ロストワックス鋳造

2006年10月17日

続 鋳込み

centrifugal casting machine 熔湯に圧力を掛ける方法は大きく分けて次の四つである。
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何らかの方法で湯の表面に高圧の気体を接触させる。
C魴燭領側から真空ポンプで吸う。
け鷽肝呂撚,傾む。

〕侏散眤阿禄鼎い里如⊃爾気20cmもあれば水柱で1.5mくらいに相当する。表面の印象が気にならない構造用のものなら、これでも十分である。

∋科で行われた義歯の鋳造法のひとつである。融けた金属の液面を覆うように作られた蓋の内側に、アスベスト等を湿らせて入れておき、押し付ける。高温であるから急速に水蒸気が発生し、その圧力で熔湯が押し込まれる。この蓋を圧迫蓋(あっぱくがい)という。

これが筆者の採用している方法で、硬化したinvestment(埋没材)の中を多少の空気が通過するので、熔融金属を流し込んで型の下側を真空タンクに直結すると熔湯は吸い込まれる。
大物に適する方法である。真空タンクの容量が大きくないとうまくいかない。

せ慘悗覆鼻⊂物に適する方法である。investmentを詰め込んだステンレスパイプ(フラスコと言う)の前に置いたるつぼ中で、アセチレンバーナを用いて熔湯を作り、ばね等などに蓄えたエネルギで回転させ、遠心力を与える。
 
 あまり大きなものは回転させられない。カウンタ・バランスを調整しておかないと、振動して、事故の元になる。
 
 また、加速度が大きくないと意味がないので、その構造にはいくつかの工夫がある。これを「大きな金だらい風の容器」の中で作動させる。たらいの役割は融けた金属が飛び散るのを防ぐためである。写真はかなり大型の遠心鋳造機である。腕が折れるのは加速時に熔湯が飛び散らない工夫である。ぜんまいばねは極めて強力である。重力加速度の数倍の加速度がかけられる。


2006年10月16日

鋳込み

casting design
 ワックス型がたくさん出来たら、鋳造方案を考え、それに従って配置し、いわゆるツリィを作る。
 ツリィとは、ちょうどクリスマス・ツリィのように、幹から枝が生えて、そこにいろんな物がぶら下がった形を表す。


 写真は失敗作であり、お見せするのは心苦しいが、良い鋳造方案が出来た時のものである。何が失敗かと言うと湯(溶けた金属)の量が足らなかったので半分しか出来なかったのである。

 放射状についているのはタービン電気機関車のテンダ台車枠であったが、ちょうど半分で終わっている。悲しい限りである。

 このときの湯はベリリウム銅(以下ベリ銅と略す)である。ベリ銅は湯流れがよく、硬くて加工がた易い。しかし、ベリリウムの酸化物は吸い込むと健康を害する恐れがあり、加工時の被曝時間が制限されていたりして、日本では扱いが難しい。

 私はベリ銅の鋳造はテキサスの友人に頼んでいる。彼の家の裏庭から次の家まで、50マイルあるそうなので、排気を撒き散らしても全く問題ないそうだ。鋳造方案を絵に描いてワックス型を送ってやれば作ってくれる。地金は会った時にインゴットで渡してある。
 始めは、私の鋳造方案を見て、ぶつぶつ言っていたが、「確かにうまくできる。自分の鋳造の時も真似をしたらうまくできた」と評価してくれている。この頃、大物の鋳造時は、鋳造方案の相談を持ちかけてくれるようになった。

 鋳込む時は金属の表面張力で細かい所に流れないので、圧力を掛ける必要がある。この表面張力はかなり大きい。ハンダを融かした時、あるいは体温計の水銀が転がる時を思い出して戴きたい。型の細かい部分にはそう簡単には入らない。

 圧力を掛ける方法は4つある。

2006年10月15日

鋳造方案

wax injector 鋳造方案(casting design) という言葉を御存知の方は少ないだろう。

 湯口から流し込まれた熔解金属は鋳型の末端まで融けたまま流し込まれて固まる。そのとき冷え方が急で、金属結晶が析出しながら流れると粗雑な鋳物になる。温度が高すぎると固まるときに縮んで皺が入ったりひびが入ったりする。

 理想的なのは、末端に入ったときは融けているがやがて固まり始め、続々と融けた金属が注ぎ込まれて、固まるときに体積が減った分だけ補充されるようにすることである。

途中に体積の多い空間(湯溜り)を作り、融けた金属がそこに十分にあれば凝固に伴う収縮を補償するという考え方もできるし、先端に行くほど細くなるようにすればよいという考え方もできる。

 簡単に言えばそうなるがこれは非常に難しい。このようなことを考慮して、よい鋳物を作るように湯口を決め、押し湯(融けた金属が高く注ぎ込まれて、圧力が掛かるようにすること)、湯溜りを決めることを鋳造方案という。

 現在でもこの鋳造方案の完全な決定法はない。鋳造現場の技術者が指示する。鋳造方案を考えるだけで一生を費やすほどの難しい仕事である。スーパーコンピュータがあっても解決することではないようだ。これはある程度の指針を出すソフトである。

このなかにタービン鋳造時の湯流れをシミュレイションする動画がある。これは押し湯を大きく取る工夫をしている。

 実際の湯流れはこのように単純ではないらしい。



 写真はワックスをゴム型に注入するときに用いる注型機である。保温しながら圧力を掛け、ゴム型を押し付けると瞬時に注入される。ノズルに工夫がある。

2006年10月14日

印象を採る

a74fd4bc.jpg 一言で印象を採るといっても、極端な格差がある。機械部品の場合は表面が多少粗雑でも問題ない、歯科の技工の場合は噛み合わせの問題があり精度が要求される。
 さらに高精度な印象採取に挑まれた方がある。

 N社の最高顧問のO氏である。O氏は25年ほど前、クライスラ社からの依頼でレザーそのものの感触を持つ自動車のステアリング・ホイールを作られた方である。また布地そのものを印象採取して、金型に転写し射出成形することができるようにされたのもこの方の業績である。また。当時出始めていた、ターボ・チャージャのタービンの鋳造も、この方の指導のもとでなされた。セラミック・タービンはO氏によって開発された。

 運のよいことに、御子息の紹介で弟子入りがかなった。シリコンゴムによる印象採取の基本的な理屈はこの方から教わった。また、高性能な電気炉を自ら設計製作される方で、それもお世話願った。熔解炉もO氏自ら作って下さったものである。

 O氏の下で1年ほど教えていただいた。その間見せて戴いたヴィデオの中に、ロストワックスがいかにに高精度に出来るかというデモンストレイションがあった。フランスのVTRである。ピストルを鋳造し、そのまま湯口が付いている状態で組み立てて、発射するというのがあった。これには驚嘆した。

 これは何を物語るか。
  |鮟未澆蓮∩瓦謄灰鵐肇蹇璽襪任る
  ▲優厳蠹まで全て鋳造で可能であること
  8λ瓩靴覆ても鋳肌そのものを平滑にすることが可能であること 

 模型用では専ら外装部品しか必要でないが、この技術が適用可能であるなら蒸気機関車のフレイムを一体鋳造することは不可能ではない。全てのネジ穴もネジが切ってある状態で鋳造することができれば面白い。本物の鋳鋼台枠を再現するのである。
 それにはかなりのリサーチが必要であるが、将来やってみたいことの一つである。

 熔解する温度、鋳型の温度管理が大切であるのは言うまでもないが、もう一つの困難がある。

2006年10月13日

原型からゴム型を作る

ea687956.jpg 原型は何で作っても良い時代になった。以前はハンダ付けでは駄目で銀ロウ付けをしなければならなかったが、技術革新で楽な時代になった。

 まずブラスなどで作りたいものの3%ほど大きい原型を作る。この3%は「鋳縮み」という。このとき湯口(融けた金属が通る道筋)をどこにするか決めるのだが、それにはかなり面倒なことを考えねばならない。鋳縮み量は形によるので、一概には言えない。

 それを生ゴムとともに箱に押し込み、圧力を掛けて160℃くらいに加熱する。すると生ゴムの「加硫」という現象が起き、柔らかい生ゴムが弾性体になる。この装置は電気アイロンとクランプで自作できる。それをナイフで切り開き、原型をつくる。切り開く時は、後でずれないよう、ジグザグに切る。

 加硫の温度が200℃であると、ハンダが融ける場合があるので、銀ロウ付けをしなければならない。そののちに、より低温で加硫できるようになり、ハンダ付けでもよいことになった。

 現在はRTVといって、室温(Room Temperature)で加硫(Vulcanize)できるシリコンゴムが主流になっている。これを使えば、相手がプラスチックでも印象をとることができる。いくつかのブランドが日本製にもあるが、筆者はフランス製のものを使っている。寸法変化が少ないのと弾力が桁違いに良いからである。

 そのゴム型を開いて空気抜きのパウダーを塗る。ゴム型からワックス注入時、空気が抜けやすくする。ゴムの隙間から空気が抜けるが、ロウは抜けない。このパウダーの塗り方にもいろいろなノウハウがあるようだ。

 ワックスを融かして圧力を掛け、ゴム型に注入する。このときゴム型が変形しないよう、うまく押さえ込みながら入れるわけである。この操作をWax Injectionといい、専用の機械がある。ノズルが非常にうまく出来ていて、押すと瞬時に注入される。ゴム型が冷たければロウは数秒で固まる。ロウはいろいろなタイプがあるが、固まったとき硬くなるタイプを用いると、プラスティックで出来ているかの如くパリパリのものができる。また、固まっても柔らかいものもある。ロウは何種類もある。
 
 中空のものを作る時は工夫して、中子(なかご)を抜くように作る。写真は、その中子の丸棒付きのゴム型である。灰色の台ごと外して、ロウ型を抜き取る。

2006年10月12日

ロストワックス鋳造法

Billの工房 錆について書き始めたら、読者数が3割以上も増えたので驚いている。また、いろいろな方からコメント、メイルを戴き、感謝している。

 取り挙げる内容についてはいくつかリクエストもあり、その順に書いていく。
 
 最初の頃のロストワックス鋳造の話を読まれた方から、もっと詳しく書くよう要請があったので、しばらくはその話をしたい。

 ロストワックスは熱によってロウを流し出して作った空隙に、融けた金属を流し込む鋳造法である。厳密にはinvestment鋳造法という。investmentとは詰めたものという意味である。ここでは石膏などの材料をいう。

 まず、このウェブサイトをご覧戴きたい。これは宝飾用銀製品を作る方法を示している。ただ、テクニックを紹介しているだけで、技術的なことは何も明らかにされていない。写真を見て判ることは、ピンクのロウを加工して造形し、埋没材(investment)に埋め、乾燥、加熱してロウを流し出す。焼成して熱いうちに融けた銀合金を何らかの方法で強制的に流し込み、その後、その鋳型ごと水中に投下して破砕する。磨いて出来上がりというだけである。

 技能的にはこれでよいが、技術的にはかなりの工夫が必要である。わが国では「技能」という言葉と「技術」という言葉が混同されている場合が多い。殆どの場合「技能」と言うべきところを「技術」と表現しているように感じている。

 「技能」は経験のあることを間違いなく実行する能力であり、「技術」は経験のないことまで、持っている知識を活用して演繹する能力である。いわば、科学的思考力を用いて見えない山の向こうを透視する能力であるとも言える。

 
 鋳造ほど難しいものはないと思う。筆者は3人の優れた鋳造技術者に出会った。
 最初はBillである。彼は「一応大学には行ったのだ。でもあそこで教えることは知っていることばかりで、意味がなかったからやめたよ。」と言っていた。確かに金属加工、鋳造、鍛造については大変な知識の持ち主で、新しい情報も雑誌で得ていた。何を聞いても、非常に筋の通った答が返ってきて、いつも感心した。
 プラスティックを使った鋳造法はかなり古くからやっていたようだ。

2006年09月30日

E8の前頭部

49c882ae.jpg この写真はフロリダのBob Smith氏のロストワックス製前頭部である。日本では考えられない青銅(ブロンズ)製の鋳物である。

 どういうわけか、アメリカではブロンズ製ということが謳い文句になっている。ということは、ブラス製より高級感があるように感じる人が多いということだ。

 最近見たディーゼル用台車の軸箱は、わざわざブロンズ製と書いてある。軸受けにはブラスより適する、という気持ちが強いようだ。 

 この前頭部の鋳物を始めて見た時は、砂型鋳物かと思った。しかしよく見ると、埋没材(砂の代わりのセメント状の鋳型)は細かく、細部までよく鋳込まれている。表面が梨地になっているので、サンドペイパでざらつきを落とせばぴかぴかになる。

 先日のE8の前頭部を外して取替えることになっている。キャブ・ドアがないのでこれは新製する。その下の梯子も、形よく作り直すつもりだ。この程度のことはわけなくできる。

 問題はスカートで、ブラス製ロストワックス部品があるがUPの形ではない。一部作り変えるぐらいなら全部作った方が楽かもしれない。60年代までは、スカートのなかに連結器を隠したタイプもあり、それもなかなかよい。

 このE-8はCity of Los Angelesの14両編成の先頭に立つもので、ある程度は時代考証をしておきたい。客車の方は半分以上出来ている。もちろん、フルブラス編成である。今、荷物車をスクラッチビルドしている。これもあと一年以内に塗装までもっていける予定である。

2006年08月25日

ロストワックス屋はいくらでもある

99acf7ef.jpg これがその内側である。
 当初は本物同様、内側も作って箱型にしたのだが、埋没材を掘り出すのに苦労して、そのアイデアは放棄したそうだ。本物ならば、内部の砂を掘り出すのは手仕事なら可能だが、模型ではそうは行かない。
私が後に試した方法は、歯科用のウォータ・ジェットで掘り出す方法であるが、大変手間が掛かる。写真をご覧になるとお分かりかと思うが、歪みを抑える骨を配置してある。また、左右の台車枠を結ぶ骨は、動力機構を配置するために外してしまった。やろうと思えば簡単にできるのだが。
 
 日本では、ロストワックスは歯科では当然の技法であったが、模型の分野ではそのノウハウは秘匿されていたと言っても言い過ぎではないだろう。筆者は親戚に歯科医が居たのでその仕組みは子供の頃から知っていたが、鋳造の現場は見たことはなかった。あったかも知れないが意識の外にあった。
 アメリカのある程度の大きさの町なら、必ず宝石屋には指輪などのワックス型が並び、それを選んで好みの貴金属で鋳造し、石を嵌めるようになっている。鋳造はアルバイトで家庭の主婦がやっているところもある。要するに誰でもロストワックスの特注は可能である。Billの工夫は、そのロウ型をプラスティックに置き換えたところである。しかも、その型は自分で彫り出したものである。

 ただしブラスの鋳造はやや難しい。亜鉛という蒸発しやすい成分が含まれているからである。青銅なら簡単であるが、色の点で好みが分かれる。ブラス色が欲しければ、真鍮めっきをかけるという方法がある。鋳造用のブラスは成分が青銅にやや近くなっている。
 しかし塗ってしまえば問題は根本的に解決するのだ。

 その後、一念発起して、ロストワックス・プラントを設備した工作室を作った。しかしこれは住宅地でやるのは、煙の問題などの無理があり、最近は稼動していない。近々、田舎に設備一式を移す予定である。

2006年08月24日

ワンピース・キャスティングによる4軸台車 

0cc6b047.jpg これがその台車である。写真があまり良くないので、細部がよく分からないかもしれない。ご覧戴く方には申し訳なく思う。すでに組み立てられているので、この写真しか残っていないのである。
 
 本物と同じくワンピースであり、DD35A用に作られたものである。中間の2軸はぺデスタルの最下部にスリットが切ってあり、軸箱の抜け留めを差し込むようになっている。もちろんスプリング可動である。軸箱の上部はスプリングを受けるスプリングシートも付いた本格的なもので、組み立て完了時には重量感あふれる構成となる。

 台車の後ろにぶら下がっている棒状のものはトラクション・モータの支えである。いずれダミィのモータを取り付けるときには、役に立とう。
 蝋(ロウ)を用いて作った型より堅く、曲がることもない。均一な厚みでできるので出来上がりがシャープである。いずれ蝋型の台車もお目にかけるが、かなり違った仕上がりである。

 

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