金属加工

2024年03月08日

続 Sn 63% - Pb37% solder

 今でも 63% ハンダは60%ハンダと使い心地が違うのですか、という質問が多い。ウェブ上では、「違いがない」とわざわざ書いている人まで居るそうだから、救いがない。

 これは実際に使ってみればすぐ分かることである。使った上でも分からない人は、付けるものが小さくてコテからの熱が全体に行き渡る様な条件だろう。要するに「違いが分からない条件」を作っているのだ。ある程度の大きさのものを小型のガストーチあるいは炭素棒などで加熱してハンダを廻さねばならないときは、その違いを顕著に感じることができる。
 
 63%ハンダはどこに行けば買えるのですか、という質問も多い。専門店に行かなくても、近くのホームセンタで買えるはずである。
 ステンレス用と書いてあるものはどういうわけか63%である。その理由はよく分からない。昔、板金屋のおじいさんはごく普通の50%ハンダで上手に付けていた。もちろんコテは焼ゴテである。ステンレスは熱伝導が良くないので、付き易い。

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2023年12月07日

brass scrap

 筆者ほどブラスの材料を購入する人は珍しいだろう。年間数十 kgは買う。今年は、総計280 kg 買った。知り合いの廃金属商から電話が入るとすぐ行って、向こうが勧めるものをすべて言い値で買う。より分けて気に入ったものを残し、要らないものは別の廃金属商に持って行って処分する。そこでまた別の物を売りつけられることもあるが、全て買う。またより分けて…という無限地獄であるが、珍しいものに巡り会えるので、とても楽しい。実質的な消費量は年間30 kgくらいだ。この方法は手間と資金を必要とするが、良い材料を安価に調達できる。友人にも頼まれるので適当なサイズのものを原価で譲り渡す。先日は細い平角棒を頒布したが、HOの方は消費量が少ない。Oゲージの仲間は一度に数kg買う。そういう人にはダライ粉を捨てずに持って来るようにお願いしている。

Melting brass (2) このような方法で、必要な材料は潤沢に持ち、贅沢に切り刻んで使っている。そのときに出るダライ粉(切り粉)は取っておき、磁石で鉄分を除いてから、熔解炉で融かす。900 ℃でトロトロに融けるのでそれを煉瓦で作った鋳型に流し込めば大きなインゴットができる。それをフライスで削って6面が直角の材料を作る。その時に発生するダライ粉は次回で融かす。

Melting brass (3)Melting brass (4) この熔解炉では一度に750 g程度しか融かせないので、何回かに分けて作業する。これはアメリカ製で30年以上前に買ったときの値札がまだ付いている。今はとても高価だ。坩堝はグラファイト製であるから、赤熱すると大量の一酸化炭素を放出する。必ず屋外でやらないと命を落とす可能性が高い。120 V、750 Wである。変圧器で昇圧して使う。100 Vでは融けるまで1時間以上も掛かってしまい、使えない。  

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2023年10月26日

続 turning a flywheel(心を出す方法)

turning flywheel   6 次は expanding mandrel 太くなるヤトイ)である。この三爪チャックは心を出せる製品であるが、それでも多少の誤差はありうる。この太くなる軸を銜えて、ヤトイ自身を削って心を出すのだ。好きな太さにできる。こうすればチャックの調整無しでも、完璧に心が出た状態になる。この写真は粗削りの状態だ。仕上げ削りをして、サンドペーパでぴかぴかに磨く。このとき、ベッドは必ず保護する

 ワークをかぶせる。中心のネジを軽く締めるだけで完全に固着する。
turning flywheel  7turning flywheel  8turning flywheel 9




・反対側の端面削りをする(左)。
・外面を軽く削るとこの程度の偏心が認められる。外径を Φ51.5 まで削るとこの偏心はなくなったが、さらに削って設計値の Φ51.0とした(中)。
・出来上がり。これで質量は570 gとなり、かなりの減量である(右)。

 表面はきれいにしたいので、この後、細かいサンドペーパで磨く。
 これで内外の同心性が確保された円筒ができた。ある程度の高速回転(最高1000 rpm強)をするものであるから、心が出ていないと激しいビビリ振動が出てしまう。 

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2023年10月18日

Climaxの食違い交差軸受 

 F氏から工作の途中の写真をいくつか送って戴いた。

Climax shaft (4) 食違い交差の軸受である。同じ寸法になるように工夫して機械加工している。こういう場合のジグの設計は経験が要る。どうすれば最も簡単で、しかも正確にできるか、を考えねばならない。F氏はいつも巧妙・簡潔な発想で解決している。見習いたい。

Climax shaft (3) 切り込み量を測定している。この種の測定具は使い方次第で大きな威力を発揮する。



Climax shaft (1) この万力は2つのネジで締めるので、アゴの端であっても平行に締める事ができる。これは木製の万力でも同じことである。



Climax shaft (2) できたものを並べたところだ。これをハンダ付け用のジグの上で組む。硬いハンダを使うので壊れることはない。

 フライス作業は楽しいが、頭を使う仕事だ。

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2023年09月22日

メタルタッチの背骨

metal touch 背骨に連結器座を取り付けるブロックを作り、ハンダ付けした。このブロックは、フライスで背骨に嵌るように削ったものである。フラックスを塗り、押し込んでガス火で炙ればそこにあったハンダで完全にくっつく。

 段を付けるためにフライスで1 mm削り落とし、ネジ穴を用意した。ここに連結器座を介して連結器を取り付ける。実に気持ちよく連結器が収まる。縦に床に落としても平気である。もちろん連結器は壊れるだろうが、背骨、床板は大丈夫だ。

 次は台車を取り付ける部分を角棒から作って、フライスで溝を付け、背骨にはめ込む。ネジで締めれば出来上がりだ。この時、背骨の縦の部材には、一切傷を付けないようにせねばならない。5 mm角の棒は断面積が過剰であるから、ネジ穴をあけても問題ない。

 台車はウィングバネの付いた通称ナポレオン・ハット台車を新造した。バネ座の部分がナポレオンの帽子に似ている。

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2023年04月13日

クリートを作る

内野氏 内野氏には様々なことを教えて戴いたが、この方法は衝撃的であったことを今でも思い出す。

 誰でも見比べることはやるだろうが、すべてを並べて見比べるというのは素晴らしい方法である。(必要数+2)個を作り、良くないものを 2個捨てると、とても具合が良い。

 この図はTMSにも載っていたので記憶されている方も多いだろう。筆者は壊れた機関車を、安価で手に入れて修復するのが趣味なので、煙室戸がない時の修復法はこの方法に限る。とてもうまくいく。 

 貨車の部品でも、たくさん同じものが必要な時はこの方法は便利だ。 

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2023年04月11日

蒸気溜 および 砂箱を作る  

How to make domes and sand boxes 内野氏のファイルを整理している。かなりの部分は雑誌に発表されたもののようだが、中には未発表のものがあるのでそれを適宜掲載したい。

 最近のむすこたかなし氏のブログで扱われた内容である。蒸気溜の裾をどうするかの問題である。祖父江氏によると、
「一輌しか作らねぇんだったら、ハンダの丸みが簡単だよぉ。塗れば分かりゃしねぇや。10輌までなら、裾を曲げてヤスリ掛けだぁ。」
 ということで、筆者はその2つの方法でやってきた。

 今回の内野氏の方法とほぼ同じである。異なるのは最後の丸みを付けたペンチで、筆者は歯科の技工用の安物のペンチのセットを使っている。凹面と凸面が組み合わさるものだ。手元にあるものはインド製とある。

追記:この技法はTMS348号に載っているとお知らせを戴いた。  

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2023年04月07日

六角ジョイントのナット

 六角ジョイントのM1.4ナットに孔をあけるやり方が話題になっていた。はっきり言ってしまえばそれほど気にしなくても良い。というのは、多少のフレがあっても、それは吸収されてしまうからだ。とは言え、フレはないほうが気分が良い。

 紹介されていた方法は、六角ナットを保持するドーナツ状のヤトイを作って万力に銜え、万力の位置をXYテーブルで微調整して孔をあけるというものだ。この用途には十分ではあるが、心出し器なしで、これで心を出すのはかなりの熟練が必要だ。真似をして失敗する人もあるだろう。

 最近会った友人がどうやったら良いだろうと聞くので、こう答えた。
「六角ナットにM1.4のブラスのネジを入れてハンダ付けする。それを旋盤のチャックに銜えて、センタドリルでΦ1穴をあける。次いで希望の径のドリルを使って穴をあけてやると六角部分はドリルに突き刺さって回収されるはずだよ。2つ3つなら一度にできる。」
 これなら自然に心は出る。リーマを通したほうが良いだろうが、その時軸が傾かないようにする。

 ネジは無駄になるが、高いものではない。ブラスネジは軟らかくてよく削れるはずだ。これは無くなるヤトイである。この手法は歯車の軸孔径を大きくする時などにも使う。その時はちょうど嵌まるシャフトを作る。覚えておいて損はないテクニックである。三爪チャックではつかみにくい。小径のコレットがあると良い。コレットの平行部分が長ければ、たくさんのナットをネジで軽く締めてハンダ付けし、その一連のナットをコレットに入れて締めると心は出る。一気にドリルで貫通させることも出来るだろう。もちろん後でハンダを外す。

[追記] いろいろな質問が来るが、結論として、「多少の振れなどはすべて吸収されますから、とんでもない振れでなければ、問題ありません。」とお答えしている。 

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2023年03月30日

続々々 ナンセンス集

 ・外国の車輌はインチのものさしを持っていないと良い模型ができない。

 これは誰が言ったか見当がつく。筆者もそれを聞かされたが、全く無意味である。実物を測るときには、インチのノギス、巻尺を持って行くと、その数値が読み取りやすいのは事実だ。手摺の太さ、板の厚さがすぐわかる。しかし、それを模型化する時にその数字に従ってインチで作る人はいまい。縮尺が1/48であれば、大きな寸法はインチ尺でケガけるが、小さなものは無意味だ。塗料の厚みもあるので、ある程度のところで妥協して太さ、厚さを決めねばならない。日本型OJは 1/45 であるから、いったいどうやったというのだろう。なにか人に自慢できる部分がないかを考え、膨らませたのだ。むなしい話である。

 ・キリンスをかけると、ハンダはきれいに取れる。

 これは極めて怪しい話である。キリンス(硝酸と硫酸の混合液)の溶解速度は、
  ブラス>ハンダ
である。すなわち、ハンダが無くなるまで待っていると、本体が薄くなる。しかもハンダの下は腐食されないので段になる。その段が無くなるまで漬けると、本体は極めて薄くなるだろう。 

  
 その他、たくさんあるが、今回はこの辺で終わりにしたい。 

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2023年03月28日

続々 ナンセンス集

 ・糸鋸は0番でも000番でも切れる速度は全く等しい。

 これも意味不明だ。粗い刃の鋸は確実に速く切れる。切り粉が大きいからだ。もちろん刃数が少ないが、一粒あたりの質量が数倍以上あるだろう。大きな鋳物を切ったりする時は#1あたりを使う。ザクザクと切り粉が出て楽しい。


 ・丸い円板を作る時は四角の板の角を落として八角にし、ヤスリを掛けると速く出来る。
 
 これは一理あるかもしれない。内野氏は鼻歌を歌いながら一発で抜いて、完璧な円板を作ったが、これは誰にでも出来るわけではない。八角、十六角と切ってヤスリを掛ける手もあるだろう。しかし速度は糸鋸には全く敵わない。 


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2023年03月24日

ナンセンス集

 内野氏のファイルの中に「ナンセンス集」があった。それは模型の集会に参加した時に出た会話の中から、とんでもないものを抜書きしたものである。鉛筆の色が微妙に異なるものがあるので、何回も分けて書き込まれたものに違いない。やってはいけないこと、常識がないことを知らない人が得意そうに語ったことを、書き留めてあるのだ。模型人は工学を修めた人ばかりではないので、仕方ないが、中学校の理科の範囲で解決することばかりである。モノを言う前に考えて欲しかったと考えるのは、筆者だけだろうか。

・凸電の床板は厚くないと垂れ下がってしまう
  最初何を言っているのが全くわからなかった。多分上廻りを薄板で作り、側板が不連続だから剛性がない。だから厚い床板で曲がらないようにする必要があると言いたかったのであろう。
 実物の構造を見れば、上廻りの剛性など無いに等しい。下廻りの剛性を上げる工夫など、訳はない。 

・台車のスプリングは3つを硬く、1つを柔らかくすると良い
  何をか言わんや、である。静止状態なら凸凹の線路上で落ち着くであろうが、走らせたらとんでもないことになる。このメモが作られたのは30年ほど前であろうと推測する。ところが10年ほど前にもこれを得意そうに言う人を見た。同一人物かどうかは知らないが、付ける薬がない。その人は3箇所をバネなしにしても良いのだとまで言っていた。 

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2023年03月14日

続々 模型製作技法

棒材の端部ツブシ治具 手摺などの取付部のディテールの作り方である。板を挟んで仕上がりの厚みをコントロールしている。これは便利である。

 筆者は万力を使っている。印をつけた線材を所定の深さまで万力の口金に挟み、所定の角度までハンドルを廻して潰す。この方法では、動かす範囲を調整しなければならないことがニ回あるので、ばらつきが大きく、失敗する可能性が高い。 
 
 当てて挟む鋼片の角を丸く落としてあるのも、良いアイデアである。こういうところまで注意が行き届いているのは素晴らしい。この方法でやれば、大量生産ができるだろう。  

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2023年03月12日

続 模型製作技法

シャーリング切断後の処理 シァで切ったものは、くるくるとねじれている。それを補正するには逆にねじれば良いと思う人は多い。確かにそうなのだが、そのねじる量を見極めるのが難しい。

 ねじり過ぎたり、足らなかったりする。この引張る方法は簡単である。筆者もよくやる。伸びる量は僅かだが、一発でできるし、出来たものは硬い。加工硬化が起きるからだ。
 プライヤに銜えて、ゴンと引けば終了である。その衝撃が効く。

手摺、ステップ等の曲げ治具 手摺などの長さを揃えて作る方法である。このジグを持っていれば、何も考えなくても同じ寸法のものができる。筆者は、ラジオペンチにヤスリで彫り込んで印をつけてある。しかし、こちらの方法のほうが便利である。ただし、HO以下の細いものに限る。Φ0.8程度だと、孔がすぐに大きくなってくる。鋼製のジグが必要だろう。 

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2023年03月10日

模型製作技法

 内野日出男氏の資料を丹念に読んでいる。時々、原稿の下書きのようなものが出て来る。何かの雑誌等で発表されているものかも知れないが、オリジナルの原稿には味があり、少しずつ発表して行きたい。これは夫人の希望でもある。

曲げボイラー ボイラの材料を切り出し、丸棒に巻き付けて所定の径にする。その時の切り出し寸法についての注意である。板の中心部の長さを切り出すようにとある。板厚くらいは誤差範囲だろうと思うと、意外にその差は大きく、きっちり嵌まるはずの煙室戸が落ちて来たりする。

余分ハンダの吸い取り法 ハンダの吸い取り法である。内野氏はこのような丸線を使っていらした。筆者は、最初は甲丸線(半分削った丸線)を使って少しでも吸い取り量が多くなるようにしていた。そのうち、平編線を使うようになって、この方法は忘れていた。

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2023年01月19日

続々 突切りバイトを作る

むすこたかなし氏のブログで連続的に掲載されている記事が面白い。先入観に捉われることなく、客観的な事実だけからやり方を導き出している。実にサイエンティフィックである。

 60年ほど前までは、この種のテクニックは職場ごとに存在し、互いによそが何をやっているかということは、うかがい知ることがなかった。職工はテクニックを「盗んで覚える」以外なく、それは工学的な知識が元になっているわけではないから、見当外れのものもあった。
 ただ言えることは、うまくいかないものは使わなくなるから、使える方法だけが生き残っていたわけだ。筆者はその最後の時代にそれを見るチャンスが有った。

 しかしながら、自分でやってもいないのに、頭ごなしに「そんな方法は間違いだ。」と言って、鼻で笑う人も居た。こういう人は今でもたくさん居る。
 筆者は各種のバイトをその方法で作ったが、ハンダが剥がれるようなことは一回たりともなかった。すなわち、むすこたかなし氏も言われるように、正しくハンダ付けができれば大丈夫なのだ。 
 今回 Φ12 の快削黄銅棒を切断しているが、なんの問題もない。筆者はもっと太いものも切る。これは刃先が細く抵抗が小さいから、可能なのだ。

 SKS材は日本刀の材料である。実際には日本刀は天然の合金鋼で、マンガン、バナジウムなどを含む。カミソリも同じである。硬く焼入れが出来て、切先を鋭くできる。これはハイスには出来ない芸当である。ただ、焼きが鈍るとダメになるから、鋼を削るときは、低速で油漬けでの仕事をせねばならない。(ハイスはHi-Speedの略である)

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2023年01月15日

内野氏の工夫

 I氏より、とれいん誌の1996年11・12月号に内野氏の工作技法メモが載っていると連絡があった。
pull to expand 今回の edgewise に絡んで、リヴェットのピッチを合わせる方法も開陳されている。これは割合知られたアイデアのようだ。祖父江氏も「引っ張って合わせりゃいいんだよ。」と言っていたし、筆者もそうしていた。

 旧型国電などのドア上のリヴェットである。エッジワイズで作った部品にリヴェットを打ち、ヘッダを張るときに問題になるのだが、調整はわけない。金属は伸び易いものなのだ。

 人間の眼は、平行とは垂直はよく認識するからごまかせないが、長さは絶対値を認識していない。相対的な値としてしか認識しないから、このような方法が成立する。 

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2023年01月13日

続 edgewise

 早速 F氏から連絡があり、写真をいくつか送って戴いた。大学の工房に鉄の帯やアングルをRに曲げる工具があり、それを参考に帯をどうすれば曲げられるかと考えました、とある。

Mr..F's method (2) この写真では木の板に孔をあけ、そこに段を付けたブラス棒を差し込み、クランプで軽く締めながら、帯板を挟んで曲げる。板にはどこまで曲げるかを描いてある。戻りがあるので、90度なら100度曲げる必要がある。


Mr..F's method (1) 孔をあけるためのジグである。棒(rung という)を差し込む位置が正確に決まる。




Mr..F's method (3) 図面をコピィして貼っておけば、その通りのものが作りやすい。 




 
 エッジワイズは難しい技法ではない。曲げる瞬間に加工硬化するので、多少の力が掛かっても、曲がりにくい。もしこれがエッチングによる切り抜きであると、あまりにもクタクタで、まっすぐに取り付けることさえ難しいだろう。 

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2023年01月11日

edgewise

edgewize  (3) 内野氏はポケットからこの曲がったハシゴの材料を出して筆者に見せた。
「どうやって作ったか分かる?」

 筆者はピンと来た。糸鋸で切り抜いたのなら、わざわざ見せまい。そんな事例はいくらでも紹介されているのだから。

edgewize  (1) そこで筆者は答えた。
「ジグで挟んでおいて、引きながら曲げたのではありませんか?」
 内野氏は口を大きく開いて驚いた。
「知ってるのか!」

 そのようなやり取りがあってから、筆者は内野氏とは非常に親しくさせて戴いたように思う 。この方法は小学生の頃から父から聞いていた。大きな変圧器、モータ等の巻線はこの方法で作る。
 「エッジワイズというのだ。」と父は教えてくれた。「丸い線を巻くと隙間が大きくて損なのだ。角線を巻けば隙間はかなり少なくなるからな。」

edgewize  (2) "edgewise"という言葉は英語ではたまに出てくるが、角線を曲げるということに使うのは特殊な場合で、日常には遭遇しない使い方である。この言葉が戦前から日本に伝わっていたということは、イギリスか、アメリカからその概念が輸入されていたわけである。模型の世界では使われていなかったようだ。

 祖父江氏は抜き型で作ったものを使っていた。数の問題があるからそのほうが安上がりだったのかもしれない。プレスは、時間が節約できるからだ。穴まで同時に抜いていた。 

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2022年10月29日

車輪踏面の粗さ

 筆者はNゲージには触ったことがないが、それに詳しい人が言う。
「Nゲージの車輪の転動音はかなりひどい。」

 シャーという音が響いて、会話もできないそうである。走らせることをシャーシャーするという人もいるそうで、それには呆れる。
 彼は筆者の博物館に来て、その静粛性に驚いた。
「模型の音がしない。」と言う。

 Nゲージのその音はどこから、来るのだろう。レイルを撫でてみると、かなり滑らかである。そうなると車輪しかない。
 もし伝手があれば、車輪の表面を電子顕微鏡で見ると面白いだろう。ニッケルめっきが施してあろうが、それの表面は月の表面のようにあばただらけになっているはずだ。
 それを改善するにはめっき面を研磨するしかない。#1500程度のサンドペーパを湿らせて当てれば良い。もちろん旋盤上である。ほんのちょっと磨くだけで格段の差が生じる。旋盤のベッドは保護しておくことは不可欠である。
 HOの車輪を研磨する人は、このブログで初めて見た。

 問題は、この種のことが全く話題にならないことである。どうして雑誌にこのことが記事として採り上げられないのだろうか。これはメーカ・サイドの問題である。製造時に一手間かければ出来ることで、それによって得られた静粛性は、他社に差をつける大きな切り札になるはずだ。めっきは、旋削に比べて表面が粗いことを知らないはずはないのだが。

注: めっきは日本語であり、外来語でないから、ひらがなで書くべきである。JISもひらがなである。 

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2022年10月27日

続々 「私たちの立ち位置」

 今野氏率いるKKCの会員は、金属工作による車輌群の製作を趣味とする人達である。KKCの内部では様々な情報が交換され、共有されている。これは素晴らしいことである。雑誌には載らない常識、誤謬の訂正などが伝達され、然るべき時間の後には、雑誌に載ったりする。
 
 若い会員は、先輩の指導で様々なことに挑戦し、その試行錯誤の様子も分かる。ここで大切なことは、会員の殆どが実践者であることだ。自分で手を動かし、やってみて確認したことを報告している。糸鋸の使い方、タップの立て方にしても、雑誌に書いてあることとは一捻り違うことが紹介されている。ハンダ付けのコテを改造する例も紹介されている。 

 最近では模型人は製品を買うだけの人が多いと感じる。筆者は、それほど懐に余裕がなかったから、自作か、中古品を改造することを中心にしていた。博物館のコレクションは、土屋氏からのものを除けば、ほぼ100%中古品からの再生である。動力装置はすべて取り替えられ、サスペンションも更新されているものが多い。
 それを知っているアメリカの友人は、再生を頼んで来た。渡してやると、さらに友人に自慢し、それが次から次へと輪を広げていった。こうして祖父江氏は忙しく仕事をするようになったのは、嬉しいことであった。


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2022年10月25日

続「私たちの立ち位置」

 非常に多くのご意見を頂戴している。

 ほとんどの方の意見は一致していて、まとめて言えば”主体性の有無”である。これについては過去の記事で扱っている。


 例のコンテスト以降、鉄道模型のあり方について考えることが多い。コンテストの是非は別として、「入賞したいという意欲」が、昨今の問題の原点にあるような気がする。他人は他人なのだが、コンテストで入賞するためには、ある概念の中での出来不出来を競うわけだ。そうなると、見かけ上良くできている、ということは極めて重要になってくる
 筆者は何十年もコンテストを無視してきた。その入賞作品を見て、感動することもほとんどなかった。「ご苦労様」という言葉しか、感想として出てこなかったというのが正直なところである。中身についての工夫はほとんどなかったからだ。 

 筆者は、「世界で一番良く走り、耐久性のある模型」を作りたかった。祖父江氏も全く同じことを考えていたので、35年に亘る親交を結べた。懸架装置、歯車を含む駆動装置、耐衝撃性、耐摩耗性、静粛性の点で傑出するものを作ることだけを考えてきた。被牽引車は低摩擦であるべきで、緩和曲線を備えた線路を精密に作り、長大編成を牽かせることを目標にした。

 その目的達成以外、何も考えていなかったので、他の人からの雑音は耳に入らなかった。ある程度の完成形が見えてくると、車輪、歯車等を欲しがる人が出てきたので、原価で提供した。その購入者が筆者と同じことを考えていたかは不明ではあるが、さらにそれを見て、「僕も欲しい」と言う人が現れるのは嬉しかった。原価で頒布してきたのは、それを工場に注文するにはある程度の数を揃える必要があり、その協力者への謝礼という気持ちもあった。100個しか注文しないのと、3000個の注文では単価は数倍以上違う。

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2022年04月19日

高性能な車輪

 たかが模型と言えども、これは精密機械である。そのあたりの模型に使ってあるものとは、一桁以上精度が違う。だからこそ、この性能を出せるのだ。ガリガリゴリゴリ走る模型で良いなら、そういう部品を使えば良いことである。しかしその人は、再度接触して来て、売ってくれと言う。その理由を問うと、「安いから。」だそうだ。言葉が出ない。60年前の歯車を渡して、それきりにした。

 車輪についても同様のことを言う人が居る。Low-Dは、低価格で提供して、利益は事実上ない。他の市販品より遥かに安く、性能は比べ物にならないくらい良い。だから、他のメーカは撤退してしまった。すなわち、当方の車輪で寡占の状態である。de facto standard(事実上の規格)になった。これは、当初考えた作戦通りに推移したわけだ。30年前、吉岡精一氏と話した通りになった。安く高性能なものがあれば、自然にそうなる。 

 すでにヤフオクでも売買されている。しかし価格は頒布価格よりかなり高い。ということは少し値上げしても良いのかもしれない。

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2022年03月20日

他のタンク車

tank car DOW 少々古い写真である。このタンク車は先回のと同時に来たものであるが、材料が異なった。これのタンクボディは t 0.3 ではあるが、焼き鈍してなかったので、丈夫である。短いので、厚みがなくても壊れはしない。ハンダ付けが足らない。
 タンク・エンドの接合部は滑らかでない。オリジナルの形を尊重したが、本当は継ぎ目を無くすべきであった。本物は大抵の場合、滑らかだ。
 全てのハンダ付けをやり直して、手摺りその他を新製した。デッキは新品である。どこかに引っ掛けて手摺りが曲がっているが、ハンダ付けが完璧なので壊れない。梯子が安っぽいのは残念だ。先回のような3枚の部品を組合せたものを、使いたい。


 タンク車を作るのは得意で、スクラッチ・ビルトが、かなりある。すでに既製品の中に埋もれてしまって、探し出すのが大変である。

tank car その中で、この2つは異色のものである。長くて細いものは6ドーム・ケミカルタンカーになる予定だ。この仮のドームは小さい。本物はタンクの径とほとんど変わらない大きなドームが付く。3D printが楽だろうと思うが、展開図を描いて作ってみたい気もする。

tank car hydrogen peroxide  太いものは以前にも作った。ハンダをたっぷり使って、丸みを出す。これも厚い板を使わないと壊れてしまう。大きなものは丈夫にする必要があるのだ。t 0.5を巻いて作った。この種のハンダ付けをするときは 100 Wのコテと、小さなガスバーナを用いる。少し温めながら、コテを当てる。融けない程度に炎を当てて、コテで流し込むわけだ。凹みがないようにハンダを盛ってから削り落とす。
 濃過酸化水素水運搬用のアルミ製タンクにする。アルミ製のタンクボディは弱いので、鋼製の台枠を持っている。そこが、以前のと異なるところだ。

made in occupied Japan 最後に示すこれは、輸出用として極めて初期のものである。裏に、”Made in occupied Japan" とある。1952年以前の生産だ。下廻りを捨てて作り直した。タンクボディは、厚みが 0.25 mm(10/1000インチ)しか無いが、沢山のリヴェットを打ち出してあるせいか、加工硬化して、その部分はかなり剛性がある。

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2022年02月16日

シァでの切断テクニック

 しばらく前のコメントで祖父江氏のテクニックを書いたところ、いくつかの質問を受けた。もう少し詳しくとのことで、ここに紹介する。

shearing シァで切ることは剪断であるから、押し切られて、多少は塑性変形する。すなわち、角がダレて丸くなる。切ったものは、片方がダレて、他方は角が出るわけだ。


shearing2 連続的に切ると、切られたものはこうなる。片方は丸く、他方は角が出る。その板を模型の表面に貼ると、奇妙なものである。ダレた面と角の出た面が同時に見える。これを避けるには、わずかに大きく切って、切り口をヤスリで落とす。とても面倒であるし、その作業量が一定でないと、大きさに差が出る。これを避けるには、どうすれば良いのだろう。

shearing3 材料を送る時、最初の1枚は捨て(discard)、1枚ごとに材料をひっくり返す(flip over)のだ。すると、ダレの出る面は片方になる。すなわち反対側は角が出た面になる。ダレた方を下にしてハンダ付けすると、ハンダは沁み込んで、ダレた面をちょうど隠すぐらいに広がる。いや、その量のハンダを流し込むのだ。これには多少の経験が要る。
 四角の全ての辺をこのように切ろうと思うと、短冊に切る時も、ひっくり返しながら切る必要がある。板が大きいので、やや面倒ではある。

 このようにして貼った板は極めて丈夫に付き、剥がれることは、まずない。ハンダが見えないように、などと考える人は、このテクニックとは無縁である。


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2021年12月18日

糸鋸、剣鋸盤

coping saw さらに戴いた部品を調べると、糸鋸盤がある。大きな剛性のある弓がついているので、それが上下するのかと思いきや、そうではなかった。堅く曲がりにくい糸鋸が、弓に取り付けられた鞘の中を上下する。要するに片持ちの糸鋸である。これは果たしてうまくいくのだろうか。鋸刃にはいつも曲げ応力が掛かる。少しずつ曲がるだろう。そうすると鞘からはみ出そうとする。鞘には丸い筒が嵌っていて、刃がはみ出さないようになっている。 付属の刃は、いわゆる木工用のものと同じ太さである。もちろん、材質・熱処理はずっと高級だ。
coping saw mechanism 後には弓の上端に板バネを付け、その弾力の範囲で、ぴょこぴょこと動くものがあったようだ。
 それよりも、最近、他社のものでよく見るコイル・スプリングのほうが安定するだろう。


sabresaw どうするか迷っているうちに、もう一つの付属品があることに気が付いた。それは剣鋸盤の部品であった。糸鋸盤のメカニズムを利用して短い剣状の鋸 sabre saw が出入りする。市販のジグソウを裏返したような物が、できるわけだ。これは使えるかもしれないが、その用途の剣鋸の供給は、すでに無いだろう。
 市販のボッシュなどの刃の根本を切り取って、試してみたい。うまく行けば活用できる。 

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2021年12月16日

丸鋸盤

circular saw 実は当博物館にはもう一つユニマットが来ている。伊藤剛氏の遺品である。これはよく使ってあり、心押台は磨り減り、ハンドルは欠けている。ハンドルを新たに挽き出して改装する計画があったが、手を付けてなかった。今回到着した部品の中に丸鋸盤コンヴァージョン・キットがあったので、とりあえず取り付けてみた。

 組立図を見ると、Φ60 または Φ90 の鋸刃が使えるようだ。中心の孔径はΦ16.0である。この孔径16 mmという規格はヨーロッパには多いが、アメリカ、日本ではまず見ない。近いものは15.87 mmである。すなわち、5/8インチである。これなら、高級な国産品が簡単に手に入る。

 それを採用するには、鋸のアーバ arbor(軸)径を少し削るだけであるから、簡単である。スピンドルに取り付けた状態で削るのだから、心も自然に出る。

 手持ちのプロクソンの丸鋸は、出力が小さく、2 mmのブラス板が切れなかった。これは出力が100 Wなので、楽勝のはずである。
 この機械は鋸盤としての専用機になりそうな気配だ。   

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2021年12月08日

Emco Unimat SL の到来

 大先輩からユニマットSLを戴いた。50年以上前のものだろう。 若い人の教材のつもりで、引き受けたのだ。何人かに声を掛けたが、
「ベッドが鋳造ではなく丸棒だ。」
と言うと、躊躇してしまう。重負荷では撓むということになっているからだ。確かに、鋳造品と比べると剛性は少ないだろう。’70年代のModel Railroaderに、どうやって剛性を高めるかという記事があったほどだ。
「そんな重切削をすることもないはずだから、大丈夫だよ 。」
とこれを薦めたが、結局のところ、行先がなくなってしまった。
 多少錆びていたので、分解して油を塗り、スティール・ウルで磨いた。サンドペーパで磨くと細くなってしまう。
 
Emco Unimat 一緒に届いた箱を開けると、極めて珍しいものが入っていた。ネジ切り装置である。日本で見るのは初めてだ。これは非常に面白い発想で作られていて、親ネジを取り替えて目的のネジを切る。
 太い親ネジ leader(先導するもの)には一部を切り出した雌ネジ follower(追随するもの)が押し付けられ、ネジの進行が奥のロッドを介して刃物に伝わる。刃物はある程度の力でワークに押し付けられているので、雄ネジが切れる。ネジの深さは、少しずつ深くすることができるようになっている。細いネジ溝だから、深さだけの加減である。希望のネジピッチに合わせて、親ネジとフォロワは8種付属していた。早速組み立てて試運転した。

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2021年10月01日

open-frame motor の界磁を強くする

Lobaugh motor rebuilt Lobaugh の1.5インチ(38 mm)厚の界磁を持つ直捲モータを改造した。コイル部分を切り取った界磁を作ったのだ。
 レーザで切り抜いた界磁の軟鋼板を積層し、エポキシで接着している。軸受はボールベアリングを入れた。ちょうど合う 内径3/16インチ(4.76 mm)、外径1/2インチ(12.7 mm)のがあったので、軸受を加工して押し込んだ。

armature chuck アーマチュアは掃除してから、コミュテータを旋盤上で削り直した。そのために持っている工具があるのだ。これは、armature rotary chuck と呼ばれる。要するに軸を掴んで回転させることが出来る。ボールベアリングが入っていて、抵抗なく廻る。自動車のオルタネータの整備に使ったものだ。
ある程度削ってから、油を付けて細かい砥石で研ぐ。こうすると摩擦が減る。
 組まれた車輪をそのまま掴んでフランジを修正するときにも使えるが、あまりやらない。

 全体を組み直して、手で廻すと非常に滑らかである。この界磁の隙間に永久磁石を入れるわけだ。吸着力 58 kgwというとんでもないものを付けたら、12 Vを掛けても全く回らなかった。22 kgwの磁石でも怪しい。8 Vを掛けないと起動出来ない。その時、モータ軸を手で
アシストしてすと、明らかに鉄心が吸着されて、脱出できないことが分かる。3 V でも、廻り始めれば慣性で次の吸着から脱出できるのだ。
 界磁に大きな鉄片を吸着させて、磁力線の半分くらいをそちらに流す(これを弱め界磁というべきかは疑問である)と、1 V でも起動できる。吸着力が10 kgw程度の磁石を挟むとちょうど良いかもしれない。

 ちょっとしたお遊びなので、厳密なことは考えていない。元の電磁石がどの程度の吸着力を持っていたのかは見当が付いた。このLobaughのモータはバランスが取ってあることと、エアギャップ(隙間)が小さいことには感心した。模型用ではあったが、本物の技術が使われていた。当時(1941年頃)の日本製のモータとはかなりの差がある。


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2021年09月27日

補強板を作る

 先回の ”girth” を作るときは、シアとリヴェット打出し機を使った。先頃導入のシアは、このような同じ幅の板を切り出すのに便利である。あっという間に出来る。

riveting machine2riveting machine リヴェットはこの器械で打出した。最初は x,y の座標で位置決めする大掛かりな機械(英国製)で打出し始めたが、何回か間違えたので、それは断念した。この器械では奥行きを制限しているが、左右は手で滑らせる。金属板にケガいても見えにくいので、ガイドの上にテープを貼り、それに目盛りを描いた。実に簡単で、あっという間に4本できた。

 リヴェットを打出すと、t 0.3のブラスの板は反るので、金床に置いてゴムハンマで凸部の上から叩く。数回叩くと真っ直ぐになる。
 45度切りは、シアのテーブル上に引かれた線を使った。極めて楽である。 

 接着はエポキシを用い、錘を載せた。その時、位置がずれるのを防ぐために、マスキングテープで仮留めした。わずかに反った状態で、中心付近をブロックで押さえて錘を積み、5分待てば出来上がりだ。
 この状態で点検し、はみ出した接着剤があれば取り除く。まだ軟らかいので、可能である。 

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2021年09月09日

木製貨車をブラスで作る

 木の板を隙間なく張った側面を再現するには、ブラスの板に細かい溝を彫らねばならない。そのための専用の工具もあるので、簡単ではある。しかし、その後の処理をどうするかについては、説明を見たことが無いように思う。
 圧延された金属板には、目には見えないが、表面には残留応力がある。それを溝彫りによって断ち切ると、反りくり返ってしまう。その補正は難しい。エッチングも同じことである。片面に模様がつくと、反りくり返る。模様のとおりに、裏から見ても分かる凹凸が残る。また、腐食の速度も場所によって異なるので、表面の彫りの状態が不均一となる。
 これを防ぐために、エッチングを施す前にブラスの板は、焼き鈍される。だから、エッチングされた板は腰がなく、くたくたである。以前にも述べたように、細いアングルは縦溝をエッチングして曲げてあるので、話にならないほど、くたくたである。きちんとしたプレス型上で曲げて加工硬化させたものとは、比較できないほど駄目である。

Look inside さて、最近よく登場するF氏は、金属加工には深い造詣のある方で、次のような手法で解決している。木板張りを表現するために、裏表に同様な溝を彫ってある。こうすれば打ち消し合って、板は曲がらない。もちろんすべての溝が同程度の深さでなければならないのは言うまでもない。この方法で、腰が強く、扱いやすい側板ができる。
 伊藤 剛氏の遺作の修理は、F氏により、この板を使ってなされた。

 サンドブラストを掛けても、残留応力で反ることがある。日本のメーカで、サンドブラストを導入した頃、テンダの表面をそれで綺麗にしたのだそうだ。すると全て反ってしまって、作り直さざるを得なくなった。本当はハンダ付けが上手な人が作って、キサゲでわずかに余分なハンダを削って仕上げる程度が良かったのだ。しかしサンドブラストで梨地になると高級感があったのだそうだ。韓国製はエッチングした板を使っているから、反らない。その代わり、剛性がなく、重いものを鷲掴みにすると歪んでしまう。

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2021年04月04日

言葉狩り

 数日前の記事に”バカ孔”という言葉を使った。最近は言葉狩りが厳しく、こんな不適切な言葉を使うな、と言う意見も来る。例の肺炎騒ぎもそうだ。国名に関連する言葉を使うなと言ってくる。”日本脳炎”、”スペイン風邪” は禁止用語になるべきなのだろうか。

 この種の職人が使う言葉には、メクラ孔とか、見かけ上差別用語がたくさん含まれている。この種の例はいくらでもある。ここに列挙することは簡単であるが、またまた「怪しからん」の集中砲火を浴びることになるだろう。
 この記事は面白い。他にもたくさんあるので、参照されたい。

 反発するのも面倒だ。こんなことを書いて来る人は少数なのだが、その種の人たちは絶対に調子を緩めないから疲れてしまう。書くと気分が良くなるのだろう。自分は良いことをしているという高揚感を味わっているのかもしれない。

 この種の言葉は、その職域の人たちの長く続いた文化を背負っている。くだらないことを言うべきではないのだ。 
  
 アメリカでは一時期 Political Correctness の嵐が吹き荒れた。今は少し下火に向かいつつあるような気がする。筆者の友人たちが怒っていたのを覚えている。
「”Blinds”って言ったら、いけないんだってさ。何て言えばいいんだろうね。」
「”Shade”っていうのは、ちょっと違うよね。平行な薄板を同時に向きを変えて、向こうが見えにくくする窓用の装置ってのはどうだい?」
「そんなこと、言ってられるか!○○○○。」
 最後の言葉はここには書けない言葉である。 

 ここでは当然複数形だ。ブラインドの羽根は沢山あるからだ。 

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2021年03月21日

続々々々 アメリカ製の切断機

 実のところ、到着時にはすでに刃は傷付いていた。固定刃に乗り上げてしまって降りない状態なのに、無理に押し下げて、"Shipped tested"(検査して出荷)と称している。どうしようもない組立工がいるのだ。
 定盤上で、1200番のサンドペーパで研いで平面を出し、2000番の砥石で擦った。この作業で2/100ミリ強薄くなった。刃物を研ぐのは好きであるから、時間を掛けて行った。
 これらの刃を取り付け、きっちりと位置合わせをすると、素晴らしい切れ味である。

back stopper この切断機の特長の一つに、可動刃の裏側のストッパがある。そこまで(緑の線の高さで)材料を突き当てて(黄色矢印の深さまで)切り落とすと、同じ幅のものが大量に簡単にできる。深さ寸法は0から始められるところが優秀である。
 ストッパの回転軸の高さ(オレンジの線)が絶妙で、押しても逃げないが、刃を下ろすと逃げるようになっている。バネで逃げるのだ。うまい工夫だが、可動刃は斜めに降りるのだから、ストッパがプラットフォーム方向から見て水平であってもよいのか、詳しく調べてみたい。回転軸にはわずかのガタがある。それには害があるのか、それともそのガタが有効に作用している可能性があるのか、まだ判断できていない。
 深さの目盛りは、ミリとインチの併用であるのは有難い。

 リン青銅板を正確な幅に切り落とせるから、重ね板バネが簡単にできる。窓枠の部材切断なども簡単だ。

slide 切り落とした小さなものが奥に入ってしまうと取り出しにくいので、滑り台を付けた。滑りの良い洋白の板を、少し曲げて貼り付けただけである。切ったものが滑り出して来るのを見るのは面白い。         


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2021年03月19日

続々々 アメリカ製の切断機

slack 可動刃のブロックである。本体のスロットにはめ込むと微妙なガタがある。矢印がそのガタである。その分だけ刃が前に出る(この写真では左に行く)と、固定刃に当たる。乗り上がって自壊するのだ。 
 可動刃が、上下するスロットの中で一番奥(右へ)に押し込まれて、手前に出て来られないようにする必要がある。
  
wavy shim 薄い洋白の板を短冊にして、はさんでみた。0.1 mm厚では足らない。0.15 mmでは少し苦しい。こういう時は、0.10 mmを波状に細かく折ってから、平らな金床上でゴムハンマで叩き伸ばす。折ったところは微妙に曲げ跡が見えるが、押せば凹む。すなわち極めて薄いバネを作ることができる。これを隙間に押し込んだらぴったりで、何もしなくても固定されてしまい、なおかつズレて出て来ることもなかった。刃は滑らかに降りる。

 次に、刃当たり調節ネジを少しずつ締め、刃が無理なく降りて剪断するかどうか確認する。祖父江氏の言うように、ティッシュをはがした1枚を置き、それがスパッと切れるようにするのだ。クラインシュミット氏も同じことを言っていた。
 今度は反対側を締めるが、こちらでは固定刃により、可動刃はスロットの中で後ろ側に押し付けられているから、洋白の短冊を押し込む必要はない。すでに刃は降りているので、コジることが無いようにするだけである。少しずつ締めて様子を見る。この締めネジはつぶれていて困ったが、M6ネジであることが判明した。鋼製に取り替えれば安心だ。アメリカでもメートルネジが増えてきたのだ。車の影響だろう。

ネジ山破損 H氏からお知らせ戴いたが、ネジを切り忘れたところがあり、それにネジ込まれていたので、外すのにも苦労したそうだ。写真を送ってくれた。M6のタップでネジを切ったという。ネジ切りの深さが足らないところもあったそうである。

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2021年03月17日

続々 アメリカ製の切断機

 バリではないが、キサゲを掛けていないので、刃の固定が怪しいということもあった。可動、固定の両方の刃が鋼製ブロックにはめ込まれ、ネジで固定されるが、その接触面は機械で削っただけである。手仕上げはなく、フライスの刃が切った面そのものを黒染めして刃を締めてある。これでは、メクレで微妙な浮き上がりが生じ、ネジを締付けても、刃の平面性が保証されない。おそらく微妙にすり鉢状に締まるはずだ。

hand scraping 台に固定し、バイトに”のみ”のような握りを付けたキサゲで時間を掛けて仕上げた。部分的に虹のように光る。こういう仕事は、昔見せてもらったことがある。油を付けて撫で、違和感を感じなくする。刃を置くと吸い付いて取れなくなる。好きな作業でもあるから、時々やる。概略の平面は機械が出しているので、微細なメクレを取ることが目的だ。サンドぺーパを当てるとそこが凹んでしまう。あくまでも出ている部分を無くすことに傾注する。
 プロは、1/100ミリの凹凸でも指先で感じるそうだ。筆者は3/100ミリ程度しかわからないだろうと思う。 

 刃を外し、丁寧に研いで取り付けた。彼らが使っている機械の精度は素晴らしいと思う。しかし、わずかの手仕上げが足らない。キサゲでなくても、砥石で擦るだけでも良かったのだが。

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2021年02月25日

フライホィールの支持

momentum unit (1) フライホィールを支える台は、軽衝突の衝撃に耐えねばならない。前回は厚さ 6 mmの円盤を切ったものをハンダ付けして支えを作った。1.5 mmの板に銀ハンダで付けたものを、1 mmの床板の上にネジ留めしたのだ。今回は太いアングルがあるので、それに固定すれば済む。

momentum unit (2) なるべく厚い材料を探していたが、快削材が無いので、しばらく前に外したギヤボックスの鋳物を使った。祖父江氏がヤスリで削り出したものだ。測定してみると、厚さは0.2 mm以下の誤差しかない。角も直角が出ている。手仕上げの量産でこの精度を出しているのには驚く。
 孔がたくさんあるので、ドリルで拡げてブラス棒を差し込み、銀ハンダを流す。それをフライスで削って再利用した。分厚くてなかなか豪勢である。
 軸の通る部分にはボールベアリングを嵌めるので、切り取ってブロックを嵌め込んである。もちろんあとでフライス加工して、平面を出した。

 アングルの隙間にぴたりと嵌まるように削った。ラジアルベアリングとスラストベアリングを用いて支える。

 フライホィールの径は現在の 52 mmではテンダの天井板に0.7 mmほど障ることが判明したので、少し小さくして50 mmにせざるを得ない。


 作り掛けの状態では部品を無くす惧れがあったので、毎日1時間ずつ作業して、形にした。

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2021年02月05日

丸金床

round anvils 友人が筆者の丸棒を熔接した金床を見て、これが欲しいと言う。作ってくれと言われたが、ちょうど良い丸棒もないし、足になるH鋼もない。
 友人の鉄工所に行って頼んだら、二つ返事で引き受けてくれたが、H鋼の良いのが無かった。似たものを作ってくれれば良いのだと頼むと、それなら簡単、と作ってくれたのがこれらである。見本は筆者の下手な熔接品で、プロに見せるのは恥ずかしかったが、持って行かざるを得ない。右が見本、左が製品である。
 
 高さ、幅などはどうでもよかったのだが、 全く同じ寸法に作ってくれた。さすがは熔接のプロで、素晴らしい作りである。細い方がΦ12,太い方がΦ30である。HO用にはもう少し細いものも必要かもしれない。

 これらは丸屋根を作るときにとても便利である。ブラスの板を置いて、ゴムハンマで丹念に叩く。鋼製ハンマは使ってはならない。端から曲げて、曲げ過ぎたら太いほうで戻す。これを繰り返すとどんな形状にも曲げられる。筆者の客車の屋根はすべてこれで曲げたものである。誰も自分で曲げたものだとは思わない。大きなプレスで曲げたと思われているようだ。

 追加生産できるので、欲しい方はコメント欄を通じて連絡されたい。最近はコメント欄にあるメイルアドレスに書き込んでも、それがこちらには表れないので、本文に連絡先を書かれたい。 


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2020年04月21日

切断機のカスタマイジング 追補

 むすこたかなし氏が切断機のテイブルで手を切る可能性があることを示唆された。なるほど、ハンドルに丸い握りゴムを付けている人にとっては、無視できない話だ。筆者は電車の断面のようなカマボコ型にしたので、握らずに手の平で押し切っていた。
 
metal cutting saw (5) テイブルの 4 mm鋼板を糸鋸で切るのは体力的に避けたい。思い付くのは丸鋸である。最近はチップソウというものが安くなってきて、超硬の刃(チップ)を付けた金属用丸鋸が廉価で手に入るようになった。鉄筋などを簡単に切ることができるので、工事現場ではよく見る。

metal cutting saw (4)metal cutting saw (1) 鉄骨を熔接したものをばらす必要があって、この刃を買ってあった。30 mmのアングルならあっという間に切れる。この程度の鋼板もすぐ切れる。実際3秒弱で切れてしまった。角度が悪かったのでもう一度切り、計15秒ほどである。近所の人が見ていたが、その速度にはとても驚いた。
 切粉は焼けたのが飛ぶので、下に敷いたポリエチレンシートに喰い込み、穴だらけになった。

metal cutting saw (3)metal cutting saw (2) 刃の設計は巧妙で、押し込んでも一回に切れる量は変化しない。サーメットのチップを使っている。驚くべき切れ味である。もっと薄い歯であればブラスも切るのだが。切粉は箒と磁石で集めた。フィリピンで日本企業が作っている。
 切り口の鋭った角はディスク・グラインダで落とした。

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2020年03月18日

真ん中を凹ませる

 先日の記事で、ヤスリで平面を出す方法について述べた。コメントそのものは少なかったが、コメント欄を通じた<私信>はかなり来た。私信であるから、公表はできない。知っている人も多かったが、未知の人からも来た。連絡先は書いてない。

 かなりの調子で、「ありえないことを書かないほうが良い」と言って来た。自信家と見える。「あの固い鉄のヤスリは曲がりません」と書いてあるのだ。鉄という言葉が間違っているのは、ここでは追求しない。どんなものも、力を入れれば曲がる。

 こういうことを言う人は、ご自分の見聞きしたことが世の中のすべてである、と信ずるタイプの人であろう。いわゆるスクラッチ・ビルダの中には多く居る。自分がアマチュアであることに気が付いていない。世の中は広いのだ。過去のTMS の記事はこういうタイプの人が書いた記事が大半である。だから進歩が殆どない。プロの世界を紹介する記事、プロから見た見解を書いた記事が必要なのである。

 この件をクラブの掲示板に書き込んで、経験のある方はご披露下さいとお願いしたところ、年配の会員がこのように書いて下さった。
 その通りです。R加工のときは反りを大きくします。小生は63年前、仕上の授業で習いました 余談ですが平ヤスリには片面にRが付いており、反対面はストレートです。手持ち(200 mm)を確認したところ、1本は両面ともRが付いていました。(フラットな面も先端は細くなっています)R加工の反りは、スェイさす事です。

 
確認したところ、スェイとはスウェイ(sway)揺動させることである。

 また今野氏から、これまた年配のフライス工の方が、
手作業なら出来るよ。フライスが無かった時代は、そうやって平面を出していたもんだよ。」
とおっしゃっていた、と伝えてくれた。 

 ヤスリを反らせるにはコツがある。筆者の習った方法は、下記のようなものである。まずヤスリのわずかに丸味のある面を下にする。左手の親指を中央に当て、中指と薬指を先端に掛ける。押す瞬間に力を入れると撓む。丸味をなぞるように押す。
 できないと言っている人は、プロの世界を知らないのである。筆者はそういう世界が好きで、覗くのが趣味であった。もうすでに、そのようなテクニックは殆ど世の中に存在しないが、特定の場所にはまだ存在している。


 大きな会社であれば、技能五輪に出場するための部署がある。某企業の担当者とは親しいので聞いてみた。それは当然という感じで教えてくれた。
 ヤスリだけで定盤を削り出せるそうだ。そういうところでは高級なヤスリをまとめ買いして、選り出して使う。残りは廃棄する。それを筆者のところにも、時々廻してもらっていた。余談であるが、日本の選手は優秀だそうだ。
 時として課題に間違いがあるそうだが、それを指摘するという。他の国の選手は出来なくて困っていた。出題側は、間違いを認めて問題を修正したそうだが、その時点で日本の入賞は決まっていたらしい。


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2020年03月04日

US Hobbies のギヤボックス

US Hobbies gear box 次はUS Hobbiesの推進軸を下げるギヤボックスである。先回のMax Grayの時代から進化して、ダイキャストで作っている。この設計者も祖父江氏である。


KTM gearbox ネジは裏表互い違いになっていて、型を一つしか起こす必要が無い。ガスケットをはさんで14枚、16枚、28枚の歯車を収納している。軸は4mm軸で、スティール製である。フランジ付きオイルレスメタルによって保持されている。新しく組んだら、油を注して放置し、油が馴染んでから慣らし運転をする。歯数がすべて2で割れるのは面白くない。
 どうして偶数にしたのかと、祖父江氏に聞いたことがある。その理由は偶数の歯車は注文すればすぐ製作してくれる。奇数とか素数の歯車は時間が掛かる。「互いに素」は知っていたが、そうでなくても密閉型の場合は、さしたる問題は起きたことが無いそうだ。

 実情はそうかもしれない。しかし、3条ウォームの時は、「互いに素」を強く主張した。出来て来たものを組んでみた時、初めは多少しっくりこないところがあったが、1分も廻すと実に滑らかになったのには、祖父江氏は感銘を受けたようだ。2条で偶数歯のものは、特定の場所でひっかかりがあるといつまでも抜け出せない。3条で互いに素にしたら、全くひっかかりが無いものができたのだ。
「これは参ったねー。本当にあんたの言う通りだよ。大したもんだ。」
と称賛した。のちにこれと同じことをディーゼル用ギヤボックスを作ってくれた友人も言った

 このギヤボックスのオイルレスメタルは、内径 4 mm、外径 6 mmである。フランジは内側に付ける。軸を Φ3 にすると安価なボールベアリングが使える。たまたまフランジ付きボールベアリングがある程度の数あったので、それを使ってみることにした。そうすると今回の場合は、設計が極めて楽になる。筆者は過去にフランジ付きを使ったことはまず無い。その理由は前に述べた。今回は構成が全く異なる。フランジ付きを使わざるを得ない。


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2020年02月29日

Samhongsa のギヤボックス

Samhongsa gear box (1) 先日、Ajinのギヤボックスを改良して安価に、かつ、そこそこの性能を持つものを作り出せた。捨てるものから役に立つものができるのならと、ジャンク箱を漁っていた。
 韓国製のギヤボックスがバケツ一杯ほど出て来た。選り分けると、比較的近年のものは何とか逆駆動出来そうである。その中にこのサムホンサのギヤボックスがあった。

 これは土屋氏のC&O J3 4-8-4を改装した時に出たものである。変な色のグリスがぎっしり詰まっていて、動きにくい。
 蓋を開けてみて驚いた。これにもモジュールの大きなヘリカルギヤが使ってある。ヘリカルはスラストが発生するから、その処理をしないと損失が大きいのだが、このギヤボックスにはスラスト・ボールベアリングが使ってあるではないか。そこだけは出来過ぎである。ただ、グリスが粘くて動きにくい。また灯油に漬け込んでから、溶剤スプレイで洗い落とした。

 スパーギヤの3段減速なのだが、モジュールは 0.5 で歯数は14:28である。この14枚は、何かを感じる。Ajinで筆者が教えた奴が、競合するサムホンサに就職した件と関係ありそうだ。その次のヘリカルは 8:13である。互いに素にしたのも、ピンと来る。こんな偶然はめったにない。
 間違いなくこの設計者は筆者に会っている。スラストベアリングの話もした。しかし14:28は間抜けだ。どうせやるなら29枚を使えば良かった。最終段の14枚がブラス製なのはどうしてだろう。ここは力が掛かるところなのに、何か抜けている。眼鏡を掛けた坊主頭の若い男だった。本質を理解していないから、記憶に頼って失敗している。

Samhongsa gear box (2) よく洗って研磨し、再組立てしたが、手で廻すと何か触るような感触がある。ほんのちょっとなのだが、気になる。分解してみて仰天した。歯先がギヤボックス内面に当たっているではないか。よく見ると、その部分は縦フライスで削ってある。設計ミスで追加工しているのだが、削り方が足らなかったのだ。今まで当たっていた数枚の歯は、歯先が光っている。最低だ。
 仕方がないから、縦フライスでさらに削った。歯先はダイヤモンド砥石で再調整した。スピンドルオイルを注し、組み立てると素晴らしく滑らかに廻るようになった。
 ギヤ比は14/28 ✖ 14/28 ✖ 14/28 ✖ 8/13 = 1/13 である。減速比が大き過ぎる。1段減らす工夫をしてみよう。それほど難しくはない工作だ。すべての軸にボ−ルベアリングを入れることも可能である。このギヤボックスを何に使うべきか、思案中である。1/6.5程度のギヤ比ならば、パシフィックに付けて見たい。


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2020年01月26日

工程表

 限られた時間で完成させようとすると、どうしても工程表が要る。工程表が無いと、くだらないところに時間を掛け過ぎてしまう傾向がある。

 各単元の工程の時間は、経験上分かっているので、細かく分けて書く。ここまでは何月何日に出来ていなければならない、という目安は大切である。
 単元ごとに検査し、あとでの再調整を不要にしておくことが時間節約になる。これは建築工事と同じだ。組んだものをバラして再調整するのは、膨大な手間が掛かる。今回は既製品の改造なので、既存の構造を利用できるところは残す。他を切り取るので、補強が要る。補強を後廻しにすると寸法誤差が出るので、補強工事を最優先にし、その後余分を切り取るようにした。
 テンダの中は太い骨が入っている。もともとはがらんどうであったが、重くなるので持った時に潰れないような構造でなければならない。
 
 旋盤工作は意外に時間が掛かる。刃物やドリルを取り替える手間が多いからだ。その必要が無いものは早い。小さい方の旋盤にはDROが付いていないので、目盛を読んで作るのは意外と大変である。1回転で何mmということから計算するので、計算用紙、電卓が必要である。早見表を作り見やすい位置に貼ってある。すべての材料、工具は並べておく。材料探しというのは、するべきではない。

 最初に見積もったスケジュールより早く進んでも油断せずに、先の方の予定でも時間が掛かりそうなものを先に作っておく。
 ロストワックス部品は念入りに仕上げてバリを取り、足の長さを調整して完全に密着するようにしておく。そうしないとハンダが完全に廻らない。
 細かな組立ては、机の上を整理して行う。前掛けをして、落とした部品がひっかかるようにする。落とした部品探しというのは、時間の無駄そのものである。
 塗装は4日掛かるとみた。初日は塗装剥がしである。塗ったらオヴンに入れて加熱する。100℃で2時間だ。マスキングは丁寧にする。失敗すると時間が無駄だ。塗り終わると同時に剥がして再加熱する。

 結局のところ、〆切の2日前に落成した。テンダがとても重く、宅配便で送るわけには行かない。持って行く途上で、T氏には助けて戴いた。ナンバーボードのスクリーンを忘れたのだ。コンピュータで作って戴いたものを付けた。


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2020年01月24日

リンク機構の工夫

making link (1)making link (2) テンダの先台車はリンクで結ばれている。左右に振れると、先台車は微妙に回転し、曲線上に載る。前後のガタは全くない。ピンはネジだが、パイプを切って嵌めてあった。要するに段付きネジのようになっているのだ。友人のO氏に見せたら、ピンに僅かのガタがあると指摘されたので、旋盤で精密なピンを挽いて、作り直した。ガタがあれば、台形リンクの意味がない。
 ガタをなくし、微量のグリスを塗った。当然、穴にはリーマを通してある。磨り減ることはないだろう。

 フライスのDROで設計寸法に孔をあけてから、外形を切り抜くが、今回はギヤボックスがあるので一筋縄ではいかない。少し逃げている。そうすると固定台車の第一軸の車輪が干渉する。絶縁側は念の為、さらに1 mmの逃げを付けるのが、当社の方針である。するとリンクは直線にはならない。

tailoring a link こういう時は、距離を保ちつつ途中の経路を変更するので、屈曲させるわけだ。十分な剛性が必要で、なおかつ設計寸法が変化するのを避けたい。そういう時はこの方法が確実である。図は誇張してある。
 .團鷙Δ鬚△院太い副木(そえぎ)を当ててピンを通し、ハンダ付けする。
 副木に食い込むくらい切り込んで、障碍物を回避する。
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 これを3次元でやるので、できあがりのリンクはあらぬ形をしているが、ちゃんと機能する。

stopper 先台車のリンク支持には大きな利点がある。直線の線路上では、自然に台車が真っ直ぐ向く。即ち線路に載せ易い。問題は、キングピンが無いので、車体を持ち上げると台車が落ちてくることである。今回はそれを解決するために、ひっかかりの爪を作って落ち留め(写真)としている。左右に滑らかに動くことが条件だ。二硫化モリブデンを塗ってあるので、滑らかに作動する。
 復元装置は付けなかった。今のところ、なくても脱線したことは無い。機関車に引張られているというところが大きいのだろう。推進時にも問題はなかった。ただ、設計最小半径未満では脱線する。ガタが無いので当然である。

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2020年01月06日

ワッシャを作る

 ワッシャを作る人はまずいないだろうが、時と場合によっては作らざるを得ない。外径9.5 mm、内径 7.0 mm、厚さ0.3 mm のワッシャは売っていないし、たとえ既製品があったとしても、プレス製で平面度が低い。
 メインロッドとコネクティング・ロッドの間に挟みたい。色はブラス色は避けたい。快削のステンレスは持っていないので、洋白の板から作った。色が良くないが、仕方ない。作り終わってから写真を撮ってないことに気が付いたので、別の部品を作るときに撮り直した。作り方を紹介する。

turning1turning2 まずΦ10のブラス丸棒に洋白の t1.2を二枚ハンダ付けし、水洗いする。こういう時には炭素棒で付けるに限る。但し洋白板は熱伝導が良くないので熱が廻らず融かしてしまう惧れがある。ブラスの方を加熱する。
 コレットに銜え、角を落として所定の寸法にする。快削ではないが簡単である。
 
turning3turning4turning5 センタ・ドリルでセンタを出し、Φ3のドリルで穴あけをする。炭素棒で挟んで加熱し、挽物を外す。ドリル穴付近で塑性変形して、二枚が喰い込んでいるので、外れにくい。熱いうちに木槌で叩いて外す。

turning6 リーマを通し、ハンダを油目ヤスリで取るとできあがりだ。この間8分。慣れれば早い。この丸棒は、コレット全長の長さが必要である。短いものを先端だけで掴むと、正確に銜えていないことがありうるからだ。あるいは、短いものを掴むときは、コレットの反対側に別の同径の短いものを銜えても良い。

turning7 何に使うのか。この部品である。手前の人形その他は無視されたい。向こうのロッドのビッグエンドの留め環である。人形はこの後、姿勢と色とを調整した。


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2020年01月04日

マボーコー

磨棒 ボ−ルベアリングを装着する軸が必要であった。生憎、必要なサイズを切らしていた。
 表題の店に電話して、すぐ手に入るサイズを聞いた。漢字では「磨棒鋼」と書くのだ。昔、初めてこの発音を聞いた時、中華料理の名前かと思った。一般には「磨き棒鋼」と言っている。あるいは「シャフト屋」である。

 Φ2から、2.5、3、4、5のステンレスSUS304シャフトを注文した。長さは2m単位である。もう少し太いものだと 4 mだから乗用車には載らない。その場で半分に切ってもらって、持ち帰る。ワンカット150円くらいだと思う。細い物はボルトクリッパを持って行って自分で切る。
 写真は添え木に縛り付けたものを示している。裸で渡してくれるわけではない。ちゃんと曲がらないように配慮してくれる。

 この手のシャフトは、すべてマイナス公差である。まかり間違っても表示寸法より太いことは無い。ミニチュア・ボールベアリングは滑り嵌めが原則である。ミシン油を付けて、にゅるにゅると入るのが正しい寸法だ。するするでは駄目なのだ。
 彼らは専門家であるから、よく知っていて、何も言うことはない。

 一般人には縁遠い店だが、筆者はよく行くので、ついでがあれば購入してお分けする。上述の寸法であれば、手持ちの物を切って、即納できる。長さはレターパックに入る長さを基本とする。ボールベアリングを普通鋼のシャフトに嵌めるのは避けたい。普通の保管法では錆びて抜けなくなるからだ。

 蒸気機関車の車軸用の、SUS303材の末端を加工したシャフトを注文する必要がある。どのくらいの価格で応じてくれるか、楽しみである。
 動輪の嵌替えは、最適の材料、工具、テクニックが無いと難しい。今までは祖父江氏がやってくれていたが、筆者が引き受けざるを得ない状況になってきた。ノウハウはすべて受け継いだ。問題は動輪を掴むコレットの種類があまりないことだ。80インチ、63インチはできる。他のサイズ用は作らなければならないが、そのコレット材料がないので、ebayで探している。

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2019年12月29日

リーマ

reams reamer と綴るが、アメリカ人の大半はreamと言う。なぜだろう。

 先日博物館に来てくれた友人(日本人)にリーマを見せたら、「始めて見た」と言った。これには驚いた。
 今までドリルで孔をあけて、軸を通したと言う。それではいけない。リーマを通さなければ、軸受にならない。油膜が切れてしまうからだ。

 筆者は1 mmから12.7 mmまで、かなりたくさんのリーマを持っている。シャフトを通すところには全て必要だ。傷をつけないよう、大切に保管している。
 継手など旋盤で作っても、その内側を平滑にしないとシャフトが通らない。ミシン油を塗って組む。油膜が必要である。

 ドリル寸法が公称値よりわずかに細いことは、知られている。即ち、ドリルで孔をあけてもシャフトは通らない。リーマを通す前提になっている。使っているシャフトの寸法のリーマは持つべきだ。

 ロックタイトを使うときも、リーマを通して滑り込みにし、そこに浸み込ませると世話が無い。その程度の隙間に入るように設計されているからだ。

 圧入する時は微妙に細いリーマを使う。リーマは 1/100 mmピッチで揃っているし、特注寸法も買える。ドリルであけただけではダメなのである。
 昔何かの記事で、ドリル孔をそのまま使えば、細いリーマを使ったのと同じ効果で圧入に使える、と書いてあった。これはとんでもない間違いで、拡大鏡で孔の内側を見れば、あまりにも違うので驚くだろう。2枚刃のドリルではまっすぐ正確な孔があく訳がない。細密工作が自慢の方達なのが、基本的なことをおろそかにしている。
 圧入用の少し細いリーマは、特注しても3、4千円程度で買えるものである。

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2019年12月27日

四角棒を削る

 ユニヴァーサルジョイントのちょうど良い長さのものが無いので、スプラインを作り直した。既存のものを分解して角棒を作り直せばよい。 

turning square rod 旋盤のコレットに四角棒を銜えた。自宅の旋盤のコレット群はアメリカ製で、6分割になっているから、六角棒は具合よく銜えられる。博物館のは8分割であるから、四角棒を銜えられる。本当は多少傷が付くので避けるべきなのだろうが、表面を磨くので問題ない。

 快削材なので調子よく削れて、短いスプラインができた。伸縮は僅かに0.8 mm以下である。ガタガタのユニヴァーサル・ジョイントを使えばスプライン無しでも行ける範囲だったが、音がするのが許せないので、この方法を採った。

 ごく狭い範囲の軸ずれを吸収するには、例の六角ジョイントが良い。これも部品を作る。六角棒を削って作るのだ。六角ジョイントの構造は、先が丸味を持っているヘキサレンチを考えれば良い。多少の傾きを吸収する。角速度は、厳密には一致しないはずだが、角度が小さいので、無視できる範囲にある。実際に使ってみて、振動、騒音は感じられない。かなりうまく出来たものであると思う。

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2019年12月21日

洋白材を削る

 ロストワックスの部品が足らないので、それらしく自作する羽目になった。機械加工で作る。1.2 mm厚の洋白材をブラスの2.6 mm厚の切れ端にハンダで貼り、それを縦フライスの万力で銜えた。この洋白材は快削だと信じていたが、そうではなかった。 

milling 1 刃はΦ1.0 とΦ0.5 である。細い工具には回転数が必要であるから、ベルトを掛け替えた。結果はこんな調子である。普通のブラスよりはマシであるが、粘りがある。切粉がさらさらとは出ない。

 DROの数字は事前に何度も検算し、間違いがないことを確かめる。初めの(0,0)点を決め、刃を降ろす前に計算値の通りに一周して、ワークからはみ出さないかを確かめる。

 切削はすべてDROの読みだけで行うので、ワークはあまり見ない。というよりも切粉が山盛りで、見えない。荒神箒(こうじんぼうき)で払っても取れない。Φ0.5を使うので、回転は最高、送りは最小である。7 mmx4 mmを一周するのに10分かけた。
 荒神箒は旋盤などでの快削材の切粉払いには最適である。最近はあまり見かけない。見付けると買い占めて、仲間で分ける。

milling2 周りは太い刃で削り落とす。さて、何を作っているのだろう。

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2019年12月17日

非快削材を削る

快削ブラス 複数枚の部品が必要な時は、板をハンダで貼り合わせて切り抜く。糸鋸でも良いが、フライスが使える物であれば、機械加工の方が楽であるし、正確だ。刃の太さを考慮した図面を描き、基点を決めて切削を開始する。刃が細いので、回転は最高に上げる。

 この4つの孔はハシゴになる。正確にケガいて糸鋸で切っても、不揃いになるから面白くない。昔は念入りに切って、ヤスリ掛けをした。最近はDROを使って機械で切り抜く。半径 0.5 mmのRで抜けるから、丸い形の物はそのままで良い。
 これは快削材であるから、すいすいと切れてバリもない。

快削 非快削 次の部品を切り始めたら、それ(右)が快削でなかったようだ。もう少しであるのに、くしゃっと行ってしまった。腹が立つが仕方が無い。捨てて、快削材で作り直した。ハンダ付けが全面にされてなかったことも原因の一つだが、粘る非快削材であったことが大きなファクタである。

ladder 出来上がったステップの踏み板は、薄手の滑り止めの付いたエッチング板があったので、折り曲げて貼った。間隔が揃っているので、気持ちが良い。こういうものは機械加工には敵わない。
 この種のステップは、蹴込みの深さも大切だが、向こう側に板があって、足が滑り込まないようにすることが義務付けられている。その板は連続であったり、分かれていたりする。この安全基準が設けられたのは1940年頃だ。
 Alco社の図面を参考にしたので、間違いはなかろう。

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2019年12月01日

快削ブラス

 最近、模型界では快削ブラスが市民権を得たような気がする。40年前は、おそらく殆ど知られていなかった。大阪の福原金属だけが売っていたという情報はあるが、大半の模型屋で売っているものは普通のブラス板であった。本当に切りにくくて腹が立った。一方、建材の引戸レイルは、糸鋸でとても切りやすかったことが印象に残っている。大きなモータに付いている銘版の廃品を貰ったが、これは粘い材料で、油を付けても切りにくかった。

 アメリカに行くと、ブラス板は少々色が違って緑っぽい感じがした。糸鋸ですいすいと切れるし、シアでは、すとんと切れる。
 性質が違い過ぎて、同じ金属とは思い難かった。日本製のブラス模型の色は赤く、アメリカ製は黄緑色であった。

 日本の材料屋でその違いについて聞くと、「快削と指定して取り寄せてあげるよ」と言う。それならばと、t0.3から順に定尺を全サイズ買った。色は普通材と同じであった。とても使い易く、友人に譲ったりして、その後は快削しか買わない。今は 0.3 mmが市販されていないようである。昔は、この板は時計の歯車用に大量に消費されていた。

 今野氏と知り合ってそのことを伝えると、KKC内部での頒布材料は、すべて快削材になったと言ってよいだろう。いろいろな場面で感謝されることがある。

 しばらく前、クラブの会合に手持ちの半端材料を大量に持って行って、安価で処分した。半分ほどは快削でなかったので、印を付けておいた。そうしたら、買おうとした人が、「えっ、快削じゃないの?僕は快削しか使わないんだ。もう普通のブラスなんて買う人は居ないよ。」と仏頂面で、のたもうた。その言い方にはとても驚いたが、内心とても嬉しかった。皆さんが使ってくれているんだと知って、多少なりとも貢献していることを実感した。これには今野氏の努力が大きい。この記事など、読んでくれた人など殆ど居ないのだから。 

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2019年11月23日

続 遠藤機械の切断機ハンドルを取り替える

recipro saw 2台目の修理は、まず回転軸を切断することから始まる。砥石で切るつもりだったが、埃が出るのと、火花で火災を引き起こす可能性がある。レシプロ・ソウで切ることにした。たまたま良く切れる刃を入手してある。写真の軸の下に敷いてある合板は、切断した瞬間に刃が下に落ちて、傷をつけるのを防ぐための保護板である。 
 相手は軟鋼だから、30秒ほどで切れる。もちろん切削油はふんだんに注す。

 2箇所切って、カムを取る。片方は簡単に取れたが、他方は動かない。しょうがないから、12トンプレスで押し抜いた。2.5トンほど掛けたら、取れた。これでは、叩いても動かないわけだ。

619_1462 取り出した軸を見てびっくりした。押しネジが少しずつずれて軸が塑性変形している。軸が軟らかいからだ。このように軟らかいものに押しネジを使う時は、縦フライスで十分な平面を作る必要がある。ところが、浅い穴をドリルで掘っただけだから、ずれていくことがある。筆者のように1mmを大量に切る人は傷みやすい。この写真で、片方は数年前に縦フライスで修理した痕が分かるだろう。
 
 今頃になって思い出したが、その時も抜くのに苦労した。ついでに両方やればよかったのに、片方しか加工しなかったバチが当った。軸が膨らんでいるので、プレスで押し抜いた時に、カムに ”めくれ” が生じたのが見える。

Finished! 新しいハンドルは、すぽっと嵌まり、キィを入れると固くなる。うまく行った。これもハンドルの、手に当たるところは削っておいた。テーブル上のものは切り落としたシャフトだ。軟らかいから叩く台にもならない。切り刻んでウェイトにするしかない。


Finished!! これで2台完成だ。この2台の仕様は、すべての点で異なる。カムの留めネジの角度まで違うから、部品の流用はできない。互換性ということを一切考えていないのだ。一台は自宅に持って帰る。

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