測定

2016年02月01日

車重

 貨物列車の推進運転をしたときに2輌が座屈して脱線した。その2輌の質量を測定したら、
325 gであった。その2輌はその10日程前も脱線したことがある。40 ftの貨車だから12 oz、 355 gにするという当鉄道の規則から外れていたのだ。

 当鉄道では長年の経験からその数字を決めている。今回も前後の車輛群をすべて測定した。どれも355 g以上、370 g以下であった。他の車輛が踏ん張っている中で、この2輌だけが押し出されたという結果は興味深い。
 たった30 g(約1 oz)の不足が、その違いを生んでいる。極めて低速だから、遠心力は無視できる。連結器高さもゲージで合わせてあるから、違いは質量だけである。
 
 NMRAのRP(推奨項目)に車重のことが書いてある。「基本的な数値 + 長さによる数値」をオンスで表してある。メートル法で表してもよいのだが、数字が面倒な値になるので、オンスをそのまま使っている。
40-ft車の場合、車長は10インチである。
 基本の数値は”5”であり、長さのインチ数を足す。そうすると15となり、それがオンスで表される車重となる。15オンスは約 420 gだ。当初はそれでやってみたが、重過ぎる。少しずつ減らして、半径2800 mmで押し出されない車重を調べた。この実験には足掛け10年掛かっている。その間にLow-Dの採用もあり、条件が少し変化したが、結論として12 oz、355 gでうまく行くことが分かった。これで80輌の推進運転は可能である。ただしそれは平坦線上の話である。今回のような勾配上での押上げは想定していなかった。今までは単に、80輌の入替えを楽しみたかっただけである。

 今回の脱線は押上げ時であるが、他の車輛は脱線せず、この2輌だけが事故を起こしたことは、今までの実験の条件設定がかなり適切なものであったことを示している。


 当博物館の線路の勾配は55輌分の長さしかないから、それほど大きな推進力は掛かっていない。せいぜい2.5 Nである。ただし衝撃力は考慮していない。
 衝撃力が掛かるときには、ダンパを付けた車輛が不可欠だ。早く作らねばならない。 

 車重不足の車輛には鉛活字を接着剤で貼り付けた。こういう時にはSuper Xが便利だ。裏側の骨の隙間の見えない部分に貼り付けた。鉛活字は廃業した印刷屋から貰った。

 自宅から車輛を150輌ほど移籍したが、運転していると様々な不具合が見つかり、それを補修するのにかなりの時間を割いている。 

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2016年01月30日

RP25との対比実験

RP25とLow-D もうすべて廃棄したはずのRP25が見つかった。使用済みのは、すべてアメリカの友人が欲しがったので渡してしまい、日本には存在しないと思っていた。
 タンク車を50輌博物館に移籍した。その中に、1輌だけ取替え忘れたものが見つかったのだ。交換するだけでは面白くないから、再度比較実験をしてみた。

 車軸寸法は現行のLow-Dと同じである。外して溶剤でグリスを拭き取り、踏面、フランジをよく清掃した。フランジに汚れが付いていないことを確認する。軸穴も洗って拭き取り、新しいモリブデン・グリスを少量塗って、再組立てする。

 RP25車をエンドレス上の最高地点から自由に滑走させて、到達地点を調べた。手で押すと誤差が生じるから、自分で自然に動き出す位置を選んで印をつけた。実験は12回行い、最大値と最小値を捨て、平均値を求めた。到達地点は15 cmくらいの範囲に収まる。
 次にLow-D車である。先ほどの車輛と全く同じように整備し、自由滑走させた。直線部分の加速は同等であるが、曲線を回る速度が明らかに大きい。到達地点は5.4 m先であった。これもばらつきは15 cm以内である。
 タンク車を走らせる向きは、当然同じにしている。車輪以外、すべて同一の条件である。

 RP25車輪を拡大鏡で覗くと、明らかにフランジが擦っている跡が見える。レイル側面の汚れが付着して、接触面ではそれがこすれている。ここまで来ればもう反論はできまい。
 この実験は公開で行ってもよい。何度でもできる。

・Low-Dはフランジで曲がってはいない。
・フランジが擦ると抵抗が大きい。
・模型と本物は異なる原理で曲がっていることがあっても不思議ではない。


 これでLow-Dに対する誹謗中傷は収まると信じたい。

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2016年01月12日

効率

 レイアウトで走行中の列車を見て、その電流の少なさに驚いた友人がいる。「常識では考えられない値だ。」と言う。筆者はそれが当たり前の状態を30年も続けてきたので当然だと思っていたが、彼はとても驚いていた。
「いったいどれくらいの効率なのだろう。」
「普通の市販の機関車は5%から10%くらいのものらしいよ。」
「それじゃこれは?」
「3、40%くらいじゃないだろうか。」
「すごいね。測ってみたいな。」

 模型蒸気機関車の効率はどれくらいなのだろう。dynamometer carをまだ作っていないので、いくつかの次元を測定せねばならない。線路が目の高さだから、ついて歩いて調べる。

114_4407 バネ秤で引張力を測定しつつ、速度を計測するという面倒なことをせねばならない。しかし、走行が非常に安定しているので、引張力と速度は別々に測定しても変わりがない。
 AC9単機での平坦線での最大引張力は8.5 Nであった。1.56%上り勾配上ではやや減って、7.8 Nほどであった。
 その坂で103輌引張る時の引張力は5.5 Nほどである。写真は止まっている時のもので、走っているときはもう少し大きい。速度を掛ければ、テンダ後端での出力が計算できる。実物は、drawbar pullという言葉のように、テンダなしでの値を調べる。テンダは死重だ。 

 供給電力を求めて、それで出力を割ると効率が出る。AC9は18%、Q2は25%ほどであった。もちろん、このデータには機関車そのものを持ち上げるのに必要な出力が入っていないので、平坦線で測り直さねばならない。おそらく、AC9で24%ほど、Q2では32%ほどになるのだろう。意外と低い。

 重負荷下での測定であるから、摩擦が多い可能性がある。特にロッド廻りの摩擦が無視できない。潤滑が大切である。これらの機関車にはクランクピンにボールベアリングが入っていない。最近はやりのベルハンマという潤滑剤を、K氏から紹介されて使っているが、かなり優秀である。普通のエンジンオイルによる潤滑時より、電流値は1割下がる。しかし、摩擦はまだまだある。軽負荷時の測定であれば、この部分の摩擦が小さいので、良い値が出やすい。
 筆者のUP4-8-4にはロッドにもボールベアリングが入っているので、重負荷でも効率が常に50%を切らない。モータも優秀である。出力11.5 Wのモータの3割以下の出力で走るので、モータ自身の効率も良いということもある。

追記
 Q2は42%と算出された。客車の室内燈の消費電流を計算するのを忘れたことが判明した。


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2014年12月28日

レーザ測距計

laser tape measure 長さ7.5 m の巻き尺を30年ほど使ってきた。アメリカ製で、インチとメートルの併記されているものである。とても便利で、家を建てるときにも活躍した。
 さすがに、あちこちが擦り減ってきて、動きが渋くなってきた。先日、中のスプリングが折れ、出し入れ不能になった。分解したが、修復不能であった。仕方が無いので、5.5 m のを買ったが、長さが足らないので、使いやすくはない。本当は10 m のものが欲しかったが、大きすぎて使いにくい。

 northerns484氏と作業しているときに、「レーザ式の測距計があるといいね。」という話題が出たが、高くて手が出せないと思っていた。
 先日、通りがかりのホームセンタでそれを見つけた。4000円台で買えたのだ。ウェブ上での最安値は6000円ほどであるから、買い物である。「店長イチ押し」というディスプレイ台で売っていた。20台ほどあったが、あっという間になくなった。その店ではいつも8000円ほどで売っていたのだ。

 さっそく電池を入れて試してみた。素晴らしい精度で驚いた。10 m 離れての測定で、誤差は1 mm 程度である。巻き尺の伸びとどちらが大きいだろう。繰り返し測定でも同じ数字が出る。巻き尺で二回に分けて測ると誤差は大きい。また、思わぬ計算違いもあって、失敗する可能性がある。現実に、以前のマーキングをこれでチェックしたところ、一箇所 1 m 間違っていたところがあり、冷汗をかいた。

 これを使えば、間に障害物があっても、基準のガラス面からの距離が直ちに出る。もちろんガラスには反射させるための紙を貼って、誤測定しないように気を付けている。
 斜めの距離も一瞬で測定出来るから、三角関数で角度も算出される。煙突などの高さを、ピタゴラスの定理で測定できる機能が付いたものもある。高級機には角度センサが装備されていて、一回の測定で高さ測定が出来るものもある。 また、測距離も大きい。エアコン屋が持っているのは、一回で面積を算出することが出来る。
 この機械の最大距離は15 m までだが、このレイアウト建設には十分だ。

ceiling height 立てれば高さも測定できる。自宅で天井高さを調べているところである。
 

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2014年09月15日

続々々々々々 土屋 巖氏の死去

 祖父江氏を土屋氏に紹介してから3年ほど経った頃の話である。

「dda40xさん、祖父江氏は仕事がないと言っている。改造だけでは面白くないらしい。彼は機関車を作りたいんだ。でも、資本が無い。出してくれないかという話もあるが、それよりも、あの人をうちの会社に取り込んでしまいたい。会社の定款を多少変更しなければならないが、今でも1/1の モデル作りをしているんだから、そのままでも行けるかもしれない。」
「えっ、祖父江氏を雇うということですか?」
「いや、工場長ということではどうだろう。模型部門を独立させて、社員を何人か移動させる。中には好きなのも居るからね。工場には週2日ほど来てもらうという案ではどうだ。」
「祖父江氏は『自分の工場の中にある道具がないと仕事ができない』と言って、アメリカ移住の話も断ったのですから、難しいと思いますよ。」
「それなら、うちの会社の近くに、そっくり家ごと引っ越してもらうのはどうだろう。祖父江氏の図面は全て買い取り、NCの機械に掛けられるように、うちの社員に描き変えさせて保存する。」

 祖父江氏はあまり気乗りがしなかったようだ。
 しかし、土屋氏は諦めきれず、機関車を三次元測定器に掛け、NC彫刻機で彫り出して複製を作ったりしていた。そこで分かったことは、祖父江氏の図面と、出来上がった模型との間には僅かの差があったことだ。
 図面通りに彫り出したモデルと、製品とでは微妙な違いがあるのだ。

 土屋氏は矯めつ眇めつ、モデルと製品とを比べて、
「製品の方が良い。この差は祖父江氏の感性から来ている。これは図面通りに作ったらこうなる、というものではないんだ。要するに、無形文化財だな。彼は天才なんだ。祖父江氏が死んだら、もうおしまいだ。同じことを出来る人はいない。工場を作っても駄目だな。」

 その後土屋氏は、祖父江氏の持っている能力を全て模型という形にして、移し替えるという哲学で接した。必要なものは全て揃えて渡し、祖父江氏の好きなように工作をさせたのである。正しい意味のパトロンである。祖父江氏はそれに応え、素晴らしい仕事を残した。

「うちには祖父江氏の能力が具現化した模型が揃っている。これは素晴らしいコレクションだよ。」と土屋氏は満足であった。


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2014年06月02日

続々 レイルの電気抵抗

 PECOのレイルを切るとき、妙に固いことに気が付かれたそうだ。切り粉を会社に持って行って、分析したところ、タングステンを含むことが分かった。

 含タングステン洋白は、接点用として用いられる材料である。価格はそれほど高いわけでもない。スパークに強く、減りにくい。また錆びにくい。
 模型鉄道のレイル用としては、ある程度の機能を期待できる。レイルの車輪は常に小さなスパークを発している可能性が高いからだ。しかし、摩擦係数は小さいはずだ。耐摩耗性については、別の事例を思い出した。

 もう40年も前の話だが、椙山満氏がご自宅3階にレイアウト(MR, TMSで紹介された)を建設されたときに、どのレイルが最も耐久性があるかを調べられた。一度敷くと、そう簡単には取り換えられないので、最も耐久性があるものが求められたのである。
 氏は既存のレイアウトの本線のカーヴを各種の線路を使って構成して、そこで耐久試験を行ったのである。毎日、12時間以上、2月ほど走らせたそうだ。

 その結果は、断トツにPECOの勝ちであったそうだ。他社のレイルは、レイルヘッドが摩耗してしまった。ウェブと差が無くなったのを見せて戴いた。PECOだけは原型を留め、集電が最も良かったとのことであった。

 最近、N氏のレイアウト建設で、ポイント作りをした。その時に材料として提供されたのがPECO製であった。最近の製品のようだが、レイルが意外と軟らかい。糸鋸でサクっと切れ、ヤスリの掛かりが良い。快削性がある。これは何を意味しているのかは分からない。このレイルの電気抵抗を測定してみたいが、予備の線路の量が少なく、方法を考えねばならない。また、成分の分析も、再度鎮目氏にお願いしてみたい。

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2014年05月31日

続 レイルの電気抵抗

 鎮目氏の測定値を次に示す。


ブラスレイル     30 m     1 Ω  カツミ製
鉄レイル        30 m     2 Ω   House of Duddy 
洋白レイル       30 m    5.3 Ω   House of Duddy
洋白レイル         30 m     10 Ω    PECO

比較のために
ビニル被覆電線 30 m    0.8
Ω (協和電線 断面積1.25 mm sq  

 鎮目氏の参考にされた文献(化学便覧ハンドブックとある)のデータである。おそらく、単位は10^-7 Ωmである。

銅           0.47
真鍮          1.0
リン青銅       1.6
洋白          5.3
鉄           1.8
SUS 303, 304  11〜12.7

 合金はロットによって電気抵抗は異なる。この文献によれば電気抵抗は、ブラスの値の、鉄は2倍、洋白は5倍というところだ。合金の電気抵抗率は文献によって、とんでもなくばらつきがあるものである。鉄とあっても、炭素鋼とは違う。洋白は洋銀とも言うが、その組成は千差万別である。一番信用できるのが、抵抗材を売っている会社のデータである。製品別に組成が示され、温度による変化率も書いてある。

 また模型の場合、製品によってレイルの断面積には差があるが、それを考慮しても、上の値は興味深い。PECOのレイルは異常に大きな電気抵抗を示している。
 さらに、鎮目氏はそのレイルの材料を化学分析にかけられたのである。


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2014年05月29日

レイルの電気抵抗

 鉄道模型のレイルは洋白材が多い。銅合金だが、ニッケルを含むので電気抵抗は大きい。

 ニッケル合金は、例外なく電気抵抗が大きい。ニクロム(ニッケルとクロムの合金)は高温に耐えるので、電熱線に用いる。マンガニン(ニッケル約4%マンガン12% 残り銅)は物理実験に用いられる抵抗線で、温度変化による抵抗値変化が極めて小さい。また、モネル(ニッケル約70%、残り銅 の合金)は耐食性が良く、海水淡水化装置などの材料である。

 最近各種のフレクシブル・トラックを使用しているが、ポイント作成には古いカツミ製のブラスのムク・レイルを使っている。50年ほど前の製品だが、かなりの量の中古を手に入れたので、尖端レイル、フログをそれから作る。ウェブ(レイル断面の中央の垂直部分)が厚いので、尖端レイルが作り易いからだ。
 ブラスの電気抵抗は小さい。カツミのレイルは太いからということもあって、電気が通り易い。昔のAtlas製品は、ブラスにニッケルめっきを掛けてあったので、電気抵抗がかなり小さかった。最近の製品は洋白製であるからあまり感心しない。

 そのことを鎮目泰昌氏と話していたら、「House of Duddy Flex Track は良いが、PECOは極端に電気抵抗が大きくて、話にならない。」とのご宣託であった。詳しく聞くと、彼のご自宅のレイアウト建設時に、各種のレイルをある程度の数をつないで、電気抵抗を測定したということであった。客観的なデータを記録してあると仰るので、それを送って戴いた。 その結果は驚くべきものであった。

 鎮目氏はレイアウトルームにレイアウトの台枠が完成した時点で、各種レイルの電気抵抗を測定しようと思い立った。しかし、一本では抵抗値が小さく、普通のサーキット・テスタでは測りきれなかった。
 そこで30本直列につないで先端を短絡し、すなわち60本のレイルを直列にして電気抵抗を測定したのだそうだ。もちろん、各レイルはレイルボンドで接続してある。その結果は次のような値になった。


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2014年02月14日

続々 Dynamometer Car

 速度を計測するのは車軸の回転数からである。ところが車輪は少しづつ摩耗するので、その径をいつも測定しなければならない。

 この写真はイギリスのDynamometer Carである。測定用の車輪を軽く押し付けているのが分かる。その車輪は接触圧がとても小さいので自転車の車輪ほど華奢である。普段の走行時には持ち上げていて、試験のときだけ、接触させている。

SH821 この記事はPopular Scienceの特集記事などをまとめたこのサイトからお借りしている。 NYCの車輌を図解している。これは油圧式で、連結器の伸びは非常に少ないが、模型化は無理である。
 キュポラに座っている人は、マイルポストを監視している。車輪の回転のみならず、実際の距離も読んでいるのだ。あとで突き合わせて補正をするのだろう。
  

 キッチンがついていて食事が出来るし、ベッドもあって休むこともできる。ディレクタの席もあるし、なかなかの豪華版である。日本の国鉄のヤとか、いわゆる”ドクター・イエロー”などの中はどうなっているのであろうか。日本では比較的短時間であろうから、このような設備は必要ないのだろう。

 今回作るのは機能第一主義であって、その外見は「変でない程度」にしか作らない。もちろん実物のスケールモデルではなく、こんなのがあったらいいなという程度である。

 台車は4輪台車でも良いのだが、より重厚な6輪台車にする。イコライズしていない台車に改造を加え、3軸がいかなる線路にも追随する工夫をした。牽引力計も、カーヴ上での作動を確保する構造にした。
 
 ある程度形が出来たら、報告する予定だ。
 



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2014年02月12日

続 Dynamometer Car

 牽引力は、バネを押し縮めたり、あるいは伸ばしたりしてその変位を測定することによって算出される。連結器は引っ張られると伸びるわけだ。その量をある程度の範囲にしておかないと、連結器がうんと伸びて、外見的にもおかしいし、曲線上ではその引っ張る向きが車輌の軸から大きく外れてしまって脱線のもとになる。

1997-7059_HOR_F_1012 本物の構造はどうなっていたか、テコ式のは資料が集まらないので分からない。模型はサーボモータなどで変位の分だけ、バネ秤を軸方向に移動して、見かけ上、連結器が伸びないようにするのが望ましいと思われた。すなわち、車体を押さえて連結器を引っ張ると、連結器が伸びないで牽引力が測られるのがベストである。
 この機構は以前作ってみたのだが、追随性を上げると、その時に加速度が測定されてしまい、見かけの牽引力増加が測定されて、とても具合が悪い。追随性を下げると何の意味もないし、正直なところ良い結果は出なかった。追随するときの変位補償の加速度をコントロールすることが必要なのだが、とても難しい制御である。
 バネを強くすると変位量が小さくなるが、その分測定誤差が増える。

 実物は曲線半径がはるかに大きいので、連結器の伸びは問題がなさそうだ。

chicst38 ダイナモメータの牽引力曲線を見たことがあるが、蒸気機関車の場合はトルク変動が大きく、波打っている。3気筒機関車の場合はトルク変動が小さいので、波打ちが小さい。
 電気機関車の場合はほとんど平坦である。その出力用紙には時間軸も印刷されるので、特定の時刻の速度の出力用紙からの読みと照らし合わせて、仕事率を計算するようだ。かなり面倒な作業だ。

bo-2002-48images 当時の写真を見ると、機関車のキャブとの通話用の電話線が見られる。またテンダ上を経由して、キャブまで行くことができるように、キャットウォークも付けられている。詳しい様子は分からないが、キュポラの前妻が開いて、屋根上に出られるものもあった。蒸気機関車の時代の出力測定は多人数でやる大掛かりなもののようだ。


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2014年02月09日

Dynamometer Car

 最近はダイナモメータという言葉が、日本語に入っているようだ。自動車の動力系を改造して試験をするのだそうだ。以前はこの種の測定器は自動車製造会社にしかなかったのだが、最近は街なかの自動車改造ショップにも置いてあるらしい。看板をよく見かける。アメリカの自動車屋にもある。dyno ディノゥ という言葉を使う。ダイノゥと読むはずなのだが、そういう発音は聞いたことがない。
 
 鉄道車輌にそれを積み込んだものがdynamometer car ダイナミタ・カァ である。太字にアクセントが来る。
要するに牽引力と速度を測定し、その積を求めるのだ。当時はこの二つをグラフとして出力させ、それを持ち帰って計算して出力を得ていたようだ。すなわち、当時はリアルタイムの出力は、直接には得られなかったのだ。

 当鉄道ではディジタル速度計は25年前から実用化されている。これは以前雑誌に発表したが、車輪の回転を光電式で読み取り、速度をマイル表示あるいはkm表示で示すようにしたものである。ディスプレイは貨車のドアを開けるとLEDで大きく表示される。約1秒ごとのサンプリングである。

 今回製作中のものは牽引力と速度を測定し、演算して積の形で表す。つまり仕事率が直読できるようにする。それを無線で手元に表示するようにしようというわけだ。最近はbluetoothなど、安くて簡単な方法がいくらでもある。
 あるいはリアルタイムでなく、一巡りして来て、蓄積したデータを取り込む形でも良い。それなら無線でなくても良い。

mousepower MR1950-02p26

 窓からリアルタイムの出力を見せることは必要だろう。問題はその出力がせいぜい4Wくらいなのだ。あまりにも小さく面白みに欠ける。  1950年2月のModel Railroader にとても興味深い記事が載った。馬力 horsepowerは大き過ぎるから、ネズミ力 mousepowerを導入するという話だ。よく読むと次元が間違っていて、力と仕事率とを混同しているからアウトなのだが、面白さはある。それをTMSが1957年9月号に解説しているのだが、中味は感心しない。
 しかし、その記事中、”mousepower”の日本語訳に「チューリキ」というのは愉快だ。これについては、伊藤剛氏が1950年頃クラブ会報に解説を書かれていたが、それは正しい内容であった。

 出力のワット数に適当な比例定数を掛けて、スケール馬力数を表示させるのが良さそうだと思う。

  [画像は栗生弘太郎氏よりコピィを戴いた。64年前だから、わが国では版権の問題はないものと思う。しかしインターネットは外国にもつながっているから……… 。] 


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2014年02月07日

牽引力

 牽引力を測定するのは、バネ秤を用いる。Oスケールでは最大15 N (約1.5kg重)ほどの牽引力を発生するので、2 kg の秤を持っている。大きな鈎が付いているので、垂直使用時(普通の用途)ではそれで良いが、牽引力は水平使用なので鈎の重さが差し引かれるべきである。
 調節ネジを緩めて、零点を合わせる。所定の台に載せて釘で仮留めする。テンダの連結器に針金を引っ掛け、バネ秤と直結する。これで起動時の牽引力は測定できる。
 今までの実験では摩擦係数は0.22近辺である。ニッケルめっきされた鉄タイヤで、すでにめっきは擦り減って剥がれている。ちなみにLow-Dは0.15近辺である。これらの値は乾燥した鋼製レイル、洋銀レイル上で測定した。鋼製レイル上の方が僅かに大きいが、誤差範囲に入るので、事実上同じとする。

 走行時の牽引力は、測定用貨車を作り、それに秤を載せて歩きながら見る。かなり滑稽な状態だが、それをまじめにやった。床に線路を敷いていた25年前はそれが出来たが、現在は不可能だ。
 
 
 所属クラブの新年のお題として「特殊車輌」というのが与えられた。良いチャンスだから、それに参加することにした。Dynamometer Carを作ることにしたのだ。部品もある程度揃ったので、作り始めた。
 少し短い客車(70’ combine)の始末に困っていたので、それの屋根を削り取った。キュポラを付け、テンダへの乗り移りがし易いようにデッキを付ければ外見上は出来上がりだ。

 中味はどうするか迷ったが、その分野の測定装置を作っている研究者の方が近所に居るので、話を聞いた。
 結論は、いわゆるディジタル・フォースメータは信頼性が小さい。特に温度特性が良くないとのことであった。時を経てもバネ秤に敵うものはないらしい。ただし、バネは伸び縮みで先端が多少回転するので、スラスト・ボールベアリングを付けたほうが良いようだ。

 バネ定数を測定して、誤差のほとんどない部分で測定すれば、極めて正確なバネ秤が出来るということだ。読みをどうするかであるが、その方のお勧めはディジタル・ダイヤルゲージであった。要するに軽く動くDROである。

Dynamometer Car  [写真はHOの既製品のDynamometer Car 外見のみで機能しない]

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2014年02月05日

sine と tangent

 先日のコメントでサインとタンジェントの話が出た。いつも、どちらで書こうか迷って、結局タンジェントにする。模型ではタンジェントの方が分かりやすいし実用的である。水平な路盤に印を付けて、持ち上がる量を決めるからだ。
sine and tangent
 実物はサインでないと定義しにくい。線路は山中の斜面に敷くので、走行距離当たりの持ち上がり量を考えねばならない。地中に仮想の線を引くわけにもいかないからだ。

 機関車の走行距離と負荷を持ち上げる高さで角度が定義され、走行速度が分かれば出力が算出される。これは機関車の効率を測る方法である。

 機関車は斜面を登るわけだから、サインなのだが、鉄道の勾配は非常に緩やかなので、実質的にはサインとタンジェントの値は等しいと近似しても、なんら問題はない。

 Incline (いわゆるケーブルカー)などではその差は如実に表れる。

 コメントにも書いたが、この実験のように路盤にShim(薄い板)を挟んで持ち上げるときは、タンジェントの方が楽である。床のタイルの大きさの整数倍のところに薄い板をはさんで測定し、そのシムの厚さをノギスで測定すれば済むからだ。これをサインでやれということになると、路盤長さを測定して印を入れ、そこにシムをきちんと挟まねばならない。かなり面倒だ。

 というわけで、「本当はサインを用いるが、鉄道模型ではタンジェントが楽。」が正解ということを強調しておく。

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2014年01月18日

ピヴォット軸受

 筆者の車輌での測定値を下に示す。

 17.5mm(33 inch)車輪を付けたデルリン台車装備の4軸貨車(質量358 g)の、勾配での起動角θのtangentは0.0030である。
 また、動いている貨車が止まらない最小角は0.0023である。1 m行って2.3 mm だから、これはほとんど目に見えない角度である。すなわち、水準器代わりになるほどである。
 筆者の貨車は、迂闊には机の上には置けない。あっという間に滑り落ちてしまう。この値はピヴォット軸の場合である。HOなら、単純に考えると輪軸のテコ比で2倍となるから、0.006ほどを期待できることになる。

 先回のコメントで戴いたデータは、かなり大きな値である。どのような潤滑方法を取っておられるかは分からないが、ピヴォット軸受のような接触圧が大きい物には、極圧型の潤滑剤が不可欠である。液体だけの潤滑油では、油膜が切れるので、意味がない。最近はモリブデン粒子入りのグリスがとても安くなったので、それをホンのちょっと入れるだけで、摩擦が激減するはずだ。この「ホンのちょっと」というのは、尖端に0.5 mm径ぐらい付いていればよいのであって、多すぎると攪拌抵抗が増える。

 19 mm(36 inch)の車輪が付いた6軸プルマン客車は、tangentが0.0041である。何が違うかというと、集電ブラシが付いているからである。集電ブラシは、軸の細いところに接触していて、注油してある。
 軸受はデルリンでなくダイキャストのままである。それも大きなファクタかもしれない。動摩擦では0.0033である。

 牽引力7 N(約700 g重)の機関車(動輪上重量が約3 kg)で、平坦な直線上なら、200 kg以上の貨車を牽ける計算だ。すなわち500輌以上の貨物列車だ。
 3%勾配であるなら、20 kg すなわち50輌ほど引っ張り上げることが出来る。ただし、これは直線上の話であって、曲線上ではフランジがこすれたり、左右の車輪の行路差があるので、この半分ほどになることが多い。

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2013年08月02日

続 持ち帰った工具

6-inch Degital Caliper 他に持ち帰ったものとしては、デジタルノギスとDremelのMoto-Toolがある。
 前者は評判が良い。日本国内で売られている中国製のノギスの中には、誤差が大きいものがあるそうである。しかし、筆者はシカゴの親しい店から購入しているので、精度は保証付きである。店に行くと、1インチ、1.5インチ、2インチの精密ゲージ・ブロックがあって、それで調べてくれるのだ。中には微妙なハズレもあるそうだが、ほとんど間違いない。1/100 mm まできちんと測れて、再現性が完璧である。しかも安い。米国内送料を入れても2000円ほどである。必ず欲しがる人が居るので、いつも多めに手配しておくと喜ばれる。

Dremel 8200 もう一つはドレメルの充電式のモート・トゥールである。最近は10.8 V リチウム電池搭載で、かなり強力である。ケースに入って、ある程度の先端工具付きである。コレットは1/8 インチ用しか付いていない。3/32インチ用のは別途買う必要がある。旋盤工作が好きな人なら、自作できるであろう。
 この2台の行き先が、決まっていなかったが、拙ブログで紹介したら、あっという間に無くなった。 電池の持続時間は、全速で使用して6分間位である。緩速使用なら、12分間ほど使える。電池は継ぎ足し充電が可能であるので、充電しながら使うことができる。公称1時間で充電可能である。
 

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2012年10月01日

続 Dennis の工夫

712_5816-2 先回の写真は角度が悪く、あまり良くお分かり戴けなかったと思われる。もう少し異なる角度からの写真を探してみた。
 ダイヤルゲージの先端に小さなプローブを付けている。それがクランクピンに当たる位置を調べている。もちろんクランクピンの太さが完全に同じであることを調べなければならない。動軸をセンタで押さえてクランクピンを水平なゲージにこつんと当て、もう片方をプローブで押さえる。いくつかの動輪を調べて見ると、大体2〜5/1000インチの誤差がある。ミリで言うと0.051mmから0.13mmくらいの振れである。
 日本製のKTM製品はまず問題ない。韓国製、中国製は問題がある。後者は壊滅的に駄目である。試運転すればすぐ分かるはずなのに、ずさんにも検査を通してしまうのだろう。
 調整して、2/1000インチ以下の振れに留めるようにする。

 振れを調整して、プレスで押し込む。一度は嵌っていた軸なので問題なく垂直に押し込める。この時精度の良いアーバ・プレスを用いないと振れが出る。もちろん限界まで押し込んで完了するように、Back to Back(バックゲージ)のブロックを挟んで行う。

25ton Arbor Press アーバ・プレスとはこんな形の工具である。力が掛かったときに口が開かないような設計が必要である。Oゲージでは0.25トンが必要である。写真は筆者が持っているタイプのカタログ写真である。ラック刃の付いた角棒が垂直に降りるように、調整ネジが付いている。ワークの高さに合わせてアーバを引き抜き、ピニオンとの噛み合いを調整することができる。そうすることにより、ハンドルの角度を変えられ、最も力を入れ易い所に持って行くことができる。

 アーバの先端にはネジ穴があり、色々な工具を取り付けられる。抜き型を付ければプレス抜きもできる。ボール盤で代用すると、軸が回ってしまい、プレス加工は困難だ。達人はベルトをシャコ万で締めて回らなくしたりするようだが、筆者は自信が無い。この工具はかなり前に仕入れたアメリカ製である。e-bayを丹念に見ているとたまに見かける。それほど重いものでもないので運賃も心配するほどのことはない。

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2007年11月29日

ハイトゲージと定盤

定盤  この定盤は印刷機の解体部品である。部厚い鋳物を磨いてある。それを貰ったので、レイルの内側に相当する部分を大きなフライス盤で削ってもらった。この種の大きな仕事はShark Nose氏にお願いして、彼の工場で加工して戴いている。

 ハイトゲージは、ディジタル表示である。最近はそれ程高価でもない。

トースカン トースカンもあるがあまり使わなくなった。このトースカンのベースは押せば裏にピンが出るようになっていて、それを引っ掛けてスライドさせることもできるようになっている。いろいろな機能がついていて面白いが、もう既に過去のものである。

 定盤の上に鎮座しているのはUPの7000である。これはLobaughの製品の改造である。元はSPのMT−3のボイラを利用している。フレームはオリジナルのブロンズ鋳物を捨て、新たにふいた砲金鋳物である。それをフライスで切り込んで作った。この程度の仕事は小さなフライス盤でも簡単にできる。

 この鋳物は初めての経験で、発泡ポリスチレンを切って作った型を砂に埋め、熔湯を流し込んだ。いわゆるロストフォーム型である。型作りは意外と簡単で、思うようにできた。鋳込みは鋳物屋さんにお願いした。地金は水道のコックの材料である。

 UPの7000は2台あって、もう一つは稲見製作所の先代の作品である。それはかなりの大改造をほどこしてある。テンダーは新製である、同時に完成させるつもりだ。 

 

2006年11月25日

機関車の効率

Motive Power Peerformance Review 模型機関車の効率はいったいどれくらいなのだろうか。どうすれば計れるのだろうか。高校生の頃は、それで頭がいっぱいであった。せっかく物理の時間に習った知識を使ってみなければと、実験装置を作ったが、ストップウォッチもなく、電流計がいいかげんなテスターであったので、あまりよい結果が出なかった。言える事は10%以下であったことだけだ。

 NMRAの会報中、一番興味があった記事は、Robert E.Higgins氏の連載記事で、"Motive Power Performance Review" 動力車実力測定報告とでも訳すのだろうか。ありとあらゆる機関車の性能分析が10年くらい続いた。

 起動電圧、最高速、牽引力、効率、騒音、スケール・スピードが測定され、簡単な感想とともに纏められていた。毎月その記事を真っ先に読んだ。

Efficiencyこれを見ると、模型機関車の効率は信じられないほど低い。せいぜい6%、たまに良いもので13%くらいのものである。ひどいものでは2%というのもあった。父に聞くところによると、本物のモータは適正な負荷時では効率は95%以上あるという。あとは怪しいギヤ・トレインのせいだろうか。

 
 良いモータ、優れたギヤさえあれば50%以上が出るはずである。何年待っても、そのような機関車は出現しなかった。そうなると作るしかないということだ。祖父江欣平氏との共同作業を経て、世界最高効率というお墨付きがアメリカの雑誌に載るほどの機関車が出現した。

 冒頭の図はHiggins氏の記事に使われていたイラストである。この装置は簡単に自作できる。ある一定距離を走る時間と電流・電圧、勾配だけで計算できる。

 押して動く機関車では、最初の出だしで機関車が勾配を滑り落ちてしまうので、保持の仕方にコツがある。
 
このFEF-2の効率は61%ほどだ。

 50%を超えると、もう別世界である。単三電池一本で起動してそろそろと走る。起動電流は40mA以下。80両牽いてスケール・スピードで70マイル/時で走る時でも電流は800mA以下だ。



2006年09月25日

続々QCTP

a88cd98a.jpg これはQCTPにつける自作アタッチメントである。複合刃物台の角度が、平行かどうかを確認するためのものである。これは日本製の高級品がつけてある。

 ダイヤルゲージをテスト・バァに当て、刃物台をスライドさせればすぐわかる。もちろんその前にチャックの心が出ているかをこれで確認する。

 今まで面倒な方法でダイヤルゲージを当てていたが、これさえあればたちまち完了する。

 最近中国製のダイヤルゲージがとても安く手に入る。心の振れを見るぐらいなら、何の問題もなく使える。磁石のついた自在台もこれまた安い。こういうものは使えればよいので、アマチュアには低価格はありがたい。目盛りがミリでもインチでも関係がない。動けばよいからだ。
 何種類ものダイヤルゲージを買ってしまった。内径用のインジケータはアタッチメントがいろいろあり、工夫してその組み合わせを考えるだけでも楽しい。

 先ごろ核兵器開発に使える超高級精密測定機器を、低級品と偽装して輸出した件で検挙された会社も、売上をかなり食われていると推察する。最近はかなりの赤字だったらしい。この値段で売られてはたまらないだろう。

 QCTPのカートリッジには、他に綾目のローレットを切るための専用のものもある。2つのローラーがついている。高さを無段階に変化させられるので、先端が首を振らなくても、アタリを均等に設定できて都合が良い。

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