2021年12月28日

続 走らないものも鉄道模型か?

 先頃、表題の記事を発表したところ、異常に多くのアクセスが有り、少々驚いた。ほとんど誰も興味を示さないだろう、と思いながら書いた記事であったのだ。
 コメントは少なかったが、会った友人たちが「ズバリだね。もっと書くべきだよ。」と言う。

 今野氏のブログにも、引用されたようだ。今野氏は、走りにはうるさい方である。筆者は、「おそらく世界で一番、走りにうるさい人(ある友人談)」だそうで、「走らないものを載せるな」という点では、共通する認識を持っていると感じている。 
 最近の模型誌で、走りについて書いてあるのを見たことがない。しばらく前、意味が取りにくい牽引力の表があったが、編集部には物理を理解する人がいないように感じた。分かる人がいれば、もう少しまともな記事になったと思う。

TMS Jan 2122 今野氏の記事には、今月号のTMSの記事について書いてあった。筆者は田舎に住んでいるので、TMSなどの雑誌には接触するチャンスが限られている。先日所用で出掛けた折に、大きな書店に寄って求めた。機械室ドアの開くディーゼル機関車の記事があった。なるほど、このことかと読んだが、得るところは少ない。
 逆に、これを真似する人が増えるのではないかと思った。やってみると分かるが、実用性は無いし、事故が起こる。要するに壊れやすいのだ。
 ディスプレイ用に開きっ放しのものは作ったことがあるが、異なる範疇に属する話題だ。また、車輪の裏が塗ってないのには驚く。また、除雪装置の先端はレイルに触らないように出来ているのだろうか。

 筆者は、あちこちの蓋が開くのは好きではない。完成品で開くものは、すべて固定する。塗装が剥げやすいのと、その蓋などを亡失しやすいのだ。祖父江氏が、超絶技巧の製品を出したときにも、そのことを危惧した。祖父江氏は、一度はやめると言明したが、後に絶妙な構造のバネと鎖で、蓋を拘束したものを作った。やはり蓋が開いて、内部の構造が見えると嬉しいのだろう。実は、その内部は二人でDenverの博物館で攀じ登って撮った写真が元になっているから、筆者にも多少の責任はある。Big Boyの砂撒き装置など、あまり資料はないのだから。しかし、砂箱の蓋を開けると砂が見えないというのは、奇妙なもので、あまり感動しない。
 祖父江氏は、蝶番で開くものを閉じたときに完全に面が合うように、しかも扉の作動限界が実物と同じになるように作った。ハンドルを廻せば、ちゃんとロックされる。そこは、流石であるとしか言いようがない。今回のHOの作品とは、ちょいと違う。 

コメント一覧

1. Posted by Tavata   2021年12月29日 13:59
dda40x様には足下にも及びませんが、私もそれなりに走りに拘っています。
私の場合、縮尺がHO以下なので、まずは暴走せずにスケールスピード以下の速度で安定して走ることが第一条件です。

さて、TMSコンペには私自身や複数の知人も応募しています。その中にDCCで動きや音、照明(エンジン起動音に合わせて室内灯が暗くなるなど)などに拘っている友人がいます。
彼は入賞こそしたものの上位ではなく、「やっぱり外観主義かぁ」と落胆の色を見せていました。
なお、私は扉の開閉自体は嫌いではないのですが、今月号の作例のように、動力は貧弱なパワトラ(除雪車のスケールスピードの倍くらいの高速になるでしょう)で上回りの扉だけに拘るのは私の好みではありません。(趣味なので各自の価値観で作るのは良いと思います。)
2. Posted by dda40x   2021年12月30日 08:31
 TMS編集部にはDCCがあるのでしょうか。まずそこが問題です。走らせられなければ審査の対象にすらならないのではないかと危惧します。
 先ほど気が付いたのですが、この機関車はコンペの入賞作なのですね。これが入賞すると、さらにエスカレートするのではないでしょうか。そういう意味でも感心しません。
3. Posted by ゆうえんこうじ   2021年12月30日 11:05
あの機関車の特別賞入賞のことでですが、逆に上位入賞しなかったのを訝しがる声もあるようです。2年前のコンペでは、木村さんの古典蒸機群と北村さんの空気ポンプ機関車が特別賞に入賞しています。
前者はともかく後者は、着想もおもしろく、よくできているが従来の鉄道模型と並べて評価するのが難しい作品という位置づけだろうと思います。今回もTavataさんがご指摘のように機関車模型としては動力が貧弱など、従来の模型としては上位入賞の要件を満たさなかった可能性があると勝手に思っています。エンジンとか内部構造をつくれば当然、ウェイトも十分搭載できないと思います。とはいっても機関車ではなくラッセルヘッド固定の単独車両とするなら評価が変わってくるかもしれません。今月号のTMSをみれば、紙面映えする作品であることは確かだと思います。
OスケールではアオシマのDD51やEF66などの内部構造まで表現した鑑賞用プラモデルが発売されており、動力化した方もおられるようですが、dda40xさんはどう評価されているのでしょうか?
紙媒体メディアの出版社が主催するコンテストなので紙面映えするのが評価の基準に影響するのは不可避だと思います。編集部がいう走行性が従来のアナログコントロール基準のままでDCCとかの高度なコントロールにまでおよんでいないのだと思います。
ところで名取編集長が書かれていたように、建造物部門は次回からレイアウトコンペに移管されるようです。おそらくあちらのコンペも、車両が走るレイアウトと走らない観賞や写真撮影目的のジオラマを同列に評価するのが困難、という問題に突き当たっているかと勝手に推測しています。そこで建造物は車両走行を目的としない模型作品の中で評価するのが妥当、ということになったのはないでしょうか?
4. Posted by dda40x   2022年01月02日 07:10
 Oスケールのプラスティック模型を動力化された方は、何人か知っています。とても怖くて触ることが出来ません。
 もともと動力化を前提にしていないので 、車体を持って持ち上げたら車体がめり込むでしょう。大きなものは壊れやすいということを理解していない人が設計しています。
 ライオネルなどの丈夫さをもたせた設計を参考にすべきでした。また、プラスティック、接着剤の材質に問題があり、20年経つとかなり歪むと思います。
 そういうわけで、一過性のものと判断しています。
5. Posted by 読者   2022年02月07日 12:34
TMSコンペ作品展で、例の扉の開くDD15の現物を見てきました。確かに面白いコンセプトで、開閉のために工夫され、努力や根気の塊に思えました。
ただ、私が気になったのは床板が、山なりに反っていたことです。TMSのp.14の写真を見て理由がわかりました。なんとパワトラが片持ち梁の先端に取り付けられ、その基部は中央のキャブ下にあるのです。つまりラッセルヘッドは車体中央付近に支点がある長い床板だけで支えられています。いうならば、金属製定規の両端に錘(ラッセルヘッド)をつけて中央付近でヤジロベエのように支えているかたちです。床板は網目板+t0.8とのことでそれなりの厚さがあるようですが、動力の為の大穴もありますし、撓むのは当然です。車体を付ければ幾分マシになるとは思いますが、このまま下廻りだけで走らせるとラッセルヘッドが上下して、レールに当たってショートするのではないか、と懸念します。
パワトラ取付け金物を両端支持梁にすることと、床下の見えないところに縦通し材を入れることでかなり改善可能だと思います。
こういった建設的なディスカッションは、どういうところで行えば良いのか、悩ましいですね。
6. Posted by dda40x   2022年02月07日 19:32
 やはりそうですか。実は1月号表紙の後ろの床板が反っているのです。初めは目の錯覚かと思いましたが、やはり反っていましたね。重いものを付けるのですから、何らかの骨が必要です。
 この種のディスカッションはすべきでしょう。このブログに投稿してくだされば、いろいろな方からの意見が戴けると思います。
 間違いを指摘すると、悪口を言ったことになると思う人が多いらしいのですが、それは全くサイエンティフィックではありませんね。間違いの指摘は、改善への早道です。大いにやるべきだと思います。皆さんいかがですか。

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