ハンダ付け

2020年07月04日

続 Kemtronの台車 

turned anchor bolt ボルスタ・アンカを快削ブラス材から削り出した。よく切れるバイトと高回転の出せる旋盤さえあれば、こんな楽しい作業はない。つるつるの丸棒である。ごく適当にゴムブッシュに相当する部分を表現して、それをハンダ付けするわけだ。

 大きなものに小さなものを付けるのは難しいことになっている。こういう時は炭素棒に限る。接合面にハンダめっきしておいて、位置決めして押さえ込む。つなぎ目に先を尖らせた炭素棒を当て、やや高めの電圧を短時間掛ける。先端がほんのり光るくらいでやめるのだ。ハンダがきらっと光って、滑らかな面が出現する。それでおしまいである。隙間なく、完全に付いている。この時のハンダはeutectic(共晶)であるべきだ。要するに液体と固体しかないのであるから、付いているか、付いていないか、のどちらかしかない。非常に簡単にできる。

 ハンダの性質について無関心な人は多い。特別に上手な方以外は、皆苦労されているはずだ。この際、炭素棒ハンダ付けとeutectic solder を導入されてはどうだろう。完璧なハンダ付けが可能になると、世の中が違って見えるようになるはずだ。  

 ともかく、部品の間違っていた台車はすべて満足に組み上がり、車体への取り付けができる状態になった。
 問題は、客車車体が一つ行くえ不明であることだ。かれこれ2年ほど行くえ不明である。困った。

 〔10年前の自宅レイアウトでの貨車行くえ不明事件〕
 それは思わぬことで解決した。自宅レイアウトの一番奥に点検用の 45 cm角の孔がある。その脇で発生した脱線事故で1輌だけが、どういうはずみか、転落したらしい。その下には毛布が畳んで置いてあって、そこに軟着陸したのだ。そこに2年ほど寝ていたようだ。破損無しで助かった。気が付いたのは、運転中にまたもや脱線事故があり、転落する場面を目撃したからだ。回収に行くと、枕を並べて寝ていた。偶然ではあるが、全くの無傷で助かった。

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2020年05月29日

Streamliner の組立て

painting (3) 簡単なジグに締め付け、箱状にハンダ付けする。角の部分の内側には 2 mm角線をハンダ付けし、衝突時に壊れにくいようにした。また内部には0.8 mm板で作ったアングルをしっかりハンダ付けし、握っても壊れない程度の強度を確保する。短い車体のものは、角を突き合わせてハンダ付けしただけのものもある。隙間が一定で完全にハンダが廻っていれば、突き合わせだけでもかなりの強度があることが分かった。(縦に木製床に落としても、被害なし)
 写真の状態で大体1 埃紊任△襦これは近年製造のもので、3段エッチングで窓が抜けていた。しかし窓の縁の角が甘いので、ヤスリで仕上げるべきである。エッチング製品は、板が焼き鈍してあるので多少軟らかく、強度が落ちているから、補強は不可欠である。その点、自作車は丈夫である。

 最初に組見本として、アメリカ人が組んだものを3輌ほど手に入れ、構造を観察してポイントを押さえた。アメリカにも腕の良い人は居る。素晴らしいものがあったので参考にした。
 しかし、常識的にはするべきでないことをやってしまった人も居る。内部に3/8インチ角(9.5 mm角)のムクの角棒(1本430 g)を、補強材として2本、さらに1/8インチ × 3/8インチの角棒を2本、ハンダ付けした人がいた。その重さには参った。補強材だけで、計算値1.1 kgもあったのだ。台車を付けると2.1 kgもある。ボールベアリング無しではとても走らなかったので、諦めて売りに出したのだろう。ただ、そのハンダ付けの腕だけは大したもので、その太い角棒が屋根にも側板にも完璧に付いていた。工業用の炭素棒によるハンダ付けであろう。クランプ式のものだ。両面に痕がある。

 キット以外に、スクラッチから作ったものが4輌出て来た。40年近く前の埋蔵金”属”である。ほとんど忘れていたものもあって、驚いた。昔作ったものは、今とは作風が異なる。生真面目にすべて手で作ってあるのには、我ながら感心した。糸鋸を大量に消費していた時代だ。少し手を入れて完成させた。

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2020年05月27日

UPの客車群を塗る

UP Streamliner 外出が制限されている。時間があるので、組んだまま放置されていた客車を塗り始めた。
 Union Pacific 鉄道の流線形客車群である。総ブラス製で、かなり重い。もともとは、Kemtronが作っていた厚さ0.63 mmのエッチング・キットであった。殆どの人は、買ったは良いが、組めずに放置していた。20年ほど前から、それが中古市場に適価で出始め、筆者は手あたり次第、買い占めた。一時期は40輌分ほどあったが、その後欲しがる人も居て、譲り渡して半分になった。右の2輌は、参考品として塗装済のものを購入したもので、色合いが異なる。

 キットは板だけなので、まず窓抜きをせねばならない。これは当初、糸鋸で抜いた時期もあったが、その後縦フライスになった。ヤスリ掛けは不可欠で、たくさんのヤスリを消費し、ヤスリ粉は牛乳パックに2杯も貯まった。屋根曲げは、ある程度は折曲げ機で曲げ、その後の修整はこの丸アンヴィルを使った。非常にうまくできる。屋根板は0.55 mmのものもある。

 屋根と側板は隙間なくつなぐ。これには、Kemtron社自体が公表していたノウハウがあって、その通りにすればかなりうまくいく。つなぎ目に連続した板を内側に貼り付けるのは、極めて難しいからだ。
 そのノウハウは、ブラス板の小片をたくさん用意し、簡単なジグ上で押さえ込んだ屋根と側板の接合部にハンダ付けする、というものだ。小片の上半分は屋根に合わせて軽く曲げておく。多少の隙間ができても押さえ付けながら、その部分を局所加熱すれば直せる。これが連続した材料であると、難しい。最終的につなぎ部分の8割がこの小片で埋まる。車体外側から見ておかしくなければ、成功だ。この小片によるつなぎ法は、いろいろなところに応用している。部分的な修正が効くのが良い。炭素棒による加熱なら、自由に付け外しできて具合が良く、楽である。

 このやり方はいかにもアメリカ人の考えた方法である。下手な人でも、そこそこにうまくできるのである。それを、筆者は少し進歩させている。
 数箇所を小片で付け、ずれや隙間が無いのを確認したのち、長目(75 mm程度)のつなぎ板を一気に貼る。ハンダの量を適量にすると、なぎ目にハンダがにじんだ状態で完成する。もちろんこの長板の上半分は、屋根の丸味に沿わせて曲げておくのだ。

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2020年05月05日

続々 ATSF Heavy Pacific

ATSF Tender (3) テンダの床板は1 mm板である。 フライスで切り抜いたら、前後方向の剛性が小さくなって、衝突時にめり込む可能性が出て来た。内側に厚いアングルを2本、全長に亘って貼り付けることにする。回転体を避ける位置である。前後の端梁は分厚くて丈夫なブラス鋳物であるから、そこにネジ留めしてハンダ付けすれば良い。前より強くなるだろう。

ATSF Tender (2) これは6輪台車である。砂鋳物でできていて、幅が広い。ジャーナル部がガバガバしている。これではボールベアリングが左右に踊ってしまう(ベアリングが見えている)。こういう台車のボルスタを幅詰めするのは面倒である。ネジ孔の隣に近接して孔をあけ直すのが難しい。M2のネジを1 mmずらすのはやりたくない。削るならたくさん削って孔一つ分ずらしたい。

ATSF Tender (1) ボルスタを片方からフライスで切り込んで、2mm狭くした。片方から削り取ると心皿位置が変わるが、今回はどうせその付近を削りとってしまうのだから問題ない(普通は対称的に両方から同じ量を削る)。ネジ孔は、ブラスの丸棒を突っ込んで銀ハンダで固めた。こうすれば隣に孔をあけても、ドリルが引き込まれない。台車の幅を絞ると、見かけがかなり改善される。模型の台車枠は厚いのだ。

 テンダの集電シュウは祖父江方式で前後の2軸から採っている。DCCの時の雑音を無くすには効果がある。左右の動輪と従輪から2極採り、テンダの場合前後台車で2極を採る。テンダ本体は機関車と同極性であるが、カプラは絶縁してある。いろいろな方法で試したが、この方法が、最も集電が良く、ショートが無い。

 台車ボルスタの心皿の周りは、ギヤボックスを収容するために四角の穴を大きく抜いた。ここに 2 mmの板を貼り重ね、ドライヴ・シャフトを貫通させるスペイスをボールエンドの刃物で削る。可撓継手のスペイスも要る。その 上に、さらに2 mm板を貼り重ねる。全体を厚板から作ると設計施工が面倒なので、よくやる方法である。銀ハンダを使えば、一体構造と同等の強度を持たせることができる。切り取るものは補強板を付けてからという原則を守ると、寸法の狂いが無い。合計でボルスタの最大厚みは7.5 mmになった。過去最高である。

ATSF Tender (4) 床板に台車を置いて位置確認をする。両端の軸からチェインで駆動するのは同じだが、スプロケットはギヤボックスの内側寄りであって、2軸目まで共通のドライヴシャフトである。その次に可撓継手が来て3軸目がつながる。ガスタービン機関車と同じ方法だ。簡単にして確実である。

 心皿高さは現行より5.8 mm高くなる。床板の上面とほぼ同じ高さになるが、心皿が邪魔なので別の方法を考えている。中央軸のギヤボックスの収容は大きな体積を必要とするからだ。
 先回のリンク機構は今思えば、ベストの方法であった。駆動軸を通すと心皿は邪魔である。今回もそれが気になっていた。ギヤボックスを偏心させ(中心に置かない)、センタピンを反対に置くという手もあるが、見た人が驚いて落とすといけないので、それはやめた。

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2020年04月15日

続 炭素棒ハンダ付け装置の増設

 炭素棒ハンダ付けの恩恵に与る人は厚板を使う人であろう。あるいは大きな鋳物部品を扱う人だろう。HO以下の模型では頻度は少ないかもしれない。Oスケールでは、これがないと進まない。
 CLW のキットを組めばその理由が分かる。すべての部品が1 mm以上の厚さを持つ。キャブなど薄板でよいのに、1.6mm厚のロストワックス鋳物の妻板、側板に、0.76mmの厚さの屋根板である。これを完全に隙間なく付けねばならない。イモ付けではなく、階段状にかき取ってある部分をきちんと突き合わせてクランプし、ハンダを置いて加熱する。屋根板を付けるときは、ブラスの針金を直角に付き合わせたところに置いておくと、接着面が広くなり、丈夫に付く。

resistance soldering 既存のタイプの電源を床に置くとケーブルの長さが足らない。机の上では邪魔である。思い切ってテーブルの下に斜めに付けた。
 この傾斜は有効である。わずかに上に向いているだけで、表示が見易く、操作も楽である。放熱も良い。お薦めする。

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2020年04月13日

炭素棒ハンダ付け装置の増設

 むすこたかなし氏の素晴らしい着想で、24 V出力のトランスを二段接続する方法を採用した。正直なところ二段接続は好きではなかったが、このトランスの価格を知れば、やるべきであると思った。まだ1000円程で手に入る。筆者はたくさん買って友人に譲った。

 ヤフー・オークションの様子を見ていると、この24 Vトランスはしばらくの間、無限に出てくるような感じである。遊戯機械がそう簡単に低電力化されるとは思えないからだ。いくつか手に入れて内部を見ると、かなり焼けているものがある。酷使したのだ。内部のプラスティック部品が焦げているものもある。温度フューズが飛んでいるものもあるので、それは取り替えればよい。巻線の絶縁は十分にあるので、このような事故品でも問題なく使える。電圧が低いから、事故は起こりにくい。一つだけ、二次線が導通していないものがあった。落とした跡があるので、衝撃で切れた可能性がある。これは巻き替えざるを得ない。時間ができたらやってみよう。3.5 mmsqのテフロン線を少し巻くだけで再生できる。 

 自分用のものは、とにかく出力の大きいものが欲しかった。分厚い砲金(青銅)の鋳物でできた前頭部に、ロストワックスの部品を隙間なくハンダ付けするのはそう簡単ではない。今まではガスバーナで100 ℃あたりまで予熱し、それを保温材で包んで炭素棒で付けた。かなり面倒で失敗も多かった。Dennisのようにアセチレンガスでやれば良く付いただろう。

AC6V 41A 今回出力 41 Aというのを手に入れたので、キャスタ―の付いた台にトランスを二段に積んで、ネジ留めした。さすがに重くて持てない。作業台の下に押し込んである。これは都合が良い。
 ただ、手持ちプローブの電線が太過ぎて固く、取り回しに苦労する。柔らかいものを探している。3.5 mmsqでは電線がかなり熱くなる。耐熱電線だから100℃くらいへっちゃらなのだが、持っている人間のほうが火傷してしまう。5.5 mmsq以上を使わねばならない。8 mmsqはかなり使いにくい固さである。

 作るのは簡単で効果が大きいので、このレポートを参考にして自作されると良い。

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2020年04月03日

続々 アメリカ製キット

CLW SD-40-2 (2) これはebayで買ったものだ。前々回とは全く対照的な方向に行っていて、素晴らしい出来である。炭素棒を使って組んでいる。
 ハンダがすべての接合面に100%流れ込み、全く隙間がない。組んだ人は工学的素養に溢れた人だ。よく考えて組んである。塗装時に塗り分けとなる部分で切り離せるようになっている。またその部分がへなへなしないように補強部材を入れているところは実にうまい手法だ。
 床下には太い部材を貼り付け、衝突に耐えるような作りになっている。

CLW SD-40-2 (1)CLW SD40-2(3) モータはMaxonのかなり大きめのコアレス・モータで、バンドーのコグド・ベルトを廻している。よく見ると多少増速である。この部分の抵抗は、意外に小さい。中間軸は Φ4 のメトリック・サイズのボールベアリングが嵌まっている。
 ユニヴァーサル・ジョイントの位相は正しい。こういうところから考えても、この工作をした人はかなりの能力の持ち主である。

 不思議なのは、すべてのネジがISOネジであることだ。アメリカ人が組んだものでメトリックのシャフトやネジが使われているのは珍しい。モータに合わせたのだろうか。車体の上下を締める部分は厚いアングルをしっかりとハンダ付けし、それにM3のネジを切ってある。細かな部品も、すべてM1.4のタップを立て、ブラスネジで仮留めしてハンダ付けしてある。筆者の理想とする組み方である。実に上手である。
 
CLW SD40-2 不思議なことに、塩化亜鉛を使わずにロジンを使っている。要するに溶剤で溶いた松脂である。裏にはそれがぎっしりと結晶化している。錆びにくいようだが、無いに越したことは無い。リモネンで湿らせて拭き取った。リモネンとは兄弟に当たる分子構造を持つ物質であるから、実によく溶ける。

 手摺等と台車を付ければ即完成、と言えるところまで来たのを売りに出したのだ。どういう訳だろう。上廻りだけで 2 kg弱ある。ウェイト無しで、生地+モータ の質量である。台車は1つ 400 g弱だ。 
 正しい O scale の質量である。よくO scaleはウェイトをたくさん積めるから重いと思われているが、そんなことは無い。韓国製の薄い板を使ったものは軽いから補重するが、アメリカ製、日本製のまともなものは丈夫に出来ているから、生地のブラスだけで十分に重いのである。

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2020年04月01日

続 アメリカ製キット

 このキットは厚い板で出来ているから、持った時の堅さ、冷たさが気持ち良い。ただエッチングが甘いので、access door latch の形が面白くない。遠くから見れば同じなのだが、じっくり見た時にラッチを外すハンドルの形が見えると良い。

 これとは別に、20年ほど前に友人から買い受けたGP15のキットを点検していたら、エッチングが間違っている。どういうわけか、2段 + 裏から1段のエッチングのはずが2段目が裏からエッチしてあった。即ち、ドアラッチが無い、のっぺらぼうの側面になる。
 これは回収すべきだったのだろうが、製作者が入院し、そのまま還らぬ人になってしまった。だからそのままになったのだった。そのまま組むと、妙なものだ。このキットはCLWの製品ではあるが、エッチングを主体とする繊細な作りで、それ以前のロストワックス主体の物とは作風が異なる。韓国製の模型に対抗するために、改良したのだろう。

access door latch (2) このロストワックス部品を大量に入手してあった。ドアラッチである。必要量の10倍くらいもある。
 顔を出す部分は、2.5 x 5.5 mmである。フランジ部分の段差は、0.50 mmである。板に角穴をあけて裏からハンダ付けすればよいのだ。角ヤスリで丁寧にあけて、付けた。

 薄板ならそのまま、置いてハンダ付けして良い。上述の厚い板には裏から孔の周りをフライスで削って、厚みを減らした。これが大変な手間で、参ってしまった。削れば、ヤスる量は減るわけで、多少楽にはなる。1.02 mmを0.55 mmにするのだ。しかし、フライス仕事は手間がかかる。

access door latch (1) 出来たものはこんな具合だ。部品の周りにハンダがぐるりと、にじんで見えている。これがベストの状態だ。こういうハンダ付けをしたい。


solder ところで、ジャンク箱からこんなハンダが見つかった。多分アメリカ製だろう。直径は19 mmであった。3/4インチだ。
 柔らかく使い易い。刻み目があるので、長さを確認して切りやすい。置きハンダには便利だ。使った感じでは、スズ60%の鉛ハンダだろうと思った。


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2020年03月30日

アメリカ製キット

CLW GP38-2 (1) レイアウトの工作ばかりでは疲れるので、車輛工作も手掛けている。30年ほど前アメリカで安く買ったジャンクを、少しずつ加工している。これらはCLWの製品である。アメリカ製のキットを組んだものだ。
 1日1時間のつもりだったが、意外と面白くなり、毎日超過勤務をしている。

CLW GP38-2 (2) この手前の機関車はGP38-2である。全く経験のない人がハンダ付けを初めてやったという感じの「作品」で、どうしようもない。部品を削って形を整えてからハンダ付けするべきだが、鋳物の湯口を付けたままでハンダ付けしてある。板もエッチングの指示している外形まで削ってから組むべきなのに、無理矢理付けている。ヤスリや糸鋸の存在を知らないようだ。前後の昇降台のハシゴが入るところだけは、金鋸で切り込んだ跡がある。
 ハンダのしずくで金属がつながっているような付け方であって、二つの金属板の隙間に浸み込んだような付け方は一箇所たりともなかった。曲げも、裏にV字溝を彫って曲げるところを、ペンチでぐいっと曲げただけで、話にならない。焼き鈍して、プラスティック・ハンマで叩き延ばした。
 
CLW GP38-2(3) 普通なら途中で諦めるのに、最後まで行ったところは、ある意味ですごいと思う。ペーストを使っているので、全体がべとべとである。少し錆び始めて、裏は緑色であった。
 結局、全体が漫画みたいに歪んだものができた。動力も押し込んであって、一応動かしたようだ。要するに、本物の形を観察しないで、箱に入っていたものを順に付けただけである。エポキシ接着剤は使ってないところが珍しい。

 すべてのパーツをガスバーナで焙りながら外す。よくぞここまで、という感じである。伊藤剛氏に教えて戴いた英語に、”the man who has ten thumbs" というのがあった。全部の指が親指であるということは、どういう状態かお分かりであろう。その実例は前にもあったが、これはそれを下回る。

 すべての板の外周部を単目のヤスリで削り落とし、油目ヤスリで仕上げた。完全に直線を出しておかないと、歪んで後で後悔する。削り粉がたくさん出た。ハンダは、ガスで焙って圧搾空気で吹き飛ばした。回収して使えるほどたくさん使ってある。

 このキットは板厚が 40ミル(1.02 mm)もあるので、極めて頑丈である。ぶつかっても被害が少ない。組み上がるとかなり重い。ハンダ付けは、200W以上の大きなコテか、炭素棒に依るのが望ましい。

 組み直すと立派になるはずだ。

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2020年03月24日

続 Texas からのメイル 

21027 二人の Mike は二人とも医師である。最初のMike Wは前立腺の専門医であったが退職し、模型三昧だ。広大なレイアウトを作っている。この人はストラクチュアをスクラッチビルドするのが好きで、今回はこの大きな橋をブラスで作っている。これは駅の前の広場、駐車場を載せている。
 ハンダ付けはすべてペーストを使っているそうだ。ブラスならそれで良い。塗装前に熱湯で洗って洗剤でこすり、完全に落とさねばならない。塩化亜鉛なら水で洗い落とせるのだが、中々言うことを聞かない。

 信号橋の写真を送ってやったらとても感心して、作るのにどれくらいかかるかと聞いてきた。2本作るのに1か月と答えると、速いという。その橋は2年掛かっているそうだ。ようやく完成する。
056 次は駅本屋だそうで、これは石造りだ。どうやって作るのか興味がある。ボール紙でモックアップを作ってある。
 リヴェットを2万本打ち出したそうである。しばらくは、もう打ちたくないそうだ。


 筆者のFEF4の動画は、「実に面白い。」と書いてきた。
「たとえこんなことを考えても、作る奴はいなかった。動きが面白いから素晴らしい。世界で一番よく走る機関車だ。MRに載せろ。」

 よく走るかどうかは、レイアウトを持っている人には切実な問題だ。走らない、あるいは走らせると壊れる機関車は許せないと感じるのだ。
 日本の模型人は、そこを考えて欲しい。ほとんどの模型人はレイアウトを持っていない。持っていても勾配がない。外見だけで評価する風潮がずっと続いている。

 鉄道模型は走るということが、非常に大きなウェイトを占めていることを確認したい。走ることを前提としていないものは、鉄道模型とは言い難い。
 static(静態)なものならもう少し写実的に作るべきだ。プラスティック・モデルはとても出来が良い。ここまでやるかと思うほどよくできている作品を雑誌で見る。出来るものなら、細密感はそのレヴェルまで行くべきだ。現在の鉄道模型の作品レヴェルは、造形という次元だけで考えるなら、中途半端である。 

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2020年03月16日

2本の電線

 大電流を取り出せる変圧器を分解してみたら、2次線が2本並列に巻いてあった。
これは問題である。確かに見かけは2倍になるが、その線がいつも2本あるとは限らない。

 例えば、屋内配線で許容電流値が足らないからといって、平行に2本並べて張るのと同じである。これは禁止されている。ネズミが齧って、線が減ることだってあるからだ。トランスの中でも安心はできない。接続が緩くて片方しか通電していないこともありうる。電圧は出るから、不良に気付かない。即ち事故の原因になりうる。鉄板製の筐体に入っているから、鼠の害はないと信じたい。
 購入されたら、内部をよく見て、線の接続具合を確認する方が良い。もしも圧着が緩かった場合には少し巻きほどいて、正確に圧着端子で留め直すべきだ。あるいは太い線を巻くべきだろう。
 これは意外と楽である。筐体に収めることを無視するなら、太いものを巻けば済むし、しかもその巻き数は少ない。試す価値がある。

 中国製のトランスはこのように二本巻きのものが多くあるという話である。

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2020年03月14日

炭素棒ピンセット型ハンダ付け機

carbon pliers 筆者は炭素角棒の付いたピンセット型のものを使うことが多い。
 これは炭素棒が2つ、ワークとの接触部も2点あるので、単純に考えると電気抵抗は2倍だ。同じ電圧ならば出力も半分になる。つまり、これを使う時には入力電圧を上げねば、同等の発熱は得られないことになる。
高電圧用スライダックを用いて電圧を130〜170 Vほどにすると、出力が120 Wくらいになって、瞬時にハンダ付けができる。加熱点がハンダ付する箇所の両面にあるので、明らかに温度上昇が早い

 今までは必要があるとそのスライダックを持って来て接続をしていたが、今回の装置が導入されたので、単極の太い電極の場合は新型を用い、ピンセット型は、旧来のタイプにスライダックを接続済みのものをそのまま使うようにする。

 いずれにせよ、炭素棒ハンダ付けは数秒で終わることであり、変圧器が焼けることは考えられない。
 ところが電気工学を勉強したと称する方は、必ず、こんなものを紹介するのはおかしい、火災の危険があると言ってくる。しかし、忘れてはいけないのは連続定格ではないということだ。どんな電気装置であっても、短時間なら焼けない
 筆者の父は、昔、面白い表現を使った。
焼けるまでは焼けていない。」
 どんなものにも、熱容量がある。発生熱量がそれを昇温させる。熱くなると外界に熱が逃げる。逃げる熱量が少ないと温度が上がって来る。しかし許されないところまで温度が上がる前に、電源が切れていれば何の問題も無いのだ。

 この装置のトランスではその制限時間は30秒くらいだろう。それ以上時間が掛かるものには使うべきではない。普通は5秒程度である。そして、次の通電までには10秒ほどおけば全く問題ない。それでも文句を付けてくる人が居るから困ったものだ。客観性のない人たちだ。

 こういうことを考えて見よう。ノーフューズ・ブレーカは各家庭にある。ショートするとバチンと音を立てて落ちる(トリップと言う)。ショートしてから切れるまでの間、0.1秒弱は、電流が数百アンペア以上流れている。内部のバイメタルが焼けて温度が上がって曲がり、引き金を引いて切るのである。文字通り、短時間はショートしているけれど、火事にはならない。そういう仕組みを理解できれば、炭素棒ハンダ付け機が危険だと言うのは矛盾していることが理解できるはずだ。

 炭素棒ハンダ付け機を何かの装置に埋め込んで使う人はいないだろう。目の前に置いてあるのだから、焼けた臭いがすれば切るだろうし、温度ヒューズも付いている。手でスウィッチを入れるのではない。足で踏むのだから、踏みっ放しにはならない。また、ワークを手で持った炭素棒で押さえるのであるから、手を離せば電流は切れる。すべて意図しないと働かない方向だから、安全であると言えるだろう。

soldering 炭素棒ハンダ付けを導入すると、完全なハンダ付けが誰でも可能になる。先回紹介した信号橋の歩み板は、骨組の上に置いた角材に、少量のハンダで完全密着している。普通の方法ではコテが入らないから難しい。これを見た友人はかなり驚いていた。歩み板(0.5 mm厚)の裏面にハンダを少し付けて所定の位置に押さえ込み、上の面から炭素棒で触るだけである。一回で半径 5 mm程度が融けるので、それを順にやればできあがりだ。反ることがないから誰でもできる。何の骨(コツ)もない。

signal bridges 歩み板の上面は炭素棒の痕が付いているが、融けたりしたわけではない。実はこのエッチング板の表面には、レジストが残っている。それが熱分解して痕を残しているわけだ。磨き砂でこすると無くなる。アメリカ製の物にはよくある。面倒なのでそのまま塗るつもりだ。見えなくなる。 

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2020年03月12日

トロイダル・コア

 昨年末に、むすこたかなし氏から相談があった。炭素棒ハンダ付け機の電源を作る工夫である。トロイダル・コアのトランスを二段階接続して(これを直列接続とは言うべきではない)、100 Vから 5〜6 Vを得る方法だ。素晴らしいレポートがあるので、詳細はそれをご覧戴きたい。

 驚いたのはそのトランスが一つ1000円ほどで出ているということである。パチスロというものがある。筆者にはどんなものか見当もつかないが、ソレノイドを多用した遊戯装置らしい。大電流を使うという話だ。出力は 24 Vで 10 A〜20 Aの電流が取り出せる。このトランスの放出は今だけなのか、それとも継続的に行われるのかも見当がつかないが、現在はインターネット・オークションでいくらでも見つけ出すことができる。 ただ一つの懸念は、たくさんの人が同時に買おうと殺到すると価格が上がってしまうことだ。そこはわきまえて安く買う工夫をされたい。

 トロイダル・コアは、変圧器の鉄心としては最も高効率のものである。昔、筆者の父が作ってくれた変圧器は戦災で焼けたケイ素鋼板をネジで締めたもので、通電するとブーンと音がした。隙間があったからだ。これは全く音などしない。

transformers 仕様を絞って見て行くと、出力 41 Aというとんでもないものが見つかった。要するに1 KVAである。質量は9 kgもある。これを2段目に使い(右) 、1段目に350 VAの(左) を使うと、1段目の容量が無駄にならない。それを購入して、2段目の入力を1段目の出力に圧着端子で固定接続した。総質量は12 kgある。そう簡単には動かせない。

 筆者は、炭素棒ハンダ付け機は既に2台持っているが、いずれも出力不足に悩んでいた。より大きなものを付けたい時には大電流の機種が必要であったので、安価にそれが実現できるわけでありがたい。もちろん、2回も変圧器を通すのだから、損失は多少はある。しかし、長時間使うものでもないので、安くできれば、電気代がわずかに余分に掛かろうとも全く問題ない。

 これをキャスターの付いた台に載せ、作業台の下に滑り込ませるようにする。手元のコードは可撓性のある電線を用いるが、5.5平方mmを使わねばならない。炭素棒も 8 mm径のものを使うつもりだ。ここまで来るとかなりの太さで、自動車のジャンパ線か、熔接機の電線のような感じである。

 以前の頒布終了後、多くの方から再度の頒布を要望されていたが、これで殆ど解決したように思う。前回のキットをまだ組まずに持っているから値が上がる、と信じているおかしな人もいるようだが、これでそんなことは何の意味もなくなる。今回の価格破壊で、どんどん作る方が増えるだろう。この技法を広めて戴きたい。


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2019年12月31日

余分のハンダを取る

 ハンダというものは、すべての接続部を満たしていなければならない。隙間があればそこから錆びる。大きな平面に小さな平板を付ける時、側面から半分しかハンダを入れない人は多い。いずれ剥がれて、泣きを見る。完全に付けるべきだ。

 しかもハンダは富士山の裾野のようになだらかに広がる必要がある。そうなっていないと完全に入ったという証拠にはならない。それでは形が良くない。部品の側面が垂直になっていないといけないという部分には、良い方法がある。 
 電線をほぐして銅の心線だけ取り出し、良く捩じっておく。それに塩化亜鉛を少しつけ、炭素棒あるいは熱い鏝で押さえつける。余分のハンダは99%吸い取られて、エッジが出る。あとは磨き砂で磨けば、綺麗になる。
ハンダの色が見える」と言う人は、どうぞお好きなようになされればよい。

 先月号のTMSに名取氏が、コンテスト応募作品の開封時に壊れているものが多いことを紹介している。それはハンダが廻っていないということである。筆者はいかなる部品も、それだけで全体をぶら下げられる程度の強度で付いていることを確認する。こうしておけばまず壊れることが無い。

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2019年12月23日

銀ハンダ

 ほとんどのハンダ付けは 63%のスズを含むハンダで行う。流れが最高で、薄く付く。この薄さが強度確保につながる。ハンダの厚さがあると弱い。これは接着剤の働きと同様である。スズとの合金層だけでくっついている状態が望ましいのだ。こういう接着をしようと思うと、十分な加熱が必要で、炭素棒を使えば簡単であるが、鏝ではなかなか難しい。

 他のハンダは使わないのですか、という質問を受けた。盛らなければならない時は50%のものを使う。フレイムを組むなど強度が必要な部分には銀ハンダを用いる。3.2 mmの板を直角に付けて、しかも力が掛かる部分(端梁など)はこれに限る。そうでないと連結時のショックで疲労し、取れてしまう。

silver solderingsilver bearing solder 今回は台枠の作り直しがあったので、銀ハンダをかなり使った。できあがりはロウ付けに近い。実は筆者はロウ付けは得意なのだが、あまりやらない。銅合金はロウ付けで全体に熱が廻り、焼き戻されるのを避けたいのだ。Oスケールは比較的大きく、モーメントが大きいので、くたんと曲がってしまうことがある。そういう点ではHO以下では便利な手法ではあろう。

 煙室戸にヘッドライト支えを付ける時など、ロウ付けすると固くて良さそうだが、ハンダでも十分な結果を得ている。イモ付けより、ピンを入れておくことだ。そうすれば落としても壊れない程度の強度がある。もっとも、十分に熱が廻らないと意味がない。良く削って新しい面を出し、機械的に接続された状態で保持し、加熱する。炭素棒があれば言うことは無い。

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2019年07月04日

炭素ディスクによるハンダ付け

 しばらく前の実演の写真を、MS氏から戴いた。炭素棒ハンダ付けの実演をせよ、とのことで、機材一式を持って出かけた。大きなトランスが入っているので、それを2つも入れると20 kgもあった。大きなスーツケースを牽いて行ったのだ。
 いつも手伝って戴くDr.Yも、自作のトランスを持って来られたので、それもお見せした。二次側の線は熱くなるので、ビニル被覆はいずれ可塑剤が昇華し、ぽろぽろと割れて来る。テフロン線に更新するようにお勧めした。一週間後にお会いしたら、直ちに巻き替えられたそうだ。

 伊藤 剛氏製作の炭素棒ハンダ付け機も、供覧するべく持って行った。非常にコンパクトに作られ、独立した足踏みスウィッチが無いにもかかわらず、1次側の断続が自由にできる優れものであった。
 ケースの蓋は蝶番で開くが、その陰にマイクロスウィッチが隠れている。蓋に触れると On になる工夫だ。実に素晴らしい工夫で、誰しも驚く。足元にケースを置いて、蓋を軽く押さえれば、On になるのだ。

炭素ディスク 炭素棒ハンダ付けの現場を見たことがある人は日本では少なく、かなりの方が熱心にご覧になった。太い材料(例えば 4 x 5 mmの角棒で出来たテンダの端梁)にステップを取り付けるのは、普通のコテではできないが、炭素棒なら3秒で完了だ。分厚い鋳物(Φ30、5mm厚)に小さなロスト部品を付けるのも5秒でOKである。外す時は。炭素棒で出来たピンセット状のもので挟めば、すぐ取れる。持ったまま、ずらして付けることも容易だ。

 客車側板のシル、ヘッダを隙間なく付けるのは、熟練がいる。プロは大きなコテの温度を最高に上げ、ジグで押さえ付けた細い帯板を一気に付ける。これはアマチュアには、かなり難しい。もたもたしていると、熱が板の方に廻って、全体が反る。こうなると修復不可能だ。
 帯板にハンダを塗り付け、良く磨いた側板にはフラックスを塗る。そしてこの炭素ディスクを当てて毎秒 2 cmほどで移動させると、全く隙間なく、完璧なハンダ付けができる。ハンダが両側に僅かに光って見える、理想的な状態である。

carbon disk 炭素ディスクは仙台の今野氏に挽いて戴いたものだ。中心部の金属が炭素ディスクとよく篏合し、この部分の接触抵抗が小さいことが肝要である。そうでないとこの部分が発熱し、燃えてしまう。
 アメリカで見たのは炭素ローラで、直径より幅が広いものであった。工業用途のもので、電流は100 Aも流れるそうだ。極端に太い電線が付いていた。何を付けるのに使ったのだろう。


 今度は右手の手術で入院しているので、しばらく休載する。左手は、お陰様でとても調子が良い。こんな事なら、もっと早く手術を受ければ良かったと後悔している。ボタンを嵌めたり、靴下が普通に履ける生活を、久しぶりに体験した。ここ何年かは、ヤットコでボタンを嵌めていたのだ。

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2019年04月23日

ハンダ付けの補助具

soldering aid モハメイド氏の記事を見て、「オッ」と思わず声が出てしまった。この補助具は筆者も同様のものを持っている。30年以上前に作ったものだ。何度かの修整を経験しているが、捨てがたいものだ。いつも重宝している。


passemgercar errection 客車や貨車を組むときに使う。手前の一部は少し持ち上がっている。それはこの写真のように、裾がすぼまっている車輌があるからである。この部分は焦げたりして傷むから、時々ノミで剥がしとって、新しい板に交換する。この部分の無いものも作った。

 最近は炭素棒の出番が多いので、焦げる回数は減った。

 ハンダゴテを仕舞ってある棚を探すと、いろいろなものがあるので、ついでに紹介する。
square 直角ジグである。左は伊藤 剛氏のところから来たもので、井上大令氏の作られたものである。今では使ってはいけない石綿板が張ってある。ガス火で加熱する時に使う。これはよくある形だが、右は筆者の自作した貫通型である。45年ほど前に作った。
 アメリカの古い雑誌からアイデアを頂戴した。1950年代のModel Railroad Craftsman誌だったと思う。下の板はジグの下の隙間を貫通している。縦の板はクランプで軽く留めて倒れないようにしている。大きなコテで、さっと一息で付けると、傾かない。ハンダが片方だけにあると、それが縮んで傾くのだ。ハンダが浸み込んで、向こう側にも等量なければならない。これは祖父江氏から教わった。向こう側に出したくない事情があるときは、少し向こうに倒しておくと、固まった時に垂直になる。
 その角度はと聞くと、
「そんなもなぁ、メケンだよぉ。」
とのことだった。メケンとは目で見て、見当をつけることである。

 5月19日にあるKKCの展示会で、ハンダ付けの講習会の講師をせよ、と言われている。何かリクエストがあれば応じたい。炭素棒を主題としてやってくれ、とのことだ。


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2018年12月07日

続 watermelon car 

 通風扉(ventilation door) を作らねばならない。それらしく作るだけだが、部品数が多く大変である。なるべく簡単に作る工夫をした。
 まずt0.6快削ブラス板を固定して、Φ0.5のエンドミルで溝を掘った。間隔はインチサイズだから、DRO表示をインチに切替えて削った。こういうことは楽になったと思う。それを短冊に切り、型紙の上に並べる。 

ventilation door1 Φ0.5のリン青銅線を入れるのだから、深さを0.25 mmにするのが普通なのだが、経験上浅くする。0.15 mmである。こうすると二枚合わせた時、底衝きしているのである。板は多少は反っているので、厚さ方向に一定の深さに削れる訳ではないのだ。線が中で踊るよりも、底衝きしていた方が揃って見える、というのが筆者の意見である。
ventilation door2 手前側の一枚にリン青銅線をコテでハンダ付けする。ハンダは多めにする。この写真はそれを表から見たところである。そしてフラックスを薄く塗った二枚目を重ね、炭素棒の太いピンセットでつまんで通電すると、1秒で完了である。冷えるまでそのまま3秒ほど待つ。

 最初のハンダ付けで、線の配置が多少ばらついても、重ねて挟むと有無を言わさず、揃った位置に落ち着く。隙間にはハンダが埋まる。

ventilation door 針金が留まったら、横桟の端を仕上げて縦桟を付ける。ハンダ付けはアッという間に終わる。あとはラッチとか小さな金具を付ければ、塗装への準備が整う。
 塗装後に、ドアをはめて下のレールに外れ留めを接着すれば完成だ。  

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2018年11月01日

簡易バッフル付き空気清浄機

air purifiers ハンダ付けの時のフラックスの fume(煙・霧)の処理には困る。最近は中型の空気清浄機が3台揃ったので、殆ど問題なく吸えている。塩化亜鉛のフュームは金属を錆びさせるので問題だ。長い貨車をハンダ付けする時は、少し配列を変えるとよく吸ってくれる。
 右からバッタ屋で安価で入手したもの、粗大ごみの中から拾ったもの、新品をご寄付戴いたもの。さすがにこれだけ並べるとすごい効果である。背後から風が吸い込まれていくのを実感する。光が反射して、LED1灯でも手元がとても明るい。

fume collector 所属する模型クラブ員が来て、作業場として使っている。たまたまこの形の吸煙装置を持って来た方があったが、直前 5 cmで吸わせないと全く吸わないことが分かった。そこで廃段ボール箱を加工して無理やり押し込んだ。捨てる時困らないよう、内部は粘着テープでしか留めていない。上にヒサシを付け全体を前に傾けた。

fume suckerexhoust 加工の手順はこんな調子である。中に台として合板を接着し、その上に吸煙機を置く。排気部は箱の上の方に密着させる。隙間はすべてマスキングテープで塞ぐ。

buffle バッフルには縁を付け、それを向こう側(吸煙機側)に向けた。こうすると、空気の流れがより自然になる。上下左右の隙間は 25 mm程度あけて取付けた。段ボールと合板は、水性ボンドで良く接着できる。
 風量が少ないので、このままではハンダ付けの煙は上に行ってしまう。少し手前に傾けると同時に、ヒサシを付けて前に出してある。これはよく効く。

fume sucker 結果は上々で、風量の少ない機種ではあるが、十分に吸ってくれる。配線作業などにはとても好都合だ。材料費はゼロに近い。
 中の汚い木の板は、バッフルとの隙間を少し狭くするように貼ったものだ。

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2018年03月13日

続々 旋盤のカスタマイズを終了

 実は筆者はロウ付けはあまり好きではない。鉄合金に対してはロウ付けは良いのだが、銅合金に対しては材料が軟化するので使いたくない。HOの人はモノが小さいのでモーメントが小さく、あまり感じないようだが、Oスケールでは長くなるので、曲がりやすい。銀ハンダは、より低温で付くので具合がよく、強度も十分だ。融けても、あまりさらさらしていない。やや粘りがあるが、より高温にするとさらさらになる。固まると普通の鉛ハンダより、表面がざらざらしている。ロストワックス鋳物の鬆(す)を埋めるのに具合が良い。この銀ハンダは acid core である。塩化亜鉛ペーストが入っているから、ハンダ付け後、洗わないと錆びる。


 この旋盤が来てから半年になる。いろいろな作業に使ってみると、この位置に工具があるとベストというのが分かって来る。照明の位置も必然的に決まる。
 六角レンチはいくつか常備しているが、サイズごとに種類を変えている。サイズと形が結びつけば、迷うことが無いからだ。

 今でも落ち着かないのはスピンドルから飛び出している透明なチャック・ガードの棒である。安全スイッチになっていて、ガードを閉じないとモータが廻らない。ガードは邪魔で捨ててしまった。スイッチが切れると腹立たしいので、短絡した。突き出した棒はいずれ切り落とす。このチャック・ガードを使っている人は居るのだろうか。
 むしろ、横の歯車箱の蓋を開けると止まるようにするのが筋だ。マイクロスイッチを付ければ解決だろう。

 最近、旋盤の初心者からの相談をよく受ける。どなたも原型を保ったままで、使いにくいとおっしゃる。それはそうだろう。
 自分の使い勝手が良いように、切り捨てて増設するべきだ。機械に使われているようではいけない。「機械」を「工具」として使いこなすべきなのだ。これもプラグマティズムだろう。

Central Valley's ところで、こんなものが出て来た。何だろう。寸法が分かっているから、簡単だろうか。

2017年10月08日

pizzacutter

 4日のクイズの答は、表題のような形をした、炭素棒ハンダ付けの回転電極である。長いシルとかヘッダを連続して付けることができる。実に調子が良い。コン氏に材料を作って戴いた。あとは自作である。 コメントは本日公開した。コメント以外にもたくさんの方からメイルを戴いた。

 不思議なのは、皆さんは現物をご覧になったことがない筈なのに、正解を出されたことだ。黒いものはグラファイト(炭素)で、電線が付いているから、推理によって答を出されたのだろう。お見事である。

 グラファイト・ディスクは今野氏に作って戴いたのだ。大きさは直径80 mmである。軸穴は Φ10でお願いした。Tavata氏のコメントにあったように、中心部に電流が集中するので、電流が分散するように径を大きくしている。
 軸は旋盤で挽いたΦ9.2のブラスで、0.8 mmの隙間に0.4 mm厚のブラス板を丸く曲げたものを圧入して、接触を確保している。ただ廻っているだけでは、ここが熱くなってしまう。軸にはフランジが付いていて、ネジで締めてあるから、接触面積は十分だ。

 先々回の写真の緑の線は仮のものである。現在はもっと太いテフロン線で接続してあるから、耐熱性は十分だ。製作中の客車のシルとヘッダをハンダ付けする時に用いる。
 ハンダメッキしておいて一端を曲げて引っ掛け、引張りながらゴロゴロと押すと、相手が薄ければ秒速 5 cmでハンダ付けが完了する。隙間が全くない完璧なハンダ付けである。動画を撮る必要がありそうだ。

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2017年07月17日

あるコメント

 先日、このようなコメントが入った。
ハンダの流れ方や、6か所ある梯子の造形やら、雑な工作ですね。スクラッチビルドを「しない」と言うより、正直に人並みの工作は「できない」と言った方が良いのでは。 」

 なかなかの自信家なのであろうと推測する。ただ、読解力には大きな疑問符が付く。このブログを最初から読めば、全くの見当違いである事はすぐ分かるはずだ。
 筆者は外見にはそれほど拘らない。塗装することが前提だから、キサゲでハンダを削ってぴかぴかにするようなことはしない。また、内側にはいくらハンダが見えていても、削らない。ただ、接着面には100%ハンダが付いていることが条件だ。

perfect soldering このコメント主はOスケール (OJではない)の客車を持ったことが無いことは明白だ。1.5 kg〜2 kg以上もある客車をわしづかみにすると 、ハンダ付けが外れることがある。経験上一番多いのは、面積の大きな荷物扉である。だから厚めの板を用いて、完璧な、水も漏れないハンダ付けをする。窓ガラスは、アクリル板をアングルに嵌めておく。接着では剥がれるからだ。

 ブラスの板はクズ屋で買ったものだから、錆びて汚いが、気にしない。塗れば全く問題ないし、錆びているものの方が塗装が剥げない。フェルト・ペンで書いた文字はシンナで拭いて、塗装する。プライマは無くて良い。

 梯子は片足しか付けてない。最終的な完工時には両足付けるが、作業中は曲がりやすいので、直しやすい状態のほうが良いのだ。中段のハンダはすべてが完成した時に削り取る。頑丈でないと作業中に壊れてしまう。今回も撮影直前に落としたので、一部の部品が落ちている。しかし、机の高さから落としたのだが、本体にはまったく被害はなかった。

 コメント主は、店で売っているキンピカの完成品のようなものが理想だ、と考えているのだろう。ところがこの博物館では、よく走り、多少の事故でも破損しないことが最優先だ。20輌編成の客車が30 kg以上もあるとは、見当もつかないだろう。床板のセンタ・ビームはあのような形でないとビビリが出る。1.5 mm厚のチャンネルを付ける時に、完全なハンダ付けが必要なのである。はみ出さないようにできるものなら、お見せ願いたいものだ。長さ464 mm、幅63 mmの車体を、0.8 mmと1 mmの板で作ってみれば、いかに不見識なコメントであるかが分かるだろう。実際に作れる人はこのようなコメントは書かない。
 
 (自己)相対性という概念がある。自分が社会の中でどのような位置を占め、何ができて何ができないかを知ることだ。それができる人が大人である。すべての鉄道模型人にそれを要求するのは、無理なことなのだろうか。


2017年07月05日

ハンダ付けとフラックス

 台車の内側でハンダ付けする必要があった。すでに車輪が付けてあり、外すのがとても面倒である。薄い板バネに中間車軸のキャノン・ボックスを付けねばならなかった。こういう時は、フラックスが間違って飛散する事からの防護をしなければならない。濡れタオルでマスクする方法もあるが、狭いところでやや困難である。飽和溶液を使って炭素棒で加熱すれば全く飛ばさないでもできるが、この場所ではそれが使えない。間違って飛散させて仕舞う可能性だってある。

 こういう時のための秘策がある。僅かの塩酸が入ったタイプのフラックスがある。それを少し塗りつけてしばらく待つ。30秒も経てば、塗った部分の色が変わる。ブラスが溶けているのだ。高校の教科書には、塩酸は銅を溶かさないと書いてあるが、それは試験管中での話だ。空気中ならよく溶かすことができる。薄い塩酸に酸素が溶け込み、酸化剤として機能する。酸素の働きであるから、少し息を吹きかけると、さらに反応速度が大きくなる。塩化水素は薄い水溶液からは蒸発しにくいから、臭いもない。

 そこでフラックスをティッシュに浸み込ませて取り除く。そこにコテで融かしたハンダを触れさせると、ハンダはフラックスを塗ったところだけに、薄く広がる。要するに、ハンダめっきをすることができる。この時、フラックスはほとんど残っていないので、飛散することはないと考えて良い。

 コツは薄く塗ることである。薄いと、酸素がよく届く。事前に金属表面の酸化被膜は軽くヤスリを掛けて除いておくことは不可欠だ。ティッシュで液体を取り除いてから、時間を置いてはいけない。30秒以内が良い。ティッシュは直接ごみ箱に捨てないでとっておき、あとで水ですすいでから捨てる。含ませたまま乾かすと、塩化水素が逃げやすく、周りの何かが錆びやすくなる。

 相手にもハンダめっきしておいて、重ねてコテを押し当てると、ハンダ付けは完了だ。ごく微量のフラックスが付いているので、さっと水洗いすると終了である。ボールベアリングを付けたまま洗っても、潤滑油があるので、水は浸み込まない。すぐに水を切り、タオルで水を吸い取って、強い風を当てて乾かせば良い。

 この方法をお試しあれ。図面を広げた上でハンダ付けしても安全である。


2017年05月20日

EMD SD7

SD7 このSD7は非常に珍しいものだ。これも祖父江氏のゴミ箱から再生したものである。祖父江氏いわく、「これは安達さんが作ったパイロット・モデルだよ。ロング・フッドの細かい造作はすべて手作りだ。このダイナミック・ブレーキ・グリルは、信じられねえ仕事がしてある。ほらご覧よ、全部薄板で組んであるから透けてるよ。あの人はこういう仕事は本当にうまいよねぇ。」 (この写真はしばらく前に撮ったものである。)

SD7 pilot model キャブやショート・フッドは無かったから、自作である。グリルは白眉で、向こうが透けて見える。本物のようだ。量産品はドロップで押しただけだから、透けていない。細かな造作もすべて手仕上げである。 細かな部品もすべて一つづつハンダで貼り付けてある。

SD7 floor 床板は安達庄之助氏が作ったもので、板に角材を貼ってある。台車はこれもアメリカ市場で購入したものだ。駆動部品は3条ウォームで、逆駆動できるようにしてある。ロストワックス部品はまだ高価であった時に購入したものを付けている。
 量産品も持っていたが、エッチング製であまり面白くなかったので、別の機関車とトレードした。

SD7 extended exhaust pipes 筆者としては看過できない間違いがあった。ダイナミック・ブレーキのブリスタ(膨らみ)の、内側の造形である。本物は凹んでいるのに、資料不足で、斜面を作ってしまったのだ。この種の修整はかなり手間が掛かる。切り抜いてL字型の板を張り、左右に隙間がないように三角の板を嵌める。この写真は修整後のものである。排気管の立っている場所が斜面だったのである。
 排気管は延長型に作り替えた。この種の仕事は伊藤 剛氏に手ほどきを受けた。
小さい物を付けようと思ってはいけませんよ。大きなものを付けておいて、それを小さくするのです。」
 パイプを焼き鈍してつぶし、切れ目を入れて二枚の板を差し込み、ハンダ付けする。それを削って修整すればすぐできてしまう。 2本が15分で完成だ。伊藤 剛氏のご指導の賜物である。



2017年03月25日

ステンレスのハンダ付け

 ステンレスの車体をハンダ付けするのは簡単である。コツとしては塩酸を多少含むフラックスを使うことだけである。塩化亜鉛だけではぬれが悪い。表面の酸化被膜が堅いのである。塩化亜鉛だけの時は、接合面をヤスって新しい面を出す必要がある。
 小さなコテでも熱が逃げないので楽に付けられる。しかも素手で持っていても熱くない。いつもは熱絶縁を考えて木片等で押さえていたが、今回はそのまま手で握って付けた。バケツに水を張ってその上で付け、終わったら即、水に漬けて冷やす。こうすれば火傷もせず、効率的である。

BlogPaint 車体に部品をイモ付けするのは簡単である。ブラス車体の時は穴を開けて部品を差し、裏から大きな鏝で留めるのがふつうであった。ステンレス車体の場合は、表面から細い55Wの鏝を添わせるだけで、完全にハンダが廻る。エアタンクの台座(t1.5ブラス板をフライスで加工)を屋根に付ける時にその方法を採ったが、実に簡単で驚いた。炭素棒の出番は、ほとんどなかった。この写真は、余分のハンダを削る前の状態である。 

 手違いで一部の部品が足らなくなった。10台分を作って配分したのだが、自分の分の妻板が無い。仲間に一人ずつ電話して問い合わせるより、作った方が早いと判断して、洋白板で作った。その時、手間を省くために、ヘッドライト穴を無くした。その結果、ヘッドライトは外に設置することになった。
 ステンレスは洋白よりも一桁以上硬いので、ステンレスの窓枠を付けておいて、それをガイドにヤスリで窓を仕上げた。実に簡単で、これは技法として使えると思った。

2017年03月17日

Kimpei Sofue’s life  (9)

 祖父江氏のハンダ付けのテクニックは白眉である。常に完璧なハンダ付けをするから、彼の模型でハンダ付けが外れるということはない。 
 棚にハンダは何種類もストックがあった。また、ブラスの材料も何種類かあり、より楽にかつ、正確に工作できるものを用意していた。
 最終期の特製品には、彼独特の仕上げ加工が随所にみられる。ブラスの針金を切ると、すぐにヤスリでその断面は面取りされる。シャァで剪断加工された板は、全ての切断面をヤスリで加工して直角にする。彼は大量のヤスリを持っていた。すべてのヤスリは使用前にsafety edgeを油砥石で擦って、準備する。そうしないと、削れて欲しくないところが削れてしまうからだ。
 足踏みのシャァは完璧に研がれ、薄いティッシュの一枚を置くと、真っ二つになる。彼の工房はすべて整頓され、美しかった。

 25年前、私は再度アメリカに居て、祖父江氏の望むものを送って差し上げていた。日本に戻って、彼に会いに行った。祖父江氏はドイツの機関車のスポーク動輪の原型を作っていた。私と話をしていても、手を休めない。眼はこちらに向いているのだが、糸鋸でブラスの円盤を切り続けていた。指に目が付いているのか!と思ったほどだ。
 お茶と菓子を戴きながら話をするのだが、彼の手はテイブルの下で動いている。突然彼は、言った。
「ほら、できた!」
 彼は小さなキサゲを用い、手の感触だけでスポークの断面の丸味を付けていたのだ。

 アメリカの模型人で、祖父江氏の工房を訪ねたのは二人で、ペンシルヴァニアのBill Pierson氏と、Original Whistle Stop のFred Hill氏だけである。 

 祖父江氏はKTMで長く働いたが、要求される以上のことをしていた。それは彼のプライドである。彼は世界最高の機関車が作りたかった。そして、彼はそれを成し遂げたのである。

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2016年12月13日

続々 鉄橋を組む 

115_5051115_5052 これは仮に博物館の床に置いたものである。側面のトラス中、引張り材のトラスが実感的である。
 床版と側面のトラスを組まねばならないが、一人で直角を保ちつつハンダ付けするのは少々荷が重い。ハンダ付けの達人の助力が必要だ。

115_5057115_5059 長老の橋本三郎氏にお願いしたところ、二つ返事で引受けて下さった。翌日工作室に伺うと、大きなハンダ付け用の台を用意して戴いていた。各種のフラックス、ハンダごても準備してあった。
 橋本氏は、TMSの30号あたりから記事を投稿されている近鉄電車の達人である。最近も、極めて美しく仕上がった全金属製の電車群を、発表されている。この台を用いて、あの素晴らしい電車群が出来上がるのかと、納得した。

115_5056 組んでいる途中の写真を撮って戴いた。ハンダごての持ち方に注意して戴きたい。この持ち方でないと、大物は付けられない。支えの小さな角材の配置等、橋本氏の細かい神経が行き届いている。
 手前のニッパは、ハンダを細かく切るためのものだ。必要量ずつ、こてに付けて目的の場所に持って行く。大きなハンダの棹から持っていくと、量が不定である。 
 
 側面のトラスを何かで水平に支えて、二人で接合面を押え、ハンダを流す。塩化亜鉛の飽和溶液を塗っておくと、音もせずハンダがすべての接合面に均一に流れる。すべての接続部が、タブとスロットになっているので、位置関係は完璧に決まる。ただ、差込みが緩いのはまずいので、確実に差し込まねばならない。一人では難しいが、二人でやれば、確実である。 横から見て、隙間がなくなるのを確認すれば良いのだ。
 必要最少量のハンダを目的の長さの隙間に浸み込ませるのは、快感である。 橋本氏は、
「熔接のビードみたいな仕上がりでよろしいな。」
と、仰った。合格であった。

2016年12月11日

続 鉄橋を組む

 115_5038これは床版部分のパーツだ。溝を入れて、菓子折りの仕切りのような組み方をする。レーザで切る時、寸法を少し加減して、するりと入るようにする必要がある。その辺がノウハウだ。嵌め合いが固いとゆがんでしまい、どうしようもなくなる。

115_5036115_5043 黒いものは組み立て用のジグだ。角を盗んで8 mmの板から切り抜いた。重くて具合が良い。角が当たらないのでそのままハンダ付けできる。この写真の稲妻型の部材は様子を見るために置いてあるだけだ。


115_5035 仮に線路を載せてみた。なんとか行けそうだ。まだ枕木裏の絶縁処理がしてない。薄い絶縁フィルムを貼ることになる。



 圧縮の掛からない部材は最小限の断面で作り、撓まないようにトラスを入れるのが、合理主義のアメリカ流だ。すべて細いトラスで作られている。それをどのように表現するかが、今回の鉄橋製作の最も重要な部分である。
115_5044 portal(門構)や横工部分は、非常に繊細な構造である。 小さな部品をスロットに入れてハンダ付けする。熱が伝わりにくいので、指で押さえていても大丈夫だ。即ち、正確にハンダ付けできる。ハンダは共晶のものを用いる。流れるか固まるかのどちらかなので、粘りが少なく、隙間に流し込むことができる。


2016年09月20日

続 girder bridges

girder bridge inside ハンダ付けをした。鉄のハンダ付けは久しぶりで、コテを使った。炭素棒では炭素が鉄のほうに拡散して(浸炭)、部分的に不均一になり、しかも硬くなる。以前やった時は部分的に焼きが入った状態になり、ヤスリが引っ掛かった。コテならその心配はない。

 まず片方の板に垂直にXブレイスを差し込み、締めて固着させる。ハンダを流して固定する。もちろん塩化亜鉛飽和溶液を付けておく。ハンダはすべての隙間を満たして完全に付く。もう一方の板のスロットをよく掃除し、Xブレイスのタブを入れ、水道工事用のプライヤ(アゴが平行に開くように調整できて好都合)で締めると「コツン」と嵌まる。

 すべてが嵌まったら、また塩化亜鉛を塗って、コテで留めていく。 音もせず、臭いもないハンダ付けである。次に稲妻型の部材を逆位相に付けてできあがりだ。完璧にハンダが廻っているので、極めて丈夫である。静荷重なら、大人一人が載れる。

 終わったらすぐに流水を掛けて洗う。錆びないように直ちに高圧空気で吹き飛ばし、扇風機で乾かす。下地処理材を多方向から吹き付け、錆止めする。 

girder bridge completed ダイキャスト製側板をよく洗い、スーパーXで接着するとできあがりだ。思ったよりよくできていて安心した。完成した線路を載せると、透けていて気持ちが良い。


 鉄橋上はガードレイルが必要だ。ガードレイルの図面を見ている。細いものを使うのがデザイン的には良いことに気が付いた。

2016年09月06日

続 Greenfield Village

 この村の中には、20世紀初頭の様々な職業を再現して見せてくれる場所がある。印刷屋とか、焼き物を作る工房とか、機織り、ガラス屋、木工所、鍛冶屋などがある。
 その中で特に興味を持ったのはこのブリキ屋である。ブリキ板(スズめっきをした軟鋼板)を曲げて、いろいろなものを作ってくれる。大物は時間が掛かるので、簡単なクッキィの抜型をお願いした。短冊形に切ったブリキを片方だけ曲げて手を切らないようにする。それをくねくねと曲げて目的の形にして、最後はハンダ付けだ。

Greenfield Village (11) 大きな焼ゴテ(1ポンド級)を出して見せたが、これは使わないと言う。どうするのかと思えば、アルコールランプを使うのだそうだ。このアルコールランプは、タンク部分が多面体で、いろいろな角度で置くことができる。

Greenfield Village (12) ほとんど横向きに置き、吹管を使って炎を所定の場所に導く。吹管は、長さが30 cmほどの平仮名の「し」の字の形をしたブラスの細い管で、青い炎を目的の場所に当てることができる。フラックスを少量塗ってハンダの粒を置く。やはり置きハンダだ。ブリキはハンダ付けが極めて容易で、あっという間に付く。机に松脂が置いてあるので、それも使うのかと聞いてみたら、松脂はあと始末が面倒だから使わないそうだ。
 ハンダは2×3×1.5mm程度の大きさであった。

 ここで作られた商品は、売店で適価で売っている。 

2016年07月23日

押して付ける

soldering iron (2) これが筆者の厚板工作用ハンダこてである。先が少し曲がっている。この角度で下に向かって押し付けるのだ。その時、肘(ひじ)は机に付ける。もちろん小指の方にこて先が来る。
 最近はほとんど使っていないのでハンダは付いていない。いや、どちらかと言うと、ハンダをこてに付けずに押し当てることが多い。最近は炭素棒使用が9割である。

soldering iron (1) このハンダこては祖父江氏の工房で使われていたものの複製である。アカエの100 Wの電気コテをばらして、ヒータを150 Wに取替え、石綿シートでくるんだ。普段は70%くらいの電圧で使っている(すなわち出力は半分)。ここぞというときは、電圧を上げて使う。こての材料は銅のブス・バァを切って作った。軽く焼きなまして先端を少し曲げた。こうするとワークが見えやすい。

 多量の熱を供給したいときは、少しハンダを融かしてハンダを熱媒体とする。そうすれば、1 mmの板の裏側でもハンダ付けできる。もっとも炭素棒なら、2 mm板の裏でも付けられるが。

 この方法を伊藤 剛氏にお見せしたところ、かなり驚かれていた。
「圧力を掛けてハンダごての熱を一気に流し込むのですね。私は、こて使用の場合は、どうしてもハンダを熱媒体に使ってしまいますね。」
「炭素棒ハンダ付けと一緒ですよ。押して付けているのですから。」
「この形のコテは面白いね。あまり見ないですね。」
「祖父江氏の物のコピィです。」
「あの人は本当に凄い。普通の人には真似できない腕があります。手を機械のように正確に動かせる人なのです。」
という会話があったことを記憶している。

 今野氏からの質問で作業台は何を使っているかということだが、厚い合板(15 mm以上)の切れ端を使うことが多い。焦げると捨てて、新しいものを使う。釘が打てるので便利だ。釘を曲げたり、細い木を打ったりしてワークを押え、さらに付けたいものを例の三本足で押さえる。あとは、こてで押さえるだけである。これは客車の組立てに使う。

 塩化亜鉛水溶液が飛ばないので、合板は焦げない限り変色もない。炭素棒の時の台は、もちろん2 mmのブラス板である。

2016年07月21日

続 ハンダ付け時の押え

「塩化亜鉛水溶液を薄めたものを使っても、撥ねたりしない」と書いて来た人があった。その人は飛沫が飛んでいることに気付いていないだけであって、飛んでいないとは言えない。詳しく伺うと、ピチピチ音がしているそうで、それは撥ねている証拠そのものである。

 中学生のころからハンダ付けは塩化亜鉛を使ってきた。薬品は少量しか手に入らなかったから、薄くして使った。付くには付くが、 細かい飛沫が飛び散って、周りの糸鋸、ヤットコ、ヤスリが錆びた。そんなものだと思っていたが、大学生になると塩化亜鉛が豊富に使えて、その飽和溶液でのハンダ付けは、それまでとは全く異なる様相を示した。

 音もせずハンダがつるりと浸み込むのは、見ていて気持ちが良い。周りに飛び散ることは全くない。試しに、周りにヤスリを並べてハンダ付けしたが、錆発生の痕跡もなかった。

 これは使える、と思った。その後いろいろな人にそれを伝えたのだが、誰も興味を示さなかったので、最近は黙っていた。ところが、今回今野氏のブログでそれがかなりの盛り上がりを見せたので、発言者としては妙な高揚感を得ている。  

 筆者は商売柄、全てのことに疑問を持つ。本に書いてあることなど、ほとんど信用しない。条件を変えてテストし、起こる現象の分析をする。世の中にはずいぶん間違いというものが存在するものだ。高校の化学の教科書ですら、怪しい話が無数に載っているのだ。筆者の指摘で随分と是正されてはいる。

 ハンダ付けはクランプで締めて行うというのも、場合によっては失敗の元になる。締め付け過ぎることがありうるのだ。ハンダ付けの隙間は 0.03 mm程度が具合が良い。クランプで締める前に、何らかの方法で隙間を空けねばならない。先回書いたように、片締めになる惧れもある。そういうことを考えると、3本足の押えはなかなか大したアイデアである。板同士の接着時には、ブラス板に細かい傷をつけて、その「めくれ」で、隙間を確保する。この状態でクランプで締めると、うっかりしてその「めくれ」をつぶしてしまうこともありうるのだ。

2016年07月19日

ハンダ付け時の押え

 最近あまりハンダ付けをしていない。ポイントの作成と電気関係の工作をするぐらいで、車輛の工作をほとんどしないからだ。今野氏のブログで、塩化亜鉛飽和溶液の話が出ていて筆者の提供した話題が反響を呼んだようだ。
 ハンダ付けは、日本では塩化亜鉛水溶液を薄めて使うことになっているが、煮詰まるまでにブチブチと撥ねて、周りのいろいろなものが錆びる原因になる。筆者は飽和溶液を使う。全く飛び散らない。音もなくハンダ付けが終了する。飽和溶液にするにはどうすれば良いかという計算例も示されたが、そういうことは考える必要はない。小さな瓶に結晶を入れ、少量の水を足せば結晶が残った状態で、上澄みは飽和溶液だ。どろりとしている。密度は大きい。溶かしたときに濁るのは、水道水に溶けている空気の行き場所がなくなるからだ。放置すれば消える。粘りがあるから浮き上がるのに時間が掛かるが、次の日には消えている。

soldering aid (2) さて、押えの方法だが、ほとんどの方はクランプを使っていらっしゃるようだ。筆者はクランプも使うが、ほとんどの場合、この写真の補助具を使う。今野氏から要請があったのでお見せする。部品は撮影用に仮に置いたもので、他意はない。この設計では鉛の錘の3/4以上がワークに掛かる。押えの先端は平面にして丸く面取りしてある。傷をつけないようにである。

soldering aid (4) このアイデアは、昔アメリカで50年代の古いRMC(Railroad Model Craftsman)を読んでいて見つけた。鉛の付いている部分は針金をつぶしておいて鉛を鋳込んだが、長い間には外れてしまった。特に落とすと一発で壊れた。数年前に作ったのはこれで、鉛をブロック状に鋳て、それを鉄線の途中に付けた台にネジ留めした。壊れにくい。足はブラスで良いが、長い針金はブラスではもたない。Φ4の亜鉛引き鉄線である。熱を伝えにくいというのも、利点ではある。5円玉は大きさの比較用である。

soldering aid (3) 鉛は400 gである。平たくしたのはさらに錘を載せたい時があるからだ。ここで載せているブラス塊は380 gだ。 クランプ締めでは正確に保持するのは意外と難しく、押えるべきものの片方しか、力が掛かっていない場合がある。すなわち、断面が二等辺三角形のハンダが存在することになる。

 この重力による押えはなかなか具合が良く、お勧めしたい。作るのはわけない。鉛の錘を作るのには手間が掛かるが知れている。ブラスの塊でもよいのだ。後ろの2本の足はもう少し広げると安定が良くなるが、作業台が広くないのでこの程度で満足している。

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2016年05月04日

ハンダ付けのテクニック

 ハンダの見えないブラス車輛について書いたところ、複数の方から質問があったので、説明させて戴く。
 大阪の某有名模型店の店先にそれは飾られていたが、全くハンダの色が見えなかった。同行した友人が、妙に感動していたので意見を聞くと、「あのテクニックはそう簡単には習得できない。大したもんだ。」という話だった。

 筆者は、「壊れやすいから感心しない。」と言うと意外そうな顔をした。
「どうして壊れると思うんだい?」
「だってさ、ハンドレイルなんかは折り曲げてチョイ付けなんだと思うよ。持ったら撓んで、ハンダが緩むよ。」

 友人は意外そうな顔をした。「持つ時、そんなに力を入れないよ。」
「でもね、何度か持つと壊れるよ。」
「じゃ、あれは静態保存ということなのか。」
「たぶんそうだと思うよ。」

soldering おそらく、断面はこうなっている(A)。こうしないとハンダの色が見えてしまう。Bのようにすれば、ちらりとハンダが見えるが、丈夫である。そう簡単には壊れはしない。この方法が正しいはずである。ハンダが見えるのを嫌がるというのは、筆者には理解しがたい心理である。Aでは、ハンドレイルの上を持てば、ハンダが剥がれる方向に力が掛かる。

 筆者はOゲ―ジを楽しんでいるので、重い車輛を持つとき、いつも細心の注意を払う。ハンドレイルが剥がれると腹が立つ。祖父江氏のところからの模型はすべてBの方式を採用している。線材は良いが、板を付ける時は、隙間に閉じ込められたフラックスが洗いにくい。全面ハンダ付けをしていれば、歯ブラシでひとなでするだけで完了であるが、チョイ付けでは洗いにくところもあるだろう。
 

2016年04月30日

ハンダ付けフラックス

 先日の記事で、飽和溶液を使うと跳ねないということを書いた。我が国では薄めて使うのが常識になっているようだ。

 40年ほど前、ある実験で、筆者は何を熱媒体とすべきかを調べていたことがある。例えて言えば、鍋の中に加熱したいものを入れて直接煮るのではなく、何かの液体を入れて、二重鍋で間接的に加熱する方法を調べていたのだ。
 水では100℃で沸騰が起こる。てんぷら油では200℃くらいまでは平気だ。それ以上になると、あまり良いものがない。危ないが、濃硫酸を熱媒体に使うと、300℃まで大丈夫だ。もっと高い物は、ハンダなどの熔融金属を使う。その中で塩化亜鉛飽和水溶液が320℃まで大丈夫だという文献を見つけたのだ。やってみると本当に沸騰しないが、ガラスのビーカはその温度では少し変形した。

 ハンダ付けは実質的に300℃以下で行われるから、跳ねないハンダ付けができる。ハンダは金属の隙間を埋め、完璧に付く。洗うのは水中で歯ブラシでこすれば完璧だ。飽和溶液は空気中の水を集めるから、徐々に薄まる。だからこそ結晶が下に沈んでいる上澄みを使うのだ。小さいスポイトを使って吸い出す。

電気機関車の作り方 このコピィは、山北藤一郎氏の「電気機関車の作り方」という本の一部である。水で薄めている。塩酸に金属亜鉛を溶かしているから、飽和溶液にはならない。そのままでも薄いが、さらに薄めてしまっている。
 どうもこの辺に薄めるという操作のルーツがありそうだ。いろいろ調べているが、濃いのを使うという記事はまず見ない。
 

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2016年04月06日

続 ハンダ付け用フラックスの仕組み 

 最近は塩化アンモニウムを含むものが出てきた。筆者はこれを入れることもあるが、入れないことの方が多い。塩化アンモニウムは分解しやすい化合物である。加熱によって200 ℃以下で分解してアンモニアと塩化水素になる。アンモニアは50℃以上では水の中に溶けていられないので、すぐに放り出される。すなわちアンモニア臭がする。アンモニアの分子量は小さいので、直ちに拡散し、どこかに行ってしまうが、臭うこともあるだろう。

 化学式を出すと拒否反応を示す人もいるので、日本語で説明する。

  塩化アンモニウム + 水   ⇄   塩化水素 + アンモニア↑

という、どちらにも進む反応(化学平衡)がある。高温ではこの平衡が右にずれる。そうすると、ガスが発生して(↑で示している)右辺の物質がなくなるので、右辺の物質(ここではアンモニア)を生み出す方向に平衡が移動せざるを得ない。すなわち塩化水素が生成するのでハンダ付けが容易になる。
 
 残った塩化水素は先回の説明のように、金属表面をきれいにするが、多少はガスになって飛び出す。すなわち、外でやるべきだ。室内では包丁が錆びたり、アルミ・サッシュが傷む元になる。塩化アンモニウムが入っているものは、とにかく多少臭う。 

 面倒なことをたくさん書いたが、塩酸の代わりにあまり臭いがしないものを使っているということである。
  

2016年04月04日

ハンダ付け用フラックスの仕組み

 今野氏のブログでフラックスの話が出た。ご指名で少し解説をさせて戴く。
 
 ハンダ付けをするには新しい金属面を出さねばならない。そこに融けたハンダが接触すれば、合金化が起こり、金属結合ができる。以前にも書いたが、それはアメルガメイションであり、スズ特有の性質を利用している。
 新しい金属面が出ればハンダ付けが可能だから、酸化されやすいアルミニウムもハンダごての先でがりがりと擦れば、ハンダ付けが可能である。もちろんこの操作は融けたハンダの池の中で行わねばならない。すべての面を均等に擦って新しい金属面を出すのは、かなり難しい。そこで超音波などを当てて、酸化被膜を壊すわけだ。工業的にはこの方法を採っている。

 相手がブラスや鉄の場合には、ある程度の酸化被膜を取ってから、フラックスを塗ると、酸性であるから酸化被膜が溶ける。そういう意味で、塩基性のフラックスは考えにくい。通常の金属の中では、亜鉛、スズ、鉛程度しか塩基と反応するものは無いし、その反応速度も極端に小さい。

 プロは塩酸(塩化水素という刺激のある酸性の気体を水に溶かしたもの)を用いる。塩化水素という気体は水分子と強く結びつくので、 塩酸は高温でも塩化水素がかなり逃げ出しにくい。 しかし多少は飛び出してあちこちの金属類を錆びさせる。塩酸は金属酸化物をよくぬらし、ハンダが浸み込むのを助ける。
 塩化亜鉛はどうだろう。塩化亜鉛の飽和水溶液は、その沸点が300 ℃を超える。ということは蒸発しない。これを用いれば、ハンダ付けの時に飛び散ることがないはずだ。塩化亜鉛はわずかに加水分解して、酸化亜鉛と塩酸になる。このうちの塩酸がフラックスの効果を発揮する。酸化物を溶かして、新しい金属表面を出すのだ。塩化水素は少量しか発生しないし、直ちに金属酸化物と反応するので、飛び出す量は少ない。すなわちあまり臭いがしない。

 ここで大切なのは飽和溶液を使うことだ。ほとんどの方は薄めて使うとおっしゃるが、本当はそれは正しい用法とは言えない。 結晶が沈んでいる上澄みを使うのが良い。少量でよいのだ。薄めたものは沸騰するから、ビチビチと飛び跳ねて、周りのものが錆びる。沸騰して水が飛んでいくと、飽和溶液になって安定化する。すなわち薄めると、大半が無駄に飛んでいくのである。飽和溶液を使うと、跳ねないことに気が付くだろう。
 しかし、場合によって弾かれてしまうことがある。それは下地処理が不十分なのだ。界面活性剤(要するに洗剤)を少し足すと、ぬれを良くするから、フラックスが良く付着するようになる。筆者はトイレの酸性洗剤を一滴足すが、これは妙な香料が入っていて、臭い。
 筆者は、塩化亜鉛を使うハンダ付けする時は必ず外のデッキの上でやる。家の中でやると、鉄レイルが錆びる。         

2016年03月09日

側線を敷く

track gang 最近は側線の敷設に掛かりきりだ。プリント基板(ガラスエポキシ)の短冊を枕木とし、それにレイルをハンダ付けして分岐器を作る。ハンダ付けする枕木は数本おきである。その枕木の抜けた部分には木製枕木を貼り付ける。
 いつもこの格好で作業している。この薄汚い褐色のジャケットはUPで作業用に支給される物だ。Tom Harveyにもらった。Union Pacificのロゴが入っていたが、それはもう剥がれ落ちた。帽子は亡くなったLorell Joiner氏にもらったものだ。

 簡単な作業のはずだが、いくつもの面倒な作業があり、1日1つ出来れば良いほうだ。三枝分岐は4日も掛かっている。 路盤の高さがあるので、脚立に跨っての作業である。だんだん奥に行くので、そのうちに路盤に寝そべってしなければならないかもしれない。そういうときは線路を保護するように、何かの養生板を敷くことになろう。
 アメリカでよく見るのはこれだ。既製品もあるし、自作品も見たことがある。博物館では、線路の周囲に透明プラスティックの保護板を付けるので、これは使えない。ただ、工事中には役に立つだろう。ただし、足元にスペイスがないと押し込むことができない。 

 ハンダごての持ち方に注目してほしい。先が小指側に来ている。こういう方法で持たないと、先端に力が入らない。熱いこてをレイルの下部に押し当て、一気にハンダの凝固点を越えさせるのがコツだ。もたもたしているとハンダがたくさん溜まってしまう。なるべく短時間にしないと、エポキシ基盤とは言え、銅箔が傷む。ハンダこては先端が平らな専用品だ。 

 尖端レイルの支持方式に悩む。故障が少なく、簡便な作り方で、そこそこの見栄えが必要だ。 使用頻度が少ない側線は問題が起こりにくいが、現在工事中の部分は機関区への通路で、重量級機関車が頻繁に通る。丈夫に作らねばならない。
 根元はリン青銅の薄板で作り、弾性を利用したヒンジである。尖端に近い部分にはリンクで結合させるが、一つでは途中が撓む。長年に亘って無事故で使用したいので、リンクを2、3箇所付けるつもりだ。

 当初はポイントマシンを線路下に内臓するつもりだったが、今後の保守を考えると、半露出とすべきであるという結論になった。

2015年12月23日

レイルボンド

114_4292 これが鉄レイルに取り付けたレイルボンドである。ハンダは先にレイルにつけておいて、撚り線をハンダメッキしたものを近づける。こてを熱くしてあるので、融着させるのは簡単だ。
 撚り線は友人のところでもらってきたアース用の裸撚り線である。いろいろな太さがあるので、ちょうどよいのを選ぶ。電気ドリルで撚りをさらに掛け、末端をハンダ揚げする。そうしておかないと良い形に成型できない。

 こうやって取り付けたレイルボンドを見て、「はみ出しているのはみっともないから、もっと細いのを使うべきだ。」ということを言った人がいる。レイルボンドは太くなければならない。電流が大きくてもレイアウトのすべての部分で電圧降下が起こらないようにせねばならない。饋電線は太くせねばならないのは当然だが、すべてのレイルで同じ電圧が保証されねばならないから、レイルボンドも太くあるべきだ。レイルボンドは2本のレイルをつないでいる。その他の接続部は力学的に繋がっているだけで、通電はほとんど考慮していない。この写真には写っていないが、すぐ脇で、下から饋電線が出ている。大切なのはハンダがよく付いていることだ。
 いずれ配線が完成したら、10 A通電したときの電圧降下を全線で測定する。大掛かりにやるのは簡単だが、最も簡単でスマートな方法を考えている。
 
UP7002 and a string of Pullmans この機関車で重いプルマンをたくさん牽いて坂を登るのはなかなか大変だ。下手をするとスリップする。本物と同じように、滑ったらスロットルを戻す。再粘着させて引上げるのは、面白い。プルマンはどれも1 kg以上ある。機関車を重くすれば摩擦力は稼げるが、それは筆者の哲学に反する。補重していない機関車でたくさん牽きたいのだ。
 

2015年12月17日

鉄レイルにハンダ付け

 今回のレイアウトでは勾配線に鉄レイルを使用している。それは良いのだが、電気接続のハンダ付けをどうするかで悩んでいた。一応の結論としては、レイルを外して所定の場所に塩化亜鉛を使ってハンダメッキして、元に戻して電線をハンダ付けすることになっていた。数本やったが、面倒であると同時に、所定の場所が少しずれたりすると具合が悪い。また、外に持って行って、塩化亜鉛をタワシで洗い落とさねばならないのは大変面倒であった。

 プリント基板用のヤニ入り糸ハンダを使って配線するのだが、ハンダメッキしていないところに間違ってコテを当てたところ、なんとなくハンダが流れるような気がした。常識としては鉄のハンダ付けは、ペーストなどではうまくいかないもので、塩化亜鉛などの鉄表面を溶かすものが必要であるはずであった。
 そこで、条件を良くしてみた。マッハ模型のキサゲ刷毛を用いてレイル側面を丹念に50回くらい擦り、溶剤スプレイ(ブレークリーンなど)で完全に脱脂した。コテを当てて加熱し、糸ハンダを差し込むと、見事にハンダ付けが可能であった。洋白レイル上とは異なり、さらさらとはハンダ付けができるわけではないが、よく着く。意外なことでとても驚いた。最近のフラックスはよく効くのだ。
 これで、レイルボンドは容易に接続されて、完全な給電体制が整った。レイル2本を接続し、そのわきで饋電線が給電する。
 すなわち、電流はレイル各1本分しか流れないことになる。

 偶然の結果からこの方法が見つかったのだが、実にうまく付くのでお勧めする。要点は表面を磨いて新しい面を出すことと、完全な脱脂である。
 しかし、ここにそのテクニックを披露しても、いったい何人の方が、鉄にハンダ付けをするのだろうかという疑問はある。
 

2015年04月26日

続々々 3-way switch

 先日、久しぶりにある友人に会った。彼は腕の立つ模型人である。
 
「ブログを読んでいるよ。最近はポイントを作る話だね。フライスを使えば訳なくできる。でもヤスリじゃあ難しいね。」
「そうなんだよ。僕も昔はヤスリで作っていたけど、結局のところ、尖端レイルの密着が悪くて苦労したよ。でもフライスがあれば楽だし、確実にできる。」

というわけで、しばらくは工作機械導入のメリットについて盛り上った。オークションを見ていると、小型フライスは安く出ている。しかも使用感があまり無いものもある。

「安いフライスだって、要は使い方次第だ。ガタがあっても送りの当たったところでダイヤルを廻してゼロにすれば、ちゃんと出来る。ディジタルスケールなんかなくても、何とかなるよ。ヤスリで削ったものとは大違いだ。ちゃんと平面が出るからね。」
「いや、最近はDROは安いからね。付けると労力が半減するよ。」
と、話は尽きなかった。

 お金を掛けなくても良いものは出来る。そのためには、素人は良い道具を使うべきだ。それが工作機械である。模型の価格以下で、旋盤とフライス盤が手に入る。材料はクズ屋で買う。そうすればいくらでも工作が楽しめる。

 彼は面白いことを言った。
鉄道模型をやる人はプライドが妙に高いのだ。助けを求められない人が多い。プラ模型の友達はそういう人は少ない。『これをハンダ付けしてくれないか。』という頼みはよくある。そんなものすぐできるからやってあげるよ。すごく喜んでいる。
 鉄道模型の人は誰も頼まないみたいだ。機械を持っている人に頼めばすぐできるのに、一人でやってうまくできないと、放置する。オークションでキットの組みかけが安く出ているだろ。出来ると思って買うんだろうね。でもできないんだろう。助けを求めればよいのに。」
「そうなんだ。そのためにクラブがある。伊藤剛氏は昔からそう言っていたよ。助けを求めれば、出来る人はいるはずだ。」

 その後、キットの組み立てについて話が進んだ。
「キットの組みかけ放置はもったいない。」
「そのことについてブログで書こうと思っている。キットを組める人は、結局のところ、スクラッチ・ビルディングが出来る人なんだ。」
「まあ、そういうことだね。」

 彼は安く買ったジャンク品を組み直して素晴らしいものに作り替える天才である。見せてくれたジャンクがどう変化するか、楽しみである。



2015年04月20日

3-way switch

 日本語では三枝ポイントという。一箇所で3方向に分かれるのは作りにくいし保守が大変だ。この作例のように前後にずれていると簡単である。これを tandem 3-way switch という。

3-way switch ヤードの途中で機関庫の方に行く分岐を必要としたので設計した。右方に行く曲線は半径2800mmである。先端軌条は円曲線とした。珍しいパターンである。Hはヒール、Pはポイント、Fはフログである。ヒールとは尖端軌条の付け根、ポイントは尖端の意味である。
 左方へは先端軌条が直線の8番分岐である。そのとりあいカーヴが2720mmであるので、それ以上の半径の円曲線なら、問題なく右に分岐できる。

 原寸大の作図をして、その上でハンダ付けする。やり方の基本はフログ位置を決め、ガラスエポキシの枕木にハンダ付けする。直線を先に付けて、後はゲージの矛盾がないようにハンダ付けすれば良い。

 この工作は3時間程度で終わった。ニッケルめっきは硬く、糸鋸が滑る。あらかじめヤスリで傷を付けておかないと時間がかかって仕方がない。また、糸鋸がすぐ切れなくなる。
 フログおよび尖端軌条はフライスで削いで、めっきを掛けてある。問題はストックレイルである。尖端レイルがきちんとはまり込んで隙間が出ないように、仕上げた。 

3-way switch 2 尖端軌条を結ぶリンクが付けてないので、保護のためテープで仮に押さえてある。枕木はガラスエポキシの基板である。安い店で大量に買った。所定の幅に切るには、超硬の丸鋸で切った。一部のガードレイルが付けてない状態で写真を撮った。
 枕木長さがやや飛び出しているものもあるので、卦書いて丸鋸で切り取る。



2014年06月06日

rail bond

 レイル・ボンドとは何か、という質問を戴いた。接着剤ではない。英語でも rail bond と言う。

 本物の線路をよく見ると、レイルを結び付ける導線がロウ付けされていることに気が付く。信号電流を流すのに必要だからだ。電化線の場合は、太い線を使って、走行用の電流を流している。その種の接続のことを言う。
 昔はそのロウ付けをアセチレン・トーチで行っていた。高温になるとレイルが焼き戻されて、ろくでもないことになる。最近は低温で融けるロウを使うらしい。ハンダほど低温ではないが、焼き戻しが起こらない温度なのだろう。専門家の解説が必要だ。

 模型の場合、昔はブラスレイルを使っていたのでレイル・ボンドが推奨されてきた。現在は、レイル自体の電気抵抗が問題になるので、あまり重要視されていない。一本ごとの饋電の方が大事だ。

 饋電線(きでんせん)のことを英語では feeder あるいは bus wire という。たくさんの電車に向かう電流が乗り合わせているという発想なのだろう。配電箱の中の銅の棒をbus bar と言うはずなのだが、電気屋さんは必ず「ブスバァ」と言う。近所に女性が居ると大変な事態になりかねない。このブスはドイツ語であって、オムニブスのことである。乗合自動車のことを意味する語だ。

bare wire フィーダには裸電線を使う場合がある。12 V 程度では漏電の心配がないからだ。写真はあまり良くない例だが、こんな具合だ。線路の下の構造材に孔をあけ、裸銅線を通す。目的の場所に給電できるから便利である。抵抗を最小にするために細い電線を巻き付けて、ハンダ付けする。この写真では部分的に被覆が剥いであるが、全て裸銅線を使うことがあった。最近はスーツケース型の分岐を用いるので、あまり見なくなった。



2014年05月21日

ハンダ付けした模型

 ブラスの板を切り、曲げてハンダ付けする。これが鉄道模型の作り方だと中学生のころから思っていた。筆者は、紙や木製の作品は少ない。過去20年くらいはプラスティック製の車輌がかなり入線したが、それまではほとんどがブラス製だった。運良く、安く手に入れたものばかりだった。

 ここへきて、ハンダ付けの記事が増えて様々な人からご意見を頂戴している。
「プラスティック車輌があるから鉄道模型が発展したのに、このブログではブラスのことばかり書いているのは云々」と仰る方もある。逆に、
「このブログでブラス工作に踏み切って、今ではかなりのことができるようになった。」というご意見もある。

 最近、吉岡精一氏とお会いした。吉岡氏はブラス工作の先輩である。今までに、色々なアイデアを頂戴した。氏は、このように仰った。
「真鍮で工作したことがない人が大半になれば、それは鉄道模型の死です。買って来たら、それでおしまいというのは鉄道趣味ではないでしょう。やはりある程度は、自分で切ってハンダ付けの工作ができるようにするべきです。それにはかなりの修練を積まねばなりませんが、やる必要のあることなのですよ。内野(日出男)君みたいにできる人はまずいないが、それに向けての修練は必要です。
大体ね、プラスチックの模型が、時間が経つにつれて脆くなっていくというのは、皆知らないわけじゃあないんだ。まあ、それを考えたくないんだろうね。」

 筆者も同意見だ。数百年の実績のあるブラスをハンダ付けした模型と比べると、60年ほど前に現れたプラスティック模型は信用できない。おそらく、世界中の博物館の中で、プラスティック製品を収蔵しているところはほとんどないのではないかと思われる。

 ブラス工作は絶えることはないと思うが、やや下火であるので、それを盛り立てて行きたい。 

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2014年05月19日

銅ブロックのハンダ付け

 ちょうどタイミングよく、甥から問い合わせがあった。仕事のことなので詳しくは書けないが、世界最先端のある装置に付ける電力供給端子だそうだ。

「伯父さんはハンダ付けうまいですよね。ひとつ教えて欲しいんですけど、厚い銅の電極と、ある銅合金を隙間なくハンダ付けするにはどうしたらよいのですか。」

 聞くと、その二つの金属塊(一つが筆箱くらいの大きさだそうだ。)を磨いてクランプで締め、ヒーターでくるんでハンダを押し当てたということだ。いくらフラックスが塗ってあっても、それでは駄目だ。

 何回やっても真ん中にハンダが入っていない空間ができ、電気抵抗が 数ナノオームくらいあるそうだ。それを何とかしないと先に進めないと言うのだ。どうやら、その職場にはハンダ付けの名人がいないらしい。

 早速次のような方法を伝授した。

Soldering thick copper electrodes1 磨いた銅塊にキサゲで「めくれ」を付ける。
2 二つの塊りにフラックスを塗り、クランプで軽く締める。
3 ヒータで温めて、ハンダの融点以上になったところでハンダを押し当てる。その時、重力を利用したいので全体を斜めに立て掛ける。

 要はほんの僅かの隙間がないとハンダが入り込めない。おそらく0.03 mm程度の隙間がベストであろう。合金層を作って固着する。それより厚いと、合金ができていないハンダ層が残るから、弱いし、長い時間経つと多少変化するであろう。タガネでも良いし、ポンチでも良い。多少のめくれがあれば、その隙間を容易に保つことができる。

 理屈を話すと良く理解してくれて、早速作業をやり直すと言っていた。そのうち報告があるだろう。

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2014年05月17日

「銅喰われ」という現象

 最近使われるようになった言葉である。世の中のハンダが、突然無鉛ハンダに切り替わってから出てきた言葉だ。

 ハンダ付けがなぜできるかということの、根本原理について触れた本はあまりない。以前このブログで扱ったアマルガメイションがそれである。水銀、スズ、インジウムなどは他金属と接触すると拡散し、合金を作り易い。他の元素では起こらないかと言うとそうでもないが、目に見える顕著な例を作りだすのがこれらの3元素である。水銀を使う人はいないが、インジウムを主体とするハンダは使われている。1000年以上も、鉛とスズの合金であるハンダは金属接合材として使われてきた。専ら銅合金を接合している。1000年以上前の遺物のハンダ接合がほとんど変化しているように見えない。それは鉛が入っているからであろう。

 鉛を含まぬハンダはこの15年くらいの間に業界を席巻してしまったが、果たして安定性はどうなのであろうか。まだ問題が顕在化していないが、そのうちに世界中で恐ろしい事件が起こりそうな気がする。コンピュータの暴走などが起こりうると思う。どうして1000年もの実績を捨てて、怪しい無鉛ハンダを使う方向に走ったのだろうか。ぬれ性も良くない。

 製造上では、コテの異常な消耗が報告されている。無鉛ハンダは銅を溶かすのである。それを「銅喰われ」と呼ぶのである。しかし、普段鉛ハンダのみを使う筆者は銅のコテ先が顕著に減った経験がない。Oスケールだから、HOの人の4倍ほどハンダを使っているはずだ。大半は炭素棒だが、たまには銅のコテも使う。ポイント作りには欠かせない。ハンダの中で銅がすぐ飽和するとも思えないが、次々と新しいハンダを大量に供給しないと溶けないだろう。HO以下の方がそれほどハンダを使うであろうか。筆者は年間500 g以下である。1年で棹状のハンダ1本を消費できない。

 鉛ハンダが銅を喰うのなら、銅の風呂釜などすぐに駄目になってしまうのであろうが、実際には長持ちする。 空釜さえ焚かなければ、数十年持つ。筆者の実家にあったのは、家を取り壊すまで30年ほど無事故であった。近所にあった職人の仕事場で、友人のお爺さんが丹精込めて作ってくれた美しい釜だった。筆者は幼稚園児であったが、その工作を横で毎日見ていた。リベットを打って留め、炭の上で加熱し、コバを丸めてカシめる。そしてハンダを流して隙間を無くすのだ。炭の上で予熱しておいて、焼きゴテでジュンと付けた。

 銀は鉛ハンダとよく反応することは、学生時代から知っていた。無線マニアはよく知っていることだが、銀を厚くめっきした銅線で高周波コイルを作る。それをハンダ付けすると、約1年で割れて来る。銀がハンダに移って来るのだ。それを防ぐために、予め銀を飽和させたハンダを作った。2%が良いと文献にあったので、その配合のものを作って、友人たちに分けたことがある。しかし銅についてはそのような話は見たことがない。十分長持ちしている。また、アマルガメイションは液体でないと起こらないというのは、勘違いである。
 アマルガメイションは鉄に対しては起こりにくいから、水銀の容器には鋼板を使う。最近のハンダゴテの先は鉄をめっきしてからハンダめっきしてある。鉄の層はハンダによるアマルガメイションを防ぐためである。無鉛ハンダが出てくる前から存在するから、その防止には多少の効果があることが確かめられたからであろう。
 

 ネット上の文献らしきもの(決して文献ではない)には諸問題があり、信用できないものが大半である。書いている人は専門家ではなく、思い違いなども多い。  

2014年05月15日

ハンダゴテの手入れ

 昔、ハンダゴテはアカエというブランドのものを使っていた。剣先型の鏝であって、使っていると先の方のハンダが付いているところはよいが、その直後の部分が極端に錆びて細くなった。仕方がないのでそこで切り落し、全体を成形して使った。その時、虫眼鏡で見て驚いたことに、鏝には無数に細かい穴があった。

 父が言うには、「安物のコテは銅鋳物のコテ先だから巣(鬆)が入っている。それを叩き潰さねばならない。」ということで、「貸してみろ。」と取り上げられた。

 火鉢の炭で焼いて還元し、金槌で丁寧に叩いた。そしてまた加熱して叩いてを繰り返した。その処理をしたコテは長持ちした。
「プロ用のコテは銅の角材から作っているから、持ちが違う。」と父は言った。「しかも炭壺に突っ込んでいるから、いつも還元されているんだ。」

 その後塩化亜鉛をフラックスに使うようになると、またもや尖端のハンダが載っているところは良いが、その直後が錆びやすかった。キノコのような形だ。どうやら保管中に錆びるようだった。塩化亜鉛の溶液が付いているからだ。塩化亜鉛は潮解性であって、湿気を寄せ付けいつも湿っているから、錆びてくるのだ。
 しかし水洗すれば簡単に取れる。試しに洗ってみたところ、錆びはほとんど完全に防がれて、コテ先が細くなることもなくなった。

 ハンダゴテは抽斗にしまいたいのだが、熱いと待たねばならない。水道の流水で洗うとたちまち冷えて、すぐにしまえるのが具合良かった。水気があると良くないので、尖端を完全に冷やし、ヒーター部は多少温かい状態でしまうと、水気が完全に飛んでちょうど良かった。

 叩くと加工硬化して腐食しやすくなるという説が出てきたが、それは常温で電解液に浸した時のことで、ここでは関係ない。加工硬化の効果は、釘を海水程度の食塩水にひたひたに浸すと頭と先だけが錆びるという現象を説明できる。しかし高温で水のないハンダゴテには適用できない。しかもハンダゴテの使用温度ではすでに焼き鈍されている。
 一方、釘の頭と先はカッタで切り、ハンマーで打たれているから、加工硬化しているのだ。

 他にもいくつかの説があるようだが、長持ちさせる効き目としてはを無くすこと、良く洗うことが大きく、他のファクターは無視できる。 

dda40x at 05:15コメント(0) この記事をクリップ!

2013年09月23日

続々々々々 Jim を訪ねて

Jim Harper resistance solderingJim Harper overhead sliding door
 Resistance Soldering のトランスである。99%の仕事はこれで行う。コテは電気配線用の40Wのものだけである。日本でも、もう少し普及するとブラス工作への躊躇が減少するはずだ。筆者が原価で頒布したが、実際には組み立てていない人が複数あることが判明した。せっかくかなりの労力を掛けて製作頒布したので、有効利用してもらいたいものだ。

 これは車庫のドアである。上のレイルに沿って引き上げられる。コイルバネでドアの重さをバランスさせているので、小さな出力のモータで巻き上げることが出来る。この家は既存の設計の住宅の一部を変更したので、隣の 2‐car garageとは壁で隔絶されている。小さい扉は3台目用なのだが、レイアウト・ルーム専用にしている。大きな材料を楽に運び入れることが出来るので具合が良い。
 我が家にも付けたが、ドアを熱絶縁性の高いものにしているので、空調時に熱が漏れにくい。気密パッキンを付けているので隙間風が入ることもない。閉めた時は、事実上の壁となる。 

Jim Harper backdrop

 バックドロップ(背景の下地)は石膏ボードで、目止めしたのち、単一色で塗る。薄い建物を貼り付けた後、空の部分には多少のウェザリングが施される。建物は1インチ(25 mm)しかないが、紙よりははるかに実感的である。
Jim Harper license plate
 ネヴァダ州のナンバープレートである。こんなのを申請するのは居ないから、すぐに認められたそうである。




2012年10月15日

GSC台車を作る

U30C 以前Alco U30Cのイギリス製のキットの紹介をした。それには台車枠が付いていなかったが、その後別の場所でその機関車用の台車キットを見つけた。多分同じ作者であろうと思った。軸箱寸法が珍しいサイズであるのに一致したからだ。その軸箱はソフトメタルで出来が悪く、捨てざるを得なかった。
 

 台車枠の形が良くないのである。色々な写真を見たが、同じ形のものはみつからなかった。すなわち造形上の問題であって、作り替える以外ない。厚い板から切り出して原型を作るつもりであったが、少し縦方向に厚みを足せばなんとかなりそうである。鋳縮みの分を見越して軸距離を足し、上下に貼り足した。車体キットがあまりよくないので、台車を精密に作る気はなく、遠くから見た時のシルエットが違わない程度の工作である。

 作業を始めて気が付いたが、この種の仕事はかなり面倒であった。全体をジグの中に入れて押さえ込み、ハンダを流して固め、それを削り出す。あとで少しだけと思ってハンダ付けを修正するとばらばらになる。
 水の中に半分沈めて炭素棒ハンダ付けをした。大変面倒で、やはり全面的に作り直すべきであった。

 出来た台車枠にSprue(湯道)を付ける。1台分だから4枚で良いのだが、どうせ手間は大して変らないので、2台分作った。いつか使う時が来るだろう。
 

GSC truck side frames 鋳物と原型を並べるとこの程度の違いがある。上から、台車キットのサイドフレイム、修正した原型、鋳物の順である。鋳縮みは2.2%強であった。

 台車キットのボルスタは奇妙な形をしていて薄いので、厚板から削り出すことにした。
 これで懸案のU30Cが一歩完成に近づいた。

2012年06月30日

続々々 Kleinschmidt Drive

COM_4353-2 これはGG-1の主台車・先台車である。先台車の復元装置は付いていない。筆者のアイデアを紹介すると興味深そうだった。
 Cogged Belt(歯付きベルト)で伝導している。十分に静かだ。

 スパーギヤで連動してドライブ軸を上げてあるものもある。ウォームで減速する前の段階で、スパーギヤを使うのは考え物だと言うと、歯車の精度次第だとのことであった。確かに組まれたものは静かだ。彼の説明によると、スパーギヤ軸のガタが騒音に大きく影響するそうだ。ほんの少しのことだがボールベアリングのガタが大きく響くらしい。だからギヤボックスのボールベアリングは、予圧を掛けてガタを全くなくしている。予圧はバネで与えている。
 筆者はほとんどの場合、チェインドライヴを採用している。彼は「高速軸では、チェインは静かだとは限らない。歯車の方を好む。」とのことである。

COM_4360-2COM_4361-2 GG-1の台車枠をハンダ付けするときのジグである。これはテキサスのDennisと同タイプである。各ブロックを嵌めて締める。そしてDennisはアセチレンガスで加熱してハンダ付けする。
 なぜアセチレンかということは説明していなかった。酸素アセチレン炎はとても小さい。すなわちよそに熱が行かないのである。付けたい部分だけを加熱するので安心であるからだ。

 Stuは炭素棒ハンダ付けを使う。「一瞬で終わるよ。」とのことだ。

dda40x at 06:30コメント(0) この記事をクリップ!
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