2021年07月09日

”New O gauge”

 最近、遠方からの見学者が2組あった。どちらも2線式Oゲージを見るのは初めてということだった。彼らは、列車が走るのを見て、愕然とした。もっとつまらないものだと考えていたらしい。ガーと走ってギッと止まるものだと思っていたと言う。

 サウンド装置の音が消されると、全く無音で蒸気機関車が走るというのは、かなりの衝撃だったようだ。また電源を切っても、貨物列車が慣性で走り、下り坂ではそのまま下って行くのには、かなり驚いた。また、列車全体の走行音が静かなのは、信じられないとのことだった。
「何が違うのですか?」
という質問を受けた。
 答は、
「すべてが異なるのです。」
である。見ているのはOゲージには違いないが、昔のOゲージとは根本的に異なるものであることを、昔の部品と比較しながら現在の部品を見せた。輪軸、軸受、歯車、モータ、レイル、道床、連結器のすべてが、60年前とは根本的に異なることを納得して戴いた。

「今のHOとも違いますね。」と聞く。
「もちろんです。精度の高い機械で作られた部品のみを用いて構成するとこうなります。歯車は無調整で所定の性能が出ます。音がしないというのが、その高性能の証明です。下廻りは精密機械と言えますが、忘れてはいけないのが、大きさの効果ですね。」と説明した。

「HOでは、これと同じことは出来ませんか。」と聞く。
「大きさの効果は如何ともし難いので、頑張っても同じ結果は出せないでしょう。」と言うと、理解した。
 やってみたいと仰るので、車輪と歯車、ボールベアリング、モータをいくつかお世話し、専用工具も渡した。線路も新規に購入するように勧めた。また、ゴム板の上に線路を敷くことも念を押した。一つでも手を抜くと失敗することは、強調しておいた。

 合葉氏の仰ったNew O gauge" が、60年遅れでやってきたのだ。鉄道の持つ特性が模型にも現れると、その素晴らしさがより感じられるようになる。本物を縮小しようとすることしか考えない人たちには、到達できない目標である。 
 筆者自身は、合葉氏のこの記事は読んだことがなかったので、全く独立に同じ結論を出していたことになる。吉岡精一氏もその結論を模索していたので、筆者と意気投合したのだ。

 既存の3条ウォームとコアレスモータ、ボールベアリングを組み合わせて高性能を得たのは筆者だが、合葉氏によれば、それは模型観を塗り替える程の世界的大発明だったそうだ。その割には普及率は低いのは知らない人が多いからだと思ったが、合葉氏の判断では「走らせている人が少ない」という、単一の原因なのだそうだ。
 だからこそ、走らせて見せるということを主眼に置くべきだと言ったのだ。博物館の建設の最初のきっかけはそこにある。

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