。
 尤も、必要な物(台車、車輪、連結器、ディカール)は1輌当たり、30ドル見当掛かっているので、それほど安いわけではない。一番安上がりな調達方法は、台車と連結器が付いたボロボロの貨車を買って、車体を捨てることだ。それでも車輪とディカールは必要だ。
 そういう安いものを買うと、帰国してそのまま棚の上に上げて、そのままになる。

 レイアウトの作業が終わった後、帰り際の2時間程度の時間を振り向けている。夜間に接着剤が硬化するので具合が良い。2液性エポキシ接着剤を多用している。木材に浸み込んで固まるので、強力接着ができる。圧着にはブラス塊、鉄塊を用意してあるので、それらを載せて待つ。こういう作業には数時間で固まるものが適する。

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2018年09月18日

leaf spring

leaf spring この写真はUPのカブースの台車を取り替えたものである。このタイプの台車があったかどうかは別として、少々工夫したものである。間違って多過ぎる窓は、塞いで埋めた。リヴェットを打った板を貼って丁寧に削り、段差を無くした。

 貨車の台車はコイル・スプリングで懸架されている場合が多い。コイル・スプリングは 摩擦損失が殆どないので、振動が減衰しにくい。普通の貨車はともかく、カブースは、それでは具合が悪い。乗員が振動(共振振動数の問題が大きい)でどうかなってしまう。客車のような減衰力のあるバネで懸架されるべきだ。
 模型の台車のうち、リーフ・スプリング(重ね板バネ)を付けているものは少ない。仕方がないから作る。バネの形をした鋳物を半分に切り、台車のコイルバネの部分を削って、嵌め込む。ハンダ付けかエポキシ樹脂で接着する。

 たまたまリン青銅板でできたバネを見つけた。KTM製のローラ・ベアリング台車のコイルバネを外して嵌めると良さそうだということに気が付いた。後述するが、かなりの手間を掛けて嵌め替えに成功した。同時に、ボールベアリングを仕込んだ。もう一回やれと言われても、やりたくない面倒な工事であったが、取付けに成功した。

 この台車はKTMの製品中、断トツによく出来ている。アイデアはケマルヤン氏で、設計は酒井喜房氏である。軸の摩擦が少なく、長持ちする。この車輪の形状が不思議なのである。


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2018年07月02日

cabooseの台車

 カブースを手に入れると、懸案事項が一つ増える場合が多い。カブースの台車は客車と同等の乗り心地が必要だから、減衰力のあるリーフ・スプリングを必要とするからだ。
 台車が手に入れば良いが、そうでない時は作らねばならない。たまたま手に入れたリーフ・スプリングの鋳物を切ってハンダ付けする。大きく飛び出させると良い。鋳物が無い時は、薄いリン青銅を曲げて作る。末端の部分には針金を入れて締め、それらしくする。何か出ていれば十分であると考えている。

 伊藤剛氏が、「ペチャパイではいけません。少し誇張するぐらいに飛び出させるといいのです。」とおっしゃったので、それを守るように心懸けている。
caboose truck 2caboose truck 作例は Lobaugh のベッテンドルフのカブース用である。鋳物の出来が良くなくて、リーフ・スプリングがほとんど飛び出していない。フライスで切り込んで四角の穴をあけ、そこに直立するようにリーフ・スプリングの半分を立ててハンダ付けする。比較的大きな鋳物であるから、ガスバーナで加熱して完全にハンダを浸み渡らせる。


 ロボゥのカブースは重く、500 g 以上あるから、ボールベアリングが必要である。座グリドリルで沈めて、取り付けた。
 ボールベアリングを取り付ける時に、台車枠の中で車輪が左右に動かないように、ぎりぎりの寸法にする。こうすると走行が安定する。また、キングピンには薄いゴム板のワッシャを挟むと、音が静かになる。

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2018年06月26日

木製キット

 逆説的ではあるが、木製キットは長持ちする。法隆寺は1000年以上持っている。接着剤はエポキシ系のものを使わないとダメである。いわゆるホワイトボンドは長持ちしない。これは伊藤剛氏の意見でもある。剛氏はどんな材料が長持ちするかをまとめて、クラブ内向けに発表されたことがある。

 80年代まではアメリカには木製キットを作るメーカがたくさんあった。Basswood(シナの木の一種)で作られたキットは有名であるが、パイン材(松の一種)のキットもすばらしい。日本の松とは異なり、目が細かく、艶がある。

wood stock carwood stock car2 この家畜車は筆者の好きなもののひとつである。見つけると買うが、もうほとんどなくなった。一つ10ドルで買える時代になってしまった。側面の枠だけは、工場で接着して組んであるが、誰も組めないのだろう。文字を印刷して付けてあったが、それは外した。別の色を塗る。右の写真の床板は、細いものを何十枚か貼り付けて作る。凝ったキットである。
 簡単なジグで押え込んで接着する。できると素晴らしい。

 木はプラスティックよりはるかに長持ちする。cattle car(家畜車)のように本物も木の板が貼ってあるようなものには適する。20輌弱の家畜車だけの編成を作って、コンソリあたりに牽かせたい。カブースも専用のを作りかけている。支線を走る列車だ。本線を走るときに、長大列車に組み込むことは稀である。家畜車だけの列車が普通だ。
 動物であるから水や餌をやらねばならず、その乗務員が乗る専用の車輌やカブースもあった。

 家畜車は鋼製のものは評判が悪かった。内側が木板張りでないと、商品に傷が付くのだそうだ。厳冬期に鉄板は凍てつき、家畜がそれに触れると一瞬で凍り付く。びっくりして逃げようとして皮が剥がれてしまうのだそうだ。その点、熱伝導率の低い木板張りは事故がなかった。
 今は家畜車は消えてしまった。筆者がアメリカに居た70年代には支線の留置線で見かけたが、既に廃車寸前であった。

2017年05月08日

Hemmschuh

hemshoe 部品箱を探していると、思わぬものに遭遇する。もう20年近く忘れていたものだ。綴りは hem shoe と二つに分ける方法もあるようだ。英語ではないのだけど、英語風にしている。googleで検索すると、日本の会社が出している。これは商品名なのか、それとも一般名なのかが、わからない。日本語版WikipediaにはHemmschuhと言うドイツ語風の綴りが載っている。ドイツ語版Wikipediaには、最初にこの綴りがある。

 英語ではこれを何と言うのだろう。多分、skid(橇・そり)だ。

 日本の会社の商品は、上の写真とは微妙に異なる形である。このロストワックスの鋳物は、実際に作動する。レイル上に置いて、車輛を突っ込ませると、多少スリップして止まる。左右にガタがあるので、それを少し手直しするともっと確実に止まるだろう。
 片方のレイルだけではなく、両方であればより確実に、脱線もなく止まる。

 車止めが固定式なので、その前には置いておきたい。

  

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2017年04月06日

International Harvester Co.

International Harvester このホッパも自作である。と言っても側面の板だけは安達製作所製のプレス部品である。このpanel side というホッパは、1929年あたりから製造され始めている。非常に賢い発想で、プレスで加工硬化させて強度を出し、同時に容量を増やしている。

 先回紹介したoff-set hopperよりも作るときの工程数がはるかに少なく、ほぼ同様の容量を持つ。安達製作所製のプレス板は焼き鈍し板を使っているので、曲がっているところは硬いが、真ん中あたりは軟らかい。本物のようだ。

 この板が何十枚かあった。プレスの不良品は捨て、15輌以上完成させた。切り継いで3-bayにしたものもいくつかある。ホッパの自作は、側面さえあれば簡単なのだ。
 それ以外の部品はほとんどが長方形で、あとはプレスの骨だけである。骨の数は厳密に数えて、管理してきた。足らなくなると組めないからである。しかし現実にはかなり足らなくなって、骨を自作して足した。骨は帯板に角線を貼って作る。それほど面倒でもない。床下のホッパは展開図を作ったので、板を切り抜いて曲げればできる。床に接する部分を僅かに長めに作り、ベルトサンダで落とすと楽である。アングルはかなり予備があり、その点は楽であった。角の丸みを作る金具は貴重品で、これだけは無いと作れない。 

 インターナショナル・ハーヴェスタという会社は元々は農業機械の会社だが、自動車分野に進出してトラックなどに大きなシェアを持っていた。トレーラ・トラクタ、四輪駆動車、消防車などでよく見た。現在は他の会社と合併して、名前は聞かなくなった。労働争議が原因でつぶれたと聞いた。 

2017年04月04日

Ford open top hopper

Ford open hoppers 以前ディカールがだめになって困っていた、あのディカールが手に入った。northerns484氏のご努力で字体を復元でき、Y氏がディカールを印刷してくれたのだ。しかも3輌分作って戴いたので、予定を変更して、3輌作った。

 安達製作所製の新品のホッパがハーマン宅から来ていたので、まずそれを仕上げた。次にキット組みが2輌あったので、大至急仕上げて塗った。このキットは最近は組む人がいないので、捨て値で取引されている。筆者は延べ20輌ほど組んだ。一部はアメリカの友人のところに行った。同じ作りのものを同時に複数台作るのは、本当に楽だ。
 オリジナル仕様では感心しない部分があるので、そこは新しい材料を切って作る。材料と工具がふんだんにあるというのは非常に幸せなことである。

 この貨車は、デトロイトのフォードの工場の主原動機である6000馬力の蒸気機関を動かすのに必要であった。そういう意味では1輌ではおかしなものだ。本当は10輌ほどの一群が居たはずだ。この車輌については、資料となる写真が少ない。筆者も何かの本で1枚しか見ていない。カーサイクロは確認したが載っていないから、他の本だ。

 これらのオープン・ホッパは側板の外に骨が出ている。この改良型がオフセット・ホッパだ。それは骨を内側に持ってきて、外板を平坦にしている。すなわち、骨の厚さ分だけ断面積が増す。
 その二つを並べると、容量が同じだが、高さがかなり低くなっている。より重心が低くなるわけだ。 

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2017年02月23日

Rutland

Rut Land これは、Rutland の貨車である。このつづりは発音しにくい。椙山 満氏が 、
「これはルートランドではありません。ラットランドです。dda40x君、ちょっと発音してくれませんか。」と仰るので、やって見せた。
「単なる『ラ』ではなく、最初に僅かに『ウ』を付けて、『ラトラン』と言えば良いです。ランドの方はLの音ですから、舌を上の歯に当てるようにします。 」と答えると、何回も発音練習をしていらしたことを思い出す。
  印象に残っていたので、ディカールを買ってしまった。ディカールは30年以上も経って劣化が進み、補修材を塗って再生した。緑の色がなかなか難しい。BNの緑とも違う。Vermont 州の新緑の緑だそうだ。
 Vermont は緑の山という意味だから、この色はかなり正確に合わせた。 ディカールとほぼ同じ色である。

 ラトランド鉄道には、比較的小型のテンホィーラ、コンソリ、ミカド、パシフィックなどがたくさんいた。椙山氏はこの鉄道のディカールをいくつか購入し、客貨車にも貼っていらした。
 それもあって、ラトランドの町には興味があり、行ったことがある。ニューヨークの東北東 約400kmにある小さな町で、中心街はヨーロッパの街並みのようである。
 大理石の産地であり、鉄道で積み出した。NYC ニューヨーク・セントラルの傘下に入っている。


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2017年02月21日

50-ft PFE's   

PFE2PFE 懸案のPFEのreefer 2輌を塗った。ブラス製であって重い。筆者はこれらの実物車輛が走っているところを見たことが無い。既に70年代には氷を積む冷蔵車は無くなったが、まだあちこちに氷の積み込み用プラットフォームが壊されずに残っていた。走っているのはmechanical reeferばかりであった。それらは、砂漠の中で停車中に冷凍機を廻し、大きな音を立てていた。

 氷冷式のものは、たまに側線に打ち捨てられているのがあったが、50 ftの車輛は見たことがない。比較的少なかったし、製造時期が戦前に限られたからであるように思う。
 PFE Pacific Fruits Express の色は黄色、またはオレンジであった。屋根の色は銀もあれば、茶色、黒色などさまざまであった。濃い色は熱を吸収しやすいから損ではないかと思った。最近は色が濃くても、赤外線をよく反射する塗料があるようだ。 

 茶色の屋根のほうは、比較的古い塗装で戦前戦中の時代である。こちら側のヘラルドがSPであると、反対側はUPであった。1輌だけでは感じがつかみにくいが、たくさんつなげば、UP, SP両方が同じ確率で見える筈である。PFEはUPとSPの共同出資の会社であるからだ。

 銀の屋根の時代になると、2種のヘラルドを並べて貼るようになった。
 この貨車はパイオニア製で、出来が良いとは言えない。ハンダ付けが下手で、部品がぼろぼろと脱落して来る。全部の部品のハンダを調べると、2割くらいの付きが悪い。すべて、炭素棒でやり直すことになる。
 重い貨車であって、軽衝突に耐えねばならないから、ハンダ付けの良否は大事な問題である。 


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2017年02月19日

続 Athearnの貨車を作る

NYC jade green この貨車は2輌ある。どちらも色が合わない。写真に示したものは、より色が合わない方である。全くどうしょうもないほど色が異なる。

 はじめはドアだけを塗ってみたのだが、友人が、「ドアは違う色に塗ってあるのだね。」と言うので、観念した。仕方がないのですべてマスキングして、ヘラルドと文字の部分だけ隠した。全体にフロクイルの NYC Jade Green を塗った。jadeとは翡翠(ひすい)のことである。こんな色の翡翠を見たことがある。

マスキングを剥がすと、それらしく塗れている。文字の部分は元の色が見えているが、このような塗り方(補修塗り)を見たことがあるので良しとした。 

 筆者はこの色の車輌を見たことがある。すでにPennsylvania 鉄道と合併してPenn Centralになった時代だ。破たん直後のひどい時代であった。一部は少し黄色の多い緑のPenn Central Greenに塗られていたが、Jade Green の塗りの車輌も生き残っていた。 

 当時、既に本物はかなり塗装が傷んでいたが、いつか塗ってみようと、塗料とディカールは買っておいた。

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2017年02月17日

Athearn の貨車を作る

UP boxcarMP boxcar 作りかけで放置されていたアサンの貨車群に細かい部品を付け、当鉄道仕様の造作を付けた。これらの貨車は、木製の骨組(箱状)にブラス板を貼り付ける工法で出来ている。1輌当たり100 gほど補重して、完成だ。先日の会合に新車をたくさん持って行くと約束したので、先月から毎日1時間をそれに振り向けていた。13輌出来た。これでようやく、作りかけのアサンは一掃された。延べ、50輌以上あるだろう。完全な金属製ではないが、耐久性があり、好きな車輛群である。持った時、全金属製のように冷たいのが良い。

 塗装が問題である。この貨車群のキットでは、側板は塗装済みで文字が印刷されている。それを生かさねばならないので、組み立てたら文字の部分だけマスクして塗装する。フロクイル塗料が指定されているので色が合うはずだが、実際には合わないし、艶が異なる。近い色であれば、ウェザリングすればごまかせるのかもしれない。昔聞いた話では、取り付ける部品をすべて塗装しておいてから、組み立てるという。やってみると、それはできないことに気が付く。部品の穴が全く合わないのだ。すべてハンダ付けするか、接着剤で取付けておいてからマスキングするしかない。先日のEJ&Eも同じである。 
 上の2輌の色は合っていると言える。同じ番号を避けるため、一文字消してディカールを貼る。

ATSF boxcarEL boxcarSCL boxcar 新しいboxcar red の瓶を開け、少し塗って色の合うものを先に塗る。合わない物には少しずつ他の色を足して色調を見る。合えば大したものである。これら3輌は運良く調色が成功したものだ。tuscan red と engine blackを僅かに足している。 

NKP BoxcarCB&Q boxcar everywhere west 努力の甲斐なく、合わないものもある。しかし実物もこれと同じような色調違いのものもある。文字部分だけをマスクして再塗装した場合だ。気にしない人はそれでも良いだろう。

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2017年02月15日

EJ&Eのboxcar

EJ&E2 この貨車の色について画材屋で調べたところ、ぴったりの色があった。
 viridianは緑の顔料である。水酸化クロムのことだ。クロムと言っても、3価クロムで、安全である。
 昔のペンキの顔料は特定の色しかない。それを混ぜて使うこともあるが、概してそのままを塗っていた。南海電車の緑は、まさにこの色である。

EJ&E ビリジアンの顔料を手に入れなければならない。なければ作るつもりだったが、友人が「『ガイアカラー』という塗料は純色と言っている。要するに単色の顔料だけの塗料ではないか。」と言う。
 早速買ってきた。試し塗りをすると近い色だ。修正を施す必要はなく、そのまま塗っても良い範囲にあると結論した。

 思い切って既存の文字、図案だけをマスクして塗った。結果は上々で、艶だけが異なる。
 後で適当に艶を消し、軽いウェザリングを施せば、十分である。Harmonのところから来たときは、どうなるものかと心配したが、意外と簡単な方法で解決した。
 本物の色はかなり褪せて、白く見える。それもよいかもしれない。この貨車が、当鉄道で最後のアサンの貨車である。厳密にいうとAthearnタイプである。製造はシカゴのオール・ネイションである。この種の模型は戦前からあったのだが、それを洗練した形にまとめたのがアサンである。
 木箱の表面(屋根、妻、側面)に薄いブラスの板を貼り付けて作られている。触ると冷たくて、金属の触感がある。木箱はすべて長持ちするエポキシ樹脂で固めてあるから、100年以上持つであろう。もともとの設計では側板などを細い釘で留めるようになっているが、徐々に緩むことが多いので、スーパーXで貼り付けてある。十分な補重がしてあるので、走りは重厚である。 

 EJ&EはElgin, Joliet and Eastern鉄道である。シカゴの内部を通らず回り道をすれば、却って早く着くという路線だ。Harmonにとっては思い出深い鉄道であったと思う。だからこそ早く色を塗って、奥さんに報告したかったのだ。上記リンクの写真は昔の色の機関車で、現在はオレンジ一色である。

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2017年02月13日

Western Pacific鉄道の貨車

WP boxcar これはウェスタン・パシフィックの貨車である。当鉄道にはWPの貨車は比較的多い。どれも羽根のマークが付いている。走っている谷がFeather Riverであるから、それを売りにしているが、「羽根のような乗り心地」というのは誇大広告であろう。差はないはずだ。
 DF; damage freeを売り物にしている。この貨車には熱絶縁がしてあり、冷たいビールなどをぎっしり入れると3日程は冷たいそうだ。積荷が崩れないように、荷室内部にbulkhead 隔壁を取り付けられる。そうすればハンプで突放しても被害がないという。
 この貨車はアサンではない。旧アトラスの色なしのプラスティック・キットから作った。すべての部品を外し、今様の作りにした。かなりの手間を掛けている。元のキットのダメなところはすべて更新した。床下と屋根を作り替え、側面、妻も手を加えている。一度に複数を仕上げた。WPのディカールは各種持っていたが、この際すべて使ってしまった。もうWPを作ることはないだろう。

 こういう仕事はレイアウトの工事で疲れたときに、帰宅前の1時間をそれに振り向けている。この作業をしながら、レイアウトの工事を反省し、次の日の予定を立てる。 

 転車台の設計を少し変更した。より確実なインデックスができるようになる。時間を掛ければいくつか思いつくことがある。焦らずやりたい。 

追記
 奇しくも、この沿線であるOroville のダム が決壊の危機にあるというニュースが入っている。もし決壊すればこの鉄道は流されてしまうであろう位置にある。

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2017年02月05日

続 Lobaughの台車

 ロボゥの台車は造形は良いのだが、如何せん古すぎる。しかし手を加えて黒く塗れば、遠くからなら何とか我慢できる。走行性能は素晴らしい。ボルスタがへたらない構造になっているので、台車枠が平行を保つのである。

UP caboosecaboose truck このUPカブースは1960年代に安達製作所で作られ、カツミが輸出したものだ。多少の間違いはあるが、それも愛嬌で、我慢している。作りがしっかりしていて、多少の衝突には十分耐える。台車込みで550 gもあるので、ボールベアリングを入れた。
 以前はベッテンドルフを付けていたが、この時代の台車はイコライザ付きであるから取り替えたかった。韓国製でその商品が出るまでは、ロボゥが唯一の製品であった。それがこれである。 
 文鎮の縁を整形して、孔をあけ、余分をすべて糸鋸で抜く。端の細い部分も中身が詰まっていたので、三角を切り抜くと多少すっきりした。コイルバネも切り落とし、ヤスリを掛ける。そこに、細いコイルバネを接着する。そうすると、バネが効くように見えるらしい。
 友人に見せると、車体を下に押し付けながら、「オッ、バネが効いているね。」と言うから面白い。視覚というものは脳に強く働きかけるのだ。

 Barber Bettendorf caboose trucksこの台車は、カブース用のBarber Bettendorf swing motion truck である。本物は揺れ枕が付き、緩衝性のある板バネを持つ高級台車だ。そうでないとカブースの乗務員は車体が飛び跳ねて、どうにかなってしまうだろう。NYCのカブースに使う予定だ。これもボールベアリングを入れた。そのカブースが、これまた重いのだ。  


painting 前回の問題の、鉄道名は2つほど候補があるが、この写真をご覧になれば一つに絞られるだろう。左手前のプルマン・グリーンの貨車である。
 さていかがであろうか。



2017年02月03日

Lobaugh の台車

 地下室の整理をしていると、昔買い溜めした様々な部品が出てくる。Lobaughの台車が10組ほど見つかった。当時はかなり高い買い物であったが、現在ではもうゴミの一歩手前である。
 何がいけないかというと、ロボゥの台車は砲金の砂鋳物で、現在の標準的細密度からはかなり遅れている。日本製の鋳物より、抜き勾配が大きく、文鎮のような感じである。

 抜き勾配というのは、砂型鋳物を作る際、砂型から型を抜きやすくするために、断面が台形になっていることを言う。英語では draft angle という。要するに「引抜き角」だ。
 もちろん上が広く、下が狭い。すなわち、台車の表面より、裏側の面積がずっと大きいというわけである。これは許せない。ヤスリで垂直になるよう落としてしまうのだが、大変な手間である。ベルトサンダを使うと数秒で完了だ。 特に上のエッジは大切だ。下は見えないこともあるから、ごく適当である。

Allied Fullcusion trucks このAllied Full Cushion台車は長年探していて、数年前に見つけたものだ。手に取った瞬間、やる気が失せるほどひどいものであった。抜き勾配を削り、孔をあけ、糸鋸で三角の穴を切り抜く。凄まじい手間を掛けて、ここまで来た。元の文鎮のような鈍さが消えて、遠目には十分フルクッション台車に見える。 ピヴォット軸受を構成しようと思ったが、テーパ穴を作る工具の切れ味が悪くあきらめた。テフロン・コーティングの樹脂製スリーブも入れてみたが、それほど感心しなかった。残るはボールベアリングである。
 この貨車はかなり重く、460 gほどある。軸重100 gを超えるとボールベアリングの効果が目に見えるようになる。 早速、座繰りドリルで孔を拡げ、装着した。

 さて、この貨車はどこの鉄道に属するのであろうか。これがすぐわかった方は、かなりのアメリカ鉄道ファンである。昔、椙山満氏が、この貨車のことを話されたので、どうしても作りたかったのだ。 

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2017年01月30日

続々 tank cars

Roma Wine このタンク車は別の銘柄の塗装だ。友人から譲り受けた。少々ウェザリングが効きすぎている。この種の貨車は短距離を往復するだけであり、また、会社の看板でもあるので少しは綺麗にしているはずだ。 

 ワインタンカーは圧力が掛かるものではないので、隔壁は平板であるはずだ。骨くらいはあるかもしれない。内側は glass lining してある。グラス・ライニングとは低融点ガラス膜をタンク内に付けたものだ。いわゆる琺瑯引きである。鉄板と内容物が直接接触しないから、ワインなどには適する。

 中身を出す時は空気抜き弁を開く。空気抜き弁はドームの横にある。ドームおよびタンクボディは熱絶縁してある。そうでないと輸送途中にワインが煮えてしまうだろう。 

 博物館で貨物列車を友人に見せたところ、この貨車を目ざとく見つけ、
「石油と同じで、貨車で運ぶのか!」 
 と驚いていた。実際はワイン専用列車があったらしい。それほど長くないとはいえども20輌くらいはあったろう。
 

2017年01月28日

続 tank cars

wine tank car この貨車はワイン専用である。当鉄道では2輌目の導入だ。 ミズーリ州カンザス・シティのワイン工場の専用貨車である。
 当時はトラック輸送よりも鉄道輸送の方が多かったようだ。

 このタンク車はThomasのキットで、随分古いものだ。おそらく1950年代の物だろう。 手を加えて、今様に改造してある。

 この貨車を見て、中身も入っていなければ面白くないという人は多い。ガラス細工でタンク車を作ってみたいものだ。実は筆者はガラス細工は得意である。最近やっていないから腕が落ちたかもしれないが、昔は実験装置はすべて自作した。頼むと高いし、思うものがなかったからだ。

 このタンク車は6槽になっている。どうしてこのような小分けになっているのだろう。6種も運ぶのだろうか。
 ある人が、「それは量によるからだ。なるべく、上の方の空気が少なくなるようにして運びたいので、細かく分けたほうが得なんだよ。」
と教えてくれた。納得のいく説明である。  

2017年01月26日

tank cars

 しばらく前に完成していたタンク車を紹介する。

Tydol Veedol (1) Tydol Veedol (2)非対称なタンク車である。 常識的にはありえない構成で、興味があった。ディカールを入手したのは、もう35年も前のことだ。いつか作ろうと思っていた。
 30年ほど前、プラステイック製のおもちゃのようなタンク車のキットを手に入れた。おそらく、ライオネルの台車と連結器を買って完成させるものだろうと思われる。非常に大味な作りで、あまり面白くない。タンクボディ以外をすべて削り取り、ドームをもう一つ付けた。なんの事はない。タンクボディを丸めて作ればよかったのだ。そうすればスクラッチ・ビルトになった。

 ドームの接着はスーパーXによる。これがなければできなかった。エポキシでは剥がれてしまう。下廻りはキットの構成を大改造した。でたらめな作りで、話にならなかった。
 未塗装で15年ほど寝ていたが、年末に塗装した。

 どうして二槽になっているのかは分からない。諸説あり、潤滑油とガソリンなどとあるが、どれも怪しい。多分潤滑油を二種類だろう。
 Tydol Veedol は、初のTranspacific Flight (太平洋横断飛行)が、1931年に青森県の淋代から行われたときのスポンサであった。機体にMiss Veedolと名前が書いてある。
 今の三沢基地の近くである。どうしてそこになったのかは、単に地理的な問題である。大圏航路で本州としては一番アメリカに近いからである。出発時にもらったリンゴがあまり美味しくなかったので、アメリカからデリシャス系のリンゴの木を贈ったという話がある。それが青森りんごに接ぎ木されて広まったと聞いたが、本当のことはよくわからぬ。

 日本人にはなじみの薄いブランドであるが、アメリカではたまに見る。 この非対称のタンク車は珍しく、どうしても作りたかったものである。

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2016年11月23日

緑の貨車

 当鉄道には緑色の貨車は1輌しかなかった時代が長い。数年前から、かなりの数が発生している。塗料を戴いたので、特に目的の無い車輛は緑に塗っている。ディカールも見かけたら買っているので、いつも在庫がある。というわけで、徐々に増え続け、今では12輌ほどある。

BN Gon ディカールの整理をしていたら、BN gondola(無蓋車)用のディカールが見つかった。いつ手に入れたのかわからないが、ごく一部を切り抜いた跡があった。おそらくジャンク・ディカールを買ったのだろう。
 こういうのは、12袋で$5、などという売り方をしている。貼り方のガイドはちゃんと付属していたので、その通りに貼った。
 例によって劣化していて、テストで水に漬けるとひびが入った。すぐに補強剤を塗ったが、あまり芳しくなく、細かく分かれてしまう。貼るのに一苦労で、普通なら15分で終わる作業に2時間も費やした。ロゴはひびが入ったので、塗料を塗った。濃くウェザリングしてごまかすしかない。

CelotexUnderframe detail この貨車はどういうわけか緑色である。本当は空色のはずだ。実は筆者の塗装ではない。中古を1台$15で買ったものだ。色が違うので、塗り直す予定だったが、あまりにもよく出来ている。それを味わいたいので、破損個所を直し、タッチアップした。BNの色とも多少違う。
 床下のブレーキ装置が素晴らしい出来だ。作者はおそらく、鉄道で働いていた人であろう。こんなところまで、というところが細かくできている。実車に緑のものがあったのかもしれない。
 筆者はこの木製キットを沢山組んだが、床下は見えないので、すべて省略している。これを参考にして、作り足したくなってきた。

Thrall All-door Boxcar この写真は筆者の作例である。何度もサーフェイサを塗って水研ぎしてあるので、金属製と間違える人が多い。 

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2016年11月19日

Phoebe Snow

 貨車を塗装してディカールを貼った。

115_4965 先回、ピンボケだったのは、撮り直した。艶消し塗装をしてディカールの痕を消した。 絞りを少し絞ったので、多少良くなった。側面は軽く、屋根はかなり艶を消していある。

115_4966 この会社は当鉄道には少ない。Phoebeはフィービィと発音する。日本人には読みにくい。 フィービィ・ケイツという女優を覚えている人はかなりのオジサンだ。
 フィービィ・スノウとは雪の精で、純白の衣装を身に着けている。蒸気機関車の時代には、煤で汚れるからそのような服は着るべきでないのだが、
Lackawanna 鉄道では無煙炭を使用しているから服が汚れない、という宣伝である。この宣伝用に作られたキャラクタだ。
 当時は無煙炭というのは商品価値があった。C&EI (Chicago & Eastern Illinois)という会社の石炭ホッパ車には、白に近い灰色の塗色のものがあった。煤がないということを強調するためだ。
 無煙炭は発熱量が大きい。この発熱量については誤解が多い。燃焼熱(すべてを酸素と反応させたときに発生する熱量)は最大である。しかし反応速度が小さい。即ち、機関車の中で単位時間あたりに発生する熱量は、瀝青炭の場合よりもかなり小さい。だから、同じ出力を得ようとすると、火室面積を大きく取らねばならない。この辺りのことをご理解戴けない人がいる。 

sulfuric acid tank car 硫酸専用のタンク車用のディカールに良いものがなく、GATX (General American Tank Car) の切れ端を見つけたので、それを貼った。最大限に艶を出したので、ディカールには気泡が入らず、きれいに貼れている。 

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2016年11月07日

Rail Craft の貨車キット

 最近はレイアウトの工事を数時間して、気分転換に短時間車輛を触ることにしている。その方が体力的にも具合が良いことが分かった。このキットはシカゴから来たものだ。前から探していたもので、構成に興味があった。

Railcraft panel side hopper Rail Craft はミズーリ州の製造者で、1940年代に様々な貨車のキットを出していた。ホッパは何種類もあった。そのうちのパネル・サイドというヴァージョンである。ホッパの縁部は寸法が決められていたようで、その下の部分を細工して、容量を増やしていた。骨の外に外被を付けるのは先日お見せした。これは外に持ち出したパネルを付けている。加工硬化で薄板でも頑丈になるのだろう。 

 全体は、工場でジグにかぶせて組んだようだ。直角も出ている。ハンダ付けはアメリカ人にしてはうまい。ジグから外して、内側はあとから付けてある。すべての要所に隙間なくハンダが流れている。購入者は縦のリブとかデッキ部の造作、梯子などを付けるわけだ。結構面倒な仕事もあり、自分で作ったという満足感もかなり得られるようになっている。

 写真は途中の様子である。縦のリブは安達製作所の部品と取り替えようと思ったが、オリジナルを生かしている。これを見ると、安達製作所の構成は明らかにレイルクラフトの模倣だ。安達製作所製のほうが細密感があるが、オリジナルには素晴らしいところもある。

 ホッパ縁部の部材が、チャネルである。安達製はアングルだ。やろうと思えば真似できたのに、どうしてしなかったのだろう。細いアングル等はブリキ製である。錆びやすいが硬いので、細くできる。その辺の見極めは良い。連結器座のあたりは薄くて良くない。やはり切り取って、厚板を張り、対衝突性能を上げる。台車の心皿はブロックを削って嵌めた。完全にハンダを流して固着させる。すべての工作が終わってから、ドリルで穴を開け、タップを立てる。

 多少手間をかけて、当社仕様となる。連結するとカツンと剛性のある音がする。 

追記 ここには書いてないが、この模型はやや大きい。17/64インチスケール(約1/45.2)である。すなわち、1/48の他車とつなぐとかなりの差があり、混結は断念した。  

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