2022年06月06日

モータの選定

 brass-solder氏のブログが興味深い。列車を牽かせると、「直線は速く、カーブでは減速する」とある。素晴らしい観察である。
 本物と同じように、走行抵抗が変化しているのだ。今までのゴリゴリ走る模型では気づかなかったことであろう。登り下りがあると、もっと楽しい結果が出るだろう。

 モータの出力が、もろに牽引力に表れる。伝達効率が良いからである。低回転では出力の小さなモータなのだろう。低回転でトルクの大きな特性を持つモータを手に入れれば、かなり楽な運転ができると思う。経験者に、どんなモータとの組合わせが良かったのか、お聞きしている。結果は発表したい。

 無負荷では速過ぎると感じるだろうが、実物でも単機でフルスロットルというのは全く意味がないことである。機関車は負荷を与えた状態での挙動が全てである。今までのHOの運転ではこのような状態を考慮することがなかったのだろう。

 重りを積むとどうなるのだろう。出力の小さなモータを搭載した場合は、軸受での摩擦で、出力がかなり減殺されてしまう。小さなモータなら、軽い機関車にせねばならない。本物と同じである。
 I田氏の動画では、軽い機関車で重い列車を牽き出している。こういう運転を楽しみたい。

 当ブログで最初から言っていることだが、牽かれる車輌の責任である。軽く動く車輌を用意し、高効率の機関車をつなぐとどうなるかということを実験せねばならない。「重く、効率の悪い機関車で、摩擦の大きな車輌をゴリゴリ牽く」という状態から脱すると、鉄道模型って、こんなに楽しかったのだろうかという気がするはずだ。


 当博物館では、いつもそれを考えて運転している。停止から、じわっと120輛編成を牽き出して、1.56%の坂を登らせるのだ。下手をするとスリップするから、スロットルは細心の注意で操作する。サウンドがついているから、スリップすると楽しいのではあるが。

 しばらく前、所属クラブで伊藤剛氏を偲んで、OゲージのOld Black Joe競作をした。その時、モータ、チェイン、スプロケット、ギヤボックス、車輪は全て筆者の提供である。その時の感想は、皆さん同じで、
「こんなによく走る機関車は初めてだ。吊掛け式の1段歯車駆動のような感じだ。モータの出力が、直接連結器に表れる。」
と言った。今回もそれと同じで、モータの出力が小さければ、それなりの出力である。牽かれるものを整備すると、実感的な運転ができるはずだ。しかし、個別駆動の吊掛け式より、牽引力がはるかに優ることまでは気付いた人は少ない。


コメント一覧

1. Posted by Tavata   2022年06月07日 08:56
皆様のHOの高効率ギヤの記事、楽しく拝見しております。
普及率の高いHOの反響は大きいですね。

私が「やはり」と思ったのは、高効率ギヤによる小縮尺での慣性不足の顕在化です。登り勾配や曲線抵抗での速度低下は機械として自然な振る舞いです。dda40xさまのOゲージ作例では大きな慣性との組合せゆえ、しずしずと走り、速度変化もジワジワと実感的でした。しかし、小縮尺では慣性の不足ゆえ、速度変化が急激になりすぎて実感的な振る舞いからかけ離れてしまうのです。(「縮尺の物理学」参照)
実際、KatoのNゲージ蒸機ではコアレスモータと2条ウォームにより、小縮尺としてはかなり高効率な機構だと思いますが、エンドレス内で急減速と暴走が発生しやすいのは確かです。
小縮尺こそ、高効率ギヤのみならず、(製作が困難なのは承知の上ですが)慣性増大装置の組合せが必要と感じます。
私を含め、小縮尺で低速安定性を求める人が、機構の効率の悪化を承知の上で高減速比を志向するのは、このような慣性不足ゆえと思います。

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