2021年02月27日

DROの取付け法

45 degree 博物館の工房にある縦フライスには、DROが付けてある。3次元をディジタルで読めるので大変便利だ。友人が見て、「良いデザイン」と褒めてくれるのは、この45度傾けたDROだ。形を褒めてくれるが、その意味を考える人が少ない。これは機能優先のアイデアである。意匠優先ではない。

 DROは本体と移動部(XYテイブルなど)を結んで、移動距離を測るものだ。たいていは移動部に棹をネジ留め、本体にはカーソルをバネで固定する。どんなに細かく調節して水平に取り付けたつもりでも、動けば多少のズレや撓みが生じる。バネは多少の動きを吸収する。バネは堅く、無駄には撓まない。材料は厚めのリン青銅の板である。

 ズレや撓みを吸収しても、読みに影響するのは避けたい。写真の場合、もし水平面に取り付けてあれば、Y軸方向の動きは吸収できない。垂直面に付けてあればZ軸方向の動きは吸収できず、それが原因でX軸の長さの読みに影響を与えるかもしれない。

DROを45度傾ける理由 そこで、バネを”く”の字に曲げて本体に取り付ける。こうすると、Y,Z方向の撓みはどちらも無理なく吸収され、読みには影響を与えない。易しい工夫で 克服できる。傾けたのは、単に見掛けを良くしたり、読み取り易くしたのではないのだ。

 作例ではDROの棹を支えるものは、ブラスの角棒を切り出し、銀ハンダで付けてフライス加工してある。作るのが簡単で、丈夫である。飛び出した構造で強度が必要であるが、ハンダ付けでも壊れることはない。銀ハンダの効用について、再認識されるべき時期に来ていると思う。ロウ付けでも良いのだが、筆者はこちらを好む。

コメント一覧

1. Posted by 通りすがり   2021年02月27日 14:02
これはすごいアイデアですね。うっかりしていました。おっしゃる通りです。Y,Z方向のズレを同時に逃がす必要がありますね。
探し出せないのですが、どこかのブログでそのズレを逃がすために、球面ベアリングを使っている人が居ました。なんかおかしいのですね。
今回は素晴らしいアイデアをご披露いただき、感謝します。
2. Posted by dda40x   2021年02月28日 12:36
 簡単でうまくいくものが良いものでしょう。
 その球面ベアリングを使うアイデアというのはピンと来ませんが、二つで支えるのでしょうか。そうするとDROの棹は不安定であっち向いたり、こっちに向いたりしませんかね。
 それとベアリングというものは、もともと所定の隙間があるものです。2/100ミリ程度のガタが無いと動きませんから、それをどうしているかです。労力とお金を使っても、得られるものは少ないように感じました。今回のくの字バネは簡単で確実です。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ