ハンダ付け

2017年03月25日

ステンレスのハンダ付け

 ステンレスの車体をハンダ付けするのは簡単である。コツとしては塩酸を多少含むフラックスを使うことだけである。塩化亜鉛だけではぬれが悪い。表面の酸化被膜が堅いのである。塩化亜鉛だけの時は、接合面をヤスって新しい面を出す必要がある。
 小さなコテでも熱が逃げないので楽に付けられる。しかも素手で持っていても熱くない。いつもは熱絶縁を考えて木片等で押さえていたが、今回はそのまま手で握って付けた。バケツに水を張ってその上で付け、終わったら即、水に漬けて冷やす。こうすれば火傷もせず、効率的である。

BlogPaint 車体に部品をイモ付けするのは簡単である。ブラス車体の時は穴を開けて部品を差し、裏から大きな鏝で留めるのがふつうであった。ステンレス車体の場合は、表面から細い55Wの鏝を添わせるだけで、完全にハンダが廻る。エアタンクの台座(t1.5ブラス板をフライスで加工)を屋根に付ける時にその方法を採ったが、実に簡単で驚いた。炭素棒の出番は、ほとんどなかった。この写真は、余分のハンダを削る前の状態である。 

 手違いで一部の部品が足らなくなった。10台分を作って配分したのだが、自分の分の妻板が無い。仲間に一人ずつ電話して問い合わせるより、作った方が早いと判断して、洋白板で作った。その時、手間を省くために、ヘッドライト穴を無くした。その結果、ヘッドライトは外に設置することになった。
 ステンレスは洋白よりも一桁以上硬いので、ステンレスの窓枠を付けておいて、それをガイドにヤスリで窓を仕上げた。実に簡単で、これは技法として使えると思った。

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2017年03月17日

Kimpei Sofue’s life  (9)

 祖父江氏のハンダ付けのテクニックは白眉である。常に完璧なハンダ付けをするから、彼の模型でハンダ付けが外れるということはない。 
 棚にハンダは何種類もストックがあった。また、ブラスの材料も何種類かあり、より楽にかつ、正確に工作できるものを用意していた。
 最終期の特製品には、彼独特の仕上げ加工が随所にみられる。ブラスの針金を切ると、すぐにヤスリでその断面は面取りされる。シャァで剪断加工された板は、全ての切断面をヤスリで加工して直角にする。彼は大量のヤスリを持っていた。すべてのヤスリは使用前にsafety edgeを油砥石で擦って、準備する。そうしないと、削れて欲しくないところが削れてしまうからだ。
 足踏みのシャァは完璧に研がれ、薄いティッシュの一枚を置くと、真っ二つになる。彼の工房はすべて整頓され、美しかった。

 25年前、私は再度アメリカに居て、祖父江氏の望むものを送って差し上げていた。日本に戻って、彼に会いに行った。祖父江氏はドイツの機関車のスポーク動輪の原型を作っていた。私と話をしていても、手を休めない。眼はこちらに向いているのだが、糸鋸でブラスの円盤を切り続けていた。指に目が付いているのか!と思ったほどだ。
 お茶と菓子を戴きながら話をするのだが、彼の手はテーブルの下で動いている。突然彼は、言った。
「ほら、できた!」
 彼は小さなキサゲを用い、手の感触だけでスポークの断面の丸味を付けていたのだ。

 アメリカの模型人で、祖父江氏の工房を訪ねたのは二人で、ペンシルヴァニアのBill Pierson氏と、Original Whistle Stop のFred Hill氏だけである。 

 祖父江氏はKTMで長く働いたが、要求される以上のことをしていた。それは彼のプライドである。彼は世界最高の機関車が作りたかった。そして、彼はそれを成し遂げたのである。

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2016年12月13日

続々 鉄橋を組む 

115_5051115_5052 これは仮に博物館の床に置いたものである。側面のトラス中、引張り材のトラスが実感的である。
 床版と側面のトラスを組まねばならないが、一人で直角を保ちつつハンダ付けするのは少々荷が重い。ハンダ付けの達人の助力が必要だ。

115_5057115_5059 長老の橋本三郎氏にお願いしたところ、二つ返事で引受けて下さった。翌日工作室に伺うと、大きなハンダ付け用の台を用意して戴いていた。各種のフラックス、ハンダごても準備してあった。
 橋本氏は、TMSの30号あたりから記事を投稿されている近鉄電車の達人である。最近も、極めて美しく仕上がった全金属製の電車群を、発表されている。この台を用いて、あの素晴らしい電車群が出来上がるのかと、納得した。

115_5056 組んでいる途中の写真を撮って戴いた。ハンダごての持ち方に注意して戴きたい。この持ち方でないと、大物は付けられない。支えの小さな角材の配置等、橋本氏の細かい神経が行き届いている。
 手前のニッパは、ハンダを細かく切るためのものだ。必要量ずつ、こてに付けて目的の場所に持って行く。大きなハンダの棹から持っていくと、量が不定である。 
 
 側面のトラスを何かで水平に支えて、二人で接合面を押え、ハンダを流す。塩化亜鉛の飽和溶液を塗っておくと、音もせずハンダがすべての接合面に均一に流れる。すべての接続部が、タブとスロットになっているので、位置関係は完璧に決まる。ただ、差込みが緩いのはまずいので、確実に差し込まねばならない。一人では難しいが、二人でやれば、確実である。 横から見て、隙間がなくなるのを確認すれば良いのだ。
 必要最少量のハンダを目的の長さの隙間に浸み込ませるのは、快感である。 橋本氏は、
「熔接のビードみたいな仕上がりでよろしいな。」
と、仰った。合格であった。

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2016年12月11日

続 鉄橋を組む

 115_5038これは床版部分のパーツだ。溝を入れて、菓子折りの仕切りのような組み方をする。レーザで切る時、寸法を少し加減して、するりと入るようにする必要がある。その辺がノウハウだ。嵌め合いが固いとゆがんでしまい、どうしようもなくなる。

115_5036115_5043 黒いものは組み立て用のジグだ。角を盗んで8 mmの板から切り抜いた。重くて具合が良い。角が当たらないのでそのままハンダ付けできる。この写真の稲妻型の部材は様子を見るために置いてあるだけだ。


115_5035 仮に線路を載せてみた。なんとか行けそうだ。まだ枕木裏の絶縁処理がしてない。薄い絶縁フィルムを貼ることになる。



 圧縮の掛からない部材は最小限の断面で作り、撓まないようにトラスを入れるのが、合理主義のアメリカ流だ。すべて細いトラスで作られている。それをどのように表現するかが、今回の鉄橋製作の最も重要な部分である。
115_5044 portal(門構)や横工部分は、非常に繊細な構造である。 小さな部品をスロットに入れてハンダ付けする。熱が伝わりにくいので、指で押さえていても大丈夫だ。即ち、正確にハンダ付けできる。ハンダは共晶のものを用いる。流れるか固まるかのどちらかなので、粘りが少なく、隙間に流し込むことができる。


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2016年09月20日

続 girder bridges

girder bridge inside ハンダ付けをした。鉄のハンダ付けは久しぶりで、コテを使った。炭素棒では炭素が鉄のほうに拡散して(浸炭)、部分的に不均一になり、しかも硬くなる。以前やった時は部分的に焼きが入った状態になり、ヤスリが引っ掛かった。コテならその心配はない。

 まず片方の板に垂直にXブレイスを差し込み、締めて固着させる。ハンダを流して固定する。もちろん塩化亜鉛飽和溶液を付けておく。ハンダはすべての隙間を満たして完全に付く。もう一方の板のスロットをよく掃除し、Xブレイスのタブを入れ、水道工事用のプライヤ(アゴが平行に開くように調整できて好都合)で締めると「コツン」と嵌まる。

 すべてが嵌まったら、また塩化亜鉛を塗って、コテで留めていく。 音もせず、臭いもないハンダ付けである。次に稲妻型の部材を逆位相に付けてできあがりだ。完璧にハンダが廻っているので、極めて丈夫である。静荷重なら、大人一人が載れる。

 終わったらすぐに流水を掛けて洗う。錆びないように直ちに高圧空気で吹き飛ばし、扇風機で乾かす。下地処理材を多方向から吹き付け、錆止めする。 

girder bridge completed ダイキャスト製側板をよく洗い、スーパーXで接着するとできあがりだ。思ったよりよくできていて安心した。完成した線路を載せると、透けていて気持ちが良い。


 鉄橋上はガードレイルが必要だ。ガードレイルの図面を見ている。細いものを使うのがデザイン的には良いことに気が付いた。

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2016年09月06日

続 Greenfield Village

 この村の中には、20世紀初頭の様々な職業を再現して見せてくれる場所がある。印刷屋とか、焼き物を作る工房とか、機織り、ガラス屋、木工所、鍛冶屋などがある。
 その中で特に興味を持ったのはこのブリキ屋である。ブリキ板(スズめっきをした軟鋼板)を曲げて、いろいろなものを作ってくれる。大物は時間が掛かるので、簡単なクッキィの抜型をお願いした。短冊形に切ったブリキを片方だけ曲げて手を切らないようにする。それをくねくねと曲げて目的の形にして、最後はハンダ付けだ。

Greenfield Village (11) 大きな焼ゴテ(1ポンド級)を出して見せたが、これは使わないと言う。どうするのかと思えば、アルコールランプを使うのだそうだ。このアルコールランプは、タンク部分が多面体で、いろいろな角度で置くことができる。

Greenfield Village (12) ほとんど横向きに置き、吹管を使って炎を所定の場所に導く。吹管は、長さが30 cmほどの平仮名の「し」の字の形をしたブラスの細い管で、青い炎を目的の場所に当てることができる。フラックスを少量塗ってハンダの粒を置く。やはり置きハンダだ。ブリキはハンダ付けが極めて容易で、あっという間に付く。机に松脂が置いてあるので、それも使うのかと聞いてみたら、松脂はあと始末が面倒だから使わないそうだ。
 ハンダは2×3×1.5mm程度の大きさであった。

 ここで作られた商品は、売店で適価で売っている。 

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2016年07月23日

押して付ける

soldering iron (2) これが筆者の厚板工作用ハンダこてである。先が少し曲がっている。この角度で下に向かって押し付けるのだ。その時、肘(ひじ)は机に付ける。もちろん小指の方にこて先が来る。
 最近はほとんど使っていないのでハンダは付いていない。いや、どちらかと言うと、ハンダをこてに付けずに押し当てることが多い。最近は炭素棒使用が9割である。

soldering iron (1) このハンダこては祖父江氏の工房で使われていたものの複製である。アカエの100 Wの電気コテをばらして、ヒータを150 Wに取替え、石綿シートでくるんだ。普段は70%くらいの電圧で使っている(すなわち出力は半分)。ここぞというときは、電圧を上げて使う。こての材料は銅のブス・バァを切って作った。軽く焼きなまして先端を少し曲げた。こうするとワークが見えやすい。

 多量の熱を供給したいときは、少しハンダを融かしてハンダを熱媒体とする。そうすれば、1 mmの板の裏側でもハンダ付けできる。もっとも炭素棒なら、2 mm板の裏でも付けられるが。

 この方法を伊藤 剛氏にお見せしたところ、かなり驚かれていた。
「圧力を掛けてハンダごての熱を一気に流し込むのですね。私は、こて使用の場合は、どうしてもハンダを熱媒体に使ってしまいますね。」
「炭素棒ハンダ付けと一緒ですよ。押して付けているのですから。」
「この形のコテは面白いね。あまり見ないですね。」
「祖父江氏の物のコピィです。」
「あの人は本当に凄い。普通の人には真似できない腕があります。手を機械のように正確に動かせる人なのです。」
という会話があったことを記憶している。

 今野氏からの質問で作業台は何を使っているかということだが、厚い合板(15 mm以上)の切れ端を使うことが多い。焦げると捨てて、新しいものを使う。釘が打てるので便利だ。釘を曲げたり、細い木を打ったりしてワークを押え、さらに付けたいものを例の三本足で押さえる。あとは、こてで押さえるだけである。これは客車の組立てに使う。

 塩化亜鉛水溶液が飛ばないので、合板は焦げない限り変色もない。炭素棒の時の台は、もちろん2 mmのブラス板である。

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2016年07月21日

続 ハンダ付け時の押え

「塩化亜鉛水溶液を薄めたものを使っても、撥ねたりしない」と書いて来た人があった。その人は飛沫が飛んでいることに気付いていないだけであって、飛んでいないとは言えない。詳しく伺うと、ピチピチ音がしているそうで、それは撥ねている証拠そのものである。

 中学生のころからハンダ付けは塩化亜鉛を使ってきた。薬品は少量しか手に入らなかったから、薄くして使った。付くには付くが、 細かい飛沫が飛び散って、周りの糸鋸、ヤットコ、ヤスリが錆びた。そんなものだと思っていたが、大学生になると塩化亜鉛が豊富に使えて、その飽和溶液でのハンダ付けは、それまでとは全く異なる様相を示した。

 音もせずハンダがつるりと浸み込むのは、見ていて気持ちが良い。周りに飛び散ることは全くない。試しに、周りにヤスリを並べてハンダ付けしたが、錆発生の痕跡もなかった。

 これは使える、と思った。その後いろいろな人にそれを伝えたのだが、誰も興味を示さなかったので、最近は黙っていた。ところが、今回今野氏のブログでそれがかなりの盛り上がりを見せたので、発言者としては妙な高揚感を得ている。  

 筆者は商売柄、全てのことに疑問を持つ。本に書いてあることなど、ほとんど信用しない。条件を変えてテストし、起こる現象の分析をする。世の中にはずいぶん間違いというものが存在するものだ。高校の化学の教科書ですら、怪しい話が無数に載っているのだ。筆者の指摘で随分と是正されてはいる。

 ハンダ付けはクランプで締めて行うというのも、場合によっては失敗の元になる。締め付け過ぎることがありうるのだ。ハンダ付けの隙間は 0.03 mm程度が具合が良い。クランプで締める前に、何らかの方法で隙間を空けねばならない。先回書いたように、片締めになる惧れもある。そういうことを考えると、3本足の押えはなかなか大したアイデアである。板同士の接着時には、ブラス板に細かい傷をつけて、その「めくれ」で、隙間を確保する。この状態でクランプで締めると、うっかりしてその「めくれ」をつぶしてしまうこともありうるのだ。

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2016年07月19日

ハンダ付け時の押え

 最近あまりハンダ付けをしていない。ポイントの作成と電気関係の工作をするぐらいで、車輛の工作をほとんどしないからだ。今野氏のブログで、塩化亜鉛飽和溶液の話が出ていて筆者の提供した話題が反響を呼んだようだ。
 ハンダ付けは、日本では塩化亜鉛水溶液を薄めて使うことになっているが、煮詰まるまでにブチブチと撥ねて、周りのいろいろなものが錆びる原因になる。筆者は飽和溶液を使う。全く飛び散らない。音もなくハンダ付けが終了する。飽和溶液にするにはどうすれば良いかという計算例も示されたが、そういうことは考える必要はない。小さな瓶に結晶を入れ、少量の水を足せば結晶が残った状態で、上澄みは飽和溶液だ。どろりとしている。密度は大きい。溶かしたときに濁るのは、水道水に溶けている空気の行き場所がなくなるからだ。放置すれば消える。粘りがあるから浮き上がるのに時間が掛かるが、次の日には消えている。

soldering aid (2) さて、押えの方法だが、ほとんどの方はクランプを使っていらっしゃるようだ。筆者はクランプも使うが、ほとんどの場合、この写真の補助具を使う。今野氏から要請があったのでお見せする。部品は撮影用に仮に置いたもので、他意はない。この設計では鉛の錘の3/4以上がワークに掛かる。押えの先端は平面にして丸く面取りしてある。傷をつけないようにである。

soldering aid (4) このアイデアは、昔アメリカで50年代の古いRMC(Railroad Model Craftsman)を読んでいて見つけた。鉛の付いている部分は針金をつぶしておいて鉛を鋳込んだが、長い間には外れてしまった。特に落とすと一発で壊れた。数年前に作ったのはこれで、鉛をブロック状に鋳て、それを鉄線の途中に付けた台にネジ留めした。壊れにくい。足はブラスで良いが、長い針金はブラスではもたない。Φ4の亜鉛引き鉄線である。熱を伝えにくいというのも、利点ではある。5円玉は大きさの比較用である。

soldering aid (3) 鉛は400 gである。平たくしたのはさらに錘を載せたい時があるからだ。ここで載せているブラス塊は380 gだ。 クランプ締めでは正確に保持するのは意外と難しく、押えるべきものの片方しか、力が掛かっていない場合がある。すなわち、断面が二等辺三角形のハンダが存在することになる。

 この重力による押えはなかなか具合が良く、お勧めしたい。作るのはわけない。鉛の錘を作るのには手間が掛かるが知れている。ブラスの塊でもよいのだ。後ろの2本の足はもう少し広げると安定が良くなるが、作業台が広くないのでこの程度で満足している。

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2016年05月04日

ハンダ付けのテクニック

 ハンダの見えないブラス車輛について書いたところ、複数の方から質問があったので、説明させて戴く。
 大阪の某有名模型店の店先にそれは飾られていたが、全くハンダの色が見えなかった。同行した友人が、妙に感動していたので意見を聞くと、「あのテクニックはそう簡単には習得できない。大したもんだ。」という話だった。

 筆者は、「壊れやすいから感心しない。」と言うと意外そうな顔をした。
「どうして壊れると思うんだい?」
「だってさ、ハンドレイルなんかは折り曲げてチョイ付けなんだと思うよ。持ったら撓んで、ハンダが緩むよ。」

 友人は意外そうな顔をした。「持つ時、そんなに力を入れないよ。」
「でもね、何度か持つと壊れるよ。」
「じゃ、あれは静態保存ということなのか。」
「たぶんそうだと思うよ。」

soldering おそらく、断面はこうなっている(A)。こうしないとハンダの色が見えてしまう。Bのようにすれば、ちらりとハンダが見えるが、丈夫である。そう簡単には壊れはしない。この方法が正しいはずである。ハンダが見えるのを嫌がるというのは、筆者には理解しがたい心理である。Aでは、ハンドレイルの上を持てば、ハンダが剥がれる方向に力が掛かる。

 筆者はOゲ―ジを楽しんでいるので、重い車輛を持つとき、いつも細心の注意を払う。ハンドレイルが剥がれると腹が立つ。祖父江氏のところからの模型はすべてBの方式を採用している。線材は良いが、板を付ける時は、隙間に閉じ込められたフラックスが洗いにくい。全面ハンダ付けをしていれば、歯ブラシでひとなでするだけで完了であるが、チョイ付けでは洗いにくところもあるだろう。
 

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2016年04月30日

ハンダ付けフラックス

 先日の記事で、飽和溶液を使うと跳ねないということを書いた。我が国では薄めて使うのが常識になっているようだ。

 40年ほど前、ある実験で、筆者は何を熱媒体とすべきかを調べていたことがある。例えて言えば、鍋の中に加熱したいものを入れて直接煮るのではなく、何かの液体を入れて、二重鍋で間接的に加熱する方法を調べていたのだ。
 水では100℃で沸騰が起こる。てんぷら油では200℃くらいまでは平気だ。それ以上になると、あまり良いものがない。危ないが、濃硫酸を熱媒体に使うと、300℃まで大丈夫だ。もっと高い物は、ハンダなどの溶融金属を使う。その中で塩化亜鉛飽和水溶液が320℃まで大丈夫だという文献を見つけたのだ。やってみると本当に沸騰しないが、ガラスのビーカはその温度では少し変形した。

 ハンダ付けは実質的に300℃以下で行われるから、跳ねないハンダ付けができる。ハンダは金属の隙間を埋め、完璧に付く。洗うのは水中で歯ブラシでこすれば完璧だ。飽和溶液は空気中の水を集めるから、徐々に薄まる。だからこそ結晶が下に沈んでいる上澄みを使うのだ。小さいスポイトを使って吸い出す。

電気機関車の作り方 このコピィは、山北藤一郎氏の「電気機関車の作り方」という本の一部である。水で薄めている。塩酸に金属亜鉛を溶かしているから、飽和溶液にはならない。そのままでも薄いが、さらに薄めてしまっている。
 どうもこの辺に薄めるという操作のルーツがありそうだ。いろいろ調べているが、濃いのを使うという記事はまず見ない。
 

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2016年04月06日

続 ハンダ付け用フラックスの仕組み 

 最近は塩化アンモニウムを含むものが出てきた。筆者はこれを入れることもあるが、入れないことの方が多い。塩化アンモニウムは分解しやすい化合物である。加熱によって200 ℃以下で分解してアンモニアと塩化水素になる。アンモニアは50℃以上では水の中に溶けていられないので、すぐに放り出される。すなわちアンモニア臭がする。アンモニアの分子量は小さいので、直ちに拡散し、どこかに行ってしまうが、臭うこともあるだろう。

 化学式を出すと拒否反応を示す人もいるので、日本語で説明する。

  塩化アンモニウム + 水   ⇄   塩化水素 + アンモニア↑

という、どちらにも進む反応(化学平衡)がある。高温ではこの平衡が右にずれる。そうすると、ガスが発生して(↑で示している)右辺の物質がなくなるので、右辺の物質(ここではアンモニア)を生み出す方向に平衡が移動せざるを得ない。すなわち塩化水素が生成するのでハンダ付けが容易になる。
 
 残った塩化水素は先回の説明のように、金属表面をきれいにするが、多少はガスになって飛び出す。すなわち、外でやるべきだ。室内では包丁が錆びたり、アルミ・サッシュが傷む元になる。塩化アンモニウムが入っているものは、とにかく多少臭う。 

 面倒なことをたくさん書いたが、塩酸の代わりにあまり臭いがしないものを使っているということである。
  

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2016年04月04日

ハンダ付け用フラックスの仕組み

 今野氏のブログでフラックスの話が出た。ご指名で少し解説をさせて戴く。
 
 ハンダ付けをするには新しい金属面を出さねばならない。そこに融けたハンダが接触すれば、合金化が起こり、金属結合ができる。以前にも書いたが、それはアメルガメイションであり、スズ特有の性質を利用している。
 新しい金属面が出ればハンダ付けが可能だから、酸化されやすいアルミニウムもハンダごての先でがりがりと擦れば、ハンダ付けが可能である。もちろんこの操作は融けたハンダの池の中で行わねばならない。すべての面を均等に擦って新しい金属面を出すのは、かなり難しい。そこで超音波などを当てて、酸化被膜を壊すわけだ。工業的にはこの方法を採っている。

 相手がブラスや鉄の場合には、ある程度の酸化被膜を取ってから、フラックスを塗ると、酸性であるから酸化被膜が溶ける。そういう意味で、塩基性のフラックスは考えにくい。通常の金属の中では、亜鉛、スズ、鉛程度しか塩基と反応するものは無いし、その反応速度も極端に小さい。

 プロは塩酸(塩化水素という刺激のある酸性の気体を水に溶かしたもの)を用いる。塩化水素という気体は水分子と強く結びつくので、 塩酸は高温でも塩化水素がかなり逃げ出しにくい。 しかし多少は飛び出してあちこちの金属類を錆びさせる。塩酸は金属酸化物をよくぬらし、ハンダが浸み込むのを助ける。
 塩化亜鉛はどうだろう。塩化亜鉛の飽和水溶液は、その沸点が300 ℃を超える。ということは蒸発しない。これを用いれば、ハンダ付けの時に飛び散ることがないはずだ。塩化亜鉛はわずかに加水分解して、酸化亜鉛と塩酸になる。このうちの塩酸がフラックスの効果を発揮する。酸化物を溶かして、新しい金属表面を出すのだ。塩化水素は少量しか発生しないし、直ちに金属酸化物と反応するので、飛び出す量は少ない。すなわちあまり臭いがしない。

 ここで大切なのは飽和溶液を使うことだ。ほとんどの方は薄めて使うとおっしゃるが、本当はそれは正しい用法とは言えない。 結晶が沈んでいる上澄みを使うのが良い。少量でよいのだ。薄めたものは沸騰するから、ビチビチと飛び跳ねて、周りのものが錆びる。沸騰して水が飛んでいくと、飽和溶液になって安定化する。すなわち薄めると、大半が無駄に飛んでいくのである。飽和溶液を使うと、跳ねないことに気が付くだろう。
 しかし、場合によって弾かれてしまうことがある。それは下地処理が不十分なのだ。界面活性剤(要するに洗剤)を少し足すと、ぬれを良くするから、フラックスが良く付着するようになる。筆者はトイレの酸性洗剤を一滴足すが、これは妙な香料が入っていて、臭い。
 筆者は、塩化亜鉛を使うハンダ付けする時は必ず外のデッキの上でやる。家の中でやると、鉄レイルが錆びる。         

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2016年03月09日

側線を敷く

track gang 最近は側線の敷設に掛かりきりだ。プリント基板(ガラスエポキシ)の短冊を枕木とし、それにレイルをハンダ付けして分岐器を作る。ハンダ付けする枕木は数本おきである。その枕木の抜けた部分には木製枕木を貼り付ける。
 いつもこの格好で作業している。この薄汚い褐色のジャケットはUPで作業用に支給される物だ。Tom Harveyにもらった。Union Pacificのロゴが入っていたが、それはもう剥がれ落ちた。帽子は亡くなったLorell Joiner氏にもらったものだ。

 簡単な作業のはずだが、いくつもの面倒な作業があり、1日1つ出来れば良いほうだ。三枝分岐は4日も掛かっている。 路盤の高さがあるので、脚立に跨っての作業である。だんだん奥に行くので、そのうちに路盤に寝そべってしなければならないかもしれない。そういうときは線路を保護するように、何かの養生板を敷くことになろう。
 アメリカでよく見るのはこれだ。既製品もあるし、自作品も見たことがある。博物館では、線路の周囲に透明プラスティックの保護板を付けるので、これは使えない。ただ、工事中には役に立つだろう。ただし、足元にスペイスがないと押し込むことができない。 

 ハンダごての持ち方に注目してほしい。先が小指側に来ている。こういう方法で持たないと、先端に力が入らない。熱いこてをレイルの下部に押し当て、一気にハンダの凝固点を越えさせるのがコツだ。もたもたしているとハンダがたくさん溜まってしまう。なるべく短時間にしないと、エポキシ基盤とは言え、銅箔が傷む。ハンダこては先端が平らな専用品だ。 

 尖端レイルの支持方式に悩む。故障が少なく、簡便な作り方で、そこそこの見栄えが必要だ。 使用頻度が少ない側線は問題が起こりにくいが、現在工事中の部分は機関区への通路で、重量級機関車が頻繁に通る。丈夫に作らねばならない。
 根元はリン青銅の薄板で作り、弾性を利用したヒンジである。尖端に近い部分にはリンクで結合させるが、一つでは途中が撓む。長年に亘って無事故で使用したいので、リンクを2、3箇所付けるつもりだ。

 当初はポイントマシンを線路下に内臓するつもりだったが、今後の保守を考えると、半露出とすべきであるという結論になった。

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2015年12月23日

レイルボンド

114_4292 これが鉄レイルに取り付けたレイルボンドである。ハンダは先にレイルにつけておいて、撚り線をハンダメッキしたものを近づける。こてを熱くしてあるので、融着させるのは簡単だ。
 撚り線は友人のところでもらってきたアース用の裸撚り線である。いろいろな太さがあるので、ちょうどよいのを選ぶ。電気ドリルで撚りをさらに掛け、末端をハンダ揚げする。そうしておかないと良い形に成型できない。

 こうやって取り付けたレイルボンドを見て、「はみ出しているのはみっともないから、もっと細いのを使うべきだ。」ということを言った人がいる。レイルボンドは太くなければならない。電流が大きくてもレイアウトのすべての部分で電圧降下が起こらないようにせねばならない。饋電線は太くせねばならないのは当然だが、すべてのレイルで同じ電圧が保証されねばならないから、レイルボンドも太くあるべきだ。レイルボンドは2本のレイルをつないでいる。その他の接続部は力学的に繋がっているだけで、通電はほとんど考慮していない。この写真には写っていないが、すぐ脇で、下から饋電線が出ている。大切なのはハンダがよく付いていることだ。
 いずれ配線が完成したら、10 A通電したときの電圧降下を全線で測定する。大掛かりにやるのは簡単だが、最も簡単でスマートな方法を考えている。
 
UP7002 and a string of Pullmans この機関車で重いプルマンをたくさん牽いて坂を登るのはなかなか大変だ。下手をするとスリップする。本物と同じように、滑ったらスロットルを戻す。再粘着させて引上げるのは、面白い。プルマンはどれも1 kg以上ある。機関車を重くすれば摩擦力は稼げるが、それは筆者の哲学に反する。補重していない機関車でたくさん牽きたいのだ。
 

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2015年12月17日

鉄レイルにハンダ付け

 今回のレイアウトでは勾配線に鉄レイルを使用している。それは良いのだが、電気接続のハンダ付けをどうするかで悩んでいた。一応の結論としては、レイルを外して所定の場所に塩化亜鉛を使ってハンダメッキして、元に戻して電線をハンダ付けすることになっていた。数本やったが、面倒であると同時に、所定の場所が少しずれたりすると具合が悪い。また、外に持って行って、塩化亜鉛をタワシで洗い落とさねばならないのは大変面倒であった。

 プリント基板用のヤニ入り糸ハンダを使って配線するのだが、ハンダメッキしていないところに間違ってコテを当てたところ、なんとなくハンダが流れるような気がした。常識としては鉄のハンダ付けは、ペーストなどではうまくいかないもので、塩化亜鉛などの鉄表面を溶かすものが必要であるはずであった。
 そこで、条件を良くしてみた。マッハ模型のキサゲ刷毛を用いてレイル側面を丹念に50回くらい擦り、溶剤スプレイ(ブレークリーンなど)で完全に脱脂した。コテを当てて加熱し、糸ハンダを差し込むと、見事にハンダ付けが可能であった。洋白レイル上とは異なり、さらさらとはハンダ付けができるわけではないが、よく着く。意外なことでとても驚いた。最近のフラックスはよく効くのだ。
 これで、レイルボンドは容易に接続されて、完全な給電体制が整った。レイル2本を接続し、そのわきで饋電線が給電する。
 すなわち、電流はレイル各1本分しか流れないことになる。

 偶然の結果からこの方法が見つかったのだが、実にうまく付くのでお勧めする。要点は表面を磨いて新しい面を出すことと、完全な脱脂である。
 しかし、ここにそのテクニックを披露しても、いったい何人の方が、鉄にハンダ付けをするのだろうかという疑問はある。
 

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2015年04月26日

続々々 3-way switch

 先日、久しぶりにある友人に会った。彼は腕の立つ模型人である。
 
「ブログを読んでいるよ。最近はポイントを作る話だね。フライスを使えば訳なくできる。でもヤスリじゃあ難しいね。」
「そうなんだよ。僕も昔はヤスリで作っていたけど、結局のところ、尖端レイルの密着が悪くて苦労したよ。でもフライスがあれば楽だし、確実にできる。」

というわけで、しばらくは工作機械導入のメリットについて盛り上った。オークションを見ていると、小型フライスは安く出ている。しかも使用感があまり無いものもある。

「安いフライスだって、要は使い方次第だ。ガタがあっても送りの当たったところでダイヤルを廻してゼロにすれば、ちゃんと出来る。ディジタルスケールなんかなくても、何とかなるよ。ヤスリで削ったものとは大違いだ。ちゃんと平面が出るからね。」
「いや、最近はDROは安いからね。付けると労力が半減するよ。」
と、話は尽きなかった。

 お金を掛けなくても良いものは出来る。そのためには、素人は良い道具を使うべきだ。それが工作機械である。模型の価格以下で、旋盤とフライス盤が手に入る。材料はクズ屋で買う。そうすればいくらでも工作が楽しめる。

 彼は面白いことを言った。
鉄道模型をやる人はプライドが妙に高いのだ。助けを求められない人が多い。プラ模型の友達はそういう人は少ない。『これをハンダ付けしてくれないか。』という頼みはよくある。そんなものすぐできるからやってあげるよ。すごく喜んでいる。
 鉄道模型の人は誰も頼まないみたいだ。機械を持っている人に頼めばすぐできるのに、一人でやってうまくできないと、放置する。オークションでキットの組みかけが安く出ているだろ。出来ると思って買うんだろうね。でもできないんだろう。助けを求めればよいのに。」
「そうなんだ。そのためにクラブがある。伊藤剛氏は昔からそう言っていたよ。助けを求めれば、出来る人はいるはずだ。」

 その後、キットの組み立てについて話が進んだ。
「キットの組みかけ放置はもったいない。」
「そのことについてブログで書こうと思っている。キットを組める人は、結局のところ、スクラッチ・ビルディングが出来る人なんだ。」
「まあ、そういうことだね。」

 彼は安く買ったジャンク品を組み直して素晴らしいものに作り替える天才である。見せてくれたジャンクがどう変化するか、楽しみである。



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2015年04月20日

3-way switch

 日本語では三枝ポイントという。一箇所で3方向に分かれるのは作りにくいし保守が大変だ。この作例のように前後にずれていると簡単である。これを tandem 3-way switch という。

3-way switch ヤードの途中で機関庫の方に行く分岐を必要としたので設計した。右方に行く曲線は半径2800mmである。先端軌条は円曲線とした。珍しいパターンである。Hはヒール、Pはポイント、Fはフログである。ヒールとは尖端軌条の付け根、ポイントは尖端の意味である。
 左方へは先端軌条が直線の8番分岐である。そのとりあいカーヴが2720mmであるので、それ以上の半径の円曲線なら、問題なく右に分岐できる。

 原寸大の作図をして、その上でハンダ付けする。やり方の基本はフログ位置を決め、ガラスエポキシの枕木にハンダ付けする。直線を先に付けて、後はゲージの矛盾がないようにハンダ付けすれば良い。

 この工作は3時間程度で終わった。ニッケルめっきは硬く、糸鋸が滑る。あらかじめヤスリで傷を付けておかないと時間がかかって仕方がない。また、糸鋸がすぐ切れなくなる。
 フログおよび尖端軌条はフライスで削いで、めっきを掛けてある。問題はストックレイルである。尖端レイルがきちんとはまり込んで隙間が出ないように、仕上げた。 

3-way switch 2 尖端軌条を結ぶリンクが付けてないので、保護のためテープで仮に押さえてある。枕木はガラスエポキシの基板である。安い店で大量に買った。所定の幅に切るには、超硬の丸鋸で切った。一部のガードレイルが付けてない状態で写真を撮った。
 枕木長さがやや飛び出しているものもあるので、卦書いて丸鋸で切り取る。



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2014年06月06日

rail bond

 レイル・ボンドとは何か、という質問を戴いた。接着剤ではない。英語でも rail bond と言う。

 本物の線路をよく見ると、レイルを結び付ける導線がロウ付けされていることに気が付く。信号電流を流すのに必要だからだ。電化線の場合は、太い線を使って、走行用の電流を流している。その種の接続のことを言う。
 昔はそのロウ付けをアセチレン・トーチで行っていた。高温になるとレイルが焼き戻されて、ろくでもないことになる。最近は低温で融けるロウを使うらしい。ハンダほど低温ではないが、焼き戻しが起こらない温度なのだろう。専門家の解説が必要だ。

 模型の場合、昔はブラスレイルを使っていたのでレイル・ボンドが推奨されてきた。現在は、レイル自体の電気抵抗が問題になるので、あまり重要視されていない。一本ごとの饋電の方が大事だ。

 饋電線(きでんせん)のことを英語では feeder あるいは bus wire という。たくさんの電車に向かう電流が乗り合わせているという発想なのだろう。配電箱の中の銅の棒をbus bar と言うはずなのだが、電気屋さんは必ず「ブスバァ」と言う。近所に女性が居ると大変な事態になりかねない。このブスはドイツ語であって、オムニブスのことである。乗合自動車のことを意味する語だ。

bare wire フィーダには裸電線を使う場合がある。12 V 程度では漏電の心配がないからだ。写真はあまり良くない例だが、こんな具合だ。線路の下の構造材に孔をあけ、裸銅線を通す。目的の場所に給電できるから便利である。抵抗を最小にするために細い電線を巻き付けて、ハンダ付けする。この写真では部分的に被覆が剥いであるが、全て裸銅線を使うことがあった。最近はスーツケース型の分岐を用いるので、あまり見なくなった。



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2014年05月21日

ハンダ付けした模型

 ブラスの板を切り、曲げてハンダ付けする。これが鉄道模型の作り方だと中学生のころから思っていた。筆者は、紙や木製の作品は少ない。過去20年くらいはプラスティック製の車輌がかなり入線したが、それまではほとんどがブラス製だった。運良く、安く手に入れたものばかりだった。

 ここへきて、ハンダ付けの記事が増えて様々な人からご意見を頂戴している。
「プラスティック車輌があるから鉄道模型が発展したのに、このブログではブラスのことばかり書いているのは云々」と仰る方もある。逆に、
「このブログでブラス工作に踏み切って、今ではかなりのことができるようになった。」というご意見もある。

 最近、吉岡精一氏とお会いした。吉岡氏はブラス工作の先輩である。今までに、色々なアイデアを頂戴した。氏は、このように仰った。
「真鍮で工作したことがない人が大半になれば、それは鉄道模型の死です。買って来たら、それでおしまいというのは鉄道趣味ではないでしょう。やはりある程度は、自分で切ってハンダ付けの工作ができるようにするべきです。それにはかなりの修練を積まねばなりませんが、やる必要のあることなのですよ。内野(日出男)君みたいにできる人はまずいないが、それに向けての修練は必要です。
大体ね、プラスチックの模型が、時間が経つにつれて脆くなっていくというのは、皆知らないわけじゃあないんだ。まあ、それを考えたくないんだろうね。」

 筆者も同意見だ。1000年の実績のあるブラスをハンダ付けした模型と比べると、60年ほど前に現れたプラスティック模型は信用できない。おそらく、世界中の博物館の中で、プラスティック製品を収蔵しているところはほとんどないのではないかと思われる。

 ブラス工作は絶えることはないと思うが、やや下火であるので、それを盛り立てて行きたい。 

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2014年05月19日

銅ブロックのハンダ付け

 ちょうどタイミングよく、甥から問い合わせがあった。仕事のことなので詳しくは書けないが、世界最先端のある装置に付ける電力供給端子だそうだ。

「伯父さんはハンダ付けうまいですよね。ひとつ教えて欲しいんですけど、厚い銅の電極と、ある銅合金を隙間なくハンダ付けするにはどうしたらよいのですか。」

 聞くと、その二つの金属塊(一つが筆箱くらいの大きさだそうだ。)を磨いてクランプで締め、ヒーターでくるんでハンダを押し当てたということだ。いくらフラックスが塗ってあっても、それでは駄目だ。

 何回やっても真ん中にハンダが入っていない空間ができ、電気抵抗が 数ナノオームくらいあるそうだ。それを何とかしないと先に進めないと言うのだ。どうやら、その職場にはハンダ付けの名人がいないらしい。

 早速次のような方法を伝授した。

Soldering thick copper electrodes1 磨いた銅塊にタガネで「めくれ」を付ける。
2 二つの塊りにフラックスを塗り、クランプで軽く締める。
3 ヒータで温めて、ハンダの融点以上になったところでハンダを押し当てる。その時、重力を利用したいので全体を斜めに立て掛ける。

 要はほんの僅かの隙間がないとハンダが入り込めない。おそらく0.03 mm程度の隙間がベストであろう。合金層を作って固着する。それより厚いと、合金ができていないハンダ層が残るから、弱いし、長い時間経つと多少変化するであろう。タガネでも良いし、ポンチでも良い。多少のめくれがあれば、その隙間を容易に保つことができる。

 理屈を話すと良く理解してくれて、早速作業をやり直すと言っていた。そのうち報告があるだろう。

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2014年05月17日

「銅喰われ」という現象

 最近使われるようになった言葉である。世の中のハンダが、突然無鉛ハンダに切り替わってから出てきた言葉だ。

 ハンダ付けがなぜできるかということの、根本原理について触れた本はあまりない。以前このブログで扱ったアマルガメイションがそれである。水銀、スズ、インジウムなどは他金属と接触すると拡散し、合金を作り易い。他の元素では起こらないかと言うとそうでもないが、目に見える顕著な例を作りだすのがこれらの3元素である。水銀を使う人はいないが、インジウムを主体とするハンダは使われている。1000年以上も、鉛とスズの合金であるハンダは金属接合材として使われてきた。専ら銅合金を接合している。1000年以上前の遺物のハンダ接合がほとんど変化しているように見えない。それは鉛が入っているからであろう。

 鉛を含まぬハンダはこの15年くらいの間に業界を席巻してしまったが、果たして安定性はどうなのであろうか。まだ問題が顕在化していないが、そのうちに世界中で恐ろしい事件が起こりそうな気がする。コンピュータの暴走などが起こりうると思う。どうして1000年もの実績を捨てて、怪しい無鉛ハンダを使う方向に走ったのだろうか。ぬれ性も良くない。

 製造上では、コテの異常な消耗が報告されている。無鉛ハンダは銅を溶かすのである。それを「銅喰われ」と呼ぶのである。しかし、普段鉛ハンダのみを使う筆者は銅のコテ先が顕著に減った経験がない。Oスケールだから、HOの人の4倍ほどハンダを使っているはずだ。大半は炭素棒だが、たまには銅のコテも使う。ポイント作りには欠かせない。ハンダの中で銅がすぐ飽和するとも思えないが、次々と新しいハンダを大量に供給しないと溶けないだろう。HO以下の方がそれほどハンダを使うであろうか。筆者は年間500 g以下である。1年で棹状のハンダ1本を消費できない。

 鉛ハンダが銅を喰うのなら、銅の風呂釜などすぐに駄目になってしまうのであろうが、実際には長持ちする。 空釜さえ焚かなければ、数十年持つ。筆者の実家にあったのは、家を取り壊すまで30年ほど無事故であった。近所にあった職人の仕事場で、友人のお爺さんが丹精込めて作ってくれた美しい釜だった。筆者は幼稚園児であったが、その工作を横で毎日見ていた。リベットを打って留め、炭の上で加熱し、コバを丸めてカシめる。そしてハンダを流して隙間を無くすのだ。炭の上で予熱しておいて、焼きゴテでジュンと付けた。

 銀は鉛ハンダとよく反応することは、学生時代から知っていた。無線マニアはよく知っていることだが、銀を厚くめっきした銅線で高周波コイルを作る。それをハンダ付けすると、約1年で割れて来る。銀がハンダに移って来るのだ。それを防ぐために、予め銀を飽和させたハンダを作った。2%が良いと文献にあったので、その配合のものを作って、友人たちに分けたことがある。しかし銅についてはそのような話は見たことがない。十分長持ちしている。また、アマルガメイションは液体でないと起こらないというのは、勘違いである。
 アマルガメイションは鉄に対しては起こりにくいから、水銀の容器には鋼板を使う。最近のハンダゴテの先は鉄をめっきしてからハンダめっきしてある。鉄の層はハンダによるアマルガメイションを防ぐためである。無鉛ハンダが出てくる前から存在するから、その防止には多少の効果があることが確かめられたからであろう。
 

 ネット上の文献らしきもの(決して文献ではない)には諸問題があり、信用できないものが大半である。書いている人は専門家ではなく、思い違いなども多い。  

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2014年05月15日

ハンダゴテの手入れ

 昔、ハンダゴテはアカエというブランドのものを使っていた。剣先型の鏝であって、使っていると先の方のハンダが付いているところはよいが、その直後の部分が極端に錆びて細くなった。仕方がないのでそこで切り落し、全体を成形して使った。その時、虫眼鏡で見て驚いたことに、鏝には無数に細かい穴があった。

 父が言うには、「安物のコテは銅鋳物のコテ先だから巣(鬆)が入っている。それを叩き潰さねばならない。」ということで、「貸してみろ。」と取り上げられた。

 火鉢の炭で焼いて還元し、金槌で丁寧に叩いた。そしてまた加熱して叩いてを繰り返した。その処理をしたコテは長持ちした。
「プロ用のコテは銅の角材から作っているから、持ちが違う。」と父は言った。「しかも炭壺に突っ込んでいるから、いつも還元されているんだ。」

 その後塩化亜鉛をフラックスに使うようになると、またもや尖端のハンダが載っているところは良いが、その直後が錆びやすかった。キノコのような形だ。どうやら保管中に錆びるようだった。塩化亜鉛の溶液が付いているからだ。塩化亜鉛は潮解性であって、湿気を寄せ付けいつも湿っているから、錆びてくるのだ。
 しかし水洗すれば簡単に取れる。試しに洗ってみたところ、錆びはほとんど完全に防がれて、コテ先が細くなることもなくなった。

 ハンダゴテは抽斗にしまいたいのだが、熱いと待たねばならない。水道の流水で洗うとたちまち冷えて、すぐにしまえるのが具合良かった。水気があると良くないので、尖端を完全に冷やし、ヒーター部は多少温かい状態でしまうと、水気が完全に飛んでちょうど良かった。

 叩くと加工硬化して腐食しやすくなるという説が出てきたが、それは常温で電解液に浸した時のことで、ここでは関係ない。加工硬化の効果は、釘を海水程度の食塩水にひたひたに浸すと頭と先だけが錆びるという現象を説明できる。しかし高温で水のないハンダゴテには適用できない。しかもハンダゴテの使用温度ではすでに焼き鈍されている。
 一方、釘の頭と先はカッタで切り、ハンマーで打たれているから、加工硬化しているのだ。

 他にもいくつかの説があるようだが、長持ちさせる効き目としては巣を無くすこと、良く洗うことが大きく、他のファクターは無視できる。 

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2013年09月23日

続々々々々 Jim を訪ねて

Jim Harper resistance solderingJim Harper overhead sliding door
 Resistance Soldering のトランスである。99%の仕事はこれで行う。コテは電気配線用の40Wのものだけである。日本でも、もう少し普及するとブラス工作への躊躇が減少するはずだ。筆者が原価で頒布したが、実際には組み立てていない人が複数あることが判明した。せっかくかなりの労力を掛けて製作頒布したので、有効利用してもらいたいものだ。

 これは車庫のドアである。上のレイルに沿って引き上げられる。コイルバネでドアの重さをバランスさせているので、小さな出力のモータで巻き上げることが出来る。この家は既存の設計の住宅の一部を変更したので、隣の 2‐car garageとは壁で隔絶されている。小さい扉は3台目用なのだが、レイアウト・ルーム専用にしている。大きな材料を楽に運び入れることが出来るので具合が良い。
 我が家にも付けたが、ドアを熱絶縁性の高いものにしているので、空調時に熱が漏れにくい。気密パッキンを付けているので隙間風が入ることもない。閉めた時は、事実上の壁となる。 

Jim Harper backdrop

 バックドロップ(背景の下地)は石膏ボードで、目止めしたのち、単一色で塗る。薄い建物を貼り付けた後、空の部分には多少のウェザリングが施される。建物は1インチ(25 mm)しかないが、紙よりははるかに実感的である。
Jim Harper license plate
 ネヴァダ州のナンバープレートである。こんなのを申請するのは居ないから、すぐに認められたそうである。




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2012年10月15日

GSC台車を作る

U30C 以前Alco U30Cのイギリス製のキットの紹介をした。それには台車枠が付いていなかったが、その後別の場所でその機関車用の台車キットを見つけた。多分同じ作者であろうと思った。軸箱寸法が珍しいサイズであるのに一致したからだ。その軸箱はソフトメタルで出来が悪く、捨てざるを得なかった。
 

 台車枠の形が良くないのである。色々な写真を見たが、同じ形のものはみつからなかった。すなわち造形上の問題であって、作り替える以外ない。厚い板から切り出して原型を作るつもりであったが、少し縦方向に厚みを足せばなんとかなりそうである。鋳縮みの分を見越して軸距離を足し、上下に貼り足した。車体キットがあまりよくないので、台車を精密に作る気はなく、遠くから見た時のシルエットが違わない程度の工作である。

 作業を始めて気が付いたが、この種の仕事はかなり面倒であった。全体をジグの中に入れて押さえ込み、ハンダを流して固め、それを削り出す。あとで少しだけと思ってハンダ付けを修正するとばらばらになる。
 水の中に半分沈めて炭素棒ハンダ付けをした。大変面倒で、やはり全面的に作り直すべきであった。

 出来た台車枠にSprue(湯道)を付ける。1台分だから4枚で良いのだが、どうせ手間は大して変らないので、2台分作った。いつか使う時が来るだろう。
 

GSC truck side frames 鋳物と原型を並べるとこの程度の違いがある。上から、台車キットのサイドフレイム、修正した原型、鋳物の順である。鋳縮みは2.2%強であった。

 台車キットのボルスタは奇妙な形をしていて薄いので、厚板から削り出すことにした。
 これで懸案のU30Cが一歩完成に近づいた。

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2012年06月30日

続々々 Kleinschmidt Drive

COM_4353-2 これはGG-1の主台車・先台車である。先台車の復元装置は付いていない。筆者のアイデアを紹介すると興味深そうだった。
 Cogged Belt(歯付きベルト)で伝導している。静かだ。

 スパーギヤで連動してドライブ軸を上げてあるものもある。ウォームで減速する前の段階で、スパーギヤを使うのは考え物だと言うと、歯車の精度次第だとのことであった。確かに組まれたものは静かだ。彼の説明によると、スパーギヤ軸のガタが騒音に大きく影響するそうだ。ほんの少しのことだがボールベアリングのガタが大きく響くらしい。だからギヤボックスのボールベアリングは、予圧を掛けてガタを全くなくしている。予圧はバネで与えている。
 筆者はほとんどの場合、チェインドライヴを採用している。彼は「高速軸では、チェインは静かだとは限らない。歯車の方を好む。」とのことである。

COM_4360-2COM_4361-2 GG-1の台車枠をハンダ付けするときのジグである。これはテキサスのDennisと同タイプである。各ブロックを嵌めて締める。そしてDennisはアセチレンガスで加熱してハンダ付けする。
 なぜアセチレンかということは説明していなかった。酸素アセチレン炎はとても小さい。すなわちよそに熱が行かないのである。付けたい部分だけを加熱するので安心であるからだ。

 Stuは炭素棒ハンダ付けを使う。「一瞬で終わるよ。」とのことだ。

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2012年04月05日

The man who built the Engines for Max Gray

 今年は、見学に行くと、Garyが客を放り出して筆者の方にやってきた。
「明日のClinicの件だけど、」と切り出した。
「祖父江氏の作品がいくつあるのか知りたい。リストを持っていないか。」と聞く。

Clinic 次の日、筆者は祖父江氏についての講演をすることになっていたのだ。そのタイトルは、
”The man who built the engines for Max Gray" 「マックス・グレイに機関車を作った男」である。以前から、この演題についての講演を頼まれていたのだ。
 
 中身はしばらく前、とれいん誌に頼まれて書いたものをもう少し詳しくしたものである。参加者が多く、用意した椅子が全部ふさがった。50分の講演であるが、面白いエピソードをいくつか入れておいたので、参加者は皆大笑いしながら聞いてくれた。
 やはりハンダ鏝の持ち方の件は受ける。蒸気機関車のスポーク動輪を筆者と話しながら糸鋸で切った話などは興奮して聞いていた。
 マックス・グレイが日本に来た時、カツミの社長が、祖父江氏を横においていながら、紹介しなかった話をすると不思議そうだった。そこで、”He was a chicken that laid golden eggs." 金の卵を産むニワトリだから紹介したら引き抜かれてしまうと思ったのだというと大爆笑が起きた。
あとで、「そうだよ。こいつが作っていると分かったら、どんな方法を講じてもアメリカに連れて行っただろうさ。」と言われた。

 講演の最後に、Oスケールの殿堂入りの話をした。「殿堂入りしているのは全てアメリカ人である。アメリカのOスケールを支えた人が入らないのはおかしい。彼には十分に資格がある。」と言うと、全員が立ち上がって拍手をしてくれた。
 殿堂入りを決める役員が二人来ていて、次回の会合でこれを議題に入れると約束してくれた。期待できそうだ。

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2011年12月25日

続 炭素棒ハンダ付け電源の頒布 総括

 母材が融けて凹みができるという報告が多い。それは通電時間が長すぎるのである。足踏みスウィッチの踏み方の練習をしなければならない。つま先で押さえるのではなく、かかとを付けて踏むのである。
 このかかとを付けて、というのがなかなかご理解戴けない。車の運転と同じである。つま先でアクセルペダルを踏む人の運転は加減速が大きく、乗り心地が良くない。かかとを付けてアクセルペダルを踏めば、細かい動作ができる。

 洋白板をハンダ付けすると、ブラス板の場合よりも融けやすいそうである。熱伝導率が低いので熱が逃げにくいのだろう。板の裏側まで熱が達するには時間が掛かるのだ。いずれにせよ加熱時間が長すぎる。炭素棒が赤熱するのが見えるようではいけない。赤くなるのがほとんど見えないくらい細かく通電すると、融かさず、目的の部分だけにハンダが流れるようになる。しかし、薄板はコテで付けたほうが楽かもしれない。

 赤熱した炭素棒からは有毒な一酸化炭素が発生する。それを防ぐためにも細かい調整が必要である。スライダックをお持ちの方は、供給電圧を下げるのも良い。一割下げると、出力は二割減になる。

 筺体内部の配線中、主電流が流れる部分の電線をどのように接続するかお悩みの方もいらっしゃるようだ。希望の方には適当な長さに切った太い電線に両端とも圧着端子を接続したものを供給することも考えている。
 電線、端子とも手元にあるのは少ないので購入しなければならないが、量が少ないので金額は知れている。ご希望の方はコメントを通じて<私信>としてお知らせ願いたい。希望数により単価がかなり変わるが、百円の桁で収まるはずだ。

FEB_3742 筺体内のトランスの配置で面白い御意見も戴いている。全体の重心を真ん中に持っていきたかったので、トランスを斜めにして中心に持って行ったというのである。確かに持ち運びする回数は少ないが、そのほうがよいかもしれない。筆者は持ち手を重心の真上に付けている

 あぐらをかいているので、足踏みスウィッチ以外の方法はないかというご質問があったが、これは設計者の意図から大きく外れている。自動車をあぐらをかいて運転したいというのと変わらない。
 椅子に座って工作されるようにお勧めして、それができないようなら返品を、とお願いしている。

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2011年12月23日

炭素棒ハンダ付け電源の頒布 総括 

 注文者全てにキットが届き、続々と完成報告が届いている。

 今回は、20年以上前の大型テレビから回収したトランスを改造したものとは違い、専用設計である。短絡電流が大きいほど良いと伝えたので、一次巻線、二次巻線ともずいぶん太い物を作ってくれた。
 専門家の分析によると、二次短絡時に一次線に 5 A 近く流れるそうである。2 A のフューズでは数秒で切れてしまう。短絡は正しい使い方ではない。炭素棒の接触時の抵抗は0.1から0.2 Ω くらいである。5 V で 0.2 Ω とすると25Aであり、1次側は1.25 A 程度である。0.1 Ω なら 2.5 A であって、 この程度ならフューズは切れない。

 押し付ける部分の面積が大きかったり、うっかり金属部どうしを接触させたりすると逝ってしまうのであろう。ともかく、未経験の方にそのようなことを要求することはできない。5A型の管フューズに入れ替えて、温度フューズを10A用にすれば全く問題ない。温度サーキットブレーカがあれば、さらに良いだろう。

 初めて使われた方の感想を次に掲げる。

 「半田付けの仕上がりは、接しているところにだけ、半田が流れ、まるで電気熔接です。これからの工作が楽しみです。」
 「大きなロストワックスの部品を、完璧にハンダを流して接合することができました。完成した模型から部品がパラパラと落ちて来るなどと言うことは、これで皆無になると信じています。」
 「dda40x様のおっしゃる全面ハンダ付けというのはこれさえあれば簡単にできますね。」
 「部品外しが簡単にできます。塗装済み車輌の部品を、塗料をはがさずに外すことができます。付けるのも同様です。」


 エネルギィの集中度が大きいので、周りに熱が伝わる前にハンダ付けが終了する。すなわち熱膨張による歪みが起きる前に終わるので、箱モノの組立には良い。アメリカ製のOゲージの客車などは、0.8 mm もある板でできているので、ハンダゴテだけでは難しい。ある程度予熱して 200 W のコテを使えば何とかなるが、全体が歪んでしまう。 炭素棒ハンダ付けなら、一瞬で済む。

 また、他の部品が取れそうなところに大きな部品を付けなければならないときには、全体を水に沈め、付けるところだけを水面から出してハンダ付けする。熱が逃げる間もなく終了し、ハンダは完全に廻る。

 購入された方の作品がこれからどんどん発表されるだろう。それは、ハンダゴテ一辺倒のこの国の模型工作からの脱却である。ハンダ付けは難しいという先入観も少しは小さくなるであろう。

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2011年12月21日

”Wicking”という言葉の変遷

 ”Wicking”は、もともと燈芯に油が滲み込む現象を指す言葉だ。”毛細管現象”を表す学術用語でもある。
 最近は、燈芯という言葉すら知らない人が増えてきた。行燈(あんどんと読む)の中には油を入れる皿があり、その皿にはある植物の茎の芯を取出したものが置いてある。菜種油を入れると芯に吸い込まれ、その先に火を付けると明かりが得られる。
 西洋では毛糸を使った。薄い金属の容器に豚の脂身を入れ、毛糸を置き、それを何らかの方法で加熱する。アラジンの魔法のランプでは、磨くと「ランプの精」が現れるという訳が日本では定着しているが、英語では”rub”である。これはこするという動詞であって、摩擦熱で油(正確には脂と言うべきである)を融かしているはずだ。フランス語版やドイツ語版でも同様である。融けて液状になった脂は毛糸に滲み込み、それは火を付けられる状態になったことを意味する。

 さて本題のwickingだが、最近はプリント基板上のハンダ付けで余分なハンダを取ることをそのように呼んでいる。Solder-Wickと言う商品まである。何のことはない、フラックスを塗った銅の網線である。これを押し付けてコテで加熱すると余分なハンダが吸い取られる。鉄道模型の世界でも使う人が居るようだ。プロは使わない。余分なハンダはコテで取る。重力を使って、低いところにハンダを集めるのだ。コテを当ててワークをひっくり返す。見事に余分なハンダはコテに戻る。コテがハンダでよく濡れているからである。プロのハンダゴテは、ハンダで光っているのだ。
 また、プリント基板の上に小さな部品を置き、練りハンダを置いて電気炉に入れるのが最近の電機業界のハンダ付けである。その時、部品の温度分布の違いや、ハンダによる「ぬれやすさ」の違いで、特定の場所にハンダが毛細管現象で吸い込まれたり、場合によっては部品が浮き上がったりするのもウィッキングと呼ばれる。

 電気配線で撚り線をハンダ付けすると、必ずウィッキングが起こるので、昔は電線をハンダ付けしたところから 2 cm ほど行ったところで固定した。そうすれば固くなって折れ易い点に応力が集中するのを避けることができた。電線を結束するのは、こういう意味があった。最近は圧着端子ばかりで結束の意味を考えることが無くなったようだ。


 炭素棒ハンダ付け電源は、次々と完成・試用レポートが入っている。皆さん一様に驚かれている。部分的に加熱できるので歪まないとか、大きなロストワックス鋳物を完全にハンダ付けできると仰る。

 「温度フューズの接続を圧着端子で行った」というレポートも戴いた。本来、それが正解である。ただ、普通の方は工具をお持ちでないので、ハンダ付けする方法をご紹介したわけである。

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2011年12月19日

ハンダ付けを避ける

 昔、父に電線をハンダ付けするのはなぜかと聞いたことがある。おそらく小学生高学年のころだ。その答えは単純であった。それは、「電気がよく流れるように」であった。その答えに、非常に驚いた記憶がある。
 それまでハンダ付けはブリキ板を組み立てる方法の一つであるくらいにしか認識していなかったからだ。

 当時、電線を接続するときは双方をよく磨いてねじり合わせ、松脂を塗って焼き鏝でハンダ付けするのがが普通だった。高い電柱の上で、威勢よく電気工が働いていた。それを下で見ていると、「コラァ、下に居ると融けたハンダが目に入るぞ!」と怒鳴った。確かに、ぽたぽたとハンダが落ちてきた。それを拾って家に帰り、ハンダ付けして楽しんだ。

 力学的な強度を期待してハンダ付けしているわけではない。電線は、ねじり合わされた時、すでに十分な強度で結合されている。接触だけでは足らないのでハンダを導体として使っているわけだ。距離が小さいので、多少電気抵抗があっても問題にはならない。

 さて、細い撚り線からなる電線をほぐし、丸い輪を作ってハンダ付けし(これをハンダ揚げと言った)、それをネジで端子に締め付ける工作を中学校の技術家庭でやった記憶がある。ところがその方法はあまり良くないことが分かった。ハンダが滲み込んだ部分は硬く、曲がらない。一方、そうでない部分の撚り線は柔らかい。電線を曲げると、その部分に曲げ応力が集中する。プラグから出た電線の、ちょうど手に触れる部分にハンダの滲み込んだ部分があると、そこで電線が折れてちぎれてしまい、導通しなくなる。

 これを英語では、”wicking"という。電気製品のほとんどの故障はウィッキングによるとまで言われた。NASAをはじめとする航空宇宙産業では、このウィッキング撲滅作戦を行っていた。
 圧着端子の採用、ラッピングという線を巻きつける方法の採用が大きな柱だった。日本に入ってきたのは70年代であったが、アメリカでは60年代にすでに実用化されていた。

 圧着端子を使うと、撚り線は先端まで柔らかく、折れることがない。その時、スズめっきを施しておくとさらに電気伝導性が良くなることに気が付いた人は偉い。こうして電気屋さんがハンダ付けをしなくなったのだ。現在電機業界では、ハンダ付けはプリント配線基板くらいしか使われない。
 ハンダ付けをすることなく、電気伝導性を同等以上にすることができるのは圧着端子のおかげである。ネジを締める瞬間にも、スズは働いて電気伝導性を高める。

 当レイアウトの配線にはほとんど圧着端子を用いている。故障が減ることは間違いない。

001 (2)追記 先日、電燈のスイッチを買ったところ、ハンダ付けした芯線をネジ留めするなという指示があった。当然ではあるが、これを表記してある例を初めて見た。
                                      2012年1月23日追加

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2011年12月15日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3176GOW_3178GOW_3177 発送前に写真を撮った。これだけで160kg強ある。アップライト・ピアノ1台分である。五段以上積むと箱がつぶれそうであった。また、一つ 5 kg 以上の箱を積み上げて宛名の確認をするのは大仕事であった。この一週間で肩の筋肉が鍛えられた。発送時、家の前で、車に積み込む方法を工夫していたところ、たまたまやってきた郵便局の軽トラックに載せてもらうことができ、手続きも簡単で助かった。

 それぞれの箱の中で、トランスが重いため、中で動くとケース(筺体)が凹む可能性がある。その防御を施した。配送中に変な落とし方をしなければ、無事届くだろう。実は当初は全アルミ製の筺体を考えていた。ところがある友人が、「アルミ製は弱い。配送中にも凹むだろうし、稼働中に地震か何かで物が落ちて来ると、致命的な被害を受ける。鉄板製にした方がいい。」と言うのである。それで下回りは加工のし易いアルミ製で、上は鉄板製にしたのだ。在庫があるのかと思いきや、受注生産らしく、少々待たされた。
  
 さて十分注意して箱詰めしたが、何かの欠落部品があればすぐに連絡を下さりたい。余分に入っていたものもご連絡を戴きたい。炭素棒の包みをお一方に余分に入れたことが分かっている。用意しておいた数が途中で一つ足りなくなったからである。
 それは宝くじの当りと同じである。返して戴く必要はないが、一応連絡をお願いする。受け取られたら、パッキング材の隙間も確認して戴きたい。細かいものが落ちているかもしれない。ゴムのグロメットはちぎれることもあるので、2つずつ入れた。

 炭素棒を取り付けるネジはM3ネジであるが、短いのが専門店にもなかった。取り寄せに時間が掛かるそうで、長いものを付けて見切り発車した。糸鋸で切って戴いて、首下を 3.5 mmにすると出っ張りが少なくなって使い易い。あるいは、ホロ・セット・スクリュウ(中に六角の穴があいている留めネジ。今回のつまみの留めネジに使ってある。)を使うと良いかもしれない。

 40台弱の発送というのは、個人の能力を上回ることが分かった。全て同じであれば楽なのだが、オプション部品もあるので、勘違いしやすい。何度も点検したが、今一つ怪しい点もある。
 最後にパッキング材を詰めるとき物を出すので、その時に落ちたものもありうる。最後に掃除をして落ちているものがないことは確認した。

 炭素棒は仙台の今野喜郎氏の御好意で戴いたものをお分けしている。消耗してきたときは、ご連絡戴きたい。電池の正極棒を取り出せばよいので簡単に手に入れることができる。
 炭素棒は先を削って円錐形にする。切り口のまま、断面積の大きな状態で接触させるとフューズが飛ぶ。またあまり長時間通電してもフューズが飛ぶ。かなり安全サイドに傾いている。もし、あまりフューズが飛んで気分が悪いという方は 3 A 以上のものにしても良いが、温度フューズも 10 A クラスにしないと面倒なことになる。
 近くのホームセンタでも99℃、10A用を一つ300円以下で売っていた。

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2011年12月13日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3171GOW_3174 これが手持ち電極である。ある程度力も掛かるので、ガタがあってはいけない。先端の挽き物部品との結合を確保するため、6 mmの軸にロレットを切り、圧入した。かなりの力を掛けて入れたので、外れないはずだ。
 
 電線は 3.5 mmsq のテフロン被覆電線である。テフロン被覆線はその被覆膜がとても薄いことが特徴である。ほとんど銅の心線だけの太さに近い。心線の一本一本がなるべく細く、曲がり易いものを選んだが、かなり硬い。机の上を這わせると、色々な物を弾き飛ばす可能性が高い。なるべく上から吊ってやるのが望ましい。 

 筆者は手持ち電極に塩化ビニル被覆電線を長らく使ってきたが、ときどき熱くなるので被覆が劣化し、硬くなってきた。いずれパリパリと割れて来るのが目に見えている。
 テフロンならば、おそらく我々の孫の代まで無事に使用できるだろう。圧着端子を接続するときに末端の被覆を剥くのだが、その時被覆がつるりと外れるのは面白い。摩擦係数が極端に小さく滑りやすいからだ。ワイヤ・ストリッパが調子よく働く。

GOW_30673067改 パネルのターミナル位置はもう少し中心に近く寄せると良いかもしれない。この写真でお分かりのように端子がケースの端に接触しうる位置にあるからだ。回転させても、絶対に接触しない位置が望ましい。端子を少し折り曲げてケースに触らないようにするというのも手だ。
 あるいは、一つの案として左右にターミナルを分けるという手もある。仮に作図してみた。見苦しい切り貼り写真で申し訳ない。これは右利き用という前提である。

 アース板に接続する端子は4 mm のネジが通るものを用意した。また、一部の方にお送りするアース板には、ネジを切ってボルトをすぐ挿せるようにしたものもある。不要であれば、そこに皿穴を彫って木ネジで留めて戴きたい。

 今回の頒布に際して、過去20年の経験をもとに改良点をすべて盛り込んだ。また、材料は手に入る最高のものを使用したので、十分に長期間安定した作動を望むことができるはずだ。価格が当初予定したよりもかなり高くなってしまったが、その分品質が向上している。

 炭素棒は折って使うものなのである程度の長さにしてお送りしている。そうしないとお送りするのがとても難しい。

 明日、発送の手順を整えている。

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2011年12月11日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3158 ヤスリの柄に斜めに穴をあけ、電線を通した。軟鋼棒にはローレットを切って、柄に耐熱接着剤で取り付けてある。接触面積が格段に大きくなるので抜けることはないものと思う。ブラスの挽き物にもローレットを切って圧入した。
 この写真は タップでネジを切っているところである。この道具はずいぶん以前に買ったものである。タップを折ることなく、全て垂直に立てられるところが良い。六角のカートリッジに、タップをはめて使う。この六角棒を量産していくつかのサイズのタップに付けてある。

GOW_3173 電線の先は圧着端子を専用工具で締めたので、導通は確保される。電源側には 8 mmの穴の開いたものを用いたので、接触抵抗は小さい。使用時にはよく締まっているかを確認する。これが緩いと発熱することになる。

 使い方の骨(コツ)は、とにかく接触させてからの通電ということだけである。スウィッチを踏んでから接触させるとアークが飛んでブラスに穴があく。
 アーク(火花)は数千℃もあり、一瞬でブラスに穴があく。貫通しなくても凹みができる。穴や凹みの修正は難しいから、事前の予防が大切である。

 足踏みスウィッチを細かく踏む練習をされると良い。毎秒3回くらい踏めれば、熱量コントロールは容易である。この時カツカツと、かなりやかましいので、ペダルの内側の当たる処にゴムかフェルトまたは皮を貼ると良い。筆者は、家具の脚に貼って床にキズが付くのを防ぐものを使った。

GOW_3161 足踏みスウィッチが滑ると不愉快なので、各種の足踏みスイッチを一枚の厚板に付けたものを作ってある。左から、ハンダ付け、歯科用エンジン、ドレメル・フレクシブル・シャフトである。全て形が異なるので間違えることはない。

 作業台は、飛行機のコックピットのようにあるべきだろう。手の動線を考え、工具の配置を決める。天井から下がったもの、壁の棚、机の抽斗(ひきだし)、足踏みペダルなどが交錯している。
 趣味とは言え、時間は貴重である。短時間に仕事が始められ、終わるということは大切だ。

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2011年12月09日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

 ハンダ付けのコツは、コテの持ち方にあるということはずいぶん以前に書いた。ここでもそれを強調しておきたい。
炭素棒ハンダ付けの設置場所 肘を付ける場所を確保されると良い。再掲したこの図でも、それを強調している。ブラス板を少し奥に取り付けると、肘のスペイスができる。そんなスペイスがないときには、右利きの場合、作業台の左手前の端に付けると、右肘をその脇に置ける。この肘を付ける方法はプロの方法で、長時間でも肩が凝らない。また力が入るので、ハンダを確実に行き渡らせることができる。チョイ付けしてあとでポロリ、では悲しい。この方法なら、全面にハンダが廻り、側面からきらりと光るような付け方が簡単にできる。

 これを実現するにはハンダの量の微妙なコントロールが必要である。なるべく細い糸ハンダか、ハンダの散弾を用意する必要がある。ヤニの入っていない細い糸ハンダは入手しにくい。筆者はアメリカ製の0.8 mm 径を使っているが、ハンダは重いので、取り寄せると送料ばかりかさんでしまうだろう。
 鉛の散弾を作る要領で、ハンダの散弾を容易に作れる。量の目安が簡単に分かるように、この小さな粒を並べておき、加熱するのだ。
 大きなタライに水を張り、その上で紅茶の茶漉しに、融かしたハンダを注ぐ。熱いので気をつけなければならないが、茶漉しを振る速度で大きさが決まる。網が余り細かいと、うまくいかない。場合によっては網に適当な方法で穴を開けておくことも必要だろう。網から水面まで落ちる時間内に、ハンダが表面張力で丸くなるから、あまり水面が近くても良くない。25〜30 cm くらいの距離が適当である。
 この作業を家の中でやると、飛び散って床や家具に被害を与える可能性が高い。庭先でやるのが無難である。ハンダを注ぐ人と網を振る人が別人だとうまくいかない。一人でやるべきだろう。筆者は鉄瓶の古いものでハンダを融かし、注ぎ入れる。アルミのヤカンでもよほど強く加熱しなければ融ける心配はないが、中をよく見てハンダが融けるのを確認して、火を弱めた方が良い。アルミニウムの融点は650 ℃以上で、融かす温度は200 ℃ほどだから十分余裕があるはずだ。

 ブラスの敷板を半数以上の方が発注された。たくさんあったはずの 2 mm厚の板が一挙に無くなってしまった。お送りするものはどれも微妙に寸法が違う。板取りの関係で同じにはできなかった。2.6 mm厚、3.0 mm厚ならまだ多少はあるが、切るのが結構大変である。大型のジグソウで切っている。一部は丸鋸でも切ったが、喰い込み易くて、危ない。
 切り方は多少雑で、完全な直線ではないかもしれない。当然、直角が出ているかは怪しい。各自仕上げて戴きたい。

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2011年12月07日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

Sworf 手持ち電極の挽き物を作っているところだ。この部品はそれほど精度の要るものではないので、気楽に作った。全てのものが同じ規格で出来ているわけではないことをご了承願いたい。一部のキットには以前に作っておいたものも含めた。
 筆者は12個以上同一のものを作ったことがないので、今度の量産は初めての経験である。手順を決めて、手間が最小になるようにした。
 炭素棒が 5 mm径であるとうっかり信じていたが、はめてみるとはまらない。 5.1 mmの穴を開け直した。最初に寸法に当たらなかったのは、大失敗であった。
 少々深い穴にしたので最初は深く取り付けて、先が減ったら少しずつ送りだせば良い。場合によっては内部に5 mm径のブラスの丸棒を入れて押し込まれないようにするのが良いかもしれない。

 握りはヤスリの握りで良いものがあったのでそれを発注した。たくさん買う人は珍しいらしく、取り寄せには時間が掛かった。先端と握りとをつなぐロッドは 6 mmの軟鋼棒である。そう簡単には曲がらない。錆びるといけないので、塗料を塗っておくべきだろう。耐熱塗料が良いが、せいぜい 200 ℃であるからそれほど心配することもない。

炭素棒ハンダ付けの設置場所 電線の長さを決めるのにはずいぶん苦労した。取り廻しを考えると、この図のような方法がベストである。電線は太いので意外と剛性が高く、机の上に置くと物を弾き飛ばす可能性がある。天井からバネかゴムで吊るのが良いだろうと思う。 ハンダゴテではないので熱容量が小さく、すぐ冷める。したがって、上から吊ってもやけどする可能性は低いだろう。ただ、ぶらぶらすると気になるので、差し込んでおける物があると良いかもしれない。

GOW_3152 この写真は筆者の作業台の奥の目の高さに、斜めに取り付けた差し込みホルダである。15 mm のパイプを使っている。支持は 3 mm の角棒を曲げてハンダ付けしたものである。上記のように、熱容量が小さいので、ハンダ付けしたものでも十分である。
 斜めに取り付けてあるので使いやすいはずだが、入口が狭いのでやや入りにくい。今度は円錐型のガイドを付けてみるつもりだ。

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2011年12月05日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

Clamping for keeping it cool 温度フューズはこの小さいブラス板の上に載っている。耐熱性の
Super X”で貼り付けてある。黒い物を用いたが、少々はみ出してしまった。
 念のために、ナイロンの結束材で軽く縛る。あまり強く縛ると、断線する可能性があるので注意する。

 磁気回路の外であるからほとんど問題ないが、一応影響が最小になるように、トランスの巻線から90度ひねった形にした。
 この部品のハンダ付けは注意を要する。温度フューズのハンダ付けは、大きなプライヤではさんで熱を逃がしながら付ける。熱がフューズの中に流れ込まないようにするためだ。そうしないと一瞬で熔断する。

 熱収縮チューブの加熱はハンダコテで行う。ガスバーナを使うと失敗する。この時は、水を含ませたティッシュでくるんで、フューズを冷やしておく。作業が終わったら直ちに導通を確認する必要がある。水があれば、大気圧下では100℃以下に保たれるはずである。

GOW_3143GOW_3146 配線はラグに絡めてから、ハンダ付けする。銅線の表面がハンダでつるつるになるのを確認してコテを離す。共晶ハンダでなければ、表面の艶が消えて固まるだろう。それが正しい姿だ。ハンダはヤニ入りの電気回路用の物を用いる。端子をよく磨けば簡単にハンダ付けできる。塩化亜鉛水溶液を用いてはいけない

 同じ方向の電線はナイロンの結束材で縛る。ナイロンは200℃に耐える材料である。

 配線に要する時間は30分以下であろう。
 
 キットを申し込まれた方には、通知の往復葉書を発送した。必要事項を記入して返送されたい。


 近所の友人がすでに組み立てて使用感を伝えてきた。「フューズが飛びすぎる。」というものだ。「 5Aのものがあったので、それに取り換えたら問題はない。」そうだ。
 この使い方で火事になることはないが、いずれ温度フューズが飛んで面倒なことになる。お近くのホームセンタなどで 5 A の管フューズ 10 A 型の温度フューズを買い求められたい。温度は厳密なものではないので 100 ℃から 120 ℃であればよいと思う。


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2011年12月03日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

炭素棒ハンダ付け電源回路図 これが全回路図である。あまりにも簡単で拍子抜けしそうである。この図の表現はやや古いかもしれない。筆者は専門家ではないので、最近の表示法をよく知らない。昔の知識である。


 Capacitorは日本では「サージキラー」と呼ばれている物を採用した。その2本の端子には長短があるが、交流負荷なのでどちらでも良い。コイル(誘導負荷)がつながっている回路の電流を断続すると、高電圧が発生し、電波障害をはじめとする様々な障害を引き起こす。場合によってはスイッチの接点が焼損する。これを付けておくと、ほとんどの問題が解決する。付ける場所はいくつかの候補があるが、電気屋さんのお勧めの場所に取り付けた。これは経験上の知識で、電線の長短のファクタがあり、完全な理屈付けは難しいとのこと。

 Thermal Fuseは温度フューズのことで118℃で熔断することになっている。巻線は120℃に耐えるそうであるから、これでまず火事になることはなさそうだ。

 Monitor Lampはロータリィ・スウィッチが出力する位置にあって、なおかつ、足踏みスウィッチを踏んだ時だけしか点灯しない。点灯中、すなわち、出力中である。
 この電源を使用しないときは、ロータリィ・スウィッチをOFFの位置にする。そうすれば、何かの間違いで足踏みスウィッチが押されても安全である。モニタ・ランプ(パイロット・ランプ)の回路は、他と比べて細い電線を用いた。

 全ての部品は信頼性ある日本製を吟味して用いている。長く使えるものと思う。

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2011年12月01日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3067 出力電圧は一次線タップ切替で変化させる。入力100Vのタップが最低出力になる。
 90Vのタップにすると、入力に111Vをつないだことになり、抵抗負荷であるから出力は、
1.11×1.11=1.23倍になる。
また、82Vでは 一次線に122Vを掛けたのと同じで、
1.22×1.22=1.49倍になる。すなわち、出力は、大体4:5:6となる。

 過去に電圧を色々と変えて実験をした。使いやすい電圧を調べた結果、この電圧設定とした。ワークの大きさや炭素棒の太さにもよるので、試して戴いて、最良の動作点を求められたい。
 しかし実のところは、電圧よりも足踏みスウィッチの踏み加減で決まるところが大きい

 パネル上で一番左がOFF、次いでトランスの100 V タップ、90 V タップ、82 V タップへと順次接続する。このロータリィ・スウィッチは電流容量は大きくないが、一次側なので問題ない。接点を押し開くように回転子が動く、セルフ・クリーニング型を用いたので、多少の埃があっても大丈夫である。
 パネルには、これの取り付け用の穴が二つ必要である。一つは廻り止めである。その付属の金具を差し込むためには 3 mm の穴が必要である。この写真では、説明のため、仮に印をつけて示している。実際にはもう少し、奇麗に仕上げる予定である。表示は0,1,2,3とすると良いだろう。
 
 つまみは廻しやすい大型にした。歳をとると、小さいつまみでは廻しにくいことに気が付いたからだ。このつまみは高価な品である。このような部品は見かけが大切らしく、キズが付かないように包装してきた。一つずつ接触しないように特別な包装だった。
 このつまみを固定するには 2.0mm の六角レンチが必要である。

 出力ターミナルは大きい 30 A 用の端子を用意した。これが意外と高価で驚いた。裏に薄い板でできたラグ板があるが、電流を考えるととても厚みが足らない。1 mm のブラス板を張り重ねた。電線との接続部分を厚くすることが大切である。二次回路は電流が大きいので、全ての回路で電流の隘路が無くなるようにせねばならない
 接触抵抗は意外と大きいものである。例えば、ワニ口クリップは接触面積が少ないので、使うのは避けたい。どうしても使うのであれば、複数を並列で使いたい。

 トランスの二次線とこのターミナルを結ぶ線は太いほうがよい。筆者は転がっていた太い撚り線を用いた。支給する青い電線を3本まとめて使うという手もある。末端を撚り合わせて、完全にハンダ付けする。こういう方法はプロはやらない。何かの間違いで1本でも断線すると、他が過負荷になり、事故を誘発するからだ。それを承知の上で採用されたい。
 あるいは被覆を剥き、中身を取り出して3本分撚り合わせ、末端を 1 mm のブラスで作ったラグにハンダ付けしたのち、全体を熱収縮チューブで被覆すれば完璧である。

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2011年11月29日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3065GOW_3064 足踏みスウィッチの電線を本体に差し込む部分である。不意にこれが抜けたりするとずいぶんいらいらするので、ネジ込みの抜け止めが付いているタイプにした。意外に高価であった。

 ゴムのグロメットを介する固定式にしても良かったのだが、外せると便利なこともあるので、この部品を使った。足踏みスウィッチには滑りにくい材料の底板を付けると、安定である

 材料が硬く、もろいので、締めるときは注意されたい。あまり強くネジを締めると割れる恐れがある。接着剤を補助に使って、軽く締める。作業机の後ろから電線を垂らし、それが足踏スウィッチに至るので、レセプタクルは後ろに付けた。当初作った時は、前面にこれを付けたので電線の取り回しが不便であった。

 プラグに電線をハンダ付けをする前に構造をよく理解し、通すべき部品を電線に通してから作業を開始する。さもないと部品があとからでは通らないということになる。ハンダ付けしてからねじ込んで組み立て、電線の抜け止めを締めると完成である。

 100Vの電源コードはゴムのグロメットを介して通し、パネルの裏側で縛った。電流が小さいので問題ない。フューズケースにハンダ付けをするときは、管フューズを抜いてから行わないと、何かの間違いで熱が伝わって断線することがある。筆者には過去に苦い経験があるから、ご注意願いたい。

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2011年11月27日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3060 この写真を再掲する。この黒いバンドは耐熱性のあるナイロンの結束材で、温度フューズを取りつけるものである。長いものの在庫がないので、短いもの2本を供給する。つないで使用することをお許し戴きたい。


GOW_3062GOW_3061GOW_3063 足踏みスウィッチである。コードを長くされたい方は、このように改造する。付属の電線は 1m で やや短い。1.5m の線を用意したので、それと取り換えることができる。アメリカで市販されている炭素棒ハンダ付け電源に付属している物より、はるかに丈夫なものを選択した。この部分が最も激しく動かされるからである。高価であるが投資効果はある。100万回の動作に耐えるらしい。

 裏のネジを一本緩める。これは外さなくても良い。シャフトを押し出して分解する。ペダル部分を押さえて、何か細いものでシャフトを押すのだ。この時、うっかりするとコイルバネが飛び出す惧れがあるので、新聞紙を1枚かぶせて抜くとよいだろう。飛んでも新聞紙で引っ掛かる。

 開けるとこのようになっているので、スウィッチを外し、赤の線を切断する。白と黒の線を付けているハンダをはがす。そこに供給した電線の外側の被覆を剥いたものを通し、さらに内部の線の被覆を剥く。ハンダ付けは容易だ。踏んだ時、白と黒が導通するかを確認しておく。

 コードの抜け防止の金具を付けて、元のように組み立てる。この時、内部にゴムあるいはフェルトを貼るとガチャガチャという音が小さくなる。これは個人の好みにあわせて貼り付けられたい。シャフトには少量のグリスを塗ると長もちするだろう。
 
 ここまでの標準的な時間は30分くらいである。

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2011年11月25日

炭素棒ハンダ付け電源の組立 

GOW_3057GOW_3058 全ての部品が届く前に、見本として来ていた部品を組み立ててみることにした。写真を撮りながら作れば、組み立て説明書になるわけだ。


 まず全体の配置を決める。今回は全体の大きさを小さくすることを目標にしていたので、トランスの取り付けを90度倒すことにした。すると床板に取り付けるためのスティが必要となる。適当なアルミ合金製アングルを拾っておいたので、それを切って取り付けた。アルミ合金でなくてもブラスの小片でも良い。トランスのフレイムのネジにはM4の雌ネジが立っているが、3mmを使ってのナット締めでもよいだろう。トランスを倒すことによって後面のパネルの剛性が増し、足踏みスウィッチのプラグの抜き差しが楽になったのは儲けものであった。

 パネルはアルミニウムなので工作は実に容易だ。しかし、ドリル等が食い込む惧れがあるので、注意する。小さい穴を開けてそれをヤスリで広げるのが簡単だろう。普通の人は19mmのドリルなど持っていないだろうから。
 ヤスリはすぐ目詰まりするので、丹念にヤスリ粉を取り除くとよく切れる

GOW_3059GOW_3060 部品の配置は過去の例を参考に、より操作が簡単になるように、電線の取り廻しが楽になるようにと工夫した。皆さんの工作机の配置に合わせて、適当なアレンジをされたい。

 足踏みスウィッチの取り出し口は後ろにし、また、そのコードの長さを1.5mとした。これがある程度長いと、配置の自由度が上がる。

 ここまでの標準組み立て時間は、配置検討30分、ケガキ30分、穴開け1時間、部品取り付け30分というところだろう。後述するが、トランスの配線だけは事前に済ませないと、あとからではネジが締まらない。

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2011年11月15日

炭素棒ハンダ付け装置のその後

 近所の電気屋の社長から連絡があって、11月26日に全ての部品を納品できると言ってきた。請求書は来ていないので、単価がまだ決まらない。

 たぶん12月の第一週には発送ができると思う。
 申込者にはそれまでに往復はがきをお送りするので、承諾書に署名捺印して返送願いたい。

 変圧器は11月4日に納品されている。1台2.9kgある。玄関脇に一山あるがこれだけで100kg以上である。動かすのも億劫で納品されてから手を触れていない。

変圧器 耐熱電線 写真を撮ったのでお見せする。電線はテフロン被覆電線で、とても高価である。現在使用中のものは熱で徐々に劣化してきたので、これだけは採用したかった。要するに、ワーク(工作物)の周りは耐熱電線を使うべきなのである。アース線より、手持ち電極の方を長く切った。同じ長さでは使いにくい。これは、筆者の経験に基づいた長さとした。あまり長いと損失が大きくなる。

 炭素棒を取りつける手持ち電極は、今週末に完成させる。現在、心棒となる6mmの鉄棒を切断し、ロレットを切った。発生した熱は大半がワークの方に伝わるが、一部は手元に伝わってくる。それを少しでも伝えにくくするために鉄の棒を使った。細くするとよいのだが曲がるので、経験上6mmが必要であった。
 
 先端のブラス挽き物は久し振りの量産で、手際良くできるように段どりした。
 炭素棒が5mm径であり、それを3mmのネジで留める。締めすぎると割れるので、軽く締める。炭素(グラファイト)は、圧力を掛けると流動する性質があるので、ぴったりの穴に入れてゆっくりネジを締めると、多少塑性変形してよく締まる。



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2011年11月03日

続 工具立て

DSC_2890 コメントを戴いた。その方法もやっていないわけではない。
 クラブ員のY氏から提供された医療用のステンレス容器である。これの縁はやや開いていて工具を取り易い。しかし向こう側にあると取りにくいから、回転すると具合が良い。

 ボールベアリングがいくつかあるので、これを廻すための台を作ろうと思う。簡単な工作である。内径30ミリ外形55ミリのボールベアリングが適する。ただ手で触って廻ればよいので工作は手抜きでよいのだ。

 
 炭素棒ハンダ付け機の進捗状況を報告する。
 昨日トランス屋から連絡があり、4日に納品される。1台 3 kg もある。
 ケースその他は近々納品されるだろう。2、3週間のうちに、注文された方には往復はがきをお送りするので、承諾書に署名捺印して送り返して戴きたい。
 金額がそれまでに決まれば、送金の方法も指定させて戴く。

 部品がそろった状態で、1台試作してみて、その写真をUPするので、それを御覧になって組立てられたい。ケースの穴開けが面倒だが、それ以外は容易である。
 炭素棒につなぐケーブルだけは耐熱のテフロン線を用意したのでそれを使われたい。圧着端子を締めて出荷する。また炭素棒を取り付ける部分は、組み立て済みにするつもりである。今その工作で忙しい。

 敷板を注文された方には、2mm板から切り出して用意したが、寸法は多少の誤差があるし、直角が出ていない可能性もある。気になる方は縁を削って戴きたい。 
 特殊寸法を頼まれた方は、材料調達の関係で長さ方向はご希望通りだが、幅は微妙に足りないものもある。どうしてもその寸法でなければならないという方は、再度ご連絡戴きたい。なるべくご要望にはお応えしたいが、新たに定尺板を購入することは避けたい。

 敷板は、車輌全体を載せてハンダ付けしなければならないというものではないので、寸法はあまり気にならないというのが筆者の経験から言えることである。Oゲ−ジ車輌を、 20cm角板の上に置いて作業しても、何も問題はない。

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2011年09月30日

炭素棒ハンダ付け装置のその後

 ようやく見積もりが上がってきて、価格交渉の最中である。当初は1万円を切る価格でと思っていたが、とてもそれでは収まりそうにない。トランスは二次線まで巻かない状態で納品ということはできないと言う。トランスの外形が大きくなったので、ケースも大きくなり、それが意外に高い。
 5V 20A の定格なので短時間なら30A程度流れても問題ない。1次タップを4段に切り替えるのでそのロータリィ・スウィッチが必要で、足踏みスイッチもある程度の高級品を使わないと踏む頻度が高く、壊れてしまう。
 出力端子も30Aに耐えるものを使用することにした。圧着端子で8φ用のを使うと、耐久性がある。

 トランスの二次巻線をテフロン線で細く仕上げようと思っていたが、十分な余裕があるので普通仕様の線を使うことにした。出力端子から先はテフロン線を使いたいところだが、1m当たり259円もする。これは電線問屋の社長にかなり安くしてもらっている。普通は350円を軽く超える。しかし100m巻きしか売ってくれないので、余ってしまうのは困るのだ。

 ざっとであるが、今のところの積算金額は1万6000円弱である(ブラスの敷板は別途)。こんな価格では辞退したいという方は早めにお知らせ願いたい。
 これには炭素棒を保持する部材も含まれている。それは筆者が材料を加工中である。ブラスの丸棒を旋盤で切って穿孔し、ネジを切った。
 握りはヤスリの柄にちょうど良い大きさのものがあるので、その中を電線が貫通するようにした。圧着端子の締具を持っていない人が多いはずなので納品時に、それだけは締めて差し上げたい。

 PL法の適用外になることを承諾して戴く必要があり、それを念押しされている。事前に承諾書に署名して戴く必要があるので、2台申し込まれた方は、使用予定者の住所とお名前をお知らせ願いたい。文案は準備中である。

 使用する炭素棒は5mm径のもので、仙台の今野氏からの御提供である。筆者のプロジェクトに賛同されて無償で提供戴いた。感謝している。

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2011年09月06日

続 フラックスの役目

 塩化亜鉛飽和水溶液の沸点は極端に高い。薄くても加熱によって水が蒸発するから、飽和溶液になる。この時、沸点は300℃を越える。これは、化学実験で反応容器を高温に保つ時の熱媒体としても使われた歴史があるくらいなのである。もちろん、その中では多少の加水分解が進み、塩酸が生じ、それが銅などの酸化物を溶かす。
 すなわち金属容器は溶ける可能性があるから、ガラス容器中で実験を行うというのは常識である。
 
 ハンダ付けの最中は300℃ほどであろうから、その加熱時間中に母材表面がきれいになるというわけである。
 昔から建築板金職人は塩酸を使っている。人により、その中にトタン板の切れ端を放り込み、表面の亜鉛を溶かす人もいた。要するに塩化亜鉛と塩酸の混合溶液である。この時、地金の鉄板はイオン化傾向の差で溶けない。そうして作った液を、竹の串で相手に塗りつける。竹の串は先を潰して細かく裂き、液が保持されるようになっている。

祖父江氏の塩酸入れ 祖父江氏は希塩酸を湯のみに入れ、それが倒れないようにブラス板で作った支えを付けていた。やはり竹串を使うのだが、節を利用して上まで塩酸が滲みて来ないようにしていたのが興味深い。

 日本ではあまり採用例がないが、塩酸から生じる塩で熱分解しやすいものなら何でもよく、塩化アンモニウムでも良い。これは200℃くらいで分解して塩酸とアンモニアになる。アンモニアは多少臭いが、分子量が小さいのですぐ拡散するし、どこにでも多少はある物質なのでさほど気にならない。残る塩酸は酸化物を溶かす。

 いわゆるペーストの中には酸性ペーストもあって、塩化亜鉛、塩化アンモニウムを大量に含む。それでは普通のペーストでは何が働いているのであろうか。松脂の中にはいくつかの有機酸が含まれ、融けた状態ではそれが酸化被膜を溶かす。獣脂は加熱によって分解し、グリセリンと脂肪酸になる。脂肪酸も弱いながら多少の溶解力を持つ。

 大気中に酸素がなければ、一度磨いた金属は錆びないから、フラックスなしでハンダ付けできる。伊藤剛氏がクラブ内での会報に興味深い漫画を描かれた。宇宙服を着て、月面で機関車のハンダ付けをしている絵だ。
「何もここまで来てやることもないだろうに…」とつぶやく同僚飛行士を尻目に楽しんでいる誰かさん。

 一度使ってみたいのは、超音波を発するコテである。それを母材に当てると、酸化被膜が壊れて母材が露出する。すなわちフラックスなしでハンダ付けが完璧にできる。どこかの研究室が捨てるときが来れば、声を掛けてくれるよう頼んである。難しそうだ。

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2011年09月04日

フラックスの役目

 帰国して3日目だが時差調整が、なかなかできない。どうしても朝早く目が覚め、夕方から眠い。以前は2日で何とかなった。これも老化の一つの形なのであろう。
 炭素棒ハンダ付け装置はたくさんの申し込みを戴いたので、電気屋の社長にも頼み易くなった。これで申込は締め切らせて戴く。

 留守中に戴いたコメントに興味深いものがあった。アース板に鉄板を使うというものだ。これは一理ある。鉄の電気伝導度は比較的大きく、厚い板でしかも距離が近いから、電気伝導性ということでは全く問題ない。磁石が付くからそれで押さえるのは良い考えかもしれない。問題は錆びである。
 
 日本の模型人でブラスのハンダ付けにいわゆる油性ペーストを用いる人はほとんどいないだろう。筆者はたまに使うが、塩化亜鉛水溶液の方が楽である。接合部をあまり磨かなくても必ず付くからだ。すなわち、塩化亜鉛は表面の酸化被膜を溶かす力がある。塩化亜鉛の水溶液は酸性が強く、金属酸化物を溶かし金属面を露出させる。そこに融けたハンダがその表面をぬらし、金属結合を形成する。ペーストは磨いた母材金属面を覆い、酸化されないようにするのが主目的で、積極的に酸化被膜を取り除くわけではない。
 日本では松脂を使うことが多いが、昔、他国では獣脂を使うこともあった。すなわち、油気を取らねばならないというのは説得力がない説明であり、むしろ良く磨くべきというべきである。

 さて、鉄でも油性ペーストでハンダ付けができるが、かなりきれいに磨かないと付きにくい。塩化亜鉛であれば、一瞬でハンダが母材をぬらして滲み込むのが観察される。塩化亜鉛は鉄の表面も溶かしているのである。

 「鉄は錆びにくい金属である」と書くと、正気を疑われそうであるが、事実である。磨かれた鉄の表面には水を含んだ酸化被膜(不動態膜)が形成され、そう簡単には錆びない。現実には大気中の硫黄酸化物、海塩の微粒子などが結合し、その酸化被膜を破るので錆びが進行する。
 例えばこのような実験が可能である。鉄板を磨き、机の引き出しなどに入れて十日ほど待つ。たぶん錆びていない。その一部に塩化亜鉛水溶液を付け、5分経ったら、水で洗い落とす。乾燥してから、また引き出しに入れ、十日ほど経ってから観察する。
 不思議なことに塩化亜鉛水溶液が付着したところだけ、錆びが発生する。塩化物イオンが不動態膜を壊したのである。全体をよく磨けばまた錆びにくくなる。ハンダ付けの時に押さえに使うペンチなどは、いくら洗っても赤さびが発生するのはこのせいである。
 筆者は高級な鋼製工具はハンダ付けの現場周辺には置かない。押さえには、某国製の安物しか使わない。また、発生する煙霧(fume)は全て強制的にフィルタでろ過する。塩化物イオンを含む霧が拡散すると、機械、レイル、車輌、配線が腐食されるということである。

 要するに塩化亜鉛を使うハンダ付けを常套手段としているアマチュアは敷板として鉄板を使うことは避けるべきである。毎日多量のハンダ付けを行うプロであるなら、錆びる暇がないだろうから、それはそれで価値があるかもしれない。亜鉛めっきした鉄板は錆びにくいが、いずれ亜鉛が擦り減るので同じことである。

 アルミ板を敷板にするのはどうかという質問もあった。利点としてはハンダが付かないということであるが、厚いブラス板は、熱容量が極端に大きく、そう簡単にはハンダが流れることがない。そこまで加熱すると、ワーク(工作の対象物)がばらばらになるであろう。また、アルミ板の表面は透明な酸化被膜で覆われていて、電気伝導性が良いとは言えない瞬間がある。その時火花が散って、ワークにキズが付くこともあるだろう。

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2011年08月24日

Carbon Rod Soldering Kit

 テキサスに来ている。
 またもデニスの家で、24時間汽車漬けの生活をしている。ロストワックスの新しいプロジェクトもあり、ここまで出掛けて来たのだ。
 明日の朝から鋳造を開始するので、彼らは早く寝た。こちらは時差ぼけが直らず、仕方なくメイルの返事を書いたりしていたが、どうもメイルアカウントの問題があってうまく送れない。

 ハンダ付け機には、予想外にたくさんの申し込みを戴いているが、個別の返事が出来ないので、ここで勘弁して戴きたい。
 最低20台がクリアされたので、確実に頒布が可能になる。価格が全く決まらない中で、よくぞ申し込んで戴いたと感謝している。利益をまったく考えていないので、売れ残ると邪魔になると思ったが、それだけは回避できそうである。
 
 ある方から質問があった。
「利益なしの頒布をするのはどうしてですか?」
 答は簡単で、この方法を広めたいからである。金を払っても、やりたいくらいなのである。これは椙山満氏の仕込みであろうか。
 どうしてこの方法が今まで広がらなかったのかが問題である。真価を知らない人がその普及を妨げてきたのである。それは積極的な妨害ではなかったろうが、消極的な妨げであったと思う。
「どうせたいしたことはない。」とか「危ないのではないか。」という思い込みが大きいのであろう。
 実にうまくいくのである。ぜひともやってみて欲しい。そしてその感想をあちこちで発表して欲しい。きっと、たくさんの方が使われるようになる。そうすれば、「ハンダ付けをするブラス模型が高級だ。」ということにはならない。
 すると、たくさんの方がブラス模型の製作に参入するようになるだろうというのが、筆者の目論見である。筆者は、所属クラブ内で旋盤の部品の輸入をしている。原価奉仕でしかもアメリカから自分で持ち帰る。どうかしているのではないかとも思われるが、筆者の使っている便利な工具を使って工作をして欲しいからである。一人だけで使って、「いいだろう」と自慢しても仕方がないからである。過去にそういう人を見たことがあるから、それだけはしたくないのだ。

 今回頒布するものは、一次巻線つきトランスコア、二次巻線材料、大電流の電気継手、二次コード、一次タップ切り替えスイッチ、そのつまみ、ケース、足踏みスウィッチ、一次コード、炭素棒、その取り付け棒、握りなどである。
 厚いブラスの敷板はオプションである。切り出してお分けする。HOの方が多いので180×150ミリくらいを考えているが、大きなものが欲しいときにはその旨お伝え願いたい。

 9月初頭に帰国するので、それまで連絡が付かないがお許し願いたい。コメントは許可制になっているので、<私信>として送ってくだされば、お受けする。対外的には発表されない。また、個人情報は漏らさない。

 過去に申し込まれた方で、連絡先住所、郵便番号、固定電話番号、メイルアドレス、御本名をお伝え戴いてない方は、再度お知らせ願いたい。

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2011年08月18日

Carbon Rod Soldering 

 炭素棒を使うハンダ付け機の簡易キットの予約を受けている。価格が決まらない段階での予約は難しいが、一万円を切る価格に出来るはずだと考えている。アースにするブラス板は別売である。

 この道具を使った事のある人は日本では少ないはずで、どんなものか不安もあるだろう。出力を加減するのは足踏みスイッチであることが分かれば、失敗も減るだろうし、うまくハンダ付けすることができる。

 自動車関連の方がドミニカに視察に行ったときに、この炭素棒ハンダ付けを見た記事があった。太い電線に端子を付けるときに炭素棒で付けていたのを見たのだ。
 大きなハンダゴテがないのではないか、という推測が載っていたのには驚いた。太い電線にハンダ付けをする必要があるなら、この方法がベストである。(圧着端子を使うのが筋であるがそれが使えない状況なのだろう。)

 アースのブラス板にハンダが付いてしまうことを心配されるメイルも戴いたが、被着物の熱容量に比べはるかに大きいので、アース板の上でハンダが融けてくっついてしまうことは、まずない。そのためにも厚い板を使うのである。1mm板ではくっついてしまう。 

 このハンダ付け機を希望される方はコメントに<私信>として連絡先等お知らせ願いたい。




           ≪明日よりしばらくテキサス方面に行くので、休載します。≫

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2011年07月25日

続々々 糸鋸の達人

14091408 過給機はカットモデルも作った。そのタービン翼の曲がり具合が一定であるのには驚く。これらも全てプレスで曲げ、翼面の断面も本物通りに削ってある。横に置いてあるモータは、当時のOゲージ用モータであるから相対的な大きさがお分かりであろう。 このエンジンは2サイクルエンジンであり、排気と吸気を同時に行うためこのようなタービンが必要であった。EMDのUni-Flowエンジンと似ていて、排気弁があるはずである。このエンジンは当時世界最大の出力を持つエンジンであった。
 右の写真は若かりし頃の伊藤英男氏である。30代であろう。このエンジンを作るのに数カ月を要したと仰る。

1409 31409 2 伊藤氏は全ての作業を、ブラスを材料とし、ネジ留めとハンダ付けのみで行った。のちに競業他社が現れ、半額に近い価格で請け負ったと言う。納品された時は良かったが、それが本国に運ばれて蓋を開けたら、ばらばらになっていたそうだ。その船舶模型の色々な造作は接着剤で付けてあったらしい。なお船体の板のハンダ付けがイモ付けであったのも大きな原因であろう。船の貨物室は暑いし、振動も大きい。熱膨張でひびが入り、振動で外れたというのが伊藤氏の推測である。

 その点、伊藤氏の作品は全て実直に作られ、力の掛かる部分はネジ止めしてハンダ付けしてあるから、接続部は他の部分より堅いくらいだ。支持台との接続部分はこれ以上ないと思われるほど強く作ってあり、多少の高さから落としても耐えられるようにしたと仰る。船一隻で大きさにもよるが、200kgほどである。ブラスの量は365×1200の板で、10cmの高さに相当する。

 
 仕事場には、いつも数cmほどの高さに各厚さのブラス板が積んであった。もちろん全て快削材である。快削材の良さは最近、コン氏により再発見され、仙台市内の「つばさ模型」で市販されるようになったそうである。これは全国の模型屋で売るべきである。筆者は伊藤英男氏と知り合ってから全て快削材を使用するようになった。切削速度が2倍になるし、仕上がりもよい。また表面が硬く、キズが付きにくい。

1328 快削材は、クロック板とも呼ばれるらしい。時計の歯車を作る板なのだ。硬くて曲がりにくく、細工がしやすいからだ。どうして日本の模型界にはこれが導入されなかったのかが不思議でならない。

dda40x at 07:25コメント(5) この記事をクリップ!
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