旋盤

2022年10月11日

続々々 内野日出男氏の工作

 内野氏の工作の上手さは、糸鋸、ヤスリがけ、旋盤、ハンダ付けである。要するに、金属加工の本質を深く理解しているということ以外には、筆者は何も言うことができない。   
 内野氏がどのようにしてそのような能力を身に付けたのかは、よくわからない。ご実家はその種の仕事をしていたわけではない。特定の誰かからテクニックを学んだということでもないようだ。翻訳家の日吉菊雄氏とは、家が近くで親しかったとは聞いている。

 遺された工具類を点検すると、全てのヤスリのsafe edgeは見事に研ぎ上げられている。旋盤も良いものだが、特別なものではない。
 糸鋸は荒い目の物が多い。#1程度の刃がたくさんある。これでステンレスを切ると、かなり早く切れる。糸鋸の枠も極めて普遍的に売っているもので、特に変わりはない。

 筆者も若い頃は目が良かったので、糸鋸加工は得意だった。内野氏達と話していたとき、ケガキ線に沿って切るとき、どこを切るかという話で盛り上がった。内野氏が「ケガキ線を半分残すんだ。」と言ったので、皆が納得したことを思い出す。

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2022年04月21日

続 高性能な車輪

 先週、クラブの例会に行ったときのことである。走っていたある電車の音が異常に小さい。ガラガラ走る車輌の中で、その静かさは際立っていた。しかも全く揺れを感じない走りだ。どこの車輪を使っているのだろうと持ち主に聞くと、「あなたの車輪ですよ。」と言われてしまった。それなら納得である。

 同じようなことが、昨年の静岡のトレインフェスタでもあった。非常に静かに、安定した走りを示す電車が、OJゲージの線路を走っていた。全ての車輌が異常に静かなのだ。OJでこんなに静かなのは初めて見た

 OJの車輪は自分で挽く人が多いので、高性能のCNC旋盤による車輪踏面の仕上げ面とは、やや異なる。卓上旋盤のスピンドルの精度は、一部の特殊な例外を除いて、決して高くない。2/100 から 3/100 mmの振れはある。筆者の車輪の振れは、1/100 mm以下である。数あるCNC旋盤の中でも、最高の性能を持つものを使用しているからだ。こういう理由で、音の差は明白で、走行安定性の点でも無視できない差が生じる。車輪や歯車は、作る工作機械の精度がそのまま製品に現れるから、工場を選ばねばならない。Low-D車輪を作る工場は、三菱のジェット機が失速して、廃業してしまった。困ったことになったが、ある方の紹介で、良い機械を持つ工場を紹介してもらえることになった。

 さて、そのOJグループの人に聞いてみると、「ある方が非常に安く作ってくれたので、大量に買いました。どうしてそんなに安く、良いものを売るのか不思議です。変わった方ですよ。普通では考えられないことです。」と言った。
 そういえば前の年に、そんな注文があったことを思い出し、名札を見せると、彼らはとても驚いた。
「変人かも知れないですね。ただ、これを広めたいだけですよ。」
と言うと恐縮していた。ともかく、当方の目的を達していることは確かである。OJの車輪は、吉岡精一氏の設計により、バックゲージは21.5 mmである。

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2022年03月30日

旋盤と縦フライス盤

Myford ML7-R 素晴らしいマイフォードがあった。45年ほど前に買って、30年ほど使ったものらしい。丁寧に掃除してあり、錆一つない。新品同様と言ってもおかしくない。

 マイフォードは、イギリスでは中古の市場が確立されている。部品の供給もあり、おそらく半永久的に使えるだろう。

 筆者も欲しかったが、別のものを入手してしまった。それで満足しているから、今更更新しようと思わない。スタンド込で約150 kgはあるから、それほど簡単には動かせない。屈強な大人2人で、吊り出せるかどうかである。そのあと、トラックに積むには、フォークリフトかユニック(小型クレーン)付きの車が必要だ。

milling machine 他に、ベッド長500 mmほどのフライス盤がある。送りのガタは感じられない。台湾製とあったが、日本製と遜色ない。いわゆる中華製ではない。これは重そうだ。作業台の上に載っているから、移動の仕方を考えねばならない。
 鉄パイプにロープを掛けて、4人で持ち上げるのがやっとだろう。3脚を立てて、チェインブロックで動かすべきだろうか。

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2022年03月24日

またまた Unimat SLの到来

 最近、遺品の始末について、ご遺族から問い合わせが多い。あまり関わりたくないが、「是非に」と指名して来られると、お断りするのは難しい。いよいよ應迎寺住職として永代供養をせねばならない時期が来たのかも知れない。

 先日も呼ばれて、かなり遠方に行った。故人は金工職人だったので、趣味で作られたものとは言え、素晴らしい作品があった。その行き先を探して差し上げるわけだが、機械、工具類も素晴らしい。どれもピカピカに磨き上げられ、50年以上使っていたとは思えないものばかりだった。素晴らしいマイフォードの旋盤と500 mmベッド のフライス盤(約200 kg)があった。どなたか興味のある方は、連絡されたい。筆者も20歳若ければ、手を挙げたかも知れない。条件としては、自力で土間から運び出して、トラックに積み込めることである。チェイン・ブロックが必要である。

 小さな工具類はどうぞお持ち下さい、とのことで、戴いて来たものがある。小物を作るのにユニマットSLを愛用していたそうだ。このユニマットは、最近は人気がなく、引き取り手が見つけにくいことはお伝えした。 
 かなりの改造が加えられ、使いやすくなっている。また、切り粉受けが付けられている。この機械はかなり古い。極めて初期のものである。ネジ切り装置を移植できればと思った。

unnamed 移植後の姿がこれである。簡単に組み換え出来た。ハンドルはアルミ合金で作ってある。プラスティック製は劣化するが、これは変化しない。初期型だけである。引き出しは、自作である。とても手際よく作ってある。

 チャックやライヴ・センタは防錆油漬けになっていたので、新品同様に輝いている。

 ネジ切りを外した機械は、とりあえず、糸鋸盤に改装してみる。オリジナルの設計では役に立たないので、少々工夫をせねばならない。


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2022年03月10日

z軸 ハンドル車

 フライス盤のz軸のハンドル車取替えた。握りのM5ネジをM6に切り直し、太いものを使っている。回転する握りは力が入れやすい

Z axis hand wheel (1)Z axis hand wheel (2)Z axis hand wheel (3) まず最初にセンタドリルで凹ませ、8 mmのドリルで貫通させる。次にボスの厚みが大きすぎるので、ナットを締める部分を中グリして 5 mm凹ませる。快削材であるから簡単である。

Z axis hand wheel (4) 次に三爪チャックの爪を中外逆にする。このBisonの爪を逆に付けるのは非常に簡単である。正面からネジを緩めて逆にするだけである。普通は、爪を抜いて順序を替えて嵌め直さねばならない。面倒であるし、その順番が思い出せないと困る。
 このバイソンの爪は非常に正確に出来ていて、極めて簡単に所定の位置に嵌まり、ガタがない。センタを合わせておいて、逆に付けてもセンタが出ているのは大したものである。

Z axis hand wheel (5) アルミ板を挟んで締める。ボスの部分を突っ切るのであるが、銜える深さがやや足らない。センタを押さえないと外れてくる可能性が高いから、回転センタで押さえて廻す。



Z axis hand wheel (6) キィは 3 mm角 であるから、フライス盤で切って嵌め込めば出来上がりだ。径が大きくなったので、廻すのが楽である。



 読者諸氏も、壊れる前に改良されると良いだろう。掃除を入れても、1時間足らずの仕事である。  

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2021年12月20日

コレット と 割出盤

 コレットが2つ付いていた。Φ4 と Φ6 を掴むものだ。ERコレットに似たサイズだが、取り外し用の溝がない。
 試しにERを嵌めてみたが、しっくり来ない。少し長いのだ。この旋盤専用のコレットを売っていたようだ。売れた数が多いので、その種の中古市場で手に入れたい。


Indexingindex teeth 割出装置があった。どういうわけか48分割一つしかない。奇数、素数のインデックス・プレートが欲しい。



 レーザで切り出して 、割り出し板を作ってみたくなった。17分割とか23分割のインデックスがあると面白そうだ。問題はホブである。インヴォリュートのホブを手に入れたい。
 おそらく、まともな刃物屋で作ると、17枚用と23枚用は歯形が異なるはずだ。高そうである。

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2021年12月14日

ユニマットの品質

 1960年代から、ユニマットは雑誌に載っていた。子供の小遣いではとても買えないものではあったが、いつかは手に入れようと思った。    
 1970年代になり、Myfordを持っていた人が薦めたので、イギリス製を買うつもりであったが、思わぬことでオーストラリア製の小さな Sherlineを買ってしまった。アメリカに代理店を持っていたためだ。それには、いくつかのアタッチメントを付けて補助機として便利に使っていたが、貸出し先の神戸の友人宅で地震により壊滅した。

 80年代にアメリカで小型旋盤を手に入れ、Bill Melis氏の指導のもと、様々なものを作って楽しんだ。その後、日本に持ち帰って部品を取り替え、現在に至っている。

 その後ユニマットを見ることもなく過ごしてきたが、吉岡精一氏の遺品のユニマットを動かしてみて、その精度には驚いた。スピンドルの振れの無さ、各部のガタの少なさ、チャックの締り具合が最高である。
 その頃には粗悪な中国製の旋盤が上陸していたが、それらは比較の対象にもならない。国産品、米国製と比べても上回る精度であった。中でも、付属していたフライス用万力には驚いた。ガタはなく、鋼材は熱処理が完全で、とても硬い。 

 精密機械とはかくあるべき、という信念を持った人が作っている事がよく分かる。酒井のMLシリーズと比べても、一段上である。 


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2021年12月12日

ネジ切り

 筆者の自宅の旋盤は、模型用としてはやや大きな部類である。ライヴ・スティームを作れる大きさだ。アメリカで買ったので、親ネジはインチネジで、メートルネジを作るときは127歯の歯車を介して、少々面倒な算数をする必要がある。この計算は、父に習った。昔はよくやったが、最近は手が出ない。インチネジを作るのは先述のように実に簡単で、アメリカ製の機械の修理はすぐできる。メートルネジは小さな旋盤で作るか、ダイスで切っている。左ネジはダイスが無いので自分で作らざるを得ない。

 本物の小型蒸気機関車の復元時に、ボイラの修理に特殊ネジのタップを必要とした。友人の機械工は、硬い工具鋼から旋削し、熱処理して作った。こういう作業はまず見ることがないので、勉強になった。

 ネジを切るのは難しいことではないが、太いネジの場合は切り込む位置を分散して、深く切り込まねばならない。そのずらし方(千鳥という)は、かなりの熟練が必要である。 

 この徳島弁の旋盤工氏の動画は他にもあるが、どれも素晴らしい。熟練工の凄さを、柔らかなタッチで見せてくれる。旋盤のテクニックは指導者につかないと習得しにくい。そういう意味でも、この一連の動画は実践例として素晴らしい価値がある。

 この方法は面白い。ダイスの歯が逓増しているのを利用して、一回の切込みで相当の深さまで削れるが、負荷はかなり大きい。出力の小さな旋盤では難しいだろう。作るのは難しくないのでやってみたい。(この方法は、偶然にも上述の旋盤工の動画のコメントに出ていることに気が付いた。)


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2021年12月10日

ネジ切り装置

 ネジを切る必要があるのは特殊なセンタ・ピンとか、連結部のピン、ジグの締め付けネジ作成などだ。たまに、規格外の太いネジを作って全体の高さ調整をしたことがある。大抵の場合は既製品のネジで済む。

 普通の旋盤上では、ネジ切りはパズルを解くような感じである。どのギヤを使うかを考えて組み合わせる。インチネジは倍数になっているから、1/8という数字を元にして考えればすぐできる。メートルネジでは、親ネジとワークのピッチの比率を作るので、いつも同じ方法では出来ない。早見表がついていればそれを見ればよいが、いつもその早見表がすぐには見つからないから、考えるしか方法がない。

leaders and followers このユニマットSLでは、歯車の切り替えによるネジ切りではなく、親ネジそのものを取り替えるようになっているところが面白い。昔の倣い(ならい)旋盤のようである。ネジの深さは鉋台(かんなだい)の上をなぞる滑り子で制限する。
 これは、この機種以外の製品にはない機能である。要するに、ネジ溝を”転写”するのである。日本ではメートルネジの親ネジしか売っていなかったが、アメリカではインチあたりの山数で、24,32,40,48,56,64,72,80などがあった。

 さて、作動状況を見ていこう。この動画がすべてを物語る。少々速いが、この速度でもできるわけだ。筆者のネジ切りは、この1/3程度の速度である。切り上げが難しいからだ。
 切り上げのコツは最初を長く、徐々に短くすることなのだが、思うほど簡単ではない。この動画の6回目(最後から2回目)の切り上げは少々遅れたので、ギギッと音を立てて食い込んでいる。

 訪ねてきた友人に見せると、ネジ切り専用機としてバラさずに使うべきだとの提案を受けた。確かに、そうすると便利である。
 兼用にすると、その変換作業が大変で、やる気が失せる。


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2021年12月08日

Emco Unimat SL の到来

 大先輩からユニマットSLを戴いた。50年以上前のものだろう。 若い人の教材のつもりで、引き受けたのだ。何人かに声を掛けたが、
「ベッドが鋳造ではなく丸棒だ。」
と言うと、躊躇してしまう。重負荷では撓むということになっているからだ。確かに、鋳造品と比べると剛性は少ないだろう。’70年代のModel Railroaderに、どうやって剛性を高めるかという記事があったほどだ。
「そんな重切削をすることもないはずだから、大丈夫だよ 。」
とこれを薦めたが、結局のところ、行先がなくなってしまった。
 多少錆びていたので、分解して油を塗り、スティール・ウルで磨いた。サンドペーパで磨くと細くなってしまう。
 
Emco Unimat 一緒に届いた箱を開けると、極めて珍しいものが入っていた。ネジ切り装置である。日本で見るのは初めてだ。これは非常に面白い発想で作られていて、親ネジを取り替えて目的のネジを切る。
 太い親ネジ leader(先導するもの)には一部を切り出した雌ネジ follower(追随するもの)が押し付けられ、ネジの進行が奥のロッドを介して刃物に伝わる。刃物はある程度の力でワークに押し付けられているので、雄ネジが切れる。ネジの深さは、少しずつ深くすることができるようになっている。細いネジ溝だから、深さだけの加減である。希望のネジピッチに合わせて、親ネジとフォロワは8種付属していた。早速組み立てて試運転した。

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2021年04月08日

歯車を削る

fixture 歯車を薄く削る必要があった。10枚ほどの作業のために、ヤトイを作らねばならなかった。
 歯車は直径が14 mmで、厚さを 2 mmほど削る。中心にはボールベアリングのインナ・レースが当たるようにボスを突き出させる必要がある。これを掴むためには直径17 mmの丸棒をERコレットで掴み、外径を削って掴む部分を作ってから突っ切る。
 コレットに掴む部分は、Φ12.7 にして1/2インチのコレットで掴む。内径14mmの凹みを作り、歯車を掴めるようにする。ERコレットの心は十分出ているし、歯車は薄くするだけで、完全に同心で削らねばならないということもない。だからごく適当で良かったのだが、印をつけてRの文字の位置に合わせている。 

fixture (2)fixture (1) 出来たヤトイに歯車がぴったりはまるのを確認して、コレットから外す。凹みを付けた方から糸鋸で十文字に切り込みを入れる。そうしてできたヤトイをERコレットに戻し、歯車を掴んで旋削開始である。歯車は、心を押して密着させる。竹ブラシ法を使うまでもなく、密着する。
 この竹ブラシ法は「蒸機を作ろう」にも記載されている方法で、旋盤工が使って来たうまい方法である。筆者は竹ブラシではなく、グリスを塗った丸棒を使うことが多い。 

 歯車の材料のリン青銅は、快削材である。いや、"快削のリン青銅"と言う方が良いらしい(快削でないものもあるそうだ)。シュルシュルと削れて、歯形がきれいだ。ワイヤブラシで軽くメクレを落とせば出来上がりである。楽しい作業であっという間に終わってしまった。へその部分は 0.1 mmも出れば十分なのだが、0.3 mmとした。

 ヤトイを英語で pot chuck と言う。 
 ヤトイを作るための丸駒(適当な長さに切った丸棒)をいくつか用意してあるので、ヤトイ製作は即座にできる。 

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2021年03月27日

続 ER collet

ER25 + ER11 大きなコレットで細いものを掴むと、掴み損なって振れが発生することがある。こういう時には 、根本にΦ8 のストレートシャンクがついたコレットホルダをさらに銜えて2段にすると、誤差が減る。要するに、細いものは細いコレットで掴むということだ。この写真はER25にER11を挿し込んだ様子を示す。ストレートの部分は長過ぎたので、40 mm程度に切り縮めた。切るのには回転砥石を用いた。
 ERコレットは、先も奥も同時にワークに接していないと振れてしまう。短いものを掴むときは、コレットの奥にも同じ径の”捨て駒”を入れる必要がある。

ER32 + ER11 たまに、Φ19の車輪を掴みたいが、そのためには自宅の旋盤で、専用のコレットを用いて掴まねばならない。博物館でも作業したいので、昔に買ってあったER32のコレットホルダを付けるようにした。

 スピンドルのフランジを加工し、コレットホルダの裏側(主軸側)の印籠組み部分の径と合わせた。幸いにも振れは検出できないほど小さかったが(2/100 mm以下)、主軸側からは隙間が無いので、ボルトを差せない。反対側のワーク側からボルトを締めたかった。コレットホルダにバカ孔をあけ、フランジにM8ネジを切って、右側(ワーク側)からネジを締められるように改造した。

 と簡単に書きたいところだが、コレットホルダは熱処理がしてあって、ドリルが滑るほど硬かった。既存のM6ネジ穴を拡げてΦ8にするだけだから簡単だと思ったが、とても無理だった。
 友人の鉄工所に持って行って相談すると、超硬のドリルなら可能ということで、ドリルを発注した。自宅の道具では無理で、3箇所の孔の拡大はプロにお願いしたが、大変な苦労を掛けたようだ。それほど硬かった。


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2021年03月25日

ER collet

 旋盤でいつも心を出して掴もうと思うと、コレットで掴むしかない。コレットは各種あるが、特定の径の物しか掴めないので各種の径の物を多数持たねばならない。
 ERコレットはいわゆる spring collet であり、多少の誤差があっても平均して収縮するので、1 mm程度のピッチで揃えていれば、いかなる径の物でも掴むことができることになる。この8度、30度のテーパによって平均的に縮みながらワークを把持する。パイプも潰さず掴めるところが有難い。

 模型人が使う頻度の高い軸を掴むのなら、ER11(Φ7まで)、あるいはER25(Φ16まで)のセットを持っていると良いだろう。コレットはクランプナットに斜めに押し込まれると、内部の偏心した留め輪に引っ掛かり、抜けて来ない。これは卓抜したアイデアである。

 コレットの嵌め替え時に、探すのは時間の無駄であるし、無くす可能性もある。コレットは一覧できるようにすべきである。

collet turret for ER25collet holder  ER32 筆者はER25用のセットを回転するホルダに入れてある。大きなER32は、堅木で傾けて作ったホルダに入れ、取り出し易くしている。 

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2021年02月23日

続 テンダと台車を結合する

how to fix trucks  (1) 床板を載せるとこんな具合だ。床板の抜け留めは、上から締めるM2ネジで受け持つ。細いように見えるが、持ち上げた時に台車の重さを支えるだけのものだから十分だ。 

how to fix trucks  (4) そのネジを締めるのは、この 5 mm板の上からだ。大きなワッシャを介して締めるのだ。この板の裏側は 2.2 mm彫り込んである。丸棒の飛出し分は 2.0 mmだが、多少の隙間が無いと台車の動きが良くないからだ。ネジを締める部分はΦ4であるが、穴はΦ4.2である。これも多少の動揺を許容するためである。本来はバネを介して締めて、台車と床板下部の密着を良くするべきだが、上部がかなり重いので、その必要はなかった。

 かなり面倒な方法ではあったが、台車はテンダ床板との滑らかな回転を確保しつつ、堅固に結び付けることができた。普通のテンダではないので、強度、耐久性に留意した構成となった。

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2021年02月21日

テンダと台車を結合する

momentum unit 台車の上に床板を置いた。フライホィールも置くと、こんな具合だ。質量を積算すると、2.3 kgである。予定より軽くなったので助かった。許容最大加速度(テンダを引張った時、車輪がスリップし始める加速度の限界値)の計算をした。ちょうど良い値だ。

how to fix trucks  (2) センタ・ピンは床板を貫通して上に出るようにする。写真に見える大きな穴(Φ10)にぴったり嵌まる丸棒を旋削し、台車上蓋に銀ハンダで留める。牽引力はその丸棒で受け持つ。ロウ付けではなく、銀ハンダで十分だ。フライスで追加工しても、はがれることはない。ブラスの色が見えている面は摺動面である。塗装せず、モリブデングリスを塗布する予定である。
 軸を太くしたのは、いつも大きな力が掛かるので、細いピンでは穴がガタガタになってしまうからである。
 
 台車センタピンが、車軸よりかなり高い位置に来ている。何も工夫しないと、牽引力が掛かった時に軸重移動が起き易い。すべてウォーム軸でつながっているから、引張力の総和は変化しないのだが、軸重移動を少しでも減らすために前後に長い面で接触させている。軸重移動は脱線の原因の一つだ。
 軸バネはよく効いている。重い車輛はバネが作動する様子が良くわかる。底衝きがあると衝撃でボールベアリングが傷む。これは当然のことなのだが、ボールベアリングが壊れるということを信じない人が居る。こんな重いものが、ある程度の速度で走っていれば、フログや、高さの微妙に異なるレイルの継ぎ目でゴンと当たれば、たちまち異音を発するようになる。
 作動範囲で浮いていることが大事だ。 


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2021年01月16日

むすこたかなし氏の実験

 ブログでの連載記事が始まってから、毎回の更新がとても楽しみであったと同時に、異なる結果が出るのではないかという、期待と不安があった。
 すべての段階で、筆者の歩んだ筋道を全く同じように歩まれた。なかでも、旋盤を使って旋削していく様子は、緊迫感があった。

 高梨氏はサイエンティストであるから、実験の手順が正しい。この報告は、今後いろいろな場面での模範となるべき例である。意味のない実験をしても気が付かない場合もあるから、参考にされたい。

 基礎実験は手間がかかる。その多大な手間を惜しまず、丹念に一つの次元を少しずつ変化させ、データを取っている。先の伊藤剛氏の実験も、簡単なことなのだが、やらない人が大半だ。
 データ取りの仕事は単調でつまらない。やらねばならないことではあるが、それをしない人は多い。この場面で二つの次元を変化させるようでは、何の価値もない

 筆者も30年前、かなりの時間を掛けてデータを取った。サンプルを作るのが大変であった。サンプルはたくさん作って、所定の寸法のものを選り出し、実験の再現性を高めた。

 車輪を均一に作るのはなかなか難しい。総型バイトを使うのは駄目である。負荷が大きく、組んだ車輪など挽けるわけがない。
 小型の旋盤ではうまくいかない。フィレットは、先を調整した剣先バイトで作る。拡大鏡と特殊なスケールが必要だった。高梨氏は先端Rの決定に、スローアウェイ・バイトの丸みを利用している。これはうまい工夫だ。
 踏面の勾配を決めて、フィレットまで一気に旋削している。これは筆者と同じである。基本を守ったやり方で、負荷が小さく、削り面がきれいである。

 総型バイトを過信する人は多いが、結果は見えている。失敗例はアメリカでもよく見た。挽き目が残るようでは、車輪として用をなさない。総型バイトを特注したと自慢する人は居たが、挽き目を見せてもらったことはない。
 そういう筆者も1つだけ、細いヤスリから総型バイトを作った。削ってできたフランジの角を落とすためのものである。この部分は適当で良く、表裏両面を早く旋削できることに価値があった。

 旋盤作業は熟練が要る。高い旋盤を欲しがる人が居るが、要は骨(コツ)であって、価格はあまり関係ない。うまい人の作業を横から見ていないと、進歩できない。最近は、youtube で素晴らしい例がたくさん見つかるので、見るべきである。それと、旋盤を買ったままで使う人が多いが、一度ばらして整備すべきである。それと、どんどん改造して、自分の”工具”として使えるようにした方が良い。筆者の機械は殆ど原型を留めていない。

 車輪を挽くのは大変だ、と述べた。機関車の動輪8枚を挽くくらいは、やるかもしれないが、貨車の車輪を1000軸挽くのは不可能である。こういうところでケチるのは間違いで、量産屋に発注するべきだ。昨今は不景気で、引き受けてくれるところはあるはずだ。最近の機械の精度は驚くべきものがある。
 今回の発注でできた車輪の径、厚みは1/100 mm以下の誤差範囲である。マイクロメータでも測定できない程度のばらつきしかない。精度の高い車輪を装着すると、それだけで走行抵抗が減少する


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2020年07月04日

続 Kemtronの台車 

turned anchor bolt ボルスタ・アンカを快削ブラス材から削り出した。よく切れるバイトと高回転の出せる旋盤さえあれば、こんな楽しい作業はない。つるつるの丸棒である。ごく適当にゴムブッシュに相当する部分を表現して、それをハンダ付けするわけだ。

 大きなものに小さなものを付けるのは難しいことになっている。こういう時は炭素棒に限る。接合面にハンダめっきしておいて、位置決めして押さえ込む。つなぎ目に先を尖らせた炭素棒を当て、やや高めの電圧を短時間掛ける。先端がほんのり光るくらいでやめるのだ。ハンダがきらっと光って、滑らかな面が出現する。それでおしまいである。隙間なく、完全に付いている。この時のハンダはeutectic(共晶)であるべきだ。要するに液体と固体しかないのであるから、付いているか、付いていないか、のどちらかしかない。非常に簡単にできる。

 ハンダの性質について無関心な人は多い。特別に上手な方以外は、皆苦労されているはずだ。この際、炭素棒ハンダ付けとeutectic solder を導入されてはどうだろう。完璧なハンダ付けが可能になると、世の中が違って見えるようになるはずだ。  

 ともかく、部品の間違っていた台車はすべて満足に組み上がり、車体への取り付けができる状態になった。
 問題は、客車車体が一つ行くえ不明であることだ。かれこれ2年ほど行くえ不明である。困った。

 〔10年前の自宅レイアウトでの貨車行くえ不明事件〕
 それは思わぬことで解決した。自宅レイアウトの一番奥に点検用の 45 cm角の孔がある。その脇で発生した脱線事故で1輌だけが、どういうはずみか、転落したらしい。その下には毛布が畳んで置いてあって、そこに軟着陸したのだ。そこに2年ほど寝ていたようだ。破損無しで助かった。気が付いたのは、運転中にまたもや脱線事故があり、転落する場面を目撃したからだ。回収に行くと、枕を並べて寝ていた。偶然ではあるが、全くの無傷で助かった。

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2020年01月06日

ワッシャを作る

 ワッシャを作る人はまずいないだろうが、時と場合によっては作らざるを得ない。外径9.5 mm、内径 7.0 mm、厚さ0.3 mm のワッシャは売っていないし、たとえ既製品があったとしても、プレス製で平面度が低い。
 メインロッドとコネクティング・ロッドの間に挟みたい。色はブラス色は避けたい。快削のステンレスは持っていないので、洋白の板から作った。色が良くないが、仕方ない。作り終わってから写真を撮ってないことに気が付いたので、別の部品を作るときに撮り直した。作り方を紹介する。

turning1turning2 まずΦ10のブラス丸棒に洋白の t1.2を二枚ハンダ付けし、水洗いする。こういう時には炭素棒で付けるに限る。但し洋白板は熱伝導が良くないので熱が廻らず融かしてしまう惧れがある。ブラスの方を加熱する。
 コレットに銜え、角を落として所定の寸法にする。快削ではないが簡単である。
 
turning3turning4turning5 センタ・ドリルでセンタを出し、Φ3のドリルで穴あけをする。炭素棒で挟んで加熱し、挽物を外す。ドリル穴付近で塑性変形して、二枚が喰い込んでいるので、外れにくい。熱いうちに木槌で叩いて外す。

turning6 リーマを通し、ハンダを油目ヤスリで取るとできあがりだ。この間8分。慣れれば早い。この丸棒は、コレット全長の長さが必要である。短いものを先端だけで掴むと、正確に銜えていないことがありうるからだ。あるいは、短いものを掴むときは、コレットの反対側に別の同径の短いものを銜えても良い。

turning7 何に使うのか。この部品である。手前の人形その他は無視されたい。向こうのロッドのビッグエンドの留め環である。人形はこの後、姿勢と色とを調整した。


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2019年12月27日

四角棒を削る

 ユニヴァーサルジョイントのちょうど良い長さのものが無いので、スプラインを作り直した。既存のものを分解して角棒を作り直せばよい。 

turning square rod 旋盤のコレットに四角棒を銜えた。自宅の旋盤のコレット群はアメリカ製で、6分割になっているから、六角棒は具合よく銜えられる。博物館のは8分割であるから、四角棒を銜えられる。本当は多少傷が付くので避けるべきなのだろうが、表面を磨くので問題ない。

 快削材なので調子よく削れて、短いスプラインができた。伸縮は僅かに0.8 mm以下である。ガタガタのユニヴァーサル・ジョイントを使えばスプライン無しでも行ける範囲だったが、音がするのが許せないので、この方法を採った。

 ごく狭い範囲の軸ずれを吸収するには、例の六角ジョイントが良い。これも部品を作る。六角棒を削って作るのだ。六角ジョイントの構造は、先が丸味を持っているヘキサレンチを考えれば良い。多少の傾きを吸収する。角速度は、厳密には一致しないはずだが、角度が小さいので、無視できる範囲にある。実際に使ってみて、振動、騒音は感じられない。かなりうまく出来たものであると思う。

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2019年11月29日

快削材のパイプ

 ブラスの材料の話である。たいていのブラス製パイプは快削でない。主動輪のクランクピンにボールベアリングを入れる時にハウジングを作らねばならなかったが、その材は快削でないと無理である。
 35年前にUPの4-8-4 2輌を作った時は、S45Cで作った。明らかに過剰品質である。リーマを通して、つるつるに仕上げて嵌めた。油がいつも注してあるので錆びることはない。
 今回は砲金で作った。たまたま切れ端があったからで、快削ブラスでも良かった。ぴったりの寸法のブラスのパイプもあったが、旋盤には掛からないので諦めた。食い込むからリーマを通せないのだ。

 今回、材料置き場を丹念に探すと、40年以上前にアメリカで買ったブラスパイプが出て来た。11/32、13/32、15/32インチの滑り込みの三兄弟である。試しに糸鋸で試し切りをするとサクサクと切れる。

turning smokestack 煙突を作らねばならなかった。きちんと寸法の出ているものを4本作るのはなかなか難しいから、これは有難かった。快削丸棒から中グリして作るつもりだったから、大幅な材料と手間の節約である。
 外径13/32インチ(10.31 mm)が希望寸法に極めて近いのでこれを使った。チャックでは潰れるので、ERコレットで掴んで廻した。切粉がカンナ屑のようにシュルシュルと出て、見事であった。

 この小型卓上旋盤はまだDRO化されていないので、ハンドルを廻し、ダイヤルの目盛を数えて廻した。久しぶりのことだ。4個は全く同じ長さに無事作成でき、台座にハンダ付けして完成に近づいた。さて何を作っているのだろうか。正解者は今のところお一人である。


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2019年11月27日

遠藤機械製切断機の回転軸を削る

turning shaft 5/8インチ(15.87 mm)かと思っていたら 16 mm径であったという現物を預かった。
 筆者の自宅の旋盤は 3/4インチ(19.05 mm)まで通せる貫通穴があるので、簡単に銜えられる。今回は、心が出ていなくても全く問題にならないが、一応心出しをして削った。Set-Tru Chuck は便利である。ブラスの旋削作業をしているので、切り粉を掃除すべきなのだが、今回はごく微量の切り粉しか出ないから磁石で取り除ける。

 やはりSS(軟鋼)は削りにくい。軟鋼は、快削でないブラスのようなもので、切り粉が刃物にまつわりつく。ワークが綺麗に見えない。削ってもざらついて面白くない。これがS45Cなら、硬いがかなり削りやすい材料なのだ。
 快削鋼はとても素晴らしい削り味だが、こういう用途には向かない。ねじ切れる可能性がある。

 他の購入者は無事交換できたと信じたい。折れたら交換する、という方も居るが、それでは意味がないのではないだろうか。折れたら大けがをする可能性が高いのだ。テイブルが付いていると、余計危ないことになる。

 ところで、鋼材屋で聞いた話によれば、我が国ではインチ材が珍しくなった。あることにはあるが、直ぐには揃わないらしい。SS(軟鋼)はよいが、S45Cの材の切り売りは勘弁してくれ、とのこと。買うなら定尺物(4 m)を買ってくれということだ。1万円ほどの価格だ。440 mmにしても、8本しか取れないだろう。刃の厚みもあるからだ。希望者が8台分あれば発注する。


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2019年09月15日

ウォームを外す

gear removing 手伝いに来て下さるクラブ員に聞かれた。
「このモータが安くて強力なので使いたいが、ウォームが外れない。どうしたら外れるものだろうか。」

 最近話題になっているモータであるが、ウォームが固着していて、そう簡単には取れないらしい。今野氏の話を思い出した。ウォームを掴んで旋盤で廻せばよいのだ。

gear removing2 早速、術式を真似してコレットでつかんだ。9 mmのコレットがぴったりだ。深く掴んで、高速で廻し、突っ切りの先を変形させたバイトで削った。コレットは心が出ているので、モータは微動もしない。

gear removing3 軸の手前まで削って、虫眼鏡で見ながら軸に触る寸前までバイトを進めると、ぽろりと取れる。



 後は万力にウォームを銜えて、糸鋸で平行に二回切る。軸に傷を付けないように気を付けて、軸の近くを平行に切るのだ。ペンチで挟んで捻れば取れる。簡単である。
 時間にして5分足らずである。見ている間に出来たので、依頼者はとても喜んだ。読者の皆さんもお試しになると良い。

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2018年03月11日

続 旋盤のカスタマイズを終了

lathe customized 後ろの切粉ガードは高さが足らないので、合板を継ぎ足した。その時横に延長して、回転するコレットホルダを付けたのだ。コレット群は、手の届くところにあれば探す手間が減る。結局、この旋盤はER25コレット専用機となった。貫通穴が要らない時は鋼製引きボルトで引いている。手前に置いてあるのはコレットの締め外しに使う工具である。28.5 mm(1-1/8インチ)のスパナがなかったので、このモンキィ・レンチが常備品になった。長いので楽である。

 切粉ガードの中ほどに棚を付けて、QCTPなどの部品を置く。アルミのアングルで手前に落ちないようにしている。左右は解放で、飛び込んだ切粉を掃除しやすいようにした。

 10mmの厚肉パイプを 4つ、旋盤で挽いて切断し、ブラス板にハンダ付けした。各種の工具を挿すようにしたのだ。剥がれては困るので、銀ハンダで付けた。融点が高いが、ガスバーナで焙ればすぐである。

 すべてのハンドルを取り替えた。オリジナルはガタガタの細い回転ツマミであったが、正確に廻そうと思うとある程度の大きさが必要で、丸味があったほうが良い。M4のネジを M5に広げ、新しい回転するものと取り替えた。ハンドルの丸味は大切である。

silver bearing solder 銀ハンダについて質問を戴いている。これは銀を 4 %含む無鉛ハンダであって、融点は約 240 ℃ でやや高いが、硬い。また、引き剥がしにくい。アメリカ製であるが、同等品は日本でも売っている。筆者は無鉛ハンダは好きではない。流れにくいからだ。強度を要求される場所に使う。
 
 日本ではオーディオ用として暴利で売っているようだが、効果はあろうはずはない。鉛ハンダで十分である。
 
 通販で買うのが楽だ。銀ハンダは高価であるが、本当はそんなに高いはずがない。銀 1 g は数十円なのだ。模型屋で売っているロストワックス部品の方がはるかに高価だ。           

2018年03月09日

旋盤のカスタマイズを終了

through-hole pull bar 旋盤をコレット専用機としている。先日の写真はこれである。長い材料を順次送って細かいものを作るときに、貫通穴があると便利である。 
 筆者は貫通穴が必須だと思っているが、友人たちはあまり興味がなさそうだ。長い材料を使わないのだろうか。あまり長いと材料が撓んで面倒なことが起こるので、材料承(うけ)も作らねばならない。

 本来はスティールで作るべきである。薄肉鋼管が手に入っていたなら、全体をスティールで作っただろう。ロウ付けして剛性の高いものになるはずだった。
 しかし、せいぜい Φ6 程度の材料を掴んだコレットホルダの抜止めなので、手で締めるだけで十分である。したがってブラス製でも壊れないだろう。

 材料は、金属回収業者で手に入れた丸棒の切れ端である。最初にネジを切って、貫通穴を開けた。このように太くてピッチの粗いネジは、ダイスで切り込むと失敗して斜めに切れてしまうことがある。最初の2山は旋盤でネジ切りをして、ダイスを嵌めて最低速で廻す。卓上旋盤では無理な芸当である。もちろん脂を付けて、時々逆転して行う。ネジ切りは楽しい 。

index 握りは、フライス盤上で割出し機で廻して削った。単純な形である。径を大きくすると締めすぎて壊すので、小さくした。薄肉のブラスパイプを切って嵌め込んだ。フラックスを塗り、バーナで焙って銀ハンダで付けた。まずまずの使い心地である。


index2 この割出し盤は横にして心押台を使えば4軸フライスになるが、やらない。背が高いので、剛性が足らなくなるのである。もう少し大きな機械でないと、難しい。


2018年01月28日

続 砥粒

 早速メイルを戴いたので紹介したい。

 砥粒の話、そのように教えられたり聞いてはいても、気にしないモデラーが多いでしょうね。実際に擦り減って支障を起こすほど使わない(使用時間が長くない)からでしょう。問題が発生しない、もしくは擦り減るという経験をしていないので、理解できないのだと思いますね。 

 模型車輌の軸受の構造も、よくこれで持つよなあと思うものが大半です。海外メーカーの米国型HO蒸機がギクシャクして肩を振るようになったので分解してみたら、単に長方形に切り欠いただけの軸受に真鍮の車軸が嵌まっていて、擦り減っていたということを経験しています。ちゃんと注油し、綿埃などは取り除いていたにもかかわらずです。油が砂埃?を巻き込んだのが却っていけなかったのかもしれません。
 こういう場合はグリーセムのような固体潤滑の方が良いかもしれませんね。ギヤの露出も問題です。埃だらけの居間の壁際に敷いた線路で、ずっと走らせていればそういうことにもなるのだろうと思います。長時間連続して走らせることなどは、想定外なのでしょうね。博物館や商店の展示レイアウトの車輌の消耗やメンテナンスはどうなっているんでしょうね。

 
おっしゃる通りで、アマチュアの旋盤で、磨り減るほど使ったものにはお目にかからないから、良いのかもしれない。
 筆者も現役のころは旋盤、フライス盤に向かうのは週に1時間ほどであった。最近は毎日2時間くらいであろうか。これくらい使えば減るかもしれない。ベルトは擦り切れて2回取り替えた。刃物の消耗はかなりあるが、最近はダイヤモンド砥石があるので、修正は簡単だ。
 
 建設中の博物館の車輌は、すべて密閉式ギヤボックスを持ち、軸受はボールベアリングである。それらは十分持つだろうと思う。問題はロッドである。ひと月に一度溶剤スプレィで洗い落とし、再注油する。洗うと黒いものがたくさん落ちる。これはロッドの金属粉なのだろう。
 数年に一回、ロッドの孔のスリーブを入れ替える必要があるかもしれない。これは比較的簡単な作業である。

 模型においては消耗ということを考えることは少ないが、博物館が開業するとそれは深刻な問題になりうる。そういう点ではLow-D車輪は減らないから良い。

 JRなどが開いている博物館のHOレイアウトでの車輌の消耗は相当なものである。どんどん下廻りを取り替えているらしい。
 しばらく前、3条ウォーム、コアレスモータ、Low-D車輪の組み合わせをHOでやりたいという人が現れ、図面を提供した。博物館のメンテナンス・コストを小さくするという触れ込みで、応札したらしいが、見事に負けたらしい。勝ったのは既存の模型店で、イニシアル・コストが低いからであったそうな。当然メンテナンスには多大な金がかかり、模型店は左うちわだそうだ。資源の浪費は著しい。困ったものだ。



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2017年12月07日

続 modifying tailstock

 いろいろなところに手を入れた。本来旋盤という機械はそういうものである。買っただけで性能を発揮できるということは無い。使う人が手を入れ、部品を手作りして、はじめて、性能を発揮するのである。この記事の機械はやや凝り過ぎだが、素晴らしいものである。

 大切な点は、スピンドルの精度である。ベアリングのガタがなく、心押台のセンタとぴたりと合えば、まず問題ない。その他の部品は気が済むまで改良していけばよい。改良用の部品は無数にある。昔はそれが何処に売っているのか見当もつかなかった。工具屋に行って聞いてもよくわからない。

 町工場の社長が一番よく知っている。友人の父君には色々なことを教えてもらった。様々な部品も貰って、それを加工して使った。アッと驚くテクニックもあって、勉強になった。
 最近「ミニ旋盤を使いこなす本」久島諦造著 を再度熟読した。ほとんどのことは頭に入っていたつもりだったが、チャックに入らない太いドリルでワークに孔をあける方法には再度驚いた。ゆうえん様が「パズルゲームのようなもので」とおっしゃったが、本当にその通りである。

 模型工作の蘊蓄を語る人は多いが、旋盤を持っている人は少ない。旋盤を持てば、人生観が変わるはずだ。少ない金額で、これほど楽しめるものはない。模型屋に行く回数は激減するだろう。

moving support  写真は自宅の旋盤で、転車台のシャフトを挽いている様子だ。自分で改造した移動振れ止めで支えながら、Φ40の砲金の棒を中グリしている。刃物も自作である。刃先の位置が、振れ止めの位置と一致するところがミソである。写真では拭き取った後でよく分からないが、ワークの外側にはグリースを塗って作業する。昔鉄砲鍛冶に手ほどきを受けたので、中グリは得意である。  
 シャフトは最大限に太くして、剛性を大きくしないと、回転橋の動きが珍妙になる。

2017年12月05日

modifying tailstock

tailstock2 テイルストック(心押台)は、既製品のままでは具合が悪い。繰り出し量が少ないから、何とかしようと思っていた。畏友U氏が同じことを考え、改造されたことを知った。左ネジを切った長い押し棒を作られたのだ。筆者も自分で作ることにし、材料のS45Cの丸棒を調達した。長いから、削るときに中間を移動振れ止めで押さえねばならない。その準備もして、左ネジを切る算段をしていたのだが、久し振りのことでネジ切りの歯車セットをどこにやったのか、思い出せない。
 もたもたしているうちに、U氏が作って送って下さったので、ありがたく頂戴し、嵌め替えた。ネジが長くなったので、MT-1のテーパ・シャンクが長過ぎる。U氏に教えてもらった通りにテーパ部を22mmとした。何で切ろうか迷ったが、結局のところ、Brass_solder氏のアイデアで糸鋸で切った。1本12分かかって、糸鋸刃は1本折れる。計算通りだ。

 この旋盤のテイルストックには他にも問題があった。繰り出しのリミッタを兼ねるネジが、こちらから向こうに、水平に押している。これではセンタの心が出ない。
 やはりU氏も同じことを考えられ、スリ割りを入れてネジで締める形にされている。早速、1 mm のスリ割りを入れた。鋳鉄だからと甘く見たのはとんでもない間違いで、切削油を大量に使っても、切るのは苦労した。後で油の処理が大変であった。

 肉が薄いのでやや心配したが、M5のネジを立てて、セレーションのついたネジで締めた。この方法では全体を絞るので、センタが出る。当然、締める座はフライスで削って平らにした。
 廻り止めを兼ねた繰り出しリミッタは、20 mmずらして先端に近いところにM4タップを立てた。短いネジを締めたら、それだけで一発で解決した。

modifying lathe 刃物台も、セレーションの付いたクランプネジで締めた。道具を使わなくても操作できるので楽である。よく使うところはこれに限る。目立つ色にしたのは正解だ。
 刃物台が鈍く光っている。軽く面取りを施し、ゴム砥石で研いだのだ。来たばかりの時はフライス目が出てザラザラであった。ザラザラだと錆びやすいのだ。 

2017年10月14日

home-made Set-Tru

How it works 筆者はこのSet-Truが欲しかったが、何年も買えない時期が続いた。仕方がないから作ってみようと、寸法を当たってみた。

 細いネジは、M4くらいの鋼製ネジを使えるだろう。やや太い貫通孔はかなり大変だが、あけられると思った。その場所もないわけではない。

 問題は左のフランジの突出部が小さく、移動ネジが当たる場所がほとんど無いことであった。ネジ移動を諦めれば、コンコン叩いて移動できるから、それで我慢することもできる。

 大真面目でその作業工程を考えていたことがあるが、結局改良工作はせずに、Set-Tru に移行した。たまたまe-Bay で新古品が安く出ていて、競争無しで2万円ほどで手に入ったのだ。しかもアメリカ製であった。運が良かったとしか言いようがない。

 現在新品は、安い店でも10万円ほど出さないと買えないようだ。しかもポーランド製だ。品質は悪くないと思うが、高過ぎる。

 コレット、万力(vise)、正直板等は良いものが欲しい。昔のアメリカ製の新古品をいつも探している。

pine wood 2pine wood 3pine wood ところで、ブラスの材料置き場の敷き板として、こんな物を使っていたのを見つけた。
 30年ぶりに発掘されたのだ。さてこれは何であろうか。鉄道とは関係がないが、アメリカで少年期を送った方ならだれでも知っているだろう。ボーイスカウトに子供たちが誘われたときに、これを渡されて、親も手伝って参加せよと言われたのだ。 汚れはご容赦願いたい。
 いくつかお答を戴いているが、正答の発表は、しばらくお待ち願う。

2017年10月12日

truing 3-jaw chuck

 以前にも書いたが、何人かの方から詳しく説明してほしい、という要望があった。この方法は町工場では広く行われている方法であり、難しいことではないが、旋盤の教科書ではまず見ない。

 条件としては、スピンドルがフランジを持つことである。要するに三爪チャックがそのフランジを覆うように嵌まり、ネジを主軸台側から締めるタイプであることだ。まず三爪チャックで各サイズの丸棒をつかみ、廻して振れを測定する。たとえば 0.5 mm振れていれば、チャックをある方向に 0.5 mm動かせばよい。

 三爪チャックがバックプレートを介して付けられているときは、手間はかかるが、細工は簡単だ。バックプレートのネジ穴を大きくする。
 振れを無くする方向にヤスリで削ってしまえばよい。沈め穴があるときはフライスで削る。なければドレメルでも削れるだろう。一回で成功することは難しいので、二、三回やってみて、具合を見る。バックプレートに段があるときは、下記の方法をおすすめする。小型旋盤にはこのバックプレートは無い場合が多い。

adjusting center バックプレート無しの場合は、スピンドル・フランジの外周を 0.5 mm削る。もちろん面取りを施す。チャックが、ごそごそと 1mm ほど動くだろう。その遊びの中で振れを吸収する。フランジの、ネジが通る穴をヤスリで少し大きくする。チャックをネジで軽く仮締めし、丸棒をくわえて廻す。振れが少なくなる方向に、チャックをプラスティック・ハンマで叩いてずらす。何度も測定して、誤差をゼロに持って行く。そこでネジを本締めしてできあがりだ。
 慣れると、この工程は2分でできるようになり、四爪に勝るとも劣らない精度を出せる。コレットを持たない人には具合が良い方法だと思う。

 この工程を心押し台方向からできるようにしたのが、Set-Tru chuckである。最小の5インチを手に入れたので、出来の悪い四爪は廃棄した。使うたびに腹の立つ思いをしていたので、ストレスが無くなった。現在、この微調整の利く新品を買おうと思うと、とんでもない価格である。程度の良い中古を探すべきだ。そうするとアメリカ製が買えるかもしれない。

 心を出すことを英語で truing という。 

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2017年10月06日

ミニ旋盤

Lathe この旋盤も無期限貸与ということになった。この写真は置いてみて、位置関係を調べたときのもので、ゴミだらけである。



 高級機ではないが、整備すれば十分使えるので、有難く受け取った。付属部品にコレットがあったので、コレット専用機として使うことにした。小物をある程度の量、細工するには便利なはずだ。
 三爪は使わないことにする。この国で作られたチャックは材質が軟らかく、締めたときにカツンと締まらないのが嫌だ。

 心が出ていないが、それは価格相応で、文句を言ってはいけない。この価格で心の出ている三爪チャックがあるわけがない。チャックだけに数万円ほど出して、日本製を手に入れれば話は別だ。通販サイトで、この機種に対する不満コメントにそれがたくさん見つかるが、常識がない人たちである。ヤトイを作るか、コレットか生爪を使うべきだ。あるいは、スピンドルのフランジをやや小さくして、チャック全体が少し動くようにし、ずらして締めるという高級テクニックもある。
 筆者が最初に買った旋盤は、ネジ込みのチャックだったので、その方法が採れなかった。1mm弱偏心していた三爪は、爪を砥石で擦って調整し、ある程度心を出した。

 旋盤というものは、使う人が工夫して使うべきもので、買ったらすぐ所定の性能が得られると思うのは間違いだ。しかし、精度を出す準備作業について書いてある手引書は、まず見ない。

collet chuck 筆者はこのような小型機は使ったことが無いので、練習が必要だ。いずれDROを付ける。
 この機種は、感心なことに、ベルトドライヴになっている。


 中国製の機械はどれも手触りが良くない。何を触ってもざらざらしていて、角が手に痛い。油目のヤスリで、すべての角を一舐めしてから、ゴム砥石で磨く。レイル磨き用のもので十分だ。

 丁寧に擦ると、つるつるしてくる。手になじむ感じがしてきたら、よく掃除する。砥石の粉があるといけないので、掃除機で丹念に掃除し、溶剤スプレイで洗い落とす。
 摺動部に注油して動かしてみた。ベアリングのガタを調べるために、快削材をコレットに銜えて表面を一舐めしてみる。十分な性能である。

 後ろのガードの背が足らないような気がする。Swarf (キリコ)がどのように飛ぶのか研究してから、追加を付けることになるだろう。

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2016年08月27日

gas engine

Greenfield Village (26) これがそのガス・エンジンである。gas motorとも言う。「〇×モータース」という言葉はここから来ている。アメリカではいまだによく聞く。diesel motorという言葉もある。

Greenfield Village (29) さて、エンジンはこの配置であったのだ。排気ガスは観客のほうに出て行ったらしく、途中で切れている。軸受は二つで、クランクケースはない。コンロッドやピストンの潤滑はどうしたのだろう。シリンダの中頃にパイプがある。そこから潤滑油を滴下したのであろう。油は飛び散り、ブロゥ・バイ・ガスはすさまじいものだったろう。点火プラグが見えないから、焼玉エンジンのようなものであったのかもしれない。窓を開けないと、とても運転できないだろう。
 当時は電気モータは非常に高価だったようだ。また直流送電の区域では大電流が取れず、使えなかったらしい。

Greenfield Village (25)  翼の組み立てはここで行われたのだ。堅い木を接続して作られ、ワイヤで引張って羽を捩じる工夫がある。細かい細工は自転車の技法を駆使してあり、自転車屋ならではである。

Greenfield Village (28) この一角にはボーリング中のガス・エンジンがある。4気筒だ。既存のものでは役に立たなかったので自作し、出力を上げている。この大きさでもせいぜい12馬力であるが、他の熱機関に比べると、対質量比で大きく勝っている。

 風洞では、揚力を羽の断面を変えながら測定していた様子が分かる。彼らは職人であると同時に科学者であった。考えながら作るというところが、他の挑戦者と大きく異なるところであったことを実感した。理屈だけではだめなのだ。

2016年08月25日

Curator

 Henry Ford博物館の隣にあるGreenfield Villageは、古き良き時代のアメリカを再現している博物館である。明治村は、これの劣化コピィである。

 Edisonの研究所とか、Wright Brothersの自転車店もそのまま本物を移築して、内部も再現してある。エジソンの研究所には電池の開発のための、ありとあらゆる試作品があった。試薬瓶もかなりたくさん当時のものを置いてある。錫箔に録音した当時の機械を実際に作動させて、音声の再現を見せてくれる。ただしアルミ箔であった。

Greenfield Village (18)Greenfield Village (19) ライト兄弟は自転車屋を開いていて、その利益で飛行機の開発をした。当時の自転車はとても高く、現在の3000ドルほどもしたそうだ。だからこそ、開発資金が賄えたのだ。
 裏には自転車を加工する工場があり、その一角で飛行の原理を研究した。風洞なども当時の本物がある。研究ノートも再現してある。

Greenfield Village (23)Greenfield Village (22) 1989年に行ったとき、筆者はその工場の動力がないのに気が付いた。天井にはベルト駆動で旋盤、ボール盤を動かすシャフトがあるのに、どこにも動力がない。
 たまたまやって来たキュレイタに、
「この工場の動力は何を使っていたのですか。ないのはおかしい。」と聞いてみた。
 彼女は博士号を持つキュレイタで、
Greenfield Village (29)「確かにおかしいですね。蒸気機関はこの工場にはあまりにも大きすぎて維持が大変ですし、水車というのも考えられない場所です。小型のgas engineかもしれない。」と言う。
ちなみにガスエンジンというのはガソリンエンジンのことである。
「とても素晴らしい質問です。早速調査して、今度お越しになるときには、納得のいく形にしておきます。」ということであった。
 今回はその確認もあって、楽しみにしていた。 

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2012年11月24日

Leo を訪ねて

812_6152 Leoは80歳だ。毎日地下の工作室で仕事をしている。それを邪魔したわけだから申し訳なかったが、訪問をとても喜んでくれた。
 この工作室で一番驚いたのは、工作機械の数だ。ボール盤は7台、旋盤5台、フライス盤は縦横合わせて4台ある。 あとはシァとかプレス機である。

812_6157-2812_6148-2812_6147-2812_6146-2




 どうしてこんなにたくさんの機械があるのかと聞いてみると、
「私はアマチュアではなかった。プロフェッショナルであったからだ。」という答えが返ってきた。詳しい話を聞くと、彼は超高級オーディオ装置の少量生産をしていたのだそうだ。アルミのシャーシに穴を開けるときには、一つずつやっていては大変なのでドリル毎にセッティングをして、次から次へと仕事をしていたのだそうだ。旋盤も同様で、刃物のセッティングを動かしたくなかったので、旋盤を増やした。フライスも同じことで、横フライスも必要になってしまったと言う。その理屈はよく分かる。しかし、この工作室の面積はせいぜい12畳ほどである。

812_6159-2 すでにその種の仕事をすることは無くなったので、半分くらいしか使っていない。どの機械もよく整備された状態で、いつでも使えるようになっている。ロータリィテーブルやジグなどもたくさんある。
 筆者のように12個以上の生産をしないと決めている人の工作室は単純であるが、量産をする人の仕事場は複雑怪奇で面白い。

2012年06月14日

続 Stuを訪ねて

 Stuの機械は全てリビルトされている。運び込むときにバラしてしまうので、ついでに自分の思うように改良してしまうのだ。
COM_4326-2COM_4328-2COM_4338-2 この旋盤は三相交流で動いていたが、ゴルフカート用の大型直流モータが安く手に入ったので、直流サーボモータ駆動にしてしまった。回転速度は自由に変えられる。トルクは信じられないほど大きい。彼はインヴァータ制御より、信頼できると言う。刃物台に触った感触は素晴らしく、バックラッシュは感じられない。こういう旋盤が欲しい。
 電磁クラッチ2個で減速率の変化をさせるようにしてある。巧妙な仕掛けである。
 左手の木製の丸ハンドルは、コレット・クローザ(コレットを締めるもの)である。

COM_4331-2COM_4339-2 自分の旋盤をどのように整備すればこの状態に保てるか、しばし考え込んでしまった。 旋盤は大小3種類ある。どれも使いこまれ、ピカピカである。大は小を兼ねないので、小さい旋盤も欲しい。しかし、市販の小型旋盤にこの旋盤ほどの性能があるかは、大いに疑問である。

COM_4340-2COM_4329-2 コレットは5Cの規格をフルセットで持っている。筆者は3Cであるから、少しこちらの方が大きい。リーマもかなりたくさんの寸法を持っていて、必要に応じて使えるようになっている。

2012年06月12日

Stu を訪ねて

COM_4320-2 Stu Kleinschmidtは名だたる精密工作屋である。名字からして「小さな鍛冶屋」であることに興味を持った。彼の名前はもう30年以上も前から知っていた。時々会うが、なかなか気難しい男で話ができなかった。StuはStewartの短縮型である。

 シカゴの会合で祖父江氏の業績を伝えるプレゼンテイションをすることになって、それが告知された途端に問い合わせがあった。「参加したい。期待している。」ということであった。
 その席上、「Mr.Sofueは偉大だ。尊敬している。」という発言があり、その後筆者のテーブルに現れて、1時間ほど色々な話をした。
 「一度お宅に伺いたいが、」と申し出ると、「ぜひとも来てくれ、明日の午後はどうか。」ということになった。

 道を説明してくれたが、「GPSがある。」というと「すぐ来られるよ。」ということであった。
 実のところは大変手間取った。もらった名刺の住所にミスプリントがあったのだ。近くで何度か聞いて、1時間遅れで到着した。
COM_4412-2 先方は首を長くして待っていた。玄関先に来ていた荷物の住所は、筆者の受け取った間違った住所であったので、聞くと、「運送会社は間違いを知っているから問題なく配達される。」と言った。筆者の到着が遅れたので、「訂正してない名刺を渡したことに気がついた。」と言う。
 
 クラインシュミット氏は親が電気機械の製作修理をしていたらしい。幼少の頃から家業を手伝った。「アメリカ製の電気器具は全て直せる。」と自負している。真空管式の各種のラジオ、アンプ、無線機が大量に置いてある。全て完動品である。未使用の真空管もどっさりあった。

 工作機械は全てアメリカ製とドイツ製である。その数も凄い。ちょっとした町工場である。かなり大きな旋盤が、地下室にある。どうやって入れたのかと聞くと、全てばらして小さくして運び込んだ。「最大200ポンド(100 kg弱)にすれば、滑らせて入れられるさ。」とのことである。出すことは考えていないようだ。

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2012年04月19日

続々 友人 Harmon

COM_3838 ハーマンは大量の図面を持っている。全て本物の図面だ。それを元に作っているので正確そのものの模型である。洋白材の丸棒、角材、板が大量にあった。

 旋盤はもう一つあり、それは7 × 10である。7とは回転させられる最大径のインチであり、175mm程度である。
10は10インチの長さのものまで回転させることができるという意味である。最近買ったというのだが、調子が悪いので使いたくないと言う。

 調べてみると刃物台のgib(いわゆるカミソリ)の調整が良くない。また、それを留めるネジの穴の周りが膨らんでいる。間抜けなことにこの中国製の旋盤は、刃物台を仕上げてからネジを切っている。タップが通れば塑性変形も起こるので、ネジ穴が膨らみ、よそに当たっている。
 全てばらして、研ぎ直し、カミソリも800番のサンドペーパの上でバリを取り、良く油を付けて拭き取った。これを組立てたところ、非常に調子が良くなり彼は大喜びだ。ちょっとしたことなのだが、それが出来ていない旋盤など使えないのは当然である。
「中国製だから駄目なのかと思っていたが、そうではなかった。」
という言葉が出てきたのは意外であった。 
「この整備法を友達に教えてあげるといいよ。」と言うと、
「もちろんだ」ということになった。

COM_3842 sCOM_3840 s これは動輪の組立ジグである。へその部分が凹むので、挟んで締めれば出来上がりである。アマチュアの自作品である。ブラスが使ってあるので、あまり頻度高く使うと、変形するであろう。プロ用は別の場所で見たが、全て鋼製である。
 プレスはラックを使ったタイプでアメリカには良くあるが、日本ではほとんど見ない。

COM_3844 s 最後にこのエプロンをご覧戴きたい。
 裾にベルクロ(いわゆるマジックテープ)が付いていて、机の下のテープと噛みあう。仕事を始める前にエプロンを仕事台と結びつければ、部品が無くならないと言う。

後記 鹿ケ谷氏のサイトに写真入りの説明があるので、それをご覧戴くと分かりやすいと思う。

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2011年07月31日

続々 ロクロ作業

 ロクロ屋さんは家内工業である。職業訓練を受けた人はまずいなかった。全て、見よう見まねで行われていた。中学を出たばかりの小僧の仕事は油注し(さし)である。
 前回の穴に油を注す仕事である。二人の作業者の間に居て両方の工具に油を注す。うっかりすると焼き付くので、親方に怒鳴られながら油を注していたのを見たことがある。2,3年経つとハシを持たせてもらえる。はじめは切断ばかりやらされているが、そのうち、段付けやネジ立てをさせてもらえるようになり、何年か経つとのれん分けしてもらったようだ。

 筆者が子供のころ(昭和30年代)見たのは水道部品を作っているところで、いわゆるコマ(水を止める部品)を作っていた。ブラスの丸棒を銜えて、段削り、タップ立て、切断を繰り返していた。材料の8割は切り粉になる。凄まじい勢いでダライ粉が溜まった。それをリヤカーで運んでいた。ダライ粉には他のものが混じらないように注意していた。持って行く前には、磁石で鉄粉が入っていないか調べていた。

 大量生産品には、比較的まともなバイトを使っていたが、少量品は刃先をハンダ付けしたものであった。少し削って刃先の様子を確認してハンダ付けの位置をずらす。極めて怪しい方法であるが、それでも100個や200個は問題なく削れる。

 この方法は筆者も使っている。ハイス製の突っ切りバイトが折れたものを捨てるのはもったいないので、S45Cのキィ材の切れ端にハンダ付けして使う。相手が快削材であるから問題なく削れるし、もし剥がれても、下に落ちるので危険ではない(剥がれたことは今のところない)。
 彼らはハイス(高速度鋼)など使っていなかったと思う。色から考えると今でいうSK2あたりだ。ノミやカンナの刃を作る材料である。グラインダなどというものはなく、手で砥石を使って研いでいた。
 少し規模の大きいところは工場の片隅にコークス炉があって、フイゴを使い、鋼を赤めて簡易鍛冶屋をやっていた。それくらいの規模になるとグラインダを持っていた。

 ロクロ屋の機械は全て手作りで、既製品というものはなかったように思う。工場によって全く違うものを使っていた。根本的には廻る材料があって、それに食いつくハシがあれば仕事ができるということになる。この仕事が世の中から消えてしまったのは昭和40年くらいではないかと思う。いくつかの町工場は老齢化で廃業し、残りは旋盤を買って近代産業へと成長した。

2011年07月27日

ロクロ作業

 ロクロは旋盤の一種であるが、堅固なベッドを持たない。ロクロ屋さんは日本中にたくさんあったが、その作業を記録したものにはほとんどお目に掛からない。今回伊藤氏を訪ねたのはそれを記録するためである。
1406 これがロクロ作業の「ハシ」と呼ばれる工具である。ワークが差し込まれる孔と刃物を移動させるためのテコを組み合わせただけのものである。この写真ではワークは左から差し込まれる。握りには刃物の動く限度を決めるストッパがついている。
 これは一定の長さで切断するための工具である。これ以外にも目的に応じて種々の「ハシ」があり、ネジ切り専用のダイスをはめる「ハシ」もある。
1403 裏側から見てみよう。右から材料が差し込まれる。ストッパが刃物であり、限度まで強く差し込まれたワークは、端面削りされる。ワークをいったん少し戻し、もう一度差し込む。そこですかさず工具を握ると、切断刃物が動いて切り離される。こう書けば簡単であるが、実はここには面倒なことがある。切断刃物の動く軌跡は円であり、材料に対して直角に動くわけではない。切り込んでいくと微妙に長さが変化する。バーサインが出てくるからである。
14041407 この設定だと長さ数mmの円筒形の部品ができるようだ。切断面が垂直になるためには、長さ方向のストッパが動く必要がある。切断刃物が食い込むと、刃先は切り込むが刃の片方の側面には刃がなく、ワークを横に逃がすための微妙な丸みが付いている。その部分で、仕上がる部品の側面を押しながら刃が食い込む。バーサインで、材料はストッパ方向に少し押し込まれる。上から2枚目の写真のストッパには長穴が付いていて多少動くようになっているのがお分かりであろう。これは適度の強さのバネで押されている。切断に伴い長手方向に動くのをこれで許容する。刃物の反対側の側面には刃が付いていて、材料の端面は多少削れて平面ではなくなるが、それは次の最初の工程で仕上げられるから問題ない。

2010年05月06日

CDCO

Mr. Frank Fan CDCOをご存じだろうか。中国製の安い工具を売っている店だ。シカゴのオヘア空港の近くにある。倉庫街に事務所を置いて、通信販売をしている。価格は、まず一番安いと思われる。
 品物は良くないものもあるが、総じて合格である。この店とは結構長くお付き合いしている。友人に頼まれたものは、大抵ここで買っている。
 重いものが多いので、アメリカに行くときに注文して、アメリカ国内の友人宅に送って貰う。それを持ち帰る。
 今までで一番重かったのは8インチのスクロール・チャックである。20キロ以上あった。木箱に入っていて、荷物検査で引っ掛かって1時間以上待たされた。その他、割り出し盤とか重いものばかりを友人のために買っている。

 刃物類はあまり感心しないが、ブラスを削る分には何の問題もない。そういう意味でお勧めする。ジグ製作などでで鋼を工作する時は、日本製の刃物を買う必要があるだろう。

 長年お付き合いしていても一度も会ったことがないので、今回は事前に訪問予定を知らせておいた。大歓迎してくれて驚いた。おそらく、誰とも会わずに仕事をしているのだろうと思う。こんな笑顔で握手した。また重いものばかり買ったので、スーツケースは空港で開けて検査された。
 QCTP(刃物台で刃の高さを毎回合わせなくても、カートリッジごと嵌めかえればよい工夫)を安く売っている。筆者は20個も持っている。
 この店のホームページでMachine Tool toolingをクリックし、Lathe Toolingを選択すると最初に出てくる。

 みなさん御贔屓に。 

2008年11月02日

Dennis のWork Shop

Dennis' workshop Dennisの車庫には工作機械が並んでいる。一般人でもこの種の機械を持っている人はいる。あまり高級な機械ではない。台湾製の25年位前の機種である。しかし模型を作るには十分である。

 
 アメリカでは住宅地では三相交流の給電は難しい。単相三線の120、240Vしか来ていない。結線を見て驚いた。単相を擬似三相にするコンバータを付けている。小さなコイルと巨大なオイル・キャパシタを組み合わせた原始的なものであった。1本を進角させるだけのもので、2馬力程度なら何とかなるというが、効率はよくない。大きさは縦75cm、幅45cm、奥行20cm程度のものであるが、すごく重そうである。縦フライスの奥の壁に取り付けてあった。どこかで中古品を手に入れたらしい。

 今なら、インバータがあるからそれを採用すべきである。無段変速で急停止用のブレーキ回路まで付いたものが約3万円で買える。それを使えば、ベルトの掛替え、ギヤの切替えが要らなくなる。そのあたりのことは左のリンク先のSEC_SUZUKI氏に相談するとすぐ解決する。単相モータに比べて、三相モータはトルクが大きく、使いやすい。足踏みで急ブレーキが効くと安心でもある。また、起動が滑らかになり、ベルトの傷みも減る。
 単相電源から200Vの三相交流が作り出せ、なおかつ周波数が30〜90Hz程度まで無段階に変動させることが出来る。400Hzまで周波数を上げる事も出来るだろうが、それではモータが分解するだろう。設計の段階では想定していない条件ではあるが、1.5倍なら持つはずだ。入力を200Vのタイプを100Vで使うには、100Vを倍電圧検波(懐かしい言葉!!)する。
 ブレーキ回路は外部に抵抗をつけ、放熱させる必要がある。

 なんとなく、ディーゼル電気機関車のダイナミック・ブレーキを操作する気分でもある。

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2008年01月26日

段付きネジを作る

段付きねじ
旋盤で快削ブラスを削るのは気持ちがよい。

 写真の段付きネジである。台車の側枠を台車ボルスタに付けるネジである。鉄道模型にはいろいろな場面で段付きネジが利用される。回転を許し、外れないようにすることが多いからだ。台車のキングピンも段付きネジにすれば簡単である。頭の溝は鋸でつけるので、あまりきれいではない。本当はスリ割りのカッタでの工作が必要であるが、面倒なのでやらない。

 オークションやスワップ・ミートで手に入る部品は、このような段付きネジが無くなっているものが多い。当然、価値が下がり、安く手に入る。それを活用するためにはネジを作る必要がある。アメリカの友人にも頼まれてよく作る。彼らにはメートルネジが手に入り難いからだろう。

 このような工作にはDROが役に立つ。数字だけ見ていればいくつでも簡単に削れる。

 ネジを切るには、写真のダイス・ホルダを使う。これは自作で、1インチ径のダイスが保持できる。旋盤のスイッチを切り、主軸が止まりかけた時、心押し台を使って押し付ける。3,4回転して止まるが、それまでにネジは切れている。場合によっては足らないときがあるが、手で回して出来上がる。主軸の慣性を使うと、下手をするとねじ切りそうに感じるが、それまでにネジが進むのでモース・テーパが抜き取られて停止する。実に簡単である。

 この台車は昭和30年代に作られたもので、砂鋳物に機械加工して、コイニングで作った部品をハンダ付けしたものである。ボルスタでイコライズして、軸バネ可動という凝ったつくりで、実によく走る。ネジはISOではなく、JISであり、ピッチが大きい。この時代のものを修理するには、各種のタップやダイスが必要である。

2007年10月04日

旋盤の価格

 KKCの皆さんの御意見は一致している。旋盤を持つべきだ。ブラスの機関車一台分で、旋盤が買える。その通りである。

 旋盤があれば何でも出来る。やろうと思えば、フライス盤の代わりをさせることもできる。旋盤を持つと、いろいろなアタッチメントが欲しくなる。おそらく本体以上に出費することになるだろう。そこまでそろえれば、模型屋通いが減る。ほとんど自分で出来るからだ。その後の出費はかなり少なくなるだろう。

 材料はクズ屋で調達できる。筆者は新品の材料はほとんど使わない。切れ端を目方で買ってくればよいのだ。大きな切れ端から作るには大きな旋盤が要るから、旋盤の大きさに応じた買い物をする必要がある。

 旋盤は工作物に応じた大きさが必要だ。大は小を兼ねないし、その逆も言える。筆者の旋盤は心間600ミリ、ベッド上の振り直径が180mmである。改造に次ぐ改造で、かなり原型から遠ざかっている。手を入れた機械は、自分の一部のようなものだ。

 旋盤の部品は、ネットオークションで安く調達できる場合もある。

 このような旋盤工作の達人たちのサイトがいくつかあるのでそれを見てアイデアを頂戴する。もっとも、そのようなアイデアは、ほとんどが長らく現場で伝えられて来たものであろう。

 鉄道模型は造形の美を楽しむだけではない。正しく走らなければならない。それには旋盤を使った工作が不可欠である。


2007年10月02日

ドリルレース

 ドリルレース(Drill Lathe)という言葉があった。最近はとんと聞かないから、死語になってしまったようだ。 レースの発音は正しくない。最後は濁る音だ。
 要するに電動ドリルのチャックにワーク(工作物)を取り付け、回転させておいてヤスリを押し付ける。昔のTMSにはよく紹介されていた技法である。やってみたが、ヤスリに切り粉が完全に詰まってしまう。ヤスリを動かしながらやってみても、うまく行かない。

 ヤスリは次々と新しい刃が接触しながら移動する様に作られているから、同じ刃にワークがこすり付けられることを想定していない。一方、ロクロは固定された刃で削るのだから、旋盤と同じだ。

 金鋸の刃を折ったものを研いで、それでやってみるとうまく行くが、刃先が安定しなかった。仕方がないので刃物を載せる簡単な台を作ってみた。何のことはない。一種の旋盤である。
 よし、旋盤を買おう、ということになって小型旋盤を入手した。その旋盤は、アメリカに引っ越すとき神戸の友人に貸してそのままになっていたところ、地震で壊滅した。各種の自作の工具が付いていたので、もったいないことをした。現在のは3代目である。

 著名な模型人で、「ドリルレースで何でも出来る」と強調される方がいらした。素晴らしい作品を次々に作られたが、走るところは見たことがなかった。あるとき、初めてその走行を見るチャンスがあった。驚いたことに、動輪の心が出ていない。ぐわぐわと揺れながら走った。見てはいけない物を見てしまったような気がした。何を思われたか、その方は筆者に話しかけてきた。

「『ドリルレースで何でも出来る』というのは、あれは私の強がりだった。反省している。旋盤を購入すべきだった。しかしもう遅い。私にはもう時間がない。あなたは偉い。最初から旋盤を使っている。それが正しい。私にはそれを褒める勇気がなかった。旋盤の価格など知れていたのに。」

 心に残る言葉であった。その後まもなく、その方は亡くなられた。

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2006年10月29日

NC旋盤屋

improved frog 当初、RP25でどの程度の走行抵抗があるのか調べたくなった。材質を、摩擦の少ないステンレスにするとどうなるのかも、興味があるところであった。

 材料の自動供給装置付きNC旋盤をもつ旋盤屋を「量産屋」という。量産屋を訪ね歩いて、見積もりを取り、とりあえず発注した。こういうときは「現金、領収書なし」というのは大変効果がある。かなり安い値段で引き受けてくれた。もちろん1000軸単位でしか引き受けてくれない。友人と連絡をとってかなりの数を注文した。
 
 受け取った友人はみな大喜びであった。SUS303ステンレス製のRP25など、どこにも売っていないのだから。しかも原価で頒けたので、価格は信じられないほど安かった。

 しかし、筆者は走行テストを繰り返した結果、まだまだ性能アップの可能性はあると踏んでいた。そういうときに、吉岡精一氏からの助言により、大いに力づけられたのだ。

 フランジ形状のみならず、「ユルミ」まで踏み込んだ検討は、当初の予定を超えていた。「ユルミ」を減らすと、踏面の幅を減らすことができる。RP25の踏面はどう考えても分厚すぎるから、これはありがたかった。これで前面から見た車輪の形状は、かなり改善された。

 吉岡氏との連絡を密にして検討を繰り返した結果、決定版というべきものが生まれた。これを3種の径、軸は2種類で合計 1万軸作ることにした。再度友人からの注文を取り、余ったら海外にも紹介するという予定であったが、殆ど国内で捌けてしまった。しかもあっという間に。これも原価頒布だった。当時はOゲージの車輪が国内では枯渇していたのだ。アメリカには1000軸強を持って行った。

 3年後に「再度作ってくれ」と云う人が増えて来たので、その量産屋に行ってみたら、更地になっていた。倒産して夜逃げした、と近所の人が教えてくれた。残念であった。

 同じ質量の車輌に同じ台車を付け、筆者のレイアウトのカーヴ上で、突放して停止するまでの走行距離を測定するテストを、繰り返し行った。やはり、RP25の2/3の抵抗しか無いことが判明した。同じ列車でもカーヴ上で五割増しの牽引輌数ということになる。

 曲線上でもLow-D車輪では100輌以上の牽引が可能であることが証明されたのである。
 Low-Dとは"Low Drag"すなわち低摩擦のことである。

 写真はフランジウェイが狭いフログ。車輪が落ち込まない。しかし、ガードレイル側は少し広くしてあるが、誰も気が付かない。

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2006年09月28日

太くなるヤトイ

6afeab18.jpg モッチー様が正解である。よくおわかりになられたと思う。あまりよい写真ではないがこれで勘弁願いたい。
 英語ではExpanding Mandrelという。快削材で出来ていて、簡単に所定の太さに削れる。そうしてロック・スクリュウを締めれば多少広がって固定される。つかみ様のないパイプ状のものには適する。
 機関車のタイヤを削る時には不可欠である。

 
 さてJan Lorenzen氏のキットの話に戻ろう。彼のキットはいわゆるエッチング・キットである。昔鉄道模型社が出していたようなものと言えば、お分かりになる方もいらっしゃるであろう。非常に緻密に考えられたキットで、平面を組合わせて三次元の模型を構成する。思わぬところで接合させるので、意外性があって面白い。

 「機関車のキャブの窓枠が、機関士の視線の高さで接合される」と言ったら、信じて戴けるであろうか。当然、添え木を当てることになるがうまく接合されている。

 Janには一度しか会ったことはない。ありとあらゆる機関車、貨車のエッチング・キットを作り出している。しかし、下廻りはどれもこれも感心しない。聞くところによると、建築の方の出身で機械工学は知らないと言う。さもありなんという感じである。コンピュータを一切使わず、すべて手で計算して、原図も手で書くと言っていた。

 まだ、組んでいない彼のキットがいくつかあり、下廻りの設計に頭を悩ませている。最終的に下廻りは捨てて、自分で作ることになる。

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2006年09月25日

続々QCTP

a88cd98a.jpg これはQCTPにつける自作アタッチメントである。複合刃物台の角度が、平行かどうかを確認するためのものである。これは日本製の高級品がつけてある。

 ダイヤルゲージをテスト・バァに当て、刃物台をスライドさせればすぐわかる。もちろんその前にチャックの心が出ているかをこれで確認する。

 今まで面倒な方法でダイヤルゲージを当てていたが、これさえあればたちまち完了する。

 最近中国製のダイヤルゲージがとても安く手に入る。心の振れを見るぐらいなら、何の問題もなく使える。磁石のついた自在台もこれまた安い。こういうものは使えればよいので、アマチュアには低価格はありがたい。目盛りがミリでもインチでも関係がない。動けばよいからだ。
 何種類ものダイヤルゲージを買ってしまった。内径用のインジケータはアタッチメントがいろいろあり、工夫してその組み合わせを考えるだけでも楽しい。

 先ごろ核兵器開発に使える超高級精密測定機器を、低級品と偽装して輸出した件で検挙された会社も、売上をかなり食われていると推察する。最近はかなりの赤字だったらしい。この値段で売られてはたまらないだろう。

 QCTPのカートリッジには、他に綾目のローレットを切るための専用のものもある。2つのローラーがついている。高さを無段階に変化させられるので、先端が首を振らなくても、アタリを均等に設定できて都合が良い。

2006年09月24日

続QCTP 内径削り

13047d7d.jpg 鉄砲鍛冶という仕事は内径削りの作業が多い。あまり詳しく書くと、読者の中で逮捕者が出る可能性があって書けない。ほんのさわりの部分だけにしておく。

 Billの中グリ作業を見学していると、ただひたすら、「刃物を高くせよ」という。刃物は切削によりたわむから、ちょうど中心を通る水平線上に刃物があると食い込んでしまう。その結果えぐった内径が大きくなってしまうから始末が悪い。

 高く保つと、たわんでも刃が工作物から逃げる方向に行くので安心である。角バイトよりも、このような丸いバイトの方が、刃先の角度を調節できるので便利である。この写真では見えないが簡単に目盛りをつけて角度を覚え易くしてある。 

 QCTPは中グリ時には大いに威力を発揮する。刃物をz軸方向のみならずy軸方向にもネジで動かせるので、高さの調整をしやすい。これがシムによる調整だけではとても難しい。BillはQCTPではなく、特製の中グリ用刃物台で高さを決めていた。

 昨日の写真で心押台に付いている銀色の丸いものは何かという質問を戴いた。それは傘センタ(Bull Nose Live Centerという)である。大きな丸い穴が空いている物に押し込むことによって安定保持ができる。作っても良かったが、安いものなので完成品を買った。パイプを切ったりするときは不可欠である。

 その写真では複合刃物台のDROの取付け法も分かる。多少傾けてあるので見やすい。

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2006年09月23日

QCTP

5a17a1f0.jpg  QCTPというのはQuick Change Tool Postのことである。旋盤の刃物台の一部を瞬時に取り替えられる工夫である。

 旋盤作業で面倒なのは、刃先の高さを合わせる作業だ。刃物の下に敷くシムをたくさん用意しておいて、刃物を締め付ける。切粉が入ると誤差を生じて面倒なことになる。

 QCTPはひとつの刃物ごとに高さをネジで調節してロックする装置がついている。ということはどの刃物も取り替えただけで刃先の高さが合う。

 これは大変な変化をもたらす。作業時間が大幅に短縮されるのだ。今まで刃物を3回取り替えれば、そのたびに数分間が無駄に費やされ、合計15分ほどは仕事をしていない。QCTPならその時間が限りなくゼロに近くなる。

 刃物を取り付ける部分(カートリッジという)を刃物の数だけ持っていると良い。以前はそれがかなり高価で、なかなか買えなかったが、現在は中国製の廉価版が出ている。たくさん買っても、悩まなくて良い価格であるので、20個ほど持っている。上にあるネジを廻して高さを決め、ロックナットで固定する。

 カートリッジはいろいろな形があり、角バイトをはさむ形はもちろんのこと、丸い刃物を保持するものとか、突っ切りバイトを保持するものなどがある。

 どれもかなり出来がよい。完全な互換性があるので番号さえ間違えなければ、どのメーカの部品も合う。

 ツール・ポストはピストン式といって上のレバを廻すと1mm程度飛び出してくる。するとカートリッジが斜面に密着して固定されるのだ。


2006年09月19日

Self-Ejecting Chuck Wrench

e75a0824.jpg これは旋盤のチャックを締めるハンドルであるが、小さいスプリングがつけてあるのがミソである。

 旋盤を持っている人なら、どなたも一度や二度はハンドルを挿したまま起動させて、冷や汗をかいた経験がおありではないだろうか。
 
 Billの旋盤では、このスプリング付きのハンドルを使った。手を放せば飛び出してくるのである。
 うまい工夫だと感心していたら、「そんなもの、戦争前からあるぞ。」と言われてしまった。日本ではまず見ないように思うが、いかがだろうか。Bisonの製品はこんな形である。

 筆者のチャック・ハンドルには、スプリングをはめるのに適する細くなった部分があるので、適当なスプリングをはめて使っている。あまり堅いスプリングでは押し込みにくいので、かなり柔らかい物を使うのが良いようだ。

 ボール盤のドリル・チャックのハンドルを、挿したまま起動することもたまにある。鎖でぶら下げてあるので飛んでくる心配はまず無いが、かなりびっくりする。これも同じ理屈で出来ないかと試作したが大変調子が悪い。太くなりすぎて良くない。
 中心の部分が、ぴょんと飛び出るようにできればいいのだが、熱処理してあって穴をあけるのは難しそうだ。焼きなまして加工してみようと思っていたら市販品があった。
 ただし、これはかなり大きなキィである。小さいのを作ってみたいものだ。人間の考えることは世の東西を問わず、みな一緒であると納得した。

2006年09月18日

x軸 DRO

7c283d38.jpg どうしても目盛りが半分に表示される装置が欲しいので、電子工学の専門家のK・K氏に頼んだところ、二つ返事で作ってくれた。

 これがその装置である。任意の場所でゼロを設定することが出来、直径および半径の差分が表示される。

 これを使うと便利な事この上無い。あと0.02 mm削るなどという切削も訳なくできる。これを導入してから殆ど失敗が無くなった。

 このような便利な装置がどうして売られていないのだろうと調べてみたら、三軸DROを買えばその機能が付いていることがわかった。しかしとても高価だ。


 しばらく前に写した写真であまり整頓していないところはお許し戴きたい。
 写真の右奥が昨日の説明の心押台である。4インチ(約100 mm)のノギスをちょん切り、ブラスのリング状のスクラップと角材で作った支持台につけた。見やすいように角度をつけてある。
 z軸は6インチ(15 cm)のノギスをつけた。これもジャンク箱を探してそれらしい部品を介してつけた。
 x軸はKK氏に戴いた物で、Mitutoyoの高級品であった。デジタル出力を強引に取り出してある。

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