2021年11月08日

面圧を下げる

 滑り軸受(いわゆる普通の軸受)は、金属同士の直接の接触を避けるため、油膜を生成するような設計が求められる。ところが模型の軸受には、それが完全に無視されているものが多々ある。

 台枠を切り欠いて、軸を嵌めただけのものや、軸を簡易イコライザで直接押さえるものがある。これでは接触圧が高すぎて、油膜は切れてしまう。先に述べたように、軸の径の2倍半というのが軸受の設計の基本だそうだから、模型の蒸気機関車の場合は、軸の全長に亘る軸箱が望ましいことになる。

 このことを書いたら、根拠なく異論を唱える人もあったが、何人かの方から「当然だ」という意見を戴いた。機械設計に携わった人たちばかりだ。模型化にあたっての実践例があれば、その結果を知りたいと思っていた。

 先日、畏友U氏から、「あの樋型軸受を作ったら、大変効果があった」という報告を戴いた。リーマを通して割ったのではなく、ボールエンドミルを使ったそうである。ある程度の研磨が必要だろうが、とにかく滑りが大変良いそうで、こちらとしても嬉しい。
 その後、実物の保守に関わっていた方からも情報を戴いた。本物でもよく使ってあるそうだ。取替が楽なのだそうだ。これは模型についても言える。動輪をバラさなくても軸箱をニッパなどで切り捨てて、新しい樋型軸受を嵌めれば良いのだ。

 油膜を保持するには、面圧が大きくならないようにすることだ。狭い面積の軸箱ではうまくいくはずはないのだ。このあたりにも、日本の理科教育の欠陥が露呈していると思う。 

コメント一覧

1. Posted by ゆうえんこうじ   2021年11月09日 11:40
 付随車のピボット台車では、走行抵抗を下げるために軸と軸受の接触面積を減らすわけですが、そういう場合の油膜保持はどのように考えればよいのでしょうか? 
 そういえば台車でも薄板で細い軸を保持して走行抵抗を減らす、元祖メルクリンとそれを真似たアダチの二軸台車は油ぎれ起こしやすいような気がします。
2. Posted by Tavata   2021年11月09日 17:54
「ピボットは接触面が小さいから抵抗が少ない」という間違った説があります。ピボットは摺動する部分が細いため車輪径との梃子比が稼げることと、ポケット状の軸受が保油することによって抵抗低減が実現しています。したがって、平軸受を薄くして接触面積を小さくしても全く意味がないのですが、混同した話も聞きます。
樋型軸受は簡単で良いですね。NゲージやHOナローなどの薄いエッチング台枠(固定軸、軸箱なし)の軸受にU字に曲げた線材を重ねて厚くすると樋型軸受になり、保油が良くなることを確認しております。理想的な「軸径の2.5倍」まで達しなくても効果は実感できます。
3. Posted by dda40x   2021年11月10日 09:53
こちらの返答の直前に偶然にも正解を書かれてしまいましたね。接触面積が小さいと・・・・という俗説があるとは知りませんでした。損失はエネルギィの次元ですから、摺動距離が小さいほど有利です。ピヴォットは接触圧が大きいので、極圧剤(二硫化モリブデン)が入っているものを用いると効き目が顕著です。
4. Posted by 01175   2021年11月10日 20:17
VarneyのReading I10saを持っています。HO黎明期である1930年代の6V仕様の製品ですが、軸箱はU字溝を切ったダイキャストブロックを上下2枚合わせにしてネジ止めするという構造になっています。この軸箱は不対で幅はフレームの幅の3/4くらいあり、フレーム内の升に板バネを介して嵌め込まれており軸が可動する構造になっています。似た構造のものは現行のLiliputやMaerklin製品の一部にも見られますが分厚くて長いパイプ状の軸受も併用しています。
1940年代から連綿と続くMantua製品では、ギア軸以外、バックゲージに近い長さの不対のU字型プレスの軸受が使われています。これは件の樋型軸受そのもので、交換も極めて容易です。
一方、やはり歴史の古いBowser製品は幅の狭い対を成す軸受メタルを使用していて日本製品に良く見られるものに近いようです。
FleischmannやMaerklinの製品の多くではフレームに貫通した孔で軸を受けているのでフレームの幅=軸受の長さですが、これらが良く走るという定評を得ている理由のひとつはこの軸受の構造にあると考えます。
 
5. Posted by ゆうえんこうじ   2021年11月11日 12:08
01175さんが書かれたMantua製品のU字型プレスの軸受は中華製造になっても引き継がれているようです。私の改造したマレーでもダイカストフレームにU字型プレスの軸受が嵌め込まれていました。
この板金製のU字型軸受は、坂本衛さんが、TMSで2代目4110(1976年8月号No.338)9600(1972年6月号No.288)に自作で発表されていました。その当時は簡易法のように思っていましたが、優れた技法だったのですね。
6. Posted by dda40x   2021年11月11日 23:06
>>5
 坂本氏のU字型軸受の記事を思い出します。どの程度の精度で曲げてあるかが、問題です。機械でなく、手で曲げてあるようだと曲率が一定ではないでしょうから、軸との隙間が不均一です。
 修正するのはかなり難しいと思います。やはり、リーマを通してからかき取るのが一番楽だと思います。

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