2023年01月03日

ダイキャストの変質

 ダイキャストで作られた蒸気機関車の台枠が変形して、走らなくなったという記事があった。Mogul氏は経験ある模型人であり、ブラス板による修復は可能であろうと思うが、面倒なことである。

 戦後数年間に日本で作られたダイキャスト部品は、すでにほとんどが割れて壊滅したと思われる。有名なのはOゲージの軸箱である。EF58などに使われたものは原型を留めていない。ヤフオクなどによく出ているが、例外なく滅茶苦茶な状態である。これを修復するためのロストワックス製のブラス部品も出ていたが、末端までは届いていない。

 昭和30年代に輸出用に作られた部品も、かなり怪しい。少しずつ膨らんでいるのである。当鉄道にもかなりの数が在籍していたが、全てブラスのロストワックス部品に交換した。

 亜鉛ダイキャスト鋳物は少しずつ膨らむ。合金に不純物として鉛などが入っていると、結晶の界面が酸化されて金属結合が断ち切られ、割れてしまう。アメリカ製のはかなり持つと言われていたが、戦前のライオネルの高級な模型(Oスケールのハドソン)もどんどん割れてしまい、現存するものは極めて少なくなったという。

 最近は中国製の模型が市場に溢れている。それらはダイキャストとプラスティックの組み合わせでできているらしい。今後20年のうちに何が起こるか、観察したい。

 ブラス製で正しくハンダ付けされた模型は、1000年超の寿命を持つだろうことは疑いがない。おそらくそういう意味では、ブラス製模型の復権はありうると思っている。但し、今までのような板金を組み合わせて立体を構成する手法は一部となり、大半は3Dプリントを駆使した銅合金ロストワックスとレーザで切り抜きされた板との組み合わせという構成になるだろうと予測する。そうなると、必然的にハンダ付け手法も進化する必要がある。

コメント一覧

1. Posted by ゆうえん・こうじ   2023年01月05日 01:35
宮沢のダイカスト製フレームが割れたり変形するのは良く聞く話ですが、宮沢製含めて動輪が割れたという話はあまり聞きません。何か違いがあるのでしょうか?
2. Posted by Tavata   2023年01月06日 23:08
中古のHOブラスが妙に安かったと思ったら、輪芯が崩れていた例はありました。確か韓国製のオーストラリアの機関車でした。

また、中国製のダイキャスト台枠ですが、バックマンの前進形はわずか数年で歪み始め、約10年でボロボロになりました。
ダイキャスト台枠にも関わらず、ブラス製の台枠のように薄い板を箱状にした形状になっており、そのため無駄に表面積が広く、不純物による酸化膨張が至る所で発生してしまったのでしょう。
さらに5軸の長い台枠の前後だけしかボイラと固定されていないのに、第3動輪直上にボイラ側に固定されたウォーム軸があり、ギヤボックス化されていないために台枠の変形で噛み合わせが狂ってしまうのです。
ただ、その製品以外ではバックマン製品のダイキャスト崩壊は見たことがありません。
根本的に設計が悪い製品だったのだと思います。

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