2023年02月26日

0-4-2 のイコライジング

 今野氏のブログで木曽森林のBaldwinの機関車の話題が続いている。発売は50年以上も昔の話だ。その割には現物が走っているのを見たのは少ない。ろくに走らないのだ。
 その理由は当時のモータの大きさにある。キャブと炭庫を完全に埋め尽くすモータであって、重心が第ニ動輪より後ろにあるかもしれない。軸は固定だから、第一動輪はほとんど意味がない。脱線しやすく、牽引力は少ない。

0−4−2 40年ほど前、井上豊氏にお会いしたときに、
「木曽森林は調子が良くないようですね。」と言うと、井上氏はさらさらと絵を描き、
「機関車自身の重心はこの辺にある。遠くに従輪を持って行ったのは、なるべく動輪に機関車本体の重さが掛かるようにしているんだ。」
と説明してくれた。4-4-0を前後ひっくり返したような構成だ。
「でも後ろのほうが大きくて重そうですね。」と言うと、
「ボイラ・火室は厚い鋼板だ。後ろの水槽とか炭庫はペラペラの板だ。満載しても鉄の比重にはかなわないさ。この構成にすると、炭庫、水槽の中身が牽引力に影響を及ぼさない。これは、タンク機関車には重要なポイントなのだ。」と教えて下さった。
 確かに、国鉄のC11などは炭水庫に満載でも空でも、動輪上重量がほとんど変化しないように設計されている。

 しばらく前のコメントで、Tavata氏が全く同じことを書かれたので、その解説を書こうと思っていたが、1年以上経ってしまった。
 現在では、モータは小さく軽いので、後ろを薄い板で軽く作って、なるべく前に補重すべきだ。そうすると実物のようなイコライザでも良いはずだろう。しかし、補重が足りそうもないので、ボイラを中の詰まった挽物にした上で台枠の中も高密度の金属(鉛では足らないかも)で埋めるべきかも知れない。

追記:発売中の蒸気機関車という雑誌に、高木宏之氏がC10,C11の軸重について書かれているそうだ。タンク機関車の軸重は炭水庫積載量に影響を受けない構造となっているとの記述を裏付ける文章とのことである。        2023年3月30日

コメント一覧

1. Posted by Tavata   2023年02月26日 09:35
読み始めて、前にコメントした内容だなぁと思いましたら一年も経っていました。

ついでに私が所有するHOナローの木曽ボールドウィン(乗工社→IMON)の重心位置を調べてみました。この製品はボイラ内のウェイトがタングステン、煙突が真鍮挽物で、重心を前に寄せるべく努力されていますが、それでも第2動輪中心のごく僅か前方でした。もっとも、私は炭庫(薪庫?)内にフライホイールを増設しているので、製品自体の重心位置はもう少し前方かもしれません。
なお、この製品の動輪2軸は車体と独立したサブフレームに組み込まれ、動輪間の支点軸(ウォームホイール軸と兼用)を中心にサブフレームごと前後にシーソーするため、第1動輪の軸重抜けは生じません。この機構はイコライザとは異なり、左右一体のフレームなので線路の捻れには対応できませんが、簡単かつ動作が確実なので私は高く評価しています。ただし、メーカではこれを「三点支持」と称しており、表現が誤りなのは残念な所です。
2. Posted by YUNO   2023年02月27日 10:20
旧製品を所有していますが、縦型モーターの体積はボイラーの何倍もありますね。部品の配置を見れば調べるまでもなく重心は動輪の遙か後方です。
https://i.imgur.com/cQD7wFh.jpg
現在なら直径数ミリ、質量数グラムのコアレスモーターが入手可能ですから、バックプレートの位置にモーターを隠してキャブインテリアまで再現することも可能でしょう。
あるいは実物の構造にこだわらず、従輪も駆動してしまうのも一つの手ですね。
3. Posted by Tavata   2023年02月27日 11:04
もう一度、本文を拝見して、IMONの木曽ボールドウィンの重心は実物とほぼ同じではないかと気づきました。
キャブやモータが重いはずなのに、重心位置を前方に寄せることができた理由は、やはり煙室内(実物は空っぽなのでボイラの中では軽い部位)のタングステンウェイトと挽物ムク材の煙突(やはり実物は薄い板金で軽い)だと思います。実物で最も重いのは厚板による内外二重構造の火室付近ですが、模型では火室付近は薄板でウォーム軸の空間を作るので軽いはずです。従って、実物と重量分布は大幅に異なるものの結果的に重心位置がほぼ一致したように思えます。

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