2022年04月21日

続 高性能な車輪

 先週、クラブの例会に行ったときのことである。走っていたある電車の音が異常に小さい。ガラガラ走る車輌の中で、その静かさは際立っていた。しかも全く揺れを感じない走りだ。どこの車輪を使っているのだろうと持ち主に聞くと、「あなたの車輪ですよ。」と言われてしまった。それなら納得である。

 同じようなことが、昨年の静岡のトレインフェスタでもあった。非常に静かに、安定した走りを示す電車が、OJゲージの線路を走っていた。全ての車輌が異常に静かなのだ。OJでこんなに静かなのは初めて見た

 OJの車輪は自分で挽く人が多いので、高性能のCNC旋盤による車輪踏面の仕上げ面とは、やや異なる。卓上旋盤のスピンドルの精度は、一部の特殊な例外を除いて、決して高くない。2/100 から 3/100 mmの振れはある。筆者の車輪の振れは、1/100 mm以下である。数あるCNC旋盤の中でも、最高の性能を持つものを使用しているからだ。こういう理由で、音の差は明白で、走行安定性の点でも無視できない差が生じる。車輪や歯車は、作る工作機械の精度がそのまま製品に現れるから、工場を選ばねばならない。Low-D車輪を作る工場は、三菱のジェット機が失速して、廃業してしまった。困ったことになったが、ある方の紹介で、良い機械を持つ工場を紹介してもらえることになった。

 さて、そのOJグループの人に聞いてみると、「ある方が非常に安く作ってくれたので、大量に買いました。どうしてそんなに安く、良いものを売るのか不思議です。変わった方ですよ。普通では考えられないことです。」と言った。
 そういえば前の年に、そんな注文があったことを思い出し、名札を見せると、彼らはとても驚いた。
「変人かも知れないですね。ただ、これを広めたいだけですよ。」
と言うと恐縮していた。ともかく、当方の目的を達していることは確かである。OJの車輪は、吉岡精一氏の設計により、バックゲージは21.5 mmである。

コメント一覧

1. Posted by mn   2022年04月21日 16:47
以前博物館のレイアウトを見せて頂きましたとき、その走行の静かさには驚きました。その時、日本製のごく普通のメッキの車輪を付けた貨車を走らせてもらい、その音のレベルの違いには恐れ入りました。
「やればできる」というのを、本当に「全部やってしまった」のには敬服いたします。
この模型の素晴らしさを他の方にも見て頂きたいです。
2. Posted by 高性能な車輪   2022年04月23日 06:34
友人にOゲージの運転会に誘われた。いつもはNやHOゲージの車両ばかり見ている目からするととても新鮮に見えました。
仲間に入れてもらって話を聞いていると、「この頃部品類が手に入らない」
「新しく車輪を作り、頒布している人がいるよ!」と話題が盛り上がっていました。
ある方が、とても古い車両(50年前)をレストアしたものを見せてくれました。
もう一人の人は、その車両の形態が好きなのでレプリカ(形態複製)の車両を
見せてくれた。両方の車両の走行状態を見てみると、古い車両は車体を揺すぶりながらギクシャク走り始めた。レプリカ車体は、音も無く滑り出すように高速運転を始めた。友人に聞いたところ「とても精度の高い車輪と精密時計に使える位のギャーケースを使っている」と教えてくれた。
それはNやHOゲージの車両では真似の出来ない動き方に見えた。たかが趣味の範囲とは言うが、「基本部品は正確、確実な物でなければならない」と、亡き父親が教えてくれた通りだと思った運転会でした。

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