金属加工

2020年04月21日

切断機のカスタマイジング 追補

 むすこたかなし氏が切断機のテイブルで手を切る可能性があることを示唆された。なるほど、ハンドルに丸い握りゴムを付けている人にとっては、無視できない話だ。筆者は電車の断面のようなカマボコ型にしたので、握らずに手の平で押し切っていた。
 
metal cutting saw (5) テイブルの 4 mm鋼板を糸鋸で切るのは体力的に避けたい。思い付くのは丸鋸である。最近はチップソウというものが安くなってきて、超硬の刃(チップ)を付けた金属用丸鋸が廉価で手に入るようになった。鉄筋などを簡単に切ることができるので、工事現場ではよく見る。

metal cutting saw (4)metal cutting saw (1) 鉄骨を熔接したものをばらす必要があって、この刃を買ってあった。30 mmのアングルならあっという間に切れる。この程度の鋼板もすぐ切れる。実際3秒弱で切れてしまった。角度が悪かったのでもう一度切り、計15秒ほどである。近所の人が見ていたが、その速度にはとても驚いた。
 切粉は焼けたのが飛ぶので、下に敷いたポリエチレンシートに喰い込み、穴だらけになった。

metal cutting saw (3)metal cutting saw (2) 刃の設計は巧妙で、押し込んでも一回に切れる量は変化しない。サーメットのチップを使っている。驚くべき切れ味である。もっと薄い歯であればブラスも切るのだが。切粉は箒と磁石で集めた。フィリピンで日本企業が作っている。
 切り口の鋭った角はディスク・グラインダで落とした。


 折れないハンドルが2本出て来た。ご希望の方は連絡されたい。キィ付きで4000円である(送料別)。キィ溝付けのフライス加工もお手伝いできる。
 再生産することは無い。売り切りである。 


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2020年03月18日

真ん中を凹ませる

 先日の記事で、ヤスリで平面を出す方法について述べた。コメントそのものは少なかったが、コメント欄を通じた<私信>はかなり来た。私信であるから、公表はできない。知っている人も多かったが、未知の人からも来た。連絡先は書いてない。

 かなりの調子で、「ありえないことを書かないほうが良い」と言って来た。自信家と見える。「あの固い鉄のヤスリは曲がりません」と書いてあるのだ。鉄という言葉が間違っているのは、ここでは追求しない。どんなものも、力を入れれば曲がる。

 こういうことを言う人は、ご自分の見聞きしたことが世の中のすべてである、と信ずるタイプの人であろう。いわゆるスクラッチ・ビルダの中には多く居る。自分がアマチュアであることに気が付いていない。世の中は広いのだ。過去のTMS の記事はこういうタイプの人が書いた記事が大半である。だから進歩が殆どない。プロの世界を紹介する記事、プロから見た見解を書いた記事が必要なのである。

 この件をクラブの掲示板に書き込んで、経験のある方はご披露下さいとお願いしたところ、年配の会員がこのように書いて下さった。
 その通りです。R加工のときは反りを大きくします。小生は63年前、仕上の授業で習いました 余談ですが平ヤスリには片面にRが付いており、反対面はストレートです。手持ち(200 mm)を確認したところ、1本は両面ともRが付いていました。(フラットな面も先端は細くなっています)R加工の反りは、スェイさす事です。

 
確認したところ、スェイとはスウェイ(sway)揺動させることである。

 また今野氏から、これまた年配のフライス工の方が、
手作業なら出来るよ。フライスが無かった時代は、そうやって平面を出していたもんだよ。」
とおっしゃっていた、と伝えてくれた。 

 ヤスリを反らせるにはコツがある。筆者の習った方法は、下記のようなものである。まずヤスリのわずかに丸味のある面を下にする。左手の親指を中央に当て、中指と薬指を先端に掛ける。押す瞬間に力を入れると撓む。丸味をなぞるように押す。
 できないと言っている人は、プロの世界を知らないのである。筆者はそういう世界が好きで、覗くのが趣味であった。もうすでに、そのようなテクニックは殆ど世の中に存在しないが、特定の場所にはまだ存在している。


 大きな会社であれば、技能五輪に出場するための部署がある。某企業の担当者とは親しいので聞いてみた。それは当然という感じで教えてくれた。
 ヤスリだけで定盤を削り出せるそうだ。そういうところでは高級なヤスリをまとめ買いして、選り出して使う。残りは廃棄する。それを筆者のところにも、時々廻してもらっていた。余談であるが、日本の選手は優秀だそうだ。
 時として課題に間違いがあるそうだが、それを指摘するという。他の国の選手は出来なくて困っていた。出題側は、間違いを認めて問題を修正したそうだが、その時点で日本の入賞は決まっていたらしい。


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2020年03月04日

US Hobbies のギヤボックス

US Hobbies gear box 次はUS Hobbiesの推進軸を下げるギヤボックスである。先回のMax Grayの時代から進化して、ダイキャストで作っている。この設計者も祖父江氏である。


KTM gearbox ネジは裏表互い違いになっていて、型を一つしか起こす必要が無い。ガスケットをはさんで14枚、16枚、28枚の歯車を収納している。軸は4mm軸で、スティール製である。フランジ付きオイルレスメタルによって保持されている。新しく組んだら、油を注して放置し、油が馴染んでから慣らし運転をする。歯数がすべて2で割れるのは面白くない。
 どうして偶数にしたのかと、祖父江氏に聞いたことがある。その理由は偶数の歯車は注文すればすぐ製作してくれる。奇数とか素数の歯車は時間が掛かる。「互いに素」は知っていたが、そうでなくても密閉型の場合は、さしたる問題は起きたことが無いそうだ。

 実情はそうかもしれない。しかし、3条ウォームの時は、「互いに素」を強く主張した。出来て来たものを組んでみた時、初めは多少しっくりこないところがあったが、1分も廻すと実に滑らかになったのには、祖父江氏は感銘を受けたようだ。2条で偶数歯のものは、特定の場所でひっかかりがあるといつまでも抜け出せない。3条で互いに素にしたら、全くひっかかりが無いものができたのだ。
「これは参ったねー。本当にあんたの言う通りだよ。大したもんだ。」
と称賛した。のちにこれと同じことをディーゼル用ギヤボックスを作ってくれた友人も言った

 このギヤボックスのオイルレスメタルは、内径 4 mm、外径 6 mmである。フランジは内側に付ける。軸を Φ3 にすると安価なボールベアリングが使える。たまたまフランジ付きボールベアリングがある程度の数あったので、それを使ってみることにした。そうすると今回の場合は、設計が極めて楽になる。筆者は過去にフランジ付きを使ったことはまず無い。その理由は前に述べた。今回は構成が全く異なる。フランジ付きを使わざるを得ない。


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2020年02月29日

Samhongsa のギヤボックス

Samhongsa gear box (1) 先日、Ajinのギヤボックスを改良して安価に、かつ、そこそこの性能を持つものを作り出せた。捨てるものから役に立つものができるのならと、ジャンク箱を漁っていた。
 韓国製のギヤボックスがバケツ一杯ほど出て来た。選り分けると、比較的近年のものは何とか逆駆動出来そうである。その中にこのサムホンサのギヤボックスがあった。

 これは土屋氏のC&O J3 4-8-4を改装した時に出たものである。変な色のグリスがぎっしり詰まっていて、動きにくい。
 蓋を開けてみて驚いた。これにもモジュールの大きなヘリカルギヤが使ってある。ヘリカルはスラストが発生するから、その処理をしないと損失が大きいのだが、このギヤボックスにはスラスト・ボールベアリングが使ってあるではないか。そこだけは出来過ぎである。ただ、グリスが粘くて動きにくい。また灯油に漬け込んでから、溶剤スプレイで洗い落とした。

 スパーギヤの3段減速なのだが、モジュールは 0.5 で歯数は14:28である。この14枚は、何かを感じる。Ajinで筆者が教えた奴が、競合するサムホンサに就職した件と関係ありそうだ。その次のヘリカルは 8:13である。互いに素にしたのも、ピンと来る。こんな偶然はめったにない。
 間違いなくこの設計者は筆者に会っている。スラストベアリングの話もした。しかし14:28は間抜けだ。どうせやるなら29枚を使えば良かった。最終段の14枚がブラス製なのはどうしてだろう。ここは力が掛かるところなのに、何か抜けている。眼鏡を掛けた坊主頭の若い男だった。本質を理解していないから、記憶に頼って失敗している。

Samhongsa gear box (2) よく洗って研磨し、再組立てしたが、手で廻すと何か触るような感触がある。ほんのちょっとなのだが、気になる。分解してみて仰天した。歯先がギヤボックス内面に当たっているではないか。よく見ると、その部分は縦フライスで削ってある。設計ミスで追加工しているのだが、削り方が足らなかったのだ。今まで当たっていた数枚の歯は、歯先が光っている。最低だ。
 仕方がないから、縦フライスでさらに削った。歯先はダイヤモンド砥石で再調整した。スピンドルオイルを注し、組み立てると素晴らしく滑らかに廻るようになった。
 ギヤ比は14/28 ✖ 14/28 ✖ 14/28 ✖ 8/13 = 1/13 である。減速比が大き過ぎる。1段減らす工夫をしてみよう。それほど難しくはない工作だ。すべての軸にボ−ルベアリングを入れることも可能である。このギヤボックスを何に使うべきか、思案中である。1/6.5程度のギヤ比ならば、パシフィックに付けて見たい。


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2020年01月26日

工程表

 限られた時間で完成させようとすると、どうしても工程表が要る。工程表が無いと、くだらないところに時間を掛け過ぎてしまう傾向がある。

 各単元の工程の時間は、経験上分かっているので、細かく分けて書く。ここまでは何月何日に出来ていなければならない、という目安は大切である。
 単元ごとに検査し、あとでの再調整を不要にしておくことが時間節約になる。これは建築工事と同じだ。組んだものをバラして再調整するのは、膨大な手間が掛かる。今回は既製品の改造なので、既存の構造を利用できるところは残す。他を切り取るので、補強が要る。補強を後廻しにすると寸法誤差が出るので、補強工事を最優先にし、その後余分を切り取るようにした。
 テンダの中は太い骨が入っている。もともとはがらんどうであったが、重くなるので持った時に潰れないような構造でなければならない。
 
 旋盤工作は意外に時間が掛かる。刃物やドリルを取り替える手間が多いからだ。その必要が無いものは早い。小さい方の旋盤にはDROが付いていないので、目盛を読んで作るのは意外と大変である。1回転で何mmということから計算するので、計算用紙、電卓が必要である。早見表を作り見やすい位置に貼ってある。すべての材料、工具は並べておく。材料探しというのは、するべきではない。

 最初に見積もったスケジュールより早く進んでも油断せずに、先の方の予定でも時間が掛かりそうなものを先に作っておく。
 ロストワックス部品は念入りに仕上げてバリを取り、足の長さを調整して完全に密着するようにしておく。そうしないとハンダが完全に廻らない。
 細かな組立ては、机の上を整理して行う。前掛けをして、落とした部品がひっかかるようにする。落とした部品探しというのは、時間の無駄そのものである。
 塗装は4日掛かるとみた。初日は塗装剥がしである。塗ったらオヴンに入れて加熱する。100℃で2時間だ。マスキングは丁寧にする。失敗すると時間が無駄だ。塗り終わると同時に剥がして再加熱する。

 結局のところ、〆切の2日前に落成した。テンダがとても重く、宅配便で送るわけには行かない。持って行く途上で、T氏には助けて戴いた。ナンバーボードのスクリーンを忘れたのだ。コンピュータで作って戴いたものを付けた。


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2020年01月24日

リンク機構の工夫

making link (1)making link (2) テンダの先台車はリンクで結ばれている。左右に振れると、先台車は微妙に回転し、曲線上に載る。前後のガタは全くない。ピンはネジだが、パイプを切って嵌めてあった。要するに段付きネジのようになっているのだ。友人のO氏に見せたら、ピンに僅かのガタがあると指摘されたので、旋盤で精密なピンを挽いて、作り直した。ガタがあれば、台形リンクの意味がない。
 ガタをなくし、微量のグリスを塗った。当然、穴にはリーマを通してある。磨り減ることはないだろう。

 フライスのDROで設計寸法に孔をあけてから、外形を切り抜くが、今回はギヤボックスがあるので一筋縄ではいかない。少し逃げている。そうすると固定台車の第一軸の車輪が干渉する。絶縁側は念の為、さらに1 mmの逃げを付けるのが、当社の方針である。するとリンクは直線にはならない。

tailoring a link こういう時は、距離を保ちつつ途中の経路を変更するので、屈曲させるわけだ。十分な剛性が必要で、なおかつ設計寸法が変化するのを避けたい。そういう時はこの方法が確実である。図は誇張してある。
 .團鷙Δ鬚△院太い副木(そえぎ)を当ててピンを通し、ハンダ付けする。
 副木に食い込むくらい切り込んで、障碍物を回避する。
 A澗里鮴扱舛垢襦

 これを3次元でやるので、できあがりのリンクはあらぬ形をしているが、ちゃんと機能する。

stopper 先台車のリンク支持には大きな利点がある。直線の線路上では、自然に台車が真っ直ぐ向く。即ち線路に載せ易い。問題は、センタピンが無いので、車体を持ち上げると台車が落ちてくることである。今回はそれを解決するために、ひっかかりの爪を作って落ち留め(写真)としている。左右に滑らかに動くことが条件だ。二硫化モリブデンを塗ってあるので、滑らかに作動する。
 復元装置は付けなかった。今のところ、なくても脱線したことは無い。機関車に引張られているというところが大きいのだろう。推進時にも問題はなかった。ただ、設計最小半径未満では脱線する。ガタが無いので当然である。

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2020年01月06日

ワッシャを作る

 ワッシャを作る人はまずいないだろうが、時と場合によっては作らざるを得ない。外径9.5 mm、内径 7.0 mm、厚さ0.3 mm のワッシャは売っていないし、たとえ既製品があったとしても、プレス製で平面度が低い。
 メインロッドとコネクティング・ロッドの間に挟みたい。色はブラス色は避けたい。快削のステンレスは持っていないので、洋白の板から作った。色が良くないが、仕方ない。作り終わってから写真を撮ってないことに気が付いたので、別の部品を作るときに撮り直した。作り方を紹介する。

turning1turning2 まずΦ10のブラス丸棒に洋白の t1.2を二枚ハンダ付けし、水洗いする。こういう時には炭素棒で付けるに限る。但し洋白板は熱伝導が良くないので熱が廻らず融かしてしまう惧れがある。ブラスの方を加熱する。
 コレットに銜え、角を落として所定の寸法にする。快削ではないが簡単である。
 
turning3turning4turning5 センタ・ドリルでセンタを出し、Φ3のドリルで穴あけをする。炭素棒で挟んで加熱し、挽物を外す。ドリル穴付近で塑性変形して、二枚が喰い込んでいるので、外れにくい。熱いうちに木槌で叩いて外す。

turning6 リーマを通し、ハンダを油目ヤスリで取るとできあがりだ。この間8分。慣れれば早い。この丸棒は、コレット全長の長さが必要である。短いものを先端だけで掴むと、正確に銜えていないことがありうるからだ。あるいは、短いものを掴むときは、コレットの反対側に別の同径の短いものを銜えても良い。

turning7 何に使うのか。この部品である。手前の人形その他は無視されたい。向こうのロッドのビッグエンドの留め環である。人形はこの後、姿勢と色とを調整した。


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2020年01月04日

マボーコー

磨棒 ボ−ルベアリングを装着する軸が必要であった。生憎、必要なサイズを切らしていた。
 表題の店に電話して、手に入るサイズを聞いた。漢字では「磨棒鋼」と書くのだ。昔、初めてこの発音を聞いた時、中華料理の名前かと思った。一般には「磨き棒鋼」と言っている。あるいは「シャフト屋」である。

 Φ2から、2.5、3、4、5のステンレスSUS304シャフトを注文した。長さは2m単位である。もう少し太いものだと 4 mだから乗用車には載らない。その場で半分に切ってもらって、持ち帰る。ワンカット150円くらいだと思う。細い物はボルトクリッパを持って行って自分で切る。
 写真は添え木に縛り付けたものを示している。裸で渡してくれるわけではない。ちゃんと曲がらないように配慮してくれる。

 この手のシャフトは、すべてマイナス公差である。まかり間違っても表示寸法より太いことは無い。ミニチュア・ボールベアリングは滑り嵌めが原則である。ミシン油を付けて、にゅるにゅると入るのが正しい寸法だ。するするでは駄目なのだ。
 彼らは専門家であるから、よく知っていて、何も言うことはない。

 一般人には縁遠い店だが、筆者はよく行くので、ついでがあれば購入してお分けする。上述の寸法であれば、手持ちの物を切って、即納できる。長さはレターパックに入る長さを基本とする。ボールベアリングを普通鋼のシャフトに嵌めるのは避けたい。普通の保管法では錆びて抜けなくなるからだ。

 蒸気機関車の車軸用の、SUS303材の末端を加工したシャフトを注文する必要がある。どのくらいの価格で応じてくれるか、楽しみである。
 動輪の嵌替えは、最適の材料、工具、テクニックが無いと難しい。今までは祖父江氏がやってくれていたが、筆者が引き受けざるを得ない状況になってきた。ノウハウはすべて受け継いだ。問題は動輪を掴むコレットの種類があまりないことだ。80インチ、63インチはできる。他のサイズ用は作らなければならないが、そのコレット材料がないので、ebayで探している。

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2019年12月29日

リーマ

reams reamer と綴るが、アメリカ人の大半はreamと言う。なぜだろう。

 先日博物館に来てくれた友人(日本人)にリーマを見せたら、「始めて見た」と言った。これには驚いた。
 今までドリルで孔をあけて、軸を通したと言う。それではいけない。リーマを通さなければ、軸受にならない。油膜が切れてしまうからだ。

 筆者は1 mmから12.7 mmまで、かなりたくさんのリーマを持っている。シャフトを通すところには全て必要だ。傷をつけないよう、大切に保管している。
 継手など旋盤で作っても、その内側を平滑にしないとシャフトが通らない。ミシン油を塗って組む。油膜が必要である。

 ドリル寸法が公称値よりわずかに細いことは、知られている。即ち、ドリルで孔をあけてもシャフトは通らない。リーマを通す前提になっている。使っているシャフトの寸法のリーマは持つべきだ。

 ロックタイトを使うときも、リーマを通して滑り込みにし、そこに浸み込ませると世話が無い。その程度の隙間に入るように設計されているからだ。

 圧入する時は微妙に細いリーマを使う。リーマは 1/100 mmピッチで揃っているし、特注寸法も買える。ドリルであけただけではダメなのである。
 昔何かの記事で、ドリル孔をそのまま使えば、細いリーマを使ったのと同じ効果で圧入に使える、と書いてあった。これはとんでもない間違いで、拡大鏡で孔の内側を見れば、あまりにも違うので驚くだろう。細密工作が自慢の方達なのが、基本的なことをおろそかにしている。
 圧入用の少し細いリーマは、特注しても3、4千円程度で買えるものである。

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2019年12月27日

四角棒を削る

 ユニヴァーサルジョイントのちょうど良い長さのものが無いので、スプラインを作り直した。既存のものを分解して角棒を作り直せばよい。 

turning square rod 旋盤のコレットに四角棒を銜えた。自宅の旋盤のコレット群はアメリカ製で、6分割になっているから、六角棒は具合よく銜えられる。博物館のは8分割であるから、四角棒を銜えられる。本当は多少傷が付くので避けるべきなのだろうが、表面を磨くので問題ない。

 快削材なので調子よく削れて、短いスプラインができた。伸縮は僅かに0.8 mm以下である。ガタガタのユニヴァーサル・ジョイントを使えばスプライン無しでも行ける範囲だったが、音がするのが許せないので、この方法を採った。

 ごく狭い範囲の軸ずれを吸収するには、例の六角ジョイントが良い。これも部品を作る。六角棒を削って作るのだ。六角ジョイントの構造は、先が丸味を持っているヘキサレンチを考えれば良い。多少の傾きを吸収する。角速度は、厳密には一致しないはずだが、角度が小さいので、無視できる範囲にある。実際に使ってみて、振動、騒音は感じられない。かなりうまく出来たものであると思う。

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2019年12月21日

洋白材を削る

 ロストワックスの部品が足らないので、それらしく自作する羽目になった。機械加工で作る。1.2 mm厚の洋白材をブラスの2.6 mm厚の切れ端にハンダで貼り、それを縦フライスの万力で銜えた。この洋白材は快削だと信じていたが、そうではなかった。 

milling 1 刃はΦ1.0 とΦ0.5 である。細い工具には回転数が必要であるから、ベルトを掛け替えた。結果はこんな調子である。普通のブラスよりはマシであるが、粘りがある。切粉がさらさらとは出ない。

 DROの数字は事前に何度も検算し、間違いがないことを確かめる。初めの(0,0)点を決め、刃を降ろす前に計算値の通りに一周して、ワークからはみ出さないかを確かめる。

 切削はすべてDROの読みだけで行うので、ワークはあまり見ない。というよりも切粉が山盛りで、見えない。荒神箒(こうじんぼうき)で払っても取れない。Φ0.5を使うので、回転は最高、送りは最小である。7 mmx4 mmを一周するのに10分かけた。
 荒神箒は旋盤などでの快削材の切粉払いには最適である。最近はあまり見かけない。見付けると買い占めて、仲間で分ける。

milling2 周りは太い刃で削り落とす。さて、何を作っているのだろう。

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2019年12月17日

非快削材を削る

快削ブラス 複数枚の部品が必要な時は、板をハンダで貼り合わせて切り抜く。糸鋸でも良いが、フライスが使える物であれば、機械加工の方が楽であるし、正確だ。刃の太さを考慮した図面を描き、基点を決めて切削を開始する。刃が細いので、回転は最高に上げる。

 この4つの孔はハシゴになる。正確にケガいて糸鋸で切っても、不揃いになるから面白くない。昔は念入りに切って、ヤスリ掛けをした。最近はDROを使って機械で切り抜く。半径 0.5 mmのRで抜けるから、丸い形の物はそのままで良い。
 これは快削材であるから、すいすいと切れてバリもない。

快削 非快削 次の部品を切り始めたら、それ(右)が快削でなかったようだ。もう少しであるのに、くしゃっと行ってしまった。腹が立つが仕方が無い。捨てて、快削材で作り直した。ハンダ付けが全面にされてなかったことも原因の一つだが、粘る非快削材であったことが大きなファクタである。

ladder 出来上がったステップの踏み板は、薄手の滑り止めの付いたエッチング板があったので、折り曲げて貼った。間隔が揃っているので、気持ちが良い。こういうものは機械加工には敵わない。
 この種のステップは、蹴込みの深さも大切だが、向こう側に板があって、足が滑り込まないようにすることが義務付けられている。その板は連続であったり、分かれていたりする。この安全基準が設けられたのは1940年頃だ。
 Alco社の図面を参考にしたので、間違いはなかろう。

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2019年12月01日

快削ブラス

 最近、模型界では快削ブラスが市民権を得たような気がする。40年前は、おそらく殆ど知られていなかった。大阪の福原金属だけが売っていたという情報はあるが、大半の模型屋で売っているものは普通のブラス板であった。本当に切りにくくて腹が立った。一方、建材の引戸レイルは、糸鋸でとても切りやすかったことが印象に残っている。大きなモータに付いている銘版の廃品を貰ったが、これは粘い材料で、油を付けても切りにくかった。

 アメリカに行くと、ブラス板は少々色が違って緑っぽい感じがした。糸鋸ですいすいと切れるし、シアでは、すとんと切れる。
 性質が違い過ぎて、同じ金属とは思い難かった。日本製のブラス模型の色は赤く、アメリカ製は黄緑色であった。

 日本の材料屋でその違いについて聞くと、「快削と指定して取り寄せてあげるよ」と言う。それならばと、t0.3から順に定尺を全サイズ買った。色は普通材と同じであった。とても使い易く、友人に譲ったりして、その後は快削しか買わない。今は 0.3 mmが市販されていないようである。昔は、この板は時計の歯車用に大量に消費されていた。

 今野氏と知り合ってそのことを伝えると、KKC内部での頒布材料は、すべて快削材になったと言ってよいだろう。いろいろな場面で感謝されることがある。

 しばらく前、クラブの会合に手持ちの半端材料を大量に持って行って、安価で処分した。半分ほどは快削でなかったので、印を付けておいた。そうしたら、買おうとした人が、「えっ、快削じゃないの?僕は快削しか使わないんだ。もう普通のブラスなんて買う人は居ないよ。」と仏頂面で、のたもうた。その言い方にはとても驚いたが、内心とても嬉しかった。皆さんが使ってくれているんだと知って、多少なりとも貢献していることを実感した。これには今野氏の努力が大きい。この記事など、読んでくれた人など殆ど居ないのだから。 

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2019年11月23日

続 遠藤機械の切断機ハンドルを取り替える

recipro saw 2台目の修理は、まず回転軸を切断することから始まる。砥石で切るつもりだったが、埃が出るのと、火花で火災を引き起こす可能性がある。レシプロ・ソウで切ることにした。たまたま良く切れる刃を入手してある。写真の軸の下に敷いてある合板は、切断した瞬間に刃が下に落ちて、傷をつけるのを防ぐための保護板である。 
 相手は軟鋼だから、30秒ほどで切れる。もちろん切削油はふんだんに注す。

 2箇所切って、カムを取る。片方は簡単に取れたが、他方は動かない。しょうがないから、12トンプレスで押し抜いた。2.5トンほど掛けたら、取れた。これでは、叩いても動かないわけだ。

619_1462 取り出した軸を見てびっくりした。押しネジが少しずつずれて軸が塑性変形している。軸が軟らかいからだ。このように軟らかいものに押しネジを使う時は、縦フライスで十分な平面を作る必要がある。ところが、浅い穴をドリルで掘っただけだから、ずれていくことがある。筆者のように1mmを大量に切る人は傷みやすい。この写真で、片方は数年前に縦フライスで修理した痕が分かるだろう。
 
 今頃になって思い出したが、その時も抜くのに苦労した。ついでに両方やればよかったのに、片方しか加工しなかったバチが当った。軸が膨らんでいるので、プレスで押し抜いた時に、カムに ”めくれ” が生じたのが見える。

Finished! 新しいハンドルは、すぽっと嵌まり、キィを入れると固くなる。うまく行った。これもハンドルの、手に当たるところは削っておいた。テーブル上のものは切り落としたシャフトだ。軟らかいから叩く台にもならない。切り刻んでウェイトにするしかない。


Finished!! これで2台完成だ。この2台の仕様は、すべての点で異なる。カムの留めネジの角度まで違うから、部品の流用はできない。互換性ということを一切考えていないのだ。一台は自宅に持って帰る。

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2019年11月20日

遠藤機械の切断機ハンドルを取り替える

 頒布元が仮組でもたついている間に、早速組み立てた人がいらしゃる。二日遅れで、筆者も組み立てた。

 ハンドルの孔の内側を仕上げるのは簡単だったが、回転軸を外すのは大変だ。材料がナマクラで、抜こうと思って叩くと太くなる。
 もちろんブラスの塊を当ててから、sledgehammer(大ハンマー)で叩く。そうしないと軸は変形する。助っ人にブラス塊を保持してもらって、10ポンド(4.5 kg)のでゴンとやるのだ。
 
 ある程度まではズレるが、その後が動かない。逆方向に叩いたりしているうちに、軸の先端が太くなってきたことに気が付いた。軟らかい金属塊を当てているのに、である。ひどい話だ。この材料はごく普通の軟鋼である。S45Cではない。修理ができないような材料を使っているのは、だめだ。
 仕方がないから、大きなヤスリで軸端を少し削り、軟らかい材料のボルトを差して叩いて、それで押し抜きした。12トン油圧プレスがあるのでそれで抜くつもりだったが、ふところがあと 30 mm足らず、その方法は諦めた。

 S45C の 5/8 インチの丸棒を注文するつもりだ。今のままでは、押しネジの当たっているところが、徐々に変形してまた抜けなくなる可能性が高い。現在のは、ディスクグラインダで真ん中から切って分割すれば、抜き取れるだろう。ご希望の方があれば、同時に注文すると割安だ。

 ハンドルはちょうど良い大きさの孔に調整できた。軸に縦フライスで5mmの溝を切った。細いエンドミルで中心を削り、両側をゆっくり送って削り、滑らかに仕上げた。

tapping with mallet 組立ては木槌でコンコンと叩いた。ハンドルもキィも、そこそこの固さで入り、軽く納まった。
ということは、抜くことも難しくない。



finished ハンドルはある程度、ディスク・グラインダで削ってみたところ、手に優しい感じである。面積が大きいので圧力が少ないためであろう。丸棒よりずっと気分よく切れる。ちょうど裾の絞ってある電車のような断面になった。黒い箱はLED照明の電池箱である。
 
 とりあえず、ペンキを塗ってみる。その上に何を被せるかは思案中だ。被せなくても構わないような気もしてきた。
 1台完成だ。あと1台が難物なのだ。どうしても抜けないのである。軸を切り刻んでバラすしかない。


 ハンドル購入者から連絡があった。なんと、その方の回転軸はΦ16だったという。5/8インチより 0.13 mm太いのだ。ハンドルの穴を拡げねばならないが、大変だ。軸を旋盤で挽いて、細くすることができるから、それをやってみよう。
 申し訳ないことをした。まさかそんなヴァージョンがあるとは知らなかった。この会社の製品には、一体何種類のヴァリエイションがあるのだろう。



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2019年11月18日

工作機械とジグ

 先日来訪した友人が一通り見て、質問した。
「一体何輌あるのか?」
「ざっと機関車が40輌、客貨車が400輌位だろうか。ここにある機関車の大半は土屋氏から来たものだけどね。家には自分の機関車が40輌位あるかな。未完のものもかなりある。」
 この数字には驚いたらしい。

「20代から、機関車は年に1輌、貨車などは月に1輌という目標でやってきたから、そんなものだよ。」
「どれも、みな押して動くようになっているのか。」
「動くよ、ほら。」と何輌かの機関車を押した。
「やらせて貰って良いか。」と聞くので、
「どうぞ。」と許可した。
 UP9000を押して、彼は仰天した。
「こんなに軽く動くの?ギヤが外れているみたいだ。」

 120輌の貨物列車を牽いている時に、登り坂で停まると滑り落ちてくるのには興奮した。
「三条ウォームは逆駆動できるとは知っているけど、こんなに軽く動くとは思わなかった。」
歯型潤滑剤が大切なのだ。歯数も考慮しないとだめだ。手で廻して軽く回るから満足するようではいけない。十分な負荷の掛かった時に、本当に等速運動できないと意味がない。」と言うと、
「そこまで考えないと、この性能は出ないのか!」 と感慨しきりであった。それと走行音がほとんど無いのにも、驚いたようだ。機関車は事実上無音で走る。車輪とレイルの転動接触音だけである。ギヤ比が小さいことも貢献している。伝達効率が良ければ、低ギヤ比に出来る。高ギヤ比は様々な点で損である。

 工作機械、ジグをたくさん用意している事について説明した。
「TMSの100号から300号あたりに沢山の記事があるけど、あの凄い記事に出て来る機関車を走らせても、真っ直ぐ走るのは少ないよ。」と言うと、
「そうかもしれないね。当時は旋盤を使っていないからね。」と納得した。

 ジグの大切さには共感してくれた。quartering jigを使わないで組まれた動輪が、うまく作動するはずがないのだ。
 プロは手間がかかっても、必ずうまく行く方法を採る。素人は、殆どうまく行くはずの無い方法で作って、泣きを見る。そういう意味では、この種のジグを持っている人が仕事を有償で請け負うことは、模型界のためになるはずだ。決して自分だけのために秘匿すべきではない。
 但し、すべてのジグが正確に90度を出せるか、ということは別問題だ。つまり、あるジグで組んだ動軸を、他の物と混ぜると、具合が悪くなることもあるだろう。それぞれのジグによって、何らかの印を付けるべきかもしれない。そうしておけば、”X氏のジグによって組まれた動輪は、Y氏のとは互換性がある”、などということも分かるようになる。


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2019年09月25日

疲労しにくいハンドル

shear handle この形で行こうと思う。どこにも角がない形にする。レーザで切って作るのだから、好きなようにできる。多少重くなるのと、重心位置が遠くなるので、バネの力に勝って、何もしなくても刃が降りると面白くない。場合によっては、バネを強くする(何か挟み込む)ことが必要かもしれない。
 厚さ19 mm(3/4 インチ)までは垂直に切れることが分かっているので、キィ溝もレーザで切ってもらう。追加工なしで完成の筈だ。手に当たるところだけは削って丸くする。伊藤英男氏の方法で、四角を八角にし、それを十六角に・・・するのだ。そこにはちょうど合う太さのゴムホースでも被せておく。自転車ハンドルの握りでも良い。

 回転軸は 5/8 インチの丸棒だから、外してフライスでキィ溝を彫る。こういう仕事は訳ない。抜け留めは、軸の末端にワッシャ付きのネジを締めれば良い。

 キィ材は考えている。インチ材は各種あるがミリ材がない。自分の分はインチでも良いが、友人から頼まれるときはミリ材の方が良い。N氏によると 5 mm角が適合するそうだ。 

 この構想を友人たちと話していたら、蒸気機関車のメインロッドの形にしたらと言う人がいた。残念ながら、メインロッドはトルクを掛けることを想定していない形である。EF15のブレーキレヴァのような形も良いが、その通りに作ろうと思うとコスト的に難しい。

 希望者はコメント欄を通じて連絡して欲しい。連絡先は本文に入れて送られたい。公表はしない。軸のキィ溝切りも必要があれば引き受けざるを得ない。


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2019年09月23日

続 金属疲労

 クラブのN氏はこういうことに詳しい。
「ネジ溝からだね。おそらく、遠藤機械には情報が入っているはずだ。ネジを変えたっていうのも、それに関連あると思うよ。設計変更で折れにくいネジにしたのじゃないか。」
 自動車ならリコール事案だろう。

screw extractors 博物館に来てくれたので、埋まっている折れたオネジを取り出すことにした。こういう時のために、専用の工具 screw extractor がある。それを使ったところ、折れてしまった。エクストラクタには逆ネジが切ってあって、ドリルであけた穴にねじ込んで、取り出す。それがあっけなく折れたのだ。日本製だったから意外だった。これには焼きが入っていて硬いから、それを取り出すのは難しい。写真は細いものを示している。
 件のネジは、よほど強くねじ込まれていたのだ。仕方がないので、周りに小さな凹みをドリルで掘った。そこにポンチを当て、抜ける方向に根気よく叩いた。ところが、エクストラクタを使った時にネジが太くなってしまったのか、全く廻らなかった。

broken screwbroken screw2 最終手段として、カッティング・ディスクをドレメルに付け、ネジに溝を切って、大きなネジ廻しで廻すことにした。径の大きなディスクを当てると、周りに傷がつく。多少減って径の小さくなったものを使うと具合が良い。左の写真では、孔の周りに傷がついている。この程度は仕方がない。ネジ廻しの先端は砥石で研いで、角を出してから始めた。
 ところがそれでも廻らない。モンキーレンチを使って二人がかりで廻した。少しずつ廻って、取ることに成功したが、時間が掛かった。大きなネジ廻しは、ねじれて壊れてしまった。それは父の代からの60年以上使った古いものであった。

 あまり力を入れると、また右手が壊れそうで、ひやひやしながらの作業であった。一人ではとてもできなかった。N氏には感謝する。
 材料が塑性変形し易い。ネジを思い切りねじ込むと、少し変形して抜けにくくなるのだ。次回はロックタイトで抜け止めをし、トルクをあまり掛けないようにしたい。

 どうするかを相談した。もちろん、現行のハンドルは捨てて、新しいハンドルにする。現行ではネジを折る形になっているから折れやすいのだ。そういう愚かな設計は避けたい。留めネジはやめて、キィにしよう。 
 さてどうするか。思い切った形の物にしようと思う。疲労しにくい形が良い。きっと欲しがる人も居るだろうから、余分に作ろう。そうするとまた売れ残るかもしれないが。


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2019年09月21日

金属疲労

broken by metal fatigue 遠藤機械の切断機ハンドルが折れた。ケガはなかったが、かなりびっくりした。破断面を見ると、metal fatigue 金属疲労特有の模様が見える。力を入れた瞬間に破断するので、場合によっては大ケガをする。注意されたい。

metal fatiguemetal fatigue 2 この写真の上の矢印から始まっている。虫眼鏡で見ると、色が暗い部分に同心円の貝殻状の模様が見えるのが証拠だ。僅かなヒビが入り、使用と共に、それが広がったのだ。下の方の輝いている部分は、折れた瞬間にコジて擦れたところだ。
 筆者の祖父は金属屋だったので、疲労の話は聞いていた。しかしこんなに太いものだし、手で押す程度のものだから無縁のものと思っていた、

 この機械は古い。1978年ころの購入だ。これと同時代のものは今野氏のものむすこたかなし氏のものくらいしか見たことが無い。足の間隔が 330 mm のものだ。これはハンドルのネジがインチネジである。1/2インチの 12TPI、要するに径が12.7 mm、ネジ山が1インチ当たり12本である。この2本は比較のためである。赤い方がより古い。博物館のと自宅のものとを比べている。

 よく似た太さのM12に比べるとネジ溝が深い。ということは疲労がそこから始まりやすいのだ。そのせいかどうかは知らないが、80年代には 5/8インチになり、90年代からはM16に変更されている。

 そんな無茶をしたわけでもない。1mmの定尺板を連続で数枚切って、最後の一枚の耳を落とそうとしただけである。公称の性能の範囲だ。長年の使用により、金属疲労が進んで、たまたま今日折れたというわけだ。ブラス板はたまたま快削板ではなかった。快削ならより楽に切れるが、それが原因とは思えない。

 どうするか考えている。完全に復旧して1/2インチのネジを切るなら、旋盤でやると早い。筆者の旋盤はインチ仕様だから、ネジはすぐ切れる。しかしまた折れるだろう。クラブ員にはこの種の設計に詳しい人が居るから、相談することにした。

 この種の切断機をお持ちの方は、注意されたい。使用頻度が高いものは危ないと思われる。

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2019年08月30日

またまた3条ウォーム

時々コメントを戴く、むすこたかなし氏が連載されている記事が興味深い。筆者が自分で書くより、客観的な記事を書いて下さるだろうと思い、サンプルをお送りした。

 このギヤボックスは10年ほど前に、硬いアルミ合金からCNCフライスで削り出したもので、かなり高価なものである。飛行機の部品を作っていたY氏が作ってくれたものだが、再生産は難しい。ネジはM1.4を使用している。ネジ孔はタップを立ててあるが、切削タップではない。転造タップである。これは素人が手で廻すものではなく、高性能のCNCマシニング・センタでなければできない。切削後、黒染めを施してあるので、プラスティック製と間違える人が居る。

 スラスト・ボールベアリングを用いていない。小型化を狙ったので、ラジアルベアリングだけで作った。
 むすこたかなし氏の解説にもあるように精度高く作ったベアリング・ハウジングに油を付けて滑り込ませてある。アウタ・レース(外輪)はハウジングに油膜によって支えられている。油がないと玉が押し出されて、壊れやすいはずだ。

 ミクロン単位で作られているので、無調整で最高の性能を発揮する。噛み合わせの調整は全く要らないというところがミソである。組み立てただけで所定の性能を発揮する。手製のギヤボックスでは到底考えられないところまで行っている。


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2019年05月01日

KKCの作品展

KKC 仙台の今野氏が主宰する組織である。金属工作によって模型を作ろう、というのが主題だ。
 来る5月19日に展示会がある。HOが主体である。お時間のある方はお越し戴けると嬉しい。
 
 40年以上前から、TMSなどで金属以外の素材を模型に使おう、という記事を見るようになった。プラスティック化の波が押し寄せ、ダイキャスト製の機関車も増えている。ペーパ製の工作の素晴らしい例もたくさん紹介されている。
 
 しかし、筆者はブラス製に拘る。KKC会員の皆さんの作品も、ほとんどがブラス製のスクラッチ・ビルトである。ブラスは類稀なる快削性を持つ材料である。切る、孔あけをする、旋削する、フライス加工する、ヤスる、どの作業も、実にた易い。またハンダ付けが実に容易である。この材料は、ヨーロッパの時計細工から始まる数百年の実績がある。これほど使い易い材料もない。また、我々の寿命を超えて受け継がれていく。
 これ以外の材料を使ってものを作ろうとするのは、無謀であるとさえ感じる。今でこそ、3Dプリンタ、レーザ・カットなどの方法が身近に存在するが、手作業ならブラス工作しかありえない、と個人的には思う。

 KCC会員は、この工作法を次の世代に受け継いで貰いたいと考えている。技法、工具は会員内で拡散、譲渡されている。今野氏は小規模での会の運営から全国規模にこの組織を拡大された。インタ・ネットあればこその組織である。筆者も工具の頒布には多少協力している。様々な工具をアメリカ等から取り寄せて、原価頒布してきた。評判の良い工具は多い。
 またヒントもいくつか提供した。それらは今野氏が宣伝して下さって、今では常識になったものもある。快削材の使用は、TMS等で全く知らされていなかったようだ。アメリカのブラスは、まず100%快削材である。これを使えば作業の速度は3倍になる。これは菅原氏の本にも出ていない。彼は模型業界の人からしか取材していないように思った。工業規模の製造所の技師、職人に聞かなければ分からないことはいくらでもある。KKCの会員には様々な業界の方がいらっしゃるので、その点でも、非常に参考になることが多い。

 今回の展示会では炭素棒ハンダ付けの実演をせよ、との要請だが、左手が動かないので、どなたかに助手をお願いすることになる。満足でない状態だが、努力する。


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2019年04月15日

続々 遠藤機械の切断機をカスタマイズする

 大半の方は、そのまま組んでドンピシャリであったそうだ。シムを挟んで調節が必要であった方は数人である。下刃とテイブルが同じ高さでないと、ワークを滑らせたときに気分が良くない。

 U氏は自作された送り装置を付けられた。天板を外せば原型が現れるので、以前と同じ形で送り装置が使えるそうだ。この送り装置には筆者も興味があり、何回も図面を描いてはいるが、まだ形にはなっていない。
 いよいよ作りたいと思い、リニアガイドを入手した。送りネジは旋盤の心押台から外した左ネジを持っているので、それを使うつもりだ。その節にはU氏に助けて戴いたことを、感謝する。

lighting 切刃の真上から光を当てて、ケガキ線を見たい。いつも専用の照明の下で切っていたが、あまり明るいとは言えない状態であった。それを見ていた友人のN氏が、
「ほら、これを作ったから使ってみてよ。」
と持って来て下さった。それは電池式のLEDライトである。バァ・ライトと電池箱をそれぞれ両面接着テープで留めれば良い。実によく光が廻って、切り間違いはなくなる。N氏のアイデアと実行力は素晴らしい。感謝する。

 当初の予定では昨年11月末に納品の予定であったが、かなり遅れてしまった。その間にいくつかのキャンセルが出て、それを処分したいことをクラブ内で告知したら、意外にもいくつか追加注文が来てしまった。少数を再生産することになったので、このブログの読者からも注文を受け付ける。
 希望者は手持ちの機械の情報を知らされたい。
‖臑里旅愼年および価格
⓶脚の上面から下刃の上面までの高さ(43 mmが多い)
Bの間隔(270 mmと330 mmがある)
げ漆呂良(切断面から手前の角までの距離)
をコメントで「私信」としてお知らせ願う。他に漏らしたりはしない。
納期は2か月、価格は11,000円前後だ。


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2019年04月13日

続 遠藤機械の切断機をカスタマイズする 

underside 仕上げ無しで良いということは、工賃を抑えることができるわけだ。当初はフライスで仕上げることにしていたが、その必要は全く無くなった。ネジ孔を用意するだけで完成だ。その加工は外注した。さすがにM10のネジを切るのは、筆者の工房では無理だ。
 レーザ加工の工場の紹介でネジを切ってもらったが、安くはなかった。止り穴の場合は切り粉を出すのに苦労するので、横から孔をあけておいて、排出した。これは良いアイデアだと、加工工場で評判が良かった。

table top テイブルは二系統を一つにまとめたので、余分な穴が開いているが、それはお許し願った。



 テイブルの奥行は、下刃の手前側にぴったりくっつけたいところだったが、下刃の奥行きにもかなりのばらつきがあることが判った。最大のものに合わせたので、最大1 mm強の隙間ができる。気になる人がいるかもしれない、と危惧したが、今のところ苦情はない。黒皮の普通鋼板であるが、剛性があって平面度が良い。下刃との高さを合わせると、極めて作業性が良くなる。

shear table 直角定規(切断ガイド)は普通鋼板のつもりだったが、それでは曲がり易かった。用をなさないことが判ったので、高級な刃物用ステンレスを使用した。そのままでも包丁になる材料だ。熱を加えると極端に硬くなるので、下手に加工すると収拾がつかなくなる。水で冷やしながら砥石で磨る程度だ。

rule 矢印の部分は、機械の寸法のばらつきによって当たることもあるらしく、その場合は少し削らねばならない。M10を仮締めして、直角が出るか試切りで確認する。良ければM10を本締めして、できあがりである。


 本体の孔が多少ずれているものもあるらしく、どうしても直角が出ないという訴えがあった。電話で、ヤスリで本体の孔を僅か拡げて戴くようお願いして、解決した。どうもこの切断機は、手作り品のようだ。 


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2019年04月11日

遠藤機械の切断機をカスタマイズする

00016070001607_3 しばらく前にこれらの写真をお見せした。これは熔接で出来ている。職人の腕で、段差が全くないものを作ってもらったのだ。これを所属クラブで披露すると、欲しいという方が多数あったので、それを増産することになった。

 困ったことに遠藤機械の製品は、40余年の月日のうちにどんどん寸法が変化していることが判った。クラブ員からの申告を分析すると、下刃の高さは39 mmから44 mm程度までの分布を示し、脚の間隔も270 mmと330 mmの二系統があった。組み合わせは計11通りあって、個別に対応するのは無理であった。出来たとしても価格が極端に高くなる。細かく検討した結果、大きく4種に分けられ、微妙な寸法の差はシムを挟むことによって逃すことにした。そのシムを挟む場所は二箇所にすれば、テイブルが高い場合と低い場合に対応できる。

 当初は熔接で作る予定であったが、溶接工の友人が突然入院してしまい、別方法で製作した。
 レーザ加工の工場が引き受けてくれたのだが、機械が故障し、新型に入れ替えるのに正月を挟んで一月ほど停止期間があった。再稼働し始めたが、初期故障もあり、また遅れを生じた。今野氏から一番低い事例としてお借りしていた機械は、3か月以上もこちらに留まり、大変なご迷惑をお掛けしてしまった。

stands 構成は、19 mmの鋼板をレーザで切って、その断面を使ってテイブルを直角に保持するというものである。技術の進歩はこういうところに出て来る。
 19 mmもの厚さの板を切れば、切り口はめちゃくちゃになって、その面で板が直立することなどありえないと思っていた。ところがレーザ加工工場の専務が、
「まあ見てください。ほらね。」
と立てて見せてくれたのだ。以前は13 mm厚程度でしか、このような芸当は出来なかったそうだが、今度の機械は19 mmでも完璧なのだ。


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2019年04月09日

「蒸機を作ろう」

KKC 表題の書籍が出版された。仙台の今野喜郎氏が率いる 秘密結社?KKCがここ数年進めていたプロジェクトであった。ブラス製機関車を作る技法の集積である。
 過去に菅原道雄氏の「鉄道模型工作技法」という書籍があった。これは良い本だとは思ったが、さすがにもう古いと感じるようになってから久しい。菅原氏とは20年ほど前、親しくお話しする機会があった。Low-Dが開発された頃である。その現物や、高精度のギヤボックス、軸箱もお見せした。
「工作機械を導入せねば、精度の悪い模型しかできませんよ。」
すると菅原氏は、
「これは凄いですね。しかし、そういう本は私の手には負いかねます。貴方が書いてください。」
と言われた。そのことも、当ブログを始めたきっかけの一つになっている。
 
 今回のプロジェクトが始まってから、もう数年経つ。その間、出版社に刊行を依頼したが、何年も動かずに止まっていた。世の中の動きは速く、その間に情勢が変わって入手不能になる機械も出て来た。
 そこで今野氏は、「自費出版でやろう!」と執筆者に声を掛け、原稿の再編集に立ち上がったのだ。執筆者に原稿を差し戻し、すべてに再度手を入れて戴いた。筆者も微力ながら、お手伝いした。

 機関車をブラスで作るというのは、最近の若い模型人にとっては、かなり敷居が高いと感じる人が多いそうだ。しかし筆者たちの世代は、それが当然であった。プラスティック製、ダイキャスト製の機関車など、殆ど無かったのだから。
 高校生の時から、ブラス板を糸鋸で切りまくって現在に至る。ハンダゴテは20本くらい買っただろう。ヤスリは何グロスか使いつぶした。ハンダ付けのテクニックを磨くのには苦労したが、炭素棒を使えばそのようなテクニックは要らなくなる。工作機械を導入したのは40年位前だが、それから工作スピードはかなり上がった。
 この本では、工作機械を使った工作にかなりのページを割いている。機械を持てば、楽に、正確にできる。特に蒸気機関車の台枠、ロッドの工作は機械を使えば、簡単で確実である。
 機械の価格は、相対的に安くなった。ただし、中国製の感心しない機械であるから、全部ばらして、ネジの取換から始めるべきだ。締めると首が飛ぶような、粗悪なネジを使っていることがあるから、油断はできない。ネジ専門店で、日本製のネジを購入してこなければならない。
 このブログでも工作機械整備記事をいくつか書いた。機械本体の価格と同じくらいの投資をすると、実に良いものになる。そうして作り上げた工作機械は自分の体の一部のように働いてくれる。

 この本では、達人たちのテクニックが惜しみなく披露され、後進の人たちに勇気を与えている。
既製品を買い集めるのをしばらくやめて、工具に投資すれば、楽しい人生が送れる
というメッセージを送っているのだ。この本の価格が2,500円というのは、いささか安過ぎると感じている。

 直接購入を希望される方は、konno#m1.bstream.jp(#を@に交換)に連絡されたい。送料は360円である。

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2019年01月08日

続 角倉彬夫氏の鋳造法 

 ほとんどの金属による鋳造では、湯口の円錐形の中に、大きな凹みができている。それが見えると、多分成功である。
 活字金ではそれが全くない。場合によっては少し膨れ上がる。ということは、湯口を無理やり急冷すると、圧力が鋳型の中に生じるわけだ。膨れると言っても大したことは無い。縮まないと表現したほうが間違いがないだろう。型の中に隅々まで注入されれば、何の心配もなく、素晴らしいものができる。

 角倉氏のは石膏型だが、シリコーンゴムを使えば、アンダーカット(Fig.1のB)があっても良いのだ。二回に分けてシリコーンを注型しなくても、一回でシリコーンゴムの中に埋没し、横からナイフでギザギザに切って、型を二つに分ければ良い。ギザギザが型のずれを防ぐだろう。空気抜きは、よく切れるナイフでV溝を付けても良いが、シリコーンゴム型を圧迫して隙間を無くすときに、何かのパウダを合わせ目に軽く塗るだけでも用は足りるだろう。

 実は今、上廻りがそれほど細かくできているわけではないイギリス型客車の台車を作ることを頼まれている。現状の台車はかなりひどいので、多少は良いものを作りたい。簡単に作れて線路追随性の良いものにする。暇を見て実行したい。

 台車枠にはネジを切って、枕梁を付ける。タップを立てるわけだが、うまく行くだろう。コメントの中に棒台枠を作りたいという話もあった。理論的には出来るだろうが、たくさん作るわけではないので、レーザカット、ワイヤカットを使うべきだろう。 

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2018年12月27日

続々 press

「16.5 mm軌間の車輪を 13 mmにするときのことをおっしゃっているのですか?」という質問を戴いた。その通りである。

 コンコン改軌という言葉があるそうで、叩いて目的の位置までずらすのだそうだ。叩いてずらすというのだから、それほど固く嵌まっているわけでもないようだが、出来れば避けたい。
 
 ゲージを決める断面がU字型のブロックを挟んで、プレスでぐーっと押し込むのが良い。衝撃を与えるということは、意外と大きな力で特定の部分を押すことだ。ジャーナル部(車軸の先端)が目に見えない程度潰れるだろうし、それが垂直であればまだしも、多少傾いているかもしれない。そうなると、走らせるとゴロゴロするだろう。叩く工具も問題だ。金槌を使う人が居るが、これは論外だ。銅のハンマを使うならまだ良い方だが、そんな人はまずいない。木槌で叩く人はいるだろうが、大きいから扱いが難しい。

 また、ピボット軸では深刻な問題だ。筆者はピボット軸を押す専用の先端工具を持っている。旋盤さえあれば作るのは簡単だ。尖端部を避けてテーパで受ける。テーパは完全に合っている必要はないから気楽だ。ギヤの押し込みにも便利である。軸にローレットを切って押し込めば、留めネジも要らず心が出て、楽である。ギヤをハンダ付けすると心は出にくい。

 この種のプレス機は高いものではない。昔アメリカで買ったものだが、最近は日本からでも簡単に買える。模型用として使うプレス機は、さすがにネコプレスでは大き過ぎるだろう。このギヤ式のプレスはとても使いやすい。


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2018年12月25日

続 press

 プレス本来の使い道として、雌型に雄型を押し付けて、形を転写するということがある。この時雌型を作るのは面倒である。プロは雄型を作って焼き入れし、雌型の素材を焼きなまして押し付ける。凹んだものは硬くなっているので更に焼きなます。これを繰り返して雌型を作る。もちろん深いものは、ある程度まで機械で彫っておく。 

 雌型をこのような方法で作るのが面倒な場合は、ZAS(亜鉛を主体とした硬い合金)を流し込む方法がある。雄型を上向けにしてZASを融かして流し込むと雄型の通りに出来た雌型ができる。ブラス相手なら十分に成型できる。これをフライスで平らに切ると、抜き型さえできるほど硬い材料である。

rubber female die その昔、ある天才が雌型をゴムで作ってはどうか、と思い付いた。硬いゴムを敷いて、その上にワーク(材料)を置く。そこに雄型を押し付けるとかなりの成型ができる。ワークを焼きなましておくと綺麗に出来る。ゴムは天然ゴムで始まったが、現在は硬いウレタンゴムである。折り曲げもできるが、十分に角を出すのは、やはり溝を切った鋼製雌型が必要である。

 ブレーキ・ホィールはサラダ・ボウルのような形である。エッチングやレーザ・カットでできたものは平面であるから、これを整形して丸くしたい。こういう時にはとても便利な方法である。

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2018年12月19日

ブレーキ

 brake とは制動機のことではない。金属板を曲げる機械である。もちろん手動で曲げるものである。筆者は大きなものから小さなものまで4台持っている。

 一番良く使うのは、先回紹介したこの小さなベンダである。 何をするかというと、細いアングルを作るのである。市販品のアングルはろくでもないものが多いからだ。曲げ易いようにエッチングで筋を彫ってあったりする。
 エッチングはなました材料を使っているので、製品がくたくたである。腰がないので使えない。こんなものを貨車に使うと、連結した瞬間にめり込むだろう。

 ベンダで曲げると加工硬化して腰が強くなる。曲げてから切り落とす。先日ジャンク箱から見つけたアングルは曲がり方が甘い。虫眼鏡で曲がり角を見てみると、型が良くないことに気が付いた。メス型は単に直角ではいけないということを知らない人が作ったのだ。
h3244-f4ca2749af14ee6e7682644b12431d2e メス型はこんな形であるべきだ。溝の底に深い溝がなければならないのだが、それを知らない人が多い。この型を使えば、製品には独特の痕がつく。

 このブレーキは万力に吸い付かせて使う。便利なものだ。2 mmの板でも曲げられるから、モータ・ブラケットを作るときには便利だ。これはカタログ上の写真であって、筆者のはアゴの側面にネジで締める。両面テープで仮留めすると、ずれない。

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2018年12月17日

Kleinschmidt氏の死去

 クラインシュミット氏が亡くなったとお知らせ戴いた。この二年ほど会っていなかったので、驚いた。
 かれこれ30年ほど、いろいろな形で接触のあった方だ。当初の10年は、筆者は睨まれていた。3条ウォームの真価についての理解をして貰えなかったのだ。
 筆者が現物を見せると驚嘆し、その後は非常に良い関係になった。部品のやり取りをし、訪問すれば歓待してくれた。鋭い批評も戴き、互いに助け合う関係になったのだ。

 彼は真の意味で技術者であり、たぐいまれな技能者でもあった。日本では技術と技能を分けることが少ないが、彼は山の向こうを見通す技術力があった。工学のエキスパートであり、熟練工でもあったのだ。彼に匹敵する人はPFMの Longnecker 氏くらいのものだ。 

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2018年10月16日

続 鉛活字

 鉛は錘としてよく使われる。しかし融点が高い。328 ℃である。木材で鋳型を作ると、300 ℃を超えるので焦げて臭い。
 もう一つ具合が悪いのは、固まると体積が1割ほど減少するので、鋳型を工夫しないと思う形の物ができない。

cast lead and type metal この写真の手前のブロックを見て戴きたい。直方体の鋳型に、何も考えずに注ぐとこうなる。下から固まるので、上面は凹み、側面は内側に倒れ込む。これを防ごうと思うと、上からピストン状のもので押さえながら固まるのを待たねばならない。文字にすると簡単だが、やってみると極めて難しい。
 あるいは上に長く作って、下だけを切り取って使うかである。この方法を「押し湯」と言う。

 後ろにあるやや面倒な形のブロックは活字金で作ったものである。何も考えなくても思った通りのものができる。活字金は鉛80%、アンチモン17%、スズ3%からなる。この配合は絶妙な組み合わせで、固まるときに僅かに膨らむようになっている。即ち活字を鋳造する時、型の中の隅ずみまで金属が行き渡り、正確な活字を鋳造できるようになっているわけだ。

 今野氏は活字のブロック(正確にはインテルという)を接着して切削しているが、正確な鋳型を作って流し込むと、作った本人がびっくりするほど素晴らしいものができる。融点も低く 240 ℃であるから気楽にできる。臭いもせず、簡単だ。
 筆者の経験では、バルサ材の10 mm厚ほどのものを、釘で固定し、針金で縛ったものが良い。長いウェイトを作るときは縦に深くすると良いのだ。真四角のものができる。先回の写真の左手前のがそれだ。必要な分だけ切り取って使う。
 融かすのは、ステンレスのおたまが良い。叩いて、注ぎ口を作っておく。

 鋳造はコンクリートの土間の上ですると良い。室内でやると、こぼれた時に甚大な被害が生じる。
 鉛の害が喧伝されているが、ウソが多いことが分かっている。鉛活字を長年触っていた植字工が鉛中毒になったわけではない。珍しくWikipedia にはまずまずのことが書いてある


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2018年10月14日

鉛活字

printing type 今野氏のブログで、鉛活字を加工する話が出ていた。

 鉛活字がその価値を失ってからもう10年以上経つ。初期のTMSには、活字を錘用に少し買いに行くテクニックが紹介されていた。
 印刷屋の小僧を装い、「8ポの”イ”を20本」とか、もっともらしい事を言って、活字屋で買う話だ。当時は活字屋という商売もあったわけだ。もっとも、東京のように出版が盛んな地域の話だろう。田舎にはない。

 さて、先日廃金属商にブラス屑、銅屑その他をどっさり持って行った時に、ドラム缶一杯の活字があった。
「どうだい、これ一杯で4万でいいよ。」
と言う。2トンあるらしい。とても乗用車には載らないし、そんなに使うあてもない。
「10 kgほど貰うよ。」と言って、適当な価格で買って来た。もちろん量りもしない。そこにあった小箱に山盛りである。

putting weight インクのついているのは融かすと煙が出るので分ける。軽く灯油で洗ってから使う。綺麗なものはそのまま接着するが、細いところに押し込みたいときは鋳型を作って鋳込む。
 タンク車は完成後の補重は難しい。設計時に材料をたくさん使って重くしておくべきだ。既製品の場合は主台枠の骨の中に押し込むしかない。
 左は鋳造品、右は活字そのものである。隙間なく詰め込むと当鉄道の規定質量に到達した。実は先日の車検で20輌ほどが質量不足であった。
 1.6%の坂を押上げると、連結部が座屈することがある。そういう車輌は決まっているのだ。測定すると、355 g必要なところ300 gほどしかないのだ。この55 gほどが、決して無視できない結果をもたらす。いつも同じタンク車が座屈するので、きっちり詰め込んで、すべてを同じ質量にした。
 
 結果は上々で、全く脱線せず80輌の押上げが可能であった。


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2018年09月24日

Kemalyan氏

 ケマルヤン氏は、走る鉄道模型の開発に貢献した人である。造形も素晴らしかったが、様々なアイデアを鉄道模型に応用した。
 初期の段階においても、ウォームを機械で削り出したものをそのまま使うな、と指示したらしい。必ずバフを掛けて、表面をつるつるにせよと言ったのである。要するにウォーム歯車の損失の大部分は摩擦損失であることを知っていたのである。効率を上げるには、これに勝る方法はない。

 台車では、軸を細くせよ、軸に熱処理をせよ、という指示も出している。当時の標準は軸が 3.2 mm径、あるいは 3.0 mm径であったところを1.5 mmにした。細くすれば仕事量が減り、摩擦損失は小さくなるのは当然であるが、誰もしなかった。

 この車輪のフィレット半径を大きくしたのは誰なのかが知りたかった。それは、意外にもカツミの高橋 淑氏であった。
「理屈は分からないが、とにかくフランジが当たらなければ抵抗は減るだろうと思った。」とのことである。正解だが、これ以外にはその応用例がなかったのは残念である。

KTM trucks USA version 台車はアメリカでよく見る、小物入れの透明ケースである。スポンジは日本のものとは手触りが違う。30年以上経っても劣化していない。
 日本からは裸で送って、アメリカで箱に詰めたらしい。 


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2018年09月14日

曲がったブラス板を平らにする

 薄いブラス板を落として、角がくしゃくしゃになった経験はないだろうか。ペンチで修正しても、細かい凹凸が残っている。普通の方法では直らないから、新たな材料で作るしかない。

ヤスリによる塑性変形の応力 昔、伊藤剛氏に教えて戴いた方法を紹介する。とても簡単な方法である。平面を見せたい方の面を下にして傷の無い金床の上で粗いヤスリを被せて、叩くのだ。もちろんヤスリを普通のハンマで叩くと傷が付くし、ヤスリも折れてしまうかもしれない。筆者はゴムハンマで叩く
 剛氏のオリジナルの方法は、ヤスリと共に万力で挟むということであった。筆者の万力の口金は模様があって、それが転写されてしまうから、傷の無い金床の上で叩く。もちろん、傷の無い鋼板と粗いヤスリとで、挟んで締めても良いのだ。少し伸びて大きくなるから、縁は削って修整する必要が生じるが、平面が戻る。この方法は、星打ち(七子目ならし)と呼ばれるらしい。

 理屈は一言で言えば、なるべくたくさんの部分(体積にして)が、塑性変形の応力を受けるようにすることである。ヤスリの尖った部分がブラスにたくさん突き刺さって、どこもかしこも塑性変形するわけだ。ペンチで曲げても部分的にしか応力は加わらないから、一部しか変形、修正されない。だから、へなへなのままである。

nanako 精密機械やメータなどの測定機の中をあけると、ベースになる金属板に無数に細かい傷がついているのをご覧になった方もあるだろう。あれこそがこの方法が応用された実例であるとのことだ。平面の板が必要な時は、この方法を使う以外ないのだ。

 この話を剛氏から教えて戴いたのは、30年以上前のことである。時々やるが、とてもうまく行く。紹介記事を書こうと思ったが、どんな絵を描こうかと迷っていたところ、名古屋模型鉄道クラブ会報の、古い記事を再録する作業をされている濱島氏からオリジナル記事を送って戴いた。 早速絵を描き直して紹介した。

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2018年09月12日

最新の切断機

LatestLatest3 つい最近購入したという切断機を見せて貰った。ぴかぴかで素晴らしい。筆者のも昔はこうだったのだろうか。いや少し違うと思う。
 加工する工作機械の進歩で、表面の粗さが違う。つるつるしていて、面取りも大きい。おそらく錆びにくい。錆びやすさは表面の粗さに関係がある。筆者のも細かいサンドペーパで磨って、油を塗っていた。だんだん面倒臭くなってきて、溶剤で洗ってクリヤ・ラッカを吹いた。それが段々変色して現在に至る。

latest3 新しいものには安全装置の針金が刃物の前に通っている。指を切らないようにという配慮らしいが、むしろ邪魔である。それよりも刃物と連動する押えがあったほうが良い。コメントで藤井氏が教えてくださった AccuCut には、それが付いている。良さそうだ。真似をして作ってみたいものだ。

 今考えているものはリンク式の押えで、トグル式クランプを使うものだ。テイブル脇に熔接して、ワンレバーで押し付けたいと思う。伊藤 剛氏のお得意のイコライザ機構を付けて、均等な押し付けを考えているが、AccuCut方式のほうが良いかもしれない。


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2018年09月08日

切断機をカスタマイズする

 遠藤機械が発売している切断機は、鉄道模型界では根強い人気を保っている。薄板を切るには便利な道具で 1 mm厚のブラス板が切れる。1200×365 mmのいわゆる定尺板(業界では小板という)を切ることができる。

 TMS1972年3月号の新製品紹介記事に出ている。当時の価格は12,000円だった。それが50年近く売り続けられている。確かに便利な道具である。しかし、ワークを手で保持しなければならないし、どうしても引き込まれる方向に力が掛かる。直角に切るのは少々コツがあって、そう簡単ではない。

plywood table 筆者は2本の足に大きな合板製のテイブルを付け、そこに留め具をネジ留めするようにしていた。マホガニィの合板の屑を用いた。合板は厚く、留めにくい。薄い鉄板で作れば小さなクランプで留められる。一念発起して簡単な図面を描き、友人の鉄工所に持ち込んだ。


0001607 テイブルは 180 mmの奥行(足の長さと同じ)とし、4本の支えで固定した。4 mm厚の板だから、踏んでも曲がらないが、それほど重くもない。1インチ(25 mm)のクランプで簡単に留められる。

0001607_2 直角に切りたい時の直角定規も同時に取り付けた。有効幅が 370 mmしかないので、365 mm幅の材料に対しては 5 mmしか余裕がない。細い角材の先を 2 mmまで削って熔接してもらった。ここの熔接は素人にはできない。プロの仕事である。筆者がやると真っ直ぐにはならない。
 これでざくざく切れる。

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2018年08月03日

続 職人たち

 HOの蒸気機関車の窓枠を抜くのは面倒だ。細い十字の窓枠を残さねばならない。

 祖父江氏に聞いた話だ。竹野三郎氏という職人がいた。彼は0.2 mmのブラス板を12枚重ねてハンダ付けして糸鋸で抜いた。もちろんヤスリを掛けてから、ばらばらにする。大したもんだということになったが、祖父江氏が
「そんなもの、タガネでも抜けるぜ。」
と言って、6枚ずつ重ねて万力に銜え、先を斜めに研いだタガネで打ち抜いた。万力には研いだ口金を付けているのは言うまでもない。
 板厚の半分の 0.1mm ほどずらしてやれば抜けるという。剪断による歪が出るから、そのひずみを窓枠に関係ない方向にもっていくのだそうだ。抜いたカスは、菱(ヒシ)の実か、蕎麦殻のような形になる。こうして6枚ずつを2回で12枚抜く時間は、竹野氏より短かったそうだ。

 こういった特殊技能の自慢会ができるくらい、素晴らしい職人が揃っていたのだ。竹野氏は、PFMのリストにいくつかの作品が載っている。

 日本には錺(かざり)職人の系譜がある。とんでもなく細かな作業をキサゲとヤスリでやってしまう。そういう人たちは、腕を磨いて、自慢し合っていたのだ。ライアンが来た頃には、その種の職人がたくさん居た。

<追記> 
   mackey氏の情報により、竹野氏のフルネームが判明した。感謝に堪えない。 

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2018年08月01日

職人たち

 PFM-NakayamaのUP7000は有名である。手際よくまとめられている。ボイラの上端の高さの線が、実物通りだ。それほど細かくはないが、繊細な仕上がしてある。

 実は中山氏には1987年に、3回ほど会っている。中野区大和町に在住であった。その頃はもう引退して、お孫さんと遊んでいた。また、目が悪くなってもう仕事はできないと言っていた。作業場をみせてほしかったのだが、仕事をやめたのでつぶしてしまったと言う。その場所は駄菓子屋になっていた。眼光鋭い職人を想像していたが、穏やかな長身の好々爺であった。つぼみ堂系列の職人だったようだ。
 「あのUP7000は素晴らしい。」と告げると、「写真と図面を渡されたから、その通り作っただけですよ。大したことは無いです。動輪は何かの流用ですよ。」と言った。確かにこのボックス動輪は、あまり感心しない。Mohawk L4b の動輪に孔をあけ足したような感じだ。聞けばOゲージもいくつか作っていて、その中にMcKeenもあった。

Ken Kidder McKeen 残骸が転がっていたので、お願いして簡単に修復してもらい、相当額で購入した。後部台車はないとのことで、それは自作した。
  
McKeen この McKeen の屋根は叩き出して作ってあり、そのすべての面にリヴェットが打ち出してある。なかなか難しい細工である。また、窓は糸鋸で切り抜いてあり、曲げた真鍮線の縁取りが付いている。
 現在はDCC化してあり、内部には3つのデコーダが載っている。走行、はずみ車、音声用である。マーカーライトには小型電球を入れたが、現在のLEDを使えば、もう少しうまくまとめられる。更新が必要だ。


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2018年07月16日

続 技術者T氏の来訪

 T氏のあとを付いて歩き、質問があれば答える形にした。
 アメリカ製キット組立のディーゼル電気機関車には興味が湧いたようだった。手に取るとずしりと重いのが気持ちが良かったようだ。
「これくらいないとね。薄いよりは厚いほうが良いね。でもハンダ付けは大変だな。」 
 ガスバーナで焙って焼きゴテで付ける話をした。今なら炭素棒だ。

 巨大なフライホィールを増速してあるタイプを、押してご覧になった。
「すごい慣性だね。」とご満悦であった。衝突時に壊れないよう、スラストベアリングが入っているのに気が付かれた。

 等角逆捻りのサンプルを、いくつか手に取ってご覧になり、リンク機構をじっくり観察された。例の魔法使いの弟子風のもご覧になったが、取り立てて磨り減るとはおっしゃらなかった。
「動きが面白い。カウンタ・バランスが効いているから、横に寝させてはだめだな。」とおっしゃった。

「私も昔は3線式のOゲージから始めた。当時のものは軽かったね。機関車は厚い板で作りたかった。」 
 中学生のころの筆者も同じことを考えていた。薄い板で作ってウェイトを積むより、厚い板で作ってウェイト無しが理想であった。持った時壊れにくいからだ。それができるようになるまで、40年ほど掛かった。ハンダ付けが完璧なのは良い、はみだしていなければならない。という点でも意見の一致をみた。

 フライス盤のZ軸DROの支持点を上に延ばしたアイデアは面白いとおっしゃった。 

 本物の技術者と話をすると面白い。伊藤 剛氏をお招きしようと思っている矢先に亡くなってしまって、ずいぶん残念な思いをしたが、先日のT氏の訪問で、いろいろな意味で救われたように思う。

2018年07月04日

快削ブラス

 快削ブラスを紹介したのは10年以上前だ。それについては、誰からもコメントが無い時期が続いたが、数年前に仙台の今野氏が反応して下さった

 糸鋸でブラスの板を切るのは、ちょっとした骨(コツ)があって、習熟するまでに、多少の時間が掛かる。良い糸鋸刃を買えば少しは楽であるが、それでも初心者には大変である。高校生の時から数えて、糸鋸刃を一体何本折ったのだろう。数えてはいないが膨大な数であろう。ブラスには、刃が喰い込みやすいのだ。

 昔、アメリカでブラスの色が違うのに気が付いた。アメリカのブラスでは、ヤスリ掛け、糸鋸、ドリルでの穴あけが非常に楽である。自分ではやらなかったが、プレスでの窓抜きも簡単である。抜いた後ヤスリを掛けなくてもよい。それを使うと、糸鋸を折ることが少ない。1ストロークで切れる量が、普通の2倍以上である。

 今野氏は筆者と同様、糸鋸、ヤスリを良く使われる方だ。そういう人には、快削の有難みがよく分かって戴ける。
 筆者はブラス板を買うときは番号で買うが、その板はそれほど良く売れているわけでもなさそうだ。聞き直されることがある。ということは、ほとんどの顧客は快削材を使っていないということだ。快削材は別名”クロック板”という。クロックは時計である。掛時計の歯車を作った時の名残である。普通のは”コーペル板”というのだ。copper(銅)という名前から来ているのだろう。

 アメリカのブラスを今野氏に送って評価して戴いている。日本のクロック板より、さらに快削である。糸鋸の1ストロークで切れる長さが3倍近いように感じる。腰が強く、バネ性がある。色は緑がかっているように感じる。削って新しい面を出したとき、白味を感じるが、徐々に酸化されて緑っぽくなる。

 先日の記事でブラス工作をする人が減ったことを書いたが、その一つの原因は快削材を使わないからである、と筆者は思う。サクサクと切れて仕上がりが綺麗だから、工作は楽で、なおかつ美しいものができる。
 糸鋸を、殆ど折らずに工作できるのは有難い。TMSに「快削材を使うと良い」と、どこかに書いてあっただろうか。もし御記憶の方はお知らせ願いたい。この不作為が、現在のブラス工作をする人が減った大きな原因の一つである、と思うのは筆者だけだろうか。


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2018年06月24日

ブラス離れ

 3年ぶりの O Scale West 参加で、気になったことがある。ブラス離れである。昔はブラスの機関車が大量に並び、1000ドル から 4000ドル くらいの値札が付いていた。今回は過去の10分の1もないという感じだ。しかも安い。
 多少の破損品がとても安い。3日掛けて修理すれば直るものが、適正価格の1/3で出ている。筆者はすでにコレクションを終わっているのでもう要らないが、若い人は欲しいだろう。旋盤を持っていて炭素棒ハンダ付けができれば、すぐ直る。

 もうブラスの機関車を加工できる人が少ないのだ。これは由々しき事態である。
 ブラス偏重を攻撃する人は多い。進歩的と言われる人はそれに同調する。しかしながら、金属以外の材料で作られたものは、50年というタイム・スパンで考えると持たない、というのは客観的な意見である。ダイキャストも怪しい。
「趣味は作った時が楽しいのだからそれで良い。」という意見もあるが、この趣味を盛り立てて行こうと思うと、それでは心もとない。

Lobaugh Cabeese 今回も、昔は価値のあった Lobaugh のカブース・キットが25ドルで投げ売りされている。一つくらい買おうかと思ったら、その男は下からもう一つ出して、
「これも買ってくれたら40ドルで良い。」と言う。思わず2種買ってしまった。
 いずれ発表するが、重厚な仕上がりの期待できる素晴らしいブラス・キットである。
Lobaugh の砲金鋳物の台車も各種調達した。今となっては貴重なアメリカ製のブラス製品である。祖父江氏はLobaughの機関車を見て参考にしたのだ。
 アメリカ製のブラスは、すべて快削材である。糸鋸でサクサクと切れる。色も違う。日本製は黄色いが、アメリカ製は緑っぽい。

IMP stock car  1950年代のIMP (International Model Products) の家畜車も安く押し付けられた。厚さ10mil (0.25 mm) の材料で、ハンダ付けが最小限だから、とても弱い。握ると凹むし、パラパラと部品が取れて来る。よくもこんなにハンダをケチって作れるものだと、妙に感心した。
 帰宅後直ちに全部の部品を引っ張り、取れそうなものはすべて外したのち、ハンダを贅沢に使って修理した。センタービームにはブラスの厚板をハンダ付けして連結器周りの強度を確保した。僅かのロストワックス・パーツを付け、手摺り等を補う。連結器、台車を取替えると当鉄道仕様となる。


 久し振りに会った友達が来て、箱を開けて中を見せる。
「どうだい、これ欲しくないか。200ドルでいいよ。」とCentral Locomotive Works の機関車キットを示す。
「君ならすぐ組めるだろ、組んだのを持って来てくれれば400ドルで買い戻すよ。」と抜かす。冗談じゃない。

 要するにもう彼らの大半がブラスと縁がないのである。日本も同様な時代に入ったと思う。それだからこそ、博物館が開いたら、ブラス工作教室を開きたい。


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2018年06月18日

O Scale West での講演 5

bridge painted 橋の説明をした。Oスケールの橋はAtlasのプラスティック製のトラス橋か、韓国のAjin製のブラスの橋しかない。二種しかなく、複線橋は無理である。しかも幅が狭いので、直線にしか使えない。

 今回作成の橋をレーザ加工で切り抜き、ハンダ付けして組み立てた話は、非常にエキサイティングな話だったらしい。  
「一枚ずつはふにゃふにゃした板でも、直角にハンダ付けしてトラスを組むと、とても剛性の強いものになるのは印象的であった。」
と述べたところ、
「そうだ、本物もそうだからな。」
と言った人が居た。

top lateralsrivet forming (5) ほとんどの人の興味はガセットの作り方だ。例の大きな円にメスのダイを上から合わせるアイデアを紹介すると、大きな声で、
「これはすごいアイデアだ。」と叫ぶ人が居たほどだ。
 皆困っていたのだ。これも一つの breakthru (誰もやってなかったことを成し遂げること)であったらしい。真似をする人が増えれば嬉しい。


girder bridge completed ガーダ橋の内側のトラスも非常に興味をかき立てられたようだ。安くできるのだったら作ったほうが良い、と思ったのだ。曲線上であるから、カントの処理も興味の対象だ。傾斜の付いた枕木を特注で製作して、レーザ加工のジグの中で組んだという話はとても興味深そうであった。皆レーザ加工をしてみたいのだ。
「厚いブラス板をレーザ加工するといろいろな点で問題がある。鉄板、ステンレスは楽で良い」と言うと、俄然その気になった。
「電話帳で工場を探して、ソフトウェアを送ればすぐできるよ。」と言うと皆やる気になった。 
 CNCでの3次元加工とか、3Dプリンタによる工作に頼るのには、まだ拒否感を示す人は多いが、正確な切り抜きを期待できるレーザ加工は、ホビィ・クラフツマンに期待されていると確信した。
「やる気になれば、各種の客車を受注生産できるよ。」と言うとやりたそうな顔をした人が何人か居た。

 breakthrough という綴りではないかという問い合わせを複数戴いている。本来はそうであったが、現代のアメリカでは、誰もそのような綴りを使わないようになった。言葉が、簡略化されていく良い例である。June 28, 2018 追記

2018年05月14日

手順

 速く作るには、作り始める前に手順を確認することが時間節約の第一歩だ。設計には時間を掛ける。

 作業台を広くする。ワークを回転させるものならば、邪魔にならないように周りを整理する。作り始める前に、すべての材料を並べる。ハンダも何を使うか決める。コテか炭素棒かも決めておく。

 工具を使用手順の順序に並べる。刃物の切れ味を確かめる。工具が揃っていない時は着手しない。作業中ものを探すことが無いようにする。

 部品をいくつ作るか計算して、プラス2個作る。多くても少なくても2個余分に作ると助かることが多い。今回は54個の補剛材 stiffenerが必要だから56個作っておく。はめ込む先のアングルの角は甘いので、補剛材の先端には大きめの面取りを施すことを忘れてはならない。多少隙間が空いてもハンダが浸み込んで解決する。

 電動丸鋸で所定の寸法に切って、フライスで補剛材をアングルの厚み分を削る。本物では、さらに平板をその上に固着している。そこまでやっても誰も気が付かないから省略する。
 内部の哨屮譽ぅ垢眈蔑する。捩じれに対する剛性を減らすのが主眼だ。

section 下面の哨屮譽ぅ垢世韻惑い板で作って付けておかないと、回転時にたわんで、ずれが出る可能性がある。
 これで完成だ。台車部分は取付け時に欠き取って高さを合わせる。今作っても仕方がない。

 昔、祖父江氏のところで作業を見ていたが、作業時間を口に出して、必ずその時間で終わるのが興味深かった。失敗がないので、まず間違いがない。こちらは素人なので、失敗の復旧時間が多かった。
 祖父江氏は、
「失敗だと思ったら、捨てちめぇ。迷うことなんか、ねえんだよ。」
と言った。直すより作ったほうが早いのだ。最近それはつくづく感じる。ゴミ箱には、失敗作が無造作につっ込んである。それは金属回収業者のところに行く。叩き潰してから持って行くのだ。


2018年05月08日

ニブラ

 転車台の回転橋を作り始めた。まず 0.4 mm厚の薄板を 35 mm幅、900mm長に切らねばならない。この橋は薄板を使って作り、捩じり剛性を低くすることに重きを置く。

 定尺の小板(365 x 1200 mm)を切るに当たって、シァで短く切ってつなぐことを考えていたが、圧延の方向による「目」を考えると得策ではないのと、つないだ部分の剛性が高くなるのを避けたかった。

81556_R-3 ニブラという道具がある。電動式で、1.6 mm径の刃物が上下して薄板(0.8 mm厚の鉄板、1.5 mm厚のブラス板)を自在に切り抜く道具である。
 ガイドも付けられるので、同じ幅で切り出すことが可能である。これを使えば簡単に同一幅のストリップができる。もちろん切り口は剪断面が出ているので、多少のダレはある。ゴムハンマで打って伸ばして、ヤスリを掛ければ問題ない。

 たまたま、northerns484氏がいらしたので、板を押さえて戴いて、一気に切った。あまりにも速くて、驚かれたようだ。細かい三日月状の切粉がたくさん出た。新聞紙を敷き詰めて行ったので、回収は簡単である。
 今回は板が薄すぎて、多少のダレがあったが、1 mm厚程度の板なら、後処理はほとんど要らない。写真を撮るのを忘れたのは残念であった。いやむしろ動画を撮るべきであった。900 mm を10秒程度で切れる。

 切った薄板はくたくたで、こんなもので橋ができるのかと思うほどしなやかだ。

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2018年05月06日

駆動台車

plain truck, drive truck 駆動台車を間違えて作ったことが分かった。鏡像の形になっていたので、捨てて作り直した。軸間距離が異なり、イコライザ中心からの距離も異なるので、再計算して正確に孔をあけ直した。

 モータの載る台はピットの円筒面を避ける形になっていて、駆動輪と直角にモータが付く。適当な歯車でそれらしい形に減速装置を作り、載せておく。簡単な小屋掛けをして、雨に当らないようにする。ギヤはむき出しである。

oprator's cab キャブの色は悩むところだ。様々な実物の写真を見ている。あまり突出した色は避け、ありそうな色を選ばねばならない。
 濃い緑あたりに落ち着きそうである。屋根は黒、手摺りも黒にするが、手摺りの先端は白くする。あるいはトラ縞にする。

 中心のシャフトは Φ40 であり、それに嵌まる回転橋の中心部分を旋盤で挽き出している。厚いブロックをトレパニングという技法でくり抜いて取り付ける。位相をきちんと決めたら、留めネジで締める。ミスの無いように慎重な作業をしている。


2018年04月30日

またまたガセット作り

gussetsremoving gusset 仕舞ってあった工具を引っ張り出して、毎朝少しずつ打った。一部の大きなガセットに、貼り間違いが見つかったのだ。写真はまだ歪みが取ってない状態である。
 タガネを研いで当て、コンコンと叩いて剥がした。とても良く付いている。ヤスリを掛けて接着剤を完全に取り、再度接着した。

fixing gussets 小さいものは、見えないだろうと思って省略した天井部分のトラスに貼る。最近の高精細のカメラは、どんなものも映し出してしまうから困ったものだ。

 色は銀色とすることにした。古びた渋い銀色だ。フロクイルに"old silver" 色があるが、それにgrimy black (汚い黒)を足す。
 塗装の準備で忙しくなってきた。毎日少しずつ錆びを落としている。鉄板製であるから、仕方がない。一度サンドブラストでほとんど落としたのだが、また1年ほど経って錆びて来た。
 ひっくり返すと、接着剤がはみ出していたりするので、それを削る。

 塗装の手順を考えている。ひっくり返して裏側から塗り始める。側面の細かいトラスを忘れずに塗るのはなかなか難しい。  


2018年04月20日

続 operator's cab

 キャブをブラスの板から作った。長年の使用に耐えるように金属製としたのだ。t0.6 の板にけがいて、糸鋸で切り出した。うっかり快削でないものも半分混じっていたので、切るのに苦労した。最近は快削の材料しか使っていないので、そのつもりで切って糸鋸を折ってしまった。快削なら、1ストロークで 2.5 mm 切れる。
 
 昔は眼が良く見えたので、罫書き線の半分まで切るということもできた。ヤスリ仕上無しという工作をしたこともある。
 最近はすっかり諦めて、罫書き線の内側 0.5 mm あたりでやめている。それをヤスリで削り落とすのだが、万力は使わない。万力で締めると傷が付くから避けたい。

step helps filing 仙台の今野氏ご創案段付きアンビルを使う。例のフロイス盤の上に置いて、ワークを立てる。段に引っ掛けて、ヤスリを掛ける。
 本来の使い方ではないのだろうが、いつもこの方式で仕上げる。快削材は堅いので、曲がることは無い。ヤスリは勝手の分かっている専用のを使う。1ストロークで 0.15 mm ずつ削れるので、3回半でできあがりだ。こういうところは、慣れた道具を使うと見なくてもできる。と言うより、見るのが面倒なのだ。
step helps filing2 TMSに発表された今野氏の記事では、帯材の端面を仕上げる様子が示され、側面でヤスリ掛けしている写真があった。筆者はその使い方より、今回の使い方の方がはるかに多い。

 出来たら、油目ヤスリでバリを取って、ちょいちょいとハンダ付けしてできあがりだ。簡単な直角ジグで支えて付ける。ブラス工作は楽しい。なんといっても速くできるのが良い。接着剤を使う工作は、好きではない。

 今回の工作は気楽である。鑑賞距離が 1.5 m以上 と決まっているので、それらしく見えれば良いのである。細かく作っても意味がない。

2018年03月05日

タッピング

 最近は細いメネジを立てることから遠ざかっているが、タップを入れてある箱から、こういうものが出てきた。

tap holders 左が商品のオリジナルの状態である。右は直角に出た部分を打ち抜いたものである。細いタップを把持して回転するのであるが、左の状態のものはタップをよく折る。数本連続して折って、気が付いた。



 この横棒は無いほうが良い。人間の手は点対称にできていない。親指が2本ある人は良いが、普通の人はそうではない。この横棒にほかの指が引っ掛かる。筆者の経験では中指が犯人である。引っ掛けると、貴重な細いタップがぽきりと折れる。

 細いタップは高いので参ってしまう。先の方が折れただけなら、旋盤のチャックに銜えて、手で廻しながら砥石で磨って再生する。もちろん砥粒は受ける。
 折れた先は喰い込んでいるから、ステンレス塩水漬けで2日掛かって溶かす。多大な損失だ。

 横棒を抜くと、殆ど折らなくなる。細いタップ立てには力は要らない。下穴を多少大きめにすると楽に切れる。油を付けるとさらに楽になる。この2つを守れば、タップを折ることはない。筆者は小型電動ドリルの先に小さなチャックを付けて切ることもある。1.4 mmなら一瞬である。電動ドリルはしっかり保持して、即座に逆転する。意外に簡単である。ガラも使うが、電動も良いものだ。小型の自動逆転のタッピングマシンを作れないか検討している。細い電池式のもので十分だから、過電流を検知して逆転すれば良い。H5氏は、自動ではないが、細いタッピング専用機を作られた。非常にうまく作動するのを拝見した。

 もちろん、数が少なく、板が薄ければ、回転ヘッド付きのピンバイスも楽で良い。


XX2 ところで、これは何だろうか。丸い部分は直径 35 mmほどである。長さは 140 mm ほどである。スティールで作りたかったが、良い材料がなかったので、とりあえずブラスで作った。ネジは、M10-P1.5 である。久しぶりに太いネジを切った。

2018年02月27日

職人との会話

 どうしてそんなに職人と親しくなれるのか、という質問があった。

 一つにはそういう時代に生きていた、という運の良さがあった。住んでいるところが町工場がたくさんある地域であったこともある。友人の家がそのような仕事をしているところもあった。
 中学で技術家庭という時間があったが、授業はつまらなかった。教師が分かっていないことが、はっきり分かったからだ。旋盤のある工場で窓の外から見ていると、中に入れてくれて触らせてくれたし、職人芸を見せてもらった。

 そういう時に、「この仕事をやりたい」と思っていたから、それを口に出すと一生懸命教えてくれた。フライス盤は切粉が飛び散るので、飛ばない方向からしか見られなかったが、すごいものだと思った。仕事が速いのだ。父に聞くと、「セーパー(型削り盤)は刃物が一つしかないが、フライスはたくさん付いているからな。」と言う。それはそうだが、あの速度で焼けた切粉が煙を上げて飛んでいくのは凄い眺めだった。超硬の刃というのも初めて見た。

 旋盤とフライスで家が建つほどの金額だと聞いたので、自分で趣味で持つことはできそうもないと思ったが、のちにアマチュア用のものがアメリカ、イギリスを中心に出ていることが分かった。

 様々な分野の職人と話をするのは楽しかった。図面を描いて注文すると、面倒そうな顔はするけど、受け取りに行くと得意満面で、腕自慢する。その自慢を良く聞いて、さらに面倒な注文をする。だんだんとエスカレートするのが面白かった。職人は学校には行っていないが、知識がある人が多かった。父は、
「分からないことは、工場に行って職人の頭に聞くんだ。賢い人が居るからな。」
とよく言っていた。
 現場でなければ分からないこともあるのだ。本を読んだだけではできない仕事だ。まさにプラグマティズムの世界である。 

 祖父江氏と知り合ったのはその頃で、模型職人なのに機械工学の基礎を完璧に知っているのには、驚いた。そういう人は見たことが無かった。
「14枚以下の歯車は、歯車じゃねえよ。」
 この言葉が模型職人の口から出るとは思わなかった。すっかり参ってしまって、通うようになった。

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2018年01月28日

続 砥粒

 早速メイルを戴いたので紹介したい。

 砥粒の話、そのように教えられたり聞いてはいても、気にしないモデラーが多いでしょうね。実際に擦り減って支障を起こすほど使わない(使用時間が長くない)からでしょう。問題が発生しない、もしくは擦り減るという経験をしていないので、理解できないのだと思いますね。 

 模型車輌の軸受の構造も、よくこれで持つよなあと思うものが大半です。海外メーカーの米国型HO蒸機がギクシャクして肩を振るようになったので分解してみたら、単に長方形に切り欠いただけの軸受に真鍮の車軸が嵌まっていて、擦り減っていたということを経験しています。ちゃんと注油し、綿埃などは取り除いていたにもかかわらずです。油が砂埃?を巻き込んだのが却っていけなかったのかもしれません。
 こういう場合はグリーセムのような固体潤滑の方が良いかもしれませんね。ギヤの露出も問題です。埃だらけの居間の壁際に敷いた線路で、ずっと走らせていればそういうことにもなるのだろうと思います。長時間連続して走らせることなどは、想定外なのでしょうね。博物館や商店の展示レイアウトの車輌の消耗やメンテナンスはどうなっているんでしょうね。

 
おっしゃる通りで、アマチュアの旋盤で、磨り減るほど使ったものにはお目にかからないから、良いのかもしれない。
 筆者も現役のころは旋盤、フライス盤に向かうのは週に1時間ほどであった。最近は毎日2時間くらいであろうか。これくらい使えば減るかもしれない。ベルトは擦り切れて2回取り替えた。刃物の消耗はかなりあるが、最近はダイヤモンド砥石があるので、修正は簡単だ。
 
 建設中の博物館の車輌は、すべて密閉式ギヤボックスを持ち、軸受はボールベアリングである。それらは十分持つだろうと思う。問題はロッドである。ひと月に一度溶剤スプレィで洗い落とし、再注油する。洗うと黒いものがたくさん落ちる。これはロッドの金属粉なのだろう。
 数年に一回、ロッドの孔のスリーブを入れ替える必要があるかもしれない。これは比較的簡単な作業である。

 模型においては消耗ということを考えることは少ないが、博物館が開業するとそれは深刻な問題になりうる。そういう点ではLow-D車輪は減らないから良い。

 JRなどが開いている博物館のHOレイアウトでの車輌の消耗は相当なものである。どんどん下廻りを取り替えているらしい。
 しばらく前、3条ウォーム、コアレスモータ、Low-D車輪の組み合わせをHOでやりたいという人が現れ、図面を提供した。博物館のメンテナンス・コストを小さくするという触れ込みで、応札したらしいが、見事に負けたらしい。勝ったのは既存の模型店で、イニシアル・コストが低いからであったそうな。当然メンテナンスには多大な金がかかり、模型店は左うちわだそうだ。資源の浪費は著しい。困ったものだ。



dda40x at 01:28コメント(8) この記事をクリップ!
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