2021年11月20日

実物のような動き

 先日のKKCの展示会でUP850の走行を披露した。主催者のリクエストが有ったので、長い展示スペイスを戴き、往復運転をして見せた。その展示会の出席者は、かなりレヴェルの高い人ばかりで、走行を見て、その違いに気が付く人が多かったのは喜ばしいことだった。

 10分ほどのスピーチの場も与えられたので、歴史的な背景の説明が出来た。その中で、35年ほど前の伊藤剛氏との会話を紹介したが、かなり驚かれたようだ。

setoden1setoden2 剛氏はOJゲージの瀬戸電を作られた。その動きは尋常ではない。木造の電車が、ガタガタギシギシと動く様子を再現していた。側板・妻板にはガタがあり、急停車すると平行四辺形になる。自作モータは軸が垂直に付き、そのアーマチュアが大きなフライホイールになっていた。直捲モータだから、軽いブラシしか抵抗がないので廻り続ける。すなわち、モータ自身に大きな慣性モーメントを持たせている。そのモータの磁路については製作時に打診があり、たまたま筆者の案と剛氏の案が一致した。
 剛氏は、
「どうしてあなたはこんな考え方をしたのか。」と問うた。
「父に聞いた話を思い出しただけです。」と答えると、かなり驚かれたようだった。

 もちろん、大きな慣性モーメントのおかげで、起動もゆっくりだ。巡航速度から電源をOFFにすると、「山口さんちのツトムくん」を歌い終わるまで廻っていた。(図はTMS 400, 401号より)

 運転状況を拝見していると、剛氏はこう言われた。
「もうお分かりとは思うけど、これは邪道です。動力系の慣性モーメントが最小になるように設計するのが常識です。それなのにモータ自身の慣性モーメントを最大にしているのは、おかしなものなのですよ。専門家の皆さんからは叱られそうですね。最近の模型では、機関車の中にフライホィールを付けて滑らかに走るようにしているものが多いのですが、正確に言えば、あれは間違いなのですよ。駆動系以外の慣性を大きくする工夫が必要なのです。誰もそんなことを考えようともしないのですけどね。今回は単車ですから、勘弁してよね。」
  
 電車はゆっくりと惰行して、素晴らしい走りだった。車体はゆらゆらとピッチングし、急停車すると車体がゆがんで、拍手喝采であった。 

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