2023年01月05日

突切りバイトを作る

 旋盤上での「突切り」という切断は、なかなか難しいのだそうだ。市販の突切り刃物では思うようにできないと言う人は多い。それぞれが様々な工夫をされているが、決定版と思われるものは無さそうだ。糸鋸を押し付ける方法をよく見るが、寸法が出ないから、感心しない。
 むすこたかなし氏のブログで紹介されている方法は、日本のロクロ屋で長らく使われた手法である。当時は金鋸の刃を折って作った小片をハンダ付けしていた。フラックスは当然のように塩酸を用いていた。小学生の頃、その作業をよく見るチャンスがあった。

 バイトになる鋼の小片は、使い捨ての折るカッタナイフの刃先から作ると簡単である。筆者は45年くらい前からこれをやっている。ハンダで付けると、取れやすいと思っている人が多いらしい。筆者の方法をあからさまにバカにする人もいたが、やってみればわかることで、剥がれることはない。剥がれるのならロクロ屋さんは仕事ができなかったはずだ。
 先入感でハンダは弱いと思っているのだろう。それはご自身のハンダ付けがおヘタである以外に、理由は思い付かない。十分な加熱により、ハンダが鋼片をよくぬらしていれば、そう簡単には取れない。ハンダの層が十分に薄いことが不可欠である。融かした状態で、鋼片を金属棒で軽く押し付ける。

 快削黄銅を削るのであれば、何もしなくても刃が外れることはない。相手が快削鋼であるときは切削油が必要である。しかも油を途切れなく、たらたらと流す必要がある。油が切れた瞬間に煙が上がって刃先は鈍り、摩擦熱でハンダが融ける。昔は油を垂らすのは新入りの小僧の仕事であった。小学生の筆者は、小僧が親方に怒鳴られながら油を垂らすのを見ていた。

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