2021年08月02日

続 吊掛け駆動

 これは簡単で良いが、シャフトではいささか剛性が足らない。ショックを与えるとパイプが曲がり、修復不能である。自宅のHOレイアウトの上から動かさないなら良いが、クラブに持って行って見せている時に、ゴンと衝撃があるとまずいだろう。分解したものを再度機関車に組み込む時に、引っ掛かりがあっても曲がりそうだし、鞄の中に入れていても心配だ。ご本人は「大丈夫だ」とは言っていたが、移動時には何があるか、わからない。宅配便での配送は、こわくてできないのではないか。これはHOの模型の話である。大きなOスケールならば、脱線した衝撃でさえも、間違いなくアウトだ。大きいものは弱いのである。

 やはり、吊り掛け式の場合は、前回の図のように支持装置に十分な剛性が必要である。先にお見せしたギヤボックスの角は、その剛性のある腕を取り付けるものである。 
吊掛け駆動方式 これは、友人の依頼で作ったOJ蒸機用の吊掛けドライヴである。簡易な支持構造で、ある程度の剛性を確保している。腕は、チャネルを使用しているので剛性は十分だ。駆動軸には小さな伸縮する自在継手を 用いているので、微小な”心ずれ”に対処できる。あまり剛性を大きくすると重くなる。剛性が足らない分、その時に生じる軸のずれはユニヴァーサルジョイントで解決すると、極めて滑らかに回転させることが出来る。ここにゴムジョイントを用いると、押して動かすことは難しい。様々な損失がそこに生じるからだ。鉄道模型からゴムジョイントを排除できれば、かなりの走行改善が望める。

 筆者のOゲージ機関車群と同様の、非常に滑らかな運転ができたので、依頼者は大喜びであった。

 筆者は、OJの蒸機の主台枠の内側がこんなに狭いとは知らなかった。ギヤを薄くし、ボールベアリングを薄いものに取替え、ギヤボックスを新製して、HO並に薄いものを作った。On3のギヤボックスはこれを使えるはずだ。 

コメント一覧

1. Posted by 一式陸攻   2021年08月03日 07:08
少し前の天賞堂製品では、わざわざかなり長い軸を持ったモーターを使って、吊掛け駆動をさせていました。
そんな方法より、この記事のように途中で自在継手を使って分割した方がスラスト方向の力がモーター軸にかからず、また長軸の特注モーターでなくても済むと思ったものです。
OゲージではFulgurex/コダマの製品が記事にかなり近い構造で、ギヤボックスをそのままモーターまで延長し、絶対に軸が曲がらないようにして、またモーター軸とウォームの軸は自在継ぎ手で繋いでありました。
またカツミのC51では、過去に記事に登場した祖父江氏の丸棒にピンを一本立てる継ぎ手が使われていました。
2. Posted by dda40x   2021年08月03日 09:10
 吊掛けが良いと聞くと、何が何でもモータ軸を延長しなければならないという強迫観念があるようです。モータのトルクを取り出したいのですから、余分な力の掛かる構造は駄目なのですが、なかなか実行には移せないのでしょうか。
 ユニヴァーサル・ジョイント部分をゴムチューブでつなぐと、わずかの心ずれや、スラストがかかった瞬間に動きが悪くなります。祖父江ジョイントは、こういうときには作るのが簡単で、効果が大きいでしょうね。
 要は、吊掛け式とは何か?と考えることです。モータとギヤボックスは結合している必要はあるが、近接して一体でなくてもよいのです。モータを組み込んだ駆動ユニットから動軸のトルクが取り出され、その反トルクは吊り掛けユニット全体のどこかを押さえることによって牽引力が生まれることがわかっていれば、非常に具合の良いものが出来ると思います。
3. Posted by なるほどです   2021年08月03日 19:55
>ここにゴムジョイントを用いると、押して動かすことは難しい

これは面白いですね。わずかな損失が検出されるのですね。逆駆動すると力は7〜8倍いるわけです。
いままで考えたこともない話ですが、理屈はよくわかります。dda40xさんはここまできちんとものを考えていらっしゃることを知り、驚いています。
確かに模型雑誌は外観のみの話ばかりです。もううんざりしています。
4. Posted by dda40x   2021年08月04日 07:47
はじめ、そのOJの友人はここにゴムチューブを使うつもりでした。やってみると、押しても動かないのです。色々と調節すると、モータ軸とギヤ軸が完全に一直線の時だけ、具合が良いことがわかりました。ということは、ほんの少しの曲がりでも、かなりのエネルギィ損失があるということになります。
そこで手持ちのこの継ぎ手を挾んだところ、全くストレスなく動いたので、彼は喜びました。
押して動く、さらにもう一輛の機関車がそれで発電して動くというのは、伝達効率が極めて良くないと実現できないことなのです。
5. Posted by YUNO   2021年08月05日 00:33
経験上、ゴムチューブは真っ直ぐ入りませんね。手作業だと圧入時の摩擦が全周で均等にならないのが原因と思われますが、高確率で軸がブレます。
治具や潤滑剤を使って工夫すればいいのかも知れませんが、そこまで手間をかけるぐらいなら自在継ぎ手などを使った方が簡単で確実でしょう。
余談になりますが、自転車の虫ゴムの交換は私の苦手な作業の一つです。

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