2021年07月11日
直角伝導
合葉氏は筆者の開発したギヤを、次のように分析した。
1. 直角伝導であるので、より大きなモータを搭載できる。
2. 密閉型ギヤボックスを作れるので、保守に手間がかからず、静かである。
3. 比較的大きなギヤ比が一段で得られるので、トルクの小さいモータでも使いやすい。効率は70%以上あるから、他の多段ギヤより勝ることもある。
4. 蒸気機関車にも電気機関車、電車のいずれにも使える。
5. カルダン・ドライヴが容易に実現できる。
筆者はこれを蒸気機関車用として設計したので、直角伝導は当然ではあったが、合葉氏はカルダン・ドライヴに拘った。やはり電車屋さんであるから、バネ下質量の小さなドライヴがお好きなのだろう。
電気機関車などにはチェインを使う方式を示したところ、大変驚かれたようだ。サンプルを進呈すると、いくつか使う予定を示されたが、その実現の前に体調を崩されたようだ。
TMSの102号(1956年12月)に乗越しカルダンの記事がある。これを読むと、合葉氏の気持が分かった。
1軸しか伝導せず、ベルト駆動で他方の車輪を廻している。ドライヴ・シャフトはキングピンの下をくぐっている。ユニヴァーサル・ジョイントを介して、モータへとつながる。
当時は小さなモータがなかったので、HOのモータを使っている。Oゲージのモータと異なり、慣性モーメントが小さいので、急に止まるのが気になると書いている。
ユニヴァーサル・ジョイントの曲がる点は、実質的に1つしかないので、2つの位相を考慮する意味がない。台車は、剛氏の発案のスナップで留まっているので、台車は工具無しで、ドライヴ軸から外れる。台車内のジョイントはカップ型であり、前に抜けるようになっていて、反トルクはカップの中のボールで承けるようになっている。
ベルト伝動は筆者はやらないが、ジャーナルにボールベアリングを用いれば、効率は少しは上がるだろう。伸びる材料でトルクを伝えることは期待できない。むしろ、ギヤボックスを2つにするほうが楽であるが、カルダン軸の振れ角は大きくなる。先日のM10000は、その方式を採った。
1. 直角伝導であるので、より大きなモータを搭載できる。
2. 密閉型ギヤボックスを作れるので、保守に手間がかからず、静かである。
3. 比較的大きなギヤ比が一段で得られるので、トルクの小さいモータでも使いやすい。効率は70%以上あるから、他の多段ギヤより勝ることもある。
4. 蒸気機関車にも電気機関車、電車のいずれにも使える。
5. カルダン・ドライヴが容易に実現できる。
筆者はこれを蒸気機関車用として設計したので、直角伝導は当然ではあったが、合葉氏はカルダン・ドライヴに拘った。やはり電車屋さんであるから、バネ下質量の小さなドライヴがお好きなのだろう。
電気機関車などにはチェインを使う方式を示したところ、大変驚かれたようだ。サンプルを進呈すると、いくつか使う予定を示されたが、その実現の前に体調を崩されたようだ。
TMSの102号(1956年12月)に乗越しカルダンの記事がある。これを読むと、合葉氏の気持が分かった。
1軸しか伝導せず、ベルト駆動で他方の車輪を廻している。ドライヴ・シャフトはキングピンの下をくぐっている。ユニヴァーサル・ジョイントを介して、モータへとつながる。
当時は小さなモータがなかったので、HOのモータを使っている。Oゲージのモータと異なり、慣性モーメントが小さいので、急に止まるのが気になると書いている。
ユニヴァーサル・ジョイントの曲がる点は、実質的に1つしかないので、2つの位相を考慮する意味がない。台車は、剛氏の発案のスナップで留まっているので、台車は工具無しで、ドライヴ軸から外れる。台車内のジョイントはカップ型であり、前に抜けるようになっていて、反トルクはカップの中のボールで承けるようになっている。
ベルト伝動は筆者はやらないが、ジャーナルにボールベアリングを用いれば、効率は少しは上がるだろう。伸びる材料でトルクを伝えることは期待できない。むしろ、ギヤボックスを2つにするほうが楽であるが、カルダン軸の振れ角は大きくなる。先日のM10000は、その方式を採った。
コメント一覧
1. Posted by 初心者 2021年07月11日 09:30
なるほどです。センターピンの下にあるから、台車の振れ角だけですね。モーターの先にあるものは、モーター軸の僅かな狂いを補正するもののようです。これがないと、組立てがやりにくくなります。
スポッと前に外れるというのは、うまい工夫です。勉強になりました。
スポッと前に外れるというのは、うまい工夫です。勉強になりました。
2. Posted by dda40x 2021年07月12日 08:05
この方法は電車の駆動方式としては非常に良く出来た方法です。両軸モータを用いれば、第2軸への伝動も考えずに、2軸駆動ができます。 モータに近い方のジョイントは可撓ジョイントが使えます。
さすがに1軸伝導では各車輛にモータが要りますから、面倒ですね。
さすがに1軸伝導では各車輛にモータが要りますから、面倒ですね。
3. Posted by とやま 2021年07月12日 18:03
鉄道模型と同様、主電動機を床下艤装とし、両軸で乗り越しカルダンとして両先頭軸を駆動軸としたのが名古屋市交800形でした。設計のお一人は伊藤剛氏で、専門誌への発表もありました。
なおエンジン駆動で乗り越しカルダン1軸駆動は戦前の日本車輌製のガソリンカーにありました。
また東急車輛製の札幌市市交D1000形は、1エンジンで乗り越しカルダン、更に第3推進軸で台車内2軸目も駆動する構造です。伝達方法は異なりますが合葉氏の模型と似た駆動です。
いずれも実車では主流の方式にはなりませんでした。
なおエンジン駆動で乗り越しカルダン1軸駆動は戦前の日本車輌製のガソリンカーにありました。
また東急車輛製の札幌市市交D1000形は、1エンジンで乗り越しカルダン、更に第3推進軸で台車内2軸目も駆動する構造です。伝達方法は異なりますが合葉氏の模型と似た駆動です。
いずれも実車では主流の方式にはなりませんでした。
4. Posted by dda40x 2021年07月12日 21:29
剛氏の800型の話はあまりにもローカルネタで遠慮していました。手元に剛氏の残されたファイルがあります。800型は超軽量電車で鉄板が薄く0.8 mmしかありませんでした。自転車と衝突した時、ハンドルのブレーキレバーの先で車体に穴があいたそうです。
「自転車に負ける電車」として有名になってしまったと、剛氏は頭をかいていました。
「自転車に負ける電車」として有名になってしまったと、剛氏は頭をかいていました。
5. Posted by 一式陸攻 2021年07月12日 23:44
800型の乗越カルダンは「模型と同じ方法だったからいけなかった」などと事実無根、全く的外れな指摘をよく見かけるところに我が国の模型人、鉄道趣味人の工学知識の欠如が見え隠れするような気がします。
しかしながら伊藤氏が関わっていたというのは初耳でした。
良い話を聞きました。
しかしながら伊藤氏が関わっていたというのは初耳でした。
良い話を聞きました。
6. Posted by Hata 2021年07月13日 19:48
1/80ですが、乗越カルダンには市販品があります。
https://www.imon.co.jp/webshop/index.php?main_page=product_info&products_id=132049&w=323&x=800&y=0&from=mk
現在発売中の箱根登山の旧型車に使われていますが、急曲線対応が主な目的のようです。
https://www.imon.co.jp/webshop/index.php?main_page=product_info&products_id=132049&w=323&x=800&y=0&from=mk
現在発売中の箱根登山の旧型車に使われていますが、急曲線対応が主な目的のようです。
7. Posted by dda40x 2021年07月13日 20:29
図を見る限り、反トルクの処理が無いように思えます。お使いになった方、いかがでしょうか。