ハンダ付け

2011年11月25日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3057GOW_3058 全ての部品が届く前に、見本として来ていた部品を組み立ててみることにした。写真を撮りながら作れば、組み立て説明書になるわけだ。


 まず全体の配置を決める。今回は全体の大きさを小さくすることを目標にしていたので、トランスの取り付けを90度倒すことにした。すると床板に取り付けるためのスティが必要となる。適当なアルミ合金製アングルを拾っておいたので、それを切って取り付けた。アルミ合金でなくてもブラスの小片でも良い。トランスのフレイムのネジにはM4の雌ネジが立っているが、3mmを使ってのナット締めでもよいだろう。トランスを倒すことによって後面のパネルの剛性が増し、足踏みスウィッチのプラグの抜き差しが楽になったのは儲けものであった。

 パネルはアルミニウムなので工作は実に容易だ。しかし、ドリル等が食い込む惧れがあるので、注意する。小さい穴を開けてそれをヤスリで広げるのが簡単だろう。普通の人は19mmのドリルなど持っていないだろうから。
 ヤスリはすぐ目詰まりするので、丹念にヤスリ粉を取り除くとよく切れる

GOW_3059GOW_3060 部品の配置は過去の例を参考に、より操作が簡単になるように、電線の取り廻しが楽になるようにと工夫した。皆さんの工作机の配置に合わせて、適当なアレンジをされたい。

 足踏みスウィッチの取り出し口は後ろにし、また、そのコードの長さを1.5mとした。これがある程度長いと、配置の自由度が上がる。

 ここまでの標準組み立て時間は、配置検討30分、ケガキ30分、穴開け1時間、部品取り付け30分というところだろう。後述するが、トランスの配線だけは事前に済ませないと、あとからではネジが締まらない。

2011年11月15日

炭素棒ハンダ付け装置のその後

 近所の電気屋の社長から連絡があって、11月26日に全ての部品を納品できると言ってきた。請求書は来ていないので、単価がまだ決まらない。

 たぶん12月の第一週には発送ができると思う。
 申込者にはそれまでに往復はがきをお送りするので、承諾書に署名捺印して返送願いたい。

 変圧器は11月4日に納品されている。1台2.9kgある。玄関脇に一山あるがこれだけで100kg以上である。動かすのも億劫で納品されてから手を触れていない。

変圧器 耐熱電線 写真を撮ったのでお見せする。電線はテフロン被覆電線で、とても高価である。現在使用中のものは熱で徐々に劣化してきたので、これだけは採用したかった。要するに、ワーク(工作物)の周りは耐熱電線を使うべきなのである。アース線より、手持ち電極の方を長く切った。同じ長さでは使いにくい。これは、筆者の経験に基づいた長さとした。あまり長いと損失が大きくなる。

 炭素棒を取りつける手持ち電極は、今週末に完成させる。現在、心棒となる6mmの鉄棒を切断し、ロレットを切った。発生した熱は大半がワークの方に伝わるが、一部は手元に伝わってくる。それを少しでも伝えにくくするために鉄の棒を使った。細くするとよいのだが曲がるので、経験上6mmが必要であった。
 
 先端のブラス挽き物は久し振りの量産で、手際良くできるように段どりした。
 炭素棒が5mm径であり、それを3mmのネジで留める。締めすぎると割れるので、軽く締める。炭素(グラファイト)は、圧力を掛けると流動する性質があるので、ぴったりの穴に入れてゆっくりネジを締めると、多少塑性変形してよく締まる。



2011年11月03日

続 工具立て

DSC_2890 コメントを戴いた。その方法もやっていないわけではない。
 クラブ員のY氏から提供された医療用のステンレス容器である。これの縁はやや開いていて工具を取り易い。しかし向こう側にあると取りにくいから、回転すると具合が良い。

 ボールベアリングがいくつかあるので、これを廻すための台を作ろうと思う。簡単な工作である。内径30ミリ外形55ミリのボールベアリングが適する。ただ手で触って廻ればよいので工作は手抜きでよいのだ。

 
 炭素棒ハンダ付け機の進捗状況を報告する。
 昨日トランス屋から連絡があり、4日に納品される。1台 3 kg もある。
 ケースその他は近々納品されるだろう。2、3週間のうちに、注文された方には往復はがきをお送りするので、承諾書に署名捺印して送り返して戴きたい。
 金額がそれまでに決まれば、送金の方法も指定させて戴く。

 部品がそろった状態で、1台試作してみて、その写真をUPするので、それを御覧になって組立てられたい。ケースの穴開けが面倒だが、それ以外は容易である。
 炭素棒につなぐケーブルだけは耐熱のテフロン線を用意したのでそれを使われたい。圧着端子を締めて出荷する。また炭素棒を取り付ける部分は、組み立て済みにするつもりである。今その工作で忙しい。

 敷板を注文された方には、2mm板から切り出して用意したが、寸法は多少の誤差があるし、直角が出ていない可能性もある。気になる方は縁を削って戴きたい。 
 特殊寸法を頼まれた方は、材料調達の関係で長さ方向はご希望通りだが、幅は微妙に足りないものもある。どうしてもその寸法でなければならないという方は、再度ご連絡戴きたい。なるべくご要望にはお応えしたいが、新たに定尺板を購入することは避けたい。

 敷板は、車輌全体を載せてハンダ付けしなければならないというものではないので、寸法はあまり気にならないというのが筆者の経験から言えることである。Oゲ−ジ車輌を、 20cm角板の上に置いて作業しても、何も問題はない。

2011年09月30日

炭素棒ハンダ付け装置のその後

 ようやく見積もりが上がってきて、価格交渉の最中である。当初は1万円を切る価格でと思っていたが、とてもそれでは収まりそうにない。トランスは二次線まで巻かない状態で納品ということはできないと言う。トランスの外形が大きくなったので、ケースも大きくなり、それが意外に高い。
 5V 20A の定格なので短時間なら30A程度流れても問題ない。1次タップを4段に切り替えるのでそのロータリィ・スウィッチが必要で、足踏みスイッチもある程度の高級品を使わないと踏む頻度が高く、壊れてしまう。
 出力端子も30Aに耐えるものを使用することにした。圧着端子で8φ用のを使うと、耐久性がある。

 トランスの二次巻線をテフロン線で細く仕上げようと思っていたが、十分な余裕があるので普通仕様の線を使うことにした。出力端子から先はテフロン線を使いたいところだ。

 ざっとであるが、今のところの積算金額は1万6000円弱である(ブラスの敷板は別途)。こんな価格では辞退したいという方は早めにお知らせ願いたい。
 これには炭素棒を保持する部材も含まれている。それは筆者が材料を加工中である。ブラスの丸棒を旋盤で切って穿孔し、ネジを切った。
 握りはヤスリの柄にちょうど良い大きさのものがあるので、その中を電線が貫通するようにした。圧着端子の締具を持っていない人が多いはずなので納品時に、それだけは締めて差し上げたい。

 PL法の適用外になることを承諾して戴く必要があり、それを念押しされている。事前に承諾書に署名して戴く必要があるので、2台申し込まれた方は、使用予定者の住所とお名前をお知らせ願いたい。文案は準備中である。

 使用する炭素棒は5mm径のもので、仙台の今野氏からの御提供である。筆者のプロジェクトに賛同されて無償で提供戴いた。感謝している。

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2011年09月06日

続 フラックスの役目

 塩化亜鉛飽和水溶液の沸点は極端に高い。薄くても加熱によって水が蒸発するから、飽和溶液になる。この時、沸点は300℃を越える。これは、化学実験で反応容器を高温に保つ時の熱媒体としても使われた歴史があるくらいなのである。もちろん、その中では多少の加水分解が進み、塩酸が生じ、それが銅などの酸化物を溶かす。
 すなわち金属容器は溶ける可能性があるから、ガラス容器中で実験を行うというのは常識である。
 
 ハンダ付けの最中は300℃ほどであろうから、その加熱時間中に母材表面がきれいになるというわけである。
 昔から建築板金職人は塩酸を使っている。人により、その中にトタン板の切れ端を放り込み、表面の亜鉛を溶かす人もいた。要するに塩化亜鉛と塩酸の混合溶液である。この時、地金の鉄板はイオン化傾向の差で溶けない。そうして作った液を、竹の串で相手に塗りつける。竹の串は先を潰して細かく裂き、液が保持されるようになっている。

祖父江氏の塩酸入れ 祖父江氏は希塩酸を湯のみに入れ、それが倒れないようにブラス板で作った支えを付けていた。やはり竹串を使うのだが、節を利用して上まで塩酸が滲みて来ないようにしていたのが興味深い。

 日本ではあまり採用例がないが、塩酸から生じる塩で熱分解しやすいものなら何でもよく、塩化アンモニウムでも良い。これは200℃くらいで分解して塩酸とアンモニアになる。アンモニアは多少臭いが、分子量が小さいのですぐ拡散するし、どこにでも多少はある物質なのでさほど気にならない。残る塩酸は酸化物を溶かす。

 いわゆるペーストの中には酸性ペーストもあって、塩化亜鉛、塩化アンモニウムを大量に含む。それでは普通のペーストでは何が働いているのであろうか。松脂の中にはいくつかの有機酸が含まれ、融けた状態ではそれが酸化被膜を溶かす。獣脂は加熱によって分解し、グリセリンと脂肪酸になる。脂肪酸も弱いながら多少の溶解力を持つ。

 大気中に酸素がなければ、一度磨いた金属は錆びないから、フラックスなしでハンダ付けできる。伊藤剛氏がクラブ内での会報に興味深い漫画を描かれた。宇宙服を着て、月面で機関車のハンダ付けをしている絵だ。
「何もここまで来てやることもないだろうに…」とつぶやく同僚飛行士を尻目に楽しんでいる誰かさん。

 一度使ってみたいのは、超音波を発するコテである。それを母材に当てると、酸化被膜が壊れて母材が露出する。すなわちフラックスなしでハンダ付けが完璧にできる。どこかの研究室が捨てるときが来れば、声を掛けてくれるよう頼んである。難しそうだ。

2011年09月04日

フラックスの役目

 帰国して3日目だが時差調整が、なかなかできない。どうしても朝早く目が覚め、夕方から眠い。以前は2日で何とかなった。これも老化の一つの形なのであろう。
 炭素棒ハンダ付け装置はたくさんの申し込みを戴いたので、電気屋の社長にも頼み易くなった。これで申込は締め切らせて戴く。

 留守中に戴いたコメントに興味深いものがあった。アース板に鉄板を使うというものだ。これは一理ある。鉄の電気伝導度は比較的大きく、厚い板でしかも距離が近いから、電気伝導性ということでは全く問題ない。磁石が付くからそれで押さえるのは良い考えかもしれない。問題は錆びである。
 
 日本の模型人でブラスのハンダ付けにいわゆる油性ペーストを用いる人はほとんどいないだろう。筆者はたまに使うが、塩化亜鉛水溶液の方が楽である。接合部をあまり磨かなくても必ず付くからだ。すなわち、塩化亜鉛は表面の酸化被膜を溶かす力がある。塩化亜鉛の水溶液は酸性が強く、金属酸化物を溶かし金属面を露出させる。そこに融けたハンダがその表面をぬらし、金属結合を形成する。ペーストは磨いた母材金属面を覆い、酸化されないようにするのが主目的で、積極的に酸化被膜を取り除くわけではない。
 日本では松脂を使うことが多いが、昔、他国では獣脂を使うこともあった。すなわち、油気を取らねばならないというのは説得力がない説明であり、むしろ良く磨くべきというべきである。

 さて、鉄でも油性ペーストでハンダ付けができるが、かなりきれいに磨かないと付きにくい。塩化亜鉛であれば、一瞬でハンダが母材をぬらして滲み込むのが観察される。塩化亜鉛は鉄の表面も溶かしているのである。

 「鉄は錆びにくい金属である」と書くと、正気を疑われそうであるが、事実である。磨かれた鉄の表面には水を含んだ酸化被膜(不動態膜)が形成され、そう簡単には錆びない。現実には大気中の硫黄酸化物、海塩の微粒子などが結合し、その酸化被膜を破るので錆びが進行する。
 例えばこのような実験が可能である。鉄板を磨き、机の引き出しなどに入れて十日ほど待つ。たぶん錆びていない。その一部に塩化亜鉛水溶液を付け、5分経ったら、水で洗い落とす。乾燥してから、また引き出しに入れ、十日ほど経ってから観察する。
 不思議なことに塩化亜鉛水溶液が付着したところだけ、錆びが発生する。塩化物イオンが不動態膜を壊したのである。全体をよく磨けばまた錆びにくくなる。ハンダ付けの時に押さえに使うペンチなどは、いくら洗っても赤さびが発生するのはこのせいである。
 筆者は高級な鋼製工具はハンダ付けの現場周辺には置かない。押さえには、某国製の安物しか使わない。また、発生する煙霧(fume)は全て強制的にフィルタでろ過する。塩化物イオンを含む霧が拡散すると、機械、レイル、車輌、配線が腐食されるということである。

 要するに塩化亜鉛を使うハンダ付けを常套手段としているアマチュアは敷板として鉄板を使うことは避けるべきである。毎日多量のハンダ付けを行うプロであるなら、錆びる暇がないだろうから、それはそれで価値があるかもしれない。亜鉛めっきした鉄板は錆びにくいが、いずれ亜鉛が擦り減るので同じことである。

 アルミ板を敷板にするのはどうかという質問もあった。利点としてはハンダが付かないということであるが、厚いブラス板は、熱容量が極端に大きく、そう簡単にはハンダが流れることがない。そこまで加熱すると、ワーク(工作の対象物)がばらばらになるであろう。また、アルミ板の表面は透明な酸化被膜で覆われていて、電気伝導性が良いとは言えない瞬間がある。その時火花が散って、ワークにキズが付くこともあるだろう。

2011年08月24日

Carbon Rod Soldering Kit

 テキサスに来ている。
 またもデニスの家で、24時間汽車漬けの生活をしている。ロストワックスの新しいプロジェクトもあり、ここまで出掛けて来たのだ。
 明日の朝から鋳造を開始するので、彼らは早く寝た。こちらは時差ぼけが直らず、仕方なくメイルの返事を書いたりしていたが、どうもメイルアカウントの問題があってうまく送れない。

 ハンダ付け機には、予想外にたくさんの申し込みを戴いているが、個別の返事が出来ないので、ここで勘弁して戴きたい。
 最低20台がクリアされたので、確実に頒布が可能になる。価格が全く決まらない中で、よくぞ申し込んで戴いたと感謝している。利益をまったく考えていないので、売れ残ると邪魔になると思ったが、それだけは回避できそうである。
 
 ある方から質問があった。
「利益なしの頒布をするのはどうしてですか?」
 答は簡単で、この方法を広めたいからである。金を払っても、やりたいくらいなのである。これは椙山満氏の仕込みであろうか。
 どうしてこの方法が今まで広がらなかったのかが問題である。真価を知らない人がその普及を妨げてきたのである。それは積極的な妨害ではなかったろうが、消極的な妨げであったと思う。
「どうせたいしたことはない。」とか「危ないのではないか。」という思い込みが大きいのであろう。
 実にうまくいくのである。ぜひともやってみて欲しい。そしてその感想をあちこちで発表して欲しい。きっと、たくさんの方が使われるようになる。そうすれば、「ハンダ付けをするブラス模型が高級だ。」ということにはならない。
 すると、たくさんの方がブラス模型の製作に参入するようになるだろうというのが、筆者の目論見である。筆者は、所属クラブ内で旋盤の部品の輸入をしている。原価奉仕でしかもアメリカから自分で持ち帰る。どうかしているのではないかとも思われるが、筆者の使っている便利な工具を使って工作をして欲しいからである。一人だけで使って、「いいだろう」と自慢しても仕方がないからである。過去にそういう人を見たことがあるから、それだけはしたくないのだ。

 今回頒布するものは、一次巻線つきトランスコア、二次巻線材料、大電流の電気継手、二次コード、一次タップ切り替えスイッチ、そのつまみ、ケース、足踏みスウィッチ、一次コード、炭素棒、その取り付け棒、握りなどである。
 厚いブラスの敷板はオプションである。切り出してお分けする。HOの方が多いので180×150ミリくらいを考えているが、大きなものが欲しいときにはその旨お伝え願いたい。

 9月初頭に帰国するので、それまで連絡が付かないがお許し願いたい。コメントは許可制になっているので、<私信>として送ってくだされば、お受けする。対外的には発表されない。また、個人情報は漏らさない。

 過去に申し込まれた方で、連絡先住所、郵便番号、固定電話番号、メイルアドレス、御本名をお伝え戴いてない方は、再度お知らせ願いたい。

2011年08月18日

Carbon Rod Soldering 

 炭素棒を使うハンダ付け機の簡易キットの予約を受けている。価格が決まらない段階での予約は難しい。アースにするブラス板は別売である。

 この道具を使った事のある人は日本では少ないはずで、どんなものか不安もあるだろう。出力を加減するのは足踏みスイッチであることが分かれば、失敗も減るだろうし、うまくハンダ付けすることができる。

 自動車関連の方がドミニカに視察に行ったときに、この炭素棒ハンダ付けを見た記事があった。太い電線に端子を付けるときに炭素棒で付けていたのを見たのだ。
 大きなハンダゴテがないのではないか、という推測が載っていたのには驚いた。太い電線にハンダ付けをする必要があるなら、この方法がベストである。自分が知らないことを知らず、他をバカにするという、見識の無い人たちによくあるパターンである。(圧着端子を使うのが筋であるがそれが使えない状況なのだろう。)

 アースのブラス板にハンダが付いてしまうことを心配されるメイルも戴いたが、被着物の熱容量に比べはるかに大きいので、アース板の上でハンダが融けてくっついてしまうことは、まずない。そのためにも厚い板を使うのである。1mm板ではくっついてしまう。 

 このハンダ付け機を希望される方はコメントに<私信>として連絡先等お知らせ願いたい。

           ≪明日よりしばらく休載します。≫

2011年07月25日

続々々 糸鋸の達人

14091408 過給機はカットモデルも作った。そのタービン翼の曲がり具合が一定であるのには驚く。これらも全てプレスで曲げ、翼面の断面も本物通りに削ってある。横に置いてあるモータは、当時のOゲージ用モータであるから相対的な大きさがお分かりであろう。 このエンジンは2サイクルエンジンであり、排気と吸気を同時に行うためこのようなタービンが必要であった。EMDのUni-Flowエンジンと似ていて、排気弁があるはずである。このエンジンは当時世界最大の出力を持つエンジンであった。
 右の写真は若かりし頃の伊藤英男氏である。30代であろう。このエンジンを作るのに数カ月を要したと仰る。

1409 31409 2 伊藤氏は全ての作業を、ブラスを材料とし、ネジ留めとハンダ付けのみで行った。のちに競業他社が現れ、半額に近い価格で請け負ったと言う。納品された時は良かったが、それが本国に運ばれて蓋を開けたら、ばらばらになっていたそうだ。その船舶模型の色々な造作は接着剤で付けてあったらしい。なお船体の板のハンダ付けがイモ付けであったのも大きな原因であろう。船の貨物室は暑いし、振動も大きい。熱膨張でひびが入り、振動で外れたというのが伊藤氏の推測である。

 その点、伊藤氏の作品は全て実直に作られ、力の掛かる部分はネジ止めしてハンダ付けしてあるから、接続部は他の部分より堅いくらいだ。支持台との接続部分はこれ以上ないと思われるほど強く作ってあり、多少の高さから落としても耐えられるようにしたと仰る。船一隻で大きさにもよるが、200kgほどである。ブラスの量は365×1200の板で、10cmの高さに相当する。

 
 仕事場には、いつも数cmほどの高さに各厚さのブラス板が積んであった。もちろん全て快削材である。快削材の良さは最近、コン氏により再発見され、仙台市内の「つばさ模型」で市販されるようになったそうである。これは全国の模型屋で売るべきである。筆者は伊藤英男氏と知り合ってから全て快削材を使用するようになった。切削速度が2倍になるし、仕上がりもよい。また表面が硬く、キズが付きにくい。

1328 快削材は、クロック板とも呼ばれるらしい。時計の歯車を作る板なのだ。硬くて曲がりにくく、細工がしやすいからだ。どうして日本の模型界にはこれが導入されなかったのかが不思議でならない。

2011年07月17日

続々 Carbon Rod Soldering on Conductive Surface

d6bb09b7.jpg ピンセット型の物も持っているが、効率が悪くあまり使わない。このピンセットの先は赤くなるが、発生した熱の2割くらいしか相手に伝わらないので、小さいものを持って組み立てるときぐらいしか使用しない。



 直流電源を使うことも可能であるが、場合によって電極から有毒な塩素ガスが出る可能性があるので気を付けて戴きたい。もし直流を使われるなら炭素側をマイナス極にされたい。そうすると相手のブラス側が多少溶解して、塩素は出ない。炭素極をプラス極にすると塩素が出るだろう。もちろんこれは塩化亜鉛を使った場合の話である。いわゆるペーストならば関係ない。交流では極が入れ替わるので、実質的に塩素は発生しない。
 アメリカではかなりの人が、ペーストを使う。後始末が楽だからであろう。アセトンを入れた容器が置いてあって、それで洗ったり、ティッシュに含ませて拭く。塩化亜鉛を使って水で洗うほうが楽だと筆者は思うのだが…。

 harashima様からのコメントにもあったように、ハンダゴテは熱い。通電時間中、工作物に熱を伝えているのは一体何パーセントくらいの時間であろうか。筆者の経験では5%を越えることはまずない。組立て式レイアウトの配線作業では同じことを繰り返すので、30%くらいは伝熱している。もっとも休んでいる時も熱を発生して、コテの銅の塊にエネルギを貯めていると考えれば 、この種の作業ではもう少しよく使っているだろう。
 炭素棒ハンダ付けは省エネルギであるし、車体の組み立てには最も適する方法である。コテを使うより、素人には簡単である。これを採用すれば、ブラス工作にのめり込む人も増えるであろう。確かに素人には、車体の組み立てをハンダコテ一本でやるというのは難しい作業なのである。

 ある程度の数がまとまれば、このハンダ付け装置の製作を電気屋の知人に頼めるかもしれない。きっと、輸入するよりかなり安くできるであろう。いかがであろうか。

【追記】 簡易キットを用意しようと思い、懇意にしている近所の弱電メーカの社長に話をしてみたら、最低20台あれば、部品集めをしてくれるという。一次巻線だけ巻いた二次線を巻く隙間のあるトランスとか耐熱線などを市場から探すそうだ。炭素棒も手に入るルートを教えて戴いた。作業台に張る厚いブラス板も希望により提供する。素材(アルミ箱も含む)と簡単な説明書を添えた形になる。これはPL法の範囲外であるからそれも念を押されている。場合によっては、同意書を戴くことになるかもしれない。   (2011年7月21日)

2011年07月15日

続 Carbon Rod Soldering on Conductive Surface

PAZA 塩化亜鉛の煙霧が出るので、これが拡散すると周りの金属が錆びる。筆者は簡単な空気清浄機の前で行う。このタイプの旧型を中古で安く買ったのであるが、薄型で作業台の上に置くには適する。向こう側の足に小さなクサビを挟んで、全体を僅かに手前に傾けてある。こうすると煙霧を完璧に吸い取らせることができる。発生した煙霧は100%活性炭フィルタに吸着されるが、分子量の小さい一酸化炭素は吸着されない。ハンダ付けの電源を入れると連動して弱運転するようにした。ハンダ付け作業中は強運転する。

 一酸化炭素は800℃を超えると発生する。800℃はたばこの火が、息を吸い込んだ時オレンジ色になる瞬間の温度である。あのオレンジ色を覚えておき、それが再現されないように電圧、通電時間の制御をする。足踏みスウィッチを細かく踏み、炭素棒が僅かに赤くなるようにコントロールするのである。これは、やってみれば直ぐにコツを習得できるであろう。

DSC_1650 もうひとつ、筆者の作業台の上にあるものを紹介しよう。それはブラスのかなり大きなブロックである。これは車体などの中空な物のハンダ付けなどに用いる。 中が空であると、炭素棒で押さえると凹んだりして、力が入らない。また導通も良くない。アース板からの導通を確保し、力を伝えるものであれば何でも良い。筆者は各種の丸棒、六角棒、角棒を切ったものを用意している。それを隙間に軽く押し込めば良いのだ。これらは廃品回収業者で手に入れたものである。
 この写真では炭素棒がチビているように見えるが、これは押さえるタイプのものだ。炭素棒は用途に合わせて複数用意している。


DSC_1654 意外と便利なのが、六角棒を削いで五角にしたものである。安定がよく、付ける物の支えとして具合がよい。この角の部分を、付ける部品の裏にあてがい、表面から炭素棒を当てると、実にうまく付く。この種の支えは他にもあるが、似たり寄ったりであるから紹介するのは控える。

2011年07月13日

Carbon Rod Soldering on Conductive Surface

アースを取る ご質問があったので予定を変更して詳細を書くことにした。
 この図を御覧になれば、お解り戴けると思う。たまたま2mmの適当な大きさのブラス板があったのでそれを使った。300mm角である。作業台に密着させるには、皿ネジを使った。塩化亜鉛が滲み込むと良くないので、シリコンコーキングする。ワークを置いて炭素棒で押さえてから通電する。これを守らないとアークで穴が開く。
 押さえて通電すると、接触部分が熱くなる。もちろん通電をやめる時も押さえたままである。この作業には足踏みスウィッチが不可欠である。前にもそう書いたのだが、それを買わずに「火花が散って失敗した!」と小言を言われたことがある。何度も書くが、足踏みスウィッチを使わないと失敗する。作業台の表面から通電するので、作業が終わったら濡れ雑巾でよく拭く必要がある。

 この方法では発生した熱が、アース板に逃げるのではないかという懸念を示す方も居られるが、何の心配もない。熱が逃げる前にハンダ付けは終わる。通電遮断後もそのまま押さえていると、熱は逃げて急速に固まる。この急速に固まるというところがミソで、実にうまくハンダ付けできる。半分融けている状態を急速に通過するので、密度の大きい硬いハンダになるのだ。客車などを作るとき、熱膨張で反って困るときは、このハンダ付け法を採用されると、実に上手にハンダ付けできる。ハンダは糸ハンダを手で繰り出して供給してもよいが、細かく散弾状に作った物を使うと、量の加減ができる。散弾の作り方は簡単で、融かしたハンダを金網のざるで受け、水に落とすだけである。

 相変わらず、変圧器の難しい理論を振り回して困っている方を見かけるが、この方法は変圧器の焼ける前に終わるので、ごく適当な考えでよいのだ。どんな場合でも10秒で変圧器は発火しない。二次線の太さも2平方mm以上あれば良い。やってみるとアース線や給電線が、もわっと暖かくなるが、その前にハンダ付けは終わっている。次のハンダ付けまで2,30秒はあるだろうから、その間に熱は拡散する。

 要するにプロのハンダ付け屋さんをしていない限り、火事になることは全く心配する必要はない。連続仕様ならば、理論に基づいた設計は必要である。その場合、かなり大きな変圧器になるだろうし、給電線は鉛筆くらいの太さの導線を使わねばならないだろう。我々はアマチュアで1日に数分間しか使わないのであるから、電線が温かくなっても何も困らない。

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2011年07月11日

続々 仕掛品の始末

 元KTMの高橋氏に話を聞いてみた。
 当時、「Big BoyがあるのだからChallengerを安く作れるだろう」という打診はあった。計算してみると、「動輪二軸分とサイドロッド4本分しか安くならない」ということになったそうだ。

 そういういきさつで、KTM Challenger は KTM Big Boy を寸詰まりにしたものになった。当初は良かったが、他社から Challenger が何種類か出てくると、彼らは互いに比較するようになった。
 テキサスのデニスによると、一番ボイラの形がよいのは Williams だそうだ。キャブあたりが細くて実感がある。
「KTMの Challenger は立派過ぎる。単独で見ている分には良いのだが、Big Boyと並べると同一であることが分かる。砂箱の形などというのはあまり気にならないが、ボイラが太過ぎるのは興醒めだ。」という。

 ボイラの後半を細く作り直すのは不可能ではないがあまりやる気はしない。やろうと思うと、現在の位置関係を記憶するジグを作り、全部ばらして新製する。キャブの妻も作り直しだ。他にも直したいところがあるので最初から作った方が楽かもしれないが、そこまで時間もない。あるいは Lobaugh のボイラを入手できれば、早いだろう。そんなことを考えているうちに2年近く経ってしまった。人生は短いので早く決断しなければならない。
 とりあえず、これはこれで完成させて機関庫に置くべきであろう。

 仕事台の周りが片付くと作業がはかどる。趣味とは云え、時間は貴重である。コンピュータと同じく、空き容量が大きくないと仕事がはかどらない。それから、「部品を入れる箱は透明でなければならない」ことに気がついた。
 部品を探す時間の大半は、「そこにあるのに気がつかない」というところから来る。部品を透明ポリ袋に入れて壁にピンで留めるのは効果的だ。これに気が付いて、金属の缶、紙箱はほとんど捨ててしまった。

 ハンダ付けは最近は90%を炭素棒ハンダ付けに頼っている。これは速いし、省電力である。炭素棒を何通りか用意し、相手によって使い分ける。また、厚いブラス板を机にネジ止めし、その上で作業する。するといちいちアース線をつなぐ必要もない。
 これはアメリカのクラフツマン達が必ずやっている方法である。筆者は2mmの板を使っている。もう少し薄くてもよいが、熱で反るのでこの厚さにした。
 

2011年07月09日

続 仕掛品の始末

1625 もう一つ、工作台の上の邪魔なものは例のUS HobbiesのChallenger である。購入して以来、定盤の上に鎮座して動かない。購入動機がやや不純で、Lobaughのボイラ形状とどこが違うかを見たかっただけである。形としてはLobaugh の方が正しい。当時のKTM設計陣が何を考えて作ったのかを知りたかったのである。

 ボイラ後半はKTMのBig Boy(祖父江氏製造)と全く同じである。ということは、ターレット、砂箱の底面の曲率がビッグボーイと同じであり、ロボゥの部品が使えない。それが心配でばらしてみるまで気が気でなかった。

 ガストーチであぶって砂箱等を外すと、そこにはとんでもないことが起きていた。砂箱の全周をハンダ付けしたため、内部に水が入る余地がなかった。すなわち、フラックスの塩酸が洗い出せない。それが内部に閉じ込められたまま40年経ったので、内部はガタガタに錆びていた。放置すると、錆びで部品が浮き上がってしまう。
 ボイラには洗うための孔が空けてなかった。祖父江氏の製品は、全ての大きな部品の下は水が入るように大きな穴が空けてある。仕方がないのでモトツールで切り込んで、大きな穴を空けた。

 砂箱はLobaughのロストワックス部品を調達してあったので、その底面を大きな丸やすりで少しずつ削って合わせる。場合によっては、軽く木ハンマで叩いて曲率の修正をする。
 
 砂箱をハンダ付けした。この手の大きな部品を付けるには、炭素棒を使うのが早い。太さ1/4インチのカーボン・ロッドを使い、6Vでハンダ付けする。電流は40Aくらいだ。先端がオレンジ色になるが、部品が厚いので融けることはない。この条件ではかなりの一酸化炭素が発生するので、屋外で行う。出力が大きく、かつ集中するのでハンダ付けは30秒も掛からない。全周囲にハンダが滲み出す、最高の仕上がりである。

 砂箱を取り替えるとビッグボーイの幻影は消え、チャレンジャになった。問題はターレットである。どう削ってもはまりそうもない。仕方ないのでUSHの部品を唐竹割りして付け直した。要するに細くしたわけである。

2011年01月05日

続 鉄道模型の価格

 筆者は長くこの趣味に浸っているので、長年の間に各種のヴィンテージ模型をコレクションしている。しかし、それに拘らなければ、ある程度の模型を揃えるのに多額の資金が必要とはとても思えぬ。
 日本製ブラス模型も、アメリカでの中古価格は最近はかなり安価になってきた。その理由はいろいろあるが、ハンダ付けが出来る人が減ってきていることが最大の原因である。要するに修理が出来ないのである。塗装ができる人も極端に少なくなっている。缶スプレイで直接塗ることしか出来ない人が増えている。

 アメリカでOゲージの集会に行くと必ずその話になる。ハンダ付けのテクニックの講習会もよく開かれている。日本とは違い、専ら炭素棒による方法である。
 少々大きなものはガスバーナで加熱し、コテは電気配線以外使わないと言う人も居る。

 全くの素人も講習会で目覚めてブラス工作の名人になる人も居る。会うたびにテクニックが向上し、すばらしい作品を持ってくる。
 彼は、安値で手に入れたブラスロコをばらして再組立てをする。よく実物を観察しているので、実感的な塗装の効果もあってコンテストに上位入賞するようになった。

 日本の鉄道模型界においても、このような人が増えればよいのだが、なかなかお目にかかれない。やはりOゲージは高価だと思っているのだ。
 e-bay で輸入ブラスモデルの価格をご覧になると良い。韓国製よりその前の時代の日本製の方が安価である場合が多い。運賃も円高でそれほど高くない。

 動力装置をばらして少々手入れをするだけで、そこそこに走るようになる。押して動くようにするには更なる工夫が必要だが、ギヤボックスのグリスを入替えるだけでも、十分かもしれない。

 筆者は上に述べた外観の細密度にはさほど拘らぬ。嘘のない程度に仕上っていれば良いことにしている。

2010年01月11日

Carbon Rod Soldering  その2

 なぜカーボン電極なのかということについてお話したい。

 黒鉛は電気を通すが、異方性(向きによって性質が異なること)があり、特定の方向では電気が流れにくい。と言ってもその辺に転がっているものは、異方性がある様な高級品ではなく、どの方向にも同じような抵抗値をもつものが多い。
 さて、抵抗に電流を通すと、ジュール熱が発生する。それは最も抵抗が大きいところに沢山発生することは自明だ。接触部分は面積が小さいのでそこで熱が発生するだろう。

 黒鉛の特性として、熱の良導体であることがある。すなわち、先端部分で発生した熱は、工作物に速やかに吸収されるだろう。そしてハンダの融ける温度以上に加熱される。

 その時、半分弱の熱は手元の方に逃げる可能性がある。逃げても先方に熱が伝わる量が多いので、ハンダ付けは簡単に終わる。

 ここまでお読みになれば、どのような構造の炭素棒を使えば良いかはお分かりだろう。長いと損である。途中で熱が発生するだろう。
 ベストの構造は先端近くまで銅で巻いた構造である。電位差が先端に集中するようになっている。

 ピンセット型のものもあるが使い心地はあまり感心しない。ニッケル合金製抵抗線の太いのを使うのだが、全体が赤くなるので効率は悪い。先を尖らせてその部分だけでつまめばよいが、小さいものしかつかない。
 やはり炭素棒あるいは炭素クランプがよい。


2010年01月09日

Carbon Rod Soldering  その1

Carbon Rod Soldering Transfromer 最近、「炭素棒ハンダ付けをしたいのだが、どうしたらよいのでしょう。」という問い合わせを複数の方から戴いている。

 結論を言えば、「こんな簡単な方法はめったにないので、失敗を覚悟でやってみてください。」である。
 
 トランスは、その辺に落ちている電気器具をばらして取り出す。二次線が外に巻いてあるものを見つけたら、儲けものだ。単巻トランスでもよい。100V-120Vの巻線をむしるという手もある。
 100 VA程度のものがよいだろう。しかし、単巻トランスの 0-100 Vの線が異常に細いものもあるので、その場合は巻きなおさねばならない。
 二次線に太い銅線を巻く。電圧が低いのでエナメル線でも問題ない。被覆が薄いと太い線が巻ける。出力は5V近辺になるようにする。
 なるべく太い線を巻くのがコツだが、使用時間が短いので多少細くても、焼けるまでに仕事が終わる。30秒定格で良いということだ。

 焼けるかどうかは電流の二乗と時間の積だから、5秒しか通電しなければ焼けるわけがない。プロとして仕事をする人以外は、正直なところ、「太めの線を使えば問題なし」とお答えしておく。筆者は5.5平方个箸いΔ箸鵑任發覆ぢ世気里發里鮖箸辰討い襪、これには大きな意味はない。たまたまあったので使っただけである。

 カットコアトランスがあれば、作業が一番楽である。コアを分解し、二次コイルを抜けばよい。出力電圧は4,5,6 Vくらいで良い。二次線を切り替え式にするときは、大きなスウィッチがいる。
 しかしこれも、接触しているときに通電を開始するので焼けることはまずない。スウィッチの定格は電流を入り切りする能力を表しているはずだ。
 一次側のタップ切り替えにすると、小さいスウィッチで良い。筆者はそうしている。

 テストをして2つぐらいを選び、それを切り替えるようにするとよいだろう。その選択の必要性は、炭素棒の太い時と細い時を選ぶ時に限られる。

 とにかく低電圧で短時間なので事故は起こりにくい。起こったとしても大したことはない。100 V側に触らないように適当なアルミ箱に入れる。通風の穴も要らない。
 100 V側をフットスイッチで On,Offする。これは手動ではまずい。足で踏むからこそ、うまくいく。また事故を起こりにくくしている。踏んだ時以外は、全く電気が流れないので、事故は起こり得ないはずだ。

2008年12月02日

F9 のフレーム

F9 underframe F9のフレームをハンダ付けしているところである。
ブラスの3/8インチのアングルと1/4インチ角棒を切ってあぶり付けである。今回はペースト状のハンダを用いた。永末氏から分けて戴いたもので、プリント基板につけて部品を置いてオヴンに入れる方式の特殊ハンダである。ボディ・ボルスタは1.5mm厚である。絶縁は2mmベークライトを用いた。この液状ハンダは永末氏の工場での賞味期限切れのものであるが、模型工作にはなんら差し支えなく使える。注射器のようなものに入っている。先端を切り落として押し出す。

 お問い合わせになれば、適価で分売してもらえるはずだ。周りについたフラックスは、つついて大半を取り、残りはリモネンで拭くと取れる。
 松脂系のフラックスなのでリモネンの分子構造と近い部分があリ、よく溶ける。

 角棒を切断してドリルで孔を開ける。ネジを切ってブラスのネジを締める。強く締めて1/4回転戻すと適当な隙間が空く。接触面にはキサゲで傷をつけておくと、ハンダの流れるすきまが完全に確保される。締め付ける前にハンダ・ペーストを塗り、締めてからもつなぎ目に少し塗る。あとはガス・トーチでゆっくり温めれば出来上がりである。ハンダがきらりと光って流れた。

 今回は車体が必要以上に重いので台枠も丈夫にした。前頭部のカプラ受け(この写真では向こう側)は、衝突に耐えるように10X8mmを用いた。いずれも電動鋸で切っただけである。仮組みしたら直角が出ていたので、捻れが出ないように注意して温めた。

 材料が快削材なので、工作は極めて簡単である。タップを立てるのも鼻歌交じりである。完成したので垂直に立てて、ゆっくり体重を掛けて見たが大丈夫であった。

 ボディシェルとの嵌合を確かめながら、先端の丸いところを大きなヤスリで削る。隙間なく押し込めるように出来れば、衝突に強い。機関車の質量は2100gもあるのでいい加減な工作では、ちょっとした衝突でゆがんでしまう。

 このようなフレームを作るときは、フライスで切って直角を出すのが普通だが、今回は手抜きでもうまく行った。2時間程で完成した。

2008年09月29日

続 Carbon Rod Soldering

carbon rod soldering 3 AC9様のご下問により、コメント欄でお答えしたが、もう少し補足したい。

 この加熱法は接触抵抗によるものであることを申し上げておきたい。ワークそのものの内部で起きるジュール熱ではない。すなわち、ピンセット型の場合、接触面が完全に密着するように磨いてしまうと発熱しにくい。トングが発熱するとその熱がワークに伝わり難くてうまくいかない。トング(挟む部分)は太いニクロム線で、抵抗が多少大きいようだが発熱量は少ない。尖端の狭い面積ではさむとうまくいく。

 炭素(グラファイト)のプローブ(尖端)はワークと少ししか接触しないので、自然にその部分が赤熱する。これもよく密着するようにすると、うまくいかない。

 あらかじめ、ハンダを塗っておくと一瞬で付く。部分的にしか加熱しないので全体が熱くなって、他の部品がぽろぽろ取れるということはない。何かのつなぎ目にハンダをたっぷり流すというのは、この方法では困難である。

 銅が巻いてある炭素棒は使いやすい。先端の少しの部分しか露出していないので、電位差が集中し、発熱がその部分だけに起こる。先端はオレンジ色に光る。このとき一酸化炭素が多少発生するので、換気には気を付ける必要がある。鼻の良い方は、独特の臭いを感じることもあるだろう。化学の教科書には一酸化炭素は無臭と書いてあるが、明らかに臭う。

 炭素プローブは、マンガン電池などから取り出してよく洗い、電解液を全て流し出してから焼けばすぐ手に入る。二次巻き線は十分太いものを用いれば焼けることはない。出力を計算して、連続定格の1.5倍くらいで設定しても問題ない。この機械は間歇使用が前提であるからだ。発熱焼損は電流の二乗と時間との積で決まる。ショートに近い大電流が流れても、時間が短いので大丈夫である。

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2008年09月27日

Carbon Rod Soldering

carbon rod soldering 1 炭素棒の先端が通電時に熱くなるのを利用したハンダ付け方式である。日本ではあまり見ない。

 一般論で言えば、アメリカではコテによるハンダ付けは電気配線くらいしか行われない。我々のようにハンダゴテを使って機関車を作るというのは、「名人芸」の領域に入るのだろう。
carbon rod soldering 2 だから筆者がハンダゴテを持っていって、それを使って大きなものをつけて見せると、拍手が起こるときがある。と同時に、「そんなものカーボン・ロッドでつければいいのさ」という冷ややかな眼で見つめる人も居る。

 カーボン・ロッド・ハンダ付けは、大電流を流せて焼けないトランスがあればすぐできる。磁気回路を工夫して二次巻線に過大な電流が流れないようにしたものもある。ちょうど寺久保さんのブログに登場しているので、写真をご覧あれ。

 私の作ったものの二次線は断面が5.5平方个らいある。ピンセット風のものではさむか、大きな接地板の上で炭素棒で押すかのどちらかで加熱する。使用するときしか通電しないので節電が可能であることは間違いがない。

 今回紹介するものは手製の炭素棒保持装置である。3/16インチ(4.8mm)径の銅で巻いたロッドをブラスのはさみで保持している。この形はどうでもよく、ただ電気が通ればよい。ロッドが折れやすいので工夫が必要である。ロッドをブラスパイプの中に入れてしまえば良いと思う。筆者のはハンダゴテのようにロッドを先端につけている。あまり使いやすくない。

2008年06月02日

続 組立て式線路

PCボードにハンダ付け この写真はポイントの枕木にフログをハンダ付けしている様子である。筆者はすべてのハンダ付けは屋外でやる。塩化亜鉛のみならず、塩酸も足しているからである。非常に強力で、ハンダがよく流れる。屋内で使うと、置いてある金属がたちまち錆びるから、外で使う。

 ハンダゴテの握り方にご注意願いたい。この握り方でないと力が入らない。「ハンダ付けは力でつけるのだ。」という祖父江欣平氏の言葉の通り、うんと熱くしたコテを、「エイ」と押し付ける。勝負は一瞬である。あまり長く加熱するとPCボードから銅箔がはがれる恐れがある。肘は机の角に当てておく必要がある。手首の曲げ方の調整で位置が決まり、力が入りやすい。

 写真のハンダゴテはたまたま見る角度が悪く、極端に薄く見えるが、ごく普通のものを改造して100W→125Wとしたものである。単に、ニクロム線を少し短くしただけである。コテ先は削って先から5ミリのところを細くし、フログの中などの狭いところに届くようになっている。

 PCボードはガラスエポキシ製を用いる。紙フェノール樹脂ではそりが出る。シァでざくざくと切り、型紙となる合板に原寸図を描いたものに、粘着テープで仮留めする。レイルはコード157のカツミ製レイルである。これは高校生の時に入手したものであり、それに硬質ニッケルメッキを掛けた。光沢メッキで非常に平滑である。もちろん引き抜きレイルにはかなわないが、走行音は合格である。この硬質ニッケルはとても硬く、ヤスリがすべる。砥石をつけたモトツールで切り落とす。メッキさえなければ、切り口のヤスリはよくかかる。

2007年08月03日

続 アメリカ土産

How to use clips この写真のような使い方をする。
 
 先を削って細くするのも良し、金属で延長部品を作ったりするのもよい。だんだん磨り減って短くなると、木部を全て新しい木で作り直して素晴らしい形に作り直された方もいらっしゃる。

 先を延長すれば、開閉の時描く円弧が大きくなり、物を平行につまめることになる。テコを長くすると力が弱くなるのでバネを2本使ったモデル(二つを平行して並べて延長したもの)を見せてもらったことがある。また、一つの棒に両側から中心に向かってはさめるように組んだものもある。

 要は、『熱に強い素材を使って、適度な力でクランプする』というだけのことであり、工夫はいくらでも出来る。

 このような工夫は、意外にどなたも御存じない。模型誌はこのようなヒントをもっと載せるべきである。
 
 最近、日本の模型雑誌を読まなくなったのはそのあたりに大きな原因がある。たまに見ると、C622などの有名機、しかも満艦飾の模型の"製作記事"がたくさんの写真とともに載せられている。

 筆者には理解できない。その写真を見てそれと同じものを作る人がいるのだろうか。模型の模型を作って意味があるのだろうか。あるいは単なる披露の類だろうか。それならばもっと方法はあるはずだ。

 この趣味の先細り感は、誰もが感じている。裾野を増やして、その人たちにテクニックを伝承することこそ急務であって、そのような記事のない雑誌は存在価値がない。

2007年08月02日

アメリカ土産

Clothes line clips アメリカに行くと必ず買うものがある。この洗濯バサミだ。英語では本来Clothes line clipsと言っていた。いつの間にやら言葉は進化して短くなった。

 この洗濯バサミはアメリカ製である。これはたまたまオハイオ州Springfieldという町で作られているが、ほとんどのものはミシシッピ州とかテネシー州の産である。中国製品が満ち溢れても、これだけはアメリカ製というのが面白い。

 硬い木で出来ていて、スプリングは亜鉛めっきしてある。日本で手に入るものはプラスティック製で熱に弱い。

木製のこれは当然のことながら、ハンダ付け程度の熱には耐える。

 1970年代のModel Railroaderの記事に、このクリップをひっくり返すと便利という記事があった。それはそうだと思い、早速買ってみた。

 下の2つがそれである。ばらして上下を逆にするだけだ。こうすると、先が細いのでつまみやすい。

 作ってみると、なるほど便利で感心した。帰国して友達に見せると皆欲しがる。それ以来、行くたびに買ってきて配っている。ブラス工作する人はとても便利だと言う。その友達の友達も欲しがるので既に数百個配ったように思う。

 今でも価格は一袋5ドルくらいのものだ。昔からあまり変化していない。

2007年05月22日

Kemtron 客車のハンダ付け

UP Dome Observation 9008 Native Sun 一昨日のワークスK様のコメントにはずいぶん戸惑った。ずいぶんお褒めを戴いているが、それ程うまいとも思わない。

 確かに下手をすると反り返りやすい。しかし、このケムトロンの材質のせいかあまり反らない。

 組み立てのうまい人にその秘訣を聞いた。そのコツを紹介する。
 
 一度にハンダ付けを完了しようと思うから失敗する。たくさんの客車を並べて少しずつハンダ付けする。要するに冷えるまで待て、ということだ。

 屋根と側板を付けるときには、5mm×10mmくらいの薄板を多数用意し、まず真ん中、次いで端、その中間という具合にそれぞれ一瞬でつける。要するに伸びる間を与えないということだ。もちろんつける瞬間には局部的に熱くなるが、治具で押さえ込んでいるので何とかなる。

 ハンダコテは用いない。カーボン・ロッドの接触抵抗でハンダ付けする。どうしてもコテが必要なところは、200Wのコテを用いる。

炭素棒でハンダ付けするのはピンセット型の半分を拡大したものと考えればよい。片方をアースし、他方を炭素棒とし、接触させて通電すればよいのだ。2秒ほどでハンダが融けて完了する。この操作は木材で作った冶具の中で行う。次から次へと流れ作業でやる。冬の方が冷えやすくて効率的である。夏は扇風機の風を当てる必要があるだろう。 

 このような客車の組み立てを引き受けるCustom Builderと呼ばれる人がいる。

2007年05月17日

Kemtron の客車キット

Kemtron Passenger Car Kits Kemtronは10種くらいの客車のキットを出していた。そのうち4種はドーム付である。板の厚さは0.63mm(1/40インチ)だ。

 一段エッチングなので、大したディーテイルは付いていないが、編成になると立派である。台車はACFのイコライザ付である。車体がかなり重いのでバネが効く。この列車(14両)の質量は約30Kgである。当然軸受にはボール・ベアリングが必要である。5両は完成しているので機関車で牽かせてみると、その重さが実感できる。
 
 板の厚さは0.55mmである。屋根は友人が型を作ったので曲げてもらった。元のキットはまっ平らな板であった。アメリカ人は曲げるときは焼き鈍すのが常識らしくすごく軟らかくなって返ってきた。困ったものである。肩のカーヴも微妙に違う。これはあとで修正した。

 完成させたあとでちょっとぶつけると、凹みそうである。屋根の中央にいくつか穴を開け歩み板を取り付けた。

 窓は抜けていなかった。申し訳程度にプレスで角穴が開いていたのもある。あとはヤスリ仕事である。一枚仕上げるのに1時間は掛かる。外周も適当に切ってあるので大きなシャーを借りて切った。細かいところはヤスリである。14両の窓抜き等の仕上げで、ブラスの粉が牛乳パック一杯くらい溜まった。それにしても重い車両だ。

 30Kgの物体が摩擦ゼロに近い状態で秒速40cm位で移動している状態を想像して戴きたい。ブレーキを掛けないと止まれない。ぶつかったときの衝撃力は大きい。最初の一台はくしゃくしゃになるだろう。非常時の制動装置を考えないと危ない。

 何台かの客車にDCCで作動するブレーキをつけようと思っている。モータ駆動部が焼けたデコーダがいくつかあるのでそのファンクション出力だけを使って作れるはずだ。簡単な機械式ブレーキを考えている。


2007年05月16日

Kemtron RS-3のハンダ付け

RS-3 Soldering このRS-3のハンダ付けはなかなか難しい。大物を4つ同時につけなければならない。このようなときは、CLWのねじ留め法は優れている。

 仕方がないので、ジグを作ってはめ込んだ。三方から押さえ込んでガスバーナで焙り、ハンダを流して固定した。ハンダが流れ出るくらい使っておき、一つずつ加熱して余分なハンダを重力で落として仕上げた。垂れるハンダは大きなコテで受けると完全に吸い取ることが出来る。

 ラジエータの片方だけ仕上げるときは、浅い皿に水を入れ、寝かして行う。水に浸っている方は、熱から完璧に保護される。やや傾けておけば、余分なハンダは下に集まり、除くことが出来る。回収したハンダは再使用できる。

 このような方法をとるときでも、基板に大きな穴を開けて、内部が見えるようにしておかないと、余分なフラックスを取り除きにくい。残っていれば腐食の原因になる。

 AlcoのRS-3は、そのデザインの流麗さで知られる。それまでの角ばったデザインから脱却し、曲面を多用した。しかし、まだ三次曲面ではない。だから、模型も板を曲げて作ることが出来るのだ。この模型のエンジンフッドは、前後がつながって一体で出来ている。キャブ内にそれが見えるのは許せないので、内部はハンダ付け後、削り取った。キャブの床板をどのように取り付けるかが難しい。

1950年から1956年にかけて1370輌も製造された。3400輌も作られたEMD GP-9にはかなわないが、かなりのベストセラー機である。

 
Kemtron RS-3 Built-up この写真は友人が仕上げたものである。「オークションに掛けるから見てくれ」と送ってきたものの1枚である。台車はTrimountを付けている。これはKemtronのキットに入っている。残念ながらイコライズしていない。

2007年05月09日

仕掛かり品の山

Brass Kits under construction 仕掛かりの機関車を入れてあるプラスティック・コンテナが山になっている。30箱くらいはあるだろう。

 CLWが一体いくつあるのだろうと数えてみたら、意外に少なく6輌であった。あとは、Bill Melisのキット、KTM製のもの、All Nation,KemtronLobaugh、それとイギリス製のアメリカ型キットがあった。

 残りの人生の時間をこれらの完成にどれだけ振り向けられるか。買うときはそんなことなどあまり考えない。安いし、向こうも買ってくれと言ってるのだから買ってしまう。日本では手に入らないのだし、今後アメリカでも手に入り難いのだから…と考えて買うのだ。

 最近は、どうやら「手に入り難い」と思ったのは間違いであるように思う。アメリカでもクラフツマンの数は減少し、ハンダ付けの量が多いものは嫌われるようだ。スワップ・ミートに行けばいくらでも手に入る。「お前なら買うだろ?」といって押し付けられることもある。

 プラスティックのキットでさえも、部品数が多い細密キットは、もう誰も組立てたくないらしい。GP-9の素晴らしいキットがあるのだが、その組み立てはかなり大変である。この会社は、型をAtlasに売却してしまい、Atlasは中国で組み立てて、完成品を輸入している。壊れやすい手すりは金属製に作り替えて、比較的丈夫にしたようだ。

 筆者もAtlasが部品として出している手すりを買って、それを取り付ける予定だ。下回りは日本製の部品を流用して作ってしまった。GP-9は筆者には懐かしい機関車で、UPの本線を9重連で走っている写真を撮った。とりあえず4輌製作中である。 同時に作ると、作業が早い。

2007年05月08日

Sweat Soldering

Sweat Soldering 先日Sweat Solderingという言葉を出したところ、何人かの方から、もう少し詳しくという要望があった。

 Sweatは汗という意味であるが、強く加熱するという意味もある。鉱石を加熱して、その中に含まれる金属分を溶かし出すときにもよく使う言葉だ。

 建設工事で熱水配管は銅管を使うようになった。アメリカなどでは19世紀から銅配管を用いている。継手の内側、管の外側をよく磨き、フラックスを塗って加熱し、薄くハンダを塗る。

 これを組み立て、再度フラックスを塗り、加熱する。ハンダめっきが融けたとき、新たな棒状ハンダを当てれば、ハンダはとろりと融けて隙間に滲みこむ。隙間に表面張力でハンダがわずかに盛り上がった瞬間にハンダの供給を止めれば良い。

 文章で書くと難しいが、やってみれば簡単である。コツはハンダの量だけである。

 さて今日の写真をご覧戴ければ、その仕上がりがお分かり戴ける。全く隙間なくハンダが埋め尽くし、しかもはみ出ていない。細めのハンダを使って量を加減するのだ。もしハンダが微妙に多くなり過ぎた時はどうするか。

 重力を使うのだ。減らしたい方を上に向けて保持し、裏に塩化亜鉛溶液を多めに塗る。ガスバーナの火を細くして、その部分だけ加熱する。余分なハンダは融け、裏側に回りこむ。するとこのような美しい仕上がりになる。表にはフラックスは塗ってはいけない。塗ると、ハンダが表に広がることがありうるからだ。裏側のみに、ぬれをよくする工夫をするということである。

 フロアスタンドの写真をアップロードしたのでご覧戴きたい。

2007年05月04日

続々 Central Locomotive Works

Tinning この写真はAlco PA,PBのボディシェルにハンダめっきを施した状態である。めっきといえどもかなり厚い。フラックスを塗って、ガスバーナであぶりハンダを擦り付けるだけのことである。たちまちハンダで覆われるが、重力で屋根の肩付近には多少の「タレ」が出来るかも知れない。一向に構わない。 

Sweat Soldered それに部品をネジで締め付け、さらに塩化亜鉛の水溶液を隙間に滲み込ませた上でガスバーナであぶる。

 肩に出来た「タレ」はうまく傾ければ隙間に流れ込んで完全に滲みこむ。このように仕上げれば、ハンダが全ての隙間を埋め尽くし、表面張力で微妙なカーヴで固まる。このようなハンダ付けを"Sweat Soldering"(焙り付け)と言う。

 この方法で仕上げた模型を日本の友人に見せると、「お前、下手だな。ハンダを使い過ぎだよ。」と必ず言われる。

 ところが、アメリカやイギリスの連中に見せると、"Perfect Soldering. Marvelous!"(完璧なハンダ付けだ、素晴らしい!)と絶賛される。

 余分なハンダは、ブラスの表面を銀色にしているだけで全く残っていない。これが最高の状態なのだ。

Soldering on Floor Stand 筆者宅のアメリカ製の電燈で、ブラス製のフロア・スタンドがある。ニューヨーク製の本物はこのようなハンダのにじみが付いている。アジアのどこかで作られているまがい物は全くハンダが見えない。そこが本物とそうでない物との見極め方であると、電気屋に教えてもらったことがある。 

2006年09月21日

続・共晶ハンダ

e7853051.jpg 手元の金属学の本からハンダの組成図を書き写そうと思っていたらこんな図がネット上にあった。解説まであるので、殆ど書くことも無くなった。

 これをご覧戴ければ一目瞭然で、ABD,BCFの二つの三角形の領域では細かい金属結晶が存在し、「こしあん」状態であることが分かる。その状態なら「ハンダを盛る」という芸当が可能である。
 しかし下手に動かすと「こしあん」が干からびた状態になりひびが入る。コテの熱を供給しながらこねなければならない。「こしあん」で言えば多少の水を加えてこねる訳である。

 DBF線より下では完全に固まっている。183℃以下では固体しかない。ABC線以上では完全な液体である。大きなコテで十分な熱を加えればこの状態を作り出せる。私の場合、ハンダ付けが下手な時代はこの完全液体状態を作り出す温度まで加熱することが出来なかったからだろう。強力な加熱装置を持っていなかったときは、ハンダ付けは難しいものだと感じた。その時偶然手に入れた共晶ハンダは融け始めた瞬間に液体化するので、つるりと隙間にしみ込んで、多少動かそうとも、完璧な美しいハンダ付けが完成した。それを「うまくなった」と感じたのだ。

 この説明によると、昔の配管用のハンダはスズ34%鉛66%で、強くて美しいハンダ付けが可能だそうだ。スズの多いハンダはあまり見ない。

 筆者はこの配管用のハンダを大物用に使っている。ガスで加熱すれば、とろとろと流れて極めて美しいハンダ付け(この説明の中ではWiped Jointという語を使っている)ができる。

 この説明の中にデンドライト結晶の話が出てきたのには驚いた。図も美しく描かれている。最近話題になっている、リチウムイオン電池の発火の原因の一つらしい。

 弱電業界ではいま世界的に無鉛ハンダの使用が義務付けられている。無鉛でしかも"eutectic"でなければいけないので、面白い配合比のハンダが何種類か出現しているようだ。

 どうして"eutectic"でなければならないかというと、いわゆる「ハンダ割れ」からの脱却の必要性である。私の保有している古いドイツ車の電装品がよく故障する。外して見てみると、リレイなどのハンダにクラックを生じている。ハンダが"Eutectic"ではないからだ。なるべくきれいにハンダを吸い取り、新しいハンダで修理する。新しい部品を買うと出費が大きいが、簡単な修理であるからやってしまう。目指す部品にすぐ手が届くところはいかにもドイツ的で好きではあるが、故障しない方がいいに決まっている。

 最近の自動車部品は多分改良されていることだろう。それにしてもガス器具の故障修理による死亡事故はいたましい。製造者のハンダに対する知識が乏しかったことが一番の原因であろう。

2006年09月20日

共晶ハンダ

4dbb2ae8.jpg 共晶ハンダはスズ63%、鉛37%からなる。融点は183℃と習った。
 ハンダが一瞬で固体と液体の間を行ったり来たりする。初めてこのハンダを使ったとき、何かハンダ付けがうまくなったように感じた。

 当時は高校生で理屈が良くわからなかったが、その後多少は勉強したので知識が整理された。英語では"Eutectic Solder”という。訳語としては「融けやすいハンダ」という意味になる。

 普通のハンダは183℃よりは多少高い温度で融けるが、その融けた状態は2種ある。一つは完全に融けた液体の場合、もう一つは「こしあん」のような半流動状態である。後者は、場合によっては殆ど流れない状態もあるし、流れやすい状態もある。ただ、液体の中に何かの粒子があるように感じる状態である。

 「こしあん」状態の時、ハンダ付けしようと思っているものを動かすと、「こしあん」の粒子がささくれ立った状態になり、ハンダが多孔質になる。すなわち殆どくっついていない状態になり、力をかければぽろりと外れる場合が多い。英語では"cold joint"という。日本ではこれを「ハナクソ・ハンダ」というのだそうだ。

 普通のハンダを使う時は、この「こしあん状態」をすばやく通過させることが最も大切なテクニックである。大物の時は押さえているのも大変であるから、水を掛ける。Billの作業台には水を噴射するスプレイが在った。アメリカのハンダ付けの手引書にはたいていこの水を掛ける方法が紹介されている。
 場合によっては噴射ノズルを口にくわえて足で水タンクを踏む(蹴る)という離れ業まである。

 写真は私が使っている共晶ハンダで太さ0.032インチ(0.81mm)のものである。切って使うと、長さで量をコントロールする事が出来て便利である。包装単位は1ポンド(454g)である。下のほうの白帯にSN63PB37と書いてあるのが読める。

 融けているか、固体かのどちらかの状態しかないので、その特性を示す非常に興味深い実験がある。
 
 ある程度の大きさの真鍮板(厚さは0.8mm程度)にフラックスを塗り、多目の共晶ハンダをつける。ハンダが融けているのを確認してコテをゆっくり滑らせる。熱が伝わってハンダが融けるとコテは滑り始める。しかしとなりの領域はまだ温まっていないので、ハンダは固化する。コテは真鍮板に瞬時に固着し「コン」と音がするときがある。その次の瞬間、ハンダが融け始めて、また滑り始める。

 適当な大きさの力を掛け続けると、ハンダゴテがコンコンコンと音を立てながら滑っていく。共晶ハンダだけがこの音を立てる。すなわち共晶ハンダを自作する時は、これが成功か否かの試金石となるわけだ。

2006年09月01日

抵抗発熱型ハンダ付け

d6bb09b7.jpg むろん電気を使う限りどんなものでも抵抗発熱型だが、これはその発熱部分が少々異なる。
 左がピンセット型の発熱装置で、先がニクロム線の特別に太いもので出来ている。これで小さい部品をはさんで通電すると、接触面積が小さいのでその部分の発熱が大きい。あっという間に400℃くらいになる。電流は25Aくらいだろうか。5Vだから125Wに相当する。電線はかなり太いものを用いる必要がある。
 
 ロストワックスの小部品をよく磨いて塩化亜鉛ペーストを塗り、軽く通電する。トランスのスウィッチは足で踏む。糸ハンダを触らせれば、たちまちハンダめっきができる。相手にもコテでハンダめっきを施しておいて、部品を押し当て、5秒ほど通電すれば完璧にハンダ付けできる。
 場合によっては炭素棒を押し当てる。素材をアースしておけば触るだけでOK。接触面で発熱するので熱が逃げるひまがなく、あっという間に温度が上昇する。省エネルギでもある。
 
 Billの工房には30センチ四方の分厚い真鍮板が張ってある机があった、その上で車体を組み立てる。自然にアースが取れるので実に効果的である。
 板を張り合わせる時の秘密兵器もあった。なんと炭素棒ではなく炭素ローラである。直径2インチ(5cm)、幅1/2インチ(13mm)の黒鉛の円盤の中心に軸を差込み、握りをつけたものである。あたかもピザ・カッタの柄から太い電線が生えたような格好である。これでごりごりやると、たちまち全面ハンダ付けが完了する。出力は500Wくらいである。どうやらこれはパテント商品らしかった。

 ピンセット型の出力120Wというものを買った。当時(20年前)の価格で50ドルくらいだったように思う。電源は自分で作ろうと思っていたら、電気の専門家のI氏が、ジャンクのテレビから外したトランスを巻き替えると安くできると教えてくれた。要するに、二次巻線は太いものをくるくると巻いただけで出来上がり、とおっしゃる。簡単なものであるが、とにかくケースに入れて一次巻線にタップを付け、出力が3段に変化するようにした。確かに出力調整はあると助かる。調整がないと、足踏みスイッチをこまめに踏んで時間的平均値を小さくするしか方法がなかった。スイッチが壊れそうなほど踏みつづけたものだった。

 最近はかなり洗練された商品が、Micro-Markから出ている。詳しくはこちらをご覧あれ。

 右は、Bill直伝のキサゲである。折れたヤスリを研いで、ヤスリの柄に挿したものである。握りにこれぐらいの太さがあると力が入るし、微妙な向きの調整ができる。
 刃を下にしてこれを握って、肘をついて…。その様子を頭の中に描いて見られよ。何とやり易いかたちではないか。

2006年08月31日

全面ハンダ付け

6c82176a.jpg 日本では、「ハンダ付けがうまい人はハンダの量が少ない」という変な定義があるようだ。確かに、ハンダが全く見えない作品も目にする。たいしたものではあるが、Billの基準ではそれは失格である。
 ハンダは接合面のすべてに流すべし。そうでない時にはやり直しをせよと迫る。「ちょい付けでいいではないか」と言うと、「中のフラックスが洗い落とせないから錆びる」と言う。

 写真はディーゼルの機械室側版の扉部分を貼り付けた様子である。こんなところは力が掛かるところではないから、ほんのちょっと付けてあればよいのだが、大きなコテでとろとろと流して、このようにせよと言う。しかも最初にハンダを全面に塗っておいて(tinningという)クランプではさみ、バーナであぶりながらコテを当てる。訳なくできるが、結構な量のハンダを消費する。しかも穴ばかりでなく、穴と穴の中間をよく加熱せよとうるさい。中間にハンダがついているのは、その加熱の伝熱用である。
 手前の面の貼り付けられた板の周りにハンダが少しはみ出しているのがお分かりであろうか。ここまでやってから、ハンダを削り取らねばならない。

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ここでハンダゴテの持ち方について、日米の達人のテクニックが一致したことを報告させていただく。

 みなさんはハンダゴテをどのような持ち方をされて居られるか。Billも、日本の達人祖父江欣平氏も内野日出男氏もコテ先が小指側に来るように握る。決して包丁をもつときのような持ち方はしない。机に向かって座り、肘を机に突き、コテを押し下げる。歯科の先生方が治療中に道具をどんな持ち方をして居られるか、よくご覧いただきたい。この握り方は、力が入り、なおかつ手が滑って失敗することがない握り方である。肘をつけるのが最大の秘訣である。ある程度以上の大きさのものをハンダ付けするときはこの方法に限る。

 はみ出したハンダをキサゲで削り取るときの持ち方も全く同様である。この方法で削れば、驚くほど調子よく、また正確に削れる。鉛筆を持つ時のような持ち方では、力は入らないし、うっかりと滑らせて失敗しやすい。

 あちこちの会場で開かれるハンダ付け教室を覗いても、ここの部分の指導は完璧だとはとても思えない。


2006年08月30日

フラックスとハンダ

59d7a74d.jpg 日本では、ペースト状のフラックスを鉄道模型に使うことはまれだろう。Billはこのような塩化亜鉛入りのペーストを勧めた。これは、アメリカではどこのホームセンターでも売っている銅配管用のペーストである。何が良いかというと、流れ落ちないから垂直面でも機能することである。昨日のアウトハウスの組立てが、その良い例である。ハンダ付け終了後、熱湯で洗わないと完全には落ちにくいのが難点である。シャワで熱湯を掛けることにしている。Billはなべで煮ると言っていた。
 
 筆者は水道工事もある程度は手がけるので、銅配管を何度か経験している。切り口の面取りをして継ぎ手の中、銅管の外を磨き、ぺーストを塗って差し込む。ガスバーナの炎を当て、泡が吹き終わった頃、糸ハンダを当てるとつるりとハンダがしみ込んで行く。融けたハンダが境目にきらりと光り、一周しているのを確認できれば、そのままそっと冷やして出来上がりだ。昔は鉛を66%含んだハンダを用いたが、今では無鉛ハンダが用いられる。右のハンダがそれである。錫98%アンチモン2%らしい。240℃で融解・流動する。流れは良いとはいえない。かなり粘い。温度をかなり上げないと流動性が少ない。強度はかなりありそう。実測したわけではないが、ブラスの板にブラスの線を、このハンダで付けて引き剥がすと、0.8 mmの線は切れてしまった。普通ならはがれるはずである。
 
 模型の組立てでは、これを大物の接合に用いて、中程度のものを普通のハンダで留め、最後に小物をスズ63%のハンダでつけるというのが、コツである。彼らには、ハンダが接合面全部にいきわたるという前提があるからだ。大物にはバーナを使えということである。

 もっともBillに習った頃は無鉛ハンダではなく、銀ハンダを使えとの指示であった。最近、日本でも銀ハンダは手に入るが、どういうわけか2%のものだけである。これは電子部品の表面にめっきしてある銀が、普通のハンダに拡散してもろくなるのを防ぐため、あらかじめ2%の銀を入れたものらしい。2%というのは、自然に拡散する時の限界値だという。
 
 本物の銀ハンダは3から5%の銀を含んでいる。硬く、接着力は強い。コテでつけるのはかなり難しい。よほどの高温にならないと真の流体にならないからである。バーナで350℃くらいにするとさらさらになる。逆にコテでつけると、粘土のように盛ることができる。こねて山を高くすることさえできる。そんな付け方でも、接着力は馬鹿に出来ないくらい強い。「ブラス鋳物の巣(ス)を埋めるのはこれしかない」とアメリカの人は口をそろえる。
 手持ち量が100 gを切ったので、そろそろ買わねばならない。

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2006年08月29日

アウト・ハウスとは

248b8663.jpg 先日のクイズお分かりになりましたかな。

 正解はこれ、"out house"だ。要するにポットン便所である。60年代に絶大な人気を博した商品で、古いレイアウトを訪問すると必ず見かける定番商品であった。

 実はアウトハウスの意味がわからなかった時期があり、現物を見るまでかなり悩んだ。
 どういうわけか、三日月の窓が付く。便座はちゃんと取り外し式で掛ける所もある。いっぱいになったらどうするのだろうと悩んでしまうが、小屋を倒して中身を始末するようだ。単なる穴のときは平行移動するようである。

 このまま組むとかなり立派になるので、焼きなまして裏からたたいて、よれよれにするのがコツらしい。いかによれよれにするかで、競争していた人たちもいた。

 裏庭に実物を建てて、レイアウトに「実物大はこちら」という立て札を立てるのもはやった。奥さん方はさぞかし怒るだろうなーと思った。最近とんと見なくなったのは残念である。

 実はこれをお見せしたのには訳がある。これをハンダ付けで組むのが不得意な人が多かったのだ。たしかにコテ先が入りにくいところもある。Billはアルミでジグをつくりフラックスを塗って板をアルミ線で縛り付けた。バーナで炙り、所々に糸ハンダを接触させた。あっという間に出来上がりだ。そのまま冷えるのを待ち、次のを縛る。

 この技法は最近の客車の製法に使われている由。ジグに妻板と側板、屋根をはめ込みフラックスで練った粉ハンダを塗りつけてトンネル炉を通すだけらしい。最近の客車の内側でハンダが全くはみ出ていないものは、その方法で作っているとある事情通が言っていた。

2006年08月28日

ブラスとブロンズ

09bd4313.jpg 黄銅は銅と亜鉛、青銅は銅と錫と中学校で習ったように思う。その時、青銅は青いと勘違いしたことを思い出す。
 事実、どこかの出版社の歴史図鑑には、「青銅器時代の人々」という図版に緑青色の鎧兜や槍を身につけた戦士の絵があって、噴き出してしまったことがある。自分たちの生命財産を守る武器が錆びている訳はなかろう。
 3年ほど前に公開された「トロイ」という映画では、正しい青銅色の武器をみなが持っていたので納得した。
 オリンピックの「銅」メダルは、青銅である。英語での字幕にはちゃんと
"bronze medal"と出るではないか。
 十円玉は銅が90%入っている青銅である。十分に硬く、ちょっとしたネジ廻しにもなる。これは鍛造(コイニング)用の青銅で、鋳造用の青銅はやや錫が多い。

 アメリカの鋳物は青銅製が多い。ある程度の大物では湯流れが重要で、色のことなどかまっていられないからだろう。ここにお見せするのはフロリダのBob Smith氏のキットでキャブがワンピースで出来ている。これもロストワックスであるが、かなり手の込んだ金型で抜いた蝋型を使用している。内部にパズルのように分割された内型の分かれた跡が見える。外部は実に滑らかである。これをエッチングで出来たボディにハンダ付けする。

 位置決めしたあと、クランプで締めてガスバーナで炙れば、あっという間にハンダ付けは完了する。鋳物の方を加熱するよう説明書には念が押してある。ハンダは高温用のものを使用すると、あとの細工が楽である。
 ボディは快削材なので、孔を開けてヤスリで窓を広げるのは容易だ。

dda40x at 08:28コメント(0) この記事をクリップ!
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