2022年07月08日

スズ63%ハンダ

 先日、スズ60 %ハンダを使っている人から質問があった。
「私は、60 %を使って来ました。63 %の経験はありませんが、ハンダ付けは十分な経験があるつもりです。記事にあった63 %との差は少ないので、融け具合に差があるようには思えません。」

 この種の質問はよく受ける。答は、
63 %と60 %とは、全くの別物です。」
である。60 %のハンダを使えば、隙間を埋めることができるが、63%ではまったく無理なのだ。


SD40T2 short hoodSD40T2 short hood defects 例えばこの種のハンダ付けを考えてみよう。ここでは4枚のピースを組立てて、ディーゼル電気機関車の前方のフッドを作っている。天板と側板を1.5 mmの板をフライスで段を付けて噛み合わせ、固定して60%ハンダをコテで融かして付けている。この時、ハンダは隙間を埋め尽くし、なおかつ少し盛り上がるようにする(左の写真)。
 厚い板を使うのは、ヤスリで削って角に丸みをつける必要があるからだ。この工作は63%ではできない。
 右の写真は、大きな単目のヤスリでさっと削ったところである。黄色 の矢印はハンダが足らなくて穴があいている。再度60%ハンダで埋めて削り落とす。そうすれば、継ぎ目が全く見えなくなる。ハンダを削るのは単目に限る。詰まりにくいからである。


 63%で付けると、どの様になるかは興味深い。早い話が、コテを当てるとその周囲が、一瞬にして石鹸水のようになって隙間に沁み込む。盛ることは一切できない。もちろん塩化亜鉛水溶液がある時の話である。
 融けると、粘りけが極めて小さく、また表面張力がほとんど無い、重い液体になるのである。このフッドの隙間に盛ろうと思っても、全部融けて、重力で向こう側に垂れ、そこで冷えて滴になるから、盛れない。板を張り合わせるには最適である。
 例えば、直角にアングルを裏打ちしてつけようと思うと重力で下の方に溜まる。もちろん密着している部分には沁み込んでいるから、付かないわけではない。よく付いているが、今までのような、ハンダが見えている付き方ではないということだ。すなわちよく密着させて加熱すると、最小限のハンダで付くというわけである。

 炭素棒ハンダ付けを紹介したときに、炭素棒さえあればコテはいらないと考える人が居たが、それは間違いで、両方必要だ。ハンダも63%と普通のハンダを使い分けることが必要である。 

コメント一覧

1. Posted by Tavata   2022年07月08日 19:55
なるほど、その方はたった3%という感覚なんですね。
鋼の炭素含有量は、0.45%ではかなり脆く、0.2%になると粘りがかなり出ます。
金属の状態図を知っていれば、半田も配合比が3%違えば劇的に変化することが分かると思います。

私も共晶半田を多用していますが、他の半田も使います。
また、コテ、バーナ、炭素棒を併用して、使い分けています。

2. Posted by brass_solder   2022年07月09日 04:37
私は炭素棒で加熱する時には63%を置きハンダで使いますが、コテで運ぶ際はたいてい60%を使います。
穴や隙間を埋めるには50%も便利です。
理屈は判りませんが経験上そう思います。
コテと違って炭素棒は温度が上がるのを待たなくても良いので便利に使ってますが、ハンダ付けする箇所によってはコテでないと難しい場面がありますね。
0.5ミリ以下の真鍮線なんかは私は炭素棒では上手く付けられません(融けてしまいます)
3. Posted by むすこたかなし   2022年07月09日 16:12
共晶ハンダを使わない人が「(スズ60ハンダと)差があるようには思えません」という想像を述べられたのは非常に残念です。何事もまずはご自身で経験してみるべきです。そののち「私には差が無いように感じた」と実際の感想を述べられるのでしたら、その要因(コテの温度やハンダ付けの場所や目的の違いなど)を共に考える事ができましょう。

また、Tavata氏も指摘された“たった3%”の感じ方についてです。スズの3%の差は全体(100%)の質量に対してであり、スズ自身は60→63と“5%も”増えています。さらに一般的なスズ-鉛系の場合、残りの鉛は40→37で“7.5%も”減っています。
さてさて、本当にこれで良いのでしょうか?例えば100gのスズ60%ハンダに単体のスズを加えて共晶ハンダを作ることを考えてみましょう。いったい何gのスズが必要でしょうか?「3%だから3g!」とか「5%増えたから5g!」という小学5年生が居ない事を願います。
「え?こんなに加えるの!?」と驚かれる筈です。たった一粒のハンダでも、スズ60%ハンダと共晶ハンダはそれほど違う物なのです。

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