塗装

2017年02月25日

顔料

UP caboose このところ、黄色塗料の使用頻度が多い。この色だけは、フロクイルの塗料に敵うものはない。隠蔽力が抜群である。一回塗りで、下地の色を完全に隠せる。
 隠蔽力は、顔料粒子の屈折率の大きさに関係がある。ダイヤモンドが良く輝くのと同じで、屈折率が高いものは隠ぺい力が高い。この色は硫化カドミウムの色である。カドミウム・イエロゥだ。クロム・イエロゥ(クロム酸鉛)とは少し色調が異なる。

 最近カドミウムに対する風当たりが強く、多分そのせいでフロクイルは廃業してしまった。飲むものではないのだから、問題ないのだが、風評というのは恐ろしい。化学への理解がない人はカドミウムという言葉だけで悪いものと決めつけている。硫化カドミウムはほとんど水に溶けない。
 こう書くと、「少しは溶けるのではないか」と勢いづく、いわゆる自称環境保護派の人が多いが、その程度の濃度は生物にはむしろ必要な濃度である。カドミウムは人類にとって不可欠元素であることを知らないのだ。これはカルシウムの代謝に大いに関係がある。カドミウム濃度が高いと、異常を起こし、骨折の原因になる。これがイタイイタイ病であった。
 それはカドミウムイオンが水に溶ける形で流出したことによるものであって、硫化カドミウムとは直接関係がない。硫化カドミウムは酸にも溶けにくいので、酸性雨の降る環境でも安全である。厳密にカドミウムを制限するのならば、道路の黄色の線にも硫化カドミウムを使うことを反対するべきなのに、それは誰もしない。ドイツはそうしているらしいが、結果として間違っている。 

ATO-912-1-2 次はこれを塗ろうと思っている。この写真はAtlas社のカタログからお借りしている。デカルはかねてより用意してある。他にも5台のゴンドラ(無蓋車)が待っている。 

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2017年02月21日

50-ft PFE's   

PFE2PFE 懸案のPFEのreefer 2輌を塗った。ブラス製であって重い。筆者はこれらの実物車輛が走っているところを見たことが無い。既に70年代には氷を積む冷蔵車は無くなったが、まだあちこちに氷の積み込み用プラットフォームが壊されずに残っていた。走っているのはmechanical reeferばかりであった。それらは、砂漠の中で停車中に冷凍機を廻し、大きな音を立てていた。

 氷冷式のものは、たまに側線に打ち捨てられているのがあったが、50 ftの車輛は見たことがない。比較的少なかったし、製造時期が戦前に限られたからであるように思う。
 PFE Pacific Fruits Express の色は黄色、またはオレンジであった。屋根の色は銀もあれば、茶色、黒色などさまざまであった。濃い色は熱を吸収しやすいから損ではないかと思った。最近は色が濃くても、赤外線をよく反射する塗料があるようだ。 

 茶色の屋根のほうは、比較的古い塗装で戦前戦中の時代である。こちら側のヘラルドがSPであると、反対側はUPであった。1輌だけでは感じがつかみにくいが、たくさんつなげば、UP, SP両方が同じ確率で見える筈である。PFEはUPとSPの共同出資の会社であるからだ。

 銀の屋根の時代になると、2種のヘラルドを並べて貼るようになった。
 この貨車はパイオニア製で、出来が良いとは言えない。ハンダ付けが下手で、部品が脱落して来る。全部の部品のハンダを調べると、2割くらいの付きが悪い。すべて、やり直すことになる。
 重い貨車であって、軽衝突に耐えねばならない。 


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2017年02月19日

続 Athearnの貨車を作る

NYC jade green この貨車は2輌ある。どちらも色が合わない。写真に示したものは、より色が合わない方である。全くどうしょうもないほど色が異なる。

 はじめはドアだけを塗ってみたのだが、友人が、「ドアは違う色に塗ってあるのだね。」と言うので、観念した。仕方がないのですべてマスキングして、ヘラルドと文字の部分だけ隠した。全体にフロクイルの NYC Jade Green を塗った。jadeとは翡翠(ひすい)のことである。こんな色の翡翠を見たことがある。

マスキングを剥がすと、それらしく塗れている。文字の部分は元の色が見えているが、このような塗り方(補修塗り)を見たことがあるので良しとした。 

 筆者はこの色の車輌を見たことがある。すでにPennsylvania 鉄道と合併してPenn Centralになった時代だ。破たん直後のひどい時代であった。一部は少し黄色の多い緑のPenn Central Greenに塗られていたが、Jade Green の塗りの車輌も生き残っていた。 

 当時、既に本物はかなり塗装が傷んでいたが、いつか塗ってみようと、塗料とデカルは買っておいた。デカルは近々カブースを塗るから、それに使う予定だ。この緑にしたいが、残念ながら木造カブースで、赤にせざるを得ない。 

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2017年01月20日

サンドブラスト

 鉄橋が多少錆びて来た。ハンダ付けの塩化亜鉛のせいだ。放置するとますますひどくなるので、錆を取っておく必要がある。

sand blast2 足立健一氏のところには大きなサンド・ブラスト装置がある。筆者のものと比べると、桁違いに大きい。自動車の部品を処理することもできるほどの大きさだ。お願いして使わせてもらった。錆は面白いように取れる。ハンダの部分は軟らかいのでなくなってしまう。非常にきれいになった。 

sand blast 砂は細かなもので、よく流動する。全部で 4 L ほど使った。もちろん下から回収して何度も使う。

 錆はきれいに飛んでいき、全体がサテン地になった。鈍い鉄の色は美しい。

 サンド・ブラストに用いるエア・コンプレッサは2馬力以上のものが必要だ。流量が大きいので、小さなものではエアタンクが一杯になるまで待っても数秒でなくなってしまう。
 

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2016年11月19日

Phoebe Snow

 貨車を塗装してデカルを貼った。

115_4965 先回、ピンボケだったのは、撮り直した。艶消し塗装をしてデカルの痕を消した。 絞りを少し絞ったので、多少良くなった。側面は軽く、屋根はかなり艶を消していある。

115_4966 この会社は当鉄道には少ない。Phoebeはフィービィと発音する。日本人には読みにくい。 フィービィ・ケイツという女優を覚えている人はかなりのオジサンだ。
 フィービィ・スノウとは雪の精で、純白の衣装を身に着けている。蒸気機関車の時代には、煤で汚れるからそのような服は着るべきでないのだが、Lackawanna
鉄道では無煙炭を使用しているから服が汚れない、という宣伝である。この宣伝用に作られたキャラクタだ。
 当時は無煙炭というのは商品価値があった。C&EI (Chicago & Eastern Illinois)という会社の石炭ホッパ車には、白に近い灰色の塗色のものがあった。煤がないということを強調するためだ。
 無煙炭は発熱量が大きい。この発熱量については誤解が多い。燃焼熱(すべてを酸素と反応させたときに発生する熱量)は最大である。しかし反応速度が小さい。即ち、機関車の中で単位時間あたりに発生する熱量は、瀝青炭の場合よりもかなり小さい。だから、同じ出力を得ようとすると、火室面積を大きく取らねばならない。この辺りのことをご理解戴けない人がいる。 

sulfuric acid tank car 硫酸専用のタンク車用のデカルに良いものがなく、GATX (General American Tank Car) の切れ端を見つけたので、それを貼った。最大限に艶を出したので、デカルは気泡が入らず、きれいに貼れている。 

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2016年11月09日

文字等を消す

 当鉄道には買ったままの車輛はない。すべて、手が入れてある。補重はもちろん、台車の付替え、細かい造作の作替え、文字入れがしてある。
removing lettering and herald 気に入ったデカルがあればそれを貼る。そのためには塗装を剥がさねばならない。すべて剥がすのは面倒であるし、うっかりするとプラスティック本体が変質することもある。過去にいくつか苦い経験があるので、最近は物理的に剥がしている。磨き砂を付けて歯ブラシで擦ると、表面から落ちるので、文字が消えていく。地肌も多少削れるが、必要なのは、地肌から文字だけ浮き上がっているのを無くすことだ。

 この方法はあとで塗装を重ねても全く差が感じられない。もちろん文字の厚みにもよるだろう。これは過去にもやっている
 このAtlasの旧製品は文字の塗膜が極端に薄いので、その点は簡単である。つまり以前は透けていたのである。文字の部分が完全に不透明でなかったのだ。これでは仕上がりが悪いので、軽くウェザリングを掛けてごまかしていた。

 今回、昔から気に入っていたデカルを入手できる見通しが付いたので、塗り替えを決心した。友人から、デカルのデータを戴いたのだ。印刷して再生できる。そのデカルはその昔、Champion Decalで扱っていたが、とおの昔に廃盤になってしまった。その鉄道会社が消滅してから60年ほどになる。フロリダからキューバ、ハバナ諸島方面に行く連絡船の路線である。アメリカとの国交が回復したので注目している。

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2016年10月16日

塗装

Badger boxcar red のような微妙な色はFloquilを用いるが、黒は日本製の塗料である。エアブラシはBadgerのシングルアクションを改造したものだ。タンクを大きくしている。一度に10輌も塗ることがあったので、容量を増やしたのだ。
 中にぶら下がっているパイプは絶妙な硬さで感心していた。それが突然行方不明になってうろたえた。20年も使っていて、無くなったのは初めての経験だ。溶けないプラスティック・パイプで、ちょうど良い太さのものを探したが、見つからない。
 内径はインチサイズのはずなので、インチのブラス・パイプを探した。見当をつけて当ててみた。内側をリーマでさらってはめると、ぬるりと嵌まって抜けなくなった。ちょうど良いサイズであった。強く引くと抜けるから、掃除には具合が良い。長さは数通り作らざるを得ない。

painting 銀を塗ったついでに、オイルタンクも塗ってしまった。これはPlastruct製のキットである。10年以上前から持っていた。石油会社のデカルを貼れば映えるだろう。あと2,3本あると良いのだが、どうやって作ろうか迷っている。
 台車を塗るときは車輪の踏面とフランジだけをマスクする。

painted cars 16輌塗ったので、デカルを順に貼っている。フロクイルにはGlazeという艶出し剤を4割程度混ぜる。そうしないとデカルが載らない。
 ウェブ上には怪しげな情報がたくさんある。このグレイズについては、どれも量が少ない。5%などという、おまじない程度みたいな数字まである。やったことがあるのだろうか。最低3割は混ぜないと艶が出ない。筆者はグレイズを大きな缶入りで購入していた。薄め液はキシレンを使っていた時期もあるが、最近はラッカシンナである。天気の良い日なら、全く問題ない。  

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2016年10月08日

塗装日和

 台風ですべての予定をキャンセルしていたのだが、その日は急に絶好の塗装日和になった。庭のデッキのうえに、シートを敷き、塗装台を持って来た。マスキングの要らない車種を選び、一面ずつ流れ作業で塗った。

 8輌を同じ色で塗るのだから、難しいことではない。太陽光の下だから、塗り残しもすぐわかる。塗装には光が必要なのだ。
 室内の塗装ブースもあるが、やはり外の方が失敗の可能性が少ない。室内で塗るときは背中の方から肩越しに300Wのライト2灯で照らしながら行う。夏は暑くて仕方がない。白熱灯は熱源としても機能している。塗ったものが温かくなれば、塗膜のカブリが無くなる。
 太陽光なら、何もしなくても十分温かい。

 1時間ほどで塗り終わり、日なたに置いておけばよい。フロクイルなので、固まるには時間が掛かる。夕方には触っても問題ない硬さになり、次の日の夜には完全に固まっている。
 デカルを順に貼っていく。やはり、多少古いのはすべて劣化していた。使わない部分を切って水に漬けると粉微塵になる。すぐに補強剤を塗っておいた。先回ほどひどいものではなかったので、十分再生した。

donated by Harmon シカゴから来た車輛のうち、数台が完成した。裏には、
"donated by Harmon Monk"というシールを貼った。 

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2016年05月26日

oil stain

 オイル・ステインが浸み込んだぼろきれは、丸めておくと、とても熱くなる。要するに、空気と接触させて酸素が十分に溶け込んだ状態で表面積を減少させるから、熱が閉じ込められる。
 オイルステインの主成分の不飽和脂肪酸を含む油脂は、酸素と結合し、樹脂化する。その反応は、発熱的(exo-thermic) である。拡げてあれば、酸素はよく化合するが、その時発生する熱は逃げやすい。丸めると、中の熱は逃げられない。

 実際にやって、この現象を確認した。30分くらいでぶすぶすと煙が出てくる。発火するまでには至らなかったが、周りに燃えやすい物があれば極めて危険だ。アメリカの家具屋で見ていると、そのぼろきれをすぐに水に漬ける。たくさん溜まると拡げて乾かし、燃やしてしまう。砂漠の中であるからすぐ乾いた。
 一回ごと燃やせばよいのにと思ったが、油で濡れたものを燃やすと、炎が大きくなって危険なのだ。

 日本でこの種のオイルステインをあまり見ない。塗料と異なるのは顔料粒子の大きさと、fillerと呼ばれる塗膜構成剤の有無である。フィラは塗膜の厚みを作り出し、その膜内で顔料が特定の波長の光を散乱して色を出す。いわゆるペンキにはフィラが大量に入っている。ステインにはフィラが無く、顔料粒子だけになる。たまに染料も含まれている。binder 固着剤はフィラおよび顔料を固着させるもので、油脂や各種の合成樹脂等が用いられる。

 シンナに顔料を分散させることができたとしても、それを塗ると顔料が相手に載るだけで、触れば落ちてしまう。それを防ぐために、オイルステインにはバインダとして、酸素と反応して樹脂化する油脂を薄めて用いている。塗ると、揮発成分はすぐに蒸発し、残留した油脂が徐々に固まっていく。

 オイルステインだけしか塗っていない家具は肌触りが悪く、また、汚れが付きやすい。その上に厚い塗膜を構成するワニスを塗れば、美しい家具となるわけだ。 我々の使う枕木は触る必要もなく、艶消しのほうが良いので、上塗りをする必要はない。

 日本製のオイルステインは、油脂分が少なく、合成樹脂を主体としているらしい。すなわち、火事にはなりにくいようだ。

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2016年05月24日

枕木を染める

oil stainstained ties 鉄橋の線路を組み上げるには、まず枕木を染めなければならない。それにはオイルステインを使う。水性のステインを使うと、反りくり返ってしまい、後悔する。合板ならばあまり問題はないかもしれないが、無垢の木で出来た枕木は水をつけるべきでない。
 このステインは、家を建てたときに白木の家具に浸み込ませたものだ。その後枕木にかなり浸み込ませたが、まだ半分ほど残っている。適当な容器にとって、そこに枕木を投げ込み、10分ほど放置する。浸み込んでいくと泡が出る。次に上下ひっくり返して、また10分ほど置けば良い。新聞紙の上に広げて余分の油を落とし、浮かせて放置すればよい。固まるまで2日ほど掛かる。乾くのではない。固まるのだ。
 
 この種の油は亜麻仁油を主として、触媒と煮たもので、空気中の酸素と反応して固化する。要するに内部まで固まるのである。いわゆる塗料とは異なる。手に着くと爪の間に浸み込んで固まるから、すぐに溶剤を使って洗う必要がある。リモネンで洗えばすぐとれる。

 日本の家具はこのステインを浸み込ませるという操作をあまりしていない。さっと塗っておしまいだから、表面だけしか色がついていない。だから傷がつくと、白い木が見える。
 家を建てる時、アメリカの家具屋でじっくりと観察したが、組立ての途中でステインをドボドボに塗りつけ、放置する。テーブルであれば、上に表面張力で盛り上がる位に塗る。時々見に行って、吸い込んだところにはさらに多めに塗る。2時間くらい経ってから、ぼろきれで余分をさっと拭き取る。3日程置いて、透明塗装を掛ける。上塗りを重ねて掛ける。その間には水研ぎがある。とても丁寧な作業である。
 このような仕上げだと、傷がついても色が変化しない。表面のめくれを取って、透明塗料を塗れば元通りだ。

 油を拭き取ったぼろきれは丸めておくと発火する可能性がある。必ず広げて、発生した熱が空気中に発散するようにせねばならない。 

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2016年02月21日

車輪を塗る

 先日手伝いに来てくれた友人が、貨物列車を見てかなり驚いていた。
「車輪が塗ってある・・・・・・」

「君のは塗ってないのか。」と聞くと、機関車は塗ってあるが貨車などは全く塗ってないという。塗るのは面倒だし、うまく塗れないと言う。
「そんなことはないよ。ほらこうして車輪を回しながら一筆で片面塗れるだろう?いっぺんにやると失敗するから、1面ずつ塗ればいいのだよ。」

 タンク車には裏面も塗る。彼はそこにも驚いていた。
「タンク車のフレイムは透けているから、裏まで見えてしまうからね。」
一部のホッパ車も裏が見えそうだ。

 彼はその簡単さに非常に驚いていた。この種の塗装はフロクイルに限る。薄い塗膜でも隠蔽力があり、つやがなくて筆で滑らかに塗れる。常温でも塗ってから1分くらいで溶剤が蒸発し、もう垂れることもない。完全に固まるまで2日ぐらいかかるが、線路に載せてしまえば触ることもなくなる。

 フロクイルは手に入りにくくなってしまった。日本のみならずアメリカでも買いにくい。どういうわけかそのブランドが無くなってしまったようだ。どこかが買い取って売り出せばよいのだが、在庫限りでおしまいのところが多い。
 昔買い込んだものがスーツケース一杯分くらいあるので、当分は大丈夫だが、特定の色はなくなってしまいそうだ。UPイエロゥとかプルマングリーンは貴重品だ。

 プルマンの車輪には油汚れの色を塗る。車輪が塗装してあると非常に実感的である。

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2015年05月18日

投錨効果

 いくつかご意見を戴いている。

 やはり、金属同士の接着にも投錨(とうびょう)効果はあると信じている方もあるようだ。しかしある方から、それについて興味深い実験の結果を知らせて戴いた。

 エッチングされたキットを組んで、塗装したものについての実験である。
 エッチングした部分は、表面が粗粒面になる。要するに梨地である。その部分と地金の部分にまたがって塗装がしてあるのを、物理的に無理やり剥がすのだが、剥がれる様子に差はないとのことだ。すなわち、でこぼこにしても、つるつるでも差がない。つまり、投錨効果はないことになる。

 彼の考察によると、投錨効果を発現させようと、サンド・ペーパなどで一生懸命に磨くと、結果として脱脂が行われたりして、塗膜が剥がれにくくなるのではないかというものだ。比較実験は、同条件で行われなければならないのは当然だ。

 でこぼこにすると、凹んだところでは接着剤の層が厚くなり、そこが切れてしまう。接着面より、接着剤の内部の方がはるかに弱いのである。たとえば、Super Xはよく付いて剥がれないが、キャップについている接着剤のみが固まったのは、手で容易に引きちぎれる。はみ出している部分は手でもちぎれてくるが、被着面に着いた部分は取れない。

 工業的には接着は広い面にスプレイするかローラで塗布し、被着物を置いて締め付ける。この締め付けるという操作が大切で、接着力が最大二桁も違ってくるのだそうだ。木工屋には無数のクランプがあるのはこれを知っているからだ。。
 締め付けは圧締という。たくさんのクランプで、母材同士を締め付ける。締め付けると、接着剤がはみ出して、母材が近接する。

 そういう意味でも、クランプを多数保持していることは、大切なことである。伊藤剛氏の遺品をすべてお預かりしているが、その中に多量のクランプがある。大小合わせて、全部で60個以上あった。理屈がわかっている人はたくさん持っているのだ。  

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2015年04月06日

木材の目止め

 先日、木材の下塗りに水性ニスを使う方法を書いた。何人かの方から、質問を戴いているのでお答えしたい。

 日本では木材の目止めは砥の粉を使うのが主流だ。砥の粉を水で溶いて、ほんの少量の糊(布海苔(ふのり))を加えて、目に直角に塗る。生乾きのうちに、ぼろきれで擦り込み、乾かす。乾いたら、木材の目に沿って払い、ニスを塗るというのが、昔中学校の技術家庭で習った手順だった。砥の粉を二回塗ると効果は素晴らしく、つるつるに仕上がった。

 そういうものだと思っていたのだが、アメリカの家具の塗装では砥の粉など無いから、どうするのだろうと興味があった。家具屋で見ていてびっくりなのは、ひたすら塗り重ねることである。
 塗っては研ぎ、を繰り返す。木材の導管の細かい穴にニスが滲み込んで固まる。2,3回塗ると孔は完全に埋まる。さらに2回ほど塗るとつるつるになる。テーブルトップなどは10回ぐらい塗る。その間、水を付けながら、耐水ペーパで磨く。水を付けないと、摩擦熱で悲惨なことになる。

 油性のニスは塗膜が薄いので、下塗りに適するのは水性ニスである。筆者は床用の水性ウレタンニスを使う。刷毛にたっぷり含ませ、木材に時間を掛けて接触させる。塗ると言うより、置くような感じで十分に滲み込ませる。小さいものなら、塗料缶に投げ込んでおく。十分に滲み込んでから乾かす。すると、表面から1mmくらいはプラスティックのように固まる。木口は10mmほど滲み込んで固まる。

 これをサンドペイパで削り、また水性ニスを塗り重ねる。塗装の前にラッカ・サーフェサを塗って、スティール・ウルで磨く。客車の屋根などは、この手順で素晴らしい仕上がりが得られる。以前この方法で仕上げた貨車をある会合で見せたところ、出席者全員が、ブラス製だと思った。それほどの平滑面になる。
 全てのコツは木材の導管を塞ぐことである。砥の粉ではきれいに仕上がっても、塗料が奥まで入っていないので、場合によっては塗膜がはがれる。浸透法ではその点は大丈夫である。

 今回の線路路盤の合板は合板の粗面が出ているので、普通のペンキ一回塗りでは実に悲惨な仕上がりである。水性ウレタンニスを1回塗って研ぐと、かなり良くなる。2回塗装・研ぎを繰り返してからペンキを塗ると、合板製とは思えないほどきれいに出来る。小型のベルトサンダを十分に使用した。

 塗ったニスが乾くと、表面がチクチクする。それは木材の目が立ち、固まったからである。それを削り落すとびっくりするほど滑らかになるのだ。


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2012年11月30日

Leo の仕事

812_6166-2 これがLeoの本職であった。これらのオーディオ装置、放送装置はLeoの製品である。彼はこの種の製品を数十台単位で生産していたのだ。スピーカボックスもあった。
 それらを大きな木の板から切り出して仕上げる。その木工機械も全てある。広い地下室の1/3はその種の機械と残った木材で占められている。その木材も今となっては貴重なブラジリアン・ローズ等の硬木である。
812_6165-2 その木で作った飾棚があった。大変よく出来た棚である。この家の家具はほとんどがLeoの手作りである。向こうのキッチンを見せてもらった。



812_6161-2812_6164-2 この二つの抽斗をご覧戴きたい。どちらもスライドベアリングで支えられていて、フルに引き出せる。作りかけの機関車などはこのように目の高さに収納できると、引き出した瞬間に色々な工作上のアイデアが湧きそうだ。 
 低い方の盆などを収納する棚の仕切りの丸穴に注目したい。
 これはよいアイデアである。普通はつまみをどうつけようかと通うのだが、被収納物の全てがそんなに背が高くないのであるから、これで良いのだ。

812_6162-2812_6163-2 この棚を見て思ったのは塗料の収納である。いつも正立させて保存している。分かりにくいのでキャップに色の名前を書いているが、このようにして寝かせてしまえばよいのだ。転がり防止の細い仕切り棒が並んでいる。
 スパイスや缶詰めのラベルが一覧できるので、Leoの奥さんも「これは便利」と言っていた。

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2012年11月20日

続々 Vic's Hobby Supply

812_6123-2812_6124-2 この貨車のウェザリングには参った。細い刷毛を使って細かい錆を表している。そのあとでWashしているそうだ。Washとは薄く溶いた汚れ塗料をさっと流し、それが半乾きのときに重力方向に拭き取るのだそうだ。スプレィとは異なる表現である。もちろん全体に埃色をスプレィしてある。最近のコンテストの入賞作品は、ほとんどこのテクニックを使っているように思う。。

812_6125-2 このレイアウトの特徴は美しい線路である。ハンドスパイクなのだが完全に直線が出ている。その秘密はRoadbed(道床)にある。この道床はTru-Scale社の製品である。たまにこれを見るが、全面的に使ってあるのを見るのはこれが初めてである。HOが有名であるが、もともとはOゲージの会社である。今でも時々市場に出ている。枕木を厚板から彫り出し、レイルのはまる部分に溝を切ってあり、道床の肩も一体に削ってある。
 その昔天賞堂が出していた木製道床は、材質は異なるがほとんどこれのコピィである。天賞堂製は合板を用い、枕木部分の木目が活かされていた。本家は木目のほとんどないポプラ材を用いている。
 レイルをはめる部分が飛び出していて、現在の細密度の水準からは少し外れているが確実に直線性を保つ。もちろんレイルの底の部分の幅が大切で、細いレイルは使えない。
 アメリカではこの種の木工品が大量に作られていた。日本のような手作業ではなく、大きな工場で大量生産されていた。この種の工作をする職種をmouldingという。

812_6127-2 Turntable は自作である。手際良く作ってあり、確実に動作する。やはり太い軸と大きな駆動輪があった。工学的な素養のある人の作品は、ちゃんとツボを押さえている。

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2012年02月17日

続々々々 UP F9A

UP516 from AtlasUP516 一応の完成であるが、まだ多少手を入れる必要がある。色注しと言って、あちこちに特有の色を付けねばならない。それはウェザリングの後である。手で触って整備するので、その部分のほこりなどは落ちているからだ。

 塗装が生乾きの時に梱包して送ったので、現場ではどんなことになったのかは良く分からない。もう少し時間がある時期にやっておけば良かったと少々後悔した。

 ガラス類はアクリル板を削ってきっちりはまるようにした。段差がないので気分が良い。

 駆動装置にはフライホィールを付け、手で押すとそのままするすると走っていく。たかだか 39 mm径、7 mm厚程度のものである。モータと同速であるが十分である。径が大きいので押しネジを付けるのは止めて、接着剤で留めた。フライホィールを旋盤で作るのは楽しい。太い材料を適当に銜えて外周削り、端面削りをして形を整える。慣性モーメントに寄与しない中心に近い部分を限界まで薄くし、ボス部分にセンタドリルで凹みを付ける。ドリルで穿孔して、リーマを通す。そして切断する。裏も削って出来上がりである。
 ほんの3分程度の工作だが、旋盤工作の基本がここにある。

 
 昨日帰国した。O Scale Westの会場で友人にこの写真を見せると、
「オッ、F9の500番台だ。UPの最終型だね。ボンネットに上るグラブアイアン(掴み棒)や屋根のパイプの形も正しい。スノウプラウも付いてる。うまく作ったな。これはコンテストに出せよ。」と言う。
 あまりにも詳しいので驚いてしまった。聞くとこれを作ろうと思って資料集めをしたが、雪掻きが思うようにできなくて放棄したそうだ。

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2012年02月11日

続々々 UP F9A

 鋳物であるから多少は「巣」があり表面が荒れたところもある。ある程度ヤスって、さらなる凹みはパテを込み、均す。600番くらいのサンドぺーパで水研ぎをしてさらにパテを込める。実物もかなり凸凹しているので、ある程度のところで見切りを付けた。

F9 cab interior 室内もごく適当に作った。詳しい方は椅子がEMDタイプではなく、Alcoタイプではないかと仰るかもしれないが、それは勘弁して戴きたい。室内が空洞であると、室内燈を点けた時面白くない。最近はDCCであるので、必然的に室内燈も点けるようになった。するとある程度が外から見えるので、それらしくあればよいのである。むしろ前面窓の日避けの方が大事かもしれない。これはいつもはっきり見える。写真を見てそれらしく作った。

on painting 汚い写真で申し訳ない。いつも塗装後に置く場所で、暖炉の前である。ここは多少の余熱があり乾燥には具合が良い。
 黄色と灰色のどちらを先に塗るかは諸説あるが、黄色を先にした。天井のパイプを避けてマスキングするのは面倒な仕事である。境目にデカールを貼ることにしたのでその点は気楽である。これを塗り分けで作ると、マスキングに細心の注意を払わねばならず、気苦労が多くなる。斜めの塗り分け線は個体によりかなりの差がある。面白いのは四角のファンを斜めに横切る部分である。この部分だけは取り外したりするので、意匠よりも機能を優先して塗り分け線を無視している。

 これでデカールを貼って、電気配線をすれば完成で、所属クラブの新年例会(2月11日)には間に合う。友人に頼んで展示してもらうことにした。

 実はしばらく前からアメリカに来ている。今回はオレゴン州ポートランドと、カリフォルニア州サンホゼが目的地である。親しい地元の政治家がLRTの本場を見たいというのでその案内をすることになったのだ。筆者もそれほど詳しい訳ではないので、にわか勉強をしている。そんなわけで、しばらく休載する。 

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2010年11月08日

貨車のキット

Hello Dolly Boxcar 最近、貨車のキットが大量に発掘された。夏に来客があって地下室を整理していたら、大きな段ボールの中にどっさり見つかったのである。もう無いはず、と思っていたので、少々うんざりした。ひとつ10ドル以下での投げ売りを買ってしまったものである。

 気をとり直して、一度に12両ずつ並べて工作を始めた。木製キットは下地処理に時間が掛かるので、組んでない状態で木材にラッカ・サーフェサを塗って、スティール・ウールで研ぐ。これを最低二度やると艶が出る。組んでから全体にサーフェサを吹いてスティール・ウールで研ぎ上げれば金属製と変わらぬ仕上がりとなる。この種の貨車はすでに60両以上組んだ。
 大変な手間だが、楽しい作業である。家人のいないときに居間に一杯に広げて順に作業する。研ぐのはもちろん外でやる。

 さてこの青い車輌はフリ-ランスの塗装である。このキットを作った会社のロゴを入れた。車輌そのものは”Hello Dolly Car”と言って1960年代後半の試作車である。中央部のドア2枚は、上部のヒンジを軸に水平面まで持ち上がる。もちろん油圧のストラットで支えられる。床面にはドアと同じ幅のドーリィがあって車長方向に水平移動する。フォークリフトで積んだものを横にずらして、さらに積むという方式だ。よく考えてあるが、あまり売れずに量産はされなかったようだ。結局のところ人手が掛かるということである。この写真では車輪が光っているが、今ではちゃんと塗装してある。
 センタ・ビーム・フラットカーならば一人で済む仕事なのである。この名前は1964年から70年までブロードウェイでロングランしたミュージカル ”Hello, Dolly!”をもじったものである。

what is this? この貨車は以前作ったのだが、今回もう一台出てきてしまい、少々食傷気味であった。思い切って短くしようかと思っていたところに、一つのアイデアが湧いてきた。これを使ってあるものを作ろうということになった。
 さて何であろうか。床の丸穴がヒントである。

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2010年06月07日

Atlas の40Ft Boxcar

BN Test Color SchemeNP Boxcar and SOO Line Boxcar 久しぶりにプラスティック製のAtlasの貨車を作った。
 K氏から"少々訳あり"キットを戴いたのだ。部品が欠落しているが全く問題ないので受け取った。ありがたいことである。オリジナルの部品はないが、適合する部品はいくらでも持っているし、作り出せる。たちまち完成させ、車輪はLow-D、台車はデルリン製として、低摩擦車輌を作った。連結器はケィディを付けた。左の写真は塗装完成時で車輪が塗ってない。

 ブレーキ巻き上げ装置はブラス製部品を組み合わせて作り、スーパーXで取り付けた。このような飛び出しているところでも、取れないのは素晴らしい。塗料も載るので、多少はみ出しても問題ない。ランボードは旧来の部品を捨て、新しい素抜けた部品をスーパーXで貼り付けた。

Making Ladders 梯子がなかったので、ブラス製部品を切り継いで裏から補強し、取り付けピンをハンダ付けした。ピンにニッパで傷を付け、押し込めば出来上がりである。その時リモネンを一滴落とすと適当に溶けて固まり、抜けてこない。

 取り付けピンは、穴の位置を紙に写し取り、木片に貼って穴を開ける。これがジグになって、ピンは所定の間隔に立つ。その上に梯子を押しつけてハンダ付けすると、あっという間に取りつけるべき梯子が出来る。 

2010年05月30日

GN の Automobile Car

 模型作りの方はどうなっているか?というお便りを複数戴いている。
 
 朝早く起きて2時間、寝る前に1時間という日課でを模型作りに費やしている。このところ、ずいぶんペースが速くなり、一年で25台以上の貨車を完成させている。
 あと40台作ると在庫は払底する。もう買わないことにしているので、その後はレイアウトの方に力を傾注できる。

リストア完成元の状態バラバラになった状態。側板が褪色している





 このGNの 40 ft ダブルドアのボックスカーは、一応オートモービル・カーである。
この貨車はジャンク価格で購入したものである。1台10ドルしなかった。
 構成は木箱の下地にカラー印刷したブリキを貼り付け、あとの部分はそれぞれ色を付けるという、典型的なアメリカ製Oゲージキットである。
 日焼けして、赤の部分が色褪せている。しょうがないからばらして塗り直そうとしたら、木箱がばらばらになった。経年変化で釘が緩んで、どうしようもない状態であった。仕方なく、かんなで板を削って下地の木箱を新製した。強力な接着剤があるのでそれを使った。おそらく100年経っても大丈夫であろう。 
Railroad Picture Archives よりブリキ板は、ブレーキフルードに2週間漬けこんで、ようやく剥がれた。それでもワイヤ・ブラシの助けが必要であった。
 実物の写真がネット上にあったので助かった。

おかしな妻板 当初の状態は、両端の妻が開くようになっていた。これは明らかにおかしい。ブレーキ装置が、開くドアの上にあるはずがない。普通のドレッドノートの妻板を探し出して貼り付けた。

 塗装はフロクイルのシグナルレッドを用いた。デカルはチャンプである。

2010年03月27日

Kalmbach社 社内ツア

 以前に比べ大きな場所に移ったので、社内のいろいろなセクションが大きなスぺイスを与えられている。

塗装ブース 最初に行ったのは工作室で、主として木工関係の作業をする換気の良い部屋であった。レイアウトの台枠を作るのであろう。その隅に塗装室があった。6畳くらいあって大きな塗装ブースがある。この環境での作業は快適であろう。筆者は日中の屋外でやっていると言うと、「いつも屋外で出来ればそれがベストであろうが…」ということであった。全天候型ということになるとこのようなブースが必要であるのは当然だ。

撮影中照明背景用シート





 次は写真室である。これまた広大な部屋でいくつかのセットを組んで撮影中である。照明の反射傘が大きく、距離をとれるので照度が均一化され影が少なくなる。
 背景用のロールが各色揃っていた。鮮やかな赤があって驚いたが、他の雑誌用に使うもののようだ。
 写真は全てデジタル化されていることは言うまでもない。隣の部屋は写真の編集室で、大きな画面でチェックしていた。

2009年07月28日

Brake Fluid

 ブレーキフルードとは何ぞや、という質問を戴いている。これについては一度書いたことがあるのだが、さらに詳しくということである。

 正確にはメチルポリグリコールエーテルという。人によってはポリを省く人もいる。グリコールという2価のアルコールの分子は、HO-C-C-OHという形をしている。これを縮合してつなぎ、頭をメチル基にすると、
C-O-(C-C-O−)n-C-C-OHという長い鎖になる。nは10くらいだろう。 
 末端のOH基は当然親水性を示すが、途中の屈曲した酸素原子の集合が大きな親水性を持つ。沸点は300℃近く、融点も−80℃くらいだ。
 液体である温度領域がこれほど広い物質は少ない。

 溶剤としても広く用いられるのでいろいろなものを溶かす。化粧品のメイクを落とす液体にも入っているはずだ。ということはそれを塗装落としに使うこともできる。

 自動車用品というものは安い。安くなければ使わないからだ。500 g入りの一番低いグレードのものしか使わないが、700円位で市販されている。高級な物を買いたがる人は多いが、年に一回取り換えるのなら低級品で十分である。
 高級品は、長期間放置した時、空気中から徐々に吸水して沸点が低くなるのを防ぐ薬品が入っているだけのことである。

 塗装はがしにはリモネンも使えるが、価格の点でブレーキフルードにはとてもかなわない。

追記
 ブレーキフルードは、短時間なら手につけても炎症を起こしたりすることはない。水に極めて溶けやすいので、洗えば落ちる。飲むとまずいので、子供の手の届かないところに保存する。メイク落としにも使えるのだから安全なものである。ウェブ上にはこのブログに対する悪意さえ感じられるような表現があるが、知識のない人が書いていることは明白なので無視されたい。


2009年07月26日

続 Paint Stripping

Brake Fluid Stripping 4 ひっくり返すだけでほとんどの塗料は外れてしまう。ハンダの上はどういうわけかややはがれにくいが、歯ブラシでこすれば簡単に取れる。





Brake Fluid Stripping 1 内側も一発である。ラッカの場合はバインダ(顔料をくっつけている接着剤のようなもの)が溶けて、ピグメント(顔料)が残るが、エナメルの場合はそのまま外れるので作業が楽である。しかし、上澄み液を集めるとずいぶん目減りする。塗料のカスに多量のブレーキ液が含まれるからである。
 ザル状の物で濾してしばらく待つと、かなり回収できた。カスは古新聞で丸めて燃えるごみに捨てれば良い。

 この貨車はうっかり色を間違えたのだ。黒塗装用のデカールを用意したのに、グレイに塗ってしまった。沢山の貨車を同時に塗ると、この手のミスが起こりやすい。(人にもよるが)
 もっとも、グレイの貨車もあるのだが、それに貼るデカールはすでに使ってしまっていた。

2009年07月24日

Paint Stripping

627dea02.jpg この写真をかなり前にお見せしている。これはラッカ系の塗料を塗ったものをはがしたところである。





Brake Fluid Stripping 2 2台の自家用車のブレーキフルードを毎年取り替えるので、500 ml位の廃液が出る。これを捨てずにとっておいて、このような用途に使う。今回は1.5 Lくらいあったので、この容器に深さ8cmくらい入る。そこにかねてより懸案のホッパを放り込んだ。
 今回の塗装はエナメル系の塗料である。いろいろな人から質問を戴いているので、写真を見せる方が早いと、ここで紹介する次第だ。 

Brake Fluid Stripping 3 エナメルは皮がむけるような感じで剥がれる。触るだけでつるりとむける。細かいところは歯ブラシとつまようじでつっ突く。一晩漬けると塗膜の厚さが1 mm位に膨れ上がる。

追記
 他のウェブサイトにこの記事がリンクされている。そこにはブレーキフルードが危険なものであると書いてあるが、それは勘違いである。飲むと具合が悪いだろうが、好んで飲む人はいまい。誤飲を防げばよい。
 どんなものも間違って大量に飲んだり食ったりすると命にかかわる。たとえば食塩でも体重50kgあたり350gほど食べると50%の人が死ぬ。砂糖は700 gだ。アイスクリームは2 kgという数字がある。アイスクリーム早食い競争で何人か死んだときに算出された値だ。
 これらの数字は毒性とは言い難い。おそらく、浸透圧とか、低体温で死ぬのだろう。ブレーキフルードで死ぬとしたら、その前者の浸透圧であろう。血液中の水が吸い取られることからくる。少量含まれているホウ酸エステルから生じるホウ酸では死ぬことはないだろう。
 どんなものでも極端に多量に摂取すると死ぬのは当たり前であり、「危険である」と書くのは自由だが真に受けないようにお願いしたい。
 また、ブレーキフルードの主成分のアルコールエーテルは、化粧品のメイク落しにも多量に含まれている。顔に塗るとまずいわけでもないことがお分かりであろう。
 ウェブ上でのこの種の情報は、理屈が分かっていない人が大げさに書く場合が多いのである。「ブレーキフルードを付けると、手がひりひりします。」という表現を見たが、明らかな作り話である。

2009年01月13日

Painted and Lettered

Brass freight car under construction 「レイアウトの上にブラスのままの車輌が置いてあるのがイヤなのですか?」と聞かれた。その通りである。
 このあたりの感覚は、椙山氏に仕込まれたものらしい。

 塗ってしまえば、レイアウト上に置いて走らせることが出来る。
ブラス地肌のものは大きな箱に適当に入れてある。貨車などは無造作に縦に突っ込んであるのだ。
 そうしないとスペースが無駄になるからである。すると、必然的に壊れやすい。あちこちのハンダが緩み、部品が欠落する。

Brass freight car under construction2 時々一念発起して、一週間で10両という目標を立て、取り組みやすいものから部品をつけて、あるいは新製して完成させる。

 カプラの高さ及び台車のボルスタ・センタの高さを合わせるのは結構面倒である。ジグを使って順次合わせてハンダ付けする。カプラは、金属製のものとプラスティック製のものを組み合わせて使う。こうするとどちらも絶縁型になる。
 筐体がプラスティックのものは接着剤が効かないが、金属のものは接着できる。この性質をうまく組み合わせて全てを絶縁型にするわけだ。プラの筐体はネジで取り付ける車輌に使う。 

 水洗いして部品の欠落がないか調べて、さらに磨き砂でこする。余分なハンダはこの時点でかなり取れるし、ざらざらがなくなるので、目立たなくなる。

 エアコンの温風吹き出し口に置いておくと30分で完全に乾く。表面を適当に錆びさせることが出来ればプライマは不要だが、磨いてしまうとプライマが必要になる。黄色の二液型プライマを吹き付ける。電気オヴンを摂氏100度位にして放り込むと30分で完全に硬化し、シンナでも剥げない被膜が出来る。

 ここまできたら、大きな箱にそっとしまい、塗る順を決める。同じ色で塗れる車輌をまとめ、マスキングの要領を確認する。デカールの在庫を確認するのは当然である。なければ塗装を延期する。

2009年01月09日

Masking

masking2maskingmasking3




 天気がよいと塗装したくなる。未塗装の車輌を見ると気分がよくない。出来れば見たくないので箱に入れてある。ある程度仕事が進んで塗るばかりになると、別の箱に入れて天気のよい日を待つ。下塗りは、チャンスがあればしてしまう。5分で終わるからだ。

 天気予報を見て準備をする。明日は晴れで風が弱いということが分かれば、マスキングにかかる。マスキングテープは、貼ってから時間を置くと糊が変質して取れなくなるし、場合によっては浮いてくる。
 3日以内が勝負だと思っている。それでも塗る直前には塗り分け部分をよく押さえて浮きがないことを確認して開始する。

 brass_solder氏は塗装台を使用されているが、筆者は左手を回転して塗る。塗り残しがない様に、事前に回転方向、持ち替えのタイミングをあらかじめプログラムして予行演習してから行う。 今のところこの方法で失敗はない。
 機関車は重いので左手が攣(つ)ることがある。落としてはいけないので、金網で作った塗装台に載せる。その塗装台を回転させる。金網で作るところがミソである。
brass_solder氏も金網を使われている。

 これらの写真をご覧になってどんな車輌ががマスクしてあるかお分かりであろうか。マスキングに1時間掛けても、塗装は2分だ。

2008年11月30日

椙山 満氏の車輌群 HOゲージ編

 昭和36年あたりから、HOの台頭を目の当たりにし、椙山氏はHOを採用し始める。当初はOとHOを併用していたようだ。
 名古屋の陶磁器輸出商のO氏が鉄道模型の輸入を始めたのもその頃であった。欧州型の模型をいくつか買われたようだが、ご不満であった。やはりアメリカ型でなくてはという気持ちが強かったと仰る。

 アメリカへの輸出用の模型を名古屋の百貨店から買うことが出来るようになり、当時入手可能であったものをほとんどを買い揃えられた。
 その頃、酒井喜房氏との親交が始まり、PFM-Unitedの製品をかなり集めることが出来た。アメリカの模型店からもかなりの数を輸入した。それには筆者も多少の貢献をしている。

 椙山氏は、入手するとすぐに塗装された。車庫の片隅に塗装台を置き、コンプレッサでラッカーを吹き付ける。気に入らないとすぐにラッカーシンナにつけて再塗装である。自然乾燥は待ちきれなくて、ヘアドライヤで乾燥し、デカール貼りとなる。車輌にウェザリングを施すようになったのは、日本ではほとんど知られていない頃からである。

 当時デカールを貼ることを知っていた人は少ない。水に漬けて浮き上がったのをさっと掬って貼るのだが、リヴェットの部分がうまくなじまなかった。洗剤を塗ったりして努力されたがあまり効果があるとは言えなかった。

 その頃、Model Railroaderの広告にSolvasetを見つけ、「これだ!」と購入されたのだ。その効果は覿面で、過去に貼った失敗作は全て張り替えてしまわれた。
 何百輌もあったのだから、大変な作業であったと思われる。

 デカルの在庫はかなりの量をお持ちであったので、それを目あてに来訪する客も多かった。しかし、いつもにこやかに応対され、貼って差し上げた。貼り終わると、客は嬉しくてすぐ持ち上げてしまい、台無しになる場合も多かった。しかし、決して声を荒げることもなく、直ちに貼り替えられた。その客は毎回同じことを繰り返す人なので、貼ったらすぐに高いところに置いて、客が帰るときに渡すようにはされていたが。

 思い出は尽きないが、来月からは筆者自身の模型製作の報告である。
 

2006年11月07日

塗装

ブレーキ・クリーナー 4台を塗り分けるのに6色を必要とする塗装作業があった 。一色ごとにエアブラシをばらして洗って再組み立てするのはかなり疲れる。

 私はシンナ代わりにスプレイのKUREのブレークリ−ンなどを用いる。
これはもともとは自動車のブレーキ液にまみれたブレーキ・キャリパの洗浄に用いるスプレイで、、細いノズルから高圧で洗浄液が噴射される。中身は、炭化水素(ガソリンに近いもの)と少量のイソプロピルアルコール等である。
 
 これを使えば色が変わるたびにばらす必要は無い。ノズル側から1秒噴射し、吸い込み口からの塗料を落下させ、逆に下から1秒噴射しノズルから洗浄液のみが噴射されるのを確認するだけで良い。つまり色替えに要する時間は5秒ぐらいのものである。

 この商品はクルマの部品屋とかスーパーマーケットの車用品売り場にある。
 新聞のチラシを注意してみていれば、特売で1本300円ぐらいで手に入ることがある。

 エッチングプライマを使うのが常道であるが、表面の酸化皮膜をプライマ代わりに使う方法もある。ハンダ付けが終わったら水洗いして、キサゲでハンダを削り、そのまま外において1月ぐらい経つと、多少錆びて来る。ここが潮時である。多少汚れがついているので毛の長い刷毛でさっと埃を払い、カプラでぶら下げてこのブレークリーンを吹きかけると、表面の油分がさっと落ちるから、日なたで暖めて塗装する。
一回塗るたびに日なたで暖め、カブリを防ぐ。場合によってはヘア・ドライヤで内側から熱を加える。
 そのあと、電気炉の中で100度くらいで保温すればよい。2時間でデカールが貼れる。塗り分けがあればさらにその倍の手間がかかるのだが、今回のは塗り分け無しで4時間で完成。

 洗浄スプレイは各社から同等品がでているので、どれを使っても大差ない。この間2本で398円というのもあった。お試しを。


2006年11月06日

プライマーの原理

paint-stripped caboose 一昨日、接着についてさらりと書いたが、実際は簡単な話ではないのだ。
 
 表面にきずをつければ食いつきを良くする事(投錨効果と呼んでいた)ができそうに思うが、これは実験により効果が完全に否定されている。塗装と接着は全く同じ概念である。母材と塗料あるいは接着剤は分子間力という力によってくっついているのである。分子間力は弱い電気的な力であり、イオン間の力があればそちらのほうが遥かに強くなる。
 
 たとえば、生ゴムに硫黄を混ぜ加熱する加硫というプロセスによりゴムを強くするのであるが、そのとき磨いた銅の棒を入れて加熱すると銅とゴムとの間に異常な接着力が生じることが、昔から知られている。
ここでは、【銅】…イオン結合…【硫黄】…共有結合…【ゴム】という経路で力が伝達され、はがれなくなる。これは昨日のスティール・ラジアル・タイヤの銅めっき鋼線に応用されている。

 これと同じ事ができればはがれない塗膜になるはずだ。塗料側に金属を酸化し陽イオンにする何か(酸化剤)が入っていれば金属と塗料側をイオン結合させることができる。しかし酸化剤は塗料のビヒクル(ラッカーで言えばクリヤー・ラッカー)と反応する可能性があるので長期の保存はできないはずである。2液性になっているのは使う直前までビヒクルと接触させないためである。1液型のものは寿命が短いはずである。常温でたなざらしになっていたようなものには効果は期待できないだろう。

 「エッチング」とは、酸化により金属表面を溶かす操作であるが、塗装しただけでは目に見える変化は無い。真鍮は屋外に置いてやや錆びた状態のほうがよく付くのはこのためである。洋白はニッケルを含むので錆びにくく困難だ。どちらにしても塗装前の脱脂が大切である。

 亜鉛にはややこしい理屈があり,塗装が難しい素材である。ダイキャスト製品には脱脂してラッカー系塗料を塗るのが最も楽な方法だ。油脂系塗料(亜麻仁油をベースにした塗料で模型に使う人は稀だ)にはなじみが悪いことが分かっている。したがってトタン板に普通の油性ペンキを塗ってもすぐはがれる。合成樹脂ペイントを塗らねばならない。最近は亜鉛にも有効なプライマーがある。2液形のものはOKのようだ。

 プラスチック用のプライマ−にはすべて個別の事情があり、この項でお話するべき内容ではなさそうだ。

 シール剤は、本来多孔質の材料に塗る吸い込み防止剤であり、金属工作物には無縁のものである。

 エッチング・プライマ−を塗ったらある程度の高温にすると化学反応が良く進んでよりよい結果が出る。私は120℃で30分ベークする。

 写真はプライマー処理後塗装し、塗り直しのためブレーキ液ではがしたもの。プライマー(黄色)は、はがれていないことに御注意。

2006年11月04日

接着と塗装

フロクイル塗料 母材によくぬれる物質が、母材間で硬化すればそれば接着である。母材表面は清浄であれば、接着力が働く。この力は分子間力と呼ばれる力で、静電気的な力である。 

 実際の接着はうまくいかない場合が多い。液体が固体になる変化時に、生じた固体の中に応力が発生する。簡単に言えば体積変化などで「ひきつれ」が発生するのだ。このため接着剤が弱くなり、本来の接着強度の1/100ぐらいしか発揮できない場合が大半だという説まである。

 硬い接着剤が具合が悪いのなら軟らかいものを調べてみると、ゴム系接着剤とか、シリコン・シーラントがある。これらの接着力は意外に強力である。内部応力の問題があまり無いからだ。また、力の伝達経路を分散させることも大きなファクターであろう。強力両面テープにスポンジがはさまれているのはこのためである。

 塗料も乾燥硬化すると、内部応力が発生する。薄く塗るほうがはがれにくいのは、このためであろう。その点、フロクイルという塗料はたいしたものである。薄く塗っても被覆力があるので、内部応力の小さい丈夫な塗膜になり、はがれない。

 本物の電車のペンキでは、はがれたところに塗り重ねたものは、重なったところがすべてひび割れている。やはり、ストリップしてから薄く塗らないとだめである。
 これはまさに塗膜の中の応力が現れたものである。大手の電鉄会社の塗装ラインを見学したとき、ストリッピングに大変な手間を掛けていた。仕上がりは素晴らしく、「経験が豊富な会社は違う」と感心したものだ。

 接着剤も薄く塗るほうのが強くつくことになるのだろうか。答えるのが難しいが、総論から云えばYESということになる。ABS系プラ用セメントはかなり違う種類の接着だから、エポキシに限った話にする。

 正しい接着が行われていれば、引張ったとき母材が破断する。ここで接着層が厚いと、接着層が破断する。やはり、内部応力が働いている。「エポキシは硬化時に体積が減少しない」と、能天気に書いている本が多いがこれは誤りで体積が変化する。

 鉄板をよく磨いて洗い、少量のエポキシセメントを塗って万力で締め付けると驚くべき接着力を発揮する。しかし普通はそんな使い方をしないから、参考にはなりにくい。最近のエポキシは硬化後もやや弾力がある。昔のものはパリパリになったから、進化したのだろう。多少軟らかいと、上述の応力の問題をクリヤーしやすいと思われる。可塑剤が入っているようだ。
 
 筆者においては、むしろエポキシはフィラー(filler)としてパテ代わりに使うことが多くなった。このパテもどきを作るときは何かの微粉(チョークの粉など)を入れて練ると具合がよくなる。単なる増量剤ではない。応力が分断され、また力の伝達経路が分散されるからである。コンクリートがモルタルより強い理由と似ている。

 瞬間接着剤も昔のものに比べるとかなり軟らかくなった。経験上そうなったのであろう。この種類の接着剤も、密着する面を清浄にして薄い接着層にすると極めてよくつく。模型のばあい、針金で作った手すりをプラの本体に突っ込んで留めるのが目的だったりするから、薄い膜はあまり関係なさそうだ。

2006年09月27日

続 塗装はがし

627dea02.jpg この写真はJan Lorenzen氏のキットを組み立てたものの塗料を剥がしているところである。大きなポリ袋に入れて、ブレーキ液を掛ける。時々ひっくり返せばよい。
 このキットはホワイトメタルの前頭部にエッチングのボディ・シェルを付けた物で前頭部の形が非常に良くない。前面の窓が小さすぎるのだ。ボンネットの丸みもややおかしい。

 JanはMIT大学院終了だそうで、ややこしい組み立て法を取るエッチング板の寸法は大変よく計算されていて、誤差が全くない。しかしこの前頭部でも分かるように板金で作られていないものの出来は良いとはとてもいえない。
 動力も評価できない。しかし、最初から二段エッチングの手法を取り入れたことは素晴らしい。

 この前頭部はBob Smith氏の青銅ロストワックスの前頭部に取り替えることになっている。

 
 ブレーキ液に漬けておくと一日でこのような状態になる。多少付着しているが、すでに塗料は軟化しているので、ブラスのワイヤ・ブラシでこすると見事にきれいになる。前頭部と妻板は新品が用意してあるのですぐ換装できる。

 この車体はE-bayで安く競り落としたもので、あとはBユニットをどうするかである。台車も入手してある。



 さて、昨日の写真に対するお答が、どなたからも、まだない。いかがであろうか。

2006年09月26日

塗装はがし

32f80f06.jpg 塗装してある模型を塗り替えたい場合、日本ではラッカ・シンナにつけるという手が紹介されてきた。それしかないと信じている人も多い。シンナは臭うし、火気厳禁で扱いが面倒である。

 Billが「自動車のブレーキフルード(液)に漬けるとよい」と教えてくれた。たまたまその月の雑誌にも載っていたが、Billが言うには、「こんなこと常識さ。車の保守を自分でやる人なら誰でも知っているぜ。」と言う。
 確かに、ブレーキフルードを入れ替えるとき、こぼすとその辺りの塗料が見事にはがれる。アメリカの中古車屋でエンジンフッドを開けてもらうと、自分で保守してきたであろう車はブレーキのマスタ・シリンダのまわりの塗料がはげて錆が出ている場合が多い。むしろそんな車の方が程度がいい場合がある。ちゃんと手を入れてきた証拠であるからだ。

 自動車のブレーキ液は油ではない。「水と油」という言葉にあるように油なら水に溶けない。ブレーキ液はアルコールエーテルという物質で沸点が高く、融点が低い。-80℃から280℃以上まで液体である。化学が進歩しても、これに勝る液体は見つかっていない。
また、水が多少混入しても中に含まれる添加剤が水と反応して沸点の低下を抑える。

 さて、ブレーキ液に浸すと、塗料は見る間に膨れ上がりひびが入ってはがれ始める。あとはワイヤ・ブラシでこすって水洗いすればよい。臭いも殆どなく引火もない。これが「有毒」だという誤った情報を流す人もいるので、困っている。もちろん飲めば危ないが、手についても平気である。洗えばよい。もしも触っただけでも毒性があるというのなら、自動車修理工がたくさん死ぬことになる。どなたか、そのようなことを聞かれた人はいるだろうか。
 「手につくとひりひりする」という話もまことしやかに流されているが、明らかなウソである。化学的知識の欠けた人の作り話である。
 この物質の仲間はマジックリンという洗剤にも含まれている。だからマジックリンは塗料を侵すのだ。

 塗料が溶けたブレーキ液は上澄みを集めて保存し、沈殿は燃えるごみで捨てる。徐々に空気中の水分を吸収するので体積が増えてくるが、効果はさほど変わらぬ。

<追記>
 2009年7月24日から三回に亘ってさらに詳しい記事がある。参照されたい。

 

 さて今日の問題。この写真の物体は何であろうか。

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