2022年12月04日

ニュートン を使う

 測定された値は誰でも認知することができる単位系で発表されるべきである。
「何ニュートンですか?」との質問には、「ニュートンはわかりません。」という答であって、愕然とした。

 世の中がcgs単位系からMKS単位系に切り替わったのは一体何十年前だろうか。最近は車のタイヤの空気を補充に行っても、パスカルを理解しないと入れられない。

 1 Nの大きさを知るのは物理教育の大事な局面だ。小さなリンゴを探す。100 gほどの小粒を紐で吊り、その紐を滑車で90度曲げて横から引く。これが1 Nだ。滑車を使わないと縦方向の力で、「質量」の概念から逃げ切れない。横に引けば、「力」であることが誰でも分かる。
 100 gのリンゴはあまりないので、ミカンで良い。ニュートンがリンゴが落ちるのを見てニュートン力学を構築したという故事に絡めているだけのことで、リンゴを題材にしたのには大した意味はない。

 現在、ニュートンを理解しない人は、すでに現役の世代にはいないはずである。”グラム重” を使っているのは、定年退職者以上の世代であろう。これでは消え去っていく老人のお遊びで終わってしまう。我々は次の世代のために、基礎を作っておかねばならない。そのためには、測定に対して正しい理解を持つことが不可欠である。

 前々回紹介したような怪しいグラフを見ると、測定について理解していない人は何か意味があるかのように取ってしまうかもしれないが、そこには何もない。鉄道模型誌にも正しい物理的理解を助ける記事が必要である。1年ほど前に載った牽引力を調べたという表も意味不明であった。
 
 雑誌には、正しい情報を載せるべきである。能力ある方を査読者にするように強く働きかけるべきである。


dda40x at 12:04コメント(1)測定 | 物理 この記事をクリップ!

コメント一覧

1. Posted by たづ   2022年12月25日 00:12
平成の初め頃学生でした。正確な形の定義(1N=1kg*m/s^2)でニュートンは習ったものの、まだ市井の機器が全てCGS単位系の時代(計量法で重量キログラム表示が禁止されたのが1999年10月)で、直感では掴めていません。
これらの変更も92年頃からの7年位のスパンでやっていた覚えで、電車の圧力計がkg/cm^2からパスカル(kPa)表記へ順次取り替えられて行き、重力加速度の反映で針の目盛が微妙にずれていったのが印象に残っています。
勿論「大体」で換算していますが、現代の中等教育の「1Nとは102gの物体に掛かる重力」という表現は却ってわかりにくいような気はします。

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