錆び

2015年12月27日

Steel Rail

 steelレイルを磨いた。保管中、施工中に多少錆びたものもあるが、概して変化は少ない。色が良い。洋白とは比べ物にならない。
 日本の模型人は洋白(洋銀)を賛美する。ブラス(黄銅)より良いという人が多い。ブラスは黄色い。しかし、たいていの場合は塗装するし、メッキする場合が多い。しかし、ロッド類は洋白製にしたがる人が多い。
 洋白の色がもう少し良ければ筆者も使いたいが、やや黄色で、時間が経つと緑っぽくなるので好きではない。金属材料で鉄の色を出せるのは、快削鋼そのものか、クロム・ステンレスの一部である。井上豊氏は快削鋼を好んだ。良く磨いて光らせ、油を切らさなければ錆びない。機関車の動輪には必ずこれを用いた。ロッド類も快削鋼の場合があった。
 最近はエアコンがどこにでもあるのだから、錆を防ぐことは容易である。以前も書いたが、窓を開放しないこと、湿度を50%程度にすること、この二つが守られれば鉄は錆びない。
 筆者の機関車にはすべて快削鋼のタイヤが嵌まっている。これは日本もアメリカも同じである。日本製はメッキを掛けているが、薄いのですぐ剥がれてしまい、結果として鋼が露出している。

 鉄(鋼製)レイルの色は素晴らしい。訪問した人は、何も言わなくてもすぐ気が付く。「本物みたいだ。」複々線のうち、外2本は鋼製だ。摩擦が大きいのもさることながら、見かけが良いのは素晴らしい。
 HOでは昔のLIMA製線路が鉄レイルであった。安いから仕方がないと思ったが、意外と錆びず、見かけもよかった。錆びないのは、むき出しの歯車から飛び散る油のおかげの他、薄い亜鉛めっきが掛けてあることによるように思う。

2015年09月28日

続々 屋外レイアウト

 日本でも屋外レイアウトを作られた方はいらっしゃるはずだが、10年単位でのその後の報告はあまり聞かない。HOの大名鉄道は、TMS誌上で数年後の経過報告をされていたようだが、20年以上持ったのだろうか。
 筆者はその後の大名鉄道の動行を興味深く見守ってきた。5インチを経て、現在はNゲージの屋外レイアウトになったようだ。これも集電を考慮して、動力源内蔵の赤外線コントロールになっている。 

 さて、日本製HO用フレクシブル線路のプラスティックは、どの程度持つのだろう。イギリスのPecoは、レイルも高耐久(でも、電気伝導率が低い)のものを売り出していた。アメリカのHouse of Duddyは屋外用としても使えるというフレクシブル線路を発売していた。いずれも O scaleの話である。今はMicro Engineeringが後を継いでいるが、そのversionがまだあるかはわからない。

weathered 問題は分岐である。分岐は木製枕木に、鉄の犬釘で留めてある。犬釘は錆びるし、枕木も腐るだろう。日本のような高雨量・多湿の気候では、3年と持たないように思う。
 この写真を見ても分かるように、鉄と洋白を接触させて雨水に浸ると鉄が先に錆びる。道床のレッドウッドは問題なさそうだが枕木の方は、かなりへたっている。Gゲージ用の枕木は、レッドウッド製のものがあって、屋外用に使用されている。Oスケールでは聞かない。 防腐剤を浸み込ませても、根本的な解決策にはならない。一部のカビは、防腐剤があっても発生を止められない。

 筆者の実験ではAtlasのフレクシブル線路を20年間コンクリートの屋上に放置したが、レイルは外れなかった。ただしレイルは錆びて、走らせようと思うとかなり磨かねばならない。すなわち消耗する。
 屋外で用いるレイルは、太ければ太いほど良い。それだけ錆に対する余裕が大きいということだ。
 
 

2011年09月08日

津波被害の機関車の修復

 津波で海水に浸かった機関車を修復するプロジェクトがクラブ内で進んでいる。捨て去るにはあまりにも惜しい記念碑的な機関車をなんとか救いたいと、クラブ員が努力されているのだ。頭が下がる。
 筆者も、アドヴァイスを求められている。

 モータはまず駄目である。というのは海水に浸かっているうちに、イオン化傾向の差で鉄が急速に溶け出し、錆になる。銅と鉄が組みあわさっているので、全体が電池を形成することになる。コイルは絶縁してあるのだが、水につかれば絶縁紙が膨張し、あちこちでショートして部分的な電池を形成してしまうからである。真水であれば洗って乾かせば何とかなるが、塩水ではどうしようもない。伊勢湾台風の時、水につかった機械の修復を父が指導していたが、海水に浸かったモータは全部ばらしてコイルを巻き替えていた。模型用モータのコイルを巻き替える人はおそらくいまいし、より高性能なモータに取り換えるのが普通だろう。

 ブラス部分は物理的に錆びを落とせばよいが、問題はダイキャストである。これは亜鉛合金を高圧で型に入れたものである。亜鉛のイオン化傾向は大きく、銅合金と接触した状態で海水という電解液に入れられたので、亜鉛は急速に溶けていく。尤も、中性条件なので反応速度は多少小さく、溶けだしたイオンは水酸化物として析出する。亜鉛は両性元素なので、その水酸化物は酸にも塩基にも溶ける。酸で洗えば他の金属が溶けるが、塩基なら水酸化亜鉛だけが溶ける。
 
 強塩基は危険で一般家庭にはない。その代わりになるかなりの強さの塩基の作り方を紹介する。炭酸水素ナトリウム(いわゆる重曹)を水に入れて3分間煮沸すると炭酸ナトリウムに変化し、pHは12程度になる。この操作はステンレスなべ中で行う(アルミの鍋は反応するおそれがある。)
 
 はたして錆を落としただけでよいのかどうかは分からない。亜鉛ダイキャストは、粒間腐食割れという現象が起きて体積が膨張して割れる。腐食によってそれが助長される可能性もある。それは何年後に起こるのかは分からない。しかも、一部の亜鉛合金の中にはマグネシウムを含むものもあるので、それは海水中ではかなりの速度で溶け出す。
 もし筆者が「どんなことをしても良いから何とかせよ。」と言われたら、真空電気炉で加熱し、中に潜り込んでいる水、気体を排除し、そのまま真空樹脂充填する。しかしあまりにも高度な処理で、それを一般人が行うのは無理だ。

 クランクピンが鉄であると、その部分は電位差の影響で錆びやすい。これはブラスにねじ込まれた場合である。
亜鉛ダイキャストにねじ込まれている場合は亜鉛が犠牲電極になって、ピンは錆びにくい。
 ダイキャストは、色々な意味で不安定である。筆者がブラスにこだわるのは、それが一番安定であり、1000年以上の寿命を持つからである。ダイキャスト部品は外して、ブラスのロストワックス鋳物にするのが筋であろう。

 錆を落とす物理的方法は、サンドブラストが一番楽である。これは最近ホームセンタで安く売っている。少々埃が出るので、屋外でやるのがよい。そのあと超音波洗浄機で良く洗って注油する。

2009年04月11日

続 Stainless Steel

accelerating corrosion on stainless steel 以前、ステンレスと普通鋼を接触させておくと、普通鋼の方がさびやすくなるという話を書いた。
 この写真は、ある公園で撮ったものである。ステンレスの手すりに、いわゆる“番線”を巻きつけてしばらく経ったものであろう。“番線”とはなまし鉄線の10番線か12番線のことであろう。詳しくは調べていない。

 ステンレスは酸化されにくい。専門用語で言うと「電位が高い」ということである。これと普通鋼が接触して電解液(雨水)に浸されると、電池を形成し、猛烈な勢いで普通鋼が溶け始める。溶けて流れる部分もあれば、周りの酸素によってさらに酸化されて赤さびになるものもある。

ステンレス 線がもう丸くなくなって、上の方は板のようになっている。これは電流の流れる接触部ではなく、その側面で酸化が起こることを意味している。この撮影時には持ち上げて写しているので元の接触部は浮いている。

 このようにステンレスにさびが着くと、さびの下に酸素が到達しにくくなる。ステンレスは常に空気中の酸素が接しているとさびにくい状態になるので、さびが着くとその下はさびやすくなる。常にサンドペ−パで磨いておくべきであろう。

 ステンレス製品をステンレスのワッシャを介して締めると、ワッシャの下がさびやすいのもこのためである。空気が供給されない部分ができてしまう。 

 もしもの話であるが、ステンレス鋼でできた車輪が実物のレイルの上を走ることがあれば、大変なことになるだろう。走行時はもちろんのこと、停車時にレイルが腐食されてへこみが生じる。摩擦が少ないから、ブレーキも効かないだろう。

2008年01月18日

地下室の空調

 地下室は全く外気とは隔絶されている。大物を出し入れするオウヴァへッド・スライディング・ドアがあるがそれの周りはパッキンを貼って空気の漏れを防いでいる。ドアの下側にはゴムのパッキンがある。というわけで、外気の流入は事実上、無い。

 深夜電力で動く750 W(出力2 kW)のエアコンと1 kWのベースボード・ヒータがある。これらはタイマーで動いている。半分地面に埋まっているので、温度変化は少ない。夏はエアコンが除湿機の役割を果たす。もっとも、この場所は丘の頂上で地下水位が低く、全く湿り気は無い。

 レイルが鉄レイルなので、錆びない様にするには、外気に含まれる塩の影響を断たねばならない。それと石油、ガスの燃焼も避ける必要がある。石油、ガスには硫黄分が僅かではあるが含まれている。その燃焼により発生する二酸化硫黄は、鉄の表面に吸着されて酸素と結合し、さらに水を呼び寄せて硫酸になる。その結果、鉄は錆びる。

 ハンダ付けのときの塩化亜鉛も、飛び散って錆の元になる。だからハンダ付けは外でする。
どうしてもしなければならないレイルのハンダ付けなどは、外でハンダめっきしておいて、コテで加熱する。電気配線は、携帯用の空気清浄機を持って行って吸い込ませながら行う。

 いずれ天井には空気清浄機を取り付ける予定である。床のコンクリートは意外に大きな埃の発生源である。完全にエポキシ塗料で固めてしまうか、タイルを貼る必要がある。アメリカ製の30cm角のセラミック・タイルが安かったのでそれを貼った。日本製はその数倍もする。これは運賃を多少かけても安い。大きなものを輸入するときに、混載で運んだ。

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2006年10月11日

ステンレスの功罪

d1006b85.jpg マグネシウムは2価の陽イオンであり、水の中で多少酸性を示す。酸性では鉄の腐蝕は起こりやすい。また、塩化マグネシウムが潮解性を持つところも、大きなファクタである。ナトリウムイオンは中性である。

 台風が来た後、屋外のステンレス製品が錆だらけになることに気が付かれた方はないだろうか。これは風が運んでくる海水のせいである。パチンコ屋のピカピカのステンレス外装が、一夜にしてサビサビになる。また、駅のエスカレータのステンレス外装も錆だらけになる。錆びた部分は不働態膜が壊れているので直ちに錆を落とさねば、全体が錆びていく。

 クロム・ステンレスは安価なので、建物外装に使われるが、このように塩水には極端に弱い。ニッケルが入っているとかなり錆に強くなるがまだ足りない。電気温水器は水道水の消毒用塩素の影響を受けないように、ニオブなどを含んだ高級な材料が使われている。核爆弾の製造時に使う冷却器の材料と多少似ているそうだ。

 快削ステンレスはニッケルが入っている高級品である。このステンレスはかなり錆びにくい。日本製の機関車はこのステンレスでタイヤを作ってある場合が多い。日本での製造時に錆びてしまって、不良品として返品されるのを恐れたからであろうか。
 アメリカではこの種のタイヤは非常に評判が悪い。理由は二つある。
 )犹い小さく、牽引力がない
 ⊇古鼎悪い

 ,砲弔い討鰐世蕕に摩擦係数が小さいので、レイアウトでの運転には障害となる場合はあろう。アメリカ人の中には、わざわざ摩擦の大きい鋳鉄で機関車のタイヤを作ってはめ替える人まで居たのだ。

 筆者は摩擦が少ないことを逆手にとって、貨車の車輪をステンレスで作った。曲線での走行抵抗が格段に小さくなる。これはフランジ形状がRP25とは違い、さらに低抵抗のコンターになっている。これについては後述する。 

 △海譴脇颪靴ぬ簑蠅任△襦集電ブラシをたくさん付ける以外ない。快削鋼ニッケルめっきのタイヤと比べると集電ブラシの数が2倍要る。先従輪まで集電するようにする。

2006年10月10日

塩が錆を作るが・・・

b8fd30ca.jpg 塩は錆のもとである。塩水を浴びると鉄は錆びやすい。しかしそうでもない場合がありうる。塩化マグネシウム(にがり)を含まない塩水では鉄はかなり錆びにくい。すなわち、塩化ナトリウムだけの岩塩を使う分には錆が少ないことが立証されている。要するに海塩を使うと具合の悪いことが起こるというわけである。
ドイツでは岩塩が取れるのでそれを撒いても鉄が錆びにくいそうだ。日本でよく用いられる塩化カルシウム(冬になると高架橋や交差点に置いてある)は、最近純度が上がったので問題がないが、以前はマグネシウムを含んでいていろんな問題を引き起こしていた。

 塩分濃度が高いとどうなるかという実験結果も出ている。興味深いことに、海水程度の3.5%くらいの塩水中の腐蝕が、一番激しい。どんどん濃くしていくと、錆びにくくなる。酸化剤としての酸素の溶解量が減るからであろう。

 住んでいた町の近くの塩湖に塩田があり、そこに遊びに行くと、ブルドーザがエンジンルームだけ水面から出して塩を押しているのに出くわした。キャタピラが完全に水没する深さで飽和食塩水に浸かっているわけだ。ここの塩田は太陽光の吸収がよくなるように、塩水の中に青緑色の染料を溶かしていた。意外なことに、キャタピラ、スプロケットいずれも錆の痕跡もない。白く塩が析出しているが銀色の鉄の地肌が出ている。

 近くに塩水に浸かったレイルもあったがこれもほとんど錆びていない。しかし少し離れたところにある鉄の杭は錆びていた。
 つまり、塩の濃度が高いと錆は抑えられる。しかし、マグネシウムイオンが多少は入っているので、ある程度薄まると錆が進むというわけである。

 この塩湖の塩分は、当時海水の8倍で、死海ほどではないがかなり濃い塩分を持っていた。
湖岸に簡単なリゾートがあり、泳げた。これは戦前の絵で、竜巻と火災で壊れる前の隆盛を示している。市の中心部から特別列車が出て、一日遊んで帰るということが行われていたそうだ。駅の跡地には客車の残骸もあった。

 1970年代はただ泳ぐだけの場所があった。機械で掘って深くしてある。そうでないと遠浅で、1キロ歩いてもヒザの深さしかないからだ。貸しレンガ屋というのがおもしろかった。1人50セントでヒモの付いたレンガを貸してくれる。それを足首にくくりつけて水に入ると、ちょうど首だけ出る程度に沈む。それを付けないと、バランスが悪く、腹が浮いて頭が沈む。シャワァ用には巨大なタンク車が真水を運んできていた。確か25セントで使い放題だった。

 その後、気候の変動で湖水の水量が増し、せっかく作られた新しいリゾートは水没した。お化け屋敷みたいになった様子が今日の写真である。
 湖水の塩分もかなり減って、塩田は殆どが廃業した。 

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